07/04/23 第6回医療施設体系のあり方に関する検討会の議事録について 第6回医療施設体系のあり方に関する検討会議事録             日時 平成19年4月23日(月)15:00〜             場所 厚生労働省17階専用第18〜20会議室 ○企画官 定刻になりましたので、第6回医療施設体系のあり方に関する検 討会を開催します。委員の皆様方におかれましてはご多忙中のところ、当検 討会にご出席をいただき誠にありがとうございます。初めに本日の委員の出 席状況についてご報告いたします。本日は五十里明委員、島崎謙治委員、鈴 木満委員、梁井皎委員、山本信夫委員から欠席との連絡をいただいています。 古橋委員は遅れていらっしゃるようです。また本日ご欠席ですが、千葉大学 医学部附属病院院長の齋藤康委員に代わり、新たな委員として、東京大学医 学部附属病院院長の武谷雄二委員にご就任いただいていますのでご紹介を申 し上げます。さらに事務局に異動がありましたのでご紹介申し上げます。健 康・医業指導・医療安全担当参事官の岡本でございます。  次にお手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表及び委 員名簿の他、次のとおりです。資料1は「これまでの議論を踏まえた整理」 ということで、本日のテーマに関する部分について整理した資料です。資料2 は地域医療支援病院に関する資料です。資料3は「医療連携体制・かかりつ け医、医師確保との関係について」という資料です。資料4は4-1から4-3 まであり「医療政策の経緯、現状及び今後の課題について」という資料です。 ご確認いただければと思います。以下の進行につきましては、田中座長、よ ろしくお願いします。 ○田中座長 皆さん、こんにちは。お忙しい中をお集まりいただきまして、 ありがとうございました。いつも初めに欠席の委員の代わりの参考人の方に ついてお諮りしていますので、今日もそうさせていただきます。規定により 委員欠席の際に代わりに出席される方に関しては、毎回、その日の検討会に おいて承認を得ることによって参考人として出席し、また発言することを認 めるようにしています。本日の会議につきましては事務局からありました欠 席者のうちお三方、五十里明委員の代理として、川崎市健康福祉局医務監の 坂元昇参考人にご出席いただいています。梁井皎委員の代理として、順天堂 大学医学部附属順天堂医院副院長の高崎芳成参考人にご出席いただいていま す。山本信夫委員の代理として、社団法人日本薬剤師会常務理事の飯島康典 参考人にご出席いただいています。このお三方の出席及び発言をお認めいた だいてよろしいですか。               (異議なし) ○田中座長 異議なしということで、お三方も積極的に議論に加わっていた だくようお願いします。早速議事に入らせていただきます。前回まで検討項 目を一渡りフリートーキングしていただきました。大変活発に議論いただい て、議事録を後から見ても、なかなかいい討論ができていたと感じています。  今回からは、これまでの議論を踏まえた資料を事務局に作成していただき ましたので、それを基に更に議論を深めてまいりたいと思います。検討項目 が多岐にわたりますので、全部だと話が拡散してしまいます。そこで今回と 次回の2つに分けて議論をお願いしてはどうかと事務局と打ち合わせました。 今回は「地域医療支援病院」及び「医療連携体制・かかりつけ医、医師確保 との関係」を取り上げたいと存じます。残りの項目の特定機能病院、専門医、 医療法に基づく人員配置標準については、次回ご議論いただくことになりま す。  今回の対象である2つのテーマに議論を移しますが、いずれも相互に密接 に関係しますので、最初にまとめて全体を事務局より説明いただき、その後、 まず「地域医療支援病院」、次に時間を分けて「医療連携体制・かかりつけ 医、医師確保との関係」というふうに意見交換をお願いしたいと思います。 事務局より一括で説明をお願いします。 ○企画官 資料の説明をさせていただきます。資料1をご覧ください。資料1 は、いま座長からもお話がありましたが、これまで一通り議論をいただいた 成果を踏まえ、事務局として本日ご議論いただくために用意させていただい た資料です。「これまでの議論を踏まえた整理〜地域医療支援病院、医療連 携体制・かかりつけ医、医師確保との関係〜」と題しています。  「地域医療支援病院について」ですが、1つ目の○で、地域医療支援病院が 果たしている役割について、紹介患者に対する医療の提供、あるいは救急医 療の提供等は、通常、急性期医療を担う病院であれば一般的な機能であり、 こうした状況を踏まえて地域医療支援病院にふさわしい新しい姿・要件を考 えていくことが必要ではないかとして、地域医療支援病院のそもそもの位置 づけなり性格に関するご指摘をいただいているところです。  「例えば」ということでご指摘いただいた点を2点書いています。今後、 地域の医療連携体制を構築する上で、以下のような役割を果たすべきとの指 摘について、どう考えるかということで、(1)が地域連携をする医療の拠点、 連携に関する情報提供のセンター機能など、こうした役割を果たすべきとの 指摘についてどう考えるかということです。(2)が在宅医療のバックアップ 機能で、在宅医療を応援していく機能を、地域医療支援病院に求めてはどう かということです。  2つ目の○ですが、地域医療支援病院は二次医療圏単位で、その整備につい て考えていくということで進めてきたわけですけれども、実際には二次医療 圏の数に比して多数の未整備の地区がある一方で、複数の地域医療支援病院 が存在する二次医療圏もあるということで、概ね二次医療圏に1つという発 想を改め、地域の実情に応じて整備を図るよう考え直すべきという指摘をい ただいています。これについてどう考えるかということで書いています。  3つ目の○ですが、承認要件のあり方です。「例えば」ということで以下に 4つ書いていますが、こうした項目について、地域医療支援病院の承認要件の 中に位置づけてはどうかという指摘をいただいているところです。これにつ いてどう考えるかということで、具体的には地域の医師確保対策への協力、 在宅療養支援診療所との連携、地域連携パスへの取り組み、平均在院日数の 短縮といったことについて書いているところです。  2頁ですが、紹介率のあり方に関しても議論いただいたところです。いわゆ る門前クリニックの問題への対応も含めて、この紹介率のあり方について見 直しが必要ではないかとの指摘をいただき、どう考えるかということです。 地域医療支援病院を評価するための指標について検討すべきとの指摘があり ましたが、どう考えるかということです。以上が地域医療支援病院に関する 部分です。  2つ目のテーマですが「医療連携体制・かかりつけ医、医師確保との関係に ついて」です。医療連携体制の構築に関する部分ですが、ここでは医療機関 の機能分化・連携を進めていく上では、国民に対してその趣旨・方向性等を きちんと情報提供することが重要ではないかということで書いています。  2つ目の○ですが、今後、医療計画を見直していく中で、医療機能の分化・ 連携を進めていくことになっているわけですが、そのためには地域において どのような医療機能が求められているのか。そうした地域において求められ ている医療機能に対応して、各医療機関が自らの医療機能や、それに応じた 体制をどのようなものとすべきか、判断していくことが必要ではないかとい うことで整理しています。  3つ目の○ですが、こうした地域の医療連携を考えるにあたっては、薬剤の 供給体制を併せて考えていくことが不可欠ではないかということで、ご指摘 いただいている点をここに書いています。  次の項目は大病院における外来診療のあり方です。病院は主として入院機 能を担うべきということについては、概ね議論の中でも一定の方向性がある わけですが、一方で外来診療を行わなければ経営的に成り立たないとの指摘 もあります。病院が入院機能だけで成り立つ形作りが必要ではないかと考え られるが、どのように対応すべきかと書いています。  一方、患者の立場からすると、やはりどうしても病院にかかりたいという 気持ちがある。高機能の病院で正しい診断を受けたいという気持ちが強く、 また診療情報の共有や予約制の導入による待ち時間の短縮、短さ等の点でも 病院の受診に傾きがちではないかということで、こうした大病院志向にも一 定の理由はあるとの指摘がありますが、どう考えるかということです。  3頁で、地域の医療連携を確実に形作ることが、患者の大病院志向にもよい 影響を与えるということです。医療機関の機能分化・連携を図っていくこと によって、患者の流れ、受診の行動等にもよい影響を与えるのではないかと いう指摘です。診療時間についてですが、連携という視点に立って、例えば 休日・夜間等の病院・診療所の診療時間をもう少し地域全体で考えることに より、患者の受診行動によい影響を与えるのではないかということで書いて います。  次の項目は、医療連携体制の中でのプライマリケア及びそれを支える医師 の位置づけ・役割です。かかりつけ医に関しては前回もかなりご議論いただ いたところです。医療部会のまとめとしては、かかりつけ医については身近 な地域で日常的な医療を受けたり、健康の相談等ができる医師として、国民 にわかりやすくその普及・定着を図る必要があるとされているところですが、 その機能・役割については、もう少し明確にしていく必要があるとの指摘を いただいています。  「例えば」ということで、前回、ご指摘いただいた項目を下に書いていま す。(1)から(5)に掲げるような機能・役割が求められるのではないかと考 えられるが、どうかという点です。またその機能を果たすために何が必要か ということで書いています。(1)複数の領域の基本的な疾病に対応しつつ、 患者の病状に応じて専門医、病院等へ適切につないでいくことができるとい うこと。(2)診療時間外においても患者の病態に応じて患者又はその家族と 連絡がとれるようにする。(3)医療機関の機能分化・連携が進んでいけば、 転院等に伴いその都度患者と医師の関係が切れることになるため、患者の立 場に立ってつなぎ止める役割を果たす。こうした役割をどう考えるかという ことです。(4)病院から逆紹介を受けた患者等の術後管理、日常的な保健予 防活動、生活管理等を適切に行うことができる。(5)意識の面では、患者の 生活を全人的に見ていく、ということで書いています。  いま申し上げた(2)に関連してですが、一定の時間までは携帯電話で連絡 がとれる体制の確保、あるいは開業医によるグループ対応も進めていく必要 があるのではないかということです。ただ、そうした時に開業医にどこまで 求めるかについてですが、休日夜間の連絡体制の確保はともかく、そうした 医師の救急対応あるいは診療まで求めることは、診療体制の確保等を考えれ ば難しいのではないかとの指摘がありました。かかりつけ医の診療時間外の 役割としては、あくまで相談機能、振り分け機能が期待されるのではないか との指摘について、どう考えるかということで書いています。  次の項目からが、人間全体を診る総合的な診療を担う医師についての議論 を整理したところです。地域医療を支え、総合的な診療を行う医師の医学的・ 社会的位置づけを明確化することが必要ではないかということです。その明 確化にあたって領域の問題とレベルの問題を含め、医療連携体制の中で総合 的な診療を担う医師をどのように位置づけ、その専門性をどのように考える べきかということで書いています。  そうした総合的な診療を担う医師について、プライマリケア、地域医療の 実地研修などを通じて、専門医師として育成していくことを考えるべきでは ないか。またそうした医師の育成を、大学教育の中で医学教育としてどう位 置づけていくかが重要な課題ではないかと書いています。  こうした総合的な診療を行うことについての修練を、必ずしも十分積んで いない医師が開業する場合に、一定の研修プログラムを経るようなシステム を考えてはどうかという指摘がありましたが、どう考えるべきか。  こうした人間全体を診る総合的な診療に対応できる医師を育てていくには、 その活躍の場というか働く場所というか、そうした総合診療科のような勤務 場所の普及を図るなど、医師のキャリアパスへの配慮が欠かせないのではな いか、との指摘をいただいているところで、それを書いています。  医師確保対策ですが、喫緊の課題として医師不足問題への対応、病院勤務 医の労働環境の改善をさらに総合的に進めるべきであるという点。医師、看 護師その他の医療関係職種の業務を見直し、役割分担等を検討していくこと が必要ではないかということで書いています。  本日はこの2つのテーマに関して、これまでの議論を整理した資料を用意 しましたので、これに基づいてご議論をお願いできればということです。以 下の資料はその関連の資料ですので、簡潔にご説明申し上げたいと思います。 資料2は「地域医療支援病院について」の関連資料です。1頁に趣旨、役割、 承認要件等を書いています。2頁の頭の4をご覧いただくと、承認を受けてい る病院が平成19年3月30日現在、前年度末ですが、153病院となっています。 前年度に比べると39の地域医療支援病院が増えている状況になっているとこ ろです。4頁以降、各地域医療支援病院の設置主体等もおわかりいただけるよ うな形で最新のリストを付けていますので、ご覧いただければと思います。  8頁に、いま申し上げた地域医療支援病院の153について、経年的にどの程 度伸びてきているかの資料を付けています。9頁、10頁が各二次医療圏ごと の整備状況についての資料です。二次医療圏は全国に358ありますが、その うち地域医療支援病院が設置されているのが110で、約3分の1で二次医療 圏が整備されている状況が見てとれるものです。11頁は紹介率の見直しにつ いて、これは平成16年に行った改正の資料です。  資料1でも説明したことと関連しますが、13頁をご覧ください。昨年(平 成18年)の医療制度改革での地域医療支援病院関連の改正内容ですが、1は 地域医療支援病院の管理者の義務ということで医療提供施設、これは在宅医 療を担う提供施設等ですが、その提供者間の連携の緊密化のための支援、あ るいは在宅医療提供者に関するさまざまな情報提供、そうした在宅医療提供 の推進に関する支援を行うことを、地域医療支援病院の管理者の責務として 医療法上に位置づけています。ただ、承認要件という形にはなっていないの で、そうした点についても議論があろうかと思っています。  14頁は現行の医療計画における地域医療支援病院の位置づけです。改正医 療法では、医療計画において、地域医療支援病院の整備の目標を定めること になっています。5の(ア)に地域医療支援病院の整備の目標ということで、 すべての二次医療圏において、かかりつけ医(歯科医)等への支援を通じた 地域医療の体系化と、地域医療支援病院の整備目標について、次の機能及び 地域の実情を考慮し検討を行うとして、位置づけがなされているところです。  15頁は平成10年の通知の抜粋です。実は平成16年の段階で、いわゆる門 前クリニックの問題に関連して一部通達の改正を行っています。紹介元又は 逆紹介先が特定の医療機関に偏っている場合は、地域における医療の確保の ために必要な支援を行うという、地域医療支援病院の趣旨に反するというこ とで対応を求めている通知です。  18頁、19頁ですが、委員からお求めのあった資料を付けています。19頁は 地域医療支援病院における精神科病床の有無等に関する資料です。153病院の うち、精神病床を有する地域医療支援病院が23、精神科外来を行っている病 院が71、地域の精神科救急医療システムへ参画している地域医療支援病院が 17という状況になっているところです。地域医療支援病院に関しては以上で す。  資料3の「医療連携体制・かかりつけ医、医師確保との関係について」は、 前回、この場でご説明申し上げた資料をそのまま用意しているところですの で、説明は省略させていただきます。  関連して資料4についてご紹介します。資料4-1から4-3をご覧ください。 「医療政策の経緯、現状及び今後の課題について」です。資料4-2が本体で すが、本日は時間の関係もありますので資料4-1に基づいて説明したいと思 います。  2頁をお開きください。昨年、医療法なり健康保険法の改正が行われ、医療 構造改革を推進している中で、厚生労働省においても医療構造改革本部(本 部長は大臣)を設けて、制度改革の推進を進めているところです。その中で 総合企画調整部会という事務次官をトップとする関係局長から成る内部的な 組織を設け、さらにその下に地域ケア・療養病床転換推進PT、医療費適正化 計画PT、医師確保総合対策PTと、3つのプロジェクトチームを設けて改革の 円滑な施行のために取り組んできた状況があります。  そうした中で検討を進めていくにあたり、部局横断的に共通の認識を持つ ことが必要なのではないか。さらにこうした医療構造改革に基づいて、これ から各県に医療計画や医療費適正化計画等の作成をお願いするわけですが、 そうした中で、これまでの経緯、現状等も含めて整理したほうがいいのでは ないかという考えに基づき、都道府県職員向けの参考資料ということで整理 して、先週の17日に都道府県会議において公表した資料です。経緯、現状を 整理したということですが、事務局としての考え方なり方向性も少し書き込 んだ形になっています。これを政策として具体化していくには、今後、関係 の審議会、検討会等でさまざまご議論いただく必要があるものですが、そう したことを前提としつつ世の中に示したものです。  4頁をご覧ください。この参考資料の構成を書いています。Iは我が国の医 療提供体制をめぐるこれまでの経緯ということで、昭和23年に医療法が制定 されたところから始めています。IIは我が国の医療提供体制の現状と課題で すが、分野別にみた現状と課題として、病院については例えば病床数の状況、 中小病院が多い状況等を書いています。診療所に関しては有床診療所が減り、 無床の診療所が増えている状況等について書いています。医療従事者につい ては医師をはじめとする医療従事者の数の状況、特に医師の病院勤務につい て厳しい労働環境にあることについて書いています。関係機関の連携では地 域連携パスがあまり普及していない、一般化していないことについて書いて います。後期高齢者については非常に急増するとして、その生活を支える体 制をどうするかが今後の課題であることを書いています。  こうした分野別にみた現状と課題を、患者なり住民の視点から見てどうか ということで、さらに切り口を変えて整理しているのが2の(1)から(4)です。 (1)は医療の情報が少なく、地域の医療提供体制がわかりにくい。(2)は産科、 小児科を中心として地域の急性期を担う医療機関の体制が弱まっている。(3) は夜間や休日など身近な場所での医療に不安がある。(4)は在宅での療養生活 を選択するにしても、基盤整備が十分でない等の事情もあって選択すること が現実には難しい。こうしたことを含めて、それに対してどのような方向で 検討していくべきかをIIIで整理しています。  5頁は、課題、現状認識とその検討の方向性について順に並べて整理してい ますが、具体的には6頁をご覧ください。左側に現状認識(ポイント)とあ りますが、いまも申し上げたように中小病院が多く、病院ごとの特徴が必ず しも明確になっていない。公立病院を中心に医師確保が非常に困難な状況に なっている。病院が、家庭での介護・在宅療養困難な高齢者の受け皿となっ てきた面もある。地域医療連携についても十分でなく住民から見えにくい。 病院勤務医への労働環境は厳しい。診療所の数、診療所勤務医師は増えてい るけれども、患者さんは大病院を選ぶ傾向がある。これから死亡者が増えて いく中で、一人暮らし高齢者も増えるし、認知症の高齢者も増加する。  こうしたことを含めて、右側に濃い緑で4つの検討の方向性を具体的に書 いています。「医療機能の明確化・機能分化・連携・情報開示・IT活用推進」 を進めていく必要があるとして、具体的に点線の中に書いたように、来年か らの医療計画でも4疾病・5事業ごとに地域における連携を図っていくことに なっています。そうした事業ごとに拠点となる病院の明確化を図っていくこ とが必要で、地域医療機関の連携づくりが大切だと書いています。医師にと っても魅力がある、拠点となる病院(マグネットホスピタル)を中心とした 医師のキャリアパス、あるいは医師派遣システムを構築していく必要がある。 医療機関の機能の情報開示を推進していく。これは今年4月から制度化した 部分がありますが、その円滑な運営を図っていく必要があること等を書いて います。  こうした取組を通じ、機能・特徴のはっきりした病院が出てくれば、そこ には大学等からも医師を供給しやすいことになる。あるいは病院の重点化、 集約化、機能の分化・連携を図っていけば、医師を散在させずに24時間体制 をとる病院に集中させることが可能になると考えられます。それがひいては 医師の労働環境の改善につながるということで、こうした取組が総合的な医 師確保対策にもつながることを書いています。  「在宅医療など高齢者の生活を支援する医療の推進」のところですが、老 健施設等地域ケア体制の推進が必要であり、介護保険との連携が大事だと書 いています。特に後期高齢者医療制度に関しては、社会保障審議会の後期高 齢者医療のあり方に関する特別部会のほうでもご議論いただいているところ ですが、そこでご議論いただいているような後期高齢者にふさわしい医療の あり方ということで、ここに書いています。  いちばん下で本日のテーマとも関連しますが、「開業医の役割の重視と総 合的な診療に対応できる医師の養成・確保」という項目を設けています。開 業医に求められる以下のような機能を明確化することが必要ということで、 在宅当番医のネットワークの構築、休日夜間急患センターへの交代出務。時 間外でも連絡がとれる体制。午前は外来、午後は往診といった診療モデルの 普及。24時間体制での看取りを含む在宅医療の対応等。こういったことが、 本来開業医の役割として期待されているのではないかとして書いています。  関連として、在宅で患者さんを診ていただける主治医の位置づけ、開業医 をチーム化していくことが必要ではないか。総合的な診療に対応できる医師 の養成・確保、on the jobでの養成システムを考えていくことが必要であり、 患者を適切に紹介できる医師の養成・確保が大切であるといったことを書い ています。  内容が非常に多岐にわたっていますし、各項目について具体的に政策とし て実現していくためには、これからさまざまな場でご議論いただく内容かと は思いますが、本日のテーマにも関連しますので併せてご紹介しました。説 明が長くなって恐縮ですが、私からの説明は以上です。 ○田中座長 ありがとうございました。資料1に論点、その補足資料として2、 3、4にまとめていただきました。資料1もよく見ると文末が「必要である」 と言い切っているところと、「必要ではないか」と書いてあるところと、「必 要か必要でないかを含めてどう考えるか」と3段階あり、微妙な調整がなさ れています。それにとらわれずご自由に議論していただいて結構です。委員 の方、参考人の方々、是非、2つのテーマについてそれぞれご自分の意見を聞 かせてください。前半の地域医療支援病院について、資料の質問でも結構で すし、早速、ご意見をいただいても結構です。お願いします。 ○武藤委員 地域医療支援病院に関して、この検討会の最初のころにもお話 させていただきましたが、地域医療支援病院も、地域医療計画の見直しに伴 って新たに再定義すべきだということは申し上げていました。基本的には、 新たな医療計画の中に定められる4疾病・5事業の診療ネットワークの中核的 な病院として、地域医療支援病院を再定義していく必要があると思います。 ということは、つまり地域医療支援病院も機能的にいくつかのフラッグを立 てていただいて、その診療ネットワークの中で役割を果たしていくことにな るかと思います。  もう1つは、地域医療支援病院の大きな役割として、ここにもありますよ うに在宅医療のバックアップということになります。特に在宅療養支援診療 所が全国に1万ほどできました。こうした在宅療養支援診療所を具体的にど のようにバックアップするか、その役割が非常に大きいと思います。1つはい ろいろな技術的支援、情報支援、人的な支援も含めて、そうした在宅療養支 援診療所のバックアップ機能です。ツールとしては在宅の地域連携クリティ カルパスのような手法を用いながら、やっていくことが必要ではないかと思 っています。  あと地域医療支援病院は、そうした診療ネットワークの中における情報発 信機能というか、連携情報のデータベースセンターとして、地域の中におけ る各保健医療機関の診療機能のデータベースを構築して、それを適宜発信し ていく。それは保健医療従事者ばかりでなく、患者さんに向けて発信してい く機能であると思います。まとめてみると、地域医療支援病院も、新たな地 域医療計画の中で機能分化していくべきだと思います。  その評価も、これまではざっくりとした紹介率という形で評価していまし たが、これももう少しきめ細かく疾患別の評価とか、特にこの間のアンケー ト調査でもわかりましたが、救急に対して頑張っている地域医療支援病院が 多いですから、そうした救急への評価もあります。例えば在宅医療支援診療 所に対する支援評価とか、そうしたきめ細かな評価も必要になってくるので はないかと思っています。 ○田中座長 役割はますます重要だし、それに合わせて評価の仕方も変える べきだし、総括ではなくちゃんと事業ごと、分野ごとに見ていくべきである 等々言っていただきました。 ○内田委員 今回のこのたたき台と言いますか、これまでの議論をよくまと めていただいたと思っています。この地域医療支援病院に関しては、私は地 域特性というのが非常に大きい話ではないかと思います。既に対応している 153病院に関しても、さまざまな性格を持った病院があるのではないかと思っ ています。それを踏まえた観点から言うと、都道府県あるいは二次医療圏で 地域医療対策協議会というものを設置して、その中で地域特性を十分反映さ せた承認要件というものを考えていく。ですからある程度の大枠は必要だけ れども、そこのところでのフレキシビリティというのはあってもいいのでは ないかと考えています。要するに地域に必要な病院であるというところで、 どういう機能を求めるのかというのをそれぞれの地域で検討していただく。 そういうものも反映しなければいけないと感じています。その中で、特にこ れからは在宅医療をバックアップする機能は必須ではないかと思いますので、 それを何らかの形で評価の中に入れていくことが必要になってくると考えま す。 ○田中座長 地域ごとに承認要件が違ってもいいのではないかとの提案でし た。 ○山崎委員 本日の資料2の地域医療支援病院の精神科に関係する部分です。 半分の病院しか精神科医療に関わっていないというのは、ちょっと少なすぎ るのかなという印象があるのと、あと精神科病院の場合は単科の精神科病院 が多く、そこに30数万人の患者さんが入院しているということで、心筋梗塞 や脳出血など急性の合併症がずいぶんあるわけです。そういう合併症を発症 したときに、受け皿として地域医療支援病院が機能してほしいところがあり ます。その辺は本日の承認要件のあり方の5番目に追加していただけません か。 ○田中座長 ご提案として精神科医療の合併症、急性期症状に対する対応も 地域医療支援病院の役割ではないかとのご指摘でした。皆様方から一渡り、 是非意見を伺いたいところです。いかがでしょう。前の意見を踏まえなくて も結構ですから、どうぞ。 ○西澤委員 内田先生が言われたように、地域特性をよく見ないと駄目だと いうことでは、もう少し資料がほしいと思います。例えばある医療圏が広け れば、そこに診療所はかなりの数があると思います。診療所の中でも在宅医 療支援診療所が数十なり、もしかしたら数百あったとしたときに、1つの地域 医療支援病院がそことの連携を個々にできるかといったら、不可能だと思い ます。それは役割が違うのではないか。  そういう時に、ここに書いてあるような、例えば在宅医療支援診療所との 連携ということになると、もしかしたら地域医療支援病院でなくてもっと別 な病院、例えば私たちが提唱している地域一般病棟のような所ではないかと 思います。そういうことでは地域ごとにかなり違う。そこら辺はもっときめ 細かくしないと、ここで1つの形を作ってしまっても地域の事情と合わない ことになりかねない。そのあたりはもう少し各医療圏ごとの資料を出してい ただければ、ありがたいと思います。 ○田中座長 前にも言っておられましたが、地域医療支援病院が在宅療養支 援診療所を直接支援できるような距離感の場合と、とてもできない数あるい は距離の場合もあるので、地域に応じた柔軟な形がほしい。そのための資料 があればということでした。ありがとうございます。 ○太田委員 歯科医療は、命という点を考えますと極めて遠い位置にあるわ けですが、今日お出しの資料のように高齢者の生活の質の問題、QOLというこ とから考えると、話す、食べるというところで歯科医療がいろいろな形で支 援できると思いますから、またお考えいただければと思っています。当然、 主治医以下の先生方の連携が必要ではありますが、歯科医療としてはそうい うところで、口腔機能の改善によっていろいろな全身状況の改善についての 論文がこのごろ出ていますので、そういったところもご配慮いただければと 思っています。 ○田中座長 精神科だけではなく、歯科についても何か書き込んでおいてほ しいということでした。 ○内田委員 事務局に質問ですが、資料2の8頁で地域医療支援病院が年々 増えていると、昨年からも39施設増加したということですけれども、これに ついての背景というか、何か事務局のほうで分析していることとか、考えて いることはありますか。 ○企画官 具体的な背景までは、事務局としてなかなか分析しきれていない というのが実情ですが、ひょっとしたらですけれども、昨年の診療報酬の改 定の影響が何かあったのかもしれないとは思っているところです。 ○坂元参考人 ある地域医療支援病院の立上げから、行政側の委員として2 年間加わった経緯から言うと、先ほど内田委員からもお話がありましたよう に、病院の規模と地域性によってかなり異なります。例えばその病院が急性 期、高度な医療まで含める場合、いきなりそこから在宅ということはほとん どなくて、実際に苦労するのはその中間的な俗に言う療養型みたいな病院を 探すことで、ほとんどの急性期病院は苦労している。しばしばある行政側へ の苦情は、例えば川崎で地域医療支援病院から紹介された先が八王子とか、 これで本当に地域医療支援病院なのかとの苦情がある。急性期と療養型との 中間的な病院がないということも問題です。  それと国が進めている療養型病床の減少ということが、非常に大きな問題 となっているのが今の地域の現状です。いきなりこの在宅医療というのには 現実的には無理があるように思います。 ○田中座長 実感に基づく大切な点ですね。機能として在宅医療は大切です が、地域医療支援病院との間にもう1つクッションがある場合が多いと。 ○内田委員 かかりつけ医は在宅医療のところと関わってくるので、そこで お話しようと思ったのですが。いまの政策的な療養病床の減少というのは、 もう一方で、そこの所に本来収容されていた人たちの受け皿をどうするかを、 どうしても考えざるを得ないということです。現状では在宅医療にそのまま いくという受け皿が本当にそこにあるのかというと、なかなかそこのところ は厳しいという認識でいます。  ですから、これからは居宅あるいは施設における介護と医療の一体的な提 供といったものを考えていかないと、老老介護であるとか一人暮らしの高齢 者が非常に増えてくるし。現在は110万人弱亡くなるのが、年間166万人と か170万人という数字になってくると、その増えた部分の看取りというのを どこで担うのかを考えた上での施策でなければ、単に数を減らして医療費を 適正化するという話だけではなくて、そこのところの受け皿をしっかり検討 しなければいけないということです。いま坂元先生のご指摘の、地域医療支 援病院から在宅というところへいきなりストレートにいくのではなく、その 中間を支えるところの医療提供体制を検討しなければいけない。 ○島村委員 少し論点が変わってきたのですが、地域性を考慮した中で機 能・役割を明確にするということに関連して話をしようと思います。今まで 各委員の先生からも出ていますが、この資料の整理を見ても地域の中核病院 的な側面もあれば、連携をうまくやっているモデル病院のような側面もある。 求められている機能や役割が今一つはっきりしない。要ははっきりしてほし いということを申し上げたいのです。  医療提供体制や地域性の中で求められる機能・役割が、何としてもはっき りしていないという点で、保険者としては機能や役割がはっきりしていない ものに何となく手厚い点数が付くということが、日ごろどうしても納得がい かない。しっくりしない面であり、そういう意味で地域ごとでもいいのです が、役割と機能を明確にしたほうがいいと考えています。 ○田中座長 高い点数が付くなら、その理由が自分たちに明確になってほし いと、それは当然のご要求でしょうね。 ○山崎委員 承認要件のあり方の1番目で、地域の医師確保対策への協力と ありますが、地域医療支援病院の大部分が公立病院だと思います。公立病院 自体、いまは医師が足りなくて火達磨の状態で運営しているわけであり、そ の中でまた他の所に助っ人を出すということが、果たして地域医療支援病院 にできるのかどうかというのは非常に疑問です。  もう1つ、そういうような状態で、各地域で大病院からへき地医療まで医 師が不足しているという現状があるわけですから、そこのところを抜本的に、 どういう供給システムを作っていくかを検討しないと、こういう報告書で単 に書いても何も解決しないのではないかと思います。 ○田中座長 医師確保については、後段で一渡り議論いただこうと思ってい ますが、地域医療支援病院が機能するためにも必要であるということですね。 ○和田委員 島村委員と同じ視点からなのですが、医療を受ける立場として も、地域医療支援病院とは何なのか、よりわかりやすいものにしていただき たいと思っています。この検討会でも以前、350いくつある二次医療圏のうち で支援病院があるのは3分の1程度で、3分の2にはないのに、今こうして機 能しているということも見なければいけないとか、実際に地域医療支援病院 は遠い所にあるので、現実的には地元の中小病院が在宅など、いわゆる地域 支援を担っているという発言もあったかと思います。  そういう中で、今日いただいた資料4-2の13頁を見ると、この方向性とし て中小病院も在宅療養の支援拠点機能を有するべきだとありますので、同じ 発言になりますが、地域医療支援病院が在宅支援をすることももちろん大事 ですけれども、中小病院の現実的な役割も見た上で、かつ市民にとって地域 医療支援病院というものがわかりやすい形になることを、是非考えていかな ければいけないと思っています。 ○田中座長 ありがとうございます。確かに医療と関係ない方に地域医療支 援病院のことを聞いても、まず答えられないですね。そもそも知られていな いので、それを踏まえて機能をはっきりさせ、病院の支援なのか診療所の支 援なのかわかるようにしてほしいということです。今までの議論で特に答え を求めているわけではありませんが、事務局から特に何かご発言はあります か。 ○企画官 ご指摘は、また議論を整理するときに活かしたいと思います。確 かに地域医療支援病院は複合的な要素を持った病院として位置づけられてい ます。これから医療計画も見直して、4疾病・5事業と言っていますが、その 疾病ごとに地域の連携体制を組んでいくときに、おそらく同じ病院でも疾病 ごとに違う役割を果たしていくことになっていくだろうと思います。  一方で、4疾病・5事業以外にも医療には幅広い分野がありますから、いま、 まさに地域医療支援病院に果たしていただいている役割というのは、引き続 き必要とされるのではないか。そういったことを考えながら、今回の資料を 用意させていただいたところです。事務局としても十分頭の整理がつかない ままに発言していますが、またご議論いただければと思います。 ○武藤委員 基本的には地域医療計画の中における4疾病・5事業の中で、ま た再定義していけばいいと思いますが、1つ問題になるのはがん診療連携拠点 病院との関係です。そことどういうふうに整合性をとるのか。あと二次医療 圏の中で1つでは、機能が4疾病・5事業ありますから、なかなか間尺が合い ませんけれども、それをどのくらいの規模にするのか、そうした議論が必要 になってくると思います。 ○田中座長 がん拠点病院との関係は私も疑問に思っていたのです。これは 何か整理の方向はあるのでしょうか。特になくて我々の議論を聞いて考える ということですか。 ○企画官 現時点では特に整理はありません。 ○田中座長 では言っていただければよろしいわけですね。重要な点ですの で議論を深めなければならないという指摘は私も賛成です。 ○遠藤座長代理 今までの委員の皆様のご意見とほぼ同じ意見なのですが、 地域医療支援病院という言葉から受ける印象、あるいはここに書かれている 文言から言って、大体どういうことをやりたいのかはよくわかっているわけ です。現状を見ても、それが他の一般病院と比べて、どれぐらいそういう機 能が明確に出ているのかよくわからないところもあるわけです。わからない だけでなく実際にあまり差がないというケースもあったりします。  したがって、ここで地域医療支援病院の目的も明確にしていく必要がある のだと思いますが、そのときに1つは、二次医療圏がこれだけありながら1 つもない状況がまだたくさんあるのは、1つの政策を執行していく上での絶対 的な数というか、クリティカルパスのようなものから言えばまだまだ少ない のです。少ないが故に、例えば先ほどの在宅医療支援診療所のバックアップ はできないという議論になるわけです。別に、それは直接バックアップする 必要はないのですが、何を考えても数が少ないというのは1つ問題になる気 がします。  そういう意味で、あまり多様な目的を要件として課すことは、手を挙げる 医療機関から見ればそれほど多くなくなってしまう可能性もありますから、 ある程度目的を明確にして、割とクリアしやすいような要件にしておくこと も必要なのかなと考えます。これは専門の方々から何か意見があるかもしれ ませんが、そこを明確にしてこういう病院なんだと、これをクリアすればで きるんだという形にしていくと、数も少し増えてくるのかなと思います。ち ょっと数が足りなすぎてしまっている感じは受けるわけです。 ○田中座長 ありがとうございます。大切な点で、そもそも厚労省として数 をある程度増やす気があるかどうかです。あるならばミニマムの基準があっ て、それをクリアすれば地域医療支援病院になれますと、その中でより高次 の地域医療支援病院に期待される役割にはこんなものもありますという考え 方があると思います。一応なれる水準と究極のゴールとは幅があり得ますよ ね。そう考えるのか、それとも本当に一部の高度な目標を果たしたものだけ を呼ぶのか分かれるところですが、遠藤先生はもっと数を増やすという点が 重要だということですね。 ○古橋委員 地域医療支援病院が、医療法に位置づけられてから今日までの 経過をずっと見ていると、法の理念とは違う方向で、地域医療支援病院にな るそのことが目的になっている。その背後には診療報酬の点数があり、地域 医療支援病院になることが狙いで、その後、どう地域に連携していくかとい うことになっている。ここに書いてあるような連携ばかりではなくて医療機 器の共同利用とか、そこで機能する医療提供者の研修ということが従来でし た。あと紹介率とかです。  これからは大きく変わっていくのだろうと私は思いますが、地域の中で機 能する医療機関であるならば、各都道府県は、医療計画や地域医療の整備と いう点で役割がかなり明確になりつつあると思います。そういう点では、自 分の県の地域医療支援病院が一堂に会して情報交換したとか、どんな地域連 携をしているとか、過去に一度でも、そういうことについて情報を出し合っ たという事実があるのかないのかだと思います。  私は現実には無理からぬとは思いますが、診療報酬上の点数が目的化して いることが見え隠れしています。資料1の1頁に書かれているように、地域 連携する医療の拠点とか情報提供の拠点など、文字ではいくらでもきれいに 書けることです。あるいは在宅医療のバックアップ機能とか書けますけれど も、それをどう具体的に実像化していくかが大事ですから、そういう点では 都道府県は、自分の県の地域医療支援病院と土俵を1つにして、情報を交換 し状況を把握し合うことも非常に重要と思います。  がん拠点病院と地域医療支援病院と、その県下にある特定機能病院とが今 はてんでんばらばらです。もう1つは在宅療養支援診療所と地域医療支援病 院が一体どう連携しているのか。在宅療養支援診療所の機能の実像というの も都道府県単位に情報を把握して、そういうものを共有し合うということが 非常に重要だと思います。いまは地域医療支援病院になってしまったら、そ れでもう目的は達したから、みんなばらばらでございます。病院同士がどう 連携し合ったり地域にどう噛んでいっているかを、本当に議論したり情報を 集めたことがあるのかといえば、私は大変少ないように思います。  これからは、そういうことについて統制は必要ないと思いますが、都道府 県は統合的に情報のコーディネートをしたり、そこを推進したりする役目を 是非とも担っていただいて、医療機関独自の機能や能力が、より高まるよう な仕組みが要るのではないかと思います。 ○田中座長 大変厳しいご意見です。それぞれ名前が付いたらそれっきりで はないかと、地域でどういう連携をしているか。特に特定機能と地域医療セ ンター、がん拠点とが互いに何かしているのか。それを規制するわけではな いけれど、都道府県はちゃんと情報を共有し公開する義務があるということ ですが、ごもっともだと感じました。 ○内田委員 先ほどからがん拠点病院の話がだいぶ出ていますが、がんは4 疾病の中に入っていますね。 ○企画官 入っています。 ○内田委員 4疾病・5事業の中に入っていますから、がん拠点病院に関して は、その地域におけるがん診療のさまざまな機能を果たしていくという所か ら手挙げをして、都道府県の行政がそれを判断し、厚労省が認可するという 形になっていますから、がん診療拠点病院が地域医療支援病院と機能を兼ね ても全然構わないことになります。これから4疾病の整備の中で、地域にお いて医療提供体制をどうするかを検討していく枠組みの中に入ってくると思 っています。  いま、診療報酬の関係だけで手挙げして、地域医療支援病院の名前をとる と、そういうコストの見返りだけで、あと努力していないのではないかとい う話もありましたが、決してそんなことはなくて、非常に地域において重要 な役割を果たしている地域医療支援病院がたくさんあると認識しています。 ただ、資料2の医療施設について北海道から沖縄まで見てみると、さまざま な規模ですし内容についてもさまざまなのです。本当にがん拠点病院であっ たり、救急も含めて、4疾病・5事業の拠点病院みたいな役割を果たしている 非常に大きな規模の病院もあるし、200床、100何十床でまさに地域の診療所 と密着した形で、紹介と外来と入院の連携を緊密にとっている所もある。こ の辺のところの整理を今後どうしていくのか、私としても地域医療計画の中 での評価と言いますか、見直しというのが必要になってくるのか、ひとから げには出来ないのかという感じもしております。 ○田中座長 「地域医療支援病院」という名前の中に、大きいほうの総合的 なものと、二次医療圏ではなく、本当にもう少し密着した地域でなさってい る所と両方があるし、もちろんその間もあるけれど、そういう整理をどうし たらいいかということですね。 ○藤川委員 先ほど説明のあった資料3の4頁に、「新しい医療計画の考え方」 というイメージの図が出ていますが、地域医療支援病院を考えるときに、こ れらのいろいろな機能をどのように結び付けるかという中で、そこに必要な、 それを結びつける地域支援病院のあり方や、期待されるものというのが出て くることが多いのではないかと思っております。地域医療支援病院に対して 何を求めるかだけでは、そこで考えられる機能というのは作り得ないのです。 むしろ、こういったイメージの医療提供はどういう所に役割分担をしていく のか、その中で地域医療支援病院がどのように機能を期待されるのかという ように、相互の関連で役割機能というものが決まってくるのです。そういっ た論議と連携しながら、地域支援病院の定義なり役割機能なりの論議の収斂 をしていく必要があるのではないかと思います。 ○田中座長 大きい地図の中での位置づけがわかったほうがいいということ ですね。 ○藤川委員 はい。 ○田中座長 ほかにいかがでしょうか。 ○古橋委員 これからは地域との連携が、具体的に非常に重要だとは思いま すが、地域医療支援病院には是非とも退院調整、退院支援、退院計画を具体 的にする部門の必置をお願いします。いま医療法上では、退院支援、退院計 画、退院調整業務というのは努力義務となっております。ただ「地域医療支 援病院」と言うからには、是非ともこの機能を義務的にきちんと持っている、 ということでの推進が要るのではないかと思います。  もう1つ、地域連携パスで、診療報酬で認められているのは、たった1つ です。武藤委員が推進しておられる医療マネージメント学会では、地域連携 パスをこの次の改定辺りでどのように具体的提案をなさるのでしょうか。診 療報酬評価がありますと、インセンティブが付いて、いいことかどうかは別 として、多くの人のそこに向かう努力があろうかと思います。そういうもの が増えることによって、拠点的な地域医療支援病院と地域の医療サービス体 系とが連携することが具体的になりますので、必ず退院調整機能の義務的な 設置と、地域連携パスを1つでも多くお願いしたいと思います。  これは検証されていないと難しいとは伺っておりますが、その数が増える ことが非常に重要なのです。「地域医療支援病院」というからには、現実的 に連携パスを数多く実施していることが具体的な要件にもなっていくことを、 是非期待したいと思います。 ○武藤委員 だんだん分かってきたのですが、連携パスというのは、理論的 には医院内にパスがあって、病診連携あるいは病病連携が必要な疾患に関し ては、すべて作ることが可能です。ある種の疾患では非常に効果があること も確証されております。先ほどのお話にあった退院調整については、リエゾ ン・ナースが是非とも必要です。いま言っているのはリエゾン・ナース、連 携パス、そして尾道で成功したモデルとして退院時ケアカンファレンスです。 この3点セットが地域医療支援病院には必要です。おそらく、これは地域医 療支援病院ばかりではなくて、すべての病院に必要なのでしょうけれど、特 に支援病院には必要だということを強調したいと思います。 ○田中座長 地域医療の連携パスの重要性をお二人から指摘されましたね。 ひと当たりご意見を伺いましたので、次の議題に移ります。もちろん遡って 思い出したら、地域医療支援病院についても、またご発言いただいて一向に 構いません。  次は、医療連携体制・かかりつけ医についてです。いまの話にもかなり関 係しているので、そのために今日一緒にしたわけですが、今度はかかりつけ 医の話が出てきます。それから先ほど山崎委員がご指摘になった、医師確保 の話についても議論をお願いします。  私は1つ事務局にテクニカルな質問があります。資料4で「マグネットホ スピタル」という言葉を使ってありましたね。我々も普通に使いますが、厚 労省の用語ではマグネットホスピタルとはこうだという何か定義があるので すか。 ○企画官 もともと私どもが承知しておりますのは、看護師にとって魅力の ある病院を、アメリカでは「マグネットホスピタル」と呼ばれているという ことです。私どもが医師確保対策を考えていくときに、医師にとって非常に 魅力があって、若い医師が比較的集まりやすい病院についてそれを使わせて いただいて、マグネットホスピタルという形で呼ばせていただいている状況 ですから、定義のあるようなものではなかろうかと思っております。 ○田中座長 魅力のある病院という、一般的な形容詞として理解すればいい ですね。 ○企画官 はい。 ○藤川委員 現在、かかりつけ医ということがなかなか行われていなくて、 これから地域医療連携の中で、かかりつけ医の普及を定着させなければいけ ないわけです。そういったときに医師の方々も、かかりつけ医になることが 極めて重要である、あるいはなりたいという要求を持っていただかなければ いけません。と同時に患者側も、病院に行けば総合的に漏れなく診断・治療 をしていただける、という信頼性があって大病院志向があるのだろうという ところは否定できないわけです。そうではなくて、地域のかかりつけ医にか かって十分信頼に足りると思ってもらうには、役割・機能ということをきち んと整理すると同時に、やはり名称も大事ではないかと思っています。  この資料の中にもあるように、複合的な疾病についてというようになって くると、「かかりつけ医」という名称もさることながら、「総合医」と言っ たほうがステータスとしてより響きがいいのではないかと思います。総合医 ならば単純に頭が痛くても、それは見落としなく、きちんとした診断があっ て、必要ならば病院へ行って検査をするなり治療を受けるなり、そういった 道筋を与えてもらえるのではないかという信頼性も確保できます。たぶん医 師の方々も、「総合医」という名称については、多少魅力的な響きもありま す。総合医がいいと言っているわけではなくて、名称も極めて重要であると 思います。 ○内田委員 かかりつけ医と総合医というのは、ちょっとニュアンスが違う と思います。かかりつけ医というのは、基本的に慢性疾患を中心にして日常 的に接して診療している医師を指します。総合医というのは、一次救急も急 性期も含めた全体に対してゲートキーパー的な働きをするような、何でも診 られる医師ということになると思います。いま医師会のほうで考えておりま すのは、総合医的な役割を果たす医師がもっと育ってほしいし、それに対し ては、きちんとしたスキルアップをしていかなくてはいけないだろうという ことです。また、それに関する診療報酬的な、ある程度の評価も必要になっ てくるかと感じております。  ただ、いまの診療提供体制の中では、機能分化が進んでいて、薬局も別に あるし、検査も動かないし、救急に関して全部夜中まで診るという体制、そ こまで対応するというのは非常に困難です。「総合医」と言っていいのかど うか知りませんが、そういう医師の役割というのは、ここにも整理してあり ましたように、振り分け機能というもの、相談機能というものが重視される のではないかと考えております。 ○和田委員 どういう名称がいいかというのは、まだまだこれから議論が必 要だと思いますが、「かかりつけ医」という言葉は、やはり私も非常に混乱 を招いているように思われますので、何らかの名称変更が必要かと思います。  先日、私の家の近くで皮膚科の先生が開業しました。そのときにポストに 投函されていたチラシの中に、「ホームドクター、かかりつけ医として安心 してかかれるようなドクターを私は目指します」というような文言があった のです。何科を標榜しているのかと思って見てみましたら、皮膚科オンリー でした。いま内田委員がおっしゃったように、この先生にすべての疾患に関 する相談はもちろん出来ないし、誰も期待しないと思うのですが、先生ご自 身は「かかりつけ医」という言葉を使っていらっしゃいましたので、この辺 り、住民の方などはどういうように認識していらっしゃるのかと思いました。  これから診療ネットワークが進む中で、疾患別にかかりつけ医を持つ方も 増えると思われます。いま現在でも40代から60代ぐらいの方で、いくつか の疾患を持っていらっしゃる方は、疾患別にかかりつけ医を持っているので はないかと思われます。ですので「かかりつけ医」という言葉の見直しとい うのは、私もより分かりやすくするために賛成です。  もう1つ、最近「在宅主治医」という新しい言葉も出てきています。かか りつけ医と在宅主治医の違いは何だろうと疑問に思う方もおられるでしょう。 かかりつけ医を持ちましょうということを推進するためには、やはり先ほど 申し上げたように、わかりやすく、こういうものだということが国民全体に 伝わるような言葉を作っていく必要があると思います。 ○田中座長 今までのかかりつけ医、総合医、救急・一次診断、科別の専門 のドクター、さらに在宅主治医というのは、我々も何となくわかったような 気がしていますが、実はそうではないかもしれませんね。大変いいご指摘で す。 ○山崎委員 前回の検討会でもお話したのですが、最近、診療所の開業で、9 時5時の診療所が非常に多くなってきて、準夜・深夜の対応が悪くなってき ています。そういうことで今日の文章にも、「携帯電話で連絡がつくように」 という文言が入ったと思うのです。今日の資料の4-3の4頁に、診療所にお ける時間外の報酬算定回数とか、休日の診療報酬算定回数とか、深夜の報酬 算定回数という資料が入っていますね。年度によってかなりバラつきがある のです。これを見ていると、明らかに平成15年、16年の無床診療所の対応が 極端に下がっているのです。平成14年に比べて、平成15年、16年でどうし てこんなに落ちたのかなと思います。  あと、やはり無床診療所についてですが、「かかりつけ医」という表現を するかどうかは別として、深夜の対応はしょうがないとしても、準夜につい ての対応は昼間の診療の延長線の問題として、やはりその先生がある程度関 与すべきなのかという気がします。 ○内田委員 準夜・深夜の対応ということですが、これは疾患によって全然 違ってくると思います。普段薬を出している慢性疾患の方、生活習慣病の方 とか、昼間診た患者で、薬を飲んでもどうも具合が今一つというのに対する 相談もあるかと思いますが、急性疾患の一次の救急を診療所の医師に求める のは、なかなか厳しい話ではないかと思います。というのは、そういうもの まで求めてしまうと、結局病院を疲弊して開業医という形になった人たちが、 同じことを求められるわけです。病院のバーンアウトを開業医にも同じよう に強いることになりますので、非常に厳しい状況になってくるのではないか と思います。  もう1つは、開業医といえども経営、運営、診療ということで、1人で重責 を担っているわけで、業務は診療以外にもかなり繁忙なところがあります。 ですから、その辺のところも配慮すると、やはり急性疾患に関しては、休日 夜間急患センターなどの機能をしっかり整備することが重要ではないでしょ うか。私が考えているのは、休日夜間診療所というのを行政が設けている所 もありますが、むしろ患者さんの安心ということから考えますと、病院の一 部にそういうものを設置して、病院の機能がある程度使えるような形で運営 するというのが、いちばん望ましいのではないかと思っております。いまの 休日夜間急患診療所というのは、ただ医師が詰めているだけで、実際に検査 や画像診断などはできない状況にありますから、そういうものをバックアッ プするような体制を取りながら対応するということが、いちばん望まれるの ではないか、患者さんの安心にもつながるのではないかと感じております。 ○田中座長 夜間の機能を果たす医療サービスの提供は、医師だけでは不可 能です。病院の医師が全部するとは限らないけれども、場所としての病院の 一部であるということですね。 ○坂元参考人 いま医療や治療という部分に重点が置かれているようですが、 行政側の立場とすると、かかりつけ医の機能の1つとして、現在、国のほう では介護予防という観点から、基本チェックリストを実際に患者さんにやっ て、そこから介護支援事業に結び付けるという機能が、地元の開業医の先生 の非常に大きな仕事になってくると思います。介護予防は、国が非常に力を 入れていると思うのです。ここのかかりつけ医という所に、特定健診が1つ も出てこないということは、やはり考えないといけないと思います。  特定健診はまだ始まっていないのですが、老健法の基本健診を受ける人が 大病院に集中してしまうのです。そうすると、実際の急性期の患者さんを診 なければいけない先生が、通常の健診業務に忙殺されてしまうということが あります。また、実際に我々にくる苦情として、大病院が基本健診を受けて くれないというのがあります。我々としては、こういうことはかかりつけの 先生の所で受けて、年間を通して管理していただくという考え方を説明して も、そこの仕分けがはっきりできていないのです。今後、国は特定健診に非 常に力を入れているということですので、是非かかりつけ医の機能として、 特定健診の受入機能ということを行政として入れていただければ、市民の皆 さんへの説明のときに楽かなというように感じます。 ○田中座長 医政局を越えた問題に関する要求ですね。どういうように書く かは考えてください。 ○島村委員 いま特定健診の話が出ましたので、それに関連します。かかり つけ医の機能のところで、資料1の例えば求められる機能ということで、(1) から(5)までありますね。その中の(4)に関係することです。決まったこ とですので、なかなか明確になってこない中で、我々保険者としては来年か ら義務化される特定健診の中で、特定健診ではなくて、特定健診を受けて受 診勧奨となった加入者がどこの病院に行くか、どこが診療されるかというこ とが、非常に関心事なわけです。いまお話にありましたように、大病院や大 学病院にみんな行ってしまうのでは必ずしもいいことではないと思います。 そういう意味で医療機関の機能分化にも関係するわけですが、保健指導など も含めた長期慢性疾患の治療は、大学病院では行わないで、身近な医療機関 で診療に専念し、保険者と連携しつつ、できるだけ早期に病症が改善してい くことがベストと考えています。  もし、これから機能を明確にしていくのであれば、入れ方は少し難しいと は思うのですが、かかりつけ医に求められる機能の中に、受診勧奨となった 加入者に対して、保険者と協議して改善を図るというような文言を、是非入 れていただきたいのです。保険者として、財政で支援はするけれど直接的な 効率化なり効果に対してあまり関与できないのは、非常に困るなという感じ がいたします。 ○田中座長 健診だけではなくて、健診後の受診勧奨になった方々について、 かかりつけ医の機能を持たせてほしいということですね。 ○島村委員 そのときに「保険者と連携をとりながら」という文言を、強く 出していただきたいのです。 ○飯島参考人 薬剤供給について発言させていただきます。昨年の医療法改 正において、地域の薬局が医療提供施設として位置づけられました。いわゆ る処方箋の発行率が大体55%、私の地域では84%近くまで拡大しています。 それがそのような結果になったのではないかと私は思っております。資料4-3 の18頁の在宅医療の連携のイメージとか、20頁の在宅療養支援診療所のイメ ージの中に、薬局や連携先薬局という文言が入っています。薬局は医薬品の 供給拠点として、休日・夜間の対応、患者の居宅への供給、緩和ケアにおけ る麻薬の供給などの責任を果たすべく、我々薬剤師会としては行動計画を策 定して、全会員にしっかりやりなさいということをやっています。是非、医 薬品供給、それから医療機器や医療材料の供給拠点として、薬局をそのよう な社会資源として是非活用していただきたいと思っております。 ○山崎委員 本日の資料の4頁に、医師確保対策というのがありますね。「病 院勤務医の労働環境の改善をさらに総合的に進めるべきである」と書いてあ りますが、今日の資料にも書いていますように、日本の医師の数というのは 1,000人に2人ですよね。外国だと大体3人ですから、単純に計算しても50% 医師が少ないという現状があるわけです。  また資料の中の勤務医の労働時間を見ますと、60数時間ということで、明 らかに労働基準法を違反しているような勤務を強いられています。しかも当 直やオンコールなどには給与が付いていないということで、労働省と厚生省 がくっついている所が、本当に何をやっているのだという気がしています。 少なくとも医師も人間ですし、家庭もあるわけですから、週40時間働けば勤 務として見なすという労働環境をつくっていかなければいけないと思います。  昨年7月の医師需給のあり方の検討会の報告書で、48時間の勤務を40時間 として計算すると、6万数千人の医師が必要であるという報告書が出ておりま すね。日本の勤務医が40時間で普通に帰って、家庭で子供と遊べるような労 働環境ができるには、どれぐらいかかるのかというタイムスケジュールを、 やはり国としてきちんと示すべきであると思うのです。 ○田中座長 どういう数字になるのかわかりませんが、極めて深刻な状況で す。 ○山崎委員 6万数千人ということは、いま8,000人卒業して、リタイアする 先生方が4,000人で、4,000人ぐらいずつ増えるわけです。そういうことです と2023年に、需要と供給のバランスが取れるというのです。そうすると、こ の15年間は不足したまま頑張らなければいけないのか。  一方では患者さんのニーズとして、3時間3分診療はけしからんとか、医療 安全をきちんと担保しろとか、質も担保しろということがあります。いろい ろな義務づけが増えれば、当然その要求に比例して、果たして1,000人に3 人でいいのかということになります。あるいは、そういう要求をきちんとク リアするには、場合によっては1,000人に4人のドクターが必要になるかも しれないわけです。その辺の考え方をきちんと整理する機会というのを、も う1回つくらなければいけないと思います。 ○田中座長 医師についてはこの検討会以外に、常に考えろというご指摘で すね。 ○和田委員 社会のインフラである医療が、いま崩壊しつつあるというよう なマスコミ等の報道を読んでいますと、先生方が疲労して辞めていくような 状況でいいとは、住民としても決して思っていないと思います。先ほどの内 田委員の発言のとおり、診療所の先生方がきちんと家庭も持って、生活をし ていくというのは当たり前のことだと思います。365日、24時間いつでも1 人の医師に診てほしいというニーズは、国民は持っていません。持っている 方もいると思いますが、多くの方はそういう対応を求めているのではないと 思います。  しかし一方で、やはり病気は365日、24時間いつでも発生するものですし、 診療所が開いている時間だけ病気になるということではないと思います。診 療所が9時から5時までで、日曜日はお休みで、土曜日は半日やっていて、 平日も1日お休みということを計算すると、1週間の24時間のうち4分の1 ぐらいしか開いていないということになります。4分の3の時間は夜間や休日 の急患診療センターに行ってくださいと言われると、何のためのかかりつけ 医なのだろうということが、疑問になるように思います。  今日の資料1の3頁の下のほうに、「開業医によるグループ対応を進める必 要があるのではないか」という記述がありましたね。やはり1人のかかりつ け医の先生にいつでも相談できる、携帯で追い回すということよりも、むし ろグループ対応という形で、複数の先生が常に自分のカルテを共有していて くれて、夜間休日等で緊急に何か相談がある場合には、携帯等で連絡が取れ るとよい。1人ではなく、複数の先生が、自分の状況を把握していてくれる ということでよいのではないかと思います。  市民もすぐに救急車を呼ぶのではなくて、休日夜間急患センターを利用す るなど、一定の努力はすべきだと思います。ただ専門家ではありませんので、 どういうときに救急車を呼んで、どういうときに休日夜間急患センターを活 用したらいいのかという判断ができないので、どうしても救急車を呼んでし まっているという状況だと思います。ですので医学的な知識がない市民に、 どこに行ったらいいのかという判断を求めるのは、非常に難しいことだと思 います。医療従事者の労働環境を考えることが、結果的に住民の医療のニー ズを満たすことにもなると思いますので、そういった両輪を考えていく必要 があると思います。 ○田中座長 整理をありがとうございました。 ○内田委員 一次救急、一次診療に関して、今おっしゃったような体制です と、なかなか難しいところがあるかと思います。これはこの前の検討会の中 でもお話しましたが。いまチーム医療という話もありましたが、見ず知らず の患者さんから「どうしたらいいだろう」という電話をいただいても非常に 困るのです。今は責任まで追求されるような状況にありますから、そういう 中で責任まで問われるという話になりますと、やはり尻込みしてしまうとい うのが現状ではないでしょうか。  先ほども申し上げたように、日ごろ診ている患者さん、あるいは午前中に 診た風邪ひきなどの急性疾患の患者さんで、薬を飲んでもよくならないとい うような方の相談には応じるし、そこで自分の所に来ていただくか、病院に かかっていただくか、どこそこにいらっしゃいという適切な振り分けをする ことまではできます。しかしチームで組んで誰かが対応するという形になっ て、見ず知らずの患者さんが来るようになると、もしそれができないという ことになれば、今度は患者の情報を共有しなくてはいけなくなります。そこ のところで、共有してもいいのですか、あなたの病気に関して皆さんが知っ ていることになりますよ、という状況が許されるのか、あるいはそれが求め られるのか、そこもまた議論していただかなくてはいけないと思います。 ○和田委員 内田委員がおっしゃることは、大変ごもっともだと思います。 一方で医療を受ける側も、見ず知らずのドクターに診てもらうのは、やはり 不安ということもあると思います。その辺りはうまく、こうしたらいいとい う提案は出せませんが、お互いに見ず知らずの医療者に診てもらわないで済 むように、見ず知らずの患者さんを診ないで済むように考えていく必要があ るのではないかと思います。 ○内田委員 そうは言っても、すべて急変した場合に対応できるわけではな いので、それがいまの医療機能の分化と連携だと思うのです。現在、一次救 急に関しては、場所によってですが、休日夜間診療所というのが都会ではか なり整備されて機能していますから、そこでまず診ていただくと。一定の振 り分け機能はそこにもありますし、特にこれからはそこをバックアップする 体制をしっかり取るという意味で、病院の外来の一部にそういうものを設置 して、そこに開業の先生が詰めてサポートするようなシステムを取れれば、 かなりのレベルまでの医療が提供できると思います。その辺の連携が必要に なってくるのではないかと考えます。 ○西澤委員 いまお話を聞いておりまして、我々提供側と患者さん側とでは、 かなりの考え方や情報の違いがあるなと思いました。そこをどうやって埋め ていくかというのが非常に大事だと思いますが、いま言った案で1つ抜けて いるのは、やはりIT化ですよね。要するに、情報というものをどのようにう まく使うかということです。例えばグループ診療をするにしても、すべての 患者さんを初めて診るときにカルテをすぐに見られるかというと、いろいろ 問題があるので、IT化できちんとした情報を作るということは、どこかに書 き込んでいただくと。それが連携する上でのいちばん大事な道具だと思いま す。それと、もちろん我々からすると、診療記録の標準化ということも大事 なので、そこら辺もある程度国レベルで、きちんと進めていく必要があるの ではないかと感じました。 ○田中座長 IT化や診療情報の標準化などは、確かに今日はまだ書いていな いので、報告に向かって大切です。 ○古橋委員 かかりつけ医に関しては、後期高齢者の医療のあり方に関する 特別部会が、基本的考え方を整理して出しました。そこからは「かかりつけ 医」という言葉は、あえて取り去ったというように聞いております。前回、 この場での議論もいろいろありましたが、「かかりつけ医」という言葉は、 人々によって皆とらえ方が違ったり、概念も一致していないという辺りから 多少問題があるので、保険局の基本的考え方の文言からは全部消したという ように聞きました。  本日いただいた資料4-3の3頁は「脳卒中の場合の医療連携体制のイメー ジ」として出されております。これはもうかなり前から出ておりますが、こ のいちばん下にかかりつけ医とはこういうものであるということが、注釈で 入っております。「ここでは、身近な地域で日常的な医療を受けたり、ある いは健康の相談等ができる医師として、患者の病状に応じた適切な医療機関 を紹介することをはじめ、常に患者の立場に立った重要な役割を担う医師を イメージしている」と書かれております。こういう医師はどこに存在し、そ の実像はどのように作られていくのか、どういう人たちが現在日本にいる医 師としてこれを担うのかという辺りについて、私はまず厚労省にお伺いした いと思います。  ここに注釈として書かれているイメージされた医師に国民がどう出会うか が大事で、この図は医療計画の中でもう何回も出て重要ですが、実現できる のかどうか。医療を提供する看護職も医療提供の一員ですが、国民に対して そういうメッセージを送るとか、アナウンスするという役割もあるのではな いかと思うのです。この担う医師としてイメージしている医師は、現実には どういう医師で、どこに在るかを広く伝えていく必要があると思います。 ○田中座長 これは医政局の作った図ですね。 ○総務課長 この資料は私どもの医政局がずっと使っており、「かかりつけ 医」という言葉でずっときておりました。在宅で患者さんがいろいろ変化し て病院に行かれて、また変わられて在宅へ戻ってこられるといった人の生活 全体を面倒みておられる先生も、日本にはいらっしゃいます。この図は、そ ういった典型的な人をイメージして作っているのだと思います。これまでも 「かかりつけ医」という言葉はずっと使ってきておりますので、ここで急に 使わなくするというわけではなくて、使ってきたのだと思います。  また、この施設体系の検討会が去年の夏に始まったときも、「かかりつけ 医」というのがそれまで使ってきた言葉ですから、これについてどう考える のかということで、確かに論点として挙がっているのです。しかし今後はそ ういうものをどういう機能で考えていくのかということを、そもそもの検討 課題にしておりますし、実際に「かかりつけ医」という言葉そのものが、ど うも違和感があるのかなというようにも思っているわけです。  かかりつけ医というのは、確かにこれまでの議論では論点としていちばん 最初にありました。今回も整理をするときに、いちばん最初の検討課題とし て入れているものを全くなくしてしまうことはできませんから、論点として はかかりつけ医というのをご議論いただくのですが、今回はその中身を議論 するときに、あまり「かかりつけ医」という言葉にこだわらずに、そもそも ということでご議論いただきたいので、これまでの議論もできるだけ「かか りつけ医」という言葉を使わずに整理したつもりです。  もう1つ申し上げますと、4-2の資料の本文編でも、全く消え去っているわ けではないのですが、「かかりつけ医」という言葉はあまり出てきません。 ここら辺りは、むしろどういう機能を考えていくのかということを議論いた だければいいということです。 ○内田委員 かかりつけ医という定義については、いまの議論であると思い ますが、いまの古橋委員の、ここに書いてあるような医師がどこにいるのか ということに関しては、同じ医療の現場を担っている看護協会の方からの発 言とはちょっと思えないので、是非とも削除していただきたいと思います。 日本中至る所に、こういう良心的に仕事をしている医師がおります。いわゆ るかかりつけ医の機能を果たしている医師がいます。それに関していまの発 言は、あまりにも失礼です。 ○古橋委員 私自身も診療所で仕事をしたことがありますし、そういう先生 はおられますが、患者さん側から聞けば、そういう人は自分の周辺の地域の 中で、どこへ行ったらいるか分からないという方もいらっしゃいます。また、 夜間・休日はとても大変で、「できないよ」ということで9時5時のビルクリ ニックの先生方もおられます。これから新しい時代の高齢化社会の中で、4疾 病・5事業というものを動かして、それを国民に多く広げていこうとしている 中でこれを出したときに、そういう先生がしっかりいる方もいらっしゃいま すが、いない方もたくさんいるのだという事実を、しかとそういう現実もと らえなければいけないと思います。  もちろん地域の中で家庭医として、ファミリードクターとしてきちんと機 能しておられる方も大勢いらっしゃいます。しかし、そこが不確かな国民も 大勢あるという事実、現実をしっかり見据えなければいけません。そういう 点で私は、4-3の3頁に書かれてあることを国民が見たときに、自分の所だっ たらあの先生というように描ける人がどのくらいいるのだろうか、というこ とを案じております。 ○内田委員 その点に関しては先ほども申し上げたように、医師会の中でも 今後、いわゆるかかりつけ医、総合医という形でのスキルアップというのが 地域で必要になってくる、そういうニーズがあるのだということ、これから 在宅、あるいは超高齢化社会が進んでいく中で、そういう医療提供体制が必 要になってくるというのは認識しておりますので、そういうものに対する具 体的な提案というのを、近々していきたいということで検討しているところ です。 ○田中座長 それは楽しみにしております。 ○武藤委員 この4疾病・5事業の中でかかりつけ医、それぞれの開業医の先 生方も、たぶんすべてはできないと思うのです。脳卒中の連携体制の中に加 わる開業医の先生が、例えばそのまま小児救急をやれるとはとても思えませ ん。ですから逆に開業医の先生方も、4疾病・5事業の中で機能分化をしてい く、という方向性があるのではないかと思います。その辺はいかがでしょう か。 ○内田委員 両方の方向性があると思います。ただ、これまではともすれば 専門医の方向にばかり向いていたという議論があったので、それに対して地 域で総合的に診療するような医師の育成も必要ではないかというのが、臨床 医・研修医制度にも出てきましたし、今後の医師会のあり方として、現在開 業されている先生方の中にも、そういう知識と働きを目指すような先生が出 てきてもいいのではないか、ということで申し上げました。 ○武藤委員 資料1の4頁にもありますが、養成の話で「総合的な診療を担 う医師」という項目が挙がっていますよね。やはり養成のカリキュラムと言 いますか、研修は非常に重要だと思います。私の経験で言いますと、1988年、 1989年に厚労省のプログラムで、ニューヨーク州立大学の家庭医療学会に留 学したことがあります。これはかなり専門性の高いものでした。私はもとも と外科の医者でしたが、家庭医療の中にドボ漬けになりまして、非常に家庭 医療そのものが専門性が高いというように改めて思いました。  中でも大きかったのは、老年医療の研修が非常に充実していました。いま から思うと、CGA(コンプリヘンシブ・ジュリアトリック・アセスメント)と 言って、医師、看護師、栄養士、ケースワーカーなどの各チームが、外来の 段階から患者さんに介入して行うプログラムとか、往診プログラムなどは、 まさに目から鱗でした。いまの一般の初期研修の中でもそうですが、中途か ら開業されるような先生方の研修プログラムも、きちんと確立していくこと が絶対に必要だと思いました。また、いまは各学会でもいろいろな養成コー ス、あるいは認定コースをやっていますから、そうした中で是非とも必要だ と思いました。 ○内田委員 いま、日本医師会では高久先生を座長とする学術推進会議と、 福井先生が委員長である生涯教育推進委員会というのがあります。その両方 が一緒になって、プライマリ・ケア学会や家庭医学会などにも入っていただ いて、カリキュラムの検討を進めているところです。 ○島村委員 我々が保険者としての機能をちゃんと果たしていないという大 反省の下で申し上げます。私はたまたま個人的に、行政の上のほうの考え方 を聞いたこともありますし、医師会の本当に上の方の話も聞いたことがあり ますし、和田委員をはじめ、患者さんというか、国民の話も聞いたことがあ ります。私はこういう仕事を始めてまだ2年も経っていないのですが、普通 の実業界ではもっと考え方が違っても、だいぶ進むような感じがします。  私からしてみれば今日の議論もそうですし、いままでトップの人の話を聞 いたときも、それほど変わらないのです。国民のためになることで、もう一 歩努力をすれば、もうちょっと考え方を変えれば、かなり進むのです。ただ 名前だけでも、今この委員会の中で大議論になって決まらないというのは、 何だか国民本意ではないし、本当に医療のことを考えた議論になっていない という感じがします。確かに供給側の立場もあるし、医療提供側の立場もあ るし、患者さんなり国民の立場もあるし、行政の相対的なマクロで見た立場 もあるかもしれないけれど、なぜこんなに進まないのか。  我々が実業界で事業をしているときは、全く反対の意見でもどこかを取っ て、もっと進むという感じがします。そういう意味では、全体的に何という 名前がいいかは分からないけれども、今日聞いた話も、いままで聞いた話か らしても、もう少し一歩足を踏み出したり、もう一歩我慢したり努力をする ことで、こういう機能が必要ならば進めるという努力が足りていないという 印象があります。 ○田中座長 実業の世界に比べるとテンポが遅いということですね。我々も わきまえなくてはいけないご指摘だと思います。 ○遠藤座長代理 ご議論の中で、大病院における外来診療のあり方というの が議論されていなかったので、一言申し上げたいと思います。大病院の場合、 現状では紹介状がなければ、初診料の選定療養の対象になるということで、 価格によるハードルを設けていますが、こういう文言があるということは、 実態としてはそれがあまり有効に機能していないと言っているのではないか と思います。となると、これを誘導するためにはプライマリケアのところで 基本的にゲートキーピング機能を持たせてしまうか、あるいは価格誘導する かという、この2つしか方法がないわけです。  これはどちらかというと、ここのマターではないのかもしれませんが、紹 介状なしに来る外来を本当に抑えたいというのであるならば、現状のように 初診料だけで抑える、初診料だけを選定療養の対象にするというのではなく て、再診料や検査代などに拡大していくというのが、テクニカル上はいちば ん易しい方法ではないかと考えられるわけです。ここでの議論ではないのか もしれませんが、そういうように思うわけです。  そして外来患者が減ったときに、入院患者だけで採算が成り立つようにす るかというところの議論も、実は一方で非常に難しい問題があるのかという 感じがします。最近はどうかよく分かりませんが、従来はやはり外来のほう が利益率が高いと言われておりました。また外来をたっぷり抱えることによ って、ベッドの回転率を高くするという機能もありますので、外来がぐっと 減りますと、場合によっては病床の利用率が低下する可能性もあるかと思い ます。そこら辺をどうするかというのは、微妙な問題ではあるかもしれませ んが、私はここは短期的には価格誘導によって、対策が取れるのではないか と思っております。 ○山崎委員 いまの件ですが、患者さんが病院に集中するというのは、診療 機能が高いということと、患者さんの自己負担が病院のほうが安いというこ とがあって、これはおかしいと思うのです。診療所のほうが負担が高いわけ です。病院のほうが安ければ、やはり病院のほうに来ちゃうと思います。一 律の価格よりも、病院と診療所で患者さんの負担自体をどうするかというの を、もうちょっと検討しなければいけません。  あと、前々回の検討会でも話したのですが、明らかにその先生の診療が必 要だという再診の患者さんはしょうがないとしても、慢性期の疾患でずっと ダラダラと地域医療支援病院や特定機能病院に通院する必要はないような気 がします。そういう患者さんは地域の診療所の先生のほうに、受診誘導で行 くような診療報酬の体系を作っていくべきだと思います。また、外来で減っ た分を入院基本料などに反映させて、その病院自体が入院医療で経営できる ような仕組みというのを、少なくとも作っていかなければいけないのではな いかと思います。 ○高崎参考人 ただいまのお話に関連することになりますが、私は順天堂医 院で診療をしております。我々が心がけていることは、ご紹介いただいた患 者さんをなるべく帰そうとしているということです。なぜならば、大学の診 療のキャパシティーというものがありますから、一般の先生に診ていただけ る患者さんは、極力帰そうという努力をしているわけです。  しかしながら、特定機能病院というのは非常に専門的な診療をしておりま す。例えば、私は膠原病を専門にしておりますが、そういう患者さんをどこ かに帰そうと思っても、それを診られる一般の医師はそういるわけではあり ません。したがって、いま言われていることを実践するためには、市井の中 にも専門医として働ける方々を育成していくことをしながらやっていかない と、ただ単に点数上の問題で病院の窓口にストップをかけようと思っても決 してそうはなりません。我々自身は非常に専門性のある病気を診ているので、 なかなか適当な紹介先がないという実態があるということも、どうかご理解 いただきたいと思います。したがって、そういうところから制度を固めてい かないと、ただ単に保険上の問題だけでは、問題は解決できません。  それからもう1点。一般の患者さんは大病院を受診する傾向があるという お話もありますが、私が見ている限り患者さんは、必ずしも大きな病院に行 くことをそうは望んでいないと思うのです。やはり自分の周りで優れた医療 を施してくれる医師がいれば、そのほうがうんといいと思っていると思いま す。私は今日初めて参加させていただきましたが、先ほど内田委員が言われ たように、いいドクターは町の中にもいっぱいいらっしゃると思うのです。 ですから1つの情報のシステムを作って、そういう医師を全体で多くの方に 情報提供していくという努力が、かなり大事だろうと思います。  発言する機会をいただきましたので、もう1点。4つの検討の方向性という 最後の所に、医師確保の問題というのがあったのですが、私は視点をもう少 し加えていただきたいと思います。女性の医師に対する問題を考えておかな いと、これから医師を確保していくことは非常に難しくなります。特に在宅 医療を円滑に進めるためには、そういう医師を確保するような場所を提供す れば、そういう方々が仕事ができるためのバックアップをすれば、必ずそう いうところにかかわってきてくれます。言い方は悪いのですが、家庭の中に 多く埋没していらっしゃる女医が、必ず仕事に出てきてくれるという現実が あると思います。私どもの病院でも、看護師もそうですが、働く女性がいか にして働きやすい環境をつくるかということが、非常に大事だと思っており ます。特に在宅医療をやっていくという点において、それは一つ大きく考え ていかなければいけない問題ではないかと感じております。 ○田中座長 いろいろな点をご指摘いただきました。今日の議論では診療所 の機能の中で、いわば入口の総合性の話と、逆にかかりつけ医に戻すときの 専門性の話がありましたが、これらは別な話です。入口で比較的総合的な判 断が何でもできることと、診断が確定して専門性が高い医師も必要だし、夜 間も救急の話もあるしということで、診療所が果たすべき機能も1個ではな いことが、今日の議論でだいぶ明確になりました。また、それだけではなく て、具体的な答えを少し進めないとしょうがないのではないかと叱られまし たので、そういう方向で報告書も作っていきたいと存じます。  大体時間になってきました。皆様から分析的なこと、また提案に属するこ と、いろいろといただきましたので、それらをうまくまとめるように事務局 にご努力をお願いします。資料の要求はごく一部でした。もし可能ならば、 ご準備ください。難しければしょうがないけれど、できるならばお願いいた します。事務局から、次回以降の日程について説明してください。 ○企画官 次回は5月24日の木曜日、16時から7階の専用第15会議室で開 催を予定しておりますので、よろしくお願い申し上げます。正式な開催案内 については、追って発出させていただきます。 ○田中座長 何回か話し合っていますと、話もだいぶ本音で話せるようにな ってきましたので、次回についても今日のように、質問やご意見を自由にお 願いしたいと存じます。それでは本日はお忙しい中お集まりいただきまして、 誠にありがとうございました。これにて閉会いたします。 照会先 医政局総務課 高島 柳田 連絡先:03−5253−1111(内線2519)