07/03/29 有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会 第5回速記録 第5回有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会議事録                      平成19年3月29日(木)14時〜16時                      於:厚生労働省専用第15会議室 ○ 中垣審査管理課長  定刻になりましたので、ただいまより第5回「有効で安全な医薬品を迅速に提供する ための検討会」を開催させていただきたいと存じます。本日は青木委員、井村委員、柴 崎委員、望月委員より御欠席という御連絡をいただいております。また、飯沼委員は遅 れて御出席されるという連絡をいただいております。なお、本日はまことに申しわけご ざいませんが、医薬食品局長並びに医薬担当審議官は用務のため欠席させていただいて おります。  本日の検討課題でございますが、国際共同治験に関するものでございますので、前回 と同様、座長の御了解を得た上で、有識者として、日本製薬工業協会医薬品評価委員会 委員長の中島和彦さん、ノバルティスファーマ株式会社開発本部薬事部長の川音聡さん のお二人に参考人として御列席いただいております。後ほど中島さんと川音さんには国 際共同治験の現状などについてプレゼンテーションをお願いすることとなっております。  それでは座長の高久先生、以降の議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○ 高久座長  それではただいまから第5回目「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」 を開かせていただきます。御多忙のところを御出席いただきまして、ありがとうござい ました。最初に配布資料の確認を事務局の方からよろしくお願いします。 ○ 山本審査等推進室長  それでは一番上に座席表がございまして、そのあとに議事次第がございます。その議 事次第の下半分が配布資料の一覧になっております。これに従いまして資料の確認を申 し上げます。   資料1は開催要綱、資料2は構成員の名簿でございます。資料3は医薬品医療機器総 合機構の体制整備に関する前回3月2日の検討会における主な議論と参考情報をまとめ た資料となっております。それに参考資料1と参考資料2がついております。  資料4として、前回と同じく論点整理の紙を用意しております。資料5として第5回 検討会の検討課題に関する参考資料という、横長の資料をお手元に御用意しております。 そして参考資料3として国際共同治験について、参考資料4として国際共同治験に関す る基本的考え方(案)についてという資料がございます。  その後ろに資料6−(1)(2)といたしまして、(1)としては国際共同治験の現状と課題とい う製薬協の中島さんプレゼンテーション用の資料、それから(2)としては、国際共同治験 開発に向けての治験相談についてという、ノバルティスの川音さんのプレゼンテーショ ン資料がお手元に御用意されているかと思います。以上、配布資料の落丁等がございま したら、事務局までお知らせください。  ○ 高久座長  それでは本日の議題に入りますが、最初に本日の議題の1、報告事項ということで、 医薬品医療機器総合機構の体制整備について、これはまず事務局から報告をしていただ いて、その後、機構の宮島理事長にお話をしていただければと思います。まず事務局の 方からよろしくお願いします。 ○ 山本審査等推進室長  それではお手元の資料3にそって、前回に総合機構の体制整備に関する御議論があっ たことに関しましての参考情報を取りまとめましたので、これについて御報告を申し上 げます。  前回、質の高い審査専門員の養成のための研修方策に関しましての御議論がありまし て、これに関しては、医療現場の視点、あるいは大学や学会との連携を保つために研修 方策が必要なのではないかという御議論がありました。これに関しまして現状について でございますが、平成19年度よりFDAを参考とした研修プログラムの作成導入をする こととしております。それからさらに現在も総合機構におきましては審査員に対し、大 学研究室に派遣、学会への参加推奨などを実施しているという状況でございます。   第2に審査員を養成するような大学の教育の現場はどうなっているのか、不十分では ないだろうかというような御議論がありまして、これに関しまして大学における臨床薬 理学、薬剤疫学、あるいは生物統計学に関する教育はどうなっているのかということに つきまして御議論がありました。これに関して文部科学省に問い合わせましたところ、 統計等は特にないということで、私ども事務局の方で各大学のホームページを閲覧など いたしまして確認したところが次のものでございますが、全国80の大学の医学部・医科 大学のうち、臨床薬理学という講座があるところは9、薬剤疫学は2、生物統計は1、 その他のものは同様のものが7ということで、いくつかの大学ではそのような専門性を もった講座等が既にあるというような状況でございます。  それから全国67の薬科大学・薬学部についても同様に臨床薬理学、薬剤疫学というよ うなものについて、それぞれ15、3というようなことで、すべての大学ということでは ないのですが、いくつかの大学ではこのような取組みがなされているというのが現状で ございます。  3番目に、機構の就業規則に関しまして、企業経験者を審査員として活用するという ようなことのために、緩和に関する議論というのがございました。これに関するものを 取りまとめますと、現在総合機構におきまして役職員の採用及び配置につきましては、 就業規則において役職員に守秘義務を課すとともに、製薬企業等での職歴を有する人に ついては採用後原則2年間は関係する業務には従事しないというような制限を規定して おります。  なお、企業関係者の企業出身者の中では、人員の確保の特に困難な生物統計及びGM P調査の業務につきましては、特例措置として、運営評議会に出身企業名等を報告した 上で、採用後2年以内であっても従事させることを可能としております。  次のページにその就業規則を簡単に取りまとめをしておりますので、そこで御紹介を させていただきます。まず就業規則の第8条、採用後2年間の期間は、その営利企業で 採用前に5年間在職していた業務と密接な関係のある業務には就けないものとするとい うことで、企業におきまして、例えば本社や研究所で開発に関する業務に携わっていた 人につきましては、採用後2年間は審査に関する業務はできないというような趣旨の規 定を設けております。   これに加えまして、さらに細則という形でいろいろ詳しく規制を設けておりますが、 その中で特に関係するところとして、第3条の(2)で、出身企業の製品の審査に関す ることについて特に規定をしておりまして、ある会社において採用前5年間にその会社 でもってやっていたところの出身企業の製品の審査に関しましては、2年間経過後にお いても、さらにその3年間は審査には就けないというようなことで、すなわち5年間は 自分の出身企業の審査には就けないというような規則を設けております。   一方、例外に関するところは経過措置という形で規定しておりまして、採用後2年に 満たない場合であっても、(1)の生物統計、(2)の企業の製造・品質管理の業務につ きましては、2年未満でも例外的に機構の関係する職務に就くことができるというふう に規定をしております。その場合につきましては3のところで、運営評議会に対してそ の職員が属する部門、それから企業の名称など、透明性、業務の公正性の確保を図るた めに必要な事項の報告をするという、そういうような規定をしているところでございま す。  3ページ目に、総合機構での企業の出身の方の採用状況でございますが、注1にござ いますように、生物統計の方3名、GMPの方6名を採用しておるわけでございますが、 現在はそのうち3名、あるいは4名がそれぞれ関係する部門に配置されている。その他 には企業出身の方はいないという状況になっております。事務局からの資料3の説明は 以上でございます。  ○ 高久座長  それでは機構の宮島理事長さんの方からよろしくお願いします。  ○ 宮島医薬品医療機器総合機構理事長  医薬品医療機器総合機構理事長の宮島でございます。どうぞよろしくお願いいたしま す。それでは参考資料の2に医薬品医療機器総合機構の今後の体制整備についてという のがございますので、この資料に基づいて御説明を申し上げたいと思います。  ただいま御説明がありましたように、昨年末の総合科学技術会議の答申におきまして、 総合機構の審査スタッフをおおむね3年間で倍増するという形で、総合機構の審査機能 等を強化するという答申が出されました。これを受けまして、この参考資料2におきま しては、今後の体制整備を具体的にどういう形で行うのかということを御説明したいと 思います。  まず1ページ目ですが、今回の答申の背景でございますが、今現在医薬品関係で一番 大きな問題になっておりますのはドラッグラグの問題でございます。既に御案内のよう に、欧米等で既に承認され市販されている新薬が、日本においてはなかなか承認されず、 また市販されないという問題でございます。これは当然日本の患者の皆様にとりまして 有効な新薬がすぐに使えないという、大変な不利益がございますし、またメーカー側に とりましても、せっかく多額の投資をして苦労して開発した新薬が日本のマーケットに すぐ出せないという意味で、大きく二つの不利益があるわけでございます。その意味で はこのドラッグラグを解消して、欧米とほぼ同じ時期に承認し、市販し、患者の皆様に お届けするというのを今回の最大の目的においているというところでございます。  現在のドラッグラグの現状でありますが、そこのグラフにございますように、世界で 最初に上市されたところから、それぞれの国がどれぐらい遅れているかというものを見 たものでございますが、日本は大体4年ぐらい遅れております。一番右端にアメリカが ございますが、アメリカの方は大体505日、1.5年ぐらいの遅れに留まっているという ことでございまして、日米の差を見ますと約2.5年の差がございます。今回の一番の狙 いは、この日米の差の約2.5年を解消しようということを目標においております。  次の2ページ目をごらんいただきたいと思いますが、これは現在の新薬の審査期間(中 央値)でありますが、それの日米を比較したものであります。左側が通常審査品目、右 側が優先審査品目でございます。左側の通常審査品目をごらんいただきますと、棒グラ フは審査側の消費した期間でございまして、黒っぽいのが日本、薄いグレーがアメリカ です。審査側の審査期間だけで比べますと、まだ若干日本の方が長いのですが、そんな に大きな差はないところまで大分近づいてきているということでございます。  それから上の方に折れ線グラフがございますが、丸い点の折れ線グラフが日本の総審 査期間、すなわち審査側期間に申請者側が消費した期間、この二つを足し合わせたトー タルの審査期間を折れ線グラフは表しております。それから下の三角形のマークの折れ 線グラフはアメリカ側の総審査期間でございます。  これをごらんいただきますと、日米は著しい違いがございまして、アメリカの場合は このトータル審査期間と審査側の期間がほとんど接近しているということであります。 ところが日本の場合はこのトータルの審査期間が審査側の期間の倍のレベルにある、こ の折れ線グラフと棒グラフの間は、いわゆる申請者側が消費した期間でありまして、申 請者側が審査に入ってから相当時間を消費しているという傾向があります。  したがって結果的にトータルとしましては、日本は大体24カ月、約2年の審査期間が かかっていますが、アメリカの場合は大体12カ月で、その半分ぐらいのレベルにあると いうことがこれでわかるわけであります。ですから先ほどのようにアメリカ並みのレベ ルに追いつくということになりますと、この審査期間においてもアメリカ並みの12カ月 を一つの目標にするというのがここから出てくるかというふうに思います。   右側は優先審査品目ですが、こちらの方は年によってかなりバラツキがございますが、 やはり日米で若干まだ差があるということが見えるわけでございます。  次の3ページでございますが、先ほど申し上げました日米の差の2.5年、これを短縮 するためにどうするかということでありますが、大きく開発期間と承認審査期間に分け まして、申請前の開発期間におきまして1.5年短縮する、それから右側の審査に入りま した後、承認までの承認審査期間におきまして、通常品目で12カ月、1年にする。合わ せまして2.5年短縮するということであります。現在の右側の審査期間、先ほどごらん いただきましたが、トータルの総審査期間は約2年ですので、半分の12カ月、約1年に するというのが右側の承認審査期間の最終目標になっております。  そのために何をするかというのが中ほどに書いてあるわけですが、まず右側の方から 見ていただいた方がわかりやすいかと思いますが、現在の日本の審査の状況を見ますと、 いわゆる審査に入ってから後に審査スタッフと申請者との間で非常に多くのやりとり、 照会、それに対する回答というやりとりがたくさん行われております。これが審査期間 の時間を消費している非常に大きな原因になっているということであります。  なぜそういう形になるかといいますと、実はこの申請前の左側でありますが、申請前 に治験相談なり、いろんな事前のコンサルテーションを行うわけですが、残念ながら現 在の総合機構の相談のキャパシティというのが非常に低くて、実際の相談の需要をすべ てまかなうことができない状況で、非常に需給ギャップが大きい状況に現在一つあると いうことがございます。  そのため現在は暫定措置として、ポイント制である程度点数の高いものから順番にや るという形をとっておりますが、すべての相談事業に応えきれてないという状況がある わけです。そういう意味では右側のいわゆる審査中のいろんなやりとり、これを実は事 前評価の導入とありますように、できるだけ申請前の相談期間中にこなしていきたいと いう形を今回一つ入れているわけでありますが、そのためには相談機能も相当強化しな ければいけないということであります。  先ほどアメリカの方が審査側期間とトータル期間がほとんど接近しているというふう に申しましたが、アメリカのFDAの場合は申請前のコンサルテーションを非常に厚く 徹底的にやっておりまして、いわゆる基本的な問題はもう申請前にほとんど解決してお くという形をとっております。したがって申請後、審査に入りますと、本質的な問題を 中心に審査するということで、比較的スムーズに流れるということであります。  我々も審査期間を短縮するとなりますと、やはり申請前にできるだけ問題を解決して おいて、審査に入ってからは本質的な問題に重点をおいて審査をするという形にシフト させていきたいという狙いがあります。そのために現在審査中にやっている中で、申請 前にできるものがあれば、事前評価という形で相談段階の方へシフトさせたいというの が一つの大きなポイントになっております。   もう一つは現在の市販後の安全対策でありますが、これは承認された後にいよいよ市 販後の安全対策をフォローしていくという形になりますが、これにつきましてもできる だけ早い段階から、そういう案件のフォローアップをしようということで、市販後の安 全監視計画についても、承認審査段階、あるいはその前の相談段階からきちんと助言、 指導してフォローしていくという形も今回合わせて取り入れたいというふうに思ってお ります。  それから右側の下の方にありますが、審査の標準化、効率化という形で、審査自体の 効率化を図っていかなくてはいけないわけですが、内容的には審査チームをおおむね倍 増するという形と、カッコで書いてありますが、2トラック制の導入という形です。現 在通常品目と優先審査品目が一つのチームでミックスで審査を行っております。このた め、最近のように優先審査品目が多いと、どんどん途中から優先審査品目が入ってまい りますので、通常審査品目にしわ寄せがいって、通常審査品目の方がどんどん遅れてし まうという状況もありますので、優先審査と通常審査の2トラック制というものを今後 導入を検討していきたいということであります。  それから全体としての審査の進捗状況をきちんと的確に管理、マネジメントしていく ということで、プロジェクトマネジメント制も導入したいということであります。それ からやはり審査スタッフの質といいますか、専門性のレベルが非常に審査の内容に影響 を与えますので、FDAの研修プログラム等も参考にしながら、トレーニングの拡充、 体系をきちんと整備したいと考えております。こういう形で右側の承認審査期間におき まして、現在の約2年を半分の1年に短縮したいということでございます。  左側は、先ほども少し触れましたが、コンサルテーション、これをまず量的にすべて の需要に応えられるようなキャパシティ、体制までまず整備したいということと、それ から量的な対応がそろってきますと、次に質的に、いわゆるきめ細かな相談をタイムリ ーにできるような形をめざしたいということであります。  それから現在の相談はどちらかというとやや受け身的な形で相談を受けておりますが、 もう少し開発の初期の段階から、全体としての開発のスピードアップを進めるためのい ろんな助言や指導といったものにまで積極的にかかわる形も今後考えていきたいという ふうに思っております。   それから審査基準が従来なかなか外から見えにくい、どういう基準、方針でやってい るのかよくわからないという御指摘もありましたので、審査基準の明確化というのも取 り組みたいと思っております。  それから今日のテーマにありますが、やはりドラッグラグを根本的になくすためには、 国際共同治験、いわゆるグローバル開発が主流になっておりますので、国際共同治験に 日本も最初のステージから参加していくという形をぜひ進めていきたいということであ ります。  現在は残念ながら国際共同治験におきましても、日本の治験環境が悪いために、やや 欧米が先行して日本が後回しという状況がありますが、やはり日本も欧米と並んでファ ーストステージから参加するということになりませんと、根本的にドラッグラグは解消 しないというふうに思っております。   その他、マイクロドーズ試験なり、ファーマコゲノミクスや再生医療、こういった最 先端の技術へも対応できる体制システムを整備したいと思っております。こういった対 策をやることによりまして、開発期間におきましても1.5年短縮したいという整理にな っております。  次の4ページですが、今お話申し上げました対策を年度別の、いわゆるマイルストー ンとしての、目標設定に分解したものでございます。2007年度から5年間、2011年度ま で、そして2011年の最終パフォーマンスは右側にございますように、今申し上げました ように全体として2.5年短縮するという目標を設定しております。  一番上で人員拡大ということで、今回審査スタッフを約倍増ということで、具体的に は236名増員を2007年から3カ年間で実施するというものであります。それから下にあ ります研修のプログラム、これは2007年度の下期から早速導入して進めてまいりたいと いうふうに思っております。   それから中ほどの相談関係でありますが、残念ながら現在需給ギャップが大きくて、 すべての需要に応えていない状況でありますが、2008年度までには少なくとも量的にす べての申し込みに応えるという形まで相談の件数を増やしたいと思っております。あわ せて申し込みから相談までの待ち時間は現在3カ月ですが、それを1カ月短縮して2カ 月にしたいと思っております。  それから2009年度からは相談メニューを拡充いたしまして、今回の大きなポイントで あります申請内容の事前評価をできるような質的にレベルアップした体制をつくってい きたいということで、最終的な2011年度には相談総件数を1,200件、1成分当たりの平 均相談回数を6回というところまで相談のキャパシティを拡充していきたいというもの であります。  それからその下にありますプロジェクトマネジメント制度は2008年度から導入する ということと、国際共同治験ガイダンス、あるいは審査基準の明確化は第1年度の2007 年度に取り組むという予定をしておるところでございます。  簡単ではございますが、一応今後の総合機構の体制整備につきましてお話しを申し上 げました。どうもありがとうございました。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。資料3と参考資料2でお二人から説明をいただきま したが、どなたか御質問あるいは御意見はいかがでしょうか。 ○ 松本(和)構成員  ドラッグラグの大きな理由の一つに相談業務の遅れというのがあげられると理事長は おっしゃっておられましたが、この場合に、こういう相談業務に従事される方というの はどのような方を望まれているわけですか。どういう方が有用であるというふうに考え られておられるのでしょうか。 ○ 宮島医薬品医療機器総合機構理事長  現在、機構になりましてからの新しい体制としまして、いわゆる従来の審査スタッフ が申請前の相談も担当するということで、現在、体制といたしましては、申請前の治験 相談と、その後の審査を同じチームが一貫して担当していくという形の体制をとってい るところでございます。  ただ、現実を申しますと、また機構ができて3年目で、ようやく当初予定の100名の 人員の増が確保できてきた段階で、なかなか質的な面でまだまだ我々が目標としている レベルまで正直言ってまだ達していない状況でありますが、将来的にはいわゆる審査部 門におきます中堅スタッフといいますか、リーダー格的なスタッフがやはり相談段階に おいても十分その後の審査を見通しながら的確な相談なり助言指導を行うという形にも っていきたいと思っています。  そういう意味ではむしろ最初の仕切りといいますか、最初の相談が非常に重要なポイ ントですので、そういう意味では最終的な理想的な形をいいますと、やっぱり相談の最 初の段階でベテランスタッフが中心とした全体の枠組みなり相談を行うという形、体制 が整ってくれば、現在のいろんなやりとりが審査中に行われるために非常に効率が悪く なったり重複したりしているという問題がかなり解決して、スムーズに相談から審査ま で一貫した形の流れができてくるのではないかなというふうに思っております。 ○ 松本(和)構成員  そういう方の人材としまして、これから研修等を行って育てていくというのが一つあ るかと思うのですが、やはり過去に開発なんかの経験がある方というのは、どうしても やっぱり最初から有用になるのではないかと思うのですが、その点はいかがなのでしょ うか。 ○ 宮島医薬品医療機器総合機構理事長  今回240名という非常に大きな数のスタッフを、しかも3年間という短期間でそろえ なければいけないということとあわせて、やはり総合機構の全体の体制をバランスよく 人員の体制を整えていくということになりますと、どうしてもリクルートのメインはい わゆる新卒者がメインになってくるかと思いますが、できるだけ中途採用といいますか、 今御指摘があったような、いわゆるいろんな経験豊かな専門性の高いスタッフを並行し てできるだけ採用していきたいというふうに思っております。  その際に当然大学なり研究所なり、あるいは企業というところからの採用になるかと 思いますが、我々の求める高い専門性を有するスタッフについては、いかなる分野であ ろうとできるだけいろんな分野から採用していきたいというふうに思っています。  ただ、先ほどちょっとお話をしましたように、企業からの採用につきましては、この 総合機構設立のための法律の国会審議の過程で、やはり企業との関係についてはきちん とクリアにして公正な審査体制というのを確保するために、一定の基準といいますか、 ルールを設けて、それをクリアした形で採用するということが決められましたので、我々 も先ほど説明がありましたようなルールを設けて、それをクリアする形で企業出身者の 採用を今行っているということで、現在数はまだ少ないわけですが、そういった一定の ルールをきちんとクリアした形で専門性の高い企業出身者についても、我々はやはりい ろんなルートからの一つとして、これからもリクルートというものを考えていきたいと いうふうに思っています。 ○ 寺脇構成員  少し関連するかと思うのですが、参考資料1の2ページの中ぐらいに、民間との人事 交流を活発化させる新たなルールづくりも検討する必要がある、しかし民間経験者が機 構に就業するには、機構の就業規則が厳しいものになっていると書いてありますが、こ の就業規則を見てみますと、企業で研究開発に従事していた人のことだと思いますが、 採用後2年間はそういう審査部門にタッチできないということがありますが、これはや はり企業でそういう部門に従事していたならば、経験が一番大事ですので、即戦力とし て使えるのではないかと思いますが、この2年間が非常に無駄じゃないかと思うんです が、いかがでしょうか。 ○ 宮島医薬品医療機器総合機構理事長  ですからこれは先ほど言いましたように、国会審議の過程で企業との関係をやっぱり きちんと誤解のないように整理すべきだという指摘を受けて設けたルールであります。 御指摘のように非常にハードルの高いルールに現在なっております。これは当然単に就 業規則だけの問題ではなくて、要するにそういう機構の業務に対する社会的な信頼度、 あるいは国民の皆さんの信頼度、あるいは機構の業務に対する透明性、あるいは公正性 の確保のシステムの体制がきちんとできているのかどうか、そういうこととも関連する 問題だというふうに思います。  この3年間、私どもはできるだけ機構の業務の透明性を高め、必要な情報をできるだ けオープンにして、我々のやっている業務を国民の皆さんに見ていただいて、評価して いただくという形の努力を積み重ねてまいりまして、そういう意味では、総合機構の運 営評議会には、薬害の被害者団体の代表の方も入っていただいていますし、運営評議会 自体は公開の場でやっております。  そういう形でできるだけ透明性を高め、公正に執行できる体制システムを確保し、そ ういった実績を積み重ねて、いわゆる機構の業務に対する社会的な信頼度を高めていく という中で、この企業採用者からのルールといいますか、ハードルをどうするかという 議論があるかと思いますが、ただ、発足当初はそういうものが必ずしもきちんと確立し てない状況でありますし、むしろ過去のいろんな薬害の歴史等を踏まえますと、むしろ 企業との関係にかなり懸念される部分があるということで、かなり厳しいルールが設け られたわけでありますが、ただ今後のことにつきましては、今言ったような社会的な信 頼度なり、あるいは機構の業務に対する透明性なり、公正性の確保、こういったものを トータルに見てどうかということで、またいろいろ議論がされるのではないかと思って おりますが、現在のところはそういう状況であります。 ○ 高久座長  他にどなたか意見をどうぞ。 ○ 佐藤構成員  今のことに関連するのですが、企業出身者の方が審査についた時に、確かに自分の出 身企業の製品についてはタッチしないんですが、例えば競合している他の会社について の審査にどのように携わったかということもある種透明性の確保という点では重要かな というふうに思うのですが、そういう意味では例えばそれぞれの方が具体的にどの製品 の審査に携わったかということを事後的に、承認後少し期間をおいてからでもかまわな いかと思うんですが、そういうことを公表していくというようなことが考えられないか。  あるいはそうしますと、単に企業出身者だけではなくて、機構全体としての透明性を 高めていくということであれば、出身が企業であれ、もともとの生え抜きであれ、研究 機関であれ、すべての人がどの製品の審査に携わったかというようなことを実際に公表 してもいいんじゃないかなというふうに思うんですが。例えば審査概要に、承認後少し 時間が経ってから審査概要が公表されますが、その時に審査に携わった方のリストを一 緒につけて出してしまうとか、そうすると機構だけじゃなくて、本省の方とか審議会の メンバーの方なんかも一緒に公表しなきゃあいけないのかなと思うんですが、そんなよ うなこともちょっと考えられないかなと思ったんですが、いかがでしょうか。 ○ 池田構成員  私も事前の相談というのをやはり充実させる、それもかなりベテランの方が最初にや はり相談にのるということが非常に大事だと思うので、そういうスタッフを、例えば3 年間で236名というふうな数をあげてらっしゃるのですが、大体この事前相談に当たる、 本当にベテランの人たちがどれぐらいの数を占めるかということが、この計画のかなり キーになるのではないかなというふうに思っています。  もちろん5年10年先には新卒の人を雇って、それを研修させてやっていけばいいと思 うのですが、やはりここ1〜2年で大幅な改善をしないといけない、非常に差し迫った 問題がありますので、その場合に審査の基準とか、あるいは明確化、透明性というのが 非常に大事だと思うんですね。  どの薬でも一般的にあてはまるルールと、それから領域によって随分考え方が変わっ てきてしまう領域もあると思うんですね。ですから例えば審査スタッフ、ベテランの方 を事前相談にあてるとして,例えば抗腫瘍薬の領域は大体どれぐらい,あるいは抗循環 薬はどれぐらいとか、あるいは抗生物質とか、そういう専門性というものを加味して、 どれぐらいのベテランを配するかということについての大雑把な考え方を伺えれば、お そらくこれは国民にとっては非常に重要なプログラムなので、やはりそれを皆さんに知 っていただいて、本当にいろんな領域から協力を求めるという格好にしていかないと、 なかなか増えていかないんじゃないかというふうに思いますので、その辺の少し具体的 なプランをお教えいただけたらと思います。なかなか難しいとは思いますが。 ○ 宮島医薬品医療機器総合機構理事長  まず一点目の関係でありますが、いわゆる透明性を高めるといいますか、そういう意 味では今お話のありました担当したものの名前を、例えば審査レポートなんかに書くと いうのが一つのアイデアとしてあるかと思いますし、たしかFDAはある程度そういう ものをやっているのではないかと思いますが、ただ、その場合に担当者のいわゆる個人 責任をどう考えていくかという問題と、やっぱり非常に密接に関係するかというふうに 思います。  アメリカの場合は比較的レビュアーの個人責任を免責して、もちろん重大な過失があ れば別ですが、基本的に免責の形になって、言うならば組織として責任をとるという形 ですけれども、日本の場合はなかなかそのあたりが必ずしもクリアにまだ整備されてい ないのではないかと思いますので、個人責任、あるいは組織としての責任、こういうも のをやはりきちんと整備することと合わせて考えていかなければいけない問題かなとい うふうに思っています。  それから今お話がありましたように、やはりこういう審査なり相談に行く度に、これ をきちんと進めていくためには中堅格のリーダー格がきちんと配置されないと、現実的 にはなかなかうまく回っていかないわけで、そういうものを我々は早く育成していきた いというふうに思っています。具体的なニーズはちょっと今の段階では何人というわけ にはいきませんが、今は1チーム大体10名で構成しておりますので、それのリーダー格、 あるいは準リーダー格が言うならばそういうベテランの人たちが今当たっておりますが、 今回それを倍増するということですから、そういう意味ではかなりの人数をまた中堅ク ラスの者をそろえていかなければいけないということになります。  これはできるだけ中途で外からそういう専門性の人を採用するという一つの形も必要 かと思いますが、ただ審査自体はちょっと独特の部分もありますので、仮に中途採用し ても、やはりある程度の育成なり研修をしなければいけないということを考えますと、 本当にある意味でベテランの中堅リーダーが育つにはやっぱり数年ぐらいかかるかなと いう気がしますが、できるだけ私どもとしても早くそういう全体をリードしていくよう な人材を早く育てて、我々が目指している体制、システムというものが稼働できるよう な状態に早くもっていきたいというふうに思っています。 ○ 高久座長  他にどなたかございませんか。 ○ 松本(恒)構成員  今お話を聞いていますと、企業に在籍していた経験のある方は、在籍企業にかかわる 申請に関してのみならず、他の企業の申請についても従事できないというルールになっ ているということなんですが、ちょっとその合理的根拠が、よくわからないのですね。  在籍していた企業であれば、例え給料は貰っていないで、もう退職してきたのだとし ても、やはり今まで開発していたものを、すぐに審査側に回れば本人もやりにくいだろ うし、回りからも少し危惧をもたれるかもしれない、だから避けるんだというのはよく わかるんですが、別の企業の場合だと、一つは企業秘密を知る立場にあるから、それを 出身企業に伝えるかもしれないという危惧があるのかもしれないですが、ここは公務員 ですよね、非常に厳しい守秘義務が課されて、刑事罰付きですから、それで十分カバー できていると思うんですね。  あともう一つ考えられるのは、他の企業に意地悪をするということもあり得るかもし れないけれども、これも可能性としてはあるかもしれないけど、余り現実的な問題とし ては考えられない。  あと残るのは、一度開発に関与した薬学研究者というのは、およそ信用できないとい う、とんでもない前提に立っているかのような感じになりますから、少なくとも他の企 業の審査に関しては、そんなに厳しくやらせないという必要はないのではないかと思う のですね。  ちなみに現在金融庁が金融の高度化のために、従来の生え抜きのスタッフだけでは十 分な監督や検査ができないということで、弁護士や公認会計士、それから金融機関の専 門家をどんどん中途採用、任期付き採用をしております。ホームページを見ていただけ ば、その募集がいっぱい出ているんですね。今回ちょっとそこを調べてきて、そういう 形で採用された人について、どういう業務に従事させるかということまで公表している かと調べたのですが、そこまでは公表していませんでした。しかし、おそらく内規で決 まっている、何かあると思います。  せっかくそういう専門家を採用したのに、その専門を生かせる業種に何年か就けない なんてことは多分やってないと思いますから、その辺金融庁の方に一度お聞きになられ て、内規はどうなのか、比べられれば参考になるのではないかなと思います。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。自分の出身の企業のところからの審査には携わらな いというのは常識的だと思うのですが、すべてというのは厳しすぎるというか、非効率 すぎる。逆に厳しくし過ぎるのではないかと言い出したら、もうきりがなくて、それで は大学から来た人もその企業からお金を研究費でもらっていたのじゃないかとか、疑い 出したらきりがないわけですから、もう少し出身の企業の医薬品の審査はしないという ような形ぐらいにした方が良いのではないかなと思います。しかし、透明性を高めるこ とは極めて重要だと思うので、アメリカのように審査員の名前を明らかにする代わりに、 組織として責任をとって個人の責任にはしないというふうに体制を変えることはできな いですかね。 ○ 宮島医薬品医療機器総合機構理事長  確かに今の総合機構の企業出身者からの規制のハードルというのは、ある意味では世 界から見ても一番高いのではないかと思うぐらい非常に高いハードルになっているかと いうふうに思います。ただ、これはおそらくそれなりの背景があって、総合機構法の審 議の過程で国会でこの問題が大きな問題として取り上げられ、いわゆる規制と振興をき ちんと分離すべきだというのはかなり強く主張されました。  その結果として、一つは例えば現在の総合機構発足前、旧医薬品機構においては研究 振興の助成金事業があったわけですが、これは今の規制と振興を分離するという考え方 に基づきまして分離して、大阪の方にあります医薬基盤研究所の方に移すという形で、 かなりこの規制と振興を分離するということが非常に強い要求としてあったということ があります。これはおそらく歴史的な背景として、やはり審査なり、こういう規制当局 に対する社会的な信用度といいますか、あるいは不信感といいますか、そういうものが 背景にある程度影響していく面も必ずしも否めないのではないかというふうに思います。  したがいまして先ほど私が申し上げましたように、やっぱりこういう機構の審査業務 なり、そういうものに対する社会的な信頼度なり、あるいは公正にやられているという ことの実績の積み重ねがまずきちんとできてきますと、今御指摘にあったような議論が 多分できる基盤ができてくるのではないかなと思っていますし、今いろいろなお考えが ございましたが、基本的にはこの総合機構の就業規制につきましては、関係者の皆さん で十分御議論いただいて、合意の上でやってきているものでありますので、一方におい て被害者団体等でそこを非常に懸念しているところもあるわけでありますので、そうい う全体の関係者の御議論なり、そういうものを踏まえながら、まさに機構の業務につい ての透明性なり公正な執行の確保のシステムがきちんとできているかどうかということ とトータルの形でやはりこれから議論されていくべき問題かなというふうに思っており ます。 ○ 佐藤構成員  今のことに関連して、私は存じないんですが、退職後の規定というのもあるんでしょ うか。 ○ 宮島医薬品医療機器総合機構理事長  退職後2年間はいわゆる機構の業務と密接な関係のある企業に、これは要請になりま すが、お願いベースという形になりますが、就職しない。たしか公務員も似たような形 があったのではないかと思いますが。 ○ 高久座長  他にどなたか。どうぞ。 ○ 南構成員  私も今の議論を伺っていますと、この機構ができた3年前の時の空気では、やはり薬 害の被害者の方々の感情とか、いろいろなことがあって、審査の方への企業出身者など に対する利益がかかわる人への扱いというものが非常に厳しく刻まれたと思うのですが、 現実に今国民が求めていることは、そういう社会的な信頼を裏切らないでほしいという ことと同時に、迅速化してほしいということとか、それから審査の質をきちんとしてい ただきたいということも同時にあるわけですから、そこは3年間で240人近い方を動員 するということになれば、現実的に対応していかないと、その審査の質自体が大丈夫か という部分もあると思いますので、そこは必ずしも国民も理解しないことではないとい うふうに思います。  それで総合科学技術会議の答申の中にも、やはり現実的に就業規則を緩和すべきであ るというような言葉も入っていますので、やはり現実に企業での経験というのは大変専 門的なもので、高度な専門家を、人的資源をもったいなくないようにしていただくとい うことも国民の希望にかなうことであるというふうに思います。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。それではそろそろ次の議題の 2に移りたいと思います。その前に今いろいろ御意見をいただきましたが、確かに公平 性ということと、南委員がおっしゃったようにスピードというのは相反するところがあ ると思いますが、透明性を高めるということも必要だと思いますし、その努力をしなが ら、しかし少し就業のところを考えていっていただければと、そういうふうに思います。 どうもありがとうございました。  次に議題2の検討課題に入りたいと思います。第3回の検討会からは資料の4にあり ます論点整理に示されている、いろんな問題について具体的な検討を行っているところ ですが、今日は論点の3の2、ここに国際共同治験ということが1ページの下の方に書 いてありますが、この国際共同治験について皆さん方の御意見をお伺いしたいと思いま す。  まず最初に事務局の方から簡単に説明を受けた後、今日はお二人の方が参考人として 御出席いただいておりますので、お二人の方に御説明をつけ加えていただきたいと思い ます。それでは事務局の方から最初に説明していただけますか。 ○ 山本審査等推進室長  それではお手元の資料5、第5回検討会の検討課題に関する参考資料にそって御説明 を申し上げます。3ページをお開きいただきますと、今、高久座長から御紹介いただき ました論点を1枚にまとめたものがございます。本日はこの論点3の(2)という、国際共 同治験の推進のための環境整備の方策というところを御論議いただこうということで資 料を用意いたしました。論点3の(1)、(3)、それから論点9までが今まで御議論をいただ いているところでございます。  5ページですが、国際共同治験ということを考えます場合に、まず海外の治験の結果 だけで医薬品を承認することはできないのではないかというような論点がありまして、 これについて取りまとめたものがこの1枚でございます。これに関しまして、ICH(日 米欧の医薬品の規制に関する調査国際会議)におきまして合意されたガイドラインでは、 医薬品の効果には民族的要因が影響を与えることを考慮しつつ、その影響を評価する、 その必要性というものが指摘されておるところでございます。   実際といたしまして、その日米欧で承認された医薬品のうちの、約3分の1ほどにつ いては日本人と欧米人の用法・用量が異なるという状況がございまして、過去3年間の 分につきまして調べたところ、41品目中13品目、約3分の1につきましては、この例 のところにありますように、用法・用量の違いというものがあるという、これが今の状 況でございます。  さらにこの効果だけではありませんで、副作用に関しましても薬によって間質性肺炎、 あるいは下痢といったような副作用の頻度が民族的に違うというようなことが報告をさ れております。  一方では、欧米人と日本人というタイプではなくて、東アジアの人々の間においては 影響は小さいのではないかというような4番目に書いてあるような議論も一方ではござ います。  それからこの治験というものに関しましては、国内で治験の実施ということは、我が 国の医療技術の維持・向上ということとも密接に関係しているというようなことも指摘 をされておるところでございます。  次のページですが、海外の治験の結果を一部利用することによって、民族差の問題も 検討した上で承認時期を早めるという方策については何かということにつきまして、記 しております。これにつきましては一度ブリッジングということに関しまして、簡単に 御紹介したものでございます。  外国で第I相、第II相、第III相と試験が先行しているような場合に、国内の研究結果 と欧米の治験結果は異ならないかどうか、その第I相、第II相の薬物反応性などを検証 する試験を日本でも実施をしたものと、その外国で実施されているものと比較をいたし まして、これで橋渡し、ブリッジングをいたしまして、欧米の第III相試験の結果をその まま活用するという方法です。日本では第III相試験を実施しないで、その分だけ短縮を して開発をするという、このような開発の手法が近年あるわけでございまして、これま でに47の新薬につきまして、我が国ではこの手法によって適応してこられているという 状況でございます。  下の四角のところで書いてありますが、現在の科学技術水準では、民族的な要因の検 討というものが、国内の治験である程度は検証するということが必要というような観点 からなされているわけでございますが、このブリッジングを利用しますと、その第III相 をしない分だけ申請までの期間を短縮することはできますが、外国のデータの後追い利 用ということで、その遅れの本質的な解消にはなかなかなりにくいのではないかという ようなことが考えられないかと思われます。  それで国内外で開発された新薬を世界が最も早く日本国内で提供するためには、少な くとも欧米に遅れないにはどうしたらいいかということを考えますと、一つにはまず国 内で外国に先行するか、あるいは同時に治験を行うというような、そういう方策がある わけでございます。  それから外国と一緒に共同で治験をするという、国際共同治験を行うというもの、そ れからさらには東アジアのデータというものの利用可能性についてはどうだろうかとい う議論もあります。その他にも議論があるわけですが、このような中で国際共同治験と いうのは非常に有力な選択肢としてあるわけでございます。  次に7ページに1枚の絵に簡単にまとめておりますが、国際共同治験とは、新薬の世 界規模での開発・承認を目指して企画される治験であって、一つの治験に複数の国また は地域の医療機関が参加して、共通の試験実施計画書、プロトコールに基づいて同時並 行的に進行するという臨床試験でございます。主に第III相の大規模に行う検証的な試験 が対象となっているところでございますが、この統一的な治験の実施計画を策定すると いうのが重要なポイントになっております。  このためには、下に準備というところで、日本人で第I相の試験を行い、さらに用量・ 反応につきまして国際共同治験でいけるかどうかということにつきまして、あらかじめ 民族間での用量と反応性の差異などを同定しておきましてから大規模な試験に入るとい うふうなことがやられているわけでございますが、左下の方にこれまでの実績について 取りまとめをしております。  日本の医療機関も参加する国際共同治験というのは、これまで10の医薬品について、 平成18年の10月までの時点ですが、行われております。それからさらに今年の1月末 までの時点で累積できますと、総合機構の方には52件の国際共同治験の治験相談がまい っておる状況でございます。実際に国際共同治験の成績を受け入れて承認した医薬品は 3つというふうなことでございます。  一方、近隣の韓国では2005年1年で94件、台湾では同じく86件が国際共同治験でな されているというふうなことで、韓国、台湾の方が数においては先行しているというふ うな状況でございます。  次には8ページに国際共同治験の特徴、留意点を取りまとめております。国際共同治 験の特徴といたしましては、海外と同時に第III相試験等をスタートすることができると いうことで、まずリアルタイム、同時にといっていることがあります。  それから広範囲の地域から、大量かつ迅速な治験データの収集が可能であるというの が特徴でございまして、このことから仮に地域差が出た場合についても、同一プロトコ ールというようなこともありまして、検証も比較が容易となるというような特徴もござ います。  それから共通のプロトコールをやることによって、データの重複の排除などの効率化、 有効活用が可能となります。  一方、国際共同治験を行うためには、日本人の症例数をどのぐらい組み込めば国際共 同治験であっても日本で評価可能なものになるか、あるいは国内で未承認の併用薬が外 国で使われている場合についてはどういうふうに評価したらいいだろうか、このあたり につきましての実施方法が不明確であるというような戸惑いがあるというのが現状では 指摘をされております。  それから治験実施計画の立案に当たりまして、例えば日米欧の各国の規制当局の考え 方が違うというようなこともあり得るわけでございまして、その調整が必要というよう なことも指摘をされております。  それから実施の段階におきまして、我が国と海外で行われている治験がスピードと質 において同等以上でないと、その治験がうまく成り立たないというような、そういった 点もございます。   それから長期投与における安全性については、日本人だけのグループによるデータが 必要な場合もあるということを念頭におく必要があるということは言えるかと思います。  9ページです。国際共同治験を活性化するために必要なこととして、どんなものがあ るかということについて、現在の取組みといたしましては、国際共同治験に関する基本 的な考え方の案というものを総合機構が中心となって策定をして、今後意見募集、公表 に向けて進めることと今なっている段階でございます。それから現在総合機構におきま しては、治験相談におきまして、国際共同治験に関するものにつきましては優先的な受 付を実施しているという状況でございます。  それから今後の取組みとしてどのようなことがあるかということにつきましては、ま ず一つには、国際共同治験の治験の計画の段階で、海外の規制当局間の連携をとるとい うようなことがあって、そのことによって計画の策定、治験の実施というものを促進す る、そのようなことは考えられるだろうかということがまずあるかと思います。  それから特に東アジアに関しましては、その東アジアの国々というのは、民族的要因 の影響の程度に関する研究などを行うことによって、その東アジアのデータの利用の可 能性について検討するということは、ドラッグラグの解消に有効ではないだろうかとい うような論点もあるところでございます。このようなことが国際共同治験の活性化のた めの論点となっているところでございます。 ○ 高久座長  それでは次に引き続いてこの機構の川原管理監の方からよろしくお願いいたします。 ○ 川原医薬品医療機器総合機構安全管理監  参考資料の3をお開きいただきたいと思います。ただいま山本室長の方から説明をい たしましたが、機構の方からも補足をさせていただきたいと思います。  2ページ目ですが、先ほども出てまいりますが、日本での国際共同治験の現状という ことでございますが、これまでに52件ということでございます。これは治験相談の方で ございます。治験相談については急速に増加をしているということでございます。それ から国際共同治験に基づき承認された品目は3品目ということで、これも先ほどお話が ございました。  それから3ページ目ですが、国際共同治験に関する治験相談ということで、割合的に は治験相談の件数自体がちょっと伸びておりますので、2005年2006年、割合的にはち ょっと停滞のような形にはなっておりますが、下の棒グラフのように相談件数自体は伸 びておるということでございます。これが52件がどういうふうにここ3年で増えてきて いるかというのを示したグラフです。  4ページ目ですが、この疾患領域別の内訳ということでございますが、がん、抗悪性 腫瘍の領域、循環器、神経内科、内分泌、精神科の領域といったところ、それ以外もご ざいまして、かなり広範なところで行われているということでございます。  それから5〜6ページ目は、近隣諸国での状況でございますが、5番目は韓国のある 大学病院でまとめられた韓国での多国籍のプロトコールによる臨床試験の実施数の表で すが、黒い多国籍のものがここ数年で急増しておりまして、2005年には94件というふ うに伸びてきているということでございます。これがお隣韓国でございます。  それから6〜7ページが台湾、チャイニーズ台北の状況でございます。台湾では従来 臨床試験というのが行われるということ自体が少なかったようですが、最近では2005 年にはかなりの臨床計数の集積、700症例を超えるような症例が集められてきているよ うになっているということでございまして、7ページをごらんいただきますと、例えば 2005年、これは白くなっている所の多國多センターというところが国際共同治験のプロ トコールの本数ということになります。Pのところがプロトコールの本数ということに なりますが、59、62、86ということで、台湾の方でも増えてきているということでござ います。  それから8ページ目ですが、これも先ほど山本室長の説明にございましたが、医薬品 医療機器総合機構の方では国際共同治験の促進ということで、2006年の4月から治験相 談の予約申し込みに際し、国際共同治験にかかる相談を優先する取り扱いを開始してお るということでございます。  それからこれは後ほど項目のみ申し上げますが、今月の先ほど理事長の報告に出てま いりました運営評議会の席で、ここに書いてございますような、国際共同治験に関する 基本的考え方案というものを示しまして、公表をいたしております。  その骨格の部分ですが、9ページにございますが、この基本的考え方につきましては、 国際共同治験の試験計画の立案に際して遭遇する12の課題について考え方を示してい るということでございます。  基本的要件、それから参加すべき時期、それから日本人でのフェーズI試験等の必要 性、それから国内での用量設定、ドーズリスポンスを見る試験の必要性、試験のデザイ ンを決める上での基本的留意事項、それから症例数の設計と日本人症例の割合の決定方 法、それから海外で確立されている評価手法の受け入れ可能性、国際共同治験と同一プ ロトコールの国内試験の実施、それから対象群の設定、併用薬剤、併用療法の設定、実 施が望ましい領域、それから実施の適否を判断する考え方についてといったようなこと で12の課題について解説をしておりまして、具体的な部分につきましては参考資料の4 になりますが、4の2ページ目以降に具体的にまとめておりまして、この12の項目につ きましては、下の方に3枚目からページが2というふうにふってございますが、対応す るこの項目についての考え方を示しているという形になっております。以上です。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。それでは引き続きまして日本製薬工業協会医薬品評 価委員会委員長の中島和彦様、よろしくお願いします。 ○ 中島参考人  それでは御報告させていただきます。お手元の資料の6−(1)をごらんいただきたいと 思います。本日は事務局からの御要請に基づきまして、二つの課題、一つは日本におけ る実施状況、二つ目には実施上の課題につきまして御報告をさせていただきます。本日 お示しします内容は当委員会で多地域同時開発をする際の課題につきまして、この1年 間で研究してきたものでございまして、現在まとめている最中でございます。本日はそ の一部を御報告させていただきます。  まず最初に我が国の現状でございますが、私どもで実施いたしまして、回答をいただ きました61社のアンケート結果に基づくものでございます。下の図ですが、国際共同治 験の実施状況ですが、これは日本を実施国の一つとする国際共同治験の実施状況でござ いまして、一番上の表ですが、これは今までに国際共同治験を経験しているかどうかと いうことで、実施中のものも含みますが、「あり」とお答えになった企業が内資系で2社、 外資系で10社ございました。  真ん中の表ですが、国際共同治験を実施した12社が、それぞれいくつの開発品目で実 施したかということでございまして、既に2品目以上経験したところは10社ございます。 最下段ですが、これはプロトコールの数、すなわち治験が何本行われたかということを お示ししてございます。3本以上経験した企業は12社中8社でございます。この治験の 総数は40本ないしそれ以上になるということが言えます。   次のページをごらんいただきたいと思います。上ですが、国際共同治験におけます目 標症例数をお示ししてございます。各プロトコール1本の治験ごとで目標症例数を見て みますと、例えば10番の120症例から、5番の20,000例と規模はさまざまでございま す。また日本人の比率につきましてもさまざまであるということでございます。  下の表ですが、この国際共同治験をどういう目的で実施したかということが上に書い てございます。その目的の項を下にいくにしたがいまして、開発のステージが進んでい るというふうに見ることができるかと思いますが、一番下の有効性の証明、あるいは確 認、第III相に相当するかと思いますが、これが一番多く、次にドーズファインディング スタディが第II相でございますが、これが4、以下あたりづけが2、フェーズIに相当 すると思われるものが1という状況でございます。  これを実施する理由でございますが、そこに四つにまとめてございまして、なるべく 短期間に開発したいというようなこと、それから地域特有の疾患を対象としているため、 国内では集積が困難だといったあたりの理由が多い状況でございまして、以下各国に円 滑に上市したい、あるいはなるべくコストを低く抑えたいというような理由がございま した。  次のページをごらんいただきたいのですが、開発の期間でございます。上の表はプロ トコール承認からFPIまで、これはつまり企業内でプロトコールが承認されまして、 最初の症例がエントリーされるまでの期間、つまり治験開始手続きに要する時間になる わけでございますが、これを地域別に見ております。  上の方に日本の状況を書いてございまして、網かけしてございますのが、日本が他よ り長かった、斜線で印をつけておりますのが、日本が他より短かったということでござ います。トータルで見ますと日本がより長い手続き期間を要する例が多いということで ございます。   下の表は最初の症例エントリーから最後の症例エントリーまで、つまり目標症例を達 成するために要する期間にほぼ相当いたしますが、結構日本は善戦してございまして、 対象の疾患によっては努力次第でスピードは確保できるということを示しているかと思 います。  現在、国際共同治験に取り組んだ経験がないところが49社ございました。その理由に ついて問いかけましたところ、法や規制等、制度上に問題があるという回答があったも のが13社ございまして、内資系・外資系それぞれ7・6とイーブンの状況でございます。  具体的にどういうものかということの問いかけでございますが、未整備であるという ことで、一つは海外データ、特にアジア治験での採用データ基準が不明確である、ある いは日本人の症例数の設定基準が不明確であるというようなこと、さらには他極との乖 離という意味では、必須文書数の問題、これは余りどうかなと思うのですが、それ以外 には治験中の安全性情報の取り扱い、あるいはプロトコールへの記載を要求される項目 が違う、日本独自の要求、例えば適合性調査で要求されることが違うというようなこと があがっております。  次のページをごらんいただきたいと思います。共同治験に取り組んでいなかった企業 49社を対象に、今後3年間実施する予定がありますかという問いかけでございますが、 「あり」とお答えになった方が13社ございました。ということで新たに取り組もうとし ている企業が内資・外資ともにかなりあるということがおわかりいただけると思います。 つまり環境整備を急ぐ必要があるのではないかというふうに思っております。下はその 国際共同治験の内訳でございます。  続きまして以下国際共同治験実施上の課題につきまして御報告いたします。6ページ をお開きいただきたいと思います。これは従来の日本の参加するパターンをお示しして ございます。これですと日本は従来他の地域でPOC、つまりあたりづけの試験が終わ ったあたりからやおらフェーズIに入るということで、どうしてもその開発が遅れると いうことになるということで、今後はフェーズIあるいは用量の感触、そういうものを つかんでおくところをなるべく早くやっておくという参加時期の問題、それから日本人 だけでの評価試験者数はどうか、あるいは審査の調和といったことが課題であろうとい うふうに思っております。  下ですが、欧米の国際共同開発にかかわる最近の動向でございます。ヨーロッパの申 請資料には従来米国や、あるいは西ヨーロッパ、あるいは北米のデータが申請に用いら れておりましたが、近年ロシア、インド、南米といったところでの、あるいは東ヨーロ ッパでの治験結果が加わるようになってきたということで、そういうものについてきち んと考えなきゃあいけないという方向が出ているということでございます。  また、FDAですが、ここにある品目の例ですが、心不全に対する有効性を国際共同 治験でかなり大規模にやりました。死亡率を評価指標といたしまして、トータルでは統 計的に有意であったわけですが、事後解析でアメリカだけを切り出してみますと、むし ろ死亡率は上昇しているということがございまして、FDAはこの品目を承認いたしま したが、今後地域間の評価に注目しなければいけないという結果でございました。   次は8ページの下をごらんいただきたいと思います。今飛ばしましたところも含めま してまとめてございます。国際共同治験を実施する上での課題でございますが、開発戦 略に関する調和、品質に関する調和、開発スピードに関する調和といったところが必要 かと思います。  最初の開発戦略では、もう既にいろいろ出てございますが、治験相談の内容とタイミ ング、申請に用いますコンプリートデータパッケージの問題、それから他地域のデータ の受け入れといったことで、こういったところは各国の行政当局間の調和というものが 必要になってくるかと思います。  品質に関する調和につきましては、いわゆるオーバークオリティからの脱却というこ とがキーワードでございまして、そこに書いてございますようなことにつきまして今後 当局と私どもとで十分に検討させていただきまして、つまり受け入れ可能な品質水準、 品質管理のあり方について検討と合意をする必要があるだろうと思っております。  また開発スピードでございますが、開発戦略、品質もスピードに影響いたしますが、 別途国に進めていただいております臨床研究の環境整備ということも必須だということ でございます。以上でございます。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。それでは引き続きましてノバルティスファーマ株式 会社の開発本部薬事部長の川音聡さん、よろしくお願いします。 ○ 川音参考人  ノバルティスファーマ薬事部の川音と申します。本日はこのような機会に参考人とし て意見を述べさせていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。 私の方からは弊社ノバルティスが海外におきまして、FDA、それからヨーロッパの規 制当局でありますEMEAと同時並行的に国際共同開発における治験相談を行った経験 がございましたので、事務局からの要請も含めまして、その内容について少し御紹介さ せていただきます。お手元の資料の6−(2)で順次説明させていただきます。   Joint parallel consultationの動きと称しましてタイトルをあげましたが、Joint parallel consultationと言いますのは、治験相談におきましてFDAとEMEA、す なわちアメリカとヨーロッパの規制当局から統一した見解を受けられないかという考え 方で仕組みが考えられたもので、企業からの要請で2003年あるいは2004年ぐらいから 始まったというものでございます。  これまでのところ、実質そのプロセスが確立されたものでもないですし、実施した数 も、私どもが海外本社の担当等にいろいろ聞きましたが、10あるかないかというような 状況でございます。それは企業全体ということで、私どもの会社ですと実際には2004 年の一度の経験だけでございます。  実際の運用がどのようになされているかということでございますが、通常どおり相談 者である企業はFDAとEMEAに対してそれぞれの相談を行います。ただしそれぞれ の相談を動かしていく過程の中で、規制当局であるFDAとEMEAに意見交換の場を もっていただいて、意見のすりあわせをお願いすることになります。  それの対象にはどのようなものがあるかということですが、あらかじめ二つの規制当 局間で規制や要求事項が違う場合に、その違いを国際共同治験に組み込むにはどのよう にするかというようなことが対象になります。したがいまして相談者はそれぞれの規制 当局からそれぞれ照会事項を個別に受けますので、それに対応しなければいけないです し、それに追加して両者の橋渡しをするような形で相談を動かすということが現状のよ うです。  次のページに移っていただきまして、ノバルティスが実際に経験した事例ですが、そ の相談を一緒にやっていただく機会をみつけるのがなかなか難しくて、最終的には私ど もの会社とEMEAが合同で会議をするその当日、私どもの会議はヨーロッパ時間で午 後だったのですが、ヨーロッパ時間の午前中にFDAとEMEAの間で少し意見交換の 場がもたれたということでございました。   そしてその意見交換はもたれたのですが、最終的な判断は独自の判断が優先される形 で、統一見解というまでにはいたりませんでした。また私どもの会社がその意見交換の 場に入ることも実際にはできなかったという事例でございます。ただ、別な会社様のお 話から又聞きで聞いたのですが、実際にその意見交換の場に入られた会社もあるという ふうに聞いております。  実際に学んだことから言えることは、FDA、EMEAともども相手方の相談のプロ セスについては熟知していないという状況にありますので、頻繁に相談者がどのような 質問を受け、どのような回答をそれぞれに出したか、どのような会議がいつ組まれるか というのを順次連絡する必要があって、それが重要であるということを理解いたしまし た。  それから統一見解を期待しているのですが、やはり両者の見解の違いを認識するだけ のような会議になることもあり得るということがわかりました。結果的に、見解を統一 することが難しいということは、すなわち両者の違った意見を一つの治験の中に組み入 れることは難しいということがやはり残るんだなということを学んだというところでご ざいます。  次のページでは、それを日本で今後どのように動かしていくか、すなわち3極になっ たらどうなるかというのを考えてみたのですが、現在、日本でも国際共同治験で治験相 談をさせていただいておりますので、並行しての相談は動いております。やはり二つが 三つになるということで煩雑さは増すというのは、これは致し方ないということだと思 っております。これを先ほどのFDAとEMEAでやっているような形で合同での意見 調整の場をもっていただけるような形に仮に動いた場合に、2極のFDAとEMEA間 でも難しいのに、それが3極なら解決するのか、あるいはここには別の難しい問題があ るのかなというふうにも感じております。  ただ、そうは言いましても、やはり一つの国際共同治験を回すためには、ある程度調 和のとれた形での御意見なり、助言がいただけるとありがたいと思いますので、今後企 業及び規制当局が一緒になって多くの経験を積むことが必要と思っております。  これは会社の中で私どもが議論していることなのですが、海外では先行して国際共同 治験というものが動いており、これの実質の意味合いは国をまたがって治験施設を使っ て治験をするという概念で、実際に動かしながら考えているというのですが、日本は先 ほど機構の方から出ていましたように、新しいガイドラインを出して、地域間の違いを 国際共同治験の中で考察していくことを最初から考えていくことを述べています。これ はとても良いことで、会社の中では多分日本側の発信しているメッセージが正しいだろ うという意見もありますので、今後の経験の中ではこのようなことがどんどん定着する のかなと思っております。  それから最後にもう一つ、実際の規制そのものがやはり異なっている中で、それを前 段階の治験の時は合同でと言っても、承認可否の判断をする要件とどうしても切り離す ことができないでしょうから、なかなか治験相談で単一の意見になるのは難しいだろう という考えをもっています。  最後のページですが、幾多の困難があったとしても、一応私が企業側としてちょっと 述べさせていただきますと、やはり一つの治験をやる上での科学的な意見については、 3極から同時の御意見がいただけるのが一番良いと思っております。それで得られた結 果に基づき各地域ごとに承認申請をし、各地域ではその薬のリスクベネフィットが評価 されて、独自の承認の可否の判断が行われる時代が来るのではないかなという期待も持 っております。以上です。ありがとうございました。  ○ 高久座長  どうもありがとうございました。今、4人の方から説明をいただきましたが、どなた にでも結構ですから御質問、御意見はおありでしょうか。私から中島さんに教えていた だきたいのですが、この適合性調査というのはどういうことなのでしょうか。  ○ 中島参考人  これは御承知のGCP、あれに適合しているかどうかということでございます。 ○ 高久座長  わかりました。どなたか御質問あるいは御意見をお願いします。国際共同は重要なテ ーマだと思いますが、いかがでしょうか。 ○ 森田構成員  今、国際共同治験であまりデメリットがないという認識を私は話として受けとめたの ですが、一方では東アジアというキーワードがあって、その中で韓国や台湾がすごい数 をやっておられる。別に質の悪いものをやっているわけではなく、きっちりしたところ をやっておられる。そういうところで進んでいるということは、我々は後追いになって おり、彼らに追いついていかなくてはなりません。よい医療に早くアクセスするために は、彼らを超えなければいけないでしょう。  また、一方、若干産業的な局面でふっと思いますのは、家電とか造船などの分野がや はり日本は進んでいましたが、彼らが先を越していったのは、やはり相当努力して新し いものに挑戦したことで実現できたのであろうと思われます。そう考えると、我々は治 験の中から学びながら決めていくことと、ルール、制度、そして高い技術を全部確立し た上で進めることと一緒にするのではなしに、やはり仕分けして、できることから手を 入れていくということも重要ではないかと思っています。  本検討会は、迅速ということが一番のキーワードだと思いますので、そういう点で言 えば迅速化実現のためにどういうリスクをとるかということについても、真剣に学習し、 議論し、コンセンサスをとっていく必要があると思います。そのリスクは当然最小限に しなければなりません。今般、国民の要望に応える必要性が合意され240名増員の方 向が決まったわけですが、民間活用においても規定での担保に加えてチーム審査が行わ れているように、説明責任や透明性のいっそうの確保に向けた工夫、免責制のあり方な ど、挑戦のためのフィールド、インフラをどう整備していくのかについても、総合科学 技術会議での方向性なども踏まえ検討していく必要があるのではないでしょうか。  新聞情報によると、中国に丹羽先生が行かれた時には、がんの研究開発などについて 国家双方で取り組んでみたらどうかといった話もありましたが、このような大局的な動 きと同時に、東アジアの中で、もっとベーシックなところ、例えば人種差問題をクリア するようなことも含めて、やはり日本として挑戦していくということは非常に重要なこ とではないかと思います。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。資料の3に韓国のが出ていますが、もともと台湾や 韓国は外国で承認されている薬を自動的に入れていたわけですね。ですからレギュレー ションが日本ほどストリクトではなくて、共同研究の向うの方に合わせやすいからこう いうふうに急激に進んだとも思うのですが、その点はいかがなものなんでしょうか。 ○ 川原医薬品医療機器総合機構安全管理監  私どもの中に韓国に実際行った者からの話で、ちょっと伝聞になってしまうのですが、 実際にはやはりアメリカ等でトレーニングを受けたドクターが韓国のこういうユニバー シティホスピタルのようなところに戻ってきて、その人たちがアメリカ等々と統一プロ トコールでの治験をやっている、そういう数が非常に進んできているということでござ います。  それから韓国の病院自体が、何千床もあるような大きな病院、特にユニバーシティホ スピタルの場合はそういうものが増えてきていて、治験をやる環境的なところ、いわゆ るリソースの集約といいますか、そういったものをできているということで、ここ数年 その辺がこの国際共同治験のプロトコールが急速に伸びているのではないかというよう な話でございました。 ○ 高久座長  わかりました。どなたか御意見はおありでしょうか。 ○ 池田構成員  今川原先生が言われたとおりだと思うのですが、韓国は国をあげてというか、非常に 大きな病院が国を背負って、やはりその中核になる人がアメリカでトレーニングを受け てきた人たちが非常に積極的になってやっているというところがあると思います。国際 共同治験をとにかく推進するということであれば、やはりそういうことを担える基盤整 備というのは、どうしても必要かなというふうに思います。その意味で、例えば相談に 関しては、機構に相談するにあたっては、優先して相談に応じてもらえる、これは一つ スピードを早めることになると思います。それと同時にそれを引き受ける施設の方を整 備して、あるいは国際共同治験をやった時にインセンティブがあるような仕組みをつく るなど、国全体として方向性を決めていただけるというようなことになると、やはりそ ちらの方へ加速するのではないかなというふうに思っております。韓国はそういう面で は一つのいい例ではないかなというふうに思っております。  それからもう一つ、もちろん韓国、台湾、中国等で国際共同治験がとても進んでいる ので、その辺のデータも少し入れながら、東アジアのデータを利用できないかという話 がありますね。これはもう少し調べて、本当に東アジアは一括して同じ民族だというふ うに考えるのが妥当かどうかということは慎重に検討しなければいけないというふうに 私は思っています。  私は非常に限られた経験ですが、自分の専門としている領域でいくつかいわゆるレイ シャルディファレンスということを調べると、やはり中国ですら二つの遺伝集団がある ような感じがしますし、日本と中国、隣同士だからと言って、必ずしも民族的に同一で はないようなデータを、ある領域では持っていますので、それはやっぱりきちんと調べ ることが必要で、それは割に早い時期に調べられるのではないかなというふうに思って います。 ○ 高久座長  そうですね。今の御説明ですと、フェーズIIIが多いですね。日本でやっているフェー ズIIIが主ですね。ですからI、IIは日本でやって、IIIの段階で国際共同にもっていくの が多いのだと思ったのですが。他にどなたかこの問題について御質問はございませんか。 ○ 佐藤構成員  教えていただきたいのですが、ICHの中でこういうことに関する議論というのはな されているんでしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  私が承知している限りで申し上げますと、資料の5の5ページの一番上にございまし て、いわゆる民族差についての考え方、並びに資料の5の6ページの枠囲みになってお りますブリッジングスタディの考え方、これはICHの中で議論がされてガイドライン 化されたものでございます。   一方、国際共同治験というのは、先ほど川音さんがおっしゃったと思いますが、どう も自然発生的にヨーロッパならヨーロッパで考えてみると、ほとんど国境があるのかな いのかよくわかりませんが、とにかく第III相試験みたいな例数が必要となってくる場合 に、国境線を超えて依頼をするというのは、それほど意識をしないでやられてきた実績 があるんだろうと思います。またそれを国際共同治験と呼ぶのかどうかというのは議論 があるんだろうと思いますが、どうもそういった自然発生的に生まれてきたところがあ るんだろうと思っています。 ○ 高久座長  そうですね。EMEA、これにはEU全部が入っているのですか。 ○ 中垣審査管理課長  EMEAというのは、欧州医薬品庁と呼ばれておりますが、ヨーロッパでEUの中で 新薬を販売しようとする時に二つの方法がございます。一つはこのEMEAに申請をし て、そこの承認を得ることでございます。この場合には原則としてEU全域、どこの国 でも売れるという場合です。  もう一つは、例えばフランスならフランスに申請を入れることでございますが、この 場合にはフランスの中でしか売れない、ですから多くの場合新薬はEMEAに持ってい ってというのが実情ではないかと思っています。 ○ 大澤構成員  この治験に限らないことだと思いますが、ヨーロッパなどですと国を超えての共同研 究というのがごく当たり前に行われていて、普通の研究分野において著者の所属が他国 にわたっているというのが現状だと思うんですね。  そういう意味では日本はすごく孤立している部分もあるかと思うんですが、実際にこ の迅速に安全な薬剤を提供するという観点に立った時に、やはり今まで安全性というも のを非常に重視してきて、もちろんその安全性は今後も重視していく必要はあると思う んですが、遅れていることの要因に関しては、やや形式的なこだわりの部分というのも あったかなと思います。ですからそういう点ではこの国際共同治験に関しても、積極的 に取り入れるべきだと思いますし、先ほどのノバルティスの方のお話によりますと、や や企業単位で参加していく時に難しい部分もありそうですから、国レベルでバックアッ プを強力にして国際的に行えるような体制づくりというのも必要なのではないかと思い ます。それが一点です。   それからもう一つですが、実際に海外で承認された薬剤を日本で使えるかどうかとい うことを確認する時にはいつも問題になるのが、用量設定の問題、副作用の問題、薬物 動態の問題ですが、その点に関しましても、この国際共同治験を行うことによって、リ アルタイムで他の人種の方々との違いというのがある程度確認できるかもしれないとい うところが一つ可能性があるのではないかということと、それからもう一方では、分子 遺伝学の方から、いろいろな代謝酵素などに関するいろいろな分析的なものもあると思 いますので、そのあたりのデータを人類遺伝学会などの研究者の方たちにある程度宿題 的にお願いして、薬物動態に関して最も人種差が少ないグループを設定するのには、ど うしたら良いのかということの専門家の意見を問うというのも一つの方法ではないでし ょうか。 ○ 高久座長  そうですね。どうもありがとうございました。現在優先審査だけで、まだ国際共同治 験を積極的にプロモートしてないようですが、もう少し積極的に取り組む事が必要だと 思いますので、ここの検討会でもそのことは提案する必要があると思います。  それから、先ほども例がありましたが、イリノテカンなどはたしか特定の酵素のジェ ネティックのタイプによって副作用が出たり出なかったりする。FDAではガイダンス を出していますから、そういうのを参考にして日本人で調べれば、副作用の程度などが わかってくるのではないかという感じが思います。他にどなたかございませんか。 ○ 松本(恒)構成員  ちょっと教えていただきたいのですが、一つは欧州ですが、先ほどのお話だとEME Aで承認を受ければ欧州全域で売れる、その場合に今EUが27カ国からなっていて、全 体として見れば多民族国家ですよね。そうするとそういう各民族単位ごとに治験をやっ て、満遍なくやらないとEMEAの認可は下りないという話なのかというのが一つ。  もう一つは、じゃあアメリカはどうなのか、アメリカもすごい多民族国家で、アジア 系、アフリカ系いっぱいいますよね。そのアメリカの場合に、各民族単位ごとにサンプ ルを得てやっているのかどうか、もしそうであればその中のアジア系、特に東アジア系 のデータというのは使えるのではないかという気もするんですが、その辺はいかがなん でしょうか。 ○ 中垣審査管理課長  参考資料の4ですが、実は今回医薬品機構において国際共同治験に関する基本的考え 方の案のもとをつくっていただきました。この参考資料の4をつくる際に、その民族差 についてどう考えているのか、FDA、EMEAに照会をしたところでございます。彼 らはまた公的なガイドラインがあるのかということも照会しましたが、公的なガイドラ インというのはもっていないということが判明したところでございます。  それは審査に当たって、それでは無視できるというふうに考えているのかということ を質問しますと、ケースバイケースだ。彼らのレポートを読みますと、ある循環器の薬 では黒人と白人で薬物の血中濃度の推移が全く異なる、倍ぐらい異なるというようなこ とも言っておるわけでございますし、最近コストの面もあって、一部のアジアの国々と か、あるいは東ヨーロッパの国々でたくさん治験、特に第III相の治験が行われるように なってまいりまして、これについて本当に評価できるのかというような議論が内々交わ されておるというようなことは聞くわけでございます。  おそらくこれは個人的な推測なので、こんな場で言う問題ではないのかもしれません が、人種問題という非常に社会の難しい点にタッチすることもあるのかもしれませんが、 いずれにしてもはっきり申し上げるのは、公的なガイドラインはできていなという状況 でございます。 ○ 高久座長  今おっしゃったとおり一つだけなのですね。黒人と白人とで投与量を変えて認可をし たのは。心臓の薬だったか、血圧の薬だったかよく覚えてないのですが。あとは子供の 投与量の問題があります。アメリカは多民族でありながら、民族間差はほとんど無視し ている。一般的に黒人の治験への参加が少ない様ですね。白人がドミナントです。白人 と黒人の差の方が東アジアの人と日本人との差よりははるかに大きいと思いますし、ヨ ーロッパでもイタリアとスウェーデンだと随分違うのではないかなと思います。他にど なたか御質問はございませんか。 ○ 南構成員  先ほどの御説明の日本製薬工業協会の中島さんのお話の中にあった、アンケートの調 査のことで少し質問をさせていただきたいのですが、4ページの国際共同治験が実施で きない理由として、アジア地域でのデータ採用基準が不明確であるというのがあるんで すが、これはどういうことか説明していただけますか。 ○ 中島参考人  これは申請データとして取り扱うことができるかどうか、そういう基準が不明確とい うことでございます。 ○ 南構成員  信頼性があるかどうかということですか。 ○ 中島参考人  信頼性を含めまして、それからレイシャルなこともございましょうし、いろいろな意 味でそういうものを申請データとして評価対象とすることができるかどうかということ でございますが、韓国、台湾等でしっかりした施設でやられたデータというのが、信頼 性という意味ですが、FDAの査察にも耐えられるということでございますので、そう いった問題は多分ないんだろう。すべてではないにしましても、優良な施設で行われた ものは品質という観点での信頼性は大丈夫だろうというふうに思っております。 ○ 南構成員  そうしますと民族差ということが先ほど来問題になっておりますが、そこのところの 問題もクリアできてないというのも、やはり進まない課題の一つであるということです か。 ○ 中島参考人  であろうと思います。そういったところはやはり今後の検討課題だと思います。 ○ 高久座長  私が聞いた範囲では、香港や韓国で、治験を中心にしている施設は、FDAの査察を 受けている様ですね。そこで治験をやるとFDAを通りやすい。日本はそういう施設は ないのではないかと思います。 ○ 中垣審査管理課長  申しわけありません。今南委員に御指摘いただいたアジア地域でのデータ採用基準が 不明確というのが、今製薬協の中島さんがおっしゃるような、それを審査当局が受け入 れないという意味であれば、基本的にICH、GCPに則って試験が行われ、査察して 問題なければ、世界中どこの国でも受け入れるというのを表明しておるわけでございま すから、それは誤解がないように申し上げたいと思います。   一方、先ほど来東アジアのデータを日本と同じというふうに考えられるかについては、 森田委員からも池田委員からも御意見がございましたように、これは少し調べてみなき ゃあいかんというふうに考えておりまして、今の意見も参考にさせていただきながら、 同じと使えるのか、あるいは使えないのか、使えるとしたらどの程度使えるのかという 点について宿題をもらったかなというふうに考えておる次第でございます。 ○ 松本(恒)構成員  今お話を聞いておりますと、ヨーロッパでもアメリカでも人種差とか民族差は余り気 にしないで、どうも一定の基準を満たしていればいいんだというような審査が行われて いるかのような印象を受けるわけですが、それに対する批判は欧米ではないんでしょう か。もしないんだとすると、日本がなぜそうこだわるのかという、そのあたり、どうし てそんな差があるのか。 ○ 中垣審査管理課長  松本委員の批判があるかないかについて、直接答える、例えばマスコミの動向、国会 の動向等、データを持っているわけではございません。ただ、FDAの担当と話してい ると、先ほどの繰り返しになりますが、アジアの一部で行われたデータしか提出されな かった場合に、本当にこれを認めるのか、東アジアのデータだけ出てきた時に、本当に 認めるのかというのは議論になっている、内部では議論になっているということでござ いますから、そういう問題意識というのはやっぱり彼らも持っているんだろうとは推測 しております。  一方、日本でございますが、慎重になり過ぎと言えば慎重になり過ぎなのかもしれま せんが、資料5の5ページの丸の二番目と三番目でございまして、そういう意味で申し 上げますと、松本委員の御指摘のとおり、日本は詳細に調べすぎた結果わかってきたの か、あるいは当然のことながら、同じ民族の中でもかなり大きな個人差があるというの もまた事実でございますので、その個人差と民族差の関係は、おそらくはこんな感じに なっているのではないかと、こう思うわけでございますが、現実問題として気を配る必 要がある部分というのが、まだまだあるのかなと考えているところでございます。  もちろん大澤委員から御指摘のあったとおり、ゲノムはみんなわかったわけでござい ますし、ゲノムのハプロタイプを分析してみると、日本人と中国人ではほとんど同じと いうようなデータも出ておるわけでございます。一方におきましては、池田委員から御 発言のございましたとおり、日本と中国でかなり異なるというデータもあるわけでござ いまして、実際上の臨床試験のデータ、特に薬物動態のデータ等を専門家の方々に分析 してもらう、企業の御協力を得ながら専門家の方々に調査してもらうというようなこと が今日の宿題として承ったのかなというふうに考えている次第でございます。 ○ 高久座長  どうもありがとうございました。そろそろ終了の時間が来ましたので、これで終わら せていただきたいと思います。連絡事項を事務局の方からよろしくお願いします。 ○ 中垣審査管理課長  次回の会合についてでございます。次回の日程は4月19日(木)の午後2時からとい うことで御連絡を差し上げておりますが、場所は未定でございます。追って御連絡をい たします。   ○ 高久座長  今日はいろいろな御意見をいただきまして、ありがとうございました。特に参考人の お二人の方どうもありがとうございました。 (了)                           照会先     医薬食品局承認審査等推進室     03−5253−1111