07/03/12 平成19年3月12日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具容器包装・乳肉水 産食品合同部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具容器包装・乳肉水産食品合同部会議事録 ○日 時:平成19年3月12日(月)12:30 〜13:30 ○場 所:厚生労働省共用第8会議室 ○出席者: 委 員      <器具容器包装部会>      井口委員、河村委員、神田委員(兼任)、品川委員(兼任)、棚元委員、      西島部会長、早川委員、堀江委員(兼任)、望月委員、鰐淵委員    <乳肉水産食品部会>      石田委員、甲斐委員、高鳥委員、林谷委員、山本部会長     事務局  藤崎食品安全部長、松田基準審査課長、加藤課長補佐、近藤専門官 1.開 会 2.議 題  (1)乳及び乳製品の容器包装について    ・食品衛生法第18条第1項の規定に基づく牛乳、特別牛乳、殺菌山羊乳、成分調     整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳及びクリームにおけるポリエチレン     テレフタレートを用いる合成樹脂製の容器包装の規格基準設定について  (2)その他 ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品 衛生分科会、器具容器包装・乳肉水産食品合同部会を開催させていただきます。  本日はお忙しい中、お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願 い申し上げます。  部会の開催に当たりまして、まず、藤崎食品安全部長よりごあいさつを申し上げます。 ○食品安全部長 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会、器具・容器包装・乳肉水産食 品合同部会及び器具・容器包装部会の開催に当たり、一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、大変お忙しい中、また、年度末で何かと押し迫っております中、本日の会議 に御出席いただき誠にありがとうございます。また、併せまして、平素より先生方には 食品衛生行政の推進につき、種々御協力をいただいておりますことを、この場をお借り いたしまして厚く御礼申し上げます。  まず最初に、御報告を申し上げさせていただきたいと思います。去る1月24日に開催 されました薬事・食品衛生審議会総会におきまして、審議会員の改選等がございました。 器具・容器包装部会におきましては、委員の互選によりまして西島委員に部会長をお願 いすることといたしました。西島部会長におかれましては、部会の運営につき、よろし くお願い申し上げます。また、後ほど事務局から御紹介させていただきますが、今回の 改選により、新たに西島部会長を含め4名の先生方が部会委員として就任されました。  また、乳肉水産食品部会におきましては、委員の互選によりまして山本委員に部会長 をお願いすることといたしました。山本部会長におかれましては、部会の運営につき、 よろしくお願い申し上げます。また、後ほど事務局から御紹介させていただきますが、 今回の改選により、新たに2名の先生方が部会委員として就任されました。委員の皆様 方におかれましては、引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。  さて、本日の部会でございますが、本日の器具容器包装・乳肉水産食品合同部会にお きましては、牛乳等におけるポリエチレンテレフタレートを用いる合成樹脂製容器包装 の規格基準の設定について御審議いただくこととしております。また、合同部会終了後 には、引き続き器具・容器包装部会において、容器包装詰加圧加熱殺菌食品の容器包装 の強度試験及び器具・容器包装に用いられる合成樹脂ポリ乳酸に係る規格基準の設定に ついて御審議いただくこととしております。委員の先生方におかれましては、大変お忙 しい中でございますけれども、忌憚のない御意見等をいただけますよう、よろしくお願 い申し上げます。  以上、簡単ではございますが、開会に当たってのごあいさつとさせていただきます。 どうかよろしくお願い申し上げます。 ○事務局 ありがとうございました。  なお、本日藤崎部長につきましては、所用のためここで中座をさせていただきます。 ○食品安全部長 申し訳ございません。よろしくお願いいたします。 ○事務局 本日は、菅野委員、土屋委員、有馬委員、塩見委員、清水委員、中村委員、 伏谷委員、堀江委員より欠席の御連絡をいただいております。  器具・容器包装部会12名中9名、乳肉水産食品部会14名中9名の御出席をいただいて おり、両部会の委員総数の過半数に達しておりますので、両部会が成立しておりますこ とを御報告いたします。  なお、先ほど部長のごあいさつにもございましたが、器具・容器包装部会におかれま しては、西島部会長と3名の委員が、また、乳肉水産食品部会におきましては山本部会 長と2名の委員が新たに御就任されましたので、部会の開催に当たりまして、まず、御 紹介をさせていただきます。  器具・容器包装部会長になられました国立医薬品食品衛生研究所長の西島先生です。 ○西島部会長 御紹介いただきました西島でございます。  私は、去年9月から現在の国立医薬品食品衛生研究所の所長として着任いたしました。 このたび、この部会の部会長を仰せつかりました。この部会も新任でありますし、何か と不慣れなところが多々ございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局 ありがとうございました。  次に、新たに器具・容器包装部会に就任されました委員を御紹介いたします。  金沢大学大学院自然科学研究科教授の早川委員です。  山梨県衛生公害研究所生活科学部長の望月委員です。  大阪市立大学大学院医学研究科都市環境病理学教授の鰐渕委員です。  続きまして、新たに乳肉水産食品部会長になられました国立医薬品食品衛生研究所食 品衛生管理部長の山本先生です。 ○山本部会長 御紹介いただきました、国立医薬品食品衛生研究所の山本でございます。  今年から乳肉水産食品部会の部会長としてやらせていただくことになりました。部会 長は初めてですので、何分不慣れなこともあろうかと思いますけれども、皆様の御協力 のもと頑張ってやっていきたいと思います。どうぞ御協力よろしくお願いいたします。 ○事務局 ありがとうございました。  次に、新たに乳肉水産食品部会に御就任されました委員を紹介いたします。  東京都健康安全研究センターの甲斐委員です。  東京農工大学大学院助教授の林谷委員です。  ありがとうございました。  本日の合同部会の座長でございますが、器具・容器包装部会長の西島先生、乳肉水産 食品部会長の山本先生のいずれかにお願いしたいと考えておりますが、本日の議題が主 として容器包装に関するものでございますので、西島部会長にお願いしたいと考えてい るところでございますが、いかがでございましょうか。 ○事務局 ありがとうございます。  それでは、西島合同部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議に つきまして、よろしくお願い申し上げます。 ○西島合同部会長 それでは、御指名でございますので、この合同部会の座長を務めさ せていただきます。  早速ですが、議事に入りたいと思います。初めに、事務局から配付資料の確認をお願 いいたします。 ○事務局 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。  まず、お手元の議事次第でございます。こちらが3ページの資料となっております。 2ページ目に各委員の名簿、3ページ目に配付資料の一覧となっているものでございま す。  資料1−1が諮問書でございます。これは厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会の 会長あてに諮問を行ったものでございます。  資料1−2が、本日各委員に御議論をいただく部会資料となっているものでございま す。3ページから始まる資料でございます。  資料1−3が、11ページから始まっておりますが、食品健康影響評価の結果の通知で ございます。内容としましては食品等に使用されるポリエチレンテレフタレート並びに 乳及び乳製品の成分規格に関する省令に基づく乳製品及び調製粉乳に使用されているポ リエチレンテレフタレートの安全性が、現行の規格基準により確保されていることを前 提とし、容器に入った牛乳等が適切な条件下で管理される限りにおきまして、今回申請 されましたポリエチレンテレフタレートは、牛乳等に使用しても十分な安全性を確保し ているという結論でございます。  以降に評価書の内容が添付されております。  資料につきましては、以上でございます。 ○西島合同部会長 ありがとうございました。  資料の不足等がございましたら、事務局までお願いいたします。よろしいでしょうか。  それでは、審議に入りたいと思います。本日は、乳等のポリエチレンテレフタレート を用いる容器包装の規格基準の設定について御審議いただくことといたします。  それでは、続きまして、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料の説明をさせていただきます。  現行の食品衛生の確保体制につきましては、内閣府食品委員会における食品健康影響 評価というものがございまして、この食品健康影響評価を踏まえまして、厚生労働省な いしは農林水産省といったリスク管理機関でリスク管理措置を行ってゆく形になってお ります。ですので、本日の説明につきましては、資料1−3が食品安全委員会の評価書 になっておりますので、こちらから御説明申し上げたいと思います。  資料1−3、11ページでございますが、こちらが先ほど読み上げました食品健康影響 評価の結果の通知でございます。中身につきましては、記以下のとおりでございます。  具体的な評価の中身でございます。15ページをごらんください。冒頭に、審議の経緯 というものがございます。本案件につきましては、平成18年12月11日、厚生労働大臣よ り食品健康影響評価についての要請を行っております。これらを踏まえまして、食品安 全委員会におきまして検討が行われて、平成19年1月18日から国民からの意見・情報の 募集というものが2月16日まで行われております。このパブリックコメントを踏まえま して、平成19年3月6日で食品安全委員会委員長へ報告がなされており、平成19年3月 8日、第181回食品安全委員会におきまして報告がなされ、同日付で厚生労働大臣あて にその評価結果が通知されております。  評価の中身でございます。16ページ以降をごらんください。「1.はじめに」という 部分がございます。これは今般の評価に至る経緯等が書かれている部分でございます。 こちらに書いてございますとおり、乳等に用いられる容器包装というものにつきまして は、食品衛生法の中にございます乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の中で規格基 準が定められております。現在の乳等省令におきましては、牛乳、特別牛乳、殺菌山羊 乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、加工乳、クリームと言われているものに つきまして、内容物に直接接触する合成樹脂につきましては、ポリエチレン及びエチレ ン・1−アルケン共重合樹脂という2種類について使用できるものとなっております。 また、使用できる添加剤についても制限がなされております。  現在までに発酵乳や乳酸菌飲料、乳飲料、また調製粉乳と言われているものにつきま しては、ポリエチレンテレフタレートを用いた容器についての使用が認められていたわ けでございますが、先ほど御説明しました牛乳、殺菌山羊乳等につきましては、現在ま でに使用に係る要望がないということもございまして、検討がなされておりませんでし た。ですので、現時点で容器包装としての使用は認められていないというものでござい ます。  しかしながら今般、関係業界団体より当該合成樹脂、ポリエチレンテレフタレートを 牛乳等に使用できる容器包装として追加していただきたいという旨の要請書が提出され ました。これに基づきまして、厚生労働省から食品安全基本法第24条第1項の規定に基 づきまして、食品安全委員会に食品健康影響評価を行ったものでございます。  表1の上3行目でございますけれども、既に食品等に使用されているペットボトルが あるわけでございまして、並びに乳等省令に基づく乳製品及び調製粉乳というものに既 に使用されているペットの安全性が現行の規格基準により確保されているということを 前提条件といたしまして、提出された資料を検討の上、ポリエチレンテレフタレートを 牛乳等に使用した場合の安全性について評価を行うこととしたものでございます。  次に、17ページ以降にポリエチレンテレフタレートについての知見がございます。  まず、名称につきましては、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリテレフタル酸 エチレンと言われているものでございます。  2−1に特性が書いてございます。ポリエチレンテレフタレートは、ジカルボン酸と ジオールの縮重合によってつくられる熱可塑性のポリエステルの一つであります。主に テレフタル酸またはそのジメチルエステルとエチレングリコールの縮重合物となってお ります。このポリエチレンテレフタレートは、強靱性や耐薬品性や透明性というものに すぐれておりまして、繊維、フィルム、食品用途では中空成形容器やトレー等で主に使 用されているものでございます。  物性としましては、融点が255℃、ガラス転移点が70℃の結晶性のよい熱可塑性高分 子となっておりまして、我が国の2005年の生産量はボトルで57万610t、フィルムで19 万2,000t、シートで27万4,000tとなっているものでございます。  次に2−2、出発原料でございます。特性の部分でも御説明いたしておりますが、ジ オール成分としてエチレングリコール、酸成分としてはジメチルテレフタレートまたは テレフタル酸というものを用いてつくられております。  (1)に主要な出発原料としてのジオール成分、(2)に主要な出発原料としての酸成分 として、(1)についてはエチレングリコール、(2)につきましては(1)ジメチルテレフタ レート、(2)がテレフタル酸というものになっております。  更に(3)といたしまして、主要な出発原料としてのジオールと酸の縮合物、ビス−2 −ヒドロキシエチルテレフタレート。  (4)副成分としてのジオール成分としては、(1)からジエチレングリコール、(2)ブダン ジオール−1,4、(3)1,4−シクロヘキサンジメタノールがあります。  (5)副成分としての酸成分でございますが、(1)アジピン酸、(2)イソフタル酸、(3)イソ フタル酸ジメチル、(4)セバシン酸というものが使われております。  次に、2−3製造用の添加剤でございます。  (1)添加剤といたしまして、現行、牛乳等、特に牛乳や成分調整牛乳等でございます けれども、内容物に直接接触する部分に使用する合成樹脂に使用できる添加物と添加剤 でございますが、こちらは乳等省令の中で規定がなされております。その種類につきま しては、ステアリン酸カルシウム、グリセリン脂肪酸エステル、二酸化チタンという3 種類に限定されているものでございます。主に使用が想定されているものは二酸化チタ ンでございます。  (2)触媒でございます。PETの重合触媒としては、アンチモン系及びゲルマニウム 系というものが使用されるものでございます。  2−4、製造方法でございます。製造方法につきましては、2つの方法がございます。 1つは、こちらに書いてございますとおり、パラキシレンを酸化した粗テレフタル酸を エステル化して得られるジメチルテレフタレートとエチレングリコールを縮重合する方 法。もう一つは、純度の高いテレフタル酸製造技術が開発されたことにより可能となり ましたテレフタル酸とエチレングリコールを直接縮重合する方法であり、現在の製造方 法の主流となっているものでございます。  (1)には、エステル交換法が書いてございます。ジメチルテレフタレート法でござい ます。  (2)につきましてはテレフタル酸法、こちらが直接重合法と呼ばれているものでござ います。  2−5でございます。牛乳等に使用するPETにつきまして評価がなされております。 こちらでは、牛乳用のPETにつきましては、使用される出発原料、添加剤というもの が限定されているものでございます。使用される出発原料につきましては、我が国にお きまして食品用の器具・容器包装として使用されているもの、また、欧米においても使 用が認められているものとなっております。  添加剤につきましては、既に食品用の器具・容器包装、または乳等省令で牛乳等に使 用がなされているというものでございまして、グリセリン脂肪酸エステル、二酸化チタ ンは食品添加物に指定されております。また、ステアリン酸カルシウムにつきましては、 日本薬局方医薬品に指定されているものとなっております。  次に、安全性の評価につきまして、3に溶出試験等について記載がなされております。  3−1としましては、食品擬似溶媒を用いました溶出試験の結果が記載されておりま す。  まず、(1)といたしましては重金属でございます。ペットボトルに4%の酢酸を充て んいたしまして、浸出条件の60℃30分という条件で溶出を行った結果、溶出量は検出限 界未満であったという報告でございます。  (2)過マンガン酸カリウム消費量は、ペットボトルに水を充てんしまして、浸出条件 60℃30分間の溶出試験を行いまして、結果として過マンガン酸カリウム消費量は検出限 界未満だったという報告でございます。  次に、(3)蒸発残留物でございます。こちらでは、ペットボトルに4%の酢酸、20% のエタノール及び50%のエタノールを充てんいたしまして、浸出条件60℃30分間、また、 n−ヘプタンを充てんいたしまして、浸出条件25℃1時間という溶出試験におきまして、 蒸発残留物の溶出量はすべて検出限界未満であったというものでございます。  また、市販のPET製品にオリーブ油またはn−ヘプタンを浸出溶液として用いた場 合、すべてその結果は検出限界未満となっているという報告もなされております。  ポリエチレンテレフタレートにつきましては、縮重合触媒の金属といたしまして、ア ンチモン系もしくはゲルマニウム系という重金属が使われております。この金属が溶出 するか否かということについて、(4)においてはアンチモン、(5)につきましてはゲル マニウムという部分で評価がなされております。  (4)のアンチモンにつきましては、アンチモン系の触媒を用いてつくりましたペット ボトルにつきまして、4%の酢酸、50%エタノールを浸出溶液といたしまして溶出試験 が実施されております。結論につきましては、溶出量はすべて検出限界未満であったと いうものでございます。  また、以下ペットボトルに4%酢酸を充填し、60℃30分間という試験も実施されてお りますが、アンチモンの溶出量は検出限界未満であったというものでございます。  次に(5)ゲルマニウム系でございます。ゲルマニウム系を触媒として重合した耐熱用 ペットボトルを用いまして、4%の酢酸、50%のエタノールを浸出溶液といたしまして 測定した結果、すべて検出限界未満であったという結論でございます。  また、別途ペットボトルに4%酢酸を充てんした試験も行われておりまして、こちら においても検出限界未満であったという結論となっております。  (6)では添加剤でございます二酸化チタンについての試験が報告されております。二 酸化チタンを2%添加したポリエチレンテレフタレートシートに4%の酢酸、50%のエ タノールを浸出溶液といたしまして試験を行った結果は、溶出量はすべて検出限界未満 であったという報告がなされております。  3−2以降につきましては、長期保存におけますアンチモン、ゲルマニウムの溶出試 験の結果が報告されております。結果につきましては表に取りまとめておりますが、3 か月、6か月、9か月後は共に検出限界未満。ゲルマニウムに関しては、1年後の1検 体が検出限界未満、他の1検体が5ppbの溶出が認められているところでございます。  アンチモンにつきましては、3か月、6か月、9か月、1年後、すべて検出限界未満 という結果が得られているところでございます。  3−3、長期保存における蒸発残留物の試験が実施されております。ペットボトルに n−ヘプタン、20%エタノール、4%酢酸、水を充てんいたしまして、浸出条件を長期 間室温とする蒸発残留物の溶出試験が行われております。それぞれ3、6、9ヶ月間及 び1年間という期間を設定いたしまして、各2回の試験が行われておりますが、蒸発残 留物はn−ヘプタンでは検出せずから7ppmの範囲、20%エタノールでは検出せずから 5ppmの範囲、4%酢酸では3〜10ppm,水では検出せずから10ppmの範囲の報告されて いるところでございます。  3−4、本件につきましては、今般牛乳というものを対象に使用が想定されていると ころでございます。このため牛乳を溶媒として使用した溶出試験の結果が報告されてお ります。  まず、(1)につきましてはカドミウムでございます。アンチモン系及びゲルマニウム 系を触媒として製造されました2種類のペットボトルに牛乳を充てんいたしまして、浸 出条件60℃30分間、10℃10日間という溶出試験におきまして、カドミウムの溶出量はす べて検出限界未満となっているものでございます。  次に、(2)では鉛についての知見が報告されております。こちらにつきましても、ア ンチモン系及びゲルマニウム系を触媒といたしまして製造されました2種類のペットボ トルに牛乳を充てんいたしまして、同様な浸出条件において試験を行った結果、鉛の溶 出量はすべて検出限界未満であったということが報告されているものでございます。  (3)アンチモンでございます。アンチモン系を触媒として製造されましたペットボト ルに牛乳を充てんいたしまして、同様な浸出条件で溶出試験を行った結果につきまして は、アンチモンの溶出量はすべて検出限界未満ということが報告されております。  最後に、(4)ゲルマニウムでございます。ゲルマニウム系を触媒として製造しました ペットボトルに牛乳を充てんいたしまして、浸出条件60℃30分間、10℃10日間の溶出試 験を行った結果としましては、ゲルマニウムの溶出量は検出限界未満であったというこ とが報告されております。  3−5といたしまして、溶出試験のまとめが記載されております。ポリエチレンテレ フタレートは前述のように、食品擬似溶媒を抽出溶液として行った1年間保存のゲルマ ニウムの溶出試験で5ppbの溶出が認められておりますが、その他のアンチモン、ゲル マニウム、カドミウム、鉛、重金属及び二酸化チタンの溶出試験におきまして、これら の溶出は認められなかったというものでございます。  また、有機物の総量試験で過マンガン酸カリウムの消費量は検出されず、有機物の溶 出も認められなかった。更に、食品擬似溶媒を浸出溶液として行った蒸発残留物の溶出 試験におきまして、3か月から1年間の保存で10ppm以下の溶出が見られるものがあり ましたが、溶出は微量と考えられているところでございます。  また、ペットボトルには牛乳を浸出溶液として行ったカドミウム、鉛、アンチモン、 ゲルマニウムの溶出試験におきましても、検出限界未満となっているものでございまし て、食品擬似溶媒を浸出溶液とした場合と同様に、溶出はほとんどないと考えられてい るところでございます。  25ページで食品健康影響評価が取りまとめられております。牛乳等の容器包装に使用 するポリエチレンテレフタレートの原材料として使用される出発原料というものにつき ましては、既に我が国において一般食品用の器具・容器包装に汎用されているもので、 しかも、欧米で安全性評価が起きているものの中から、最小限の品目に限定がなされて おります。  牛乳等の容器包装の内容物に直接接触する合成樹脂の製造に使用できる添加剤でござ いますが、こちらも既に乳等省令で牛乳等への使用が認められるものの範囲内のもので ございまして、食品添加物または日本薬局方医薬品に指定されているものでございます。  また、食品擬似溶媒を使用したポリエチレンテレフタレートからの金属触媒、添加剤、 重金属、蒸発残留物等の溶出量は、大部分が検出限界未満であったということ。更に、 牛乳を溶媒といたしました10℃10日間、または60℃30分間におけるカドミウム、鉛、ア ンチモン、ゲルマニウムの溶出試験の結果につきましては、溶出量は検出限界未満とな っており、これらの条件下において牛乳等に使用しても安全性が懸念される結果は認め られなかったと結論されております。  以上のことから、食品等に使用されるポリエチレンテレフタレート並びに乳等省令に 基づく乳製品及び調製粉乳に使用されているポリエチレンテレフタレートの安全性が、 現行の規格基準により確保されていることを前提といたしまして、容器に入った牛乳等 が適切な条件下で管理される限りにおいて、今回申請されたポリエチレンテレフタレー トは牛乳等に使用しても十分な安全性を確保していると判断されているところでござい ます。  なお、末尾には牛乳等にポリエチレンテレフタレート容器を使用する場合におきまし ては、食中毒防止の観点による微生物学的リスクなどを踏まえまして、注意喚起の表示 等、適切な指導が必要であるという旨が追記されているところでございます。  こちらが食品安全委員会から示されております食品健康影響評価の結果でございます。  続きまして、資料1−2でございます。こちらが本部会の部会報告書となっているも のでございます。  まず、「1.容器包装の規格基準について」でございます。冒頭も申し上げましたが、 乳及び乳製製品に使用できる容器包装につきましては、食品衛生法の中にございます乳 等省令または食品添加物等の規格基準により、材質別の規格、試験方法が定められてい るところでございます。  「2.改正の趣旨」でございます。1の状況を踏まえまして、今般、関係業界団体よ り乳等省令の別表四(二)(1)に示す乳等に使用できる容器包装に合成樹脂でありますポ リエチレンテレフタレートを追加することについて要望がなされたことから、厚生労働 大臣より内閣府食品安全委員会に対しまして食品健康影響評価を求め、今般3月8日に 当方大臣あてにその食品健康影響評価の結果が通知されたというものでございます。評 価されました通知の内容は、先ほど読み上げました文章と同一でございます。これを受 けまして、乳等省令別表四(二)(1)に示す乳等に使用できる容器包装について、合成樹 脂に係る規格基準を改めるというものでございます。  「3.規格基準改正の概要」でございます。乳等省令別表四(二)(1)に示す乳等に使 用できる容器包装への合成樹脂(ポリエチレンテレフタレート)の追加に伴う規格基準 の設定項目についてでございます。今般設定する項目は、食品安全委員会の評価報告の 中にもございますとおり、現行の発酵乳や乳酸菌飲料等が有しております規格基準によ り、十分衛生上の確保がさなれているという条件に基づいております。ですので、規格 基準の設定項目の案が3ページ目の末尾に書いてございますが、こちらではまず材質試 験といたしまして、カドミウムと鉛が100ppm以下。次に溶出試験になりますが、重金属 が1ppm以下、蒸発残留物が15ppm以下、過マンガン酸カリウム消費量が5ppm以下、ア ンチモン0.025ppm以下、ゲルマニウム0.05ppm以下。以降、強度試験になります。破裂 強度300ml以下、196.1kPa以上。常温保存可能品につきましては392.3kPa以上というこ とで想定しているところでございます。また、破裂強度300mlを超えるものが490.3kPa 以上、常温保存可能品にあっては784.5kPa以上を考えているところでございます。次に、 封かん強度13.3kPa以上。ピンホール、ろ紙上にはん点を生じないこと。突き刺し強度 が9.8N以上ということでございます。  なお、破裂強度と突き刺し強度につきましては、いずれかの試験に合格することを想 定しているところでございます。  このような基準がございますが、現行の乳等省令の中ではどのように規制がなされる のかという部分につきまして、4番以降に下線部を変更点といたしまして内容を記載し てございます。  また、9ページ目をごらんいただきますと、現行の規格基準の一覧と、今回牛乳等に 使用するペットボトルの基準を設定するために、ちょうど表の中段ぐらいになりますが、 1群というグループがございまして、ここが今回ポリエチレンテレフタレートの規格基 準を設定しようという部分でございまして、この1群の二重線囲みになっておりますP ETという部分が、今回各委員に御審議をいただく部分となっているものでございます。 食品安全委員会からの評価結果も踏まえ、この1群に規定されるポリエチレンテレフタ レートの規格基準は、横にございます2群のポリエチレンテレフタレートの内容と同一 のものとなっているものでございます。  戻って恐縮ですが、4ページ目をごらんください。「4.乳等の容器包装の規格基準 (案:変更点は下線部分)」でございます。乳等省令の中には、こちらに示してござい ますとおりに容器包装の規格基準が徹底されております。ここで今般新しく合成樹脂と いたしましてポリエチレンテレフタレートを追加するという形になりますので、まず、 1の(2)のアでございます。こちらには従来ポリエチレン、エチレン・1−アルケン共 重合樹脂、ナイロン、ポリプロピレンというものしか規定がございませんでしたが、今 般新たにポリエチレンテレフタレートを追加するというものでございます。また、合成 樹脂加工紙につきましても、今般ポリエチレンテレフタレートを規定するというもので ございます。  (2)イでは、内容物に直接接触する部分の規定がございます。ここにおきましても、 従来はポリエチレン、またはエチレン・1−アルケン共重合樹脂しかございませんでし たが、今般ポリエチレンテレフタレートを追加するというものでございます。  (3)に各溶出試験等の項目が規定されております。まず、ポリエチレンとエチレン・ 1−アルケン共重合樹脂しかなかった部分につきましては、ポリエチレンテレフタレー トを追加するというものでございます。  ア以降に、溶出及び強度試験というものが書かれております。  イは、内容物に直接接触する部分に使用する合成樹脂には添加剤を使用してはならな いということでございます。ここは添加剤規制の部分でございます。今般、ポリエチレ ンまたはエチレン・1−アルケン共重合樹脂もしくはポリエチレンテレフタレートにつ きましては、先ほどの評価書にもございましたが、ステアリン酸カルシウム、グリセリ ン脂肪酸エステル、二酸化チタンというものについて使用できるものとして規定するも のでございます。  エ、内容物に直接接触する部分に使用するポリエチレンテレフタレートの材質試験、 溶出試験及び強度試験となっております。ここで1点修正をしなければいけない点がご ざいます。こちらでは前段階といたしまして、4ページの(3)アで溶出及び強度試験が 規定されておりますので、5ページのエにございます溶出試験と強度試験、溶出試験は アンチモンとゲルマニウム、強度試験につきましては突き刺し強度がありますが、こち らにつきましては、アの部分に移行させていただくことが適当でございますので、記載 部分が若干変わるという点について御説明を申し上げておきたいと思います。  これを前提といたしまして、エの部分でございますが、ここでは材質試験のみを規定 いたしまして、材質試験ではカドミウムが100ppm以下、鉛についても100ppm以下にした いというものでございます。  以降の溶出試験、アンチモン、ゲルマニウム。アンチモンにつきましては0.025ppm以 下、ゲルマニウムにつきましては0.05ppm以下、更に、強度試験では突き刺し強度が書 いてございますが、9.8N以上という溶出試験と強度試験につきましては、記載部分は アに変更するということでございますが、いずれにせよ規格値については今お話しした ものを設定したいというものでございます。  5ページの2以降では、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料というものの規格基準が書かれ ておりますが、こちらについては特段の変更点は今般の規格基準の改正には含まれてお りませんので、この点についての変更点はございません。  9ページを見ていただきますと、先ほども御確認をいただきましたが、規格基準の一 覧というものがあり、今般この一文に規定しておりますPETの規格基準について御審 議を賜れればと考えているところでございます。  説明については以上でございます。 ○西島合同部会長 どうもありがとうございました。  それでは、ただいまの御説明につきまして、御質問あるいは御意見等がございました ら、御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。  ちょっと初歩的なことなんですけれども、食品安全委員会の資料で温度の設定が60℃ ということでいろいろテストされていますが、この60℃の根拠はどういうことになるん ですか。もうちょっと高い温度で使うようなこともあり得ると思うんですけれども、そ の辺はどのようなことで60℃になっているのかわかりましたら教えてください。 ○事務局 若干確認をさせていただければと思います。 ○西島合同部会長 特に、全くわからなかったのでお伺いしましたが、ほかに御質問・ 御意見等ございますでしょうか。 ○河村委員 私の方からお答えさせていただいてよろしいでしょうか。これは食品等規 格基準の方で、乳等以外の一般規格ですけれども、こちらの方で使用条件と試験温度が 決められています。100℃以下で使用するものに関しては60℃、100℃を超えて使用する ものについては95℃という規定があって、乳の場合は100℃を超えて使用しないという ことで60℃が使用されているのだと思います。 ○西島合同部会長 ありがとうございました。 ○事務局 あと、若干付け加えさせていただければ、乳等につきましては、別途保存基 準というものが定められておりまして、市販される製品については、ある一定の温度以 下で管理しなければいけないということがございます。これは現行10℃以下ということ で管理されておりますので、実際的な使用状況の中ではそのような高温による使用とい うものは今回御審議いただく品目ではあり得ないと考えております。 ○西島合同部会長 ありがとうございます。  そのほか御質問・御意見等ございませんでしょうか。 ○神田委員 今の議題は規格基準ということでございますので、もしかしたら外れるか もしれませんが、食品安全委員会の行った評価との関係ですので質問させていただきた いと思います。  容器としての食品安全性については今御報告のあったとおり、そういった食品安全委 員会の評価を受けて、リスク管理機関としてこういった規格基準をつくるというところ までのお話は、それを受けて進めるということではいいのかなと思いますが、食品安全 委員会の最後の2行、なお、牛乳を使うに当たっては、食中毒防止の観点による微生物 学的リスクを踏まえて、注意喚起の表示等適切な指導が必要であるということがありま して、これは切り離して考えられる問題ではなくて、一緒に考えていかなければ容器と して安全性が確保されても、牛乳という特質、生産から消費まで特段の品温管理という ものが必要な食品でございますので、そこがセットになって初めてこれが容器として使 ってもいいと結論を出さなければいけないと考えます。そういったことからしますと、 ここについてはどうするのかという具体的なお話がなかったものですから、消費者の方 としては非常に心配を持っている向きもございますので、ここは具体的にお話ししてい ただけた方がいいのではないかと思います。 ○事務局 具体的な御指摘ありがとうございます。確かに、25ページにございますとお り、食品安全委員会からの評価結果の末尾でございますが、今、委員からの御指摘のと おり、食中毒防止観点に係る微生物学的リスクなどを踏まえて注意喚起等々と記載がな されています。この点につきましては、これはあくまで一つの提案ではございますが、 一つに部会報告書の中にも同様にこのような文章を入れる。その上で、具体的にこのよ うな製品を実際に製造されるのは業界団体ということになります。このため、適切な表 示等の在り方については、業界団体とも内容を検討させていただければと思います。 ○神田委員 それが実施されるというか、そういうところが見えてこないと、ただの話 し合いという形で終わってしまわないように、その辺の心配を十分に受け止めていただ いて、本当に具体的に実行していただけるような形できちんとやっていただかないと、 なかなか心配だけが残るなと思っております。 ○西島合同部会長 ありがとうございます。 ○山本部会長 今の神田委員の御発言に関連してなんですけれども、実は以前、持ち運 びできるそういう茶飲料とか乳飲料のペットボトル入りのもので、口飲みをした後にど れくらい保存できるのかということを調べたことがございます。ちょうどテーブルの上 にありますサイズ(500ml)のものがよく出ているわけですけれども、これに入ったも のを一旦口飲みした後、茶飲料ですとほとんど微生物が増えることはないんですが、乳 飲料ですとやはり30℃を超えておりますと4時間程度で乳の分離等が始まりまして、か なり変性してくるということがわかっております。通常、牛乳の場合には家庭内での消 費というものを前提とした形でやられていると思うんですけれども、こういったペット ボトルに入っていきますと、今度は持ち運びをする可能性ということがございますので、 その辺につきましては、非常に容量等を慎重に考えなければいけないことと、保管温度 の問題をきちんと表示するとか、周知するような方向でいかないと、かなり危険性が増 してくるという、微生物学的にはかなり危なくなる可能性があるということを指摘させ ていただきたいと思います。 ○西島合同部会長 ありがとうございます。 ○品川委員 これは既に乳飲料のところは認めているわけですよね。表示に関しては牛 乳と同じような扱いなのではないかと。牛乳もそうですけれども、乳もリスクというの は上がってくるということになれば、そこのリスクも考えて表示をどうするかというこ とを抱き合わせないと、こっちは今まで何も書いていなくて今回はそれをやるというこ とになると、何となく整合性の問題もあると思いますので、よろしくお願いします。 ○西島合同部会長 その点、委員からの意見ということでよろしくお願いしたいと思い ます。 ○事務局 ありがとうございます。 ○西島合同部会長 そのほかはよろしいでしょうか。  そのほかに御意見がないようですので、本報告案をもちまして当部会の報告というこ とにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○西島合同部会長 ありがとうございます。それでは、これをもちまして部会の報告と いうことさせていただきます。  続きまして、事務局から今後の手続につきまして御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、今後の手続につきまして御説明を申し上げます。  本日、御審議をいただきました乳等のポリエチレンテレフタレートを用いる容器包装 につきましては、食品安全委員会からの通知を既に受けておりますので、今後パブリッ クコメント等所要の手続を進めることとしております。  以上でございます。 ○西島合同部会長 ありがとうございます。  本日の議題はこれ1つで、2番目としてその他がございますが、事務局から何か案件 はございますか。 ○事務局 特にございません。  なお、今般、器具・容器包装・乳肉水産食品合同部会という形で開催しておりまして、 この閉会の後に、引き続き器具・容器包装部会を開催することとしております。会場は このまま同じ会場を使うわけでございますが、会場設置のために10分程度御休憩をいた だければ幸いでございます。  以上でございます。 ○西島合同部会長 ありがとうございます。  そのほかはよろしいでしょうか。 ○事務局 特段ございません。 ○西島合同部会長 ありがとうございます。  それでは、以上をもちまして、本日の合同部会を終了させていただきます。先生方、 どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2489)