07/05/21 第9回 福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録 第9回 福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録 1 日時  平成19年5月21日(月)10:00〜12:00 2 場所  厚生労働省共用第8会議室(6階) (東京都千代田区霞ヶ関1−2−2)   3 出席者 ・参集者(50音順)   石井委員、小川委員、佐藤委員、志賀委員、武田委員、中井委員、原委員、原田委員  弘中委員、東馬場委員、松為委員、松矢座長、村上委員、森委員、山岡委員、輪島委員 ・オブザーバー  職業能力開発局能力開発課 三富主任職業能力開発指導官  社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 矢田企画官  文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 水野専門官 ・事務局  岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長、土屋障害者雇用対策課長、  浜島調査官、白兼主任障害者雇用専門官、矢田障害者雇用対策課長補佐   3 議題 (1)とりまとめに向けた基本的な考え方について (2)その他 4 資料  資料1 「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会」の とりまとめに向けた基本的な考え方(案) 5 議事 ○座長  ただ今から、第9回「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研 究会」を開催いたします。  本日の委員の出欠についてですが、高井委員、時任委員、松井委員が所用により欠席 という連絡を受けております。  それでは、本日の議事に入ります。本研究会においては、第1回から第5回にかけてヒ アリング及び意見交換を、第6回から8回にかけて就労支援機関の役割、人材養成、連携 に関する総論の3つの柱に分けて、それぞれ議論を進めてきたところでございます。 今後は、これまでの議論を踏まえ、研究会の意見をとりまとめていくことになります。 そこで、本日は、報告書のとりまとめに向けて、基本的な考え方について御議論いただ き、本研究会の意見として共有化していきたいと思います。本日の資料として、研究会 のとりまとめに向けた基本的な考え方の案が事務局から用意されておりますので、事務 局から説明をお願いしたいと思います。 ○事務局  お手元の資料1でございますけれども、これまでの全8回にわたる議論を踏まえて、研 究会のとりまとめに向けた基本的な考え方として、事務局の方で整理したものでござい ます。なお、整理に当たりましては、これまで議論されてきた内容について、事務局の 方で整理し、総括をしております。また、具体的な御意見としては明確に出されていな い部分につきましても、意見の前提又は背景となる事項ということで、事務局の方で斟 酌をして盛り込んでおります。さらに、全体の構成を若干組み直して整理したものでご ざいます。  まず、資料の表紙でございますが、4つの柱で構成されております。第1の「関係機関 の役割の明確化とネットワークの構築」につきましては、この研究会の基本的な考え方 の総論に当たる部分でございます。それから、第2につきましては、「各分野の就労支 援機関の役割と今後の在り方」ということで、個別に整理をしたものでございます。そ れから、第3につきましては、「就労支援を担う人材の分野横断的な育成及び確保」と いうことで、人材育成についてまとめたものでございます。それから、第4については、 「関係機関で連携による就労支援を効果的に実施するためのツールの整備」ということ で、情報共有化の在り方、各種ツールの整備の考え方について、まとめたものでござい ます。  では、内容につきまして、簡単に御説明をいたします。  1枚めくっていただきますと、第1の総論に当たる部分ということで、関係機関の役割 の明確化とネットワークの構築でございます。ここの部分につきましても、4つに分けて ございます。最初の1でございますが、就労支援を行うためのネットワークの意義や目的 について書いたものでございます。1つ目の○が、こうした就労支援のネットワークとい うものを圏域毎に構築することが必要であるとしております。それから2つ目がネットワ ークを構築することの意義や目的につきまして述べた部分でございまして、ネットワー クを構築するということは、障害者にとっても、それから支援者にとっても、効果的な 役割分担の下に就労支援が行えるということで、その意義や必要性というものを関係者 が改めて認識することが必要であるとしております。それから、最後の○でございます が、障害者の方が安心して福祉から雇用へと移行できるようにするためには、その逆の 流れ、雇用から福祉へという流れも確立することが必要であり、そのためにもネットワ ークが重要であると位置づけております。  2でございますが、就労支援のネットワークを構築するためにということで、県レベル であるとか、圏域レベル、それぞれの機関をネットワークのなかでどのように位置づけ るかという視点でまとめたものでございます。1つ目の○が、直接的な就労支援を担う 地域のネットワークには、圏域レベルの支援機関として、ハローワークや就業・生活支 援センター、それから、就労移行支援事業者、それから特別支援学校などが必要である としています。また、都道府県レベルの機関としても、地域センターや能力開発校、そ れから発達障害者支援センター等のより専門的な支援を直接担うという面から、こうし た都道府県レベルの機関もネットワークの一員として機能を発揮することが必要である と位置づけております。それから、2つ目の○に、こうした圏域毎のネットワークは、 圏域毎にそれぞれの役割分担やネットワークの構成を検討することが重要であるとして おります。3つ目の○につきましても、こうした圏域レベルのネットワークを支えるた めには、都道府県レベルでの、労働局や都道府県福祉・労働部局等のネットワークを支 える機関が、その役割を果たすことが必要であると位置づけております。  3つ目の、ネットワークを効果的に機能させるためにということで、ソフト面で何が 必要になるのかという視点でまとめたものでございますが、1つ目には、まず、顔の見 える関係を形成して、それぞれネットワークのなかで人材育成を行い、就労支援の質を 底上げすることが不可欠であるとしております。それから、2つ目では、こうした地域 のネットワークを効果的に機能させるためには、技術面でのバックアップする機能が必 要である、都道府県レベルでこうしたバックアップする機能が必要であると位置づけて おります。  4つ目の、連携による就労支援のための共通理解の促進でございますけれども、それ ぞれ各分野で持っている目的であるとか、目標であるとか、価値観であるとか、そうし たものはバラバラであるけれども、それぞれ固有のものがあるということを認識しなが ら、障害者の就労という同じ目的や目標に向かっては、方向性や認識を揃えていく必要 があるということ、それから、各地域で計画的に取り組むことが必要であるということ で位置づけております。2つ目には、こうした共通理解を促進するためには、就労支援 ノウハウを蓄積している雇用サイドから、福祉・教育サイドへ積極的に働きかけをする ことが必要であるとしております。3つ目でございますけれども、こうした連携による 就労支援を効果的に行うためには、各分野で共通に使える支援ツールの共有化の基盤整 備を図ることが重要であると位置づけております。  第2につきましては、それぞれ各分野の支援機関の役割と今後の在り方について整理 をしております。  まず、ハローワークでございますけれども、ハローワークの役割として、最初の○で ございますが、第一線の労働行政機関として、職業紹介や指導を行うことを通じて、障 害者の雇用機会の確保というセーフティネット機能を発揮すべきだと位置づけておりま す。2つ目の○としては、職業紹介と指導を一体的に実施する行政機関としての強みを 発揮し、特にマッチングを担う機関として、地域のネットワークの構築の中核的な機関 としての役割を果たすべきだと位置づけております。次の○は、ハローワークの業務と して、チーム支援を行っておりますけれども、そうしたチーム支援を着実に展開するこ とが重要であり、そのためのコーディネート力を高めることが必要であるとしておりま す。さらに、ハローワークのなかに、知的や精神の方などのきめ細かい支援を必要とす る求職者の増加を踏まえて、ハローワーク自身も障害者担当の専門性を高めることが必 要であると位置づけております。  次の、地域障害者職業センターでございますけれども、まず1つ目の○が、地域障害 者職業センターの位置づけであるとか、今後の役割について書いてある部分ですが、地 域障害者職業センターは中核的な職業リハビリテーション機関として全都道府県に設置 されており、さらには、障害者職業総合センターを中心とした全国ネットワークを形成 して、地域における豊富な支援実績に基づくノウハウを障害者職業総合センターに集約 して蓄積しているということを踏まえて、今後は、地域における就労支援の広がりのな かで、その専門性やノウハウの蓄積を活用した業務の展開が求められるということで位 置づけております。具体的には、次の○でございますが、地域の就労支援機関による質 の高い就労支援が実施できるように、地域障害者職業センターの専門性とノウハウを生 かして、今後は(1)地域の専門的な人材の育成、(2)地域の就労支援機関に対する助言・援 助などを行うべきということで位置づけております。次の○でございますが、こうした 新しい業務を踏まえて、地域障害者職業センターが行う直接的な業務としては、こうし た支援機関の役割分担を明確にして、就職等の困難性の高い障害者に対する専門的な支 援を自ら実施することとすべきと位置づけております。さらに、こうした新しい業務の 方向性を踏まえて、職業カウンセラーの資質の一層の向上を図ることが必要と位置づけ ております。  3番目の、障害者就業・生活支援センターでございますけれども、まず役割としては、 地域の関係機関と連携しながら、障害者の方の相談から職場定着に至るまでの必要な支 援をコーディネートする役割が求められると位置づけております。こうした役割を果た すためには、全ての福祉圏域への設置を早急に進めることが不可欠であるとしておりま す。さらに、支援対象者の増大に対応するために、実施体制の充実を図ることが必要で あると位置づけております。年々増大する職場定着に向けた支援につきましても、定着 支援機能のさらなる強化が重要であるということと、こうした様々なニーズに対応する 支援をコーディネートするために、就業・生活支援センター自身にも専門性の高い人材 の育成・確保を図ることが重要であると位置づけております。  4番目の、障害者雇用支援センターでございますけれども、このセンターと就労移行 支援事業との目的や機能が重複することも踏まえて、制度的な位置づけを検討すること が必要であると位置づけております。  5番目の、就労移行支援事業者でございますが、まず、就労移行支援事業者の役割と しては、圏域レベルで障害者の方に訓練や実習を通じて一般就労に向けた訓練を行う機 関として、全国の各地域に早期に整備されることが重要であるということと、さらには、 各事業者の支援の質を確保し、就職に結びつく良質なサービスを提供することが必要で あり、そのためには、サービス管理責任者等の資質の向上が必要不可欠であると位置づ けております。  6番目の、特別支援学校でございますが、まず、特別支援学校の役割としては、障害 者本人にとっては、最初のガイダンス機関として位置づけられており、その役割は極め て重要であると認識しており、学校自身が行う支援の内容として、将来の職業生活の基 礎となる職業教育の充実や指導内容、方法の改善、それから、職場実習の拡充等を今後 地域の関係機関と連携して進めることが必要であるということと、進路指導担当教員の 専門性の向上や進路指導体制を充実することも重要であると位置づけております。3つ 目ですけれども、学校と関係機関との関係については、卒業後も継続して支援が受けら れるように、個別の教育支援計画の策定を中心とした関係機関との連携づくりを進める ことが重要であると位置づけております。  7番目の発達障害者支援センター、難病相談・支援センターでございますが、就労支 援以外にも特に医療面や生活面を含めた総合的な支援を必要とする発達障害者、難病者 等については、発達障害者支援センターや難病相談・支援センターが就労支援のネット ワークのなかで、その一員として機能を発揮することが重要であると位置づけておりま す。  それから、大きな柱の第3の人材育成でございますが、まず1つ目が、就労支援を担う 人材の育成・確保ということで、最初の○が、現状の課題としては、そうした就労支援 の強化が求められるなかで、人材育成が追いついていないということから、就労支援の 裾野を広げるための育成と、さらに専門性を高めるための育成の、両方を進めることが 不可欠であると認識しているということでございます。そのためには、そうした専門的 支援を行うジョブコーチを含めて、就労支援を担う人材に必要なスキルや能力のレベル について明確化するとともに、育成方法についても、今後、整理・体系化することが重 要であると位置づけております。さらに、人材育成の視点としては、特例子会社や障害 者雇用の経験豊富な企業のノウハウやそうした人材の活用が必要であるとしております。 さらに、大学等においても、福祉系人材や教員の養成カリキュラムに職業リハビリテー ションに関する講座を設ける等も重要であると位置づけております。  人材育成につきましては、ジョブコーチについて特出ししておりますけれども、まず、 ジョブコーチの役割というものは非常に重要なものであり、ジョブコーチの育成と専門 性の確保が重要であると位置づけております。そのためには、全国各地で研修が受けら れる体制あるいは併せて研修については一定の水準を確保することが重要であると位置 づけております。さらに、ジョブコーチをどこに配置するのかという点から、地域障害 者職業センターや就業・生活支援センター、就労移行支援事業者など、就労支援に組織 的に取り組んでいる機関に配置して、OJTを通じたスキルアップを図ることが重要であ ると位置づけております。さらには、障害者雇用の経験豊富な企業においては、第2号 ジョブコーチの配置や活用を積極的に進めることが効果的であると位置つけております。  それから、4つ目の柱の、連携による就労支援を効果的に実施するためのツールの整 備でございますけれども、まず1つ目の○につきましては、障害者の方のライフステー ジに応じた連携による就労支援を効果的に実施するためには、各機関が保有する支援記 録や支援方法の情報などをネットワークのなかで共有化することが不可欠であると位置 つけておりまして、こうした情報の共有化の在り方については、今後、個人情報保護法 の観点も踏まえて、調査研究をすべきであると位置づけております。それから、就労支 援に関する、例えばチェックリスト等の様々なツールについては、各分野の支援機関や、 企業が共有できるように開発、今後整備していくことが重要であると位置づけておりま す。  以上、事務局からの説明です。 ○座長  ありがとうございました。これまでの議論を事務局に取りまとめていただきまして、 基本的な考え方として、今日、出していただきました。次回からは、報告書の骨子を検 討していくことになりますので、今日はこの基本的な考え方を共有化するということで、 この4つの基本的な考え方のそれぞれの項目について、確認していただくと同時に、付 け加えることがあったら付け加えていただくということで、1から4まで、20分から25分 間ぐらいずつ時間を充てながら、集中的にこの共通の基本的な考え方について、検討し ておきたいと思います。そういう意味で、ここにそれぞれの項目の確認とか、あるいは、 もう少しここにこういうものを加えたらどうかという形での御議論をお願いしたいと思 います。  それでは、まず、最初に1ページの第1、関係機関の役割の明確化とネットワークの構 築について、1から4までありますけれども、順序はかまいませんので、どうぞ御議論を お願いしたいと思います。どうぞ、武田委員。 ○武田委員  どこに属するのか分からないのですが、私どもは元々精神障害者を中心に支援をして、 就業・生活支援センターで、障害に関係なくということでやっております。現在、企業 と障害者雇用に向けて働きかけをやっているところなんですけれども、そのなかで、知 的障害を雇用するということで、ずっと今まで進んでまいりました。なぜ精神障害者が 雇用されないのかというところがとても疑問で、これまでの通り、精神障害に対しては、 きっととてもノウハウがないからだと受けとめていました。先般、そこの会社の代表の 方とお会いして、お話を聴いたときに、とても驚きました。というのが、一番どこが立 ち後れているかという問題ではないんですけれども、その方がおっしゃるには、障害者 の雇用で一番遅れているのが知的障害だとおっしゃるんです。そして、既に精神障害と 身体障害については、もう進んでいるとおっしゃいまして、えっと思ったんです。お話 を伺っていくうちに、確かに、精神障害のうつ病対策については、とてもマスコミでも 取り上げられますし、政府の方でも、うつ病対策については、特段の取り組みがなされ ております。特に私たちが今、働きたいという方たちを応援しているのは、統合失調症 系の方々の就労を進めるにはどうしたらいいかということを日々やっております。大き な企業が考えるところの精神障害といった場合に、私はそのとき初めて、うつ病対策で あるということが分かりました。そのことで精神障害が進んでいると企業に受けとめら れていたんです。別に、どの障害がということは関係ないとは思うのですが、やはり、 うつ病だけではなくて、統合失調症の方々も就労の問題については、まだまだ取り組み が遅れているということをどこかのところに明らかにしておかないと、とても就労困難 者が知的障害だけだというふうに受け取られかねないと思いました。企業を訪問してい て、5月の頭に、そういう危惧感を感じましたが、トップレベルのところでそういう認 識があると、なかなか現場サイドで企業の方とお話するときに、いや、もうトップは、 精神の問題は進んでいるからやらないと言われているのでとおっしゃると、次に進めま せん。そのときに、そのトップの方に、実はそれはうつ病対策のことであるというお話 をし、統合失調症系を中心とした方々の就労支援というのは、本当にこれからであって、 知的障害と同じように大きな課題であるとお話したときに、僕の大きな勘違いだとおっ しゃっていただきまして、知的障害と併せて精神障害の雇用問題にも取り組むとおっし ゃっていただけたんですね。そこのところをどこかに盛り込めないかなと思いまして、 ちょっとどこで発言していいのか分からなかったので、ここで発言させていただきまし た。 ○座長  はい。分かりました。これから三障害を一体的に進めていくわけだけれども、そのな かで、やはりそれぞれの障害のある方々の就業へのニーズですね。その辺のところをう まく位置づけていく。特に、知的障害の方々ですと、ほとんどの方々は学校教育のとこ ろから出ていきます。統合失調の場合には、思春期、青年期辺りから発病して、それで、 入院、通院、そしてまた移行支援事業ですね。そういったところにたくさんいらっしゃ るということですね。そういう、今のニーズがどういうところにあるかというようなと ころの前段でも、何かそういうのが入るといいかもしれませんね。分かりました。結構 でございます。では、松為委員お願いいたします。 ○ 松為委員  第1のところですが、これは今までのなかで議論になっていなかったのではないかと 思うのですが、文章のなかにたくさん出てくる「圏域」という言葉があります。この圏 域ということについては、保健福祉圏域もありますし、それから、安定所の管轄圏域も ありますし、それから、いわゆる学校ですと、学校の区域もあります。そういう意味で は、圏域というのをどういう形でこっちが捉えているかということを1つ明確に文章の どこかに入れておかないと、十分理解できないという危惧があります。  もう1点は、例えば、横浜市の場合ですと、市でいくつか支援センターをつくったり しますけど、市を越えている場合はどうなのか。南紀白浜の北山さんのところでいきま すと、あそこの市の圏域を越えて、他の地区から、支援センターとか、いろいろな格好 で来たりしますね。そうしたときのことを考えると、どう対応するのか。圏域というの は、ある意味で、支援の在り方が問題になります。例えば、自分のところの市だけでお 金を出しているから、他のところは来るなという形で収まるのかどうかですね。そこの ところに関して、このネットワークとか圏域といったときに絡んできそうなので、そこ をちょっと、やっぱり何かまとめて出しておかないと、という感じがいたします。以上 2点です。 ○座長  ありがとうございます。とても大切な指摘だと思います。就業・生活支援センターも まだ全部、圏域というか、地域毎に配置されていません。そういうなかで、市を越えて ということは、大いにあると思います。東京なども、まだまだ市町村支援センターもで きないところがありますし、そういった、やはり圏域ということが、障害保健福祉圏域 でやっているところもあるし、そうでないところもありますから、それをどういうふう に定義づけるかということと、それから、その圏域を越えてニーズに対応するというよ うなところも位置づけておかなければいけないという、かなり重要な御指摘だったと思 います。他にどうでしょうか。志賀委員どうぞ。 ○志賀委員  いくつかちょっと疑問に思っていることなんですが、地域の方で今年度から、例えば、 私たちの仕事をしているところで、地域の福祉の方が主導で障害者雇用を推進する合同 会議を持ちましょう。あるいは、山岡さんもいらっしゃいますけれども、発達障害者支 援センターの設置等に絡んで、地域のなかで発達障害の事業全体並びに底上げをどうい うふうに連携をとってやっていきましょうという会が、いくつか立ち上がっております。 ネットワークの意義、目的の方はまさにこの通りだと思うのですが、3番目のいわゆる ネットワークを効果的に機能させるための問題に関わってくると思いますが、実際に顔 が見える障害者雇用の場合は、どういった人がどういうふうに就職するか。それぞれぱ っと話をして、個人情報との関係もありますが、名前が出て、顔が見えて、ああ、何と かこういうふうな方法をという面では、まさに小さな圏域というのは、非常にいいと思 います。そのネットワークをつくって、効果的なネットワークの機能が発揮されるとい う面では、どういったふうに、そのネットワーク自体がやる気になっていくというか、 ネットワークの効果が出てきたか見えるというのは、すごく難しいように思えます。意 外と、ネットワークといって、通常の業務ではなく、なおかつ、発達障害センター等は、 最終的にその地域の支援センターの実績なり評判に結びつくような形になればいいと思 うのですが、こちらの場合は、例えば、ハローワークの方の障害者の就業件数であった りとか、そういったものとなるとすれば、事務局はそちらでやるのが一番よろしいでし ょうし、いわゆる顔が見える関係とそれをバックアップする仕組みだけでは、ネットワ ークが機能するとはなかなか思えません。実際にネットワークに参加するメンバーとい うのは、福祉関係あるいは職業センター等の方々もいろんなネットワーク機関に顔を出 すわけですから、なかなか全てにおいて力をそこに注げるというわけではないなかで、 どういうふうにやっていくか。事務局体制を含めて、その辺も、もう少し突っ込んでい ただければと思います。 ○座長  そうですね。はい。では、山岡委員。 ○山岡委員  ちょっと志賀委員の件に賛同するわけですが、私もいくつかそういったネットワーク ではないんですが、会議に出ておりますけれども、大体、その会議で終わってしまうケ ースがございまして、メリットとしては、そういうところに人材がいらっしゃるという か、いらっしゃるということが分かるということぐらいかなという感じがしています。 実際にネットワークが機能するためには、特に就労関係でいきますと、アレンジという か、どこにどういったリソースがあるかというような、そういうものを蓄積して、それ が分かるようにしておくというようなことと、あるいは人脈的なものが実際には役に立 っているのではないかと思うのですね。その支援の質とか量を高めていって、そこのな かでネットワークが機能するためには、何となく、大事なところにハローワークを核と してとうたってあるのですが、そこを中核的に担うコーディネートするような役割の方 をきちんと置かないと、機能しないのではないかと思います。  それから、さっき、そういった人脈とかリソースというところは、実際にはネットワ ークの表のところで動いているのではなくて、インフォーマルなネットワークというか、 人脈で動いているところがあって、あるいは、集まっていただいている方は、夜間であ りますとか、何らかのボランティア的な活動で支えられているようなのが実態でありま す。そこを何か、うまくハローワークが中核となって、専任のコーディネーターを置く なりして、アレンジできればいいのではないかと思います。  それから、この2のところで、就労支援のネットワークを構築するためにどういうと ころがあるかですけれども、このなかで、私は当事者団体を代表しておりますので、一 言言わせていただきますと、NPOとか当事者団体のなかには、その地域のなかで一定の 活動をし、ノウハウを蓄積し、一定の役割を果たしているところがございます。そうい った当事者団体あるいはNPO等のなかには、例えば親の会とか当事者団体は、1人の当事 者が生まれてから学校生活を送り、就労し、というなかで、ずっと一貫して関わってい く人たちでありますので、どこかのなかで、NPO、当事者団体との連携、あるいは、協 力というようなことを一文入れていただきたいと思います。 ○座長  ありがとうございます。そうですね。志賀委員の出された、いわゆるネットワークは、 地域のなかではいろんなレベルがあると思うんですけれども、会議も単なる会議にしな いでいきたいということですね。支援会議に繋がるような、そういうことが予想されて いるので、できれば資料に、そういうモデル的に、こういうような地域ではこのような 形で、最終的には一人ひとりの事例を就業に繋げていくということのネットワークを働 かせているというような、少しいくつかケースといいますか、顔の見えるネットワーク というのは、こんなふうにやるんだというようなものを、少しイラストというか、図に して提起したらどうかと思うのですね。何か、そういう整理方法ができるといいなと、 今ちょっと感じました。  それから、山岡委員の御意見ですが、まさにそういう当事者団体、それからNPO等で すね。一つひとつのそういう当事者に近いところのいろんな団体等との連携ということ も、このなかに組み込んでいけたらいいという御提言ですので、2で取り上げた方がい いと思います。是非取り上げたいと思います。  他にどうでしょうか。原田委員、どうぞ。 ○原田委員  全日本育成会の原田です。この第1の項目でいきますと、4つ目、連携による就労支援 のための共通理解の促進の部分になるわけですが、障害者の就労支援、あるいは所得保 障のこともそうですけれども、もはやスローガンではなくて、どうやって目標を立てて、 近づいていくかという段階の話をしているのだと私は認識していますが、であるからこ そになるんですけれども、かつて文部省が学校の教育現場でされたように、全員修学を 前提にして今日に至っているのと同様にして、やはり全員就労、全員雇用というような、 まず、そういう前提から関係者が共通理解を図っていかなければならないのではないか。 親の会の一員でもある私としても、やはり実際のお父さんやお母さん方は、うちの子は とても就労なんて無理ですよ、雇用だって無理ですよ、そういう声は決して少数ではな いのが実状です。その意味では、かなり発想をがらっと変えていくような取り組みが必 要であったり、あるいは、AかBかという、そういう取り組みだけではなくて、その中間 があっても良かったりとか、そういう意味では、今まさにいろんな意味で関係機関がそ の役割を問われているわけです。  ちょうど2月だったと思うのですが、私たちの正会員である神戸育成会の問題が取り 沙汰されました。あそこでも問題になったのは、いろいろな関係機関が、あるいは分野 を越えて、横断的に取り組もうとしたときに、今までの制度や法令が、ひょっとしたら 見直しが必要であったりするということを表した例だったと思っています。その意味で は、今申し上げた制度や法令をきちんと見直していかなければならないという提言、そ ういう文言も、こういう文章のなかにあるといいのかなと感じていますので、御検討い ただければと思います。 ○座長  もし可能であれば、そういう項目的な形で、後ほど御提案を事務局の方にしていただ けると有り難いんですが、そういう働きたいという希望を持っている人たちが全て働け るように、障害のある方々の持っているいろいろな特性とか、能力とか、適性とか、そ ういう願いに沿っていけるようにという、そういう意味では、多様な就業形態というよ うなこともあるわけですので、そういう全員就労とか、全員雇用というイメージがわき ませんけれども、とにかくいろんな働く場があって、企業就業から、それから在宅就業 もありましょうし、そういったなかで、やはり希望する人たちが全員働けるというよう な、その辺のところは、どこかにきちんと入れていく必要があると思いますので、工夫 させていただきたいと思います。他にどうでしょうか。中井委員、どうぞ。 ○中井委員  2点、お話させていただきたいと思います。頂戴した今日の資料の、ネットワークの 意義・目的の3番目なんですけれども、まず、雇用から福祉への流れを確立するという お話がございまして、これは、いろんなところでこの種の主張をお伺いするんですが、 私は企業の立場としては逆かもわかりませんが、これについては、もっと限定的に運用 しないと、悪くなってしまうんじゃないかなと心配しております。  日本の解雇法制、つまり法律で解雇するときというのは、ご存知かと思うのですが、 非常に厳しい運用をされておりまして、労働者保護になっております。もちろん、就労 時に困難を発生するような方がいらっしゃった場合に、その方を雇用継続することで、 当該企業が立ち行かなくなるような場合は解雇できるんでしょうけれども、そうでない 場合は、原則として解雇できないはずなんです。だから、こんな表現は変ですけれども、 志の高い企業はいっぱいいらっしゃって、皆さん踏ん張って、頑張っておられるんです。 1回雇用したら、御縁がある人ということで、情も移ります。そういうことで頑張って おられるので、これが容易に逆流するようなことがないようにしていただきたい。どち らかというと、それを支援する、就労が継続できるように支援するような仕組みを考え ていただきたいというのが1点でございます。  2点目は、今、全員就労、全員雇用というお話をいただきまして、私も本心というか、 気持ちの上では、是非そうあるべきだし、それを目指すべきだと考えております。現実 問題を考えますと、それはどういう就労なのかとか、厳密な議論が要るんでしょうけれ ども、やはり費用対効果ということを考えていかないと、結局、効果の方が上回る範囲 で、就労支援というのは、本来成立するのではないかと思います。  NHKのTVでやっていましたけれど、自立支援法により1割負担について、国民の6割の方 が賛成だという。私は、個人的には、あれは行き過ぎだと思っておりますが、実際には 6割の方が1割負担について賛成しているという現状でございます。日本は民主国家です ので、だから、費用を上回るようなものを、費用の方が上回る場合、社会政策として、 就労支援をするのか。そういうのが本当に理論的に成立するのかなと思います。  私は現状をみましたら、もっともっと働ける障害者の人はたくさんおられますし、労 働力になり得る人はいっぱいいます。具体例を出しますと、先週も、ある千葉の会社に 行きましたら、そこでは知的障害者26名を新入社員として雇用しています。そこは、既 に88名を雇っておられます。1年間だけで、それだけの人を雇いましたが、もちろん戦 力になりますし、まだまだ働ける人はいっぱいいます。それから、ある東京都の会社も、 いわゆるダブルカウントの重度の知的の人をどんどん活用しているんですね。そして、 まだまだ働ける仕事はいっぱいあります。ただし、採用は非常に厳密にやっておられま す。誰でも採るわけではなくて、言葉はしゃべれなくても、ちゃんと意思が通じる。メ モをすれば分かる。あるいは、社会性があるとかですね。だから、IQの高さではないん ですね。もうなんぼでもいらっしゃると思うんですね。そして、どんどんすべきだと思 うのですけれども、やはり、一定の限界があるのではないかと思います。ちょっと非常 に冷たいと思われるかもしれませんが、本当は、私は冷たい人間ではないつもりですが、 ご理解いただきたいと思います。そんなことをちょっと申し上げさせていただきました。 ○座長  分かりました。多分、原田委員もそこは十分御理解の上での発言だったと思います。 まさに、そういうIQ云々ではなくて、本当にそういう適性がある方であれば、手帳や障 害程度は関係なしに働いておられるし、また、企業の方々もそういうことで、最近は実 際に相当展開されていると思います。ありがとうございました。他にどうでしょうか。 松為委員どうぞ。 ○松為委員  今のところですが、雇用から福祉への流れの確立というところで、議論されていたか どうかちょっとはっきりしないんですが、私は雇用から福祉への流れといったときに、 まず最初に思い浮かべるのは、雇用継続が難しくなったという人のなかに、特に知的障 害者の人たちの高齢化現象のことがありました。もう5、6年前に、幕張の障害者職業総 合センターの研究会がありまして、そのなかで、特に、重度障害者多数雇用事業所さん を含めて、知的障害の人たちの高齢化に対して、その受け皿としてのシステム、特に福 祉へのソフトランディングの流れがあまりないので、特に、企業さんが、高齢化したと きに労働力を確保できない。でも、いわゆる非常に善意のある事業主さんたちは、辞め させるわけにはいかない。そういったときに、いわゆる雇用側から福祉の側へという形 の流れがあると、いわゆる労働力の第一線として、社会の第一線として企業のなかで働 き、でも、働けない人たちに対しては、優先的に、ご苦労様という意味ではないけれど も、順次離れていくソフトランディングをというシステムが、是非とも欲しいというこ とがありました。  それから、その話は、重度障害者多数雇用事業所さんは何十年来言ってきた話です。 だから、特に知的障害の人たちを昭和30年代から雇っていらした事業主さん辺りは、そ のことをさんざんおっしゃっています。にもかかわらず、はっきりいいまして、自立支 援法以前は、福祉の方はある意味で冷たかったですね。事業主さんから、高齢者の人た ちに対して、うちはそんなのを、とにかく、なまじっか事業所で働いている人たちを福 祉の世界に入れると、何だか大変だという話をしていたりしましたね。  ただ、いわゆるキャリア全体の流れを考えていきますと、こういった雇用から福祉へ の流れというなかでは、特に高齢の人たちに対して、どういう形でソフトランディング という格好で、その人材のキャリアを、働くという広い意味のなかで、キャリアを全う させてあげるか。そういった意味も含めて、雇用から福祉への流れというものを確立し ておきたいということを、どこかに一言触れていただけるとよろしいかと思います。 ○座長  ありがとうございます。基本的には、その当事者本人中心の考え方で、やはりセーフ ティネットですよね。働きたい。それから、高齢化あるいは加齢化を積んでいって、次 の新しい働き方を選びたい。本人の方々のそういう願いを実現できるような提言という ことで、今の松為委員の捉え方、それから、中井委員の御意見もきちっと受けとめて、 骨子のなかでは共通理解を表せるような表現法でいきたいと思います。どうぞ、石井委 員。 ○石井委員  最初に松為委員から、この圏域の規定の仕方について、意見発表がありましたけれど も、私も全くそう思うんですね。障害者の立場からみれば、この圏域というのは、小さ ければ小さいほど利用しやすくなるんだろうと思います。身近なところということにな るんだろうと思うのですね。ただ、働く場所がどこにあるのかという観点でみると、そ うそう細かい地域のなかに働く場所が必ずしもあるとは限りません。その辺の調整が1 つは必要なのかなと思うんです。  それから、もう1点は、この2番目の、ネットワークを構築するためにというところで、 圏域レベルの支援機関が必要なのと同時に、都道府県レベルの機関もこのネットワーク の一員に入るべきだということで書かれているわけですけれども、都道府県レベルの機 関というのは、大体その都道府県で1カ所です。そうなると、圏域のとりかたによって、 圏域を小さくすればするほど、その県レベルの機関がそんなに全部のネットワークのな かに入っていけるのかどうかという問題が出てくるんだろうと思うのですね。その辺の、 もちろん県レベルでのネットワークも必要なんだろうし、地域レベルのネットワークも 必要なんだろうと思うのですが、その辺の関係も少し整理しておかないと、まずいので はないかという気がします。 ○座長  ありがとうございます。石井委員の、そういう地域密着と、それからもっと大きい圏 域、つまり都道府県レベルの、その辺のところをどう関係づけるかということです。提 言の基本的な内容にはなっていると思いますので、次回、その骨子が出たところで、ま たお願いいたします。それでは、原委員、どうぞ。 ○原委員  先ほどの話にちょっと戻ると思うのですが、働きたいというニーズというか、本人の 希望を引き出す上で、一番大事になってくるのは、やっぱり体験だと思うんですね。多 様な就労形態も出てきていたり、労働政策も充実してきているなかで、やはり学齢期に 体験できる場を、このネットワークを構築するなかで、意図的にもっていく必要がある のではないかと思います。様々な働き方やチャンスが生まれてくるなかで、働くことと 生活する場であるとか、体験をしないと、やはり本人のニーズが出てこないということ があると思うのですね。働いてみて、こういう仕事をしてみたいとか、又は、グループ ホームを利用してみて、こういうところで生活してみたいとか、そういう本人自身が力 を発揮し、又は意欲を積むようなきっかけを、そのネットワークの構築のなかに意図的 に入れていくことが大事なのではないかと思っています。委員の皆様のお話を聴きなが ら、成人期になったときに、先ほどキャリアのお話もありましたが、どういう成人期の 生活があるのか。又は、やがて高齢期まで含めて、どういう生活設計があるのか。そう いうことを当事者本人が学べるような場が、ネットワークのなかに位置づいていること が必要ではないかというように思います。支援者も専門性を高め、支援方法を共有する。 もう一方で、その当事者自身もそのネットワークのなかに入りながら学んでいかれるよ うな、そういうネットワークの在り方みたいなものが必要ではないか。具体的には後段 の方になるのではないかと思うのですけれども。以上です。 ○座長  分かりました。そういう成長発達期にある児童・生徒、それからさっきも出ました統 合失調症のように早い時期に発病して、もう1度そういういろんな体験のなかで、生活 設計とか、働く意欲とか、態度とかですね。そういうことを身につけていく体験の機会 をネットワークのなかでうまく用意できるようにということだと思います。  さて、大分たくさん出ましたが、必ずしも全部項目毎ではなく、項目を越えていると ころもありますが、それで結構なので、次の第2の、地域における各分野の支援機関の 役割と今後の在り方の方に移っていきたいと思います。どうぞお願いいたします。どう ぞ、村上委員。 ○村上委員  先ほどの第1のところにも絡むのですが、ハローワークについてです。ネットワーク をつくって、それを有効に機能させていくためには、誰がその音頭をとって、皆をまと めていくのかというところが大変重要です。その役割を誰が果たすかということになる と、身近なところであるということと、全国ネットワークであるということから、ハロ ーワークが中核になっていくべきであろうとここに書かれておりますが、そのように思 います。そのために、ハローワークのコーディネート力を高めることが必要という先ほ どの御指摘はその通りだと思うのですが、一方で、ハローワークが利用者にとって本当 にいいサービスが提供できているのかどうかというところは、やはりハローワーク自身 が振り返ってみる必要もあるのではないかと思います。というのは、この間、障害者団 体の方と私がお話する機会があったのですが、例えば、ハローワークには手話のできる 方がいないとか、そういった声も寄せられております。コーディネート力、つまり専門 性のある方々を繋いでいくということだけではなくて、ハローワークを必要としている 2割の求職者の方々にとってのきちんとしたサービス提供ができるようにする。障害者 だけでなく、母子家庭の母の方だとか、そういった方々のみなさんに、きめ細やかなサ ービスの提供ができるような体制がやはり必要ではないかと思っております。サービス 向上のために、そういった地域々々で、いろんな声を聴いていくような、取り組みとい うか、例えばそういう協議会を創るとか、何かそういうことも必要ではないかと思いま す。 ○座長  ありがとうございます。では、武田委員、どうぞ。 ○武田委員  今日は高井委員が欠席していらっしゃって、本来、高井委員が発言されるべき内容だ と思いますが、就業・生活支援センターを運営している立場から、こちらにも、あちこ ちにコーディネートする役割が求められるとか、その支援をコーディネートするために 専門性の高い人材の育成・確保を図ることが重要ということで、非常に就業・生活支援 センターへの役割の期待というのもありますし、我々も就業・生活支援センターとして ハローワークや障害者職業センターと連携をとりつつ、役割を果たしていきたいという 思いはありますが、一方で、制度上のことについて、先般、高井委員からもありました けれども、現在の制度の在り方では、単年度事業になっております。そうすると、より 高い専門性であったり、資質の高い職員を配置しようとしたときに、なかなかそれがで きづらい仕組みであると思います。高井さんのところもそうなんですが、うちのところ でもそうです。エース級を就業・生活支援センターに配置するわけです。ところが、エ ース級を配置できるような仕組みになっていません。これは、全国の就業・生活支援セ ンターも同じ悩みを持っているかと思います。いろいろ充実するようにという中身は入 っているんですけれども、単年度事業である現在の在り方しか方法がないとすれば、ど ういうやり方をすれば、継続的に質の高い職員配置ができるかというような辺りについ ても、今後の課題として考え、提言ができないものだろうか。運営すればするほど、年 数を重ねれば重ねるほど、経験のある人ほど高い給料を支給していかなければなりませ ん。そこに、賞与も出してはいけない、あれも出してはいけないということになってい て、それも単年度契約のような書き方では、なかなか本腰を入れて、その法人が、就業・ 生活支援センターが地域の要なんだといえるような人材を送り出せるような制度設計を 考えていただけるような提言をお願いできないかと考えています。 ○座長  ありがとうございます。高井委員からも出ていまして、今回、そこはかなり手厚い、 充実ということが入ってきておりますけれども、そういう人事を含めたむしろ安定した 経営ですかね。そこが今1つということであります。はい。どうぞ。 ○松為委員  私も実は就業・生活支援センターに関しては、武田委員と全く同じ考えなんですね。 まず、最初に、例えばハローワークが地域のネットワークの中核ということで指摘され ているのはいいんですけれども、考えてみたら、例えば、障害を持った人たちが地域で 生活し、働き続けるといったときに、生活と働くということの両方を一体的に、なおか つ継続的にきちんとできる現在のシステム、体制のなかでいうと、それは実際のところ どこができるかというと、やっぱり就業・生活支援センターではないかと思う。生活支 援と就業支援の両方を一体的に継続しますという業務で、きちんと明確になっています よね。そうしますと、例えば、本当に地域のなかで働き続け、そして、生活を全うして いくということを支えていく機能は、自ずから就業・生活支援センターでないと、本当 はおかしいような気がします。そうしますと、ハローワークは確かに全国圏域にたくさ んあることは分かりますけれども、では、ハローワークは生活支援をどこまでできるか といったら、ちょっと視点が違うような気がします。という面から考えてみましても、 就業・生活支援センターというのは、もっと本格的に機能として動かしていくのが非常 に大事だというのが1つあります。  それから、就業・生活支援センターの2番目のところで、圏域への設置を早急に進め ていくと書いてあります。この場合の圏域というのは、例えば、福祉との関連ですから、 多分、保健福祉圏域というような感じがいたします。そうしますと、最初の話でもいい ですが、さっきから、圏域ということをどういう格好で明確にしておくかというのを、 もっと明確にやっておかないと、就業・生活支援センター自身が明確に位置づけられま せん。そういった意味で、私は今、就業・生活支援センターに関していうと、前からい ろんな思いがあるんですけれども、もっと本格的に強化できないのか。その対策をやっ ぱり全面に打ち出しておかないと、これから先、地域のなかで、何度もいいますけれど も、生活と就業というものを一体的に、なおかつ継続的に支えていく体制というのは、 現在のところは、多分、就業・生活支援センターしかないと思いますので、それがやっ ぱり本格的に考えられるような提言を是非ともこの報告書のなかに取り込んでもらいた いと思います。 ○座長  ありがとうございます。では、佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  今の松為委員のお話と多少関連するかもしれませんし、本来、「第1」の方のテーマで 発言すべきだったのかもしれませんけれども、各分野の支援機関ということで、ハロー ワークなどの各機関が挙げられています。これは、確認の意味で申しあげる訳ですけれ ども、障害者の就労に向けての支援については、当然、ここに掲げられているものだけ に限定されているわけではないと思います。例えば、私は今、たまたま精神障害者の社 会適応訓練を行っている事業所の調査などをやっていますが、例えばそういう形で、企 業のなかでも障害者の能力開発などの事業をやっているところでは、例えば、病院とか 医療保健機関との繋がりも非常に重要になってくるわけです。提言に当たって、そうし た関係機関を全部ここに入れるのは無理かもしれませんけれども、そうした関係機関、 生活面の関係施設・機関も、必要に応じて入れるようにする。つまり地元の社会資源が、 必要によって入ってこれるような、いわば開放的なネットワークをある程度考えておけ ないだろうかという気がいたします。中核になるところがどこがなるかというのは抜き にしまして、必要に応じて、また全部の機関が一度に入る必要もないかもしれませんが、 障害を持っている方の問題に応じて、地元の社会資源が自由に参加できるような開放的 な仕組みを、作って置いていただいた方がいいのではないかと思います。これは、第2 のところで列挙するというよりは、「第1」の考え方のところになるのかもしれませんが。 ちょっとそんなことを思いましたので発言しました。 ○座長  ありがとうございます。今の点、とても重要なので、これはやっぱりネットワークの 方ですね。そういう関連の機関ということで、入れておく必要があるかと思います。他 にどうでしょうか。原田委員、どうぞ。 ○原田委員  それでは、簡単に2つほどございます。1つは、特別支援学校の項目に関してですが、 地域のセンター的な役割を担っていくという位置づけになっている特別支援学校である からこそ、同じようなニーズを抱えている子どもたちは各市町村の中学校や高等学校に もたくさんいるわけです。なので、その子どもたちをどう支えていくかということが必 要なのではないかというふうに感じました。それが、特別支援学校が担っていくという 位置づけになっているんでしょうけれども、実際の中学校や高等学校の現場では、例え ば、中学校において、福祉教育を充実させて欲しい、IT教育を充実させて欲しいといっ たときに、その流れと同じような形で、今度は特別支援教育に力を入れて欲しいという 依頼がきたときに、なかなか体制が整えられないというのが実状だと思います。その辺 りをどう支えていくか。現状をどうするかということと、将来どうしていくかというこ とは、ここできちんと位置づけていただければと思いました。  もう1つは、就業・生活支援センターの件ですが、予算の関係でなかなか全福祉圏域 に整えていくというのは、少し時間がかかるのでしょうけれども、私が住んでいる県で も、見ていると、就業・生活支援センターが置かれている圏域、置かれていない圏域が あります。ちょっと仲間内で話をしたときには、結局、医師不足の問題と絡んでいたり とかしていて、人口が少ないという意味の過疎を超えて、支援という観点からみたとき の過疎地域というものは、結局、どの分野においても同じになってしまうんだなという 話題で話をしたことがあるのですが、ちょうど今日の文書には、2ページの一番下です が、地域のニーズ及び支援実績等を勘案した実施体制の充実を図ることが必要とありま すけれども、これは当事者としても、是非とも進めていただきたいことですので、この ことは強調していただきたいと思いました。以上です。 ○座長  ありがとうございます。前の方の特別支援教育の、中学校、高等学校について、特別 支援教育の各児童・生徒のライフステージといいますか、特別支援教育の各段階に応じ たところでも、その進路指導等をきちんと強化していくというようなことを入れていく 必要があるということだと思います。特別支援学校だけではなくて、特に高等学校は特 別支援学校と連携して個別の移行支援ができるような、そういう体制が必要だと思いま すので、その点はここに入れ込んでいく必要があろうかと思います。はい、どうでしょ うか。松為委員、どうぞ。 ○松為委員  就業・生活支援センターの次に問題にしておきたいのは、いわゆる地域障害者職業セ ンターの在り方なんですね。私は、実に適切に書いてあると思うんですが、2番目の(1) と(2)です。確かに全国ネットを持っていて、一貫した体制があるという意味では、就業・ 生活支援センターとは違いますし、ハローワークとも違って、非常に情報が的確に末端 まで入りやすいということと、それから、やはり、カウンセラー自身が全国異動があっ て、全国状況をよく分かっている上で地域に配属されます。でも、職業センターはご承 知のように、各県に1カ所ずつですから、直接支援というのに関しては、就業・生活支 援センターがこれから先の機能として入るにしても、当然、ここはより重度な人たちを 対応していく。そういった意味では、丸の3番のところに関しては、非常に適切に書い てあると同時に、特に丸の2番なんですが、これはどこまで議論されたか分かりません が、前の宮崎委員のときに少し丁寧にお話があったかと思いますけれども、いわゆる専 門的な人材育成ということと、助言ということで、直接第1線から離れた、一歩下がっ た、地域全体の人材等の底上げという意味で、非常に適切だと思っております。ですか ら、ここに関しましては、丁寧に文章に起こしていただけるとよろしいかと思います。 以上でございます。 ○座長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。武田委員。 ○武田委員  1番目のハローワークのところなんですけれども、ハローワークでは、精神障害者の ジョブガイダンス事業なんかをやっていただいているんですけれども、実は、精神障害 者が地域移行する場合に、こうして自立支援法になって、そちらの利用もあるんですけ れども、デイケアの利用者がとても多くなっております。まず、退院した後、あるいは 受診して、そして、次の地域移行をする前に、デイケアの利用が多くなっていて、デイ ケア滞在者というのが結構増加の一途を辿っている状況のなかで、デイケアへの働きか けが必要ではないかと思います。それこそ、養護学校が実習を通じて、卒業したときに 就労ができるようにしています。福祉サイドだけではなくて、医療サイドのデイケアが 地域で増えている状況のなかで、デイケアに対してハローワークがジョブガイダンスも 含めて働きかけをしていただけるような仕掛けができないか。要は、もっと医療機関、 デイケアとハローワークとの連携があるようなことをちょっと望んでいるところなんで す。何か盛り込めないかなと思って発言しました。 ○座長  ありがとうございます。はい。関連ですね。 ○松為委員  まさに関連です。ここ数日ずっと、例えば大学の実習巡回を行ってきまして、昨日も、 一昨日も、精神障害者関連のいろいろなところを回ってきました。特に、うつ関連のい ろいろなサポートをしていますと、デイケアの在り方というものと、特にクリニックな んですね。うつの人たちは、特にクリニックに通院で行かれますから、すると、クリニ ックに対して、例えば就労支援の情報とか、そういうものはもっともっと流して欲しい と思います。ですから、先ほど佐藤委員がおっしゃったような格好で、一番頭のところ でいいんですけれども、ネットワークといったときに、そこは拡大して、特に医療機関 等々も含めた格好で視野に入れているんだということを、やっぱり最初に触れておいて もらわないといけません。特に、うつの人たちを中心にしたデイケア、クリニック辺り から、就労支援を中心に持っていくという人たちが出てきたりするんですよね。そこは 今、武田先生がおっしゃったようなことは触れておいた方がよろしいかと思います。 ○座長  クリニックでも、極めて就労に関心をもっているところはありますからね。それと、 地域生活支援センターのデイケアを利用して、そこから、やはり働くという方向に動機 づけていくような、そういった何か働きかけですよね。そんなところに本当は、公認講 座みたいな易しい講座があって、お話を聴くだけで大分刺激になるのではないかと思う んですけれど。そのデイケアの部分まで、ここでテーマになっている、基本的な今後の 考え方みたいなものが、デイケアの支援者のところに届いていくというようなことも大 切だということだと思います。他にどうでしょうか。はい。 ○東馬場委員  先ほど武田委員からデイサービスのデイケアという話が出ましたので、ちょっと今、 思っておりますのは、自立支援法が施行されて、やっぱり多くの障害者が地域活動事業 を利用されるのではないかなと思います。そのときに、今、ネットワークの話もあった んですけれども、ネットワークというのは最寄りの自立支援法のなかで、自立支援協議 会があります。市町村がつくるということになっているんですが、それが市町村毎によ って格差があるのではないか。調査したわけではありませんので、はっきりしたことは いえませんけれども、やっぱり、就労についての意識が高い市と、それほど意識がない 市というものが、はっきりと出てくるのではないかと思います。逆に、その市によって、 働くという部分のネットワークはこういう労働の部分で就業・生活支援センターなんか をやられるんですが、やはり一番身近に使えるネットワークは、多分、自立支援法のな かでは、自立支援協議会と相談支援事業者になってくると思います。そこのマンパワー が、全国に点在する数のなかでは一番多いと思います。その辺をやはりちょっと考えて おかないと、この自立支援法の働くという部分が押し出していけないし、逆にまた、さ っきおっしゃった、戻ってくるという部分が、やっぱり戻れないということも出てくる と思います。  あと、生活の話が出てきましたけれども、やっぱり働き続けるという部分については、 生活がしっかりしていかないと働き続けられません。もう1つ、余暇という部分も目標 として持っておかないと、その人の人生にとっては、明るい色になっていかないという ふうに感じていますので、やはり、その辺りの部分も含めて考えていかないといけませ ん。ただ、日中帯だけは働いて、給料はいくらもらったというだけではなしに、やはり、 それをどう消費していくかというようなプランを担うのが、就業・生活支援センターな のか、逆に、自立支援法下の相談支援事業者なのかという部分の、いっぱいネットワー クが出てきているということがあります。その辺りも整理する必要があるのではないか と思います。 ○座長  ありがとうございます。そのことは、就業・生活支援センターは圏域で考えると、そ こにいくつかの市町村が入ってくるので、要するに、就業・生活支援センターとそうい う自立支援法の地域の支援会議ですね。そういうものが重なっていく。だから、顔が見 えるというのは、おそらく、そこの就業・生活支援センターと市町村の、自立支援法の ケアマネジメントをやっていくような部隊とが、支援者とが連携していくという感じに なっていくと思うんですね。ですから、そこは、少し絵にしてみて、そういう結びつき を活発にするというようなことは、やはり入れ込む必要があるだろうと思います。です から、学校の方もあるんですね。特別支援のそういうあれもあって、みんな言葉は違う んだけれども、それがどういうふうに一緒に機能していくのかということですよね。そ こが難しいので、なるべくそこのところは、丁寧に、報告書のところでは書き込んでい く必要があるだろうと思います。ここでは、基本的にそういうことを確認するという意 味で、今、議論していますので。ありがとうございました。では、志賀委員、どうぞ。 ○志賀委員  就労移行支援事業をこれまで短期間ですが、私たちがやってきたなかで、1つ印象と して残っているのは、せいぜい2カ所の60人定員の就労移行支援事業をやっているだけ なんですが、それでもやはり、対象とされる、希望される方の数というのは、非常にた くさん潤沢に出てきます。逆に、これまではそういった機能がなかなかなかったところ で、通過型の施設があるということで、そちらに障害を持たれる方が種別も越えてとい う面では、非常に集まりやすくなってきました。逆にいうと、就業・生活支援センター については、私たち神奈川県では市町村単独事業もありますので、新規の相談者数とい うのは、相対的に減っていく傾向にあるのではないかと思います。もちろん、全国的に 就労移行支援事業がどれぐらい整備されるか、自立支援法の改正でどうなるかによって、 大きく変わってくると思います。そういった面では、就業・生活支援センター自体の役 割というのは、ますますコーディネート的、あるいは、在職してから離職を含めての就 業と生活の一体的な支援の役割という機能が、かなり増えてきます。  それで、やはり一番気になるのが、先ほど話した内容と同じで、ここに書かれている ように、就業・生活支援センターとハローワークのどちらもコーディネート力が求めら れています。就業・生活支援センターの方は個別の支援についてのいろいろなコーディ ネート、ハローワークにはもっともっと地域全体の広い意味でという形なんですが、で は実際にネットワークをつくって、チームでコーディネート力を発揮して何をやってい くかとなると、当然、市町村のなかでの就労目標数であったりとか、そういったサービ ス計画等と連携していかないと、事業が成り立ちません。というふうに考えると、本当 にハローワークの方が、そちらの方が一番適切なのかどうなのか。逆に、就業・生活支 援センターはこれまでそのような地域の福祉サービスの立案とか、広い意味でのそうい う企画がなかなかやれる立場ではなかった。私たちのところも含めてやれなかった。そ ちらができるかというと、なかなか難しい。この辺は、どちらもコーディネート力を高 めるというふうに、こういう役割を2つに分けているんですけれども、そんなに簡単で はないように思います。 ○座長  ありがとうございました。それでは、小川委員、どうぞ。 ○小川委員  全体にちょっと関わっていて、どこで申し上げたらいいか迷っていたんですけれども、 今の志賀委員の話にもかぶります。やはり、ネットワークのことも、それから第2のと ころも、やはり就労支援について、私、昨日Jリーグのサッカーをちょっと観ていまし て、サッカーでいいますと、フォワードをどういうふうにするかというところの話だと 思うんです。フォワードをどういうふうに強化するかということと、それから、その役 割をどういうふうにするか。攻撃する側の人たちの、もちろん雇用・就労ですが、そこ に向けてシュートを打つ人たちの役割をどういうふうにするかというところが書いてあ るのは、すごく充実した内容が書かれていると思います。  ただ、今日は論点整理だと思うのですけれども、報告書に向けては、せっかく福祉と 労働と教育の連携というふうにうたわれた研究会ですので、もう少し裾野の広さを意識 した一番最初の押さえが必要かと思います。そこは、先ほど提案された通りです。ただ、 そうすると、今までデイサービスであるとか、例えば福祉の方の施設でも、就労継続B であるとか、地域活動支援センターであるとか、いろいろなところとの連携の必要性と いうのがやはりこうして議論として上がってくるわけです。そうすると、今までと同じ ような、非常に渾然一体となったシステムのないやり方にまた戻っていってしまうので はないかと、一方で危惧があります。  地域のなかで、フォワードへの球出しをどういうふうにするかということをきちんと 考えないと、せっかくフォワードだけでネットワークを組んでも、そこにいいパスが上 がっていかないで、そのときのコーディネートというのをハローワークで考えても、待 つだけで、なかなか球が上がってこないですね。それから、就業・生活支援センターの 方がもう少し球が上がりやすいかもしれませんけれども、それでもやはり難しい部分が あるかもしれません。やはり、地方自治体の行政の役割というのが、ある程度就労支援 の地盤が整ったところでは、そういうのが自然発生的に起きて、行政が音頭をとる必要 がない地域というのもあるんですけれども、やはりそこがない場合には、地方自治体の 行政が少し地域のなかで、目標値に向けて、どういうふうな仕組みとかネットワークを つくっていくのかということの音頭をとらないと、動かないような気がします。  そのときに、精神の医療機関の話であるとか、あるいは発達障害関係でいうと、普通 学校や専門学校、大学、そういうところもネットワークに含まれてくるかもしれません し、当事者の団体というのもネットワークに含まれてくるかもしれません。やはり、も う少し地域の行政の役割というのも最終的なところでは必要になってくるかなと思いま した。 ○座長  ありがとうございます。障害者基本計画では、地域の福祉計画ということで、市町村 の計画というものがありますが、雇用・就業が広域であるということと、市町村レベル では、目標を立てるにしても、一番弱いんですね。それを、そういうことではなくて、 これからは自立支援法も市町村中心にいきますので、そこと、ここでいっている就業促 進の基本的ななかに市町村が入ってきませんから、その辺のところを今、指摘されたと 思いますので、しっかり書き込んでいくことにしたいと思います。石井委員、どうぞ。 ○石井委員  ハローワークが中核的な役割を果たすべきだということは、私も全くそうだと思いま す。ただ、いつかのこの委員会でも話が出たと思うのですが、ハローワークによって、 あるいは担当者によって、格差が非常に大きい。この辺をどうするのかということを、 やはりどこかに触れて欲しいなという気がするんですね。地方労働局、あるいは厚労省 自体の役割といいますか、その辺に触れていかないと、全く地域の個々のハローワーク、 あるいは、個々の担当者に押しつけても、それだけの責任でネットワークをつくれとい っても、なかなか全国的には広がらないんだろうと思うんです。今、市町村の役割とい う話も出ましたけれども、併せて、労働局なり厚労省自体の役割というのも、どこかで 触れていく必要があるのではないかと思います。 ○座長  ありがとうございます。それでは、時間も迫ってまいりましたので、第3の柱、就労 支援を担う人材の、分野横断的な育成及び確保ですが、ここを中心にお願いしたいと思 います。では、どうぞお願いいたします。 ○中井委員  中井でございます。いつも、突拍子もないことばかり言っていまして、せっかく大阪 から新幹線で来ましたので、御期待されている方もいらっしゃるかと思います。きっと、 報告書には入らないと思いますけれども、ちょっとお聴きいただければと思います。3 点、御提案したいと思います。  1つは、専門性と、スキル、能力のレベル段階という話に関連するんですけれども、 極めて少数意見だと思います。私はカウンセラーとかカウンセリングとか、ジョブコー チを、有料化、有償化してはどうかなと思っております。今、特別そんなに悪いことは ないと思いますけれども、ただより悪いものはないという話もあります。例えば、実費 の1割とか、3割を受益者である企業に求めてはどうかと思います。そして、単価も、松 竹梅ではないですけれども、レベルが違うと思うのですね。カウンセラーやジョブコー チの方にしても、非常に優秀な人もいらっしゃるけれども、まだまだ駆け出しの人もい らっしゃると思います。そんなことをしたら、利用する人がいなくなるのではないかと いう御意見があると思います。実際に質の高い、そして、量の多いサポートを必要とす る障害者の人を1年以上継続雇用し、定着させた場合には、利用料を上回る成功報酬を 企業にも支払う。あるいは、支援機関、ジョブコーチなどにも払う。そうしますと、武 田委員から御議論のあった就業・生活支援センターなどの財政的な課題に対する解決策 にもなるのかなと思ったりもしています。  それから、2点目は、同じく、カウンセラーやジョブコーチの分野別・層別資格認定 みたいな制度ができないのかなと思っています。精神障害と発達障害は全然違うんです ね。純粋な知的の人と、あるいは視覚、聴覚、内部等で、支援策の内容は違うわけです。 それから、スキル、経験も違ってくると思います。それから、対象企業に関しましても、 企業も千差万別で、いろいろです。是非、企業をいろいろ研究していただきたいと思い ます。まだまだ働く余地のあるところは、山ほどあると思います。それで、全員がスー パーマンになれるわけではないと思います。もちろん、優秀な方は、全て重複して資格 を取られたらいいと思います。  それから、3つ目は、障害者の方の、いわゆる身体、知的、精神という手帳がござい ますけれども、それと支援サポートの質と量というのは全然比例していないと思います。 比例する部分もあると思いますけれども、知的の人でしたら、IQが高いというか、境界 型ぐらいの方が難しいんですね。いろいろ借金をしてきたり、喧嘩をしたりしますから。 もちろん全員ではありません。真面目な方もいらっしゃるんですけれども、例えば、介 護保険でいろいろ要介護1から5とか、要支援1から3とか、層別の認定がされております。 これは簡単なことではないと思います。かなり難しくて、ずれもあると思いますけれど も、そうすることを、専門家のチームで判定して、量が多く、質の高いサービスを必要 とする人には、的確な支援サービスを提供する。そういう仕組みをつくったらどうかな と思うのですが、きっと、報告書には反映されないと思います。少数意見として申し上 げます。 ○座長  とても大切な観点だと思います。確かに、支援についてはまだそこまで議論を深める ことはできないにしても、いま出たような障害種別によってもニーズが違いますからね。 そういうことは、将来的には非常に必要であると思うのですね。もちろん、就業・生活 支援センターもそれをするだけの、地域に密着していて、経営力もついて、余裕ができ るということですね。そういうことをやはり考慮していただいて、最終的に、課題とし てでもいいですから、そういうことを書き込めるといいですね。はい。武田委員。 ○武田委員  何回も発言してすみません。この分野横断的な育成及び云々というところで、たまた まある企業が多数の障害者を雇用してくれるということで、最近、県、市、労働局、ハ ローワーク、そして私たちも参加して、本当にモデル的に動かそうということでやって います。何回も会議をするにつれ、とても感じることがあります。先般、本当に嬉しか ったんですけど、自立支援法というのは本当にややこしくて、労働政策と使えるもの、 使えないものというのがいっぱいあって、それを県が一覧表を作ってきてくれたんです ね。就業・生活支援センターの仕事だろうと思うことをしてくれたので、それは良かっ たんですが、ちょっとこれはこの場で、労働局の悪口と思わないでいただきたいんです が、なかなか福祉の方の制度と一体になった図がないんですね。先般こちらで、このと きはこういうふうにできますよという図を出していただいたんですが、あれはとても画 期的なものだったと思います。福祉から労働に行くためにどういうふうなのがあるのか。 というようなものを、是非ここに盛り込んでいただきたい。もう1つは、労働サイドの 方に、できれば自立支援法のことをもっと学んでいただけるようなものが欲しい。福祉 側の一生懸命労働の制度を学ぼうという姿勢は、県や市からうかがいとれるんですね。 労働の方も、労働の方の仕事ではないかもしれないんですが、福祉の制度のことを、地 方の機関がもっと学べるような仕掛けづくりを、人材育成という意味でも、やはり我々 が日々御相談するのは地方の労働局、特にハローワークです。連携々々といわれること は、お互いが歩み寄ることだと思いますので、そこが従来の、自分たちのところはここ までが範疇ということではなくて、せっかくネットワークができるのであれば、そこの なかで、両方が分かるような仕組みづくり、お互いが人材育成できるようなことが、何 か盛り込めないかと思います。 ○座長  ありがとうございます。とにかくネットワークというけれども、それぞれの持ち味は 確かに重要ですからね。特に、サービスのメニューにしても、共有化していく部分が多 くなっていくということですよね。はい、どうぞ。 ○東馬場委員  ちょっと場違いというか、今、思ったところなんですが、障害者の就労支援を一番担 っている人材というのは、親だと思うのです。支援機関という部分ではないと思うので すけれども、街々を歩いていますと、本当に若い親が増えてきて、親と同居していると か、二世帯同居なんかもどんどん少なくなってきているようなんですけれども、先ほど、 原委員も言われましたけれども、障害を持った子どもが働くというイメージを思い描け ないという状況もあるかもしれません。その親は徹底的にマイノリティーですから、そ の子が大きくなっていったときに、どうなっていくかというところの様子も思い浮かべ られないということがあります。この親をどう教育をするか。親に教育というのはおか しいかも知れないけれども、やっぱり親にちゃんと情報提供していってあげないと、こ れからの成人期を迎える障害のある方が働くというイメージに結びついていきません。 例えば、仕事に行ってきたときに、どういうふうな応対をすればいいのかみたいなとこ ろを、かつては当たり前としてあったかも知れないんですけれども、今の日本の状況を 見ていると、その親が非常に不安を持っていて、逆に福祉に行ってしまうような気もし ます。ですから、その辺りの、親を教育するのが文科省の仕事なのか、育成会の仕事な のか、学校の教員なのか。そこはちょっと分からないんですけれども、その辺のところ もちゃんとしっかり盛り込んであげないと、やっぱり、働く核というか、子どものとき の核をつくれないという気がします。 ○座長  それは、先ほども出ておりましたけれども、例えば、親の会との連携のような、当事 者団体の役割になるのかもしれませんね。どうぞ、松為委員。 ○松為委員  人材育成というところで、実は何年も前から、いつも考えていたことなんですけれど も、障害者の就労支援をやる人材というのは、考えてみたら、障害者職業センターのカ ウンセラー以外に、新しくジョブコーチが出てきましたし、それから、いろんなところ で研修体制がありますね。職業リハビリテーション学会を昔からずっとやってきた関係 もあって、そう思うのですけれども、人材育成そのものに関して、人材をもう少し公的 な形で認知できるような資格制度みたいなものができないのかということを、すごく思 います。例えば、PSとか、ソーシャルワークですと、国家試験というのがありまして、 国家試験というより認定というのがあります。  そこまでいかないまでも、例えば、今ある障害者職業カウンセラーですと、いわゆる 労働大臣指定研修として、独占名称となっていますね。業務独占とは違いますけれども。 でも、それに相当するような形で、例えば、障害者職業カウンセラーという。必ずしも それでなくてもいいんですけれども、少なくともそういった名称という格好できちんと 専門職を位置づけるような制度が是非とも欲しいと思うんです。  それは、考えてみたら、例えば、福祉の世界であろうと、学校教育の世界であろうと、 どこへ行っても、例えば、肩書きにそういう独占名称の流れのなかで、名刺のなかにあ ることによって、福祉の世界でいきますと、うちは移行支援型を持っている、A型でもB 型でも、こういった専門職を抱えていますということもできます。これはまた、クリニ ックでもそうなんですね。学校でもそうです。学校でも、進路指導の先生方々が、私ど もは就労支援のこういった何とか「士」という肩書きを名刺の一番頭に置く。そういう ことが、これから先、もっともっと必要ではないかと思うのです。人材育成といったと きに、育成の仕方もあるけれども、もっとそういった共通した格好で、社会的に認知さ れるような人材の認定制度みたいなものができたらお願いしたいと思います。提言とい うよりも、これは具体的にどう育成をするかということを含めて、もっと制度というも のをやっていけばいいと思うのです。  ジョブコーチにしたって、1号ジョブコーチ、2号ジョブコーチにしても、そういった ジョブコーチがあるにしてみても、それをどういう格好で公的な格好で認知させていく か。そのためには、かなりこれは、今、育成のプログラムはいろんなところでやります から、そういう育成プログラムを全部統合して、なおかつ全体のシステムとして体制を どうつくるかということで、かなり大きな検討を要することがあるかと思います。ただ、 長い目でみたときには、そういった就労支援を担う人材というのは、どこの世界にいっ ても、これはそうなんだという形で認知できるような資格制度を、是非ともこれから提 言していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○座長  ありがとうございます。佐藤委員どうぞ。 ○佐藤委員  先ほど東馬場委員が人材育成について発言してくださいましたが、人材育成について、 ここでは大学の教育のことが書かれていますけれども、もう少し幅広く考えて、一般の 学校教育のなかとか、親御さんの教育も含めて障害者問題に対する理解を広げておくこ とが、結局将来的に人材の育成に繋がるという意味で、少し抽象的な話になるかも知れ ませんが、その場限りの育成ではなく、長い目で、基盤醸成をはかることが大事なので はないかと思いましたので、その1点をつけ加えさせていただきます。  それから、もしかすると、報告書に盛り込むのは非常に難しいかと思いますが、松為 委員が資格制度のことで発言されましたので、ちょっと付け加えておきます。結局、人 材育成といったときには、その人のいわば処遇をどうするかということが、本当は大事 だと思います。若い人でこういう分野で仕事をしたいという人が専門的な知識を身につ けたときに、それを踏まえて専門家として将来的にそれを繋げていけるような仕組みが ないと、なかなか有能な人がこの分野に入ってきてくれないのではないかという懸念を 以前から持っています。処遇の問題というのは賃金だけの問題ではなくて、いろいろな 意味がありますが、何れにしても、専門家としてどのように職業生活を全うするかとい う問題になるかと思います。そういう意味で、専門家の育成といったときにはその処遇 の問題が実は大事なのではないかという気がします。これは報告書に盛り込むのは難し いかもしれませんが、1つの課題ということで受けとめていただければと思いまして、 あえて発言させていただきました。 ○座長  ありがとうございました。これは、就業・生活支援センターの経営も含んだ人材の関 連のところでも出ておりますので、何らかの形で取り上げたいと思います。  次の4の方に移らせていただきます。連携による就労支援の効果的ツールの整備とい うことです。いかがでしょうか。 ○山岡委員  このツールでございますけれども、障害者基本計画で確か提示された個別の支援計画 がツールとして1つ思い浮かぶところですが、このツールというのは非常に大事であり まして、先ほど中井委員がおっしゃっていましたけれども、支援をするときに、当然そ の個々の障害の種別とか、程度とか、いろんな区分だけで支援できるわけではなく、個 々に合わせた支援ということになりますと、一人ひとりに合わせた支援計画のようなも のが必要で、それをツールとして定めて、その情報を共有することが必要だと思います。 そこで、3つの論点があるのですが、ツールをどうするかということ。それから、保管 管理を誰が行うのかということ。それから、情報共有はどのようにするのかということ の3つがあると思うのですね。そして、教育期については、この個別の支援計画の教育 分野のなかで使っているものとしては、個別の指導計画があります。これは、短期的な ものがありまして、それから、ちょっと長期的なものとしての個別の教育支援計画があ り、移行期には個別の移行支援計画というのが、一応整備されつつありまして、これは 原先生が御発言していただくといいかと思いますが、ある程度、そのツールが整備され つつあり、保管管理については、大体学校は学校の教育を主体でやっていくということ です。それから、情報共有については、やや未整備なところがありますが、範囲が限ら れているというところで、まだ完璧ではありませんが、何となく見えてきているところ であります。しかしながら、卒業後になると、この個別支援計画自体がまだ標準化され ていないというか、どんなものが入って、どんな内容でということが、まだ定まってい ないような気がいたします。  それから、保管管理も、どこが主体となるかということが非常に大事なんですけれど も、これが卒業してしまうと非常に難しいというところで、ちょっと私も、各地域でど うされているのか分からないんですけれども、まだ動き出してないのではないかと思い ます。  保護者が長期的に関わるのでいいのではないかという意見も聴いたことがあるんです が、保護者の場合、例えば、母親の過干渉でありますとか、父親の無関心でありますと か、家庭内の問題というのが、いろいろこういうところに関係しているところがありま して、なかなか保護者に持たせるのは難しい。それらを何か定める必要があると思いま す。  それから、もう1つ、一番難しいのは、ここにも書いてございますが、情報の共有とい うところです。これは、おそらく内閣府なり省庁横断的にガイドラインを出していただ いて、どこか定める必要があると思いますが、ここで難しいのは、情報の開示につきま しては、機微情報が含まれるという観点からいくと、個別の承諾が必要ということが考 えられます。そのガイドラインなりに、その個別の承諾が必要なものとして、その内容 とか開示先とかはある程度定めておいて、利用者といいますか、当事者ないしその保護 者から個別に同意を求めるとか、そういうようなことが具体化していかないと、進んで いかないと思っています。これは、ここに書いてはいただいているんですが、もう少し 具体的に、省庁横断的なのか、何か工夫がしてあるのか分かりませんが、別途研究会を 立ち挙げるのに、もう少し具体化していかないと、ここの部分が進んでいかないという ふうに考えます。以上です。 ○座長  ありがとうございます。はい。松為委員。 ○松為委員  効果的に支援を実施するためのツールというのは、私が思うのは、周りの専門家がい ろんな形で情報を噛み合わせていこうとか、あるいは、ネットワークのなかで情報を共 有しようかとか、そういう視点でやってしまいますと、どうしても今御発言ありました ように、プライバシーの問題とかいろんな面が出てくると思うのです。むしろ、素直に 考えてしまって、例えば、本人自身にカルテと同じような格好で、くっついて、本人の 成長とともにその情報が動いていくような格好の方が簡単なシステムではないかと思う のです。母子手帳ではないけど、例えば、本人が成長するに従って、自分に応じたいろ んな関係機関から情報を全部記入してもらって、記入したら、その基本的な手帳は常に 自分が保持している。そして、自分が何か支援を受けたときに、その相手先の支援先に、 事後決定的に情報を開示していくとか、そういった一人ひとりの個人の成長に基づいて 情報が常に個人のなかにくっついて動いていく。必要に応じて、自分の方から支援機関 に情報を開示していく。そういった形のシステムがとれないかなと思うのですね。外か ら、いろいろな格好で、いわゆる専門家が情報を集めます。ツールキットみたいな格好 でチェックリストみたいなものを作りましたといったって、じゃあ、一体それは何です か。外からの評価なんですけど、本人がネットワークで動いたときに、当然機関同士の 情報共有になってくると、プライバシーがどうのと、精神の場合なんかにはそういうの が出てきますね。だから、そういったもっとシンプルな形のものが考えられないかとい うのが1つあります。そのときに、1つの手としては、例えば、小学校、中学校になって くると、今おっしゃったように親御さん等の問題がありますから、例えば、そういった 自分が自己管理できて、情報を持っていくのを、例えば、養護学校高等部以降とか、あ るいは、就労に関わって、その後の問題とか、何かそういった形のものを考えていける か。いつか、そういったことで、自己が情報管理できるかという問題をクリアしていけ ば、基本的には自分が情報を持っていて、その情報が、自分がキャリアとか、いろんな ところへ行くに従って、自分で情報を開示できるような、そういった簡単なシステムが できないかなというのが提案です。 ○座長  ありがとうございます。原委員、どうぞ。 ○原委員  今のお話に関連してなんですが、両方の側面が必要なんだろうと思っています。中心 的な支援をする雇用する側であっても、又は、就業・生活支援センター、特別支援学校 もそうなんですが、当事者と一番濃密な関係を結ぶところからみると、やはりネットワ ークなり、共通の支援方法が必要になりますので、そういうものと、今、松為先生がお っしゃるような、個人にくっついていくものと、両方が必要です。そうなると、先ほど もちょっと触れましたけれども、やはり当事者本人が学べるようなもの、学歴は学ぶチ ャンスがありますし、そうしたカリキュラムを改善していく方法があるわけですが、成 人期にもう1度学び直す、又は、もう1度今のようなことを情報提供してもらえるチャン スを、少し意図的につくらないと、このネットワークが十分に本人に届かないのではな いかと思っています。その意味で、もう少し開かれたネットワークをというお話もあり ましたけれども、やっぱり人生のなかの大きな移行を考えたときに、就労の部分と生活 の部分で、生活の場の移行もありますので、ある程度、卒業生の実態調査等で様子を聞 くと、やはり安定した仕事ができたところで、グループホーム等への生活の場の移行等 が出てきますし、養護施設等で生活している方については、18歳で、学校卒業と同時に 生活の場の移行がありますので、そうしたところの関係機関と連携しながら、当事者本 人が学べるようなチャンスをどうツールのなかに意図的に入れていくかというのが、1 つ大事ではないかと思っているところです。 ○座長  ありがとうございます。私は、同志と一緒に、学校を卒業して成人した方々の大学公 開講座というか、大人になってからの生活支援ということで、生き方の生活支援をやっ ております。ぼつぼつと、いろいろな大学でそういう試みをやっていただいております が、非常に効果があるということは間違いないんですね。大人になっていく方々に対す る生き方の支援、そういう学びの場があれば、松為委員が提供してくれたようなことが、 個人で繋がっていくし、各機関といいますか、地域密着の機関がまたそれなりに情報共 有の基本的な指針を持てば、何とかいくのではないかとは思っているんです。将来的に みると、相当のエネルギーも要ることだろうとは思っておりますが。では、他にどうで しょうか。小川委員、どうぞ。 ○小川委員  ツールについてですが、ツールが一人歩きすると、やはり情報が一人歩きしてしまう ということがあります。例えば国であるとか、厚生労働省だとか、地方自治体だとか、 少しオーソライズされたツールだと、皆さん信用しますので、非常にそのツールの作り 方と、その使い方について、慎重な検討が必要かなと思います。ツールは何を目的にし て、どういう方法でそのツールを使うのかということをきちんと押さえないといけませ ん。誰もが簡単にそのツールを使って、誰もが緩やかに情報の共有をできるツールとい うのは、使い勝手がいいようにみえても、意外とその解釈が千差万別であったり、その ツールを作った人の意図と、それを読みとった人の意図が違ったり、利用者さんという か障害のある方と、それから、企業側にとって、適切な情報にならない可能性がありま す。ツールを作ること自体はすごく重要なことだと思うんですけれども、その目的、そ れを誰がどのように使うのか。それから、それを活用するときの技術、そういうものを 少し固めてから作っていくという視点も必要ではないかと考えています。 ○座長  ありがとうございます。何れにしても、基本計画レベルで、いろいろな個別の支援計 画というのは出ておりますので、おそらくそういったものを各領域でどういうように作 っていくのか。学校教育の方は、上から個別の教育支援計画を落としているんですけれ ども、しかし、今、小川委員がおっしゃったように、個別の教育支援計画レベルでも、 かなり問題点はやはりあるんですね。ですから、このツールの整備につきましては、こ こでは項目的には、今、4番が一番少ないんですけれども、大いにこれから議論してい くべきところだろうと思います。他に、もう1つぐらいとれるかと思いますので、どう ぞ。 ○輪島委員  すみません。第4の点でいうと、今、政府は成長力底上げ戦略を行っていて、そのな かにジョブカード構想が入っているわけです。ジョブカード構想のところでいうと、少 し局面が違うような気がするので、どうやってこのなかに入れられるのかというのは、 少し検討が必要だと思うのですが、ジョブカード構想のなかに、多分、チェックリスト を使った上で、その情報をそのなかに入れていく。それが評価に繋がっていって、就労 に結びつくということが、ジョブカード構想の目的だと思いますので、大きな流れのな かに、それを位置づけていただくということが重要なのではないかと思っています。  それから、少し発言をする機会を失ってしまったので、1つずつコメントさせていた だきます。第1のところで、1の(1)のところは、確かにこの通りだと思います。ただ、 障害者の就労支援を行うためにはというふうな最初の書き出しが、障害を持つ人が就労 すること、「就労」ということもあんまり好きでなくて、「雇用」だと思うのですが、 そのためにネットワークが必要なのであって、就労支援を行うためにネットワークが必 要なのかどうかということの整理は、少し別なのか、本当にそのことが包含されている のかというのは、整理をして書く必要があるのではないかと思います。それから、2番目 に、どの機関を利用しても必要な支援に結びつくということですが、それは皆さんがお っしゃった通り、現状では、ある人がどの機関にいくかによって、そこが就労支援で一 生懸命であれば就労に結びつきますし、福祉でいきましょうというふうになれば、他の 情報が得られずに、福祉にいるというようなことになるわけです。結局、それは地域差 によるということになると、2番目の圏域レベルと都道府県レベルとの連携ということ になります。特に、佐藤先生がおっしゃったように、広く受け入れるようにしておくけ れども、実はネットワークを動かすときには、非常にリジットである。すごく限られた ところのネットワークが動くことによって就労支援ができている。という現状のギャッ プを、どういうふうにするのかというのは、難しいと思いました。  それから、1番目のところで、雇用、福祉、教育等ということなんですが、このネッ トワークのなかに、企業というのが入っているのか、入っていないのかというのは、明 確にはここに書かれていません。中井委員が何度も御発言になるのですけれども、この なか全体で、企業というふうに書かれるのは、3の2つ目の丸の支援機関や企業の状況 というところしかありません。ネットワークのなかに企業が入っているのか。ネットワ ークの外にあって、ネットワークと企業が連携をするのか。企業がネットワークのなか に入っているのかということが、あまり明確に書かれていないのではないかと思います。  それから、1ページ目の4の2つ目のポツですけれども、ここの就労支援ノウハウを蓄 積している雇用サイドという意味がよく分かりません。就労支援で雇用サイドというの は、企業なのか、それとも、どういう意味なのか、よく分かりません。  それから、何人かの方がおっしゃったように、雇用、福祉、教育ですけれども、その 共通理解の促進という関係からいくと、やはりその親御さんが就労に対してどういう理 解をもっているのかということが、この後のパフォーマンスに非常に大きな影響がある わけなので、その意味では、親御さんのことが必要なのではないかと思います。  それから、2ページ目のハローワーク、それから障害者職業センターですけれども、 特に3つ目のポツに顔の見える関係ということが書いてあります。職業センターのとこ ろでも発言をさせていただきましたが、やはりハローワークと職業センターの顔が見え るのか見えないのかというのは、今は見え難いということだろうと思います。特に思う のは、人事異動で、2年で担当者が変わってしまうということが、結局は、ハローワー クで顔が見えなくなってしまっている、又は、職業センターも、ここに書いてあるよう な地域の中核的コーディネートと専門的な支援を自らやるという、このことの疎外要因 になるのではないかと思います。とりあえず、以上です。 ○座長  ありがとうございました。次回はこの討論を元にしてもう少し細かいところを検討し てみたいと思います。そこでまた、漏れなど、あるいは、書き方などについて、こんな 書き方をしていこうとかというようなところを検討していきたいと思います。  それでは、そろそろ時間になりましたので、今日はこの辺りで終了としたいと思いま す。基本的な考え方に関する本日の議論と、これまでの議論を踏まえまして、次回に向 けて事務局の方で報告の骨子を作成していただきまして、次回はその報告書の骨子につ いて議論を行いたいと思います。最後に、次回の日程等について、事務局から説明をお 願いします。 ○事務局  次回の日程は、6月26日の火曜日の10時から12時まで、場所は、経済産業省別館の会 議室を予定しております。 ○座長  最後になりますが、次回研究会の会議の公開につきましては、公開としても特に差し 支えない議題だと思いますので、公開の取り扱いをしたいと思います。また、本日の議 事につきましても、議事録を公開しても差し支えないと考えますが、いかがでしょうか。 (「異議なし。」の声) ○座長  ありがとうございました。それでは、これをもちまして、本日の研究会を終了したい と思います。お忙しいなか、どうもありがとうございました。   照会先:職業安定局障害者雇用対策課雇用対策係(内線5788)