07/03/20 第74回雇用均等分科会議事録 第74回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 日時:2007年3月20日(火) 11:00〜12:00 場所:厚生労働省専用第17会議室(16階) 出席者:  労側委員:稲垣委員、岡本委員、鴨委員、篠原委員、龍井委員  使側委員:吉川委員、前田委員、松井委員、山崎委員、渡邊委員  公益委員:横溝分科会長、今田委員、奥山委員、林委員、樋口委員 議題:   1.雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)   2.その他 配布資料:   1.雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱   2.育児・介護雇用安定等助成金制度の改正について   3.短時間労働者雇用管理改善等助成金制度の見直しについて   4.短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案関係資料 ○横溝分科会長  ただ今から、第74回労働政策審議会雇用均等分科会を開催します。本日は佐藤委員が 欠席されています。  では議事に入ります。本日の議題は、平成19年度の予算に盛り込まれた事項にかかる 案件である「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」についてです。これ については、本日、厚生労働大臣から労働政策審議会長あてに諮問が行われました。こ れを受けて、当分科会において審議を行うことにしたいと思います。  まず、事務局から説明をお願いします。 ○麻田職業家庭両立課長  それでは、説明させていただきます。お手元の資料のクリップを外していただきたい と思います。一番上の「議事次第」をめくっていただくと資料1・資料2・資料3があり ます。この3点で説明をしたいと思います。  まず資料1が、本日、厚生労働大臣から労働政策審議会長にあてて行われた諮問です。 この資料1に別紙として「雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱(案)」が 添付されています。この省令案要綱の全体は大変大部なものですが、当分科会に関係す る部分だけを抜粋してこの別紙としてお配りしています。本日ご審議いただくのは、こ の要綱ですが、縦書きで若干見にくいので、内容を資料2と資料3で説明させていただ きたいと思いますので、併せてご覧いただければと思います。  なお、資料の一番下に「両立支援事業の概要」という色刷りのリーフレットを付けて います。今回の省令改正は、助成金の新設および充実ということですが、現行の助成金 はどういう姿になっているかということで、この青いリーフレットもご参照いただけれ ばと思います。  それでは内容の説明です。最初に育児・介護関係で、資料2をご覧いただきたいと思 います。育児・介護関係については、改正点のポイントが四つあります。いずれも助成 金にかかる内容で、1点目が新しい助成金のコースの新設で、2点目、3点目、4点目が 既存の助成金の拡充という内容になっています。順に内容を説明します。  まず1点目が「職場風土改革コースの創設」です。資料2を1枚めくっていただいて 別紙をご覧いただきたいと思います。この内容については、当分科会においても、概算 要求の際等にご紹介したものです。今までの両立支援のための助成金としては、例えば 短時間勤務の制度を導入する、あるいは原職復帰や代替要員の制度を導入するという制 度導入支援型の助成金が多く設けられてきましたが、最近の両立支援をめぐる状況とし ては、制度はあっても利用しづらいという職場風土の問題が大きな課題になっていて、 職場風土の改革を計画的に実施する中小企業事業主に対する支援措置として新たにこう いうものを設けました。  2に「概要」とありますが、まず支給の対象は、常時雇用する労働者の数が300人以 下の事業主で、子育て世代の労働者が一定数いるというものとして、取り組みの事項と しては、必修的な取組事項として(ア)にある3点、具体的には「企業トップによる方針 の明確化」と「管理職層への研修」それから「従業員への両立支援制度の周知」という ことを要件としています。  また選択的な取組事項として(イ)の5点を設けていて、このうち、全部ではなくて最 低二つは取り組んでいただくことを要件としています。「勤務体制や仕事の進め方の見 直し」あるいは「勤務時間等の雇用管理の改善」、「多様な働き方の推進」、育児制度 等を取った場合の「評価のルール・制度の確立」、「従業員の意識改革」というような ことを取組事項としています。  「支給額」のところをご覧いただきたいと思います。以上のようなことに取り組んで、 具体的に成果が上がった場合に、1年目・2年目の2年間に、それぞれ助成金を支給しま す。この成果については、両立指標という両立がしやすいかどうかの自己チェック指標 で成果を測り、それが改善したという場合に所定の金額を支払うという内容にしていま す。以上が1点目です。  資料2の1ページ目に戻っていただきたいと思います。今回の改正点の2点目は「代 替要員確保コース」の拡充です。これまでは原職復帰または原職相当職への復帰を制度 化し、かつ代替要員を確保した上で、育児休業を取得させて本人が原職または原職相当 職に復帰した場合に、最初に要件を満たした育児休業取得者が生じた場合および2人目 以降の制度利用者が生じるたびに一定の金額を支給していました。この支給対象期間を、 従来3年間であったところを5年間に延長して助成の内容を拡充するとともに、利用の しやすさや実態を踏まえて、1年度当たり20人までとしていた上限を1年度当たり10 人までと改正するものです。  それから3点目ですが、「子育て期の柔軟な働き方支援コースの拡充」です。これは、 小学校に上がるまでの子どもを養育する労働者について、短時間勤務制度等を導入した 場合に、従来は、1人目の利用者が出たときに一時金としてまとまった金額を助成して いましたが、今回この制度定着をさらに支援するという趣旨から、2人目以降の労働者 が生じた場合に、労働者1人当たり中小企業の場合には15万円、大企業事業主には10 万円の支給により、助成の拡充を図るものです。2人目以降についても助成があるとい うことですが、支給の上限を5年間かつ1企業当たり延べ10人までとしています。  4点目が「事業所内の託児施設の設置・運営コースの拡充」です。こちらは「子ども・ 子育て応援プラン」の対象期間である平成21年度までの暫定の措置として、中小企業へ の助成率を現在の2分の1から3分の2へと引き上げる内容を盛り込んでいます。育児・ 介護の関係は以上です。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  続きまして、パート労働関係の助成金について説明します。資料3をご覧いただきた いと思います。パート労働関係の助成金については、これまで短時間労働者の均衡処遇 を進める事業主に対する支援を行うために雇用保険3事業のうちの一つである雇用福祉 事業、および労災保険に基づく事業である労働福祉事業として実施してきた事業ですけ れども、今般、雇用保険法等の一部改正が行われるということで、その内容は雇用福祉 事業が廃止されるということと、併せて労働福祉事業の内容についても、これからは労 災防止に資する内容に特化することといったような見直しを行うことにしています。ま た、この審議会でもご審議いただいたパート労働法についても現在国会に提出中で、そ の改正も予定されていますので、これらを契機として見直しを行うことにしています。  具体的な見直しですけれども、まず雇用保険法等の一部改正に伴い、雇用福祉事業と して実施している短時間労働者雇用管理改善等助成金については、この雇用保険法等の 一部改正の施行期日である4月1日の前日をもって廃止するということです。それで、 現在ご審議いただいている改正パート労働法案が成立した場合、その一部施行を平成19 年の7月1日に予定していますが、その日に合わせてパート労働法に基づく事業主の均 衡処遇の推進や転換の推進を支援するためのものとして、雇用安定事業として新たな助 成金を支給するということです。従って、3月31日に一度、助成金は経過措置を除いて 終了し、7月1日から新たに助成金を支給する形になるということです。労働福祉事業 の見直しについては、先ほど申し上げた趣旨によって必要な省令改正を行い雇用保険法 等の一部改正の施行に合わせて実施するということを予定しています。  この新たな助成金の具体的な中身ですけれども、下の表をご覧いただきたいと思いま す。まず、中小企業事業主団体向けの助成金というものを新たに創設することにしてい ます。具体的には、正社員とパート労働者との均衡処遇を推進するための制度導入につ いて、傘下企業に対する中小企業診断士と書いていますが、社会保険労務士などの専門 家による個別指導等の支援事業を2年にわたって実施した場合に、その各年度の目標達 成度合い等に応じ、年1,000万円を上限に支給を行うということですから、2年間で最 大2,000万円ということになります。また、これについては現在PDCAサイクルというこ とで、成果目標ということも設けられていますので、成果等についてはしっかりと見た 上での給付にしていきたいと考えています。  事業主向けですけれども、メニューとしては、この下の6点があります。今まで雇用 福祉事業として実施していたもの、あるいは労働福祉事業として実施していた中で、中 身を精査して実施するというものです。  まず1点目が、パート労働者の仕事や能力に応じた処遇について、正社員と共通の評 価・資格制度等を設けた上で、実際に格付けされたパート労働者が1名以上出た場合に 50万円の支給ということです。  2点目については、正社員との共通ではなくてもよいが、パート労働者の仕事や能力 に応じた評価・資格制度を設けた上で、実際に格付けされたパート労働者が1名以上出 た場合に30万円ということで、1と2については重複しますので、どちらか一方の申請 ということにしたいと考えています。  3点目については、今回パート労働法の改正(案)の中においても転換推進策を幾つか 設けましたが、そのうちの、特に正社員の転換制度というようなことを設けていただい た上で、実際に転換者が1名以上出た場合に30万円ということを予定しています。  次に、短時間正社員制度を設けた上で、実際に短時間正社員が1名以上出た場合に30 万円の助成。それから、正社員との均衡を考慮した能力開発制度を設けて、実際に能力 開発を行った場合に30万円の支給ということです。これは雇用福祉事業で行っていた場 合においては、能力開発を30人以上行った場合に助成としていましたが、今回の見直し においては、制度導入ということに重点を置いた助成金にしたいと考えています。  最後に、パート労働者の健康診断制度を設けた上で、その利用者が1名以上出た場合 に30万円としていますが、この健康診断においては、もちろん法定の分をやっていただ くことが前提ですけれども、法定外のものをやっていただいた場合について30万円とい うことです。  今回、労働福祉事業の見直しに伴い、従来は通勤に際する便宜の供与というものにつ いての助成もあったのですが、それについては労災防止に直接資するということは言い 難いということで、その分については見直しとして、新しい助成金のメニューには盛り 込んでいません。以上です。 ○横溝分科会長  事務局の説明を踏まえて、ご意見・ご質問等がありましたら、お願いします。はい、 どうぞ。 ○山崎委員  「職場風土改革コース」についてですけれども、確かに20代・30代の方は育児の対 象者ということはわかるのですけれども、なぜ50人以上いなければならないのかという こと。  もう一つは、例えば小売業の定義は50人以下なのです。そうすると、50人以上とい うことになると、小売業の職場は、全くこれの対象にならないということも起きますの で、その辺は少しどうかということと、支給額の方で、1年目に成果が上がった場合、2 年目に「顕著な成果」とありますけれども、この成果という基準と、顕著な成果はどう 違うのか。その辺をご説明いただきたい。 ○横溝分科会長  どうぞ。 ○麻田職業家庭両立課長  まず1点目が、なぜ50人かということです。これは、助成金の仕組みとして、1企業 幾らという形の制度になっていて、最も政策効果の高いグループを対象とするという考 え方から、両立支援の利用者である子育て世代が一定数いるということを要件として設 けたものです。どこかで線を引くと300人以下ということで、まずターゲットになるの は300人に近いところとなり、一応50人で切らせていただいたものです。  それから、小売業・中小企業だと50人もいないではないかということでしたが、ここ は一般的に今の中小企業庁が使っている定義、それから雇用安定事業で一般的に使われ ている中小企業の定義ではなく、常時雇用する労働者が300人以下の企業であれば、業 種に関係なく対象にしていますので、小売業でも例えば280人の企業でもご利用いただ けるということです。  それから、1年目、2年目ですが、これは助成金の細目ですので、現在検討中ですけれ ども、成果が上がるというのは、両立指標で測って前の年よりも改善が見られるという イメージですし、「顕著な成果が上がる」というのは、両立指標で達成水準を見たとき に、例えて言えば、ファミリーフレンドリー企業表彰の労働局長賞に手が届くような水 準というイメージで現在検討しているところです。 ○横溝分科会長  よろしいですか。 ○山崎委員  はい。 ○横溝分科会長  では、篠原委員どうぞ。 ○篠原委員  私が聞きたいのは、資料2の4番の事業所内託児所のところです。1点のお願いと1 点の質問をさせていただきたいと思います。まず、今回中小企業を対象にということで、 この助成金が上がるということは非常にありがたいと思います。ただ、今託児所を設け ている中小ではない企業も一生懸命頑張っていますので、予算が限られていることは 重々承知ですけれども、中小企業だけを対象にするのではなくて、事業所内で託児所を 設けている企業の支援もぜひお願いしたいというのが1点目です。  2点目ですが、これは不確定というか自分で調べたわけではないので、もしわかれば 教えていただきたい点なのですが、事業所でやっている以外の託児所と、事業所内託児 所を設けているところの差ということで、事業所以外の託児所には消費税がかからなく て、事業所内託児所には消費税がかかるということを聞いたことがあるのです。本当に そうなのかどうかというのが1点と、もしそうであれば、なぜそうなっているのかを聞 きたいです。以上です。 ○麻田職業家庭両立課長  1点目については、ご意見ということで、しっかり受け止めさせていただきたいと考 えています。実は今、事業所内託児所を作りたい、積極的に取り組みたいという事業主 が大変増えていて、私どもとしてはうれしい悲鳴を上げている状況です。できるだけ多 くの事業主に立ち上げ支援をしていきたいということと、今ある支援をどのように拡充 できるかということとの間には、なかなか難しい問題があることもご理解いただければ と思います。  それから2点目のご質問については、今、回答できる用意がありませんので、調べて 後日回答させていただきたいと思います。 ○横溝分科会長  では、鴨委員、どうぞ。 ○鴨委員  今の「事業所内託児施設設置・運営コース」のところですけれども、今回の助成率を 2分の1から3分の2に引き上げるということには賛成ですけれども、いわゆる事業所 内託児所で働いている労働者の方たちから今、いろいろな相談があります。この事業所 内託児所が、いわゆる民間委託として運営されているところがかなり出てきて、そこで 働いている労働者の例えば労働条件がかなり劣悪であるということで、それこそ保育士 たちが1年ごとに替わってしまうというような状況が相談として入ってきています。そ の辺の実態を、どのように把握されてこのような助成率の引き上げになっているのかを お聞きしたいのです。 ○麻田職業家庭両立課長  うまくお答えできるかどうかわかりませんが、現在、事業所内の託児所の運営に対し ては、これをどこかの民間企業に委託して運営していても、あるいは従業員のためとい うことで事業主が直接、保育士を雇用されている直接運営方式でも、どちらでも運営費 の助成の対象にしています。この運営費の補助の要件として、保育の質の確保という観 点から、例えば配置だったり子どものためにこれだけの面積と施設が確保されていたり というような一定の物的あるいは人員配置的な要件は支給の要件としていますけれども、 実際にそこで働く方の労働条件というところまでは要件を設けていませんので、そこま での把握は難しいと考えています。 ○鴨委員  そこについては、これ以降、実態の把握をしていくという方向性はいかがですか。 ○麻田職業家庭両立課長  そこで働いている方の労働条件の問題については、雇っている方の責任ですから。民 間に委託をしているとすれば、その民間委託先で雇用している事業主の方の責任におい て、あるいは直接雇用しているとすれば事業主の責任において適切な雇用管理をしてい ただくべき問題で、助成金の支給要件ということには直接関係してこないのではないか と考えています。 ○横溝分科会長  では岡本委員、どうぞ。 ○岡本委員  冒頭の山崎委員の質問と関係するのですけれども、「職場風土改革コース」のところ で、20代30代というように年齢的な縛りをかけていることに若干、違和感を覚えまし た。それで、先ほどのご説明の中で、予算の限りもありますから、ある程度縛りをかけ るということは理解できなくはないのですけれども、これまでの両立支援策等々を見て も、こうした年齢的な形で歯止めをかけるというのは、私が調べた限りは見当たらなか ったのです。晩婚化というのでしょうか、そういった状況の中で、果たしてこういう形 でやっていくことがどうなのかなという疑問を持ちましたし、制度を取りやすくしてい くということについては、そちらに着目していくという制度そのものはとてもいいこと だと思いますし、これからますます重要になってくるものだと思いますので、今後の課 題としては、そうしたところについても、きちんと事業主が取りやすくなるようなもの にしていっていただければという、これは意見として申し上げます。 ○横溝分科会長  他にいかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○龍井委員  まとめて質問させていただきます。1点目はこれも先ほどのご指摘と関連するのです が、その職場風土改革コースの成果の基準として両立指標を用いられると。これも適切 だとは思いますが、助成金支給に当たって両立指標を用いている他の例があったら教え ていただきたい。つまりこれはメッセージとしてはわかりますが、そういうふうに助成 金の支給要件として機能するかどうかというのが少し私は確信が持てないので教えてい ただきたいのが1点目。  それから後は、2項目、3項目の代替要員確保コースと子育て期の柔軟な働き方支援コ ースはこういう方向について望ましいのかなというのが即座に判断できないのが今の現 行の運用の中で、実績あるいはニーズがどういう状況だから、こういうふうにするのか ということが、もしバックデータがあれば、教えていただきたいのが二つ目。  それから3点目は短時間の方の「目標達成度に応じ」という基準というのか、考え方 について今の段階でこういう指標だということが確定していれば教えていただきたいと 思います。以上です。 ○麻田職業家庭両立課長  最初に職場風土改革コースですが、助成金の要件として両立指標を使ったものは今ま ではございません。これはどちらかというと、ふんわりとしたことに取り組むというこ とで、成果だけはきちんと出してもらわないといけないということで、成果を測る指標 として両立指標を活用したという初めての例かと思います。  それから2点目の代替要員確保コース、それから子育て期の柔軟な働き方支援コース につきまして、今どうなっているから、こういう拡充をするのかということですが、ま ず代替要員確保コースですけれども、これは1年当たりの利用人数の実態を見ますと、 今の利用限度の20人というところまで行っている例は非常に少ない。10人にしてもそ れほど影響が少ない。むしろ小さな事業所では、長い間支給期間があって、1年当たり 限度人数は少なくてもいい、その方が利用しやすいというような実態にあります。また 昨年度、政府与党で取りまとめられた「新しい少子化対策について」という合意におき ましても、代替要員の支援等で中小企業に一層の支援を行うということが盛り込まれて おりまして、こういうことも踏まえた上で、助成の対象年数を長くする、拡大するとい うような拡充をしたものでございます。  それから子育て期の柔軟な働き方支援コースですけれども、これは先ほども申しまし たように、今は1人目の利用者が出たときに1回限りの助成とこういうことですが、1 回限りの助成よりも2人目以降も助成があるということで、制度定着がより一層支援さ れるということから今回このような拡充をしたというものでございます。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  それからパートの中小企業事業主団体向け助成金の「目標達成度合い等に応じ」とい う部分についてですけれども、これは7月1日からの助成金ですので、まだ現在は検討 中ではありますが、今、事務局として考えているものにつきまして紹介だけさせていた だきますと、事業主の団体の方に計画を作っていただいて、計画の達成度合いを見よう と考えております。具体的には均衡処遇の推進でございますので、均衡処遇も見込んだ 制度を傘下の企業に作っていただいて、それを2年目の事業計画が達成した後に一定割 合以上達成しているということを指標として考えているということです。 ○横溝分科会長  松井委員どうぞ。 ○松井委員  山崎委員が冒頭指摘した、職場風土改革コースについての意見を申し上げます。先ほ ど龍井委員の方から、成果に応じた、両立指標に応じた形で、こういった助成金を組み 立てるのは初めてだというお話がございました。それであるならば、入り口の方で山崎 委員が指摘したような形の20代30代という要件をあえて書く必要性を、政策効果とい うことについては理解しないわけではないのですけれども、本当に入れておく必要があ るのかないのか。たまたま1歳違いで40歳になられた方が対象とするならば、両立指標 のものに該当するケースもあるかもしれないなど。そういうことを考えると、私どもは 助成金を何でも何をやったかわからないという形で助成金をやるのではなくて、きちん と成果に基づいた形で支給するというのであるのならば、それは年齢にかかわらず行う という方向性はやはり厚生労働省としては持つべきではないかと思いますので、本当は もう20代30代という要件は、私はやめてほしい、そういう形で、ぜひ対応してもらえ ないものかということ申し上げておきたいと思います。なぜそのようなことを申し上げ るのかというと、先ほどは限界的事例というのを申し上げましたけれども、反対に職場 風土の改善が難しいのは、仮に20代30代が非常に少ない企業でやることというのは反 対に非常に難しいのです。そういう企業においても取り組んでもらう仕組みの助成金を やはり今後、日本としてやっていくべき方向性ではないかと思いますので、もしそうい うことが可能であるならば、今後その取り扱いについての柔軟な考え方をお願いしたい と思います。その際、確かに成果目標を入れるときに人数が少ない、50人以上いるとい うことでの前提でなく、成果目標は決めていただく。あるいは成果目標の設定の仕方に、 本当に20代30代を仮に入れておくとするならば20代30代の内の比率の何%など。本 当に入れるのか入れないのか。反対にもう一つこの20代30代、50人以上雇用するとい うことを要件として入れることは、そこにおけるのは賃金台帳でも出してきて何人いる かといちいち書かせて、その確認をする作業というのは非常に手間のかかる作業ではな いかと思います。行政の効率的運営からすると、本当にそこまでやる必要性があるのか どうかというのは強く疑問に感じるところであります。これは意見です。  それからもう1点。短時間労働者の雇用管理改善の助成金について、先ほど事業主向 けの一つ目、二つ目については別のものであるから、どちらか一方というご説明があり ました。確かにそのようにも感じるわけではありますけれども、今回のパート労働法の 改正法(案)では、共通の評価・資格制度を設けるというところについては、人事労務管 理の運用や活用が同じで職務が同じというところに対して、こういうことを設けるとい うことになっていると思います。この下の方は、職務が同じでもやってほしい、職務が 同じでなくてもやってほしいという努力義務でかかっていると思いますが、今回の法制 上において異なる取り扱いになっている対象に対して、片方があるから片方はなしとい う、その理由はどうしてそのように組み立てられたのか、教えていただきたいと思いま す。2点目は質問です。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  ただ今のパート労働者の助成金につきましてお答えいたします。パート労働者の1点 目、2点目の助成金につきましては、今回のパート労働法の改正案との関係ですが、こ の1点目のところをご覧いただきますと「パート労働者の仕事や能力に応じた処遇につ いて、正社員と共通の評価・資格制度等を設けた上で」ということで、これは、松井委 員は人材活用の仕組み等がそろっている場合ということで認識されたかと思いますが、 これをむしろ全パート労働者を対象としてやってくださっても構わないというような助 成金であると私どもは考えています。  そして2点目のところにつきましては、そうは言っても「正社員と共通の」という部 分がなかなか難しいというところもあろうかと思いますので、そういうところについて はパート労働者の中でまずは格付けをしっかりとやるようにということをお願いしたい という趣旨の助成金ですので、必ずしもパート労働法の区分と、ここの部分が一致して いるというわけではありません。 ○松井委員  今のご説明を聞いてわかったのですけれども、一般的にはそれは非常にわかりにくい ことではないかということと、法律である程度求めることと違う仕組みまで入れるとい うのは、実体上、非常に難しいのではないかと思います。それは意見として申し上げて おきます。 ○横溝分科会長  はい、どうぞ。 ○麻田職業家庭両立課長  たくさんの委員の方から、この職場風土改革コースの対象の企業について、子育て世 代が一定数いるということについて、少し厳しいのではないか、もっと広くていいので はないかというご意見をちょうだいしました。これから始まる助成金ですので、今後の 利用の実態もよく把握した上で、どういう姿がよいか考えてまいりたいと思います。ま ずはやはり政策効果が高いところからスタートさせていただきたいと思います。 ○稲垣委員  少し確認ですけれども、こちらの短期間労働者の雇用管理の方のところなのですが、 先ほどの説明を少しお伺いしたところでは、この雇用福祉事業でしている助成金につい ては4月1日の前日というのは、今年のという意味ですか。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  はい、3月31日です。 ○稲垣委員  新たなパート労働法が成立して一部施行を受けては7月1日ということで、この間は 経過措置として何か取られるということでしょうか。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  現在、助成金ということで支給しているものがありますので、それについては例えば 本年度中に制度を導入していただきまして、それで実際に申請するのが4月以降という 方がおられると思いますので、そういった方につきましては4月以降も受付を行って支 給を行うということで経過措置を設けているところです。 ○稲垣委員  今、例えば労働組合で会社と交渉して、4月1日か5月からやろうという形になった ときにも受け付けていただけるということですか。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  この新しい助成金のところにつきましては、7月1日からの施行を予定しております ので、7月1日以降に要件が満たされるような形でお願いしたいと考えております。 ○稲垣委員  経過措置は3月中までに制度を導入したというところについては受け付けますという ことで、その後の3カ月間は駄目だということですね。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  正確に申し上げますと、このペーパーに書いていない今の助成金についても、制度を 入れてくださいということを書いてあります。それで実際に適用者が出た場合というこ とで、制度導入は3月31日までと。適用者が出るのは4月1日以降でも構わないという ことですので、制度導入については3月31日前にお願いしたいということです。適用者 は4月1日以降でも構いませんので、もちろん期間がありますけれども、そういう方が 出ましたらいつでも結構ですので、必要な期間の間に申請していただきたいということ です。 ○横溝分科会長  それでいいですか。どうぞ樋口委員。 ○樋口委員  予算について、お尋ねしたいのですが、まず資料2の方のこれも今度は雇用安定事業 の中から財源はすると理解していいのですか。それぞれの項目、予算額はどんなことを 考えていらっしゃるのか。 ○麻田職業家庭両立課長  まず1点目の職場風土改革コースですが、これは1億5,000万円です。それから代替 要員確保コースですが、これも約1億5,000円。それから子育て期の柔軟な働き方支援 コースが約1億1,000万円です。事業所内託児施設設置・運営コースが22億5,000万円 です。以上です。 ○横溝文科会長  いいですか。 ○樋口委員  短時間の方は。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  短時間の助成金の予算につきましては約5億円超です。 ○樋口委員  助成率で出した方がいいのか、助成額で出した方がいいのかとそれぞれ分けています よね。例えば4番目のプロジェクト。中小企業の助成率で3分の2。他のところについ ては助成額になっています。何となくどう違ってそうなったのかというのと、率でやる とある意味で規模の大きいところの方が有利になってくる。額であれば逆に小さいとこ ろの方が有利だろうと考えられますが、何か考慮したのですか。 ○麻田職業家庭両立課長  これは助成金の組み立て方の問題かと思いますけれども、ある程度定型的な取り組み をいただく場合には、定額で払うというのが効率的でもあるかと思いますが、事業所内 託児施設のようにそれぞれの事業所にあるものによって、例えば定員が違う、あるいは 提供する保育サービスの内容が違うというようなことになりますと、定額で1カ所を1 年運営すれば幾らと払うのは少し実態そぐわないということになりますので、例えば運 営費でしたら、かかった人件費の2分の1を助成するなどという形で、それぞれの運営 の実態に応じて、必要な費用の一定部分をカバーするという形で、お支払いをしており ます。 ○樋口委員  例えば運営で委託したときに、この率であれば委託費が多い方が助成金も多くなる可 能性があるわけですよね。 ○麻田職業家庭両立課長  すみません。この青いパンフレットを開いていただきまして、この真ん中のところの 上の方が事業所内託児施設設置・運営コースです。中身は随分細かく分かれておりまし て、例えば通常型だと幾らが上限というふうに、保育サービスや定員の数に応じた上限 額と助成率と、この二つによって支払える金額が決まってくるということになっており ます。  それから委託タイプの場合ですけれども、例えば保育サービスを提供している民間企 業に事業所内託児施設の運営を委託する場合がありますけれども、その場合は委託費の 中の人件費の部分を特定しまして、その部分の2分の1をお支払いする形にしておりま す。 ○横溝分科会長  他にいかがでしょうか。他にございませんか。他にご発言がなければ、この問題につ きましては当分科会といたしまして、諮問のございました「雇用保険法施行規則等の一 部を改正する省令案要綱」については概ね妥当と認めるということで、その旨を私から 労働政策審議会長に報告することしたいと思います。  それでは事務局から、案文を用意してありますので配布をお願いいたします。届きま したか。この案文をもって私から労働政策審議会長あてに報告いたします。そういうこ とで承認ということにさせていただきます。  次に「その他」ということですが、先日、国会に提出されました、パート労働法改正(案) について事務局より報告がありますのでお願いいたします。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  それでは私の方からご説明申し上げます。資料4をご覧いただきたいと思います。た だ今、分科会長からご説明がありましたとおり、当分科会におきましてご審議いただき ましたパート労働法改正(案)ですけれども、1月22日に答申をいただきました後、厚生 労働省の方で条文化作業を進めまして内閣法制局の審査や与党の手続きを経まして、2 月13日に閣議決定され、国会に提出されたところでございます。この資料4にこの法律 案の関係資料ということを配布させておりますけれども、その中では、通常労働者への 転換の推進の部分について当分科会でお約束していたものや、内閣法制局におけます条 文審査の中で、答申いただいた要綱から技術的な修正がございますので、この資料に基 づいて私の方からその修正点につきまして説明させていただきたいと思っております。 もちろん条文審査の過程でいろいろと細かい修正はたくさんありますけれども、そうい った部分は省略しまして、特に解説を加えたい部分に限って説明を申し上げたいと思い ます。  まず資料を一つめくっていただきますと、法律案要綱というのが二のところで出てき ますが、その法律案要綱の2ページをご覧いただきたいと思います。この中で三の(ニ) というところに「通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止」 というところがあります。ここのイのところで、その中身が書いてございますけれども、 その要件といたしましては当分科会で、答申いただきましたとおり、職務内容が同一で あること、期間の定めのない労働契約を締結していること、建議の段階は「職業生活を 通じた」と表現しておりましたけれども、そういった長期間の人材活用の仕組み・運用 等がそろっていることと、この三つの要件が書いてありまして、それがこういう形で表 現されたということです。  それで特にここでご説明申し上げたいのが、ちょうど4行目のところでございますけ れども,「慣行その他の事情からみて」の下ですが、「当該事業主との雇用関係が終了す るまでの全期間において」ということになっております。これは答申いただいた文言に おきましては「当該事業主との雇用関係が終了するまでの間において」というところが、 「全期間」となっていますので、一見、要件が厳しくなったように見えますので、この 点は解説を加えさせていただこうと思いますが、この点につきましては12月26日付け の建議におきまして「職業生活を通じた人材活用の仕組み、運用等」と書いてあったと ころで、それでは委員の方からも入社時から人材活用の仕組み・運用等がそろっている ような誤解を受けやすいというご指摘もあったところでございます。従いまして諮問要 綱では、職務内容が通常の労働者と同一になってから退職までの期間において、人材活 用の仕組み・運用等が同じであるということが明確になるような表現にさせていただき ました。ただこの文章ですが、条文審査を受ける過程におきまして、例えば職務同一に なってから退職までの間だけにしますと、一時期、人材活用の仕組み・運用等が異なる 期間があった場合におきましても、この要件に該当するように読めるという不安がござ いましたので、そういった状態を排除するために「全期間」という表現になったもので す。ただこれは職務同一になってから退職までの期間、人材活用の仕組み・運用等がそ ろっているというような趣旨については変更しておりませんということと、より正確を 期すための修正だということで、ご理解いただければと思っております。  それから、その関連で4ページをご覧いただきたいと思いますけれども、この3行目 のロのところでございますが、2行目の下から申し上げますと「当該事業主に雇用され る期間のうちの少なくとも一定の期間において」、人材活用の仕組み・運用等がそろっ ているということですが、これは答申いただきました要綱においては、「期間のうち一 定の期間において」というような表現になっていたということで「少なくとも」という 文言が付け加えられております。これも条文審査の過程におきまして「一定の期間」と しますと全期間がここは含まれないという不安があるというご指摘がございまして、そ の全期間ということが読めるようにするために「少なくとも」という文言を付け加えた ということでございまして、この点についても趣旨については変更するものではござい ません。  それから5ページをご覧いただければと思いますが、(六)で「通常の労働者への転換 の推進」というところがございます。それでここの点につきましては当分科会におきま して、イの転換推進措置の中の(イ)〜(ニ)までという形で、(ニ)のところに教育訓練と いう関係の文言が書いてあったわけですが、この部分につきましては、この法律案を作 成する際には載せないということで当分科会での合意ができておりましたので、実際に 条文化におきましては、(ニ)の部分について落とした形での条文化作業を行いまして、 この点についても報告を申し上げます。法技術的な修正や当分科会の合意事項を踏まえ た修正を行ったということですので、この場をお借りいたしまして、ご報告申し上げた ということでございます。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。  それではただ今の事務局からの説明につきまして、ご質問がありましたらお受けいた します。 ○稲垣委員  よろしいでしょうか。今のご説明でこちらの審議会で出された法案要綱と国会に出さ れたものとは、趣旨的には変わらないということで理解してよろしいでしょうか。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  はい、その通りでございます。 ○稲垣委員  それで一つ質問ですけれども、3ページのところでイの真ん中ですけれども、「短時 間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用 その他の待遇について」と、ここも変わっていると思うのです。ここの部分のところも 同じように、法案要綱で最初にこちらの審議会で出した、「その待遇について」という ところと同じだと考えてよろしいですか。 ○富田短時間・在宅労働課調査官  その通りでございます。なぜ、ここでこういう修正が入ったかということについて、 先ほど少し省略してしまいましたので、少し説明を加えさせていただきますと、答申い ただきました要綱については待遇について差別的取り扱いをしてはならないとなってい たわけですけれども、この「待遇」という文言につきましては、非常に多岐の文言でご ざいまして、例えば雇用関係を外れて、それこそいろいろな場面での待遇というものが 読み込める恐れがあるということで、その辺のことを排除するために労働条件に関連し たようなものを例示で出しまして、それは具体的にいえば「賃金の決定、教育訓練の実 施、福利厚生施設の利用その他の」と例示を出したということですので、趣旨につきま してはこの3点に限定されるものではなくて、広く雇用関係におけます待遇が含まれる ということで、ご理解いただければと思っております。 ○横溝分科会長  他にいかがですか。 ○龍井委員  要望をよろしいですか。このタイミングでこういう機会があったので、今ご説明がか なったのですが、当然今までの法案の審議の中で、審議会で法案要綱を確立して、その 後変わるというケースが多々あったし、あり得るわけです。どういうお願いの仕方をす るか悩ましいところなのですが、審議会の役割としては答申で終わっているのですが、 かなりポイントになるところについて改定があった場合に、できれば何らかの説明の機 会を作っていただくか、あるいは分科会の場でそうした説明責任を果たしていただきた い。その辺は当分科会だけではないとは思いますが、ぜひそういう工夫を検討していた だければという要望です。 ○横溝分科会長  他には、いかがでしょうか。他にないようでしたら、当分科会としては、ただ今のご 報告を聞いたということで収めたいと思います。これで一応、審議は終わりということ ですね。  署名の前に、私は本日で任務終了ということで、一言ごあいさつをさせていただきま す。平成15年の4月1日に労働政策審議会の委員になり、ちょうど4年間務めさせてい ただきました。特に、この雇用均等分科会の委員ということで、平成17年から2年間、 この雇用均等分科会の会長ということで審議会の座長を務めさせていただいて本当にあ りがとうございました。  この委員会は労・使・公益という三者構成でございまして、いろいろな立場から、さ まざまなご発言をいただいて、私だけかもしれませんけれども、公益委員というのは、 割合に現場のことをあまり知らない面もあり、労使のそれぞれの立場の方、現場からの いろいろなご説明やご意見をいただいて本当に勉強になりました。それぞれの立場の違 いから合意点に達する難しさというものも感じないわけではありませんでしたけれども、 委員の各位が、それぞれ働く場で居場所があって、生き生きと能力に応じて公正に調和 の取れた形で働くということが労働者にとっても経営者にとっても、より望ましい環境 であるということは共通の認識の下に、いろいろな課題に取り組んでいただきました。 そういう意味では、一時どうかなと思った場面もありましたけれども、合意に達し得る ということで、そもそもが楽観的な人間ですから。  そういうことで、この4年の間に育児介護休業法の改正、これは若菜委員が分科会長 のときでした。それから均等法の改正、パート労働法の改正という三つの非常に重要な 改正の場面で委員を務めさせていただきまして本当にありがたいことだったと思います。 本当に至らない委員で、皆さまにもいろいろご教示いただいたり、皆さまも心の中では 「何だ」と思ったりしたこともあったと思いますけれど、本当に勉強させていただきま した。  少し横路にそれる話をさせていただきますけれども、今、離婚事件が大変増えていま す。私と林委員は弁護士なのですが、弁護士は好むと好まざるにかかわらず割合に離婚 事件を扱うようになってきました。「近ごろ」といっても、もうずいぶん経ちますが、 つくづく思うのは、労働事件の紛争と離婚事件の紛争はとても似ていると思うのです。 皆さんは「えーっ」とおっしゃるのですが、いずれも運命共同体なのです。夫婦も雇用 の場面も、非常に継続的な関係であること。運命共同体的な場面と継続的であることの 両方とも、生きるためにとても必要な場面であるということで、とても似ています。家 族関係あるいは雇用関係の両方がほどほどにいっていれば、人間はほどほどに幸せなの だなと思います。  「ハケンの品格」というテレビドラマを知っていますか。興味を持って時々見るので すが、いろいろ違和感や矛盾もなきにしもあらずですけれども、派遣の女性が非常に凛々 しい場面を見たりして。その彼女が、少し情けなく気弱な人に対して「働くことは生き ること」と何度も言うのです。そこだけは、なるほどと。働くことは生きること、働く ことはいいこと。皆さんにとって当たり前なことなのですけれども、やはり雇用の場が いかに安定して生き生きと、働く人にとって居場所があって充足感があってということ が、本当に人生にとって大事なことだということを常々痛感しています。  また皆さまからいろいろなご意見をいただいたりして一皮むけたような4年間でした。 委員ではなくなりますけれども、これからも、ここで知り合いになった縁を大事にさせ ていただいて、またおつき合いいただきたいと思います。本当にありがとうございまし た。事務局の方にもお世話になりました。本当にありがとうございました。  本日の署名委員は、稲垣委員と前田委員にお願いいたします。それでは本日はこれで 終了とさせていただきます。 照会先:雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課企画・法規係(内線7856) 16