資料No.7−1

第6回検討会検討内容整理表

1.振動値の表示を要する工具(表示対象工具)・・・・・(1−1)

(1)  現時点で表示対象工具とすることが必要な工具の考え方。(畝山委員)

(2)  振動値が2.5メートル毎秒毎秒未満の工具の場合、EUにおいては2.5メートル毎秒毎秒未満である旨の表示を取扱説明書に行うこととされており、我が国においてもそれに倣い、振動値が2.5メートル毎秒毎秒未満の表示対象工具の場合、本体や取扱説明書、カタログ等に表示するのは、実際の測定振動値ではなく、2.5メートル毎秒毎秒未満である旨の表示で足りることとしてよいか。(前田委員)

(3)  プロ仕様かどうかで区別をしない。

(4)  輸入か国産か、あるいは、メーカーの規模によって区別をしない。

2.準拠規格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2−1)

(1) 表示する振動値を測定するにあたり、原則として表示対象工具ごとに、JISB7762(又はISO8662)、ISO22867、EN50144又はEN60745の順で適合する規格によることとし、これら規格の対象とならない表示対象工具にあっては、JISB7761−2に準拠した測定とする。
  ただし、JISB7762(又はISO8662)、ISO22867、EN50144又はEN60745の規格に拠りがたい事情がある場合は、JISB7761−2に準拠した測定を行うことで差し支えないものとする。

 

(2) 上記の規格であって単軸測定を規定しているものは、原則として3軸同時測定(又は3軸順次測定)を行うものとする。

 

(3) こうして得られた振動値(=周波数補正振動加速度実効値(3軸合成値))(2.5メートル毎秒毎秒未満での場合はその旨)を表示するものとする。

(4) 表示すべき箇所は、工具本体、取扱説明書及びカタログ(場合によってはホームページ)とする。

(5) すでに流通している表示対象工具についてまで、工具本体や取扱説明書にメーカー等が振動値の表示を行うことは困難であり、ユーザーが独自に振動値のデータを求めることとなるが、可能な限り、メーカーは測定を行い、その結果(=振動値)をユーザー向けに公開し、情報提供することが望ましい。また、各メーカーは表示対象工具について、一元的にデータ(各工具の振動値)を公開する場を設けることが望ましい。

3.換算・互換性、絶対値・・・・・・・・・・(2−2)(2−3)

(1) 「チェーンソーの規格」に基づきすでに測定されているチェーンソー及び刈払機については、改めてISO22867に基づく測定を必要とせず、一定の換算方法(畝山委員)を示し、これにより計算で3軸合成値相当値を求めることを可とするものとする。
  また、チェーンソー、刈払機以外においても、すでにISO8662等に基づき単軸測定した振動値データがある工具については、同様に一定の換算を行うことを可とするものとする。
  ただし、このように換算を可とする取り扱いは、振動値を表示する制度が開始される前に当該工具が製造中止となっている場合等限定的なものとする。

(2) 「チェーンソーの規格」の適用を受けるチェーンソーにあっては、振動加速度の最大値を3Gとする規制を設けているが、当面、このチェーンソーを除き、工具ごとにこのような絶対値の許容限度は設けないこととする。

(3) ただし、「チェーンソーの規格」の適用を受けるチェーンソーであっても、ISO22867に基づく振動測定を行った場合、いわゆる3G規制値を超えるか否かの判定ができないこととなる。したがって、ISO22867に基づく振動測定が取り入れられた場合、3G規制の考えは相容れないこととなる。よって、この場合、いわゆる3G規制の見直しが必要と考える。
  また、現行の「チェーンソーの規格」による振動加速度表示は、この3G規制に適合しているかどうかを明示するためのものであり、周波数補正振動加速度実効値(3軸合成値)の表示は別途必要である。

4.作業管理の原則・・・・・・・・(3−3)(3−4)(3−5)

(1) EUにおいて行われているA(8)による評価、振動ばく露対策値及び振動ばく露限界値といった考え方を取り入れることが適当である。
  A(8)は、1日のうち1種類の表示対象工具のみ用いる場合は、次式で求められる。

1日のうち1種類の表示対象工具のみ用いる場合の式

A(8):日振動ばく露量(メートル毎秒毎秒)

αhv:当該工具の周波数補正振動加速度実効値(メートル毎秒毎秒)

T8:1日の最大作業時間(=8時間)

t:当該工具の1日の使用時間

また、A(8)は、1日のうち振動値の異なる2種類以上の表示対象工具を用いる場合、次式で求められる。

1日のうち振動値の異なる2種類以上の表示対象工具を用いる場合の式

(2) EUの規制及び考え方等を踏まえ、振動ばく露対策値は2.5メートル毎秒毎秒、振動ばく露限界値は5メートル毎秒毎秒と定めることが適当と考えるが、日本産業衛生学会においても、現在は、暫定であるが、許容基準等が検討されており、今後も、適宜、内外の情報、知見について注意しておくことが必要である。

(3) A(8)が振動ばく露対策値以上となる場合、いわゆる「作業時間1日2時間以下」とする部分を除き、昭和50年10月20日付け基発第608号及び第610号に定める指針等に基づく対策を講じるほか、振動ばく露対策値以下に近づけるよう作業時間の抑制及び低振動工具の選択(使用)に努めるものとする。なお、防振手袋の着用等振動障害防止対策を講じていることからといって、A(8)値を小さく評価してよいということにないことに注意を要する。

(4) A(8)は振動ばく露限界値を超えてはならないものする。A(8)が振動ばく露限界値を超える場合は、直ちに作業を中止するものとする。

(5) 振動値が非常に大きい工具については、A(8)が振動ばく露限界値に達する作業時間が極めて短くなる。イギリスがA(8)weekという概念を謳っており、特例として1週間単位の総ばく露量の考え方を取り入れるものとする。

5.振動値とA(8)・・・・・・・・・・・・・・・・(3−2)

(1) 作業現場において実際に作業しているときの振動を測定することは望ましいが、現実的には困難であることから、原則として、表示対象工具に表示された振動値(注)を基にA(8)を計算することとする。

6.作業時間とA(8)・・・・・・・・・・・・・・・(3−1)

(1) 表示対象工具であって、表示される振動値が2.5メートル毎秒毎秒未満の工具のみを1日の間に用いる場合、A(8)は、必ず2.5メートル毎秒毎秒(対策値)を下回ることから、作業時間管理を含む作業管理の対象としない(最大1日8時間の使用まで許容される)。しかしながら、このことを理由に作業時間を8時間まで延長することは本旨でなく、1日4時間以下に抑えることが望ましいこと。

(2) なお、「1日4時間以下に抑えることが望ましいこと」は、A(8)の値から1日4時間を超える作業が可能となる場合にあって、共通して言えることである(例えば、A(8)の値が2.5メートル毎秒毎秒を超える場合、A(8)が2.5メートル毎秒毎秒のレベルまで近づけることが求められるが、その方法として、理論上、より低振動である工具の選択(使用)、作業時間の短縮又はその併用の3つがある。したがって、より低振動である工具の選択(使用)のみをもって、A(8)値の抑制を図ることができるが、それによって、(4時間を超える)作業時間の短縮を図らないことは本旨でなく、1日4時間以下まで短縮することが望ましいものである。)

(3) 表示対象工具であって、表示される振動値が2.5メートル毎秒毎秒以上の工具と、2.5メートル毎秒毎秒を下回る工具とを1日に併用する場合、振動値が2.5メートル毎秒毎秒を下回る工具の表示された振動値(注)も、正確にA(8)を求めるには必要な値であることから、このように併用する場合は、振動値2.5メートル毎秒毎秒を下回る工具を使用する作業も含めて、作業時間管理を含む作業管理の対象とすることとする。

(4) 振動値が2.5メートル毎秒毎秒未満の工具と、振動値が2.5メートル毎秒毎秒を超える工具を1日に使用する場合における、 A(8)の値を出すときは、振動値が2.5メートル毎秒毎秒未満である旨の表示がされた工具の振動値を2.5メートル毎秒毎秒と見なして求めることとしてよいか。(前田委員)

7.作業時間と管理

(1) 使用する表示対象工具及びその振動値に基づいた作業者の作業時間(1日及び1週間)の管理記録(又は管理計画表)を作成する。

8.騒音・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2−3)

(1) 「チェーンソーの規格」の適用を受けるチェーンソーの騒音測定及び表示は、現行の構造規格に則るものとする。

(2) 表示対象工具にあっては、振動値に加え、騒音値も表示することが望ましいものである。しかし、騒音値は直接的に作業管理の指標にしにくいものであることから、振動値の表示を優先することとする。
  騒音値は、低騒音工具を選択するにあたり、有用な情報であるが、騒音は振動と異なり作業環境に左右され、また、作業現場において工具は単独で使用されることは少ないことから、その騒音値をそのまま作業管理に用いることは適当でなく、騒音値の測定・表示は推奨するものの、必須としないこととする。

 

(3) 騒音値の表示を行う場合は、振動値の場合と同様の箇所に表示するものとする。

(4) 騒音は環境に左右され、工具一つ一つの騒音レベルを作業時のばく露管理に関連づけることは難しいことから、引き続き平成4年「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づいて作業環境管理、作業管理等を行うものとする。

 

9.質量

(1) 「チェーンソーの規格」の適用を受けるチェーンソーの重量(ママ)表示は、現行の構造規格に則るものとする。

(2)  表示対象工具の質量を、工具本体に表示することは要しないものとする((1)のチェーンソーを除く)。

(3) 表示対象工具の質量を、取扱説明書及びカタログ(場合によってはホームページ)に表示するものとする。

(注)振動値が2.5メートル毎秒毎秒未満の工具について、実際の測定振動値ではなく、2.5メートル毎秒毎秒未満である旨の表示で足りることとした場合、表示された内容では、振動値は特定できないこととなる。しかし、2.5メートル毎秒毎秒未満の工具と、振動値が2.5メートル毎秒毎秒を超える工具を1日に使用する場合における、 A(8)の値を出すときは、振動値が2.5メートル毎秒毎秒未満である旨の表示がされた工具の振動値を2.5メートル毎秒毎秒と見なすこととすれば、A(8)値を求めることができる。


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