07/03/19 第31回 独立行政法人評価委員会 医療・福祉部会 議事録 独立行政法人評価委員会 医療・福祉部会(第31回)議事録 平成19年3月19日(月) 厚生労働省共用第8会議室 ○橋本部会長  定刻よりほんのちょっと早いのでございますが、皆さんおそろいでございますので、 早速に第31回の独立行政法人評価委員会医療・福祉部会を始めたいと思います。  本当は暖冬といっておりましたのに、いつまでも寒くて冬のコートを脱げないような 状態ですが、でもやはりサクラが咲き始めまして、春だなあという感じでございます。 今日は長丁場の12時半までの予定でございますので、御協力、よろしくお願いしたいと 思います。  きょうは、山村委員さんがお休みということでございます。  それでは、事務局から今日の議事につきまして御説明いただきたいと思います。お願 いいたします。 ○政策評価官  おはようございます。政策評価官でございます。  年度末のお忙しい中、御多忙にもかかわらず、御出席いただきありがとうございます。 今、部会長からお話がございましたが、2時間半を予定いたしておりまして盛りだくさ んになっておりますが、よろしくお願いを申し上げます。  本日の議事の概要について御説明する前に、御礼と御報告を申し上げます。先般、国 会の衆議院調査局より私どもの大臣あてに独立行政法人の組織等に関する予備的調査と いうことで、各府省の独立行政法人評価委員会の先生方の他の委員会等への兼職状況等 について調べるようにという依頼がまいりました。それにつきましては、先生方に御協 力をお願いし、御回答をいただいたところでございます。お忙しいところを調査に御協 力をいただき、誠にありがとうございます。  いただきました御回答につきましては、先般、先生方に再度、郵送でお送りし、御確 認いただき、その上で事務局において最終的に取りまとめて、先月末に衆議院調査局長 に提出いたしましたので、ここに御礼と御報告を申し上げます。  それでは、本日の議題でございます。お手元の資料、議事次第の2「議事」として(1) から(6)まで挙がっております。  まず(1)は、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園にかかわります中期計画の変 更(案)についてでございます。中期計画の施設・設備に関する計画といった部分を、 施設の充実等を踏まえて変更いたしたいと考えておりますので、御審議をいただければ ということでございます。  次に、議事の(2)から(5)までが福祉医療機構に関するものでございます。  (2)の議事については、当機構の短期借入金の借換え、それから平成19年度の長期 借入金計画、債券発行計画、償還計画の案、いわゆる資金繰りの案件でございます。膨 大な資料でございますが、その中に参考資料1をつけてあります。福祉医療機構におけ る長期借入金や債券発行等に関しては、基本的にあらかじめ部会の御了解をいただけれ ば、個別の認可については部会長に御一任を申し上げ、部会には事後報告をするという 形で本部会においては扱っていくことで御了解をいただいているところでございます。 本日は、これら平成19年度の全体計画について御審議いただくとともに、本年度の第 4・四半期の長期借入金にかかわる御報告をさせていただくということでございます。  (3)は、当機構の業務方法書の変更(案)についてでございます。今度の医療構造 改革の柱の一つでございます療養病床の転換といったものが大きな課題でございますが、 そうした転換促進のための融資率等の変更について御審議いただければということでご ざいます。  (4)は、評価の視点の変更(案)についてでございます。昨年4月1日をもって、 年金資金運用基金が解散したところでございます。この年金資金運用基金においては、 年金資金の運用と併せて年金住宅融資等の債権の管理回収業務、更には教育資金の貸付 あっせん業務等を行っていましたが、この年金資金運用基金が行っていたこれら業務に ついては、福祉医療機構が承継して行うことになっております。これらの業務は本年度 から受け継いでやっており、この夏に評価をいただくことになりますが、評価をいただ くに先立ちまして評価の視点といったものを定める必要がございます。それについて、 本日、この評価の視点について御審議をいただきたいということでございます。  なお、参考資料2、参考資料3も添付しておりますが、内容の御説明は省略をいたし ます。  (5)は、福祉医療機構の役員の退職金に係る業績勘案率でございます。これについ ては、役員が退職をされ、機構より業績勘案率の算定依頼がまいっておりますので、本 日、これについても御審議をいただければということでございます。  本日、福祉医療機構に関する資金のやりくり等についての議事は以上でございますが、 昨年12月の本部会で御審議、御了承いただきました福祉医療機構の見直し(案)につい ては、昨年12月の本部会の翌日に独立行政法人評価委員会の総会に報告をいたし、ここ で決定していただいた見直し案のとおり御了承いただきました。その後、その見直し案 を政府の行政改革推進本部に提出いたしまして、12月24日付で見直し案のとおり、閣 議決定として行革推進本部決定が行われましたので、ここに御報告申し上げます。  最後の議題(6)は、医薬品医療機器総合機構に関するものでございます。医薬品医 療機器の承認審査の迅速化が大きな課題になっておりますが、そのための審査員の増員 について、関係方面の一定の合意が得られたということでございます。それを踏まえま して、中期目標、中期計画の変更をいたしたいと考えておりますので、本日、それにつ いて御審議いただきたいと存じます。  議事の進行としましては、最初にのぞみの園、次に福祉医療機構、そして最後に医薬 品機構という順番で、法人ごとに事務局を入れかえまして御審議をいただければと思っ ております。  以上、よろしくお願い申し上げます。 ○橋本部会長  ありがとうございました。それでは、早速、審議に入ってまいりたいと思います。  最初が、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園の中期計画の変更についてでござい ます。御説明をお願いいたします。 ○のぞみの園法人事務局長  国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法人事務局長の石井でございます。着席した ままで御説明をさせていただきたいと思います。  のぞみの園では、昨年10月をもって障害者自立支援法の新たな事業体系に移行してお りまして、日中活動の場、生活の場を分離したサービスを提供いたしまして、障害者の 自立支援と社会参加を目指した事業を展開しております。  日中活動としては、定員510名で生活介護、定員40名で自立訓練、生活訓練で、その 事業を展開しております。一方では、夜間や休日の居宅支援としまして、施設入所支援 事業、定員470名でございますが、これらを生活寮あるいは生活体験ホームで実施して おります。また、地域の障害者の相談支援のための相談事業、短期入所、あるいは日中 一時支援事業等々を実施しております。また、今年度末にはケアホームを開設する予定 で今、準備を進めておりまして、明日には開設という段取りになっております。  このような日中活動には多数の利用者が参加しておりまして、ほぼ420名前後の方々 が参加しております。これらの日中活動の場の確保と適切な環境の維持は、法人にとっ ても大事な業務になってきております。このような状況に鑑みまして、平成19年度にお いても施設整備費の予算を計上しておりまして、中期計画の変更の必要が生じておりま すので、お手元の資料1−1及び1−2に沿いまして、国立のぞみの園の中期計画の変 更について概要を御説明したいと思います。  資料1−2を御覧いただきたいと思います。平成15年10月策定当初ののぞみの園の 施設及び設備に関する中期計画では、該当なしとさせていただいておりましたが、平成 17年度において給水本管、エネルギーセンターの整備等々、施設整備費を予算計上し、 中期計画の変更について御審議の上、お認めいただいたところであります。  その後、平成18年度においては、障害者自立支援法の施行を踏まえて日中活動の場の 拡充を図る観点から、農芸支援棟新設工事ということで施設整備費を予算計上いたしま して中期計画の変更を御審議の上、お認めいただいたところでございます。  平成19年度においても、これは1枚目の表に参考として記載がございますが、活動支 援棟その他改修工事として、日中活動の場の保全と利用の拡充を図る観点から予算計上 を行いました。これに伴いまして中期計画を変更する必要が生じております。  ちなみに、平成19年度の改修工事は、築35年を経過しております老朽化いたしまし た活動支援棟、ここが日中活動の中心的な場所になっておりますが、この場所のトイレ、 あるいは天井の改修、塗装工事、あるいは雨漏りの防止策といったもの、それから通所 利用者が日中活動を行っております旧デイサービス棟、他には利用者の厚生施設であり ますゲストハウスとか体育館、こういったところの屋根の防水工事あるいは塗装工事等 であります。  以上でございます。御審議の程、よろしくお願いいたします。 ○橋本部会長  御説明ありがとうございました。ただいまの事務局の御説明につきまして、何か御意 見、御質問がございましたらどうぞ。 ○白石委員  資料1−2の施設整備費補助金というものなのですが、これはどういった財源のもの なのでしょうか。 ○のぞみの園法人事務局長  これは、国からの補助でございます。 ○白石委員  ありがとうございます。そうしますと、このような必要があるからこのような予算計 上をして、国の予算で施設の整備をするということになるのでしょうか。 ○のぞみの園法人事務局長  そうですね。私どもで必要性があると認められたものについて、平成19年度予算の場 合で申し上げますと、昨年の5月に予算要求という形で厚生労働省に提示しております。 そして、8月末には厚生労働省から財務省に予算要求をしていただきまして、今、国会 で審議をいただいている中の予算案に組み込まれているというものであります。 ○白石委員  財源についてはよくわかりました。ありがとうございました。  ここからは事務局にお伺いした方がいいのかもしれないのですが、国の予算を財源と するような事業についても中期計画でこの部会で承認がいる、そういう手続になってい るのはどうしてでしょうかといいますか、のぞみの園は支援費で一応成り立っていると いうことなのですが、それに加えて国の予算を使うので、それが中期計画の中にも記載 されるべきということで理解してよろしいのかどうか、質問です。 ○橋本部会長  これはどなたがお答えくだいさますか。要するに事務手続の問題ですね。独立行政法 人が国庫補助を受けて施設整備をする、その手続についてこの部会で承認を得なければ ならないようになっているのか、というお尋ねでございますが。 ○施設管理室長  施設管理室長の難波と申します。  まだ、中期計画の中に施設の整備の計画が盛り込まれておりますので、それを変更す る場合には独立行政法人の通則法で評価委員会の意見を聞かなければならない、という 規定がございますので、それに沿って今、御審議をいただいているということでござい ます。 ○橋本部会長  よろしいですか。ほかには御意見、御質問はございませんでしょうか……。  それでは、特に御意見はないようでございますから、私どもの部会としては原案のと おり承認をするということでよろしゅうございましょうか。それでは、この後は必要な 手続を事務局でお進めいただきたいと思います。進めていただきますが、関係方面とお 打ち合わせなさいますおりに、いつものことでございますが多少の文言の整理が起こっ てくるわけでございますが、その点については私にお任せいただくということで御了解 いただけますでしょうか。  (「異義なし」の声あり)  ありがとうございました。それでは、この件はこれで終わりにいたします。のぞみの 園の皆様、どうもありがとうございました。  次は、先ほど評価官から御説明がございましたように、議事の(2)(3)(4)(5)、 これはいずれも福祉医療機構から出されている問題でございますので、御着席いただき ますまでの間、少し時間をおとりしたいと思います。  どうぞよろしくお願いいたします。それでは、審議の2番目でございます。福祉医療 機構の短期借入れ、借り換えについて御説明をお願いいたします。 ○福祉医療機構経理部長  おはようございます。福祉医療機構の岩田でございます。それでは、資料に沿いまし て私から借入金関係等について御説明させていただきたいと思います。資料2−1から 2−5になっております。  まず2−1は、独立行政法人福祉医療機構の短期借入金の借り換えの資料でございま す。この短期借入金については、社会福祉施設職員等退職手当共済事業給付費に対する 都道府県補助金の不足分でございます。例年、都道府県からの資金については若干不足 が生じておりまして、その足らずまいを私どもが銀行より借入れをし、一時立て替えて 各社会福祉施設の退職金として給付いたしまして、後日、立て替えた分を都道府県から の補助金で充てているというものでございます。  今年度については、資料に書いてありますように2月14日に28億円ほど借り入れま して、これを3月31日に10億円ほど借り替えて、翌年度に借入金を持ち越す。そして 5月末までに不足分を加味した都道府県補助金を充てていただくという形で資金繰りを 対応いたしたいと思っております。  借入の償還期日は5月31日までとしておりまして、借入金利については借入金の2営 業日前の、金融用語でいきますとタイボーといいまして銀行間の取引の非常に安い金利 でございますが、それらを適用いたしまして0.58%という形での借入れでございます。  一通り借入れを全部御説明させていただいてよろしいでしょうか。 ○橋本部会長  はい、結構でございます。どうぞ。 ○福祉医療機構経理部長  では資料2−2に移りまして、平成19年度の長期借入金の計画でございます。平成 19年度の計画額については、一般勘定で3172億円ほど、年金担保貸付勘定で135億円 を借り入れる予定としております。  参考までに申しますと、貸付予定額は一般勘定で3787億円、年金担保貸付勘定で2290 億円となっております。借入条件でございますが、一般勘定については償還期限が20 年以内、うち、据置き1年。また、年金担保貸付勘定については5年以内、うち据置き 1年となっておりまして、貸付条件等については従来どおりとなっております。  続きまして参考資料2−3でございますが、その貸付の財源の一部に充てられます当 機構が発行いたします債券発行計画でございます。これについては、一般勘定で555億 円、年金担保貸付勘定で570億円の合計1125億円となっております。  次のページに、過去の社会福祉・医療事業団時代からの実績を御参考までにつけてお ります。  続きまして、参考資料2−4でございます。平成19年度における償還計画でございま すが、財政融資資金なり機関債について約定の償還日がございますので、これは、一般 勘定については2037億円が約定日がまいります。また、年金担保貸付勘定については、 財政融資資金が340億円、また、財投機関債300億円の合計640億円を償還する予定と なっております。  最後の資料2−5は、平成18年度の第4・四半期の長期借入金でございます。ここに 示してありますように、第4・四半期に認可いただいている金額は、一般勘定で1196 億円ございます。また、年金担保貸付勘定は81億円となっております。これに対して今 の実績見込みでございますが、一般勘定は868億円ですが、そのうち固定金利分として 809億円、あと、10年後の見直し分として59億円でございますので、合わせて868億円 を予定しております。3月26日に借り入れる予定となっております。  また年金担保貸付については、31億円を3月20日に借り入れる予定となっておりま す。  これは、それぞれ資金繰り等を考慮した上で日にちなり借入金額を決定しているもの でございます。この借入については、2月20日付で部会長より既に御了承の旨をいただ きまして、同2月26日付で厚生労働大臣の認可を頂戴していることを、併せて御報告申 し上げたいと思います。  なお、これにより、一般勘定における平成18年度の長期借入金でございますが、実績 総額は2536億円となりまして、年間計画額3301億円に対して765億円の不用を計上し ております。  財投機関債としては、年間計画額815億円に対して500億円の実績の見込みとなって おりまして、315億円の機関債の発行未達となります。  また、年金担保貸付勘定における平成18年度の長期借入金、計画では270億円でござ いますが、実績は220億円となりまして、こちらでも50億円の不用を計上しているとこ ろでございます。これは、直近の貸付実績等を考慮した上で、財務省の理財局の承認を 得た上で計画しているもので、貸付が若干落ち込みの状況でございますので、それに合 わせた借入れを弾力的に行っているという状況となっております。  平成18年度の短期借入金の借換え及び平成19年度の借入金等の説明は、以上となっ ております。 ○橋本部会長  ありがとうございました。ただいまは、資料の2−1から5まで御説明いただきまし た。それでは、何か御意見、御質問がございましたらどうぞ。 ○遠藤部会長代理  質問させていただきますが、最初の短期の借入れですが、基本的に何の問題もないの ですが、一つ、この際お聞きしておきたいのですが、民間金融機関からの借入れを行う 場合に、金融機関の選択方法はどのようにやっておられるのかということをお伺いした い。 ○福祉医療機構経理部長  現在においては民間からの借入れは行っておりません。 ○遠藤部会長代理  いえ、短期の借換え基金の借入先というのがありますね。 ○福祉医療機構経理部長  東京三菱からの借入れという形になっていますが。 ○遠藤部会長代理  質問の趣旨は、それはどうして東京三菱を選んだのですかという。 ○福祉医療機構経理部長  金利の入札で行っております。 ○遠藤部会長代理  わかりました。ありがとうございました。  もう1点は、貸付けが対前年度で減少しているので、借入れ金額も減らしているとい うお話だったのですが、これは対前年と比べた借入れ額はこの資料の中に書いてありま すか。なければ口頭で教えてください。比較したときにどのぐらい減っているのかとい うのを。 ○橋本部会長  今、数字をお探しでしたら、後ほど御説明いただいてもよろしいと思います。 ○遠藤部会長代理  概算で結構なのですが、どういう状況になっているのかということだけでも教えてい ただければ。以上です。 ○橋本部会長  それでは、わかりましたら教えてください。 ○福祉医療機構経理部長  はい。 ○橋本部会長  私から一つ、これはおたくにお尋ねすることではないのかもしれませんが、福祉施設 職員の退職手当が予定よりも多かった。 ○福祉医療機構経理部長  はい、計画より。 ○橋本部会長  これはどういうところで、退職が非常に多かったというのは高齢者の介護施設でござ いますか、本当はおたくに聞くことではないのですけれども、しかしどういうことなの かという。 ○福祉医療機構企画指導部長  ではちょっと。一つは、現在の予算の枠組みの問題があります。なかなか現在、予算 が厳しいものですから、当初予算は伸びを確保できないということで、どうしても例年 のことなのですが、若干見込みが少なめになってしまいまして、それを毎年、補正予算 で補う。したがいましてその補正予算については、御存じのように国はよろしいのです が都道府県はついてまいりませんので、どうしても毎年、短期借入れが発生するという のが実情でございます。  あと、御質問の、今、確かに共済の対象はふえております。それは恐らく介護関係が 回転が早く、ふえているのではないだろうかと感じております。 ○橋本部会長  わかりました。そうすると、記憶力が悪くて申しわけないのですが、こういう修正は 毎年やっておられますね。 ○福祉医療機構企画指導部長  はい、毎年、補正予算を組んでおりますので、毎年、短期の借入れをやっておるとい う状況でございます。ただ、これは毎年、減ってきておるとは認識しております。 ○福祉医療機構経理部長  もちろん、こちらにかかる金利については、都道府県の御負担という形で、機構でか ぶることはない処置をさせていただいております。 ○橋本部会長  承知しました。ありがとうございました。  ほかに御意見はございませんか。 ○石井委員  私も何度も同じ質問をしているような気がするのですが、この退職手当共済事業は、 現状でも新規の加入を認めているのでしたっけ。 ○福祉医療機構企画指導部長  認めております。 ○石井委員  ということは、新たに社会福祉施設の職員になった方たちは、全部ではないにしても、 選択をして入るということで、事業としてはそのまま存続しているのですね。 ○福祉医療機構企画指導部長  共済につきましては、法律改正はありましたが制度としては存続しておりまして、基 本的に社会福祉法人を対象に入っていただく。新規加入者については、今までは国の補 助が3分の1ついていたのですが、ただ、民間とのイコールフッティングということで、 新規加入者については国の補助はつかないとか、そういう制度改正になってきています が、基本的制度自体は存続してやっておるところでございます。 ○石井委員  ということは、今でも県、市町村もあるのですか。 ○福祉医療機構企画指導部長  県です。 ○石井委員  市町村はないのですね。 ○福祉医療機構事務局  基本的に負担は国と県です。 ○石井委員  市町村は入っていない。 ○福祉医療機構事務局  入っていないということです。 ○石井委員  そして、県の助成はいまだについている。 ○福祉医療機構事務局  国と同じ扱いですので、介護関係の旧加入者にはついています。 ○石井委員  新加入者に関しては。 ○福祉医療機構事務局  公的な助成はありませんので、県の補助もつきません。 ○石井委員  つかない。なるほど。新規加入がなくなる可能性はあるのでしょうか、などと聞いて しまっていいのでしょうか(笑声)。そういう議論は全くまだ今のところは出ていないの ですか。 ○福祉医療機構企画指導部長  新規加入がなくなるということは、やはり退職制度は必要でしょうから、ないとは思 うのですが、ただ、先ほど言いましたように新規については補助がつかなくなってきま すと、あくまでこれは強制ではなく選択性でございますので、加入が今後どうなってい くかというのは、私どもの関心事でもあり、そこはよくみていく必要があるだろうと思 っています。 ○石井委員  済みません、もう1点だけ。「地方財政の事情等によって財源措置ができないことから、 都道府県の不足相当分について」という記載があるのですが、具体的にどの都道府県に おいて財源措置ができないかというのは、東京都の場合なのか北海道の場合なのかみた いなのは。 ○福祉医療機構企画指導部長  これは、先ほど御説明しましたように、受給者が予算より多くて、国は財源が毎年足 りなくなるものですから補正を組みます。したがって国はいいのですが、都道府県は議 会を通さなければならないので、毎年遅れてしまう。したがってこれは、どこのという よりも、全部というのが正しいところでございます。 ○橋本部会長  よろしゅうございますでしょうか。 ○福祉医療機構事務局  先ほどの部会長代理の御質問にお答えさせていただきます。  平成17年度の実績でございますが、財投においては一般勘定で計画額3697億に対し て実績が3021億でございます。したがいまして、676億の財投の借入れの不要を立てて おります。  それから年金担保貸付勘定においては、計画額297億円に対して218億円の実績とい うことで、79億円の財投の不要を計上しております。以上でございます。 ○橋本部会長  よろしいですか。 ○遠藤部会長代理  この資料2−5の表に書いてあるものの前年実績との比較をしたいということだった のですが、今のお言葉はどれとどれを比較すればいいのですか。 ○福祉医療機構事務局  資料2−5で申し上げますと、頭の3301億円ですね。それに対しますものとして平成 17年度の計画額は3697億円。 ○遠藤部会長代理  実績は。 ○遠藤部会長代理  今のも計画ですから、そういう意味で計画との比較をしたのは一つですね。余り変わ らないのでしょう。 ○福祉医療機構事務局  平成18年度が3301億円に対して2536億円でございます。765億円の未達ということ になります。そして、先ほど申し上げました平成17年度の実績は、先ほどの計数でござ います。 ○遠藤部会長代理  わかりました。ありがとうございます。 ○橋本部会長  ほかにはございませんでしょうか……。  それではただいまの件につきましては、短期借入金の借換案、それから平成19年度の 長期借入金計画、そして債券発行計画、償還計画(案)につきましては、この部会の意 見といたしましては、それぞれ原案のとおり了承するということにし、そして、以後は 事務局において必要な手続をお進めいただくということにしてよろしゅうございましょ うか。  (「はい」の声あり)  そして、平成18年度の第4・四半期の長期借入金につきましては御報告を承ったとい うことにしたいと思います。よろしゅうございましょうか。ありがとうございました。  それでは、次の福祉医療機構の業務方法書の変更につきまして御説明をお願いいたし ます。 ○福祉医療機構企画指導部長  企画指導部長の大久保でございます。それでは私から、業務方法書の変更ということ で、資料3−1の「独立行政法人福祉医療機構業務方法書変更(案)の概要」に基づい て御説明いたします。  この冒頭に書いてございますように、一つは、今回、業務方法書、平成19年度予算に 合わせて福祉医療貸付事業の融資条件を変更しようというものでございます。基本的に は今年の4月1日施行ということでお願いしたいと思っております。  その1点目、貸付対象等の特例ということでございます。先ほど、評価官からありま したように、今般の医療制度改革によりまして、平成23年度末までに介護保険適用の療 養病床を廃止する、または医療保険適用の療養病床削減という方針が示されたところで、 これを踏まえまして療養病床の介護老人保健施設あるいはケアハウス等への転換を促す ということで、下に書いてございますような形で平成19年度について特例を設けるとい う内容でございます。  そのうちの一つ目で、融資率の引き上げということでございます。これは、業務方法 書の附則10条になります。療養病床から下の表に書いてございますような施設への転換 を図る事業について、通常の融資率、現在、70%あるいは75%となっておるところでご ざいますが、これを引き上げるという内容でございます。基本的には、療養病床を転換 するものについては90%まで引き上げるという内容でございます。  二つ目は、有料老人ホームへの融資対象への追加ということでございます。上の表に も書いてございますが、機構はいろいろ過去の変遷がございましたが、現在は特定有料 老人ホーム、これはいわゆる特養に併設されておりまして、入所定員が50人未満とか、 利用料が低いとか、そういう特定のものでございます。あるいは、国の基盤整備促進法 というものがございまして、これは一体的に施設を整備するというものですが、その計 画に基づくもの、そういう有料老人ホームに限って現在は融資しておりました。しかし ながら、先ほどのように有料老人ホーム等への転換を図るということで、その他も含め て社会福祉法人、医療法人、民法34条法人、これが行います療養病床から有料老人ホー ムへの転換、これも融資対象に追加する。さらにその融資率については、上の特例と同 じように90%を適用する。要は、今まで限られていたものを幅を広げるというものでご ざいます。これが今回の改正の一番大きいところでございます。  続きまして、貸付対象施設及び融資率の見直しということでございます。これは毎年 見直しているものの一環でございますが、一つは貸付対象を外すということで、軽費老 人ホーム、これは現在、A、B、Cとあるようでございますが、そのうちのA型、B型 については、今回、対象から外していくということでございます。これについては、国 の政策の今後の方向性としてはC型であるケアハウスの方へ誘導していくということで ございますので、A型、B型については重点から外していくというものでございます。  それから、融資率の引下げということでございます。  まず、アでございますが、80%から75%へ5%引下げということで、障害者自立支援 法に規定する施設である福祉ホームの整備、福祉関係では、通常、標準が75%でござい ましたが、これを今まで特例で80%に上げておりました。しかしながら最近の傾向とし ては、民家の改修とかあるいは借家とかそういう傾向が出てきており、必要な整備費も 額が少なくなってきているということで、今回、標準の方にもっていくということでご ざいます。  イは、90%を80%ということでございます。これは、先ほど御説明した医療制度改革 に絡むものでございますが、現在、診療所の新築資金について、療養病床を整備するも の、これは今までは政策的に整備を進めていくということで特例の90%を適用しており ましたが、今の政策の流れの中で緊急性はないということで、通常の80%へ引き戻すと いう内容でございます。  次ページの(イ)でございます。これも同じ流れでございますが、病院の病床充足地 域における増改築資金とか診療所の増改築資金、このうちの医療施設近代化施設整備事 業というのがございます。これは、建物が古くなって建て替えが必要なもの等でござい ますが、国の補助金がついております。そういう事業に該当するものについては、今ま で90%の上乗せ特例がございましたが、現在の制度改革にそろえまして療養病床を整備 するのも標準の80%へ引下げを行うというものでございます。  (注)でございますが、今、対象の除外あるいは融資率の引下げを言いましたが、ア スベスト、石綿除去の整備事業とか災害復旧のもの、あるいは建物の耐震化等について は整備は緊急に進める必要があるということで、この対象のものについては従来どおり の融資条件で、引下げとか対象から外すことはしない。これは平成19年度まででござい ますが、そういう措置をとったということでございます。  もう一つの業務方法書の改正でございます。これは、昨年の4月に私どもが業務の移 管を受けました承継年金住宅融資等債権管理回収業務の業務方法書の改正でございます。 この業務方法書の改正の中に、住宅金融公庫と私どもとの業務関係がありますので言葉 が出てきておりましたが、この住宅金融公庫は今年の4月1日から独立行政法人化をす るということで、名称が「独立行政法人住宅金融支援機構」にかわるということで、該 当条文のこの言葉をかえるというものでございます。これも、4月1日施行ということ でございます。  駆け足でございましたが、今回、業務方法書改正2本、以上のような内容でございま す。 ○橋本部会長  ただいま御説明いただきましたが、何か御意見、御質問などがございましたら伺いた いと思います。 ○石井委員  これも確認事項なのですが、貸付対象等の特例を平成19年度においても受けるという ことで御説明をいただきましたが、この特例措置を設けるという作業は、業務方法書の 変更によって可能になるという解釈でよろしいのですか。 ○福祉医療機構企画指導部長  当然のように、毎年度、国の方で予算要求等、そういう手続を踏むものでございます が、私どもが貸せるかどうかというのは、最終的には私どもは業務方法書に基づいてや りますので、それを改正しないと実行ができない、そういう内容のものでございます。 ○石井委員  ということは、逆に業務方法書をかえてあげれば、この範囲の特例は機構の中で内部 的に決裁が可能だと。例えば役所が承認をしなければいけないとか国会が承認をしなけ ればいけないとか、そういうものではないということでよろしいですか。 ○福祉医療機構企画指導部長  業務方法書に基づいてやりますが、そしてその業務方法書については当然、今回、御 審議いただいております国の認可事項になり、そしてその際には評価委員会の御意見を お聞きするというのが法律上、定まっておるという形になります。あとは内容的には、 私どもは政策融資で、最後は国からの利子補給なり予算に絡んできますので、当然、国 から予算要求という形で財務省の方へ行き、その裏付けがないと、やりたくてもできな いという面があるということでございます。 ○石井委員  それとの関連なのですが、融資率の引き上げだけではなくて、通常適用されている金 利の引下げとかそういうことはされないのでしょうか。特例金利を設けるとかそんな発 想は全くないのですか。 ○福祉医療機構企画指導部長  金利につきましては、やはりこれも利子補給に絡んできますので予算要求をする形に なります。そして、今回は業務方法書上は出てきていませんが、療養病床の転換の関係 で一部金利の引き下げを実施する予定です。 ○石井委員  わかりました。ありがとうございました。 ○橋本部会長  ほかには。 ○遠藤部会長代理  この有料老人ホームでありますが、従来のような特定有料老人ホーム、あるいは基盤 整備促進法に基づく有料老人ホーム以外の有料老人ホームも対象として認めたという話 だったわけですが、これはあくまでも療養病床から転換するという条件つきと理解して よろしいわけですか。 ○福祉医療機構企画指導部長  はい、そういうことでございます。 ○遠藤部会長代理  それと、療養病床の転換絡みの話ですが、療養病床をつくるときにそちらからお金を 借りていて、まだ残が残っているという場合に、それを有料老人ホームに建て替えるの でまたお金を追加で借り入れるといったときの融資率は、前の残高プラス新たな借入れ 額ということで計算するわけですか。担保不足となることがありえますよね。一たん返 済するのですか、そんなことはないですよね。その辺、転換に伴う融資の姿勢をお聞き したいなと思いまして。 ○福祉医療機構事務局  手続的には、新たな貸付けについてはあくまでも新たな貸付け。そして既往分につい ては既往分のまま返していただく。ただ、私どもは一定の部分、基準がございます。  そういう基準に基づいて算出された額を新規の分として貸す。そして、既往分が残っ ていて大変ではないかという御意見があるのかと思いますが、その点についてはこれか らの話になるのですが、経営が厳しいということになれば、それなりの政策的な手だて 等については今後、考えていかなければいけないと思っているところでございます。 ○遠藤部会長代理  ということは、手続上は一たん返済を、という形になる。 ○福祉医療機構事務局  いえ、過去の分はあくまでもそのまま継続します。 ○遠藤部会長代理  そのまま残って。では、この90%の掛け目の中には入っていないという形になるわけ ですね。そうすると、実態はわかりませんが、これは90%を超えてしまう場合もあり得 るというわけですね。同じ物件に対しての担保価値。 ○福祉医療機構事務局  積算上はそういうケースも出てくると思いますが。 ○遠藤部会長代理  どれほど多いかはわかりませんが、そういうことはある。 ○福祉医療機構事務局  ええ。ただ、私どもは敷地とか建物をとりますので、敷地の価格等がございますので、 担保はある程度カバーできるのかなと思っております。 ○遠藤部会長代理  わかりました。ありがとうございます。実質的に融資率を上げているというのはいい ことだと思います。  そこで、こういうインセンティブをつけているわけですが、実態としてどうでしょう か、前回、御報告をいただいたときには余りそういう案件はなかったということだった のですが、その後、大分たちましたが、数値で、もしこういう転換の件数とかあるいは 借入れ残高みたいなものがもしわかれば、今すぐでなくても結構なのですが、状況を知 りたいなと。余り転換していないといううわさも随分聞くものですから、実態として融 資面に関してどうなのかということをお聞きしたいと思いまして。 ○福祉医療機構事務局  現実問題として、転換のために、今のところ、新たな整備のために借入れを行ってい るというケースはないかと思います。 ○遠藤部会長代理  そうすると、今のところはゼロということですか。わかりました。それは、そちらと してはどういうふうに理解されていますか。 ○福祉医療機構事務局  この措置自体が平成23年度末までの措置ということ、それからまた、現在、国の支援 策等も検討されているという話も聞いておりますので、ある程度、国なり私どもの融資 条件の緩和とかほかの面ででもそういう措置が出てこないと、現実的に転換というのは 難しいのではないかと。これは個人的な部分もありますが。 ○遠藤部会長代理  そうですね。今までいろいろと議論もされているところもありますから、そういうと ころで足踏みをしているのかもしれないです。  今、転換の話をお聞きしましたが、もう少し広く病院への貸付けが対前年でみるとか なり少なかったという話をお聞きしましたが、その後、その傾向はどういうことになっ ているかということと、一部、新聞などで病院への貸付けを縮小するといった趣旨の報 道もされておりましたが、それの実態はどういう話なのかということも関連づけてお聞 きできればと思いますが。 ○医政局総務課長補佐  医療貸付の状況からすると、現状もそれほど変わっておりません。そういう意味では 低いところで動いているという状況でありまして、医療制度を取り巻く制度改正絡みの 様子見というところは借り控えになっているのではないかと考えております。  それと、一部の報道でありました融資制度の件については、昨年、この部会でも御報 告をさせていただきました独立行政法人の業務の見直しということで、医療の場合です と500床以上については政策的な機能を担う部門ということで限定させてもらって、融 資率等の見直し等も含めて全体で2割を縮小するという考え方で見直しを考えておりま したので、その内容がああいった新聞報道になったのでは、ということであります。 ○遠藤部会長代理  わかりました。何か新たな方針をということではなくて、ということですね。 ○医政局総務課長補佐  ではなくて。あの記事が出た時期がずれていましたので、なぜこの時期にという。 ○遠藤部会長代理  わかりました。ありがとうございます。 ○橋本部会長  ほかにはいかがですか。 ○松原委員  融資率の引下げで、障害者自立支援法に規定する施設の福祉ホームの整備は80%から 75%に下げるという理由を聞き逃したので、教えてください。 ○福祉医療機構企画指導部長  これにつきましては、現在は福祉ホームの建設については、一般的傾向としては民家 を改修するとか、あるいは借り上げるとかそういう方向に動いてきていまして、そうい う意味では整備費も規模も小さくて済んできている傾向がありますので、私どもとして は通常の75%で差し支えないのではないだろうかということで、今回、措置させていた だいたということでございます。 ○橋本部会長  よろしいですか。ほかにいかがでしょうか……。  それでは、業務方法書の変更(案)については、当部会としては原案どおり承認する ということでよろしゅうございますか。この後の手続をお進めいただきたいと思います し、国との調整の間で何か文言の修正が起こりましたときには、私にお任せいただいて よろしゅうございましょうか。  (「異義なし」の声あり)  ありがとうございます。  それでは、次の議題に入りたいと思います。次は、評価の視点の変更についてでござ います。どうぞ御説明をお願いいたします。 ○年金局総務課長補佐  年金局総務課課長補佐の園部でございます。私からは、資料4に沿って独立行政法人 福祉医療機構の中期目標、中期計画に係る評価の視点変更(案)について御説明申し上 げます。  まず、平成18年4月より承継年金住宅融資等債権管理回収業務と承継教育資金貸付け あっせん業務が福祉医療機構の新しい業務として追加されたところでございます。2ペ ージの2段目の(3)業務運営の効率化に伴う経費節減ですが、「また」以下の部分、承 継年金住宅融資等債権管理回収業務及び承継教育資金貸付けあっせん業務に係る一般管 理費、業務経費等について、中期目標の最終事業年度において事業開始年度である平成 18年と比べ3%程度の額を節減することを目標に掲げているところであります。  3ページ、評価の視点(案)の上から3段目の項目でございますが、承継年金住宅融 資等債権管理回収業務及び承継教育資金貸付けあっせん業務に係る一般管理費、業務経 費等の削減対象経費について、平成18年度においては、円滑な業務移管に配慮しつつ、 節約に努めるとともに、平成19年度においては、中期計画予算における一般管理費、人 件費及び業務経費の合算額が、平成18年度の相当経費と比較して中期目標の数値を達成 しているか、の視点により業務の評価を行っていただければと思います。  続きまして4ページ、承継年金住宅融資等債権管理回収業務でございます。年金住宅 融資については平成17年度末をもって廃止されましたが、既往の住宅融資債権が平成 18年4月時点において約3兆7000億円あります。この既往債権については、回収金が 国へ納付され、年金給付の財源となることから、適切な債権管理及び着実な債権回収が 必要であります。このような状況を踏まえ、承継年金住宅融資等債権管理回収業務につ いては、適切な債権管理に関する事項と着実な債権回収に関する業務の2項目について 中期目標、中期計画を掲げております。  4ページの中期目標の2段目、(1)適切な債権管理に関する事項について、貸付け先 の財務状況等の把握等の適時実施により適切な債権管理に努めることを目標に掲げてい るところでございます。  5ページ、評価の視点(案)として、一つ目の○、関係行政機関及び受託金融機関と 連携しつつ、年1回、貸付先の財務状況等の把握及び分析が行われ、適時、担保物件及 び保証機関又は保証人の保証履行能力の評価等が行われたか。二つ目の○、年金住宅融 資等債権について、年1回、回収の難易度に応じた債権分類の実施又は見直しが行われ たか。三つ目の○、転貸債権に係るローン保証会社について、年1回、保証履行能力の 把握及び分析が行われたか。この三つの視点により、業務の評価を行っていただければ と思います。  6ページ、(2)着実な債権回収に関する事項について、年金住宅融資債権について適 時、的確に回収を行うことにより、延滞債権の発生の抑制に努めることや、延滞債権に ついて早期の債権回収に努めることを中期目標として掲げております。  また、なお書き以下の部分でございますが、国民年金の被保険者等に対しては、住宅 金融公庫の住宅融資とあわせて融資しているところでございます。この融資に係る債務 保証については、現在、公庫住宅融資保証協会において行っておりますが、平成18年度 末をもちまして解散することから、保証業務を平成19年4月に設立されます住宅金融支 援機構に引き継ぐこととされております。保証業務について従来どおりの確実な債務保 証の仕組みを維持するという観点から、当該債権の一部を住宅金融支援機構に譲渡し、 そこから生まれる利益をもって保証業務を行ってもらうこととして、適切に対処するこ ととしております。  7ページ、評価の視点(案)の上段でございますが、評価の視点(案)として、一つ 目の○、年金住宅融資等債権について、担保や保証の状況等に応じて適時的確に債権回 収を行い、延滞債権の発生の抑制に努めたか。二つ目の○、延滞債権について、貸付先 に対する督促、保証機関又は保証人に対する保証履行請求及び担保物件の処分等を適切 に行うことにより、早期の債権回収に努めたか。三つ目の○、転貸法人に対して必要な 助言等を行ったか。四つ目の○、国民年金の被保険者等に対して住宅金融公庫による住 宅融資と併せて行われた年金住宅融資に係る債権に関し、関係行政機関と緊密に連携し つつ、独立行政法人住宅金融支援機構による債務保証の仕組みを維持するために必要な 範囲内で債権譲渡が行われるよう適切に対処したか。この四つの視点により業務の評価 を行っていただければと思います。  続きまして6ページに戻っていただいて、中期目標の下段、10「承継教育資金貸付け あっせん業務」についてでございます。この業務は,年金被保険者の子弟の教育のため の融資を国民金融公庫等において実施しており、それに係るあっせん業務を福祉医療機 構において行っております。あっせん業務を行う際、制度の周知を図ること及び制度に 関する照会等に適切に対応すること。その適切な業務実施に努めることを中期目標とし て掲げておりますが、これについては7ページの評価の視点(案)の下段でございます が、評価の視点(案)といたしまして、一つ目の○、教育資金貸付けを受けることにつ いてのあっせんの申込資格要件等の周知が図られたか、二つ目の○、教育資金貸付けを 受けることについてのあっせんに関する照会等に係る受託機関用手引書の改訂等が行わ れ、制度に関する照会等への適切な対応が確保されているか、の2点により業務の評価 を行っていただければと思います。  以上でございます。 ○橋本部会長  ありがとうございました。ただいまの御説明でございますが、中期目標に関連して評 価の視点を定めていくということでございますが、何か御意見、御質問はございますで しょうか。 ○石井委員  多分、この後、総合機構さんの件もあって時間がなかなかないのだと思いますので、 お願いということで、今日である必要は全くないのですが、今、評価の視点を見せてい ただいたときに、従来、この機構が行ってきた一般会計における対病院あるいは介護施 設等向けの融資とはかなり違う視点での対応があるようで、御説明いただいた文書の中 に聞き慣れない言葉が非常にたくさん入っている。受託金融機関とかローン保証会社と か転貸法人とか、かなりいろいろな新しい用語が出てきていまして、今日に限らずで次 回でかまわないのですが、全体的に承継債権管理回収勘定におけるところの、新規では ないけれども従来行われてきた貸付けのスキームみたいなものの概要説明のような書類 というのでしょうか、イメージを、できれば一度御説明いただいた方がいいのかなと。 最終の評価はまた来年になるかと思いますが、開始貸借対照表をお出しいただいている ので、中身的には総額4兆円を超える資産総額の引き継ぎということになりまして、政 府出資が3兆7000億円と、なかなかおもしろいパターンのバランスシートになるかと思 うのですが、全体としての概要のイメージを理解するための説明をぜひ一度どこかでや っていただいた方がいいのかなと思いました。 ○橋本部会長  それは、石井委員さんの具体的にこういうもの……。 ○石井委員  私だけではなくて、この場で全員に対してそういうことを一度していただいた方がい いのかなというお願いでございます。 ○橋本部会長  この場ということではなかなか難しかろうと思うのですが……。 ○政策評価官  委員の御指摘はそのとおりでございまして、一度、承継した業務の概要についてこの 場できちっと御説明する必要があるかなと思っております。きょうは評価の視点を御審 議いただくわけですが、これを踏まえて、この夏に、本年度のこの業務についての評価 をしていただくことになりますので、そのときにあわせて、こういう業務のスキームで やっております、そして、その中で平成18年度はこういう形でやりました、ということ であわせて御説明を申し上げるということでいかがかと思うのですが、そこを御審議い ただければと思います。 ○橋本部会長  今、評価官の御説明がございましたが、そういう形でよろしいですか。 ○石井委員  はい。 ○橋本部会長  ほかの皆さんもよろしゅうございましょうか……。それでは、そういうことでどうぞ よろしくお願いいたします。  そのほかにもたくさん御質問もおありだろうと思いますので、おっしゃっていただき たいと思います。いかかでしょうか……。なかなか十分にわかりにくいところもござい まして、ひょっとしたら質問の出しようもなかなか難しいのかもしれません。よろしゅ うございましょうか……。  それでは、ただいまの評価の視点の変更(案)につきましては、この部会としては承 認をする。後日、御質問に答えていただく機会をつくっていただくことを前提にいたし まして、この(案)については了承することにしたいと思いますが、御異存はございま せんか。 ○政策評価官  基本的には、この評価の視点変更(案)については、この夏に御評価をいただく前提 で、その場でもう一度御議論いただいて、細かな文言なり、こういうことを入れた方が いいのではないかという御意見をいただく余地はまだございますので、この夏に全体の スキーム、そしてもう一度これについて簡単に御説明をした上で具体的に評価をいただ いて、その中でもしこの評価の視点(案)そのものをまた直した方がいいのではないか というような御意見があれば、それは事務手続上は問題がございませんので、そういう ことをお含みおきいただければと思います。 ○橋本部会長  では、ただいまの評価官の御説明がございましたが、私どもはきょう、原則としてこ の評価の視点の変更を了承する。そして、後日また御説明をいただく。その上でもし問 題があれば、この評価の視点の変更について、そのまた変更をお願いすることもあり得 るということで、今日はそういう約束にしたいと思います。  あとは、この後、いろいろと課題がもし出てくれば、後日検討することとしたいと思 います。よろしゅうございましょうか。事務局、その辺でよろしゅうございますか。あ りがとうございました。  それでは、福祉医療機構の最後の議題でございますが、資料5でございます。役員の 御退職に伴う案件でございます。退職金に係る業績勘案率について御説明いただきたい と思います。 ○政策評価官室長補佐  それでは、事務局から御説明いたします。独立行政法人制度における役員の退職金手 当に係る業績勘案率制度については、既にこれまで何度か御説明いたしておりますので、 本日、制度についての説明は省略させていただきます。必要に応じまして、参考資料の 4をご覧いただければと思います。  資料5を御用意いただければと思います。1ページに、独立行政法人福祉医療機構か ら提出されております役員の退職に係る業績勘案率の算定依頼と、2ページ以降は、事 務局で作成いたしました業績勘案率の案でございます。今回、御審議いただきますのは お一人で、荒賀泰太理事でございます。在職期間は、平成15年10月1日から平成18 年11月30日までの3年2カ月間となっておりまして、総務部、企画指導部、保険部及 び年金貸付部を御担当されていた理事と伺っております。  2ページの下に※を付して注釈を入れてございます。最後の行でございますが、こち らの文言については、平成15年の12月の閣議決定に基づきまして、平成16年1月1日 以降に限り適用、という整理をしております。したがいまして、本日、御審議いただき ます業績勘案率の対象期間としては、平成15年10月1日から平成15年12月31日を含 まない平成16年1月1日から平成18年11月30日までの2年11カ月間の期間というこ とになります。  続いて3ページは、平成15年度における個別項目に関する評価結果を添付してござい ます。荒賀理事の業績については太線で囲っておりますので、ごらんいただければと思 います。  4ページ以降は、平成16年度以降の業績を添付いたしております。御説明は省略した いと思います。  2ページの「業績勘案率について」の(5)で、事務局としては業績勘案率を1.0と 試算してございます。算定期間が平成16年1月1日から平成18年11月30日までとい うことでございますので、既にこの部会においては評価は確定していただいております 平成15年度から平成17年度の法人全体の評価結果に基づく業績勘案率の平均値として は、2の(1)にございますとおり、平成15年度は1.42、平成16年度は1.42、平成 17年度は1.50とそれぞれの整理に基づきまして、分類を1.0、1.0、1.5という率を試 算の途中経過として整理してございます。  平成18年4月1日から平成18年11月30日までの8カ月間については、年度評価が 未実施でございます。これについては、ルールに基づきまして比較考量をしながら、特 にあればそれを加味するということでございます。ですが、本日、事務局としましては、 平成17年度の実績とは別に特段ここで物言いするだけの材料を持ち合わせておりませ んので、これまでのルールに沿って直近の実績とほぼ同水準とみなしまして、平成17 年度と同じく1.5と置かせていただいております。  この考え方に基づき整理したものが、(5)の二つ目の・「試算」になります。この結 果によりまして1.0と試算してございます。  また2ページの(3)でございますが、別のルールといたしまして、「当該退職役員の 在職期間における目的積立金の状況等」というものがございます。この期間において、 当該法人における目的積立金は積み立てられておりませんので、目的積立金はない、と 整理させていただいております。  また(4)で、本日までのところ、福祉医療機構から特別、退職役員に対する職責事 項の申請はございません。評価委員の方々からこの場で特段の御意見があれば申し出て いただくという形にさせていただければと思っております。  以上、(4)の委員の皆様方の申し出のところは、本日の御議論を踏まえてということ になりますが、事務局で試算いたしますと、業績勘案率については1.0というのが試算 結果であるということでございます。  事務局からの説明は以上でございます。 ○橋本部会長  ありがとうございました。こうした退職金にかかわる業績勘案率というのは、私ども の部会としては前にも同じような作業をしているところでございます。一定のルールに のっとって計算をしてくださったということで、1.0ではどうかという案をお示しいた だいたわけでございます。何か御意見、御質問がございましたらどうぞ……。よろしゅ うございましょうか。  それでは御異存はないようでございますから、私どもの部会の意見としては原案どお り1.0とすることにいたしまして、総務省の政策評価独立行政法人評価委員会あてに通 知することにしたいと思います。ありがとうございました。  これで、きょうの福祉医療機構から出ております案件についてはおしまいということ でよろしゅうございますか。 ○政策評価官室長補佐  本日お決めいただきました業績勘案率につきましては、厚生労働省の独立行政法人評 価委員会から総務省の政独委委員会あてに通知をさせていただきます。なお、総務省の 政策評価独立行政法人評価委員会からの意見に照らし、業績勘案率の再算定の必要がな いと認められる場合については、部会長が業績勘案率を最終決定できることとなってお ります。その場合には、部会長に御了解をいただいた上で、法人に対し業績勘案率を通 知することといたしたいと思います。 ○橋本部会長  それでは、そういうことでお進めいただきたいと思います。それでは、どうも長いこ と、御説明ありがとうございました。  では、ここで総合機構さんと入れかえになりますが、私どもも5分ぐらい休憩いたし ましょうか。それでは、25分には始めることにしたいと思います。 (休憩) ○橋本部会長  それでは、皆さん、おそろいになられましたから、審議を再開したいと思います。  きょうの最後の議事ですが、ボリュームがありそうでございますが、6番目「医薬品 医療機器総合機構の中期目標及び中期計画の変更について」でございます。それでは、 御説明をお願いいたします。 ○医薬食品局総務課長  医薬食品局の総務課長の中澤でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。私 から、まず今回の中期目標、中期計画の変更の経過、それから国側として中期目標の変 更の内容について御説明をしたいと思います。資料6−1「医薬品医療機器総合機構の 中期目標及び中期計画の変更(案)の概要」に即して御説明をいたします。  改正項目でございますが、ここには四つございますが、後でもう一度、改正理由のと ころで御説明いたしますが、承認審査の一層の迅速化とそれに伴います審査員の増員と いうのが内容でございます。改正項目は四つございまして、業務運営の効率化に伴う経 費削減等に関する記載の追加、承認審査の迅速化に関する記載の追加、中期計画予算等 の変更、人事に関する記載の変更と、いずれも審査員の増員に伴うものでございます。  今回の改正の理由でございますが、我が国の医薬品の承認審査について欧米諸国に比 べて時間がかかるといった指摘がございます。その結果、欧米で既に承認されている有 効な医薬品が我が国の医療の現場でなかなか使えない。これはドラッグラグという言い 方をいたしますが、そういったことが指摘されているところでございます。機構におい ては、平成16年4月の発足以降、審査体制の充実に努めてきたところでありますが、今 回、審査体制のさらなる充実強化が求められているということで、対応したいというも のでございます。おりしも、総合科学技術会議の意見具申がございまして、当機構の治 験相談や承認審査の遅延を解消するため、審査人員をおおむね3年間で倍増するとの提 言がなされたところでございます。  資料が飛びますが、参考資料5で総合科学技術会議の意見具申の抜粋でございます。 1ページの目次をご覧いただきますとわかりますように、全体的な総合科学技術政策に ついて幾つかの提言があるわけでございます。この総合科学技術会議といいますのは、 政府横断的な大所高所からの科学技術の振興方策について議論をし提言をしていくもの でございまして、最後のページにございますが、議長は内閣総理大臣でございます。そ の他の関係大臣、それから学識経験者が入っているものでございます。ここの総合科学 技術会議から、昨年末に審査の迅速化と審査員の大幅増が提言されたものでございます。  こうした状況を踏まえ、今般、国の中期目標、それに伴う機構の中期計画の改正を行 いたいというものでございます。今回の改正は、期間は2年間になります。現在の中期 目標、中期計画は平成16年度から平成20年度でございますので、残り2年、平成19 年度、平成20年度の変更となります。こういうあと2年を残すところで出てきた話でも ございますので、承認審査の迅速化と人員増に伴う必要最小限度の変更という整理をし たものでございます。  次に2ページ、「改正の内容」というところで、国の目標の改正部分について御説明申 し上げたいと思います。業務運営の効率化に伴う経費削減等に伴う記載の追加というこ とで、一つは、平成19年度から発生する一般管理費の削減目標を追加するというもので ございます。アでございますが、現在も一般管理費については平成15年度と比べて5年 間で15%の額の削減ということが記載されております。今回、残り2年となるわけでご ざいますが、平成19年度から発生する一般管理費については中期目標の終了時に平成 19年度と比べて3%程度の額を削減する、そういうことを記載するということでござい ます。  もう一つは事業費でございます。今、一般管理費で申し上げましたが、次は事業費で、 これは全体5年間で5%でございますので、1年分ということで1%程度の額を削減す るというものでございます。  次は4ページ、「承認審査の迅速化に関する記載の追加」でございます。上の中期目標 の最後で、「また、総合科学技術会議の意見具申に基づき、承認審査の迅速化に取り組む こと」、これを追加したということでございます。  次は6ページですが、ここは中期目標については改正点はなしで、中期計画について は、後ほど説明がございますが、改正点があるところでございます。  最後に7ページ、(4)「人事に関する記載」でございます。中期目標の中に追加して ございまして、もともと「適切な人員数を確保すること」となっておりましたが、「また、 総合科学技術会議の意見具申に基づき、必要な審査人員数を確保すること」というのを 追加をしたものでございます。  以上でございます。 ○橋本部会長  ありがとうございました。どうぞ、御質問、御意見がございましたらお願いいたしま す。 ○遠藤部会長代理  これがプレゼンテーションのすべてと考えてよろしいわけでしょうか。 ○橋本部会長  一部ですね。 ○遠藤部会長代理  一部ですか。この増やすことの背景であるとか、具体的にどういうことをするのかと いうような御説明は入っていなかったわけですが、それは質問の中に、あるいは後でま とめて出てくるのですか。 ○医薬食品局総務課長  よろしければ、内容の詳細は中期計画になりますので、引き続きまして機構から御説 明させていただきたいと思います。 ○橋本部会長  それがいいですね。どうぞ続けて機構からお願いいたします。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  医薬品医療機器総合機構の理事長の宮島でございます。どうぞよろしくお願いいたし ます。  今、厚生労働省からも御説明がございましたが、今回の改正の大きな背景としては、 いわゆるドラッグラグということが大変大きな社会問題になってきていることが一つで ございます。このドラッグラグの問題は、日本の患者の皆さんにとりましても、有効な 新薬がすぐ使えないという意味で非常に不利益な問題でありますし、また、同時に多額 の投資をして苦労して開発いたしましたメーカーにとりましても、日本のマーケットに すぐ出せないという意味で、二つの大きな不利益があるわけでございます。  このドラッグラグの要因としては大きく二つあると思いますが、一つは日本の治験環 境が非常によくないことと、もう一つは、承認審査に非常に時間がかかること、大きく はこの二つであろうかと思います。  一つ目の治験環境の問題につきましては、医薬品の開発が大変グローバル化している 中で、国際共同治験というものが大変浸透してきています。しかしながら、日本は治験 環境がよくないために、残念ながら国際開発に最初から参加できないという問題があり まして、このため、欧米に比べて日本での承認申請が大幅に遅れる結果になります。御 案内のように今、厚生労働省では、第2次の治験活性化計画を策定いたしまして、治験 環境の改善に取り組んでいるところと聞いております。  第2の承認審査時間の問題でございますが、これはまさに審査業務を担当いたします 当機構の問題でありますが、当機構といたしましては、平成16年4月発足以来、審査期 間の短縮を図るため、審査体制の充実強化に努めてまいりました。しかしながら、審査 人員は欧米に比べてはるかにまだ少ない状況でございますし、審査業務はどんどん増加 しておりますし、専門性も非常に高度化しております。こうした状況にも十分いまだ対 応できていないのが現状でございます。このため、関係方面からもかねてより審査体制 のさらなる充実強化を強く求められていたところでございます。  こうした状況を踏まえまして、先ほど御説明がありましたように、昨年末に総合科学 技術会議の意見具申において当機構の治験相談や承認審査の機能強化のために、審査人 員をおおむね3年間で倍増するという提言がなされたところでございます。大変急な話 ではありましたが、これを受けまして当機構といたしましては、今後取り組むべき主な 内容について厚生労働省を中心に関係方面と精力的に調整、整理してまいったところで ございます。  その結果、今回の大幅増員に伴う当機構の機能充実強化によりまして、我が国のドラ ッグラグを5年後には欧米並みに短縮するという大変思い切った目標を設定して取り組 むことにいたしたところでございます。  その主な内容といたしましては、第1に、平成19年度から平成21年度までの3カ年 で新医薬品の審査スタッフを中心に236名を増員するということです。さらに、職員の 専門性を高めるために、アメリカのFDA等を参考にいたしまして研修プログラムを導 入することにしております。  第2に、審査の現状をみてみますと、審査に入りましてから、申請者との間で大小含 めまして非常に多くのやりとりがあります。それらに多くの時間を割いていることが審 査の時間をやや遅らせている大きな原因ではないかと考えています。このため、今後は こうしたやりとりをできるだけ承認申請前の相談段階に前倒しいたしまして、早い時期 から医薬品の有効性、安全性に関する事前評価を行って、審査段階に入ってからは本質 的な事項を絞って重点的に審査する、こういう仕組みにしたいと考えております。  このため、現在、需給ギャップの大きい新医薬品に係る治験相談の処理能力を大幅に 高めまして、承認申請前の相談業務を質量ともに大幅に拡充しているところでございま す。また、審査の進捗状況を常にきちんと把握して進行管理を的確に行うため、プロジ ェクトマネジメントといった制度も導入することを予定しております。  第3に、安全対策業務について、現在は、承認後、市販されて初めてスタートすると いう状況がございますが、今後は、治験相談、審査段階から市販後の安全監視計画を見 据えた助言指導を行うことも取り組んでまいりたいと思っております。  第4には、審査の透明性を高めるために審査基準を明確化いたしますとともに、グロ ーバル開発の進展に伴い国際共同治験を推進するためのガイドライン、ガイダンスを整 備することとしております。  これらの項目は、平成19年度から23年度の5カ年を見据えて計画しておりますが、 現在の第1期中期計画は残り2年でございますので、第1期中期計画と次の第2期中期 計画にまたがる形になっております。したがいまして、今回は第1期中期計画の残りの 2年、平成19年度、20年度に行う事項について第1期中期計画の改正を行うことにし ているところでございます。  また、新たな人員増に伴います財源については、新医薬品の審査手数料と相談手数料 の引き上げで対応することしております。  なお、今回の増員に伴う当機構の機能強化は、基本的には新医薬品の審査を重点に行 うこととしておりますので、それ以外のジェネリック医薬品や医療機器、GCP、GM P調査業務、こういったものについては当面は第1期中期計画の目標達成に向けて必要 な体制整備を可能な限り行うことにしておりまして、第2期中期計画以降のあり方につ いては改めて検討することになると考えております。  第1期中期計画の改正案の詳細については、引き続き担当理事から御説明申し上げま すが、委員の皆様方からは忌憚のない御意見を賜りまして、今後の業務運営に反映させ てまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。どうもありが とうございました。 ○橋本部会長  どうぞ、続きましてお願いいたします。 ○医薬品医療機器総合機構理事(総合調整担当)  理事の山田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  お手元の参考資料の6をお開きいただければと存じます。これまで説明のありました 増員による承認審査の迅速化の取り組みということで資料を御用意しております。1ペ ージをお開き下さい。  まず、ドラッグラグの現状ですが、図をご覧下さい。日本の場合、平均して世界初上 市から1417日、約4年遅れて上市をされております。最も遅れの少ないアメリカは505 日、約1.5年です。したがいまして、アメリカと日本で約2.5年、ドラッグラグ、差が あるということです。  2ページは、新薬の承認審査の期間、中央値で、これもアメリカと比較したものです が、左側の図の通常審査品目について審査期間が書いてございます。棒グラフは審査側 の期間を示したものですが、左側の濃い方が日本、右側がアメリカです。2005年はやや 開いておりますが、こちらはそう大きな差はありません。  一方折れ線グラフの方は、●が日本、▲がアメリカです。2004年、2005年をご覧いた だきますと、日本が大体24カ月、アメリカが12カ月ということで、約1年開いており ます。右側の優先審査品目については、これは年によって差がありますが、やはり若干 差があるということです。  そういう現状を踏まえまして3ページですが、ドラッグラグの短縮にどのように取り 組んでいくかということです。今後5年間、具体的には2007年度から2011年度、平成 19年度から平成23年度になりますが、ドラッグラグ、先ほど1ページで御説明しまし た2.5年短縮したい。具体的には開発期間の方で、申請前ということになりますが1.5 年、申請があった後、承認審査期間で1年、合わせて2.5年短縮をしたいということで す。  左側の開発期間については、申請前の相談を質量ともに充実をさせる。審査基準を明 確化し、国際共同治験をさらに推進する。また、あわせて治験相談段階から市販後の安 全監視計画に対して助言指導するということで、審査の迅速化にあわせて安全対策もき ちっと組み入れたいと思っております。  右側の承認審査の期間ですが、事前審査を充実してまいりますと、申請後の審査業務 の効率化を図れると考えております。また、審査業務プロセスの標準化、効率化等の改 善を図ることとしておりまして、審査チームはおおむね倍増する。また、プロジェクト マネジャー制度を導入する。さらにはトレーニングの拡充でスキルを向上する。そのよ うな取り組みをして、総審査期間を、国内での通常品目の総審査期間ということで考え ておりますが、1年短縮をする。こちらについても、安全対策についてはきちっと組み 入れたいと考えております。  4ページは、年度別に、一番右側に2.5年短縮をすることに向けて、それぞれの年度 でどのように取り組んでいくかをまとめたものです。2007年度、2008年度までが現中期 計画の期間となります。2009年度以降、次期中期計画になりますが、そういう意味では 年度をまたがって今後5年間で2.5年短縮したいということです。  人員については、今後3年間で236名を増員するということで、2007、2008年度で138 名を予定しております。  研修については、FDAを参考にして研修プログラムをつくり、早期に導入をし、拡 充をしていきたいと思っております。  先ほど御説明しました事前相談の関係等ですが、こちらについては2008年度に新たな 審査相談体制に向けたガイダンスを整備する。相談可能の件数について、今は280件程 度ですが、420件程度にまで大幅に増加をする。申込の待ち時間は、現行では3カ月で すが、これも2カ月程度に短縮をする。これを2008年度には行いたい。その後、拡充を してタイムリーな相談ができるようにもっていきたいと考えております。  プロジェクトマネジメント制度についても、2008年度に導入をし、その後、展開をし ていきたいと思っております。  国際共同治験のガイダンス、審査基準の明確化については、2007年度に整備をしたい と思っております。  今御説明申し上げました2007年度、2008年度の関係について、後ほど御説明申し上 げます中期計画の改正の案の中に盛り込んでございます。  5ページは、こうした取り組みをする増員に伴って、人件費、物件費が増額いたしま すが、これについては審査の手数料、相談手数料の改定で対応することにいたしており ます。こちらの説明は省略をさせていただきます。  次に、資料6−1と6−3で具体的な中期計画の変更の内容です。先ほど説明があり ましたが、6−1で改正項目が主に4点あるということです。業務運営の効率化に伴う 経費の節減が1点、承認審査の迅速化に関する記述、これは今、御説明しました資料の 4ページの2007年度、2008年度の取り組みを記載するということです。それから、増 員に伴う予算等の変更、4点目が人事に関する記載ということで、増員の関係です。  資料6−3の新旧対照表です。右側が改正後の案ですが、第1の(2)「業務運営の効 率化に伴う経費節減等」のアの(4)総合科学技術会議の意見具申に基づき承認審査の迅速 化に取り組むことに伴い、平成19年度から一般管理費が発生します。一般管理費につい ては5年で15%ということですので、1年では3%になりますので、平成19年度と比 べて3%程度の額と書いてあります。  イの(4)、事業費については1%の額ということです。  3ページのエですが、行政改革の重要方針で人件費について、平成18年度以降5年間 で5%以上削減をすることになっております。そこで期初の人件費をどうとらえるかと いうことで、左側の旧の方を見ていただきますと、期初の人件費として現行の346人掛 ける平成17年度1人当たり人件費としておりますが、これを改正後は582人、これは 346人に今後3年間の増員の236名を足した数でございますが、それに平成17年度1人 当たり人件費を掛けたものを期初の人件費にするということです。  ただ、中期計画、現行の計画期間中までは2年ですので、この2年で138名増員をす ることにしておりますので、346足す138人で、484人掛ける平成17年度の1人当たり 人件費が現計画期間の最終年度までの間の期初の人件費ということになります。  次に承認審査の迅速化の関係の取り組みについて、4ページのアで、先ほど御説明し ました平成19年度に審査の基本的考え方を明確化する、あるいは治験相談段階から有効 性、安全性に関する評価を行う仕組みを平成21年度から導入するということで、それを 平成20年度中には整備をする。一番下でございますが、国際共同治験の実施を推進する ということでガイダンスを平成19年度中に整備するということです。  5ページは、平成20年度にはプロジェクトマネジメントを導入する。さらには治験相 談の関係、平成20年度に年間420件の処理能力を確保するということで、拡充するとい うことです。また、治験相談の申込から対面相談までの期間を2カ月程度に短縮するこ ととしております。  (2)のアとして、新たな研修プログラムを平成19年度中に整備をするということを 記載しております。  6ページ、第3の予算等の関係。これは後ほど御説明をいたします。  7ページ、人事に関する事項でございます。イは審査部門の常勤職員の増員を行うと いうことで、人事に係る指標346人に対して、先ほど御説明しました今後2年間で138 名増員するということで484人。その後1年の分を入れますと、346足す236人の増員 で582人、それが上限となります。  8ページ、その増員に伴いまして人件費の総額が増加いたしますので、その増員後の 人件費の総額を記載してあります。  9ページからが予算等の関係です。  まず予算についてはいろいろな勘定がありますが、今回、変更しますのは新薬の審査 関係の職員の増員ということで、審査等勘定のうちの審査セグメントの関係のみの改正 となります。右側の審査等勘定の欄になります。変更したところはアンダーラインがあ ります。  主なところを御説明いたしますと、収入については、先ほど手数料を改定するという ことで申し上げました増員に伴う経費を賄う手数料を改定しておりまして、収入が増加 しております。  支出の方で、一般管理費、人件費、これも増員に伴って増加をいたしております。  一方で業務経費については、167億から162億ということで5億円程度減になってお りますが、こちらは主に二つの要因があります。一つは、GMPの関係で海外の実地調 査がありますが、その申請見込みの件数が当初予定していたより大幅に少なかったこと、 それから、既定経費の見直しで節減に努めてまいっておりますので、その関係で業務経 費、増員の関係でシステム関係経費と増加要因ももちろんございますが、一方でそうし た減も大きくありますので、それで若干の減になっております。  10ページは収支計画です。こちらについては、後ほどまた御説明をいたします。  11ページは資金計画。ポイントのみ御説明をいたしますと、業務活動に関する支出が 424億円。これに対して資金収入、業務活動による収入428億円ということで、左側の 現行の資金計画もそうですが、改正後も業務活動による収入が業務活動による支出を上 回っているということで、資金計画上は収入が支出を上回っているということです。  先ほどの収支計画については、1枚紙でお手元に御用意いたしました収支計画審査等 勘定増減内訳で御説明をさせていただければと思います。  まず費用の部ですが、経常費用として審査等事業費、これは△12億円となっておりま すが、これは先ほど御説明申し上げましたGMPの海外の実地調査の関係の減、それか ら既定経費の見直しによる減が大きな要因です。一方で、一般管理費、人件費、それか らシステム開発等を行いますので減価償却費、こうした費用については増額になってお ります。  一方、収益の部ですが、経常収益として手数料収入、こちらは手数料改定に伴う増と いうことで、増になっております。  以上、御説明申し上げました。よろしくお願いいたします。 ○橋本部会長  ありがとうございました。中期目標の変更(案)の新旧対照表のところの御説明はよ ろしいのでしょうか。 ○医薬食品局総務課長  それでは、念のために申し上げたいと思います。  改正のところは何カ所がございまして、これは資料6−2でございます。先ほども申 し上げましたが、一つは業務運営の効率化に伴う経費削減等ということで、平成19年度 から発生いたします一般管理費について、平成19年度と比べて3%程度の額を削減をす るというのを追加をしたものでございます。新しく発生する経費について、残りの期間 が1年なものですから、その分、3%削減ということでございます。  イは、事業費について1%の削減をするということでございます。  次が審査の関係で、総合科学技術会議の意見具申に基づき、承認審査の迅速化に取り 組むということでございますし、人事のところでは、必要な審査人員数を確保すること、 ということでございます。  以上でございます。 ○橋本部会長  ありがとうございました。それでは、大変たくさんの御説明をいただきました。最初 に医薬食品局総務課長さんから、今回の中期目標の変更について、背景と要点を御説明 いただきましたし、理事長さんからは、中期目標、そして中期計画の改正の基本的な考 え方について概略を御説明いただきました。それから、担当の理事さんからは細かい御 説明をいただきました。たくさんの御説明をいただきましたが、内容的には非常にわか りやすいことではございます。どうぞ、どこからでも結構でございますので御意見、御 質問をいただきたいと思います。 ○遠藤部会長代理  従前からドラッグラグの問題は我が国の大きな問題だと指摘されていて、FDA等々 と比較すると審査の人数が足りないなどということは随分前から言われたわけでありま すが、今回、これだけの増員をされるというお話ですので、ようやく大きく前進するな というふうに理解したわけであります。  そこで、この計画を実施していく上で2年半ぐらいを短くしようという話ですよね。 つまりアメリカ並みにしようということでありますが、審査そのものを短くしようとい うのは、ある意味でペーパーワークの世界もあるわけですから、努力をすれば1年分は 減らせるかもしれないのですが、開発段階でという話ですと、コンサルティングをしげ くやって、むだな治験をさせない、効率的にやろう、そういう発想ですが、同時に、治 験環境の問題がどのように改善しているのか、あるいはどういう施策が同時にとられつ つあるのか、というようなことを知りたいなというのが1点あります。これは総務課長 さんにお聞きするべきことなのかもしれませんので、これはあとでお話しいただきたい ということです。  あと、機構にお聞きしたいことは、ともかく増員をするわけでありますが、これは専 門家を短い期間に大量採用しようという話であります。そして、もともと製薬業界はメ ーカーの中では給与水準が比較的高い業界ですね。それと競合しながら優秀な人材を確 保していこうということでありますので、なかなか難しい局面もあろうかと思うのです が、その辺についてどういう状況にあるのか、あるいはどういうお考えであるのかとい うことをお聞きしたいということです。  もう一つは、非常に早い段階から密接に企業と関与しながらむだのない治験をして、 全体としては短縮していこう、そういう発想だと思うのですが、これはある意味で承認 をするという立場と、それから承認がうまくいくようにやりましょうという立場、同じ 組織がやるような形になりますので、これは当然そういう批判があるだろうということ で、重々その辺のチェックはされていると思うのですが、例えば、このおかしなデータ さえなければ承認になるのに、これがあるがために期間達成できないのではないかとか そんなことが起きて、このデータはアウトライヤーとして扱い、データとしては使うの はよそうとか、そんなことが夢にもあってはいけないわけでありますが、そういうこと に対してどういう体制整備を考えおられるのかということです。  この2点については機構さんにお伺いしたい、治験環境については総務課長にお聞き したいということで、以上3点御質問です。 ○医薬食品局総務課長  私から、治験環境について御説明いたしたいと思います。治験ですが、承認審査とい う形で出てくる以前の治験、病院の中での作業といいますのは研究開発という側面がご ざいまして、厚生労働省の中でいいますと別の部局が担当しているということでござい ます。そこは、治験を促進するため平成19年度からの5カ年の計画をつくりまして、平 成19年度には拠点病院を整備をしようということで予算も確保して、新しく動き始めた というところでございます。  もう一つ、薬事法の体系からみたときの治験のあり方というのはあるわけでございま すが、これについては、昨年の10月に私どもは大臣のもとで有効で安全な医薬品を迅速 に提供するための検討会というのをつくっておりまして、薬事法からみたときの治験の あり方についてどういう改善ポイントがあるのか、そういったところを今、鋭意議論を し、整理をしつつあるところでございます。夏前までには報告書といいますか取りまと めをいただいて、それを受けて新しく見直すなり改善していくなりしていきたいと考え ているところでございます。 ○橋本部会長  よろしいですか。 ○遠藤部会長代理  はい、結構です。 ○橋本部会長  では、あとの2点についてお願いいたします。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  まず第1点目のリクルートの問題なのですが、これは正直いいまして、3年間でこれ だけの人数、かつ一定レベルの専門、スペシャリストを集めなければいけないので、非 常に頭の痛い問題なのですが、機構発足以来、平成16年度から18年度にかけまして3 年間で、100名増員ということで取り組んでまいりまして、3年目に入ってほぼそれが 達成できました。これまでの実績からいいますと毎年大体30〜40名は採用してきたとい うことであります。  ただ、今回はその倍のペースでやらなければいけないということでありますので、大 変難しい問題ではございますが、我々としてはせっかくのこういう機会でありますので、 ぜひ優秀な人材を集めたいということで、リクルートのやり方も、リクルート大作戦と いいますか、全国的な展開をやって、一般的な公募以外に大学なり研究機関なり、関係 のところを足を使って回りながら、できるだけ優秀な人材を集める努力をしていきたい と思っています。  処遇についても、独法発足前は国の機関ということで国家公務員の給与体系に拘束さ れておりましたが、独法になりまして若干その点が弾力化しましたので、現在の給与水 準は以前の国家機関時代から比べますとかなりいい処遇になってきているかと思います。 ただ、トップレベルのメーカーに比べますとまだ低いことは歴然としておるのですが、 我々のできる範囲でできるだけの処遇をこれまでも改善してきているところであります。 ただ、採用した職員などについてみますと、もちろん給与水準というのは一つの大きな 要素ではありますが、業務自体のやりがいといいますか、そういう社会的な意義にひか れてきたという職員もおりますので、そういった面を今後も強調して、むしろそういう 志を持ったマンパワーといいますか、人たちが集まってきてくれるのではないかという ことに期待をかけながら、いろいろなルートを使ってアピールしていきたいと思ってい ます。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  2点目は審査の公正性の御質問だと思いますが、現在でも治験相談あるいは審査にお いては、チームを組んで、個人個人の審査員の裁量だけで左右されないような体制で臨 んでおります。さらに今度、治験相談の段階から事前評価というところを持ち出します と、さらに公正性といいますか透明性を確保するために何か考えなければいけないので はないかと思いますが、現在でも審査報告書という審査結果、どういう評価をしたのか というところについて、承認後、公表しております。公表することによって、何をちゃ んと見てやったのかということが国民に全部見えるわけでございますので、そこでしっ かりとした公正性は確保していけるのではなかろうかと、仕組み上はそのように考えて おります。 ○遠藤部会長代理   ありがとうございます。公正性については非常に重要な問題で、せっかくこういう大 きな一歩、二歩を踏み出しているわけですが、公正性の問題でつまずいてしまいますと システムそのものが完全に瓦解してしまうことになりますので、ぜひその辺は御注意い ただきたいと思います。  いずれにしましても、中医協の審議などをしていましても、日本のメーカーですら、 外国で上市したものが入ってきて値段を決めているという状態が非常に多いわけです。 外国に一回上市しますと、外国価格調整をやらなければいけない。それをやるかやらな いかで大体わかるわけです。やれば、必ず外国で一回上市したものだと。メーカー名を 見ると日本のメーカーだというのはいっぱいあるわけです。こういう状況になっていま すので、ぜひ2.5年の達成というのは実現して、治験の空洞化も防いでいただきたいと 思います。そういう意味ではエールを送りたいと思いますので、頑張ってください。以 上です。 ○橋本部会長  菅家先生は御専門のところだと思いますが、何か御意見はいかがですか。 ○菅家委員  私も審査官の人員増というのは諸手を挙げて賛成です。できるだけ早くということで、 どうして今までそういうことが大幅にといいますか、考えられなかったのかなというの は一つ、疑問に思っております。  一つお尋ねしたいのですが、3年間で審査官の数を倍増するということですが、人を 雇ってすぐにそれが審査実績といいますか審査の数に反映されるとは思えないのですね。 ですから、そこに1年、2年とかそのぐらいのラグが生じてくるのではないかと思うの ですが、こちらの資金の収入とか支出とかを見ますと、すぐにもそれが反映されている ように見えてしまうのですが、その辺はどのようにお考えなのでしょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長   おっしゃいますように、採用してすぐ明日から即戦力というわけにはいきませんの で、そこは先ほどの研修プログラムの話もありましたが、研修育成して育てるというこ とになりますと、一人前になるのは3年ぐらいはどうしてもかかる。したがって、採用 してからパフォーマンスが出るまで、そこのタイムラグがどうしても出てくるわけであ ります。  ただ、手数料の方は毎年改定していくというわけにもいきませんので、平成19年度か らの5カ年をタームに置きまして、5カ年の予想されます総費用の平均を出しまして、 それに見合う形の単価で設定していることになります。したがって、出だしのところは 生産性が悪いですから、人件費等がふくらんでやや赤字的な財政になって、後半、パフ ォーマンスがあがってきますと黒字になってきて、トータルとしてはプラマイゼロとい いますか、収支均衡にする。大きくはそんな形で手数料を設定しております。  ただ、手数料も基本的にはコストパフォーマンスとセットで調整しておりますので、 5年たった時点でどれだけのパフォーマンスがあって、また、財政状況がどうかという ことを見直して次の手数料等をどう設定していくのかという議論が、その都度行われる 形になると思います。もちろん5年たたなくても、毎年度、どのぐらいのパフォーマン スをあげているのかというあたりの評価もされますので、5年の途中であっても、もし 必要であれば改定を行うことも可能性はシステム上あり得ると思いますが、基本的には 5カ年という中で均衡する形で設定しております。  手数料は、ユーザー側からいえば1年目から高い手数料を払いますので、できるだけ 早くパフォーマンスを出してほしいという要求は非常に強くあるわけでありますが、私 どもとしては現実的には、これだけの人数を採用してすぐそれに見合うパフォーマンス を出すことは非常に難しいので、そこはある程度のタイムラグというのを御理解いただ いて、前半はなかなかパフォーマンスはすぐあがりませんが、2〜3年たって戦力が整 ってくれば、恐らく後半はかなり急激にパフォーマンスが上昇していくというトレンド を一応頭においてやっているところであります。  それから、採用もすべて新卒というわけではなくて、新卒が大体主流になるかと思い ますが、中途採用といいますか、中堅どころのマンパワーもできるだけいろいろなルー トから採用したいと思っております。 ○医薬食品局総務課長  御質問の前半部分についてお答えをしたいと思います。どうして今まで増員ができな かったのかということでございます。これは、国家公務員もそうなのですが、独立行政 法人も含めて厳しい定員管理が政府全体でなされております。かつまた人件費の総額に ついても、原則増やさない、むしろ削減するのだというような大枠がはめられておりま して、私どもの立場からはなかなか受け入れがたいことではあるのですが、これは政府 全体の方針ということであったわけで、その中で、先ほども申し上げました総合科学技 術会議の意見具申があって、これをきっかけとして関係省庁と協議をいたしまして、今 回の大幅増を実現したということでございます。 ○橋本部会長  よろしいですか。 ○宗林委員  開発期間の今、話題になっています質の向上ということについてが1点と、2点目は、 審査手数料が値上がりしたということについてです。  1点目の開発期間の方の質の向上ということでいろいろなことが、人を増員したりと か事前評価の取り入れとかというお話がありましたが、例えばもう少し具体的に年度ご とにどういうふうに評価していけばいいのかというところが、わかりにくいと思います、 例えば人材確保については、今、お話は伺いましたが、具体的に例えばFDAで働いて いる人を採用するとか、年代のピラミッドみたいなものもあるでしょうから、中堅どこ ろをどのように確保するのかなということ。  あとは、審査基準が個別対応のものはもちろん多いだろうと思いますが、審査基準と してここに5年間、線が引いてありますが、どのぐらいで審査基準が明確になるのかに よって、新たな申請者もより効率的に申請をできるのではないかと思うのですが、そう いったこと。  あと、手数料が大幅に上がるわけですが、申請者側が審査の質の向上ということをき ちんと受け取れるような形になっていくのかどうか申請者は言われるがままみたいな感 じがしますけれども、例えば治験相談の回数を十分に受けることによって、最終的には 期間短縮になるのでしょうが、それに至るまでの経過ということで、例えば事前評価を 受けることが非常に有効であったとか、あとは、治験相談が今までは申し込んでもなか なか応じてもらえなかったのが、今までよりは数回多く受けられるようになったとか、 そういった、開発期間の質の向上によっての期間短縮のところをどういうふうに、見せ ていただけるのかということが何かありましたら、それを伺いたいのが1点。  もう一つは、承認の手数料にかかわる費用が大幅に改訂になりましたが、これによっ て開発期間が縮まり、研究費用が縮減することで公定価格とか薬価とかにはもう影響し ないよということであるのか、あるいはそれが市場にも、市場を拡大するのにかなり無 理をするぐらいの動き、あるいは薬価を上げることにもつながるというような国民に対 する影響まで考えなくてもいいのかどうか。  ちょっと長くなりましたがこの2点を。 ○橋本部会長  ありがとうございました。要するに、審査の質をあげるための人材の確保策、そして 期間を短縮していくということをどのようにやっていかれるのだろうか。もう一つは、 今回やることによって薬価にどのように反映してくるのかというようなことですね。と ても簡単に言えば。要するに、消費者にとってどういうメリットがあるのか、逆にデメ リットがあるのかということをお聞きになりたいのだと思いますが、いかがでございま しょうか。 ○医薬品医療機器総合機構理事長  今回の計画を設定するに対しまして、先ほど御説明した参考資料6の4ページでござ いますが、最終的に5カ年後に目標とすべきパフォーマンス目標というのを設定してお ります。そこにありますように、審査のタイムクロックについてはトータル1年に短縮 することにしております。現在、審査の期間のみで12カ月というのを80%達成すると いうのが第1期中期計画の最終的な目標になっておりますが、今回のものは、審査側、 申請側を含めたトータルの審査期間を中央値で12カ月に短縮するという形にしており ます。  かつ、現在の第1中期計画の目標は優先品目と通常品目をミックスして混在した形の タイムクロックを12カ月ということで、そういう意味では従来から非常に中身がみえに くいというかそういう御指摘もありましたし、また行政側のタイムクロックだけですの で、トータルの審査期間がどうなっているのかというのがよくわかりにくいという御指 摘もありましたので、今回は新しく通常品目と優先品目を分けて、かつ審査側と申請者 側を合わせたトータルの審査期間を指標の前提に置いてセットした。そういう意味では、 中身が前よりはかなりクリアになってきているのではないかと思います。  それから、今回は最終的なパフォーマンス目標だけを用意いたしましたが、実はこれ をさらに各年度ごとにブレークダウンした指標をセットしておりまして、現在から各年 度の目標を設定して、そのプロセスを経た上で最終的にこの12カ月に至るという形のも のを整理しております。  一方で、実績については毎年度事業報告で出しておりますので、そういう意味では私 どもの実績と各年度で設定されました目標を突き合わせることによりまして、総合機構 がどういった仕事をしてきて、どれだけの成果をあげてきたのかというのが外からもみ える形でいろいろ評価していただくという形をとっていきたいと思っています。  今回の中でトータルの審査期間を短縮するということになりますと、これは審査側だ けではなくて申請者側も努力していただかなければいけない部分があるわけであります。  そのためには申請者側の消費時間も短縮するという意味では、先ほどもお話がございま したように、審査基準とかガイダンス、こういうものもできるだけ明確に外に示してい こうというのがございます。申請者側からみますと、どういう審査基準でどういう形で 審査されるというのが外からなかなか見えないので、そのあたりの予想がつきにくくて、 なかなか審査に対する対応が難しいという声も前からありましたので、申請者側にも審 査基準なりガイダンスを明確にして、申請者側もある程度、そういった認識の上で対応 できるという形にすれば、より効率化が図れるのではないかと思っております。  それから、多分これは大枠の目標設定の計画でありますので、実際に実行に当たりま してはいろいろな問題が絡んでくると思います。そういう点については、引き続き関係 者と問題解決に当たるためのディスカッションをやりながら、できるだけ早期に解決し て目標を達成していく、そういうシステムをつくっていきたいと思っております。  手数料の方でございますが、今回、かなり大幅な値上げとなりますが、結果からだけ みますと、現在の欧米の手数料水準から比べればまだそんなに高くないといいますか、 それほどの高い数字にはなっていないということと、それから、現在、日本の医療用の 医薬品の市場規模が大体5兆円ぐらいかと思いますが、そういったものに比較しますと、 今回の手数料値上げが即、経済的な意味であちこちに影響を及ぼすというスケールでは ないと思います。また欧米と比べて売上高比率でみましてもそんなに高くないレベルで ございますので、そういった波及的な影響は出ないと思っております。  以上でございます。 ○橋本部会長  宗林委員さん、よろしいですか。 ○宗林委員  要するに、概要を今、お聞かせいただいたということで理解しました。あと、もう少 し細かいことというか、具体的なことはこれからなのですよね、きっと。人材確保もそ うでしょうし、審査基準もこの期間内でどのぐらいで少しずつ整備されていくのかとい うあたりは、目標としての形はよくわかりましたので、またおいおいお聞かせいただけ ればと思います。 ○橋本部会長  何か補足の。 ○医薬品医療機器総合機構理事(技監)  今、審査基準につきまして、この傍線が5年間かかってつくるというふうに誤解され たように感じましたので、ちょっと説明いたします。この審査基準の明確化あるいは国 際共同治験のガイダンスについては、2007年度に1年間でつくってしまおうというもの です。そして、業界にもこれをお示しし、それに沿った開発を促進していこうという考 えでございますし、傍線のところは、それについてこちらから治験相談を通じていろい ろサポートしていきたい、そういう趣旨でございます。 ○橋本部会長  浅野先生、いかがでございますか。 ○浅野委員  その趣旨については特に異論はありませんし、特に産業振興という立場からこの迅速 化というのは非常に重要な問題です。ただ、1点、これは患者さんを含めて、患者さん の協力も得られなければいけないということなので、私どもはどちらかというと専門的 な会議でこういう議論をしていますが、患者さんが治験に参加していただけなければす べて迅速化というのは進みませんので、その辺がなかなか日本の場合、ネックになって いるということも聞いていますので、ぜひとも国民の視点で治験について理解がなされ るように、引き続き御努力いただければと思っております。以上でございます。 ○橋本部会長  浅野委員の発言は、議論の中でスポンと抜けてしまうところかもしれませんね。いい 御指摘だと思います。 ○遠藤部会長代理  先ほど、これが薬価への波及について宗林委員から御質問がありまして、私がお答え する立場かどうかはわからないのですが、たまたま中医協の薬価制度部会の部会長をし ておりますので、現行の薬価の決め方からいいましても、恐らくほとんど影響はないだ ろうと考えます。まず、総開発費に占める割合からいえば、そんなに大きな額ではない ということが一つでありますし、海外でコストがかかっても上市をしているということ を既に製薬会社はやっているわけでありますね。何よりも制度的に新薬の薬価の決め方 は2通りしかないのです。類似薬効比較といって似たような薬と比較をして、それのど のぐらい優れているかというので多少それに上乗せをするというやり方と、もう一つは、 比較する薬がない場合には、原価計算方式といって、どのぐらい原価がかかったかたと いうやり方で、2通りしかないわけなのです。  もともと類似薬効比較の場合には、これによって新薬の開発費がどれぐらいふえたか ということは反映されないわけです。効果のパフォーマンスをみて、どのぐらい従来薬 に上乗せするかという発想ですから、今回はその分野では関係ないわけです。もう一つ、 全く新しい場合で原価計算方式を使われた場合も、この医薬品をつくるためにこれぐら い原価がかかったという申請ではないのですね。原材料レベルのものは申請されるので すが、それに製薬会社の平均的な財務諸表を使って価格が決めていかれるというやり方 になるのです。  どういうことかといいますと、要するに開発費も、日本の製薬メーカーの平均的な開 発費率がオンされる。そういう形で計算しますから、個別個別の原価は反映されない。 ただ、そのうち、みんなこのやり方でなってくると、その開発費自体が原価計算方式の 場合には、開発費がもしかしたらちょっとだけふえるかもしれませんが、しかし広告宣 伝費と比較してもネグリジブルのような増額ですから、ほとんど影響はないだろうとい うのが私の考えです。  制度が変わったことによって薬価そのものを引き上げましょうという発想は、消費税 の導入のときはありましたが、それ以外のときには、例えば数年前に、治験を特定療養 費の対象にしたのですね。特定療養費というのは、混合診療の例外的な適用であります が、それまでは、治験と同時にほかの病気をしていた場合に、その病気の治療について も全額患者さんが負担しなければいけない。ただ、実質的には治験の場合は患者さんが 全額負担せずに製薬会社が全額負担していたわけです。  ところが、特定療養費にすることによって保険診療の部分は保険から出ますから、製 薬会社としてみれば本当に治験にかかった費用だけの負担をすればよくなったり、実際 に治験コストは下がっているはずなのです。そういうことがあったにもかかわらず、そ れを理由に薬価を下げたということもなかったと思いますので、今回のこの程度の制度 改正によって薬価そのものの水準を変化させるということは多分ないだろうと、私見で ありますがそんなふうに思います。余計なことを申しました。 ○橋本部会長  ありがとうございました。ほかにございませんでしょうか。よろしゅうございますか。 ……。  それでは、いろいろな資料もお示しいただきましたが、要するに安全な薬をいかに迅 速に開発していくか、そういう方向を目指して総合機構の中期目標、中期計画を変えて いくという案でございます。これにつきましてはいろいろ御質問、御意見がございまし たが、基本的にはこの案を認めることについては御異存がないように思いますが、よろ しゅうございましょうか。  それでは、この原案を私どもの部会としては承認をするということにさせていただき たいと思います。そして、どうぞあとは事務的な作業をお進めいただきたいと思います。  きょう、資料をいろいろちょうだいしましたし、特に中期目標、中期計画の新しい案 をお示しいただいておりますが、関係部署と御検討なさいますおりに字句の修正が起こ ってくるかもしれません。大きな変更でない限りにおいては私のところで調整をさせて いただきたいと思いますが、このことについても御了解いただけますでしょうか。あり がとうございます。  それでは、ちょうど予定の時間でございます。もう少し早く終わるといいなと思って おりましたが、やはり2時間半かかりました。きょう予定をしておりましたことはこれ で全部終わったかと思いますが、あとは事務局にお返ししたいと思います。 ○政策評価官室長補佐  委員の皆様の任期につきましてですが、本年6月29日をもって満了となっております ので、改めて委員の皆様方に個別に御相談させていただきたいと思います。  本日は、以上とさせていただきます。長時間にわたり御熱心な御審議をいただき、あ りがとうございました。 (終了) (照会先)  政策統括官付政策評価官室政策評価第2係  電話:03−5253−1111(内線7780)