07/03/20 第5回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会議事録 第5回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会 日時 平成19年3月20日(火) 14:30〜 場所 中央合同庁舎5号館16階専用第17会議室 ○永野化学物質評価室長補佐 ただいまから、第5回「化学物質による労働者の健康障 害防止に係るリスク評価検討会」を開催いたします。本日は大変お忙しい中ご参集いた だきまして、誠にありがとうございます。本日は、内山委員、江馬委員、大前委員より ご欠席の連絡が入っております。また、本日もオブザーバーとして、厚生労働省の委託 によりリスク評価事業を実施している、中央労働災害防止協会化学物質管理支援センタ ーからもご出席をいただいておりますことを申し上げます。それでは、以後の進行は座 長の櫻井先生にお願いいたします。 ○櫻井座長 議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。まず、 議事に先立ちまして、資料の確認をいたします。事務局からお願いします。 ○永野化学物質評価室長補佐 本日の資料は3種類です。資料5−1が第4回検討会の 議事概要(案)です。資料5−2が検討会の報告書の案になっております。1枚ものの 「参考」という資料が平成19年度のリスク評価予定物質一覧です。 ○櫻井座長 よろしいでしょうか。まず、前回議事概要の確認を行います。事務局から 説明をお願いします。 ○永野化学物質評価室長補佐 議事概要(案)は資料5−1になりますが、今回もお目 を通していただいて、お気付きの点がありましたら、後ほど事務局に連絡をいただけれ ばと思います。 ○櫻井座長 そのようによろしくお願いいたします。今日は報告書(案)の検討を行う ことになっております。まず、事務局から説明をお願いいたします。 ○永野化学物質評価室長補佐 資料5−2です。基本的な評価の結果とその方向性につ いては、前回の会議でご了解をいただいているところですが、それを踏まえて報告書の 形にまとめております。主要な部分は読ませていただいて、その他の部分については要 点を説明するという形にさせていただきます。1頁の「はじめに」の(1)の経緯につ いて読ませていただきます。  (1)経緯。職場における化学物質は、その種類が多様で、かつ、化学物質を取り扱 う作業も多岐にわたる中で、化学物質による職業性疾病の発生は依然として後を絶たな い状況にあること等を踏まえ、平成16年5月に「職場における労働者の健康確保のた めの化学物質管理のあり方検討会報告書」が取りまとめられた。同報告書は、化学物質 の管理は、事業者が自ら当該物質の有害性等と労働者の当該物質へのばく露レベルに応 じて生ずる健康障害の可能性及び程度について評価(リスク評価)を行い、必要な措置 を講ずる自律的な管理が基本であるとしている。  同時に、中小企業等では自律的な化学物質管理が十分でないこと等を考慮して、国自 らも必要に応じてリスク評価を行い、健康障害発生のリスクが特に高い作業等について は、製造等の禁止、特別規則による規制を行うなどの国によるリスク管理が必要であり、 また、国によるリスク評価を可能とするためには、事業場における労働者の作業内容、 作業従事労働者数、作業環境等のばく露関係情報を収集し、提供する仕組みが必要であ るとしている。また、がん等の疾病は、化学物質へのばく露の後、長期間を経過して発 症する場合があること等を考慮すると、職業性疾病が発生していない段階においても、 化学物質に対する予防的取り組みを踏まえた管理が必要であるとしている。  さらに、平成16年12月27日の労働政策審議会建議「今後の労働安全衛生対策につ いて」において、国は、有害化学物質について、化学物質に係る労働者の作業内容等の ばく露関係情報等に基づきリスク評価を行い、健康障害発生のリスクが特に高い作業等 については、リスクの程度等に応じて、特別規則による規制を行う等のリスク管理を講 じることが必要であるとされている。  これらを受けて、平成17年5月に報告された「労働者の健康障害防止に係るリスク 評価検討会報告書」において、(1)国が行う化学物質による労働者の健康障害防止に係る リスク評価の考え方及び方法、(2)リスク評価の結果に基づき国が講ずべき健康障害防止 措置及び(3)ばく露関係の届出について基本的考え方が取りまとめられた。  そして、平成18年1月に公布された改正労働安全衛生規則において、有害物ばく露 作業報告が創設され、同年2月に公布された告示により、平成18年度のリスク評価対 象物質として、(1)エピクロロヒドリン、(2)塩化ベンジル、(3)1,3−ブタジエン、(4)ホル ムアルデヒド及び(5)硫酸ジエチルの5物質が指定された。  これらの物質の労働者の健康に及ぼすリスクを専門的に検討・評価するため、平成18 年9月に「化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会」が設置され た。本報告書は、本検討会における平成18年度評価対象5物質のリスク評価の結果を 取りまとめたものである。  (2)の参集者名簿と(3)の開催経過については割愛します。  3頁の2の「リスク評価の手法」です。(1)はリスク評価手法の概要ですが、基本的 には先ほどの平成17年5月の検討会の報告書において、基本的考え方が示されており、 それに基づいて平成18年5月に評価の実施要領が策定されております。それに基づい て、検討会では次のように評価を行ったということで、(1)の(1)、(2)、(3)、(4)が評価の 大まかな概要になります。(1)有害性の種類及びその程度の把握、(2)量−反応関係等の把 握、(3)ばく露状況の把握、(4)リスクの判定です。(2)からがリスク評価の手法の詳細で、 (1)有害性の種類及びその程度の把握と(2)量−反応関係等の把握については、先ほどの要 領の考え方をそのまま示しております。  5頁の(3)ばく露状況の把握です。これについては、第1回目の検討会と、一部第2回 目の検討会で修正したものをお示ししておりますが、その資料をここに記載しています。 基本的に報告があった中から、イの(ア)のiからViiiに係るようなものを考慮して作業 を選定して、作業環境測定等の調査を行うことになっております。  (4)リスクの判定方法等は、基本的に2月の第3回の会議においてお示しした考え方に なっており、まず一次評価として、ユニットリスクを用いたがんの過剰発生率10−4に 対応した濃度でスクリーニングをする。イの二次評価において、基本的には許容濃度又 はTLVと比較をして、リスクを判定する。許容濃度、TLVが設定されていないよう な物質については、イの(ア)のiiにあるようなものを使用して判定をする。  その判定方法が(イ)で、二次評価値を超える場合には労働者の健康障害に係るリス クが高いと判断されることから、必要な行政措置のレベル及びリスク管理のあり方を検 討する。iiでばく露レベルが二次評価値以下の場合は、労働者の健康障害に係るリスク はiより低いと判断されることから、個々の事業者においてリスクアセスメントの実施 による管理を促進する等の措置を検討する。さらに、一次評価値又はがんの過剰発生率 10−3に対応した濃度を超える場合は、必要に応じて具体的な措置の実施を検討すること になっております。  8頁は「リスク評価対象物質」で、今年度は表にあるような5物質を選定しておりま す。これは労働安全衛生法の施行令別表第9にある、いわゆるMSDSの交付対象物質 の中で、まだ特化則等で規制されていない物質であって、IARCでグループ1もしく はグループ2Aに分類されているもので、国内における生産量、取扱量等が1,000トン 以上である物について、この5物質を選定したということです。  9頁からが「リスク評価結果」になっております。それぞれの物質ごとにまとめてお り、(1)がエピクロロヒドリンになっております。(1)物理的性状等は割愛します。(2)は 有害性評価で、詳細については後ろの参考資料の1−1に評価表を添付しております。 本文の中で発がん性、許容濃度等について記載しており、ウは評価値で、一次評価値が 0.11ppm、二次評価値が0.5ppm、ACGIHのTLV-TWAになっております。(3)の ばく露実態評価と(4)については読み上げさせていただきます。  ア、有害物ばく露作業報告の提出状況(詳細を参考2−1に添付)。平成18年度にお けるエピクロロヒドリンに係る有害物ばく露作業報告は合計117の事業場から、191の 作業についてなされ、作業従事労働者数の合計は1,668人(延べ)であった。また、対 象物質の取扱量の合計は19万トン(延べ)であった。191の作業のうち、作業従事時 間が20時間/月以下の作業が93%、局所排気装置の設置がなされている作業が59%、 防毒マスクの着用がなされている作業が61%であった。  イ、ばく露実態調査結果。エピクロロヒドリンを製造し、又は取り扱っている事業場 に対し、19の単位作業場において作業環境測定基準に基づくA測定を行うとともに、特 定の作業に従事する27人の労働者に対する個人ばく露測定を行ったところ、A測定に おける測定結果の幾何平均値は0.062ppm、最大値は0.139ppmであった。また、個人 ばく露測定結果の幾何平均値は0.016ppm、最大値は0.240ppmであった。(図4−1)。  (4)リスクの判定及び対策の方向性。A測定、個人ばく露測定の双方において、一部の 事業場において一次評価値を超えるデータが見られるが、測定したいずれの事業場にお いても二次評価値以下であったことから、リスクは低いと考えられる。しかしながら、 当該物質は、有害性の高い物質であることから、事業者においてリスクアセスメントを 実施し、引き続き適切な管理を行う必要がある。  11頁は図4−1で、前回お示ししたばく露測定の結果になっております。  12頁は塩化ベンジルです。(1)は割愛します。(2)有害性評価についても詳細な評価表は、 参考1−2に添付してあります。発がん性と許容濃度等について記載をして、ウは評価 値で、一次評価値が0.005ppm、二次評価値がACGIHのTLV-TWAで1ppmです。 (3)、(4)は読み上げさせていただきます。  (3)ばく露実態評価。ア、有害物ばく露作業報告の提出状況(詳細を参考2−2に添付)。 平成18年度における塩化ベンジルに係る有害物ばく露作業報告は、合計56の事業場か ら、69の作業についてなされ、作業従事労働者数の合計は666人(延べ)であった。 また、対象物質の取扱量の合計は4千トン(延べ)であった。69の作業のうち、作業従 事時間が20時間/月以下の作業が86%、局所排気装置の設置がなされている作業は 77%、防毒マスクの着用がなされている作業が70%であった。  イ、ばく露実態調査結果。塩化ベンジルを取り扱っている事業場に対し、11の単位作 業場においてA測定を行うとともに、特定の作業に従事する18人の労働者に対する個 人ばく露測定を行ったところ、A測定における測定結果の幾何平均値は0.036ppm、最 大値は0.301ppmであった。また、個人ばく露測定結果の幾何平均値は0.007ppm、最 大値は0.115ppmであった。(図4−2)。  (4)リスクの判定及び対策の方向性。A測定、個人ばく露測定の双方において、一次評 価値を超えるデータが見られるが、測定したいずれの事業場においても、二次評価値以 下であったことから、リスクは低いと考えられる。しかしながら、当該物質は有害性の 高い物質であることから、事業者において、リスクアセスメントを実施し、引き続き適 切な管理を行う必要がある。  14頁は図4−2で、塩化ベンジルのばく露測定の結果になっております。  15頁は1,3−ブタジエンです。(1)の物理的性状等は割愛します。(2)有害性評価は、 同様に参考1−3に詳細な評価表を添付しております。16頁のウにあるように、一次評 価値が0.007ppm、二次評価値がACGIHのTLV-TWA、2ppmです。(3)、(4)につ いては読み上げさせていただきます。  (3)ばく露実態評価。ア、有害物ばく露作業報告の提出状況(詳細を参考2−3に添付)。 平成18年度における1,3−ブタジエンに係る有害物ばく露作業報告は、合計59の事 業場から、92の作業についてなされ、作業従事労働者数の合計は1,939人(延べ)であ った。また、対象物質の取扱量の合計は318万トン(延べ)であった。92の作業のう ち、作業従事時間が20時間/月以下の作業が91%、局所排気装置の設置がなされてい る作業が29%、防毒マスクの着用がなされている作業が59%であった。  イ、ばく露実態調査結果。1,3−ブタジエンを製造し、又は取り扱っている事業場に 対し、7の単位作業場においてA測定を行うとともに、特定の作業に従事する30人の 労働者に対する個人ばく露測定を行ったところ、A測定における測定結果の幾何平均値 は0.093ppm、最大値は0.238ppmであった。また、個人ばく露測定結果の幾何平均値 は0.162ppm、最大値は65.19ppmであった。(図4−3)。  (4)リスクの判定及び対策の方向性。A測定においては、一次評価値を超えているが、 測定したいずれの事業場においても、二次評価値以下であった。また、個人ばく露測定 においては二次評価値を大幅に超えるばく露が5データ見られるが、これは1,3−ブタ ジエンの製造工程(A社4データ)及び合成ゴム工程(B社1データ)である。これら のリスクの高い作業は、作業工程の改善や局所排気装置の設置等によりばく露の低減を 図る必要があるが、屋外でのサンプリング等の作業であり、局所排気装置等の設置が困 難な場合は、防毒マスク等の保護具の着用による作業を行う必要がある。また、ばく露 の低い作業については、事業者においてリスクアセスメントを実施し、引き続き適切な 管理を行う必要がある。  17頁は1,3−ブタジエンのばく露調査結果です。  18頁はホルムアルデヒドです。(1)物理的性状等は割愛します。(2)有害性評価について も、詳細な評価表は参考1−4に添付しております。ウにあるように、一次評価値が 0.033ppm、二次評価値が0.3ppm、ACGIH-Ceiling(天井値)です。(3)、(4)につい ては読み上げさせていただきます。  (3)ばく露実態評価。ア、有害物ばく露作業報告の提出状況(詳細を参考2−4に添付)。 平成18年度におけるホルムアルデヒドに係る有害物ばく露作業報告は、合計549の事 業場から、1,157の作業についてなされ、作業従事労働者数の合計は1万3,918人(延 べ)であった。また、対象物質の取扱量の合計は43万トン(延べ)であった。1,157の 作業のうち、作業従事時間が20時間/月以下の作業が74%、局所排気装置の設置がな されている作業が77%、防毒マスクの着用がなされている作業が62%であった。  イ、ばく露実態調査結果。ホルムアルデヒドを製造し、又は取り扱っている事業場に 対し、22の単位作業場においてA測定を行うとともに、特定の作業に従事する56人の 労働者に対する個人ばく露測定を行ったところ、A測定における測定結果の幾何平均値 は0.170ppm、最大値は1.428ppmであった。また、個人ばく露測定結果の幾何平均値 は0.091ppm、最大値は0.888ppmであった。(図4−4)。  なお、「職場におけるシックハウス対策事業」において、ホルムアルデヒドを製造し、 又は取り扱っている事業場に対して測定を行った結果によれば、347の単位作業場にお けるA測定では、平均0.087ppm、最大値1.336ppm、316箇所のスポット測定では、平 均0.357ppm、最大11.831ppmであった。(表4−1)。すいません、ppmのpが抜け ていましたので修正します。  (4)リスクの判定及び対策の方向性。図4−4において、A測定は、一次評価値を超え る事業場が多く、かつ、二次評価値(天井値)を超える事例も3件あった。また、個人 ばく露測定においては、二次評価値を超えるばく露が14データあり、4つの事業場及 び7種類の作業において二次評価値を超える事例が見られた。これらリスクの高い作業 は、屋内での作業であることから、密閉化、局所排気装置等の設置により適切に管理す る必要がある。なお、労働者の健康管理については、ホルムアルデヒドが原因で、ヒト に対してまれに鼻咽頭がんが見られるとされることから、労働者の健康管理については、 こうした状況に配慮しつつ適切な健康管理を行う必要がある。また、これらの措置を講 ずることにより、職域における労働者のシックハウス症候群の予防にも寄与するものと 考える。  21頁はホルムアルデヒドの測定、ばく露実態調査結果です。22頁はシックハウス対 策事業の中で、過去に測定をしたデータになっております。  23頁からは硫酸ジエチルの結果になっております。(1)物理的性状等については割愛し ます。(2)は有害性評価で、詳細は参考1−5に添付しております。ウですが、ユニット リスクの情報がないので、一次評価値はなし。二次評価値は0.1ppm。これは硫酸ジメ チルの日本産業衛生学会の許容濃度です。硫酸ジエチルについては、許容濃度等が設定 されていないため、報告書の2の(2)の(4)のイの(ア)のiiの(ii)の考え方に基づ いて、硫酸ジメチルの許容濃度を使用したものです。(3)、(4)については読み上げさせて いただきます。  (3)ばく露実態評価。ア、有害物ばく露作業報告の提出状況(詳細を参考2−5に添付)。 平成18年度における硫酸ジエチルに係る有害物ばく露作業報告は、合計42の事業場か ら、59の作業についてなされ、作業従事労働者数の合計は413人(延べ)であった。 また、対象物質の取扱量の合計は5万トン(延べ)であった。59の作業のうち、作業従 事時間が20時間/月以下の作業が92%、局所排気装置の設置がなされている作業が 53%、防毒マスクの着用がなされている作業が76%であった。  イ、ばく露実態調査結果。硫酸ジエチルを製造し、又は取り扱っている事業場に対し、 10の単位作業場においてA測定を行うとともに、特定の作業に従事する21人の労働者 に対する個人ばく露測定を行ったところ、A測定における測定結果の幾何平均値は 0.028ppm、最大値は0.093ppmであった。また、個人ばく露測定結果の幾何平均値は 0.006ppm、最大値は0.964ppmであった。(図4−5)。  (4)リスクの判定及び対策の方向性。A測定においては、測定したいずれの事業場にお いても二次評価値以下であった。また、個人ばく露測定においては、二次評価値を大幅 に超えるばく露が1データ見られるが、これは、樹脂の製造作業におけるばく露である。 A測定においては、二次評価値を超えていないが、個人ばく露濃度においては二次評価 値を超えるデータが3データ(同一事業場)あることから、リスクの高い同様の作業に おいては密閉化等のばく露防止措置を行う必要がある。また、ばく露の低い作業につい ては、事業者においてリスクアセスメントを実施し、引き続き適切な管理を行う必要が ある。  25頁は硫酸ジエチルのばく露実態調査結果になっております。  これらの結果を踏まえて、26頁から案として「まとめ」を作っております。これにつ いても読み上げさせていただきます。  平成18年度において、発がん性等の有害性が高いと指摘されている化学物質のうち、 国内での取扱量が多い5物質(エピクロロヒドリン、塩化ベンジル、1,3−ブタジエン、 ホルムアルデヒド、硫酸ジエチル)のリスク評価を行った。その結果、1,3−ブタジエ ン、ホルムアルデヒド及び硫酸ジエチルを取り扱う一部の事業場において、二次評価値 を超えるばく露が見られた。  このうち、1,3−ブタジエンについては、高濃度の個人ばく露が2事業場で見られた。 これらの事業場における作業は、作業工程の改善や局所排気装置等の設置を行う必要が あるが、いずれも屋外での作業であることから、それができない場合は、防毒マスク等 の保護具の着用による作業が必要と考える。今回のばく露実態調査においては、高濃度 ばく露が2事業場において見られたことから、国は、同様の作業に対して、法令等によ る規制を行うことも検討すべきであると考える。  また、ホルムアルデヒドについては、多くの事業場において、二次評価値を超えるば く露が見られた。このため、密閉化や局所排気装置等の設置による適切な作業環境の管 理が必要と考える。また、ホルムアルデヒドが原因で、ヒトに対してまれに鼻咽頭がん が見られるとされることから、労働者の健康管理については、こうした状況に配慮しつ つ適切な健康管理を行うことが必要と考える。今回のばく露実態調査においては、複数 の作業及び複数の事業場で二次評価値を超えるばく露が見られたことから、上記の対策 について、国は、法令等による規制を行うことを検討すべきであると考える。  さらに、硫酸ジエチルについては、ばく露レベルの高い事業場が1事業場あるが、こ れは樹脂の製造工程における作業であり、国は、同様の作業に対して、法令等による規 制を行うことも検討すべきであると考える。  なお、エピクロロヒドリン及び塩化ベンジルについては、ばく露レベルは低いものの、 有害性の高い物質であることから、国は、既存の法令に基づく対応を図るとともに、事 業者においてリスク評価を実施して、引き続き適切な管理を行うべきであると考える。  今回のリスク評価の結果に基づき、国は、事業者に対して、適切な管理を行うよう指 導するとともに、必要な法令等の改正を行い、関係者への周知徹底を図っていくことを 切に願う。また、今回実施した化学物質以外で、特別規則による規制を行っていない化 学物質で、有害性の高い化学物質については、引き続きリスク評価を行っていくべきで ある。なお、今回行ったリスク評価は、現時点において入手可能な資料・データを基に して評価を行ったものであり、リスク評価結果は将来にわたって不変のものではない。 このため、引き続き情報収集に努めていく必要がある。  「まとめ」は以上で、後ろの部分は参考1−1から1−5までが各物質の有害性総合 評価表、参考2−1から2−5までが各物質のばく露作業報告の集計表になっておりま す。以上、報告書(案)について説明させていただきました。 ○櫻井座長 報告書(案)についての説明が終わりましたが、いかがでしょうか。何か 修正すべき点等、あるいはコメントがありましたらどうぞ。もしよろしいようでしたら、 語句の修正等、先ほどppmというのが1つだけありましたが、それ以外にも何か小さ な修正等もあるかもしれません。そういったことについては当然のことながら修正する ことになろうかと思いますが、それも含めて、最終的には私に一任していただくという ことで、よろしいでしょうか。 (了承) ○櫻井座長 それでは、この報告書(案)は基本的にお認めいただいたということにさ せていただきます。報告書を受けて、今後の予定はどうなっているでしょうか。 ○春日化学物質評価室長 この報告書については、できれば年度内に修正をした上で、 公表をさせていただきたいと思っております。必要な規制等については、内部で検討し た上で必要な対策を速やかに講じていきたいと思っております。 ○櫻井座長 今日はいままで議論を尽くしたものについて適切にまとめてあったもので すから、スムーズに進行して、おかげさまでまとまったかと存じます。事務局のほうか ら挨拶があるようですので、お願いいたします。 ○小野安全衛生部長 各委員の先生方には、ちょうど昨年9月からになろうかと思いま すが、この間精力的にこの問題についてご議論いただき、ただいまこの報告について基 本的内容を取りまとめていただきました。どうもありがとうございました。私どもとい たしましては、いまいただいた集約の結果を受けて、これから働く方々の健康障害防止 対策について、万全を期すべく必要な対応を講じてまいりたいと思っておりますので、 引き続きご指導いただければと思います。どうもありがとうございました。 ○櫻井座長 来年度の検討会の予定はどうなっておりますでしょうか。 ○永野化学物質評価室長補佐 いちばん最後に「参考」という資料を1枚付けておりま すが、平成19年度については、間もなく告示を改正してばく露作業報告の対象として この10物質を指定することにより、来年度はこの10物質のリスク評価をお願いする予 定にしております。本年度は1回目を9月に開催しましたが、来年度はもっと早く第1 回目を開催させていただいて、検討を早くスタートしたいと思っております。また別途、 日程調整等をご相談させていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○櫻井座長 委員の先生方、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、今日の検討 会はこれで散会といたします。ありがとうございました。             照会先: 労働基準局安全衛生部化学物質対策課                            化学物質評価室                電話03-5253-1111(内線5511)