07/04/16 食品衛生分科会新開発食品部会新開発食品評価調査会平成19年4月16日議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 新開発食品調査部会新開発食品評価第三調査会議事録 1.日時及び場所   平成19年4月16日 (月)   午後1時00分〜2時10分  厚生労働省6階共用第8会議室 2.出席委員  ◎井藤英喜、梅垣敬三、山添康、吉池信男  (参考人)   海老澤元宏、大久保公裕  (注)◎座長 3.行政機関出席者   玉川淳(新開発食品保健対策室長)他(新開発食品保健対策室、監視指導・麻薬対策課) ○井藤座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより薬事食品衛生分科会新開 発食品調査部会新開発食品評価第三調査会を開催させていただきます。 まずはじめに、事務局から委員の出席の確認、資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 本日は、4名の先生方に御出席いただいております。また、参考人といたし  まして、2名の先生にお越しいただいております。   はじめに、厚生労働省医薬食品局食品安全部新開発食品保健対策室、玉川室長よりご  あいさつを申し上げます。 ○玉川新開発食品保健対策室長 本日は御多忙の中、新開発食品評価第三調査会に御出  席いただき、ありがとうございます。   私は、4月1日付で新開発食品保健対策室長に着任いたしました玉川と申します。   この新開発食品第三調査会につきましては、昨年度新たに設置されたものでございま  して、新開発食品に対する安全性の確保等につきまして、新たな知見等を踏まえた管理  措置等について、専門的、科学的な検討を行う調査会という位置付けが与えられており  ます。   本日は、スギ花粉を含む食品の取扱いについて御審議いただくということとしており  ます。後ほど、より詳しくご説明いたしますが、スギ花粉症患者がこれを含む製品を摂  取したことが原因と疑われる健康被害に関する情報が報告されました。当該製品以外に  もスギ花粉を含む食品が見られますことから、委員の皆様方には、それぞれ御専門のお  立場から、その取扱いについて積極的に御議論いただきますようお願い申し上げる次第  であります。   厚生労働省におきましては、本調査会の検討結果を基にして、必要な管理措置を講じ  ることとしたいと考えております。   以上、簡単ではございますが、開会のあいさつとさせていただきたいと思います。 ○事務局 それでは、本日、お集まりいただきました先生方を五十音順に紹介させてい  ただきます。   まず、井藤委員でございます。   梅垣委員でございます。   山添委員でございます。   吉池委員でございます。   また、参考人としまして、独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センターア  レルギー性疾患研究部長の海老澤先生。   また、日本医科大学耳鼻咽喉科准教授の大久保先生にお越しいただいています。   それでは、続きまして、お手元の資料を確認させていただきます。   最初に、新開発食品評価第三調査会議次第。その後に座席表、委員名簿と続いて、資  料1−1、都道府県より報告された健康被害事例について。資料1−2、いわゆる健康  食品「パピラ」に係る薬事法上の対応について。資料1−3、スギ花粉を含む食品に関  する注意喚起について。資料1−4、健康食品による健康被害事例検討会作業部会議事  要旨。次に、資料2としまして、第三調査会における検討事項について。あと、参考資  料としまして1から3番までございますけれども、資料は皆さんございますでしょうか。   それでは、井藤座長、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○井藤座長 それでは、議事に入りたいと思います。   今回の調査会では、スギ花粉を含む食品の取扱いについて検討を行うこととなってお  りますが、これまでの経緯について、まず事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、経緯についてご説明させていただきます。資料は資料1−1から  1−4になります。   まず、経緯の一番発端、資料1−1になりますが、平成19年2月26日に和歌山県よ  り厚生労働省に対しまして、2月24日、スギ花粉をカプセルに充填した、いわゆる健  康食品パピラを摂取をした女性がアナフィラキシー様ショックで意識不明になり入院し  たとの健康被害報告が県にあった旨の報告がございました。   パピラ摂取と健康被害との因果関係は断定されておりませんが、この製品を摂取した  ことが原因であると疑われたことから、厚生労働省と和歌山県では、予防的な観点から、  2月26日夜にこの製品名や事例の概要を公表したところでございます。   続きまして、資料1−2になりますが、さらに、この製品につきましては、花粉症の  治療または予防を目的とするものとしまして、薬事法に抵触する可能性も考えられるこ  とから、製造業者を所管する山形県が2月27日、医薬食品局監視指導・麻薬対策課に、  この製品の医薬品該当性について照会いたしました。   これに対しまして、監視指導・麻薬対策課より、同製品は薬事法上の無承認無許可医  薬品に該当するとの見解が示されまして、山形県は2月28日、薬事法に基づきまして、  製造業者に対し、この製品の販売中止と回収を指導したところでございます。   パピラにつきましては、販売中止、回収の措置がとられたところでございますけれど  も、食品安全部の新開発食品保健対策室といたしましては、健康食品による健康被害事  例検討会を開催いたしまして、この製品と健康被害との発生との因果関係と、また、同  種の製品により同じような健康被害事例が発生する可能性の有無について、3月15日、  健康被害事例検討会を開催いたしまして、御意見をいただいたところでございます。   検討会の概要につきましては、資料の1−3になりますが、今回の検討会の座長を海  老澤先生にお願いいたしましたので、座長の海老澤先生より概要の御説明をお願いいた  します。 ○海老澤委員 それでは、資料1−4をごらんください。   3月15日に開かれた検討会におきまして、先ほどの和歌山県の症例に関して、原因  及び病態の状況を検討しました。今回、スギ花粉そのものを含んでいるカプセル状のも  のがパピラだったわけですが、それを摂られた後にその女性の方はテニスをして、その  後、呼吸困難に陥ったという状況がありました。   まず、可能性としては、時間経過等からしてアレルギー反応であろうと。それも最重  症型のアナフィラキシーであるということに関しては間違いないだろうと。しかし、通  常、スギ花粉等は、経口摂取した場合に、口腔粘膜において症状を誘発する接触蕁麻疹  いうことが想定されますが、それがさらに今回のように全身性のアナフィラキシー、そ  して呼吸管理を必要とするような呼吸困難にまで至るかどうかということに関して、議  論になりました。その時点で情報が足りなかったものですから、次の参考というページ  をごらんになっていただくとわかりますように、小麦による食物性依存性運動誘発性ア  ナフィラキシーの可能性がないか。また、アルコールの摂取の状況などに関してさらに  情報を得ていただきました。   その結果、今回の症例においては、他の可能性は考えにくいということから、今回の  パピラというものの摂取によって、引き続いて起きてきた可能性が高い。そして、その  因果関係を今回のいろいろな状況証拠から否定はできない状況にあるということを最終  的に考えました。   そして、呼吸管理を要し下手をすると致死的な状況になっていた可能性もあるので、  非常に重篤な事例として、最重症のケースとして今後の対応を取り扱っていくべきであ  ろうと言う結論に至りました。   スギ花粉症の方が経口的にこういうスギ花粉を含むものを摂ったとき健康被害の発生  が起こりうるのではないかと考え、検討会において「こういう事例が一度発生したから  には、ほかの食品等に対しても何らかの警告というものが必要であろう」という結論に  達しました。   以上です。 ○井藤座長 ということですが、何か御質問ございますか。   花粉症の患者さんは極めて多く、スギ花粉は空気中に浮遊しているわけですから、多  くの人が多かれ少なかれスギ花粉を摂取しているという状況があるというふうに予想さ  れるんですけれども、今までそういう方にアナフィラキシーショックを起こしたという  報告はないように思うんですけれども、その辺はどう考えるんでしょう。 ○海老澤委員 これだけの大量のものを一度に、今回の症例では摂っているわけですが、  我々アレルギーを専門としている者としても、普通の食物アレルギーとは明らかに状況  が違うと感じました。IgE抗体をスギに対して持っていらっしゃる方が、吸入性抗原  を経口的に一度に大量に摂取した場合に、口腔粘膜等での症状の出現というのは十分起  こり得るだろうとまず考えられますが、それがアナフィラキシーにつながっていくかど  うかということに関しては、通常はそのようなことはないだろうと思っていました。し  かし、今回のケースのようにホストの状態などにより大量暴露が起きた場合に、重篤な  症状の出現が起こり得る可能性はあるのではないかと結論づけた次第です。 ○井藤座長 ということで、ホストのいろいろな条件が重なった場合に起こり得る。逆  に言いますと、大量摂取によるアナフィラキシーを否定できないというのが結論であっ  たかというふうに思いますが、そのほか何か御質問ないでしょうか。 ○吉池委員 今回、薬事法的に抵触する薬効というのは、経腸管的な減感作ということ  なんだと思うのですが、それについてはそもそも全く効果が期待されないものという理  解でよろしいんでしょうか。 ○海老澤委員 食べて治すという、花粉症とかヨーロッパでシラカバ花粉等の花粉症に  対するアプローチというのは、今ヨーロッパでは実際に行われている状況でありまして、  また、日本でも舌下の免疫療法も、今、臨床開発の段階であります。しかし、アプロー  チ的にそういう方法はありますが、臨床実験とか、そういう段階も経ずして、いきなり  何の根拠もなしにこういう形で、まして大量に経口投与をしていくというところが大き  な問題を含んでいるんだろうというふうに考えられます。 ○吉池委員 減感作として作用し得るということは、逆に、何らかのコンディション下  で非常に強いアレルゲンとなる可能性もあるということかと思います。部会の意見を見  ると、腸管から吸収されるまでは胃酸消化酵素などに分解され、抗原性が失われるとな  っているわけですが、そこが必ずしも十分失われずに、減感作の治療薬として、効くか  もしれないし、抗原性が残り得る可能性もあるという解釈でよろしいんでしょうか。 ○海老澤委員 実際にスギ花粉を経口摂取していった場合に、通常ですと、ここに書い  てあるとおり、消化のプロセスを経て、抗原性が失活されるというふうに僕らも考えて  います。しかし、大量にはいった場合とか、あと、例えば粘膜の状態とか、そういうこ  とによって予期せぬことというのがきっと発生し得るのではないかと考えています。 ○井藤座長 あと、資料の1−2のパピラの写真が載っておりますけれども、ここには  効能が全く書いていないんですが、効能のところに、花粉症の治療あるいは予防に用い  ると明記してあったわけですか。 ○事務局 直接商品には明示していなくても、こういう効果をうたって販売をしている。  例えばインターネットでこういうものを販売されているわけですけれども、明らかに減  感作療法をうたって販売をされていたという実績がございます。したがって、それ自体  でも薬事法の無承認医薬品の広告違反という形にもなりますから、違法という形になり  ます。 ○井藤座長 ということで、あとは、こういった事例検討会の意見を踏まえて、厚生労  働省としてはホームページに注意喚起を行ったわけですね。 ○事務局 ご指摘どおり、この検討会の意見を踏まえまして、当省では3月27日に資  料の1−3になりますけれども、このような注意喚起をホームページ上で行ったもので  ございます。また、御意見を踏まえまして、今回、スギ花粉を含む食品への対応を検討  いただくことといたしまして、その検討会の意見等も踏まえまして、資料2の方に、今  回、論点を整理させていただきました。   資料2の方ですけれども、ここに「検討の対象」とございますけれども、ここで検討  の対象として3つ○が打ってありますけれども、整理させていただいておりまして、ま  ず、今般健康被害が報告された製品につきましては、減感作療法を目的としていること  が明確であるため、薬事法上の医薬品に該当すると判断されまして、製品の回収の指導  がなされておりまして、もう既に販売はされておりません。しかしながら、類似の製品  は販売されておりまして、これらの製品の取扱いについてどう考えるのかということが、  今回ご検討いただきたいところでございます。   なお、今回、被害があった製品のように、主な原材料としてスギ花粉が充填されてい  るカプセル等につきましては、もっぱら花粉症の治療または予防のための減感作療法に  使用することが目的とされているものもございまして、このようなものとしましては、  医薬品として判断される可能性があるものもございますが、多種類の原材料、例えばほ  かのハーブなどと混合して使っているようなものにつきましては、医薬品と判断される  可能性は低く、そういったものにつきましては、今後も食品として流通する可能性があ  るというところでございます。   以上でございます。 ○井藤座長 ということで、事務局で整理された論点は3つということですが、今の事  務局からの説明について、御意見、御質問はあるでしょうか。 ○山添委員 問題となったパピラの製品そのものは、天然のものですね。そうした場合  に、成分の均質性で、ことにこの問題が起きたものについて、本当にスギ花粉なのか、  それに付随して何かの物質がコンタミといいますか、紛れ込んでいた可能性については  いかがなんでしょうかということなんですが。 ○井藤座長 その店について事例検討会ではどういうふうな議論をされましたか。 ○事務局 ほかのものがコンタミしていた可能性ですとか、そういったところまでは、  県の方で調査したところ、こちらの業者についてはこの製品しか製造していないという  ことでございまして、製法等を確認したところ、スギ花粉を100%使っていたというと  ころでございます。ただ、微生物検査等は今回しているわけではございませんが、この  製品につきましてもう1件苦情がございまして、昨年でございますけれども、この製品  を摂取したところ、発疹が出て、鼻水がとまらなくなったという苦情等があったという  ことでございます。 ○山添委員 その場合に、別のロットのものですか。それとも同一のロットで起きたか。 ○事務局 昨年の報告で、また、販売者も違っておりますので、恐らく別のものだと思  います。 ○井藤座長 よろしいでしょうか。そのほか何か御質問、御意見ございますか。   ないようですので、それでは、具体的な論点に入りたいと思います。   まず、論点の1ですが、スギ花粉を含んだ食品について、対策を講じる必要があるか  どうかということに関して、御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○大久保委員 スギ花粉症を診ている者としての意見です。実際にスギ花粉抗原エキス  というものがスギ花粉の主要アレルゲン、いわゆるCry j 1、Cry j 2を主成分とする  ものが医薬品として認められている以上、スギ花粉そのものはCry j 1、Cry j 2とい  うスギ花粉症の人に対しての有効成分を含むわけですから、これは一般の食品としては  扱えないですし、何らかの制限が必要です。また、先ほど鼻水の事例がありましたけれ  ども、実際に減感作療法で抗原を注射すれば、患者さん方は鼻水を訴えることもありま  すし、もちろん全身性のアナフィラキシーも経験しています。当たり前のように起こる  ことだろうというふうに思っています。 ○井藤座長 健康食品も含めて何らかの制限をすべきというご意見ですか。 ○大久保委員 ええ。実際には、副作用の可能性がある限り、何らかのことを注意喚起  をしない限り、例えば健康食品で含有量が少ないものであっても、そういったものに制  限がかけられない。幾つもたくさん飲んだ場合にはどうなるかということも考えなけれ  ばなりませんので、含有量ではしばれません。その方のコンディションが悪ければ、少  量の抗原でもアナフィラキシー等を起こすことは十分考えられますし、毎回同じ抗原量  を減感作療法で注射していても、なぜこのときにアナフィラキシー様の反応が起こった  のかということはわからないわけですから、生体内の免疫反応としては、含有量ではな  いと思っています。抗原量で対応する人間の体が毎回同じであるとはとても思えないの  で、量的とかそういうものとは少し違うのかなというふうに思っています。 ○井藤座長 海老澤先生は同様な御意見ですか。 ○海老澤委員 Cry j 1は、今、注射で減感作、我々の臨床の場では行われているわけ  ですけれども、それを打っていく量というのは微量な量から始めて、だんだんに反応を  確認しながら上げていくわけです。そういうふうに、我々医療従事者ですらも慎重に治  療のエキスとして取り扱っている状況において、何もそういう検討がなされずに、今回  のパピラというのは大量のものが入っていますから論外で、また、減感作を主目的にし  て、こういう飲み方をしてくださいとか、そういうことも書いてあるので、そのことも  論外だと思いますが、医療行為にすれすれのいろいろな食品が存在しています。そうい  った場合に、においとか、そういうのを目的で入れているのだと言われてしまって、薬  効を期待して入れていないのだと言われても、先ほど大久保委員からもお話があったよ  うに、微量で反応する方に関しては、予期せぬ量で反応することがあります。ある方が  1グラムとかそれぐらいのところで反応するというふうに普段決めていても、体調が悪  いときには、それの10分の1、100分の1で反応したり、いろいろなことが実際のア  レルギーで起きてきます。ですから、量でどうこうとか、そういったことをするという  のは適さないのかなというふうには思います。 ○井藤座長 そのほか何か、委員の先生方から御意見ございますか。   海老澤先生、大久保先生は、何らかの規制を加えるべきであろうという御意見である  と思いますけれども、抽出するとか濃縮するとかという操作が加わっているものは規制  をかけやすいと思いますが、例えばスギのにおいがするという程度の微量のスギ花粉し  か含んでいないものにまで規制を加えるべきでしょうか。 ○事務局 過去に法律上禁止した例としまして、重篤な健康被害が発生しました「あま  めしば」の例がございます。こちらにつきましては、間質性肺炎という重篤な健康被害  を起こしたということで、法律に基づいて販売禁止をしてございますけれども、今回の  ものにつきまして、微量でもすべての方がほとんど重篤なアレルギー症状を起こす可能  性があるとか、そういったことなりましたら、法的な措置も講じる必要はあるかとは思  いますけれども、どの程度の健康被害か不明というものにつきましては、今まで厚生労  働省といたしましては、例えば注意喚起をするとか、上限値を設定するですとか、消費  者に情報提供をするですとか、そういった対応をとってございます。 ○井藤座長 ということですが、このものにどの程度の、どのような規制を加えるかと  いうことが問題になろうかと思います。まず、何らかの規制をかけた方がいいだろうと  いうことに関しては、海老澤先生、大久保先生の御意見ですが、他の委員の先生方もそ  ういうことでよろしいですか。  (うなずく者あり) ○井藤座長 では、どういう規制のかけ方をするかということに論点を移していきたい  と思いますが、これに関しては、大久保先生、どういうふうにお考えでしょうか。 ○大久保委員 スギ花粉を食品として考えるという部分、自然なものですからいいよう  に思われるんですが、我々だれでも、花粉症でも花粉症でない人も、井藤先生おっしゃ  いましたように、みんな食べているわけですね。ある一定量を食べています。ほとんど  同じぐらいの呼吸機能を持って、同じように食べているんですが、では、こういった健  康食品が我々に加わることによって、発症を変化させることがないのかどうか健康人に  対してそのコンセンサスがない。抗原で、空気中の経気道感作と経腸管的感作療法か増  えた場合に、これはスギ花粉症の人を日本でより増やすことにならないかという問題も  出てくるわけです。   ですから、そういうことを考えていきますと、抗原物質になり得るものというのは、  これからはできる限り避けていくということも必要です。これは海老澤委員の専門です  が、小さいころにどういったものを食せばいいかということにもつながってくるんです  けれども、少なくともこれだけ日本で多いスギ花粉症の人たちに、どのくらいの抗原量  が加わるとどのぐらい発症しやすくなるか考える必要があります。そしてそのプラスア  ルファの自然暴露以外のものというのは、健康食品であろうとも花粉症が発症すれば、  これは多分事例としては発症の促進事例ということになってしまうと思うんですね。   ですから、我々も検討が足りないと思っていますけれども、そこがわかってくると、  こういった健康食品がどの程度いいのかということが分かります。しかし、現在はまだ  全くわかっていませんので、できる限りのところ、禁止していった方がよいのではない  かというのが私の意見であります。 ○井藤座長 海老澤先生、いかがですか。 ○海老澤委員 スギ花粉の飛散量の多い地域では大量に口から入っていて、そういうと  ころで大気汚染のないような地域ではスギ花粉に大量暴露しているにもかかわらず発症  しにくいのではないかなどいろいろな意見があります。しかし、現在まだそこら辺の基  礎的なデータがまだ十分に僕らも持っていない状況です。ですから、どれぐらいの量を  経口的に入って、トレランスを誘導できうるかあるいは逆に発症を増やしていくのかと  いうこと自体が、スギ花粉症に関してはっきりとしたそういうエビデンスがございませ  ん。ですから、現在、こういうぎりぎりの食品をいろいろな業者が出してきて、治療で  はないと言いつつ、治療であったり、微妙な、法的に違法のところと合法のところのち  ょうど中間ぐらいを攻めてくる状況があります。ですから、そこのところ、どの程度ど  うやって網をかけるか、難しい議論で、それをどのようにすべきかスパッと専門家の立  場から言えれば、僕らも困らないのですけれども、現状では量でどうこうとか……言う  ことができない状況です。   あと、参考資料の方も見ていただいてもいいでしょうか。「スギ花粉飴」が参考資料  2に出ていますけれども、これは実際には、いわゆる飴として売られているような食品  なんですね。その中にどの程度スギ花粉の量が入っているかというのをうちの臨床研究  センターの安枝室長の方からデータをお借りしてきたのですが、スギ花粉飴という飴の  中に、実は3万個ぐらいの花粉が含有されていまして、それでなおかつその中の飴を溶  かして、さらにCry j 1というスギ花粉の主要抗原を実際に測っているんですけれども、  ポリクローナル抗体での数値とモノクローナル抗体での数値とで量が違った形にでてい  ます。多分これは、Cry j 1のポリクロは感度がいいので、変成していないインタクト  な抗原ですね。それをモノクロで測られてくるものですけれども、それとやや変成した  もの、そこがポリクロで測られてくるものというふうに解釈していただき、相当な量の  Cry j 1がスギ花粉飴の中に含まれています。個数から言うと3万から。Cry j 1から  換算すると5万とか、それぐらいの花粉の量が入っていると。5万とか3万とか、それ  ぐらいの数を僕らが経口的に摂ったときにどういうことが起きるかというのは、実際に  そういう研究をしている者がいないので、よくわかりません。大久保委員は舌下投与の  減感作等のデータとかもお持ちなので、多分どれぐらいの量で症状がそういうので誘発  されてくるかとか、感作を増加させるかということに関しては、今後少しずつエビデン  スが出てくるのかなとも思います。   しかし、花粉飴という飴が主体という形で出てきているのでも、相当含んでいるとい  う現状があるということが、今回データを調べたことからわかりました。 ○大久保委員 実際の数値でいきますと、今の450ナノグラム、1粒にあたりますけれ  ども、これは舌下減感作療法の最終濃度からすると、すごく低いものではあります。  我々が1回に使うCry j 1濃度が2週間に1回の維持療法のとき、10マイクログラム  の抗原を使いますので、40分の1程度です。   ところが、最初からこの濃度を我々は使うわけではなくて、多分使うとすると、10  ナノグラムぐらいから10ナノ、100ナノ、1,000ナノ、その次と4段階に上がってきま  すので、本当に最初の部分の量、我々が安全だと思っている量では、少なくともこの量  というのはないということですね。我々がやっているのは、1粒当たりの大体40分の  1で初回をやって、安全性を確認して量を上げていくという形をとっております。 ○井藤座長 そうしますと、先生方が安全と考える量があれば、例えば上限値、これぐ  らいまではいいですよというふうな規制のかけ方があり得るのですが、減感作療法の今  までの御経験からして、上限値を設け得るものなのか、それとも、いや、そうではなく  て、ごく微量でもいろいろなことが起こり得るというふうに考えた方がいいのか。 ○大久保委員 今お話しさせていただきました、大体ここにある花粉の量の20分の1  という20ナノグラム程度、10〜20という形のものが本当に測定できればいいんだと思  うんですけれども、現在、Cry j 1について測定できるのは、海老澤委員の御報告にあ  った安枝先生、ごく限られた先生方の研究的なところで測定されているものですので、  かなり上限量をつくるのは難しいかなという気がいたします。   それともう1つ、飴が1個であっても、多量に飲んだ場合は、倍、3倍という量にな  ってしまいますね。そういった場合、それを一般的な食品で置いておいて、大量に摂取  した場合というのはやはり問題になる可能性は出てくるかと思います。いずれにしても、  Cry j 1の量でもし規定ができれば、それは可能性としては残っているというふうに思  います。 ○井藤座長 ということですが、梅垣先生、何か先生のお立場から御意見ございますか。 ○梅垣委員 一般の減感作療法は、専門医のもとで治療して、30分ぐらいはそこにと  どまるというような極めて厳しい条件で行われているようです。それを、一般の人が何  も知らないでやるというのは非常に危ない。そういう危険があるというか、危ないとい  うことをどう消費者に知らせるかというのが一番重要なところだと思います。少なくと  も表示はきっちりする。危険があるとか、危ないという表示はするべきだというのは最  低限やらなければいけないことだと個人的には思います。 ○井藤座長 吉池先生、どうぞ。 ○吉池委員 参考資料1を拝見していたのですが、これは事務局の方でどのようにサー  チされたのでしょうか。世の中に出回っているものの一部だと思うのですが、これを見  る限りは、8割ぐらいは減感作、あるいはそれに近いものをうたっているということで、  どの程度が薬事法上で規制ができるのか、あるいは薬事法には直接かからなくても、い  わゆる健康食品等の表示でという部分なのか。前者については、やはり厳しく、より網  の目をくぐり抜けないように、リスク管理をする。そうすることによって、少なくとも  そういう目的での販売というのは現実的にできなくなると考えられます。それ以外のと  ころをどうするかということに問題が絞れると思うのですが、現実的にはどんな状況な  んでしょうか。 ○事務局 私どもは薬事法担当の部署でございます。   当然明らかに花粉症が治るとか、花粉症を緩和するといううたい方をされていれば、  これは薬事法の医薬品に該当しますので、無承認無許可医薬品という取締りの対象にな  るだろうと思います。もちろん、これは売られ方によるものですから、端的にこれだけ  の書類だけではなかなか判断が実はしづらい部分がございまして、本来は販売方法等、  この中に出てこない総合的な判断で、医薬品であるかどうかということを個別に判断を  して取締りを行っていくという形になるのだろうと思います。いかに販売者の意図を取  り締まる側が立証するかどうかというところにかかってくるわけでございます。 ○井藤座長 現実的にスギ花粉を含有した健康食品、ここのところに何種類か挙がって  いるわけですが、この製品の販売に当たって減感作をうたっているものはどれぐらいあ  ったのですか。 ○事務局 個別に私も今これを見させていただくのは、正直言うと初めてでございまし  て、まだこの裏側にもいろいろな資料があったんだろうと思います。商品をこのままや  っていきますと、どれがどういうふうにうたっているかというのは、もうちょっと詳し  く見ないとよくわからないと思います。実際にこれは、例えば口述で言っていてもだめ  になってしまいますので、これはただホームページではどうであるかということと、口  述ではどういう販売をされていたのか、販売店ではどういう販売をされていたのかとい  うことを総合的に見ないとわからないということでございます。   大方、花粉症の治療もしくは緩和を期待をさせるということだけで薬事法上の違反を  問うことは可能だと。ただ、それをどこまで立証できるかどうかという取り締まる側の  立証性の問題ということでございます。 ○吉池委員 薬事法ではなく、いわゆる健康食品に関わる表示として不適当なものとい  うことではどこまで、あるいは迅速に対応ができるんでしょうか。 ○事務局 いわゆる健康食品の? ○吉池委員 薬事法的には解釈はできにくいけれども、健康食品として健康に関わる影  響、効能的なものを何らか言うということで、何か規制の対象となるようなことという  のはあるのでしょうか。全くそれとは違う、スギの花粉が入っているから香りがいいと  か、そういう食品になるのでしょうか。 ○事務局 例えば、スギ花粉の入っている飴のようなものですね。事業者の方があくま  で風味づけということであれば、これは食品として取り扱うというようなものでござい  ます。例えば、錠剤ですとかそういったものにつきましても、例えばスギ花粉単品では  なくて、いろいろなものと混ぜて、あくまでスギ花粉が風味づけだと、減感作療法とか  そういったものを目的にしているのではないということであれば、これは食品という取  扱いにせざるを得ないというところでございます。 ○井藤座長 ということですが、そういう意味では、明らかに薬事法に抵触する販売の  実態があるものに関しては禁止ということははっきりしたということですね。大久保先  生の御意見に従えば、できれば風味づけと言われるものも含めて規制した方がいいとい  うことになろうかと思いますが、その点に関しては、先生方はどういう御意見でしょう  か。山添先生、何か御意見ございますか。 ○山添委員 1つのボーダーラインの難しいところは、先ほど大久保先生もおっしゃっ  たように、天然のもので我々日常摂取しているレベルのものがあるわけですね。ただ、  このものを積極的に風味づけとして添加をするメリットがほかに代え難い場合であれば、  それは使うそれなりの理由を認めてもいいのかもしれないですけれども、それがなけれ  ば、害の方が場合によっては濃度的に規制ができないという先生方のお答えからすると、  このものについては、添加をするという点については必要性がないのではないかという  ふうに思いますが。 ○井藤座長 吉池委員、何かありますか。 ○吉池委員 必要性というのを私個人としてはあまり感じられないのですが、一方、実  際に全く加えることを許さないということになると、天然の食品ともとらえられなくな  いので、仕組み上難しい。また、上限量というのも現実的に難しいようにも、先ほどの  議論を聞いて思っております。従って少なくとも注意喚起表示ということで、はっきり  と消費者が認識できるような形を義務づけるというのは最低限であり、消費者が仮にそ  ういう注意喚起がありながら、その上でもスギの飴が食べたいということであれば、そ  れは1つの選択肢かもしれません。そこがまず考えられる対策の1つなのかと思います。 ○井藤座長 海老澤先生か大久保先生、抗原物質とスギ花粉に含まれる風味というのは  一致するのですか。全然別のものなのですか。 ○大久保委員 風味で直接抗原性とか全く関係ない部分なんだろうと思っています。例  えば、ヒノキの木の香りとか、そういうふうになると別ですが、これはあくまでもスギ  花粉ですので、花粉飴、僕も食べたことがありますけれども、やはりざらつきがあって、  花粉があるような形で、ここに入っている3万個から5万個という海老澤委員の御意見  がありましたけれども、多分そのぐらい入っていて、風味というか、どちらかというと  舌触りのような気がして食べていました。我々も結構興味があって、いろいろ確認はし  たんですが、抗原性があることは全く間違いのないことです。添加物として先ほど、海  老澤先生に聞こうとしたのは、アレルギーの可能性がある食品であれば、こういったも  のが中に含まれている食品の表示がされていますけれども、あれと同じような形でスギ  花粉というものがもし入っていたら、スギ花粉症の人がこれを食べると治るというので  はなくて、これを食べるとアナフィラキシー、アレルギー反応を起こす可能性があると  いうふうにとらえられないかなというふうに思ったんですけれども。チーズとかほかの  アレルギーの方たちは、それを食べて治るとはだれも思っていないわけですね。じゃ、  何で同じアレルギーでもスギ花粉だけがスギ花粉含有物質を食べると治るというふうに  思うのか。それはあくまでも民間療法としては適さなくて、やはりアレルギーを生じる  可能性があるというふうに、そういうイメージで食品をとらえていかなければいけない  かなという気がするんですが。 ○井藤座長 かなり複雑な論議になりますけれども、そうなってきますと、ごく微量含  んでいるものに関しては、規制の対象というよりは、きちっと注意喚起を促すというこ  とでよろしいのでしょうか。   もしも、上限値は実際上決められないということになって、せめて注意喚起は、ごく  微量であっても義務づけるということになりますと、どういう注意喚起が適当であるの  かということも問題になります。単純に、スギ花粉を含むという表示。それから、もう  少し具体的に、重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性があるという注意喚起表示。  それから、さらに具体的な、アレルギー症状を引き起こす可能性があるため、主治医と  よく相談してくださいという具体的な行動まで注意喚起の中に含めるという手法もあろ  うかと思いますが、一般的に、こういった食物アレルギーも含めて、法的にどこまで義  務づけられているのか、例えば卵とか小麦とかソバとかの、食物アレルギー。今はこう  いった食品に対する表示というのはどの程度のことを一般的には求められているのでし  ょうか。事務局の方でわかりますか。 ○事務局 食物アレルギーの方につきましては、現在、食品衛生法で表示が義務づけら  れているアレルギー物質、特定原材料でございますけれども、小麦、ソバ、卵、乳、落   花生、の5品目につきましては、これらを含む加工食品につきまして、この原材料を含  む旨を記載することとされておりまして、原材料で入っていることを表示すればよいと  いう規定になっております。したがいまして、アレルギーの方は摂取するなとか、そう  いった注意喚起が書いてあるわけではございません。あくまで原材料を表示するという  ことでございます。 ○井藤座長 では、大久保先生は、もともと注意喚起という以前に、全面禁止というお  立場であろうかと思いますが、ごく微量に関してもそこまで規制するのは難しいという  ことになれば、どういう注意喚起が適切であるかというふうにお考えになりますか。 ○大久保委員 微量なものについての討論になると思うんですけれども、避けられない  部分の混入、あるいは微量のものについて、多分スギ花粉が含有されているということ  は表示する必要があると思うんですね。そこで、重大なアナフィラキシーが起こす可能  性がある、アレルギー反応を起こす可能性があるというふうに書くかどうかということ  になります。スギ花粉症の人がスギ花粉を摂取するとアレルギー反応を誘発することが  ある、という一般的な概念をもう少し何らかの形で公表すべきです。そして、そこにア  レルギー反応を繰り返せば、アレルギー反応が減弱していくとか、もっと科学的になり  ますのでエビデンスを作らなければなりません。まずはアレルギー反応が起こるという  一般的概念を普及させるべきだというふうには考えています。   そこにスギ花粉と書いてあってアレルギー反応を生じることが、ある程度までは可能  性としてはあると思いますけれども、重大なとか、そういうところまでは書けるかどう  かというのは難しいかなと現状問題として思っています。   ただ、できればスギ花粉が含有されているということは、しっかりとすべてのものを、  花粉飴もそうでしょうし、ほかのものも表示を義務づけて欲しいです。それ以外の、例  えばこの中にあった主成分が本当にスギ花粉だけのものについては禁止していった方が  安全かなという気がしています。 ○井藤座長 スギ花粉を主成分とするものは発売禁止。それ以外のごく微量スギ花粉が  含まれるものに関しては注意喚起を行うと。注意喚起の際に、まず本品はスギ花粉を含  むことは表示する。「重篤なアレルギーをひきおこす可能性がある。」という表示は必  ずしも適切でないかもしれない、そういう御意見ですか。 ○大久保委員 重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性があるというのは、多量にな  れば必ず出てくると思います。あるのだと思いますけれども、そこまで書けるかどうか  という現状問題だと思うんですけれども。スギ花粉症の方は注意して服用してください、  程度のものでも、一般的なスギ花粉含有物質を摂ると、こういった重篤なアレルギーが  起こるということは、ニュースで既に報道されていますし、そういったことが一般的な  国民の方たちの知識になってくれば、あえてそこに記載すべきかどうかというのは、そ  れは法律とかいろいろな問題とも絡んでくると思います。 ○井藤座長 健康食品の情報の提供の仕方ということの前に、原則としてはだれでも自  由にアクセスできるということが健康食品の特徴。もう1つは、ニュースであるとか、  いろいろな形の広報から漏れる人が必ずいるという、そういう情報を十分に入手し得な  いで摂取する人がいるということを我々は認識すべきだと思います。そういう立場から、  一般的にニュースを通して知っているだろうということを予想をした上で注意喚起の文  案を考えるということではなくて、何も知らずに過剰摂取する人がいるということを仮  定することが必要になります。そうした場合に、なおかつ、「重篤な」という言葉であ  るとか、あるいは「アレルギー」という言葉を避けるということが適切であるかどうか  ということが論議になろうかと思うのですが、そういう立場に立った場合、先生、どう  でしょう。 ○大久保委員 そういった立場に立った場合には、重篤なアレルギー症状を引き起こす  可能性があるというのは否定できないことでしょうし、それを記載して注意喚起を促す  べきではないかなというふうには思っています。 ○井藤座長 海老澤先生、いかがですか。 ○海老澤委員 一般の方々に「アレルギー症状」というように書いても、どこまでをア  レルギー症状ととらえるかという問題と、逆に、「重篤な症状」と書いても、何をもっ  て重篤と言うかわからないと思います。ですから、重篤なアレルギー症状とここに書い  てある、引き起こす可能性ということであるので、これはこの形で良いという気はしま  す。本当に微量にしか含まれていなくても、口腔粘膜に傷があったりとか、口内炎があ  ったりとか、何らかの体の中に入る要因が高まった場合には、非常にひどい反応が起こ  る可能性というのは十分あると思うので、この文案はこれでよいと思います。 ○井藤座長 梅垣先生、健康食品の情報を扱う立場からいかがでしょうか。 ○梅垣委員 先ほど先生がおっしゃったように、「重篤なアレルギー症状を引き起こす  可能性がある」。「重篤な」という言葉がなければ、普通の人はあまり注意しないんで  すね。あくまでも可能性ですが、こういうものを積極的に摂るという人は、普通の食事  というか、例えば卵とか、落花生とか、そういうのを食べるのとはちょっと違いますか  ら、「重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性がある」という文案が妥当だと思いま  す。 ○井藤座長 吉池先生、何かありますか。 ○吉池委員 先ほど、薬事法でどこまでとお聞きしたのは、実際、薬事法でどの程度迅  速にできるのかということと、逆に、それをかいくぐろうとして減感作的な目的で売る  ような、あるいは消費者もそれを望むようなことというのは出てくるのだろうと思って  います。そうしたときに、表示について、注意喚起については徹底して義務づけるとい  うことになりますと、「重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性があるため注意する  こと」というのが良いと思います。さすがにこの表示をしながらスギ花粉の患者さんに  売るということはないと思われます。また、そのほか、減感作を目的としないものであ  っても、それを加える何のメリットがあるのか。この注意喚起がありながら、それを加  えるメリットがあれば、それはそれで判断される可能性もあるかもしれません。そうい  う意味合いから、「重篤な」というのも可能性としてはあるわけですので、このような  比較的強い注意喚起が必要なのではないかと思います。 ○井藤座長 山添先生、何か御意見はございますか。 ○山添委員 今の吉池先生と基本的に同じであります。ただ、重篤なアレルギー症状と  いうものが、例えばホームページ等でアクセスして、非常に関心のある方であれば、  中身がどういうことを言っているのかわかるんですけれども、ここで一番表示をしたい、  それで気づいてほしいと思う方に、これで具体的に、例えばアナフィラキシーショック  のようなものがまれに起きるということが本当に理解できるのかということなんですが、  なかなかそれは表示は難しいと思いますので、ここで「重篤な」という言葉で一応代表  して入れておくのはどうかなというふうに思っています。 ○井藤座長 そうしますと、こういった規制をかけて、ある程度一般消費者が理解しや  すい言葉で示すべきであるということですね。テクニカルタームで簡潔明瞭に示すと、  それはそういうことを専門に扱っている人には簡単に理解できる言葉だけれども、一般  消費者にこういう言葉が何を意味するか、どういうことを指し示しているのかというこ  とはわかりにくくなる。いずれにしろ、より広くこういった注意喚起の意味するところ  を知ってもらうために、どういう広報をするかということを考える必要があります。そ  の点に関して、現在、厚生労働省としてはどういう広報の仕方を考えておられるんでし  ょうか。 ○事務局 厚生労働省としましては、今現在、スギ花粉を含む情報につきましては、資  料1−3にございますとおり、注意喚起の方を厚生労働省ホームページでいたしており  ます。   また、資料としてはお配りしておりませんが、梅垣先生の方で国立健康・栄養研究所  のホームページにおきましても、より詳しい注意喚起をしていただいているというとこ  ろでございまして、主に厚生労働省のホームページと国立健康・栄養研究所のホームペ  ージで注意喚起をするという方法をとってございます。 ○井藤座長 そのほか考えられる対策というのは何かないでしょうか。梅垣先生、何か  ありますか。 ○梅垣委員 とりあえず私どもの研究所で出していますホームページ、最初言いました  ように、医師の方が行うような対応と、それをそのまま一般の消費者が行うのと違うと  思うんですね。そういう基本的なところをもう少し伝えていかなければいけないと思っ  て、実際にホームページに書いています。見る人がそれほどいませんので、できるだけ  見ていただくような対応をしていただければ、もう少し方向性が変わってくるというふ  うに思います。 ○井藤座長 実際に先生のところでやっておられるホームページにヒット、アクセス数  ははどれぐらいあるのですか。 ○梅垣委員 アクセス数は1日に6,000件ぐらいです。見ている方は専門の方が結構い  らっしゃいます。本当に見ていただきたい一般の方はあまりないのではないかというふ  うに思っていますので、それをどう対応するかというのは私どもの課題です。こういう  場を介して、できるだけ一般の方が見ていただけるような対応をとっていただければ、  私どもにとってもうれしいことだと思っています。 ○井藤座長 健康食品協会とか民間の組織を通じて、こういった注意喚起が全国津々  浦々の健康食品を扱っている業者さんに伝わるというふうなシステムはないのですか。 ○事務局 今まで、民間の組織の方で注意喚起をしていただくということを直接お願い  したことはございませんが、昨年、厚生労働省の方で注意喚起した事例につきまして、  健食団体の方に情報提供いたしましたところ、そちらの団体の方で会員への周知ですと  か、製品のチェック、そのようなことをしていただいたということはございます。 ○井藤座長 こういったかなり重篤な有害事象が起こったもの、しかもこういう調査会  で論議してそれなりの規制が必要であるという結論が出たものに関しては、業界の方々  の御協力も仰ぐといったことが適当ではないかと思うのですが、ただ、そういうふうに  されるかどうかは業界の方々の考え方によりますので、強制はできないというふうには  思います。   ということで、今までの結論をまとめてみますと、少なくとも花粉症予防とか、ある  いは治療が目的であるといった表示は、これを禁止ということが第1点。それと、主成  分にスギ花粉を含むものに関しましても、これも原則発売禁止といったことが望ましい。  ごく少量含むものに関しては、重篤なアレルギー症状を引き起こす可能性がある旨の注  意喚起をするといったことが適当であろうと。広報としては、厚生労働省、あるいは国  立健康・栄養研究所のホームページで広報すると同時に、業界の方への御協力も仰いで、  できるだけ津々浦々に情報が行き渡るように努力するといったことになろうかと思いま  すが、こういうことでよろしいでしょうか。何かそのほかつけ加えることはございます  か。大久保先生、何かつけ加えることはございますか。 ○大久保委員 1つ食品の方で、今回の1−3のようなものが出ていると思うんですが、  厚生労働省は花粉症のページがアレルギー疾病対策課にもありますので、そちらにぜひ、  これを書くか、あるいは私たちの方で書かせていただくか、早急に案をまとめていただ  ければと思います。花粉症の方たちは、厚生労働省のホームページとしては、花粉症の  ページの方をよく見ると思いますので、できればそちらの方にも載せていただきたいな  と思っています。 ○井藤座長 海老澤先生、何かございますか。 ○海老澤委員 特にございません。 ○井藤座長 梅垣先生、吉池先生、山添先生、いかがですか。特にないですか。   では、一応今私が申し上げたことを今回の調査会での結論ということにいたしまして、  今日の論議はこれで終わりたいと思いますが、よろしいでしょうか。  (うなずく者あり) ○井藤座長 事務局の方で何かございますか。 ○事務局 では、本日、ご議論いただいた結論につきまして、事務局で整理した上で、  また座長及び委員の先生方に御確認した上で管理措置をとることといたしたいと思いま  すので、よろしくお願い申し上げます。 ○井藤座長 それでは、これで終わりたいと思います。貴重な御意見をいただきまして、  どうもありがとうございました。  −以上− 照会先:厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室 (03−5253−1111(内線2459))