第4回「中国残留邦人への支援に関する有識者会議」
日時:平成19年6月7日(木)14:00〜 場所:法曹会館「高砂の間」 |
議 事 次 第
1. 開 会
2. 配布資料の説明
3. 意見交換
4. 閉 会
(照会先)社会・援護局援護企画課 中国孤児等対策室 電話03-5253-1111(内線3416/3417) |
中国残留邦人への支援に関する有識者会議 | |
平成19年6月7日 | 資料 |
これまでの議論の整理
1 中国残留邦人問題についての基本的考え方
○ 中国残留邦人が置かれている特別の状況に鑑みれば、生活の安定とりわけ老後の生活の安定を求めていることについては、理解できるのではないか。
○ 法的な責任の議論ではないことについては、委員の間で見解が一致しているのではないか。
○ これまで戦争被害に対する国の補償は、軍人・軍属等に対して支給される恩給、援護年金等のみに限られている。責任問題から議論を切り離し、中国残留邦人のこれからの生活をどのように支援するか、という観点から議論すべきではないか。
○ 中国残留邦人は、
- 長期にわたって中国に残留を余儀なくされたため、日本人としての教育を受けておらず、日本語が不自由であること
- 帰国が遅れ、戦後の経済復興の恩恵を享受できないまま、現在高齢に達していること
が「特別な事情」と言えるのではないか。
○ 国がいろんな施策を講じてきたことは認めるが、ここまで中国残留邦人が困窮に陥っていることに鑑みれば、今までの施策は十分でなかったということを反省すべきではないか。
○ 支援を行う場合、どの程度まで支援すべきかについて考える必要がある。その際、一般国民とのバランスに配慮が必要ではないか。
○ 中国残留邦人はかなり特殊なケースであり、従来の制度が予定していなかったので、可能な限りフレキシブルに対応すべきではないか。
2 支援の方法について
○ 老後の生活の基盤となるのは年金である。拉致被害者と同様、保険料を国庫で追納するということが考えられないか。
○ 一般の日本人であれば、基礎年金以外に、多くの人は一定の蓄えをして老後を迎えているが、中国残留邦人には、そういった蓄えもないので、この点に着目した給付の構成ができないか。
○ 生活保護制度には困窮に陥った原因によって差別しないという無差別平等原則があり、この原則は崩すべきではないのではないか。
○ 生活保護に中国残留邦人の方々は抵抗を持っており、中国残留邦人は満足しないのではないか。
○ 生活保護を適用するとすれば、生活保護の運用について、基礎年金の一定程度を収入認定除外にするなど思い切った施策が考えられないか。
○ 一般国民に対する施策とのバランスを図りながら、制度の枠内での対応とするか別の仕組みを設けるか判断が必要ではないか。
3 中国残留邦人に対して社会や国民がなすべきこと
○ 中国残留邦人についての情報が乏しく、社会全体で共有されて来なかったことを反省し、継続的にフォローすべきではないか。
○ 対策についても一過性のものにせず、終身見守るという覚悟が必要ではないか。
○ 運用の問題が非常に重要であり、中国残留邦人の痛みを感じながら思いやりをもって対応すべきではないか。
○ 中国残留邦人が既に高齢化していることを踏まえると、中国残留邦人に対し、一律に日本社会への同化を強制するのは妥当ではなく、中国残留邦人だけのコミュニティーの中で安住する可能性も含め、多種多様なメニューを用意すべきではないか。
○ 中国残留邦人の個々の抱えている事情は異なるので、「中国残留邦人」としてひとくくりに論ずることはリスクが高いのではないか。あえて一般化して言えば、自分の意図がうまく伝わらないなどの「孤独感」をどうするのかが大きな問題ではないか。
○ 中国残留邦人は生活習慣や文化の面では中国人に近いのではないか。多文化共生という考え方で対応すべきではないか。
○ 地域社会における支援を検討するに当たっては、地域社会における様々な活動の担い手であるNPO、ボランティアなどとも連携を図ることが重要ではないか。
○ 中国残留邦人の中国語能力など中国残留邦人を社会としてどう活用するかという発想の転換が必要ではないか。これは、中国残留邦人に生きがいを与えることにもつながるのではないか。