07/03/23 平成19年3月23日薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成19年3月23日(金) 15:00〜   厚生労働省専用第15会議室 2.出席委員(18名)五十音順 赤 堀 文 昭、 伊 賀 立 二、 池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、   大 野 泰 男、 笠 貫   宏、 木 津 純 子、 黒 木 由美子、   佐 藤 光 源、 竹 嶋 康 弘、 永 井 良 三、 西 島 正 弘、   早 川 堯 夫、 本 田 佳 子、 松 本 和 則、 溝 口 昌 子、  ◎望 月 正 隆、 望 月 眞 弓、○山 口   徹 ◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理   欠席委員(6名)   井 部 俊 子、 岩 田   誠、 神 山 美智子、 河 盛 隆 造、   藤 田 利 治、 望 月 眞 弓 3.行政機関出席者 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、 俵 木 登美子(医療機器審査管理室長)、 関 野 秀 人(薬事企画官)、佐々木 弥 生(化学物質安全対策室長)、  関   英 一(血液対策課長)、植 村 展 生(血液対策企画官)、 4.備考   本分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○事務局 それでは定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生審議会 薬事分科 会を開催させていただきます。  本日はお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。当分科会委 員数24名のうち現在16名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達してお りますことを御報告いたします。  では望月分科会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○望月分科会長 それでは始めさせていただきます。最初に事務局から配付資料の確認 をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。審議事項につきましては、資料1となっ ております。報告事項につきましては、資料2〜16となっております。その他、議事次 第、座席表、名簿、また、平成19年1月24日の薬事分科会で決定していただきました ところにより、これまでの報告事項の一部は文書報告とさせていただくこととなりまし た。文書報告の資料は既に先生方に送付しておりますが、お手元に参考までに「文書報 告一覧」を配付しております。御確認いただきたく存じます。  本日は、審議事項が1件、報告事項が15件予定されております。 ○望月分科会長 それでは、議事に入りたいと思います。議題1「医薬品ゼチーア錠10 mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否、再審査期間の 指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。この議題は審議事項です。  本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、 「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏ま えて薬事分科会にて審議を行うこととなっております。始めに部会での審議結果等を御 報告いただいた後、当分科会で審議をいたしたいと思います。  それでは、医薬品第一部会の部会長である永井委員から御説明いただきたいと思いま す。 ○永井委員 それでは、ゼチーア錠10mg(エゼチミブ)について、概要を説明いたします。 詳細は審査管理課から御説明いただきます。  これは、高脂血症用薬です。御承知のように、コレステロール値の上昇が動脈硬化の リスクファクターになっています。この薬剤の有効成分であるエゼチミブは、小腸壁細 胞のコレステロール吸収に関与する蛋白質に作用して、食事性のコレステロール及び植 物性シトステロールの吸収を選択的に阻害するという、これまでにない、新規の作用機 序を有しております。既にこの薬剤は、高コレステロール血症、家族性高コレステロー ル血症及びホモ接合体性シトステロール血症の治療薬として、平成18年9月現在、米国、 欧州等89か国以上で承認されております。  この治療薬を用いますと、食事性のコレステロールの吸収が阻害されます。それによ りまして血中コレステロールの低下が起こり、高コレステロール血症及び家族性高コレ ステロール血症を対象にした臨床試験で本剤の血中コレステロール低下作用が示されて おります。また、本剤は、スタチン等、既存の高コレステロール血症の治療薬とは異な る作用機序を有しておりますので、治療の選択肢を増やす意義もあると考えられました。  ホモ接合体性シトステロール血症は、先天性の代謝異常症で、通常はほとんど吸収さ れない植物ステロールの腸管からの吸収が亢進し排泄が低下するという、極めてまれな 遺伝性疾患です。そのため、植物ステロールの体内蓄積が問題となります。この疾患に 対して、本剤の国内での使用経験はございません。市販後の情報収集が非常に重要とな りますが、薬理作用及び海外の臨床試験成績等から、本剤の有用性は認められると判断 しております。  本剤につきましては、去る1月31日の医薬品第一部会において審議し、作用部位であ る小腸への影響、臨床試験成績に関する情報提供、海外で報告された有害事象等につい て議論をいたしました。その結果、承認して差し支えないという判断に至りました。審 査の詳細について、事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは資料1、販売名ゼチーア錠10mg、一般名エゼチミブの審査の概略に ついて、臨床試験の成績を中心に説明いたします。なお、本剤の販売名は、申請時の「ゼ チア」から「ゼチーア」に変更されています。臨床試験に関する資料として、国内外で 実施された第I相試験、第II相試験、第III相比較試験及び長期投与試験等の成績が提出 されています。  まず、有効性に関して説明いたします。高コレステロール血症患者を対象に、国内第 II相試験の成績に基づき、本剤10mgを1日1回の用法・用量にて、既承認の陰イオン交 換樹脂製剤コレスチミドを対照薬として、投与期間12週間の国内第III相二重盲検比較試 験が実施されました。主要評価項目とされた治験投与前を基準とした治験投与終了時の LDL-コレステロール変化率は、本薬群で約-18%、対照薬群で-19%であり、非劣性が 示されました。この他、HMG-CoA還元酵素阻害薬、いわゆるスタチン服用時のLDL-コ レステロール値が治療目標値に達していない高コレステロール血症患者を対象としたス タチン併用下での非対照試験、あるいはホモ接合体性家族性高コレステロール血症患者 を対象としたスタチン併用下での非対照試験において、本剤投与開始前と比較してLD L-コレステロールの低下が示されています。また、52週間の長期投与試験において、 作用の減弱は認められませんでした。なお、極めてまれな疾患であるため、ホモ接合体 性シトステロール血症について、日本人患者を対象とした試験は実施されておりません が、海外臨床試験で血漿中シトステロールの低下が確認されております。  安全性に関しては、国内第III相比較試験における本薬群での有害事象の発現率は58.5 %であり、対照薬群の69.0%に比べ高いものではなく、すべて軽度又は中等度でした。 一方、発現率は低いものの、これまでに横紋筋融解症等の重篤な副作用に関する海外報 告や、耐糖能への影響等の報告もあり、本邦での高コレステロール血症治療薬の中心で あるスタチンとの併用時には肝障害等の有害事象に注意が必要です。これを含め、他の 高脂血症治療薬との併用や肝機能障害を有する患者、及び糖尿病患者への本剤投与等に ついて添付文書において注意喚起されており、適正に使用されれば承認の可否に影響す るような重大な懸念は認められないと判断いたしました。疾患の性質から、本剤は長期 投与されることが予想されるため、スタチン及び高脂血症治療薬を併用した場合を含め、 長期投与時の有効性及び安全性に関する情報を市販後に収集する予定であり、本剤の糖 代謝への影響についても調査される予定です。また、ホモ接合体性シトステロール血症 患者における本剤の有効性及び安全性についても詳細に情報収集する予定です。  以上、総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本剤は高コレステロール 血症、家族性高コレステロール血症、ホモ接合体性シトステロール血症に対する有用性 が認められ、承認して差し支えないと判断し、薬事分科会で審議されることが適当との 判断に至りました。なお、再審査期間は8年、原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、 特定生物由来製品及び生物由来製品には該当しないとされました。説明は以上です。御 審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ただ今の説明につきまして、御意見、御質問 はございますか。事務局の説明の中で、スタチン併用中の副作用として、肝については 今後注意が必要であろうということでしたが、その辺りをもう少し詳しく御説明いただ けませんか。 ○新薬第二部長 1.8添付文書(案)を御覧いただくと分かりやすいかと思いますが、1 ページの2.重要な基本的注意の(4)で、「本剤とHMG-CoA還元酵素阻害薬を併用する場 合、併用するHMG-CoA還元酵素阻害薬の添付文書を必ず参照し」という注意喚起をして おります。また、2ページの(2)重大な副作用の2)横紋筋融解症では、「本剤をHMG-CoA 還元酵素阻害薬と併用する場合、併用薬の添付文書のモニタリングに関する記載を参照 すること」等の注意喚起を行っております。 ○望月分科会長 副作用については特に問題はないという説明かと思いますが、ほかに 何かございますか。よろしいですか。最初の説明にもありましたが、平成14年にドイツ で出されて、平成18年9月にはアメリカ等89か国で使われていることもありますので、 ただ今の説明を含めて、特段の御異議がなければ、部会の報告を踏まえまして、当分科 会としても本品目について、輸入承認を可、再審査期間は8年、原体、製剤ともに毒薬、 劇薬に指定しない、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定は不要とすることが適当 かと思いますので、このように議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。  異議なしということで、このとおり議決させていただきます。それでは、薬事・食品 衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づきまして、当分科会の議決をもって審議会の 議決とし、厚生労働大臣に答申することといたします。答申書の文案その他の取扱いに ついては私に御一任いただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは そのようにさせていただきます。  では、以上で審議事項を終わりまして、これより報告事項に入らせていただきます。 御担当の部会ごとに区切って報告をいただくこととしますので、まずは、副作用・感染 等被害判定第一部会及び副作用・感染等被害判定第二部会の関係の議題2から、簡単に 説明をお願いいたします。 ○事務局 副作用・感染等被害判定結果について報告いたします。資料2になります。 前回の分科会以降に副作用・感染等被害判定第一部会が2回、第二部会が1回開催され ております。資料は、各開催ごとの資料と、3回の件数を集計した資料となっています。 「まとめ」と書いた資料に従って報告させていただきます。  部会開催につきましては、第一部会は、平成18年度の第5回が平成18年12月21日、 第6回が平成19年2月22日、第二部会は、平成18年度の第5回が平成19年1月18 日に開催されております。  医薬品の副作用被害判定における3回の合計の申請内訳は、新規の請求件数が159件、 継続の請求が14件、現況の確認が27件、計200件について御審議いただきました。審 議結果は、支給決定することが適当と考えられるものが160件ありました。その内訳は、 請求どおり支給決定するものが75件、請求期間の一部について支給決定するものが82 件、請求内容の一部について支給決定するものが8件となっています。また、不支給決 定することが適当と考えられるものは34件ありました。その内訳は、医薬品の使用方法 が不適正であったものが5件、医薬品以外の原因によるものが19件、副作用による疾病 に対する医療が入院を必要とする程度でないものが8件、副作用による障害の状態が日 常生活が著しく制限される程度の状態でないものが2件ございました。なお、追加情報 を得て再度審議することが適当と考えられたものは6件ございました。  生物由来製品による感染被害判定については、第二部会において、輸血用血液製剤に より感染したとして請求された2事例について審議が行われ、血液製剤との因果関係が 確認され請求どおり支給決定するものが1件、請求期間の一部について支給決定するも のが1件ございました。  以上、平成18年度第5回及び第6回の副作用・感染等被害判定第一部会、並びに平成 18年度第5回副作用・感染等被害判定第二部会の結果報告とさせていただきます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。委員の先生方から、御意見、御質問はござい ますか。 ○溝口委員 二つお聞きします。24〜25ページにある不支給について、疾病と障害の両 方をまとめて「不支給」と書いてありまして、理由が「障害等級不該当」と書いてあり ます。しかし、ほかの場所で、疾病と障害の二つがあるときに、一つ一つ理由が書いて あるところがあるのです。これは、ライエル症候群やスティーブンス・ジョンソン症候 群は軽くて不支給であったのでしょうか。二つのものをまとめて書いてある理由が分か らないので、お教えいただきたいのです。 ○事務局 平成19年2月22日の第一部会の61番、原因薬がインダシン坐剤、ポンター ルカプセル、バナンによるスティーブンス・ジョンソン症候群という事例ですが、疾病 についてスティーブンス・ジョンソン症候群を認めた上で、障害について、請求されて いた視力障害は、両眼の視力の和が0.22で、機構法による障害等級ですと0.08未満が 2級、0.04未満が1級ですので、障害等級に当たらないということで、障害年金は不支 給という判定になっています。 ○溝口委員 薬疹の方は認められて支給されていたということですか。 ○事務局 こちらで見ますと、これが継続なのか新規なのか今は判別できないのですが、 請求時点では障害年金として請求されているものですから、疾病については書かれてい ないのです。 ○溝口委員 分かりました。もう一つ伺います。17ページの54番、関節リウマチ、痛 風についても不支給ですが、理由が「不適正使用」になっています。間質性肺炎が副作 用にあるリウマトレックスカプセルが投与されているのですが、これは保険が適用され ている薬剤です。専門家が見ているから問題ないとは思うのですが、併用薬が駄目であ ったとか、量が多過ぎたなど、どういうところが不適正使用であったのかを伺いたいの です。 ○事務局 17ページの54番、リウマトレックス、オステラック、リマチルで間質性肺 炎、そして、間質性肺炎による死亡ということで、不適正使用となっている事例ですが、 こちらについては、患者さんが何か所かの医療機関を巡っておりまして、過去にもらっ た医療機関の薬を自己判断で飲んで間質性肺炎を発症したものとして、不適正使用で不 支給決定とされております。 ○溝口委員 ここに書いてある2mgよりたくさん飲んでいたということですね。 ○事務局 2mgをたくさん飲んでいたわけではなくて、過去に医師に処方されたものが 患者さんの手元にあって、それを期間を空けて飲んでしまったということです。 ○溝口委員 ありがとうございました。 ○望月分科会長 ほかにどなたか御意見等はございますか。それでは、本件について御 確認いただいたものといたします。続いて、医薬品第一、第二部会の関係の議題3〜10 について、説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料3から説明いたします。販売名がマイオザイム点滴静注用50 mg、一般名がアルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)です。効能・効果は、糖原病 II型です。糖原病II型は、先天性の代謝異常疾患で、ライソゾーム中のグリコーゲン分 解酵素である酸性α-グルコシダーゼが先天的に欠損し、組織中及び細胞中にグリコーゲ ンが蓄積するという病気です。患者数は非常に少ないです。本件は、1月31日の医薬品 第一部会で御審議をいただき、承認を御了解いただいております。再審査期間は10年で す。承認条件といたしまして、日本人での投与経験が極めて限られていることから、製 造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成 績調査を実施するという条件を付しています。  資料4は、販売名がオルベスコ インヘラー吸入用。これは規格が四つございます。一 般名がシクレソニドという、ステロイドの吸入剤です。効能・効果は、気管支喘息です。 本剤を原則1日1回吸入投与するという使い方の薬です。2月23日の医薬品第一部会で 御審議をいただき、承認して差し支えないという御意見をいただいております。再審査 期間は8年です。  資料5は、販売名がウリトス錠0.1mg、ステーブラ錠0.1mg。これは2社の共同開発 で、中身的には同じものです。一般名がイミダフェナシンというもので、M3及びM1 のムスカリン受容体拮抗作用を有する薬です。効能・効果は、過活動膀胱における尿意 切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁です。こちらも2月23日の医薬品第一部会で御審議をい ただき、承認の御了解をいただいております。再審査期間は8年です。  資料6は、販売名がネスプ静注用シリンジ。これは規格が七つございます。一般名が ダルベポエチン アルファ(遺伝子組換え)です。こちらは、ヒトのエリスロポエチンに糖 鎖を付けまして、血中の持続化を図った製剤です。2ページの用法・用量の上から3行 目ですが、通常、成人には週1回投与するとされています。従来の薬は週3回くらい投 与していたのですが、本剤は週1回の投与ということです。効能・効果は、透析施行中 の腎性貧血です。2月23日の医薬品第一部会で御審議をいただき、承認の御了解をいた だいております。再審査期間は8年です。  資料7は、販売名がアリクストラ皮下注、一般名がフォンダパリヌクスナトリウムで す。効能・効果は、静脈血栓塞栓症の発現リスクの高い、下肢整形外科手術施行患者に おける静脈血栓塞栓症の発症抑制で、本剤を1日1回皮下投与いたしまして、このよう な目的に使うものです。2月23日の医薬品第一部会で御審議をいただき、承認の御了解 をいただいております。再審査期間は8年です。  資料8は、医薬品第二部会の品目で、販売名がアバスチン点滴静注用、一般名がベバ シズマブ(遺伝子組換え)です。効能・効果は、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸 癌です。他の抗悪性腫瘍剤と併用するという用法・用量になっております。2月22日の 医薬品第二部会で御審議をいただき、承認の御了解をいただいております。再審査期間 は8年です。2ページですが、本剤はヒト血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とするヒ ト化モノクローナル抗体で、血管新生阻害作用を有する薬です。承認条件として、国内 での治験症例が極めて限られているということで、市販後、一定期間は、全症例のフォ ローアップをしていただくという条件を付けております。以上が新薬の関係です。  資料9は、希少疾病用医薬品の指定についての報告です。7ページを御覧下さい。希 少疾病用医薬品及び希少疾病用医療機器の指定制度ということで、概略を説明いたしま す。制度の主旨ですが、難病、エイズ等を対象とする医薬品や医療機器は、医療上の必 要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより十分にその研究開発が進んでい ない状況にある。このため、国としてもこうした医薬品等について支援措置を講じると いうことです。  その内容としては、助成金の交付、税制措置、優先審査など、幾つかございます。そ のときの指定基準は、(1)本邦における対象患者数が5万人未満であること、(2)医療上、 特にその必要性が高いこと、(3)開発の可能性が高いことということで、指定希望の申請 があった場合には担当部会でこの基準に合致するかどうかの御審議をいただいていま す。  2ページに戻っていただいて、本日御報告するものが四つございます。1番は、シル デナフィルクエン酸塩という成分について、肺動脈性肺高血圧症という効能・効果で開 発をするということで、指定しております。2番は、医薬品の一般名がまだ決まってい ないのですが、SB-497115-GRという成分について、慢性型特発性血小板減少性紫斑病(I TP)における血小板減少の改善に対する薬です。3番、ニロチニブ塩酸塩水和物、4番、 ダサチニブ水和物は、両方とも同じ疾病を対象にしておりまして、メシル酸イマチニブ 抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病、それから、再発又は難治性のフィラデルフィア 染色体陽性急性リンパ性白血病、それらの希少疾病に対して開発をするということで、 指定するという内容です。1番と2番については医薬品第二部会で、3番と4番につい ては医薬品第二部会で御審議をいただき、指定についての御了解をいただいております。  続いて、資料10に基づいて、新有効成分医薬品の再審査期間について御報告いたしま す。まず現状ですが、薬事法第14条の4の規定に基づきまして、希少疾病用医薬品を除 く新有効成分医薬品については、承認のあった日後、原則6年の調査期間、いわゆる再 審査期間を定めている状況です。  3ページを御覧ください。平成元年以降に承認された新有効成分医薬品のうち、平成 15年7月からの直近3年間に重要な「使用上の注意」の改訂がなされたものを整理いた しますと、棒グラフについては、承認後7年をピークとして、承認後5〜8年の期間に 重要な「使用上の注意」の改訂が比較的多くなされている、折れ線グラフについては、 承認後8年までに改訂の約7割がなされているという傾向がみられます。  このことに関して、本年1月及び2月の医薬品第一部会及び医薬品第二部会で御審議 をお願いしました。1ページに戻っていただいて、今後の対応として、新有効成分医薬 品の再審査期間を現行の原則6年から原則8年とする。具体的な対応といたしましては、 今後新たに承認する新有効成分医薬品については、その承認の際、薬食審の審議を踏ま え、その再審査期間を8年とする。それから、現在6年間の再審査期間中のものについ ても再審査期間を2年間延長し、8年とする措置が適切であるという御意見を頂戴いた しました。  この考え方に基づきまして、本日議題1で御審議いただいたゼチーア錠につきまして も、これは新有効成分医薬品ですので、その再審査期間を8年という取扱いにさせてい ただきたいと考えております。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ただ今の御説明について、医薬品第一部会長 の永井委員から追加の御発言等はございますか。 ○永井委員 それでは、幾つか説明させていただきます。議題3のマイオザイム点滴静 注用(アルグルコシダーゼ アルファ)は、糖原病II型の、遺伝子異常に対する治療薬です。 この疾患自体が大変まれなものですので、本剤の日本人での投与経験は非常に限られて おります。しかしながら、製造販売後には、抗体が産生されないかどうかという点も含 めまして、使用全例に対する調査を実施することを条件に、承認が可能であると結論い たしました。  議題4のオルベスコ インヘラー(シクレソニド)は、ステロイドの吸入剤です。実施さ れた臨床試験では大きな問題は見られませんでしたが、製造販売後調査で、血糖への影 響も含めて、情報収集を行うことにしております。  議題5のウリトス錠、ステーブラ錠(いずれもイミダフェナシン)は、過活動膀胱に用 いられるものです。この薬剤は、ムスカリン受容体の拮抗薬で、過活動膀胱の諸症状の 改善に用いられております。心機能に対する影響等については既に注意喚起がなされて おり、また、増量投与に関する検討も今後行われることになっております。承認可とい うことでした。  議題6のネスプ静注用(ダルベポエチン アルファ)は、従来のエポエチンアルファに新 たに糖鎖を導入することによりまして血中半減期を3倍に延長したというものです。透 析施行中の腎性貧血に有効で、かつ、先ほど御説明がありましたが、週に3回の投与が 週に1回の投与に変えられるというメリットがございます。ただし、腎性貧血治療開始 時の用法・用量が決定されていないために、既存のエリスロポエチン製剤を使用して用 量調整を行いながら導入した後に、本剤に切り替えるという使用法となっております。  議題7のアリクストラ皮下注(フォンダパリヌクスナトリウム)は、静脈血栓塞栓症の 発症抑制として使われる予定です。これは、ヘパリン様の作用を持つ、化学合成した薬 剤ですが、1日1回の皮下投与で使用可能であるというものです。海外では下肢整形外 科手術後の静脈血栓塞栓症の発症抑制のための標準的薬剤として使用されているという ことです。問題点としましては、通常の凝固能検査がこの薬剤のモニタリングの適切な 指標とならないことがあり、臨床症状全体を注意深く観察しながら使用することが重要 であるという結論でした。こちらからの説明は以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。医薬品第二部会長の池田委員から追加の御発 言等はございますか。 ○池田委員 議題8のアバスチンは、先ほど御説明がありましたように、遺伝子組換え の抗VEGFヒト化モノクローナル抗体です。これは、抗体の出現の問題を考えていか なければいけないということで、この承認に当たって、より適切な抗体の測定方法を検 討するように、委員の方から指示が出ております。  それから、適用上の注意に、この薬剤はブドウ糖液と混合した場合には力価が減弱す るという記載がされているのですが、その記載に少し分かりにくい点があるので直して ほしい、「本剤とブドウ糖溶液の同じ点滴ラインを用いた同時投与は行わない」という のはどういうことかということがありました。通常、これは、液として抜き取って、生 理食塩水に添加して点滴静注するということで、ブドウ糖液は使わないわけですが、ラ インでブドウ糖液が行っている場合にどうするかという問題がありまして、誤解されな いように、適切に改めた方がいいであろうということがございました。  また、市販後、一定期間は、使用全例を対象に調査を行うということです。幾つか問 題になる副作用が懸念される、特に消化管の穿孔や、これはVEGFの抗体なので、創 傷治癒の遅延等がございますので、出血も含めて、重大な副作用に関してはすべて市販 後に情報を収集し、早い時点で適正使用ガイドラインを作って、安全性に関する注意喚 起をすることが必要であろう。この薬そのものは、治癒切除不能な進行・再発の結腸・ 直腸癌という疾患を対象にしていますので、この有効性を認識して使うことはよいが、 副作用の点についてはくれぐれも注意が必要であろうというのが部会で各委員から出さ れた意見です。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。資料10まで、一遍にたくさんの資料が上がっ ていますが、委員の先生方から、御意見、御質問はございませんか。 ○板倉委員 資料5の審議結果報告書の最後に、販売名の変更についての説明をいただ いています。「ステイブラ」を「ステーブラ」に変更することにした理由として、医療 事故防止の観点から変えているという御説明なのですが、どういうことでこのように変 わったのかについて、もう少し具体的な説明をいただきたいのです。 ○事務局 既存の医薬品の販売名と今度承認する医薬品の販売名を逐一チェックしてお りまして、その中で、特に頭3文字が重なったりしますと、コンピュータで入れたとき に別の薬の名前が出てきてしまって入力ミスをするなどがございますので、一定のルー ルの下で類似の薬がないかどうかをチェックしたところ、これについては引っ掛かって しまったものですから、それを避けるために「ステーブラ」と長音に変えたという経緯 です。 ○望月分科会長 ほかに何かお気付きの点はございますか。 ○伊賀委員 資料4のオルベスコについて、添付文書(案)の4ページで小児に対する経 験はないとなっていますが、これは小児喘息等では使えないということが想定されるの ですか。その辺のことは添付文書等にも何も書かれていないのですが。 ○新薬第二部長 現時点で、予定はございません。添付文書では、「安全性は確立して いない」ということで表現しておりまして、それで注意喚起をいたしております。 ○伊賀委員 ほかの吸入ステロイドは小児に使うことがありますが、これは使えないと いうことなのですね。4ページの7.小児等への投与に「経験がない」と書いてあるだけ ですが。 ○新薬第二部長 安全性は確立していないということで、推奨はできないという意図で す。 ○望月分科会長 ほかにお気付きの点はございますか。 ○笠貫委員 資料10について、再審査期間を原則6年から8年とする根拠として、先ほ ど3ページのグラフを見させていただいたのですが、6年目から7年目に掛けて非常に 多いという原因分析について、何かありましたら教えていただきたいと思います。 ○望月分科会長 このグラフの原因分析について、何かお心当たりの点はございますか。 ○事務局 それが確定かどうかまでは分かりませんが、幾つかの原因は考えられます。 例えば、医薬品の性質によって、余り患者数が多くないような場合、ある程度使用例数 が蓄積されてきた段階で新たに分かってくる副作用があるなどの関係から、頻度の少な い副作用の発現について、また、患者数との関係などを考えたときに、後半の6、7、 8年辺りに出てくる可能性があるのではないかと考えております。 ○笠貫委員 患者数の問題と副作用の発現頻度が少ないということと重症ということで あると思うのですが、14、15、16年も同じように考えるのでしょうか。 ○望月分科会長 14、15、16年も同じように出ているのですが、これはどう考えたらよ いですか。 ○事務局 14年までさかのぼって見てはおりません。ただ、ここに載せておりますのは 重要又は重大なものとして安全対策課長通知により使用上の注意を変更したものという 整理ですが、これとは別に、安全対策課長通知でない簡易のものについても6、7、8 年に多少山が見られるといった分析はございました。 ○望月分科会長 簡易の方では14、15、16年で山はないのですか。 ○事務局 簡易の方でも似たような傾向がありました。 ○望月分科会長 事実はこういうことのようです。 ○事務局 もう一つ、グラフの13、14、15、16年にも多少山があるような傾向が見られ ますが、簡易のものについてそこを見たところ、このような傾向は見られませんでした。 ○望月分科会長 簡易の方ではなかったのですね。よろしいですか。他にはいかがです か。 ○板倉委員 資料10ですが、安全対策を講じる観点から8年とするという意味が逆によ く分からないのです。調査期間が延びるのはいいのですが、再審査期間自体も長くなれ ば資料が集まるという意味で、安全対策を講じる観点から延ばした方がいいという考え 方なのでしょうか。素人目に見ると、その期間が空けば空くほど放っておかれる人も増 えてくるのではないかとか、問題があるから継続しないなどといったことも早めに審査 されるのではないかと否定的に考えてしまうのです。この意味がぴんと来なかったので、 御説明いただければと思います。 ○事務局 説明足らずで大変申し訳ございません。ここで、重要又は重大なものとして 安全対策課長通知により使用上の注意の追加変更したものがどういうものかを御説明さ せていただきます。薬事法第77条の4の2に基づいて、製薬企業あるいは医療関係者か らの副作用報告を厚生労働省あてにいただいています。その副作用報告に基づいて、重 大な、特に注意喚起をしなければならないような使用上の注意の変更を行う場合には、 通常、安全対策課長通知という文書で製薬企業に改訂の指示を行います。その改訂は薬 事法の副作用報告に基づいて行われる、要するに適時適切に改訂の指示を行うものです ので、再審査の結果を待って改訂するものではありません。そう考えますと、7割くら いまで使用上の注意の改訂が落ち着くといった傾向がこのグラフからも見られますの で、そのようなところまで待って再審査をした方がよいのではないかという結論です。 ○審査管理課長 資料10の2ページを御覧ください。再審査期間は、歴史的に見ると、 この当時は再審査というよりは副作用報告義務期間という言い方をしていたかと思いま すが、昭和42年は2年になっていました。それを、昭和46年に3年に変更し、昭和54 年に法制化するとともに6年にして、平成5年の薬事法改正でオーファンドラッグ及び 必要なものについては6年から10年に延長してきています。  再審査期間中は、当初は半年ごと、後は1年ごとにその年の報告をまとめて、問題が ないかどうかを出す義務が掛かっております。したがいまして、御指摘のとおり、例え ば2年目でおかしいということであれば、当然のことながら2年目で対応をしていく、 そういうことを前提にその義務の期間を延長してきたというのが歴史です。今のデータ からいうと、これを延長して8年にするのが適当ではなかろうかと考えております。 ○望月分科会長 2年間放っておくわけではなくて、その間もきちんと報告して、その 時期が延びるということであると思うのですが、よろしいですか。 ○笠貫委員 グラフの見方としては、3年のピークと7年のピークと14年のピークがあ りそうです。そして、それぞれ意味合いが違うのであろうと思うのです。そういう意味 で、今御説明があったように、半年、その後は1年ごとに副作用通知の義務付けをして いるという意味での安全性の担保はあると思うのですが、その安全性の担保を8年で切 るということは、逆に言うと、もっと長い方がいいのかもしれない。先ほどの14年、15 年のところは、8年で切った場合、8年後は1年ごとの通知の義務付けが緩められてし まうのではないかという不安感を一方では持つのですが、その点はいかがでしょうか。 ○審査管理課長 先生に、私は科学的、医学的な議論をしているのだから、それでは答 えになっていない、そのようなことは聞いていないと言われそうなお答えをさせていた だきますと、2ページにございますとおり、現行の薬事法では最大10年まで認められる わけです。したがいまして、現行の薬事法下での運用ということ、さらには、毎年の報 告を義務付けているように、製造販売業者に一定の規制を課すものですから、必要最低 限のものでなくてはならないという問題があります。そういう点から申し上げると、現 時点では8年という形にさせていただいて、今後の推移を見ながら相談させていただく というのが、今の時点での我々の考え方でございます。 ○笠貫委員 その点は理解いたしました。しかし、先ほど言いました三つの波について は、是非引き続き細かい分析をしていただき、それを積み重ねていただいて、安全性の 担保のためのより良いシステムをその都度考えていただけたら有り難いと思います。 ○審査管理課長 ありがとうございます。是非そのようにしたいと思います。 ○望月分科会長 3年、7年、14年の意味付けがいずれ出てくることを楽しみにしたい と思います。そのほかの点についてはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、 本件については御確認いただいたものといたします。続いて、医療機器・体外診断薬部 会の関係の議題11について、説明をお願いいたします。 ○事務局 資料11です。一般的名称が冠動脈ステント、販売名がTAXUS エクスプレス 2ステントです。これは、経皮的冠動脈ステント留置術を実施する際に、血管内腔の確 保を目的に病変部に挿入留置して行う、デリバリーシステムを含む、ステントのセット です。  新しいところは、ステントの表面に、再狭窄抑制作用を目的として抗増殖作用のある パクリタキセルを含有する高分子がコーティングされている点です。留置部位に、ステ ントからパクリタキセルが徐々に溶出することによって、再狭窄抑制作用があるという ものです。  これについては、3月8日の医療機器・体外診断薬部会で、医療機器のクラス分類と してはクラスIV、再審査期間としては3年ということで承認可との御審議をいただきま した。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。部会長の笠貫委員から、追加の御発言等はご ざいますか。 ○笠貫委員 これはDrug Eluting Stentとしては再狭窄が非常に少ないということで期 待されているパクリタキセル コーティングのステントで、その有効性は欧米で広く認め られているものです。使用目的と承認条件は厳しく付けられていますが、もう一つ問題 になりましたのが、ステント内血栓です。亜急性だけではなくて、遅発性、しかも1年 以上後にも起こるかもしれないということが、今、欧米で問題になっています。それに ついて、今回は、6か月間のチクロピジンの投与を推奨するというふうに、抗血小板薬 の使用をより強めたことが一つの特徴と思います。ただし、欧米ではチクロピジンでは なくてクロピドグレルなのですが、現段階でも日本ではチクロピジンということで、で きるだけ早くクロピドグレルが心臓領域でも使えるようにという議論がなされました。 ○望月分科会長 ありがとうございます。委員の方々から、御意見、御質問をいただき たいと思います。 ○山口委員 笠貫委員からも話がありましたが、この薬剤溶出ステントの一番の問題点 は血栓性閉塞かと思います。世界で多く使われているのは、既に承認されているCypher と、このTAXUSの二つなのですが、遅発性の血栓性閉塞が非常に問題になって、去年の 12月にFDAでもパネルが開かれて、最終的に今年の2月に五つくらいの学会が合同で リコメンデーションを出していると思うのです。薬剤溶出ステントについては、従来の ステントに比べて血栓性閉塞が多そうだが、確固たるデータは十分でない、今後検討を 要するとはなっていますが、12か月までアスピリンとチエノピリジン系を投与すること を原則とするのが望ましいというリコメンデーションが出ています。従来は、Cypherは 3か月、TAXUSは6か月というのが標準的な使用法で、添付文書も6か月を推奨すると なっていますが、12か月というリコメンデーションが出たことを踏まえて、12か月推奨 でよろしいのではないかと思うのです。  それから、12か月の長期使用ということになると、先ほどの副作用報告でもかなりの 数でパナルジンが挙がっていますので、チクロピジンは、使う期間が長くなれば副作用 の対象者が増えることは間違いないわけです。少なくともこういうステント使用例につ いては、より副作用の少ないクロピドグレルを早く、これに並行する形で認可をいただ きたい。今申請しているのは承知していますが、クロピドグレルの心臓領域への使用と いう広範の話の議論はともかくとして、少なくともステント使用者については、それに 限って、特に長期に使うということであれば、クロピドグレルを使える状況をつくれな いかと思うのです。その点はいかがでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 初めのチクロピジンの投与期間の問題ですが、遅発性のステ ント血栓症の問題については、先生が御指摘のように、昨年12月にFDAでパネルが開 かれて議論されております。しかし、Cypher、それからアメリカでは既に市販されてい る本品TAXUSについての長期のデータはまだ十分に集まっておらず、最終的にFDAの パネルの結論としても、抗血小板薬の投与期間をどのくらいにすればいいのかについて は科学的なエビデンスをもって推奨できるものがない、評価ができないということで、 FDAでもより長期のコントロールされた試験を実施する必要があるということで見守 っている状況です。学会で推奨1年というのが出てはいますが、長期のフォローを更に 進める必要があるのかと考えております。  6か月といたしましたのは、本品TAXUSについての臨床試験において、プロトコル上 6か月の抗血小板薬の投与ということで組んできており、別紙6の1ページ、「警告」 の1.の(4)の(1)ですが、無期限のアスピリンの投与と、術後少なくとも6か月間のチ クロピジンの投与ということで、少なくとも6か月は投与ということです。投与期間を どこまで延ばすかについては、今はエビデンスをもって規定することができないので、 もう少しデータの蓄積を待つ必要があるということで、部会でもそのように審査結果を 御報告し、御了解をいただきました。 ○審査管理課長 クロピドグレルについてですが、年末年始に申請があり、私どもも優 先的な審査ができないかと現在検討をしているところです。国内で行われた試験全体で 見るとクリアにチクロピジンに勝っているというデータではないと聞いておりますが、 先生から御指摘のあったことも踏まえて検討を急ぎたいと考えております。 ○山口委員 1年たった後でも血栓性閉塞が起こることが非常に話題になり、どれだけ 長く飲んだらいいかは今のデータでは決められないが、少なくとも12か月は飲んだ方が いいというリコメンデーションをアメリカの循環器に関する五つの大きな学会がそろっ て出しています。その終わりは本当は24か月かもしれない、3年かもしれない。しかし、 少なくとも12か月は飲んだ方がいいというリコメンデーションがかなり明確な形で出 た現在で、それがまだ出ていない検討段階はともかくとして、推奨を6か月と更に短く する話は少し合わないのかと思います。今あるデータを見る限りは、学会の言いたかっ たことは、本当は12か月以上必要であるけれども、少なくとも12か月はどの薬剤溶出 ステントでも飲ませた方がいいというリコメンデーションであったと理解しているので すが、その点はどうでしょうか。 ○医療機器審査管理室長 日本のデータもFDAのパネルに御報告させていただいたと 思いますが、アメリカのデータに比べて日本が一番成績が良かったということです。使 っている薬剤も、我が国ではまだチクロピジンということもあり、チクロピジンをどこ までやるのかも含めて、現時点で少なくとも1年を推奨する根拠はないのかと判断して います。 ○笠貫委員 部会長として私も6か月ということで同意した一つのポイントは、日本で ステント内血栓症にracial and ethnic differenceがあるのかどうかについてまだ疑問 として残っています。今、日本でもj-Cypher、HIJ-Cypherなど、幾つかの多施設共同研 究の精度の高いフォローアップがなされていて、少なくともその中間報告では、欧米と 比べてクロピドグレルの使えないチクロピジンにおいても、late thrombosisと言いま すか、1年以降の非常に遅いものについては、欧米に比して多いというデータはなく、 むしろ少ない可能性が示唆されているかもしれないということがあったと思います。そ の場合に、まだクロピドグレルが許可されていないということで、チクロピジンでのベ ネフィットとリスクを比較考慮すると、少なくとも6か月というのは当面としては妥当 かもしれない。これからのDrug Eluting Stentについては、日本のデータを十分分析し た上で、少なくとも12か月とするのが妥当かどうか今後慎重に検討を加えていくという 条件付きであると思いますが、今回は6か月ということで始めさせていただくという話 であったと理解しております。 ○山口委員 FDAからまだコメントが出ていませんのであれですが、Cypherはそのま ま3か月になっていますから、そちらはもっと問題が大きいことになると思うのです。 米国のリコメンデーションは薬剤溶出ステントすべてについて少なくとも12か月と言 っている中で、Cypherはまだ3か月にとどめ置かれていますから、それについても是非 御検討いただきたいと思います。 ○望月分科会長 よろしく御検討いただきたいと思います。ほかに何か御意見等はござ いますか。それでは、本件については御確認いただいたものといたします。続いて、化 粧品・医薬部外品部会の関係の議題12について、説明をお願いいたします。 ○事務局 資料12の化粧品基準の一部改正について御報告させていただきます。本件 は、平成18年12月21日開催の化粧品・医薬部外品部会で御審議いただいたものです。 化粧品については、薬事法第42条第2項の規定に基づいて化粧品基準を定めており、そ の基準において配合禁止成分や配合の制限成分を規定しております。今般、化粧品へ配 合できる医薬品の成分及び紫外線吸収剤として資料12の表に示している配合量にて新 規収載要請がありました。化粧品・医薬部外品部会にて御審議いただいた結果、化粧品 基準の一部を改正することについて御了承をいただいております。現在、部会の結果を 踏まえて改正の手続を行っています。以上、化粧品基準の一部改正について御報告させ ていただきました。 ○望月分科会長 ありがとうございます。部会長の溝口委員から、追加の御発言等はご ざいますか。 ○溝口委員 特にございません。 ○望月分科会長 委員の方々から、御意見、御質問はございますか。よろしいですか。 それでは、本件について御確認いただいたものとします。続いて、医薬品等安全部会の 関係の議題13について、説明をお願いいたします。 ○事務局 資料13「第一類医薬品及び第二類医薬品の指定について」を御覧ください。 一般用医薬品の販売に関して、リスクの程度に応じて専門家が関与し、適切な情報提供 等がなされる実効ある制度の構築を目的にし、昨年6月に薬事法の一部を改正する法律 が公布されたところです。この改正薬事法においてリスクの程度に応じた情報提供の整 備のため、一般用医薬品を三つのグループ、第一類医薬品、第二類医薬品、第三類医薬 品と区分することとし、このリスクの区分の規定については平成19年4月1日に施行さ れる予定です。  このリスク区分について、昨年11月29日付けで薬事・食品衛生審議会に諮問し、11 月 30日の医薬品等安全対策部会で御審議いただき、その後1か月間パブリックコメントを 行い、その結果を踏まえて本年2月16日の安全対策部会において再度御審議いただき、 答申をいただきました。お手元の資料13が答申の部分ですが、約1,400の成分について、 別表第一で第一類医薬品、別表第三で第二類医薬品、別表第四で第三類医薬品と指定を していただいております。本答申を踏まえて、現在、4月1日の施行に向けて指定告示 の作業を進めています。説明は以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。部会長の松本委員から、追加の御発言等はご ざいますか。 ○松本委員 部会の意見として、分類そのものについては、漢方薬、生薬を除いて、一 般用医薬品の分類に関して、特に意見はありませんでした。ただ、御存じのように、漢 方薬に関しては、緊急安全性情報が出ている薬剤もあるので、一律に二類に分類してい いかどうかについて意見を出される委員がおられました。それから、この制度が実施に 移された後に新たな事態が生じた場合には、その見直しを含めた安全性への対応をして もらいたいというのが部会委員からの要望でした。 ○望月分科会長 ありがとうございます。委員の方々から、御意見等はございますか。 よろしいですか。それでは、本件についても御確認いただいたものといたします。続い て、血液事業部会の関係の議題14〜16について、説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、議題14〜16について御説明させていただきます。まず、資料14 を御覧ください。議題14、平成19年度の献血の推進に関する計画を定めることについ て御報告させていただきます。本計画は、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する 法律の規定に基づく、献血の推進に関する計画です。献血により確保すべき血液の目標 量、また、この目標量を確保するために必要な措置に関する事項等を定めるものです。 この計画については、3月9日開催の血液事業部会において審議され、了承されました。 それを受けて今月中に告示する予定です。  内容については、資料の2枚目に目次があります。第1に、平成19年度に献血により 確保すべき血液の目標量として、193万リットルの血液を献血により確保する必要があ るということ、第2に、この目標量を確保するために必要な措置に関する事項として、 献血に関する普及啓発活動の実施、献血者が安心して献血できる環境の整備、第3に、 その他献血の推進に関する重要事項として、献血の推進に際し考慮すべき事項、血液製 剤の在庫水準の常時把握と不足時の的確な対応、災害時等における献血の確保等、献血 推進施策の進ちょく状況等に関する確認と評価を定めております。  次に、資料15を御覧ください。議題15、平成19年度の献血の受入れに関する計画を 認可することについて御報告させていただきます。本計画は、「安全な血液製剤の安定 供給の確保等に関する法律」の規定に基づき、採血事業者が作成する献血の受入れに関 する計画です。献血により受け入れる血液の目標量を確保するために必要な事項、取組 を定めるものです。この計画についても、3月9日開催の血液事業部会において審議、 了承されました。それを受けて今月中に認可する予定です。  内容については、第1に、当該年度に献血により受け入れる血液の目標量として、193 万リットルの血液を献血により確保するということ、第2に、この目標量を確保するた めに必要な措置に関する事項として、献血の受入体制、献血者の確保対策、第3に、そ の他献血の受入れに関する重要事項として、血液製剤の安全性向上のための対策、まれ な血液型の血液確保、血液製剤の在庫管理と不足時の対応、災害時等における危機管理、 献血受入計画の分析と評価を定めております。  次に、資料16を御覧ください。議題16、平成19年度の血液製剤の安定供給に関する 計画を定めることについて御報告させていただきます。この計画は、安全な血液製剤の 安定供給の確保等に関する法律の規定に基づく、血液製剤の安定供給に関する計画です。 必要と見込まれる血液製剤の種類及び量、国内において製造され又は輸入されるべき血 液製剤の種類及び量の目標、確保されるべき原料血漿の量の目標に関する事項等を定め るものです。この計画についても、3月9日開催の血液事業部会において審議され、了 承されております。それを受けて今月中に告示する予定です。  内容については、2ページになります。第1に、平成19年度に必要と見込まれる血液 製剤の種類及び量、第2に、平成19年度に国内において製造され、又は輸入されるべき 血液製剤の種類及び量の目標、第3に、平成19年度に確保されるべき原料血漿の量の目 標、第4に、平成19年度に原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目標、 第5に、その他原料血漿の有効利用に関する重要事項を定めております。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。部会長の池田委員から、追加の御発言等はご ざいますか。 ○池田委員 特にございません。 ○望月分科会長 委員の方々から、御意見等を伺いたいと思いますが、いかがでしょう か。参考までに、平成18年度の現状はどういう形なのでしょうか。 ○血液対策課長 平成18年度については、議題14、15に呼応する献血により確保すべ き血液の目標量は196万リットルで、部会でも評価をいただきましたが、現状としては その数値のとおり確保はできていません。しかし、医療機関における日々の血液の使用 には支障を来さない形で、円滑に血液の供給ができました。また、議題16に呼応する原 料血漿の確保目標量というのは、献血で確保すべき全体量の中の一部ですが、この部分 については受給計画を定めることになっております。これについては平成18年度は93 万リットルであり、こちらもおおむね順調に確保ができています。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ほかにどなたか御意見はございますか。ない ようですので、本件についても御確認いただいたものといたします。本日予定の議題は すべて終了いたしましたが、そのほか、何かございますか。 ○竹嶋委員 今日の議題の中で一番御議論があったのは議題10と11であったと私は受 け止めておりますが、いずれも安全性ということであったと思います。議題10について は、どなたか御質問なさったように、6年間を8年間に延ばすということで、単純に考 えれば、薬事法で決めたと言いながら、これでいいのかという疑問が残ります。私は今、 医療の現場からの発言をしております。  それから、議題11ですが、この分科会でも専門的な立場から御議論がありました。そ れぞれの部会で多くの専門家の方々が確実に御議論されたと思いますが、会長が最後に 十分検討してほしいと投げ掛けられましたので、厚生労働省も十分これを受け止めてい ただきたいと思います。もちろん患者さんが一番お困りになることはよく分かっていま す。それと同時に医療現場で医事訴訟にもつながりますので、そういう点からも是非、 会長が最後におっしゃったように、検討されることを今後ともお考えいただきたいと最 後にお願いいたします。 ○望月分科会長 ありがとうございます。事務局もよろしくお願いいたします。 ○審査管理課長 竹嶋委員の御指摘はもっともで、有り難く頂戴させていただきます。 また、二点御報告させていただきます。一点目は独立行政法人医薬品医療機器総合機構 の審査担当官の増員についてです。昨年の12月25日に、議長が内閣総理大臣で、関係 大臣並びに有識者からなる総合科学技術会議において、治験や臨床研究の推進などとと もに、審査・相談体制の拡充を図るべしという意見具申が厚生労働大臣に対してなされ ました。これを踏まえて関係省庁と協議をし、具体的には、平成19年度から3年間で医 薬品機構の審査担当官を236名増員すると。ただ単に数を増やすだけが重要なことでは なく、当然その質も向上させなければいけませんので、トレーニング等も充実させるわ けですが、あるいは事前評価制度の導入や、いろいろな手続を含め、5年間で、例えば 審査期間を今の通常2年から1年に減少することを目標とさせていただきました。必要 な費用は手数料の値上げをもってそれに充てるということで、今年の4月から手数料の 値上げ、さらには医薬品機構の中期目標、中期計画の改定を行った上で、先ほど申し上 げたように、新薬の開発並びに審査の迅速化を図ることにさせていただきました。  二点目はタミフルの副作用です。タミフル服用後の飛び降りの事例等がありまして、 2月28日に、インフルエンザ治療開始後の注意事項を医療関係者に周知しました。さら には3月20日に、10代の未成年の患者には、ハイリスク患者と判断される場合を除い て、原則として差し控えることという対応を取り、今、タミフルについて報告された事 例の全体を再度精査しております。その精査が終わり次第、この審議会、特に安全対策 部会を中心に御審議をお願いすることになろうかと思いますので、よろしく御協力をお 願い申し上げます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。今のことについて、何か御意見はございます か。 ○赤堀委員 一点目の審査担当官を増やしていくという件ですが、特に問題になってく るのは医薬品の安全性の観点であると思うのです。例えば資料を出すメーカー側はトキ シコロジーのスペシャリストとして認定トキシコロジストのような方が関わってきてい るのですが、審査する側でも専門の担当官としては認定トキシコロジストのような専門 家を採用していくというお考えはあるのでしょうか。 ○審査管理課長 認定トキシコロジストというのはどこが認定したものか、正確に存じ 上げないのですが、恐らくはどこかの学会ではなかろうかと思います。その認定にこだ わるかどうかは別問題とし、医薬品総合機構においては現在も、獣医師などを中心に、 毒性を専門に修めた方々、あるいは入った後にそういうトレーニングを受けた方々がお られます。当然のことながら、審査体制の整備に当たって、そういう方々も充実してい くことが必要になるのであろう。また、臨床や薬物動態など、そういう方々も必要にな っていくのであろう。そこはバランス良く対応を取っていくことが重要であると思って おりますし、一方においては専門性を身に付けた方、あるいは入っていただいて更に切 磋琢磨していただくというようなことに留意したいと考えております。 ○望月分科会長 具体的に、実際に採用するときの方策はおありなのでしょうか。 ○審査管理課長 平成19年度から3年で236名増員しようとしていますが、平成19年 度の採用はほとんど終わりかけていますので、そういう意味で申し上げると、236名の 採用は非常に難しいであろうと思っております。一方、中でのトレーニングについては、 FDAの審査担当官のトレーニングシステムがあり、それを中心に、どのような形でや っていくのがいいか、今、精査をしています。 ○望月分科会長 審査センター長から、何か御意見はございますか。 ○審査センター長 赤堀先生の御質問にあった認定トキシコロジストの件ですが、既に、 現在認定トキシコロジストを審査センターに採用しております。毒性の担当者を採用す るときには、認定トキシコロジストであれば、重要なファクターとして、選考の評価に 加えています。 ○望月分科会長 ありがとうございます。黒木委員、お願いします。 ○黒木委員 私どもは中毒情報を提供させていただいています。ここに出た資料の最後 に添付文書が付いておりますが、過量投与の項目の記載が各社ばらばらです。症状や処 置などと、分かるものは分けて書いてくださいという指示の中で、症状だけが書いてあ るものもあります。対処療法だけだとしても、「適切な処置を取る」と明記していただ くなど、そのようなことが細かい審査やアドバイスでより良くなっていくと思いますの で、機構側の人数を増員された折には是非そのような視点も置いていただければと思い ます。  細かいことですが、資料5の添付文書に過量投与の項目があり、そこでは症状と処置 をきれいに分けていただいて大変感心しました。ただ、「胃洗浄又は活性炭を投与し」 となっているのですが、「胃洗浄、又は活性炭を投与し」や、「胃洗浄を施行、又は活 性炭を投与し」という書き方の方がいいと思います。そのような細かいところが詰めら れていないのが残念であると思います。また、こちらの資料では中毒学会が提唱してい る標準治療について御存じで書かれていると思うのですが、機構の審査の中でも学会が 出している標準治療など、最新のものを解釈して審査してくださる専門家や職員の方の 養成を希望いたします。  もう一点は、タミフルの件で、できるだけ早く資料を精査してというお話がありまし たが、どのくらいの期間をめどにされているかを教えていただければと思います。 ○審査管理課長 申し訳ないのですが、今日は担当課長は欠席させていただいており、 国会対応、マスコミ対応、あるいはそのような精査に励んでおりますので、何とぞ御勘 弁いただければと思います。 ○望月分科会長 できるだけ早くというのは国民の希望ですので、よろしくお願いしま す。 ○佐藤委員 タミフルのお話ですが、未成年者が急に自殺する、あるいは事故を起こす、 これは言わば精神毒性であり、ほかにも、新規の抗うつ薬でも未成年者の自殺で中止が 問題になりました。そういう精神毒性、行動毒性についての専門家が審議の中に入って いるのでしょうか。その点について伺いたいと思います。 ○審査管理課長 今回どのような形、どのような専門家にお集まり願えるかは確定して いるわけではないので、先生の御指摘も踏まえてやるように担当に伝えたいと思います。 ありがとうございました。 ○望月分科会長 ほかにどなたか御意見はございますか。特にないようですので、これ までに出された意見に基づいて事務局でよろしく対応をお願いいたします。本日の議事 はこれにて終了させていただきます。  次回の薬事分科会は6月に行う予定ですが、具体的な日程は先生方の御都合を伺って から決めさせていただきます。それでは、これで薬事分科会を閉会いたします。どうも ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)