07/04/27 平成19年4月27日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所    平成19年4月27日(金) 10:00〜    厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(13名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 五十嵐   隆、 川 西   徹、 澤 田 純 一、   ○首 藤 紘 一、 鈴 木 洋 史、 千 葉   勉、 土 屋 文 人、   ◎永 井 良 三、 中 澤 憲 一、 西 澤   理、  長谷川 紘 司、    林   邦 彦、 村 勢 敏 郎、  (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(1名)    本 橋 伸 高、  3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    中 垣 俊 郎(審査管理課長)      豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、     川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、    森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、     佐 藤 岳 幸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、    望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、  田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会を開催します。本日はお忙しい中、 御参集いただきまして誠にありがとうございます。本部会委員15名のうち、14名の委員 に御出席いただいていますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。本日は 本橋委員から欠席の連絡をいただいています。  本日の審議に先立ちまして、4月23日に開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会 において審議された、いわゆる利益相反の取扱いについて冒頭で御説明申し上げたいと思 います。お手元に「薬事・食品衛生審議会薬事分科会における利益相反問題への対応につ いて」という紙が配付されているかと思います。御参照いただければと思います。  いわゆる利益相反問題について、薬事分科会として1番ですが、ルールを作ろうという ことです。そのルールを作るために寄付金等の実態あるいは諸外国の状況等を、よく調べ なければならないということから、今年中を目途にワーキンググループを作ってルールを 作ることになったところです。  しかしながら、そのルールができるまでの間をどうするかという点については、2番で すが、当面の対応として暫定ルールを23日の分科会において決めていただいたところで す。暫定ルールについて説明しますと、3枚目の別紙2が暫定ルールについての分科会の 申し合わせです。1番ですが、過去3年間を対象とし、審議品目の製造販売業者から寄付 金等の受取実績があって、その受取額が年間500万円を超える年がある場合には、申し訳 ありませんが退室という取扱いにします。2番ですが、いずれの年も年間500万円以下の 場合については、意見を述べることはできるが議決には加わらない。ただし書ですが、そ の寄付金等が、講演・原稿執筆その他これに類する行為に対する報酬のみであって、過去 3年間いずれも年間50万円以下の場合は、議決に加わることができる、と特例が定めら れているところです。  具体的取扱の1番ですが、「寄付金等」に何を入れるかです。コンサルタント料・指導 料、特許・商標権、講演・原稿執筆、さらには研究契約金、いわゆる受託研究費あるいは (奨学)寄付金について、実際に割り当てられた額となっていますが、例えば受託研究費で すと、いわゆる管理費用として例えば大学本部に取られる費用があるやに聞いていますか ら、そういうものを引いた実質的に割り当てられる額というものを考えているわけです。 2番ですが、学部長、施設長、学会長という立場で組織に対して寄付されたことが明確で あるものについては対象としません。3番ですが、会議の開催の都度自己申告していただ く。4番ですが、事務局より報告させていただいて議事録に明記させていただくという形 で、暫定のルールとさせていただいています。  この暫定のルールですが、アメリカのFDAにおけるこういった諮問委員会の取扱い が、現行ルールだと研究費等については10万ドル、原稿執筆・講演については1万ドル というのを一つの基準にしているようです。ただ、これについてFDAは現在、パブリッ クコメントをして改正を予定していて、改正案が5万ドルとなっているということが一つ あります。またEMEAの同様な会議における取扱いが5万ユーロを一つのめどとしてい ることから、これらを参考にさせていただき、暫定ルールとしては500万円あるいは50 万円というのを一つの基準にさせていただいたところです。  なお、年内を目途に、ワーキンググループにおいて正式なルールを決めていただくこと になっているわけですが、その検討に当たっては、この暫定ルールは一応白紙に戻し一か ら検討していただくということで、分科会の中で議論が終わったところです。部会の先生 方におかれましては、各品目の事前の検討あるいは会議への御参加など、御協力を前々か らお願いしているところですけれども、これに加えて利益相反のチェックあるいは自己申 告の作業をお願いするのは甚だ恐縮ですが、事情を御斟酌いただいて御協力いただきます よう、よろしくお願い申し上げます。利益相反に対する御報告を終わらせていただきます が、部会長の永井先生、議事進行、よろしくお願いします。  なお、1点申し上げますと、本日、大臣官房審議官の黒川が参加させていただいていま すが、国会等用務のために途中で中座させていただくことを、あらかじめ御了承いただき ますようお願い申し上げます。 ○永井部会長 事務局から配付資料の確認、資料作成に関与された委員、利益相反に関す る申出状況について、御報告をお願いします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に先ほど審査管理課長より御説 明申し上げた利益相反問題の対応についての資料、議事次第、座席表、当部会委員の名簿 を配付しています。議事次第に記載している資料1〜11については、あらかじめお送り させていただいているところです。そのほか本日は資料12として「審議品目の薬事分科 会における取扱い等の案」、資料13として「専門委員のリスト」、資料ナンバーを付し ていませんが「4月18日承認の新薬リスト」を配付しています。  平成13年1月23日の薬事分科会申し合わせに基づく、資料作成に関係された委員の確 認ですが、本日の審議品目について関与委員はいらっしゃいません。また先ほど御説明申 し上げた利益相反に関する申出状況については、審議品目ごとに以下のとおりです。議題 1「レスコレブ錠」については、御退室委員は西澤委員です。議決には参加されない委員 は永井部会長、五十嵐委員、鈴木委員、土屋委員です。議題2「トピナ」については、御 退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員として首藤委員、鈴木委員です。 議題3「エスラックス静注」については、御退室委員は西澤委員です。議決に参加しない 委員はいらっしゃいません。議題4「希少疾病用医薬品の指定」については、御退室委員 はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は五十嵐委員、鈴木委員、千葉委員です。  なお、議題1のレスコレブ錠については、議事進行を首藤部会長代理にお願いしたいと 存じます。以上です。 ○永井部会長 ありがとうございました。本日は審議事項が4議題、報告事項が6議題、 その他1議題となっています。議題1の審議については首藤部会長代理に進行をお願いし ます。よろしくお願いします。 ○首藤部会長代理 ただいま事務局からお話があったような次第で、最初の議題を私、首 藤が代行させていただきます。早速、議題1に入りたいと思います。この議題におきまし ては先ほどのとおり、西澤委員におかれましては利益相反に関係する申出に基づきまし て、本議題の審議の間、別室で待機いただくことになります。 ── 西澤委員退室 ── ○首藤部会長代理 早速、議題1について、総合機構から概要を説明していただきます。 お願いします。 ○機構 議題1、医薬品レスコレブ錠25mg、同50mg、同100mgについて、医薬品医療機 器総合機構から説明させていただきます。議題ではレスコレブとなっていますが、セララ に販売名を変更する予定です。  本剤の有効成分エプレレノンは、鉱質コルチコイド受容体に対する選択性が既存薬より 高いアルドステロン拮抗薬で、ナトリウムイオンの再吸収並びにカリウムイオン及び水素 イオンの排泄を抑制し、カリウムイオンを喪失することなく降圧効果を示します。本邦で はファイザー株式会社により、国内臨床試験成績等に基づき、高血圧症を効能・効果とし て、製造販売承認申請がなされたものです。本剤は平成19年4月現在、米国及びフィリ ピンで承認されています。なお、当初製剤として50及び100mg錠が申請されましたが、 CYP3A4阻害剤の一部と併用する場合には、低用量の投与が必要となるため25mg錠が追加 申請されています。  本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料13に記載されています委員が指名 されています。  本品目の審査の概要について、国内臨床試験成績の評価を中心に説明させていただきま す。  国内では、日本人本態性高血圧症患者を対象とし、本剤1日1回投与の用量反応を検討 したプラセボ対照二重盲検比較試験が実施されました。  有効性につきまして、主要評価項目とされた投与8週間後のトラフ時拡張期血圧のベー スライン値からの変化量は、平均変化量±標準誤差で、プラセボ群-3.0±0.95、本剤50mg 群-5.1±0.96、100mg群-6.9±0.99、200mg群-7.5±0.96mmHgであり、100及び200mg/日 群ではプラセボ群と比べて有意な低下が認められましたが、100mg/日と200mg/日で明確 な効果の差はみられませんでした。副次評価項目の投与8週間後のトラフ時収縮期血圧変 化量では、すべての用量でプラセボ群と比べ有意な低下が認められました。  安全性に関しまして、プラセボ群、本剤50mg群、100mg群、200mg群の有害事象発現率 は同程度であり、重篤な有害事象及び死亡は認められませんでした。  これらの成績に加え、用量を50、100及び200mg/日の範囲で適宜増減した国内長期投 与試験では高カリウム血症、AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、血中クレアチニ ン上昇等が最終投与量200mg群では100mg以下の群より多い傾向が認められたことも踏ま え、海外臨床試験成績等も参考に、本剤は、通常50mg/日を開始用量とし、効果不十分な 場合は100mgまで増量できるよう用法・用量で規定することが適切と判断しました。また、 本剤による高カリウム血症の発現が懸念され、腎機能低下患者では投与量の調節や投与の 中止が必要と考えられましたが、これらにつきましては、添付文書に記載され、適正に使 用されれば、本剤の承認の可否に影響するような重大な懸念は生じないと判断しました。  なお、本剤は、その作用機序や海外におけるエビデンスから、心不全を合併した患者に 使用される可能性が考えられますが、その場合においても、安全性上の問題が生じないよ うに注意喚起を添付文書で行っています。  以上を踏まえ、市販後に適切な情報収集を行う必要はありますが、本剤を「高血圧症」 の効能・効果で承認して差し支えないと判断しました。  市販後には、100mg/日1日1回投与時の安全性、高齢者における安全性、合併症及び併 用薬別の安全性、並びに腎機能及び併用薬と、それらが血清カリウム値に及ぼす影響等に 関する情報を収集する、投与開始日からの観察期間12週間の調査が実施される予定です。  本剤は、新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年間とすることが適当であると 判断しています。また、原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来及び特定生物 由来製品にも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。  また、中澤委員より事前に御質問をいただいていますので、これについて少し説明させ ていただきたいと思います。「非臨床試験で、用量依存性は認められないものの、QT間 隔の延長が見られ、カリウムチャネルに関連するhERG電流抑制が見られていることに ついて注意喚起する必要はないのか」という御質問です。  現在のところ、非臨床で見られたhERG電流の抑制等がどの程度臨床で危ないかとい うことに関して、確立された目安等はございません。ICHの7Bでもまだ結論が出てい ないところですが、ご指摘の実験で用いられたアステミゾールとの比較から検討してみま した。アステミゾール3nMでhERG電流を62%程度抑制しました。このアステミゾー ル3nMというのは通常用量での血中濃度に相当しますが、本剤は通常用量の時のCma xの5.6倍に相当する15μMでhERG電流を12.1%抑制したにすぎませんでした。ま た、海外で既にこの薬は販売されていますが、QT延長等の副作用が認められていないこ と等を考え合わせ、おそらく添付文書で注意喚起するほどの危険性はないと考えていま す。説明は以上です。御審議の程よろしくお願いします。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。選択的な抗アルドステロン薬ということで の薬品です。委員の方、御意見はございませんか。 ○川西委員 あまり本質的なことではないのですが、これは申請の年月日からすると相当 に年月が経っている。その割にいまの報告を聞かせていただくと、さほどの重大問題がな いような印象を受けたのですが、その辺は差し支えあるようなことは別にお聞きする必要 はないと思いますけれども、何か興味を覚えました。 ○機構 ほとんど同じデータパッケージで、米国でも似たような時期に申請されていて、 やや米国の方が進んでいたわけですが、米国では10数本あった臨床試験のうち、1試験 のみで検討された用法についての1日1回投与と2回投与の比較で、通常用量である 100mgの効果が、1日2回のほうがやや効果が高かったものですから、50mgを1日2回と いう通常用量で先に承認されました。  本品目は海外の臨床試験成績を利用するパッケージでの申請でしたので、その辺の判断 をどうするか、我々だけでなくメーカー側にも、用法・用量をどうしたらいいのかという ところでやや迷いがありました。その後いろいろな精査をして申請者側ともやり取りした 末に、国内臨床試験成績も含めて我々なりの判断で1日1回がいいのではないかと判断を したという紆余曲折があって遅れたというものです。 ○首藤部会長代理 よろしいですか。ほかに何か御質問はございますか。 ○鈴木委員 これもある意味で各論というよりは、少し総論的な一般論かもしれません が、併用禁忌のところにいくつか薬が載っていますね。例えばカリウム製剤、イトラコナ ゾール、リトナビルなど何種類か載っています。逆に例えばイトラコナゾール、リトナビ ルといったものの添付文書に、今回のレスコレブ錠を禁忌にするという指導というか、あ るいはルールというのはないのでしょうか。私の所であくまでもCYP3A4だけなのですが、 すべての禁忌というのを、添付文書を洗いましたら5分の1ぐらいについてそこが乖離が あるのです。片方には禁忌と書いてあるのですが、それが問題とされている薬のほうには 注意であったり、あるいは何も書いていないということがある。そこは対応が必要かと思 いますが、いかがでしょうか。 ○安全対策課長 添付文書の記載の方法ということだと思います。例えばこのような品目 は部会を通過した時点で、相手方の薬のメーカーに指導するというのを基本的な原則とし ていますので、そんなに遅くない時期に反映されるのであろうと考えています。 ○首藤部会長代理 ほか、いかがでしょう。 ○土屋委員 確認なのですが、25mg錠はCYP3A4との併用のとき、開始用量は25からだ と思いますけれども、これは増量はなしだったでしょうか。 ○機構 一応、併用している間は25mgを投与することになっています。 ○土屋委員 増量はなしなのですね。 ○機構 はい。 ○首藤部会長代理 添付文書には分かるように書いてあるのですか。 ○土屋委員 添付文書を見ると「25mgとする」と断定的なので、適宜増減というのはで きないのだろうと思いながらも、ただ、やり得る話なものですからそれを確認したかった のです。もう一つ、通常のほうの用法・用量で「1日1回50mgから投与を開始し、効果 不十分な場合は100mgまで増量する」というところは、現実問題、先ほどのアメリカでの 話もあるわけですが、あえてこれは100mgも1日1回と読まなければいけないのか、そこ はどうぞ御自由にという考え方なのか、どちらなのでしょうか。 ○機構 そこには臨床での判断がやや入る部分もあるかもしれません。ただ、どちらかで 危ないという成績は現在得られていませんし、海外において1日投与量100mgでは1日1 回にしても2回にしても、効果が見られていることもたしかですから、どちらを推奨する というほどのものではないのですが、1日1回が通常というふうには判断しています。 ○土屋委員 そうだったとすると、要するに効果不十分な場合は100mgまでというのは、 あくまで1日1回にかかる言葉として読みなさいという感じなのですかね。そこまで1回 がかかると。 ○機構 国内では1日1回の検討しかなされていませんのでご指摘のとおりなのですが、 1日2回に分けるのは絶対駄目だというところまで踏み込んでいいのかというのは、専門 協議でも議論になり、このような記載になったものです。 ○首藤部会長代理 曖昧さが残るのかもしれませんが、よろしいですか。 ○土屋委員 データを作る側というか、チェックシステムなどを作る側からすると結構そ れは大変な話なものですから、文書がいろいろと読めるのは、ある意味文書だから便利な のですが、システムでやろうとするとなかなか厳しいところがあります。 ○首藤部会長代理 ほかには、いかがでしょうか。それでは議決に入ろうかと思います。 先ほどの説明にありましたように五十嵐委員、鈴木委員、永井委員、土屋委員におかれま しては、その申出に基づきまして議決への参加は御遠慮いただくということにいたしま す。その上で本件について賛否を問いたいと思いますが、承認してよろしいでしょうか。 異議がないようですので本件は承認可ということで結論づけたいと存じます。ありがとう ございました。 ── 西澤委員入室 ── ○永井部会長 それでは議題2に入ります。議題2について機構から概要の御説明をお願 いします。 ○機構 議題2、資料2の医薬品トピナ錠50mgほかの製造承認申請の可否等について、 医薬品医療機器総合機構より御説明させていただきます。  本剤の有効成分であるトピラマートはfructpyranose骨格にsulfamate構造を有する化 合物であり、今般の申請は難治性部分発作を効能・効果とするものです。2006年7月現 在、本剤は米国、英国等102か国で成人又は小児てんかん患者の部分発作に対する併用療 法等で承認されています。  本申請の専門委員としては、資料13に記載されています11名の委員を指名いたしまし た。審査内容について簡単に説明させていただきます。  品質に関しては、審査の過程で記載整備等を行っていますが、最終的に適切に設定され たと判断しました。本剤は室温で保存期間は3年と設定されています。  本薬の作用機序については未だ明確になってはいないものの、電位依存性カルシウムチ ャネルの阻害による興奮性神経系の抑制及びGABA受容体機能増強による抑制性神経 系の増強など、複数の作用機序が複合的に機能することにより、抗てんかん作用を示すも のと考えられています。  毒性に関しては、本剤の炭酸脱水酵素阻害作用に基づく胎児への影響等について確認を 行っていますが、臨床上で大きな問題となることはないと判断しています。  ADMEについてですが、本剤は既存の抗てんかん薬と併用するため、抗てんかん薬と の相互作用について確認を行い、相互作用が認められる薬剤については、添付文書に記載 し、注意喚起を行っています。  臨床成績についてですが、国内では、既存の抗てんかん薬治療では、てんかん部分発作 の抑制が不十分な難治性てんかん患者を対象とした、プラセボ対照二重盲検群間比較試験 が実施され、主要評価項目であるてんかん発作発現頻度減少率は、中央値でプラセボ群 13.70%、本剤400mg/日群で33.40%であり、本剤の投与による有意な発作発現頻度の減 少が認められました。  安全性については、本剤は炭酸脱水酵素阻害作用をもつことから、代謝性アシドーシス、 続発性閉塞隅角緑内障、尿路結石等が認められており、これらの事象以外にも体重減少な どについて注意が必要と考えており、本剤の安全性については製造販売後の調査で検討す ることを指示しています。  なお、海外では、投与開始時の有害事象を防止するため、緩徐な漸増法が主流となって いますが、本邦の臨床試験では検討されていないことから、製造販売後臨床試験を実施し、 その試験成績を速やかに医療現場に情報提供するよう指示すると共に、添付文書の用法・ 用量に関連する使用上の注意に患者の状態に応じて低用量から開始し、増量幅についても 考慮するよう記載しています。  以上の審査を踏まえ、本剤の製造を承認して差し支えないとの結論に達し、本医薬品第 一部会で御審議頂くことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であ ることから、再審査期間は8年間、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、 生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬 事分科会には報告を予定しています。以上です。よろしく御審議の程お願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。御意見等お願いします。 ○土屋委員 少し教えていただきたいのですが、先ほどの漸増していく場合のやり方が、 添付文書の用法・用量に関する使用上の注意に書いてありますけれども、「海外では1日 量50mgで開始し、1週間ごとに50mgずつ増量するなど、開始用量及び増量幅を通常より も低減することで」と書いてあります。我が国の場合は1日1回又は2回の投与で開始す るということで、通常、これで50mgと100mgがあったら50mgずつ足すなどというのは常 識ではなくて、普通は100mg単位で増やすといった感じなのでしょうか。「開始用量及び 増量幅を通常よりも低減する」という言葉で、みんな分かるのでしょうか。 ○機構 こちらの方は国内の第(3)相臨床試験においては1日量を100mgで開始していま す。1週間ごとに100mgずつ増量するという国内臨床試験をしています。その臨床試験成 績をもって、今回の用量・用量の1日量100mgを基本としながら上げていくというところ を規定しているところです。  海外では、この50mgで開始するということをしており、有害事象の低減が認められて いることから、通常、100mgを国内の臨床試験では漸増されていますけれども、今回、こ こは通常用量で、患者の状態に応じて低用量というところを、100ではなく50に下げて いくということで、このような表記にさせていただいています。確かに先生の言われるよ うに、この記載で通常と言われると今の50ということもありますので、文章に関しては 再度確認させていただいて、検討させていただこうと考えています。 ○永井部会長 報告書の47ページに有害事象の表がありますが、プラセボに対してずい ぶんいろいろ高い数字が出ています。このくらいはやむを得ないと考えてよろしいのでし ょうか。 ○機構 本剤の有害事象に関しては確かに先生の言われるとおり、本剤群で80.6%、プ ラセボ群でも58.5%となっていて、プラセボ群よりも本剤群のほうが若干高めに数値が 出ています。しかしながら有害事象としては確かに高めには出るのですが、重篤なものに 関しては、死亡もプラセボ群で1例、重篤な有害事象も本剤群で3例出ておりますが、治 験薬を中止せず回復していることから、特に大きな問題とは考えていません。  この薬剤を使用するてんかんの患者さんの対象層ですが、説明したとおり、既存の抗て んかん薬で治療が不十分な患者を対象としていることから、そのような難治性のてんかん 患者さんに上乗せする、そういった患者対象でもあり、リスクベネフィットを考えると、 発現した有害事象の多くは軽度又は中等度であり、本剤を投与する意義はあると考えてい ます。 ○永井部会長 よろしいですか。 ○土屋委員 もう一つ確認です。当然併用療法ということで、例えばこれはここでの話で はないのかもしれませんが、現場的に言うと片方は長期投与がされていて、これの量を変 えるというので、これだけが単独に投与されてしまうと、表面上はこれだけが単独療法さ れているように見えてしまう場合があります。特に保険薬局ですと自分の所に来ていれば いいですが、そうでなくて来たときに、それは通常なら併用療法でないといけないと書い てあると、これは駄目ですという話にもなりかねない。その辺はアローアンスはかなりあ ると思いますか。レセプトなどで出したときに、その薬局でこれだけが単独で出てしまう ことは形としてはあり得る。患者さんで全部最後のところまで戻れば併用だということは 分かるのですが、個々のところではそれが分かり得ないときに、我々はこう書いてあった ら通常は、併用でないですからというので問合せをかけたりすることになりますが。 ○審査管理課長 御質問の趣旨は分かりますが、それは医療保険における薬局からの錠剤 レセプトの査定の問題であって、併用療法全般にかかる問題ではなかろうかと考えます。 ○土屋委員 別に査定でなくて、処方監査です。 ○審査管理課長 処方監査であれば、それは疑問に思ったら照会するというのが薬剤師法 上、当然の決められた責務であろうと考えているわけです。 ○永井部会長 よろしいですか。 ○五十嵐委員 難治性のてんかんの方たちに使う2番目、3番目の薬ではないかと思いま すが、おそらく長期投与される可能性があります。それで炭酸脱水酵素阻害薬であるわけ ですが、それに関する使用上の注意に、静脈血でいいと思いますけれども、定期的に血液 ガスを調べて重炭酸イオン濃度を測るなど、何かそういう注意書きは必要ないのでしょう か。 ○永井部会長 いかがですか。 ○機構 添付文書の記載ぶりのところですが、今の重大な副作用として代謝性アシドーシ スを示しています。過換気、代謝性アシドーシスと思われるような症状が認められる際に は、重炭酸イオン等を測定するということを規定しています。そういった現状です。 ○五十嵐委員 これは想像ですが、要するに寝たきりの子供などもいると思いますが、そ ういう人たちにいま言われた症状は、たぶんないのではないかと思います。つまりサイレ ントにアシデミアが続いて骨がもろくなったり、あるいは腎臓のことはいろいろ書いてあ りますけれども、そういうサイレントに何か事が起きてからではなくて、予防的に例えば 3か月に1回とか、抗てんかん薬を飲んでいる方たちというのはGOT、GPT、その他 いろいろ副作用チェックをしているわけです。そのときに一緒に血液ガスのようなものを 調べて、重炭酸イオン濃度が下がっているかどうかをチェックしたほうがいいと考えま す。ただし書あるいは注意書きを入れたほうがいいと思います。 ○永井部会長 いかがでしょうか。 ○機構 個々の患者の状態というところに関しては、基本的にはドクターの判断で診てい ただいているところがありますので、その中にそういった検査を加えていただくことは十 分可能かと思います。いま承認の適用対象が基本的に成人であるというところもあります から、そういった訴えはできると考えています。いまの段階で常に定期に3か月というと ころは厳しいかと思いますけれども。 ○五十嵐委員 3か月は言いすぎなのですが、年に1回でも2回でも調べたほうがいいと いうことを、この添付文書の案の2ページからの使用上の注意に加える必要はないかどう かということを、少し疑問に思っています。 ○機構 海外の添付文書等でも、特に定期的な管理というところまでのものの事象は出て いませんので、添付文書の中で書くというのは少し強いかと思いますが、そういう薬だと いうことで重炭酸イオンの測定などに注意しながら測るということをインフォメーショ ンとして提供することは、先生がおっしゃるとおり重要だと思いますので、そういった提 供文書の中にそのようなことを記載する方向で検討させていただきます。 ○審査管理課長 資料の「1.6 外国における使用状況等に関する資料」の9ページを御覧 いただくと、アメリカとイギリスの添付文書が載っています。この左側のアメリカですが、 下から9行目に「本剤による治療中は、血清重炭酸イオン濃度のベースライン値測定及び 定期的測定を行うことが望ましい。」という議論があります。イギリスにおいては一番下 で、「臨床症状に応じて測定等において」とあり、ここには「臨床症状に応じて」という 表現があります。したがって、いま機構から発言があったわけですが、これらも参考にし て再度機構において検討してもらいたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 よろしいですか。よろしければ議決に入りたいと思います。首藤委員、鈴 木委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮いただく ことにします。この件について御異議のある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。 もしよろしければ承認可としたいと思います。御異議ございませんか。ありがとうござい ます。では承認可ということで薬事分科会に報告させていただきます。  議題3に入ります。西澤委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまして、 本議題の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。 ── 西澤委員退室 ── ○永井部会長 議題3について、機構から御説明をお願いします。 ○機構 議題3、資料3、医薬品エスラックス静注1%の輸入承認申請の可否等について、 医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  本剤の有効成分であるロクロニウム臭化物は、オランダ・オルガノン社で開発された非 脱分極性筋弛緩剤であり、今般の申請は麻酔時の筋弛緩、気管挿管時の筋弛緩を効能・効 果とするものです。2006年3月現在、本剤は米国、英国、オランダ、ドイツ等88か国 で承認されています。なお、製剤の販売名につきましては、既承認の医薬品である「エス メラルダ」等と名称が類似しており、リスクマネージメントの観点から変更を求め、「エ スラックス静注1%」に変更されています。また、本剤の濃度表示については、承認後速 やかに全量表示に変更される予定です。  本申請の専門委員としては、資料13に記載されています10名の委員を指名いたしまし た。  審査内容ですが、品質、毒性、薬理及び薬物動態については、特に大きな問題はないと 判断しています。  次に臨床成績について説明させていただきます。国内第II相試験で、本剤の挿管用量は 0.3mg/kgでは効果不十分であり、0.6mg/kgが至適用量と判断されています。国内第(3)相 試験では、筋弛緩の作用発現時間が本剤0.6mg/kgで84.6±29.5秒、本剤0.9mg/kgで77.1 ±27.5秒、対照薬である臭化ベクロニウム0.1mg/kgで125.7±38.0秒と臭化ベクロニウ ムと比較して有意に短く、作用持続時間については、静脈麻酔薬併用時に比べて、吸入麻 酔薬と本剤の併用により、作用持続時間が有意に延長され、この点については添付文書で 注意喚起しています。  安全性についてですが、欧州の一部の国ではアナフィラキシーが多く発現し注意喚起さ れていますが、国内臨床試験では認められておらず、他の海外諸国でも特別な注意喚起は なされていないことなどを考慮すると、現時点で特に問題はないと考えていますが、製造 販売後調査でさらに検討が必要と考えています。また、妊婦への投与が類薬である臭化ベ クロニウムでは禁忌と設定されていますが、本剤の海外での注意喚起の状況、国内での使 用実態等を考慮すると、禁忌として設定する根拠は乏しいと考えられ、妊婦への使用につ いては、慎重投与として記載し注意喚起を行うことが適切と判断しています。なお、妊婦 への投与についても、製造販売後の調査で検討する予定としています。  以上の審査を踏まえ、本剤の輸入を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会 で御審議頂くことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であること から、再審査期間は8年間、原体及び製剤はいずれも毒薬に該当し、生物由来製品及び特 定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬事分科会には報告を 予定しています。以上です。よろしく御審議の程お願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございます。御質問、御意見をお願いします。いかがですか。 アナフィラキシスのことが書かれていますが、これは従来のマスキュラックス等に比べて 多いのでしょうか。あるいはこの程度のものか、記載の仕方をどうするかということです けれども。 ○機構 アナフィラキシーについては、本薬に関して海外の方で特に販売当初、フランス 及びノルウェーなど、欧州の2か国ほどで高めには出ているというところで、そういうと ころは発現リスクが高いとされているのですが、ベクロニウムのほうではそんなに高くは ないというふうな話で出ています。また他の欧米諸国においては発現率もそう変わらない という判断がなされています。 ○永井部会長 添付文書の5ページにあるアナフィラキシーへの注意喚起というのは、こ の程度の記載でよろしいということでしょうか。特にこの辺はこれ以上強調する必要はな いということでしょうか。 ○機構 いまのところ、国内臨床試験でも報告されていないこと、海外及び類薬でもこの 程度の注意喚起というか、ワーニングとしては出されてはいるのですが、同様の注意喚起 ということでこの記載とさせていただいているところです。 ○審査第三部長 アナフィラキシーについてはこういう情報もあるということなので、先 ほど御説明申し上げたとおり市販後の調査を実施し、情報をなるべく収集するということ です。ただ、現時点では、いろいろな結果を踏まえ、添付文書ではこういう記載にするこ とで整理しています。 ○永井部会長 いかがですか。よろしいでしょうか。もし御意見がございませんでしたら 議決に入りたいと思います。この件に関して承認してよろしいでしょうか。御異議ござい ませんでしたら承認可ということで分科会に報告させていただきます。ありがとうござい ました。 ── 西澤委員入室 ── ○永井部会長 議題4に入ります。議題4について事務局から概要の御説明をお願いしま す。 ○事務局 事務局から説明させていただきます。ambrisentanを希少疾病用医薬品と指定 することの可否について、資料4に基づきまして説明いたします。資料4のいちばん上に ある「事前評価報告書」を御覧ください。医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまと めていますので、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について御説明申し 上げます。  品目の名称はambrisentan、対象疾病が肺動脈性肺高血圧症、申請者はグラクソ・スミ スクライン株式会社です。対象患者についてですが、肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺 細小動脈のびまん性狭窄・閉塞による血管抵抗の増大を特徴とする進行性かつ予後不良の 疾患であり、一般的に安静臥位での平均肺動脈圧が25mmHgを超える場合をPAHと診断 されています。PAHはWHOの臨床分類において特発性肺動脈性肺高血圧症、家族性肺 動脈性肺高血圧症、膠原病等の特定の疾患に合併して起こる肺動脈性肺高血圧症等に分類 されていますが、それぞれの肺高血圧症の分類の推定患者数の総数は6,250人程度と考え られ、希少疾病用薬品の指定要件である対象患者数5万人以下を満たすと判断していま す。  医療上の必要性についてですが、PAHの薬物療法に関しては、現在、抗凝固薬、カル シウム拮抗薬、利尿薬等の基礎治療薬に加え、プロスタサイクリン製剤、エンドセリン受 容体拮抗薬及びPDE5阻害薬等が使用されています。そのうち我が国ではプロスタサイ クリン製剤のエポプロステノール及びベラプロスト並びにエンドセリン受容体阻害剤で あるボセンタンの3剤のみがPAHを適用として承認されています。  エポプロステノールは、WHOにおける肺高血圧症機能分類I〜IV度のPAHを効能・ 効果としていますが、効能・効果に関連する使用上の注意に「本剤は他の血管拡張薬で十 分な効果が得られない場合に適応を考慮すること」との注意喚起があり、また国内肺高血 圧症治療ガイドラインでは、I〜II度のPAHにエポプロステノールを用いることは推奨 されていません。ベラプロストはI〜IV度の原発性肺高血圧症を効能・効果としています が、膠原病に伴うPAHは効能・効果に含まれていません。ボセンタンについては(3)〜IV 度のPAHを効能・効果としており、薬物相互作用や肝機能検査値異常等が指摘されてい るところです。  本剤は、海外臨床試験において、WHO肺高血圧症機能分類II度の患者に対して有効性 が示されており、その患者を含めたPAHの治療の選択肢を増やすとともに、ボセンタン 等の既存薬による治療効果不十分な症例や、肝機能検査値異常の副作用等による切換え症 例への使用が期待され、医療上の有用性は高いものと判断しています。  本剤の開発の可能性ですが、海外で実施された第(3)相臨床試験の2試験において、本剤 におけるWHO肺高血圧症機能分類II〜IV度のPAH患者の6分間歩行距離の有意な増 加が認められており、その他、海外におけるPAH患者を対象にした第II相試験及び長期 投与試験においても、本剤の有効性、安全性が示されています。また本剤は米国では希少 疾病用医薬品及び優先審査品目の指定を受け、現在、承認申請中であり、欧州では希少疾 病用医薬品の指定を受け、今後、承認申請が予定されています。以上のことから、我が国 においてもPAHに対する本剤の開発の可能性はあると考えています。  これらのことより、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点を考えると、本 剤については希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しています。御審議のほどよ ろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。 いかがでしょうか。よろしいですか。これは、これまでに認められているボセンタンと比 較してどうなのでしょうか。かなり期待が持てるというふうに考えてよろしいのでしょう か。 ○事務局 ボセンタンのほうは、CYPを介する代謝ということで、薬物相互作用による重 篤な障害があると言われています。肝機能障害についても胆汁排泄に関する肝トランスポ ーターに対する影響があるということで、肝機能障害というのもあります。その点、 ambrisentanについてはCYPを介さない代謝ということで、薬物相互作用はないとされて いますし、また肝トランスポーターに対する影響もないということで、肝機能障害につい てもないのではないかと報告を受けています。 ○永井部会長 体内の代謝動態が違うというところで期待できるということでしょうか。 よろしいですか。もしよろしければ議決に入ります。なお五十嵐委員、鈴木委員、千葉委 員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして議決への参加は御遠慮願うこ とにいたします。この件につきまして承認してよろしいでしょうか。御異議なければ承認 可ということで薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございます。ではその ように進めさせていただきます。 ── 西澤委員入室 ── ○永井部会長 報告事項にまいります。これも順次御説明をお願いします。 ○機構 議題1、医薬品マグネビスト及び同シリンジの製造販売承認事項一部変更承認に ついて報告いたします。資料5を御覧ください。本剤は、ガドペンテト酸メグルミンを含 有する造影剤であり、現在、磁気共鳴コンピューター断層撮影における脳・脊髄造影、躯 幹部・四肢造影の効能・効果で承認されています。今般、日本シエーリング株式会社から、 腹部から下肢までを連続して血管撮影する場合の用法・用量を追加する製造販売承認事項 一部変更承認申請がなされたものです。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差 し支えないと判断いたしました。  議題2、医薬品レビトラ錠5mg及び同10mgの製造販売承認事項一部変更承認及びレビ トラ錠20mgの製造販売承認について、報告いたします。資料6を御覧ください。本剤は、 ホスホジエステラーゼ5阻害剤である塩酸バルデナフィル水和物を有効成分とする勃起 不全治療剤であり、今般、バイエル薬品株式会社より、20mgまでの増量を可能とする用 法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請及び20mg製剤の製造販売承認申 請がなされたものです。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判 断いたしました。  議題3、医薬品オメプラール錠10及びオメプラゾン錠10mgの製造販売承認事項一部変 更承認について、報告いたします。資料7を御覧ください。本剤は、オメプラゾールを有 効成分とするプロトンポンプ・インヒビターであり、現在、胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の効 能・効果で承認されています。今般、アストラゼネカ株式会社及び三菱ウェルファーマ株 式会社より、非びらん性胃食道逆流症の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更 承認申請がなされたものです。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えな いと判断いたしました。  議題4、医薬品グルファスト錠5mg及び同10mgの製造販売承認事項一部変更承認につ いて、報告いたします。資料8を御覧ください。本剤は、ミチグリニドカルシウム水和物 を有効成分とする速効型インスリン分泌促進剤であり、現在、2型糖尿病における食後血 糖推移の改善(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない 場合に限る)の効能・効果で承認されています。今般、キッセイ薬品工業株式会社より、 α-グルコシダーゼ阻害剤との併用療法の適応を追加する製造販売承認事項一部変更承認 申請がなされたものです。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと 判断いたしました。  議題5、医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。資料9を御覧ください。 資料9の再審査確認等結果通知書、L-イソロイシン他18成分、販売名プレアミン-P注 射液です。本品目について、市販後の使用成績調査の成績等に基づいて再審査申請が行わ れ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれに も該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要は ない「カテゴリー1」と判定したものです。 ○機構 議題6の新キットの承認について、報告させていただきます。資料10です。昨 年度承認された新キット製剤は、御覧のとおり13品目7規格となっていて、いずれもプ レフィルドシリンジ製剤です。添付文書及びサンプルは机上に所々置かせていただいてい ます。クリアファイルに入っているものですので御参照ください。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。ただいまの御報告について何か御質問はございます か。グルファストですが、これはα-グルコシダーゼ阻害剤との併用に限るということな のでしょうか。そういう前提としてα-グルコシダーゼを使用して、かつ、効果がない場 合と。 ○審査第三部長 今回は、そのようになっています。 ○永井部会長 そうすると、この添付文書の2ページ目の効能・効果のところで、併用だ ということをあえて強調する必要はないのでしょうか。この程度の文書でよろしいのでし ょうか。 ○機構 通常、併用効能の場合ですと、このような記載ぶりになっていて、ここで言うと (2)になりますが、食事療法・運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用した患者 さんで、十分な効果が得られない場合に限るということです。これをもって併用効能とい うことで記載させていただいています。類薬においてもこのような記載です。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。もしよろしければ、ただいま御報告いただいた事項 につきましては御確認いただいたということにいたします。  その他にまいります。その他の議題について事務局から説明をお願いします。 ○事務局 資料11について御報告させていただきます。1ページ目ですが、これはエン ブレルという製品で、平成17年1月に「関節リウマチ(既存療法で効果不十分な場合に限 る)」を効能・効果として承認されており、承認条件が4点付されています。今回はこの うち「(1)市販後の一定期間については、投与症例について全例を登録して、本剤の安全 性及び有効性を調査するとともに、集積された結果については、定期的に報告すること」 という承認条件に関し、ワイス株式会社よりデータが提出され、機構での審査が終わりま したので御報告させていただきます。  2ページ目のIIの(1)ですが、この提出されたデータについては本剤が販売された平成 17年3月30日から1年間の間に本剤が投与され、6か月間の観察期間が終了した7,091 例が解析対象となっています。  4ページ目の下以降に安全性のことを書いていますが、副作用については3割の患者で 認められています。副作用の発現状況や頻度については国内の臨床試験と大きな違いが見 られなかったとされています。  本剤は、結核や敗血症などの重篤な感染症の発生について注意していただくよう、添付 文書の警告欄などにも記載していますけれども、今回は結核について10例、また肺炎や 敗血症などの感染症による重篤な症状も確認されています。  結核については、事前にスクリーニング検査を実施しても発生している状況ですが、高 リスク患者を同定して本剤投与による結核発症予防するためには、今後もスクリーニング 検査を確実に実施すべきということとされています。感染症については、引き続き重篤な 感染症発生時の注意喚起が必要とされています。  企業としては全例調査終了後も、本剤の使用は原則として関節リウマチ治療に十分な経 験を有し、本剤の特性を十分理解した医師に限るなど、これまでとほぼ同様の対応をとっ ていくこととしています。長期投与の安全性について、結核をはじめとする感染症等の発 現については別の承認条件に基づいて、引き続き特定使用成績調査により検討することと しています。有効性については、特に問題となる事例はありませんでした。  報告書の訂正が1点あります。17ページの下から7行目に「無症候性HBVキャリア 3例」とありますが、これは2例の間違いです。訂正させていただきます。  以上のことから、提出資料の審査の結果、本剤の安全性及び有効性について現時点で特 に大きな問題はないと判断し、承認条件(1)の内容について確認できたものとしていま す。報告は以上です。 ○永井部会長 ありがとうございます。何か御質問はございますか。よろしいですか。よ ろしければ本事項については御確認いただいたということにいたします。本日の議題は以 上ですが、事務局から連絡事項がございますか。 ○事務局 過去の当部会で御審議いただきました品目の承認状況につきまして、報告させ ていただきます。去る3月23日の薬事分科会を経まして、本日配付しています「新医薬 品の承認について」というリストに記した新薬を、4月18日に承認いたしましたので報 告いたします。  なお、次回の部会は既に御案内のように5月28日(月)午後2時から開催させていただ く予定ですので、よろしくお願い申し上げます。 ○永井部会長 それでは本日はこれで終了させていただきます。ありがとうございまし た。 ○事務局 どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 河野(内線2746)