07/03/27 第28回社会保障審議会年金数理部会議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第28回)議事録 日  時:平成19年3月27日(火)13:58〜15:39 場  所:全国都市会館3階第2会議室 出席委員:山崎部会長、都村部会長代理、牛丸委員、熊沢委員、栗林委員、近藤委員      林委員、宮武委員 議  事      1.財政状況に関し公的年金各制度から報告を求める事項について 2.被用者年金一元化等の動きについて               ○田村首席年金数理官  お揃いになりましたので、ただいまより、第28回の社会保障審議会 年金数理部会を 開催させていただきます。  審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。座席図、議事次第 のほか次のとおりでございます。  資料1は、「財政状況に関し公的年金各制度から報告を求める事項について」でござい ます。資料2-1〜4は、「被用者年金一元化等の動きに関する資料」でございます。  このほか、参考資料といたしまして、平成17年度の「公的年金制度一覧」をお配りし ております。  配布資料は以上でございます。  次に本日の委員の御出席状況でございます。全員御出席いただいております。なお、 局長、審議官は一元化、パートの関連で調整が続いておりまして、関係方面に出向いて いるという状況なので欠席させていただくことになるかもしれないと思います。  それでは、以降の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。 ○山崎部会長 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきして大変ありがとうございます。本 日の議題は、第1に「財政状況に関し公的年金各制度から報告を求める事項について」、 第2に「被用者年金一元化等の動きについて」であります。 それでは最初の議題、「財政状況に関し公的年金各制度から報告を求める事項につい て」の審議に入ります。近く公的年金各制度の平成17年度の財政状況について報告を求 めることになりますが、それに先立ち、報告していただく様式の変更事項について事務 局から説明をしていただき、審議することにします。 それでは、事務局から資料の説明をお願いします。 ○水上年金数理官 資料1でございますけれども、各制度の財政状況に関して所管省から年金数理部会の 方に報告してもらう様式の変更に関するものであります。 その変更につきましては、技術的な事項としまして、当部会の技術作業委員会で検討 していただいた課題にも関連していますので、資料1の御説明の前に、技術作業委員会 での検討状況を簡単に紹介させていただきたいと思います。 技術作業委員会では、近藤座長の下、昨年12月〜2月まで5回にわたりまして、平成 16年の制度改正や年金数理部会で指摘されたことなどについて、年金財政上どう考える べきであるか、各種指標とか統計をどう扱うべきであるかについて幅広く検討をしてい ただきました。 平成16年の改正につきましては、多くの事項を含んでおりまして、その事項ごとに施 行年度が異なっております。まだ施行されていないものもあります。そのために現在技 術作業委員会の方で検討中のものもございますけれども、平成17年度の決算ヒアリング を控えておりますので、それに伴って、積立金より受入れなどの厚生保険特別会計、国 民年金特別会計の項目の変更とか、国共済と地共済についての報告の仕方とか、年金種 別費用率についての方向について示していただきました。 国共済と地共済につきましては、平成16年度から財政単位の一元化ということが図ら れておりますけれども、決算の報告を受ける際にはそれぞれ別々に、今までどおり国共 済は国共済、地共済は地共済ということで報告を求めることとして、年金種別費用率に つきましては、導入の趣旨にかんがみ、構成割合も見た方がいいというような結論が得 られましたのでそれを反映させていただいております。 なお、特別会計の項目変更につきましては、後ほどヒアリングの様式について御説明 しますけれども、それを反映した様式としております。 これら以外の課題やこれらを用いた分析の方法などにつきましては、さらに検討をお 願いしようと考えております。 以上が技術作業委員会での検討の状況のあらましでございます。 資料1でございますけれども、「財政状況に関し公的年金各制度から報告を求める事項 について」御説明を差し上げたいと思います。 この資料の最初に書いてありますように、年金数理部会では毎年度公的年金の各制度 の財政状況について一定の様式に沿って制度所管省に報告を求めています。ことしも平 成17年度決算に基づいて厚生年金各制度の財政状況について報告を求めることとなり ますが、平成16年の制度改正や平成16年財政再計算、先ほど紹介させていただきまし たけれども、技術作業委員会での検討も踏まえて、それを反映させ、ヒアリングの様式 の変更が必要となりましたので、ここにお諮りしております。  変更のポイントでございますが、資料に示してありますとおり3つございます。  1つ目は「収支状況の収入項目について」でございます。  平成16年の制度改正の際に、平成17年度から厚生保険特別会計の年金勘定、厚生年 金に係るものでありますけれども、そこの年金勘定、国民年金特別会計の国民年金勘定 の収入項目につきまして、積立金より受入れというのが決算の上で出てきております。 そのヒアリングの様式の収入項目にそれを追加したということであります。  それから、もう一つ、項目といたしまして「年金資金運用基金納付金」というのがご ざいますけれども、これは厚生年金、国民年金の積立金の運用を行っている年金資金運 用基金の簿価の累積収益がある一定基準を上回ったことで特別会計の方に納付されると いう性質のものでありますけれども、平成16年度末で基準を上回ったことに従って、特 別会計に納付する金額が17年度で生じたことからこの項目もヒアリングの様式に追加 をさせていただいております。  それから、2つ目でございますが、「年金種別費用率について」でございます。 この導入の過程でございますけれども、年金扶養比率というのが財政指標としてござ いますけれども、年金扶養比率は被保険者数と老齢・退年相当の受給権者数の比率であ って、言ってみれば、一人の老齢・退年相当の受給権者を何人の被保険者で支えている かをあらわす指標でありますけれども、年金には、御存じのように、老齢だけではなく て、遺族年金だとかほかの種類の年金もございまして、そういった関係上、年金扶養比 率だけでは年金全体を示す指標としては不十分なのではないかというような当部会での 御指摘もございまして、それに応えまして、平成16年だったかと思いますけど、技術作 業委員会で検討していただいた結果、年金扶養比率を補完する指標としてこの年金種別 費用率が導入されたわけであります。 その導入の趣旨から見ますと、年金種別費用率を構成しております老齢給付に係る費 用率とか障害給付に係る費用率、遺族給付に係る費用率、それぞれの数値ももちろん重 要な意味を持って扱われる財政指標でありますけれども、年金扶養比率を補完する指標 として導入されたという経緯をかんがみまして、それぞれの相対的なバランス、ここで は「総合費用率に対する構成割合」を見ることも重要ではないかというような結論が技 術作業委員会で得られましたので、それに対応してヒアリングの様式の中にそれを盛り 込んでおります。  それから、3つ目でございますけれども、「財政再計算における将来見通しとの比較に ついて」でございます。年金数理部会では、これまで決算のヒアリングにおきまして、 実績と平成11年財政再計算における将来見通しとの比較を行ってきましたけれども、平 成16年財政再計算における将来見通しの数字が各制度揃って出るのが平成17年度から ということでございますので、平成17年度の決算のヒアリングから実績等の比較は平成 16年財政再計算における将来見通しで行うこととなろうかと思います。  また、それに伴いまして、各種財政指標についても、実績と財政再計算における推計 値の比較を行っておるわけですけれども、それにつきましても、財政指標の推計値の算 出方法を平成16年財政再計算に基づいたものに修正する必要が生じてきておりますの で、これらの変更をヒアリングの様式に反映させるというものでございます。  以上がヒアリング様式の変更についてのポイントでございます。  以下、次のページから具体的にどのように変わったのかというのを変更後の様式を抜 粋をして掲載させていただいております。  1枚おめくりいただきたいと思います。これは様式例の1ページ目ということでござ いますけれども、冒頭のところに「平成○年度財政状況の概要」ということで5つ、5 年度分ございますけれども、実際には平成17年度財政状況の概況ということになります。 それから、平成13年度〜17年度までの5年度間の決算を記入することとなります。  変更点でございますけれども、左の収入の欄のところであります。左の収入の項目中、 収入総額の4つ下のところに運用収入というのがございますが、そのすぐ下に、「年金資 金運用基金納付金」というものを追加しております。これは17年度からこの数字が実際 に発生しておりますので、様式の中に取り入れるということでございます。  それから、収入項目の一番下の「その他」のすぐ上ですが、そこに「積立金より受入」 というものを追加してございます。  17年度の決算、厚生年金、国民年金の決算でございますが、その決算の項目といたし まして「積立金より受入」というものが収入項目として掲載されておりますので、それ に対応してヒアリングの様式もそのように変更するということであります。  次は、めくっていただきますと、様式の17ページということでございますけれども、 これ以降は財政再計算における将来見通しと実績との比較ということでございます。  17ページにおきましては、これは比較の部分の一番最初に出てくるページでございま すけれども、収入・支出項目の大きな大分類的な項目においてそれぞれ17年度の実績と 財政再計算の将来見通しとの数値についての違いを見ておるわけであります。今回の変 更点は将来見通しのところを、16年度までは平成11年財政再計算としておったところ を平成16年財政再計算ということに変更するということであります。  次は18ページでございますが、これも17ページと同様に将来見通しのところを、昨 年ヒアリングをしたものでは平成11年であったものが、平成16年財政再計算に変更し たということでございます。  19ページ目でございますが、これは具体的に財政指標の比較をこれ以降行っていくわ けでありますが、まず「年金扶養比率」ということでありますが、そこの上段のところ は実績を5年度分入れていただくわけですけれども、下の段、比較されるべき財政再計 算のところを従前の平成11年財政再計算結果から、平成16年財政再計算結果に変更し ております。  20ページ目でございますけれども、年金扶養比率を補完する指標として年金種別費用 率があるわけでございますけれども、従前は左部分のところの各老齢費用率、障害費用 率、遺族費用率の数値だけでございましたけれども、導入の趣旨にかんがみまして、こ れらの3種類の費用率のバランス関係を見ることが大切だということがありますので、 右の方にありますような「年金種別費用率の総合費用率に対する構成割合」というもの を追加させていただいております。  それから、21ページでございます。これは賦課的な保険料率を示すものとしての総合 費用率という財政指標がございますけれども、それについての実績と再計算の将来見通 しとの比較でございます。  同様に財政再計算のところを平成11年財政再計算結果から、平成16年財政再計算結 果に変更しております。  なお、上段の実績のところの注5とか下段の財政再計算の注4のところでございます が、ここは制度によって財政再計算が給付費の見込みとして基礎年金交付金が除かれて いる場合にはそのように記入してほしいということを注釈としてつけておりまして、制 度によって異なる可能性がありますので、こういう注釈をつけてございます。これは従 前からこのような注釈で様式が定められております。  それから、22ページでございますが、22ページは、次のページにあります私学共済の 場合と国共済、地共済の場合がございますけれども、まず国共済、地共済の場合でござ います。この部分につきましては、2段目のところに書いてありますように、総合費用 率のうち厚生年金相当部分に係る総合費用率についての実績と財政見通しでの比較を行 うというフォーマットでございまして、財政再計算のところを16年財政再計算結果に基 づいた推計値に変更しているということでございます。  それから、細かい話でございますけれども、下段の財政再計算の〔3〕のところでご ざいますが、この年金数理部会に、平成16年財政再計算の検証ということで各制度から 財政再計算結果をこの部会に報告してもらっておりますけれども、その報告された数字 の具体的なものを使って比較するわけでございますので、データが使えるように厚生年 金相当部分の給付費(追加費用部分を除く)と変更しております。細かい話でございます が、これまでの11年の再計算におきましては、厚生年金相当部分の給付費のところで財 政再計算が出ておりますのが追加費用を除く前のもので報告されておりましたので、そ れを使って計算をしておりました。今回報告されているのはこの〔3〕の追加費用部分 を除いたもので報告されておりますので、これを使って計算をするということです。計 算で使うデータは若干異なってきますけれども、目指すべき推計する対象といたしまし ては、全く変わっておりません。データが変わっただけでございます。  それから、22ページの私学共済でございますが、これも国共済、地共済と同様に財政 再計算を平成16年に置き直したということでございます。それから、データも提出され たものに合うように修正をしているということでございます。  23ページでございますが、今度は「独自給付費用率」のことについてでございます。 これは先ほど御説明いたしました総合費用率と同様の変更を行っております。  次の24ページの国共済、地共済のケースでございますけれども、これも総合費用率の 厚生年金相当部分に係るものについての変更と同様とございまして、平成16年の財政再 計算に置き換えていることと、そのデータを該当するものとして〔3〕のところに置き 換えるということでございます。  24ページ、私学共済についても同様でございます。  25ページの収支比率、26ページの積立比率につきましても、同様に財政再計算のとこ ろを11年のものから16年に置き換えたということでございます。それから、25ページ の実績の注4のところでございますが、これも私学共済の場合には、財政再計算の保険 料収入の見込みのところに都道府県補助金を取り入れておりますので、それを比較する 上では実績のところにもそれに合わせた数値が必要となりますので、私学共済にだけ特 殊な注といたしまして、注4を従来より形式の中に取り入れてございます。  資料の説明は以上でございますけれども、厚生年金、国民年金についても同様な変更 を行っておりまして、簡単でございますけれども、以上で資料1の説明を終わらせてい ただきます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対する御質問、御意見があり ましたらお願いいたします。 ○都村部会長代理 決算ヒアリング様式の変更点の第2点についてお尋ねします。総合費用率に対する構 成割合を新たに求めるということで、それは費用率の相対的なバランス関係を見るため とおっしゃったのですけれども、バランス関係というのは制度間比較なのか、時系列比 較なのか、あるいは何か基準みたいなものがあって老齢、障害、遺族の中の関係を見る のか、その意味を教えてください。また、総報酬ベースになってから、15年度、16年度 の老齢費用比率、障害費用比率、遺族費用比率と総合費用比率がわかっているので、そ の構成割合を求めると、例えば厚生年金では遺族費用率が高いとか、いろいろ特徴があ るわけです。この構成割合の動きの持つ意味みたいなもの、あるいはどのような背景が あるから、それほど変わっていない、あるいは変わるのだといった、この構成割合を追 加する意味のようなものを教えていただきたいと思います。 ○水上年金数理官 背景といたしましては、年金種別費用率、これまで導入されてから数年間とってきて おりますが、確かに老齢給付費用率とか障害とか遺族とか、年金種別の費用率そのもの はもちろん変化しておるのですけれども、その変化は何に基づいているかというと、ト ータルの総合費用率自身が変わってきているので、遺族費用率が上がってきているとか、 老齢費用率が上がってきているとかというふうに表れてきています。ただ、補完する指 標として導入した当初といたしましては、老齢だけでなくて遺族もありますねと、そこ にも注目しなくてはいけませんねということがあったわけですから、遺族自身が伸びる とか、老齢自身が伸びるということよりも、老齢のほかに遺族があると、その関係を見 ることもまた重要であるというふうな感じがありました。構成割合を見ますと余り変化 をしないところもあったりしますから、そういったところであれば、遺族費用が伸びて いるというよりも、総合費用、年金に係る費用そのものが増加しているのだと、こうい うふうにとらえるべきなのではないかという問題意識、背景にそういうこともあって、 補強する情報としまして、構成割合を入れてもいいのではないかというようなことで入 れさせていただいたということでございます。 ○都村部会長代理 総合費用比率には、3種のほかにその他の費用率が入っていますが、それの影響とい うのか、それはどうなのでしょうか。 ○水上年金数理官 確かにその他の影響もございますので、そこは構成割合だけですべて判断できるとは 全然考えておりません。あくまでも今までの情報をもう少し補強するような形で情報の 充実を図ったということでございます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。 ○宮武委員 25ページの私学共済の収支比率のところに、御説明あったように、赤字で「保険料収 入に都道府県補助金を含める」とございますけれども、現実に都道府県が私学に対して 保険料の部分で補助金を出しているのですか。 ○水上年金数理官 保険料の分というか、実績の決算でいいますと、「補助金収入」というのが項目として ありまして、それはこの部会へのヒアリングではその他の収入になっておるわけです。 けれども、私学の財政再計算、つまり制度改正を踏まえての将来見通しの計算をすると きには、従来から「保険料収入」という項目の中に、都道府県からの補助金を織り込ん だ上で計算しているというふうなことであります。実績と財政再計算の結果を比較する ということになりますと、どちらかに合わせなくてはいけないのですが、ただ、財政再 計算結果からは補助金分をはぎ取るということはなかなかできないということで、実績 の方を仕方がないので、こちらの財政再計算の方に合わせるということで入れているわ けです。 ○宮武委員 いわゆる公経済負担みたいな形ではないのですね。 ○水上年金数理官 ではないです。 ○山崎部会長 ほかにいかがでしょうか。熊沢委員。 ○熊沢委員 ページが飛んで21ページ、総合費用率というのがあるのですが、総合費用率のところ の左上のところ、総合費用率の算式が〔1〕−〔6〕を〔2〕で割っているという形で す。次のページの国共済、地共済の場合は、厚生年金相当部分に係る費用率が、左上の ところですけれども、〔1〕割る〔2〕から、〔6〕を引いていて、答えは同じになるの だと思うんですが、表面的にはちょっと違っているように見えます。これは何か理由が あるのですか。 ○水上年金数理官  つまり総合費用率のところの21ページで、〔1〕−〔6〕割る〔2〕ということなん ですが、22ページの国共済、地共済のところでは、〔1〕割る〔2〕で、〔1〕の中で、 既にその右横のところで〔6〕を引いておりますが、なぜ、そういうふうにしたかとい うことですか。 ○熊沢委員  はい。答えはいいと思いますが、見かけ上、ちょっと違うように見えてしまうのです けれども、何か意味があるのですかということをお聞きしているんです。 ○田村首席年金数理官  私からお答えします。計算上、結果的には意味がないというか、同じ意味になるはず です。1つ違うのは、ページが同じなので申し訳ないのですけれども、22ページの国共、 地共の方は、〔6〕として、国庫・公経済負担で注がありまして、これは1階と2階分で すよということになっています。  その次のページの私学の方は、〔3〕のところ、厚生年金相当給付費というのがありま す。これは注1とありまして、注1をご覧いただきますと、2行目に「なお」がありま して、国庫・公経済負担、追加費用はないですけれども、それに含まれないということ で、まず基本的にここで差し引いていますので、計算式がずれてくるということになり ます。  もう一つは、21ページの実質的な支出〔1〕でございますけれども、これは、後の方 の収支比率とか積立比率でも出てくる項目です。その辺とあわせて実質的な支出という のがあったので、これをまずひとまとまりにして、そこから意味的には国庫負担引かな ければいけませんということでやっているのが21ページのパターンです。22ページは、 そのうちの厚年相当部分だけですので、そういう使い道がないので、別のやり方をして いるということです。 ○熊沢委員 わかりました。 ○牛丸委員 今の関係するところですが、21ページは厚年ですね。それともこれは全制度ですか。 ○水上年金数理官 21ページは、各制度に共通するところであります。 ○牛丸委員 ここで実質的な支出を出すのは厚年だけでなく全制度から出てくるのですか。 ○水上年金数理官 そうです。財政指標には国民年金はなかったりするものがありますけれども、少なく とも被用者年金につきましてはほとんどの指標で実質的な指標は必要であって、それぞ れにおいて総合費用率とか、年金積立比率とか収支比率とかに使っております。 ○牛丸委員 初歩的な質問ですが、第1番目の変更の、これは制度が変わって、1ページのように それぞれの決算に合わせて項目を入れたということで理解いたしましたが、新しくとい いますか、運用利益が上がってきた。基準を超えたから「年金資金運用基金納付金」と いう項目が生きるわけですけれども、これと従来あった運用収入、この違いをちょっと 説明をしていただきたいと思います。 ○水上年金数理官  まず簿価ベースの話をしますと、例えば厚生年金、国民年金も同様なんですけれども、 厚生年金の簿価ベースの運用収入といいますと、特別会計の運用収入です。ですから特 別会計の外で行われている年金資金運用基金、今は独立行政法人になっていますけれど も、そこでの運用収益というのは入っておりません。  年金資金運用基金というのは、運用して年金の給付に資するというために運用してい るわけでありますので、ある一定の収益が上がりますと、それを特別会計の方に戻すと いう考え方でやっておるわけであります。それで特別会計の中に入ってくるお金といた しまして「年金資金運用基金納付金」という項目が出てくるわけです。 ○牛丸委員 従来の運用収入というのは特別会計の運用収入だけですか。 ○水上年金数理官  簿価ベースはそうです。時価ベースになりますと、厚生年金といいますのは、特別会 計だけで運用しているわけではなくて、外側にあるこの17年度時点では年金資金運用基 金でありますけれども、そこでも運用していると。そこで市場運用しているということ でありますので、特別会計のものと外側でやっている運用資金の運用収入、時価ベース になりますけど、これを全部トータルしたものを時価ベースの厚生年金の運用収益とし ているという関係でございます。 ○牛丸委員 それは新しく入ってくる納付金との関係はどうなんですか、外の話ですよね。 ○水上年金数理官  簿価ベースで見ますと、特別会計の中に外から納付金が入ってくる。ですから簿価ベ ースで言いますと、特別会計の中で運用していた結果の収益と外から入ってくる納付金 は別ものです。時価ベースになりますと、それは特別会計と外側の行き来だけの話にな りますので、実際余り意味がございませんので、決算の公表でもそこは調整をして決算 の時価ベースのものが報告されている、こういう状況になっています。 ○都村部会長代理 もう一つ、年金を受けている人の数をとらえるときに、受給権者でとらえるか、受給 者でとらえるかということについてお伺いいたします。受給権者の中には、例えば老齢 年金でいうと全額支給停止の人が入っているとか、遺族年金でいうと、例えば母親と子 供2人の場合には1人分の遺族年金に対して受給権者が3人になるとか、というような ことがあるわけですけれども、比率などを求める場合に、受給権者でとらえるというこ との意味はどういうことなのでしょう。括弧では書いてありますけれども、受給者でと らえた方が比率や推移を見る場合に実態に合っているような気もするのですけれども、 表で示されているのは受給権者ですね。 ○水上年金数理官  いろいろな考え方があるかもしれませんけれども、多分従来より「受給権者」と言っ ているのは、年金の権利を持っている人のカウントが大切だということがあろうかと思 います。それで受給権者をとっていると思いますし、実際に統計をとるに当たっても、 まず受給権者の把握というのがあって、その後で受給者、全額停止が何人いるかという 話になってきますので、まず統計として一番整備されているのが受給権者という話があ ろうかと思いますので、まずそちらの方をとっているのだと思います。  ただ、財政の意味でいえば、支給額の関係になってきますので、もし財政の状況を年 金ごとに見るということであれば、これは人数というよりもむしろお金のいくらかかる かということを見れば十分だということで今のような形になっているのだと理解してお ります。 ○山崎部会長 ほかにございますでしょうか。特に御意見がないようですから、次の議題に移ります。 「被用者年金一元化等の動きについて」であります。最近の動きについて厚生労働省よ り説明を受けたいと思います。それでは説明をお願いします。 ○大鶴年金局企画官  年金局企画官の大鶴でございます。私の方から説明いたします。資料2-1、2-2、2-3、 2-4ということで、被用者年金の一元化に関する最近の動向についての御説明資料を用 意しております。  資料2-1の「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正 する法律案(仮称)の概要」をベースに御説明したいと思います。  この法律案自体、まだ仮称という状況でございまして、まさに政府部内で調整中のも のということで御了解いただきたいと思います。 法律案の趣旨でございますが、被用者年金制度の一元化について、平成18年4月(昨 年4月)の閣議決定及び年末(12月)の政府・与党合意に基づいて制度の安定性・公平性 を確保し、公的年金全体に対する国民の信頼を高めるため、共済年金制度を厚生年金保 険制度に合わせる方向を基本として行う。これにより、民間被用者、公務員及び私学教 職員を通じて、同一保険料、同一給付を実現するということが法律案の趣旨になってお ります。  資料2-2を見ていただきますと、ここに昨年4月の閣議決定の概要と、2枚目からは、 昨年暮れの政府・与党の決定、「被用者年金一元化の基本的な方針と進め方について」の 資料を入れております。  概要をそれぞれについて申し上げますが、資料2-2の閣議決定につきましては、まず 主な内容としては、保険料率について厚生年金に統一すること。あるいは共済年金と厚 生年金の制度的な差異を解消すること。あるいは共済年金にある公的年金としての3階 部分(職域部分)を廃止することと、人事院による調査を踏まえて、新たな公務員制度と しての仕組みを制度設計すること。それと追加費用の削減のため、税財源である恩給期 間に係る給付について、引き下げを行う。ただし、一定の配慮を行うというようなこと が4月の閣議決定でございました。  12月、昨年暮れにおきましては、2ページ目をおめくりいただきますと、そうした4 つの項目のほかに、さらに制度的な差異について、老齢年金の在職支給停止についての 調整、あるいは障害年金の在職支給停止についての調整などが行われ、また、文官恩給、 郵政公社などの追加費用と並んだ改正内容が閣議決定されております。  それと、次のページを見ていただきますと、制度体系、事務組織、積立金の管理・運 用についての取りまとめなどが行われております。  恐縮ですが、戻りまして2-1、法律案の概要でございます。  主要事項としまして、まず「被保険者年金の大宗を占める厚生年金に、公務員及び私 学教職員も加入することとし、2階部分の年金は厚生年金に統一する」ということを決 めております。具体的には、公務員及び私学教職員についての適用除外規定を削除し、 厚生年金保険制度を適用することとなります。  参考資料2-3、16ページを見ていただきますと、現在、厚生年金保険法におきまして は、使用される方すべてについて、本来、厚生年金保険の被保険者となることになって おりますけれども、この12条の適用除外によりまして、一号、国、地方公共団体又は法 人に使用される者であって、次に掲げるものの中で、ロ 法律によって組織された共済 組合の組合員、ハ 私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者 が、厚生年金保険の被保険者としないということになっておりまして、こうした適用除 外規定を削除するという内容になっております。  資料2-1に戻りまして、2つ目の主要事項でございますが、「共済年金と厚生年金の制 度的な差異については、基本的に厚生年金に揃えて解消する」。  上記〔1〕により、公務員等に厚生年金保険制度を適用し、共済各法における共済年金の 規定を削除する結果、共済年金にある遺族年金の転給制度は廃止する。また、老齢給付 及び障害給付に係る在職中の支給額の減額(支給停止)については、厚生年金の取扱いに 統一するということが決まっています。  制度的な差異の概要につきましては、資料2-3の1ページに挙げておりますが、被保 険者の年齢制限、厚生年金と共済年金で違っておりまして、厚生年金は70歳までとなっ ております。そのほか、老齢給付の在職支給停止などが挙がっております。  具体的に老齢給付の在職支給停止について、この資料の2ページ目をめくっていただ きますと、表がございまして、厚生年金受給権者が厚生年金の被保険者となったとき、 あるいは国共済・地共済の年金受給権者がそれぞれの制度の被保険者となったときの在 職支給停止の関係規定が何通りか分かれることになっておりますが、それについて取り 扱いが異なるということが見てとれます。この中で、基本的には厚生年金受給権者の方 が厚生年金被保険者となった場合の取扱いで全制度通じて統一するということが改正内 容となっております。  もう少し見ていただきますと、64歳までの厚生年金被保険者になったときは「△」で ありまして、これを「低在老」と言っております。厚生年金受給権者が65歳以上になっ たときは「○」でありまして、これは「高在老」と言っております。低在老と高在老は 具体的にどのような違いがあるかということですが、4ページ目を見ていただきますと、 これは横軸が賃金の軸でございまして、縦軸が賃金と年金の合計額ということで、賃金 が多くなる場合に年金がどのように変化するかを出した資料でございますが、年金月額 10万円の方が、賃金18万円ある場合に28万円となって、それ以上賃金をもらえるよう な方については、緑色の線で支給停止が開始されるということがあります。28万円を超 えた場合に超えた額の半額を支給停止にするということで支給停止が行われる。それに 対して48万円、年金額と賃金を足して48万円を超えた場合に在職支給停止が行われる という2通りのケースがございます。28万円を超えた場合、厳しい在職支給停止という ことになりまして、48万円を超えた場合、緩やかな在職支給停止となります。  ここの4ページのタイトルを見ていただきますと、「60歳台前半の公務員OB等に対す る年金支給停止の強化」ということで、現在60歳台前半の公務員OBにつきましては、 現状赤い線で、48万円を超えた場合に在職支給停止がかかるという措置について、今回 の厚生年金の制度と合わせました場合には28万円を超えてからの在職支給停止がかか るということで、公務員OBにとっては年金支給停止の強化になる内容となっております。 基本的には、厚生年金受給権者、厚生年金の制度に揃えてこうした整理をするというこ とであります。  また、2-3の資料の40ページに「転給制度」がございましたが、「遺族共済年金の転 給制度でございますけれども、遺族共済年金を受給するができる遺族は厚生年金と同じ 〔1〕〜〔4〕までの方でございますけれども、共済年金の場合には、先順位者が失権した場合 に、次順位者にも支給される転給があるということであります。  具体的にはこの事例で挙がっておりますけれども、厚生年金の場合は配偶者が亡くな ったときは失権するということですけれども、共済年金は配偶者が亡くなった場合、再 婚した場合に母が年金の受給権を得るというようなことで、公務員と民間の年金の間で の差異がございました。こうしたものについて厚生年金に揃える改正を行うという内容 でございます。  資料2-1に戻りまして、あと共済各法の取扱いに合わせ、国会議員及び地方議会議員 に対する支給停止を規定するということで、これについても、厚生年金におきましては、 基本的に自制度の被保険者である間は支給停止するという考え方でございますので、国 会議員に歳費が支給されると、あるいは地方議会議員に年俸が支給されるというような 場合であっても、支給停止はされておりませんでしたけれども、共済年金におきまして は、こうした歳費等につきまして給与所得扱いであるということで、支給停止をする仕 組みとなっておりました。これにつきましては、共済各法の取扱いに合わせて厚生年金 法の中でも支給停止を規定するということを考えております。  資料2-1、2ページ目でございますけれども、主要な改正事項3つ目、「共済年金の1・ 2階部分の保険料を引き上げ、厚生年金の保険料率に統一する」。  平成22年から1・2階部分の保険料率の統一を開始し、公務員共済については平成30 年、私立学校教職員共済については平成39年に厚生年金の保険料率(18.3%)に統一とい うことが挙がっております。  これにつきましては、資料2-3の35ページでございますけれども、黄色い線が厚生年 金が18.3%の上限まで毎年度0.354%ずつ引き上がっていく料率です。これに対して国 共済と地共済の料率が書いてありますが、緑色が国共済・地共済の3階部分までのもの、 青色が国共済・地共済の2階部分までのものということになっています。国共済と地共 済が現在料率が異なっておりますが、これが青字で見ますと公務員共済の保険料率が平 成21年に統一されるということで、2階部分、3階含めた料率、それぞれ平成21年に1 本にまとまります。この後、平成22年からそれぞれ共済年金についての料率を厚生年金 に近づけるということが開始されます。具体的には、3階部分を含めた保険料率、 15.508%まで、2階までの保険料率として引き上げるということになっています。  平成22年の後、厚生年金と同じ0.354%ずつ共済年金について保険料率を引き上げま して、平成30年に厚生年金と同じ料率になるという予定になっております。  36ページでは、私立学校の共済の保険料率につきましても、同様に平成22年から、2 階から3階に、3階の料率と同じ料率まで2階の料率を引き上げまして、厚生年金と同 じ引き上げ幅で引き上げていって、平成39年に厚生年金と同じ料率に引き上がるという スケジュールになっております。以上、保険料率の引き上げを行って、厚生年金の保険 料率に統一するという内容でございます。  もう一度、もとの資料2-2に戻りまして、制度全体の給付と負担の状況を国の会計に 取りまとめて計上し、国民に開示するということが財政的な面で挙がっております。こ れにつきましては、先ほどの資料2-2の4枚目でございますけれども、先ほどの「制度 体系、事務組織、積立金の管理・運用について」での(2)でございますけれども、「1・2 階部分の保険料収入及び積立金を被用者全体の共通財源とする。また、制度全体の給付 と負担の状況を国の会計にとりまとめて計上し、国民に開示する。さらに、制度全体を 通じた財政検証を定期的に実施する」ということで、その中につきまして、給付と負担 の状況を国の会計に取りまとめて計上するということを決めております。具体的には厚 生保険特別会計の改正によりまして共済との財政のやりとりを行うということになって まいります。  〔4〕でございますけれども、「事務組織については、効率的な事務処理を行う観点から、 共済組合や私学事業団を活用する」。  標準報酬の決定・改訂、保険料の徴収、保険給付の裁定等を行う主体として、厚生労 働大臣に加え、共済組合等を規定する。  厚生労働大臣は、各所管大臣を経由して共済組合等に拠出金等に関し必要な報告を求 めるほか、各所管大臣に対し、その報告に関し監督上必要な命令や監査の実施を求める ことができることとするとなっております。  事務組織につきましては、先ほどの2-2の資料、財政の共通財源とするという項目の 下、4枚目でございますけれども、8.の「(3)事務組織については、無駄な投資を避け、 効率的な事務処理を行う観点から、共済組合や私学事業団を活用する。即ち、これらの 事務組織が、共済組合員等に関する保険料徴収、積立金の管理・運用から年金給付まで の一貫した厚生年金の事務処理を分担する」ということで、組織を活用するということ にしております。  具体的な事務処理につきましては、資料2-3の21ページで挙げておりますが、厚生年 金につきましては社会保険庁、あるいは日本年金機構。国共済については、国家公務員 共済組合連合会、地共済は地方公務員共済組合連合会、また68共済組合、それぞれ地方 職員共済組合、公立学校共済組合などがございます。私学共済につきましては、日本私 立学校振興・共済事業団がそれぞれ事務を分担する実施機関となります。  戻りまして、主要事項の5つ目でありますけれども、「共済年金にある公的年金として の3階部分(職域部分)は廃止する」。  職域部分に関する規定の削除。  新3階年金については、平成19年中に検討を加え、その結果に基づいて別に法律で創 設し、職域部分の廃止と同時に実施するという趣旨を規定ということで、今回は先行す る職域部分の廃止をまず行い、新3階年金については今年度中に検討して、法律で創設 するということについて、そうした趣旨を明記した規定を附則に設けるということにし ております。  主要事項の〔6〕でございますけれども、「追加費用削減のため、恩給期間に係る給付 について27%引き下げる。ただし、一定の配慮措置を講じる」。  追加費用の削減に関する規定の整備(文官恩給、旧三共済も同様)。  税財源である恩給期間に係る給付について、本人の負担の差に着目して27%引き下げ る。ただし、一定の配慮措置については、給付額に対する引下げ額の割合が10%を上回 らないこと、減額後の給付額が250万円を下回らないこととすることしております。  これにつきましては、資料2-3の12ページを見ていただきたいと思います。  12ページが、国家公務員共済年金の追加費用、13ページが地方公務員共済年金の追加 費用でごさいますけれども、国家公務員共済の施行の前、恩給期間につきまして、国等 の負担が追加費用という形で共済制度に対して出されておりまして、これについては恩 給期間に係る給付に寄せる費用として国が負担をしているものです。国家公務員共済は 昭和34年、地方公務員共済は昭和37年から共済期間に入っております。  具体的に追加費用の減額の考え方ですけれども、その前の11ページを見ていただきま すと、基本的考え方としましては、恩給期間に係る給付(追加費用財源)については、負 担に見合った水準まで27%減額することになっております。ここの絵の中で、共済が発 足する前後で、それぞれ事業主負担、本人負担がございました。恩給期間につきまして は、この本人負担について、4.4%のところが2%まで引下げられておりました。トータ ルで見ますと、8.8%の負担について、6.4%の負担であったということで、この負担に 見合った水準ということで全体の27%が恩給期間について負担が少なかったのではな いかということから27%の減額となっております。  ただし、この配慮措置でございますけれども、給付額減額率の上限として、恩給期間 と共済期間の合計によります給付額に対して10%以上の削減をしないという上限を設 け、あるいは減額対象について250万円以下の給付は減額しないということで下限を設 けております。  資料戻りまして、3ページ、文官恩給については、追加費用の減額の方法との均衡を 考慮し、給付額を10%引き下げる。ただし、減額後の給付額は250万円を下回らないこ ととする、ということで、共済期間のない恩給期間のみの文官恩給につきましても、こ うした共済期間がある公務員との均衡から、同様の改正をするということにしておりま す。  郵政公社、NTT、JT及び(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構等が負担している税負 担ではない追加費用に係る恩給期間の給付についても、税負担による追加費用に係る恩 給期間の給付と同一の減額を行うということで、今回の制度改正全体が、同じ報酬であ れば同じ保険料負担による同じ給付をするという考え方の一環として、こうした税負担 でない追加費用に係る恩給期間の給付についても同様の減額を講ずるということを考え ております。  (2)で、先ほどの主要な事項とあわせまして、被用者年金制度の一元化に当たりまして、 被用者の範囲を決めるということから、「被用者年金制度の一元化の対象とする『被保険 者』の範囲の見直し」ということが改正事項として考えております。これは具体的には パート労働者に対する社会保険の適用対象範囲を拡大するという内容でございまして、 現在具体的な拡大の仕方については検討中ということで、審議会でも御議論いただきま して、現在厚生労働省案として、政府・与党におきまして検討しているところでござい ます。  具体的な被保険者等の範囲の基本的事項について法定することとしており、政省令に 委任する部分も一部あるかと思っておりますが、その範囲を現在検討しておるところで あります。  具体的なパート労働者の厚生年金適用拡大についてということで、資料2-2と2-4を 挙げております。  審議会のワーキンググループにおきましても、パート労働者に対する厚生年金適用拡 大について御議論いただきまして、それを踏まえまして、3月13日に厚生労働省から案 としてパート適用の拡大についての考え方を与党に対して提示しているものでございま す。資料2-4の1ページ目でございますけれども、基本的な目的ということで申し上げ ますと、パート労働者が社会経済においてその役割や比重を増していく中で、その被用 者にふさわしい年金保障を充実することは、今日の均衡待遇を確保するための労働政策 の展開とともに、将来の老後生活における格差を拡大、固定させないための喫緊の政策 課題となっている。  現行の厚生年金の適用基準は、パート労働者が正社員になろうとする際の保険料負担 の発生により正社員就業を妨げているとの指摘や、労働時間・雇用形態の選択に中立的 でないなどの指摘もなされている。  こうした諸課題に対応し、国民皆年金を堅持し公的年金制度に対する国民の信頼を高 める観点から、以下にあるようなことで、パート労働者に対する厚生年金の適用を拡大 するということで、適用拡大を提案しています。  また、既に適用対象とされている者を含め、法令上の根拠を明確にし、厚生年金の適 用の徹底を図っていくということを述べています。  「1. 厚生年金の適用拡大に関する基本的考え方」としましては、労働の報酬により生 計を営み、老後は稼得手段を失う可能性が高い被用者については、出来る限り被用者年 金制度の対象とする。  具体的には、労働時間等の面で正社員に近いパート労働者に労使折半で適用するとい う現行制度と同様の考え方の下に、厚生年金の適用範囲を拡大することとしております。  「2. 適用基準の見直し」でございますが、現在の基準である「通常の労働者の所定労 働時間の4分の3以上」という労働時間に関する要件について「週所定労働時間が20 時間以上」まで引き下げることとしております。  これによって新たに対象となる「週所定労働時間が20時間以上で、通常の労働者の4 分の3未満であるパート労働者」については、所定労働時間に関する要件と他の要件と を組み合わせて、厚生年金の適用対象とする「被用者」を総合的に判断するということ で考えております。  また、現在の4分の3基準により既に厚生年金の適用となっているパート労働者につ いては、引き続き、現行の基準を継続するというふうに考えております。  ここで、20時間から4分の3までの「3. 新たに対象となるパート労働者の適用基準」 の具体的な内容としましては、先ほどの所定労働時間20時間以上を基準としまして、賃 金水準、勤務要件を判断要素として加える。  「(1) 労働時間」としては、本人が被用者としての就労実態を備えているか、事業主 の事業活動と一定以上の関係性を有しているかを判断する最も基本的な要素であり、週 労働時間を考えておりまして、法定労働時間(週40時間)の半分である「週所定労働時間 が20時間以上」とするということを基本としています。  「(2) 賃金水準」につきましては、国民年金の給付・負担との均衡、既に厚生年金が 適用されている他の労働者との関係、パート労働者自身の保険料負担感への配慮という ことから、一定以上の賃金額がある者に限ることとしております。  こうした国民年金の保険料水準、あるいは給付等の関係、既に厚生年金の方で保険料 を負担している方など等の関係で、当面、現行の厚生年金適用対象者に係る保険料負担 の基準(標準報酬等級)の下限の額「月額98,000円」以上の賃金を得ていることを要件と するというふうに考えております。  「(3) 勤務期間」につきましては、事務負担を負うこととなる事業主などの観点から、 頻繁な入離職とならない一定期間以上の雇用関係を備えた者に限るということで、雇用 保険のパート労働者の適用基準の例を踏まえ、「1年以上」の勤務期間があることを要件 とするということを考えています。  また「4. 経過措置」としましては、適用拡大による事業経営への影響は、事業規模が 小さいほど相対的に大きいと考えられることから、激変緩和のための所要の措置を講じ るということで、具体的には、従業員「300人」以下の中小零細事業所の事業主につい ては、当面、新たな基準の適用を猶予する。こうしたそれぞれの基準を組み合わせまし て、適用対象者を新たな基準を適用していくということを考えています。  「5. その他」ですけれども、これとあわせまして、健康保険・介護保険についても、 被用者に対する社会保険制度としての一体的な運用を行っていることから、適用対象を 厚生年金と同様に拡大するというふうに考えています。  「6. 施行時期」としては、制度の周知や企業の対応、行政実務の対応などの観点から、 日本年金機構の発足も見据えまして、適切な期間を経て、スタートするというふうに考 えておりまして、今回のこの基準にあります新たに適用拡大となる対象人数としては、 10万〜20万人、あるいは事業主負担へは200〜300億円程度と見込んでおります。  現在のこの基準、厚生労働省の案をベースにしまして、政府・与党でなお検討を進め ている段階でございます。  もう一度、資料2-1に戻っていただきまして、そうしたことで、「その他」のところだ け少し色を変えて検討が進められているところということで書いております。  施行時期でございますが、被用者年金制度の一元化の実施時期は、平成22年度を原則 とする。保険料率統一の翌年から保険料率が引き上がるということで、平成22年度を原 則とします。ただ、追加費用、あるいは文官恩給の減額につきましては、それよりも先 駆けて再来年の平成20年度から実施すると。また、新たな公務員制度としての仕組みに ついては、検討結果を踏まえて、平成22年度から全体の実施に合わせて実施するという ことを考えております。  以上、年金の一元化についての具体的な法律として、今国会に提出することを今進め ておりまして、その案の概要ということで御説明申し上げました。以上でございます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御質問、御意見がございま したらお願いいたします。 ○牛丸委員  3階部分を廃止ということになりますと、結局最終的には厚生年金1つというふうに 考えてよろしいのでしょうか。もちろん徴収とか、そういうことに関して従来の共済組 合的な組織というのですか、そういうものを利用しながらも、最終的に積立金あるいは 年金財政ということに関していえば1つというふうなものを将来的には考えていらっし ゃるのでしょうか。 ○大鶴年金局企画官 公的年金としての年金としては厚生年金に統一されるということになっております。 財政的にも厚生年金の保険料を徴収し、厚生年金という給付を行っていくということで、 1・2階部分につきましては、厚生年金に統一されるというふうに考えております。 ○牛丸委員  3階部分にかわるものは別としまして、いわゆる従来的な独自給付的なものは、そう しますと一切ないわけですね。いわゆる公的年金1階・2階という形では1つのものに なると。組織が残ったとしても、それは徴収とか、そういう機能を果たしているところ にすぎないと、そういうものを目指していると考えてよろしいのでしょうか。 ○大鶴年金局企画官  1〜2階部分については統一されることになっておりまして、制度的な差異については、 経過的なものが引き続き残っていくというふうに考えております。 ○牛丸委員 2-1の資料の2ページの〔3〕の下に、「制度全体の給付と負担の状況を国の会計にと りまとめて計上し、国民に開示。【特会法の一部改正】」ということが書いてありますが、 これは従来の特別会計みたいなものを念頭に置いて、そこに1つ大きな公的年金の財政 というものを示そうと、こういうことでしょうか。 ○大鶴年金局企画官  現在も厚生保険特別会計、国民年金特別会計がございまして、今回、特別会計の見直 しにおきまして、年金の勘定も整理されることになっておりますけれども、さらに、一 元化では、そうした年金勘定の中で、すべての厚生年金、先ほどの公務員に係るもの、 あるいは私立学校教職員共済組合に係るものの保険料なり給付についても、全体がそこ の財政の中に集約されていくというようなことで特別会計を見直すということを考えて おります。 ○牛丸委員  先ほど説明いただいた中で、それを検証するというような、そういう機関の話がどこ かに書いてありましたね。これはどこが担当することを念頭に置いていらっしゃるので しょうか。 ○渡邉年金局長  まだ、法案を固めてないのにいろいろ中身の御質問がありますけれども、ここでいう 検証というのは、いずれにせよ厚生年金という大きな傘をかぶった2階の制度に関して も、1階も含めてですが、公的年金全体の財政検証というのは必要になります。なぜな らば、今、厚生年金には財政検証規定が入ってございます。その中では、今後は、厚生 年金に変じた共済年金も含めた財政検証というものを厚生年金法に基づいて国が義務づ けられることになりますので当然やってまいります。ただ、おっしゃる趣旨は、もう一 段難易度の高いことをおっしゃっておられて、一体厚生年金における財政検証というの は、既に年金部会で始めていることを踏まえたときに、一体どう考えればいいのかとい う御質問だと思います。そこのところはまだ結論を得ておりませんが、いずれにせよ、 厚生年金保険法に基づいて財政検証はしなければいけないということをここでは書いて おります。  別途、そういうものとは別に、この年金数理部会で行っている仕事、その機能という ものを、この一元化がスタートした平成22年度以降、どんな形で位置づけていくのかと いうことについては、これからの検討課題だというふうに考えております。 ○山崎部会長 ほかにございますでしょうか。 ○熊沢委員 先ほど牛丸委員が質問されたことに関連するのですが、資料2-1の2ページ目の〔3〕 のところ、「制度全体の給付と負担の状況を国の会計にとりまとめて」というところの説 明で、厚生年金の特別会計を変更するというような説明と受けとめたのですが、従来の 財政単位での決算の様なものは残って、その上にさらに共済も含めた制度全体の決算を 行うのでしょうか。厚年特会の決算自体が全部含めたものに新たに変わるような説明を されたのですけれど、そういう理解でいいのでしょうか。 ○大鶴年金局企画官 それぞれの実施機関が引き続き分担するということがありますので、それぞれの実施 機関の収支というのはそれぞれの実施機関できちんとされる必要があると思いますけれ ども、その実施機関全体を含めて国の特別会計の中で厚生年金の給付と負担の状況を取 りまとめるというふうに考えております。それぞれの実施機関でのものがなくなるとい うことではなくて、実施機関として分担して、先ほど申し上げましたように、保険料徴 収から給付まで、組合員とかそれぞれの組織の中での方については一体的な運営をされ るということがありますので、そこでの収支についてはそれぞれできちんとしていただ きますとともに、国全体、厚生年金全体としての収支を国の会計の中で明らかにしてい く必要があるというふうに思っております。 ○渡邉年金局長 補足します。まだ、法案要綱も何もお示ししてないので説明が難しいのですが、ここ のページの〔4〕にちらっと出ているのですけれども、「厚生労働大臣は、各所管大臣を 経由して共済組合等に拠出金等に関し必要な報告を求める」と書いてございます。ここ で「拠出金」という言葉が出てきておりますが、実施機関は分担実施機関としてやって いただきながら、そちらから納付された保険料を一定のルールに基づいて年金特会に拠 出金として納付していただく新たな拠出金、そして各実施機関の給付の財源としての交 付金、こういう大きなフローがここで発生するということを言っております。したがっ て、その限りにおいて、年金特会に、今度特会法で改められますが、そこの中にも拠出 金が入って交付金が出て行く、こういう財政モデルを念頭に置いているということでご ざいます。 ○牛丸委員 そうしますと、従来の共済には積立金は存在するのですか。 ○渡邉年金局長 積立金につきましても分担運用するということになっておりますので、存在はいたし ますが、全体の共通財源として、その運用方法等について厚生労働大臣が中心的な役割 を果たすことになります。 ○牛丸委員 積立金を持っていても必ずしも従来のような独自運用ということではないのですね。 ○宮本大臣官房参事官 4月28日の閣議決定の要約版を資料2-2のところにつけておりますが、要約版なので 詳しく載っておりませんけれども、まず閣議決定いたしましたときに、積立金につきま しては、位置づけとしては厚生年金の1・2階、今持っている積立金全部が1・2階用で はなくて、共済独自のものがございますので、お手元の資料2-3の30ページに原文が載 っておりますけれども、「5. 積立金の管理・運用」という項目ございまして、原則とし ては、今、各共済が持っている部分のうち、積立金の目的が必ずしも全部1・2階用では ございませんので、一旦まず仕分けをすると。その上で、1・2階部分とされたものにつ いては原則としては厚生年金の運用のために厚生労働大臣が音頭をとりながら全体を統 一すると。  今、御指摘のありましたような独自運営につきましては、これはこれとして、過去い ろいろな経緯の下で歴史のある部分としてありますので、一律にだめだということには なかなかできないということで、(2)にございますように、独自運営の部分については、 ある程度必要な範囲で確保するという形での若干の制約を設けながら、しかし全体とし ては積立金の運用の在り方、評価につきまして、厚生労働大臣が各関係する大臣の御協 力をいただきながら、取りまとめを行い、検証を行うという制度設計をしたいと思って おります。 ○山崎部会長 ほかにございますでしょうか。せっかく局長がおられますので、最新の状況をお聞き できると思いますから、どうぞ御遠慮なく。 ○都村部会長代理 現行制度では、地共済などは年金の個人情報を被保険者に通知していないようですけ れども、一元化されたら、すべての被保険者に対して、年金の個人情報は通知されるよ うになるのでしょうか。 ○大鶴年金局企画官 社会保険庁におきましても、年金定期便の開始とか、被保険者情報を被保険者に対し て進めていくというのを取り組んでおりますけれども、これは基本的にそうした実施主 体がどうやって被保険者に対して情報提供するかということでございますが、今のとこ ろは、別にそれぞれの組織の中でどうやって被保険者とそうしたコミュニケーションを とっていくかということでございますので、この法律が一本になったからといって一律 にするというのが合理的かどうか、それぞれの実施機関は医療の制度ですとか、様々な 運営の中での被保険者管理を行う中で、今回事務を分担することになっていますので、 それぞれの実施機関においての最も合理的かつ有効な被保険者への情報提供をやってい かれることになるのではないかと思っております。 ○山崎部会長  ほかにございますか。   ○牛丸委員 そうしますと、実質的な徴収とか、そういうものに関しては共済の場合には変わりな いということですね。中のお金の流れは変わりますが、社会保険庁が改革されて、厚生 年金の場合にも徴収方法が新しい制度になって行われますよね。それが行うのでなく、 保険料徴収とか年金給付に関しては従来の共済組合の経路を通してやると。ただ、中身 のお金は、1・2階部分に関しては、全く厚生年金と同じものであるけれども、入り口、 出口のところは従来の制度を通していくと、こういうものを想定されていらっしゃるの でしょうか。 ○大鶴年金局企画官  基本的にはそういうことを考えております。厚生年金の保険料をそれぞれの実施機関 が徴収するという形に変わるということですけれども、具体的に今やっている事務をそ のままうまく移行していただくことになると思います。   ○牛丸委員  最終的にはそれぞれのところが持っているのでなく、従来の社会保険庁のように中央 に集中させるわけですね。   ○大鶴年金局企画官 今の状況で言いますと、それぞれの組織の中で被保険者の管理をシステムとしてやっ ておりますので、そうしたシステムの中での管理がまず基本的に当面の移行ではないか と思っております。こうしたものをどういうふうにしていくかということについては、 今後、情報処理の技術がどういうふうに変わっていくかということも含めまして、あわ せまして、利便性が高くてより効率な事務処理をすることは今後の検討ということで必 要になってくると思っております。 ○山崎部会長 ほかにございませんでしょうか。私の方からちょっと、せっかく局長がおられるので お聞きしたいのですが、追加費用の問題で、給付を率でいうと27%削減するということ についてです。昭和60年改正以来、一元化の流れがあり、給付を共済も厚年も抑制し、 さらに制度間の給付の重複もかなり調整してきたわけです。その過程でも恩給だけは一 切手をつけなかったのですけれども、今回、文官恩給についても削減するということな んですね。これは画期的なことだと思いますが、恐らく今までは政治的に非常に困難な 状況もあったかと思うんですが、あえて言いますと、そこまで来ると、軍人恩給に一切、 今回手をつけないのはどのように国民に説明したらいいのかという感じがいたします。 よろしくお願いします。 ○渡邉年金局長 公的年金制度の一元化ということの厳密な定義には、現時点でも私どもも与党も追加 費用の問題というのは入らないというふうに考えております。別の趣旨のものである。 ただし、より今日的、現役に近くなればなるほどこうした一元化というものの影響を受 ける。そういう給付と負担の状態になるという中で、現役とかなり同質的な事務を行っ ていたと総括的に判断される文官、あるいはもう軍人というのはない時代でございます から、その後の公務員に対する共済に切り替わった後の税負担で対応してきた部分につ いては、政府・与党としてのある種の思い、平仄をとろうという観点から、一元化の厳 密な定義に入らなくてもこの際、手をつけるべきであるという観点から手をつけ、バラ ンスを図らせていきたいということであります。 「その際」という判断でございますので、ある意味で総合判断の結果となるわけです けれども、今の公務員につながってくる流れの方々と、当時、軍役に服した方々を中心 とする軍人恩給という部分については、総合判断において異なる扱いをして差し支えな いのではないかという観点で別扱いをされています。もとより軍人恩給といい、文官恩 給といい、今は80代後半の方、その他でございますが、個々の個人がそのとき、どうい うポジションで何をしていたかというようなことは、当時の制度の中でも非常に複雑に 入り組んでおるのが現実だと思います。現時点で総括的に総合判断領域の分野として、 文官と追加費用部分、そして軍人恩給と分離して考えるということでございます。 ○山崎部会長 ありがとうございました。そのほかございませんか、栗林委員。 ○栗林委員  今のパートの適用なんですが、給付の方はどうなるのでしょうか。パートの場合、ど ういう計算でパートに対する給付は行われていくことになりますでしょうか。 ○大鶴年金局企画官  パートの適用ですけれども、パート労働者として、こうした基準を設けて、適用対象 を考えるということにしておりますけれども、適用対象となった場合に、その方をほか の方と違うような扱いということにはなりませんで、同じように報酬に応じて保険料徴 収し、その報酬に応じた給付を行うという点では、これまでの適用していた方と変わら ない形での給付と負担となります。 ○山崎部会長 ほかにございますでしょうか。それでは、また私の方から。従来、4分の3要件とい うのは、実は労働時間が4分の3以上であることとともに、労働日数についても4分の 3がかかっていたと思うのですが、今回は新たに適用拡大する場合には、労働時間20時 間以上だけを基準にしているのでしょうか。日数は今回は関係ないのでしょうか。 ○大鶴年金局企画官 今回の新たな基準としましては、週所定労働時間が20時間ということで、基本的には 労働時間についての基準は1本でございます。ただ、従来のこれまで適用していた4分 の3要件というのは残しまして、その間は20時間から4分の3までということになりま す。20時間の短い方については1本の基準で適用していく方が明確でよろしいのではな いかということで1本の基準を考えております。 ○山崎部会長 わかりました。新たに適用拡大する分については、20時間以上という週労働時間だけ で判断するというわけですね。 ○大鶴年金局企画官 20時間で、ほかの要件と組み合わせながらの判断でございまして、労働時間としては 週労働時間に換算しての適用ということになってまいります。 ○山崎部会長 それから、標準報酬9万8,000円以上、つまり、今の一番下の等級以上の報酬に限定 しておられるのですが、現在の4分の3要件で適用している人の中には、5万、6万の人 もいますよね。ところが新たに適用拡大する場合は9万8,000円以上とすると、ちょっ と整合性がとれなくなるような気がするのですが。 ○大鶴年金局企画官 労働時間が長い場合には労働者として相当程度の時間を労働に従事されているという ことですけれども、20時間から適用という場合には、労働時間だけではなくて、ほかの 要件も見て、総合的に厚生年金の対象とすべきかどうかを判断すべきではないかという ことがまず基本的な考え方としてございます。その上で、正社員並みの賃金水準を得て いる方ということで、今の適用基準におきます標準報酬の最下限ということでの水準を 賃金の要件の水準として考えたところでございます。 ○山崎部会長 わかりました。ほかにございますでしょうか。牛丸委員。 ○牛丸委員 パート労働者を社会保険の中に取り入れるということは、パート労働者の立場といい ますか、将来的な給付のことを考えますと結構なことなんですが、一方から見るとそう で、逆から今度見ますと、額によると思いますけれども、配偶者の在り方、それから外 れて独自に払うということになる人もいると思うんですね。これは年金のみならず将来 的には健康保険・介護保険というふうにお話がありますけれども、そういう方向という のは、逆に見ると、制度への関与を個人化していくように見えるのですけど、何か、別 の視点から見るお考えみたいなのはあるのでしょうか。もちろん最初に言いましたよう に、社会保険にこういう方策を取り入れること自体は方向性としては結構なことだと思 いますけれども、社会保険に対する従来の扶養者と被扶養者というのですか、その単位 でもって社会保険に対応していたものから、それをもう少し限定していくという、その 辺の考え方を伴いながら今回の案を作られたのか、何かそういうお考えがあればお聞か せいただきたいのですが。 ○大鶴年金局企画官 今回の適用拡大によりましていろいろな効果が起こると思いますけれども、基本的に は現在の労働によって報酬を得ている方に対する報酬比例年金を保障していくというの が一番基本となる考え方でございます。そのときに、労働者として一人ひとりこうした 要件に合うかどうかというのを考え、労働者として、その人の報酬に応じて受けるとい う意味では個人としての年金における独立、今、委員がおっしゃられたような効果が別 途起きているということはあるかと思います。基本的にはこうした労働者として見てい くべき方々への年金保障を充実するというのが基本的な視点でございます。 ○山崎部会長  宮武委員、随分御苦労されたようでございますが。   ○宮武委員 今の牛丸委員の御質問は、むしろオブザーバーとして、初めから最後までおつき合い いただいた都村先生にお聞きになった方がいいと思います。特に女性の委員方はそうい う形で扶養者、被扶養者という形ではなくて、個人単位の年金制度に変えたいという意 欲を大変強く持って議論をなさっておりまして、私も同感でございました。 ○牛丸委員 ただ、現実問題としては、女性の中には両者いらっしゃるのではないでしょうか。そ こは私よくわかりませんけれども、社会自体が税金も社会保障もどちらかというと個人 化していく。その流れにあるということはわかりますが、従来、日本の場合、社会保険 が割と、家族とはいいませんけど、夫婦単位で来たわけですから、そこの中でどういう ふうに、それを個人化まで同意を得ていくか。とりわけ進んでいったときに、医療保険 の子供の扱いをどうしていくかという話も当然出てくると思いますので、ですから、そ こまで話が行ったときには簡単ではないだろうなという理念的なものも含めての国民の 合意を得る必要があるだろうと、そう思います。 ○山崎部会長 ほかにいかがでしょうか。それでは、最後になりますが、せっかく局長がお見えにな っていますので、今後の見通し、スケジュールのようなもの、予定されているものを。 願望でも結構です。局長として、この法案の扱いをお願いします。 ○渡邉年金局長 年金数理部会につきましては、改めて、今度は16年改正との関係での作業をお願いし、 実務的なところを整理していただいたものと承知しておりますので、引き続きよろしく お願い申し上げます。少なくとも平成22年度までの間は現行制度と同じでございますの で、この16年改正との対比も含めて大変貴重な作業と資料をつくっていただくことにな ると思います。  その後のことにつきましては、先ほどもちょっと申しましたように、こうした年金数 理部会の機能というものを、継承すべきものは継承する、全体の財政検証に委ねるべき ものは委ねると、こういう仕分けをしていくことが必要になる場面があるのではないか と思いますが、さらに検討の上、またお諮りもしていきたいというふうに考えています。  この年金数理部会自身が深く関与してこられたこの公的年金1・2階の一元化というこ とにつきましては、おかげさまでこの年金数理部会での議論がある種の起爆剤となって 今日を迎えているわけです。できれば、今月中にも政府・与党間の調整を、何とか整え ながら、4月のできるだけ早い時期に国会に閣議決定の上、提出したいというふうに考 えている次第であります。なお、与党との間で、今お話ありましたように、なかなか難 しい点なども残っていることは事実でございますが、鋭意努力していきたいと考えてお ります。  その上で、平成22年度が保険料の統一化に向けた第1ステップでございますが、そこ を中心としつつ、それぞれの改正内容に応じた施行時期がその前後に発生いたしますけ れども、1・2階を通じた公的年金のより安定的な運営の体制というものを構築していき たいと思います。  また、運用面では、今、社会保険庁改革でレガシーシステムを見直しているわけです けれども、現在のレガシーシステムといわれている中でも逐次ワンストップサービスに 向けた情報共有化と提供ということについて努力してまいりたいと思っております。  また、先ほど積立金のお話もありましたけれども、それぞれ分担運用し、今までの経 緯のある独自運用もありますが、全体としての運用方針、広い意味での運用方針は厚生 労働大臣が中心となって各主管大臣とも相談して定めていくことになると思いますし、 先ほどの特別会計の話も含めて全体の財政の説明責任というものが厚生労働大臣になる など、これは非常に大きな変化であると思います。制度が統一なのか何なのかというの も、実際の法制をこれから見ていただいて、これはどういう性質のものか、よくよくま た学術的に分析していただきたいところでございますが、確かに給付と負担、権利義務 関係は厚生年金に統一いたします。ただ、実施・運用の面で様々に、むしろ今までの組 織を厚生年金を分担する組織として扱った方がいいという部分もございます。とりわけ 記録の管理などは最たるものでございますが、そういう面もございますので、総合的な 分担体制もあわせ行いながら、全体としての一元化、統一というものを図っていく、そ ういうものであるというふうに考えております。  子細に見ますといろんなこれから法制度の具体論をご覧いただけると思いますけれど も、引き続き御指導よろしくお願いいたします。   ○山崎部会長 年金局長の仕事、苦労が増える方向だというふうに理解いたしました。それでは本日 はこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。 以上 −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)