07/04/23 第8回福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録 第8回福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会議事録     1 日時 平成19年4月23日(月)10:00〜12:00   2 場所 厚生労働省共用第8会議室(東京都千代田区霞ヶ関1−2−2)   3 出席者 ・参集者(50音順)   石井委員、小川委員、志賀委員、佐藤委員、高井委員、武田委員、中井委員、  原委員、東馬場委員、弘中委員、松為委員、松矢座長、山岡委員、村上委員、  森委員、輪島委員 ・オブザーバー  職業能力開発局能力開発課 三富主任職業能力開発指導官  社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課 矢田企画官  文部科学省初等中等教育局特別支援教育課 水野専門官 ・事務局  岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長、土屋障害者雇用対策課長、  浜島調査官、白兼主任障害者雇用専門官、矢田障害者雇用対策課長補佐   4 議題 (1)福祉、教育等との連携による就労支援の効果的な実施について (2)その他   5 資料 ・資料1「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会」  第1回から第7回までに出された主な意見 ・参考資料1「改正通達のポイント」(福祉施設、特別支援学校における一般雇用に関  する理解の促進等、 障害者福祉施策及び特別支援教育施策との連携の一層の強化に  ついて)   ○座長  ただ今から第8回福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究 会を開催いたします。会議に入ります前に、研究会の委員の交代について報告します。 宮崎哲治委員におかれましては人事異動があり、新たに独立行政法人高齢・障害者雇用 支援機構東京障害者職業センター次長の弘中章彦氏が就任されました。一言御挨拶をお 願いします。   ○弘中委員  東京障害者職業センターの弘中でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。   ○座長  よろしくお願いいたします。また、本日の委員の出欠についてですが、時任委員、松 井委員、原田委員が所用により欠席という連絡を受けております。それでは、本日の議 事に入ります。  前回、事務局から説明がありましたように、本研究会のテーマを3つの柱に分けてお り、今回を含め3回に分けて、各項目毎に議論を深めていくことになっておりました。 前々回は、就労支援機関の今後の在り方について、前回は、就労支援を担う人材の分野 横断的な育成及び確保について御議論をいただきました。本日の議題は、本研究会の総 論に当たる、福祉、教育等との連携による就労支援の効果的な実施についてであります。 議論に入る前に、前回までの議論につきまして、事務局から整理・集約した資料が用意 されております。また、本日の議論に関係する資料が事務局から用意されておりますの で、併せて説明をお願いいたします。それでは、お願いいたします。   ○事務局  それでは、事務局からお手元の資料につきまして御説明いたします。まず、資料は2 種類ございまして、資料1と、参考資料1でございます。まず、資料1のでございますが、 これまで出された主な意見ということで、前回の研究会で出された意見につきましては、 ◎で印をつけて取りまとめてございます。項目毎に取りまとめてございますので、後ほ ど御確認いただければと思います。  それから、参考資料1の方でございますが、改正連携通達のポイントでございます。 これは、福祉と雇用との連携による就労支援のなかで、雇用サイドから福祉、教育への 働きかけの部分を取りまとめた通知でございまして、第1回目の研究会で参考資料とし てお配りした、昨年度の4月18日付けの連携通達を、今回改正したものでございます。 主な改正点は2つございまして、特別支援制度の創設に伴いまして、教育サイドへの働 きかけを強化しているものでございます。それから、もう1つが、チーム支援を中心と いたしますハローワークで実施しております地域就労支援事業を、原則として全ハロー ワークで実施するということで、新しい事業をいくつか追加してございます。内容は大 きく分けて4本ございまして、ポイントの方で御説明いたします。  まず、1つ目の柱としましては、福祉施設における就労支援の現状の把握ということ で、ハローワークからの働きかけの準備段階としまして、ハローワーク管内の福祉施設 の施設支援の状況ですとか、利用者の状況を把握するための現状の把握でございます。  2つ目の柱は、就労支援基盤整備事業の実施でございまして、福祉施設や学校関係者、 特に生徒や保護者を含めて、そういった方々にいかに雇用を理解していただくか、雇用 から働きかけていくものでございまして、新たに特別支援学校の教職員、生徒、保護者 を含めて、就労支援セミナーを実施したりですとか、事業所見学会を積極的に実施する ことなどが追加されております。  それから、3番目の柱としましては、地域障害者就労支援事業の実施でございますが、 これは、福祉や学校から一般就労に結びつけるために、ハローワークが中心となって、 チーム支援で実施していたものでございますけれども、昨年度までは10カ所でモデル的 に取り組んでいたものを全ハローワークで実施するというものでございます。  それから、3つ目の丸の、障害者を対象としたワンストップ相談でございますけれど も、ニーズに応じたサービスが選択できるようにするために、各局1カ所以上のハロー ワークにワンストップ相談窓口を設置するものでございます。福祉事務所の担当者、そ れからハローワークの担当者が相互に連携をして、こうした窓口において就労支援の相 談を実施するということでございます。  それから、最後の4本目の柱でございますが、個別支援を繋ぐための連携の強化でご ざいますが、いろいろな段階で関係機関と連携した支援が行えるように、各支援機関と の具体的な連携の仕方を取りまとめたものでございまして、特に、(1)の就労以降支援事 業者等との連携関係の確立ということでは、これから多数の就労以降支援事業者が事業 を実施することが予想されるなかで、2年後には企業に就職できるように、訓練段階か らハローワークから積極的に働きかけを行うというものでございます。その他、養護学 校ですとか、就業・生活支援センター、ジョブコーチ支援機関等との連携などが取りま とめられてございます。  改正連携通達のポイントにつきましては、以上でございます。   ○座長  ありがとうございました。それでは、教育福祉等との連携による効果的な実施につき まして、意見交換を行いたいと思います。項目を3つに分けておりますので、  1つは、関係機関の役割の明確化とネットワークの構築、それから、2番目に、雇用か ら福祉・教育への働きかけの現状と課題、3番目に、就労支援の共通基盤の整備という、 この3つの柱で今日は議論を進めていきたいと思います。30分間程度ずつ、この3つの柱 で協議をしたいと思っております。  それでは、まず、関係機関の役割の明確化とネットワークの構築ということで、御意 見をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。どうぞ、中井委員。   ○中井委員  中井でございます。本日もまた例によって、議論の活性化のために、少数意見、アン チテーゼといいますか、意見を述べさせていただきたいと思います。何分ナイーブな性 格で、あんまり人に嫌われるようなことを言うのは不得意なんですが、表現力がないの で、時々失礼なことを申し上げるかと思いますが、趣旨、御理解のほど、よろしくお願 いいたします。  1点目は連携の中身、2点目は支援の質であります。  1点目でございますが、そもそも原点に戻って考えてみますと、この研究会といいま すか、福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研究会ということ で、この連携研究会の設けられた理由を考えてみますと、連携が容易でない、あるいは、 連携するには課題があるということだと思います。それは、ある意味で当然のことだと 思います。何故なら、福祉、教育、雇用のそれぞれによって、立つ原理、追求している 価値、支配している思想が異なるのだと思います。目指している方向性ベクトルも異な りますし、利害も一致してはいないわけです。そこのところの、本質的なところを曖昧 にして、むやみに連携を唱えても、無用の混乱、摩擦が生じるのではないかと危惧して おります。何か、ややもすれば、現状のいろんな動きをみますと、仲良しクラブ的に、 表面的には、不適切な表現ですが、野合(やごう)のベクトルというふうなもので動い ているのではないかという危惧を持っております。やはり、障害者就労、雇用の問題の 真の意味での解決という本質を捕まえて考えていただきたいと思っています。  それぞれ目指すところがどのように異なっており、それがどうした方法論で埋め合わ せていくのか、整合性を図っていくのかが課題だと思います。  ある養護学校の校長先生は、就職させるために教育しているのではないとおっしゃっ ていましたし、私も至極正論だと思います。また、福祉の基本は、当事者本人の利益で あって、さらに重い、ニーズの高い人から、優先的に福祉の対象にすべきだという考え がベースにあるべきだと思います。こうしたベクトルは企業の目指すベクトルとは必ず しも全面的に一致はしないわけです。これも当然の話だと思います。企業を支配する原 理は、経済合理性であり、これを崩すと、企業は存在できません。異なる価値観に依拠 しているということは当たり前なんですけれども、あえて例えを申し上げますと、異文 化交流の場合も同じように、異文化同士の相違点を十分に認識したうえでなければ、真 の意味での連携は成り立たないと思います。  それから、私の持論なんですけれども、障害者就労・雇用に関するディスアビリティ ー・困難は、基本的には企業のなかにあると考えております。大変失礼な表現で恐縮な んですが、企業のことを十分理解されていない、福祉・教育分野の方たちが、障害者の 方たちの就労・雇用について、本当に支援できるのかということを心配しております。  企業の在り方にしましても、マーケットプライスというか、非正規雇用型のアメリカ 型とか、バリュー志向で、人材育成を中心に考えた正規雇用の日本型とか、いろいろ異 なっているわけです。そういうようなところも踏まえて、真の相互理解と連携の真の実 現を希望いたしております。  2点目の、支援の質ですけれども、極端な例を申し上げますと、統合失調症やうつ病 の方の説明等を十分に行わずに、安易に就労させて、自殺に追い込んでしまうようなこ とのないように、慎重な対処をお願いしたいと思います。統合失調症やうつ病に罹患さ れた方の10%は自殺されるというお話しも伺っておりますし、自殺者の90%が何らかの精 神障害の診断をされているというお話しも伺っております。お医者さんサイドからは、 繰り返し、何か安易な就労は心配だという声を聞きます。精神科の先生の一部の方は統 合失調症の方については、事前のアセスメントはできないというふうな御意見も伺って おります。難治性の疾病でありまして、予測不可能なところもあるということでござい ます。ミスマッチによる離職とか、職場でのトラブルについては、やむを得ない事態か も知れませんが、精神障害者の方が自殺されるという事態は、企業としては、何として も、極力抑制していただくような支援策をお願いしたいと思います。  以上の認識に立ちまして、4点要望がございます。1つは、就業・生活支援センター に配属される就労支援の担当の方には、やはり企業のことをよくご存知の方、企業で過 去に障害者採用をしていた方とか、安定所で何か障害者の方の担当を経験された方、そ ういう方を考えていただきたい。併せて、生活支援は当然福祉サイドの方にお願いした いと思います。  2点目は、同じように、地域センター配置型、福祉施設型のジョブコーチの方には、 やはり企業で働いた経験のある方、企業の実状を理解している方を当てていただきたい。  3番目は、大学、大学院の教育ですが、一部不正確ですが、職業リハビリテーション の講座は福祉系の系列に置かれていた、あるいは置かれているのではないかと思います けれども、できれば、経営学系統に置くか、あるいは、学際的な研究・教育をお願いし たい。例えば、障害がある方に関する労働力の需給関係はどうなっているのかというふ うなことが、なかなか分かりません。感覚的には分かるんですけれども、数値的にどう なっているのか。フィールドワークに基づく実態把握とか、そういうことに基づいて、 就労支援も必要なニーズのあるところにポイントを当てて、効果的な就労支援をやって いくことが必要ではないかと思っております。  そういうことで、就労支援の数や量を増やすということについては、1カ月前の新聞 にも再チャレンジの記事のなかに、対策の項目も出ておりましたけれども、やはり、質 というところをないがしろにすると、うまくいかないのではないかと思っています。い ろいろ失礼なことを申しましたけれども、ご容赦のほどお願いいたします。   ○座長  ありがとうございました。具体的に、基本的な考え方について、問題提起していただ きました。他にどうでしょうか。  関係機関の役割の明確化という、教育、福祉、就労支援、雇用と、その機関の役割の 明確化とネットワークの構築ということでございますけれども、いかがでしょうか。中 井委員からは、そういう、それぞれの機関等は、拠って立つ理念もいろいろ違う。その なかで共通の連携をどういうふうにつくっていくかという役割の明確化ですけれども、 いかがでしょうか。武田委員、お願いいたします。   ○武田委員  中井委員のおっしゃるように、そうなったらいいなとは思いつつも、実際、現場のと ころにいると、ベクトルがそれぞれ違っているからこそいいと思う反面、では、そのベ クトルを埋めるときにどうしていくかというのをちょっと考えていたんですけれども、 我々自身が一般就労の経験がないなかで、どのようにして障害者の支援をしていくかと いうことを考えたときに、確かに私も経済学部の方でということと、そこで福祉とが一 緒になっていくと、もっといいなと思うのですが、今の時点で、福祉サイドの現場にい る人たちは、中井さんがおっしゃったように、より重度の人たちをという考え方が非常 に色濃くて、それはまた当然のことだと思うのです。より重度の人たちの支援ももちろ ん私たちの仕事なんですが、併せて、働きたいという人たちの支援もとても大きな支援 の1つだと思うのです。昨日も、高次脳機能障害の家族会の集まりに出席したときに、 福祉の専門家の方から自立支援法も雇用促進法も障害者の働くということばかり強調し ていて、重度の人のことをちっとも考えていないというような発言がありました。みん ながそれぞれ違うところを見ていたのでは、なかなかこのネットワークというのはでき ないだろうな。仲良しクラブでそのまま居続けない限り、何をしたらいいのかなという ことをちょっと考えつつやっているんです。要するに、もうちょっと中央での研修もも ちろん大事なんですが、それぞれ、例えば労働局が中心になってネットワークの研修会 はあるんですけれども、ネットワークの研修の中身というのが、労働行政の報告に大体 1時間ぐらいかけているんですね。そういった現状を知ることも、数値的なデータを知 ることも我々は苦手としてきていますので、そういったことはもちろん必要なんですが、 でも、それは事前に配布されて、読んでくることを前提にして参加すれば済むところは かなりありますので、むしろ参考資料1のところにありますように、企業訪問をしたり とか、企業のことをもっと知ろうということがいっぱい書かれてはいるんですが、まだ まだ実際にその研修の中身が脆弱ではないかなと感じております。効果的なネットワー ク構築のためにも、本当に小さなことかも知れないけれども、この参考資料1に書かれ てあるようなことは、もうちょっと実態的に、絵に描いた牡丹餅ではなくて動いて欲し いなと思います。そのために、ではどういうことをやればいいか。東京の方では現場サ イドのいろいろな研修、企業のことを福祉サイドが知る研修が開かれていますので、そ んなことをもっと地方に波及させていただけないかなということを感じています。   ○座長  ありがとうございました。1つは、その領域、機関の違いですね。要するにどこに共 通の焦点を当てていくか。そこもお互いに連携の場合に、双方の役割ということを分か りながら、やっぱり共通の言葉を見つけていくようなことも必要なんだろうと思います。 また、今の研修の中身もかなり具体的な、要するにケースを中心とした連携というよう なことがすぐ学べるような、そういったうまい研修の運び方というようなことが今出さ れております。いかがでしょうか。そういうケース、こんなふうにお互いの違いを違い として認めながら進めていますというような、現場の体験でも結構なんですけれども、 いかがでしょうか。東馬場委員どうぞ。   ○東馬場委員  今、体験というお話がありましたが、私も発表させていただいた西区のネットワーク の中で、中井委員も武田委員もおっしゃっていたベクトルの違いをずっと考えてきまし た。そもそもは、知的障害者福祉法と精神保健福祉法、身体障害者福祉法と法律が3つ に分かれていて、それが今回の自立支援法で1つになりましたが、その定義については、 まだ曖昧で、やっぱりそれぞれの物差しがみんな違うということがわかってきました。 作業所の方、病院のワーカーの方、福祉施設の方、育成会の方、みなさんそれぞれ自分 の持っている物差しが違うということで、ネットワークの会議をやっていると、沈黙の 時間が妙に重いようなことがあります。そしてその重さがなんだろうという話をして いたときに、その打開策になったのが、救護施設の職員の方に聞いた就労支援の話です。 救護施設の中には、いろいろ障害のある方が生活され、活動されているという発表を聞 き、そういうことを救護施設から学ばなければならないという経験をしたのです。  私たちのネットワークを振り返って思うことですが、今回中井委員がおっしゃってい た連携の中身というところは、何度も言うようですが、大きな歴史的なところで、施設 現場、作業所現場とか、労働現場もそうですが、やはり物差しが違うということがある のだと思います。  12月にアメリカのNISHという団体に視察にいきました。重度・中度・軽度の違いにつ いて、アメリカはどう考えているのかと尋ねましたら、アメリカには67種類の定義があ ると言われまして、その団体は7番目の定義を使っているということを聞き、アメリカら しいと思いました。  やはり、労働行政と教育と福祉というものが3つに分かれているというところで、非 常に難しいことだとは思うのですが、就労についての物差しを日本の国の中で共通にし ていくような方向付けも必要でないかと思います。  私も言葉は悪いですが、例えば担当する人の善し悪しによって政策が変わるというこ とではなく、制度としてきっちりと一本のまとまった物を作っていただいて、それに合 わせたマニュアルやノウハウが、それぞれの地域の現場で生かされていくという仕組み になった方がいいのではないかと思いました。  今の時点では、その物差しというものが、現場で非常に気になっているところです。 ○座長  ありがとうございました。他にいかがでしょうか。原委員、どうぞ。 ○原委員  中井さんから重い命題が出されました。先ほど、就職させるために教育をしているの ではないというお話しがあったわけですが、もとより教育の目的は一人ひとりの人格の 完成であると思いますし、一人ひとりのニーズに合わせてという流れで特別支援教育が 動いていると思っておりますが、ただ、公教育の始まりというのは、いわゆる子どもた ちが安全に働けるように、読み書き算盤ですけれども、そうしたものをみんながきちん と学べるようにというのが公教育の始まりです。基本は、人格の完成とともに社会に参 加していくために教育の果たす役割があると思うわけですけれども、そこの大枠のとこ ろを連携の中身として押さえていく必要があると思いますし、社会参加をしていくため に、どう関係機関が役割を持てるかという部分も大切な部分だと思っております。です から、あるライフステージの学歴の部分だけを教育だけが担うとか、または、成人期の 就労場面が一番社会参加をする場面だと思いますが、その部分だけを企業が担うとか、 そういう役割分担というものがぶつ切れのものではなくて、それぞれのライフステージ のところで教育だけではなくて、企業も関わっていただく、それから、福祉も関わって いただく、どれだけの関係機関が壁を乗り越えられるか、単純な役割分担ではなくて、 一人ひとりのニーズに合わせて、壁を乗り越えて、連携を持てるかというのが、今回の 題意だと思っているんですね。その観点でベクトルを合わせていくことが必要だと思い ますので、その違いについて述べていくことは、どこで接点を持てるかのための話し合 いだと思いますので、もう少し具体的な連携の中身で、どういうところで出会うのか、 どういう連携の中身があるのか、そのところに話をもっていかれたらと思っています。   ○座長  そうですね。それぞれ皆さん方が現場をお持ちなので、そういったところでは、例え ば、障害の重さの違いということが話題で出ていますけれども、実際には企業の現場に おいても、障害等級は関係ない、要するにマッチングだということがあったりですね。 やっぱり、そういう具体的な事例が意味を持ってくるのかなと思ったりするんですけれ ども、そういう違いを乗り越えていくときに、共通なところをどういうふうに強調して いくのかというようなことで、役割の明確化と合わせてネットワーク構築ですので、そ の共通の部分でまとめていくために必要なコメントとして、こういうものを入れ込んで いくべきだというような御意見があったらお願いしたいと思うんですが、いかがでしょ うか。志賀委員、どうぞ。   ○志賀委員  今の話のなかで、それぞれの職場がそれぞれの考え、いわゆるベクトルが違うなかで、 連携をしていくということの話を聴いて、以前に報告させていただいた私たちの電機神 奈川福祉センターというのは、そういった面では、いわゆる企業の経験が非常に長い方 が就労支援の現場に約半分いらっしゃいます。その半分の方は、いわゆる作業施設等で の準備訓練をやる担当の方もいらっしゃいますし、既に職場に採用された方の定着支援、 いろいろなフォローアップに出ていらっしゃる方もいらっしゃるということで、そうい った面では非常に先駆的にといいますか、そういう方法で私たちはやっていこうという ことで進めてきた組織なんですが、やはり職場のなかでは、持って生まれた元々の思想 は、福祉現場上がりの人と企業の方とは相いれない部分はどうしてもあります。ただ、 仕事をやっていける理由としては、最後に、よくレベル合わせをしましょうという話を するんですが、誰が次に就労の実現性が高くて、誰がなかなか就労支援が難しいかとい うような問題になると、それについて具体的な現場でずれることはまずありません。そ れは、私たちの1つの社会福祉法人の内部の取り組みですけれども、同じような形でよ り広域でということで、教育、福祉の関係機関も含めて、NPO法人の雇用部会で特例子 会社等を中心とした実習経験をたくさん持ちましょうというのが、やはり非常にいい取 り組みだったと思います。そのなかで、具体的な顔が見えて、人が見えるなかで、支援 機関、あるいは企業、それから学校の進路等の先生と、やはりいわゆるレベル合わせが かなりできてきました。やはり、目の前に見える現実についての見方というのは、実は そんなに外れることはなくて、逆にそういう積み重ねがなくて、いわゆる自治体のなか での連携の就労に向けての会議とかというのは、なかなかそういった積み上がるものが 何もなくて、会議をして、終わって、では、何があったんだろうかというと、なかなか 難しい。やはり、本当に現実的な目の前に見える積み重ねをどうやって積んでいくか、 そういう場をどうやってつくっていくかというのが、本当に大きな課題だと思っていま す。   ○座長  ありがとうございます。松為委員、どうぞ。   ○松為委員  ここの委員のなかには精神障害の専門の人たちはあんまり多くいらっしゃらないので すが、実は、昨日、学会等の関係で、精神障害者関連の4団体、5団体で座談会をやりま して、自立支援法絡みのなかで、一体この後どう展開していくかという話をしたんです ね。そのなかで、精神障害関連の5団体のいろいろなそれぞれの方々、施設の人たちも おりますし、医師会もおりますけれども、福祉、医療を中心にした人たちは、基本的に 就労ということは、特に精神に関しては、一体何だ、自立支援法は就労、就労というけ れども、そんなこと以前の段階で、もっとやることはたくさんあるんじゃないですかと いう意識がどうしても強いですね。私はそれを聴いていて、先ほど中井委員がおっしゃ ったようなベクトルの違いというのをすごく感じるんです。だから、逆にいいますと、 それだからこそ、我々全員が全ての人に対して就労ということを目指すわけではないわ けであって、ただ、いくつか医師会のなかでも、かといって、福祉の側で、今まで特に 精神に関していいますと、あまりに医療との関連で重いものばかり見てきたところがあ って、上の方に行ける人たちをそんなに支援してこなかったのではないかという反省も あったりしますね。ですから、そういったことをみますと、私はやっぱり、そのベクト ルの違いがあることを分かったうえで、我々はどのレベルの人たちを求めていくのかと いうことをきちんと明確にしなければいけないと思うのです。そのときのやり方として、 本当はここの会のなかでも提示された、例えば労働側とか受け入れの事業所側が何を求 めているかという、そこがやっぱり出口の基準としてまず明確に送り出す側の人たちに、 どういう格好で提供するかがすごく大事だと思っています。  例えば、チェックリストもありますけれども、あれも1つの手段でしょうし、ただ、 それよりもやっぱり今、志賀先生がおっしゃったような現場の事業主さんを中心に送り 出す側のいろいろな領域の人たちがどういう格好で、研修とか、埋める機会をつくるか ということが、私はすごく大事だと思っています。ただ、一方では、だからといって、 就職させればいいかという話ではないのですね。むしろ、福祉や教育の人たちと連携さ せていくことを考えたときに、就職した後、どう生活し続けるか、生き続けるか、それ をどういう格好で福祉の人たちも教育の人たちも支えていけるんだろうかと、そこのと ころまでもう1つ発想ができるようなネットワークのつくり方が欲しいような気がするの ですね。  ですから、昨日の話を聴いて、まず最初のとっかかりとして、特に精神の領域に限っ ていえば、再発が大変だ、再発があるから無理しない方がいいといった、そういった思 想にがっちり、どっぷり浸かっている専門家が大半を占めているかも知れないですね。 そういった人たちに対して、事業所も全く違った視点でないんだということを、まず事 業所の実習等を通してきちんと見てもらう。そういう機会をどう増やすかということと、 同時に議論をしていくなかで、就職し続けるということは、単なるお金を稼ぐという世 界だけではないですよということ。そういうことをどのようにして教示をしていくか。 つまり、働くことを通して人生をどう生きるかということが大事なんですよという、そ このところの思想をディスカッションなり、そうしたものを通してつくり上げていくこ とがすごく大事だと思っています。  特に精神の場合ですと、就職ということよりも、やはり働くということは社会参加と いう意識がすごく強いような気がしますね。それは専門家の送り出す側の人たちもすご く意識しているわけですね。ですから、私はベクトルは違うのは分かったとしても、そ れを突き合わせて1つの方向へ持っていく手だてというのはもうちょっと具体的な方法 を考えていけば、多分あるのではないかという気がいたします。以上です。   ○座長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。やはり就職した後の暮らしとか、あ るいは、更なるキャリア形成、生き方というような、そこにもう1つの連携があるので はないかという御指摘でございました。どうでしょうか。小川委員、どうぞ。   ○小川委員  ベクトルの話が続いているので、少しだけそれに関して発言をさせていただきますけ れども、私はベクトルの違いはあるのですが、それを合わせていく、調整していくこと については、比較的ポジティブに考えております。そうですね、5年ぐらい前だと、明 らかにベクトルが違って、うまく噛み合わないという雰囲気がありましたけれども、こ こ1、2、3年ぐらいのなかで、企業の側と、福祉をベースにした就労支援の側が、うま く噛み合って仕事をするという実践が動き始めているので、確かに現状としてはなかな かうまく噛み合わないところの方が多いのかも知れませんが、そういう実践が動き初め ていることで、これはいけるのではないかという実感を持っております。やはり、うま く実践が動き始めた要因の1つは、一緒に仕事をする、企業の現場のなかで一緒に仕事 をさせていただいて、企業側のいろいろな問題について、教えていただくということだ ったんではないかと思います。そのきっかけが、別にジョブコーチというこの言葉に拘 るわけではないんですが、企業のなかに支援者が入って、一緒に支援をする。そして、 一緒に問題を解決していくということにあったのではないかと思いますので、少し時間 はかかりますが、そういう実践を積み重ねるなかで、うまく噛み合うことが増えてくる ことを期待しております。ただ、勘違いしがちなのが、そうやって実践がうまくいくよ うになっても、大手の企業をサポートするためのノウハウと、それから、地域の小さな 企業をサポートするためのノウハウというのは違ってまいりますので、うまくそこの企 業のニーズと、支援機関の力量の噛み合わせというのが必要なんだと思います。  現状では、大手の企業をサポートできる支援機関というのが非常に少ないのが実状だ と思いますので、そこで、特に大企業の方たちが、大企業の実状を踏まえた支援をして くれるところが少ないというふうに感じられているのは、もっともではないかと思いま す。ただ、やはりハローワークと障害者職業センターだけですと、先ほど支援の質とい うことがございましたように、かなり細かい支援をしていくには、マンパワー的にもい ろいろなシステム的にも十分ではないと思いますので、やはり、全国の就業・生活支援 センターがある程度の規模の企業をサポートしていけるだけの就労支援の専門機関とし て機能できるような体制づくりが必要なのではないかと考えています。以上です。   ○座長  ありがとうございました。それでは、ネットワークの構築も結構ですが、雇用から福 祉、教育への働きかけの現状と課題という2番目の柱の方にも入っていきたいと思いま す。企業あるいはハローワークといった雇用の方から、教育、福祉への働きかけについ てということですが、いかがでしょうか。輪島委員の方からどうでしょうか。   ○輪島委員  今までの話とそれほど違いがある話ではないのかも知れませんが、共通認識として、 物差しが違うということは、多分コンセンサスが得られる話だと思います。それぞれの 持っている物差しが違って、ベクトルの方向性も違って、長いベクトルもあるし、短い ベクトルもあるということなのでしょうけれども、そのなかで、違いは違いとして認め つつやるのか。または、やっぱり物差しもベクトルも合わせて、合わせるところまでは しっかりやった上でやるのかという、方法論の違いはあると思うので、それはどちらか でやるということを決めなければいけないんだろうと思います。  そのなかで、前回も申し上げましたけれども、雇用の場、つまり、雇用のところから どういうふうに見るのかということになれば、障害者の雇用全体の、前回はグランドデ ザインというように申し上げましたけれども、達成するためのターゲットをはっきりさ せるということが、まず大事だろうと思います。1.8%に達成するためには8万人足りま せん。つまり、現状の1.52%と1.8%の差は8万人だとすれば、その8万人をどのような手 法で就労の場を企業は提供し、支援はどういう支援をするのか。そして、教育はそのた めの前段階で何をするのかというところは、ベクトルは合わすことはできるんだろうと 思います。  その点を、大きな課題とは別に、グランドデザインが大きいのか小さいのかよく分か りませんが、障害者の雇用全体の雇用のステージをどういうふうに見るのかというデザ インは、多分必要で、それについては、是非、方向性は合わせて、手法と政策を合わせ るということは必要なんだろうと思います。全部を合わせるということもできないでし ょうし、例えば、精神の問題は松為先生がおっしゃったように、精神は医療との兼ね合 いが大きいわけなので、そのノリを全部合わせるということも難しいでしょうし、知的 のところでも、全員が働くということを目指しているのでは当然ないので、その部分の なかの、少なくとも就労を目指すというところのエリアがどういうところなのか。その エリアのところに何の施策を使って、例えば、トライアル雇用を使うのか、委託訓練を 使うのか、ジョブコーチの制度を使うのか。そのジョブコーチの制度であれば、中井委 員がおっしゃったように、企業側のセンスを持った人が何人必要なのか。そういうよう なことが必要なのではないかと思います。  雇用の方からということになると、個別の企業で、不足数ということがあるのかも知 れませんが、個別にどういう支援が欲しいのかというのが、そのグランドデザインのな かから、どういうものが出てくるかというのは、個別の件で、小川委員がおっしゃった ように、大企業のニーズ、して欲しいことと、中小企業でやらなければいけないところ と、それから、雇用率の達成率の関係からいうと、1人不足なのか、2人不足なのかとい うところでのニーズの違いというものが出てくるというふうには思っています。 ○座長  ありがとうございました。かなり具体的なそういうグランドデザインといいますか、 1.8%を達成するというなかでの具体的な目標とか、方向性、ネットワークの課題をはっ きりさせていくという御意見であります。他にどうでしょうか。今日の資料で3ページ 目ですか。雇用から福祉への働きかけということで、5点ほど出ておりますけれども、 いかがでしょうか。どうぞ。   ○佐藤委員  まず、この雇用から福祉、教育への働きかけというテーマの設定ですが、これはもち ろん現在の教育、福祉分野で就労なり雇用に対して、なかなか十分な理解がなされてい ないという意味で、雇用側あるいは企業側からのニーズや要請をできるだけ福祉、教育 サイドに浸透させていきたいというテーマであると思います。それは全くその通りだと 思いますので、そういう意味では当然雇用サイドから福祉や教育関係機関への働きかけ は大事だと思いますが、同時に例えば福祉や教育機関で持っているニーズや、あるいは ノウハウを、逆に企業側なり雇用サイドの方にフィードバックさせるというルートもや はり大事なのではないかという気がいたします。  実際に、企業が障害者の方を雇われるときに、うまくいっているケースを見ますと、 必ずしも企業側で、最初からこういう人材が欲しいということで、そのような人材だけ を採用しているのではなくて、むしろ障害のある人を何とか自分のところで受け入れた いということを前提にしたときに、では、どういう受け入れ方があるかということで、 いろいろ検討していただいて、それで受け入れられているというケースもあるのではな いかと思います。そういう意味では、多少抽象的な言い方になりますけれども、雇用か ら福祉、教育への働きかけという一方通行だけではなくて、福祉分野の、例えば障害者 の方が持っているニーズ、つまり、こういう形で働きたいとか、こういう形で力を発揮 したいとか、あるいは、企業のなかで能力を発揮していく上で、こういう仕組みが欲し いといったようなニーズを汲み上げることができるようなルートも必要なのではないか と思います。雇用から福祉、教育への働きかけという、タイトルに捕らわれてしまって 恐縮ですが、当然、事務局の方も、そうしたことを含めて考えていらっしゃると思いま すが、少し気になりましたので、発言させていただきました。   ○座長  ありがとうございました。他にいかがでございましょうか。はい、武田委員。   ○武田委員  今の佐藤先生の御発言で、あ、そうなんだということがちょっと分かったんですが、 就労移行支援なんですけれども、これまでが施設外授産という形であって、何れは県の 方がやるといわなければ我々としてはできなかったものですが、この就労移行支援がで きて、それこそ、非常に企業のなかに入りやすくなったんですね。ちょうど4月から始 めたんですけれども、ホテルのなかで、昼間の会合のところのセッティングとか、接客 とか、最後の片づけとかという3時間半、休憩を入れて4時間の仕事なんですが、企業の 方も最初はうまくいくだろうかと思いつつも、その全ての責任が我々の側にあるので、 駄目だったら何時でもやめるよという話を前提に置きつつやって、私たちもその就労移 行という、ことで、やり易いというか、何と言っていいか分からないのですが、もしそ の企業で駄目だったときは、他を探せばその人たちの、というところもあって、可能な 限り続けるようにということを置いたなかでやってみたんですが、企業の人がイメージ する障害者と、実際に目の前に来た5人の人が、とても大きく違っていたようでして、 それがプラスだったんですね。こんなに働けるとは思わなかった。それも、ちゃんと制 服もちゃんと貸与されて、知的の精神の方と5人一緒にやっているんですけれども、そ の企業のなかにどう入り込んでいくかということと、企業の人がどう受け入れていただ くかということが、今度の就労移行というのがすごく使いやすくなったというのを感じ ていまして、これだと、地方の小さい企業でも入り込めるなという、実習という感覚だ となかなか難しかったのが、就労移行でそこを訓練の場にしながら、かつ、実践の場と いうことで、面白いなと思いました。是非、このようなのがちょっと積み重なると、い ろいろな事例として、雇用と福祉とが連携する1つの穴埋めの作業ができるのかなと感 じました。ちょっと佐藤先生のお話しを聞いて感じたことです。   ○座長  ありがとうございました。具体的な就労移行の実習の段階とか、そういうところで企 業側と福祉側の考え方がすり合わされて、一致していくというような、実際的な場とい うことで、就労移行支援事業の意味みたいなことについて言及していただいたわけです けれども、他にどうでしょうか。職業センターの方からいかがですか。弘中委員、どう ぞ。   ○弘中委員  やはり事業主のニーズをどのように捉えていくのかということが、一番大事なポイン トではないかと思っています。そういうなかで、いろいろな実践を積み重ねて、ベクト ルの違うところをすり合わせをしていくということで、職業センターでは、職務試行法 や、ジョブコーチの雇用前支援を通しながら今やっているところです。東京センターの 場合、今後、中小企業に対する支援をどう強化していくかというのが課題になっており まして、今から進めていこうというところでございます。様々なニーズがございますの で、それにどう応えていくかということで取り組んでいるところです。   ○座長  ありがとうございます。高井委員、どうぞ。   ○高井委員   さっき、輪島委員が企業はどうあるべきか、それから、福祉はどうあるべきかとい う辺りで、私は、福祉が雇用を考えるときには、一番考えやすいのは、就労移行支援事 業をうまく活用して移行することだと思っております。ただ、とても危惧するところは、 この4月に就労移行支援事業者はもう2,000カ所以上になっているというなかで、つい先 だっての研修会のなかで、会場にいた人が、就労支援の経験はないが2年間だけでも報 酬単価が高いから就労移行支援事業を申請しているということでした。こういう事業者 は、多分私は1,500カ所ぐらいあるんではないかなと思っています。私的な意見ですが、 人口30万人ぐらいで1カ所、障害者就業・生活支援センターと就労移行支援事業者があ れば、しっかり育てて、そして企業に送り出していくということができるのではないか と思っているんですけれども、今、こんな状況で、筍のように出てきてしまった就労移 行支援事業者をいかに育てていくかということを、きちんと押さえておかないと、こう いう議論にはならないと思うんですね。雇用の場にいかに送っていくかという辺りは、 今、法律が変わったなかで、精いっぱい就労移行支援事業者をいかに育てていくかとい うところに力点を置かないと、雇用の中身は非常に低下してしまうし、企業から拒否さ れるのではないかと、思っております。  そして、さっきネットワークの話が出るなかで、就業・生活支援センターの役割に高 く期待をされているわけですけれども、顔の見える地域でということを思ったときには、 ハローワークさん、そして職業センター、それから就業・生活支援センターというなか では、それぞれ物の見方やベクトルの違いはあったとしても、その違いを認めながら、 1つのケースを通してしっかり役割分担をしながら支えていくということはできつつある と感じておりますし、その他の社会資源の開発も含めたコーディネーター役を就業・生 活支援センターが担っています。ただ、それが広域になると、なかなか徹底できていか ないというなかでは、顔の見える地域でしっかり日々の活動を通してチームケアのでき る関係を育てていくということを、もう一遍きちっとすべきではないかと思っておりま す。  しかし、一方で、就業・生活支援センターの役割なんですけれども、先だって第7回 の委員会のまとめを読ませていただいても、就業・生活支援センターの果たす役割はと ても大きいと書いていただいて、その期待の大きさと責任の重さを感じております。た だ、中井委員がおっしゃったように、全国の就業・生活支援センターをみた場合、レベ ルの違いがあるというのも事実で、多分、中井委員が目の前にされている就業・生活支 援センターはおっしゃった通りの役割しか果たしていないのかなと思ったりもするので すが、実は、就業・生活支援センターのレベルアップは当然必要ですが、今のような運 営を強いられるようであれば、正直なところ、この事業は返上したいと思うぐらいの中 身です。その辺について、もっと就業・生活支援センターが本来の役割を果たせるよう な基盤整備を考えていただかないと、続けていけません。これは、私1人の思いではあ りません。今まで110カ所、それから今回25カ所指定されたのですが、全てのセンター がそう思っていると思います。この4月に、厚労省から労働局宛に文書が出ているんで すけれども、その中身を見たときに、私は本当に、代表して返上したいと思っている次 第です。本日もこの後、障対課に質問状を持参してきました。   ○座長  もうちょっと突っ込んでお話ししていただけますか。   ○高井委員  例えば、17年度までは、この事業は、全て厚労省が直接の委託者で、契約関係事務の 窓口をされていたんですけれども、18年度から各労働局が窓口になっています。そうい った意味で、厚生労働省から委託事業費の基本的な考え方について、詳細な記載例とと もに各労働局に文書が出ているんですけれども、この基準は地域の実情に合わせて考え ることは可能であるというような文書は出ているんですけれども、それは労働局の判断 でその基準は決められてしまうのではないかなということを、とても危惧しています。 それと、委託費のほとんどは多分人件費ですが、3つの事業区分に分けられていて厳し く縛られています。動いてなんぼの仕事に車もパソコンも購入できない状況です。人件 費は謝金ということから、賞与を払ってはいけない。それから、超過勤務手当は駄目で ある。住宅手当は駄目で、有給もなく営業日はフルに働き、その上、専従の職員を2名 配置するということです。  こういう状況で、職員のレベルアップをして、しっかり働きなさい。そして、いわれ ている数値目標を上げなさい、と言われてももう限界でできないし、そのお金に見合う 人を置こうと思ったら、もう1年か2年で人を変えなければならないという状況なんです。 そういう状況のなかで、経験と支援ノウハウの豊富な人を育てて、そして、目標を達成 して、ということですが、本当に就業・生活支援センターに求められているものと、実 状というものが、乖離していると思っています。もちろん、役割というのは果たしてい かなければならないことはよく分かっていますけれども、何とかしていただきたいと思 っています。   ○座長  これは、前にも出たところでもありますが、要するに人材養成のことです。3本目の 柱が、就労支援の共通基盤の整備ということです。ここでは、基盤整備ということをも う少し広く捉えてもいいと思うので、今、出されたようなことは、かなり基本的な問題 ですので、就労・支援の共通基盤の整備ということでも、その就労支援をしていく主体 側の活動のしやすさというようなことも1つ入れながら、もう少し議論をしていきたい と思います。どうぞ。関連の御意見ございますか。武田委員。   ○武田委員  高井委員と同じで、4月に入って、就業・生活支援センターの通知が来たときには唖 然としてしまいまして、これでやれっていうのかという状態でした。島根だけがそうで はないだろうと思って、全国の仲間の何人かに連絡したところ、みんなから出たのが、 みんなでこれを返そうということでした。今日も高井さんに会ったとき、みんなで返そ うや、できやしないよ、ということでした。そういう状況を私は文書にしてきたのです が、彼女も作ってきていまして、今日は後ほど、土屋課長のところに押し掛けようとい うような話ができているんですけれども、そのことはまたきちんと議論させていただき たいと思います。  もうちょっと別の問題として、課題として、それこそこういった研究会ができたり、 障害者雇用促進法が改正されたりするなかで、やっと教育といろんな連携が取れるよう になったんですね。それまで、私たちは養護学校に行くことが2年前まではなかったの が、今は頻回にお会いするようになりました。生徒さんたちが1年生の段階から、何回 も行き来して、いろんな説明をしたりする機会もいただけるようになりました。そのな かで、先生たちもどんどん夢を持っていて、いろんな話ができてくるなかで、実業高校 の学生さんが減って、空き教室が出たという話がありました。そこが農林高校だったも のですから、生徒が減って圃場も管理ができない。それでは、養護学校と農林高校と、 我々福祉事業者が一緒になってそこを管理することができないか。去年から、校長先生 や現場の先生たちと、ああでもないこうでもないとやってきて、これは面白いねという 話になりました。要するに、養護学校さんは生徒さんが増えすぎて教室が足りない。そ れを農林高校の教室を借りて、そこへ出かけていく。でも、養護学校は週3日しかでき ないような規定があるそうです。それなら、週3日は養護学校の授業として入れて、あ との2日は施設側の云々でうまく活用して、圃場の管理ができないか。それはいいね、 なんて話をしていたら、管財のところで引っかかってしまったんです。使えません。要 は、その財産というのは、学校教育で使うためにあるというのです。細かいところは知 りませんが、せっかく空き教室の活用とか何とかと、国は示されているのに、では、現 場で使えるだろうねと交渉を始めると、目的外使用ということになってきたりとかしま す。  もう1つ、別の事例で、私どもの就業・生活支援センターが今就労移行支援をやって いる事業所の隣にあるんですが、それでは、A法人の持ち物というふうに見られてしま うから、少し公的なところを借りたいと思いました。やはり、いろいろな福祉施設と雇 用と繋ぐものですから、市の財産のところにちょっと借りていきたいなと思いました。 ところが、それは教育委員会の持ち物だったんですね。何回交渉しても駄目です。もう 2年がかりで交渉しているんですが、うまくいかないということがあります。せっかく 空き教室の活用ができるかと思ったのですが、そこができない。空き屋の活用は全然大 丈夫なんです。民間のところは何の問題もないんです。公的機関が一番使えないという 現実のところを、もう少しどうにかできないものでしょうか。これは1つ、課題ですが、 でも、きっとこれは公的機関だからこそ解決方法を見つけやすいと感じていますので、 もしそういう情報があれば、教えていただければと思います。   ○座長  是非、この就労支援の共通基盤の整備のハードの面になりますが、これはとても重要 な点だと思います。地域でいろんな関係者が集まって、とてもこの場合は、その生徒で あったりするわけですけれども、その関係者が活用するというハードの面の連携の課題 ということですね。いかがでしょうか。関連でございますでしょうか。どうぞ。   ○松為委員  これは私は不勉強で申し訳ないのですが、1つ聴きたいんですが、高井委員とか武田 委員とか、それから志賀さんもそうですけれども、就業・生活支援センターをやってい る人たちにちょっとお伺いしたいんです。先程来ずっと話を聴いていてもそうなんです けど、それから、この前の議論もそうなんですが、要するに、移行支援事業はたくさん 増えていますが、移行支援事業がたくさん増えたからといってうまくいく世界ではない し、移行支援事業そのものは、全部が全部動けるとは思わないんですね。一方では、就 業・生活支援センターがすごく重要視されている。すると、私はむしろ、法人が移行支 援事業に行くような、そういったインセンティブになるような形のものが、なぜ就業・ 生活支援センターの方でできないのか。事業の種類が違うからなのか。いろいろな話が あるのでしょうけれども、例えば、就業・生活支援センターが移行支援事業的な形のも のまでいけるような制度かシステムはつくれるものなんですか。それとも、全然システ ムが違うから、不可能な話なんですか。その関連がよく分かりませんけれども、もし分 かったら教えてください。   ○座長  武田委員、どうぞ。 ○武田委員  実際に就業・生活支援センターと移行支援とをやってみて、役割が違うんですね。う ちは全て、入り口を就業・生活支援センターにしているんです。その就業・生活支援セ ンターに、相談においでになって、全てその入り口になっています。そのいくつかの福 祉のサービスの事業所がありますね。そこの1つに、そういう就労移行がある。A福祉事 業者の就労継続Bがあるというと、ここでその方の状況をアセスメントして、福祉サー ビスを使わないで一般企業へいったらいいのかというようなことをやっていくので、イ コールでは全然ないんです。入り口が就業・生活支援センターという整理をしていくと、 福祉サービスの事業所と連携しないとできないんです。そういった意味でも、さっき言 いましたように、この就業・生活支援センターが福祉事業所と一緒のところにあると、 ここに流すための装置と思われてしまうのがすごく嫌で、就業・生活支援センターの役 割はそうではなくて、地域にあるいろんな福祉サービス事業所の窓口、ハローワークが あって、ここがあって、そこからというふうに。ハローワークから直に行く人は、もう そっちでやればいい。そうではない、ちょっと困難度を抱えた人たちが就業・生活支援 センターが受けて、そのままちょっとジョブコーチとかを使って、企業直なのか、移行 支援を使ったらいいのか、それとも、今あるメニューのなかのどれを使うかという仕組 みをつくると、とてもいい装置になると思っています。   ○座長  実際にやっているところもあるんだけれども、就業・生活支援センターには独自の役 割がある。   ○松為委員  独自の役割は分かるんだけれども、でも、数からすると、もっと増やしてもいいし、 それから、機能的にいうと、私は移行支援事業よりもっと大事だと思っているんですね。 だから、そういったものを何故先ほど2,000カ所近くも移行支援をやりたがっていて、そ ういう移行支援をやるぐらいだったら、就業・生活支援センターへ移ろうとか、そうい った方向に誘導するようなシステムとか、お金の出し方とかをつくれないのか。それは 難しいんですか。   ○座長  高井委員、どうぞ。   ○高井委員  うちも武田さんとよく似ていて、就労移行支援事業もこの4月からやり始めて、14年 から就業・生活支援センターをやっています。ただ、全てが就業・生活支援センターか ら出発かというと、決してそうではなくて、就業・生活支援センターから相談の出発の 人は3分の2ぐらいで、福祉系からそのまま、元々あった授産施設から流れて来たという 人たちもおります。ただ、今の状況のなかでは、就業・生活支援センターの役割と就業 移行支援事業の役割というのは、違うと思うのですが、就労移行支援事業者の事業内容 が明確になり、しっかり力をつけた段階では、私は一緒になることがいいのではないか と思っています。9月のヒアリングのときにも、そんなお話しはさせていただいたよう に思っています。  それから、就労移行支援事業者は、定着は6カ月までといわれているんですが、支援 者が人を送り出した後、企業に行ってからの状況をしっかり把握するということは、就 労支援者としてとてもいい支援ができるようになるんですね。ところが、6カ月しかみ ていなかったら、本当の難しさというのは、実は6カ月以降にいっぱい出てきます。で すから、5年、10年働くなかで、定着支援の大変さというのが明らかに出てくると思うの で、その辺は、今、就労移行支援事業者が定着支援も含めて、しっかり知ることです。 就労移行支援事業と、障害者就業・生活支援センターがセットで設置されることが有効 であるということは十分承知していますし、もっと、時間をかけて、両方が合体してや っていくことが、よりいいものができるのではないかと思っています。  ただ、移行支援事業者が何故、就業・生活支援センターをしないかというと、そんな に就業・生活支援センターは美味しい話ではないからです。とても仕事は大変だし、運 営という部分では、もっと大変でそれだけでは成り立ってはいかないです。  それと、もう1点ですが、就労移行支援事業者がどんどん増えていくなかで、就労移 行支援事業者は、障害者自立支援法で動いております。けれども、実際の活動のなかで は、施設外就労であるとか、企業との連携を積極的に取り入れ なさい、と書いてありますけれども、就労移行支援事業者がいかに労働法規を知ってい るかというところを押さえておかないと、大変なことになるのではないかと思っていま す。18年度、労働局と一緒に就労支援アドバイザーというような事業を施設とか、企業 さんの中で一緒にやってきたんですけれども、福祉施設の職員の質問のなかには、あま りにも労働法規を知らないままにこの事業をやっている人が多くて、違法に繋がるよう なことがいっぱいあると思いました。そういった意味では、移行支援事業者を育てると いうなかでは、自立支援法だけではなくて、職業安定法であるとか、それから、労働基 準法であるとかということを、しっかり知りながら事業を進めていくということが、と ても大切だと感じています。例えば、労働者派遣であるとか、業務委託の中身について も、しっかり押さえておかなければ、いいことだと思ってやっていることが、実は違法 であるということになってしまうので、その辺の学習というのは、事業者としてしっか りすべきだと思っております。   ○座長  ありがとうございました。とても大切な点だと思います。どうぞ。   ○志賀委員  松為委員の質問を受けて、私の方で、ちょっと違う視点でということで、今言いまし た、就業・生活支援センターを私どもは今直接受けているわけではなくて、神奈川県の 単独の事業です。今は、将来的にはという段階です。それと、就労移行支援事業を受け ている社会福祉法人並びにNPO法人であったり、他の組織であってもいいんですか、私 たちのなかの考え方としては、1つは、やはり就業・生活支援センター等はいわゆる公 の業務の一部を受けているということで、何をせねばならぬかということを、自分たち のなかで決められることが非常に少ない業務という認識を、今は持っております。もち ろん、県、市町村単独の就業・生活の支援事業についても同様です。今年度は、こうい うことを、こういうふうにやってくださいと、決まったことをやらないといけません。 決まったことを、こちらは嫌ですということは言えないという、非常にやりづらさがあ ると思っております。一方、もちろん目的は非常に明確な就労移行支援事業は、単価報 酬の事業ですので、そのなかで、例えば、私たちは今年度は定員何人のなかで、何人新 しい人に来ていただいて、障害の種別もこういった方についても一部調整して、こうい ったことをやっていきたいというのは、自分たちの裁量で決められる部分というのがか なりあり、努力のしがいがある事業です。もちろん、両方とも単価的には努力のしがい が何処まであるかというと、現時点ではあまり有望ではないんですが、それでも、その 辺の違いはやはりありまして、毎年、こういう要綱になりましたからということで、要 綱をそのまま事業目標に移しているというのが公的な事業の一部を受けているというよ うなイメージにもなります。これは、出す側がどういうふうに業務を分担するかという のと、受ける側の印象が全然違うと思いますけれども、やはり、その辺は、運営する側 として、非常に大きな違いとしては持っております。   ○座長  ありがとうございました。他にどうでしょうか。将来、就業・生活支援センターを圏 域に1カ所以上という考えがあるなかで、その運営や経営の難しさというのもあって、 それから、就労移行支援事業が展開していって、いい実績を上げていくところは就業・ 生活支援センター的な機能も持ち得るかも知れないというような、将来の可能性とか、 課題ということが今出ているわけです。その基盤整備という観点で、もう少し意見が出 ていいと思います。どうぞ、小川委員。   ○小川委員  今の議論の続きになるかも知れませんけれども、何回もここで話に出ていると思うの ですけれども、就業・生活支援センターと就労移行支援事業の役割の違いですが、もう 就労移行支援事業というのは、簡単な評価と、それから、基本的には訓練をする。訓練 といっても、技術の訓練ではなくて、やはり助走をつける期間であって、丁寧なマッチ ングとか、定着支援はできる体制にないということを、もう少し整理をして、認識をし てしまった方がいいのではないかと思います。そこに、ジョブコーチをつけて、若干の マッチングの支援と定着支援ができるようになるんですが、それでもやはり足りないの で、マッチング、それから、定着支援のところは、就業・生活支援センターが担わない と難しいと思います。この間も某地方都市で、ジョブコーチのセミナーをやって、やっ ぱりそこでも7割ぐらいの参加者が、就労移行支援事業をやる可能性がと手が挙がった んです。本当に感覚的にいうと、そのうちの1割か2割ぐらいが就労支援をできるように なるかなという感じです。これは非常に失礼な言い方かも知れませんが、そんな現場感 覚を持っています。  それで、そういう状況が、ここから数年間は起こるということを前提にすると、マッ チングというのも、求職と求人のマッチングだけではなくて、求職と、それから求人と、 それから支援機関のマッチングをうまくやっていかなければならないので、しばらくは、 ハローワークさんがかなり地域の支援機関の力量とか、考え方、それこそ重度の人を随 分送り出してくる支援機関もいるかも知れませんし、就労支援のノウハウもそんなにな いところが送り出してくるかも知れませんし、ハローワークさんが地域の支援機関の状 況を把握して、求職、求人情報と一緒に、支援機関もマッチングしていく作業をしてい かなければならないのかなと思います。昨年度から、労働局の方で福祉施設の状況をい ろいろ把握してくださっているのは、今後も役に立つとは思いますけれども、ただ、支 援の質のことを考えると、ハローワークが把握できる情報の範囲ということをイメージ しますと、やはり最終的には、就業・生活支援センターが地域の支援機関の実状という のをよく把握して、その地域なかで、うまく支援を組み立てていくという仕組みが必要 なんだと思います。  この辺のとこは、おそらく現場で就労支援をやっている地域、ある程度の仕組みがで きている地域というのは、例えば、志賀さんのところ、高井さんのところ、武田さんの ところというイメージがあると思うのですけれども、やはり、どれぐらいの地域のなか に就業・生活支援センターが必要で、どれぐらいの就労移行支援事業が必要で、役割分 担はどうでというイメージが、あまりにも明確でないまま、就労移行支援事業というこ とで、いくつもの機関から手が挙がって、そこが動き出そうとしている。これは、本当 に中井委員がずっと強調されている、福祉の人が就労支援をやってもらっては困るんだ という、そこに逆に近づきつつあるので、非常に懸念されるところです。ちょっと極端 な言い方をすると、企業と直接支援ができる就労移行支援というのは多くはありません。 だから、そこのワンクッションで、就業・生活支援センターが必ず入る仕組みをつくら ないと、うまくいかないのではないかと思います。  もう1つだけ、マッチングは就労移行支援事業では1年に1人、2人の人を送り出してい くんですね。規模が小さいところは。すると、その1人、2人のことしか考えずにマッチ ングを図っていって、合った求人に飛びついていく形になっていくので、どうしても無 理なマッチングが起こります。いいマッチングをつくるためには、たくさんの求人情報 と、たくさんの候補者のリストを持って、地域のなかでそれをうまく噛み合わせていく 作業が必要なので、そういう意味でも、間に、1つ1つの移行支援事業が、1人、1人の支 援をやっていくのではなくて、間に地域のコーディネートをする就業・生活支援センタ ーの役割というのが重要になってくると思います。そういう状況で、就業・生活支援セ ンターがちょっと悲鳴を上げているということは、随分難しいことになっていると感じ ている次第です。   ○座長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。中井委員、どうぞ。   ○中井委員  今の議論とずれるんですけれども、就労支援の共通基盤の整備ということで、ハード 面としましては、特例子会社をもっと活用していただくというのも御検討いただいたら どうかと思っています。実際には、就業・生活支援センターが今135あるということで すが、特例子会社の方はもう200ございますし、1年間に30ずつ増えている状況です。 もちろん、中身はいろいろあるんですが、やはり、最終的に、実際この方がどんなとこ ろが強くて、どういうところが弱いかとか、アセスメントとか、マッチングの基礎資料 というのは、働く現場で見ていただくのが一番いいのかなと思います。もちろん、どん どん無償で訓練に来られたらちょっと辛いでんですけれども、儲ける気持ちはないんで すけれども、ある程度、実費ぐらいいただけたら、みんな頑張るのではないかと思いま す。お国の政策で、経営の自由がありますから、強制するわけにはいきませんが、何か 慫慂(しょうよう)していただければと思います。私のところへもいろいろな大手の会 社が、特例子会社を立ち上げるという話がどんどん来ていますので、ちょっと御検討い ただいたらどうかなという提案です。   ○座長  他にいかがでしょうか。どうぞ。 ○志賀委員  最後の基盤の整備のところで、是非これだけはお願いしたいなということがあります。 すごく素朴なところなんですが、先ほど輪島委員の方から1.8%にするためには8万人程 度という話がありました。自立支援法の方で、4倍の施設からの移行、23年の段階で2 万人を目指しているのか、どれぐらいを目指しているのかという数字は、今、はっきり 出ておりませんが、今、障害福祉計画が各自治体でまとまって、全部出てくればその数 字が出てくるのだと思います。ところが、地方自治体の方で、その就労移行支援事業を やる。あるいは、就労の数の目標の数字というときに、必ず出てくるのが、この就労と いうのは何ですかと聞くと、実は非常にあやふやなんですね。ここで議論している場合 は、いわゆる概ね週30時間以上、あるいは重度の方、あるいは精神障害者の方、20時間 の短時間も含めてが1つの就労・雇用だと思っているのですが、何度も話が出ていますが、 福祉の現場並びに各自治体での障害福祉計画を立てるところは、そういうレベルを想定 していない場合が圧倒的に多数だと思うのです。就労移行支援事業、雇用の、そういう 基盤の整備の前に、就労ってなあに、障害者の就労の定義は何かというのが実態として はない。というのを、最近つくづく思っております。その辺は、まず基盤の基盤であっ て、本当に根本のところだと思いますが、実は、そこから学校あるいは福祉現場等、き っちりした1つの基準がないということを、是非御理解いただきたいと思います。   ○座長  その点は私も強く感ずるので、要するに障害者基本計画は市町村の福祉計画までいく のですけれども、市町村へいきますと、障害福祉課が中心なんですね。そこには、精神 の保健センターの方はいらっしゃるんだけれども、よっぽど要求しないと、教育委員会 と、商工部とかの雇用関係はいらっしゃいません。そういうなかで福祉計画が作られま すので、今おっしゃられたように、かなり抽象的な目標設定になってくるわけです。そ こに、障害福祉圏域というような形で、圏域が動いてきて、県のいろんな政策がそこに 重なっていくと、そして、就業・生活支援センターがそこへ目的意識的に役割があると、 かなりそこでは具体的になっていくかも知れませんが、市が中心になっていきますと、 極めてそこの就労というところの把握が弱いというのが現実だと思います。私は、いく つかの市の委員として、座長になっていますので、よく分かるんです。そこは本当にき ちっとやっていかないと、連携の実というのは、やっぱり雇用・就労は地域が大きいで すから。でも、それが市の福祉計画ということになるわけですね。そこには、そういう 有能な、有力なセンターがあれば、かなりそこは数値的にも具体的になるけれども、非 常に抽象的なものであるというところをきちっと押さえておかなければいけないという ことを、今つくづく感じました。どうもありがとうございました。他にいかがですか。   ○原委員  今のお話しに非常に関係するんですが、東京都がこの春、都立の養護学校、今4月か ら特別支援学校になりましたが、305人就職しております。305人がどういう実習をして、 どういう会社に就職できたかというデータを持っているわけですが、さらに、ゆくゆく は会社で働きたいという方で、福祉サービス、通所を利用している方、就労移行支援事 業も含めてですが、約100名という数が出てきております。やはり、そうした数をしっ かりと、広域の地域で出していくこと、それはまた、今のように、市区町村に返してい くことが非常に大事だと思いますし、学校の役割として、成人期で在宅の方の支援と、 学校が繋がっていくことで、就業・生活支援センターと繋がっていくと思うのですが、 そうした約割を担っていくことが大事だと考えています。実際に私たちも、今まで具体 的な数字というものを各学校は持っていたんですけれども、広域で連絡を取り合ってと いうのをやってみて、改めて関係機関とどう繋がっていくかというところのときに、こ ういった具体的な数字は非常に大事だなと思っています。  そのとき、学校の役割として、やっぱりハローワークとどう繋がって、生徒本人の就 職したいという願いをどうかなえていくかというとき、就職活動を在学時から始めてい く根拠として考えられるのは、やはり求職登録かなという話を、学校現場の教員ともし ております。この辺りはまた議論していただければと思いますが、大体3年生の1学期く らいでハローワークに職業相談または職業講話という形でいきます。そして、在学中に 求職登録をして、3年の秋の職場実習、現場実習を経て、内定、雇用契約、という形で 進んでいくわけです。おおよそ、そういった流れで、スキームというか、手順があるよ うに思います。そのなかで、今のようにきちんと数字を取って、その卒業後に福祉サー ビスを受けながら企業就職をしていく方たちがどのくらいいるのかを、今後きちんと詰 めていくことが大事だと思います。そのときに、今日の資料にあります改正連携通達の ポイントなんですけれども、個別の教育支援計画を策定する時期というのが、企業就職 を希望する方にとっては、ハローワークの求職登録が一番大きなチャンスだと思います。 卒業後の定着については、その求職登録のカードが住所地から勤務地のハローワークに 6月頃移ります。就職して3カ月、半年経過したところで、就業・生活支援センター等に 集まっていただいて、定着に向けての関係者の集まりを持つ。もちろん、雇用されてい る企業の方にもしっかり入っていただいてというのができると、ある程度、支援のポイ ントというか、重点をかけるところが見えてくるかなと思います。どのぐらいの人数で、 どのぐらいの人が関わっていく必要があるのかというのが、教育も関わって、そして、 その雇用していただく企業の人たちのところに資源が集まるような仕組みがつくれない かと思っています。   ○座長  ありがとうございました。抽象的ではなくて、その具体的な数値ですよね。それが、 各地域できちっと取れていくということですね。東京の場合は、今、原委員から報告さ れましたけれども、25ある都立の養護学校を6ブロックに分けて、その数をきちっと把 握していくということで、毎年300という数、要するに30%以上というところが見えてき ているわけです。東京都教育委員会と東京労働局が養護学校の就業促進研究協議会とい う進路指導の先生たちの団体がそこでセミナーを共催で開いてもらってアピールをする。 そこで、全都で300、これから移行支援事業をということを入れれば、さらに100という ような、具体的な数字になるわけです。やはり、そういう具体的な数をどれだけそれぞ れの地域、県、福祉圏域等で、掌握できるかどうかということは、極めて重要です。そ の場合、そういうセンターとか、移行支援事業がどういうふうに具体的な役割を果たす かというのは、輪島委員の話ではありませんが、具体的な可能な数で進めていくという ような連携も必要なのではないかと感じます。他にいかがでしょうか。山岡委員、どう ぞ。   ○山岡委員  先ほど小川委員がおっしゃったこととちょっと似通っているかも知れませんが、マッ チングとか定着支援とかということに加えて、やはり就労を定着させるためには、生活 支援だとか、いろいろなことが必要だということで、そのときに、1つの機関とかを1人 の人でできることではないだろうと思います。おそらく、そこで必要なことは、例えば、 各種制度をきちっと使いこなすために、熟知していなければなりませんし、それから、 各地域でいろいろ違うと思うのですが、医療、労働、福祉、教育等の社会資源をきちん と把握をしていなくてはいけません。それから、個々の人に応じて、支援の必要として いる内容が違うということをちゃんと分からなければいけませんし、それから、各機関 に、知っているだけではなくて、実際の人脈とかそういうのがないと、なかなか機能し ないところがあります。多分、1人の障害のある方を支援するには、1人でやるより、い ろんな機関がチーム支援のようなことをしなくてはいけないと思います。さっき、就業 ・生活支援センターの機能ということをおっしゃっていたのですけれども、例えば、発 達障害者支援センターにしても、なかなかさっきの11,580円掛ける22ということの処遇 だということでやると、さっき言ったような、社会資源や各機関との人脈やら諸制度が 分かっていて、個々に応じた支援ができるというようなことは、多分無理だろうと思い ます。おそらく、ここにはその地域でケアマネジメントできる方とか、コーディネート できる方とか、そういうちょっとスーパースターみたいな人がいないといけないかも知 れませんが、スーパーマンの下にある程度何人か支える人がいてというのを、私はどこ か官のところにないといけないのではないかと思っているんですね。そこでは、労働と か、教育とか、福祉とか、部局横断的に何かそんな部門があって、そこで地域でのケア マネジメントというか、そのコーディネートをする部門をつくってやらないと、多分、 どこかに委託したのでは、多分その人のレベルというか、相当の地域と経験と、ノウ ハウがある方でないとできないのではないかと考えています。   ○座長  ありがとうございます。各地域でそれをどういうふうに部局を越えた、要するに、効 果的な一人ひとりの支援をしていく手当、個別の支援計画なんですけれども、実は、そ の個別支援計画というのも、どこで、誰が、どう作っていくのか。基本計画には非常に 綺麗に書いてあるんですね。乳幼児から学校卒業まで、一人ひとりのニーズに応じた体 系的な相談支援、そして、その次に、個別の支援計画というのが出てくるんです。これ は、育成・教育のところで出てくるんですね。ところが、生活の方ではあまり出ていま せんので、ケアマネジメントと、個別の支援計画と、つまり個別の個別教育支援計画が どういう関係にあるのか、必ずしも明確になっておりません。本当は、この連携という ところが、始めからいくと、乳幼児期は母子保健から入ってきますから、それがずっと ライフステージで、学校卒業後というのは、全部ではないですけれども、そこに就職と いうのが入ってくるわけです。やっぱり、そこを非常にありありと、各地域のなかでど ういうふうになっていくのかというのをイメージして欲しいんですね。ここでは、就労 となっています。ですから、時期としては、15歳、18歳からというようなことがイメー ジされていますけれども、実際は、そういうふうにずっといくし、文科省の方ではキャ リア教育です。就業体験、経験を小学校、中学校から積み上げていかないといけないと いうことをいっておられるわけです。それも連携のなかに入っているわけです。そうい う個別の支援計画というのが、乳幼児期からずうっといって、学齢期はキャリア教育で すね。それが、もちろん障害者も、ニート問題も含めてです。そういう具体的な考えの なかで、就業・生活支援センターがまさに青年期の移行というところで、非常に大きな 役割を果たしていて、でも、その下からの積み上げというのも、個別の支援計画で、今、 山岡委員がおっしゃったように、部局を越える横断的なものをイメージしていかなけれ ばいけないんだというふうに私は思っています。まだ、この議論の回数はありますので、 よろしくお願いしたいと思います。他にどうでしょうか。発達支援センターなんか、ま さにそういった成長段階、発達段階に機能していくということですし、その広がりが大 きいですから、非常に大きな課題ということになります。どうぞ。   ○石井委員  連携ということで、一言発言したいと思います。福祉関係の支援機関と労働関係の機 関、それから企業との連携ということで、一般論でお互いに情報交換する。あるいは、 連携を取り合う。ということでは、ちょっと努力すれば、不可能な話ではないんだろう と思うのですが、個別な支援を考えたときに、どうやって情報を共有するのか。この人 の得手、不得手は何なのか。どういう支援が必要なのか。危機的な状況になったとき、 どうしたらいいのか。というような、非常に個人的な情報を本当は共有する必要がある んだろうと思います。それをやろうとすると、プライバシー保護だとか、あるいは個人 情報の保護の問題が引っかかってくるわけです。その辺をどういうふうにクリアしたら いいのか。精神の場合に、障害をオープンにして就職するとしても、その本人の問題点 というのは、ほとんど相手、受け入れ先の方には流されない。病気ですよというだけの 話で、どういう特徴があるのか、どういう得手、不得手があるのか。そういう情報につ いては、ほとんど企業には流れていないのだろうと思うのですね。ですから、企業の方 では、そこで非常に戸惑ってしまい、どうしたらいいか分からない。極端な場合には、 問題が起こったときに、元々どこの施設に問い合わせをしたらいいか分からないという ようなこともあるのではないかという気がするのです。実は、私の息子が病気なもので すから、今、働いているんですけれども、いくつか会社を転々としましたけれども、息 子は、ハローワークには、私はこういう病気で、こういうときにピンチになるんですよ という情報は出してあるんです。ところが、ハローワークからは、就職先に一切そうい う情報は流れていない。簡単に流されてもちょっと困る面もあるんですけれども、ほと んどいっていない。ですから、職場のなかで問題が起こったときに、本人が訴えない限 りは、そこの支援が受けられないという問題が出てくるんですね。考えると、非常に難 しい問題を含んでいると思うのですが、その辺、どうやっていったらいいのか。やっぱ り考える必要があるのではないかという気がします。   ○座長  まさにそういう個別の支援計画といいますか、そういうお互いに支え合っていくとき の、情報の共有化の課題ですね。共通基盤の整備のところで出てくる情報の共有化です ね。この辺、いかがでしょうか。はい、どうぞ。   ○中井委員  中井でございます。先ほど山岡委員がおっしゃった観点も非常に大切だと思いまして、 私、どこの機関がいいか分かりませんけれども、個人的には、やはりハローワークさん なのかなと思っているんですけれども、スーパーマンをどれだけ抱えておられるのかち ょっと分かりません。そして、石井委員のおっしゃったところも、非常に前々から、会 社としても本当に悩んでおりました。私どもは実際には、根堀り葉堀り、全部、生まれ たときから、現在に至るまで伺っています。基本的には御本人の承諾の下に伺っていま す。しかし、それも雇用するということの見返りでおっしゃっているのだったら、それ は人権侵害のおそれもあるんですけれども、御家族も呼んで、お医者さんにも行きなさ いというふうにはやっているんですが、非常にデリケートな、常に患者さんのなかでも、 どの範囲で当該個人の情報を持つのかというのも、基本的には、ケース会議の構成メン バーにしているんですが、是非、その辺も御議論いただければと思います。  最後に、3点目として、ちょっとずれるんですけれども、就労支援の共通基盤の整備 ということで、教育関係で、松為先生が大分御指導された京都の白川総合養護学校が100 %就職という記事が出ていましたけれども、非常に有効な手段ではないかと思いまして、 私も見学させていただきました。うちの従業員よりも優秀な人ばかりおられましたし、 大阪では、たまがわ高等支援学校ができていまして、まだ2年目ですけれども、校長先生 もものすごく熱心にやっておられまして、ここの卒業生だったら、私どもでも全部受け 入れられるなというふうな感じでおりましたので、よその府県はどういう状況か知りま せんけれども、教育関係では、1つの有効な手段ではないかと思いましたので、ちょっ と発言させていただきました。   ○座長  ありがとうございました。原委員、どうぞ。   ○原委員  今の中井委員のお話しに関連してなんですが、学校もそのような具体的な連携の場に 活用していただくことが可能な部分があるように思います。特例子会社皆さんであると か、それから、就業・生活支援センター、またはジョブコーチの皆さんに、学校評議員 という形でアドバイスを受けるという特別支援学校が非常に増えてきているように思い ます。そうした方々を生徒、保護者の立場からみると、在学中に顔を見る、または、お 話しを聴く、または、授業見学を受けるということで、利用する当事者の側からみると、 卒業してからではなくて、在学中に知り合うことができますので、その意味で、学ぶチ ャンス、または情報をもらうチャンスが非常に増えているように思います。ですから、 学校が外に出ていくことも大事なんですけれども、学校という場に、多くの地域の社会 資源の皆さんに関わってもらう。または、学校の方も、それを計画的に、または、戦略 的に児童生徒に繋げていくという視点が大事なんだと思っています。  ただ、先ほど、武田委員の方から、教室の目的外使用ということで、少し壁があると いうお話しもあったんですけれども、社会教育の方は、同じ教育でも、今、積極的に開 かれた学校という形で施設開放等をしているところが多いと思うのですね。ただ、そこ のところが、福祉サービスまたは教育以外の団体との繋がりという部分で、難しさが出 てきていると思いますので、その部分は市町村教育委員会、都道府県教育委員会も含め て、具体的なそうしたことができるような方策が検討できると、先ほどの地域の資源に 学校を活用してもらう。もちろん、その学校の安全も大事なんですけれども、開かれた 学校にして、社会資源として使える学校にしていくという発想が有効であるように思い ます。   ○座長  小中学校あるいは高等学校のそういう活用ですね。特別支援学校もその施設開放とい うのをやっているわけですけれども、小中学校、高等学校というところがやはり地域に 密着していますからね。そういうところは使いたいという気持ちはNPOなど地域の事業 者にはあるのだろうと思います。どうでしょうか。あと、1人、2人ありましたら。小川 委員、どうぞ。   ○小川委員  学校教育のことで申し上げたいのは、学校からの就職率が高まることも非常に重要だ と思うのですけれども、何しろ18歳ぐらいで、社会に出ていくことが、私たち障害がな くてもかなりしんどい時代になっていますので、もう少しゆっくり準備をして、そして、 社会に出ていくという考え方も、もう少し大切にしてもいいのではないかと思っていま す。今までは、学校からでも安心して就職に繋げてくれる2年、3年ワンクッション置 いてくれる支援機関というのが、やはり福祉施設のなかで見つかりにくかったわけです から、学校の方で、できるだけきちんと就職に繋げていくということが大切だったんだ と思うのですけれども、もう少し長期的にみると、就労移行支援事業というのが、21歳、 23歳、それぐらいまできちんと準備をして、そして、ハローワーク等、企業と連携をし て、就職に繋げていくという仕組みをきちんとつくるという考え方も重要なのではない かと思います。やはり、地域において、それほど就職できる人たちというのは多くない ですから、学校の方でも、そういう人たちを一生懸命集めて、それで就職率を上げる。 就労移行支援事業は就労移行支援事業で、やはり候補者が欲しいという、そういうこと もあまりどうかなと思います。これが学校教育についてのコメントです。  もう1点申し上げたいのが、全体的な基盤をどうするかということで、まとめの文章 のなかにも触れていただいているのですが、障害者職業センターの役割なんですが、ど うしてもまだまだ福祉施設の就労支援のノウハウは十分ではないけれども、就業・生活 支援センター、就労移行支援事業を含めて、そこのレベルが上がっていかないと、どう しても数的には足りないということは明らかだと思います。全体的には、障害者職業セ ンターの直接的な支援のウェィトを少し縮めていただいて、その分、地域の支援機関が どういうふうに仕事をしたらいいのか、あるいは、もう既に仕事をするシステムで動き 始めているところがきちんと仕事をしているかどうか。そこのモニターというか、管理 監督をするという機能に、少し重点を移していっていただいてもいいのではないかなと 思います。  アメリカのシステムで日本の地域障害者職業センターに相応する職業リハビリテーシ ョン機関というのが各地域にありますけれども、かなり直接的な支援はせずに、その分、 管理監督、それから、財源をいい支援をしているところには投入するけれども、そうで ないところには財源を投入しない。そういう地域の民間の支援機関を育てたり、あるい は、そこの質を担保する役割を持っていると思いますので、まだ、日本は全国で地域差 もいろいろあると思いますけれども、そのような方向性が必要かなと考えます。   ○座長  森委員、どうぞ。   ○森委員  ちょっと的外れになるかも知れませんが、このお話しを聴いていて、私なりに何点か 気になったことがあります。まず、第1点は、いわゆる連携という形で理念的には、あ るいは在り方的には、非常に結構だと思うのですね。しかし、現実の問題として出てい ますように、例えば、福祉の問題では、今、職員が大変な問題になっているんです。で すから、教育の場合であれば、公的保障というのがあるでしょうし、職業といえば、や はり、これは安定所のところになっているわけですが、実は、一番福祉がないんです。 一番力を入れている介護保険の方で、既にもう火が見えている。私自身は、今回の日割 り計算は、これは間違っているんではないだろうかという気がしていたんです。それで、 もうやるならば、人件費関係は月払いにやってもらえないのかと思います。どこの学校 で、今日は夏休みだから減らしますという、そんな制度はないと僕は思っているんです ね。そういう面が1つあります。  もう1つは、期間の問題です。就労移行支援事業について、これは一定のところで期 限が来ると思うんですね。これの人たちが、もし就労できなかったとき、どうなるのか なということに、非常に問題を持っております。  また、ちょっと、これは言いにくいのですけれども、職業能力開発センターと同じよ うな機能を持ってくるとすれば、この内容が少しちゃんと調整がとれるようにしなけれ ばいけないのではないか。何かといいますと、就労移行支援事業の方では、利用料を取 っているわけですよ。これは、ちょっとそういうことがあると思います。  また、次には、障害ということで、三障害、三障害といっていますが、違う分野では 出てくるのかも知れませんが、今日は時任さんがいらっしゃいませんけれども、視覚障 害とか、聾だとか、そういう身体障害者でも個別のところについては、ちょっと手を触 れた方がよろしいのではないかと思っております。  それと、先程来から出ておりますけれども、職業に乗れる人はよろしい。しかし、大 多数が実は重度で、乗れない人が多くなっているんだろうと思います。その辺もちょっ と触れていただければと思います。本当に入るかどうか分かりませんけれども、入れば いいなという気がしております。以上、ちょっと気になったことを申し上げました。   ○座長  ありがとうございました。福祉施設の職員の待遇の問題はかなり大きい問題だと思い ます。その他も、重要な指摘だと思います。  そろそろ時間がまいりました。まだ討議する機会がありますので、今日はこの辺りで 終了したいと思います。今日まで3回にわたり議論を深めてまいりました。本日の議論 につきましては、事務局の方で取りまとめいただいて、次回は、全体について、最後の 総括的な議論をしたいと思います。これまでの3回で発言し足りない部分等については、 次回にお願いいたします。  最後に、次回日程等について、事務局よりお願いいたします。   ○事務局  次回は5月21日の月曜日の10時から12時まで、場所は厚生労働省内の会議室を予定し ております。お手元に次回研究会の出欠確認について、用紙を配布しておりますので、 できましたらお帰りの際に、机の上に残していただくか、今週金曜日までにファックス でお返事をいただきますようお願いいたします。  それから、第7回、前回の研究会の議事録未定稿のものを配布してございます。ホー ムページ上でまた公開いたしますので、問題等ございましたら、今週中に事務局なで御 連絡いただきますようお願いいたします。   ○座長  ありがとうございました。最後になりますが、次回研究会の会議の公開につきまして は、公開としても差し支えない議題だと思いますので、公開の取り扱いをしたいと思い ます。また、本日の議事につきましても、議事録を公開しても差し支えないと考えます が、御意見ございますでしょうか。(「異議なし。」)ありがとうございました。それ では、これをもちまして、本日の研究会は終了いたします。        紹介先 職業安定局障害者雇用対策課雇用対策係(内線5854)