07/06/11 第7回振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会議事録        振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会(第7回)          日時 平成19年6月11日(月)          14:00〜          場所 厚生労働省専用第17会議室 ○調査官 本日は、大変ご多忙のところお集まりいただきましてありがとうござい ます。委員の先生方、また今日はヒアリングするということで、林業機械化協会、 建設労務安全研究会にお忙しいなか、ご出席いただきありがとうございます。ただ いまから、第7回振動障害等の防止に係る作業管理のあり方検討会を開催します。  委員の出席状況ですが、本日は宮下委員、鈴木委員がご欠席という通知をいただ いています。そのほかの先生方には、ご出席をいただいています。なお、第6回検 討会後に事務局に異動がありましたので、ご紹介をします。前任の古田の代わりに、 6月1日付で主任中央労働衛生専門官に着任しました中屋敷です。 ○主任中央労働衛生専門官(中屋敷) ただいま紹介がありましたように、6月1 日から主任中央労働衛生専門官をしています中屋敷と申します。よろしくお願いし ます。 ○調査官 次に、お配りしました資料の確認をします。お手元に資料No.7-1が一組に なっています。次第がありまして座席表、配付資料一覧、7-1があります。これは、 前回第6回の検討会の内容等を整理したものです。少し見づらくなっていますが、 下線部の説明等については後ほどします。資料No.7-2は、畝山委員よりご提出いただ きました前回宿題になっていましたチェーンソーの振動値の換算に関する資料をお 付けしています。第7回の資料としては、この2つです。  なお、委員の先生方の席上には参考までに第1回の検討会資料、これは、いまま での振動障害等の通達等を集めたものと、前回第6回の検討会資料も参考までに置 いていますので、今回の議論の中でご覧いただければと思います。以上ですが、資 料はすべて揃っていますでしょうか。  それでは議事に入りたいと思います。相澤座長、よろしくお願いします。 ○相澤座長 こんにちは。それでは議事を進めます。前回第6回検討委員会のとき には予定がなかったのですが、関係する林業あるいは建設業での振動工具の使用に 関する技術的なこと等を伺う場を設けようということになりましたので、本日はそ のヒアリングをする方として社団法人林業機械化協会内山常務理事と二元指導部長 にお出でいただいています。また、建設労務安全研究会から寺町前副理事長にお越 しいただいています。今日は、どうもありがとうございました。  議題です。関係者からのヒアリングとありますが、前回の検討会が1月でだいぶ 間が経ってしまっていますので、前回の検討内容を事務局からご説明いただきたい と思います。その後、前田委員、畝山委員、事務局とで詰めていただくようにお願 いしていました項目について、両委員からご説明をいただきたいと思いますのでよ ろしくお願いします。内山さん、二元さん、寺町さんにはその経過がありますので お待ちいただきますが、よろしくお願いします。事務局から前回の検討事項につい て、ご説明をお願いします。 ○調査官 事務局からご説明します。前回の検討内容のご報告を申し上げます。参 考で机上に置いてあります資料No.6-1、資料No.6-2に基づき前回ご検討いただいたわ けですが、それらを今回は資料No.7-1として整理していますので、資料No.7-1をご覧 ください。ご覧いただきますと下線が引いてありますが、これについて簡単にご説 明します。二重の下線が引いてあるもの、例えば1の(1)等についてはただいま座 長からお話がありましたように前回の委員会で宿題とされていまして、今回の検討 会では前田委員、または畝山委員にご説明いただく事項かと思います。太線の下線 部分は、第5回の検討会における一定の結論を整理したものを第6回にご確認いた だきました内容です。下線無しの部分は前回の資料の6-2、第6回の検討会たたき台 ということで、これでご検討いただきましたものです。通常の下線が引いてあるも のは、第6回に改めて出しました資料No.6-2をベースに、前回の検討やご意見を踏ま えて若干6-2を修正して書いたものです。点線は、今回事務局で整理をしている中 で新たに確認をさせていただきたい事務局のたたき台の部分です。大項目の右脇に 1-1、2-1と書いてありますのは、関連があります前回第6回の資料No.6-2の項目ご とに付してある番号を便宜的に載せたものですので、ご承知おきいただければと思 います。  それでは、ご説明申し上げます。1.は、振動値の表示を要する工具の部分です。(1) 表示対象工具とすることが必要な工具の考え方ということで、これについては今回 私どもの現行の通達をベースに、対象機械をまずは考えてはということで第6回の 委員会で出しましたが、それについて畝山委員におまとめいただいていますので、 後ほどお話をいただければと思います。(2)に関しては、この振動値が2.5メート ル毎秒毎秒未満の工具の場合の表示の取扱いです。これについては、前回の第6回 の委員会の中で2.5メートル毎秒毎秒未満である旨の表示で足りるか、あるいは絶 対値として書くべきかというご議論がありましたので、内外のデータ等も参考に前 田委員と詰めましたので、前田委員からここについてはご説明いただければと思い ます。(3)(4)は前回確認しました。  2.準拠規格です。これも前回確認しまして、JISがあるものはJISを優先する形で ISO、一部の電動工具に関してはEN規格しかないものもあるということですので、 ENの順で適合することを規格とする。これらの規格の対象とならない表示対象工具 にあってはJISB7761-2、現地測定に準拠した方法によることも可とすることが前回 やられていますので、但し書きについてこういう表現でいいかどうかのご意見を委 員から後ほど伺いたいと思います。(2)3軸測定は、前回確認したところです。(3) の二重下線は、先ほどの1の(2)と同趣旨ですので、前田委員から後ほどご説明い ただければと思います。(4)は表示すべき箇所ということで、本体等も第5回に議 論がありまして、前回に確認しました。(5)も前回確認したとおりです。  3.です。前回の確認事項の中で、チェーンソーの規格に関して現行の構造規格の 告示に基づく測定値は現在使われていますが、先ほどの測定方法の適応を見ますと、 今後JIS、ISO等国際規格を使う形で検討が進められていますので、その取扱いをど うするかということがありました。現行の告示に従う測定法で測定されているチェ ーンソー等の取扱いで、改めてISOの22867、現行の国際規格の測定法に基づく測定 を必要とせずに、一定の換算方法がもし可能であればこういった換算方法を用いて、 3軸合成値相当値を求めることができればそれを可としてはどうかとありました。こ れについては、この換算方法に関してメーカー等でもご検討いただきまして、その 結果について畝山委員から後ほどご説明いただければと思います。但し書きに下線 を引いていますが、この換算を可とする取扱いについて振動値を表示する制度が開 始される前に、当該工具が製造中止となっている場合等限定的なものとするという のは、前回の会議の資料の中ではそうなっていたのですが、今日ちょうど林業関係 のまさに測定をされている協会の方もお出でですので、実際に今後この取扱いはど のようにしたほうがいいか。こういう換算を今後とも継続したほうがいいのかどう かの点についてもご意見をいただければと思います。  (2)は前回確認したところです。(3)は、現行構造規格の中でチェーンソーは3G、 いわゆる最大値の規制がありますが、これは現在の測定法に基づく3Gですから、当 然その測定法をもしISOの22867の国際基準に換えますと、この3Gというもの自体 の見直しの必要があると思われます。ここら辺の考え方がよいかどうかといいます か、これが別途検討が必要だということについてご意見がありましたらいただけれ ばと思います。  4.はA(8)、基準値の考え方ですが、前回確認いただきましたとおりです。(2)(3) (4)は、それぞれ前回もご確認をいただいています。(5)もご確認いただいたかと 思いますが、A(8)で見ますと、振動値が非常に大きい工具の場合、1日の使用時間 で見ますと分単位のものも出てくるようなことも考えられます。そういった極端に 短い時間の工具については、イギリスがA(8)weekという概念、基準を持っている ということで、特例として1週間単位の総ばく露量、結局総量的に1週間単位での 考え方を取り入れて、時間基準を設けることについて、これはこういう報告が委員 からなされていますが、最終的に委員会の結論としてはこういった考えも容認とい いましょうか、委員会としてオーケーできることであるかどうかの確認ですが、ご 意見がありましたらいただければと思います。  5.は振動値とA(8)です。ここについても前回、前々回にも確認をしたところで す。表示対象工具に表示された振動値の部分は、先ほどのところと併せて前田委員 にご説明をいただければと思います。6.も、前回にご議論いただきました結果どお りですが、(4)は先ほどその表示のところで2.5メートル毎秒毎秒未満の工具は振 動工具の対象になりませんが、単体の場合はこういう評価でいいわけですが、それ を2.5メートル毎秒毎秒を越える工具と併せて使用するようなケースについての取 扱いですので、前田委員からご説明をいただければと思います。作業時間と管理に 関しても、前々回のご議論を確認したとおりのことが書いてあります。  8.の騒音については、前回の会議の中で騒音をメーカーが測定する上においても 相当な設備が必要な部分もありますし、騒音値を表示することについて低騒音機械 を購入することには意味がありますが、現場で複数の機械を使用するようなケース については、単体の騒音値ではなくて全体の騒音の評価をせざるを得ないというこ とですので、今回の表示に関しては振動を優先する形で、騒音の値は推奨するもの を必須としないことで前回に出しましたが、こういうまとめでよろしいかどうかと いうことです。(3)(4)は、前回のご意見のまとめです。  9.の質量は、チェーンソーに関しては現行構造規格によるものであるとして、表 示対象工具の質量を工具本体に表示することは要しないということで、これは第5 回でご意見があったと思いますが、こういう取扱いでよろしいかのご確認です。  6頁の注意書きです。振動値が2.5メートル毎秒毎秒未満の工具について実際の測 定値でなく、2.5メートル毎秒毎秒未満である旨、表示で足りることとした場合、表 示された内容では振動値は特定できないこととなるということですが、しかし2.5 メートル毎秒毎秒未満の工具と振動値が2.5メートル毎秒毎秒を越える工具を同一 日に使用する場合におけるA(8)の算出の場合は、2.5メートル未満であっても2.5 メートルと見なすとすれば(8)が求められる。先ほどの注意書きの解説ですが、こ こについても前田委員からご解説いただければと思います。  第6回までの確認事項は以上ですが、ご意見等がありましたらいただければと思 います。 ○相澤座長 ありがとうございました。全体的にはこういうことでよろしいでしょ うか。それでは、いまご説明の要請がありましたが、前田委員からその部分をお願 いします。 ○前田委員 資料No.7-1の1の(2)の振動値が2.5メートル毎秒毎秒未満の場合の 工具の考え方ですが、EUのMachinery Safety DirectiveとかPhysical Agent Directiveのバイブレーションの中で、どちらかといいますとMSD、機械指令のほう ですが、2.5メートル毎秒毎秒未満の試験規則で出てきた数値に対して、2.5未満の ときは未満でありますよということを説明書に書く。2.5を超えたときは、そのもの の値を書くとなっています。今後この考え方を日本へ持ち込むときにどうするかで、 基本的には2.5メートル毎秒毎秒未満の工具はEUに倣いまして、2.5未満であると いう表示をすることでいいのではないか。といいますのは、2.5を超えた工具と超え ていない工具、例えば2とか1.8という工具を複合して現場で使った場合に、使用 した場合のトータルのA(8)を計算したときと2.5未満の工具を仮にこれは2.5で すよと見なして計算した場合の結果にそんなに大きな差が出ないのと、基本的に2.5 未満の機械を見なして計算しますと安全側にA(8)が評価されるということで、実 際に作業をされる方にとっては安全側に働くということで現場での管理としてはで きやすいかなと思いますので、基本的には2.5メートル毎秒毎秒未満の工具に関し ては測定値そのものではなくて、2.5未満ですよという表示だけで取扱い説明書等に 入れていく方法で問題ではないと思います。いろいろ計算もやってみたのですが、 そんなに問題は出てきませんし、安全側に働くということでEUに倣って日本もいっ ていいかなと思います。そんなところです。 ○相澤座長 ありがとうございました。6頁の注にも関係しますが、前田委員からの ご提案でよろしいでしょうか。ありがとうございます。2.5以上の場合は機械に。 ○前田委員 機械にも、それから本体と取扱説明書、カタログ、あるいはメーカー のホームページ等に出しています。 ○相澤座長 1の(2)については、ご議論の同意が得られましたので、お願いしま す。順番にやっていきましょうか。畝山委員の(1)です。 ○畝山委員 現在、いわゆる振動工具という名称で呼ばれている工具類は昭和50年 代の基発等から事務連絡で、こういうものを振動工具とする若しくは含めるという 形で出されていると思いますが、現実問題としてここ10年、20年の間に工具の状況 というのはかなり変化してきています。その当時なかったものが現れて、いま非常 に汎用的に使われているとか、その当時は相当問題になっただろうけれども、かな り機械自身が改良されて振動自身が相当低減している。これはチェーンソーがいい 例だと思います。いちばん問題とすべきは、とにかく工具の振動による人体影響を なんとか避けたいということであるならば、振動を持つ工具すべてに対して測定し て、これはこのぐらいの振動がありますよということをやるべきで、現実にEUでは これをやっています。とにかく動力工具という名の付くものは、すべて振動を表示 しろというのが機械指令の重要な中身です。それが現状で少ししんどいということ になれば、将来的にはその方向でいくべきだとは思いますが、少なくともいまの基 発とか事務連絡が出てからあとに汎用的に使用されるようになった工具であって、 なおかつ相当な振動が現実にあるもの。  例えて言いますと1980年代初期にはほとんど姿がなかったレシプロソーという工 具があります。これはたぶん、日本では1980年代の後半にかなり使われるようにな ってきたと思いますが、弊社もそうですが、とにかく社内での振動対策工具という 何傑かの中に絶対入ってくるぐらいの振動を持っている工具で、おそらく基発がで きた時点ではそういった工具はほとんど市場になかった。だから問題にするには至 らなかったけれども、現実にはかなりの数が市場に出回っていますし、場合によっ ては1日数時間使われているケースもあります。  もう1つ例を上げれば、生け垣とかのヘッジトリマーと言われている工具も、ヨ ーロッパで1970年ごろにエンジンのものが出現して、日本に入ってきたのはしばら く経って、それからまた10年ぐらい遅れて電動のものが現れてということだと思い ますが、チェーンソーに比べると相当に歴史は新しいです。ただ、これも場合によ っては60cmぐらいある大きい刃をガチャガチャやりますから、機械そのものが発す る振動は相当ありますし、これにエンジンが積んであればそのエンジンの振動も加 わりますから、これの振動も相当なものです。こういったものも、とにかく昭和50 年ごろに問題とされていた工具にプラスこういうものが新規に発生しているよと。 いま汎用的に使われる工具として、こういうものがあるよということを押さえた上 で、それを加える若しくはどこかへ放り込む形を取って対象にしないと、ある意味 で振動工具と称されるものより振動が大きいにもかかわらず対象にならないものが 発生すると、何のための振動障害対策かということになってしまいますので、その 辺をご検討願いたいなと思います。  もう1つ、2つあります。例えば建築関係で突き固めですか。タンピングランマー やバイブレーターも、そんなに昔からたくさんあったものではないそうですね。 ○寺町氏(建設労務安全研究会) タンパーは、私が現場をやっていたときの30年 ぐらい前にはありました。 ○畝山委員 あれも最近ちょうど我が社が工事をやっていますので、そういった段 階であんなものを長時間使っていて大丈夫なのかなと思うぐらいに、実際に体が震 えていますものね。 ○寺町氏 だって、そんな意識がないですからね。 ○畝山委員 だから、バイブレーターとかタンピングランマーの類、いろいろ呼び 名があるみたいですが、こういう非常に振動の大きい手誘導工具といいますか、そ ういったものが現実にたくさんありますし、メーカーとしていちばん気になってい るのはグラインダーです。基発では150mm以上の砥石を付けるグラインダーという 規定ですが、現実に特に手持グラインダーの場合、おそらく日本で販売されている グラインダーの9割は100mmです。150mm以上、いわゆる7インチ半から8インチク ラスのものは日本では非常に少ないです。ヨーロッパでは9インチがかなりありま す。現実的に振動はどうかというと、ただ単に研削砥石を付けて回しただけであれ ば、大きいだけ多少振動は大きいかなという面がありますが、現実にグラインダー というのは研削とかダイヤを付けて切るだけではありませんので、いちばん振動が 大きいとなるとワイヤーブラシでの錆び落とし。そういうたくさんのバリエーショ ンがある中で、うちでも試験の連中がだいぶいろいろやっていますが、150mmのグラ インダーと100mmのグラインダーでそれぞれの工具を付けて、振動がどうだといっ てほとんど変わらないよと。むしろ100mmの場合は1ハンドでやりますので、大き いものの2ハンド、サイドグリップがあるものと比べてばく露振動が大きいのでは ないかなと考えられる面があります。150mmという線引きはどういう理由でされたの かは知りませんが、この辺も見直しを考えていただきたいなと思います。  全体的な話ですが、メインとしてピストンで叩く工具、打撃工具にいろいろな名 前が出ています。それも基発関係で出てくる名前、中災防なり林災防から出ている テキストに出ている名前がそれぞれ食い違っているし、全部を集めるとハンマー関 係だけで20〜30の名前が出てくるのではないでしょうか。この中では、おそらく通 称もありますしメーカー名もあるでしょう。例えば、小型のもので先端工具を付け 換えるだけで名前が変わるケースもありますので、これはいま現在進められている ISO8662の改正のほうでは、これを統合して1つは大きさと機構、大きいもの若しく は回転機構を持ったもの、それから小型の往復機構、打撃機構だけのものの仕分け をやって、名称を4つか5つに統一しています。この名称の中にはチッピングハン マーを含む、これを含むということをやっています。そうやったほうが非常にわか りやすいのではないかという気がしていますので、この委員会でこの工具はいらな いというのを決めるのは難しいのではないかと思いますが、そういったことも含め ていまの工具状況に対応した見直しをお願いしたい。それと同時にISOやJISの規 格もそうですが、一定期間ごとに時代、社会、工事現場の変化に合わせて見直しを することをどこかに謳い込んでおいたほうが、新しい工具が出た場合に速やかに対 応できるのではないかという感じがしていますので、その辺をご検討願いたいなと 思っています。 ○相澤座長 ありがとうございました。事務局のほうは、そういう要望でよろしい でしょうか。 ○調査官 ありがとうございました。前回にもこちらでご議論をいただいておりま すが、ここは、作業管理のあり方ということで特に作業時間についてご議論いただ いていますが、その対象のお話をしたときに畝山委員からご意見がありまして、前 回から今回の間にどういったものが使われているかというのをお調べいただいたこ とだと思います。前回は申し上げましたとおり、私どももかなり長年見直しを行っ ていない部分もありますので、いま畝山委員がおっしゃったようにこの委員会での 検討が適当かどうかということを踏まえた上で、こういった工具等の見直しについ ては行っていかなければならない課題だと考えていますので、またよろしくお願い 申し上げます。 ○相澤座長 1頁のことはよろしいですか。2.の(3)のことは先ほど前田委員から ご提案がありましたが、ほかにはよろしいでしょうか。プロ仕様かどうかというこ とも区別しないということですね。輸入か国産か、メーカーの区別をしない。準拠 規格についても(1)です。2頁の(4)と(5)も前回に確認しています。3.のチェ ーンソーの規格の刈払機について、ISO22867に基づくものの測定を必要とせず、一 定の換算方式ということです。これも畝山委員からお願いします。 ○畝山委員 これは本日配られています資料No.7-2で、1カ月ほど前にうちでも一遍 とにかくきちんと測定してみようということで、試験をやっているベテランを集め て1、2カ月やったのですが、現状は告示第85号によって6.3ヘルツから500ヘル ツまでの1/3オクターブ帯域の前ハンドル、後ろハンドルの3軸それぞれを測って、 その中の最大値を表示するということになっているのですが、いまのISO5349若し くはISO22867ですと、これに手腕振動のウエイティングをかけて3軸合成値で出す ことになっていますので、それであわよくば、これで何らかの関連が取れればパッ と読み直せるかもしれないし、もしそうでなかったらどのぐらいの差が出るのだろ うかということでやってみたのが資料No.7-2のレポートです。  1カ所ミスがあります。1頁の:と打った真ん中辺のISO5349-1が2002になって いますが2001の間違いです。  ISO5349のパート1というのは、ついこの間JIS化されまして、JISB7761のパー ト3ということで5月に一応制定発行されています。  やりましたことは周波数の帯域を広く取ろうということで、6.3から6,300ヘルツ まで1/3オクターブありまして、やりました3機種の表が3枚目以降に出ています。 これは、ほぼ予想どおり最大の振動加速度を出すのは当然のことながら、エンジン の回転数にほぼ一致した1/3オクターブ帯域だと。とにかく、これから外れるとこ ろは予想以上にドーンと落ちています。グラフをご覧になったらわかりますが、例 えばチェーンソーAの場合は表示値でいきますと18メートル近いものになる。とこ ろが、この帯域を外れたものに対して大体5メートルは全部いっていない。低いと ころにいくと、とにかく0.0何メーターという状態で、これをISO5349のパート1 に従って1/3オクターブで計算していって、ahvで出したらどうなるかというのが真 ん中の部分です。メインハンドルとサブハンドルのそれぞれを出していますが、こ の大きいほうを採用しますので、チェーンソーAの場合は告示第8号により表示値が 18メートルぐらいに対して、メインハンドルが2.98ですから3メートル表示値。6 倍大きさが違ってきます。現実に振動の人体影響への評価というのは、振動の周波 数と振動の大きさと、そのばく露時間ということになりますから、1/3オクターブで 切った帯域のどこかだけが大きいとしても、それが人体に悪影響を与えるような、 フィルター、これをかけた場合、どれだけの関連性があるかということですが、こ の3種類のチェーンソーを測った限りにおいては現状のピーク値と、いま国際的に 認定されているA(8)に関わる数字とは、はっきり言ってあまりにも違いすぎるだ ろうなと。1つは、要は1/3オクターブ帯域の全データが揃えば、これはエクセルか 何かで簡単に計算できます。数値はもう与えられていますから。ですから、メーカ ーもそういったデータをいただければ、単純なプログラムを組んでポンとやればす ぐに結果が出ますので、A(8)の根拠というかahvはすぐに計算できますが、現状 はこの最大値しか与えられていませんので、メーカーで出そうとすると機械があれ ば再測定をやるか、機械がない場合はバンザイになってしまうなと。  第5回か第6回に話が出ましたが、この最大数値を全周波数帯域にわたって同じ レベルで考えた場合にどうかとなると、これがまたものすごい数字になります。い ちばん下の青で書いてある数字です。例えばチェーンソーでいきますと、ISOの5349 でいくと工具振動値3メートルほどのものがピーク値で18メートルで、18メートル を全周波数帯域、ベタフラットに並んでくると15メートルぐらいになってしまうと いうことで、これも使用するにはしんどい数字だろうなということを考えざるを得 ません。したがって、チェーンソーにおいては今後は人体への影響を考えるのであ れば、当然手腕振動補正をかけた3軸合成値というものを持ってきて、使用時間と の関連で被振動ばく露量A(8)を出して評価することになると思いますが、そのた めにはまず現在も販売しているものであって林野庁によるデータがあるものを全 1/3オクターブのデータをいただけるのであれば、実は500以上が少し欠けますが、 こちらのほうは乗率が非常に低いですから、0.1未満の0.0いくつになってしまいま すので、そんなに大きな誤差は出ずに使える数字は計算できるのだろうなと。  ただ、もう1つ問題があるのは、そのあとにやったISO22867では、実切りとアイ ドリングと空吹かし、レーシングと言っていますが目一杯吹かした状態の3つの振 動値を取って、それぞれウエイトをかけて合算する形になっていますので、それと の関連がどうかなと思ったのです。実際に、アイドリングはかなり低いところでど んどんと来ますので、これは効いてきます。レーシングはズンと周波数が上がって いきますので、実際に160〜200ヘルツぐらいに上がりますので、これはウエイティ ングが非常に小さいものであまり関係ない。しかも、22867の加算方式でいいますと、 そんなに1時間なら問題ないよと思うものが2時間まで使える、30分以内しか使え ないというそんなにひどい差は出てこないなと。もしそのデータがあるのであれば、 現在製造していない、そしてメーカーのほうにも既に機械がなくて測定できないも のに関しては、参考値としてahvの計算はできます。ただ、現実に未だ生産を継続し ている、若しくはメーカーのほうに何らかの形で機械が残っているものに関しては、 きちんと再測定すべきだろうなというのが実験をやってみた結論です。 ○相澤座長 ありがとうございました。換算値でやっても十分に用いられるという ことです。いかがでしょうか。畝山委員のご意見でよろしいでしょうか。 ○榊原委員 単軸のピーク値の周波数、チェーンソーでは125ヘルツがピーク値で すよね。そこのピーク値を使って、ウエイティングした値から何か推測することは 難しいですか。 ○畝山委員 それも統計的にやってみたのですが、この3例だけでやってもあまり 相関が取れませんでした。ピーク値にしてもこのグラフを見ているとわかりますが、 X、Y、Zのメイン、サブに6軸で、例えばチェーンソーのCの場合は10〜20ぐらい の間で来ていますが、チェーンソーのAの場合ですと一部だけポンと18ぐらいまで きていて、あとは大体6、7、8ぐらいで、このばらつきはものすごいです。 ○前田委員 ISOの周波数範囲と告示第85号の周波数範囲の2つがありますよね。 告示の範囲で周波数補正で値を出したときは、ahvではどれぐらいになりますか。 ○畝山委員 この範囲だけですか。 ○前田委員 はい。 ○畝山委員 変わりません。要するに、500以上というのはウエイティングが最後に 付けてありますが0.0いくつなのです。 ○前田委員 告示と林業機械化協会で測られて出てくるデータで、ある値が1メー トル毎秒毎秒より小さい場合はネグレクトして見るような感じでデータが出されて いると聞いたことがあります。そうしますと、ISOで計算した場合とこちらで出され ているデータで見ると、ISOのほうが数値的には大きく出ます。安全側にはなります が、少し違いがあるかもしれない。 ○畝山委員 その辺も僅かと言っていいのかどうかはわかりませんが、ISOの22867 でやった場合のアイドリングとレーシングのその振動を加えるかどうかという誤差 と、そんなに大きな誤差は出てこないであろうと。本来ならばもう少し測定して、 正確な相関を取ってみるべきでしょうけれども、私どももあまり機械を持っていな いので。 ○相澤座長 ほかにはよろしいですか。この項については、換算方式で求めること もいいということでよろしいですか。 ○畝山委員 データをいただけるのであれば換算は可能です。 ○相澤座長 ありがとうございました。3の(3)で、3Gの規制値を超えるかどうか という場合はどうするかということですね。これについては新たに加えられたもの ですが、いかがでしょうか。 ○畝山委員 一応、ISOの5349に準拠した測定ということをやるために、測定機も ピンからキリまであります。だからポータブルな、純粋に測ってahv、手腕補正をか けた振動値だけを出す機械であれば数十万で買えますが、こういう機械ですと1/3 オクターブ分析どうのこうのという細かいことは言われません。ある程度研究室的 にも使えるようなもの、うちで使っているパルスのようなシステムになりますと、 1/3オクターブであれ1オクターブであれ1/Nオクターブであれ、それは全部ナマデ ータ取れますのでこういう計算ができるのですが、通常のポータブルな若しくは簡 易的なISOに準拠した振動測定機だと、ピーク値のGというのは求められませんか ら、それがしんどいのではないかと。  ただ私が考えるのは、要はここでやりたいのは振動の人体への影響をどう捉える かということであって、私自身はある1/3オクターブ帯域のピーク値をもって、こ れが良いのか悪いのかというのはあくまでも販売規制につながるだけであって、人 体への影響をその数値から判断するのはちょっとつらいのではないか、どこか問題 が出てくるのではないかという感じがしています。ピーク値を出せと言われた場合 に一緒に出しますと言えるだけの設備を整えている、若しくは整えられるメーカー がどれだけあるかなという感じもします。この辺になると機械も安くないですから。 要するに、人体への影響評価ですと、むしろahvが出てくれば現状は国際的な評価 には使えるということですね。 ○榊原委員 そうですね。 ○前田委員 3G規制の昭和50年代にすごいレベルの高いチェーンソーがあったと きに分析して、その当時ですと3Gとかとても高いのを抑えて、人体影響を極力抑え られるチェーンソーとしてこれぐらいにしようよという話で出てきた値ですので、 そのころ物理量と人体影響、病気との関係で具体的にこの値がきっちりリンクして いたかどうかは別問題です。その後、評価方法としまして人体影響を見るのに周波 数補正で出した物理量と人体影響を結び付けるということで疫学的な調査が世界的 に実施されて、その周波数補正といいます物理量と生理影響が対応する形でいろい ろな規格が動いてきて現在に至っている。その流れがありますので、国際的には分 析した1つの周波数のどこかのピーク値で見るという考え方よりも、全体の物理量 を捉えて人間との関係を出していくほうが主流になってきていますので、そちらで の評価で見ていくほうが、今後日本としていろいろなデータを出していく上でも妥 当性があるだろうと思っています。そうしますと3Gという規制値を超すかどうかと なりますと、分析の仕方や評価の仕方が全然違いますので対応が取りにくいことが ありますから、国際的な整合性を追いかける意味ではISOに準拠した、あるいは日 本も取り入れましたJISB7761-3とか、計測機もありますJISB7761-1とかに基づい た評価方法で見ていくほうがいいと思います。 ○相澤座長 ほかの先生はよろしいですか。それでは(3)を入れるということで同 意いただきました。3頁はA(8)のことですが、これは前にだいぶ議論が進んでい ますのでよろしいですね。3番目は防振手袋。4番目は、ばく露限界値を超えたら直 ちに作業を中止する。5番目はご確認いただきたいと思いますが、振動が大きいと非 常に作業時間が短くなってしまうということですので、その場合は特例として1週 間単位の総ばく露量の考え方を取り入れるものとする。これについてはいかがでし ょうか。こういう考え方というのは、国際的にいいということですか。 ○前田委員 日本でも現場で基礎を作ったりしますが、そのときの基礎打ちで少し 分厚めに打って上をはつるような作業があります。あのときにコンクリートブレー カーを使ったりしますが、レベルも高い。そうすると1人の作業者で作業できる時 間が非常に短くなる関係がありますので、1日でそれをはつってしまわないといけな いとなりますと、1週間で見直してあげるとできる作業も多々あります。そういう考 え方はイギリスでも出てきたと言われています。日本でも現場で実際に話させても らうと、1日で切られるよりは1週間ぐらいで見られると作業も進められるという話 を、この間聞いたことがあります。 ○相澤座長 よろしいですか。ありがとうございます。4頁の振動値とA(8)です。 最初の現実的には現場でやるのは無理ですので、「表示対象工具に表示された振動 値を基にA(8)を計算することとする」。これは前田委員、よろしいでしょうか。 ○前田委員 はい。 ○相澤座長 表示された振動値を基にA(8)を計算するということでよろしいでし ょうか。ありがとうございます。6の作業時間とA(8)です。特に(3)で2.5メー トル毎秒毎秒を下回る工具を表示された振動値もこのように併用するか、2種類を使 う場合の値は振動値2.5を下回る工具を使用する場合も含めて、作業時間管理を含 む作業管理の対象とすることとする。以下のものに未満のものがあっても、それを 加えてあげるということです。これも前回ご議論をいただいたと思いますが、表示 された振動値ということでよろしいですね。(4)は振動値が2.5未満の工具と超え るものを1日で両方使う場合は、これを2.5メートル毎秒毎秒と見なして求める。 これは先ほどご議論いただいたことですが、よろしいでしょうか。  7.の(1)は前回にご議論いただきました。8.の騒音については、新たに(1)が 加わっています。チェーンソーの規格の適応を受けるチェーンソーの騒音測定及び 表示は、現行の構造規格に則るものとする。これのご説明は先ほど事務局からして いただきましたし、畝山委員からは何かありますか。 ○畝山委員 これはいいと思います。 ○相澤座長 ありがとうございます。(2)は表示対象物では振動値に加えて騒音値 も表示することが望ましいのですが、実際の騒音のレベルというのは対象物によっ ても随分違う。振動値の表示を優先するということで、騒音はどうなのでしょうか。 掲示しなければいけないということではないということですか。そういう提案です が、よろしいですか。ありがとうございます。  (3)は、同様の箇所に表示するものとする。よろしいですね。騒音防止のための ガイドラインに基づいて作業環境管理、作業管理を行うものとする。これはよろし いですか。  9.の質量です。新たに入りましたのは(1)「チェーンソーの規格」の適用を受け るチェーンソーの重量表示は、現行の構造規格に則るものとする。これはいかがで しょうか。よろしいでしょうか。  2番目が、表示対象工具の質量を工具本体に表示することは要しないものとすると。 これはいろいろな表示がたくさんあると、小さい所が読めなくなってしまうことも あったかと思います。チェーンソーを除いては説明書等に記載するということです が、よろしいでしょうか。  それでは、一応前回の確認はこれで終わりましたが、何かご追加、あるいはお気 付きの点はございますか。 ○畝山委員 チェーンソーの関係ですが、現行は40cc以上のものとなっていますが、 チェーンソーもエンジンそのものはどんどん性能は上がってきていますし、いま小 型のものが相当出てきて、40cc未満で23ccぐらいがあって、現実にプロの方も例え ば立木を倒すのは大きいものを使って、枝払いは小さくて軽いものでやるという話 を伺っています。先ほどのグラインダーも一緒ですが、ここで40ccという線を引く 必要はないのではないかと。むしろ何種類かのチェーンソーを併用するのであれば、 それぞれの振動値に応じたA(8)があるはずですから、それを総合して判断すると いうことになれば、当然40ccより小さいものも振動値を謳うべきではないかと。そ の辺の検討をお願いしたいと思います。 ○調査官 先ほどの対象工具の検討と併せまして、おっしゃった点につきましても まず検討を出していただけたらと思います。 ○相澤座長 ほかの先生方はよろしいでしょうか。  それでは、大変お待たせいたしました。ヒアリングに入りたいと思います。まず (社)林業機械化協会の方からということでご意見を一通り伺いまして、それに対 して委員の先生方や事務局からお答えをいただき、また委員の先生方からご質問が ありましたら、逆に(社)林業機械化協会にお教えいただきたいと考えております。 大体30分ぐらいでお願いしたいと思いますので、内山様、二元様、よろしくお願い いたします。 ○内山氏(社団法人林業機械化協会) (社)林業機械化協会の常務理事をしてお ります内山です。本日はこの検討会の場で私どもの意見を述べさせていただく機会 を設けさせていただきまして、大変ありがとうございます。いまお話を伺っていた わけですが、具体的な方法がきちっと決まっているというよりもまだ検討段階とい うことですので、意見というよりは質問という意味合いのものが出てくるかと思い ますが、よろしくお願い申し上げます。  基本的には私どもは林業機械の関係ですので、チェーンソーや刈払機について申 し上げたいと思っております。会員はチェーンソーメーカー大手は大体網羅してい ると思いますのでメーカー的なサイドということで、林業全体を必ずしも代表して 申し上げるものではないことを先にお断りをしておきます。  いまパンフレットをお配りいただいていますので、私どもの協会の概要をご説明 したいと思います。ちょっとこれはだいぶ以前に作ったもので、事務所の住所は移 転しておりますが、開いていただいて、事業内容については基本的に変わりはあり ませんので、1枚めくって中をご覧いただきたいと思います。  私どもは林業機械化協会という名称ですので、林業の機械化を促進するというの を基本的なスタンスとして、事業を行っております。したがいましてまず左に普及 事業と書いてありますが、林業における林業機械の使い方を普及していくことを1 つの柱として、月刊誌や関係の図書、機械の展示・実演会、これは全国育樹祭とい う行事がありまして、記念行事として皇太子殿下にご出席をいただいて、毎年開催 しております。  調査事業ですが、これは海外への林業機械の視察調査であるとか、都道府県等か らの委託を受けまして、機械化に関する調査を行っております。  右側の頁は、林業機械の開発・改良です。いま事業量的にはこれがいちばん多く を占めています。私どもの会員の主たるところは、林業機械のメーカーではリーダ ーといったところで構成をされていますので、そうした会員と協力をして、国の委 託や助成を受けまして、林業関係の機械の開発やすでにあるものの改良に取り組ん でおります。  左下に型式検査とありますが、平成18年度で国からの受託が切れたのですが、チ ェーンソー及び刈払機の振動・騒音の測定を30年余にわたって行ってきています。 林野庁の委託が平成18年度末で切れましたが、現行の測定方法だと他にやる所もな いということで、現行の設備があるのでそれを用いまして平成19年度も引き続き測 定をすることにしています。  話が若干前後するかもしれませんが、いちばん裏の頁をご覧いただきますと、私 ども協会の概要が書いてあります。創立は昭和24年でして、昭和34年に法人化を しました。組織はこのような形に一応なっていますが、事務局は10人弱ということ で運営をしています。会員数は少し多くなっていますが、現在は全部合わせて80と いう会員で、業務を行っているところです。私どもの概要は以上です。  まず今回の見直しですが、機械の進歩や新しい医学的知見がいろいろ出てきてい るので、我が国の振動測定に関しての方法はすでに30年を経過している状況の中で、 新しい医学的知見に基づきまして、時間規制を見直していただくことは結構なこと ではないかと考えています。現状どうなっているかはわかりませんが、もし機械の 振動が大幅に低下している中で現状では必要以上の使用規制となっているとすれば、 そういったものが緩和されることによって、林業はいま生産性の向上が大きなテー マになっていますので、そうした面でも大変ありがたいのではないかと思っていま す。したがいましてチェーンソーについてどのような見通しになるのか、2時間規制 が緩和できるかどうかということがもしわかれば、大変ありがたいと思っています。  私どもはメーカーが会員に多いことを申し上げましたが、先般メーカーともいろ いろ打合せをしてまいりました。その結果のことを混ぜて申し上げます。1つメーカ ーサイドで心配していますのは、どういうふうな形で規制が行われるのか。いまは 3Gということで比較的単純な形になっていますが、振動値による使用時間規制とい うことに変わりますと、例えば1日何時間で、振動加速度の規制がどんなふうな形 で出てくるのかということに非常に関心を持っています。  先ほどのこちららの検討のペーパーにも出てきましたが、3Gの取扱いがまだ見直 しが必要と書かれていますが、ここは新しい規制の仕方になったら、チェーンソー だけは現在振動値の規制が設定されていますが、そうしたものは必要な、何という か、全体の中で規制を受けていくのではないかと考えているというか、期待をして います。  製造者の立場からいきますと、新しい規制の実施時期はいつ頃になるのかを非常 に気にしています。公表されてから実際の規制が開始されるまでの期間はある程度 いただきませんと、新しい測定方法をするにしてもすぐには測り切らないと。物理 的な問題や設備の整備の関係もありますので、その辺メーカーサイドでは6カ月程 度ぐらいはほしいと言っておりましたが、ある程度余裕を持ってお願いをしたいと 思っています。  規制のかかり方ですが、現在使用しているものはどうされるのか、あるいは現行 生産機種については先ほどの話では換算をもって行えばよいというお話もありまし たので、そういった対応もできようかと思っていますが、その辺の新機種なり新た な数値の表示をするものはいいかと思いますが、旧表示の取扱いはどうなっていく のかというところが関心のあるところです。  新しい規制については、現行とかなり振動値が変わって、数字の大きさが現行29.4 メートル毎秒毎秒というのが大きな数字で、実際は3分の1から半分くらいの振動 値に現状はなって、Gで言いますと1から1.5ぐらいですが、それよりもさらに小さ くなりますので、その辺はPRをして、きちっとわかりやすく周知をしていただくよ うに期待をしています。  最後にメーカーサイドとしては、新たな規制が確定する前にパブリックコメント の形でも結構ですので、何らかの意見を言わせていただく機会がもう一度あれば大 変ありがたいと申しておりました。以上です。 ○相澤座長 ありがとうございました。いくつかご質問をいただきましたが、事務 局で答えられるものを答えていただいて、それから委員にお手伝いをいただくとい うことでよろしいでしょうか。 ○調査官 いまご質問の中で、特に規制に関する話ですが、これはまずここで技術 的な検討を行っていただいた後、その結果に基づいてどういった規制方法がいいの か等検討した後ですので、まだ具体的にいつからということについては決まってい ません。またその間にはご意見を伺ったりということがあろうかと思いますが、い まのところ具体的にこの意見も含め、今後の検討を見た上で判断をしていきたいと 考えています。  公表後の準備期間といったご要望等もあろうかと思います。この規制に関する点 でのご要望に関しては、またおっしゃったように規制に関してはパブリックコメン トという制度もあります。また円滑な実施に当たってのいろいろなご意見という形 で伺うようなこともあろうかと思いますので、そちらはまたご意見を伺って進めて いきたいと思っています。 ○相澤座長 あと2時間規制が緩和できるかどうかは。 ○畝山委員 私が、特にヨーロッパの振動関係のホームページを見てISO準拠の振 動値をずっと拾って見ますと、現存のチェーンソーで5メートルを超えるようなも のはほとんどありません。ごく一部で7、8メートルのものはあるのですが、調べて みたらとんでもない大きいものとか特殊なものです。5メートルが大体、そのチェー ンソーだけを使えば一応2時間が限度という話になります。  先ほど私が出した資料のように、大体5メートルいっているチェーンソーは、ほ とんどないと思います。そういう意味ではA(8)評価で2時間以上使えるものが発 生する可能性はありますが、前田先生の以前の調査の中にもありましたが、大きい のと小さいのを1日に数機種使うことになりますと、これはトータルでの評価にな ります。それが2時間を超すのか超さずに済むのかというのは、それぞれの機種ご との振動値と使用時間によってくるので何とも言えないのですが、基本的には以前 からこの会議に出ていますように、振動ばく露をとにかく抑えると。低振動工具を 使ってなおかつ使用時間を短くしていくことによって、振動ばく露を抑えて振動障 害をなくすことがいちばん問題です。その意味からいって、2時間規制がなくなった からそれ以上に好きに使えるよということではなくて、新しい基準に基づいて使用 可能時間は設定されるのでしょうが、それが例えば5時間使っていいとなったとし ても、やはり1日の使用時間は極端に言えば4時間未満にすることとか、2時間程度 に抑えろ、そういったような付帯的な規制は当然付いてくると思いますし、現状も あります。最大何分で何分の休憩といったものも付いてくるはずですので一概にど うなるかとは言えないのですが、単一機種だけを使うことを前提でやれば、2時間を 超えて使える可能性も、当然出てくるとは思います。 ○内山氏 1つ言い忘れました。いまチェーンソー等の振動測定は日本の独自の方式 でやっていますが、こういう見直しに伴って振動方法の測定が変わるとすれば、国 際的に通用するような共通の方式ということでやっていただけたほうがありがたい という意見があります。私どもの中には海外の輸入メーカーも会員になっています ので、そういった所の要望です。 ○相澤座長 いままでのご議論もまた国際的なスタンダードに沿っていくというこ とですが、最終のところで少しモディファイすることもあるかもしれませんが、そ ういう原則でいきたいということです。よろしいでしょうか。  あとは3Gの意見が出てきましたが、これは特にチェーンソーのみが非常に規制が 強いという感じがあるそうですが、今回は他の振動工具もやるということですので、 それはクリアはしていただけると思います。  現在の使用中の機器の表示をどうするかということで先ほども議論がありました が、畝山さんのでよろしいですよね。 ○畝山委員 データがいただけるのであれば、メーカーサイドで換算して参考値と して出すのは可能です。もう1つは、いまほとんどメーカーさんはホームページを 持っていますので、ホームページなり何なりを使って公開すると。  私どもの希望としては、はっきり言って我が社がよそ様の機械の振動値を謳うわ けにもいきませんので、どこか公的機関で一括して振動データの管理ができるよう な形が取れれば、使う側にとってもデータを提供する側にとってもいちばんいいの ではないかなと思っているのです。 ○内山氏 測定データ自体は、各メーカーは自社のものはすべて持っておりますの で、計算方法さえ示していただければ、どこのメーカーも自分でやってそれでホー ムページなりで公表、あるいはそれなりに自社でPRをしてもらうことがいちばんい いのではないかと。場合によっては私どもの協会のホームページでも載せておりま すので、そういう所で換算数値をメーカーからもらって、それで表示をすることは 可能だと思います。 ○相澤座長 これで大体お答えが出ていますでしょうか。先ほどご質問いただいた 件については納得いただけたということですが、委員のほうから逆にご質問等はご ざいますでしょうか。 ○前田委員 国際整合性を持った計測評価法を取り入れることになりますと、いま ISOの22867が日本以外の国に取り入れられてチェーンソーの評価が進められてい ると。そうしますと、日本にこれのJISがありませんので、ISOを引用するのはもう 可能だと思いますが、それと併せてJIS化も急がれると思います。例えば機械化協 会さんのほうで、このJIS化の旗振りをしていただくことは可能なのですか。もち ろんここにいる全部の委員の人も助けていただくことはみなできるとは思うのです が、いままでいろいろなJIS化をやってきていますので、今後チェーンソー以外の いろいろな評価方法とか、ISOの8662の1から14のJIS化はもう終わっているので す。チェーンソーだけがいままでちょっと遅れていたことがありまして、もしあれ でしたらこれを機会にこれもJIS化を来年度やってしまうことが可能でしたらお願 いできればと思います。 ○内山氏 私どものような組織では、ちょっとそこまで担えるかどうかは、ちょっ と自信がないです。 ○前田委員 どうしてもJIS化を進めるときにそれの受け皿の事務局がいりますの で、事務局をやっていただいてその中で委員は組織させていただいて、もちろん厚 労省や他の省庁さんも関係する所は入っていただくという形になると思いますが、 少なくともこれはJIS化を進めなければいけないとずっと思ってきたのですが、ち ょっと検討していただければと思います。 ○内山氏 検討させてください。 ○前田委員 そうしますと、もう完全に国内外の整合性が取れますと、チェーンソ ーの評価や刈払機も含めてできる可能性が両方含まれていますので、できるかと思 います。 ○榊原委員 チェーンソーや刈払機の場合、すでにやり方は違いますが表示システ ムもこの間ずっとやってこられたわけですが、新しいISOの方式にした場合に、メ ーカーさんや林業協会さんのほうで測定の対応というか、測定の可能性はどうなの ですか。 ○内山氏 メーカー自社である程度測定している所は対応できますが、設備のない 所もありまして、そういう所はどうするかというのは課題です。  私どもはISO化されたときに引き続きやるかどうかということは、いま白紙です。 どちらかというと、営業上からいえばあまりしたくないと。非常に設備費がかかる わりには、最近はチェーンソーも刈払機もそんなに数が多くありませんので、どう かなというのがあるのです。  ただ一方で、刈払機等はあまり振動測定をしないで販売されている量が相当あり ますので、そういったものの測定があれば増えるのではないかという声があるので すが、さてどのようになるのか。いずれにしても設備は更新しなくてはいけません し、市販品でできるというわけでもありませんので、ハードは揃いますがソフトウ エアが現状は森林総研の協力を得てワンオフで作ったソフトウエアです。ですから 測定方法が変わりますとまた1から作り直さなければいけないこともありますので、 仮にやるとしてもそれなりの準備期間を置かないと難しいのかなと思っています。 ○畝山委員 先ほども申し上げたのですが、1つにはポータブルなタイプで、要する に振動値、ahvを出す機械であれば、そんなにコストがかからないものがあります。 ある程度、要はピックアップからの出力を1/3オクターブなり何なりで切って取り 出せるものであれば、そこからの処理に関しては私がやっているのもそうですが、 エクセルで簡単なマクロを組んでいるだけですから、そんなにコスト的にも労働の 手もかからずにやれるのではないかと私は思うのです。だから現状は1/3オクター ブバンドでやれるわけです。その数字やデータがポンと出てくるのであれば、あと は表計算ソフトか何かで係数をバッと掛けて、二乗してルートを掛けて終わります ので、そんなに費用的なものと時間的なものは心配せずにやれるのではないかと思 いますが、実際にどういうシステムかを私は知らないので。 ○内山氏 そこはいろいろなメーカーが測りますので、現状はコンピュータのソフ トウエアが自動的に振動値を拾うような仕掛けになっています。恣意的にならない ようにとやっていますので、そのソフトウエアを作るのに手間がかかるのかなとい うことです。ですから単独で、メーカーさんなんかは読んでそのままいくと思うの ですが、私どもの場合はそうやっていくといろいろな数字が出てきますので、それ を避けるためにソフトウエアで機械的にその数値を拾っていく、そういうことであ れば少々不満があってもメーカーさんはやむを得ないということで納得して帰って もらえるということもあります。 ○相澤座長 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。それでは、どうもあ りがとうございました。  次に、建設労務安全研究会の寺町様にお願いします。お待たせいたしましたが、 よろしくお願いいたします。 ○寺町氏 私ども建設労務安全研究会というのは、大手ゼネコン43社で構成をして います。完全に民間の任意の団体です。建設業については日本建設業団体連合会や 建築協会や土工協、全国建設業協会という正規の認定の団体があるのですが、私ど もは完全に民間の任意の団体です。発足が昭和21年からでして、去年60周年を迎 えた団体です。その間当初昭和21年8月に16社でずっとスタートしてきまして、 要は建設業界にかかわる労務問題や安全問題といったものの調査、研究をみんな手 弁当でやっている組織です。そういった中で官庁の人たちといろいろな意見の交換 をさせていただいています。基本的には総会、理事会が意思決定機関で、その下に 企画運営委員会、労務管理委員会、安全衛生管理委員会、職長安全部会、教育委員 会。それから、労務安全必携という小冊子を毎年発行しているのですが、その改訂 をずっとやっています。  それ以外に研究成果を毎年11月に全国交流会ということで、全国に私どもと同じ 団体があるのでそこで全国交流会をやり、各々のアウトプットの小冊子を作ってみ たり研究成果の発表をしています。ですから、長いこと続いてきてそれなりにみん なが知恵を出し合ってきたという任意の団体です。こういうパンフレットはありま せんが、一応ホームページは構えています。建設労務安全研究会で見ていただくと、 すぐわかると思います。  私は5月まで副理事長をやっておりまして、5月を目処に退任することになってい ます。来年いよいよ定年なので、そういったことで身を引くことにしています。  そのような団体なので我々はどこも制約を受けていませんし、束縛されることも ない団体ですから、任意にいろいろなことを勝手にやっているとご理解ください。  今回ずっとこの研究会を見させていただいて、ちょっといろいろと教えていただ きたいです。建設業界は、いろいろな振動工具を使っています。各々についてそん なにゼネコンの担当者及び職長も含めて、知識があるとは思えない状況があるので す。その中で今回いろいろ教えていただきたいのは、振動工具といっても多種多様 にあるので、一体振動工具とは何なのだという定義があれば、この際きちんと明確 にしていただけるとありがたいと思います。  それと、いま申し上げましたように数が多種多様にありますので、一体どのレベ ルまでが振動工具と考えるのかということになります。例えばコンクリートを打つ 平面バイブレーターというものがあって、建設業界はいろいろな工具を使っていま すので、先ほど機械化協会さんもおっしゃっていたように、どこまで規制がかかる のかというのは非常に気になるところです。  表示についてですが、基本的には私どもの職人は、手持ちの工具を非常に持って います。いま言いました手持ちの小さなグラインダーというのは個人持ちになって います。現状持っているものは、私どもは現場に入っていただくときに持ち込む許 可証や確認で、シールがいっぱい貼られていますので、新たにホームページなりで 公開されてシールを貼ることになったら、どこにシールを貼るのだろうという疑問 を持っています。それといまは輸入工具が中国を含めておそらくあるのだろうと。 そういったものについては一体どう考えるのかなということがありまして、いまの これを受けて私どもの工事担当者も含めて事業主、職長、作業員にどうやって周知 徹底していくのだろうと。周知徹底という言葉はきれいですが、末端まで浸透させ ることは生半可なことではないと思っています。  私も不勉強で申し訳ないのですが、2.5メートル毎秒毎秒と言われても、我々建設 業の人間はちょっとよく理解ができないです。それをまたどうやってこの機械が2.5 だいくつだという分類をしていくのか、どうやってそういったものを作業員の一人 ひとりに周知をさせていくのかというのが非常に問題かなと思います。当然労働者 保護ですからそれだけのことはやらなければいけないことは理解していますが、現 実には非常に難しいものがあるのではないかと思っています。それと、いま言いま したようにできるだけ目で見せる形でのPRを進めて行かないと、なかなか周知は難 しいのではないかという気がします。  作業時間の記録があるのですが、作業時間管理が建設業界では非常に難しいとこ ろがあるのです。法令上は職長は仕事だけ見ておかなければいけないのですが、現 実は計られている部分もあります。そういったときに記録を含めて時間管理をどう していくのかということは、非常に悩ましいところだという気がします。  いまの基準の中に5メートル毎秒毎秒を超えたら作業中止とあるのですが、具体 的にこれは一体何なのかが、よく理解ができないです。基本的にはこういったこと でメーカーサイドのほうはいろいろ研究が進んでいるのでしょうし、いろいろお話 を聞いてみますとかなり対応が進んでいるといったところで、それにはどんなもの があるのかをホームページか何かで周知の段階ではいるのかなということがありま す。当然私どものはつり屋さんなどは、先ほど畝山先生がおっしゃいましたように、 当然それははつるわけです。そうすると、メガネやマスク、防振手袋があって、は つり屋ぐらいにはせいぜい防振手袋という話はあるのですが、他の例えば型枠大工 なり土工なりの平面バイブレーターのときに防振手袋という概念はないです。本当 はいるのですが、なかなかそこら辺まではわかっていないという部分があるのです。 そんなようなことを教えていただければと思ってまいりました。 ○相澤座長 基本的なご質問で大事なところがずいぶんありましたので、委員から お答えいただけると思いますが、事務局からは何かございますでしょうか。 ○調査官 振動工具の定義というお話がありましたが、これは先ほど第6回の確認 のときにもありましたが、現行におきましては昭和50年10月20日付の基発第608 号の指針ですが、これで振動障害予防対策を推進しておりまして、この中に振動工 具が挙げられています。ただ昭和50年から見直しがないものですから、いま畝山委 員から新たな知見の下で見直し追加等を検討すべきというご意見をいただいており ます。現行においては私どもの指導の範疇といいますと、昭和50年に通達したもの です。 ○相澤座長 振動工具という定義は前にも議論がありましたが、畝山委員、いまは 何か別のものがありましたか。 ○畝山委員 メーカーとしましては何回か言っていますが、振動工具という呼び方 をされるのは非常に嫌でして、確かに機械の工具の構造上、どうしても振動が出な いと仕事をしないというものに関しては振動工具と言われるのはやむを得ないので すが、十把一絡げで振動工具と言われて、非常に抵抗があるのは事実です。  先ほど申しましたように、いずれは作業する方が使われる工具は、はっきり言っ て振動がゼロというものはあり得ませんので、例えばEU並みに手持工具というとこ ろがすべて振動工具の範疇だと。その中で振動値が低いものもあれば高いものもあ るよという認識に、将来的にはいくべきではないかなと思っています。  メーカーのほうはどうなのだという質問がいまありましたが、我々が把握してい る現時点での話を申しますと、メーカーのほうが振動対策をある意味で必死にやっ てくるようになったというのは、ここ10年以内です。そのいちばんのメインは、や はり欧州です。これは機械指令で2.5メートルを超えるものは振動値を謳い、2.5 メートル未満でというのがあります。その後に出てきた振動指令が法律になってい て、要するにヨーロッパでは振動ばく露量が、完全に法律で規制されていると。そ こで当然ユーザーのほうから、事業者側のほうは極力長い時間使って振動障害の起 こりにくいもの、起こらないものということで、当然ヨーロッパでは振動に関して は低振動工具というのが要求されているわけです。私がイギリスへ行ってレンタル 屋さんとの振動会議に出たのが6年ぐらい前ですが、その時からとにかく、極端な 例ですが、仕事をしなくてもいいから振動のないハンマーを作ってくれという極論 まで出るぐらい、ある意味ではヨーロッパは相当振動に対して神経質だと。それで は、とにかく振動対策をやっていかなければいけないと。ちょうどその頃はアメリ カのメーカーもヨーロッパのメーカーも日本もやっていまして、いまいちばん各メ ーカーとも振動対策が進んでいるのはハンマー関係です。これは振動はいちばん高 いですから。  弊社の例でいきますと、20キログラムある大型のハンマーをブレーカーと称して いますが、これは振動値を半分ぐらいにしました。ロータリーハンマーでいきます と、これもまた振動値を半分ぐらいにしました。これはある意味で市場との引っ張 り合いですので、当然そこまでやるには普通のことをやったのではできない。だか ら新しい機構をつくる、付加的な防振装置を付けるということで、当然コストは上 がります。高いからそんなの買わないよと言われたら、何のために開発しているか わからないという話になりますので、当然市場の要求がある所へはまず投入しよう と。おかげ様でヨーロッパで非常に好評を博したら、ハッと気が付いたらその流れ がアメリカにも飛んで行って、アメリカでも低振動ハンマーというのは、ある意味 で弊社のものが代名詞になっている部分もあるのですが、そういった流れが当然日 本へも波及してくるだろうなと。そうなればメーカーとしてもある程度人間と時間 と金をつぎ込んで低振動のものを作ればマーケットはあるという判断ができれば、 当然低振動工具の開発は始めます。  いま私が知っている範囲で、日本の他のメーカーさんも含めてですが、ハンマー、 レシプロソー、ジグソー。いまはまだこれというものは出てないですが、いま各メ ーカーが必死になっているのはインパクトの類です。この辺に関しては相当力を入 れています。メーカーサイドで勝手なことを言いますが、通常の製品開発をやる何 倍かの時間と手間、金がかかります。ただメーカーとしてはいまの世界の状況を見 ていて、それをやっていかないとメーカーとしてはやっていけないことを認識して いますので、ある程度の時間はかかると思いますが、どんどん低振動工具で、それ もドラスチックに振動が下がったものが今後出てくるものと判断しています。  いちばんいい例が先ほど申しましたチェーンソーで、あれだけ問題になっていろ いろな対策をされてきて、現状とにかく5メートルを超えたチェーンソーは、一生 懸命探して歩かないとないところまできていますから、他の工具もそうなるだろう。 いまの工具規制が、例えば1年後にポンと出てきたときにどれだけの工具が対応で きるかと聞かれると、それは残念ながらまだ返事はできませんが、そのための努力 は、日本のメーカーは全部やっております。だからそういうメーカーのやっている ことと市場の要求が一致してくれば、ある意味で雪崩を打ったように低振動化に向 かうのではないかという感覚は、私自身は持っています。 ○相澤座長 あとは表示の件で、いまは小さい工具でもすでにシールが貼られてい て、どこに貼ったらいいかということですが、これもなかなか技術的には難しいの ですが、これも畝山委員でしょうか。 ○畝山委員 実はメーカーサイドとしても新規の工具に、例えばトラフィックシス テムで貼るとなっても、ある程度大きい工具であれば何とかなるのですが、いわゆ る手持ちクラスの小さいものだと、本当に設計変更をかけないと貼る所が稼げない というのもあるのです。ただそれはやらなければいけないことですから、どんなに 無理してもやりますが、現在市場に出ているものに対して、例えばこのぐらいのシ ールをどこかに貼ってくださいと言われた場合、本当に貼る所があるのかなと思う 工具もあります。その辺はどこか考えないとしようがないですね。 ○相澤座長 周知徹底法はちょっとそちらで考えていただかなければいけないこと です。あと2.5メートル毎秒毎秒の区別法、これは表示するわけですね。 ○畝山委員 ええ。 ○相澤座長 現場でこのぐらいの振動だったらこのぐらいとかと、何か決まったも のはあるのでしょうか。 ○畝山委員 大雑把に言いますと、100ミリメートルのグラインダーで砥石を付けて、 ちょっと角を落として、軽く研削して大体2メートルか2.5メートルぐらいです。 だから2.5メートルというのはそんなに大きな振動ではありません。5メートルとな ると、かなりききます。 ○相澤座長 現場でやると簡単に見分けられることがあると思います。 ○畝山委員 私どもでいま考えているのは、標準的に例えばこういう工具のこうい う状態だと2.5メートル程度の振動だよと。このぐらいの工具でこういう状態で回 すと5メートルぐらい出るよというのを何かパターン化したものをメーカーとして 出したいということは考えています。 ○相澤座長 作業時間管理は難しいということは十分わかりますが、何か工夫はご ざいますか。 ○寺町氏 難しいと思うのです。だからいま先生のおっしゃったように、いかに振 動数の少ない機械の開発をし、あと防振対策をやっていかに稼働時間を延ばしてあ げるかということだと思うのです。それはチェーンソーもきっと一緒だと思うので す。当然山の中に入って木を切られるのでしょうから、一遍入ったらそれだけの生 産性はいりますので、それは我々とメーカーさんと粛々やっていくしかおそらくな いのかなという気はします。 ○相澤座長 そうですね、大変難しい問題です。それから、はつりでは防振手袋を されていますが、他の作業で防振手袋をするのはなかなか難しいということですね。 ○寺町氏 たぶんこれもいろいろないまここにある国がお持ちのデータとかそうい ったものが、もう少しPR用に整理をされ、くどくど言っていくしかおそらくないの かなと思っているのです。だからこれは基本的にゼネコンとしては、ワーワー言っ ていくしかないだろうなと思っています。 ○榊原委員 今回の検討で、工具ごとの振動の大きさを表示するという一種の情報 提供を進めようという意図があると思うのです。ですからいろいろな工具の中での 振動の大きさに基づいて、いろいろ危険性やリスクを含めた教育を進めていければ、 そういった意味では周知徹底の努力は、いろいろな所でやっていく必要があるので はないかと思います。 ○相澤座長 前田先生、何か追加はございますか。 ○前田委員 防振手袋はいままでJISはあったのですが、国際整合性が取れないこ とで改正作業をやりまして、5月25日付で新しい改正JISが出ました。基本的には いままで個々の手袋の防振性能が規定できないようなJISだったのですが、今度の 新しいものではある基準を設けていまして、その基準をパスしているかどうかとい うことで、新しいJISに適合している手袋かどうかというのをパスしたメーカーは JIS適合品と打つことができるようになってきました。そうしますと使う側が、パス している手袋を選択することができる状況にはなってきています。国内でパスして いるメーカーがまだ2社しかないのですが、ほかも努力されているので、もう少し 増える可能性はあります。  海外でもパスしたものが出て日本に入ってきているのですが、基本的にわかるよ うになってきたので、どういう手袋を選べばいいかというのは動きつつあります。 ただ手袋を付けていたら完全に守れるというわけではないので、付けないよりは付 けていたほうが振動の影響を防げる可能性はあります。研究報告でも1週間、1カ月 仕事をしたときに、終わった後の生体への影響は、手袋を付けていたほうが少なか ったという報告がありますので、そういう意味では付ける方向でいくと、こういう 手袋を選んで使いなさいというのはできるようになってきました。 ○寺町氏 なかなかいまマスクやメガネということはワーワー言っているのですが、 防振手袋というところまでは実態は行っていないのが事実です。これを機にいまの 労研のメンバーにはそういった話はきちんとしておきます。 ○相澤座長 ほかにございますか。 ○吉村委員 先ほどの振動工具の定義の話題に関連してですが、例えばJIS化をす るときに、振動工具の定義をどこかに謳っておいたほうがいいと思います。何かメ ーカーがこれは振動工具かどうかと、もしくは現場の会社の方がどう判断するかは それぞれあると思いますので、定義がはっきりしていれば皆さんが了解しやすいの ではないかと思います。 ○相澤座長 この委員会でも、ある程度定義しなければいけないのでしょうね。是 非事務局と相談しまして、また次回がありますので作りたいと思います。大体これ でよろしいですか前田先生、井奈波先生、榊原先生もよろしいですか。  それでは、ありがとうございました。今日は2つの研究会と協会から来ていただ きまして有意義な議論をさせていただきまして、ありがとうございました。それで は、事務局から何かございますでしょうか。 ○調査官 本日はありがとうございました。本日2つの団体にお出でをいただきま していろいろご意見をいただきました。またこういった点を踏まえて先生方とお話 をしながら、最終的な報告書をまとめていきたいと思います。また実際にこれを制 度化していく中でのご意見も出てきましたので、それは私どもご意見として承って おいて、実際に制度化していく中で場合によってはまたご相談をさせていただきな がら円滑に進めていきたいと思っています。  前回関係者と調整を図りながら最終的な報告書案を作成し、今回提出したいとお 伝えしておりましたが、座長をはじめ先生方とご相談の上、こういう形でヒアリン グの形でセットさせていただいたところです。このほか委員のほうで、例えばその 他のメーカー等のヒアリング、この時点でご意見があるかどうかはわかりませんが、 例えば中小を含めたメーカー等につきましても、ヒアリング等は必要であるという ご意見はございますでしょうか。 ○前田委員 基本的には僕は、もういいのではないかと思っています。といいます のは、今回畝山委員が入っておられますが、一応工具ネットワーク10社ぐらいが入 られてそこで情報もフィードバックされて、動いてコメントをいただいて、検討の 内容にも入っていると。  もう1つは、僕自身が労働安全衛生研究所の中で人体振動勉強会を月1回のペー スで2000年ぐらいからやっていますが、そういう中でいろいろな工具メーカーの方 も入られています。日本フルードパワー工業会を中心にした工具メーカーの方々、 それから工具メーカー関連のISOのコミッティに入られているメンバー等で約数十 社入られていますが、そういう方々へもここでやっている内容をフィードバックさ せていただいています。もちろん皆さんもホームページを見られていまして、どう いう動きでどういう流れで検討しているかも理解されています。そういう中でいま 考えているラベリング、それと工具にそういうことをやることによって購入される 方へのリスクをはっきりさせる方向では、どなたからも反対意見はいただいており ませんので、現状いただきました意見を基にして進めていく方向で、いいのではな いかと思っています。ヒアリングはこういう感じでいいのではないかと思います。 ○相澤座長 マキタの畝山委員も入っておられますので、メーカーのほうも十分で すし、また前田委員の情報ネットワークのお話もありましたので、ヒアリングは特 段行わないことにしたいと思いますがよろしいでしょうか。  それでは、本日予定しておりました議題は以上ですが、事務局からこれからの予 定をよろしくお願いします。 ○調査官 本日はありがとうございました。前回のときには予定はなかったのです が、今日は実際に技術的なヒアリングを行うべきということで、ヒアリングの機会 にさせていただきました。次回に関してですが、今回のヒアリング結果等を踏まえ まして、一応間がありますので先生方のご日程を先に詰めさせていただいておりま して、次回は6月21日の午後3時に会議室は変わりますが、この建物で実施したい と思っています。  次回は今回のヒアリングの結果も踏まえまして、今日7-1で資料を配らせていた だきましたが、それ以外過去の7回にわたる結果を抜き出しまして、最終報告書案 の骨子といいますか、まずいろいろご意見、ご議論をいただいてまとまってきたと ころを、とりあえず骨子という形でまとめさせていただいてご意見を伺うという形 を考えています。あまり間がないので、できる限り事務局のほうでまとめていきた いと思います。それでまたそこをご覧いただきまして調べること等がまたありまし たら、それを踏まえてまたご議論させていただくということにさせていただいて、 その後また最終報告書をまとめていきたいと考えていますので、よろしくお願い申 し上げたいと思います。 ○相澤座長 ありがとうございました。野球の一試合のように9回ぐらいには終わ るということです。それでは、第7回の検討委員会を終了いたします。ヒアリング の3人の方、どうもありがとうございました。