07/03/27 第7回多様な雇用形態に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会議事録 第7回多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する研究会 1 日時   平成19年3月27日(火) 15:30〜17:30 2 場所   厚生労働省 共用第8会議室(6階) 3 出席者  ○ 参集者     岩村委員、片岡委員、北浦委員、斉藤委員、鈴木委員、松友委員、宮武委員、     八木原委員、輪島委員  ○ 事務局     岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長、土屋障害者雇用対策課長、     浜島障害者雇用対策課調査官、白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、     手倉森障害者雇用対策課課長補佐、澤口障害者雇用対策課障害者雇用専門官 4 議題  (1) 障害者の派遣労働について  (2) その他 5 資料   資料1 第6回研究会における主な意見   資料2 多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する論点整理   資料3 労働者派遣事業における障害者雇用状況に関するアンケート調査結果の分       析について ○ 岩村座長  ただ今から、第7回多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関する 研究会を開催いたします。まず、委員の御出欠についてでございますが、今日は舘委員、 村上委員が御欠席でございます。それから、鈴木委員が少し遅れて見えられると伺って おります。  それでは、早速今日の議事に入ることにいたします。今日の議題は、障害者の派遣労 働についてでございます。前回の研究会では、論点の整理を行い、論点の設定などにつ きまして、皆様方から全般的に御議論をいただいたところでございます。今日は、論点 整理のうちの、「3 障害者の派遣労働について」というところにテーマを絞りまして、 より具体的な議論を進めてまいりたいと存じます。今回と次回とで、派遣労働と紹介予 定派遣につきまして議論をしたいと考えております。それでは、具体的な議論を始めま す前に、第5回の研究会で資料として皆様にお示しし、御説明をいただいております、労 働者派遣事業における障害者雇用状況に関するアンケート調査結果について、さらに分 析を進めた資料を準備していただいております。そこで、まず事務局からそれも含めて、 今日の配付資料について説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○ 事務局  まず、配付資料について確認させていただきます。資料1といたしまして、前回、第 6回研究会における主な意見ということでまとめておりますので、御参照いただければ と思います。次に、資料2といたしまして、多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率 制度の在り方に関する論点整理ということで、前回の御議論を踏まえまして修正したり、 あるいは御意見等を盛り込んだものとして、また提出しております。次に、資料3とい たしまして、労働者派遣事業における障害者雇用状況に関するアンケート調査結果の分 析についてということで、資料の方をお出ししております。以前、アンケートの調査結 果については研究会で御説明させていただいたところですが、前々回あるいは前回の研 究会におきまして、障害者である派遣労働者を派遣している、あるいは派遣したことが ない、派遣先でありますと、受け入れたことがある、あるいはないという、そういった 観点でクロス集計したらどうかという御指摘をいただいておりましたので、そういった 点も踏まえまして、アンケート調査の方を分析しております。  まず、資料3の方について、最初、簡単に御説明させていただければと思います。  まず、1ページですが、ここから派遣元事業主調査についてクロス集計しております。  まず、(1)で障害者である派遣労働者の派遣の有無による比較ということでございま して、まず1ページの真ん中にある図でございます。  障害者に対する配慮の役割分担とありますが、これにつきましては、障害者の派遣の 経験の有無に拘わらず、大きな違いは見られないという状況が見られます。  次に、2ページですが、障害者が派遣労働で働きやすくするために必要と考えられる 事項について、いろいろ選択肢がございますが、これにつきましても、障害者の派遣の 経験による回答の違いといったものは見られないという状況になっております。  その下でございますが、障害者の雇用義務及び障害者雇用率制度のカウント方法につ いての考え方についてでございますが、これにつきましても、障害者の派遣の経験の有 無によりまして、回答に大きな違いは見られないという状況になっております。  次に、3ページでございます。(2)ということで、障害者への配慮についての役割分担 の考え方による比較ということで、障害者への配慮について、派遣元、あるいは双方、 あるいは派遣先ということでクロス集計しております。  まず、真ん中の図でございますが、障害者が派遣労働で働きやすくするために重要な 事項につきましては、配慮について、派遣元で負うべきと答えた事業主については、こ のグラフでいきますと、左にございます派遣元事業主による教育訓練の充実、あるいは 職務の創出、人的支援の充実等、派遣元による配慮が必要という回答の割合が高くなっ ております。一方、配慮は派遣先が負うべきと答えた事業主につきましては、派遣先に よります職務の創出でありますとか、設備等の整備等、そうした派遣先による配慮が必 要といった回答が高くなっております。  さらにその下の図でございますが、障害者雇用義務及び障害者の雇用率制度のカウン ト方法についての考え方につきましては、配慮について、派遣元が負うべきと回答した 事業主につきましては、現在のままでいいという回答が一番多いということです。一方、 配慮について、派遣先が負うべきと回答した事業主につきましては、派遣先と回答した 事業主が一番多いという状況になっております。  続きまして、4ページでございますが、今度は職業紹介事業の実施の有無によりまし てクロス集計をしております。  まず、一番上の図でございますが、職業紹介を実施している事業主につきましては、 紹介予定派遣を実施している割合が86.8%となっております。  次に、障害者の紹介予定派遣の実施につきましては、職業紹介を実施している事業主 につきましては、15.7%が予定があるということで、実施していない事業主については、 2.3%に留まっているという状況になっております。  さらに、障害者の紹介予定派遣への支援策がある場合のニーズにつきましては、職業 紹介を実施している事業主の66.7%がニーズが増すと回答しているのに対しまして、職 業紹介を実施していない事業主は46.2%に留まっております。  続きまして、5ページ以降は、派遣元事業主に対します自由記述欄でございますので、 後ほどご参照いただければと思います。  続きまして、7ページでございます。7ページからは派遣先調査についてクロス集計し ております。まず、(1)で障害者である派遣労働者の受け入れの有無による比較という ことです。まず、障害者である派遣労働者の活用の可能性につきましては、受け入れ経 験があると答えた事業主につきましては、74.5%が活用する考えがあると答えているの に対しまして、受け入れ経験がない事業主につきましては、18.7%に留まっております。  次に、障害者に対する配慮の役割分担につきましては、受け入れ経験の有無によって 回答に大きな違いは見られないという状況になっております。  次に、8ページですが、障害者が派遣労働で働きやすくするために重要な事項につい てですが、受け入れ経験のある事業主の方が受け入れ経験のない事業主よりも、派遣先 による職務創出、あるいは派遣先による受け入れ体制をより重要と考えております。  真ん中のところですが、障害者の雇用義務及び障害者雇用率制度のカウント方法につ いての考え方ですが、受け入れ経験のある事業主の方が派遣元事業主と派遣先の分担を 考慮して双方にという回答の割合がやや高いという状況になっております。  次に、障害者の紹介予定派遣の活用予定につきましては、受け入れ経験がある事業主 につきましては23.1%が活用予定があり、一方、受け入れ経験がない事業主につきまし ては、11.1%に留まっているという状況になっております。  9ページですが、さらに障害者の紹介予定派遣に支援策がある場合の活用予定につい てですが、受け入れ経験があると回答した事業主につきましては、59.6%が活用したい と回答しているのに対して、受け入れ経験がない事業主につきましては、34.8%に留ま っているという状況になっております。  続きまして、10ページでございます。障害者の配慮に対する役割分担の考え方により まして比較しております。  まず、障害者が派遣労働で働きやすくするために重要な事項につきましては、配慮に ついては、派遣元で行うべきと答えた事業主につきましては、派遣元事業主によります 教育訓練の充実、あるいは職務の創出・再設計等、派遣元事業主の配慮が必要という回 答が高い割合になっております。一方で、配慮については、派遣先が行うべきと答えた 事業主につきましては、派遣先によります職務の創出、あるいは職務の再設計等、派遣 先の配慮が必要という回答割合が高くなっている状況になっております。  次に、障害者の雇用義務及び障害者の雇用率制度のカウント方法についての考え方に ついては、配慮については派遣元で行うべきと回答した事業主につきましては、現在の ままでいいという回答が一番多く、一方、配慮については派遣先が行うべきと回答した 事業主については、派遣先と回答した事業主が最も多いという状況になっております。  続きまして、11ページでございます。11ページからは、派遣先の企業規模別により比 較を行っております。  まず、障害者である派遣労働者の受け入れの有無については、1,000人以上の規模の 事業主の24.6%があり、ここの部分が一番多いということになっております。  障害者の配慮の役割分担につきましては、企業規模による違いは見られません。  次に、12ページでございます。雇用義務及び雇用率カウントの対象につきましては、 企業規模による大きな違いというものは見られないという状況になっております。  次に、紹介予定派遣の活用状況につきましては、企業規模が大きい方が比較的活用し ているという状況になっております。  続きまして、13ページでございます。障害者の紹介予定派遣の活用につきましては、 100人未満の企業では、活用予定がないと回答した企業の割合が94.5%と最も高くなって おりまして、それ以上の規模につきましては、2割前後という状況になっております。  次に、障害者の紹介予定派遣に支援策がある場合の活用予定につきましては、企業規 模が大きくなるにつれて活用したいと回答する企業の割合が高いという状況になってお ります。  14ページは、派遣先へのアンケート調査の自由記述でございます。  最後の15ページでございますが、障害者御本人の調査の自由記述の部分でございます ので、後ほど御参照いただければと思います。  以上でございます。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。今、ご説明いただきました労働者派遣事業における障害者 雇用状況に関するアンケート調査結果の分析ということにつきましては、皆様のご質問 等もあろうかと思いますが、この後の論点についての具体的な議論を進めるなかでご質 問等がありましたら、それと併せてこのアンケート結果の分析についてもご質問その他 をお出しいただければと思います。そこで、早速でございますが、障害者の派遣労働に ついて、という今日のテーマにつきまして、御議論をいただきたいと存じます。  前回お示しいただいた通りでございますが、論点が、派遣労働につきましても、1か ら4まで別れております。それを一遍にということですと、議事が整理できないという こともございますので、論点の1から4まで、それぞれの論点につきまして、順次適当な 時間を計りながら議論を進めていきたいと存じます。ご協力のほど、よろしくお願いい たします。  そこで、まず確認ということもございますので、最初に事務局の方から簡単に論点の 1につきまして、説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○ 事務局  資料2の6ページをお開きください。6ページ以降、障害者の派遣労働についてという ことになっております。そこでまず、論点1でございますが、派遣労働について、障害 者雇用対策においてどのように位置づけ、どのように評価すべきか、ということで、(1) といたしまして、派遣労働が1つの雇用形態として定着してきているなかで、派遣労働 者としての障害者の雇用状況について、どのように評価すべきか。(2)として、障害者の 多様な雇用形態の選択肢として、派遣労働は、障害者の雇用機会の確保の観点から、ど のように評価すべきか。また、その場合に、障害者が職場定着に相当の配慮や時間を要 することについて、どのように考えるか。(3)として、障害者の派遣労働について、派遣 元事業主が支援の態勢を整備し、継続的に支援を行うとすれば、労働者派遣を通じた障 害者の雇用機会の確保につながる面があるのではないか。(4)として、派遣元事業主の労 働力需給調整機能に着目すれば、派遣労働が福祉的就労から一般雇用へ又は一般雇用か ら福祉的就労へ移行していくための段階的な雇用形態として有効と考えるか。以上にな っております。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。それでは、この論点の1につきまして、大体概ね20分ぐら い時間をとりまして、皆様でご自由にご議論をいただければと思います。例えば、論点 の1で、(1)から(4)までということでございますが、そもそも派遣労働についてどのように 考えるかというスタンスとして、一番最初のところで、(1)というところが、現状認識と その評価ということだと思いますが、これはアンケート調査でも明らかになったように、 あるいは、障害者雇用状況調査などでもありましたように、派遣労働においては障害者 の雇用というのは非常に少ないという現状が実際にはあるわけです。その現状が少ない ということでやむを得ないと考えるのか、それとも、派遣という分野においても、他の 業種と同じような考え方で、むしろ障害者の雇用を増やしていくというふうに考えるの か。というのが、まず最初の出発点としてあるだろうと思いますが、(1)については、い かがでございましょうか。輪島委員、どうぞ。 ○ 輪島委員  (1)と(2)のところの入り口のところで、今日は障害者の派遣労働なので、あまり煮詰め なくてもいいのかも知れないのですが、障害者派遣形態、雇用形態として、(1)のところ の、定着している、(2)のところの、選択肢として、雇用機会の確保の観点というふうに 入っていて、一般に派遣の在り方について、こういうポジティブな評価が一般的なのか どうかというのは、また別の議論があるので、そこのところについて、これから障害者 の派遣労働について議論をするに当たって、基本的に評価をした上で、どのようにする のかというふうに議論するのかということを整理しないと、実は、半歩踏み出せないよ うな戸惑いを感じています。論点1のところでいうと、まずそこのところがあると思い ます。具体的には、やっぱり、いわゆる格差社会のなかで、派遣労働だとか、そういう ものは安定的な雇用形態ではない、就業形態ではないというふうに言われがちな面もあ るので、今度のこの議論の結論として、ある一定程度、障害を持っている方の派遣労働 の機会を増やしていきましょうというところが、素直に、そういうふうになれるものな のかどうかということを議論した方が、まずはいいのではないかと思います。  それから、安定局の他の審議会でいうと、(1)のところの、1つの雇用形態というより は、就業形態という表現をする方が多いのかなとも思うのですが、それは言葉の整理の 問題です。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。確かにおっしゃるように、派遣のところの一番の入り口の ところで、その派遣労働をどうみるのかという問題があることは確かなんですが、ただ、 他方でここは派遣労働そのものを議論するわけではないので、私の感じとしては、少な くとも評価はともかくとして、一般的にいわれているような派遣労働の現状ということ について、格差社会のなかでどうみるかという問題はあるにしても、派遣労働の現状に 照らして、その派遣労働という1つの就業形態なり雇用形態の在り方のなかで、障害者 についても、一定の施策なりというものがあってもいいのではないかということで、そ こを私たちとしては考えればいいのかなと思っています。前にも議論しました通り、多 様な就業形態、雇用形態ということになると、プラスの面だけでなくて、マイナスの面 もあるということは、皆様も大体共通理解としてお持ちいただいていると思います。し かし、そうはいっても、他方で、これまでの議論でもありましたように、派遣も含めて 様々な形での就業形態、雇用形態というものが、障害者の雇用促進にプラスに働く面と いうものもあるわけですけれども、マイナスの面をどうやって克服するかということを 注意しつつ、他の雇用形態あるいは業種と同じようなレベルでの、この分野での障害者 の雇用の促進なり、とりわけ雇用率の問題といったことを考えるという、そういうスタ ンスでいかがかなとは思っているのです。北浦委員、どうぞ。 ○ 北浦委員  派遣労働をどう位置づけるかということで、座長が整理された通りだと私も思います が、派遣労働そのものについても、いろいろまだ問題があることは事実だと思います。 これは、それぞれにおいての派遣労働法の枠組みのなかで検討も行われ、徐々にそうい ったものが整理されてきています。そういったことを前提にして、ここでは障害者の方 の雇用の場を開くのに、多様な就業形態として今伸びてきている派遣業というものがど う使えるかという観点から、議論をしていくということではないかと思いますので、私 自身としては、ここに書いてあるような、やはり1つの雇用形態として位置づけていく 努力をすべき段階にあると考えたいと思っております。ただ、そのときに考えることは、 結局この派遣労働法において、派遣元、派遣先において、それぞれの責務について書か れておりますが、これはいわゆる一般的な形で書き込まれるわけで、障害者の方の雇用 という問題を考えていった場合に、それぞれの持つべき配慮義務というところまでは別 に派遣労働法は規定しているわけではありませんので、そういった点について、もう少 し深く掘り下げて、決めていくことが大事なんだろうと思います。これは、先ほどのア ンケート調査なんかを見ましても、配慮義務というところを見ますと、派遣元に対して の必要と考えられる配慮と、派遣先の方が答えている配慮と、同じようなことが皆さん が答えているわけです。これは、派遣元もこうしたことをして欲しい、派遣先もこうい うことをして欲しい。ですから、答えを言ってしまえば、派遣元も派遣先も応分にそれ ぞれ配慮すべき事柄があって、そこのところを充実させなければ、これは成り立たない ということを、このアンケートはおそらく表しているのだろうと思うのです。そういっ たようなところを、1つルール決めといいますか、そういうのを整理することによって、 おそらく障害者の方の雇用の場に馴染むと思うので、一般のままでやっていたら、問題 を逆に起こしてしまう部分があるかも知れませんが、そういったものに配慮することを 前提としてやっていく。むしろ、活用せんがために、その配慮をすべきところを詰める という段階にきているのだろうという感じはします。とにかく一番重要なのは、やはり 共同して、派遣の場合には、派遣元と派遣先の共同連携というところが、これは一般の 場合でも大事でありますが、より障害者の場合にはそこのところが強く求められている と思います。その点が基本なんだろうと思いますし、これは後ほどの論点のなかにも出 ておりますが、そういったところで読んでいけばいいのかなと思います。 ○ 岩村座長  入り口のところでやや理念的な議論になったりして、評価の議論になってしまうので、 やりにくいというところもあるのですが、障害者団体で今日お見えになっている方々に お伺いしたいのは、これまでもちょっと頭出しの議論ではなされていましたけれども、 派遣労働というものについて、どういう見方をされるかということでして、特に、今の 論点1でいえば、(2)のところで、派遣労働というのを障害者の雇用の機会の確保という 観点からみたときに、どのように評価されるかというところを、まずちょっとお聞きし たいなと思いますが、いかがでございましょうか。八木原委員、どうぞ。 ○ 八木原委員  精神に障害のある方たちの雇用を考えていくときに、これも雇用形態の1つとして、 私は評価をしていきたいと思いますし、実際に精神に障害のある方たちのなかには、自 分で仕事を探して、そして、集中的に仕事をしてということをやっていらっしゃる方も たくさんいるわけですね。ただ、そこで、派遣元と派遣先というところでの、障害のあ る方たちをどのようにサポートしていくかという、この支援団体との関係性というもの の整理を、先ほど北浦委員がおっしゃったように整理していくというところにあるんだ ろうと思います。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。その他にいかがでしょうか。宮武委員、どうぞ。 ○ 宮武委員  知的障害の場合、かなりの配慮や支援がなければ難しいかなとは思っておりまして、 むしろ、紹介予定派遣の方で少し検討していただきたいと思っています。実際に私ども の利用者の方が、人材派遣の会社で働いているというのは多いのですけれども、派遣元 で雇用の創出をしてもらっています。大手の人材派遣の会社で、例えば、小さな規模で すけれども、ラーメンの麺を作る工場をつくったんですね。そういうふうに、派遣先で というよりも、むしろ派遣元で知的障害の方のグループ就労といいますか、そういう形 で、新しい雇用の場を創られるという例もあります。ですから、私はむしろ派遣元のそ ういう取り組みといいますか、その辺がさらに進んでいくのが望ましいと思っているん です。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。前にも、入り口のところを少し議論したときにも、やはり 知的障害者の場合はちょっと難しいのではないかという御指摘がございました。片岡委 員、どうぞ。 ○ 片岡委員  私は四国の高知からまいりましたけれども、高知の小さな派遣会社を何軒か回って、 いろいろ意見を聞いて回りました。すると、障害者の手帳を出してやると、どうも派遣 会社は頭をかしげて、言葉を濁すようです。身体の場合はまだ楽なんですけど、知的や 精神の手帳を出すと、「いや、うちでは」と、直接言うかどうかは分かりませんけれど も、何かこういう濁し方をするケースがあるので、やはり、その辺の派遣会社にももう 少し考えてもらわないといけないと思います。私もあまり知識がなかったものですから、 実際に職員が何人もいない小さな派遣会社を何軒か回って、いろいろ意見を聞いてきま した。障害者を派遣したことがあるかというと、いや、それはないですということです。 うちでは、そういうのを預かっても、高知の場合は雇用率も低いわけですから、なかな かそうはいきませんという返事でした。この辺から少し認識を変えてもらわなければい けないのかなということを感じてまいりました。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。それから、論点1ですと、(3)のところで、支援を行うと雇 用機会の確保に繋がるのではないかというところですが、今日のアンケート結果あるい は前回のアンケートの分析などを見ますと、やはりどこに対して行うかという問題はあ りますけれども、一定の支援というものが派遣に関してあれば、派遣の領域での雇用機 会の確保に繋がるだろうということは、概ね推測はできるのかなというようには思いま す。あと、それからもう1つは、(4)のところで、これがおそらく今の自立支援法の就労 支援等との関係でいったときに、一番の課題というか、考えなければいけないところだ ろうと思うのですが、福祉的就労から一般雇用、あるいは一般雇用から福祉的就労、ど ちらかといえば前者の方が多分ウェイトがあるんだろうと思いますけれども、それにつ いて、派遣が有効なツールになるのかどうかですね。今日はちょっと時間の関係で議論 できませんけれども、紹介予定派遣も考える必要がありますが、派遣について、こうい う形での肯定的な評価、(4)のようなこれが有効だというような形での評価ができるのか どうかですね。先ほど、多分、八木原委員がおっしゃったのは、(4)のところが精神障害 者については有効に動くというふうに期待できるのではないかという御意見だったと思 います。おそらく、片岡委員のお話しを伺ってみても、ほぼアンケート調査と同じよう な形だとは思いますが、何か派遣業者を押すようなものがあると、多分(3)のところ、さ らには(4)のところでの肯定的な評価というものも出てくるのかなということは、アンケ ートなり、先ほどの片岡委員の事例のお話しをお聞きになったところからも出てくるの かなというように思います。何れにしても、これは、多分、紹介予定派遣も含めて考え なければいけないところだろうと思いますが、この点について、特段何か(3)(4)のところ で御発言があれば承りたいと思います。輪島委員、どうぞ。 ○ 輪島委員  派遣法上の問題でILO条約上のこともあるかも知れませんけれども、ハローワークと いわゆる民間の職業紹介機関、まず公共職業安定所等の民間、というのが、基本的には 競争し、協力していくという、この「等」に、労働市場おける需給調整をきちんとやっ ていきましょうというのがILO条約上の問題であり、職業安定法上の規定だと思います ので、そういう意味で、(4)で派遣元が労働力需給調整、特にマッチング機能に着目をす るとすれば、こういうような、福祉的就労から一般雇用へ、一般雇用から福祉的就労へ の架け橋、特に強調すべきは福祉的就労から一般雇用へというところですけれども、そ ういうポジティブな考えのなかに位置づけているかということを、やっぱりコンセンサ スにして欲しいなと思います。もう一度入り口論で大変恐縮ですけれども、もう1つの 議題であります短時間労働についても、一方では、短時間労働に固定をしてしまうので はないかというようなことを言われているような面もあるようでして、そこはそういう ような意味合いではなくて、多様な雇用形態、就労形態を用意して、その人にその業態、 業種に合ったものを、多面的に用意するんだというような位置づけで、これから議論を するということについてのコンセンサスが欲しいと思います。そこがそうでない限り、 何かどうも後ろ向きのことがちょこちょこと出てしまうということになるので、その点 で、そういうような方向性が欲しいなと思います。 ○ 岩村座長  ありがとうございます。あまり断言はできないのですが、どうしても派遣とか、今日 の議題ではありませんけれども、短時間雇用ということになると、労働市場における分 断の問題というのがどこかでは出てきてしまうというのは確かでありますけれども、他 方で、障害者の方々について、仮に今以上により就労の機会、仕事の機会を確保しよう ということで考えていった場合、短時間労働や派遣という形態であれば就労が促進され るという状況にある方々も、おそらくいるわけで、そうした人たちに目を向けて考えま しょうというのがこの検討会の狙いだというふうに私自身は思っております。負の面が あるというのは、いかなる制度においてもそうであるので、そこはどうやって負の面を いかに防止するのかというところは、別途考える必要があると思いますけれども、この 研究会自身としては、できるだけ派遣労働というものが障害者雇用の促進という点で用 いられるプラスのところに着目をしていって議論を進めるということで、概ねその入り 口のところではコンセンサスがあるという受け止め方でよろしゅうございましょうか。 その点はいかがでございましょうか。宮武委員、どうぞ。 ○ 宮武委員  雇用の場の機会が広がるという点では賛成ですが、障害特性についてきちんと配慮す ることが必要だと思うのです。ですから、知的障害の場合に、職務適応よりも、むしろ 職場適応といいますか、そういうことが非常に大事な部分だと思います。ですから、そ の配慮ということが前提になると思います。 ○ 岩村座長  それでは、松友委員にまずお願いします。 ○ 松友委員  十分に派遣というものを理解しているかどうか分からないのですが、一般の障害のな い人においての派遣の広がりというのはすごくあると思うのですね。それと、そこの持 つ労働者にとっても、あるいは、雇用者にとってもメリットというか、それは非常によ く分かります。今度、それを知的障害についてみると、宮武さんがおっしゃるように、 適用したときに、1つのメリットは、雇用形態についての煩わしさというとおかしいけ れども、知的の場合、よく出てくるのは、いったん雇うと、30年、40年、定年まで雇わ なければいけないのだったら勘弁してくれとか、長期間の雇用関係を持つ問題が、いう なれば、雇用に対して躊躇させるという問題がありますから、その分について、こちら が派遣元派遣していくという形をとれば、その部分では進むかなと思うので、評価でき るかなと思います。ただ、何というか、職場あるいは、ましてや職種なんかになると、 変わることについての適応性が非常に弱いので、それがなかなかどうなのかなというこ とがあります。だから、一カ所で長期的にやっていくという形は、派遣労働の良さがあ まり出ない面もあるような感じもするので、ちょっとそこにアンビバレントな感じがあ るのかなということです。それと、もう1つ、やはり一番大きなのは、賃金の問題です。 だから、多くの福祉的就労の方が就労にいかないという大きな問題は、彼らの持つ能力 というか、そのことによって、賃金の問題がいろいろ絡んできますので、そこをどうク リアできるかです。その辺りの形態が派遣以前の問題かも分かりませが、そこで、実際 に知的の制度として評価し、かつ利用しようとしても、実際どこまで機能するか。どっ ちかというと、派遣元によって、能力によるのかなという感じがしますね。いろいろな 多様な形態として、否定されるべきではないと思うのですが、知的障害といわれている 障害の特性というか、そこからくる支援の体系をみたときに、やはり、そこでそういう 形をうまく造り上げていかないと、実際上、ある種、労働力だけの派遣だから、そこの 労働市場のなかにおいて、効果的な動きができていくのかという疑問というよりも、ど ういうふうな形でやったらいいのかなという感じがあります。ちょっとイメージがわか ないですね。 ○ 岩村座長  ありがとうございます。それでは、北浦委員どうでしょうか。 ○ 北浦委員  同じようなことの繰り返しになるかも知れませんが、労働条件の整備という問題はそ れ自体として考えなければいけないのですが、1つ考えなければいけないのは、雇用機 会を広げていく、あるいはチャンスを増やしていくということでは、派遣は意味がある と思うのです。ただ、その働き方の満足度、満足できるかどうかという視点が非常に重 要ではないかと思っています。障害者の方の個別の調査も同時に行われて、そこは自由 回答しか出ておりませんけれども、そういうなかで、動機についての調査もありますし、 今後希望する働き方についてもあります。そういったなかで、例えば、正社員として働 きたいというような希望を持っていらっしゃる方もおります。ですから、これで満足す る方もいるし、その次にまた正社員を目指すという方もいます。そういういろんなこと も一応理解しなくてはなりません。これは、派遣労働全般について、派遣に限らず、多 様な働き方全般についていえることですが、特に、こういうような新しい施策を考える ときには、そういった機会を与えるというだけでなく、その先も考えておくという視点 も1つ大事ではないかと思います。  それから、もう1点違いがあるとすれば、一般雇用の機会を得て派遣に移るという方 であれば、一般雇用との比較の対比が可能なわけですが、今までなかなかそういう働く こと自体の機会がなかった方が、とりあえず派遣ということで道を開かれるという場合 とでは、ちょっと意味合いが違うところがあります。ですから、そういうような、特に 後者のような場合の方がどうしても多くなります。それによって初めてこういう就労の 場に就けるということであるとすれば、そこはやはり綿密にサポートしていくという姿 勢をもってあげないといけないので、いわゆる一般雇用に就いていて、私は好んで派遣 へという人とはまた違う面もあるんだろうと思います。それは、おそらくそういう就職 の段階においての、やっぱりサポートの仕方、あるいは、その後のフォローアップの仕 方というところが、ある意味で、特質として強調されるべきではないかということだと 思います。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。また、御意見があれば戻っていただくということにしまし た、次に論点2の方に移っていきたいと思います。こちらの方がより具体的なお話しで ございまして、とりわけ前回、前々回でしたか、御説明いただいたアンケートの調査結 果や今日のクロス集計で分かっていることとの関係で、派遣元、派遣先の役割分担とい うのがかなり障害者の派遣労働というものを考える上ではポイントになっているという ことがはっきりしていると思います。では、そこで最初に事務局の方から論点2につい て説明していただいて、その上で御議論いただきたいと思います。 ○ 事務局  8ページをご覧ください。論点2ですが、障害者が派遣労働で安心して働けるようにす るために、派遣元事業主と派遣先の役割分担をどのように考えるべきか。(1)としては、 障害者が派遣労働で安心して働けるようにするためには、派遣元事業主は雇用関係に基 づき、支援態勢を整え、必要な支援を充実させる必要があると考えるがどうか。また、 その場合、必要な支援とはどのようなものが考えられるか。(2)として、雇用関係と指揮 命令関係が分離しているという派遣労働の特徴を踏まえ、指揮命令関係が派遣先にある ことにより、障害者雇用という観点から派遣先において配慮すべき事項はあるかどうか。 あるとすればどのような事項について配慮すべきか。(3)として、派遣労働者が配慮を必 要とする障害者であるかどうかについて、派遣元事業主が派遣先に対して伝えることに より、派遣先においても当該配慮事項を把握できるようにしておく必要があるのではな いか。以上です。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。これについても、皆様の率直な御意見を承ることができれ ばと思いますが、(1)(2)(3)ということで、(1)が派遣元です。ですから、労働者を派遣する 側で、実際には、障害者の方が派遣で働くといったときには、派遣元で働くわけではな くて、派遣元で雇ってもらって、派遣先に行くということになります。その場合の、雇 ってもらう派遣元の事業主の側で何かすることがあるかということです。(2)はその反対 側でありまして、実際に障害者の方が仕事をする派遣先で何か配慮することがあるのか どうか。どういう項目が配慮する事項になるのかどうか。あとは、派遣で働く障害者に ついての、派遣元と派遣先との間の連携の問題ということになろうと思います。この点 については、とりわけ今日、先ほどご説明いただいたクロス集計のデータというのが多 分議論する上での参考になるんだろうと思いますので、特に、まず最初に(1)について、 派遣元の方で配慮する、あるいは支援をするといったものとして、どういったものがあ るのかということについて、何か御意見があれば是非お出しいただきたいと思います。 どうぞ、松友委員。 ○ 松友委員  (1)に限定しないんですけれども、一番難しいのは、3番が一番影響するかと思うので、 要するに、労働者である障害者についてのいわゆる個人情報をどこまで把握して、どこ まで伝えるかということがあります。これは派遣に限らないんですけれども、一番難し くなります。日本の場合、意外といろいろ聞かれるわけです。表に見えている情報だけ でやれば、これは良くも悪くも簡単にいくし、あるいは、雇用に関する能力等の情報で あれば、これは当然聞かれることはあるんですけれども、かなり医療的データ、情報等 を日本の障害福祉とか障害分野では慣習的に聞くのが多いですね。ただ、これは個人情 報保護法の問題なんかも出てきましたが、それ以前に欧米等においては、かなり雇用に 関するもの以外の情報については、元々それは聞くことがならないというぐらいまでに かなりなされていることを知ったことがあるんですが、そういう本人についての支援す なわちニーズというか、その情報をどのように理解し、伝達するか。派遣元と派遣先と の間の情報ですね。その関係性というか、システムをやっぱりつくっておかないと、な かなか難しいかなと思います。これは障害の有無に関係ないのかも分かりませんが、特 に服薬等の問題が障害の場合に絡んでくる人が多いので、その辺りはどういうふうにな されるのかというのがあって、ちょっと引っかかっています。 ○ 岩村座長  多分、おそらくそこは障害者ということだけではなくて、一般の雇用あるいはさらに 特定的には派遣の場合に問題になるところで、その上で障害者特有の何か問題があるか ということで考えれば、今おっしゃったような服薬の問題というのがあったときに、ど うするかということだろうと思うのですね。 ○ 松友委員  そうなんですよ。個別の問題として、カミングアウトしなかったら障害者扱いになら ないという変な話もありますけれども、HIVの場合は、身体障害の概念ということに多分 制度的になっていると思うのですね。それについて、差別的、特別扱いはしてはいけな いと言われているんですけれども、では、慢性肝炎とか様々な内部障害については、で は同じかというと、いつも問題になるし、さらには、いわゆる服薬等についての、これ は一般的にもそうですが、糖尿病や高血圧の服薬とちょっとちがって、抗てんかん薬と か抗精神薬とか、その辺りの内容とか頻度とか、あるいは情報の量とか、その辺りで、 一般に加えて特殊なというか、そういう問題がやはりかなり大きな比重になるかなと思 います。そうしないと、逆にいうと、支援しようにも支援できないというアンビバレン トな問題が起こるので、そこの相互の派遣先、派遣元、さらにはそこで働く労働者との 間の、いわゆるそういう関係といいますか、そこがやはり1つは大きいかなという感じ がしました。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。その他に、いかがでございましょうか。宮武委員どうぞ。 ○ 宮武委員  サポート体制といいますか、イメージとしては、うまく職場定着が進むのはトライア ングルといいますか、働く企業と、生活を支える家庭、それと支援機関といいますか、 そこがうまく連携ができれば、かなり安定した就業生活が可能だと思います。今回、こ れがトライアングルではなくて、4点といいますか、四角になってしまっているので、 非常に悩ましいといいますか、むしろここでいわれる役割というのは、まさに就労支援 センターの役割といいますか、そういうイメージをするわけですね。だから、その辺の 整理がうまくできれば、そのサポート体制もできていくのかなと思います。ちょっとそ の点が悩ましいということですね。 ○ 岩村座長  確かに別れてしまうものですからね。雇用主というか、従来の働くという環境のあっ たところが、雇って賃金を払うところと、実際に仕事を提供する場というものとが別れ てしまうというところがあるので、そこはおそらくおっしゃるように、うまく支援のメ カニズムを、あるいは派遣先と派遣元との連携といったものをうまく組まないと、問題 が生じるということは出てくるでしょうね。 ○ 宮武委員  うまくいけばいいんですけれども、やはりいろいろ不適応とか、そういうときに、論 点1の方に出ていますが、最後の部分で、雇用から福祉的就労への移行もあるわけです ね。そういうときに、やはり知的あるいは精神に障害のある方に対して、やはり就労支 援機関が関わるというのは必須だと思うのです。そういうなかで、就業・生活支援セン ターの趣旨から、生活面から精神的な面でのサポートということが必須だということで、 そういうことがされたものと思うのですけれども、やっぱり、付け加えますと、そうい う背景もあるというふうに思います。 ○ 岩村座長  ただ、おっしゃるところが多分ポイントなんですが、他方で、今回の分析とかという ものを見たり、前回のアンケート結果の分析を見ると、派遣元の方では、例えば外部機 関による人的支援とか、外部専門機関の充実といったところについては、あまり関心が なくて、むしろ障害者に適した職務の創出とか再設計といったようなところを派遣元で という感覚があるように見受けられます。これが、派遣労働者ということだけを想定し て考えているのか、自分のところで働く人も含めてというのが、ちょっと入ってしまっ ているかは別にして、一応、派遣労働で働きやすくするためのというところで、回答し ているところを見ると、派遣元の方で職務の創出や再設計とか教育訓練というのを入れ ているというふうに思えます。ただ、伺っていると、ちょっとそこに、今、先ほど宮武 委員がおっしゃったようなことと、それから、このアンケート結果で出てきている派遣 元の方との間で、ややずれがあるような気がいたします。すみませんが、八木原委員、 これは精神障害者の場合はいかがでしょうか。 ○ 八木原委員  私の今やっているなかで、東京都の委託を受けて、施設外授産事業というのをやって いるんですね。そこで、授産施設が派遣元という形で、障害のある人たちが訓練を受け ているわけですが、その人たちを派遣先である企業に4人ぐらいが集団で行くというこ とですね。そこに、その支援体制という形で、ジョブコーチがついて行くというような 感じてやっています。派遣元である授産施設というのは、先ほどから出ております個人 情報等に関しましても、本人が必要とする、本人がこれだけは伝えて欲しいということ に関して、きちんと派遣元である授産施設が派遣先との関係のなかで、本人がよしとい うところでの覚え書きを交わしていくというところで、うまくいっています。それで、3 カ月ぐらいの体制のなかで見ていくんだけれども、1カ月毎にお互いがどうだったかと いうことについて、三者を含めて、ジョブコーチも含めると四者になるんですけれども、 そこで話し合いを持つことによって、次のステップへ行くということで、おかげさまで 順調にきていまして、3人、4人ぐらいは雇用に繋がっていくという形で今進めさせても らっています。本当に支援する体制がきちんとできていれば、この派遣事業、派遣労働 に関しても、うまくいくのではないかというふうには思っています。 ○ 岩村座長  その場合の支援といったときに、伺っていると、このアンケートで出てくる派遣元で というようなところでは、職務の創出とか再設計とか教育訓練というふうな形が出てく るのですが、今お伺いしていると、それとはちょっと違うんでしょうね。 ○ 八木原委員  派遣元である授産施設、つまり障害のある方を送り出す方が準備だとか訓練だとか教 育といったことについてやることがメインですね。派遣先である企業の方は、そういう 人たちが暖かく職場への適応というか、環境調整をしていくということで、その橋渡し になるのが、やはり支援する側のジョブコーチだとか、そういう形で一緒になって体制 づくりをしていけば、うまくいくのではないかなと思います。 ○ 岩村座長   ありがとうございます。その他、いかがですか。輪島委員どうぞ。 ○ 輪島委員  必要な配慮といっても、派遣元による必要な支援と、それから、派遣先がやるべき配 慮すべき事項、それから、松友委員がおっしゃったように、個人情報の問題があると思 います。今、企業がこういう方を雇用する場合も、個人情報なのでということで、非常 に最小限のものしか、ハローワークから得られないという問題もあります。そこのとこ ろはどういうふうにするのかというところが実際にはあって、課題が大きいのかなと思 います。せっかくアンケートもしましたけれども、もう少し必要な支援とは何かという こと、それから、派遣先の配慮事項というのは何なのかということを、もう少しマニュ アルみたいな指導書がないと難しいのではないか。今、八木原さんがおっしゃったよう な覚え書きみたいなものを実際に創っているのであれば、そういうものも示したマニュ アルみたいなものを、実際に施行するときにはないと、難しいのではないかという気が します。それは専門家の調査研究になるのだと思いますけれども、参考になるものがな いと難しいかなと思います。具体的に、今もこのアンケートで出てきているのは、派遣 元の自分の自社として障害者を雇用するときにどういうふうにするのかというのと、実 際にスタッフとして派遣するときにどういうふうにするのかということを区別しないと いけないと思うのですが、今一つ分からないところがあるので、そこは切り分けて、実 際に派遣スタッフとして派遣をするときに必要な支援と、派遣先の配慮すべき配慮事項 ということを、もう少し突っ込んだものがないと難しいのかなと思います。 ○ 岩村座長  アンケートのこの派遣元の答えというのは、設問を見ると、派遣労働でということな ので、派遣元企業が自社で職員として障害者を雇用する場合というのは、少なくとも、 回答との関係で、入っていないはずですよね。だから、あくまで派遣労働としてという 前提で回答してもらっているということの理解として見るしかないと思います。しかし、 具体的には、この派遣元の方で職務の創出とか再設計ということを配慮するということ は、結局、今とは違うクライアントとかそういったところをさがすということになるの か、あるいは、派遣先の方に障害者について、これこれこういうことなので、職務の再 設計だとか、そういうことをやってくださいという働きかけをするという趣旨なのか、 派遣で考えた場合は、どちらかというと前者かなという気がするのですが、一般的には どうなんでしょうか。イメージとしてはですね。 ○ 北浦委員  あまりそこは分かりませんが、一般的な場合ですと、派遣元、派遣先、それぞれどち らもニーズがあってということになりますけれども、この場合の、障害者の方の場合、 どちらがニーズがあって動くかによって、対応が違ってくるということはあるんだろう と思うのです。あくまで受け入れたいので何とかということであれば、そういった立場 でご相談があってということもあるでしょうが、逆に、抱えていて、こういうところを 探しているということがあって、そのときに、果たしてどこまで踏み込んで相談できる のかということになると、これはやはり対応がかなり違ってくるんだと思います。ただ、 何れにしても、受け入れ環境とか、あと、人的体制とか、そういう設備の面ですね。こ れは、ある程度派遣先でやらないとどうしようもないというのは分かるんですが、職務 の設計と創出については、創出はいろいろ考え方があると思うのですが、両方に高く出 ています。これは、派遣元に聞いても、派遣元もやるべしだし、派遣先の方が多いけれ ども、派遣先もやるべしです。派遣先に聞いても同じ答えで出てくる。ですから、これ は、両者がどうやってやるのかということは、これはかなり具体的に、やはり座長がお っしゃったように、もう少しいろんな対応をケース分けをして、そのときに対応できる ように考えていかないといけない。場合によっては、お互いに押しつけ合っているとい うようなことになってしまったら、おそらく進まなくなってしまいます。そうすると、 例えば、そのときは第三者が間に入って、少しコンサルティングしてやるというような ことの支援というのが必要なのかどうか。そういう問題も入ってくるのではないかと思 います。何れにしても、再設計というのは、かなりポイントだろうと思いますし、合う ような形で入れていかないといけないというのは、一番大きな特色だろうと思いますの で、それに対して、派遣元、派遣先の分担関係をどう整理するかということと同時に、 場合によっては、両者だけでできなければ、第三者が支援する。そういうもので考えて いく必要があるのではないかと思います。そこは一般の派遣の場合とは、ちょっと違う と思います。 ○ 岩村座長  宮武委員、どうぞ。 ○ 宮武委員  派遣先のニーズが2つあるというか、障害者雇用ということを1つは意識して考える のか、あるいは、ニーズそのものが職務の業務の必要といいますかです。私どもの場合 に、大手企業さんとかから、障害者雇用の立場から求人があるんですけれども、そのと きは、とにかく知的障害者の方ができる仕事が自分たちには造れないということで、仕 事の切り出しをして欲しいというのが最初の依頼なのです。ですから、そこで、今は派 遣先の方は雇用率のカウントにはならないわけですね。これが雇用率のカウントになる と、やはり、非常にやりやすいといいますか、そういう形でグループ就労なり、仕事の 切り出しをして、1つの業務をつくりだして、そのニーズにも応えることができるし、 雇用率の観点からも進めることができます。ですから、やはり派遣先に雇用率というこ とは、非常に大きなインセンティブになるというふうに思います。それによって、すご く違ってくると思います。 ○ 岩村座長  ありがとうございます。どうぞ、輪島委員。 ○ 輪島委員  少し回りくどい話になるのかも知れませんが、まず、派遣の仕組みをどういうふうに 位置づけるのかということで、障害を持っている方が就労に移行するステージとして、 今、どういうルートがあるのかというと、1つは、ハローワークの職業紹介があります。 今は自立支援法もあるので、福祉の人たちのサポートが入っています。特に就労支援と いうふうにいわれる人たちがジョブコーチという制度を使って入っていきます。今この 2つルートがあって、特にこの2つ目のルートが確立されつつあります。派遣の仕組みの 私のイメージは、第3の職業紹介、雇用への促進のルートにするというふうにならない のかどうかです。そこのところに着目すると、派遣元というのは、労働者派遣法上は、 労働力需給調整の仕組みで、マッチングをさせましょうということなので、それはマッ チングをする機能が、民間の労働市場のなかにあるということなので、できれば派遣と いう仕組みを使って、障害を持っている人が一般就労のところへ移行する仕組みのなか に位置づけられたらということを思っています。そのなかでいうと、座長がおっしゃっ たように、おそらく構造上、派遣元の雇用率が達成していません。しかし、日々の営業 のなかで、派遣先の開拓を営業でやっているということは、派遣先の障害者雇用の状況 が基本的にどういう状況なのかということは、営業のところからは余ってきます。そう すると、A社も雇用率が達成していないし、B社も結構苦労しているなということが分か ります。そうであれば、専門的な知識をむしろ障害者雇用や福祉的な支援をしている人 たちやジョブコーチのノウハウを、自ら派遣元が培って、それで、需給調整機能として、 派遣先の方へ障害を持っている人たちの雇用が、例えば次に議論する紹介予定派遣やト ライアル雇用を使って、ルートとして流していけるような仕組みにできないか。であれ ば、きっと、職場開拓は多分営業で情報が上がってきますから、そこへいって、職務分 析をしてみて、こことここの仕事ならば、精神の障害を持っているこういう人で、こう いう人がいるので、ここで週20時間ぐらい働けますよ、まずグループ就労でやってみま せんかというような形で実現できないのか。というようなことになると、多分、最初か らは、職務の設計と、障害の理解、それから、職場の理解と、職務分析をすることによ って、職場開拓をしていくということができればいいのではないかと思います。 ○ 岩村座長  今のお話しを伺って、私も大分イメージとして1つはっきりとしてきました。やはり、 派遣元の企業と、多分、今就労支援とかそういう活動をやっておられる障害者の組織な り施設との間での、一定の協力関係なり共同関係みたいなものが、ネットワーク的なも のが何か構築できれば、そうすると、今輪島委員がおっしゃたような形で、例えば、こ ういう人たちだったら派遣労働に乗るでしょうというような形で、派遣労働のところで 需給調整に乗れる。また、多分、派遣先の開拓という関係からいっても、派遣元が元々 ノウハウを持っていれば別ですが、そうでないとすれば、やはり障害者の就労支援とい う活動をしているところとの間での一定のネットワークなり協力関係の下で、職務分析 なり職務の切り出しなりといったところでタイアップをしていく。それによって、派遣 という形でまず民間の需給調整を使いながら、派遣という形で就労へと結びつけていく。 それがもっと、さっき北浦さんがいったように、よりバックアップを繋げていけば、一 般就労への移行という展望も開ける。どうも、そういう形での構築というのが1つ考え られるのかなと思います。もちろん、実際にヒアリングに来ていただいて、派遣元の方 で派遣先の障害者の就労開発をやっておられるところもあるけれども、そういうところ はもちろん、もっとやっていただければいいので、そうでないところをどうやって巻き 込んでいくかということを考えていったときには、多分、より派遣元の企業と障害者の そういう就労支援の活動との間のタイアップなり連携というものを結びつけていく、強 めていくということが、結局、派遣元における就労の、派遣元に対する支援ということ にもなり、派遣先への支援ということにも結びついていくし、環境整備その他の障害者 の就労環境なりその他のところへも結びついていく。そういう構造なのかなという気が するのです。やっぱり、そういう意味では、人材なりそういう障害者の人の仕事の開発 なり訓練なりのノウハウとか、そういうことができる人材といったものが、派遣元のと ころにまずあるのかどうか。その上で、派遣先のところでそういう派遣を受け入れて、 障害者の方を働いてもらうための環境整備についてのノウハウというものをどうやって 提供できるかということだろう、そういう構造なのかなというのが1つあるのかなとい う気もします。北浦委員、どうぞ。 ○ 北浦委員  今の座長の話、輪島委員の話の通りだと思うので、ここの登場してくる派遣企業とい うのは、一般の派遣のところとは違う性格を持って登場してもらわないと、多分成立は しないだろうと思います。あるいは、うまくいかないだろうという感じがします。ただ、 その場合に、そういう派遣元企業であらんがために、やはり職務再設計を行うとか、い ろいろな業務について、それがいわばコストになっていくわけですね。そのコストとい うものが、事業としてもしやっていくのだとすれば、それは料金ということになってい ってしまうわけで、それは非現実的だろうと思うのです。ですから、派遣先への援助と 同時に、そうすると、派遣元にも援助する必要があるのかどうか。それはおかしいと考 えて、そういうところで業としてやるのであれば、これは条件として、そういうところ も配慮するというところがやるべきであって、最初からそれは条件だと割り切るのか。 そこの考え方は2つあるのかなという感じはいたします。それでできなければ、さっき 申し上げたように、第三者的なところが支援をするということで、それは派遣元、派遣 先ではない世界のところで、支援をする。その辺はいろいろいくつかの方法があるのか なと思います。 ○ 岩村座長  何となく論点3の方に移ってきているんですが、また後で、論点2について、特に個 人情報の問題については非常にセンシブルなところがありますので、ちょっと慎重な検 討が必要だということはよく分かります。他方で、実際に働く人のことを考えたときに は、一定の情報の提供というのはどうしても必要だということもあるので、一般論とし てどこまで考えることができるか。ちょっと難しいとは思いますが、何れにしろ、非常 に微妙な問題を含むということはよく分かりました。それでは、もし必要があればまた 戻っていただくということで、論点3の方の説明をお願いします。 ○ 事務局  9ページをご覧ください。論点3ということで、障害者である派遣労働者を派遣先が 円滑に受け入れるために、派遣先の取り組みを支援する施策が必要と考えるがどうか。 (1)として、働く場所が派遣先であることを考慮し、派遣先が障害者が働きやすいように 施設及び設備を整備する場合に、支援策を設けることについてどのように考えるか。(2) として、派遣先において、障害者が職場に適応するために必要な人員を配置する等をし た場合に、支援策を設けることについてどのように考えるか。以上です。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。北浦委員からお話しが出たところですが、1点、議論の前 提として事務局に確認なんですが、今の制度では労働者派遣の場合に、障害者が派遣さ れて、派遣先で就労するというときに、例えば、非常に分かりやすい例でいえば、車椅 子が入れるようにスロープを設けるとかというようなことについて、今の仕組みの下で は、派遣先に助成金がいくというようなことはあるんでしょうか。 ○ 障害者雇用対策課長  現状の仕組みのなかでは、納付金制度の下で助成措置を行っていますが、その対象は 施設整備の場合でも、それから、例えば、業務遂行援助者のような人的な支援の場合で も、障害者を雇用する事業主の方を対象としているので、派遣の場合ですと、派遣元が そういう手当をしたときには対象になるけれども、派遣先が手当をした場合には対象に ならないというのが今の現状でございます。 ○ 岩村座長  ありがとうございます。斉藤委員、どうぞ。 ○ 斉藤委員  私どもは受け入れる側の企業ですから、まさにこの問題の当事者なんですけれども、 どんなに手厚い支援をしてもらっても、派遣で受け入れるのであれば、自分のところで 雇用した方がいいわけで、そういうことからいうと、障害者の派遣を受けるというのは、 受け入れる企業にとってのメリットというのは、雇用率に反映されない限り、はっきい 言ってないと思います。 ○岩村座長  おっしゃる通りで、雇用率の問題とどうしてもリンクするとことになると思います。 これは、そんなに真剣に受けとめていただく必要はないのですが、建て前としては、派 遣元が雇って働かせるわけですね。そうすると、派遣元が助成金を受け取って、派遣先 の施設を改修するということはできないですか。 ○ 障害者雇用対策課長  制度的には多分、できないことはないということだと思うのです。現実の問題として、 派遣先の企業の施設について、派遣元は施設整備を行ったりするということは、なかな か考えにくいのではないかと思います。 ○ 岩村座長  もし、派遣元がやってくれるということになったらどうですか。 ○ 斉藤委員  それは、是非是非、お願いします。 ○ 岩村座長  雇用率の問題と関係するんですけれど、要は、派遣先で施設整備とかその他をという 話になると、多分、雇用率が結びつかないと、いくら助成金をつけても、多分同じこと になって、直接雇った方がいいということになってしまいますので、他方で、派遣元に やってもらうというのは、派遣労働という性格を考えると、ちょっと難しいのかなと思 います。観念論としてはあるのかも知れないが、現実問題としては難しいでしょうね。 ○ 障害者雇用対策課長  その意味では、今私は施設を例示して申し上げましたので、やや大がかりなイメージ になるんですが、施設だけではなくて、例えば設備ということで考えますと、実際の仕 事で使うパソコンを障害者対応の読み上げソフトが入っているものにするとか、そうい う部分についても助成措置があるので、そこは、例えば派遣の場合、派遣元が手当をす るということも、より具体的なイメージとしては出てきます。また、場合によっては、 派遣先の方がそういう準備をして、派遣労働者の受け入れをしやすくするということも あります。施設ですと、なかなかイメージとしては大がかりだなという感じになってし まいますが、設備や、場合によっては、介助者等の人的な支援というところになれば、 派遣元も派遣先も議論の対象になってくるかなという気がします。 ○ 岩村座長  もう1つ、仮に派遣先に例えば施設でも設備でもいいんですが、助成をするというこ とを考えたときに、実はそうやって障害者の方を派遣で受け入れて、機器を購入したり、 設備を整備すれば、本来は正規で雇うということも、それによって可能にはなるんです よね。ただ、ここが多分やっかいな問題になってくるのだろうと思うのですが、派遣で 雇って雇用率に反映させるとなると、直接雇用で雇うということに対するマイナス効果 が出てこないだろうか。おそらく、派遣でも正規でも働けるという人の場合を考えると、 そういう懸念が出てくるのかも知れません。だから、それは雇用率の設定の仕方による ということで、処理できるかも知れないですが、そういう問題も、実は他方ではあり得 るということですね。ただ、派遣とそうでないのとでは、時間単価が違ったりするので、 障害者の方がどういう形で直接雇われているかという給与体系その他によるところがあ りますので、そう簡単ではないと思います。輪島委員、どうぞ。 ○ 輪島委員  今、課長がおっしゃったように、施設と設備とは少しイメージが違うんだろうなと思 います。例えば6カ月の派遣契約で、施設まで直すかというと、そういうことにはなら ないだろうと思います。実際に、その助成金の要件も、確認をした上で着工しないと駄 目だということになっていますので、実際上は難しいだろうと思います。ただ、設備の 関係でいくと、今例示で挙げたソフトもしくは機械を持っていて、それを派遣先に持っ ていったときに、派遣先のホストコンピュータへのアクセスがどこまで可能なのかとい う話になると、そこら辺は結構難しい話です。基本的には、前のページの論点2の必要 な支援というところで、派遣元がどれくらいやるかという問題です。ただ、派遣先がセ キュリティーの関係で、どこまでアクセス可能なのか分かりませんが、そういうところ のソフトや物について、どういうふうにするのかということになると、多少その辺はお 金がかかるのかどうか分かりませんが、設備について、または人的支援についての助成 ないし支援策というのは、何がしか環境整備という意味合いが必要なのではないかと思 います。 ○ 岩村座長  他方で、先ほど精神障害者の例を伺うと、やはり派遣先での環境の問題というのがお そらくポイントになるので、そこについて何らかの人的な支援なりを施策として考える ということは、あり得るのでしょうね。おっしゃるように、確かにコンピュータの場合 は、セキュリティーの問題があるので、派遣元のコンピュータを派遣先に繋げるという のは、これは実際問題としてはできないでしょうね。だから、ソフトのライセンスだけ 持っていくとか、あるいは、それに対応する部分の機器だけを補足的に持っていくとい うことはあり得るのかも知れないけれども、コンピュータ自体を持っていって繋げると いうのは多分難しいでしょうね。  それと、やっぱり、先ほどおっしゃっていたように、派遣の場合だと、普通は通常の ケースだと6カ月であるとか、1年であるとか、一定の期間がついています。更新しても、 現行だと3年までですから、そうすると、そのために、大がかりな設備の改修を派遣先 がするのか。でも、割り切りとしては、それをきっかけに設備の改修費用を出してしま って、それで、要するにアクセスできるような設備なり機器を揃えてもらえば、それは さっきとはまた裏腹に、逆に障害者の雇用の場を広げるという意味も持ち得るというこ とはあると思いますが、要件の設定は難しいと思います。  特段、この論点3について御発言がありますでしょうか。どうぞ、松友委員。 ○ 松友委員  知的の場合は、こういうアクセスの設備とか建物とかではなくて、人になるわけです が、そういう人を配置する場合、ジョブコーチなど、その人の身分というか、所属はど こになるんですか。派遣先の会社の組織に所属することになるんですか。 ○ 岩村座長  例えば、知的障害者の方を6カ月、派遣で何人か受け入れたとします。ついては、知 的障害ということもあるので、1人ジョブコーチ的な人を、例えば派遣先で週何時間か つけるとします。これは、テクニック的には多分派遣先の方に雇うとか、委嘱するのか よく分かりませんが、多分委嘱になるのだろうと思います。それで、助成金をつけると いうことも、テクニック的には考えられるでしょう。ただ、派遣元につけてしまっても、 ジョブコーチの人が実際に派遣先にいかないと意味がありません。企業でいくつかの派 遣先がある場合は、ジョブコーチが派遣元にいて、巡回的に派遣先を回るというイメー ジというのも描けるかも知れません。その場合だと、むしろ派遣元に何か助成なりをつ けて、ジョブコーチの人を委嘱するという方が実態にはかなっています。そういうこと で、仕組み的にはあり得るのかなと思います。ただ、実際にお金を出すという話になる と、多分いろいろ詰めなければならない点があるので、そういう仕組みが本当に組める かどうかというのはまた考えなければいけません。だから、なるべく実態にうまくかな ったような形ができるようになればいいので、さっき申し上げたように、派遣元の方で いくつか派遣先に知的障害者の方を送っていて、定期的に巡回していけばということで あれば、それは派遣元にくっつけた方が実態に合うでしょうし、派遣先の方にある程度 グループで入ってしまっているというのであれば、むしろ派遣先についていた方がおそ らく都合がいいと思います。 ○ 松友委員  分かりました。それから、先ほど北浦委員が御提案されていたように、特に知的の場 合は、職業上の具体的な援助というか、能力というか、そういう面におけるいわゆるコ ーチというか、様々な適応において起こってくる1つのトラブルというか、家族も含め て、その調整というのが意外と起こってきます。そのときに、雇用されるのは派遣元で 雇用されて、実際に働くのは別なところの職場です。そうすると、職場の同僚とか上司 との間で起こったトラブルを、家族とか別の誰かが聞きつけて、いろいろ絡み合ってき たときの調整というのが、問題になってきます。この調整機能というのが、一番の支援 かなと思うのです。  そして、それがどっちかにつくよりも、それこそ第三者的な方がいいのかなという感 じは確かにしたんです。結果として、派遣元も派遣先も、とても役に立つわけですが、 どっちかに云々となっていると、その調整がうまくいかないのかなと思ったり、あるい は、実際にそこで働いている本人はもちろんそうですが、それを例えば家から通ってく るときの家族の思いにしたときに、そういう緊張感というかトラブルというか、トラブ ルでなくてもトラブルと理解する場合も含めてですけれども、トラブルがあったときの 理解というか、結構うまくいく場合が前提で、うまくいかないときもあるといったとき に、そういう問題が起こったときの体制というか、調整機能の部分が意外と支援として は必要なのかなと思います。  我々のところに上がってくる職場における問題というのは、意外とそういうトラブル が上がってきます。実際いろいろデータだとか調査をしても、かなり職場で、特に女性 の場合なんか、いろいろな問題が絡んできたりするのが多いのですが、これは何も障害 とか知的だけに関することではなく、一般的な問題でしょうが、やっぱりどうしても人 間関係上の適応をとりにくいとか、あるいは、なかなか距離感が難しいとか、比較的そ ういう問題を前提として、その部分における支援を考えていかないといけないとなると、 いわゆるジョブコーチという部分の、宮武さんがうまいことを言いましたけれども、三 角関係でなく四角関係になってしまうので、その辺りがどこにどういうような形で、基 本的には人的な支援を配置して対応すればいいのかというのは難しいというか、整理す べきことだなという感じがしました。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。おそらく、私が正しく覚えていればですが、今の派遣の一 般の制度の枠組みのなかで考えると、多分、派遣で派遣先に行っている人が、例えば派 遣先でいろいろトラブルが生じるといったときには、一般論としては派遣元の方がそう いうトラブルを解決する際に、派遣先との間で調整をするというのが一般的だと思いま す。派遣先自体が法令上直接義務を負っている場合は別ですけれども、そうでないと、 多分派遣元がそういう訴えを聞いて、必要があれば、派遣先との間でそのトラブルを解 決するための調整を行うというのが普通の枠組みだろうと思います。ですから、障害者 の方の特性を考えたときに、派遣先でトラブルがいろいろあって、それを解決するとき に、派遣元と派遣先の調整ということでやれるのか。いや、やっぱりそれは障害という ことの特性に応じてだけれども、その枠組みでやるのはやっぱり無理があって、何か派 遣元と派遣先と、御本人と家族と、何かそういうものとの間で、先ほど八木原委員がお っしゃったような、何かそういうような相談の場なり協議の場を設定して、トラブルの 解決というものを考えるということなのか。そういう場を設けるとか、そういう解決手 法というものを想定するということに対して、一定の支援というのを何か派遣に特化し て考えてみるのか。でも、実は、派遣に特化しなくても、多分今の就労支援の枠組みの なかでも同じようなことがあるのではないかと思いますので、それをこちらの方に移植 してくるということなのかなという気もします。課長、どうぞ。 ○ 障害者雇用対策課長  今、御議論いただきました点については、外部機関としての支援という意味では、今、 座長がおっしゃったように、派遣に拘わらずという部分があるかと思いますが、一般的 には、やはり就業あるいはそれに伴う生活面での相談やいろいろな支援を、企業という 立場を離れたところから支援が入れられるようにしていくというのが大事ではないかと 思っております。具体的な政策の展開としては、就業・生活支援センターというような 形で、就業面、それに伴う生活面、これを合わせていろいろな相談員を入れたり、支援 を具体的にやっていったりするセンターが、現段階では全国で110カ所ございます。こ れを近い将来に全国約400カ所ぐらいには増やしていきたいということで、速やかな整 備をしていきたいと考えているところです。ですから、派遣で働く場合でも、そういっ たものを御活用いただくということが1つの方策として出てくるのではないかと思いま す。  それから、それと併せて、やはり前々回お示ししたアンケート調査のなかでも、御本 人に対する調査のなかで、相談相手としてどういう方を具体的に選んでいるかという調 査があって、これを見ますと、派遣先の上司あるいは派遣先の社員といっている方が相 当数おられます。あるいは、派遣元の担当者というふうにいっておられる方も3割ぐら いおられます。従って、派遣という働き方のなかで、具体的に企業内で相談をしたり、 支援をしたりという体制を考えたときに、支援の仕組みを考えていくときに、派遣元と 派遣先との関係で、そこの辺りをどういうふうに考えていけばいいのかというのは、こ の場でもまた御議論をいただいて、御整理をいただければと思っております。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。ただ、先ほどの障害者の方で派遣で働いた方の回答という のは、障害特性が身体障害者に非常に集中しているので、精神障害者の方とか、知的障 害者の方までの拡大ということを考えたとき、そこでの回答がそのまま使えるかどうか というのは、ちょっと違うような気がします。どうぞ、鈴木委員。 ○ 鈴木委員  ある事例がありまして、ここで聞いた方がいいかなと思って発言いたします。実際に はAという会社に正規職員で雇用されていて、職場はAという会社の一部であるbという 会社に出向していて、BからAに来ている形になっています。給料はBから支給されていま す。雇用率はAでカウントされているようです。こういうのはあり得ることなんですか。 ○ 岩村座長  なぜそういうことをするメリットがあるのか、一瞬よくわからなかったんですが、A 社で雇用しているわけですね。Aで雇用した上でBに出向でいっている。出向先のBから Aにもう1回きて、そして働いている。給料はBから出ているということですね。 ○ 鈴木委員  だから、Aという会社は雇用率だけ稼いでいるのかなという気がするのです。 ○ 岩村座長  おそらくそうです。多分、実態としてはそういうことになるのではないでしょうか。 ○ 鈴木委員  本人はそのために給料が下がってしまいました。派遣ということで雇用率を考えると きに、このような問題があっていいのかということです。 ○ 岩村座長  実は、今ここで議論している派遣は、登録型派遣を前提としているのですが、もう1 つ、常用型というのがあって、それはやや今おっしゃったようなことに近いのですが、 ただ、違うのは、Bで最初から雇って、そして、B社からA社へ派遣という形をとるので、 従って、現行制度上はA社の雇用率にはカウントされないんですね。今おっしゃったの は、多分特例子会社にやや近いのかなという気がしますが、ちょっと脱法的なような 気がしますね。そういうことをするメリットはあまりないような気がします。 ○ 鈴木委員  でも、その人がいないと、その会社の雇用率はとても下がってしまうのです。 ○ 岩村座長  だから、多分、出向させるということによって、A社の賃金体系を適用せずに、B社 の賃金体系にして、というところがメリットで、しかし、雇用率だけはA社で享受する ということですね。私個人の見解ですので、脱法的かどうかという見解は撤回しますが、 そういうことだと思います。だから、派遣の場合は当然にそうなるということはありま せん。 ○ 鈴木委員  通常B社の方々はずっと派遣職員で一緒にA社に来ているのです。 ○ 岩村座長  それは、常用派遣という形態をとればそういう形になります。 ○ 鈴木委員  とりあえず、ここのところかなと思いましたので発言いたしました。 ○ 岩村座長  論点4に移っている部分がありますけれども、逆にいうと、派遣先にもし最初からあ る程度雇用率がつくということにすれば、そういうことをする意味はあまりなくなりま す。どうぞ、宮武委員。 ○ 宮武委員  先ほど課長の方から就業・生活支援事業の拡大がこれから実現されていくというお話 しがありました。知的または精神の方の雇用という場合、権利擁護の観点というのが重 要になります。派遣先で何か問題があったとき、派遣元の担当者に相談するとしても、 やはりその関係というのは、第三者ではないわけですね。雇用主に相談しているわけで す。そういう意味で、特に知的障害の方は弱い立場にあります。自己主張がなかなか難 しい面もありますので、もちろん多くはないのですけれども、なかには職場のなかで人 権侵害というか、権利侵害という事例もございます。ですから、そういう意味でも、就 業・生活支援センターとか、やはり公的な部分での関わりというのが必要ではなかろう かと思っております。 ○ 岩村座長  ありがとうございます。重要な指摘だと思います。輪島委員、どうぞ。 ○ 輪島委員  別件ですが、先ほど派遣期間の関係がありました。現行の派遣法を想定して申し上げ ましたけれども、座長にお伺いするのか事務局に聞くのかよく分かりませんが、要する に、派遣期間の期間制限があるからそういう話になるわけです。裏返すと、1999年にそ れまで高齢法では、物の清掃を含むいわゆるネガティブリストを、高齢者雇用安定法の なかに位置づけて、派遣法とは関係ないという理屈で整理されていました。そういうこ とからすると、障害を持っている人の派遣については期間制限がありませんということ にして、設備についても、施設についても、できますということにしたときに、障害者 雇用促進法のなかに、それをまた別途位置づけて、派遣法とは切り離すということは、 テクニカルとしてはできるんですか。 ○ 岩村座長  多分、事務局は答えにくいと思いますので、私自身の個人的な考えですが、テクニカ ルにはあり得ると思うのですが、ただ、それが立法政策として妥当かどうかは、ちょっ と高齢者の場合とは同じには議論できないのではないかと思っています。というのは、 高齢者の場合だと、60なり65歳という一定の年齢以上の人を想定しています。仮に派遣 の期間を外したとしても、それが永続的にずっとその後キャリアとして続くという想定 にはなっていないと思うのです。ですから、おそらく期間制限というのをそれほどうる さく言わないということがあったのではないかと思います。ただ、障害者の方の場合で すと、非常に若いときからひょっとすると派遣という形になって、しかもそれに期間の 制限がないということになると、ちょっと違う意味を持ってしまうのではないかと思い ます。今おっしゃったような高齢者の場合の特例の問題と、すぐにパラレルに議論でき ない側面があるだろうと思います。テクニカルにはあり得るんですが、立法政策として 考えたときに適切かどうかというのは、ちょっと慎重に考える必要があると思います。 ただ、おっしゃるように、確かに設備の面でいえば、そういう考え方はあり得るのです が、ややそこは慎重に検討する必要はあるでしょうということです。  論点4に移ってしまっていて申し訳ないのですが、時間の関係もありますので、事務 局に読み上げてもらうのは省略させていただきます。アンケートの結果などを見ると、 今日の分析を説明していただいたのを伺ってみても、雇用義務、雇用率の考え方につい ては、派遣先も派遣元も障害者の方を派遣で使ったことがあるかないかということとは あまり関係なく、両者で分担するということで、ほぼ一致しているのかなと思います。 それを受けて、この研究会として、どう考えるのかということです。はっきりしている のは、派遣先に雇用率というものが何らかの形でつかないと、これはヒアリングでも出 てきましたし、先ほど斉藤委員もおっしゃいましたけれども、派遣労働を使うメリット というのはほとんどないということです。従って、新たな障害者の就業形態なり雇用形 態をつくっていくんだという観点から派遣労働を使いましょうということで、もし全体 としてこの研究会のスタンスだと考えるとすると、そこからはやはり派遣先にも雇用率 というようなことで、一定の配慮というものをして、障害者を派遣労働で使うというイ ンセンティブを付与するということを考えないと、政策的には一貫しないことになるだ ろうと思います。そこについては、皆様、率直にいかがでございましょうか。輪島委員、 どうぞ。 ○ 輪島委員  前にも申し上げましたが、まずは雇用率ということで、派遣先に雇用率を分けること が制度上できるかどうかというよりは、むしろ、雇用していない人に雇用率ということ で分けられるのかどうかということが、最終的に法案要綱で作って、内閣法制局と調整 したときに、本当に耐えられるのかどうかということです。  2つ目は、論点1から4のなかに抜けていると思うのですけれども、現状の派遣元は雇用 率が著しく低いということで、それで人材派遣協会も11ページにあるような案1、案2、 案3のような分け方が、つまり派遣先に何がしかのメリットがないと、雇用が進みません ということをいっているわけです。しかし、これを入れることによって、本当に派遣元 の方の雇用率が上がるのかどうか。これ以外にあまり方法がないので、法律を変えまし た、入れましたが、派遣元の雇用率は全然上がりませんということになりはしないのだ ろうか。それから、11ページにあるような、結局、どういうふうに分けるのかというと、 この3つの組み合わせしかないので、結局はどれかの選択肢になるということで、それ 以外には選択肢はないとは思いますけれども、そこの前提がきちんとしていないと、大 丈夫なのかなと思うのですが、そこは大丈夫なのでしょうか。 ○ 岩村座長  私の方からごく簡単に申し上げます。おそらく、そこは、一番最初の論点でいえば、 雇用率ということをどう考えるのか。なぜ雇用率という考え方を入れるのかということ があるので、おそらく整理するとすれば、やっぱり派遣先というもので実際に働くとい うことによって、少なくとも雇用率との関係では、雇用と同視できるような関係がある というような、何かそういう理屈を考えるということがあるんだろうと思います。それ は、そもそも雇用率というのは何だろうという話だと思います。もう1つ、派遣元との 関係では、そういう意味では、逆に派遣元は従来から非常に雇用率が低いので、あまり 甘くしてしまうと駄目なのかも知れないという気がするのですね。少しシビアに、もう ちょっとちゃんと努力せよというようなものがあってもいいのかも知れないので、その 点で、結局、雇用率を仮に派遣先にもつけるとしたときに、派遣元に対する雇用率のつ けかたというのをどう考えるかということによって決まってくる部分があるだろうと思 います。あと、補足があれば事務局の方でお願いします。 ○ 高齢・障害者雇用対策部長  岩村先生もおっしゃいましたけれども、雇用率というのはどういう制度だろうという ことだと思います。おそらく、これは政策的に障害者雇用をどうやって進めるかという なかでつくられた制度なので、雇用関係とリンクしていると今法律には書いてあります けれども、必ずそうでなくてはいかんということにはならないのではないかと思います。 むしろ政策的にどうするかという議論が整理されれば、それに応じたものとして制度設 計をして、これは法制局にも十分説明は可能ではないかと思っています。むしろ、政策 的にどういうふうにするのが正しいかということで御議論いただいた方がいいのかなと 思っております。  もう1つは、今の2つ目の御指摘で、派遣元の雇用率が上がるかどうかという観点は 重要だろうと思いますけれども、もう一方では、派遣労働者をたくさん雇っている派遣 先の障害者に職場をどれだけ提供するかという観点をどう考えるかというのが、実はあ るような気がしています。要するに、自分のところの労働者を少なくして、派遣労働者 をいっぱい雇っていれば、今、障害者の雇用率が小さく出るということがあります。た だ、それは、1つは派遣元の方の障害者雇用をどうやって増やしていくかという観点は 一方にはありますけれども、もう一方では、派遣労働者をいっぱい雇っている派遣先企 業というのをどういうふうに評価するのかという観点もあるのかなと思っていますので、 その辺を含めて、ご議論いただければ幸いだと思っています。 ○ 岩村座長  今の議論でいったとき、派遣先で雇用率をカウントするといったときには、障害者以 外の派遣労働者もどうカウントするかという問題と、結局、そこも考えないといけない ということになるんですか。 ○ 高齢・障害者雇用対策部長  案1、案2、案3があって、案1は、まさに分母の方、要するに派遣先の方の分母の方が 増えるという案になっています。これは、要するに、派遣労働者をいっぱい受け入れて いる企業はそれに応じて、派遣として障害者を受け入れるか、自社で受け入れるか、ど っちもあり得るのですが、障害者の職場提供義務を増やすべきだというのが案1です。 案2、案3は、そういう部分は考えていなくて、要するに、どちらかというと、派遣元で 障害者雇用を増やすために、派遣先の方で少しメリットを与えればいいという整理にな っています。政策的な議論としては、そういう部分があるのかなと思っていますので、 その点も含めて、考え方を整理していただく必要があるかなと思っています。 ○ 岩村座長  ありがとうございました。論点4のところが今部長もお話しいただいたように、非常 に重要な問題であります。それで、残念ながら、今日は予定していた時間にもなってし まいましたので、論点4については、次回、紹介予定派遣を議論するのと合わせて、再 度議論を深めていきたいと考えます。実は、11ページのこの表の案の(1)(3)というのが、 どういう政策的な意味合いを持つかというのは、これだけ見るとよく分かりにくいので すが、今、部長から説明していただいたように、(1)ですと、派遣をいっぱい使っている 派遣先には、要するに派遣労働者も含めて、どういう割合にするかはともかく、派遣労 働者も含めて障害者の雇用義務を課して雇用率を考えるという考え方が入っているとい うことです。(2)、(3)はそこまではいかずに、派遣先にインセンティブを与えるという、 そのインセンティブの与え方のウエイトの違いが(2)と(3)ということで、そういう色分け になっておりますので、恐れ入りますけど、そういう政策的な意味合いというのも(1)(2) (3)が持っているということをお含みおきいただいて、次回この論点4についての議論を 継続するなかで、皆様方に一応お考えをまとめてきていただいて、研究会としてどの方 向に持っていくかということを御議論いただければ大変有り難く存じます。お忙しいと ころ恐縮ですけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。  そうしますと、次回は残りました論点4と、それから障害者の紹介予定派遣というも のをテーマとしまして、具体的な議論をしていきたいと考えますので、どうぞよろしく お願いをいたします。最後ですけれども、次回の日程等につきまして、事務局の方から 御説明をいただきたいと思います。 ○ 事務局  次回は4月13日、金曜日、15時30分から17時30分まで、場所は厚生労働省の5階の共用 第7会議室を予定しております。また、お手元に次回研究会の出欠確認の用紙を配付し ております。御記入いただきまして、お帰りの際に机の上に残していただくか、今月中 にファックスで御返信いただきますようお願い申しあげます。また、第6回研究会の議 事録の未定稿を配付させていただいておりますので、内容をご確認していただいた上で、 ホームページに公開したいと考えております。メールでも同じものを御案内いたします ので、御意見等ございましたら今月中に事務局宛にご連絡ください。以上です。 ○ 岩村座長  どうもありがとうございました。それでは、次回は4月13日ということでございます。 それから、議事録の方もよろしくお願いいたします。最後に、今日の議事でございます が、議事録については公開しても差し支えないと存じますが、それでよろしゅうござい ますか。 (「異議なし。」)                ありがとうございます。それでは、これをもちまして、今日の研究会を終了とさせて いただきたいと思います。どうも本日はお忙しいところありがとうございました。 【問い合わせ先】  厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課  雇用促進係   〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2  TEL 03(5253)1111(内線5855) FAX 03(3502)5394