07/03/26 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 平成19年3月26日議事録 薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会 議事録 日 時:平成19年3月26日(月) 16:00〜18:10 場 所:厚生労働省18階専用第22会議室 1.開 会 2.挨 拶 3.審 議  議 事:1 議題       (1)食品添加物の指定の可否について       (2)食品中の農薬の残留基準設定について       (3)食品中の動物用医薬品の残留基準設定について       (4)乳及び乳製品の容器包装について      2 報告事項       (1)厚生労働省におけるリスクコミュニケーションの取組について       (2)不二家問題への対応について 4.閉 会 ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会食品 衛生分科会」を開催させていただきます。本日は御多忙のところ御参集いただきまして、 誠にありがとうございます。 まず、本日の出欠状況について御報告させていただきます。本日は、犬伏委員、神田委 員、岸委員、児玉委員、鈴木委員、田中委員から欠席との連絡を事前に受けております。 垣添委員は、遅れて到着されるとの連絡を受けております。 現在、分科会総数19名のうち、11名の御出席をいただいており、出席委員が過半数に 達しておりますので、本日の分科会が成立いたしますことを御報告申し上げます。 本日の議事次第につきましては、お手元の資料の議事次第に書いてあるとおりでござい ますが、議題といたしましては4題を予定しております。 具体的には「(1)食品添加物の指定の可否について」は、イソブチルアルデヒド、2 −メチルブタノールの指定の可否について。 「(2)食品中の農薬の残留基準設定について」は、カズサホスの食品中の残留基準の 設定について。 「(3)食品中の動物用医薬品の残留基準の設定について」は、イベルメクチン、プラ ジクアンテル、豚パルポウイルス感染症・豚丹毒・豚レプトスピラ病混合不活化ワクチン、 鳥インフルエンザ不活化ワクチンの4点でございます。 また「(4)乳及び乳製品の容器包装について」が議題でございます。 報告事項につきましては2題ございまして「(1)厚生労働省におけるリスクコミュニ ケーションの取組について」「(2)不二家問題への対応について」の2題を御報告させ ていただきたいと考えております。 配付資料の確認でございますが、1ページ、2ページ、3ページめくっていただきます と、本日の分科会資料一覧がございますので、そちらの方で御確認をしていただきまして、 もし不足や落丁等ございましたら、事務局の方までお申し付けいただければ幸いです。 それでは、以後の進行につきまして、吉倉分科会長にお願いさせていただきたいと存じ ます。どうぞよろしくお願いします。 ○吉倉分科会長 それでは、議事に沿ってやりたいと思います。安全部長、何かあいさつ ありますか。 ○藤崎部長 今日は特にありません。 ○吉倉分科会長 それでは、早速、食品添加物のイソブタナールからやりたいと思います。 説明お願いします。 ○松田課長 それでは、資料1−1−1「イソブタナールの食品添加物としての指定の可 否について」ということでございます。 資料めくっていただいて5ページ目からが部会の報告書でございます。 「1.品目名」でございますが、実は部会の審議の段階でイソブチアルデヒドの方が適 当だろうということで変わりましたので、イソブチルアルデヒドとしてあります。 「2.構造式、分子式及び分子量」につきましては、記載のとおりでございます。 「4.概要及び諸外国での使用状況」でございますけれども、欧米では焼き菓子とか清 涼飲料水とか、さまざまな加工品に使われております。また、天然にも果物とか野菜など の香気成分として含まれているものでございます。 「5.食品安全委員会における評価結果」でございますが、結果といたしましては、イ ソブタナールは食品の着香の目的に使用する場合、安全性に懸念がないと考えられるとい うものでございます。 「6.摂取量の推定」でございますけれども、これも食品安全委員会の評価結果から引 用でございますが、本物質の年間使用の全量を人口の10%が消費していると仮定するJE CFAのPCTT法というもので、1995年の使用量調査に基づく米国、EUにおける一人 当たりの一日の摂取量は66及び113μgというふうに推定されております。 6ページ目、我が国の本物質の推定摂取量もおよそその程度であろうと推定されるとい うこと。また、食品中に天然にも存在すると申し上げましたけれども、食品の天然由来の 摂取量が出ておりますが、意図的に加えられたものの98倍ぐらいであるという報告もされ ております。 「7.新規指定について」ということでございますが、使用基準案として着香の目的以 外に使用してはならないという形で、使用基準を設定すべきという意見をいただいており ます。 成分規格でございますが、10ページ目を見ていただきたいと思いますけれども、規格案、 JECFA、アメリカのFCCとの比較を載せてございます。基本的には、ほかの比較も 参考にしながら基準を設定しておりますが、溶解性と沸点については設定しておりません。 溶解性につきましては、IR法での確認試験でもって十分だということ、沸点につきまし ては、品質管理としてはGC法の定量法で十分だという理由で、設定はしておりません。 以上のことから、11ページ目以降に「答申(案)」ということで書かせていただきます けれども、イソブタナールにつきましては、イソブチルアルデヒドの名称を変えて、使用 基準は着香以外の目的外には使用してはならない。成分規格については、今も御紹介した ような形で規格をつくるということで、部会でまとめていただいたところでございます。 以上でございます。 ○吉倉分科会長 どうもありがとうございます。 11ページに答申案が出ておりますけれども、使用基準としては着香の目的以外には使用 してはならない。成分規格はその下に書いてありますが、いかがでしょうか。こういう条 件で食品添加物としてよろしいですか。 (「はい」と声あり) ○吉倉分科会長 それでは、次お願いします。 ○松田課長 それでは、資料1−2−1「2−メチルブタノールの食品添加物としての指 定の可否について」ということでございます。 部会の報告書が5ページ目からでございます。 「1.品目名」は、2−メチルブタノール。 「2.構造式、分子式及び分子量」は、ここに記載のとおりでございます。 「3.用途」は香料でございまして、これも天然に果物等に含まれている成分というこ とでございます。欧米でも焼き菓子とか清涼飲料水、キャンディー等のさまざまな加工食 品で使われているというものでございます。 「5.食品安全委員会における評価」でございますけれども、2−メチルブタノールは 食品の着香の目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられるということでござい ます。 「6.摂取量の推定」でございますけれども、これにつきましても先ほどのPCTT法 による推定がされておりまして、欧州で331μgというようなことで推定されております。 我が国でも多分近い量であろうということで、評価されているところでございます。 「7. 新規指定について」でございますけれども、「使用基準案」としては、着香の目的以外に は使用してはならないとするのが適当であるということでございます。 「成分規格案」としては、これも11ページ目にJECFAとの比較が載っておりますけ れども、これもJECFAでは溶解性とかアルコールへの溶解性、沸点について規格をつ くってございますけれども、溶解性及びエタノールへの溶解性につきましては、これもI R法で確認試験がありますので、これらを設定する必要性は低いのではないかということ でございます。 沸点についても、GC法による品質管理で十分担保できるのではないかということで、 必要ないのではないかという評価でございます。 以上の結果から12ページ目でございますけれども「答申(案)」といたしまして、2− メチルブタノールについては、食品添加物として指定することは差し支えない。 指定に当たって「1.使用基準」につきましては、着香の目的以外には使用してはなら ない。 「2.成分規格」については、以下のような形で設定するのが適当であるという形で部 会からまとめていただいたところでございます。 以上でございます。 ○吉倉分科会長 どうもありがとうございます。 何か御質問ありますか。 先ほどもそうなんですけれども、人口の10%が消費しているというのは、一体どういう 理由なんですか。 ○松田課長 JECFAで採用している暴露の評価法が、実際の食品用の使用量が人口の 10%に暴露したと仮定した場合に、どのぐらい摂取するかということをそういう方法でや っているということでございます。 ○吉倉分科会長 要するに、これはJECFAのPCDD法によると10%が消費している という見方で、一応JECFAのやり方ということですね。 ○松田課長 はい。 ○吉倉分科会長 いかがでしょうか。よろしいですか。 それでは、12ページにありますように「着香の目的以外に使用してはならない」という ことで、成分規格としては、そこの下に書いてあるとおりでよろしいですか。 それでは、ちょっとややこしいのが後でありますので、次お願いします。 ○松田課長 続きまして、資料2−1、農薬のカズサホスの残留基準の設定についてでご ざいます。 5ページ目からが、部会報告の内容でございます。 カズサホスにつきましては、平成17年9月に本分科会で一度御審議をいただいておりま して、その結果に基づきまして、昨年の4月に基準の告示を一度出してございます。今回、 枝豆、大豆等に適用拡大をしたいということで申請がございまして、基準を設定するとい うものでございます。 報告書の内容でございますが、このものにつきましては、殺線虫剤でございます。 化学名、構造式、物性につきましては、ここに記載のとおりでございます。 本剤の適用の範囲、使用方法は、6ページ目の表の下から5つ目に枝豆、大豆、シソ、 ネギ、バレイショということで、今回、適用追加になるものがございますけれども、いず れも土壌混和で使われるものでございます。 作物残留試験の結果でございますけれども、分析対象としては、カズサホスを対象にや られております。測定の結果は、12ページ目にまとめられております。12ページ目の2つ 目の欄から、大豆、枝豆、シソ、ネギ、バレイショということで出ておりますが、それぞ れこういった形で、大豆であれば0.001ppm以下という作物残留のデータがまとめられてい るところでございます。 続きまして、9ページ目、ADIの評価でございます。 食品安全委員会で、ADIにつきましては、今回の基準の見直しに当たりまして、改め て評価をいただいたところでございます。ADIについては、ラットの2世代繁殖試験の 無毒性量0.025mg/kg体重/dayに安全係数100をかけまして、0.00025mg/kg体重/dayとい う形で設定されているところでございます。 諸外国における状況でございます。 コーデックスでは、バレイショとバナナに基準が設定されております。米国ではバナナ とか、またはオーストラリアではショウガ、かんきつ類、サトウキビ等に基準が設定され ている状況でございます。 基準値案でございますけれども、13ページを見ていただきたいと思います。 今回、適用の追加のありました、大豆、バレイショが1、2番目にありまして、その7 つぐらい下にネギがございます。また、その9つぐらい下に枝豆がございます。一番下に、 その他のハーブということで、シソがその他のハーブに分類されますので、こういった形 で今回、基準値を設定したいと思っております。 これについては、基本的に今回、12ページにお示しした作物残留データの結果を踏まえ て基準値を設定したいというものでございます。 それ以外の基準値については、ちょうど真ん中ぐらいにカボチャがございます。カボチ ャは現行が0.05ppmでございますが、現在これにつきましては、国内でも登録が消失して おりますのと、平成15年〜17年度の検疫所の輸入食品のモニタリング結果でも、全く残 留した実績もございませんので、これについては基準を削除して、一律基準で管理したい と考えております。 それ以外については、現行の基準をそのままにしたいということでございます。 この基準値案で暴露評価をいたしますとどういうことになるかでございますが、10ペー ジに戻っていただきます。 今回のこの暴露評価に当たりましては、一番下にありますとおり、個別の作物残留試験 成績がある食品については、EDI試算、それ以外についてはTMDI試算を行って計算 しております。トータルでADIの比較で申し上げますと、その暴露量、推定摂取量につ いては、一番多い幼小児でも30.6%になるということでございます。 先生、よろしければ、TMDI、EDIについて御説明しますか。最後の方がよろしい ですか。 ○吉倉分科会長 これは直接関係あるかどうか忘れてしまったんですけれども、もしもそ うならお願いします。 ○松田課長 はい。 ここに、先ほど言いましたようにEDI試算、TMDI試算と書いてございますが、前 回の分科会のときに、分科会長の方から、このTMDIとかEDIの試算のやり方につい て資料があれば、次回提出してほしいという話がありましたので、本日の配付資料という ことで、平成10年8月7日付の「残留農薬基準設定における暴露評価の精密化に関する意 見具申」という資料を先生方のお手元に配らせていただいております。 この資料は、先生方だけに配らせていただいております。 ○吉倉分科会長 どうぞ。 ○松田課長 既に御存じの先生も多いかと思いますが、これに基づいて、EDIとTMD Iを簡単に御説明申し上げます。 これは、ここにもありますとおり、平成10年8月7日に当時の食品衛生調査会から意見 具申という形でいただいたものでございます。 6ページ目から意見具申の内容がありますけれども、これに基づいて簡単に御説明申し 上げます。 第一の「はじめに」の1番目にありますとおり、残留農薬基準の設定に当たりましては、 対象農薬の安全性試験成績に基づいて、一日摂取許容量(ADI)の評価が行われ、AD Iが設定できると判断された場合には、国際基準等、この「等」は、適正に農薬を使った 場合の作物残留データなどもこれに該当いたしますが、国際基準等にもとづいて、残留農 薬基準の基準値案が設定されます。 次に、当該基準値案を採用した場合に、予想される暴露量が試算されます。その結果、 予想される暴露量が一日摂取許容量を超えない場合に、国民の健康確保に支障はないと考 えられるため、当該基準値(案)をもって、残留農薬基準とするという考え方でございま す。 6ページの3に「一方、暴露評価については」とありますけれども、暴露評価について は、当時は、理論最大一日摂取量方式(TMDI方式:基準値(案)×平均摂食量の総和) でやってございました。これは、ここにも書いてありますが、それぞれの農作物の基準値 (案)にそれぞれの農作物の平均摂食量をかけまして、それのトータルを理論最大一日摂 取量(TMDI)といった方式でもって、平成10年まではずっと暴露評価をやってきたと ころでございます。 しかしながら、ここにもありますとおり、本方式による試算というのは、実際の暴露量 に対して非常に過大になるということが言われております。 7ページの4で、また国際的には、より実態に則した精密な試算方法の採用が進められ ておりまして、WHOでも、平成9年に、実際の農作物への残留を調べた試験(作物残留 試験)成績に基づく残留量等を基本とする推定一日摂取量方式(EDI方式)からなる指 針を公表したということでございます。アメリカやほかの国でもこういった考え方がとら れているというところでございます。 こういった動きを踏まえて、新しい暴露方式ということで、TMDI方式にプラスして EDI方式というものも採用していこうという形で決まったものでございます。 具体的には、13ページを見ていただきたいと思います。 「新しい暴露評価の方法」ということで、第一段階といたしましては、ここにもありま すとおり、国民平均、幼小児、妊婦、高齢者について、理論最大一日摂取量方式(TMD I方式)を用いて試算される暴露量を、それぞれに対応する許容される摂取量(ADI) と比較する。 ただし、ここに括弧書きで「水、空気等からの暴露を考慮した上で設定される」と書い てありますが、通常は、ADIの80%を食品のADIに割り当てるという考え方でやって おりまして、そのことを踏まえて比較するわけでございます。 その結果、国民平均、幼小児、妊婦、高齢者のいずれの場合においても、試算された暴 露量の方がADIより小さい場合は、安全性が確保されると考えられるため、これ以上の 試算は行わず、試算の前提となった基準値(案)をもって残留基準値とするという形でや っております。 第二段階として、国民平均、幼小児、妊婦、高齢者について、日本型推定一日摂取量方 式(EDI方式)でもって精密に試算された暴露量を、それぞれADIと比較する。 この日本型推定一日摂取量方式ですけれども、12ページの一番上の(2)に、実際のE DIの方式が紹介されてございます。 具体的には、基準設定農作物からの暴露量を、日本の実状に則した推定一日摂取量方式 (日本型推定一日摂取量方式)、要はEDIにより、日本国民並びに幼小児、妊婦、高齢 者についてそれぞれ試算して求めるということです。 この暴露量の求め方は、TMDIのときは、先ほど基準値×農作物の摂食量でございま したけれども、この場合は、実際の残留レベル×摂食量でやります。 その残留レベルでございますが、注7というところで、下を見ていただきたいと思いま す。残留レベルとしては、作物残留試験成績、可食部の農薬残留に関する試験成績、調理 ・加工の残留農薬への影響といったデータを使ってやるということでございます。そうい ったやり方で求める方式がEDIということで、第二段階のものでございます。この場合 も、EDIがADIより低ければ、これでもって基準値(案)は妥当だということで採用 するということでございます。 それでも駄目な場合は、8ページの段三段階ということで、より厳しいものを考えまし ょうという形で評価をやっております。 今回のカズサホスにつきましては、TMDIでやりますと、ADIの80%を超える場合 があるということで、一部の農作物については、EDIでの試算をやって計算したところ、 幼小児でも30.6%とADIの範囲に収まるということで、暴露評価させていただいたとい うものでございます。 そうしたことで、結果的に資料2−1の15ページ、答申案でございます。 大豆0.01、バレイショ0.03、ネギ0.01、カボチャについては削除、枝豆0.01、その他 のハーブ0.5という形で基準値案をまとめさせていただいたというものでございます。 以上でございます。 ○吉倉分科会長 TMDIが百何%とかなったのはどこでしたか。 ○松田課長 14ページの幼小児を見ていただきますと、TMDIでやると125.5%とあり ます。この表の右から2つ目のカラムです。幼小児がTMDIでやると、ADI比が125. 5%になるということで、EDIの暴露評価をさせていただいたということです。 ○吉倉分科会長 大体おわかりになりましたでしょうか。 要するに、TMDIでやると、少し高めに出ることがある。それで、実際に非常に近い 格好にしてもう一回評価し直すというやり方。今回、この幼小児については100を超した ので、EDIを使って評価したということです。 何か御質問あれば、どうぞ。 ○渡邊委員 これは大豆、枝豆ではないのですが、ホウレンソウとしょうがというのが0. 1と基準値案が1けた多くなっていますね。これは、実際に出回っているのがこうだから、 もうこの辺でやむを得ないということなんですか。それとも、積極的に0.1でも大丈夫だ ということですか。 どこでもいいんですが、14ページの真ん中辺にホウレンソウ、しょうがというのがあり ますが、基準値案の0.1というのを見ていただくとすぐわかると思います。 ○松田課長 これにつきましては、13ページを見ていただきたいと思います。 ホウレンソウにつきましては、今回は基準値自体はいじらないつもりでおります。字が 細かくて恐縮ですが、これは日本での作物残留試験がありまして、一番高いもので0.026p pmという前提ではございますので、大体作物残留試験の一番高いものでも当然、ばらつき があるということを想定して、数倍のところで基準を設定するというのが従来のやり方で ございますので、こういったデータを踏まえて0.1という基準を置かせていただいたとい うことでございます。 ○吉倉分科会長 よろしいですか。 ○渡邊委員 今後、こういうケースで全くこれでヒトへの健康影響がないなら構わないと 思います。 ○吉倉分科会長 そうすると、これは結局、適用拡大の申請で、そこにありますように、 答申案としてはカズサホスの案。これは新しいものだけですね。大豆、バレイショ、ネギ、 カボチャ、枝豆、その他ハーブの残留値基準をこのようにする。 それから、カボチャについては、一律基準にするということです。よろしいですか。 それでは、そういうことで15ページのこれで答申したいと思います。 ○松田課長 これにつきましては、今、パブコメを実施中で、またWHO通報も手続中で ございますので、その結果を踏まえて、何か大きな問題等がありましたら、また改めて部 会長にも相談させていただいて対応したいと思います。 ○吉倉分科会長 どうもありがとうございます。 そうすると、その次お願いします。 ○松田課長 次は、資料3−1−1のイベルメクチンですが、資料3−2−1のプラジク アンテルとの合剤もありますので、併せてやらせていただきたいと思います。 まず、資料3−1−1のイベルメクチンでございますが、5ページ目から部会報告の内 容になります。 イベルメクチンにつきましては、牛とか豚、馬の内部寄生虫及び外部寄生虫の駆除に用 いられるものでございまして、ここにも書いてありますように、Streptomyces avermitil isの特定の株が産出するアベルメクチン類に由来する半合成化合物で、2つの化合物とい うことで、6ページに構造式がございますけれども、構造式のちょうど右側の端のところ に「R」と書いてありますけれども、そのRのところがメチル基なのが1bでエチル基な のが1aということで、1aの方が80%以上、1bの方が20%以下の混合物ということで ございます。 動物用の寄生虫駆除剤としては、世界的に使われているものでございます。ヒトの臨床 目的でも古くから世界的に使われているものでございます。 今回の残留基準の設定につきましては、イベルメクチンを有効成分とする薬剤が、承認 後6年を経過したために、再審査申請がなされたということと、資料3−2−1で御説明 しますプラジクアンテルとの合剤が新たに申請をされまして、それに基づいて食品安全委 員会において、イベルメクチンとプラジクアンテルについてADI設定がなされたという ことを踏まえて、基準の設定の見直しをするというものでございます。 化学名とか構造式、物性はここに書いてあるとおりでございまして、6ページ目の真ん 中ぐらいから「適用方法及び用量」ということでございますけれども、牛とか豚、羊、馬、 鹿、バイソンということで、ここに用法、用量が決まっております。 このうち、7ページの(5)の馬の駆虫剤のエクイバランゴールドとエクイマックスという のが、プラジクアンテルとの合剤でございます。 8ページ以降に、対象動物における分布、代謝とか、対象動物における残留試験結果が まとめられております。 9ページ以降に、牛とか豚等に使った場合の残留試験が載っておりますけれども、いず れも投与後、例えば牛であれば、30日とかぐらいになれば、およそ検出限界以下になるよ うなデータが、一部残留している場合もございますけれども、3週間ぐらい経れば、おお よそ検出限界近いぐらいの値になるというものが大体まとめられているところでございま す。 14ページ目から、ADIの評価でございます。 食品安全委員会からADIの評価ということで、ADIにつきましては、1μg /kg体 重/日が評価されているところでございます。 また、27ページを見ていただきたいと思います。 食品安全委員会のイベルメクチンとプラジクアンテルの合剤の評価書になっています。 このところを見ていただくとわかりますが、この合剤につきましても、5.イベルメクチ ンについては先ほど申しましたとおり、1μg/kg体重/日のADIということでございま す。 あと、イベルメクチンとプラジクアンテルを含む製剤につきましては、ここにあります が、薬物動態の相互作用は認められず、急性毒性について相乗作用は認められない。更に、 適切に使用される限りイベルメクチンとプラジクアンテルが同時に残留する可能性はない と考えられるということで、プラジクアンテルについても0.30mg/kg体重/日という評価が されておるところでございます。 続いて、15ページに戻っていただきたいと思います。諸外国における状況ということで まとめております。 いずれも、休薬期間につきましては、いろいろ動物種及び剤、また国によっても相当ば らつきがあるという状況でございます。 基準値案につきましては、17ページを見ていただきたいと思います。 別紙1に、基準値案ということでまとめさせていただいております。 今回は、基本的にはイベルメクチンにつきましては、現行の基準値案が設定されている 牛、豚、羊、馬、その他の陸棲ほ乳類、乳につきましては、動物の残留のデータ等を踏ま えて設定されております現行の基準値案をそのまま踏襲したいと思っております。 ただし、家禽については見ていただくとおり、今まで筋肉に0.01とか脂肪に0.02とか という基準値が設定されていたわけでございますけれども、諸外国でも使用は認められて いないということと、あとは残留試験のデータなども存在しないということから、今回、 鳥の基準については削除したいと考えております。 暴露評価につきましては、16ページを見ていただきたいと思います。 これについては、今回、TMDIで暴露評価をしておりますけれども、一番高い小児で もADIの18.6%ということでございます。 細かい表は、18ページに別紙2ということで表にまとめさせていただいております。 ここで1点だけ訂正をお願いしたいと思います。この表の下のスター印の2番目のとこ ろです。「各部位のうち、残留値が最も高いものを用いた」と書いてありますけれども、 これは「残留基準値」の「基準」が抜けておりますので、訂正させていただきたいと思い ます。 こういう形で、まず設定させていただきました。 19ページに答申案ということで、牛の筋肉については0.01等々の基準値を求めさせて いただいたというものでございます。 続いて、資料3−2−1、プラジクアンテルでございます。 プラジクアンテルにつきましては、5ページ目から部会報告の内容が出ておりますけれ ども、これも馬、羊の内部寄生虫及び魚類の外部寄生虫の駆除ということで使われるもの でございます。 これは、我が国ではスズキ目の魚の外部寄生虫の駆除剤として使用されておりまして、 EUでは馬とか羊、オーストラリアでは馬に駆除剤ということで使われているものでござ います。 また、ヒトの駆除剤としても古くから使われているものでございます。 今回、基準設定は、先ほどのイベルメクチンと同じように、プラジクアンテルを有効成 分とする薬剤が承認されて6年を経過したための再審査申請と、また今回、馬に使われる 合剤の申請に伴って、食品安全委員会でADIが設定されたことによるものでございます。 化学名、構造式、物性については、ここに記載のとおりでございます。 (5)の用法、用量についても、ここに記載のとおりでございますが、後で見ていただ きますけれども、これにつきましては、休薬の設定期間が日本やEU辺りで相当違いがご ざいまして、そこら辺も基準の設定に当たりましては、念頭に入れて設定したところでご ざいます。 6ページ目の下の方から、対象動物における分布、代謝、7ページ目には残留試験の結 果ということでまとめられておりますけれども、これにつきましては、例えば7ページに あります羊のデータでございますと、単回投与後、筋肉内、脂肪内等々からだんだん抜け ていきますが、8時間ぐらいでは、例えば筋肉には0.16ppmとか、肝臓で2.46ppmとかと いう形で残留するというデータがまとめられております。 9ページ目は、一日摂取(ADI)の評価ですけれども、先ほどちょっとお話ししまし たとおり、プラジクアンテルについては、食品安全委員会で0.30mg/kg体重/日という形で まとめられております。 10ページ目、諸外国の状況は、日本以外でもEU、オーストラリア等で認められており ます。 見ていただくとおり、休薬期間について、例えば羊はオーストラリア、ニュージーラン ドで3日の休薬期間が設定されておりますけれども、EUでは0日という形で設定されて おります。 馬についても、製剤は違いますけれども0日で設定されている製剤がEUではあるとい うことでございます。 10ページ目の真ん中から、残留基準値(案)でございます。 12ページに、表としてその基準値(案)を設けさせていただいておりますが、今回、実 際使われる羊とか馬につきましては、ちょうど上から3つ目のカラムになりますけれども 「その他の陸棲哺乳類」というところに分類されますので、今回の動物の組織中のデータ 等も踏まえて基準値(案)を設定させていただいたところでございます。EUについては、 このスター印の4にも書いてありますとおり、健康に危害を及ぼさないということから、 基準値設定については不要ということで、個別には基準値が設定されていないということ でございます。 次に、10ページ、暴露評価でございます。 これについては、TMDIで評価をしたところでございまして、一番暴露量が多いのは、 この場合は国民平均もしくは幼小児、高齢者はほぼ一緒ですけれども、ADIの0.012% ということで、非常に低いものでございます。 先ほどの12ページ目の基準値案ですが、1点コメントをするのを忘れました。牛とか豚、 鳥、その他の家禽については、現行の基準値が0.02ということで設定されておりますけれ ども、これについては、当時、ポジティブリスト制度を導入するに当たりまして、当時の 分析の定量限界が0.02ということもありまして、こういった値を置いたものでございます が、0.01を定量限界とする分析法が間もなく開発できるというめどが立ちましたので、基 準を削除して、一律基準で管理したいと考えているところでございます。 14ページ目に答申案ということで、プラジクアンテルについては、先ほど申し上げまし たように、その他の陸棲動物と魚類のスズキにこういった形で基準を設定したいというも のでございます。 以上です。 ○吉倉分科会長 2つあって、ちょっとややこしかったと思うんですが、まずはイベルメ クチンの方です。5ページ目にイベルメクチンとプラジクアンテルとの合剤ができている わけですね。 ○松田課長 そうです。 ○吉倉分科会長 そういうもので、これはエクイバランゴールドとエクイマックスは同じ ものなんですか。 ○松田課長 これは7ページ目を見ていただくとわかります。 (5)の馬の駆虫剤ということでありますけれども、量としても、エクイバランゴールドは イベルメクチンとして0.2mg/kg体重、プラジクアンテルは1.0でございますけれども、エ クイマックスの方は、イベルメクチンは同じ量ですが、プラジクアンテルは1.5mg/kg体重 ということなので、若干違います。 ○吉倉分科会長 プラジクアンテルというのが、少し多いわけですね。 ○松田課長 はい。 ○吉倉分科会長 混ぜ合わせているもので、あとこのイベルメクチンとプラジクアンテル の相乗効果で、それは今の話だとない。 ○松田課長 先ほど御紹介しましたが、27ページの食品安全委員会の評価の通りです。 ○吉倉分科会長 ですから、それぞれの暴露量として計算すればいいということですか。 合剤であっても、それぞれでやっていいという話ですかね。 そういうことで、合剤も含めて、このイベルメクチンとプラジクアンテルそれぞれにつ いて残留基準を決めたということで、イベルメクチンについては、答申案として19ページ にあるこういう残留基準。プラジクアンテルについては、12ページの答申案ということで いいですね。 ○松田課長 14ページです。 ○吉倉分科会長 14ページですね。 それで、このイベルメクチンの方は、牛、豚、馬及び羊以外で一体何がいるんですか。 ○松田課長 イベルメクチンの方ですか。 ○吉倉分科会長 はい。その他の陸棲ほ乳類というのは何ですか。 ○松田課長 それは、鹿とか馬、あとは。 ○吉倉分科会長 馬は入っています。鳥は入るんでしたか。 ○松田課長 鳥は家禽です。 ○吉倉分科会長 ほ乳類ではないから入らないですね。水牛ですね。 ○松田課長 鹿とバイソンです。 ○吉倉分科会長 鹿とバイソンですね。 ですから、プラジクアンテルについては、牛、豚以外のものという残留量基準ですが、 いかがでしょうか。ADIに対する比を見ると十分低いのではないかと思います。何か御 意見ありますか。よろしいですか。 どうぞ、お願いします。 ○長尾委員 済みません、よくわからなかったんですが、イベルメクチンの27ページの上 から3行目のところに。 ○吉倉分科会長 27ページですか。 ○長尾委員 はい。 本製剤を馬に傾向投与される場合「プラジクアンテルの肉、脂肪等の食用部における残 留量は検出限界未満である」と書いてありますね。それで、今度新しく決めた基準値案で は、このイベルメクチンについて、筋肉では0.3、肉、脂肪でも0.2ppmで、ここは整合性 はなくても問題はないんですか。よく整理が付かないんです。 ○松田課長 プラジクアンテル単剤としては、EUの休薬期間0日というのがあるもので すから、実際の検出限界以下になる前の値で、実際に検出される値でもって基準値をつく っておりますけれども、このイベルメクチンの7ページ目を見ていただくとおり、合剤の 場合は、EUにしても、豪州、日本にしても、休薬期間が20何日とかと決まっております ので、合剤の場合の評価に当たってはこうだという限定付きでございます。 ○長尾委員 わかりました。 ○吉倉分科会長 ほかにいかがですか。 そうすると、それぞれイベルメクチンについては19ページ、プラジクアンテルについて は14ページの答申案でよろしいですか。 それでは、これで答申したいと思いますが、その後の手続、その他はどういたしますか。 ○松田課長 これも現在、パブコメについては実施中で、WHOについては、これから行 うべく手続を進めておるところでございますので、その結果を踏まえて、また大きな検討 事項がありましたら分科会長に御相談申し上げたいと思っております。 ○吉倉分科会長 それでは、その次をどうぞ。 ○松田課長 続きまして、資料3−3−1、ニトロフラン類でございます。 3ページ目から概要についてお話しをしたいと思います。 ニトロフラン類につきましては、ニトロフラゾン、ニトロフラントイン、フラゾリドン、 フラルタドンの4つの化合物をまとめてニトロフラン類と言っておりまして、4ページ目 にそれぞれの構造と、後でお話ししますが、代謝化合物についてそれぞれ記載したところ でございます。 ニトロフラン類につきましては、動物用医薬品として使われていたわけでございますけ れども、世界的に食用動物への使用につきましては、多くの国でも禁止されている状況で ございます。 国際的には、JECFAにおいて、ニトロフラゾン、フラゾリドンにつついては発がん 性とか遺伝毒性を有することから「NO ADI」と評価されております。EMEAにおき ましても、ニトロフラゾン、ニトロフラントイン、フラルタドンにつきましては、ADI を設定するための情報が不十分である。フラゾリドンについてはNOELが得られないこ と及び遺伝毒性が認められるということで、それぞれ代謝化合物も含めて、1μg/kgの基 準値を鶏肉と水産製品について設定しているということでございます。 国内におきましては、過去にニトロフラゾンの代謝物であるセミカルバジドとフラゾリ ドンの代謝物である3−アミノ−2−オキサゾリドン(AOZ)が輸入粉卵から検出され まして、それを契機に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性部会において評価されて おります。その結果は、フラゾリドンについては遺伝毒性を有する発がん物質である可能 性が高いこと、AOZについてはin vivo、in vitroの遺伝毒性が陽性と判断され、発が ん性を有する可能性は極めて高いと考えられることから、ADIを設定することは適当で ない。ニトロフラゾン、セミカルバジドについては、発がんを示した試験結果があり、そ のメカニズムは明らかでないもののADIを設定することは適当でないということで、こ れらが検出された食品はその流通を認めないという評価をいただいたところでございます。 これらの評価を踏まえまして、ポジティブリスト制度の導入に当たりましては、これら のニトロフラン類の4つの物質については「食品中に不検出とする農薬等の成分である物 質」と規定したところでございまして、それぞれの代謝物を分析対象化合物として規制を しているという状況でございます。 3ページ目の下から2行目からで、ところが、このうちセミカルバジドにつきましては、 最近、瓶詰食品からニトロフラゾンに由来するものではなくて、金属キャップに装着され ているシーリング剤に添加された発泡剤のアゾジカルボンアミドに由来するものが検出さ れるということがわかりまして、これを端緒として、欧州食品安全機関(EFSA)でセ ミカルバジドのリスク評価が実施されております。 また、国内においても複数のin vivoの遺伝毒性試験が実施されて、すべて陰性の結果 だったわけでございますけれども、そういった結果が報告されるなど、セミカルバジドの 毒性については新たな知見が得られているところでございます。 さらに、カラギーナンとかゼラチン、粉卵等の食品で、食品原料を次亜塩素酸で処理し た場合とか、あるいは詳細な生成機構はまだ不明でございますけれども、通常の食品加工 処理によって、自然にセミカルバジドが発生するということもわかってきたところでござ います。 そういったことも踏まえて、今回、食品安全委員会に安全性評価をお願いして、それを 踏まえて管理措置の見直しを行いたいというものでございます。 5ページ目、ADIの評価でございます。 ニトロフラン類に関する食品健康影響評価につきましては「【ニトロフラン類のADI の設定について】」の2つ目のパラグラフからです。 今般提出された資料から、フラゾリドンとAOZについては、遺伝毒性発がん性を否定 できず、ADIを設定することは適当でないという薬食審の評価を変更する根拠はないと いうことでございます。 ニトロフラントイン及びAHDについては、NTPの報告でマウス、ラットで発がん性 が認められているが、そのメカニズムに関する情報は全く得られていないため、ADIの 設定が可能であるかどうかは判断できないということでございます。 フラルタドン及びAMOZについては、ほとんど情報が得られていない状況にあって、 評価を行うことができないということでございます。 ニトロフラゾンについては、従来の発がん性のメカニズムは明らかでないものの、入手 された資料から見る限り、ADIを設定することは適当ではないとする薬食審の評価を変 更する根拠は見当たらないということでございます。 この代謝物であるセミカルバジドについては、ニトロフラゾン使用以外の暴露経路が明 らかになったことや、新たな毒性の評価なり、毒性試験結果を踏まえて、別途考察を行っ たということでございます。 「SEMについて」でございます。セミカルバジドにつきましては、5ページ目の一番 最後にありますように、セミカルバジドそのもののリスクにつきましては、発がん性、遺 伝毒性、催奇形性の限られた知見しか、今回、得られていません。 動物実験で認められた発がん性については、メスのマウスで94〜130mg/kg体重/日程度 という高用量で、対照群においても認められる肺腫瘍の発生頻度の増加が認められたとい うもので、強いものではないと考えられるということでございます。 遺伝毒性については、in vitroの幾つかの試験で弱い陽性結果があるものの、複数のi n vivoの試験で陰性であり、現時点ではin vivoにおいて遺伝毒性を有することを示唆す る報告はない。このため、セミカルバジドについてはin vivoにおいて問題となる遺伝毒 性を示す可能性は低く、SEMの暴露がEFSA等で報告されている程度であれば、生体 にとって特段問題となる遺伝毒性を示すことはないと考えられるということです。 催奇形性につきましても、約30〜40mg/kg体重/日のNOAELが示されており、この試 験自体に投与期間や観察項目が不十分であるという問題ではありますけれども、10倍程度 の安全率を考慮すれば問題はないだろうということでございます。 EFSAの評価では、体重当たりで最も多く、セミカルバジドを摂取する可能性がある のは乳児でありまして、最悪のケースの推定でもその摂取量が0.35〜1.4μg/kg体重/日で あったということで、この暴露量はマウスで弱い発がん性が認められた用量と少なくとも 5けたぐらいのマージンがあります。催奇形性についても3けたもしくはそれ以上のマー ジンがあると記載されております。 発がん性と催奇形性に関連する知見が限定的であるけれども、得られているということ で、また詳細な毒性情報が得られていないという状況において実施するものとしては、E FSAが実施した保守的な試算暴露量と、得られている範囲での動物における毒性発現用 量との比較をもってリスクの程度を判定する手法は合理性があって、また一定の科学的根 拠があるリスク評価であると考えられる。国内におけるセミカルバジドの食品中の含有量、 暴露量がEFSAで検討されているものと同程度であれば、暫定的評価として、セミカル バジドが毒性影響を示す量と暴露量との間に暴露マージンは大きくて、リスクとしては小 さいものであると判断されると評価されたところでございます。 また、ニトロフラゾンそのものを測定対象として規制する場合には、その代謝物の暴露 量も含めて毒性影響が十分低いレベル、少なくともセミカルバジドについて上記で考察さ れた食品中の含有量及びヒトが摂取する暴露量以下になると考えられるレベルの検出感度 が得られる分析法を採用すべきであると、セミカルバジドについてまとめていただいたと ころでございます。 トータルで食品健康影響評価ということでまとめさせていただくと、ニトロフラン類に つきましては、セミカルバジド以外についてはADIを設定することは適当でない。 セミカルバジドについては、セミカルバジドの食品中の含有とか暴露量がEFSAで検 討されているものと同程度であれば、セミカルバジドがヒトに毒性影響を示す量と暴露量 との間に十分なマージンがあって、リスクとしては小さいものと考えられる。 しかしながら、本評価はあくまでも暫定的なものであり、現在得られている知見からA DIまたはTDIを設定することはできないことから、今後、代謝・毒性等の知見の収集 を行うべきである。 また、国内におけるセミカルバジドの暴露量について把握して、必要に応じて発生源対 策や低減措置も行われるべきであるといった評価をいただいたところでございます。 7ページ目から「4.残留基準の設定」でございます。 まず、ニトロフラントイン、フラゾリドン、フラルタドンにつきましては、安全性の評 価も変わらないということで、従来どおり、食品中に「不検出」とする基準値を設けまし て、これらの物質の代謝化合物でもって、代謝物のAHD、AOZ、AMOZを不検出と いう形の管理措置を維持したいと考えております。 ニトロフラゾンについては、従来どおり、食品中に「不検出」という基準を設定したい と思っておりますけれども、その代謝物のセミカルバジドについては、以下のような暴露 評価を行ったということでございます。 まず、(1)として「EFSAにおける食品中のSEMの含有量調査」でございます。 食品中で検出されるセミカルバジドの量というのは、瓶詰のベビーフードが量的には非 常に高いということで、この表にまとめさせていただいたところでございまして、8ペー ジにもありますとおり、平均すると大体13ppbが検出されております。 それ以外の食品では、平均すると1.0ppbであったということでございます。 この量を踏まえた(2)の「EFSAにおけるSEMの暴露評価」でございますけれども、 体重当たり最もセミカルバジドを摂取する可能性があるのは乳児であるということから、 それを踏まえて、乳児でのセミカルバジドの暴露量の推定がされております。 各月齢ごとのベビーフードの摂取量がございまして、それで平均的なセミカルバジドの 量13ppbが仮に含まれたときの暴露量ということで、平均値もしくは95%タイル値がこう いう形でまとめられているところでございます。 ベビーフード由来でセミカルバジドの摂取については、95%の上限値でも体重kg当たり 0.69μgということでございます。 8ページ目で、では国内の場合はどうかということでございます。 平成15年における実態調査ですと、我が国でのセミカルバジドの量は17ppbということ でございまして、EUの値とそんなに変わらない量となっております。 我が国では、ベビーフードの喫食量の調査はされておりませんが、我が国で売られてい る瓶詰のベビーフードの量は、大体1食当たり100〜130gとなっておりますので、仮にこ の130gを3回食べる場合の試算でも、8〜11か月齢の体重が8.7キロで推定しますと、 セミカルバジドの暴露量は0.59〜0.76μg/体重ということで、EUの暴露量とそんなに変 わらないということでございます。 したがいまして、食品安全委員会の評価も踏まえれば、この程度の暴露であれば、リス クとしては小さいものと考えられるということでございます。 したがいまして、セミカルバジドについては、ニトロフラゾンそのものについては先ほ ど申したとおり、検出してはならないという基準をもって管理したいと思っておりますけ れども、その分析対象としては、セミカルバジドではなくて、ニトロフラゾンそのものを 分析対象とする管理措置をしたいと考えているところでございます。 10ページ目以降に、新たに検討したニトロフラゾンの試験法ということでまとめてござ います。 液体クロマトグラフ・質量分析計に基づく試験法ということで開発したところでござい ます。 11ページ目の一番最後にありますとおり、定量限界は0.001ppm、1ppbということで、 従来のセミカルバジドの定量限界と同じレベルの定量限界で分析できるような基準値を設 定したというものでございます。 重複しますけれども、12ページ以降に答申案ということでまとめさせていただいており ます。 食品安全委員会の食品健康影響評価の結果を踏まえて、セミカルバジドについてはニト ロフラン類の分析対象から除外し、以下に示すニトロフラゾンそのものを分析対象化合物 とする分析法を定めることが適当であるという形でまとめさせていただいているというも のでございます。 以上です。 ○吉倉分科会長 ややこしいですが、御質問いかがでしょうか。 どうぞ。 ○山内委員 私は、農薬・動物用医薬品部会の委員なので、部会の際に一度この件につい ては申し上げました。そのときには先生方の御検討の上、この案でいいということではご ざいましたが、やはり気になることがありますので、同じような内容になりますが、ここ でも意見を述べさせていただきたいと思います。 今回、遺伝毒性については、やはり完全に否定されているわけではないのではないかと 思っておりまして、食品安全委員会のところでは発がん性試験で雌のマウスに肺腫瘍の増 加が見られたということでしたが、in vivoの試験でもなかったということですので、雄 のマウスにのみ遺伝毒性試験が行われていて、雌では検証されていないということもあり ますので、私としましては、現時点でセミカルバジドを含むヒドラジン類の発がんメカニ ズムが解明されていないということもありますので、この段階で遺伝毒性を示すことはな いという判断はまだ早いのではないかと考えております。 というわけで、遺伝毒性発がん物質には閾値を設定できないという原則に沿った判断を した方がよろしいのではないかと思います。 欧州食品安全機関の方でも、まだセミカルバジドは不検出の対象から外していないと聞 いておりますし、ニトロフラン類について使用規制の実効性が、このセミカルバジドの不 検出基準があるがゆえに担保されているというところがあると思います。 厚生労働省の輸入検査結果から引用しますと、昨年の7月以降、現在までにセミカルバ ジドの検出があって、違反事例として発見されているものが15ございました。水産物関係 が14で、卵粉が1例だったんですけれども、具体的にはセミカルバジドが発見されること によって違反となっておりました。 今回、ニトロフラゾンの親化合物を分析対象として方法を採用されるということでござ いますけれども、非常に分解が早いと聞いておりますので、現行の方法でよろしいのでは ないかと思っております。 ベビーフードのことは、瓶詰のところにあるものから出るというお話がございましたが、 これがわかっているようでございますので、こちらについては早急に代替物とか代替技術 などの対策をきちんと講じていただくようにリスク管理機関として御指導いただくという ことで対策を打っていただき、水産物関係の検出に当たってのセミカルバジドというのは、 やはり今回、分析対象から外さない方がよろしいのではないかと思いますが、ほかの委員 の先生方の御意見もお聞かせいただきたいと思います。 ○吉倉分科会長 セミカルバジドというのは、ほかにはどういう物質から由来するんです か。それも含めてどうぞ。 ○松田課長 24〜25ページにかけて、ニトロフランの生成機構について食品安全委員会で まとめたところがございます。25ページの図にもありますとおり、ニトロフラゾンが代謝 されてできるルート、アゾジカルボンアミドが分解して生成されるルート、あとは食品中 のアミノ酸とか、文献によりますとクレアチン等が分解等してできるルートがあるようで ございますけれども、そういったルートで生成するものでございますので、25ページ目の 上から7行目からありますように、最近になって食品の加工処理とか自然にも実はあるん だということがわかってきて、ここにもありますが、カラギーナンとか海藻といったとこ ろをいろいろ乾燥させたり、漂白とかいろんな形でppb単位ではありますが検出されるこ とが天然にもあるというものでございます。 あと、先ほど山内委員の方から御指摘いただいた変異原性とかの件でございますけれど も。 ○長尾委員 変異原性につきましては、私が食品安全委員会の専門委員会で審議に携わり ましたので、ちょっと詳しく御説明いたします。 それは、サルモネラ菌に対して非常に弱いけれども、変異原性を示す。それから、マウ スのリンフォーマの細胞に対しても非常に濃い濃度を与えたときに遺伝毒性が検出されま す。 発がんの方は、マウスのメスの肺がんが有意差をもって、バックグラウンドレベルもあ るんですが、それが有意差をもって増加するという状態で、それは2種類のストレインを 使って、飲水投与及び混餌投与で証明されています。そのときの濃度もかなり高くて、こ こにもありましたように0.065%あるいは0.1%とかなり高い濃度です。 in vivoにおける遺伝毒性はどうかと言いますと、ラットの肝臓でDNA修復合成、リ ペア合成はネガティブであった。マウスの骨髄で小核がネガティブであった。導入した遺 伝子で突然変異を見るテストなんですが、それでマウスの雄の肺臓と肝臓でネガティブで あったというデータが出ているんですが、御指摘のようにマウスの雌の肺での突然変異原 性は調べていないということで、本当にマウスの肺の雌にできた肺がんに遺伝毒性が関与 していないかどうかは証明はされていないけれども、その可能性は非常に低いと判断した んです。 マウスにおける発がん性とヒトの暴露量を直線的に計算してみると、10−5の発がん率を 示すような量になります。例えばヒスチンとかアミノ酸とかも化合物に変化します。発泡 剤を加えてガスケットなどをつくるときに、ある物質を入れてセミカルバジドができるん ですけれども、それを今、下げなくてはならないだろうかということに関しては、その必 要性はないのではないか。それをしなくても、そんなにリスクは高くないのではなかろう かという事情でした。 以上です。 ○吉倉分科会長 どうぞ。 ○松田課長 あと、追加を幾つかさせていただきたいと思います。 山内委員の方から、ベビーフードの添加剤の代替の話がちらっとございましたけれども、 これにつきましても、実はメーカーの方で自主的に代替については取り組んでおりまして、 添加剤を重曹に変えるということで、ベビーフードについて現在、転換が進みつつござい ます。 あと、もう一つ、輸入検査の話がございましたが、確かにおっしゃるとおり、速報値で はありますけれども、昨年の平成18年は、約7,500件ほどの輸入食品の検査をやって、そ のうち17件で検出されているというのが出ております。実は多く発見されているのは、ウ ナギとかフグとかエビの加工品とか、先ほど言った卵白の粉とかといったものが出ており ます。 これも仮にですけれども、検出された濃度をこれらのウナギとかフグとかタラとかイカ とかの摂取量と掛け算をしてみて、どのぐらい暴露するか。仮に一番検出された濃度で、 例えばウナギなどでも一番高いのは85ppbぐらい検出されております。また、低いもので すと2ppbぐらいしか検出されていないんですけれども、そういったものでめいっぱい仮 に検出された食品ごとに検出された高い濃度で暴露評価してみても、実際の体重当たりの 量は、実は先ほどのベビーフードの小児で紹介していただいたものの何十分の一ぐらいし かならないようでございます。食品安全委員会の方からは暴露の実態については、これか らも追跡調査するよう宿題をいただいておりますので、そこら辺のところはやりたいと思 いますが、まず、現時点においては、ニトロフラゾン経由の暴露も大きな問題ではないと 思っております。 以上です。 ○吉倉分科会長 暴露量として把握するということですが、これは何か特別なものがある んですか。 ○松田課長 まだ具体的には考えておりませんが、実際の食品のセミカルバジドの検出に ついてもう少しモニタリングしてみるとか、あとはマーケットバスケット調査をやるとか、 いろいろな方法があると思いますが、そこはこれから少し考えていきたいと思います。 ○吉倉分科会長 調査研究でやるということですか。 ○松田課長 はい。 ○吉倉分科会長 ほかにいかがですか。 非常に微量にある変異原性があるかもしれないものというのは、難しいですね。焼け焦 げのような潰瘍。 我々のこの委員会は、リスク管理ということで、食品安全委員会から来た食品健康影響 評価について、それなりにこれに応じて対応していくということだと思いますが、これを この厚労省食品分科会の立場で言えば、10〜11ページにあるニトロフラゾンに試験方法を より正確にして、これをきちんとモニターすること。 それから、SEMについてはどういう具合に正確に読んでいるんですか。SEMについ ては、ニトロフラゾンの分析対象から除外しというこれです。ですから、ニトロフラゾン を検出するための分析対象からは外しますと。ただ、SEMそのものについては、何とも 言っていませんということなんです。ニトロフラゾンを使わないセミカルバジドはたくさ んあるとかという状況は想定しなくていいんですか。ちょっとよくわからないです。大体、 自然の食品中にセミカルバジドはかなりたくさん検出されるものであった場合に、そこの ニトロフラゾンの分析対象からは除外するというのはいいんですが、セミカルバジドその もののニトロフラゾンと別にこれを検出するかどうかというところはどうなんですか。そ ういうことは余りやってもしようがないかもしれないですけれどもね。 ○松田課長 管理対象から外れますので、積極的にはこれをはかるということはないと思 います。 ただし、現行の分析法は対象の代謝物が4つ同時にはかれるような分析法ですので、セ ミカルバジドが測られることがあるかもしれません。 ただし、あくまでも管理措置としては、セミカルバジドは今回、分析対象にしませんの で、検出されたことでもって、違反という形を取るということはしません。 ○吉倉分科会長 そういうことですが、よろしいでしょうか。 要するに、ニトロフラゾンの分析対象としては、セミカルバジドは外す。それから、セ ミカルバジドについては、検出しようと思えば、同時にこれが検出されるような分析法を 使っているということですか。 ○松田課長 それは告示からは当然除外しますので、そこは実際やられる中でそういうこ ともあるかもしれないということでございまして、今後は分析の対象にはもうしない。 ○吉倉分科会長 わかりました。 そうすると、9ページの一番下の「SEMについてはニトロフラゾンの分析対象から除 外し、別途ニトロフラゾンそのものを分析対象化合物とする分析方法を定めることが適当 である」ということで、この10〜11ページという答申なんですね。よろしいですか。 それでは、どうもありがとうございます。 ○松田課長 これにつきましても、今、パブコメ中でございますので、その結果を踏まえ て、必要があれば分科会長に相談して、また進めたいと思っております。 ○吉倉分科会長 それでは、次お願いします。 ○松田課長 続きまして、資料3−4−1、豚パルボウイルス感染症・豚丹毒・豚レプト スピラ病混合不活化かワクチンでございます。 5ページ目、用途といたしましては、豚パルボウイルス感染症及び豚丹毒の予防並びに 豚レプトスピラ病による異常産の予防ということでございまして、本剤につきましては、 ここに記載のとおり、各株を不活化剤としてホルムアルデヒド、チメロサール、保存剤と してエデト酸ナトリウム、硫酸ゲンタマイシン、アジュバントとして水酸化アルミニウム ゲル、レシチン加軽質流動パラフィン、乳化剤としてモノオレイン酸ソルビタン、ポリソ ルベート80を使用した不活化ワクチンというものでございます。 「(4)適用方法及び用量」でございます。 健康な繁殖豚に1回5mLずつを3週間の間隔で2回筋肉内注射して、2回目の注射は種 付け3週間前に行う。次回以降の繁殖時に行う補強注射は種付けの3週間前までに1回筋 肉内注射するというものでございます。 6ページ目「(5)諸外国における使用状況」でございます。 米国等8か国で既に承認されて、使用されているものでございます。 残留試験は実施されておらないということでございます。 ADIの評価につきましては、主剤は不活化されていて、まずヒトへの病原性は無視で きるということ。 あとは、製剤に用いられているアジュバントの添加剤については、物質の性質やこれま での毒性評価等々を考慮しますと、健康影響は無視でき、当製剤が適切に使用される限り においては、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると考えられると いうことで、基準値の設定については不要という形でまとめていただいたものでございま す。 以上でございます。 ○吉倉分科会長 残留基準を設定しないこととするということでよろしいですか。 それでは、次お願いします。 ○松田課長 それでは、資料3−5−1、鳥インフルエンザの不活化ワクチンでございま す。 5ページ目で、これにつきましては、鳥インフルエンザの発症予防及びウイルス排せつ の抑制ということで、鳥インフルエンザのH5N1亜型とH7N7亜型と動物用生物学的 製剤基準において定められた株の培養ウイルス浮遊液をβ−プロピオラクトンで不活化し たものを主剤としております。アジュバントとして軽質流動パラフィン、乳化剤としてテ トラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、セスキオレイン酸ソルビタン、保存剤と してホルムアルデヒドを使用した不活化ワクチンでございます。 用法、用量につきましては、4週齢以上の鶏の脚部筋肉内に0.5mLを注射するというも のでございます。 諸外国においての使用実績はございません。 残留試験については、実施されておりません。 ADIの評価でございますけれども、これにつきましては、当ワクチンは鳥インフルエ ンザウイルスを不活化したものを主剤としておりまして、感染力を有するウイルスは含ん でいない。また、製剤に使用されているアジュバント等の添加剤については、ワクチンの 接種量、休薬期間を考慮すれば、健康影響に対しては実質的に無視できる。また、その使 用方法については、家畜伝染病予防法で法的に定められているということです。 これらのことから、食品を通じてのヒトの健康影響に与える可能性というのは、実質的 に無視できると考えられるということで、評価結果を踏まえて残留基準を設定しないとい う形でまとめていただいてございます。 以上です。 ○吉倉分科会長 先ほど、安全委員会の報告を引用されました。そういうことで、これに 基づいて残留基準を設定しないということですが、よろしいですか。 それでは、次お願いします。 ○松田課長 次は、資料4−1、牛乳等にポリエチレンテレフタレートを用いる合成樹脂 製の容器包装の使用を認めることに関する規格基準の改正についての内容でございます。 5ページ目から部会の報告でございます。 「1.容器包装の規格基準について」でございます。 乳及び乳製品の容器包装の基準につきましては、食品衛生法の18条の規定に基づいて、 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)と食品添加物等の規格基準によって、 材質別規格、試験方法等を定めているところでございます。 「2.改正の趣旨」でございます。 乳及び乳製品の容器包装に使用できる合成樹脂につきましては、乳等省令で使用できる 合成樹脂が規定されておりまして、それ以外の合成樹脂の使用は認められておりません。 今回、関係業界等より、ポリエチレンテレフタレートについて、使用できる合成樹脂に 追加してほしいという要望がございまして、基準の設定の見直しに当たりまして、食品安 全委員会に健康影響評価を依頼して、それを踏まえて今回、見直しを行うというものでご ざいます。 食品安全委員会の報告書の19ページの2番目、ポリエチレンテレフタレートでございま すが、ここにありますような構造のポリマーがポリエチレンテレフタレートというもので ございます。 20ページ目の一番下にありますけれども、製造用の添加剤としてどういうものを使うか ということでございます。 添加剤としては、乳等省令で使えるものがステアリン酸カルシウムとグリセリン脂肪酸 エステル、二酸化チタンとなっておりまして、その中で別途に使用が想定されるのは、主 に二酸化チタンであろうということでございます。 触媒といたしましては、重合触媒としてアンチモン系のもの、ゲルマニウム系のものが 使用されるというものでございます。 22ページ以降に、溶出試験等の結果がまとめられております。 3−1から「食品擬似溶媒を使用した場合の溶出試験」ということで、重金属とか過マ ンガン酸カリウム消費量、蒸発残留物、アンチモン、ゲルマニウム、添加剤の二酸化チタ ンということでやられていますけれども、どれも溶出試験の結果は検出しないという結果 が出ております。 あと、長期保存下での結果が出ております。表8の長期保存の金属触媒で12か月でゲル マニウムが一部、5ppbぐらい検出されているのがありますけれども、それ以外は基本的 にNDという結果でございます。 また、長期保存における蒸発残留物の試験の結果とかが、25ページの表9にまとめられ ております。 あと「3−4 牛乳を溶媒として使用した溶出試験」ということで、カドミ、鉛、アン チモン、ゲルマニウムの結果が出ておりますけれども、どれも検出はされていないという ことでございます。 こういった結果を踏まえまして27ページ、食品健康影響評価でございます。 牛乳等の容器包装に使用されるPETの原材料として使用される出発原料は、既に我が 国において一般食品用の器具・容器包装に汎用され、しかも欧米で安全性評価を受けてい るものの中から、最小限の品目に限定されているということでございます。 また、先ほどいろいろ申し上げたように、溶出試験をやられておりますけれども、大部 分が検出限界未満ということで、これらの条件では、牛乳を溶出に使用しても安全性が懸 念される結果は認められなかったということでございます。 以上のことから、食品等に使用されるPET並びに乳等省令に基づく乳製品及び調整粉 乳に使用されているPETの安全性が、現行の規格基準により確保されていることを前提 とし、容器に入った牛乳等が適切な条件下で管理される限りにおいて、今回、申請された PETは牛乳等に使用しても十分な安全性を確保していると判断されたという評価でござ います。 なお、牛乳等にPET容器を使用する場合には、食中毒防止の観点から、微生物学的リ スクなどを踏まえ、注意喚起の表示等、適切な指導が必要であるという評価をいただいた ところでございます。 戻っていただいて5ページ目でございますけれども、こういった評価も踏まえた上で、 今回、乳等省令に乳に使われる容器包装としてポリエチレンテレフタレートを追加する規 格基準の変更をしたいと思っておりますが、5ページ目以降にいろいろ細かく書いてござ いますけれども、一番わかりやすいのが11ページ目の表です。 ちょっと字が小さくて恐縮ですけれども「合成樹脂製容器包装の規格基準」の一覧表を まとめさせていただいているところでございます。 一番右に「食品等の規格基準」ということで、乳等省令で規制している乳等以外の食品 については、すべてこちらの「食品等の規格基準」というところで容器包装が規定されて おります。 現在、こちらの食品等の規格基準におきましては、PETにつきましては「材質試験」 の「一般規格」のところで、100ppm未満というのがカドミと鉛の2つございますけれども、 そういった形で材質試験が規定され、また「溶出試験」につきましても「一般規格」と「P ET」の個別規格で蒸発残留物、アンチモン、ゲルマニウムという基準を設定しておりま す。これは、およそ20年前に基準設定をしたものです。 あと、乳等省令につきましては、実は3つ目のカラムの「調整粉乳」と、2つ目のカラ ムで注1に書いてある発酵乳とか乳酸菌飲料、乳飲料の2群につきましては、既にポリエ チレンテレフタレートは使用できる合成樹脂として規定されております。 個別の規格は、先ほどちょっとお話ししたような材質規格でカドミウム、鉛、溶出試験 で重金属、過マンガン酸カリウム消費量、蒸発残留物については4%酢酸で、あとはアン チモン、ゲルマニウムのところで個別に基準を設定し、また強度試験についても個別に設 定しているところでございます。 今回、基準を設定したいと思っておりますのは、1群のところでございます。1群とい うのは、注1にありますように、牛乳とか特別牛乳、殺菌山羊乳、成分調整牛乳等々、ク リームまで、ここのものが1群に分類されているものでございますけれども、これについ てポリエチレンテレフタレートの使用を合成樹脂として追加したいということでございま す。 基準につきましては、これまでの乳等省令で2群及び調整粉乳に設定したものと同じで ございます。ただ、唯一違うのは、クリーム等を念頭に溶出試験のところにn−ヘプタン のところを1つ入れておりますけれども、それ以外は調整をとって基準を設定したいと考 えているところでございます。 また6ページに戻っていただきたいと思います。一部訂正でございます。 4.の基準値の改正のところで、(2)のアのところです。ここの3行目から、合成樹脂の 加工紙の規定がここに書いてございますけれども、このところに、加工紙につきましては、 ポリエチレン又はエチレン・1−アルケン共重合樹脂製加工紙もしくはポリエチレンテレ フタレート製加工紙ということで追加したいと思っておりますけれども、その中の括弧書 きですが、ここにミスがございました。 括弧書きのところが「ポリエチレン、エチレン・1−アルケン共重合樹脂又はポリエチ レンテレフタレートのうち二以上を用いるものをいう」と書いておりますけれども、ここ は誤りでございます。要は、ここは「ポリエチレンまたはエチレン・1−アルケン共重合 樹脂との組合せを含む」ということで、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンもし くはエチレン・1−アルケン共重合樹脂の組合せということで使えるということで、表現 を改めさせていただきたいと思っております。 基準値はそういうことで、先ほど御説明したとおりでございます。 最後に8ページ目「5.消費者に対する衛生的取扱いに関する情報提供について」とい うことで、食品安全委員会からも最後に御指摘いただいておりますけれども、牛乳等にポ リエチレンテレフタレート容器を使用する際には、開栓後の再密栓及び携行に伴う微生物 学的リスクが懸念されることから、消費者に対し適切な衛生的取扱いに関する情報提供が なされることが重要であるということでございますので、私どもとしては、この点を踏ま えて業界団体等に指導して、適切な表示をやっていただくということを徹底したいと考え ているところでございます。 以上でございます。 ○吉倉分科会長 そうすると、これは先ほどの表がありましたね。表はどこでしたか。 ○松田課長 11ページです。 ○吉倉分科会長 11ページのPETという太い線で囲んだところが今度のものですね。そ れを文章にしたものが、5〜8ページですね。 ○松田課長 そうでございます。 ○吉倉分科会長 要するに、ここの5〜8ページのものに改正するということです。 あと、情報提供については、ここは分科会ですから、厚労省の方で情報提供をするとい うことでいいわけですね。 ○松田課長 業界の方に指導したいと思います。 ○吉倉分科会長 わかりました。 よろしいでしょうか。要するに、この5〜8ページについてです。これはこれで終わり ですか。この後は手続か何かあるんですか。 ○松田課長 これは、パブコメは本日付で実は開始してございます。 あと、WTOはこれからでございます。 ○吉倉分科会長 わかりました。 では、山内委員お願いします。 ○山内委員 ここに出されている規格についてはよろしいんですけれども、最近の研究で は、環状オリゴマーとかアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどの物質が溶出して内容 物に移行するということも報告されていると聞いておりますので、勿論、アセトアルデヒ ドですとかホルムアルデヒドは食品中に天然由来でもありますので、PET容器から溶け 出したものが即ヒトの健康には影響するものではないと考えておりますけれども、規格の 設定に当たって、こういった新しい物質などについても御検討が必要ではないかと思いま すが、いかがでしょうか。 併せまして、最近、海外からの輸入も増えておりますので、日本の製品PETについて は大変厳密な管理を行っていると聞いておりますけれども、必要があれば、今後、海外か らのものの規格についての問題点等が出てきて場合には、きちんとこういった観点を付し て見直しなどを行っていただきたいと思います。 最後、ただし書きでおっしゃっていただきましたところが、実は使用する側にとっては 一番関心の高いところでございまして、本当に1回開けてまた閉じて置いておけるという のがペットボトルの非常に有意義な点ではございますが、牛乳は傷みやすい点があります し、近年の食品に対する力というか知識が落ちてきている消費者も増えておりますので、 きちんとリスク機関として情報提供ですとか、メーカーさんと一緒になっていただいて、 一旦開けたら飲み残せないような用量ですとか、その当たりの御検討を是非お願いしたい と思います。よろしくお願いいたします。 以上です。 ○吉倉分科会長 ありがとうございました。 先ほどのアルデヒド、その他のことに関しては、この基準の中ではどうなんですか。 ○松田課長 アルデヒドそのものは、個別の基準はございませんので、仮にそういうもの が出てくれば、例えば溶出試験のところの過マンガン酸カリウム消費量なり、もしくは蒸 発しないものであれば、蒸発残留物のところで引っかかると思います。 ただし、この場合のアセトアルデヒドにつきましては、先ほど山内委員からもお話があ りましたように、仮に溶出しても、もともと添加物なり天然にもあるようなものでござい ますし、環状オリゴマーの話も私どもの方で承知している範囲では、通常の使用範囲では 溶出はないのではないかと思っておりますけれども、いずれにしても新たなそういう知見 があって、健康上の問題があるのであれば、そこの基準の見直しというのは全くやぶさか ではございませんので、そこは随時やらせていただきたいと思っております。 ○吉倉分科会長 どうもありがとうございました。 それでは、こういうことでパブリック・コメント、WTO通報をお願いいたします。 そうすると、これで議事は終わりましたか。 ○松田課長 はい、終わりです。 ○吉倉分科会長 そうしたら、あとは報告事項をお願いします。 ○中林参事官 それでは、私の方から、今日の報告事項の「(1)厚生労働省におけるリ スクコミュニケーションの取組について」報告させていただきます。 資料は「報告資料1−1」「報告資料1−2」でございます。 まず「報告資料1−1」は、平成18年度におけますリスクコミュニケーションの取組み についての実績でございます。 まず、第1といたしまして、意見交換会等の開催。これは、厚生労働省の方で企画した 意見交換会を(1)のところに載せてございます。 開催状況については、そこの表に示してございますけれども「BSE・米国産牛肉問題」 が一番多くて32回行われてございます。 「残留農薬等」は、ポジティブリストとの関係もございまして、11回と数が多い。 「輸入食品監視指導計画」は2回。 「食品添加物」「健康食品」「食中毒」「HACCP」などにつきまして、意見交換会 ・説明会を実施してきたところでございます。 (2)に「開催の形式」が書いてございます。 実は、この開催に先立ちまして、関係機関等に周知を行っております。その方法といた しまして、プレスリリースであるとか、あるいはホームページへの掲載、地方自治体へ周 知する、更には関係団体等もございます。消費者の皆様方もございますし、さまざまな業 界団体、あるいは食品衛生の関係団体といった団体にも、こうしたことについて事前に周 知を行っているところでございます。 開催の形式を(2)に書いてございますけれども、おおむね200人程度。 ただ、それぞれのテーマによりまして、人数が多いとき、少ないときが若干ございます。 実際の中身としては、一般的なやり方としては、まず前半で説明、あるいは講演を行う。 後半はパネルディスカッション。更に会場との意見交換を行うという形式にしてきたわけ でございます。 コーディネーターにつきましては、BSE、輸入食品以外は、基本的には外部の有識者 の方々にお願いしております。 実は、上の表にもございますが、HACCPの関係で1回だけ開催してございます。こ れは現地視察型ということで、実際にはこれはレトルト食品を製造しているところについ て、現地見学会を行いまして、その後に意見交換会を行うということでございました。 2ページ目は、私どもが直接企画したもの以外に他省庁、あるいは地方自治体企画の意 見交換会への参加もしてございます。 実績については、そこに書いてございますように、(1)他府省企画の意見交換会というこ とで12回。 (2)地方自治体企画の意見交換会が3回。これが計9回ございました。 次に、意見募集、いわゆるパブリック・コメントでございます。 これは、基本的には新たな基準をつくってやるとか、あるいは資料にもございますけれ ども、輸入食品の監視指導計画とかというときに、事前にパブリック・コメントを行って いるということでございます。 3番として情報発信が大きく分けて2つございます。 まず1番目といたしましては「ホームページによる情報発信」。 既に委員の先生方もごらんになっていただいているかと思いますけれども、厚生労働省 のホームページの中に「食品安全情報」というものがございます。ここにさまざまな関係 の情報を載せてございます。あるいは輸入食品の関係では動画で示すとか、さまざまな工 夫も行ってきたところでございます。 「(2)パンフレットの作成」でございます。 さまざまなパンフレットを作成いたしまして、地方自治体等を通じまして、広く配布し てございます。 なお、こうしたパンフレットにつきましては、ホームページからも入手できるようにし ているところでございます。 具体的にはそこに書いてございますように「食品に残留する農薬等に関する新しい制度 (ポジティブリスト制度)について」。 あるいは「これからママになるあなたへ お魚について知っておいてほしいこと」。こ れは、実は水銀の関係で、池の魚には水銀が含まれているということもございまして、特 に妊婦の方々に対して注意喚起を行うという意味でこうしたパンフレットを作成しており ます。 更には「食品の安全確保に関する取組」ということで、これについてもパンフレットを 作成したいと思ってございます。 4番目といたしまして「リスクコミュニケーション担当者の研修」。 具体的にどうしていくかということでございますけれども、保健医療科学院の食品衛生 管理者コースがございます。このコースにおきまして、地方自治体の食品衛生監視員約50 名くらいに対して、このリスクコミュニケーション技法の習得を目的とした科目を設けて 検証を順次、実施しているということでございます。 5番目として、関係行政機関との連携、あるいは消費者団体との交流の促進ということ でございます。 私どもはよく4府省と申してございますけれども、これは食品安全委員会、私ども、農 林水産省、環境省の4府省が集まりまして、月2回程度の頻度でリスクコミュニケーショ ン担当官の連絡会議を行ってございます。こうした会議の場でさまざまな情報交換を行う とともに、その連携について更に強化する意見交換会ということでございます。 6番として食育を載せてございます。 小学校の高学年を対象とした食中毒予防に関する教材を新たに作成いたしました。こう したものにつきましては、地方自治体等を通じて広く周知するとともに、ホームページの 方からも入手できるようにしてございます。 以上が18年度のリスクコミュニケーションの取組状況でございます。 5ページの「報告資料1−2」が「平成19年度リスクコミュニケーション事業運営計画」 でございます。 基本的には、18年と同様の内容になってございますので、細かい説明は省略したいと思 いますけれども、私どもはリスクコミュニケーションを行う中でさまざまな工夫が必要に なってくる場合がございます。恐らく、テーマテーマに応じまして、規模であるとか、あ るいは形式などについて、さまざまな工夫が必要だろうと考えてございまして、そうした ことを十分考えながら、より効率的にこのリスクコミュニケーションを考えていきたいと 思っているところでございます。 なお、テーマにつきましては、最初に書いてございますけれども、18年度行ってきたテ ーマもございますし、更には関係者の方々の要望であるとか、あるいはそのときどきの課 題を十分踏まえて適切に対応していきたいと考えているところでございます。 はなはだ簡単ではございますけれども、私からの御説明とさせていただきます。 ○吉倉分科会長 このテーマは募集するんですか。 ○中林参事官 テーマについて具体的に募集ということは考えてございません。 ただ、私どももパブリック・コメント等を通じまして、さまざまな御意見が実際には関 係する方々からも寄せられてございます。そうしたことも十分踏まえながら、求められる ようなものについて適切に対応していきたいと考えております。 ○吉倉分科会長 聞かなくても言ってくるでしょう。 それでは、もしも特に御質問がなければ不二家の方に移ります。 どうぞ。 ○山内委員 分科会でどうこうということではないと思うんですけれども、私は生協に勤 めておりまして、リスクコミュニケーションを是非やっていただきたいということで、20 03年から訴えて、その結果、こういう新しい仕組みができました。3年経ちまして、本当 に多方面、いろんなテーマややり方で御努力いただいたことには敬意を表したいと思いま す。 ただ、3年経ちまして、是非一度ふりかえりを行い、今後さらに改善できる点がないか ご検討いただきたいと考えています。たとえば、実は私、1月に初めてこのリスクコミュ ニケーションシンポジウムにパネリストで出たんですけれども、そのときに輸入食品の監 視指導計画とBSE問題と鳥インフルエンザの3つのテーマがございました。会場の方か らいただいたアンケートでは、テーマが欲張り過ぎだった、時間の配分がなかなか難しか ったという意見が出ておりました。パネリストとしては用意していた意見は申し上げたん ですけれども、やりとりをするという形にはなりませんでした。こういった指摘からも改 善点が考えられると思います。私ども消費者側からもリクエストして実現したリスクコミ ュニケーションですが、さらによくするために、引き続き情報提供をいただくためのもの なのか、もっとお互いに理解し合って、何か新しい政策ですとか考え方をつくっていくも のなのかという目的によってもやり方が違ってくると思いますし、大規模ですと発言しに くいということもございますので、小規模なミーティングをつくっていただくということ もこれからも試していっていただきたいと思います。 私の立場から言いますと、是非お話ししたいですということで土俵にやって来ていただ いたところがようやくできたかなと思います。お互いにコミュニケーションですので、い ろんな違う意見を申し上げて、それはこうだけれどもこう考えているというようなコミュ ニケーションを双方向でやっていけるように、今後も私どもの方も努力いたしますので、 是非、いろいろ御工夫いただきたいということだけ申し上げたいと思います。よろしくお 願いいたします。 ○吉倉分科会長 ありがとうございます。 コーデックスの定義でもリスクコミュニケーションは双方向ということになっています ので、よろしくお願いします。 どうぞ。 ○渡邊委員 先日、栃木のいちごが新潟県ではかったらポジティブリストの農薬が基準以 上あったという報告があったのですが、ポジティブリストのサーベイランスとかそういう ものはどこがやることになっているんですか。そもそもやっているわけですか。 それと、測定機関がどこどこの機関はやっている、どこどこはやっていないということ になりますと、そこの精度とかそういう精度管理はどうなっているんでしょうか。御質問 です。 ○吉倉分科会長 お願いします。 ○桑崎課長 ポジティブリストも含めて、食品衛生法の基準などについては、国内につい ては、地方自治体、各都道府県等の保健所なり衛生研究所が検査を実施しているというこ とでございます。 輸入食品については、輸入食品・検疫検査センターが検査を実施しているということで ございます。 栃木の問題は精度管理の問題ということよりは、検査結果は実は複数検査機関で正しい ということを確認をしておりますが、検体の取り方に問題があったと理解をしております。 それについては、既に都道府県、収去に当たってはきちっとその原産地表示を確認して、 どこで採れたものかというのを確認した上で収去するように改めて指示をしたということ です。 ○渡邊委員 そうしますと、集荷食品でやりますと、結局地方によって何をやるかという のは、1万分の1ぐらいしか実際には調べられないということになりますか。 ○桑崎課長 それで、実際にどういう食品のどういう項目を検査するかということについ ては、法改正をした際に、監視指導計画を自治体がつくって、その計画に基づいて検査を するということになっております。それは輸入食品も一緒です。 もうちょっと申し上げ ると、そのように自治体がやるんですが、全国に自治体がたくさんありますので、検査が 重複をしないように、こういう食品のこのような項目を検査しましたということについて は、コンピュータに入力をしていただいて、それを見ることによって重複を避けたり、効 率的・重点的に検査をするという情報を我々は提供していますので、そういう情報も活用 することによって、効果的な監視を実施しているということです。 ○吉倉分科会長 ちょっと時間がなくなってきたので、最後の不二家問題をお願いします。 ○桑崎課長 引き続きまして、不二家問題の対応ということで、報告資料2をごらんいた だきたいと思います。ちょっと時間が押しておりますので簡潔に申し上げます。 「1 問題発覚に至るまでの経緯」ということでございまして、もうかなり報道されて おりますので、御承知の先生も多いと思いますが、昨年の暮れに不二家の社内調査で期限 切れの原材料を使用しているということが判明をいたしましたが、その時点で不二家は公 表はしませんでした。 年が明けて1月10日にその報告書の内容が報道されたことを踏まえて、翌日の1月11 日に不二家本社がその内部調査結果を公表するとともに、全国に5か所ございます洋菓子 工場の操業を停止をしたということが問題発覚に至るまでの経緯ということでございます。 「2 関係自治体の対応」と書いてございますが、1月11日に不二家の公表を踏まえて、 洋菓子工場がある5自治体(札幌市、栃木県、埼玉県、大阪府、佐賀県)が立入調査を開 始をいたしました。 何回か立入調査を実施いたしましたが、1月30日になりまして、大阪府でまず消費期限 表示の不備がございました。これはどういうことかと申しますと、期限表示というのは科 学的根拠に基づいて自らが作成をするということでありますが、それについて追加試験等 の科学的根拠なく、流通上の都合から当該消費期限を超えて期限を表示していたというこ とで、これは表示違反に当たると大阪府が判断をしたということでございます。 大阪府につきましては、その後、改善報告書の提出を受けて、3月13日に再度立入調査 を行って、改善状況の確認をしているということでございまして、大阪の工場につきまし ては、3月16日から製造を開始したと報告を受けております、 一方、2月20日になりますが、埼玉県も同じように期限表示の不備ということで法違反 と判断をし、更には消費期限を過ぎた原材料の使用について、これも法違反と判断をいた しました。3月9日になりまして、埼玉県が立入調査を行って、改善状況を確認をしたと いうことでございまして、3月13日に製造が再開をされてございます。 その他の3自治体についても立入調査を行いましたが、問題はないということを確認を してございます。 「3 厚生労働省の対応」でございますが、1月17日に食品安全部長から不二家の社長 さんに対しまして、この時点で自治体が調査に入っているわけでありますが、なお自治体 に対する報告が正確かつ十分ではないということでございましたので、食品衛生法に基づ く関係自治体の調査に対し、事実関係の正確かつ詳細な情報を速やかに提供するように本 社から関係工場に指示してほしいということを要請いたしました。 更には(2)に書いてございますとおり、食品製造に係る安全管理体制を構築し、衛生管理 の徹底・改善を図るということについても併せて不二家の社長さんに話をさせていただき ました。 22日になりまして、社長さんが交代いたしましたので、その社長さんに対しましても、 食品安全部長から速やかに事実関係の究明等についての要請をしてございます。 1月31日になりまして、同様の事案の再発防止を図るために、関係団体に対しまして、 食品等事業者の責務の再度周知徹底ということと、自治体に対して、今回の事案を踏まえ まして、広域流通食品等の製造・販売を行う食品等事業者に対する指導事項ということで、 具体的には原材料として使用する食品は、在庫管理を徹底し、消費期限内のものを使用す る等ということについて指導する、更には、監視指導の際の重点監視事項ということにつ いて、自治体に通知を発出をいたしました。 3月12日になりまして、不二家の社長さんから食品安全部長に対して、洋生菓子の生産 再開に向けた対応について報告がなされたということで、これも報道されておりますが、 3月23日に洋生菓子について販売を再開したというのがこれまでの経緯ということでご ざいます。 ちょっと急ぎましたが、以上でございます。 ○吉倉分科会長 どうもありがとうございます。そういうことです。 ちょっと時間がなくなりましたので、急いで報告ということです。どうもありがとうご ざいました。 あと事務局から何かありますか。 ○事務局 事務局からは、次回の分科会についてです。 開催日時、議題等につきましては、後日、確定次第お知らせさせていただきたいと思い ますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○吉倉分科会長 それでは、どうもありがとうございました。 照会先:                   厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課                   TEL:03−5253−1111(2449)