07/05/18 第4回介護施設の在り方に関する委員会平成19年5月18日議事録 社会保障審議会介護給付費分科会         第4回介護施設等の在り方に関する委員会議事録 1 日時及び場所  : 平成19年5月18日(金) 午前10時〜12時00分              如水会館 スターホール(2F) 2 出 席 委 員 : 天本、池田、井上、井部、沖藤、川合、神田(牧野参考人)、 木下、木村、紀陸、田中(滋)、田中(雅)、対馬、中田、新田、前田、村本の各委員 喜多、山本の各委員は欠席  3 議 題  (1)療養病床から転換した老人保健施設における医療サービスの提供について  (2)療養病床から転換支援に関し追加的に検討を要する事項  (3)その他 ○川尻計画課長より、初出席委員の紹介、本日の出欠状況の報告が行われた。 ○大森委員長より挨拶。 ○榎本地域ケア・療養病床転換推進室長より、配布資料の確認。 ○鈴木老人保健課長より資料1、参考資料1を資料に沿って説明。 (大森委員長) それでは、転換した老人保健施設における医療サービスの提供について説明があった ので、自由に発言いただきたい。木村さん。 (木村委員)  1つ質問というか確認だが、資料1の1ページの1の2つ目の○のところ、これは医 療保険部会の資料で、「医療費適正化に関する施策についての基本方針」、この中に療 養病床から介護保健施設等に転換または削減する見込み数ということで、この医療区分 1の患者、それから医療区分2の患者の3割というふうに想定されると程度と考えられ ている。説明があったが、まだよく理解をしてないので改めて確認をしたい。この3割 という数字、もう少し具体的な根拠についてもう一度説明いただきたい。それが質問。 それから、もう一つは、ちょっと飛びますが、提供体制のところ。私ども、少し前に なるが、2004年に介護保険3施設調査というのをやりまして、そこでの話を少し紹介を しておきたい。この調査であるが、介護職員が利用者と施設管理者との間で悩みながら 医療行為を行ってしまっているという実態が明らかになっていて、欠員のある施設ある いは人手不足を問題にしている人ほど、この医療行為を行っている割合が高いというよ うな結果が出ている。 それから、その医療行為の頻度については、それが常態化していると回答した人が6 割以上いて、医療職の人がいないときと回答をした人が約3割あった。それから、その 介護中にヒヤリハットというか、そういう経験をした方が介護職、看護職とも6割以上 の人が1か月以内に経験をしたと答えていて、非常にこれは大変な事態になっている。 それから、夜間の勤務体制については、建物の各フロア全てには職員がいないという 回答は、介護職・看護職とも2割以上いて、その人たちの約8割が全フロアに職員がい るべきであると、その必要性を訴えているという状況がある。それから夜間の緊急時の 連絡体制が不十分という回答が全体で2割を超えているということで、そのほかにもい ろんな実態が出ているが、この療養病床から転換した老健施設では医療の必要度が低く、 状態が比較的安定しており、適切な人員配置の下で対応可能と想定をされる人、こうい う人たちに対応しようとするものだが、実態を見ると、夜間に看護職員をきちんと配置 するということは必要であろう。 それから、利用者数だけではなく、建物の構造も考慮をして、それから看護職員、本 来は看護師であるべきだというふうに私どもは考えているが、複数配置をするというこ とで、こういったヒヤリハット事故が起きないような配置の検討が必要だ。私どもの調 査を若干紹介して、意見にさせていただきたい。 (大森委員長)  それでは、第1問目の質問があった30%のところを少し詳しく説明してほしい。 (深田参事官)  それでは30%の具体的根拠という質問についてですが、昨年の10月時点の医療区分 についてデータを取ったものがあって、中医協の慢性期分科会でのデータですが、その 中の数字をベースに考えたものである。 医療区分2の中の患者の方々についても、一部の方々については一定程度状態の安定 が見込まれ、適切な人員配置によって対応が可能な方もいらっしゃると考えていて、今 般、今日、この検討会で議論いただいているように、老人保健施設における医療提供の 在り方についても検討することになっているので、そういった動きも勘案して3割と設 定をしたものである。具体的には医療区分2の患者さんのうち、うつの状態にある方、 あるいは褥瘡や創傷措置、あるいは皮膚の潰瘍などの項目に該当する方の一部を想定し ているものであり、当時のデータでいうと、これらの方々を合計すると、約3割という 数字になる。 (大森委員長) 木村さん、そういう答えですけれど。 (木村委員) はい。ありがとうございました。 (大森委員長) 天本さん、どうぞ。 (天本委員)  現在、18年10月の調査結果ということだが、慢性期分科会では先日は中間報告であ り、最終報告の検証はどこでもなされてないはず。それをもって、そう考えているとい う厚生労働省だけの考えでこういう形の議論の進め方というのは非常に大きな問題があ るのではないか。要するに、検証結果に基づいて、しかも慢性期分科会では医療区分1 の中にも入院の継続性や必要性があるものが入っているというようなことでの特記事項 としてきちっと中医協の方に報告もされているので、このまま「医療区分1を入院の必 要なし」ということで、想定の下で話が進められるのは非常にいかがなものかと。ただ し、将来的にこういう人たちも介護保険で看ていくような、かなり医療の厚さを持って いこうという形の議論であれば、それはそれとして、議論として展開をしていいんだろ うと思うが、これはまだ検証結果は出てないということははっきりしておきたい。 (大森委員長)   という指摘だが、そうなのか。 (深田参事官)  先ほど委員がおっしゃいましたように、中間報告が出たという段階であり、検証作業 全体はまだ完了はしていないものである。しかしながら、分科会で現在議論されている 最中ではあるが、現在の医療区分については概ね妥当だという評価は少なくとも出てお り、今後、更に検討が進んで変更する余地は無いのかと言えば、当然ないということで は無いが、大幅に変わるということはないのではと考えている。 また、今後、法律の施行をするために、医療費適正化計画を作成していく、あるいは 地域ケア整備構想を立てていくといった一連の作業がこれから必要で、施行までの1年 間の準備期間を考えると、この時点でわかるものでデータを出していかないと作業が前 に進んでいかない状況であることから、現在活用できるものを使っているところである。 (大森委員長)  ということだが。 (天本委員)  その説明、医療区分の妥当性ということについては確かにデータとして出たと。しか し、医療区分1が入院の必要性がないということとは違うことも添え書きがされている ので、十分それを承知しておいていただきたい。 それから、先ほどの木村委員からのいろんなデータというものは非常に重要な、これ から考える現状の実態であるので、資料を是非提供していただき、委員がこれからのき ちっとした議論をする際の資料として提出いただければ幸いだと思う。 (大森委員長)  木村さん、そういう要請ですけれど、紹介あったデータを提供していただけますか。 (木村委員)  はい。在庫をチェックして。 (大森委員長)  ちゃんとした数値でないとまた議論がでるので、整理をして、もし、提供していただ けるものならばお願いすると、それでよろしいでしょうか。 (井部委員)  看護職の働きが重要だという指摘もあったので、看護の立場から意見を述べたい。療 養病床から転換した老健施設の医療提供体制の在り方であるで、医療サービスについて 根本的にどう考えるかが重要な論点である。 今日の資料では急性増悪とそれから夜間・休日の対応と看取りという3つの観点から 見直しが必要であるという厚生労働省の方針は評価できるが、ただ、本日の資料を拝見 してみると、例えば参考資料1の16ページで看取りの際に必要となる医療サービスとし て昇圧剤の投与とか心臓マッサージといったものが挙げられており、全体として看護の 立場から見ると、最後まで手厚い医療処置をして、そのかいなくお亡くなりになると、 こういう構造が見える。これは急性期病院での医療提供や、あるいは終末期のイメージ そのものであり、療養病床あるいは生活の場としてのイメージではない感じを受ける。 介護保険施設である老健施設では、病院ではなくて、より在宅に近い生活の場として 利用者が安心して療養やリハビリを継続でき、最期を迎えられるケア提供体制が整備さ れるべきである。もし、座長から許可を得られましたら、日本看護協会がまとめた療養 病床再編に伴う老健施設の新たなサービス提供体制についてという資料があり、一応準 備しているので、本日、許可が得られたら、そのことについて少し説明の機会をいただ きたいが、よろしいですか。 (大森委員長)  せっかくですので、事務方、よろしいでしょう。 それでは、配って、簡単に説明してください。 (井部委員)  ありがとうございます。   (資料配布) (井部委員)  お手元にあるのが、日本看護協会が作成した「療養病床再編に伴う老健施設のあらた なサービス提供体制の在り方について」ということで、なかなかよくできていると私は 思っている。詳細な説明は時間の関係で避けたいが、7ページに、「施設内での看取り を視野に入れたターミナルケア対応体制」というテーマでまとめたところがある。療養 病床から転換した老健施設での看取りの在り方についてだが、これはできるだけ在宅に 近い環境で苦痛の少ない看取りを行うためにどのようなケアが、医療ではなくて、あえ てケアと言いたいが、どのようなケアが必要であるかという観点から検討すべきである。 例えば、終末期の医療といっても、昇圧剤を投与するとか、あるいは心臓マッサージ をするということではなくて、適切な水分管理とか栄養管理をすることや、あるいは排 泄のコントロール、留置カテーテルを入れている方も多いわけだが、その排泄をうまく コントロールすることや、それから疼痛コントロールである。多くの高齢者の方は何ら かの痛みを持って生活をしている方が多いというのが介護認定審査会などに行くとよく わかるが、こうした疼痛コントロールなどを医療職の適切な判断の下で実施することに より、高齢者の苦痛を減らして、最後まで尊厳を保ちながら死を迎えるという、そうい うサポート体制が重要。  また、もう一点は、これは老健施設の在り方にとどまらない問題だが、一人ひとりの 利用者の方がどこでどのように死を迎えたいのか、それからそのことについて利用者や 家族と定期的に意思の確認を行う。事前承諾(アドバンスディレクティブ)といったよ うな考え方や、リビングウィルというような考え方があるが、こうした定期的な意思の 確認をして、職員全体で看取りの方針として共有していくことが必要。 このことは非常に重要なこと。利用者や家族の意思確認をした上で過剰な医療を提供 せずに苦痛や不安を取り除きながら安らかな死を迎えられる体制が整備されるべきであ り、そのような看取りの体制を取れる施設が介護報酬上評価されるべきである。 それから、もう一点はリハビリテーションの在り方についてだが、この件に関しては 資料の1枚前の6ページに言及している。ただいまの説明では急性増悪の対応とか、あ るいは夜間・休日での医療処置、それから看取りのための医療提供ということが挙げら れているが、日常で提供するリハビリテーションについてはより医療依存度の高い利用 者が対象になるので、内容の見直しが必要。 特に代表的なリハビリのメニューのほかに、食事とか排泄、それから高齢者の尊厳や 日常生活のQOLの向上にかかわるリハビリが提供できる体制が必要。例えば、看護の 立場からいうと、胃瘻とか経管栄養を付けていた人が、それを外して口から食事が取れ るようになることや、膀胱の留置カテーテルや、あるいはおむつを付けていた人が、そ れを外して自力でトイレでの排泄が可能になるということに非常に価値を置くわけであ り、そうしたことを実現するには多職種共同による長期間の取組が重要である。 高齢者にとっては基本的な生活機能の改善というだけではなくて、QOLの向上とい う意味でもリハビリテーションの機能というのはとても重要であり、とかく看護職は経 管栄養の人がいるから、あるいはカテーテルを留置しているから看護職が配置されなけ ればならないといった論調で、ことが進むわけだが、実は私たち看護職にとって真骨頂 と言うべきことは、そのようなものを外して普通の日常生活がどのぐらいできるかとい うことに手助けをすること。つまり利用者の生活機能の維持・改善に取り組んでいくこ とがとても重要である。 看護職の配置の基本的な本質的な意義はそこにあるということ、ケアをいかに良質で 高度な、つまりカテーテルを入れるとかあるいは吸引をするということが高度な意味で はなく、むしろそのようなものをできるだけ排除して良質で高度なケアができるように したいというのが究極の目指すところではないか。ちょっと説明が長くなったが、お手 元の資料、ほかのところも是非ごらんいただければと思う。ありがとうございました。 (大森委員長)  ありがとうございました。今の視点、重要だと思うが、ではちょっと課長から。 (鈴木老人保健課長)  今、指摘があったように、リハを含めたケアの質の向上は、まさに大切なことだ。そ れから、この転換した老人保健施設に限らず、いろいろ施設もしくは居宅・帰宅も含め て、最期をどう迎えていただくかというのは非常に大きな課題で、重く受け止めなけれ ばいけない。 ただ、今回示した資料は、特に、急性期病院ではなくて療養病床の中でどのぐらい措 置が行われているか頻度を示した。我々の観点の1つとしては、今まで療養病床であっ たところが、ある時点から老人保健施設に変わっていただくわけだが、その段階で入っ ておられる方もしくは家族の方にきちっと同意なり説明がなく、いきなりそういうサー ビスができなくなるわけにはいかない。やはり看取りについても、もちろんケアの向上 の観点も必要だが、一定程度のそういう医療行為も必要になろう。その上で実際に広い 意味で医政局なり保険局と一緒にどういう形で施設なり自宅でどういう手続で最期を迎 えていただくかは大いに議論をして、あとはそれをきちっと反映させていきたい。 (大森委員長)  それではお願いします。 (川合委員) まず、確認です。数点ある。資料1の1ページ目、下から2つ目の○の(1)。「そもそ も療養病床から介護施設等への転換が円滑に進まない」、このことに関して私は当たり 前だと思う。今、3基準のうち、施設基準が3月29日に決まった。今、恐らくこれは人 員基準とか運営基準の討議に入っていると思う。 3基準がそろった上で、私も療養型を持っているが、介護報酬・診療報酬が決まらな いことには経営者として手を挙げられない。やはり診療報酬・介護報酬を示されないこ とには、これはいくら努力しても80%を期待されているのか50%を期待されているのか 知らないが上がらない。それがまず1つ。 2番目、資料1の2ページ目だが、2 強化すべき医療サービスの(1)(1)、「現行の 老人保健施設の体制では対応が困難な」という表現がある。困難である。でも、我々老 人保健施設は、昭和60年に中間施設に関する懇談会の中間報告というのが出て、我々は それをバイブルのようにしてやってきた。老健施設の理念、4つの役割、これが5つの 役割というふうに変更してきたが、その中にどういうことが書かれているか。昭和60 年当時です。多様なニーズに対してその当時多様なサービス提供にはなっていない、だ から多様なサービス提供をする施設をつくるべきだと、ここには高々とうたわれている。 我々はその趣旨に感動して老人保健施設を始めた。 その中で、20年間、医療職は厳然としている。医者もいる、看護師もいる。その中で 多様なニーズを吸収してきた。このような紋切り口調のような「現行の体制では困難な」、 困難である。でも、やってきた。具体的な例、先ほどの木村委員のデータでお示しいた だきたいが、我々のデータではシフトを組んで、80%の医療施設で看護職がいる。申し 訳ないが、だだ、入所室等が5階建てである、3階建てであるという場合にはそのフロ アにいないという可能性はある。 ただ、先ほどの、私は委員同士で対立するつもりは何もないが、アンケートによると ヒヤリハットで、そのフロアにだれもいないとおっしゃったが、それは事実ではない。 こと老人保健施設に関しては、そのフロアが0であるということは、先ほど保険施設3 施設とおっしゃいましたから、別のところにはあるのかと理解したが、私は胸を張って、 もし0のフロアが老健にあるなら私は会長職を辞める。軽々にそういうデータを口頭で 発表していただきたくない。文書で発表してほしい。 3番目です。資料1の2ページ目(1)の2つ目の○の一番最後のところ。先ほど言った が、ここにはやはり80%ちゃんといる。これはなぜか。そういうシフトをすれば、今の 介護報酬では赤字である。でも、我々、医療職は目の前のニーズに対応するためにはや はり置く。夜間ポータブルで吸引をしている。当然設備投資のために新たに壁に配管の バキュームなどは付けられない。しかし、設立当初から付けているところもある。でも、 ポータブルでできる。酸素吸入はボンベでできる。それをやっている施設はたくさんあ る。そういう現状を紋切り口調で「必ずしも必要な」という表現をされると少し心外で ある。 資料1の3ページ目、一番最後。死亡退所率は2%と極めて少ない。私はこれは誇る べき数字だ。この裏にはもう一つ言いたいことがある。我々は医療職、看護職である。 先ほど井部委員がおっしゃったように、このことについての関連だが、老健で心マッサ ージが参考資料なしと書いている、赤線の中に。当たり前である。老人保健施設で急変 が起こってばたばたするような管理者はいない。老人保健施設に入っていただいて、在 宅といろいろ往復していただく。もしも急変が起こった場合にはろっ骨が折れるような 急性期の心マッサージが必要ですかというお尋ねを当然のこととしてする。85歳平均年 齢の人に心マッサージしてろっ骨を折るのか。私は心マッサージ0、胸を張る。これで もって、今の現行の介護保健施設が医療が薄いなんて言われたらちょっと心外である。 昇圧剤、井部委員がおっしゃったとおり急変が起こるようなことが日常の診療で、起 こるかもわかりません。昇圧剤を入れますか、どうしますかとお尋ねをする。一番の問 題はやはり食事中の誤嚥である。そのことに対してはそういうこともありますと言う。 もう一つ心外なことが、資料1の4ページの(2)供給体制のイメージの上に「現行の老 人保健施設では長期療養が必要な者を看取る体制となっていない」、私はこの長期の基 準を教えてもらいたい。例えて言って、我々は介護保険ができる前後で非常に苦労した が、どことは言わないが、全国多数の市町村、保険者が、老人保健施設に入るのなら3 ヶ月後追い出されるからどこか次を考えておきなさいと市町村が指導した例がある。こ れは市町村が知らないにもほどがある。たまたま今日は山本先生がいらっしゃいません から強烈な反撃はないと思うが。 私は入退所判定委員会を3ヶ月に一回開きなさいというのは当然であり、判定委員会 はやっている。ケアプランもやっている。カンファレンスもやっている。しかし、私は 今のマスコミ報道の介護難民というのはちょっと心外なのだが、我々が追い出しをすれ ば介護難民です。医療難民でもあるかもわからないが介護難民である。でも、介護難民 をつくらないためにコミュニティができているんだろうか。3ヶ月で追い出せというん だろうか。それをたらい回しだと言われる。たらい回しですか。営利目的ですか。そん な医療職はいない。看護職も含めて。 私はこういう意味で、この長期と言う意味を50回入退所判定委員会を開いたのであれ ば指摘を受ける。でも、20回だったら、地域が整備されてなかったら、やむを得ない。 我々だけに在宅の復帰のパーセントが低いという責めを負わせるのは若干じくじたるも のがあり文句を言いたい。この長期の期限を教えていただきたい。 (大森委員長)  今のように率直に物を言っていただくのが大事。  多分、転換、現在、今、いろんな意味で努力されている老人保健施設を新しく、新し い機能というか、役割を負ってほしいために、できるだけそこを充実する方向で医療の ことも考えよう考えようとしているから。今の話は老人保健施設の実態である。今まで どう頑張ってきたかが若干文章上出てないということ。そのことについて何かあるか。 (鈴木老人保健課長)  ちょっと文章の表現の面で配慮が足りなかった点は重々おわびしたい。一番最初、川 合先生がおっしゃった、きちっとある意味で介護報酬等の裏打ちがなければ実際の療養 病床を経営しておられる方も最終的に判断がつかないとおっしゃるのはまさにそのとお りである。その上で、先生方がごらんになると少しまどろっこしいと思われるかもしれ ないが、我々としては転換すると、こういう方が入っておられて、こういうサービスニ ーズがあるということを今回議論いただき、その後、介護報酬については社会保障審議 会の給付分科会の中できっちり議論いただき、安心をしていただけるような体制にした い。 あと、累次いただいたそれぞれの指摘については、後で個別にお答えし、それから少 し表現上配慮が足りなかった面については重々おわびをしたい。 (大森委員長)  はい。ほかに。木下さん。 (木下委員)  資料1についてだが、この文章は文章だけ見ると非常によくできているが、是非、こ れを実現する人員体制、報酬が実現するように願う。 資料1の1ページの(2)の、先ほどから言われている医療区分2の30%だが、ここには、 うつ状態、褥瘡、創傷処置、皮膚の潰瘍等の医療区分2の一部でと書いてあり、これが 30%という話だったが、ここに挙がっている4つの合計が30%ではないかという気がす る。それと、医療区分2の一部と判断した、この項目の中でもどう分けたか、医療区分 2で見る必要があるのと、介護保険でいいという、その辺の基準がちょっと漠然として いるので、そこを教えていただきたい。 参考資料の1の12ページ。ここで、老人保健施設の医師が日勤帯は全部いるという表 現になっているが、これは過配して努力されて現状はこうだと思うが、基準で言うと必 ずしも日勤帯8時間いるという配置ができない。前回、言ったが、年間の時間を医師の 労働時間1,800 時間で割るとほぼ2割のカバーだということで、これは60床だとする と、それの6がけで12%、年間の時間数の12%しか最低基準で見ると医師はいないこと で、あとの88%の時間帯は、夜間も含めて、夜間・休日を含めて医師がいないことにな るという基準上の事実は認識いただきたい。 それと、この連休中に徳島であった事例だが、老人保健施設で急変して、その老人保 健施設の医師に連絡したが休み中で連絡が取れなかった。それで、救急車で病院に行っ たが亡くなったという事例があり、この場合に、転送先の病院のお医者さんが24時間以 内に診ていなかったということで、死亡診断書ではなくて死体検案書ということで、警 察の関係で解剖が必要ではないかという事例が発生したという。解剖までには至らなか ったが、そういう事例が発生したこともあり、法的な意味も含めて、その辺の問題はク リアしておかなければいけない。川合先生にはこの辺では何か怒られるかもしれないが。 (川合委員)  いや、今日はデビューですから余りしゃべりません。 (木下委員)  最近やたらと法的なものもうるさいので、そこの整備、それから利用者の今まで病院 で24時間お医者さんがいたが、老健施設になってお医者さんがいないことで亡くなるこ とへの利用者の理解が必要なこと。参考資料1の14ページで、(1)の夜間休日の急性増悪 という、これ1つ質問だが、右の方の青い字で、「1.9 人(3夜間当たり)」と書いて あるが、この3夜間と表現する理由が何か。 それと参考資料1の16ページで、看取りに関することだが、これは井部委員が言われ たことに全く同感なので、今回の調査でたまたま心臓マッサージ、昇圧剤投与という項 目が入っていたのでが挙げられたと思うが、実際にはこういうことはあまり行わない方 向というので多分、慢性期医療をやっている。これをやって助かる場合は当然やらなけ ればいけないが、これがあるから急性期の処置だと考えるのはよくないので、これは井 部委員の言われたことに全く同感である。 この資料については以上のこと、2つ質問があるので、お答え願いたい。 (大森委員長)  では、よろしく。お願いしましょうか。   (深田参事官)  3割の項目の件です。申し上げたうつを始めとする4つの項目を当時のデータで合計 すると27%になる。それが基本的な数字として我々は考えたものであるが、夜間をはじ めとする人員配置をすることによって、どれだけの方のケアができるかになっていくと 考えられる。 したがって、この基準を決めたときにはまだこの委員会でのこの議論はされていない 段階なので、その4項目をベースにしたが、基本的に夜間の体制が重視される、それか ら医師についても往診なりオンコールの体制を夜間は敷く、それから看取りもやる、と いう前提で考えると、今の時点で言うとかなり多くの項目は可能なのかもしれない。 しかしながら、当然複数の項目に該当しておられる方もいらっしゃいますし、医療区 分2には日数制限がついている項目もあるので、そういったものを排除して考えると大 体概ね3割というのが妥当なところではないかと考えております。 (鈴木老人保健課長)  あと2点目は参考資料1の14ページの1.9 人の3夜間当たりというのはどういうこ とかだが、1つは、左側の表にあるように過去3日間において発生した頻度が元データ になっているので、そういう意味で、3日間で日勤帯を除いて3夜間と、こういう計算 の仕方である。正直言いうと、先生が指摘いただいた観点かもしれないが、実は夜間だ けではなくて休日もあるので、それを合わせてどう考えるかがある。本当はこれは時間 当たりにするのが一番正確な書き方だと思うが、1時間当たりにすると、0.0 何人とい う非常に少し想定できないような小さな数なってしまう。一応、過去3日間におけるこ ういう患者さんの数ということから、日勤帯を除いてこう書いてあるが、これを更に具 体的にかかった時間等で割り戻していくときには、指摘があったような、少し数は1時 間当たり少なくなるかもしれないが、正確な表記にして、最終的には、介護給付費分科 会の課題の中で議論させていただきたい。 (木下委員)  今の説明だと3日間に1回起こったというとらえ方だと思うが、3日間起こっている かもしれないという状態はあり得るので、その辺のことも考えていただきたい。 (大森委員長)  紀陸さんお願いします。 (紀陸委員)  私どもは基本的に施設から在宅へという今の流れを着々と進めるべきだと。特に既存 の老健施設との整合性をできるだけ図っていく、これを基本にしているが、その観点か ら2つ申し上げたい。 1つは看取りの問題が先ほども話が出たが、基本的に政府は在宅でというような方向 を目指していた。そういう意味で、先ほど過剰な療養という話もあったが、今、ここで 出されている提案は少し従来の政府のやってきたことと方向が逆ではないかという印象 を受けた。それが1点。 2点目は、前回の会合ので、介護保険3施設における医療措置の提供状況という資料 があった。その中で、既存の老健施設内で経管栄養とか喀痰吸引が行われている。先ほ どもお話があったようにきちんとした手立てが行われている施設がある。それなのにま たいろいろこれからやろうかという必要性が本当にあるのか。従来の老健施設できちっ とした最低限の医療処置をやっていた、その点の評価をきちんとすべきではないか。ま た、これから転換していく新老健においても従来と同様なスキームで対処できるのでは ないかと私は思うので、この2点につき意見を申し上げる。 (大森委員長)  はい。ありがとうございました。ほかに。 (対馬委員)  今の質問とも関連するが、今回、老健施設ということで整理されているが、確かに療 養病床から老健施設というのは主力ではあるが、やはり全体的な特養とかを含めて議論 しなければいけない。 例えば、看取りなどを見ると、たしか、前の資料などでは特養の方が看取りの割合が 高いという数字もあったと思うが、そうすると、老健の場合は看取りが低いので医療の 体制を強化するといった結論に本当になるのかということがあり、また、看取りをやっ ていくというのはわからなくはないが、先ほど来、出ているように老健の基本的な性格 はちょっと変わってくる。中間施設、リハを中心にというところが。 そうすると、どうしてもやはり、介護の療養病床がなくなるので老健をちょっと拡充 しましょうかと、こういうだけの話でいいのか。全体的に従来の施設を特定施設を含め て見直していく。そういったことも必要であり、今話が出ていた在宅との関係も必要だ。 いずれにせよ、なぜ、ここの介護を老健施設だけに限定したのか。そこだけ少し質問し ておきたい。 (大森委員長)  今の質問。どうぞ。 (鈴木老人保健課長)  先ほどの紀陸委員の質問を含めて若干お答えするが、看取りの問題、確かに指摘があ ったように、これはあくまで今、療養病床で行われている死亡前2週間以内の医療行為 ということで、今後、実際に最後の迎え方を含めてどうしていくかはまさに議論の中で、 指針等も示していきたい。これも資料を前回示しているが、今、在宅で亡くなられてい る方が十数%で、83%の方は医療機関の中で亡くなられておられて、これは過去50年の 間に明らかに傾向が逆になってしまったが、やはりこれから在宅で、もちろん条件が整 えばだが、そういう方については在宅の医療支援、介護支援も含めて最期を迎えていた だくというのも当然必要だ。少なくとも今、療養病床の中で最期を迎えられている方が 制度の再編の中で大きく変わって、今まで迎えられていたのが急に明日から迎えられな くなることがないように、少なくとも継続性があり、患者さんの期待値に応えられるこ とがないと、我々としてはまずいのではないか。 それから、医療処置、確かに過去にお出しした資料の中には老人保健施設でも一定程 度の医療処置が行われている。これは当然であり、先ほどの書き方の問題もあったが、 基本的にやはり医師が夜間におられない、当直もしてもおられない、それから看護職の シフトの体制で常時いるという基準上の体制になっていないことから、夜間に医療処置 が生じた場合にどうするのかが今回の議論の主眼である。もちろん昼間であれば、紀陸 委員が指摘になっていたとおり一定の医療は行われているが。 それから、対馬委員が指摘になった、今回なぜ老健施設だけなのかということについ ては、1つはやはり今回介護療養病床という制度自体が23年までの間に廃止になること で、当然、その方々はこれから23年までの間にどういう施設もしくは施設以外に転じら れるのかを判断されるわけで、その際に、今入っておられる方、それから今提供してお られる一定程度の医療レベルが大きく変わらない程度で、しかも老人保健施設という枠 内で提供できるにはどうしたらいいかを議論している。もちろん、この在り方委員会の 冒頭にも申し上げたが、3施設その他も含めて医療の提供の在り方をどうするのか、看 取りの在り方はどうするのかと、大きな課題については、今回は少し目前のところに議 論が集中しているが、別途議論していく必要がある。 (大森委員長)  沖藤さん。 (沖藤委員)  制度を変えていくことはやはり時代の動きと合わせてやっていかなければならない。 しかしながら、尋ねたい点が2つ3つある。  1つは参考資料1の10ページのところで、老人保健施設から退所する方の退所先が 書かれていて、その数字を見ると、家庭に帰っている人が39.2%となっている。入所前 も家庭からと医療機関が多く、退所するのも家庭と医療機関が多いわけで、特にこの家 庭へ帰られた方というのはそのまま家庭であの世にいかれているのか、先ほど在宅死亡 率13%という話もあったが、恐らくまたどこかに行っているはず。多分また老人保健施 設に戻られた方もいるだろうし、医療施設に行った方もおられるだろう。 そうすると、私たちは最期はどこであの世にいけるのかが少し見えにくいとい。療養 型病床群に何となく心頼りを感じており、最期はそういうところかなと思っていたら、 今度は老人保健施設に転換されていくことで、そうすると、今後、老人保健施設という のはターミナル機能も持つし、リハビリ機能も持つし、ということで、両方2つの機能、 それから、身体症状というか病気症状というかよく言葉はわからないが、2種類の方が 入所する施設になるのか。 それで、平均年齢が85歳という川合先生の話ですと、いったん家に帰ったところでま たどこかに行かなければならないのならば、ここにずっといさせてくれと。昔、3か月 症候群というのが老健施設の方々から言われていたが、そういうことが起こってくるの ではないか。もうずっとここにいさせてくれ、うちへもう帰らないということで、在宅 復帰率が下がっていくのではないかと思われるが、その辺はどうなのか。  もう一つは、結局、この療養型病床群を転換して、私たち国民というのはどういうメ リットがあるのか、3点ぐらい教えていただきたい。こういう転換をすると、あなた方 これはいいんですよ、この方が前向きな政策で時代の変化に合わせた動きなんですよと 言っていただけるものを3つ教えて欲しい。3つ、5つでも10でもよいが。謙虚に3つ と言ったが。 (大森委員長)  はい。 (鈴木老人保健課長)  今、沖藤委員から指摘があった特に退所した39%が家庭に帰っておられ、その方がず っと家庭にいるのかだが、今詳細なデータはないが、確かにこの中にまた老人保健施設 なり病院に状態によっては帰ってこられる方はおられる。ただ、やはりその間、一定程 度家庭に帰られるような状態になって、家に帰られて、家でいろんな時間を迎えられて、 やはりそこで状態が悪化してまた帰ってくることがあり得るので、必ずしも帰ってくる ことが悪いということではない。 もう一つの質問にあった今度は老人保健施設がターミナルとリハビリテーションと両 方を追求する施設になるのかどうかだが、少し私の説明の仕方も悪かったかもしれない が、今回、議論させていただいたのは療養病床から転換をしてくる老人保健施設につい て、ここで言うような夜間の対応だとかターミナルの対応というのをきちっと考えると いうことで、これ以外に、さっき対馬委員の方からもあったが、では今ある老人保健施 設、特別養護老人ホーム、その他の在宅拠点、ここで医療なり介護はどう提供するかと いう大きな課題があるので、それについてはきちっと議論をさせていただきたい。 最後に、療養病床の再編にどういうメリットがあるのかについては、5個か10個は出 ないが、参考資料1の4ページ目を見てもらうと、下にうす紫色ぽい四角があるが、我 々としては今回療養病床が老人保健施設に転じていただくことで、1つはやはり入って おられる方、それから家族の方から見て、直接にサービスについてもより状態に応じた サービス、それからサービスの質の向上というのが提供していただけるところがます直 接的なメリットである。 それから、その2つは直接家族の方、患者の方に感じていただけないかもしれないが、 例えば医師・看護師などの人材がより効率的に活用をしていただければ、今、医師が不 足している、看護師が不足している分野においても効率的に働いていただけるので、そ れは広い意味では国民の方の利益になる。 それから、少しお金の話をして恐縮だが、医療保険や介護保険の中で一定程度効率的 に給付が下げられれば、その下げた部分については当然保険料にも反映してくる。税金 にも反映をしてくるので、そういう意味では2、3は直接ではないが、広い意味で3点 ほどは今回の再編のメリットがあると我々の方では考えている。 (大森委員長) もう一つの議題が残っているので、では、田中さん。 (田中(滋)委員)  療養病床から老健への転換の話で、施設から施設で話しているが、施設機能が自己完 結で、外部サービスをあまり使わず、在宅生活もあまり支援せずというモデルで考える 必要はない。これからの施設は施設でさえ地域ケアの一環であって、必要ならば外部サ ービスを導入するし、できるならば在宅生活を支援する。そうした地域ケアの視点でと らえないと、自己完結の施設をまた別の自己完結の施設にして何が足りないかをめぐる 議論だけだと、結局重たいものができてしまうので、もう少し広い視点で考えた方がよ い。看護協会が出されたモデルでも、外部サービスを使うのが入っていて大変いい。 (大森委員長)  川合さんと天本さんで、今日はこのテーマについて、一応次にずらしていただくとい うことでよろしいでしょうか。 (川合委員) 沖藤先生がおっしゃったことについて、十数年施設長をしてきたが、そのときの経験 は皆さんびっくりされるかもしれない。私は老人保健施設でリピーターという言葉を使 った第1号だと思っている。それは何かというと、先ほどから何度も言ったように、こ こに多様性のことをニーズがあると言ったが、何が我々に求められたかというと、在宅 で、当然病院の方もそうだが、在宅で頑張っておられる方々のレスパイトケアも大きな 目的であった。そういう方々が、それこそ3か月、2か月、1週間、期間はショートで いいが、そういう中でアクティベートされる。それでまた御家族が力をもらえる。それ を何回も繰り返すことで、私は十数年施設長をしたけれども、最多例は三十数回入退所 を繰り返した方がいる。 これは何かというと、調子がおかしくなれば私はあそこに行けばいい。あるいは家族 はちょっと疲れたな、法事がある、あそこにあずければいいという安心感の提供である。 そういう意味で、私は自己完結型と田中先生おっしゃったように、自己完結型ではなく て地域全般で見ていく中の1つの安心感の提供を私は今まで担ってきた。 それともう一つ、沖藤先生の指摘のあった2つつくるのかではなくて、ゼロか百かと いう議論は大嫌いである。老人保健施設はいろんなところに設立されている。その地域 ニーズは様々である。多様性がいっぱいある。その中で過疎地あるいはどこかという限 定はしないが、そういうところでは医療ニーズを求められているところもある。そこで 単独型の場合は不可能に近かったが、併設型の場合は一生懸命努力してきた。 まず端的な例を言うと、我々は介護保険ができるまでは2.5 対1が看介護職員の施設 基準の最高例がる。介護保険ができて3 対1になった。でも、そのときでも2.4 対1 だった。今現在、介護保険ができて数年経つが、今は全国平均では2.2 対1の看介護基 準をやっている。そうしたら、それだけ人が出せるんだったら老健は儲けているという ことを言った担当者が昔いた。私はとんでもないことだと考える。 我々は非常に医療職として経営に甘かった。でも、これだけ締め付けられてくると、 やはり数字に強い大阪人を会長にせざるを得ないという団体になった。私は数字にうと い方だが。既存のことも考慮するというふうに担当課長が今おっしゃいましたから、こ の言葉に将来を賭けて今はぐっと我慢をする。 (大森委員長)  では、天本さん。 (天本委員)  今日の議論は在り方ということなので、まずいろんな例示を出していただいたが、こ れが即現実に、人員配置基準につながるとは私は思えない。重要な視点というのを田中 委員からも看護協会からも指摘されましたが、やはり箱、場所によってすべてのサービ スが画一的に決まることからその限界というものがあるという中において、やはり自己 完結型から地域内完結型に、エピソードに応じたいろんなサービスが、利用者に個別に 合ったサービスが提供される方向に向かっていくのが重要な方向性。在り方において、 医療保険、介護保険においても尊厳性を尊重する、要するに選択肢を増やす、その中に 看取りにおいても多様な場における看取りの場がこれからどう用意していくかという中 でも、このような自己完結型のまた同じ方向に進まないようにというのは共通した今日 の意見だろう。あえて強調させていただきたい。 (大森委員長)  いろいろ御意見をいただきました。ありがとうございます。 それでは、2番目のテーマであるこの転換支援に追加的な検討をすべき事項、現在検 討を要しているという事項があるので、これをまとめて説明してください。 ○榎本地域ケア・療養病床転換推進室長より資料2、参考資料2を資料に沿って説明。 (大森委員長) ここは直接私どもがこれからいろいろ検討したいと考えている事項でしょう。このう ち、私どもの方の議論と関係するものも出てくるが、いろんなところで検討を進めてい って、具体的な案が出てきたら紹介がある、そういうことになるのか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長)  今後また私どもで更にいろんな方の意見を伺いながら検討を進めさせていただき、ま た6月のしかるべき時期に報告させていただきたい。 (大森委員長)  もう一つ、本日のテーマでいうところの調査検討結果が出てきていて、これを少し説 明いただきたい。 ○鈴木老人保健課長より別添資料を資料に沿って説明。 (大森委員長)  田中先生、一言、何か。 (田中(滋)委員)  これはシミュレーションなので、こうなるという予測ではない。シミュレーションと は前提条件を明示した上で、変数をいろいろ動かすと、それがどういう影響を出るかを 見るためもの。逆に言うと、どういう変数の影響が大きいかを見るので、どうなるとい う予測ではない。 例えば、借入金を幾ら入れるだろうかとか入れるべきかではなく、幾らまでなら可能 になるかを計算で出している。一般に役所の話だと収支計算だけが重視される。実際に 経営なさっている方々にとって見ると、キャッシュフローの方が大切で、収支が黒でも 元本を返済できなければ大変なことになる。そこで、キャッシュフローにも着目して借 入金が幾らまで可能か、あるいは別の言い方をすると、幾らまでなら回収にかけられる かを出していく。そうなるとの予測と少し違う。細かくしておくと、今後のどういう方 向に動いたらいいかを示す基礎資料になると思い計算している。 (大森委員長)  何か、このシミュレーションについて何か。 (川合委員)  ありがとうございます。田中先生にお尋ねしたいが、これはPLレベルでされたもの か。それとももっと粗利益とかそんな段階なのか。シミュレーションの今説明いただい 意味が。 (田中(滋)委員)  PLです。PLと更にキャッシュフロー、両方からしている。医業収支とか医業外収 支とかそういうレベルではない。 (川合委員)  それだったら当局の方に質問だが、実は御存じだと思うが、これまでは老人保健施設 には退職金引当金制度というのがない。これは皆さんびっくりされるのか、そうだろう とおっしゃるのか、それは皆さんの経営感覚というか、数字感覚になる。先ほどの参考 資料1の10ページのところに出典が平成15年。これは意識して15年の出典をされたの かどうか、私は意識はされていないと理解したいが、なぜ、17年、16年の資料が出てこ ないのか。それと同じように、退職金引当金を入れると、経営実態調査は老人保健施設 は今の状態、2回ダウンをされた状態では5%ない。場合によっては独立型の単独型の 場合は赤になる。そういうことを理解の上でこのシミュレーションを当局は出したのか どうか。 我々、今、でき上がって20年になるが、我々独自に、これは場所が違うが、給付費部 会になったら、我々の資料として退職金引当金を引いた場合に、こういう経営実態だと 皆様方に驚愕の数字としてお見せしたい。 (大森委員長)  何か。 (鈴木老人保健課長)  もしよろしければ担当した医療経済研究機構の方からと思うが。 (大森委員長)  それでは、簡単に何か説明できるか。 (医療経済研究機構)  医療経済研究機構です。今質問あった点だが、今日提出した資料の冒頭のページにも あるように、今回勘案されてない点は多くあり、今、川合委員から指摘あったように、 例えば施設転換時の職員の退職金といったものは入っていないし、資料の1ページ目に あるように、補助金の有無であるとか、その他医療機器の減価償却の新たなものの発生 であるとか、そういうものは入っていない。これは概要であるので、研究報告としての 最終型をまとめる段階では、その勘案できてなかった部分についてはきちっと記載をさ せていただきたい。 (川合委員)  頑張っていただいて。 (医療経済研究機構)  はい。 (大森委員長)  木下さん。 (木下委員)  幾つか確認したい事項があるが、別添資料1ページで、主なシミュレーションの前提 条件の2つめの○で、職員数は同様の加配の数で計算していると書いてあるが、実際ど の程度の人数でやったか、それから先ほどからいろいろ医療の分が出てきているが、増 大するであろう医療の材料費部分、その辺は加味されたのか。 それから別添資料2ページの4番目の「改修のための借入金について」の4行目だが 「法人税等支払を考慮していない」ということで、これはかなり大きな計算上の問題に なるので、その辺は1つ指摘しておきたい。 それと、別添資料4ページで、いずれの場合も黒字だという結果が出ているが、どの 項目でもいいが、これが収益率というか、収入に対して何%程度の黒字かわかれば教え ていただきたい。 (医療経済研究機構)  まず1点目、指摘のあった法人税が勘案されていない点は私どもも大変大きな問題だ と思っており、本来ならば入れたシミュレーションをするべきところではあったが、借 入金の存在をどう勘案するかというのも、シミュレーションの作業過程の途上で気付い たというと変だが、明らかになってきた点であるので、指摘の点で、法人税の問題は重 要だという認識はあるが、今回の作業でも少しそこまで追いつかなかったのが正直なと ころである。 それから、2点目の60床のケースの収益率で見た場合どうかだが、例えば4ページの 60床の単独型の経過型療養経由というところで、例えばこのベースでも、1%下回るぐ らいの、0.数%ぐらいの黒になるにしても収益があり、それほど大きな率ではない。そ こは手元に厳密な数字がないので、それほど大きな数字の率ではないことだけを報告さ せていただきたい。 (木下委員)  よろしいでしょうか。人員配置の加配の実際のところで。 (医療経済研究機構)  人員配置の加配については現行の加配率をそのまま転換後も加配される前提で考え ている。例えば、今回、30床、60床、150 床という3つのタイプで行っているが、例え ば、30床であれば、2.94ぐらいの加配、それから60床であれば2.47、150 床であれば 1.56ぐらいの加配があるという前提で作業を行っている。 (木下委員)  前回出た資料では介護療養型医療施設の看護・介護職員、それぞれ17人という数が 出ていて、30人、32人という数がたしか出ていたとが、これだと80%ぐらいの加配に なっているので、今の数とは少し違うような気がする。その辺を確認いただきたいこと が1つ。 それと、収益率が0.数%ということだが、それで借入金が返せるのかという、先ほど の税金の問題もあるが、そこの検討は十分にしていただきたい。 (医療経済研究機構)  はい。わかりました。 (大森委員長)  はい。天本先生。 (天本委員)  これは田中先生のおっしゃったようにシミュレーションであって、それを老人保健課 長が黒字になるとかそういう収支の方に結びつけて、いかにも転換がスムーズにいくよ うな印象を与えたということで議論になっているが、要は、ここでいろんな問題点はあ るとしても、この別添資料4ページのところで見ていただきたいが、60床で進める場合 も6年後からは44床になっている。これだけのベッド数が減ると。今回のシミュレーシ ョンで明確になったことは一番経営に影響を与えるのはこのベッド削減による収入減が あることと、その割合には人件費があまり落ちない。あるいは固定費も落ちない。とい うことは、ダウンサイズのデメリットが避けられないという非常に大きな問題があるこ とをここで私は読むべきではないか。それをこれからどのように支援をしていくかと。 今回、支援する場合も、これはハードの面の問題だが、老健の方では資料は規模別と それから人員体制、そういうもの含めて、これから今日議論された医療の在り方がまだ 出てないのに、そこの人員配置も決まってい。だから、そこが出ないとコストという面 においての収支も出ないので、早めにいろんな意味の、我々、転換する際には事業計画 が必要なので、人員配置基準もだが、報酬単価とか、そういうものも明確でないと、我 々とすれば転換計画はできない。 それからもう一つは、転換する際にもし改修工事が必要になれば、病棟閉鎖とか収入 減のこととか、もう一つ最近は耐震工事が非常に強く要求されているので、改修する際 に単純に広さの問題とかだけでなしに耐震のための基準に現行の基準に合わせなければ いけないなど、いろんな問題が生じるであろうということを是非理解いただきたい。 もう一つ、ここで前提となった介護事業経営実態調査(18年3月)、これは公表され ましたか。私の知る限りではまだ公表されていない。 (鈴木老人保健課長)  17年の調査結果です。18年の3月に公表されている。それに基づいて改訂をしてい る。 (天本委員)  18年3月に公表されているのか。では、それは資料をまた後ほどいただきたい。 (大森委員長)  ありがとうございました。それでは、お二人から。 (井上委員)  今、天本先生の方から建築の話が少し出たので、少しだけ専門ですので話したい。  1つまず1981年に新耐震基準というのができているので、それ以前の建物について は場合によっては耐震補強をしなければいけない現状は出ている。築30年ぐらい経って いるから建て直すという考え方もあるが、現状まだまだ使えるという現状もあるので、 全部建て替えてもいいという簡単な問題ではないだろうというのが1点。 2番目が居住をしながらずっと改修をせざるを得ない場合があることで、横に横出し して建てて一時的にそちらに入っていただいて中を改修すれば比較的短時間に改修が早 く済むが、実際に、本当に継続しながらとなると工期が長期化するのと、一時的に例え ばショートスティを止めたりとか、入所を一時止めたりということが現実的に必要にな ってくる。 急性期の場合は一時的に患者を止めることはでるが、療養病床系であればずっと患者 さんはいるから、そこは非常に難しい問題だ。 それともう一点、今日はあまり話題にならなかったが、規模の問題があって、例えば 新しく基準ができて、それだったら例えば60床でつくればいい、40床でつくればいい という考え方が出てくるが、今ある建物については、ではそれに合わせて40に改修でき るか、60に改修できるかというと、そうではないところがあって、そこへの配慮が少し 必要なのではないか。 (大森委員長)  では、池田さんで最後にいたします。 (池田委員)  はい。療養病床の転換支援に関して、追加的に検討を要する事項はこれから明らかに なってくるので、1つは安定的な転換を進めるためにはできるだけ早く出していただき たいが、それに当たって2つだけ留意していただきたい事項を指摘したい。 1つは、これは何度も出ているが、療養病床の再編は全国一律の問題ではない。主に 西高東低であることは御存じのとおりだが、都道府県によってはなはだしい格差がある。 言ってしまえば、こういった転換支援に関して何か行われる場合、地域の特性によって かなり弾力的に運営できるように、簡単に言えば都道府県にかなり権限を下ろすような 形で都道府県単位で判断できるような形にした方がいいのではないかが第1点目。 もう一点は、これはいろんな委員の方から出たので、重なるかもしれないが、基本的 に施設内完結型のケアはやめて地域内完結型のケアに広げていくべきだというのはいろ んな委員の方から出た。そもそもこの委員会はそういう発想でできたものだと私は思っ ているので、そこは非常に強調されるべきである。とするならば、転換支援の方策につ いて、施設内完結型ではなくて地域内完結型を誘導するような、例えば診療所のつけ方 をどうするかとか、あるいはサテライトについていろんな規制を少し緩和して、むしろ 地域の中でケアが支えられていく、そういう構造を促進するものであれば非常に積極的 な意味を持つので、療養病床転換支援に関しては、1つは地域に着目して都道府県ごと に判断できるような進め方をしていただきたい、もう一つは施設内完結から地域内完結 型のケアシステムをつくる促進策、そういう観点で進めていただきたいということをお 願いしたい。以上です。 (大森委員長)  本日は以上にするが、前回の宿題が若干あるものですから、それだけちょっと説明を。 ○榎本地域ケア・療養病床転換推進室長より資料3を資料に沿って説明 (大森委員長)  それでは、今後のことについて事務方から。 (川尻課長)  それでは、今後の日程ですが、この介護施設の在り方委員会の関係については、既に 各委員からスケジュールを伺っているが、次回は6月の中・下旬に開催させていただく ということで、具体的な日程はもう少し調整をさせていただきたい。 以上です。本当にありがとうございました。 ○ 大森委員長より閉会の宣言。  照会先: 老健局 地域ケア・療養病床転換推進室       TEL 03(5253)1111(内2176、2177 23