07/03/28 第10回「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」議事録について 第10回 医療用医薬品の流通改善に関する懇談会           開催日:平成19年3月28日(水)           場 所:東京會館霞ヶ関ビル35階シルバースタールーム                          (照会先)医政局経済課 担当・内線 笹子(2524)   代表 5253−1111 直通 3595−2421  〇笹子経済課長補佐  定刻となりましたので、ただいまから「第10回医療用医薬品の流通改善に関する懇談 会」を開催いたします。  本日の委員の出欠について事務局から報告させていただきます。本日は、日本医師会 の飯沼様、明治大学大学院の上原様、日本私立医科大学協会の柿田様、日本病院薬剤師 会の門林様、日本精神科病院協会の長瀬様から御欠席の連絡をいただいております。  また、日本歯科医師会の稲垣委員におかれましては5分ほど、日本製薬工業協会の目 黒委員におかれては10分ほど遅れるとの御連絡を受けております。また、まことに恐縮 ではございますが、局長の松谷も国会業務の関係で少々遅れるとのことでございます。 お詫び申し上げます。  以下の議事進行につきましては、嶋口座長にお願いしたいと思います。よろしくお願 いいたします。 〇嶋口座長  お忙しいところ今日はありがとうございました。今回は新しい事務局体制後、第3回 目になります。第1回目は、公正取引委員会から出した調査結果についての一般のお話 をいただきました。第2回目は前回でございますが、他の業界の流通の取引慣行を少し 見てみようということで概括的な話を伺ったわけでございます。  今日からいよいよ、医療用医薬品の流通改善に関する具体的な問題に入っていくとい う順序になっております。  早速、本日の議題に入ります。3つあります。1つは既に御案内させていただいてお りますように、「未妥結・仮納入の現状について」です。もうひとつは「医薬品卸業の 経営の概況について」、ということです。この2つが中心テーマ、それに少し関連的な お話ということで、医薬品流通に関わる行政の動きの説明を含め、3つのテーマでこれ から進めていきたいと思います。早速でございますが本日の議題の1です。  「1.未妥結・仮納入の現状について」。この問題については、この懇談会の中でも どうも薬価調査により把握されていない取引として、個々の契約当事者間の交渉による 是正を要望してきた経緯があり、その後は、平成17年12月に中医協からも同様の趣旨か ら改善を求められているわけでございます。厚生労働省が取引当事者双方の指導を行っ てきたが、もう一歩、そのあたりが是正されているかどうか、改善されているかどうか に問題がありそうです。  そこで早速この問題について、本日は、その指導結果を踏まえて、今後古くからの商 習慣である未妥結・仮納入問題を解決するためには一体どうすればいいのか。これを事 務局サイドから御説明いただき、各委員の方々から御意見をいただくということにした いと思います。早速でございますが事務局から御説明をよろしくお願いいたします。 〇千葉首席流通指導官  経済課の首席流通指導官の千葉でございます。私から資料説明をさせていただきます。  資料1「未妥結・仮納入の改善に向けた取組とその後の状況」について御説明申し上 げます。まず、これまでの取り組みについてです。ただいま座長から御紹介がありまし たように、17年12月に中医協においても長期にわたる取引価格の未妥結・仮納入の是 正を求められたところでございます。  これを受けまして、平成18年3月27日付で医政局経済課長、保険局医療課長、両課 長名による「医薬品に係る取引価格の未妥結及び仮納入の是正について」という指導通 知を関係団体の長宛に出させていただいたところでございます。その資料は4ページに 参考で添付してございます。ごらんいただきたいと思います。また、この通知の中で経 済課においては、薬価調査の一環として価格妥結状況の調査を定期的に行い、医薬品に 係る取引価格の未妥結及び仮納入の状況を把握することとします、ということも申し添 えているところでございます。  この通知の趣旨を踏まえまして、昨年7月に第1回の価格妥結状況調査を販売サイド を対象に実施してまいりました。また8月には、この価格妥結状況調査において卸の方 々から未妥結先であると報告のあった国公立病院、あるいは病院の本部約100か所を対 象にした医療機関側の実情把握調査を実施してまいりました。  また9月には、医療機関側の実情把握調査を踏まえまして、卸本社24社を対象にしま した早期妥結に向けた取り組みのヒアリングを実施してまいりました。またこの時期に、 卸連側においても公立病院等と本部との話し合いも実施しているところでございます。  また10月には、第2回の価格妥結状況調査を実施しました。  さらに12月には、日本保険薬局協会と私どもとのヒアリングを行うとともに、ヒアリ ングに出席しましたチェーン薬局10社を対象にしてアンケート調査を実施したほか、大 手9社のチェーン薬局を対象にした実情把握調査を実施しております。  また今年の1月には、第3回となる価格妥結状況調査を実施しております。  さらに2月には、他計調査の一環で卸の営業所を訪問した際に、営業所単位での未妥 結問題への取り組みについて実情を聴取してまいりました。このような約1年をかけた 行政側の取り組みで得られました取引当事者の未妥結になっている主な理由を次のとこ ろで示させていただいております。  卸側の未妥結の主な理由としましては、ユーザーとの購入価格とに乖離があるためと か、ユーザーは他のユーザーの妥結情報を見てから交渉を開始するため、というような 御意見が多くございました。  医療機関側の理由としましては、卸の提示価格が年度末に近づくほど安くなるため、 早期妥結というのはなかなかできません。また卸の提示価が信頼できないため、系列病 院の妥結価格情報を参考にする必要がある。こういう理由が多くございました。中には 契約後の内容変更に対する医療機関と卸の見解に相違がある、ということもわかりまし た。  これはどういうことかと申しますと、例えば、年度当初に入札等を行いまして契約を するわけでございますが、そういう意味で医療機関側は既に妥結をしているという整理 をしておりますが、卸さんの側から見れば、過去の経験から年度末になって他の医療機 関の納入価格情報等をもとに再度価格交渉をするような事例については、この妥結状況 調査においては未妥結先というような取り扱いをして報告をしている、ということで医 療機関側あるいは卸側の意見の相違があったということでございます。  次にチェーン薬局側の理由でございます。卸の提示価格に経済合理性が見いだせない ため。あるいは大手チェーン薬局との価格交渉が決まらないと交渉にいきません。これ は卸は他の薬局等への影響を懸念して、大手チェーン薬局との早期交渉を避けているの で、その他の薬局がさらに遅くなるという趣旨と受けとめております。  こういう取り組み、あるいはこういう未妥結の要因となっている状況の中で、この1 年間の改善状況について次のところで示してございます。  私どもの行政通知の趣旨を踏まえた取引当事者間双方の取り組みが行われてきたとこ の調査の中で実感しております。その意味で早期妥結に結びついたという報告もいただ いておりますが、全体としては、残念ながら大きな改善が見られる状況には至っていな いというふうに受けとめております。  一つ飛びます。今後の取組方針を先に御説明させていただきます。  今年の取り組みを踏まえまして、さらに19年度の価格交渉に当たりまして、継続した 改善要請の必要性の観点から、改めて長期にわたる未妥結・仮納入の改善を図るため、 昨年と同様の指導通知を年度内に発出したいと考えております。  また、価格妥結状況調査を定期的に行いまして、その結果については、公表していき たいと考えております。  では、価格妥結状況調査結果について資料に基づいて御説明させていただきます。次 のページをお開きください。別添資料1でございます。  平成18年度価格妥結状況調査結果概要でございます。調査客体及び回収状況につきま しては、7月につきましては医療用医薬品の販売実績のある卸さんすべてを対象客体と して実施したところでございます。165社、回収率は82.4%となっております。  18年10月、19年1月につきましては、7月の調査の結果、ジェネリック販社協会加 盟会社におかれましては、ほとんど未妥結・仮納入の実体はないということがわかりま したので、ジェネリック販社協加盟会社等を除いた広域卸63社さんを対象に調査をした ところでございます。回答数は62社、回収率は98.4%という10月と1月の状況になっ ております。  次に調査概要でございます。調査内容としましては、すべての医療機関、薬局との取 引を対象としました。7月、10月、1月の1カ月間の取引高における妥結状況を薬価ベ ースで調査しました。妥結率はここに示しておりますように、既に価格が妥結したもの の販売額を未妥結分を含めた販売総額で割って算出してございます。  また、10月調査より、病院区分を「200床以上」と「その他」に分けて調査を行って おります。  調査結果でございます。まず、医療機関でございます。医療機関につきましては合計 では7月段階で46.8%から1月には61.4%というように伸びております。これを病院と 診療所で分けてみますと、病院につきましては7月段階の30.7%が1月では43.6%とそ れほど改善している状況ではないと思っております。これを200床以上とその他に分け てみますと、200床以上では、10月取引分と1月取引分ではそれほど大きな改善は見 られていない。その他の200床以下の病院につきましては、10月取引分・1月取引分で 60%の大台になっております。  また診療所は7月段階で73.9%という状況にありましたが、1月段階でも90%近く妥 結しているということがここで御理解いただけるかなと思います。  次に薬局でございます。薬局につきましては、チェーン薬局とその他の薬局というよ うに分類しております。チェーン薬局の方は20店舗以上を保有しているチェーン薬局を 対象にしております。したがいまして、その他の薬局には20店舗以下の店舗を有してい るチェーン薬局も含まれるということでございます。そういう分類でございます。  その意味で、チェーン薬局につきましては、7月段階では一けたの妥結率です。1月 段階でもまだ19%という状況になってございます。その他の薬局については7月段階で 47.4%、1月段階では70.4%です。合計で7月段階の39.3%が1月段階で60.8%とい うように改善しているところでございます。  次に、医療機関設置主体別/取引卸別価格妥結状況調査についての結果を御説明いた します。次のページをごらんください。  この資料は、医療機関設置者別の妥結率を示すとともに、主要卸4社さんとの妥結状 況も示したものとなっております。なお、この資料につきましては、あくまで卸からの 報告に基づいて作成したものでございます。また先ほども御説明しましたように、中に は医療機関側では妥結済と整理しているケースでも、卸さんの方では未妥結というふう に報告しているものも含まれているということを御理解いただきたいと思います。その 旨を表の下の※の最初のところで表示させていただいているところでございます。  細かい御説明は省略させていただきますが、本年1月段階における取引金額ベースで の妥結率を設置主体別あるいは卸別に妥結率を表示してございます。特に4番目の国( 独法・労働者健康福祉機構、労災病院をもっているところでございます)こちらの妥結 率は非常に低い状況になっております。また、8番目以降の公的病院といわれている病 院につきましても、一けた台の妥結率という状況になっております。また20番目の学校 法人においても一けた台と、このような状況になっているということが調査結果で出て いるところでございます。  以上で私からの資料の説明を終えさせていただきます。 〇嶋口座長  ありがとうございました。かなり厳しいというか、改善という意味では厳しい数字を お示しいただいたわけでございます。御意見といまのこの資料そのものについての質問 を分けて議論を進めたいと思います。まず資料そのものについて、ここはちょっと疑義 があるとか、ここをもう少し詳しくということで質問がございましたら、出していただ きたいと思います。  一つだけ確認したい点ですが、2ページの調査結果、別添資料1の(2)のところです。 7月と10月と1月で、ある意味では少し数字が上がっていますが、これは改善されてい るという意味ではなく、時期的にこの時期がよくなっていくというような商慣習的な意 味があるのでしょうか。それとも幾らかこの3つの月で改善されているということでし ょうか。 〇千葉首席流通指導官  私どもとしましては、それぞれの取引当事者間でこの未妥結対策に取り組んできた結 果、月がたつごとに改善の傾向が出てきたのであろう。また一方で、例年、年末に妥結 するところもあるというように聞いておりますので、その意味では過去の傾向もこのよ うな形で出ているかなと思っております。 〇嶋口座長  わかりました。ありがとうございました。 〇禰宜委員   製薬協の禰宜でございます。経営主体別の妥結状況で同じ経営主体が国でも4番目の 労災の妥結率が非常に低い、これには何か原因があるのでしょうか。 〇千葉首席流通指導官  私どもが直接本部に伺った際には、今年度共同入札を行いたいということで、その試 みをしたということでございます。結果が不落という形になって、例年のとおりに各医 療機関ごとの交渉にまた戻したということでございます。その意味で、今年は改善され ていない。過去も年度末までもつれ込んでいるというように聞いております。結果とし ては、例年どおりになっているのかなと思っております。 〇嶋口座長  ありがとうございました。今の御質問にちょっと関連します。卸連の方の御意見もい ただければありがたいと思います。この傾向というのは、この調査のとき、たまたまこ こでは調査の時点での数字が出ておりますが、この数年間も同じような状況になってい るのかどうか。この年が特異な事情によって高く出たり低く出ているのか、それともこ れがこの数年間の一般的な傾向を反映しているのか、そこだけ確認を願いたいと思いま す。 〇松谷委員  傾向としては毎年こういう傾向です。今回は例年よりも妥結率が非常に悪いというの が現実でございます。理由は後ほど申し上げます。 〇嶋口座長  ありがとうございました。では、早速この現状に対しての御意見をいただきたいと思 います。この懇談会は、いろいろな御立場を代表してくださっている方々が委員をされ ておりますので、何人かの方々に御意見をいただきたいと思います。まずこちらから勝 手でございますが指名をさせていただき、あとはまた自由にその他の方々も意見を出し ていただきたいと思います。  まず、医療法人協会を代表する大塚様から御意見をいただければありがたいと思いま す。 〇大塚委員  私は別添資料2を見まして、医療機関の設置主体別の病院が23ございます。同一の開 設主体の系列病院での妥結価格が、病院間で公開されているようです。その結果を評価 されるのを嫌ってぎりぎりまで妥結を延ばしている、というのが大きな原因ではないか と思っております。それとチェーン薬局は早期妥結するとほかの薬局への影響が大きい ので、3月のぎりぎりまで延ばしているという傾向があります。まず、一医療機関が価 格妥結したことをディスクローズするのをやめれば、かなり早期妥結が抑制されるので はないでしょうか。 〇嶋口座長  ありがとうございました。ということはディスクローズがない場合には、この数字は 続くのではないかというふうに御指摘なさったとみてよいのでしょうか。なるほど、な かなか厳しいですね。それはまた少しあとでディスカッションするとします。ありがと うございました。では柏木委員から、日本保険薬局協会の御立場でお願いします。 〇柏木委員   保険薬局協会の柏木でございます。私どもにも御案内のとおりに長期にわたる未妥 結・仮納入の是正についての御指導通知を昨年3月にいただきましてから、その改善に 鋭意努めてまいりました。もとより民と民の問題でございますので、業界団体内での指 導にはいささかの限界がありますが、今現在では一部を除いて年度内に決着というか、 落ち着きますという報告を受けております。この1月からの数字からこの3月までには、 かなり妥結率は向上するのではないかと思っております。  しかし、このことは日ごろから私どもが主張している正しい価格がどこにあるのか、 ということを見いだした上での決着ではありません。未妥結・仮納入という行為が公的 保険制度の下では不適切であるという観点から、早く決めないといけないという空気が この業界の中でもそういう空気が出てきた上での決着でございます。  したがいまして、小異を捨てて大同についたという受けとめ方をしていただければと 思っております。未解決の問題を残したままということにはかわりございません。ちな みに私自身も、20店舗以上のチェーンをやっている会社を営んでおります。私どもは11 月の末に決着をいたしております。これは卸さんのいわれる経済性・合理性に基づいた 価格提示には、ある程度の理解できるものがないわけではありませんでしたが、決して、 納得できるものではありませんでしたが、そういう見地から決めたという苦渋の選択で あって、表現を借りれば妥結ということよりも妥協という感じの方が強いのではないか と思っております。  こういう形で年度をまたいでも、残された問題について、私どもは卸さんの原価がど こにあるのか、原価を幾らと示せということではなく、原価がこちらには見えてこない ということで、メーカーと卸さんの価格体系とか価格形成について、非常に不透明さを 抱いているのは現実でございます。  この辺のところがきちんと整理されないと、こういう問題はこれからも続くのではな いか。駆け込みで妥結という形をとりましたが、年度をまたいだら、そういう問題をも う一度白日の下にさらして、御議論をしていただく時間をぜひつくっていただきたいと 思います。以上でございます。 〇嶋口座長  ありがとうございました。妥結よりも妥協に近いところで今回はいたしかたなく、と いうところがあったようですね。経済合理性というのはなかなか言葉としては非常にエ レガントですが、難しいのです。例えば柏木委員の御立場からいうと、出していただき たい経済合理性というのは、どういう中身になるのでしょう。 〇柏木委員  卸さん側は、流通コストとか、支払いサイトとか、訪問頻度とか、納入額が経済合理 性の骨子だと思いますが、有体に申しますと、私どもは必要な商品を必要なときに必要 な数だけ納めていただくためにどれだけのコストがかかるか、ということを明確にして いただければ、おのずと答えは出てくると思います。その辺にちょっとギャップといい ますか温度差がある感じがいたします。 〇嶋口座長  ありがとうございました。これもなかなか難しい問題でしょうが、あとでまたディス カッションがあればお受けしたいと思います。今までのお二人は受け手側の方でござい ます。今度は出し手のサイドの日本医薬品卸業連合会の松谷会長からお願いします。 〇松谷委員   未妥結問題というのは、私どもの積年の課題であったわけです。一昨年、中医協の是 正提言等があって、今年は一生懸命それに取り組んだということであります。  また同時に、行政もそのことについて応援をしていただいたということについては、 深く感謝申し上げます。  昨年の4月に薬価改定がありましたときには、例年に比べますと、早く交渉の席に着 いていただいたという意味で、当初は従来よりも早く決まるところが出てきたという傾 向がありました。しかしながら大病院さん、またチェーン調剤薬局さん等が過去最大の 診療報酬の引き下げという事態の中で、その改正分をカバーするためにはどうしても薬 の価格について、従来以上に強い交渉態度に出てこられたのは事実でございます。同時 にメーカーさんは度重なる薬価引き下げによって、実質的な仕切価水準を警戒感を持っ て上げてこられた、ということも事実でございます。  その狭間で私どもは、経営努力を行い、平成3年には11.2%の販売経費を使っていた わけですが、昨年度は7.1%まで引き下げるという経営努力をしながら医療機関さんや 調剤薬局さんとの価格交渉に対応してきたわけです。  同時に今申し上げたような状況の中でいうと、これ以上、医療機関さんの要望をその まま受け入れるということはできない環境になって、デッドロックに乗り上げてしまっ たというのが現在の状況でございます。  したがって、従来の妥結率よりも今回の方がかえって悪くなったというのが正直なと ころでございます。  その中で未妥結問題の解決ということについて、どうしたらいいのかというと、我々 も努力をしますが、ぜひこの場所で製・販・需、すべての方がいらっしゃる中で、どう いう価格形成をしていくのかということを十分に議論していただいたらありがたいと思 っております。  端的に今の未妥結先というのは、どういうところに多いのかを申し上げますと、単品 価格交渉をしている先については、その医薬品の価値と価格というものがお互いの交渉 の中でわかりますので、そういうところは非常に早く価格が妥結している。未妥結先と いうのはほとんどが総価契約先で、すべての商品か一つ一つの商品の価値に見合う価格 交渉が行われているのではなく、すべての商品の一律値引き率のようなもので価格交渉 をされているということになると、なかなかお互いに納得できるような数字が出し合え ないという意味で、私は未妥結問題の中には総価取引というのがすごく大きな要素を持 っているのではないかと思っています。  同時に総価取引というのはどういう影響があるのかというと、それぞれの医療機関さ ん、また調剤薬局さんでも使っていらっしゃる商品は、すべて違う商品で違う量を使っ ていらっしゃるわけです。その中で総価率の率だけが一人歩きするという自体、また総 価の中でも一部除外品目を含んだ総価があったり、いろいろな総価があるわけですが、 数字が一人歩きするこの問題は非常に大きいと思っております。  端的に申しますと、今日、業界紙に総価率が載っておりました。するとその総価率は 何をもって総価率にしているのかまったくわからない。どこの医療機関でどういうもの を使っていらっしゃるところ、どういう支払い条件のところ、どのくらいのジェネリッ クがその中に含まれているのか。そういうものをすべて含めないと総価率というのはわ からないはずですが、それがあたかも平均的な価格として総価率のような形で業界紙に 出るということは、私は業界紙の方にも謹んでいただきたい。本当の中身を承知した上 の報道であればいいが、そうではなく、一つの数字があって、業界全体、医療機関、調 剤薬局さんには皆さん数字だけわかっている。それがどういう形でその数字になったの かという根拠は全然出てない。  私どもがいつも総価についていろいろと申し上げておりますのは、数字が一人歩きし て、一つ一つの薬の価値に見合った価格ということになってないということ、これが一 番大きな問題だし、またメーカーさんも薬価というのは商品の価値に見合った薬価とお っしゃっているわけで、それは私どもも大賛成ですが、今のような総価取引が非常に多 かったら価値に見合う価格付けはできないのではないかということで、私どもは長年の こういう問題の中でいうと、未妥結・仮納入問題と総価取引というのは、非常に大きな 関連性があると、今回の交渉を通じながら、また過去からのことを見て強く感じている ということを申し上げます。 〇嶋口座長  ありがとうございました。松谷委員の御指摘は、総価買いというのは一つの大きな原 因ではないかということです。この数字で別添資料2に出てくる低いところというのは、 おおむね総価でしょうか。  最近、未妥結・仮納入がふえたというのは、総価の比率が高まったという指摘にも通 じるわけでしょうか。 〇松谷委員  時間を追ってですが、新しい薬価算定方式になって仕切価制度に変わり、メーカーさ んの価格関与が非常に少なくなったというか、そういうものがなくなってきた中でいう と、医療機関さんは個々にメーカーさんと価格交渉ができなくなり、卸との交渉になっ た。そうなると、一番簡単でシビアな価格交渉というのが総価の価格交渉で、それに応 じられない卸は取引しないよ、という非常に大きなプレッシャーがあります。そのもと で卸の再編というのは、それが非常に大きな要因になっており、これだけ卸の数が減っ てきたということも、総価取引の大きな影響があるように私は経験上思っております。 〇嶋口座長  総価問題は、もう一度この懇談会の中で議論をしないといけない問題だと思います。 もう一つの今の御発言の中で、一部のマスコミ報道で必ずしも正確でない報道が出てし まい、それが皆の共通の認識や知識として出てしまうのではないか、という御指摘があ りました。これはいろいろな風評がどうしても出るし、マスコミも正確に出すのに時間 に追われることでしょうが、これの対策としてクレームというのは出したりすることは あるのでしょうか。 〇松谷委員  もちろん、クレームをつけることはあります。マスコミは非常に上手な書き方をされ ております。仮にとか、いろいろな言葉が間に入っております。でも、それは影響とし ては非常に強いということを、自分たちがお得意様と会っているときの感じとしては、 思っております。 〇嶋口座長  以前にもジェネリックの方でそういう御指摘がありました。これはまたあとでそのあ たりを触れたいと思います。いずれにしても、世の中に出てしまう一般の情報というの が、必ずしも実情を反映しないということはあり得るのでしょうが、これをどう防ぐの かというのはなかなか難しい問題ではあると思います。そういう御指摘があったという ことは、貴重な御意見です。ありがとうございました。  引き続きまして宮川委員からお願いしたいと思います。宮川委員は全国自治体病院協 議会の御立場でございます。よろしくお願いします。 〇宮川委員   私は経済学者ではなく外科医なので、こういう難しいことはよくわからないのですが、 ただいま日本法人協会の大塚さん、また日本保険薬局の柏木さん、松谷さんがいわれた ことは全くそのとおりであろうと私は思っております。  ただ、自治体病院というのは、特に薬品の信頼性がその目的としてあげられておりま すが、地域住民に対して薬品購入をより安く買う責任を持っている。病院経営者として は、なかなか早期取り決めは難しいと思っております。  この勧告が出てから皆努力をしておりますが目立った効果がないというのは、現状に 近いと思います。3月のぎりぎりのところまで来ないとなかなか決めづらい、しかも他 の病院とか他のところがどういう状態であったのかという探りを入れながら最終的に決 断する、というのが現状に近いのではないかと思っております。  また、病院側が早期妥結を求める前に、形式的にも実質的にも公定価格しか存在しな いという状態が生まれない限りは、需要と供給の戦いというのは、まだまだ残っていく のではないかと思っております。  総価取引につきましては、総価取引に基づいて価格を交渉するように求めることがあ っても、これは医療経営上の発想として、当然、薬品ごとの合理的に定められた単位に 基づいて説明する責任を負うのは、むしろ業者側、卸問屋側だろうと思っております。  総価に合うように単価契約を改めて仕切り直しをすれば、それで問題は割合と早期に 解決するのではないかと思います。  公立として今までは国立病院とかあるいは国立大学とかありました。みな独立行政法 人化してしまいましたので、自治体病院そのものが公立的な形で一番的が絞られてしま っている。医薬品の購入にも戦略的な手法なしには価格の高どまりは下げられないので はないか、ということでなかなか早く仮納入ということを妥結するというのは、非常に 難しい問題が多々あるのではないかと思っております。  また、病院側として経済合理性を追求する責任がある以上、単に病床規模から生じる 購入量の多少によりまして価格の交渉が打ち切られるようなことがあってはならないこ とだと思っております。  今までのお3人の委員の他にこういうことを考えておりました。以上です。 〇嶋口座長  ありがとうございました。自治体病院という立場も一つの経営主体である以上は、経 済・経営努力が求められます。しかも昔は川上からずっと流れてきた価格への上乗せで 良かったが、最近は川下というか、患者さんの立場からの圧力がきますから、どうして もしわ寄せが病院側にも来る。すると卸側さんへの総価買いであるとか、あるいは未妥 結・仮納入も残念ながら出てしまう。そういう御発言とみていいわけでしょうか。この あたりはなかなか大変な問題でしょう。  しかし、そうはいっても宮川委員もいまのものがいいのだというわけではないという 御指摘をいただきました。その意味では、難しさということでの状況発言をいただいた ということだと思います。ありがとうございました。  宮内委員から御意見いただきたいと思います。宮内委員は日本歯科用品中心の連合会 代表でございます。歯科の方でも同じような形でしょうか。 〇宮内委員   歯科の方は仮納入・未妥結ということはほとんどございません。なぜかと申しますと、 先生方の開業形態が院長先生御自身ですべて購入決済等を図りますので、即断即決が多 いのが実態です。このテーマを事務局からいただいたときに、10年ほど前の流近協の資 料4〜5年分をひもといてみたのです。そのときの資料を今日お持ちしているのですが、 平成4年から8年の1月の妥結状況で一番悪い年が平成8年で82.1、良いときで93.8 という妥結の数字があがっていて、このときでもこの問題がテーマ、俎上にあがってい たわけです。このときは、薬価基準の改定があるときには妥結が非常に遅れる。1割く らい下がる原因はそこであるといわれていたのに、今回送られてきた資料を見たら、チ ェーン薬局の19%という問題がある。これを見て非常に驚きました。  流近協当時、医師会の先生方から指摘を受けた、医薬分業を図っても薬価基準という か差益が医療機関から薬局チェーンに移るだけではないかという御指摘を受けたのが、 そのことがまるで昨日のように思い起こされたわけです。一つ言いたいことは、薬局チ ェーンさんの中には、医療法人のような病院とは全然、経営形態の異なる一般企業的な 上場をした薬局チェーンも増えております。そういうことになると社会的責任も大きく なります。卸連の皆様方の多くは、上場していますので経営資料等は公表されています。 そうしましたら、薬局チェーンの皆さんもそういう資料を見られたら、先ほどいわれた ような卸の提示価格に経済的な合理性を見いだせないという問題は、卸の多くの会社が 上場している以上は中身は見える、公開されているということになると、余り泥仕合と いうか水掛け論をやっても同じことかなと感じております。  いずれにしても、来年度まで薬価改正はないわけですから、早めにこういう問題は解 決して、通常の企業であれば、価格を決めないで納めるというのは異常な状態であろう と感じております。まして反面、一番問題になっているのは、薬価基準といって国で制 定されたものは、レセプトという請求のもとに、一定の期間の何十日以内に国からきち んと払われているわけです。それが未妥結で遅れてくる、流近協のときも仮払いという 現状はあるといって卸連さんはその仮払いは幾らあるのかということは表に出さなかっ たわけですが、そういう仮払いがあるから良いというようなことがあってはいけないと いうように思います。  ですから、流近協当時、国は工事関係は40日以内、その他のものは30日以内に払い なさいという支払い遅延等防止の法律を楯にとって、卸連さんから要求が出た。そうし たら今回は国公立病院系はほとんど支払いがよくなっている。ところがそのしわ寄せが 当時医療機関から指摘されていた薬局チェーンに出てきている。同じ問題なんです。先 ほど柏木さんが言われたような、合理性が見いだせないということを十数年前に医療機 関の先生方から聞かされておりました。  そういうことで、同じことを歴史は繰り返すといいますが、同じことをいって、私か らいえば言葉は悪いけど、理不尽な要求をつけているのかなという感覚もいたします。 私ども歯科では、考えられないというように思っております。 〇嶋口座長  ありがとうございました。貴重な意見をいただきました。昔と違うのは、総価買いと いうのが結構出てきたということと、メーカーさんが価格決定権を結構持っていたが、 今は完全にそれができない。そういうあたりで事情がちょっと違ってきたかもしれませ ん。しかし、こういう数字については、それなりに遺憾であるという御意見であると承 りました。ありがとうございました。  では、森委員に御意見をいただければと思います。森委員は日本薬剤師会の御立場で ございます。よろしくお願いします。 〇森委員   日本薬剤師会の森でございます。私の方からは、別添資料の1の中の薬局の部分のそ の他の薬局に関して少しお話をさせていただきたいと思います。この中で1月、その他 の薬局の妥結率が70.4%ということになっております。現場としての感覚としては、も う少し妥結率は高いのかなというのが個人的な感想でございます。  ただ、事務局からの説明がありましたが、その他の薬局の中に20店舗以下が一くくり になっておりますので、そのなかで各々ばらつきもあって、この70.4%という数字の中 身に関しては、もう少し精査をする必要があると思います。  また、この70が高いか低いかは別にして、先ほど宮内委員がいわれたように、薬価改 定がある年は全面的に見直しをするということで多少妥結が遅くなるのはやむを得ない ことであると感じております。以上です。 〇嶋口座長  ありがとうございました。資料の70.4%が1月取引分の妥結率でございます。これは 先ほど千葉首席流通指導官からもお話がありましたように、あくまでも卸のサイドから 聞き取りをしたデータでございますので、今のような御意見、もう少し高いかなという 御意見はあってしかるべきだと思います。  いずれにしても、この状況をなんとかしないといけないという問題意識は同じだと思 います。ありがとうございました。  最後に、メーカーさんは、今回はちょっと傍観者の顔をしていらっしゃる感じもあり ますが、実は間接的、ときには直接的に関わりがあるかもしれません。禰宜委員から日 本製薬工業協会の御立場で御発言をいただきたいと思います。 〇禰宜委員   製薬協の流通適正化委員の禰宜でございます。柏木委員から、川上の卸とメーカーの 価格形成が不透明という発言がありました。平成4年であったと思いますが、流近協メ ッセージの中で仕切価格の設定、仕切価格を補てんするという意味での割戻し体系を事 前に明確に卸さんの方に提示をする、というようなメッセージを受けまして、長年にわ たりましてそれを改善してまいりまして、ある程度透明性が確保できたのではないか  ただ、一方で一部高額のアローアンスについては、それを割戻しの方に振り替えるこ とで透明性を担保するという努力をやっているわけでございます。  未妥結・仮納入という制度面で見れば、調整幅や薬価差がどこまで認められるか、今 後、中医協の場面かわかりませんが、議論をする必要があると思っております。  当局の立場からすれば、正しい取引実体が薬価に反映するべきであるという面からは、 未妥結・仮納入というものは改善の方向に向かう必要があるだろうし、我々が直接取引 をさせていただいている卸さんの経営という面からみても、この取引の慣行が卸さんの 体力を弱めたりするのは非常に困りますので、その辺からも改善が要求されるのではな いかと思っております。 〇嶋口座長  ありがとうございました。いろいろな御立場から失礼であったのですが、こちらから 少し指名させていただきまして御意見を伺ったわけでございます。今御指名させていた だいた委員以外の方で、この問題についてぜひ一言二言という委員がいらっしゃいまし たら御発言願いたいと思います。あるいは言い足りない、一通り終わったところで意見 があるという方お願いします。 〇大塚委員   補足いたします。改めて3ページの卸からの報告の資料2を見ていただきたいと思い ます。これを見ていただきますと、医療法人とか、個人病院、スケールメリットがない 単一の医療機関で価格妥結をしているというような医療機関は、長期にわたる未妥結・ 仮納入が非常に少ないです。妥結率が非常に高い。系列病院があるところをずっと上か ら見ていただくとわかりますが10以下のところは、ほとんど系列病院を持っている同一 の開設主体別の医療機関、ここに未妥結の原因があるのではないか、ということをもう 一回確認しないといけないのではないかと思います。  先ほど、総価取引の場合には、長期にわたる未妥結・仮納入にかわることが大きいフ ァクターではないかということでしたが、これは調査をみますと国の独法の国立病院機 構などは100%の妥結率です。国立病院機構の入札、これはスケールメリットを利用し ておやりになっているが、これは総価で入札をされている。今日の資料にもそれが書い てありますので、それは余り関係ないのではないかと思います。 〇嶋口座長  わかりました。幾つかそういうような訂正追加の御意見ということで大塚委員からい ただきました。  ほかにジェネリックの立場は余りこの問題は関係ない。歯科と同じ感じですけどどう ですか。 〇江口委員   過去ずっと私どもジェネリック医薬品販社協会では、未妥結・仮納入はございません ということでお話をしてまいりました。現状でも大体その方向です。ただ、ジェネリッ クそのものが普及し使用されるようになってまいりましたら、大手メーカーさんのよう な方向に流れるのではないかという危惧をしております。今のところはほとんど単価で の納入です。金額がふえてまいりますと取引の中でうるさくなるというのはおかしいの ですが、コンピューターを使いだすと、どうしても薬価基準を基準にして打ち込む、そ れから何%引きにするという格好だと思います。それが結局決まってないというのが現 状だと思います。私どものところでは、まだまだ今のところでは単価契約です。  もう一つお願いがあります。納入価というか原価といのがどういうものであるのか、 いろいろな格好での原価があると思いますが、このごろジェネリックが普及するのはう れしいことですが、発注の単位がすごくまちまちというか毎日のように100錠持ってき てくれというような話になりまして、我々納入業者としては弱いので、おっしゃるとお りに持っていく。するとコストが高くなるわけです。  コストとはどういうものであるのかということを、いろいろな団体の皆さんに常識の ある受注、発注をということをお願いができればと思います。特に私どものジェネリッ ク医薬品販社協会は、広域卸さんのように緻密というか地理的にも広域に走っておりま すので、その辺からするとコストが高くつくということかいえるのではないかと思って おります。できましたら医師会の方、薬剤師会の方、病院協会さんにしてもどちらにし ても良識のある発注をしよう。特に今多いのは大手の調剤薬局さん、そこなどは各薬局 によってできるだけ在庫を少なくというので薬剤師さんにとっては、場合によっては、 本当に毎日のように同じものを注文なさるケースがございますので、この場を借りまし て、そういう発注をしないようにということができればと思います。 〇嶋口座長  ありがとうございました。今は未妥結・仮納入のお話でございますが、その場を借り てジェネリック業界の立場のお願いがありました。ありがとうございました。今回のこ の未妥結・仮納入の問題については、どちらかというと、一方的にその問題を受けてい るのが卸連の立場で、あとは与えているというのは変ですが、逆の立場のようです。最 後にもう一度、いろいろな意見で各団体の代表の委員からお話がありましたが、松谷会 長からそれを受けて、それはないとか、むしろこうだという御意見がございましたら、 一言いただければと思います。 〇松谷会長  先ほど大塚先生から国立の機構の話がありました。最終的に総価的な評価をされてお りますが、全商品単品で、価格を入れまして、それもメーカー別に行って最終的な調整 でやっていて、それぞれの価値をそれぞれ商品別に出して、最初から何%引きでという 交渉があるわけではなく、きちんとした入札をした上でネゴが少し加わって価格が決定 されている。純然たる総価でなく、国立病院機構さんの購入方法というのは、単価をき ちんと遵守して、それぞれのメーカーも遵守した形でおやりになっていると理解をいた しております。  一般的に個々の価格がなくて、最初から総価率だけで交渉されているものではないと いうことだけは申し上げておきたいと思います。  これらの問題点については、一つ一つ非常に重要なことであると思っておりますので、 皆さんの知恵をお借りし、また我々もそれについていろいろと申し上げたいと思ってお ります。 〇嶋口座長  ありがとうございました。この問題について中立的なお立場ということで、三村委員 から何かコメントがございましたらお願いいたします。 〇三村委員   個別の御事情からすると、結果としてこうなるという積み上げで出てきたものだと思 います。未妥結・仮納入という取引の在り方そのものが、基本的に異常であるという認 識はきちんとイメージするべきであろうと思います。なぜ異常なのかということは、社 会的観点からしますと、基本的に早期に妥結される方が不利であるという、こんなとん でもない話はない。つまり非常に自己責任の中できちんとおやりになる方が損をすると いう状況は、基本的に許されるべきではないと思います。  第2番目に、経済合理性を追求した結果ということでおっしゃる御意見がございます ので、それもそういう見方はあるかなと思いますが、1年間もかけて価格交渉をするこ と自身が非常に経済的には不合理であるということであろうと思います。これだけ、ど れだけの事務コストと営業コストをかけ、かつそこに発生する当然のことながら支払い をとめると不利な状況も起こります。金利コストもあるということもしますと、そこで 発生することは無視できないものであります。それが結果として基本的には卸の経営体 力も当然ながら悪化させるし、メーカーにとっても決してよい話ではないということに なりますと、日本の医薬品の製造、そして流通体制そのもの、基本的には弱体化させて いると考えております。  いろいろな条件に合わせてコストが、恐らく当然ながら出てきますし、それにあわせ て価格も提示されるべきである。これは非常に重要な御意見であろうと思います。ただ そのときに、先ほどの江口委員がおっしゃいましたように、ジャストインタイムとか、 多頻度小口という議論になりますと、これは非常に高コストになります。そうなります と、それを基本的にはどのようにコストある意味では比例循環するか、吸収させるのか ということになりますと、基本的には価格は早期に妥結して、そのもとにおいてコスト の平準化システムを全体として構築するということをやらなければいけませんので、こ の未妥結・仮納入に1年をかけるという状況の中では、そういう体制は基本的にとれな いだろうということがあると思います。  先ほど、総価の問題も恐らく相当に大きいのだろうと思いますが、何よりも医薬品に おいてもいろいろな特性がありますし、一番大きいのは価値と価格と、当然ながらでき るだけ一致するような形で設定されるべきだという御意見も、非常にこれも重要な意見 だと思います。  また医薬品におきましても、恐らく病院とか薬局においても相当のリスク管理とかリ スクマネージメントが必要な状況になってきておりますと、それにあわせてきちんとし た薬の価格、あるいはその価値判断ということが出てくるということになります。そう いうことを地道にこれから設計していかないといけないとなると、すべて全品で幾らと いう総価契約そのものは、基本的には今後の医薬品の流通のありかたからすると決して 望ましいものではないと私は考えを持っております。 〇嶋口座長  ありがとうございました。貴重な御意見をいただきました。今回の事務局から御報告 いただいた件で、実態をみますと、もともと平成17年2月に、中医協で未妥結・仮納入 は問題であるという認識がされました。さらに厚生労働省の中でも、これを是正という ことでやってきました。実体はどうかというと、一向にという言い方が適切かどうかわ かりませんが、余り改善されていないようです。その間にいろいろな新しい総価買いの 問題であるとか仕切価格問題が出てきたこともありますが、流通改善懇談会の立場とし ては、どうも今年は例年より悪い結果が出ているので、なんとかここをしないといけな い。  この会の座長としても、これは大変に遺憾な問題であるという認識をもっております。 ただ今日の委員の方々からのコメントからわかりますように、流通の改善というのには、 実はいろいろな立場がありますから、さまざまな御意見があって、トータルでどれが最 適かということはなかなか難しいと思います。  サブシステムの中で最適がわかればトータルのシステムで最適でなくなる、という問 題が非常にあるので、すぐにどうするということができないということがあります。し かし、各委員の先生方の御意見にもありますように、流通の改善をしなければいけない、 これについては皆さん共通の問題意識です。  したがって、共通認識をどのようにこれからこの懇談会の中で進めていくか、これは ぜひしっかり議論をしながらやっていきたい。その意味で委員の各先生方、事務局の方 々のさらなる御協力をぜひお願いしたいと思っております。  この議論はまだなかなか尽きないと思いますが、ここで未妥結・仮納入の問題は課題 がある、ということを事務局サイドにも、あるいは厚生労働省の中にもお伝えをしてお き、ぜひここの改善に今後とも一層取り組んでいただきたい。それからそれについて各 委員の先生方から御意見がございます折りには、どうぞ御遠慮なく事務局サイドにお話 を出していただきたい。今日はこの問題についてはここまでにしておきたいと思います。  次の問題です。流通改善懇談会の中でいろいろな議論をこれからも出していきたいと 思いますが、そのためには改めて流通の現状というものを把握しておく必要がある、そ こでこれから医薬品卸業さんがどうしても中心的なプレイヤーになるものですから、医 薬品卸業の経営の現況・概況について、今回資料を御用意しておりますので、それを御 説明いただきます。この中には当然、総価の問題も入っているでしょうし、その他の流 通改善にかかわるいろいろな課題が入っておりますが、早速お話願いたいと思います。 よろしくお願いします。 〇伊藤委員   卸連の伊藤でございます。私から資料2の内容について御説明をさせていただきます。 最初の1枚目でございます。「医薬品卸業の経営状況」ということでお示しさせていた だいております。平成3年度、1991年度から平成17年度までの資料でございます。売上 の伸びにつきましてはこのような状況でございます。平成8年・9年・10年の3年の薬 価改定の段階において、平成9年度にマイナスの伸びを示しておりますが、そのほかの ところでは3%前後の伸びを示しているということでございます。  売上総利益率は平成3年度が12.7%、これが平成17年度には7.9%という状況でござ います。当然ながら売上総利益率の低下を補うべく、卸企業は、合併あるいは経営の効 率化を徹底して進めてまいったわけでございます。したがいまして、平成3年度の販売 管理費が11.2%あったものが、平成17年度には7.1%まで削減してきているという状況 でございます。  しかしながらまかないきれていない。売上総利益率の低下分を販管費の削減でまかな いきれていないという部分がございまして、平成3年・4年・5年度くらいには2%前 後あった営業利益率が近年においては1%を切っているという状況になっているという ことでございます。これが1枚目の表でございます。  続きまして2枚目の表です。価格妥結率の状況ということです。各年9月の妥結率の 状況です。これは西暦になっていてわかりにくいのですが、91年というのは平成3年度 でございます。この段階において薬価差としては23.1%あったわけですが2005年度に おきましては8%という状況でございます。薬価幅につきましては15ポイント縮小をし てきている。その間にRの部分がございましてR幅は15%から、調整幅は2%に減少し ているという状況でございます。R幅の縮小としては、13ポイントという状況になって いるということでございます。  2000年度までは、おおむね薬価の引き下げ分というのが診療報酬の方に振りかえられ ているという状況がございます。したがいまして、このような言い方をしては失礼かと 存じますが、医療機関さんにおいては、実質的な影響は軽微であったのかなという認識 をしている次第です。  製薬メーカーにおきましては、その間、先ほどの会長からもお話がありましたように、 対薬価仕切価率これを順次引き上げるということで、対薬価仕切価率におきましても約 17ポイントの引き上げをしているという状況でございます。このような状況の中にあっ て卸は、当然ながら医療機関さんとメーカーさんとの間で経営をなんとかしていくとい うことで、非常に厳しい経営を余儀なくされているという状況でございます。  また、薬価引き下げの診療報酬のマイナス改定が行われるようになってきているわけ です。したがいまして、その妥結率推移を見ていただいてお分かりのように、年々その 部分が大きく影響をしてきております。したがいまして近年になるにしたがって、薬価 改定年における価格の妥結率というのは、極めて低水準で推移をしているということで ございます。特に診療報酬のマイナス改定が行われた段階におきましては、医療機関さ ん等の経営の問題もございますので、薬価差に対する要求水準が高まっている、という ように理解できるかなと考えております。  次の3枚目の資料です。92年と書いてありますが、和暦では平成4年です。平成4年 に12.31%です。先ほどの前々ページの表で記載している平成3年度でいきますと、実 は売上総利益率は12.7%あったわけでございます。これが平成17年度、ここでいうと 2006年でございますが7.91%というように総利益率は低下してきております。  先ほどのところでもお話をしましたが、その部分を販管費の比率を下げる経営努力に よって対応してきたという部分がございます。他の業界と比べても、医薬品卸売業にお ける売上総利益率、販管費率ともに決して遜色ない、逆にいうと非常に販管費等につい ては低い形で運用できている。このように私どもは理解をしております。  前ページでお示ししたように、対薬価仕切価率の上昇によりまして92年当時売買差益 としては5%を確保できていたものが、徐々に低くなってきております。近年において はマイナス2.37%、その間この売買差益の減少を割戻し・アローアンスで補っていると いう状況でございます。割戻し・アローアンスの率としては高くなってきておりますが、 売上総利益率は低下をしてきているという状況でございます。  次のページは平成10年の中医協の答申書でございます。実はR幅につきましては、平 成3年5月期の中医協建議におきまして、R幅が10%に縮小した時点で、その後の取引 価格の状況の推移をみつつ、この幅の在り方についてさらに見直すこととされておりま した。平成10年に十分な議論のないまま5%に縮小されております。  したがいまして、平成10年当時の中医協では、ここに記載してございますように流通 への影響を懸念して答申書の中で、そこに書いてある「なお」書きのところに記載して ありますような表現です。読みます。  「なお、今回の大幅な薬価改正に当たっては、医薬品の卸売業に与える影響が特に大 きいと考えられるが、薬価改正の趣旨を踏まえ、必要な医薬品が適正な価格で安定して 供給されるよう、流通面においても正常な取引が確保されるべく厚生省及び関係者の努 力を期待したい。」このような形で明記されております。  未妥結・仮納入の問題に関しましても、今回は行政から特段のいろいろな形での御支 援をいただいておりますが、ぜひその部分ではいろいろな形での御支援をお願いしたい と考える次第です。  最後のページです。総価契約の状況でございます。平成17年度における医療用医薬品 の全取引に占める総価取引の割合です。これにつきましては主要卸5社の平均で記載を させていただいております。大病院さんのところでこれは件数比ですが総価の取引が 51.7%です。金額ベースで63%です。うち単品で決めていって総価に反映をしてくると いう部分が27.9%の27.1%です。全品総価、要はグロスで総価だけが決まるという部分 のところが23.8%の35.9%です。  チェーン調剤薬局におきましては、総価の部分の件数が95.1%、金額ベースでも 91.5%です。ここも見てのとおりに単品と全品総価はこのような割合です。特に全品総 価は82.4%です。金額にして91%という状況になっております。  先ほどもお話がありましたように、総価取引というのは銘柄ごとの価格形成、このこ とが著しく劣ってくる可能性があると思っているわけでございます。銘柄別薬価収載と 矛盾する取引であるのかなということでございます。  どうしても交渉内容が値引率に集約されるため、未妥結状況に陥りやすいわけですし、 未妥結が長期化するという原因にもなっているというようにも考えております。  未妥結・仮納入の解消を図るためにも、総価契約の見直しもぜひ御考慮をいただきた い取引と考えております。資料は以上でございます。 〇嶋口座長  ありがとうございました。卸売業というのは中間業でございますから、対メーカーさ んとの問題、実際に薬を購入使用される対薬局・薬剤チェーンさん、あるいは医療機関 さんの問題です。どちらかというと最初の方の価格の売買差益と割戻し・アローアンス にかかる問題は、対メーカーさんとの問題がかなり大きな問題になるかなと思います。 総価の問題については、調剤薬局あるいは医療機関と問題があるかなという感じを受け ました。  まず、資料についてぜひここは確認しておきたいという御意見がございましたらお願 いします。  一つだけ確認ですが、2ページ目でしょうか。価格妥結率の状況で、各年9月という のがございます。ここで丸印が書いてあるのは薬価改定年ですが、薬価改定年はいずれ も悪くて、翌年に上がる。例えば98年ぐらいから見ても98年の50.9から99年にはぐ んと妥結率が高まって74.7になる。00年はまたガクンと落ちて38.3になる。そして01 年には63.9と上がる。02年はまた下がって、03年は上がる。04年は下がって、05年は 上がる。06年は下がりましたから07年は上がるのではないかと、循環論的にいえばあ りますがこれに理由はありますか。 〇伊藤委員  どうしても薬価改定年ということになりますと、実際のどの辺の価格でお互いに納得 するのかという交渉事で長引くという部分がございます。薬価改定のない年というのは、 一端そのことを経過した次の年になりますので、それぞれが一定の妥協点というか、そ れを見いだしたのちの価格交渉ということになって、お互いの納得が得られやすいとい う部分がございますので、妥協率としては高くなるという状況だと思います。 〇嶋口座長  私もそのように思います。ということは、薬価改定とこれは構造的にこのようになる と理解しておいてよろしいですね。ありがとうございました。  この資料で大変に貴重なのは、対薬価仕切価率が出ておりますが、これは出していい のかわかりませんが、かなり思い切って出していただいたと思います。そういう資料が ございます。あとは、売買差益と割戻し・アローアンス、これも売上総利益はこのデー タでは92年から06年まで7年間をとってございますが、大分下がってきた。売上総利 益が大分下がってきて、それに応じて売買差益はぐんぐん下がったのですが、その分だ け割戻し・アローアンスがぐんぐん上がったというところがあります。  これについて、どのように理解していいのかというのは難しいのでしょうが。確かに 全体の総利益は下がっているので問題でしょうが、売買差益が割戻し・アローアンスに 変わっていったと理解していいのでしょうか。このあたりを御説明いただけるとありが たいです。 〇伊藤委員  一つにはメーカーさんにおける仕切価という問題があるのかなと思っています。卸の 立場から逆にいうと、割戻し・アローアンスに余計に頼ってしまう経営、という部分も 我々のところにあるということもひとつ問題だと思っております。  実際上で割戻し・アローアンスがあるがゆえに、逆にいうと交渉の段階で甘くなって しまっているということもあったのかなというふうに思っております。  しかしながら、現実的に、グロス全体でなんとか経営をやっていこうという考え方か らすれば、しっかりやれてきたのだろうと思っております。  どうしても仕切価の水準が問題になり、仕切価設定のあり方でものごとがみられてく るので、イメージ的にいうと、ここで売買差益のみを問題にすることがいいのかどうか ということも一つには出てくるのかと思っております。 〇嶋口座長  ありがとうございました。 〇渡辺委員  卸連の渡辺です。今座長から質問があったように、これは多分いろいろな因果関係が あると思います。先ほど松谷さんもおっしゃったように、分業の進展による総価の増加 があります。総価であれば仕切価から単品ごとの価格を出さないので、メーカーは仕切 価を高くできる。伊藤委員もおっしゃったように、単品では仕切価を基準に卸は値付け をしますので、すると翌年に薬価か下がる。そういう構造メカニズムの中でメーカーさ んは本能的に仕切価を高くする方が薬価ダウンを防げるのではないか、と考えたのが事 実ではないかと思います。以上です。 〇松谷委員   それと、R幅が10からで調整幅が2になった。ここでちょうど書いてないのですが 2000年ちょうどのときです。そのとき2%になったわけです。そのときから売買差益が ほとんど取れなくなって、基本的には調整幅が2になったときに、市場での妥当性とい うかそれなりに形成される薬価差がどの辺かということについて、メーカーさんの希望 また我々が持っている感覚、医療機関さんが持っていらっしゃる薬価差というものにつ いて、どこが値ごろなのかというのがなかなかわからない。それなのに調整幅が2%で すから薬価差が2%以上あったら下がるしかない今の薬価システムですから、メーカー さんも高い仕切価にせざるを得ない。こういう構造の中で10からいきなり2に変わった スピードにいろいろなものがついていけないということが、こういう現象を起こさせた 大きな理由の一つであると思います。 〇嶋口座長  ありがとうございました。この問題についてはどうしても製薬協の御意見がいただけ ればと思います。日本製薬工業協会から数人の委員が出ております。何かこれについて の御意見ございますでしょうか。 〇禰宜委員  薬価が告示されてから早急に一次仕切価を特約店に提示している。メーカーにとって 薬価は生命線であるため、2年後を見越した製品の価値、市場での競争、販売戦略、卸 業者の利益等を考慮して一次仕切価を提示している。 同時に、大半のメーカーが一次 仕切価を全卸さんに同じ価格で提示されるわけですが、メーカーは全ての卸さんと全く 同じ条件で取引を行っているのではなく、取引額、売掛金の回収サイト等を含めてそれ を修正するという意味で割戻しという形で対応させていただいている。  この面は、非常に不透明であるということがございましたので、メーカーとしては可 能な限り早くその割戻し体系も卸さんに提示させていただいている。そしてそれに販売 上で必要なものとしてアローアンスを提供させていただいている。  そういうことで、報告のあった買差マイナスについては一次仕切価と販売価格の差で あり、一次仕切価を修正する割戻しも考慮して判断していただく必要があります。 〇嶋口座長  ありがとうございました。ついでというと申しわけないのですが、この総価の問題に ついては、メーカーサイドはどういうスタンスなのか我々にはわからないのですが、総 価買いというものについて御意見ございますでしょうか。  この場ではしゃべりにくいというのならそう言っていただいてもかまいません。 〇加茂谷委員  製薬協の加茂谷です。先ほど伊藤委員からもお話がありましたとおりに、基本的に、 医療用医薬品というものが銘柄別に薬価に収載されているという状況、三村委員からも お話がありましたように、医薬品といいましてもいろいろな機能がそれぞれの医薬品に よって異なっておりますので、それが一つのものとして言葉は悪いのですが十把一絡げ で価格を決めてもらうということに関して、メーカーサイドとしても非常に忸怩たると ころでございます。いろいろな機能評価に応じた形での単品ごとの価格付、価格交渉と いうことが当然のことながら行われるべきである。特に医療用医薬品においては、その 点をもっと強調していただきたい、というのがメーカーとしての基本的なスタンスでご ざいます。 〇嶋口座長  ありがとうございました。 〇渡辺委員  今おっしゃったとおりだと思います。ただ、補足しますが分業が起きたということは、 メーカーさんからみれば、処方を書いている人と、処方調剤をする人は違うので、処方 元に対しては、薬剤がかわることについての恐怖心は持っていると思います。しかし、 分業になれば処方調剤先では薬がかわらないということも製薬メーカーさんは思われて いるのではないかと思います。 〇嶋口座長  そこについて何かございますか。 〇禰宜委員   代替調剤がないということであれば、医師の処方に基づいて、それが患者様に調剤さ れるということでございますので、現状では調剤薬局においては、医師の処方に基づい た形で処方、薬剤が出るということだと思っております。だから渡辺委員さんのいわれ たことだと理解しております。 〇嶋口座長  ありがとうございました。その他に、説明していただきましたこの資料について、御 意見あるいは質問ございませんか。 〇柏木委員  卸連さんにお尋ねします。重箱の隅をつつくようで大変に恐縮です。伊藤委員にお伺 いします。今の資料の3ページの売買差益が97年から2002年で、この間が抜けている わけですが、もう一つ1ページをみますと、97年というのは平成8年度になります。そ この本社数が277で、2年度は平成12年です。卸さんが100社くらい減っていますね。 卸し間同士のシェア争い、という問題がこういうところにも出てきているのではないか という感じがいたしますがいかがでしょうか。 〇伊藤委員  当然のことながら、規模の追求をやっていかないと、販管費そのものを抑制すること ができないという部分もございます。システム一つつくるにしても、1兆円の企業のと ころで1%のシステムといえばこれは100億円のシステムができる。100億の売上規模 のところが1%システムにかけるといっても1億円しかかけられない。そういうシステ ム的な部分、あるいはほかのコストを考えて、我々は規模の追求をしてきているという ことは事実でございます。  規模の追求というのは当然のことながら、シェア争いという部分もございます。そう いうことが全くなかったとは言いませんが、しかしながらそのことをやることによって 販管費も下げてきているということも事実である、ということで御理解をいただきたい と思います。 〇嶋口座長  ありがとうございました。 〇大塚委員  立ち入ったことをお聞きしていいでしょうか。仕切価格は、薬価から消費税5%を引 いて、さらにR幅、昔はリーズナブルのRでしたが、最近は調整幅と言われていますが、 この調整幅2%を引くと93%になります。薬価から7%を引いたのが仕切価格になって いるのか。卸が経費並びに利益率を乗せて仕切価格が決められているのか。そういうこ とを教えていただければと思います。 〇嶋口座長  卸側の立場からお願いします。 〇松谷委員  ここに書いてある仕切価というのは卸の経費は乗せていなくて、メーカーさんの仕切 価に当然ながら薬価が消費税込みですから、本体価格に消費税を乗せた価格として94.1 というのを出しております。卸の経費はそこには乗せておりません。 〇大塚委員  すると非常に売差はマイナスになりやすいですね。 〇嶋口座長  形式的にはそうなると思います。ただ、リベートアローアンスがそこの分だけ違う形 で出ているということもまたあるかもしれません。ありがとうございました。あとは御 意見ございませんか。  では時間の関係もございますので、卸業経営というのは、どうしても医薬品流通の中 での中心的担い手であります。経営的になかなか大変であるということは、システムを どう動かすかというのは非常に大きな問題であります。今後とも流通の取引慣行その他 についての改善点の中で、いろいろと特定のテーマについて議論をさせていただきたい と思っております。  では、次の、その他の問題として、事務局の方で最近の流通に関する行政の動きを少 し御説明、御紹介いただいたいと思っております。特に官民対話についての話がつい最 近あったようでございます。武田課長から御説明いただければありがたいと思います。 〇武田課長  経済課長の武田でございます。最近の流通に関する行政の動きということで、この流 通適正化、この未妥結に関する取り組みにつきましては、資料の中で千葉首席流通指導 官から御説明を申し上げたとおりです。  最近、3月19日ですが官民対話と呼ばれておりますが、厚生労働省と日本医薬品卸業 連合会との直接の意見交換の場というものが設けられました。この中身につきましては、 ざっくばらんな意見交換のためということで非公開で行っておりますので詳細について 申し上げることは差し控えたいと思います。  幾つかかいつまんで御紹介をさせていただきたいと思います。私どものメンバーとし ましては、事務方のトップの辻事務次官以下関係局幹部の立ち会い、卸連からは松谷会 長以下の幹部の方々にきていただいております。  テーマにつきましては、流通に関する意見交換会ということですから、特定のテーマ を設定したわけではございません。卸連さんからテーマとして特に話題提供していただ いたのは、1つは制度との関係です。R幅引き下げが流通に与える影響についてです。 それから2つ目につきましては未妥結の問題につきまして、3番はトレーサビリティの 問題、こういう話題提供がございました。  その中でいろいろな御発言がございました。先ほど来の各委員の御議論の中に実はか なり出てきております。同じような御発言・御議論があったということでございます。 付け加えて申しますと、例えばアメリカとの流通の違いでございますとか、メーカーの 関与の問題とか、そういう点も話題の中には入っております。総合的な問題を議論させ ていただいたということでございます。  官民対話の場のそもそもの目的は、率直な意見交換を通じて、お互いに共通の認識を もてるところは共通の認識をもつということでございましたので、おおむねこの辺が共 通認識かなというところを幾つか御紹介いたします。  本日の話題にも出ておりますが、流通、価格の問題でございます。医薬品の価値と価 格との議論です。本日も出ておりますが、総価取引というものが、いわば薬の価値に関 係なく力ずくで一律に下げるという取引という問題があるのではないか。共通の売買の 論理を原点にするべきではないか。共通の売買の論理というのは、市場の中で同じ効能 の医薬品なら安い方が選ばれる。同じ価格であれば良い方が選ばれるというような、薬 と薬との間の価値に基づく競争関係というものが本来の売買の基本論理ではないか、こ ういう点である程度参加者の間で共通認識が得られたのではないかと思っております。  未妥結の問題につきましても、歯科に関しては即断即決というような御紹介もござい ましたが、医薬品が薬を採用する人というか、処方をする人という言い方の方がいいか もしれませんが、それと購入をする立場が分かれているということが、未妥結、総価の 問題に近いのではないかという問題。  未妥結の交渉期間でございますが、これも本日御発言がありますように、卸の側にも 株式上場企業がふえている中で、この決算との関係で一定期間の合理的な妥結というこ とが、例えば3カ月ということもございましたが、そういうことが重要ではないかとい う点が議論をされたわけであります。  いずれにしましても、現在の流通の仕組みが非常に限界にきているのではないか。新 たな議論が必要な時期ではないか、というような点も関係者の参加者の中で議論をされ たという点を御紹介したいと思います。  そういう認識にたった上で、一体今後どういう議論をしていかないといけないのかと いうことでございます。卸連の参加者の方から、例えば指針またはガイドラインのよう なもので、合理的価格交渉期間でございますとか、不合理な取引条件はやめていくとい うことについて、関係者間で合意ができないかというような御提案もございました。そ ういう議論を深めていく必要性もその場で話題にのぼったということでございます。  概要は以上でございます。そういうことで先ほど来話題になっていることを追加いた します。構造面の問題ということです。薬価制度との関係が幾つか御発言があったと思 います。座長から、改定の年は低くて2年目は妥結率が高いということが薬価は2年に 1回の改定という構造的な面が影響しているのではないかということでございまして、 これは基本的に座長が御指摘のとおりであると思います。それを反映して流通の面に則 していいますと、それを反映して、今日の資料の中にありますがメーカーの仕切価とい うのが2年に一度という形になっていて、どっちが先かという問題はございますが、そ れもあって2年目は余り価格交渉の幅の余地が少ないということも影響しているのでは ないかという感じがいたします。  ただ、2年に一度または妥結につきましては、本日が年度末ぎりぎりでございますが、 年度内にはなんとかという、1年もかけているという状況と、先ほど話題に出た話の中 でいいますと決算時期、四半期決算との乖離がある。  2年に一度の薬価改定といいますが、制度面の問題でさらに議論のために話題提供と いうことでございますが、新薬は年に4回収載をされております。後発品の収載比率は、 頻度をだんだん上げてきております。かつては2年に一度の後発品収載でございました が、今は1年に1回収載です。現在、関係業界からは1年に2回の後発品収載という提 案の御意見をいただいているところでございます。  私どもはこういうことは基本的に2年に一度の改定の中でも、市場競争を活性化させ るという観点もあり積極的に対応してきているところでございます。それと先ほどの流 通実態が必ずしもあっていないという気もいたします。  そういう点もさまざま含めて、何より民・民の取引でございますので、関係者間の合 意が非常に大事だと思いますので、ぜひ、御議論を深めていただければというように思 っております。最近の動きを御紹介させていただきました。以上です。 〇嶋口座長  ありがとうございました。卸版の官民対話ということを行ったという御説明です。そ れから今後どういうことを考えていこうか、という大変に重要な指摘をいただきました。 それについて何か、ぜひ聞いておきたいという御質問が委員からございましたらどうぞ。 特にございませんか。では私から一つ。今の武田課長のお話の中で、当然ながら総価の 問題ももう一度この懇談会の中で取り上げて議論をしてみよう、という方向でよろしい でしょうか。 〇武田課長  総価の問題は、流通の一つの大きな問題という認識だろうと思いますので、今後、そ の点も含めてどのような論点をどのような順番でとりあげるか、座長と事務局で相談さ せていただければありがたいと思っております。 〇嶋口座長  ありがとうございます。もう一つの御指摘です。官民対話の中で指針やガイドライン を少し出していただきたいという議論があったということですが、それはこの懇談会の 中で指針やガイドラインということでしょうか。それとも経済課の方で出していただく、 そのためにここの懇談会の意見を積極的に取り上げていただきたい、というような立場 でよろしいのでしょうか。 〇武田課長  これは特に現段階で確定をしているものではございませんが、卸連から御提言をいた だきましたのは、どのような形であれということだと思いますので、こうでなければな らないということはない。いずれにしましても、関係者間の合意というものがなければ 動きませんので、関係者間の合意という意味では、私はこの場で御議論をいただくのが 一番よろしいのではないかと思います。その結果をガイドラインとして、昔、流近協メ ッセージというものがありましたが流改懇として示すのか、またはこの場で御議論をい ただき、私どもの方から何らかの指針としてお示しをするのかというのは、やり方は何 種類かあると思います。いずれにしても関係者間の合意を得る場としてぜひ御議論をい ただければありがたいと思っております。 〇嶋口座長  ありがとうございました。流通改善懇談会の性格にも関わりがあるかもしれません。 もともとは松谷局長がいらっしゃるのですが、この医政局の諮問というか、諮問という よりもいろいろな御意見を提供させていただき、政策に反映させていただく、そのため の懇談会でございます。  しかし、医政局にしても経済課にしてもここの意見は非常に貴重で重要な意見として 取り上げていただいて、何らかの政策に反映させていただくということでございます。 その具体的なやり方について武田課長からお話をいただきました。もう少しこれを詰め た上で具体的指針なりガイドラインを出すかどうかを少し考えていくということでござ います。  しかし、ガイドラインや指針を出しても、実際にそれを実行していただけるかどうか というのは、これは難しい問題です。今回もそのあたりがどうももう一歩行っていない という印象を受けました。ぜひ御協力を願いたいと思います。 〇江口委員  今の問題でございます。私どもも医療用医薬品の流通の一端を担っているつもりでご ざいます。先ほどの話の中には私どもは蚊帳の外でございまして、できましたらぜひ我 々もジェネリック医薬品販社協会も入れていただきたいと思っております。以上です。 〇嶋口座長  ありがとうございました。実は前回のこの懇談会で江口委員より独立行政法人国立病 院機構の共同購入についてということで、御意見をということがありました。それはジ ェネリック医薬品販社協会は参加資格そのものが疑わしく、その点についてお伺いした いという意見が最後にございました。その発言に対して、詳細については改めて説明す ることとしたいと思いますが、事務局から一言御説明願えればありがたいと思います。 江口委員よろしいでしょうか。 〇江口委員  今の話ではありませんが、蚊帳の外で我々が決められている気がしまして、国立病院 機構の地域ごとのもの、これは4社ということで我々は1社も入っておりません。ただ、 いろいろなお話を聞きましたら、地域ごとの随契というもので対応していったらどうか というお話をちょうだいしておりますので、今後、ジェネリック普及のためにはぜひ努 力をしながら、場合によっては卸連さんとの接触は今までは全然ございませんので、で きましたら私どもの気持ちも伝えたい。今でもジェネリックの場合にはメーカーさんか ら広域卸に流れているものと、私どもの販社を通すものと二本立てになりつつあります。 以前は販社だけでしたが、今は両方からいっております。 〇嶋口座長  事務局から御説明をお願いします。 〇千葉首席流通指導官  私から資料3の御説明をさせていただきます。「国立病院機構本部における医薬品共 同入札について」の概要の御説明でございます。ここにも記載されておりますように、 国立病院機構では、共同入札を行うことで契約事務の軽減・合理化・スケールメリット を生かした入札方法を導入しまして医薬品費の低減、価格交渉の効率化を図りたいとい うことで、16年度から共同入札を行っております。  本日お示ししておりますのは、18年8月から平成20年3月分の取引にかかる共同入札 の概要でございます。  まず、共同入札でございますので全国に設置している国立病院を4つの広域エリアで 分けて、エリアごとの入札という形をとっているところでございます。  1つは北海道・東北地区。関東信越、東海北陸、近畿、中国四国地区。もう1つは九 州地区。最後に沖縄地区。こういう4つのエリアごとに入札を行うということになって おります。  入札方法は、一般競争入札ということで、最終的には落札評価は総価で行いますが、 先ほど松谷委員からもお話がございましたように入札に当たっては、個々の単品ごとに 価格を明示した形で入札をしていただいているということでございます。  入札場所は、国立病院機構本部で行っております。  対象品目でございますが、資料5ページから7ページまでです。これは対象品目の抜 粋という形で提示させていただいております。これの最後のところに対象品目として 159区分、7652品目ということになってございます。  6ページをごらんください。真ん中あたりになりますが沢井製薬さんとかニプロファ ーマさんとか日本医薬品工業さんとか、こういう形でジェネリックを主に製造されてい るメーカーさんもこの対象になっているわけでございます。  対象外品目として、ここに記載されておりますように政府調達対象品目、あるいは血 液、麻薬、放射性医薬品、こういうものは対象外という整理になってございます。  競争参加資格でございますが、厚生労働省の競争参加資格をもっていること、という のがひとつございます。さらに、北海道、東北、関東、甲信越等の各入札エリアの競争 参加資格を有する社、この部分については明確な記載はございませんが、基本的にはエ リア内の病院すべてに供給できること、ということがその条件ということでございます。 購入する医薬品を経理責任者が指定する日時・場所に十分に納品することができる社、 さらに一社だけの供給ではなく、業務提携等による代理店との対応でも可ということに なってございます。  契約方法につきましては、病院ごとに単価契約を行うということになっております。  契約期間は、18年8月から20年3月までの1年8カ月分をまとめて契約ということ になってございます。  以上のことから、国立病院機構のこの共同購入におきまして、ジェネリック医薬品を 対象から外しているということはございません。また競争参加資格からいっても、ジェ ネリック販社さんを特に外しているということはございません。このような競争参加資 格を有している販社の方々であれば、入札の条件をクリアしているということも前提と して入札に参加できるという状況になってございます。  ちなみに、私どもが伺ったところでは、あるブロックエリアでは販社さんも参加して いるということを聞いているところでございます。 〇嶋口座長  ありがとうございました。そういうことで資格条件はあるし、一部限定的なところも あるが排除しているわけではない、という御説明を事務局からいただきました。江口委 員よろしいでしょうか。 〇江口委員  はい。 〇嶋口座長  ありがとうございました。委員の先生からいろいろな御意見が出ると思います。その 都度、必要な項目については事務局サイドから今のような形で御説明させていただくよ うにしたいと思います。大体、今日の主要な議論がほぼ終わったわけでございます。医 政局長の松谷さんに今日出てきていただいております。医政局長が出てくるというのは、 いかにこの懇談会が重要であるかということを、またシンボリックに表しているのでは ないかと思います。せっかくの機会でございますので、最後に一言だけごあいさついた だければと思います。こういうことは全く打ち合わせなくやっておりますので申しわけ ございませんがよろしくお願いいたします。 〇松谷医政局長  松谷でございます。最初から参加できずに失礼しました。今日は国会質問にあたって いまして、これが終わったあとにもう一回戻らないといけないのですが、この時間が空 きましたので出席することかできました。  委員の皆様方には大変に大事な分野のことについて御審議を賜っておりまして、感謝 申し上げたいと思います。  流通改善については、非常に長い経緯をもった話でございます。体制が旧薬務局で流 通近代化というものがあって、それなりの成果を納めてきたわけですが、医政局に所管 が変わったあとに、もう一度これをやり直そう、締め直そう、新しい時代に沿った形で 行う。この間、保険の取り扱いでもご議論があったように、R幅も相当に変わってきま した。また中医協からもいろいろな御指摘をいただいているところでございます。  これについてさらに議論を深めて共通の理解のもとで少しずつ改善をしていく。ミラ クルな処方せんというのは、なかなかない分野でございますが、皆が知恵を出して少し ずつ改善をするということです。  幸いこういう形で皆様の御協力をいただき、各それぞれの分野の方にお集まりをいた だいておりますし、各種の先生方にもお集まりをいただきました。こういう機会はなか なかございませんので、非常に大事にしたいと思っておりますので引き続きよろしくお 願い申し上げます。本当に今日はありがとうございました。 〇嶋口座長  確かにこの問題は、今も局長からお話がございましたように、最適というのはなかな かないが、結局はどこを落しどころにするのかというあたりが一番の大きな問題です。 その意味では、三方一両損のような形である程度は妥協しながら、ある程度のところで やる。しかしその基本視点は、日本の医薬品流通をどのようによくするのか、こういう 立場でぜひこれからも議論を進めていきたいと思っております。そういうことで委員の 先生方、事務局すべて今日は御苦労さまでした。  以上、定刻になりましたので終わりにいたします。ありがとうございました。 (終了) 1