参考資料2

建築物における衛生的環境の確保に関する法律等関係法令

○建築物における衛生的環境の確保に関する法律(抄)

(昭和45年4月14日法律第20号)

(目的)

第一条 この法律は、多数の者が使用し、又は利用する建築物の維持管理に関し環境衛生上必要な事項等を定めることにより、その建築物における衛生的な環境の確保を図り、もつて公衆衛生の向上及び増進に資することを目的とする。

(建築物環境衛生管理基準)

第四条 特定建築物の所有者、占有者その他の者で当該特定建築物の維持管理について権原を有するものは、政令で定める基準(以下「建築物環境衛生管理基準」という。)に従つて当該特定建築物の維持管理をしなければならない。

2 建築物環境衛生管理基準は、空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ、昆虫等の防除その他環境衛生上良好な状態を維持するのに必要な措置について定めるものとする。

3 特定建築物以外の建築物で多数の者が使用し、又は利用するものの所有者、占有者その他の者で当該建築物の維持管理について権原を有するものは、建築物環境衛生管理基準に従つて当該建築物の維持管理をするように努めなければならない。

○建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令(抄)

(昭和45年10月12日政令第304号)

(建築物環境衛生管理基準)

第2条 法第四条第一項の政令で定める基準は、次のとおりとする。

一 空気環境の調整は、次に掲げるところによること。

イ 空気調和設備(空気を浄化し、その温度、湿度及び流量を調節して供給(排出を含む。以下この号において同じ。)をすることができる設備をいう。ニにおいて同じ。)を設けている場合は、厚生労働省令で定めるところにより、居室における次の表の各号の上欄に掲げる事項がおおむね当該各号の下欄に掲げる基準に適合するように空気を浄化し、その温度、湿度又は流量を調節して供給をすること。

一 浮遊粉じんの量 空気一立方メートルにつき〇・一五ミリグラム以下
二 一酸化炭素の含有率 百万分の十(厚生労働省令で定める特別の事情がある建築物にあつては、厚生労働省令で定める数値)以下
三 二酸化炭素の含有率 百万分の千以下
四 温度 一 十七度以上二十八度以下
二 居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと。
五 相対湿度 四十パーセント以上七十パーセント以下
六 気流 〇・五メートル毎秒以下
七 ホルムアルデヒドの量 空気一立方メートルにつき〇・一ミリグラム以下

ロ 機械換気設備(空気を浄化し、その流量を調節して供給をすることができる設備をいう。)を設けている場合は、厚生労働省令で定めるところにより、居室におけるイの表の第一号から第三号まで、第六号及び第七号の上欄に掲げる事項がおおむね当該各号の下欄に掲げる基準に適合するように空気を浄化し、その流量を調節して供給をすること。

ハ イの表の各号の下欄に掲げる基準を適用する場合における当該各号の上欄に掲げる事項についての測定の方法は、厚生労働省令で定めるところによること。

ニ 空気調和設備を設けている場合は、厚生労働省令で定めるところにより、病原体によつて居室の内部の空気が汚染されることを防止するための措置を講ずること。

二 給水及び排水の管理は、次に掲げるところによること。

イ 給水に関する設備(水道法 (昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第九項 に規定する給水装置を除く。ロにおいて同じ。)を設けて人の飲用その他の厚生労働省令で定める目的のために水を供給する場合は、厚生労働省令で定めるところにより、同法第四条 の規定による水質基準に適合する水を供給すること。

ロ 給水に関する設備を設けてイに規定する目的以外の目的のために水を供給する場合は、厚生労働省令で定めるところにより、人の健康に係る被害が生ずることを防止するための措置を講ずること。

ハ 排水に関する設備の正常な機能が阻害されることにより汚水の漏出等が生じないように、当該設備の補修及び掃除を行うこと。

三  清掃及びねずみその他の厚生労働省令で定める動物(ロにおいて「ねずみ等」という。)の防除は、次に掲げるところによること。

イ 厚生労働省令で定めるところにより、掃除を行い、廃棄物を処理すること。

ロ 厚生労働省令で定めるところにより、ねずみ等の発生及び侵入の防止並びに駆除を行うこと。

○建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(抄)

(昭和46年1月21日厚生省令第2号)

(空気環境の測定方法)

第3条の2 令第二条第一号 ハの規定による測定の方法は、次の各号の定めるところによる。

一 浮遊粉じんの量 グラスフアイバーろ紙(〇・三マイクロメートルのステアリン酸粒子を九九・九パーセント以上捕集する性能を有するものに限る。)を装着して相対沈降径がおおむね十マイクロメートル以下の浮遊粉じんを重量法により測定する機器又は厚生労働大臣の登録を受けた者により当該機器を標準として較正された機器
二 一酸化炭素の含有率 検知管方式による一酸化炭素検定器
三 二酸化炭素の含有率 検知管方式による二酸化炭素検定器
四 温度 〇・五度目盛の温度計
五 相対湿度 〇・五度目盛の乾湿球湿度計
六 気流 〇・二メートル毎秒以上の気流を測定することができる風速計
七 ホルムアルデヒドの量 二・四―ジニトロフェニルヒドラジン捕集―高速液体クロマトグラフ法により測定する機器、四―アミノ―三―ヒドラジノ―五―メルカプト―一・二・四―トリアゾール法により測定する機器又は厚生労働大臣が別に指定する測定器

二 令第二条第一号 イの表の第一号から第三号までの上欄に掲げる事項について、当該各号の下欄に掲げる数値と比較すべき数値は、一日の使用時間中の平均値とすること。

三 次に掲げる区分に従い、それぞれ次に定める事項について、二月以内ごとに一回、定期に、測定すること。

イ 空気調和設備を設けている場合 令第二条 イの表の第一号から第六号までの上欄に掲げる事項

ロ 機械換気設備を設けている場合 令第二条 イの表の第一号から第三号まで及び第六号の上欄に掲げる事項

四 特定建築物の建築(建築基準法 (昭和二十五年法律第二百一号)第二条第十三号 に規定する建築をいう。)、大規模の修繕(同条第十四号 に規定する大規模の修繕をいう。)又は大規模の模様替(同条第十五号 に規定する大規模の模様替をいう。)(以下「建築等」と総称する。)を行つたときは、当該建築等を行つた階層の居室における令第二条第一号 イの表の第七号の上欄に掲げる事項について、当該建築等を完了し、その使用を開始した日以後最初に到来する測定期間(六月一日から九月三十日までの期間をいう。以下同じ。)中に一回、測定すること。

(空気調和設備に関する衛生上必要な措置) 

第3条の18 令第二条第一号 ニに規定する措置は、次の各号に掲げるものとする。 

一 冷却塔及び加湿装置に供給する水を水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第四条に規定する水質基準に適合させるため必要な措置 

二 冷却塔及び冷却水について、当該冷却塔の使用開始時及び使用を開始した後、一月以内ごとに一回、定期に、その汚れの状況を点検し、必要に応じ、その清掃及び換水等を行うこと。ただし、一月を超える期間使用しない冷却塔に係る当該使用しない期間においては、この限りでない。 

三 加湿装置について、当該加湿装置の使用開始時及び使用を開始した後、一月以内ごとに一回、定期に、その汚れの状況を点検し、必要に応じ、その清掃等を行うこと。 ただし、一月を超える期間使用しない加湿装置に係る当該使用しない期間においては、この限りでない。 

四 空気調和設備内に設けられた排水受けについて、当該排水受けの使用開始時及び使用を開始した後、一月以内ごとに一回、定期に、その汚れ及び閉塞の状況を点検し、必要に応じ、その清掃等を行うこと。ただし、一月を超える期間使用しない排水受けに係る当該使用しない期間においては、この限りでない。 

五 冷却塔、冷却水の水管及び加湿装置の清掃を、それぞれ一年以内ごとに一回、定期に、行うこと。 

(令第二条第二号 イの厚生労働省令で定める目的) 

第3条の19 令第二条第二号イの厚生労働省令で定める目的は、人の飲用、炊事用、浴用その他人の生活の用(旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第三条第一項 の規定による許可を受けた者が経営する施設(第四条の二において「旅館」という。)における浴用を除く。)に供することとする。

(飲料水に関する衛生上必要な措置等) 

第4条 令第二条第二号 イに規定する水の供給は、次の各号の定めるところによる。 

一 給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の含有率を百万分の〇・一(結合残留塩素の場合は、百万分の〇・四)以上に保持するようにすること。ただし、供給する水が病原生物に著しく汚染されるおそれがある場合又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を多量に含むおそれがある場合の給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の含有率は、百万分の〇・二(結合残留塩素の場合は、百万分の一・五)以上とすること。 

二 貯水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するため必要な措置 

三 水道法第三条第二項に規定する水道事業の用に供する水道又は同条第六項 に規定する専用水道から供給を受ける水のみを水源として前条に規定する目的のための水(以下「飲料水」という。)を供給する場合は、当該飲料水の水質検査を次に掲げるところにより行うこと。

イ 水質基準に関する省令(平成十五年厚生労働省令第百一号。以下「水質基準省令」という。)の表中一の項、二の項、六の項、十の項、三十一の項、三十三の項、三十四の項、三十七の項、三十九の項及び四十五の項から五十の項までの項の上欄に掲げる事項について、六月以内ごとに一回、定期に、行うこと。

ロ 水質基準省令の表中九の項、二十一の項から三十の項までの項の上欄に掲げる事項について、毎年、測定期間中に一回、行うこと。

四 地下水その他の前号に掲げる水以外の水を水源の全部又は一部として飲料水を供

給する場合は、当該飲料水の水質検査を次に掲げるところにより行うこと。

イ 給水を開始する前に、水質基準省令 の表の上欄に掲げるすべての事項について行うこと。

ロ 水質基準省令の表中、一の項、二の項、六の項、十の項、三十一の項、三十三の項、三十四の項、三十七の項、三十九の項及び四十五の項から五十の項までの項の上欄に掲げる事項について、六月以内ごとに一回、定期に、行うこと。

ハ 水質基準省令の表中九の項、二十一の項から三十の項までの項の上欄に掲げる事項について、毎年、測定期間中に一回、行うこと。

ニ 水質基準省令の表中十三の項、十五の項から二十の項までの項及び四十四の項の上欄に掲げる事項について、三年以内ごとに一回、定期に、行うこと。

五 給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水質基準省令の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。

六 第四号に掲げる場合においては、特定建築物の周辺の井戸等における水質の変化その他の事情から判断して、当該飲料水について水質基準省令 の表の上欄に掲げる事項が同表の中欄に掲げる基準に適合しないおそれがあるときは、同表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。 

七 遊離残留塩素の検査及び貯水槽の清掃を、それぞれ七日以内、一年以内ごとに一回、定期に、行うこと。

八 供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させること。 

2 令第二条第二号 イの規定により給水に関する設備を設けて飲料水を供給する場合は、同号イに定める基準に適合する水を供給するため、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従い、これらの設備の維持管理に努めなければならない。

(雑用水に関する衛生上必要な措置等) 

第4条の2 令第二条第二号ロに規定する措置は、次の各号に掲げるものとする。ただし、旅館における浴用に供する水を供給する場合又は第三条の四に規定する目的以外の目的のための水(旅館における浴用に供する水を除く。以下「雑用水」という。)を水道法第三条第二項 に規定する水道事業の用に供する水道若しくは同条第六項 に規定する専用水道から供給を受ける水のみを水源として供給する場合は、この限りでない。 

一 給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の含有率を百万分の〇・一(結合残留塩素の場合は、百万分の〇・四)以上に保持するようにすること。ただし、供給する水が病原生物に著しく汚染されるおそれがある場合又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を多量に含むおそれがある場合の給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の含有率は、百万分の〇・二(結合残留塩素の場合は、百万分の一・五)以上とすること。

二 雑用水の水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するため必要な措置 

三 散水、修景又は清掃の用に供する水にあつては、次に掲げるところにより維持管理を行うこと。

イ し尿を含む水を原水として用いないこと。

ロ 次の表の各号の上欄に掲げる事項が当該各号の下欄に掲げる基準に適合するものであること。

一 pH値 五・八以上八・六以下であること。
二 臭気 異常でないこと。
三 外観 ほとんど無色透明であること。
四 大腸菌 検出されないこと。
五 濁度 二度以下であること。

ハ ロの表の第一号から第三号までの上欄に掲げる事項の検査を七日以内ごとに一回、第四号及び第五号の上欄に掲げる事項の検査を二月以内ごとに一回、定期に、行うこと。

四 水洗便所の用に供する水にあつては、次に掲げるところにより維持管理を行うこと。

イ 前号ロの表の第一号から第四号までの上欄に掲げる事項が当該各号の下欄に掲げる基準に適合するものであること。

ロ 前号ロの表の第一号から第三号の上欄に掲げる事項の検査を七日以内ごとに一回、第四号の上欄に掲げる事項の検査を二月以内ごとに一回、定期に、行うこと。

五 遊離残留塩素の検査を、七日以内ごとに一回、定期に、行うこと。 

六 供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに供給を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を使用者又は利用者に周知すること。 

2 令第二条第二号ロの規定により給水に関する設備を設けて雑用水を供給する場合は、人の健康に係る被害が生ずることを防止するため、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従い、これらの設備の維持管理に努めなければならない。ただし、旅館における浴用に供する水を供給する場合又は雑用水を水道法第三条第二項に規定する水道事業の用に供する水道若しくは同条第六項に規定する専用水道から供給を受ける水のみを水源として供給する場合は、この限りでない。 

(排水に関する設備の掃除等) 

第4条の3 特定建築物の所有者、占有者その他の者で当該建築物の維持管理について権原を有するもの(次項において「特定建築物維持管理権原者」という。)は、排水に関する設備の掃除を、六月以内ごとに一回、定期に、行わなければならない。 

2 特定建築物維持管理権原者は、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従い、排水に関する設備の補修、掃除その他当該設備の維持管理に努めなければならない。

(防除を行う動物) 

第4条の4 令第二条第三号 の厚生労働省令で定める動物は、ねずみ、昆虫その他の人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物(以下「ねずみ等」という。)とする。

(清掃等及びねずみ等の防除)

第4条の5 令第二条第三号イに規定する掃除は、日常行うもののほか、大掃除を、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に行うものとする。 

2 令第二条第三号 ロに規定するねずみ等の発生及び侵入の防止並びに駆除は、次の各号の定めるところによる。 

一 ねずみ等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにねずみ等による被害の状況について、六月以内ごとに一回、定期に、統一的に調査を実施し、当該調査の結果に基づき、ねずみ等の発生を防止するため必要な措置を講ずること。 

二 ねずみ等の防除のため殺そ剤又は殺虫剤を使用する場合は、薬事法 (昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条 又は第19条の2 の規定による承認を受けた医薬品又は医薬部外品を用いること。 

3 令第二条第三号 イ及びロの規定により掃除、廃棄物の処理、ねずみ等の発生及び侵入の防止並びに駆除を行う場合は、厚生労働大臣が別に定める技術上の基準に従い、掃除及びねずみ等の防除並びに掃除用機器等及び廃棄物処理設備の維持管理に努めなければならない。

○空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準

(平成十五年三月二十五日)
(厚生労働省告示第百十九号)

建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(昭和四十六年厚生省令第二号)第三条、第四条第二項、第四条の二第二項、第四条の三第二項及び第四条の五第三項の規定に基づき、中央管理方式の空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準(昭和五十七年厚生省告示第百九十四号)の全部を改正する告示を次のように定め、平成十五年四月一日から適用する。

空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準

第一 空気調和設備及び機械換気設備の維持管理は、次に定める基準に従い行うものとする。

一 空気調和設備の維持管理

1 空気清浄装置について、ろ材又は集じん部の汚れの状況及びろ材の前後の気圧差等を定期に点検し、必要に応じ、ろ材又は集じん部の性能検査、ろ材の取替え等を行うこと。

2 冷却加熱装置について、運転期間開始時及び運転期間中の適宜の時期に、コイル表面の汚れの状況等を点検し、必要に応じ、コイルの洗浄又は取替えを行うこと。

3 加湿減湿装置について、運転期間開始時及び運転期間中の適宜の時期に、コイル表面、エリミネータ等の汚れ、損傷等及びスプレーノズルの閉塞へいそくの状況を点検し、必要に応じ、洗浄、補修等を行うこと。

4 ダクトについて、定期に吹出口周辺及び吸込口周辺を清掃し、必要に応じ、補修等を行うこと。

5 送風機及び排風機について、定期に送風量又は排風量の測定及び作動状況を点検すること。

6 冷却塔について、集水槽、散水装置、充てん材、エリミネータ等の汚れ、損傷等並びにボールタップ及び送風機の作動状況を定期に点検すること。

7 自動制御装置について、隔測温湿度計の検出部の障害の有無を定期に点検すること。

二 機械換気設備の維持管理

一の1、一の4及び一の5の規定に従い行うこと。

第二 飲料水に関する設備の維持管理は、次に定める基準に従い行うものとする。

一 貯水槽(貯湯槽を含む。以下同じ。)等飲料水に関する設備の維持管理

1 貯水槽の清掃

(一) 受水槽の清掃を行った後、高置水槽、圧力水槽等の清掃を行うこと。

(二) 貯水槽内の沈でん物質及び浮遊物質並びに壁面等に付着した物質を洗浄等により除去し、洗浄を行った場合は、用いた水を完全に排除するとともに、貯水槽周辺の清掃を行うこと。

(三) 貯水槽の清掃終了後、塩素剤を用いて二回以上貯水槽内の消毒を行い、消毒終了後は、消毒に用いた塩素剤を完全に排除するとともに、貯水槽内に立ち入らないこと。

(四) 貯水槽の水張り終了後、給水栓及び貯水槽内における水について、次の表の上欄に掲げる事項について検査を行い、当該各号の下欄に掲げる基準を満たしていることを確認すること。基準を満たしていない場合は、その原因を調査し、必要な措置を講ずること。

一 残留塩素の含有率 遊離残留塩素の場合は百万分の〇・二以上。結合残留塩素の場合は百万分の一・五以上。

二 色度 五度以下であること。

三 濁度 二度以下であること。

四 臭気 異常でないこと。

五 味 異常でないこと。

(五) 清掃によって生じた汚泥等の廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)、下水道法(昭和三十四年法律第七十九号)等(以下「関係法令」という。)の規定に基づき、適切に処理すること。

2 貯水槽等飲料水に関する設備の点検及び補修等

(一) 貯水槽の内面の損傷、劣化等の状況を定期に点検し、必要に応じ、被覆その他の補修等を行うこと。

(二) 塗料又は充てん剤により被覆等の補修を行う場合は、塗料又は充てん剤を十分乾燥させた後、水洗い及び消毒を行うこととし、貯水槽の水張り終了後、1の(四)と同様の措置を講ずること。

(三) 貯水槽の水漏れ並びに外壁の損傷、さび及び腐食の有無並びにマンホールの密閉状態を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。

(四) 水抜管及びオーバーフロー管の排水口空間並びにオーバーフロー管及び通気管に取り付けられた防虫網を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。

(五) ボールタップ、フロートスイッチ又は電極式制御装置、満減水警報装置、フート弁及び塩素滅菌器の機能等を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。

(六) 給水ポンプの揚水量及び作動状況を定期に点検すること。

(七) 貯湯槽について、循環ポンプによる貯湯槽内の水の撹拌かくはん及び貯湯槽底部の滞留水の排出を定期に行い、貯湯槽内の水の温度を均一に維持すること。

二 飲料水系統配管の維持管理

1 管の損傷、さび、腐食及び水漏れの有無を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。

2 衛生器具の吐水口空間の保持状況を確認することにより、逆サイホン作用による汚水等の逆流又は吸入のおそれの有無を定期に点検し、必要に応じ、適切な措置を講ずること。

3 管洗浄について、次の各号に定めるところに従い行うこと。

(一) 管洗浄を行う場合は、洗浄に用いた水、砂等を完全に排除し、かつ、これらを関係法令の規定に基づき、適切に処理すること。

(二) 管洗浄の終了後、給水を開始しようとするときは、一の1の(四)と同様の措置を講ずること。

4 防錆せい剤の使用は、赤水等の対策として飲料水系統配管の布設替え等が行われるまでの応急対策とし、使用する場合は、適切な品質規格及び使用方法等に基づき行うこと。

第三 雑用水に関する設備の維持管理は、次に定める基準に従い行うものとする。

一 雑用水槽等雑用水に関する設備の維持管理

1 雑用水槽の清掃

(一) 雑用水槽の清掃は、雑用水槽の容量及び材質並びに雑用水の水源の種別等に応じ、適切な方法により、定期に行うこと。

(二) 雑用水槽内の沈でん物質及び浮遊物質並びに壁面等に付着した物質を洗浄等により除去し、洗浄を行った場合は、用いた水を完全に排除すること。

(三) 清掃によって生じた汚泥等の廃棄物は、関係法令の規定に基づき、適切に処理すること。

2 雑用水槽等雑用水に関する設備の点検及び補修等

(一) 雑用水槽の内面の損傷、劣化等の状況を定期に点検し、必要に応じ、被覆その他の補修等を行うこと。

(二) 雑用水槽の水漏れ並びに外壁の損傷、さび及び腐食の有無並びにマンホールの密閉状態を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。

(三) 水抜管及びオーバーフロー管の排水口空間並びにオーバーフロー管及び通気管に取り付けられた防虫網を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。

(四) ボールタップ、フロートスイッチ又は電極式制御装置、満減水警報装置、フート弁及び塩素滅菌器の機能等を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。

(五) 給水ポンプの揚水量及び作動状況を定期に点検すること。

二 雑用水系統配管等の維持管理

1 管及びバルブの損傷、さび、腐食、スライム又はスケールの付着及び水漏れの有無を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。

2 衛生器具の吐水口空間の保持状況を確認することにより、逆サイホン作用による汚水等の逆流又は吸入のおそれの有無を定期に点検し、必要に応じ、適切な措置を講ずること。

3 管洗浄を行う場合は、洗浄に用いた水、砂等を完全に排除し、かつ、これらを関係法令の規定に基づき、適切に処理すること。

第四 排水に関する設備の維持管理は、次に定める基準に従い行うものとする。

一 排水に関する設備の清掃

1 排水槽内の汚水及び残留物質を排除すること。

2 流入管、排水ポンプ等について、付着した物質を除去すること。

3 排水管、通気管及び阻集器について、内部の異物を除去し、必要に応じ、消毒等を行うこと。

4 清掃によって生じた汚泥等の廃棄物は、関係法令の規定に基づき、適切に処理すること。

二 排水に関する設備の点検及び補修等

1 トラップについて、封水深が適切に保たれていることを定期に確認すること。

2 排水管及び通気管について、損傷、さび、腐食、詰まり及び漏れの有無を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。

3 排水槽及び阻集器について、浮遊物質及び沈殿物質の状況、壁面等の損傷又はき裂、さびの発生の状況及び漏水の有無を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。

4 フロートスイッチ又は電極式制御装置、満減水警報装置、フート弁及び排水ポンプの機能等を定期に点検し、必要に応じ、補修等を行うこと。

第五 清掃並びに清掃用機械器具等及び廃棄物の処理設備の維持管理は、次に定める基準に従い行うものとする。

一 清掃

1 床面の清掃について、日常における除じん作業のほか、床維持剤の塗布の状況を点検し、必要に応じ、再塗布等を行うこと。

2 カーペット類の清掃について、日常における除じん作業のほか、汚れの状況を点検し、必要に応じ、シャンプークリーニング、しみ抜き等を行うこと。洗剤を使用した時は、洗剤分がカーペット類に残留しないようにすること。

3 日常的に清掃を行わない箇所の清掃について、六月以内ごとに一回、定期に汚れの状況を点検し、必要に応じ、除じん、洗浄等を行うこと。

4 建築物内で発生する廃棄物の分別、収集、運搬及び貯留について、衛生的かつ効率的な方法により速やかに処理すること。

二 清掃用機械器具等清掃に関する設備の点検及び補修等

1 真空掃除機、床みがき機その他の清掃用機械及びほうき、モップその他の清掃用器具並びにこれら機械器具の保管庫について、定期に点検し、必要に応じ、整備、取替え等を行うこと。

2 廃棄物の収集・運搬設備、貯留設備その他の処理設備について、定期に点検し、必要に応じ、補修、消毒等を行うこと。

第六 ねずみ等の防除は、次に定める基準に従い行うものとする。

一 ねずみ等の発生場所、生息場所及び侵入経路並びにこれらによる被害の状況を調査し、当該調査の結果に基づき、建築物全体について効果的な作業計画を策定し、適切な方法により、防除作業を行うこと。

二 食料を取扱う区域並びに排水槽、阻集器及び廃棄物の保管設備の周辺等特にねずみ等が発生しやすい箇所について、二月以内ごとに一回、その生息状況等を調査し、必要に応じ、発生を防止するための措置を講ずること。

三 防そ防虫網その他の防そ防虫設備の機能を点検し、必要に応じ、補修等を行うほか、ねずみ等の侵入を防止するための措置を講ずること。

四 殺そ剤又は殺虫剤を用いる場合は、使用及び管理を適切に行い、これらによる作業者並びに建築物の使用者及び利用者の事故の防止に努めること。

五 ねずみ等の防除作業終了後は、必要に応じ、強制換気や清掃等を行うこと。

○建築物等におけるレジオネラ症防止対策について(抄)

(平成11年11月26日)(生衛発第1679号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省生活衛生局長通知)

建築物等におけるレジオネラ症防止対策については、「建築物における冷却塔等の衛生確保について」(平成八年九月一三日衛企第一一三号本職通知)により行われているところであるが、先般、都内の特別養護老人ホームにおいて使用されていた循環式浴槽を感染源とするレジオネラ症患者が発生し、うち一名がレジオネラ肺炎で死亡したという報告があった。このような設備は、適切な維持管理をしなければ、一般に抵抗力の弱い者等に対しレジオネラ症の感染源となるおそれがあるため、当面の対策として、改めて左記のとおり留意事項を定めたので、関係部局間における連携を確保しつつ、貴管下関係行政機関及び関係者に対する指導に遺漏なきを期されたい。

なお、本通知の内容は厚生省大臣官房障害保健福祉部、健康政策局、医薬安全局、社会・援護局、老人保健福祉局及び児童家庭局と協議済みであることを申し添える。

一 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和四五年法律第二〇号)に規定する特定建築物については、特定建築物の維持管理権原者に対し、レジオネラ属菌に関する知識の普及、啓発を行うとともに、レジオネラ属菌の増殖を抑制する具体的方法としては、 (一 ) 空調設備の冷却塔及び冷却水系については、「中央管理方式の空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」(昭和五七年厚生省告示第一九四号)、「中央管理方式の空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準(告示)に規定する別に定める基準について」(昭和五八年環企第二七号厚生省環境衛生局長通知)及び「建築物における衛生的環境の維持管理について」(昭和五八年環企第二八号厚生省環境衛生局長通知)(以下「告示等」という。)に基づき、冷却水の交換、消毒及び清掃を行うこと、

(二) 給水設備については、告示等に基づき、定期に給水設備の消毒及び清掃を行うとともに、外部からのレジオネラ属菌の侵入防止に努めること、

(三) 給湯設備については、給湯温度の適正な管理及び給湯設備内における給湯水の滞留の防止に努め、定期に給湯設備の消毒及び清掃を行うこと、

(四) 循環式浴槽(特に生物浄化方式のもの)については、定期に換水、消毒及び清掃を行うとともに、浴槽水のシャワーへの使用や気泡ジェット等のエアロゾル発生器具の使用を避けること、

(五) 加湿装置については、当該設備に用いる水が水道法(昭和三二年法律第一七七号)第四条に規定する水質基準に準ずるものとするとともに、定期に水抜き及び清掃を行うこと、

(六) 装飾用噴水等その他の設備については、定期に当該設備の消毒及び清掃を行うこと

があることについて指導されたいこと。

二 病院、老人保健施設、社会福祉施設等特定建築物以外の建築物についても、一に準じて所有者、占有者その他の者で当該施設の維持管理の権原を有する者に対し、レジオネラ属菌に関する知識の普及、啓発に努めるとともに、維持管理に関する相談等に応じ、必要な指導等を行われたいこと。

三 家庭で用いられる循環式浴槽(いわゆる二四時間風呂)及び加湿器についても、一に準じて住民一般に対し、レジオネラ属菌に関する知識の普及、啓発に努めるとともに、維持管理に関する相談等に応じ、必要な指導等を行われたいこと。

四 建築物等におけるレジオネラ属菌の繁殖の抑制に関しては、平成九年度厚生科学研究費補助金による「シックビル症候群に関する研究(主任研究者小川 博)」の報告書を踏まえて、平成一一年一一月に財団法人ビル管理教育センターがとりまとめた「新版レジオネラ症防止指針」(本文及び概要:別添)を参考にされたいこと。

(別添)新版レジオネラ症防止指針(概要)

1.これまでの経緯

旧版のレジオネラ症防止指針は、レジオネラ症防止の具体的普及を図るため、研究成果や知見等を集大成し、平成6年3月、厚生省生活衛生局企画課監修により財団法人ビル管理教育センターが取りまとめたものである。

その後、レジオネラ属菌に関する新たな知見が得られ、また平成10年5月都内の特別養護老人ホームにおいて入所者が当該施設で使用されていた循環式浴槽を感染源とするレジオネラ肺炎により死亡した等新たな感染源に関する報告があった。

平成9年度厚生科学研究費補助金により行われた「シックビル症候群に関する研究−建築物内のレジオネラ症対策に関する調査」(主任研究者:小川 博財団法人ビル管理教育センター理事長)を踏まえ、財団法人ビル管理教育センターに「レジオネラ症防止指針作成委員会(委員長:吉澤 晋愛知淑徳大学教授)」が設置され、これまでの研究成果や知見について再度検討が行われ、今般「新版レジオネラ症防止指針」が取りまとめられた。

前回の指針においては冷却塔水におけるレジオネラ症の防止対策を中心に指針がまとめられていたが、今回取りまとめられた指針においては、冷却塔水のほか、給水・給湯設備、循環式浴槽などレジオネラ属菌の繁殖が報告されている施設におけるレジオネラ症の防止対策について言及しているほか、「感染因子の点数化」という考え方を導入してレジオネラ属菌のコントロールを行うことを提言をしている。

2. レジオネラ症について

(1)レジオネラ属菌

・ レジオネラ属菌は、自然界の土壌と淡水に生息するグラム陰性の桿菌であり、菌体の一端に1本の鞭毛があり、運動性である。

・ 一般に20〜50℃で繁殖し、36℃前後で最もよく繁殖する。

・ レジオネラ属菌はアメーバなどの原生動物の体内で増殖するため、これらの生物が生息する生物膜(バイオフィルム)の内部にレジオネラ属菌が保護されている。

(2) レジオネラ症

(略)

(3)レジオネラ属菌の検査について

(略)

3.給水設備におけるレジオネラ防止対策

水道水は塩素による消毒が義務づけられていることから、水道水におけるレジオネラ汚染の可能性は低い。しかしながら、簡易専用水道に該当しない一部の小規模の貯水槽などのうち維持管理が適正に行われていないために、水道水の滞留による残留塩素の消失や水温の上昇、あるいは藻類等の微生物による著しい汚染がみられる給水系統では注意が必要である。

設計・施工及び維持管理に関するレジオネラ防止対策の基本となる考え方は以下のとおり。

・外部からのレジオネラ属菌の侵入防止

・できるだけ水温を20℃以下に維持

・機器及び配管内におけるスケール、スラッジ、藻類などの発生防止

・死水域の発生防止

・残留塩素の確保

・エアロゾルを発生する機器の使用を避ける

また、「中央管理方式の空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」(昭和57年厚生省告示第194号)(以下「厚生省告示」という。)に基づき貯水槽の清掃を行う必要がある。その際、作業者のレジオネラ汚染を防止する観点から、マスク等の防護対策をとって作業することが必要である。

さらに、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(以下「ビル管理法」という。)に基づく水質検査項目を検査するとともに、感染因子の点数に対応したレジオネラ属菌の検査を行う必要がある。

4.給湯設備におけるレジオネラ防止対策

我が国のホテルや病院などの給湯設備では給湯温度を60℃以上と高く保持し、使用時に給水と混合することにより温度を下げるため、レジオネラ汚染の問題はないと考えられていたが、省エネの気運の高まりとともに事務所ビル等で給湯温度を下げる傾向にあり、事務所ビル、病院等の約1割でレジオネラ属菌が検出されたとの報告もある。

設計・施工に関するレジオネラ防止対策の基本となる考え方は給水設備に準じるが、特に循環式の中央式給湯設備の場合には、給湯温度に留意する必要がある。

維持管理については給湯温度の適切な管理、給湯設備内における給湯水の滞留防止を念頭に維持管理をする。また、厚生省告示に準じて清掃を実施するほか、貯湯槽の清掃のみならず配管、シャワーヘッド等の適切な清掃が必要である。

さらに、ビル管理法に基づく水質検査項目を検査するとともに、感染因子の点数に対応したレジオネラ属菌の検査を行う必要がある。

5.冷却塔水におけるレジオネラ防止対策

建築物の冷却水は空調用冷凍機の冷却に用いられる。6〜9月までの冷却塔の水温が15〜34℃であり、また塔内で有機物質などが濃縮されるためレジオネラ属菌の増殖に好適な場所となる。冷却塔は増殖した菌を空中へ飛散させるため、レジオネラ症汚染防止の観点から最も注意を払わなければならない建築設備の一つである。

日本では、昭和62年〜平成4年までに行われた調査によれば、延べ約1,400基の冷却塔のうち約6割からレジオネラ属菌が検出された。

また、平成6年8月都内の企業の研修センターにおいて屋上の冷却塔が感染源と考えられる発熱患者45名が発生したことが報告されている。

設計・施工に関するレジオネラ防止対策の基本となる考え方は以下のとおり。

・ 冷却塔の型式を角形冷却塔を採用することが望ましい。また、清掃しやすい構造とする

・ エリミネータ(気流中に含まれる液滴を取り除くための板)を強化する

・ 外気取入口は自動車の排ガス等の影響が出ないよう高所に設置し、また風向等も考慮

・ 冷却塔からのエアロゾルが飛散することから、風向等を考慮し外気取入口、居室の窓等から10m以上離す

また、維持管理については下記項目について行うことが必要である。

・ レジオネラ属菌殺菌剤の注入

・ スケール防止、腐食防止、スライム防止のための薬剤注入

・ 冷却塔の定期的な洗浄

・ 設備の定期点検

・ 感染因子の点数に対応したレジオネラ属菌の検査の実施

6.循環式浴槽におけるレジオネラ防止対策

(略)

7.加湿器におけるレジオネラ防止対策

加湿器のうちレジオネラ症の原因となる可能性のあるものは、超音波方式と回転霧化・遠心噴霧の2方式である。

そのうち、ビル空調機に組み込まれている加湿器については、そこで使用される水が水道水質基準に準じることとされているため、使用期間中レジオネラ属菌による汚染が起こることは少ないと考えられるが、使用開始時及び終了時には水抜き及び清掃を確実に行う必要がある。

家庭用の加湿器については、タンクの汚染が起こりやすく、長期間水を貯めたまま放置される可能性が高く、またタンク内に生成される生物膜も保持されるため危険である。平成8年には、病院の新生児室において家庭用の超音波加湿器が感染源と思われるレジオネラ症が発生し、1名死亡した。

加湿器の使用の際には、タンクの内面を絶えず洗浄して清潔にしておくことが安全上重要である。

8.水景施設におけるレジオネラ防止対策

水景施設とは、噴水、池などの人工的に造られた水環境をいう。近年では、このような施設がホテルのロビー、地下街等屋内に設置される場合も多く、レジオネラ属菌の汚染が報告されている。

汚染防止対策としては、エアロゾルがあまり発生しない水景施設を選択するとともに、風向き等に注意することが必要である。

○地下水等を飲用に供している特定建築物における給水管理について

(昭和62年4月1日)(衛企第33号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省生活衛生局長通達)

飲用に供する井戸等の衛生対策については、昭和六二年一月二九日付本職通知衛水第一二号で通知した「飲用井戸等衛生対策要領」により実施することとしたところであるが、地下水等を飲用に供している特定建築物の給水管理については、今般左記の通り定めたので、その実施につき格段の御配慮をお願いする。

一  都道府県又は保健所を設置する市(以下「都道府県等」という。)は、地下水等水道により供給される水以外の水を飲用に供している特定建築物を把握し、当該特定建築物周辺の地下水等の汚染状況の把握、水質の状況等に関する情報の収集・整理等に努めるものとする。

二  地下水等を飲用に供している特定建築物の維持管理権原者(以下「地下水等使用者」という。)は、建築物の衛生的環境の確保に関する法律等に定める事項に加えて、次に掲げる基準に従い、水源となつている井戸等の管理等を実施するものとする。

(一)  井戸等の管理

ア  地下水等使用者は、井戸等及びその周辺にみだりに人畜が立ち入らないように適切な措置を講ずること。

イ  地下水等使用者は、井戸等の構造(井筒、ケーシング、ポンプ、吸込管、弁類、管類、井戸のふた、水槽等)及び井戸等の周辺の清潔保持等につき定期的に点検を行い、汚染源に対する防護措置を講ずるとともに、これら施設を清潔に保持すること。

ウ  特定建築物維持管理権原者は、新たに地下水等を飲用に供する場合には、汚染防止のため、井戸等の設置場所、設備等に十分配慮し、給水開始前に水質基準に関する省令の表の上欄に掲げる全事項について水質検査を実施し、これに適合していることを確認すること。

(二)  井戸等の検査

ア  地下水等使用者は、井戸等から給水される水に異常を認めた場合には、水質基準に関する省令(平成四年厚生省令第六九号)の表の上欄に掲げる事項のうち必要な事項について水質検査を実施すること。

イ  水質基準省令(平成四年厚生省令第六九号)の表中一二の項から二〇の項までの項、三九の項及び四〇の項の上欄に掲げる事項の水質検査は、当該検査についてこれを行う能力のある登録業者地方公共団体の機関又は水道法第二〇条第三項に基づき厚生大臣が指定する者等に委託しても差し支えないこととする。

(三)  汚染が判明した場合の措置

地下水等使用者は、水質検査の結果、水道法に基づく水質基準を超える汚染が判明した場合には、保健所に連絡し、指示を受けること。

三  都道府県等は、二の(三)に基づく連絡を受けた場合又は汚染を発見した場合には、その汚染原因を調査するとともに、必要な措置をとるものとする。
  この場合、汚染経路の把握、当該地域内の事業場における当該事項の使用及び処分の実態等の把握に努めるとともに、その適正化の指導等が行われるよう担当部局との連絡調整に努めること。


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