07/04/03 第13回社会保険新組織の実現に向けた有識者会議 平成19年4月3日議事録        第13回社会保険新組織の実現に向けた有識者会議議事録                        期日:平成19年4月3日(火)                        場所:厚生労働省18階専用22会議室  佐藤座長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第13回社会保険新組織 の実現に向けた有識者会議を開催させていただきます。この有識者会議も今回で最終回 でございます。  本日の委員の皆様方の出欠につきましてですが、陶山委員が御欠席です。  本日は、まず1番目に、3月13日に国会に提出されました社会保険庁改革関連法案に ついての事務局からの説明があります。  2番目は、今後の社会保険庁改革の取り組みについて議論いたします。  3番目は、年金の記録管理に関して議論していただきます。  4番目は、この有識者会議の1年9カ月にわたる議論の取りまとめをさせていただき ます。  それでは、まず、本日の議論に先立ちまして、厚生労働大臣からごあいさつをいただ きたいと思います。よろしくお願いいたします。  柳澤厚生労働大臣 ただいま厚生労働大臣の職にございます柳澤でございます。本日 の会議に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。  この会議には、一昨年の7月より、今、佐藤座長から御紹介がありましたように、 前々任の尾辻大臣、その次の川崎大臣も出席をさせていただいておりまして、社会保険 庁改革の具体的なあり方について、本当に精力的な御議論をお願いいたしてまいりまし た。これまで業務改革のプログラム、新人事評価制度、そして組織改革に関するお取り まとめをいただくなど、国民の視点に立った改革の推進に向けてさまざまな御尽力をい ただいておりまして、この機会に改めて厚く御礼を申し上げる次第でございます。先生 方、まことにありがとうございました。  社会保険庁改革関連法案についてでございますが、昨年の通常国会に、国の新たな行 政組織とするという年金事業機構法案と国民年金事業の運営を改善する法案を提出いた したのでございますが、御案内のように、新たに国民年金保険料の免除等の不適正処理 が明らかになり、臨時国会におきまして廃案となってしまいました。  先生方には、多大なお時間をかけて御議論をいただいた法案であったにもかかわらず、 社会保険庁の中からのこのような問題の生起によりまして成立を見ることができなかっ たということは、まことに遺憾なことであると考えております。  これを受けまして、昨年末、与党から新たな方針が示されまして、これに沿って、日 本年金機構法案を作成いたしまして、先月13日に国会提出をいたしました。新しい法案 におきましては、年金新組織を法人化するということとともに、その職員について非公 務員化を図ることといたしたわけでございますが、一方で、この会議で御議論いただい た公的年金制度を堅持して、国の責任のもとで安定的な運営を図れという、この大原則 や、あるいは、意思決定機能、監査機能、業務執行機能を強化していくことなどの点に つきましては、組織改革の基本的な事項として再び新しい法案に盛り込ませていただい ておる次第でございます。また、サービスの向上、業務の効率化、民間的なメリハリの ある人事処遇などの改革をさらに一層推進していくこととなってございます。  先ほど佐藤座長からお言葉がございましたように、本日がこの会議の最終回となるわ けでございますが、国民の信頼を回復することのできる新しい組織の実現に向けまして、 委員の先生方には本日もより率直な御意見を賜りたく、くれぐれもよろしくお願い申し 上げる次第でございます。  先生方、まことにありがとうございました。  佐藤座長 ありがとうございました。柳澤大臣は公務御多忙のため中座なさいますの で、御了承ください。  柳澤厚生労働大臣 それでは、恐縮でございますが、よろしくお願い申し上げます。  佐藤座長 それでは、本日の第1番目の議題であります社会保険庁改革関連法案につ いて、事務局から御報告いただきます。  北村参事官 資料1−1〜資料1−4が日本年金機構法案の概要でございます。資料 2−1〜資料2−5が国民年金事業等の運営のための国民年金法等の一部を改正する法 律案の概要でございます。以上申し上げました資料につきまして、社会保険庁より説明 させていただきます。  高橋企画室長 社会保険庁の総務課企画室長の高橋でございます。  資料1−1でございますが、日本年金機構法案の概要をコンパクトにまとめてござい ます。  1.年金新法人の組織等でございます。名称は日本年金機構。役職員は非公務員で、 民間的な勤務条件。国の監督といたしまして、厚生労働大臣が直接的に管理監督し、事 業計画・予算を認可し、業務改善命令等も行う。設立の時期は平成22年4月までにおい て政令で定める日と法律案には記載してございますが、政令では平成22年1月を予定し てございます。中身につきましては、資料1−3の参考資料を使いましてご説明をさせ ていただきます。  資料1−3の1ページでございます。社会保険庁の廃止・解体6分割と年金新法人の 設立ということで、今回の法案のエッセンスでございます。  廃止・解体ということでございますが、それぞれの組織ごとの任務を明確化いたしま して、ガバナンスしやすくする。  また、非公務員化ということにつきましては、民間的な人事・給与体系をとれるよう にする。民間との人事交流でございますとか中途採用を容易にできるようになる。また、 公務員的な意識の払拭を図ることができる。  一方で、国の財政責任・管理運営責任と公法人への委任という点につきましては、公 的年金制度を堅持するということから、大臣の直接的な監督のもとに、国の責任のもと に公法人に事務を委任する。  徴収対策につきましては、強制徴収につきまして国が行っていると同様の滞納処分、 国税滞納処分の例によります権限を法人に委任いたしまして、最大限の徴収努力を尽く す、また悪質な滞納者につきましては国税庁に委任することもできる道も開く。  また、第三者機関による委託業務の振り分けによりまして、アウトソーシングを積極 的に推進する。  職員につきましては、募集・採用方式で適切な職員を採用する。  これらによりまして、信頼回復、サービス向上、効率化を図ってまいりたいというこ とでございます。  2ページでございます。国と公的年金の役割分担でございます。  国におきましては、公的年金に係る財政責任・管理運営責任を担うということで、こ のための形といたしましては、年金特別会計は国に備えまして、保険料の徴収・年金の 支払いは国の歳入・歳出として行う。また、年金手帳及び年金証書は厚生労働大臣の名 義で発行するということでございます。  下の図の左側の矢印にありますように、被保険者事業主から見れば、国に対して保険 料を納付し、国から支払いが行われるということで、この点線の部分にありますように、 事務処理は公法人で行いますが、国に直接入るという形でございます。  そして、左側の箱の中にありますように、保険料の調査決定、年金受給権の裁定など は国の権限で行うという形を維持しまして、国の責任のもとでの事業ということを堅持 してございます。  一方で、右下の箱にありますように、法人に権限を委任する業務もございまして、被 保険者資格の得喪の確認、標準報酬月額の決定、滞納保険料の滞納処分などにつきまし ては、法人に権限を委任することによりまして、効率的に事務を執行するという体制で ございます。  3ページでございます。年金保険料の滞納処分についてでございます。今般、このよ うな滞納処分といった公権力の行使に係る業務を行政機関以外の者に行わせることにつ きましては、法制的なさまざまな論点がございましたが、これにつきましては、下の箱 の中にありますように、事前の措置、事後の措置とございます。  事前の措置につきましては個別に大臣が認可をする。これにつきましては、効率的な 事務処理方法は講じますが、一括して認可する。また、滞納処分の実施細則についての 大臣認可。そして、法人の職員が実施するわけでございますが、その職員を法人の理事 長が任命するに際しましての大臣認可。また、事後の措置としての事後報告や是正命令 等。この事前・事後の措置を講ずることによりまして公権力の行使に係る業務も法人に 行わせるという、新しい形式を用意してございます。  また、4ページでございますが、さらに、特に悪質な滞納者に対しましては、国税庁 に委任する道も開いてございます。下の図にございますように、通常、厚生労働大臣か ら権限を法人に委任いたしまして、法人におきまして聴取努力を尽くすわけでございま すが、それでもなお聴取が困難であった場合には、法人からの申し出によりまして、財 務大臣経由で国税庁に委任することができる法律上の措置を講じてございます。  具体的には、右側の(1)、かつ(2)、かつ(3)でございますが、2年以上の長期滞納、国民 年金は高額所得者、厚年・健保は滞納額が高額、また、財産隠匿が疑われるが差し押さ え財産が特定できない場合、あるいは滞納者が権利関係を複雑にしたこと等により差し 押さえ財産の換価処分が著しく困難である場合などは、国税庁に委任することもできる ということを考えてございます。  また、5ページでございますが、このような国の責任で行う業務につきまして、かつ、 公権力の行使も行う法人に委任するわけでございますので、この法人につきましては国 がしっかりと直接的に監督する新しいタイプの公法人としてございます。  (1)ですが、毎年度の事業運営の管理監督を基本としまして、法人の年度計画(事業計 画・予算)も大臣が認可をいたしまして、法人の事務執行費用につきましては通常の毎 年度の予算要求で財務省がしっかり査定をいたしまして、使用目的をはっきりさせた上 で法人に国が交付する、残額は清算する、こういうきちんとした仕組みでございます。  (2)ですが、厚生労働大臣が、必要に応じ、業務改善命令、違法行為等の是正命令を行 うという、法律上の規定を設けてございます。  一方、※印のところでございますが、これに対しまして、これまでの独立行政法人で すと法人の自主性・自立性が重視されますので、中期の業務管理を中心として年度計画 は届け出るのみということと、また、違法行為等があった場合でも主務大臣は是正の要 求を行えるにとどまる。この点が大きく相違してございます。  6ページでございます。健康保険との関係でございます。これは既に昨年の通常国会 で成立しております健康保険法改正で、全国健康保険協会に政管健保の給付業務を移す ということでございますが、適用・徴収の業務は引き続き厚生年金と一体的に国で行う となっておりましたので、こことの関係につきましては、同じく年金公法人に適用・徴 収業務は委任するという形態となってございます。  7ページでございます。今般の法案で新しい仕組みといたしまして、(1)民間への アウトソーシングを行う業務の振り分けにつきましては、政府が学識経験者の意見を聞 きまして計画を策定するという仕組みを法律上設けてございます。法人がみずから行う 業務と委託する業務の区分、また、それに基づきまして法人の設立に際して採用する職 員の数その他の基本的事項につきまして、第三者機関の意見を聞いた上で政府が基本計 画を策定するという仕組みでございます。  また、(2)としまして、個々の職員の採否につきましても採用審査に係る第三者機 関ということでございまして、これにつきましては設立委員が委嘱する採用審査員の会 合という形としてございます。  次に、資料1−4でございますが、前回の法案と今回の法案の比較をしてございます。  これまでこの有識者会議で先生方に御議論いただいてきた内容がどのように新法案で も生かされているかという点でございますが、一番左の1では、国に対する国民の信頼 を基礎として、国の責任のもとで行うと、このようなお考えが示されたわけでございま すが、これに基づきまして、旧法案におきましては、厚生労働省に設ける新たな行政組 織、特別の機関という形態にしておりましたけれど、新しい法案では、厚生労働大臣が 財政責任・運営責任を担うという形にした上で、非公務員型の公法人に一連の事務を大 臣の直接的な監督のもとで行わせるということで、国の責任のもとで行うという点は維 持されてございます。  また、監査機能、業務執行機能の区分と強化が大事であるという御指摘をいただきま した。これにつきまして、2の(1)意思決定機能を強化するために、会議体を設けま して外部の複数の専門家も参画する。これにつきましては、前回の法案におきましては、 年金運営会議というものを設けましたが、今回は法人でございますので、「理事会」を 設け、そこで重要事項を決定するわけでございますけれど、かつ、非常勤の理事を置い て、いわば社外取締役のような形で外部の専門家を理事会に入ってもらうという形でご ざいます。  また、(2)保険料負担者や年金受給者の意向を反映させるという点につきまして、 前回の法案では、保険料負担者や年金受給者の意見を反映するために必要な措置を講ず るということを法定いたしまして、その具体的な内容としては、「運営評議会」を開催 するということでございましたが、これにつきましては、新たな法案でも同様としてご ざいます。  3の新組織の監査機能につきましては、前回の法案では、「特別監査官」ということ で、国の組織としては非常に新しい仕組みを導入しましたが、新法案では法人でござい ますので、「監事」あるいは「監査法人」の監査ということでございます。  4の新組織の業務執行機能につきましては、前回の法案では、国家公務員制度を最大 限活用しつつ、能力と実績に基づく評価制度を導入するということでございましたが、 今般の法案では、国家公務員制度の枠を離れますので、より一層ここを推進してまいる ということでございます。  以上が、日本年金機構法案でございます。  資料2につきましては、事業改善法でございます。住基ネットですとか、クレジット カードの利用でございますとか、事務費の負担の規定でございます。これにつきまして はこの会議で御議論いただきまして、昨年提出させていただいたものと同様でございま すので、説明を省略させていただきます。  佐藤座長 ありがとうございました。  それでは、新法案等を含めたこれまでの御説明がございましたが、特に御質問や御意 見があれば伺いたいと思います。  小林委員 資料1−4につきまして確認をさせていただきたいと思います。  2の新組織の意思決定機能のところで、旧法案と決定的に違うのは、旧法案では機構 の長が年金運営会議の議を経るものとはいえ、単独で意思決定をするということだった と理解しておりますが、新法案では、理事会の多数決決定であるということ。それでよ ろしいでしょうか。  それから、4の新組織の業務執行機能で、国家公務員制度の枠を離れて民間的な云々 とございますが、この給与体系とか給与・報酬の予算というものが旧法案とは何か本質 的に違うところがあるのか。例えば、賞与も含めたインセンティブ等がより自由に設計 できるとか、あるいはお金の出どころが旧法案とは違うのだとか、その辺の違いがある のであれば教えていただきたいと思います。  佐藤座長 それでは、2点ありますが、よろしくお願いいたします。  高橋企画室長 1点目につきましては、御指摘のとおりでございます。前回は合議体 ということでございましたが、国の行政組織でございますので、組織の長が決定すると いう形をどうしてもとらざるを得なかったということでございました。それに対しまし て、理事会では合議体で議論するということで、よりはっきりとしたのかなと思ってお ります。御指摘のとおりの相違点がございます。  2点目の給与体系につきましては、これは国家公務員法でございますので、前回の法 案につきましては、国家公務員でございますので公務員の給与法によりますことでござ いまして、その範囲内で能力評価を給与に反映させるという点がございましたが、もと もとの給与表は人事院が定める共通のものということでございました。それに対しまし て、今度は非公務員でございますので、給与表でございますとか、能力優秀な人とそう でない人との給与のつけ方でございますとか、そこのところにつきましてはかなり自由 度が増すのではないかということでございます。  しかしながら、財源につきましては、この法人の事務経費につきましては全額を国が 法人に対して交付金で交付するという仕組みでございまして、財務省がきっちり査定を して法人に交付するということでございますので、総枠がそう現状と変わるということ ではございません。  佐藤座長 ほかに御質問等はございますでしょうか。  それでは、先に進めたいと思いますが、途中でも御質問があれば伺いたいと思います。  この新しい日本年金機構法案ですが、資料1−4をごらんいただくとわかりますよう に、形を変えていても、私どもがここで議論した基本的な部分、あるいは形を変えた反 映がそれなりになされているような気もいたしますが、同様に委員の先生方は受けとめ られたか、それぞれだと思います。  それでは、先へ進ませていただきます。続きまして、第2番目の議題でございますが、 今後の社会保険庁改革の取り組みにつきまして議論させていただきたいと思います。ま ず、事務局より資料の説明をお願いいたします。  北村参事官 それでは、引き続き、資料3〜資料6−2でございます。資料3は「社 会保険庁は変わります宣言(Part3)」、資料4は「社会保険庁改革リスタートプラ ン」、資料5は「業務改革プログラム(案)」、資料6−1と資料6−2は「業務改革 プログラムの取り組み状況について(案)」を用意させていただいております。引き続 き、社会保険庁より説明させていただきます。  高橋企画室長 それでは、資料3でございます。今般、法案提出等を契機にいたしま して、「社会保険庁は変わります宣言」のPart3といたしまして、改めて整理をしてご ざいます。  1ページにございますように、平成16年夏より開始しました社会保険庁改革はことし で3年目でございますが、当初の第一ステージの改革の着手の段階では、「緊急対応プ ログラム」などさまざまな事案に対しましてできることから速やかに改善するという段 階でございました。国民サービスの向上、予算執行の透明性の確保、個人情報保護の徹 底、保険料徴収の徹底、組織改革、この5つの柱にわたる改革に着手いたしました。  その後、平成17年5月に、前回法案に係ります方向性が出た時点におきまして、新組 織に向けたもう一段の改革といたしまして、「社会保険庁は変わります宣言(Part 2)」ということで、これからの期間をセカンドステージと名づけ、また、9月にはこ の会議で「業務改革プログラム」などを策定していただき、改革を充実させてまいりま した。  そして、今般、これからの期間を第三ステージと名づけさせていただきたいというこ とでございますが、これからの活動につきましては、2ページ以降、第三ステージにお ける取り組みとして、その重点を掲げてございます。  1.サービスの向上につきましては、これまでの第一、第二ステージにおきまして、 社会保険事務所における接客態度でございますとか、さまざまな通知類でございますと か、わかりやすい文書ですとか、そういう点に力点がございましたけれど、その点につ きましては既に相当の改善を見てきていると思ってございます。  1.サービスの向上といたしまして、(1)年金個人情報の提供ですとか年金記録の 整備、こういう点が第三ステージでは重要だろうと思ってございまして、中ほどに(1)〜 (3)とございますが、インターネットの活用ですとか、「ねんきん定期便」ですとか、年 金記録相談の特別強化体制などに努力してまいりたいと思ってございます。  (2)でございますが、ちょうどことしから団塊の世代の年金裁定が始まります。社 会保険事務所にお越しになられるお客様が大変急増してございます。これにつきまして は、待ち時間などがふえないよう、年金裁定請求書用紙をお客様に事前に送付するター ンアラウンドでございますとか、3ページでございますが、「ねんきんダイヤル」でご ざいますとか、「総合コールセンター」の整備でございますとか、このような取り組み を進めてまいります。  (3)の業務の標準化でございますが、社会保険庁の構造的背景といたしまして、地 方事務官時代に由来する事務局・事務所ごとの独自の事務処理方法という点が長らくご ざいましたが、平成18年10月に「業務処理マニュアル」を運用開始いたしまして、今後 さらにこれを精緻化いたしまして、マニュアルに基づく効率的で効果的な全国統一の業 務ということを進めてまいります。  2.公平で確実な適用・徴収の実施でございます。「公平で確実な適用・徴収こそが、 国民全体に対する極めて重要なサービス」であるというテーマを掲げさせていただきま して、その徹底に努めてまいります。  (1)国民年金保険料の納付率の向上でございます。  4ページでございますが、(2)納付率向上のための基本戦略といたしまして、給付に大 幅な国庫負担が入る国民年金が安全で有利であることを国民にわかりやすくお知らせす る、納めやすい環境を整備する、民間委託も活用しながら効果的な納付督励を実施する、 十分な負担能力があるにもかかわらず未納の方には強制徴収も実施する。一方、免除基 準に該当する方には免除の申請の勧奨を行いまして、年金受給権に結びつけていただく。 こういう取り組みを推進してまいります。  (3)強制徴収につきましては、一番下にありますように、強制徴収の開始手続である 「最終催告状」の送付件数は、平成15年度から1万件程度からスタートいたしましたが、 18年度は30万件、19年度は年間60万件の体制に充実してまいります。  5ページでございますが、あわせまして、(2)厚生年金・健康保険の未適用事業所 の適用促進も力を入れてまいります。  3.事務処理の効率化及び予算執行の透明化という点でございます。  (1)社会保険オンラインシステムの刷新に現在取り組んでいるところでございまし て、これによりまして、業務の効率化、また運用コストの低減が図られるということで ございます。  (2)業務の集約化でございます。これまでは社会保険事務所の中で、全国312カ所 の事務所の中で事務処理まで行っておりましたが、都道府県単位の事務センターに集約 を進めてございます。平成18年、19年におきましては、年金給付や健康保険給付の審査 の業務につきましても、内部処理業務につきましては集約化をするという取り組みを進 め、将来のブロック単位内の集約化に広域的なことへと進める前段階としての準備も進 めてまいります。  6ページでございますが、(3)電子申請の利用促進でございます。オンライン利用 促進の目標を立てて進めてまいります。  (4)外部委託の拡大でございます。入力、発送などの事務、さらには市場化テスト モデル事業として着手した国民年金保険料の納付督励業務などにつきましては、拡大を してまいります。  7ページでございますが、(5)予算執行の透明化につきましては、これまでさまざ まな御指摘をいただいたことから、予算編成過程での厳しい査定でございますとか、執 行段階での調達委員会による厳正な審査によりまして、徹底したむだの排除を進めてま いりました。今後はこの取り組みに加えまして、国庫と保険料財源の別ごとにその使途 を社会保険庁のホームページに公表することによりまして、予算執行の透明化を図ると いう取り組みを進めてまいりたいと思ってございます。  4.職員の意識改革と能力本位の人事政策でございます。  (1)社会保険庁改革リスタートプランということでございます。これは後ほどの資 料で出てまいりますが、「すべての職員がこれまでの業務の進め方を見直し、みずから 変わる」という強い決意を持ちまして改革に臨むことが必要ということでございまして、 庁内に「改革リスタートプロジェクト」を立ち上げまして、全国非常勤職員を含めまし た2万 8,000人の現場の職員一人一人が、今後の社会保険庁のあり方に対するみずから の考えを「私のリスタートプラン」ということで文書に書きまして提出する。 また、長官が全国を周りまして、「長官と本音で語ろう」というトーキングを行いま す。  あるいは、現場の管理職がそれぞれ自分の部下と率直な意見交換を行う「全職員対話 キャンペーン」、こういうことを進めながら「リスタートプラン」をまとめてまいりま した。  このような取り組みを引き続き進めてまいります。  8ページでございますが、(2)新人事評価制度につきましては、この有識者会議で 御議論を賜りまして、17年度から試行を開始してございますが、19年4月からは全職員 を対象に本格実施に入ります。評価結果を実際の給与や昇格、適材適所の人事に反映さ せるという段階に入ります。これによりまして、能力本位の人事政策を断行してまいり たいと考えてございます。  第3の新組織に向けてでございます。法案を提出いたしまして、9ページでございま すが、既に通っております「全国健康保険協会」の設立を見据えた準備でございますと か、新組織につきましての準備を進めてまいりたい。  このようなものが第三ステージにおける取り組みの大きな展望かと存じてございます。  次に、資料4でございます。これは改革リスタートプランとして、全職員参加のもと に組織を変えようということで、まとめ上げてきた文章でございます。  1ページでございますが、先ほど申し上げた経緯と作業工程によりましてこのプラン をまとめましたけれど、2ページをごらんいただきますと、リスタートプランの「標 語」である「自ら変わります。社会保険庁を変えます。」ということと、「5つの基本 理念」として、I.職員の意識を変える、II.仕事の進め方を変える、III.職員の育 成・自己研鑽に努める、IV.能力本位の人事、V.管理職員のリーダーシップとマネジ メント能力。このような理念を取りまとめてございます。  3ページ以降につきましては、現場の職員の一人一人が出してきたものの中からピッ クアップいたしまして、チェック項目風にそれぞれの理念を実施するための取り組みを 記載してございます。このようなものを現場職員も共有いたしまして、改革を真のもの にしていきたいと思ってございます。  次に、資料5でございます。2005年9月27日に当初策定をいただきまして、これまで 2回改定をしてまいりました。今回、さらに改定をいたしたいと思ってございます。  1ページでございますが、I.改定の考え方でございます。当初、80項目の「緊急対 応プログラム」からスタートしたわけでございますが、現時点で150項目でございます。 これにつきまして10項目ほど追加いたしまして、160項目の改革メニューとしたいと思 ってございます。  追加しましたところはアンダーラインを引いてございます。例えば、6ページをお開 きいただきたいと存じます。右側の年金個人情報の提供の充実の中ほどでございますが、 「ねんきん定期便」を導入するということで、35歳、45歳、55歳の節目等におきまして の情報提供、その他の情報提供を行っていくという新しい点につきましてアンダーライ ンを引いてございます。  また、12ページでございますが、高額療養費の医療保険でございますが、申請の案内 通知につきまして、支給見込額をあらかじめお示しするターンアラウンド方式の導入と いうことで、申請のしやすい書類をお届けするという点。  また、16ページでございますが、未納者属性に応じました効果的な取り組みという点 を国民年金保険料につきまして一層推進していく点を中心に、記述をかえてございます。  また、健保・厚年の滞納事業所に対する徴収対策につきましても、事務局ごとの計画 を策定いたしまして推進してまいります。  また、20ページでございますが、低所得者の方の国民年金の免除申請の手続でござい ますけれど、市町村から提供されました所得情報を活用いたしまして、免除該当者には 必要な項目をあらかじめ印字した申請書を送付いたしまして、簡単に申請いただけるよ うにするターンアラウンド方式を19年12月から導入したいと考えてございます。  また、22ページでございますが、未適用事業所につきましても計画的な取り組みを推 進してまいります。  等々の充実を図ってございます。  資料6−1、資料6−2につきましては、業務改革プログラムの取り組みの現状でご ざいます。現状の実施状況につきまして定期的に取りまとめて公表することにしてござ いますので、資料として参考していただければと存じます。  以上でございます。  佐藤座長 ありがとうございました。社会保険庁改革のこれまでの取り組み、そして これからの取り組みについて、資料3〜資料6を御説明いただきました。  御質問なり御意見があれば、承りたいと思います。  袖井委員 資料3の4ページでお聞きしたいのですが、まず、(2)納付率向上のための 基本戦略で、「納めやすい環境を整備し」というのは、具体的にどのように整備するの かよくわからないので、教えていただきたいと思います。  それから、民間委託の件ですが、民間に強制徴収権を与えるのかどうか。特に悪質な 場合ですが、そこはどの程度まで民間に権限を与えるのか。  それから、悪質な未納者の場合、国税庁か何かに頼んでという話が前の資料にもあり ましたが、国民年金加入者というのは税金を払っていない人が多いんじゃないかと思う のですが、その辺はどうやって調べるのでしょうか。  以上の3点をお聞きしたいと思います。  鈴木年金保険課長 今御質問のありました3点でございますが、1点目の「保険料を 納めやすい環境の整備」につきましては、先ほど法案のところで説明に用いました資料 2−2、A3の横長のカラー版をごらんいただきたいと存じます。  これは従来から納付率向上に向けた戦略ということで図式化してお示しをさせていた だいているものでございますが、今御質問がございましたのはこの一番左のところで、 「納めやすい環境づくり」ということで書いてございます。例えば、口座振替を導入す る、あるいは早く納めていただく場合の一定の割引制度をつくるとか、よく言われてお りますのはコンビニでも納付できる、あるいはインターネット納付ができる。今般、国 会に提出をしております法案の中では、さらに保険料をクレジットカードで納付するこ とができるようにいたします。そういった未納者になる前にできるだけ納めていただき やすい環境づくり、ツールを多数用意しまして、それでまず払っていただくことで未納 の防止をするということでございます。  2点目は、民間委託の中で強制徴収の権限を民間にどこまで与えるのかという御趣旨 の御質問かと思いますが、先ほど法案のところでも御説明申し上げましたように、今回、 強制徴収という国家権力の発動につきまして、公法人ができるということにするために は、事前・事後のかなり強い国家的な関与、国の監督というものがあるという前提のも とで、公法人が強制徴収をできるという枠組みを導入いたしております。したがって、 これで直ちにそういった前提のない純粋な民間法人が強制徴収をできるということには ならないだろうと承知をしております。ただ今申し上げましたのは、先ほど高橋企画室 長から御説明申し上げました資料1−3の3ページで、こういった事前・事後の関与が あっての話だということでございます。  それから、3点目でございますが、国税庁に委託をするというけれども、国民年金の 被保険者は税金を払っていない人が多いのではないかというご指摘でございましたが、 今御紹介申し上げました資料1−3の4ページを御覧いただきますと、国税庁に委任す る場合の考え方といたしまして、右下に3点ほど並べさせていただいております。その (2)でございますが、国民年金の場合は、一定の高額な所得がありながら財産隠し等をす るという場合を委託するということでございますので、当然こういった方は税金も払っ ているだろう、あるいは、払っていない方がいらっしゃるかもしれませんが、その場合 には合わせて国税庁からきっちり取っていだたくということになるのだろうと承知して おります。  佐藤座長 ただ今の御質問について御回答いただきましたが、よろしいですか。  袖井委員 はい。  佐藤座長 他にございましたら、どうぞ。  稲葉委員 この業務改革プログラムは大変いろいろ積極的にお考えになっていて、よ ろしいかと思いますが、お聞きしたいのは、今後、新しい日本年金機構を中心とする大 幅な改革があるのだろうと思います。差し当たっては、この改革プログラムは平成19年 と20年と、今の社会保険庁の体制の中で行われていくわけですけれど、その中で、当然、 新しい組織に引き継いでいかなければいけないのですが、職員の意識改革などがいろい ろ謳われているわけですけれど、最初のときにお聞きしようかとも思ったのですが、そ の職員がどういう形で新組織に移行していくのかということとも関連してくると思うの です。  うまく移れる人と移れない人が出てくるのではないかと思いますし、その中で職員の 士気を維持あるいは高めていって、この改革プログラムというものを実現していく、さ らに展開していく、そういう課題があるのだろうと思いますが、そういった移行の問題 と、こういう改革プログラムをさらに続けていくということとの関連をうまく説明でき ないのですが、その辺でうまく行けるのかなという若干の危惧もあるのですが、その辺 はどのようにお考えでしょうか。  高橋企画室長 移行の関連につきましては、資料1−3の日本年金機構法案に関する 参考資料の7ページ、年金公法人の設立準備のための第三者機関についての(2)でご ざいますが、年金機構におきましては、職員の採用は、労働条件、採用条件を設立委員 が定めまして募集するという仕組みでございます。募集するに当たりましては、社会保 険庁の職員からの採用につきましては、社会保険庁長官に対しまして採用条件等を提示 しまして、長官経由でそのもとの職員に募集をすると。そして、社会保険庁長官から希 望者のリストを設立委員に提出いたしまして、その設立委員が設立委員のもとに採用審 査を行う民間の人事管理についての学識経験者の採用審査会をつくりまして、ここでし かるべき職員を採用する審査を行う。こういう形でございます。  そして、採否の決定は設立委員が行いまして、採用通知を受けた者は法人の設立日に 社会保険庁を退職、公務員を退職いたしまして、法人の職員として採用される。こうい う仕組みでございます。  基本的には、これも採用する場合におきましては社会保険庁の期間におけます勤務成 績などを参考にしながら採用審査を行うことになるわけでございまして、そういう意味 で、新法人の設立までの間、社会保険庁の期間におきましてどこまで業務を高めていけ るか、また、それまでの期間の職員のモチベーションを高めながら、しっかりとした業 務をやった者は当然に新法人でも必要とされる人材であるはずだと。こういうことで、 職員の士気を高めながら移行を円滑に進めてまいりたいと思ってございます。  袖井委員 私はここのところがよくわからなかったのですが、設立委員というのはど ういう構成員で、どういう形でいつ頃からつくられるのかとか、その辺を教えていただ きたいのですが。  高橋企画室長 同じく7ページにございますように、まず、この法人におきましては、 法人がみずから行う業務と、アウトソーシングする業務につきまして、学識経験者の意 見を聞く――これは内閣官房のもとに会議を設けていただくことを予定しておりますが、 これに半年以上時間がかかろうかと思ってございます。来年の夏前ぐらいまではかかる のではないかと。それが決まりまして、法人の業務あるいは法人の定員規模などが決ま りまして、それから厚生労働大臣が設立委員を任命いたしまして、採用活動でございま すとか業務方法書の作成ですとかに入っていくという段になろうかと思います。  設立委員につきましては、この法人の業務の設立でございますので、それにふさわし い専門家を大臣が任命するという形になろうかと存じます。  佐藤座長 よろしいでしょうか。  新法人が職員を採用していく、それは将来あるわけですね。その間に業務改革をあわ せて進めるわけですね。ここで先ほど御説明があったように、どうやって業務改革を今 までの第三ステージへ高めていくか、あるいはモチベーションをどう高めていけるのか。 移行の仕組みとか手続はわかったのですけれど、そのあたりはどうなんですかね。何か 一工夫要るのか要らないのかわかりませんが。そういう御質問も絡んでいるのかもしれ ませんね。このあたりは民間で実際に会社の統廃合などいろいろおやりになってきてい ますから、特にアドバイスでもあればいただければと思いますが。そういう心配は依然 ありますね。  ほかに御意見をどうぞ。  大山委員 資料3の2ページ、(1)の(2)に関しての質問です。ここにインターネッ トを活用した加入記録の即時提供の話が書いてあります。この提供する加入記録は、相 手に渡したときですが、それ自体は社会保険庁さん側で全部記録をお残しになっている かどうかを教えていただきたいと思います。  2点目は、4ページ、(2)納付率向上のための基本戦略のところですが、この考え方は 非常にいいと思いますが、具体的に、(a)の給付に大幅な国庫負担が入る云々で、 「わかりやすくお知らせする」と書いてあります。具体的にどういうやり方でわかりや すくなっているのかを教えてください。このことはいつも出てくる議論の中でも非常に 重要であると思いますが、受け取り方は人によって違うので、一般論でどうこう言われ ても余り感じないのではないかと思います。したがって、さっきのインターネットの記 録とこの関係は、個人個人のとって非常に重要なので、ぜひそこを教えていただきたい と思います。  今別府企画課長 企画課長です。1点目についてお答えいたします。2ページの(2)の インターネットを活用した加入記録の即時提供の記録は、社会保険庁も記録という意味 では残っていると考えております。  鈴木年金保険課長 2点目でございます。国庫負担が入るので国民年金が有利だとい うことにつきましては、公的年金の一番のメリットだろうと思っておりまして、具体的 には、色々なパンフレットでお示しをする、あるいは秋と春に年金広報を色々なメディ アを通じて実施しておりまして、そこでお示しをしております。  その一端といたしまして、今、先生からございました個人ごとにどうかということに つきましても、例えば世代ごと、生まれた年ごとに給付と負担の関係はどのようになる か、単純な民間保険に比べてどのくらい得になるかということをお示しするということ を試みているところでございます。  大山委員 最初の方の質問は、後で多分議論が出ると思います。年金の記録の情報に 一部いろいろな不備があるということが報道されていますが、そのときに、インターネ ットで提供した情報を、受け取った人が確認をして、確かにそうですよとなればもちろ ん暫定的な確定だと思いますので、最終決定はできないかもしれませんが、少なくとも 記録データの信憑性が上がると思うのです。ですから、一方的に出すだけではなく、相 手からの回答をちゃんと記録していくことが重要だと思うのですが、この点について、 どのようにお考えなのかという点が一番聞きたかったところです。  それから、2点目については、個人にとってどうかということになるので、例えば自 分が未納だったところに対して後からでも支払うと、受け取る額がどれくらい変わるか というのが分かるようにすることが重要です。一番いいのはシミュレーションまでやれ ることですので、シミュレーションのソフトなどは民間保険会社さんなどから提供され る可能性もありますので、上手く相乗効果が出るような仕掛けを提供するほうがより良 くなるのではないと思って、こんな質問をしました。その辺のところをどうお考えにな っているのでしょうか。  今別府企画課長 今いただいたお話については後で若干触れようと思いますが、「ね んきん定期便」というのを20年4月から本格実施をする予定にしております。そこで一 定の情報を個人個人に提供するわけですけれど、そのときに、このインターネットを活 用した記録の提供の中身も定期便に合わせていこうということを考えておりまして、そ の時点ではこちらから提供するものと、自分でアプローチをしたものとが一致をして、 いずれにしても、個人について欲しい情報を提供できるようになると考えています。  それから、先ほど記録としては把握をしていると申し上げましたが、それを求めに応 じて自由に提供できるか、あるいは確認ができるかという話になりますと、そこは今の システムの状況を確認しないといけないということだけ補足をさせていただきます。  佐藤座長 よろしいでしょうか。  大山委員 はい。  佐藤座長 他にいかがでしょうか。  小林委員 先ほど座長がおっしゃった、移行に当たってのインセンティブとかモラー ルの維持とか、その辺で、民間企業の経験にのっとってちょっと心配事があるとすれば、 資料4ですが、ここに、「あれをやります、これをやります」といろいろ書いてござい ますね。例えば3ページを見ますと、「法令遵守がすべての基本」と、それはそのとお りですけれど、「職場内で法令遵守のための研修・勉強会を実施することにより」と、 それはそれでいいんですけれど、このようにみんなでやろうということに決めますと、 往々にして勉強会を絶対にやらないといけないということになるんですね。  つまり、ここで、「こうしましょう、ああしましょう」と決めたことに逆に振り回さ れて、非効率に陥るということです。「朝礼をやりましょう」というのがどこかにあり ますね。朝礼を絶対にやらないといけないから、話すことはなくても朝礼をすることに なる。職場によっては、朝礼なんかよりも、よりよいコミュニケーションのやり方があ るかもしれませんよね。けれど、朝礼をやるとここに書いてあるから、やらなければい けないのだと。確かに書いてあることはいいことなのですけれど、実態を踏まえてぜひ フレキシブルに、その状況に応じて最もふさわしいやり方を工夫しながら組織運営をし ていくのが大事かなと、経験則を踏まえて思うところであります。  佐藤座長 特に何か御意見はございますか。アドバイスとして承っていただければい いかと思いますが。そのあたりも多分お考えいただいていると思いますけれど、実情に 応じながらそれはやっていただくということで、よろしくお願いいたします。  小林委員 それから、今の資料4の6ページですが、「ブロック単位や中央と地方の 広域人事」とございますけれど、私は、たまたま例の不適正な免除がなされたときの検 証委員会に参加させてもらったわけでございますが、そのときに感じたことは、社会保 険事務所と事務局と本庁と、このコミュニケーションというのがどうも余りなされてい ないのではないか、ばらばらではないか、という感じを受けたわけでございます。  今回、新しい組織になって、本部とブロック機関と年金事務所ということになるのだ と思いますが、この6ページの1に、人の交流を活発にしてコミュニケーションをと、 書いています。これはこれでもちろん大事だと思いますが、本部とブロック機関と年金 事務所というものが同じ価値観を持つような横ぐしといいましょうか、縦ぐしといいま しょうか、そういったものを制度的に確保するような仕組みを何かおつくりになった方 がいいかなと。人事交流を豊かにすれば風通しよくなるだろうと、確かにそれはあると 思いますけれど、それだけではないのではないかという気がします。これも経験則でご ざいますけれど。  佐藤座長 ありがとうございました。  それでは、時間を見ながらまた御意見を承ることは可能でございますので、先へ進め させていただいてよろしゅうございますでしょうか。ただ、第三ステージの業務改革プ ログラムの改定、資料4が中心になりましょうか、これにつきましては、これまでも本 会議で御承認いただいて進めてまいりましたものですから、今回御提示申し上げたもの につきまして一応御了承いただけるかどうかということでございますが、いかがでござ いましょうか。  今回の改定につきまして、会議といたしまして了承したということで取り扱わせてい ただいて、よろしゅうございますでしょうか。      (「異議なし」の声あり)  佐藤座長 ありがとうございます。そのように取り扱わせていただきます。  それでは、次のテーマでございますが、先ほどの議論と関わる部分があるかと思いま すけれど、年金の記録管理につきまして御説明をいただかなければいけないと思います。 マスコミ等でも大分書かれておりまして、私個人も唖然とした部分も実はございました が、国民一般の皆様の関心は非常に高いところでもあるかと思いますので、事務局から 御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。  北村参事官 資料7−1、資料7−2、「年金記録の管理について」という題のもの を用意させていただいております。  年金記録の管理の問題につきましては、昨年来、種々論議になっておりますことから、 今日、これがどのような経緯の問題で、どのような方法で国民の皆様方に御安心いただ こうとしているのか、この機会に全体的なことを整理して御説明させていただきたいと いうことで、用意させていただきました。社会保険庁より説明させていただきます。  今別府企画課長 企画課長でございます。座ったままで恐縮ですが、資料7について 御説明させていただきます。  年金記録相談につきましては、去年の8月21日から特別強化体制というものをしいて おりまして、年末までにちょうど100万件の御相談がありました。その100万件の相談に ついて数字を取りまとめた形で、ホームページに1度、年金記録についての我々社会保 険庁の考え方というものを掲載させていただいております。それをその後の議論等も踏 まえて改正をいたしましたのが、きょうお配りしております資料7−1でございます。 きょうは、資料7−2で図表をつくって資料集としておりますので、こちらをもとに説 明をさせていただこうと思います。  それでは、資料7−2の2ページをごらんいただきたいと思います。ごちゃごちゃし た図で恐縮でございますが、厚生年金と国民年金の記録の管理が従来どう行われていて、 今どうなっているかというのを一覧にしたつもりでございます。このほかにも、もちろ ん共済年金というものがありますが、ここでは厚生年金と国民年金についてでございま す。  まず、左側が厚生年金、右側が国民年金で、上から下に時間の経過が流れるというよ うにつくってございます。会社に入ったときに、左側にA事業所、B事業所とあります が、例えばAという会社に入ったというときに、その資格を得た時期、そして給料が幾 らであるか――これは保険料を付加するベースとして必要でございますので、そういう 情報が社会保険事務所の方に送られてまいります。そして、社会保険事務所の方では、 その事業所ごとにそれぞれの従業員の記録を把握して保険料を付加していると。  ここは「資格喪失を契機に報告」と書きましたが、いろいろなケースがありますけれ ど、今度は年金をもらうために必要な、裁定をするために必要なデータということで、 これは社会保険業務センターの方に持ってまいります。そして、センターの方では、厚 生年金被保険者ファイルという形で、例えばaさんという人について、A事業所、B事 業所ということで集約をされていきます。  そして、ここで問題なのは、A事業所からB事業所に転職をしたというときに、その A事業所からB事業所に転職をしたということがきちんと引き継がれておれば問題はな くて、今御説明をしたような形でaさん個人のデータにきちんと把握をされますが、B 事業所に再就職をしたときに、何らかの事情でA事業所に勤めていて既に年金に入って いたということが把握をされていないケースでありますと、A事業所のときに入ってい た年金とB事業所で新たに取得をした年金、このAとBという年金の記録がそれぞれ別 の形で管理をされてしまいます。そこに※印で書きましたが、別番号で管理していれば 別人として管理をされるということでございます。  これは国民年金の方も同様でありまして、国民年金の方は転入届けに基づきまして市 町村で名簿の管理をしておりますので、それがそのまま社会保険事務所の方に報告をさ れてまいりますが、これもうまくそれぞれの市町村で引き継がれておりませんと、複数 の管理になる。  それから、左右入りまじって厚生年金と国民年金を行ったり来たりするときに、それ ぞれ複数の年金番号を持つということが従来の管理の仕方では起こっておりました。  昭和54年から平成元年にオンラインシステムの導入というのを入れておりますが、こ れは今詳しく説明いたしませんでしたけれど、届け出についての時間的なずれを解消す るという意味で、オンラインにしたことによって即時にデータがそれぞれ確認できるよ うにはなっております。  そして、平成9年に基礎年金番号を導入したと書いてありますが、これ以降は1人に ついて1つの番号で管理をするということになっておりますので、ここから後は基本的 に複数の番号を持つということはなくなっておりますけれど、冒頭御説明しましたよう に、従来はそれぞれ、転職あるいは転居等によって複数の年金番号として管理をされて いるという事態が発生する仕組みになっていたということをまず御認識いただこうと思 います。  それで、次の3ページをごらんいただきたいと思いますが、先ほど座長の御発言で、 報道等でかなり驚いたというお話がありましたけれど、この半年の間にも幾つか出てお りまして、例えば記録ミスが2割あるでありますとか、100万人あると。また、一番数 字が大きかったのが、5,000万件宙に浮いた年金記録があるという話題でございます。 この5,000万件について御説明をするのがこの紙でございます。 これは今申しましたように、厚生年金も国民年金も、ここにありますようにそれぞれ 複数の番号を交付されている方がおられると。これは従来でありますと、年金を受給す る60歳になったときに事務所で裁定をするときに年金の加入記録を御本人が申請をして、 空白がありますと、「この間はどうされていましたか。国民年金に入っておられません でしたか。あるいは、どこかの会社にお勤めではありませんでしたか」という確認をし て、申請をしてもらって、裁定をするということで、その60歳の確認の時点でそれぞれ がつながっていくという仕組みでやっておりました。それが基礎年金番号で1本になっ た後は、もともと1つの年金番号になるということでございます。  平成9年にこの基礎年金番号を入れましたが、そのときには、その時点で入っていた 年金制度に基本的には基礎年金番号をつけるということで、1人1つということで番号 をおつけしましたが、それ以前にほかの年金に入っていたということがあれば、それを まずお知らせくださいということで、お知らせをいただいて、それから後は、名前、生 年月日、性別が同じであれば、これは同じ方ではないでしょうかという照会をするとい ったことを、これは平成10年から18年にかけてずっとやってまいりました。それぞれ 900万人ずつ照会がありまして、最終的にはそれに基づいて一定の数の番号の統合とい うのをやってきております。  したがいまして、こちらでできることは9年かけてやってきたのでありますが、まだ 統合できていないものが当然ございまして、これがそこの図でいいますと、上の厚生年 金あるいは国民年金のところから下の方に向かって、「今後裁定により統合されるも の」というところに線が引っ張ってありますが、9年かけていろいろ統合する努力をし てまいりましたが、まだ統合できていない番号をお持ちの方がいて、これは先ほど申し ましたように、60歳で裁定をされるときに基本的には統合されるものだと考えておりま すが、今はまだ統合されていない。こういう方々の記録というのが 5,000万件の一部で ございます。  それから、もう一つ、5,000万件に入っているものとして、年金を受給に至らなかっ た方々の記録というのがございます。この年金を受給するに至らなかった方というのは、 裁定のところまでたどり着かなかったということでございますので、これはそのままま さに個別の番号、複数の番号がそのまま管理をされているという状況でございます。た だ、これは年金の受給に結びつかないものでございますので、そのままの状況で基本的 には問題はないと考えております。  したがいまして、5,000万件というのは非常に大きな数字でありますが、これは60歳 の年金受給のときには裁定をされるべきものと、本来、統合する必要のない、年金の受 給に至らないものと、この2つの数字を足し合わせたものが5,000万件であると考えて おります。  それから、(注)にございますが、年金の裁定をした後でございますけれど、これも たまたま先日の新聞の記事で、22万件に年金の支給漏れと書かれました。これは、支給 漏れといいますか、請求の段階で請求されていなかった、一旦請求をして確定している 部分だけ請求をして、後からまた追加で請求をするという方などは、むしろ請求の保留 と申し上げた方がいいのかもしれませんが、一言で申し上げれば、支給漏れではなくて、 請求漏れという性格の方で、これは一旦年金を裁定した後、また再度追加で出てきて裁 定をし直しているケース、あるいは、企業でボーナスの額が変わりました等々で標準報 酬額が変わる、年金の給付額が変わるというケースもございます。いずれにしても、一 旦裁定した後に変更した件数が平成13年度から19年2月末までで22万件あり、これはい わば請求漏れに基づく件数でございます。  今申し上げましたのが、60歳で裁定をするときに、従来は複数で管理をしていた年金 記録を統合していくという話ですが、次の4ページでございますけれど、今は、58歳の 段階でこちらで持っている年金の記録をそれぞれお知らせをするということをやってお ります。これは平成16年3月から、58歳の時点でこちらが管理をしている情報をお知ら せをするということでやっております。  そのほかにも、1年でありますが、社会保険料控除の証明書に合わせて過去1年分の 加入状況をお知らせするということをやっておりましたけれど、先ほど触れました「ね んきん定期便」という形で、これは20〜60歳の方全員に毎年年金に関する基本的な状況 をお知らせするということを20年4月から始めようと思いますので、この20年4月まで 行けば、基本的に毎年1回、社会保険庁で管理をしている個人の年金の情報についてお 知らせすることができて、それに基づいて自分の記録についておかしいなということが あれば、相談をしていただいて、記録の精度を高めていくということが飛躍的に上昇す ると考えております。  それで、20年4月からやりますけれど、一部前倒しをやっておりまして、35歳の方に ついては先月始めて通知をいたしました。そして、45歳、55歳以上の方について、この 12月から先行実施をするということで考えております。  これが行政側で持っている年金の情報をお知らせするという手段・方法でありまして、 もちろん個人の方からもアプローチができるわけで、先ほど話題に出ていましたインタ ーネットによる照会のほかに、もちろん事務所に相談に来ていただく、電話で相談をい ただく、あるいは文書で相談をいただくといったいろいろな手段で相談をいただく体制 をとってきておるところでございます。  次に、資料4と資料5で年金の記録相談の特別体制について御説明をしております。  資料4は、先ほど申しました8月からやっております相談の特別体制の全体の数字で ございます。窓口に178万7,969件、この間おいでをいただきまして、窓口で年金の記録 が確認をされた方が98.6%でございます。それから、その時点でどうもおかしいので、 よく調査をしてくれということで、調査を申し出られた方が1.4%。それから、窓口に 来なくても、先ほど申しましたように、インターネット等で御自分の年金の情報が得ら れますので、そういう形で情報をとって調べてくれと申し出られた方が、その下にあり ます3万227件でございます。  この両方を足した数字が調査を申し出られた数字で、これについて既に4万 8,355件 に回答済みで、7,000件弱が今審査中でございます。これは最終的に調査をした結果に ついて納得ができないということであれば、本庁の審査チームに上げていただくという 仕組みをとっておりまして、3月16日現在で230件という数字が本庁の審査チームに上 がってきております。178万件から230件まで、大まかな数字のオーダーをごらんいただ ければと思います。  資料5はさらに詳しい数字でありますが、これは窓口に来て、98.6%が確認済みだと いうことでございますけれど、記録ミス2割と以前指摘をされたのは、その98.6%の下 に85.3%という数字がございますが、これが当時80%ぐらいでありました。その裏の 20%で記録ミス2割と言われました。これは窓口に相談に来られたときに既に基礎年金 番号にすべて統合されている方が8割ということでありまして、その時点で確認をして、 その下にありますように、ほかの番号がすぐに見つかったということで、最終的には 98.6%の方がまたうちで確認をされるということでございます。  それから、下の方の処理状況のところで回答済みというところがございます。4万 8,000件のうち、全判明が3万1,000件、一部判明が2,700件、記録なしが1万4,000件と なっております。これは年末の100万件の母数のときには、一部判明と記録なしを足す とおおむね1万件ぐらいでございました。これは御本人の申請どおりに記録がなかった という意味で、1万件が記録がなかったと。そして、100万件で1万件なので、1億に 引き延ばせば大体100万件ぐらいが記録を間違えているのではないかと報道されました。 これは、先ほどちょっと触れましたが、基本的にその場で確認をして、わからない方 について調査が出てきて、それに基づいて時間をかけて再度調査をした結果をお知らせ しております。それでどうしても納得がいかないと、さらに調べてほしいということで あれば、本庁の審査チームの方に回っていきますので、基本的には本人が必ずしも1万 件について、ここでいいますと2,700件と1万4,000件についてすべて不満だと言ってい るものでは決してなくて、この中には御本人の思い違い等があって、最終的に御本人が 納得をしなくて上がってきているのが230件だと、そういう関係でございます。  いずれにいたしましても、年金の記録といいますのは年金制度の基盤でございますの で、これについて心配だという方は、引き続き特別強化体制というものをしいておりま すので、ぜひ御相談をいただきたいということと、20年の「ねんきん定期便」に向けて こちらで持っている年金情報の提供というのはやっていきますので、特に複数の番号を 持っておられる方の番号の統合という観点からは、記録の制度は引き続き高まっていく と考えております。  以上です。  佐藤座長 ありがとうございました。御質問や御意見がありましたら、どうぞ。  社会保険庁側でやれることと、やれないことももちろんあるかもしれませんが、これ からの改革プログラムを含めまして、このデータ管理については手を打つべきことはほ ぼ打ったとお考えですか。どこまでやったらパーフェクトかという問題はございますの で、今考えられ得る方策はほぼ手を打つことになっていると、そう理解してよろしいで すか。  今別府企画課長 「ねんきん定期便」に至るまでに、今考えられることは、従来から の政策も含めて尽くしていると考えております。  大山委員 後学のために教えてほしいのですが、「ねんきん定期便」にかかっている 費用というのはどれぐらいなのですか。システムを追加するのに、サービス向上といっ ても費用を幾らかけても良いというものではないと思います。コスト意識を持つことが 必要という話がある以上、費用対効果を最大化する努力が必要です。そのためには、少 なくとも回答された結果をまた手入力するのではなく、それを見て、「いいですよ」と 言った人の答えは電子的に確定できるようにすることが重要です。もちろん、問題があ る場合には、窓口で確認しなければなりませんが。  要するに、紙や人手が入ることで費用はかさむし、ミスがふえるのです。この辺はど うなっているのか、教えていただきたいと思います。  今別府企画課長 「ねんきん定期便」は20年4月から本格実施でありますので、そう いう意味で、まだ金が幾らかかるのかというのはこれからの議論でありますが、運営評 議会のときに、これも新聞報道で100億という数字が出ましたので、そんなにかけるの かという議論がなされた経緯もございました。 今、大山先生がおっしゃったように、システムの開発の費用と、印刷費、郵送費など がかかってまいりますので、できるだけ予算の効率化には努めようと思いますが、それ なりの金額がかかることは予想されております。  それから、「ねんきん定期便」でコストをかけるよりも、できるだけインターネット で情報をとっていただけないかということで、先ほど御質問いただいたインターネット で今とれる情報と定期便の情報は必ずしも一致をしておりませんが、定期便の本格実施 の際には、インターネットでとれる情報と定期便の情報を基本的に一致をさせて、イン ターネットで情報をとった方には定期便という形でわざわざ郵送することのないように しようという方向で、今、検討をしております。  佐藤座長 よろしいでしょうか。  大山委員 はい。  佐藤座長 ほかに御意見などございますでしょうか。  それでは、この年金記録は、先ほどおっしゃっておられたように、この制度を運営す る基盤中の基盤だと思いますので、引き続きさらに知恵を絞っていただいて進めていた だきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、この有識者会議は本日をもちまして最終回ということで、これまでの私ど もが議論してまいりましたことをある程度取りまとめておく必要性があるかと存じます。 そこで、私と事務局でどのように整理して取りまとめていくかということで、原案を作 成して、事前に委員の皆さんの御意見もお伺いしたと聞いておりますが、その原案を事 務局でお読みいただいた上で、御意見があれば承って、まとめていこうと思っておりま すが、よろしゅうございますか。  それでは、事務局の方で原案をお読みください。  北村参事官 それでは、朗読をさせていただきます。資料8でございます。           「社会保険新組織の実現に向けて(案)」        −社会保険新組織の実現に向けた有識者会議とりまとめ−                                平成19年4月3日  この会議は、社会保険庁の業務改革と職員の意識改革を進め、社会保険の新組織を実 現し、真に国民の信頼を回復できるよう、平成17年7月の第1回会合以来、本日まで13 回にわたり、議論を重ねてきた。  その経過及び今後の改革の方向について、以下のようにとりまとめる。 1.業務改革について  社会保険庁改革において、最も重要なことは、業務改革である。  この会議では、まず、平成17年9月に、国民サービスの向上、保険料収納率の向上、 予算執行の無駄の排除、個人情報保護、職員の意識改革などの120項目にわたる「業 務改革プログラム」を策定し、その後、定期的なフォローアップを行ってきた。  また、平成17年12月には、「社会保険庁の組織・業務改革に伴う人員削減計画」を 議論し、7カ年の計画を明確にした。  昨年には、国民年金保険料の免除等の不適正事務処理の問題について、報告を聴取 するとともに、「業務改革プログラム」を改定して一連の再発防止策を盛り込み、社 会保険庁に着実な実行を求めた。  さらに、今般、新たな社会保険庁改革関連法案の提出を契機に、「業務改革プログ ラム」を160項目に拡充した。  社会保険庁は、新組織発足に向けて、高いレベルで業務を引き継げるよう、引き続 き、業務改革に最善の努力を行うべきである。 2.職員の意識改革と能力本位の人事について (1)新人事評価制度  この会議は、平成17年9月に、社会保険庁改革の基盤となる職員の意識改革を推進 するため、民間企業的な実績評価と能力評価からなる「新人事評価制度」をとりまと めた。  これに基づき、社会保険庁では、平成17年10月から管理職員等について試行を行っ た上で順次拡大し、平成19年4月から、全職員について本格実施して、評価結果を給 与や昇格、適材適所の人事に反映させている。  社会保険庁は、引き続き、これを定着、推進させ、人事評価に基づく能力本位の人 事を徹底すべきである。 (2)職員の意識改革  また、この会議では、業務改革を支える職員の意識改革の重要性を指摘してきた。  とりわけ、昨年の国民年金保険料の免除等の不適正事務処理を踏まえ、社会保険庁 では、リスタートプロジェクトとして、職員一人一人によるプランの提出や、各職場 での対話、意見交換会を経て、全職員参加の下で、社会保険庁改革リスタートプラン をとりまとめている。  社会保険庁は、引き続き、職員の意欲と能力を高め、組織力を強化する取組を推進 すべきである。 3.年金運営新組織の具体化について  この会議では、平成17年5月の内閣官房長官主宰の「社会保険庁の在り方に関する 有識者会議」の最終とりまとめを受け、国の行政組織として設ける年金運営新組織の 具体的な姿について議論し、平成17年12月には、「組織改革の在り方について」をと りまとめ、新組織の法律上の位置づけ、意思決定機能・監査機能・業務執行機能の具 体的な在り方等について、考え方を示した。  厚生労働省において、これに沿って、平成18年3月に「ねんきん事業機構法案」等 の改革関連2法案を国会に提出したが、同年5月、法案審議の最中に、国民年金保険 料の免除等の不適正事務処理問題が明らかとなり、再び国民の大きな不信感を招く事 態となった。  その後、法案は臨時国会で審議未了廃案となり、同年12月、与党から、年金運営新 組織の法人化・非公務員化を図る新たな改革方針が示され、平成19年3月、厚生労働 省は、与党方針に沿って、新たに「日本年金機構法案」等の改革関連2法案を国会に 提出した。  新法案では、新組織を非公務員型の公法人とすることが大きな変更点であるが、公 的年金に係る財政責任・管理責任は引き続き国が担うこととしており、これまでの改 革議論の前提となった「公的年金制度を堅持し、公的年金については、国の責任の下 に、安定的な運営を図る」という大原則は不変である。  また、新法案では、職員の非公務員化により、民間的な人事給与体系、民間との人 事交流や中途採用の容易化、公務員的な意識の払拭が図られるが、これは、本会議が 推進してきた職員の意識改革や能力本位の人事を更に推し進めるものである。  また、前回の法案の重要なポイントに、「意思決定機能」「業務執行機能」「監査 機能」の権限・責任の分担を明確化することや、保険料を拠出する被保険者や事業主 等の意見を業務運営に反映させることがあるが、その趣旨は、新法案にも反映され、 一層強化されているところであり、本会議として、以下の方向での運用を求めたい。 (1)意思決定機能については、新法人の理事会の非常勤理事として適切な外部専門家の 参 画を得ることにより、意思決定機能の強化を図ること。  また、新法人には、運営評議会を設け、保険料負担者や年金受給者の意見が業務 運営に反映されるようにすること。 (2)監査機能については、監事による業務監査・会計監査、外部の会計監査人(監査法 人 )の監査を実効性のあるものとするとともに、厚生労働大臣の新法人に対する監査 体制を整備し、監査機能の強化を図ること。 (3)業務執行機能については、能力主義・実績主義に立った人事や、研修等による人材 育 成、厚生労働省や民間企業との適切な人事交流を図るなどにより、業務執行機能の 強化を図ること。 (4)年金制度の企画立案部門と実施部門、厚生労働省と新法人との間の連携を十分に確 保 すること。 本会議は、社会保険の新組織が実現され、業務改革と職員の意識改革が進み、実務が 円 に行われ、真に国民の信頼を回復し、社会保険制度が揺るぎないものとなることを願う ものである。  次の4ページには、(参考)としまして、社会保険新組織の実現に向けた有識者会議 の開催経緯を一覧表でつけておりますが、こちらの朗読は時間の都合により省略させて いただきます。  以上でございます。  佐藤座長 ありがとうございました。  こういうことで本会議の取りまとめをしておきたいと思いますが、御意見があればま ず承りたいと思いますけれど、いかがでございましょうか。  杉山委員 意見というよりも感想になるかと思いますが、平成17年からこちらの会議 に参加させていただいて、よもやこのように終わるとは当初は予想もしておりませんで、 小泉さんが前からおっしゃっていた「官から民へ」という、そういった時代の変わり目 なのかもしれないなということをつくづくと実感をして今この席に座っているところで す。  それで、こういう世界が生ものなのだなということを実感したということと、一つふ ーんと思うのは、新組織を非公務員型の公法人にすると。公務員ではだめで、非公務員 がいいという、一つの方向性だったと思うのですが、では、公務員って何なのだろうか ということを私などは感じるわけです。非公務員だったらいいのかと。でも、相当数の 公務員の方が今、公役に携わっていらっしゃるわけで、それは一体どういうことなのだ ろうということを、これを契機にいろいろ考えていただくということがすごく大事なの じゃないかしらと思っています。  それで感じるのは、組織が大きかったことと、公務員だったからかもわかりませんけ れど、国民の利益とかお客様のためというところを第一に感じる意識が、随分弱くなっ てきてしまっていたのかなということを一つ思ったりしています。  もう一つは、今、「これをやります、あれをやります」といろいろなプランが出てい ますが、先ほどもあったように、上から「やります」と言われて、「やらなければいけ ないんだよね」となってしまっては、働く人としてモチベーションが低いというか、み ずから課題を持って、それに気づいて動くというような、そういう自発的な働き方とい うものを新しい組織には望みたいなと思っています。  木村委員 岸井先生が最後のおまとめをされるでしょうから、私はその前座を。私の 老婆心みたいなところなのですが、結局、長官が足をいろいろ運ばれ、かなり厳しい御 努力をされてきても、やはりいろいろな問題がなかなか直っていかなかったということ は、全体の中にしみ込ませるということの難しさだと思うのです。  したがって、今度もリスタートプランでおまとめになっておられますが、特に今おっ しゃったような公務員・非公務員といった足元のぐらつきというか、違うところへ行く ような感じを職員の方が持たれて、それでどれだけの人が残り、また、民間の力を活用 してそこに取り込まれてくるということだと、地に足が着かないというか、若干動揺さ れる面などもあるんじゃないかと思うのですが、ぜひ自信を持って取り組んでいってい ただきたいと思います。  それから、言葉の使い方ですが、例えば「裁定請求書」とありますけれど、これは当 たり前の単語なのでしょうけれども、「裁定」なんていうのは普通はなかなかわからな い単語なので、そういうところもみんなにわかるような、一般的な標準よりもちょっと 下の目線で物を見た運営ということを心がけていく必要があるんじゃないか。そうする ことによって信頼が高まり、組織としてのまとまりも得られていくのではないかと思い ます。  稲葉委員 この取りまとめの文章についてですが、何カ所かについて意見と質問があ ります。  1つは、2ページの一番下の行で、表現の問題ですけれど、「年金運営新組織の法人 化・非公務員化」といったときに、「新組織の」というのが非公務員化に係るような形 になってしまうので、「職員の非公務員化」というように修文した方がよろしいのでは ないかと思いました。  それは表現の問題ですが、3ページの、先ほどの御意見にももう既にその趣旨のこと があったと思いますけれど、上から8行目の「また」のところに、「新法案では、職員 の非公務員化により、……公務員的な意識の払拭が図られるが」と出ていますが、私は これを読んで違和感を持つといいますか、「公務員的な意識」といっても、いい意識も あるし、悪い意識もあるので。最初のころに御説明いただいた資料では「親方日の丸意 識」と書いてあったんですね。そういう意味での「公務員的な意識」の払拭だと思うの ですが、公務員が悪であるみたいなことになると具合が悪いので、書き方を、例えば 「顧客意識の徹底」とか、そういうプラスの表現の方がいいんじゃないかなと思いまし た。そうでない御意見もあるかもしれませんが。  それから、その次の段落で、「以下の方向での運用を求めたい」となっていますが、 (1)の後半の部分の「運営評議会を設け」というところですけれど、これは先ほどの資料 1−4についての御説明ですと、既に新法案でも変わっていないのだという御説明だっ たと思うのですが、私の記憶では、旧法案では、「運営評議会」という言葉自体は使わ れていないけれど、その趣旨のことが書いてあるということだったかと思います。それ で、同じ文章があるのであれば、運用の問題ではなくて、規定自体に既にあるんじゃな いでしょうか。そこは、法文にはないけれども、運用でやるという趣旨なのかどうか。 そこのところをお聞きしたいと思います。  佐藤座長 それでは、まず最後のところだけはっきりさせたいと思いますので、お願 いします。  高橋企画室長 3点目につきましては、御指摘のように、法律では「被保険者等の意 見を反映する措置を講じる」というところまででございまして、旧法案と同じ条文でご ざいます。そして、運用の世界になりますので、このところで御議論をしていただくと いうことで明確化されると思ってございます。  佐藤座長 今のような理解で使わせていただいてよろしいですか。  稲葉委員 はい。  佐藤座長 それから、先ほどの用語の問題につきましては、「公務員的な意識」は改 めさせていただきたいと思います。  幾つか御意見をいただきましたので、もう一度文章を見まして、字句の修正等につき ましては御一任いただきまして、終了させていただけると大変ありがたいのですが、よ ろしいでしょうか。それでは、資料8の「社会保険新組織の実現に向けて(案)」を御 了解いただいたということで、よろしゅうございますでしょうか。      (「異議なし」の声あり)  佐藤座長 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。  それでは、全体として最後に一言おっしゃりたいという方がおられるかもしれません が、いかがでございましょうか。  岸井委員 木村委員からまとめとさっき言われたので(笑)、そういう予定は全くな かったものですから、ちょっとヘジテートしていましたけれど。できれば、今日は最後 に大臣の固い決意を伺おうと思っていたのですが、そこは聞けなくて残念ですけれど、 今日は長官から改めて、宣言のPart3の最後に書かれている「むすび」で、「新組織実 現に向かって、社会保険の業務をできる限り高いレベルに引き上げてからバトンタッチ できるよう、精いっぱい努力していくことを国民の皆さんにお約束する」と、それを信 じて今回のまとめをやるしかないんですよね。  その点についても、先ほど杉山委員が言われたように、この2年間、「えっ?」と思 うようなことばかりで、不適正処理という名の不祥事が次から次と出てきて、まさかの 廃案になったり、そういうことを繰り返してきましたので、そういうことがまた起きた のでは、我々は何をやっていたのかわからないということになるので、抽象論になりま すけれど、そこでの固い決意を聞いておきたいということです。  その前に、1点だけ、先ほどの説明を聞いて納得したのですけれど、メディアとの関 係でいうと、最近の支給漏れ、これは結局は請求漏れとか記録漏れというのはこういう 事情があるというのも、改めて説明を聞かないとなかなかわからない経緯とかシステム ですよね。そこのもともとのそごがあるので、最近の報道でちょっとびっくりしている 部分で、現場の事情は聞いていないのですけれど、これはメディア側の誤解とか不勉強 によるのか、あるいはお役所側の説明不足があったのかどうか。なぜこんなことが生じ てしまったのかなと不思議に思うのですが。  私はきょう納得していますけれど、これからもメディアとの関係はものすごく大事だ と思いますので、誤解してもしょうがないなと思うような流れがずっと続いていて、私 も何ていう組織だと何回も思いながら来ましたので、思い込みが過ぎちゃうところがあ るのかもしれませんけれど、その説明を伺ってから、長官の決意を改めてぜひ伺ってお きたいと思います。  佐藤座長 どなたかから御説明をいただいて、その上で長官の御発言をいただきたい と思いますが。  青柳運営部長 運営部長でございますが、この会議で発言させていただくのは今回が 最初で最後ということだろうと思います。尾辻大臣から、当時の次長はこの会議で発言 するなという厳命がございましたので、控えておりました。  ただいまのお尋ねは本当は非常にお答えしにくいんです。と申しますのは、明確にこ うした記録の不備については、これは事実になっておりますから申し上げてもいいと思 いますが、民主党さんがその記録問題というのを中心に国政調査の予備的調査というの を御請求になられた。こういうことで一連の、今回報道のあったものも一部含めて、そ の数字というものが世の中に喧伝をされておると、こういう事情背景がございます。そ れ以上申し上げると公務員としては問題になりますので、そういう事情があってのこと だということだけ、この場では御理解を賜りたいと思います。  佐藤座長 ということで、いろいろとそんたくをせざるを得ませんが。  それにしても、やはりそれなりにアカウンタビリティはありますよね。  大山委員 済みません、関係して一言だけ。システムをやっている側から見て一つだ け申し上げます。データベースの中の記録に多数の不備があると、システムを刷新する のが極めて困難になります。データベースの情報をきれいにしないと、いつまでも塵デ ータが残っていまいます。これは大変なことで、記録の不備をなくすことの重要性はき ょう皆さんから出ているとおりなのです、早急にきれいにしていただきたいと思います。 そしてこの作業には、人為的な次のミスが入らないよう十分に注意することが不可欠で す。現在のデータベースは、たぶん紙の台帳を電子化するときにもミスがあったでしょ うし、現在もマニュアルでやっているとまたミスが入る可能性が残ります。これをやっ ている限り、システムの更新というのは非常に難しくなるので、そこのところはぜひ御 配慮いただきたいということを最後に一言だけ申し上げます。  佐藤座長 ありがとうございました。時間も迫ってまいりましたので、長官から御発 言をいただきたいと思います。  村瀬社会保険庁長官 それでは、私の方から、お礼と決意ということでお話を申し上 げたいと思います。  まず、先ほどからお話がありますように、17年9月から19年4月までということで、 長い間、社会保険庁改革につきまして時間と知恵を出していただきまして、本当にあり がとうございます。きょうお取りまとめいただきました資料8の3ページの最後に書い てございますように、「社会保険の新組織が実現され、業務改革と職員の意識改革が進 み、実務が円滑に行われ、真に国民の信頼を回復し、社会保険制度が揺るぎないものと なることを願うものである」と、まさにこのとおりでございまして、これに向けてしっ かり業務に邁進していきたいと思っております。  そのためにも、先ほど岸井委員からもお話がございましたように、私の仕事は何かと いいますと、現社会保険庁の組織において職員一人一人がしっかり意識改革をし、さら に国民の視点に立った業務サービスができる仕事をしっかりつくり上げて、高いレベル で新しい組織に引き継げるようにしていきたいと、このように考えてございます。  そのためには、先ほど委員の方からも御指摘がありましたように、組織の一体化をど うしていくべきなのか、いかにモチベーションを維持しながら新組織へ移行させるのか、 ここが最大のテーマだろうと思っております。  そのためには、現場にできるだけ近づいて、また、現場は国民の皆さんのところをし っかり見据えた上で仕事をやる、こういう形にならない限り社会保険行政はうまくいか ないだろうと思いますので、そこに力を注いでまいりたいと考えております。  それから、最後になりますが、今回、記録の問題が出ましたけれど、社会保険庁の仕 事は、先ほど「変わります宣言」の中でもお話しさせていただきましたように、我々が 担っています適用・徴収、記録管理、これを公正公平にしっかりやっていくことが一番 大切なことになるのだろうと思います。その点で、「変わります宣言」でも、3ページ に、「公平で確実な適用・徴収の実施」というところで、「公平で確実な適用・徴収こ そが、国民全体に対する極めて重要なサービスである」ということで定義をさせていた だきまして、サービスというのは何なのかということの職員の意識改革をしっかりさせ なければいけないだろうと思ってございます。  これをしっかりやって、広く国民の皆さんからいただいた保険料をしっかり管理をす る。それがしっかりした給付につながっていくと。こういう仕事をやることによって、 国民の信頼は間違いなくいただける形に変わっていくのではないかと。こんな形で、こ れから22年1月に向けてしっかり取り組みたい。そのためには、この法案を今国会でお 通しいただくことが大前提になりますので、それに全力を注ぎたいと考えております。  本当にいろいろとありがとうございました。  佐藤座長 ありがとうございました。  それでは、時間が参りましたので、本有識者会議をこれで閉会させていただきます。 委員の皆さんにはいろいろと御協力をいただきまして、ありがとうございました。                                    −了−  【照会先】  政策統括官付社会保障担当参事官室   日野(調整係)   03−5253−1111   (内7708)