07/03/12 平成19年3月12日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日 時:平成19年3月12日(月)9:30 〜11:50 ○場 所:厚生労働省共用第8会議室 ○出席者: 委 員  青木委員、井上委員、大野委員(部会長)、尾崎委員、加藤委員、      斎藤委員、佐々木委員、志賀委員、豊田委員、山内委員、吉池委員      鰐渕委員 事務局  松田基準審査課長、加藤課長補佐、河村課長補佐  吉田課長補佐、近藤専門官 関係省庁 農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 石原課長補佐      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官 1.開  会 2.議  題  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について    ・アゾキシストロビン(農薬)    ・イベルメクチン(動物用医薬品)    ・プラジクアンテル(動物用医薬品)    ・ニトロフラン類(動物用医薬品)    ・豚パルボウイルス感染症・豚丹毒・豚レプトスピラ(イクテロヘモラジー・カ ニコーラ・グリッポチフォーサ・ハージョ・ブラティスラーバ・ポモナ)混合(ア     ジュバント・油性アジュバント加)不活化ワクチン(動物用医薬品)    ・鳥インフルエンザ(油性アジュバンド加)不活化ワクチン(動物用医薬品)  (2)その他 3.閉  会  ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品 衛生分科会農薬・動物用医薬品部会を開催させていただきます。  本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願い 申し上げます。  若干、斎藤委員が遅れているようでございますが、定刻でございますので、始めさせ ていただきたいと思います。  本日は、米谷委員、山添委員より欠席の御連絡をいただいております。  農薬・動物用医薬品部会の委員14名中11名の御出席をいただいており、部会委員総 数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたし ます。  それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議につき まして、よろしくお願い申し上げます。 ○大野部会長 おはようございます。今日は朝早く済みませんでした。  議事に入らせていただきたいと思います。初めに、事務局から配付資料の説明と確認 をお願いいたします。 ○事務局 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。  まず、議事次第でございます。こちらが3枚のペーパーとなっております。  次に、資料1−1といたしまして、アゾキシストロビンの農薬の資料という形になっ ております。資料1−2が、本部会の報告書案となってございますが、43ページから始 まるものでございます。総ページで84ページの資料となっております。  資料2−1が、イベルメクチンに関係する資料でございます。資料2−2が17ページ 以降になっておりますが、プラジクアンテルの関係資料でございます。資料2−3が本 部会の報告書案、イベルメクチンの案でございますが、47ページから。資料2−4が、 63ページからプラジクアンテルの案でございます。総ページ数では72ページの資料と なっております。  次に、資料3−1、ニトロフラン類の動物用医薬品の評価書となっております。食品 安全委員会の評価書の案が14ページまで、資料3−2の部会報告は15ページ以降にな りますが、こちらが23ページまでございます。  次に、資料4−1が動物用医薬品の豚パルボウイルス感染症・豚丹毒・豚レプトスピ ラ病の不活化ワクチンの食品健康影響評価書の資料でございます。資料4−2、部会報 告案が7ページからとなっておりまして、総ページ数で8ページの資料となっておりま す。  資料5−1、鳥インフルエンザ不活化ワクチンの食品健康影響評価に関する資料でご ざいます。部会報告案が資料5−2、7ページ目以降から始まっておりまして、総ペー ジでは8ページの資料となっているものでございます。  最後に、参考資料といたしまして、参考資料1が、食品摂取量のデータ。  参考資料2、5ページ以降から始まりますが、食品安全委員会への意見聴取及び食品 健康影響評価の結果についての一覧となっているものでございます。  参考資料3といたしまして、食品添加物等の規格基準、これは厚生省の告示第370号 でございますが、こちらの抜粋。これを23ページ目以降に添付してございます。総ペー ジ数では25ページの資料となっております。  資料の説明につきましては、以上でございます。 ○大野部会長 御確認いただけましたでしょうか。  今日の配付資料の順番では、最初に農薬を審議していただいて、それから動物用医薬 品を審議していただく予定でしたけれども、吉池委員が早めに退席されなければいけな いということで、ニトロフラン類についていろいろ問題がありますので、それについて まず審議していただいて、それから農薬と別の動物用医薬品に入っていきたいと思いま す。よろしいでしょうか。  それでは、まず、動物用医薬品のニトロフラン類について、事務局から資料の説明を お願いいたします。資料の作成に当たっては、あらかじめ委員の方々に資料をお送りい ただいておるところでございます。  では、よろしくお願いいたします。 ○事務局 動物用医薬品ニトロフラン類につきまして、御説明させていただきます。資 料は3−1でございます。  1ページめくっていただきますと、3ページ目に要約が書いてございます。こちらが 食品安全委員会で行われました食品健康影響評価の要約でございます。概要を御説明い たしますと、まず、ニトロフラン類というものにつきまして今般、ポジティブリストの 中では4物質、フラゾリドン、ニトロフラントイン、フラルタドン、ニトロフラゾンを ニトロフラン類といたしまして、その代謝化合物であります3−アミノ−2−オキサゾリ ドンをAOZ、1−アミノヒダントインをAHD、3−アミノ−5−モルフォリノメチル−2−オ キサゾリドンをAMOZ、そして、セミカルバジドをSEMと称します。これらの代謝化合物 を含めまして、現時点では規制対象としているところでございます。このため、今般の 食品健康影響評価につきましても、この親物質の4物質、そして、代謝化合物でありま す4物質につきまして、評価を依頼したところでございます。  食品安全委員会におきます評価に用いられた資料につきましては、2003年に行われま した薬事・食品衛生審議会の評価書、そして、1992年のJECFAの報告書、そして、EFSA で2003年及び2005年に報告されておりますレポート、また、EMEAあるいは国内で実施 された各種試験報告書及び公表文献等を用いまして、今般評価が実施されております。  ニトロフラン類につきましては、食用動物への使用は国内外を含めまして広く禁止さ れているものでございます。今般、私どもが導入いたしましたポジティブリスト制度の 中におきましても、これは不検出という形で規制がなされているものでございます。  今回の評価におきまして、ニトロフラン類につきましては、SEMを除きましていずれ もADIを設定することは適当でないと判断されたところでございます。  SEMにつきましては、ニトロフラン類の1つでありますニトロフラゾンというものの 使用の有無にかかわらず、幾つかの食品から検出されることが判明しております。この ため、分析対象としては適切でない可能性があるとされているところでございます。SEM につきましては、現時点では限られた毒性試験等の結果の報告しか得られておりません ので、ADIもしくはTDIといったものを設定するには不十分な状態にあります。  しかし、EFSAで実施されました動物実験で認められた各種の知見、また、食品から摂 取されるであろう暴露量というものを比較する方法が、現時点では最も可能な評価法で あると考えられているところでございます。この方法を適用した場合に、どのようにな るかと申し上げますと、SEMを体重当たりで最も多く摂取する可能性がある乳児の最悪 のケースを想定しても、発がん性については5桁の暴露マージンがあると。催奇形性に おきましても、3桁もしくはそれ以上のマージンがあると見込まれているところでござ います。国内におけるSEMの食品中の含有量、暴露量がEFSAで検討されたものと同程度 であれば、暫定的な評価としてSEMが毒性影響を示す量と暴露量との間においては、暴 露マージン、MOEと称しますが、これが大きくリスクは小さいと判断されているもので ございます。こちらが要約でございます。  次に、食品安全委員会の評価書の内容について説明いたします。4ページ目をご覧く ださい。「1.はじめに」の中で、各種4物質のニトロフラン類の過去の評価等について の説明がなされております。  まず、フラゾリドンとニトロフラゾンにつきましては、平成15年に薬事・食品衛生審 議会食品衛生分科会毒性部会において評価がなされております。フラゾリドンにつきま しては、遺伝毒性発がん性物質である可能性が高く、その代謝化合物であるAOZにつき ましては、in vivo及びin vitroの遺伝毒性が陽性であり、発がん性を有する可能性が 極めて高いと考えられている。このため、許容一日摂取量(ADI)を設定することは適当 でないとされているところでございます。  ニトロフラゾンと、その代謝化合物でありますSEMについては、発がん性を示した動 物試験の結果があり、メカニズムは明らかでないもののADIを設定することは適当でな いとされているところでございます。  その他のニトロフラントイン、フラルタドンにつきまして、国内で評価がなされた実 例はございません。  国際的に見てみますと、JECFAにおきましてフラゾリドンについては遺伝毒性発がん 性が否定できないとされております。ニトロフラゾンについては、発がん性に関する NOELが得られていないことから、ADIが設定されておりません。EMEAにおきましては、 ニトロフラゾン、ニトロフラントインにつきましては、ADIやMRLを設定するための情 報が不十分ということでございます。フラルタドンにつきましては情報がないというこ と、フラゾリドンについてはNOELが得られていないということと、遺伝毒性が認められ ることから、いずれもAnnexIVの該当物質として評価されております。AnnexIVというの は、いわゆる食用動物への使用を認めない動物用医薬品の一覧表でございまして、こち らに掲載されているものは無論使用できないというものでございます。  このような物質につきまして、EUにおきましては1μg/kgの検出限界に相当するもの が設定されておりまして、これで規制がなされております。  一方、SEMにつきましては、親物質であるニトロフラゾンに由来するものではなく、 アゾジカルボンアミドと言われるような添加剤を使用したプラスチックのガスケットも しくは食品あるいは食品原料をある一定の処理をした際に生成するということ、また、 詳細な生成機構は不明でありますが、自然にも生じるというようなことが近年報告され ているところでございます。  このため、EFSAにおきましては2003年及び2005年に、このSEMにつきましての評価 を実施しております。  また、国内におきましても複数のin vivoの遺伝毒性試験が新たに実施されて報告が なされているところでございます。  このような状況を踏まえまして、私どもといたしましては今般、食品安全委員会への 健康影響評価を依頼するに当たりまして、親物質及びその代謝化合物というものを含め まして依頼を行ったというものでございます。  以降、個別物質についての評価を記載してございます。2番以降でございます。  フラゾリドン及びAOZについてが2番として記載されております。フラゾリドン及び AOZにつきましては、5ページ以降でございますが、個々に分けて記載がなされており ます。結論としましては、フラゾリドンにつきましては遺伝毒性を有する発がん物質で ある可能性が高いというものでございます。  AOZにつきましても、in vivoのマウスを用いた小核試験で陽性を示したことから、発 がん性を有する可能性は極めて高いという形で評価がなされております。  これらのことから、両物質につきましては、ADIを設定することは適当でないと考え られると評価しております。  次に3、ニトロフラントイン及びAHDでございます。ニトロフラントインにつきまし ては、米国のNTPにおきまして試験が実施されております。マウスの試験結果におきま して、一部腺腫またはその良性混合腫瘍というものが認められると。また、ラットの雄 でありますが、まれにしか認められない腎臓の尿細管上皮由来の腫瘍の増加が示された とされております。  更に、JECFAのニトロフラゾンの評価書の中でニトロフラントインについて触れられ ておりまして、こちらでニトロフラントインの毒性影響が否定できないということと、 NOELも求められないという旨が記載されているところでございます。  EMEAにおきましては、ニトロフラントインについては情報が不足しており、ADI及び MRLを設定せず、食用動物への使用を認めない動物用医薬品のリスト(AnnexIV)に収載 しているものでございます。  6ページに、ニトロフラントイン及びAHDの総括が書いてございます。以前の結論を 変更するに足りる新たな知見は提出されていないということ、発がん性が否定できない、 また、そのメカニズムも明確でないというところから、ニトロフラントイン及びAHDに ついてADIを設定することは適当でないと考えられる旨評価されております。  次に4、フラルタドン及びAMOZについてでございます。  フラルタドン及びAMOZにつきましては、国内やJECFAにおける評価、または米国NT Pにおける試験結果等の報告がないというものでございます。EMEAにおきましては、フ ラルタドンに関する情報がないため、ADI及びMRLは設定せず、AnnexIVのリストに収載 するものとしております。このようにフラルタドン及びAMOZについては、ほとんど情報 が得られていないという状況にございまして、評価を行うことはできないとされており ます。  EMEAでAnnexIVのリストに掲載されていること、そして、ニトロフラン類の多くが発 がん性を疑われる物質であるということを考慮した場合に、必要な科学的知見が得られ るまでADIを設定することは適当でないと判断すると評価されているところでございま す。  最後に、ニトロフラゾン及びSEMでございます。  まず、ニトロフラゾンにつきましては、マウスを用いた試験におきましては、例えば、 卵巣の良性混合腫瘍の増加、または卵巣の萎縮などが認められております。また、ラッ トを用いた試験では、良性乳腺腫瘍の増加等が認められているところでございます。更 に、遺伝毒性につきましては、in vitroのDNA試験やAmes試験等で陽性反応が認めら れているということでございますが、in vivoでは染色体異常試験、小核試験では陰性 であった旨が報告されております。  SEMにつきましては、発がん性についてはSwissマウスの試験において、雌に弱いな がらも血管由来の腫瘍と肺腫瘍の増加が認められているものでございます。なお、ラッ トにおいては発がん性は認められておりません。あるいは評価するのに不十分な報告で あったというものでございます。  遺伝毒性につきましては、in vitroのAmes試験で、こちらではS.typhimuriumのTA1535 の−S9 mix条件下で弱い陽性反応が認められておりますが、それ以外のTA1537等を用 いた試験では陰性であったということでございます。また、in vitroでは、32P標識D NAを用いた損傷試験におきましてCu(II)存在下でDNA付加体の形成が認められた とされております。なお、in vitroでは雄のSwissマウスにおける肝及び肺のDNAア ルカリ溶出法では陰性であったとされているものでございます。  これらのことから、ニトロフラゾン及びSEMについては、発がん性を示した結果であ り、発がん物質であると考えられるということ、そして、発がん性のメカニズムが明ら かでないものの入手された資料から見る限り、ADIを設定することは適当でないと考え られる旨評価をしているものでございます。なお、SEMのIARCにおける評価グループは、 3に分類されております。  ニトロフラゾンについては、今般の評価依頼に当たりまして、今まで説明しましたよ うな結論を変更するに足りる新たな知見は提出されていないことから、この評価結果を 見直す必要はないとされているところでございますが、SEMにつきましては、ニトロフ ラゾンの使用以外にアゾジカルボンアミドを使用したプラスチックガスケット等、また、 食品や食品原料を加工処理等した場合、あるいは生成機構は不明でありますけれども、 自然からも生じることが明らかになっており、新たにEFSAでこのSEMについてより詳細 なリスク評価が実施されております。冒頭でも申し上げましたが、国内でもin vivoの 遺伝毒性試験が新たに実施されまして、その結果が報告されているところでございます。  これらの知見に基づきまして、従来の評価を見直す必要があるかについて検討がなさ れているものでございます。その取りまとめが6番以降に記載されております。  6番、SEMに関する毒性の知見についてでございます。先ほど来御説明申し上げてお りますが、遺伝毒性につきましてはin vitroの試験におきまして一部陽性反応があると いうものでございます。そして、8ページでございますが、in vivoの試験におきまし ては、不定期DNA合成、小核、突然変異試験の3つの試験が実施されております。こ の試験におきましてはすべて陰性という結果が得られているところでございます。  以降10ページをご覧いただきますと、その結論についての総括がございますが、(7)の 一番最後の行でございます。「以上のように、SEMはin vitroのいくつかの試験におい て弱い陽性結果を示すものの、in vivoの複数の試験においてはいずれも陰性であった」 というものでございます。  6−2以降につきましては、その他の毒性知見が得られております。  6−3におきましては、ニトロフラゾンに由来しないSEMの生成機構及び汚染状況に 関する知見が書いてございます。ここには先ほど来お話ししておりますプラスチックガ スケットを使用した容器からのSEMの検出、または、ベビーフードから検出されるSEM の量というものについての評価がなされております。  なぜベビーフードを調査しているのかということにつきましては、EFSAの報告書の中 で最もSEMを摂取する可能性があるのは乳児であるとされております。これは、体重当 たりの食品摂取量が大きいということを踏まえての結果でございます。このためベビー フードについての調査が実施されておりまして、6−3のその他の食品からのSEMの検 出の中では、ベビーフードに関しまして平均しますと13ppbのSEMが確認されたという ことが報告されております。  また、国内につきましても、厚生労働科学研究等でベビーフードに関する実態調査が 行われております。この実態調査の結果を総括いたしますと、瓶詰め食品から平均して 約17ppbというSEMが検出されているものでございます。  次に、6−4はSEMの暴露に係るEFSAの評価について、11ページの後段の文章でご ざいます。このEFSAの評価につきましては、2005年に報告されているものでございま して、リスク評価の結果、最も多くSEMを摂取する可能性があるのは乳児であるという こと、暴露量の最悪のケースを想定して暴露の実態が試算されているものでございます。  結論といたしましては、ベビーフードから摂取される、例えば95%タイルの上限値の 摂取量464gの場合のSEMの暴露量というものは、0.69μg/kg体重/日という形になって おります。これに対しまして、動物実験において影響が認められている用量というもの は、マウスで弱い発がん性が認められたものが100mg/kg体重/日程度となっておりまし て、弱い発がん性が認められた用量と乳幼児を含めたヒトの暴露との間には、少なくと も5桁のマージンが存在しているというものでございます。また、催奇形性につきまし ても、3桁もしくはそれ以上のマージンがあると記載されております。  次に、12ページでございます。7番といたしまして、食品健康影響評価についてでご ざいます。以降「ニトロフラン類のADIの設定について」というものと「SEMについて」 というものが書いてございます。これらを総括したものが13ページの一番最後の「食品 健康影響評価について」という部分になるわけでございますが、これらの今までの評価 を踏まえた場合につきまして、ニトロフラン類及びその代謝化合物でありますAOZ、AHD、 AMOZの3種類の化合物につきまして、ADIを設定することは適当でないと評価をされて おります。  SEMにつきましては、ニトロフラゾンの使用にかかわらず、いろいろな食品から暴露 されるということが想定されているところでございますが、SEMの食品中の含有量、暴 露量と言われているものがEFSAで検討されているものと同程度であれば、SEMが生体に 毒性影響を示す量と暴露量との間の暴露マージンは大きく、リスクとしては小さいとさ れております。  しかしながら、本評価はあくまで暫定的なものでございますので、現在得られている 知見からはADIあるいはTDIを設定することができないというものでございまして、今 後、知見の収集等が引き続き行われるべきであるということ、また、国内におけるSEM の発生源や食品中の含有状況等、この暴露状況に関する情報を把握しまして、必要があ れば必要とする対策を講ずるべきということが記載されているところでございます。こ ちらが食品安全委員会における食品健康影響評価の結果でございます。  次に、15ページ以降、資料3−2が本部会の報告書の案でございます。  「1.概要」につきましては、先ほどの食品安全委員会の評価書にもございましたが、 背景といたしまして、ニトロフラン類は食用動物への使用が国内外で広く禁止されてい るものであるということ、そして、国際的にはJECFAにおきまして評価が行われている、 また、欧州医薬品審査庁(EMEA)におきましても評価が行われていると。そして、EUに おきましては、それぞれの代謝化合物を含めて1μg/kgの検出限界が設定されていると いうこと。  国内におきましては、過去にニトロフラゾンの代謝化合物であるSEM、AOZにつきまし て評価がなされておりまして、結果としてそれらが検出された食品の流通は認めないと いうことで結論を得ているところでございます。  私どもが平成18年5月29日に施行いたしましたポジティブリストに当たりましては、 このような過去の評価を踏まえまして、ニトロフラン類については不検出という基準を 設定して、その管理を行っているところでございます。  しかしながら、近年シーリング剤に添加された添加剤に由来するものであるとか、ま たは食品の加工等の工程、または機構は不明でありますけれども、自然にSEMが生じる ということも明らかになってきております。このような知見を踏まえまして、EFSAにお いては2003年と2005年に評価が行われたというものでございます。  先ほど説明いたしましたが、このような状況を踏まえて食品安全委員会に対する食品 健康影響評価を依頼した結果に基づきまして、今般この結果を踏まえた管理措置の見直 しを行うというものでございます。  (2)には、各親化合物、代謝化合物の化学名と構造式を記載してございます。  17ページの2番ですが、これは先ほども御説明しました食品健康影響評価の中身でご ざいますので、この説明については割愛をさせていただきます。  19ページ「4.残留基準の設定」でございます。食品安全委員会の結論を踏まえます と、まず、(1)ニトロフラントイン、フラゾリドン、フラルタドンという3つの物質に つきましては、食品中に不検出とする基準、そして、これらの物質の代謝化合物である AHD、AOZ、AMOZを含めて分析対象化合物とし、現行の管理措置を維持するということを 提案しているものでございます。  (2)ニトロフラゾンでございます。食品安全委員会における評価結果を踏まえますと、 ニトロフラゾン自身については食品中に不検出とする基準を設定し、従来と同様に管理 をするということとしております。ただし、その代謝化合物であるSEMにつきましては、 食品健康影響評価の結果を踏まえまして、食品中の含有量、暴露量について以下のとお り考察を行わせていただきました。  (1)がEFSAにおける食品中のSEMの含有量調査の結果でございます。先ほど文章中でも 説明をいたしましたが、平均して13ppbのベビーフードからのSEMの検出量があるとい うことをお話しいたしましたが、その内容を表にいたしますと19ページの一番下の表と なっております。オランダから始まりまして、インダストリアルグループまでの報告さ れている平均検出量につきまして計算を行いますと、トータルでは385検体という数値 となり、平均しますと13ppbという含有量が示されているところでございます。  次に、(2)といたしまして、暴露の評価を行うためにはベビーフード等の摂取量という もののデータが必要になりますので、このデータを用いまして、SEMの暴露量というも のが試算されております。表中にございますとおり、月齢につきましては3、6、9、 12となっておりまして、一般的にベビーフードを摂取する乳幼児というものは12か月 齢ぐらいまででございますので、ここまでの範囲ということです。そして、その月齢の 中で最もSEMの暴露量が高くなるというものにつきましては、9か月齢の平均体重8.8kg、 ベビーフード等の摂取量が95%上限値で見た場合に464gというものが最も大きくなっ ております。これに従いましてSEMの暴露量を算出いたしますと、平均値では0.35μg/ kg体重/日、そして95%上限値を用いた場合であれば、0.69μg/kg体重/日という結果が 得られております。  この0.69μg/kg体重/日が最も大きな値であるわけでございますが、一方で、動物実 験において影響が認められているSEMの用量というものにつきましては、マウスの発が ん性について100mg/kg体重/日程度ということになっておりまして、最悪のケースを想 定しても、少なくとも5桁の暴露マージンがあるされているところでございます。この ため、食品中に検出されるSEMの発がん性によるヒトの健康影響は重要ではないとEFSA におきまして評価されているところでございます。  では、我が国におきましてはどうかという部分でございます。(3)に記載してございま す。ベビーフード中のSEMの含有量の実態調査というものにおきましては、先ほどもお 話ししましたが、平均いたしまして17ppbという数字が得られているところでございま す。  一方、国内におけます乳児のベビーフード等の摂食量の調査結果というものにつきま しては、詳細な調査結果が実はございません。国内におきまして8〜11か月齢の乳児を 対象として、市販されております瓶詰めベビーフードの摂食目安量というものを参考と いたしまして算出を行っております。一般的に販売されております一食当たりの摂食目 安量というものが100〜130gとなっておりまして、これを一日3回摂取すると仮定しま すと、300〜390gの範囲に入ると。この数字を使いまして、SEMの暴露量を試算いたし ますと、以下の表のような形になっております。月齢が8〜11という範囲の中で、平均 体重につきましては8.7kg。瓶詰めベビーフードのSEMの含有量は報告があるとおりの 17ppb。そして、摂取量が300〜390g。これを試算いたしますと、SEMの暴露量というも のが0.59〜0.76μg/kg体重/日という結論が得られております。  この結果から、国内におきます乳児の瓶詰めベビーフード摂取によるSEMの暴露量と いうものは、最大で0.76μg/kg体重/日と試算されるものとなっておりまして、動物実 験において弱い発がん性が認められた用量が100mg/kg体重/日ということでございます が、これと乳児を含めたヒトの暴露の間にはEFSAにおいて評価されているものと同様に、 少なくとも5桁の暴露マージンがあると考えられているところでございます。食品安全 委員会の食品健康影響評価の結果を踏まえれば、リスクとしては小さいものと考えられ るところでございます。  したがいまして、SEMそのものについては、リスクは小さいと考えられるところでご ざいますので、今般ニトロフラゾンの分析対象から除外をいたしまして、別途、発がん 性等の問題が指摘されておりますニトロフラゾンそのものを分析対象化合物とする分析 法を定めまして、以後、管理を進めていきたいと考えているところでございます。  ニトロフラゾンの試験法につきましては、告示上は不検出という基準となっておりま して、不検出に関するものにつきましては、試験法も併せて告示を行い、その試験法に より適否を判断していくという形になっております。このため、22ページの別紙といた しまして、ニトロフラゾンの試験法、これは案でございますが、お示ししております。  この試験法の中では、23ページでございますが、定量限界といたしまして1μg/kg の定量限界をもってニトロフラゾンの管理を進めてまいりたいと考えているところでご ざいます。  資料の説明につきましては、以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  ただいまの御説明について、御質問・御意見ございましょうか。 ○山内委員 山内です。おはようございます。  私は次の3つの点から、今回のSEMを分析対象から外すべきではないと考えておりま す。  まず、1点目は、食品安全委員会の調査会での議論や評価書におきまして、SEMの遺 伝毒性が完全に否定されていないと私は理解しておりますが、例えば、生体内での遺伝 毒性の陰性というのが出ておりますが、雄でしか実験されておりませんので、こういう ことによって遺伝毒性を完全に否定してよろしいのでしょうか。その辺りは専門の委員 にもお聞かせいただきたいと思いますが、私自身、日本における毒性評価の大原則とし まして、遺伝毒性あるいは発がん性の物質について閾値を設定することができず、どの くらいの量なら安全と決めることはできないと理解しておりますので、今回の結論はそ の原則に沿わないものではないかと考えております。  2つ目の点は、食品安全委員会の評価も暫定的ということでお示しされておりまして、 引き続き今後代謝毒性などの知見を収集してほしいと書いてございます。この状態にお きまして、SEMを分析から除くことはまだ早いのではないかと感じております。  併せまして、ベビーフードなどに検出されます違う物質からSEMができてしまうとい う点におきましては、その原因がはっきりしておりますから、そういった発泡剤を除く ことをきちんと御努力いただくことで、ベビーフードなどにおけるSEMが検出されると いうことを避けていける方向に努力できるのではないかと思っておりますので、分析か ら外すのではなく、その原因を突き止めていらっしゃいますので、そちらの原因を除く という方法をおとりになってはいかがかと考えます。  また、食品添加物や粉卵などについても、データを採取していただきたいと思います。  3点目は、そもそもニトロフラゾンの代謝によってできるものと理解しておりますが、 私が調べたところ、昨年7月以降SEMが検出されて輸入がストップされておりますもの が15例ございました。トラフグですとかウナギですとか、中には粉卵などもございます けれども、そういった魚に使われているものがございまして、そもそもの抗菌の作用を 持つものから使われてきた結果、代謝されたものとしてのSEMが検出されていると理解 しておりますけれども、今回はSEMの分析は対象から外し、ニトロフラゾンの検出をす る検査方法をお考えでございますが、こういったいわゆる本来的な不使用であるべきも のを発見する方法として、今回の代替のニトロフラゾンの検出試験方法は、従来のSEM を分析された方法と同等と考えてよろしいのでしょうか。私としては、非常に代謝が早 い物質と聞いておりますので、そもそものニトロフラゾンの不正使用を防ぐために発見 するための方法としてはいかがかと、不十分である可能性があるのではないかと思いま す。  以上の3点から、SEMを今回分析対象から外すべきではないと考えます。  以上です。 ○大野部会長 ありがとうございます。  今の山内委員の御意見について、事務局から何かございますか。 ○事務局 御指摘ありがとうございます。3点いただいておりますので、順番に事務局 としての考えを御説明したいと思います。  まず、1番の遺伝毒性が完全に否定されていないのではないかという御指摘でござい ますが、こちらにつきましては、まず、食品健康影響評価の評価書の内容を見ていただ ければと思います。12ページでございますが、SEMの評価でございまして、下から8行 目の末尾でございます。ここではin vitroの幾つかの試験では弱い陽性結果が見られる ものの、複数のin vivo試験で陰性であり、現時点ではin vivoにおいて遺伝毒性を有 することを示唆する報告はないとされているものでございます。このため、SEMがin vivo において問題となる遺伝毒性を示す可能性は低いとされているところでございます。更 に、SEMの暴露がEFSA等で報告されている程度であれば、生体にとって特段問題となる 遺伝毒性を示すことはないと考えられる旨評価をされております。  また更に13ページでございますが、上から3段落目、発がん性と催奇形性に関する知 見でございますが、EFSAで行っております保守的な試算暴露量と、得られている範囲で のリスクの程度を判断する方法、今回EFSAが採用した方法でございますが、これについ ても一定の合理性があるということで評価をされているところでございます。ですので、 今般、食品安全委員会の評価の結果がこのようになっているということを踏まえまして、 今般のような対応をとらせていただいているというものでございます。  2番目のベビーフードに含まれる、そもそもの発生原因を取り除いていくべきではな いかということにつきましては、委員のおっしゃるとおりでございます。このようなも のにつきましては、容器を製造するメーカー等とも連携をとりながら、どのような対応 ができるのかということについても検討を進めることとしております。  3番、ニトロフラゾンの不正使用の取締りがSEMを外すとできないのではないかとい う御指摘でございます。そもそも食品衛生法の残留基準というものにつきましては、使 用の規制を確認するものではないというものでございます。食品中に含まれる化学物質 の安全性を残留する量をもって管理する、そのために残留基準を設定していくというも のでございまして、そこに残留する物質の安全性がどのようなものであるのかという観 点に基づいて基準をつくっているものでございます。ですので、あくまでこの基準とい うものは不正に使っているものを見つけるための基準ではなくて、どの程度残っていれ ば安全であるのかというところを確認するための基準でございますので、今般、SEMに ついては、その食品に含まれる含有量において健康影響上問題ではない、リスクは小さ いとされているものでございますので、このSEMについては既に不検出とする規制対象 から除外するのが適当であろうと。しかしながら、親物質であるニトロフラゾンという ものにつきましては、毒性が認められているわけでございますので、今般これをもって 規制を継続していきたいというものでございます。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  ほかに御意見ございますか。 ○吉池委員 ベビーフードからの暴露量推計をするに当たって、1点伺いたいことがあ るのですが、食品安全委員会の評価書の11ページの下から5行目に、9μg/kgのSEM を含有した瓶詰めミルク700mlを摂取とありますが、今回の日本での分析においては、 ミルクも含めた飲料についての含有量がほかのものと比べて低かったか、高かったか、 そういう情報はありますか。 ○基準審査課長 日本ではこういう瓶詰めのミルクというのは実はないものですから、 米国やヨーロッパでは暴露評価に入れていますけれども、日本では売られていないもの ですから、今回は入れておりません。 ○吉池委員 日本で乳幼児用に売られている、いわゆる飲料については、SEMは含有し ていないという前提で考えてよろしいということですね。 ○大野部会長 ちょっとその点で、山内委員のお話についての回答はいかがですか。事 務局の回答について山内委員のお考えをお聞きしたいと思いますけれども。 ○山内委員 3点目のニトロフラゾンの分析方法については、従来のSEMを分析する方 法と同等と考えられているということをもう一回お聞きしたいと思いますが、いかがで すか。 ○事務局 従来SEMの検出限界というものが当方も1μg/kgということで管理しており まして、今般のニトロフラゾンにつきましても1μg/kgと全く同じ検出限界を保ってお りますので、それについては同等であろうと考えているところでございます。 ○山内委員 2つ目の食品安全委員会の評価が暫定的なものであると言っている中で、 今回評価をされたいというところはいかがですか。 ○基準審査課長 そこは、確かにADIを設定するにはいろいろな試験項目が十分でない ということでございますが、この物質について現状あるデータで評価すれば、検出され る量から見てもリスクは小さいと御評価をいただいているところでございますので、SEM で規制管理するというのは不適当かなと考えたところでございます。 ○山内委員 そうすると、今後も引き続き暫定的とおっしゃっていますから、要請され ている資料についてはきちんと収集されていくということですか。 ○基準審査課長 はい。当然、安全委員会から指摘をいただいていますので、宿題につ いては対応させていただきたいと思っております。 ○山内委員 1点目の遺伝毒性についても、非常に専門的なので私も今御説明いただい たところでの食品安全委員会の評価は、そのようになさっているということでしたらそ うかなと思いますので、雄の試験しかないということがまだ不十分なのではないかと感 じましたけれども、その辺りはいかがでしょうか。 ○基準審査課長 その点は、安全委員会でも議論があったところでございますけれども、 最終的にはトータルで見れば、ヒトへの遺伝毒性のリスクということで評価すれば、特 段問題となる遺伝毒性は示さないと評価をいただいたと理解しています。 ○山内委員 もう一点だけ確認したいんですけれども、今回のものはそういうことなん ですが、私の理解の中では日本においては遺伝毒性があるものについては、閾値を設定 せず管理をなさるということについては大原則として確認するというのはよろしいんで すか。 ○基準審査課長 安全委員会でのいろいろな議論の中でも、委員がおっしゃったような 考え方、遺伝毒性があるものについては閾値が設定できないという考え方について議論 があったのは承知しています。そのとおりだと思っております。ただ、今回のものにつ いては、遺伝毒性についてはヒトにとっては特段問題となるようなものではないという 評価と、また、EFSAでは日本でやられたデータとは別のデータだけで遺伝毒性について は問題ないという評価もされておりますので、そういうことも踏まえて今回はそういう 評価をいただいたと承知しています。 ○大野部会長 一般的にin vitroで遺伝毒性がある場合に、in vivoでのポジティブが 非常に多いというのが問題になっていまして、in vivoで確認して、ネガティブの場合 には発がん性があったとしても、それは遺伝毒性に基づく発がん性ではないんだという ような形で食品安全委員会の方でコンセンサスができていますので、それでよろしいの ではないかと思います。  では、吉池委員、続けてお願いいたします。 ○吉池委員 先ほど確認させていただいたことを前提に、ベビーフードからの暴露量の 推計のことを考えますと、国民健康・栄養調査が1歳以上ということから、0歳代の詳 細データが得られていないということ、また、得られたとしてもベビーフードだけ取り 出しての詳細な調査というのはほとんどされていないので、今回このような推計になっ たと思います。国民健康・栄養調査で1〜2歳児を調べた結果を見ますと、食べる量あ る程度の範囲で限られますので、飲料を除いて、食事としてとる量というのが大体一日 500g程度ですから、それが仮にベビーフードに置き換わったとしてもという仮定を考え ても、この程度の数字の範囲に落ち着くのだろうと思います。  そういう意味で、ここで示されている暴露量の推計というのは、今時点で利用可能な データからある程度の精度で推定がされているのではないかと思っています。  ただし、先ほど山内委員からも御指摘があったような、できるだけ事後的なモニタリ ングを行い、低く抑えるという努力は必要なのかと思っております。  19ページで今のことを踏まえて確認とお願いがあるのですが、6行目から「暴露量に ついては」という記述があります。これが食品安全委員会からの報告書の記述そのまま なのですが、例えば暴露量の評価なり確認というのは、誰が責任を持ってやるのかとい う主語の部分が、リスク管理側なのか、評価側なのかというのがはっきりしないことも あります。今回の動物用医薬品ということに限らず、SEMのモニタリングについてリス ク管理側として何かもう少し積極的にやるんだということが道筋として見えた方が良い のではないかと感じました。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○基準審査課長 暴露量については、19ページの6行目以下は食品安全委員会が暫定基 準値の見直しを行う際に確認するものです。なお、管理側として暴露量を把握しなけれ ばいけないと思っておりますので、やり方はいろいろこれから考えたいと思っています けれども、暴露量の調査は継続的にやっていきたいと思っています。 ○大野部会長 今後の暴露量の調査は厚労省がやるということですね。  ほかに御意見ございますか。SEMについての安全性に関するデータを更に集めるとい う約束があったと思います。それから、SEMの暴露評価について、厚生労働省が検討を 進めるということで、今回の御報告を了承してよろしいでしょうか。 ○大野部会長 それでは、今回の報告書案に基づいて、当部会の報告ということにさせ ていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  それでは、動物用医薬品のイベルメクチンの審議に入らせていただきたいと思います。 資料2−1の説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして、動物用医薬品のイベルメクチンについての御説明を申し上げま す。なお、イベルメクチンの後に続きますプラジクアンテルというものがございますが、 今般このイベルメクチンとプラジクアンテルというものの2つの剤を混合した製品につ きまして、新規の承認申請がなされておりまして、このため本部会で御審議いただくも のにつきましても、イベルメクチンとプラジクアンテルを2つ並べて資料として準備し ているものでございます。  まず、資料2−1、イベルメクチンについて御説明申し上げます。  こちらにつきましては、既に昨年11月30日に食品健康影響評価の結果が通知されて おります。結論といたしましては、イベルメクチンのADIにつきましては0.001mg/kg 体重/日というものが設定されているところでございます。  これにつきましての評価書が12ページ目以降でございます。14ページ目をご覧いた だきますと、製品名でございますが、アイボメックトピカルというものにつきましての 再審査に係る食品健康影響評価が行われているものでございます。このアイボメックト ピカルにつきましてはイベルメクチンの単剤でございまして、使用方法としては駆虫剤 で使われているものでございます。また、このトピカルにつきましては、動物用医薬品 としての承認を受けた後の所定の6年間が過ぎていることから、再審査が行われている ものでございます。  「2.再審査における安全性に関する知見等について」でございます。このアイボメ ックトピカルにつきましては、国内では牛を対象に使用されているものでございます。 また、欧州や米国、オーストラリアでも使われているものでございます。主剤でござい ますイベルメクチンにつきましては、平成7年、当時の厚生省におきまして評価がなさ れておりまして、1μg/kg体重/日、つまり今般の食品安全委員会の評価と全く同じADI が設定されているところでございます。また、諸外国におきましては、JECFAでの評価、 EMEAでの評価、FDAでの評価が行われているところでございます。  (2)安全性に関する研究報告につきましては、現在のADIに影響するものはないとさ れているところでございます。  (3)の承認後の副作用報告につきましても、牛2,026頭について調査が実施されてお りますが、新たな副作用の報告はないとされているものでございます。  3番に、再審査に係る食品健康影響評価の結果が記載されております。ここでは、先 ほど来説明いたしましたが、新たな副作用等の報告はなく、安全性を懸念させるような 研究報告もないというものでございます。このような状況から、従来定められておりま す0.001mg/kg体重/日を見直す必要はないとされているものでございます。  次に、資料2−2でございます。プラジクアンテルの御説明を申し上げます。こちら につきましても、平成18年11月30日にADIといたしまして、0.30mg/kg体重/日とい う食品健康影響評価の結果が当方に通知されているものでございます。  9ページ以降にプラジクアンテルを有効成分とするスズキ目魚類用寄生虫駆除剤につ きましての再審査の報告がなされております。  12ページに本製剤の内容が書かれております。主剤としてはプラジクアンテルという ものが使われているということ。効果・効能はスズキ目魚類の体表に寄生するハダムシ という寄生虫の駆除であるということでございます。  プラジクアンテルにつきましては、2番にございますとおり、魚類の駆虫剤、そして、 ヨーロッパでは羊、馬について使用が認められております。また、EMEAにおきましては 0.17mg/kg体重/日のADIが設定されております。  (2)安全性に関する研究報告につきましては、安全性を懸念させる研究報告は得られ なかったということ。  (3)承認後の副作用報告についても、新たな副作用は認められていないとされている ところでございます。  3番に「再審査に係る食品健康影響評価について」というものがございますが、この 中では、提出された資料の範囲におきまして安全性に係る新たな知見の報告は認められ ないというものでございます。しかしながら、プラジクアンテルというものにつきまし て、従来日本におきましてADIが設定されていないということがございますので、今般、 食品健康影響評価を実施いたしましてプラジクアンテル0.30mg/kg体重/日というもの を設定しているところでございます。  その詳細な健康影響評価の内容につきましては、15ページ以降から記載されておりま す。吸収・分布・代謝・排泄、また、各種動物を使いました投与試験等々が行われてお ります。  各毒性試験の中で、今般ADIを設置するのに用いられました毒性試験というものが23 ページ、ウサギを用いた胎児の器官形成期試験(催奇形性試験)でございます。この中 で、上から4行目、100mg/kg体重/日以上の投与群では、摂餌量について有意な低値が 認められたというものでございます。これらのことから、本知見における母動物に対す るNOAELというものが30mg/kg体重/日という形で評価されております。  この30mg/kg体重/日を用いまして、28ページの一番最後でございますが、許容一日 摂取量(ADI)の設定についてというものでございまして、こちらに種差10、個体差10 で除しまして、ADIが0.30mg/kg体重/日と評価されているところでございます。  続きまして、今般新規に承認申請がなされております。2ページに書いてございます イベルメクチン及びプラジクアンテルを有効成分とする馬の経口投与剤、エクイバラン ゴールドという商品名でございますが、こちらの食品健康影響評価が記載されておりま す。  内容につきましては5ページ以降をご覧ください。今般、新規に食品健康影響評価を 求められたということから評価が実施されております。この剤につきましても、効能・ 効果というものは、馬に寄生する寄生虫の駆除というものでございます。  結論といたしましては、先ほど来御説明しておりますイベルメクチン0.001mg/kg体重 /日、そして、プラジクアンテル0.30mg/kg体重/日というADIが確認されているところ でございます。  この評価をされた内容に基づきまして、当方の部会報告案でございます。47ページか らとなっております。資料2−3、イベルメクチンでございます。イベルメクチンにつ きましては、用途といたしましては牛、豚及び馬の内部寄生虫及び外部寄生虫の駆除で ございます。  イベルメクチンにつきましては、アベルメクチン類に由来する半合成化合物となって おります。このため2種類の化合物、1つは22, 23−ジヒドロアベルメクチンB1a、そ して、22, 23−ジヒドロアベルメクチンB1bというものがございます。混合比につきま しては、B1aが80%以上というもの、そして、B1bが20%以下という状態になっており ます。このためJECFA等におきましては、MRLの設定につきまして、すべてB1aにおい て管理をするという形とされております。また、過去当方で評価をし、残留基準を設定 しておりますが、こちらにつきましても、B1aというものを対象として基準値を設定し ているところでございます。  適用方法及び用量が48ページ以降に書いてございます。対象となる家畜につきまして は、牛、乳牛、豚、羊、馬、鹿、バイソンというものがございます。おのおのの家畜に つきまして、投与方法等については各剤の種類によりまして単回の経皮投与であったり、 単回の皮下投与であったり、または飼料添加による投与であったりと幾つかの使用方法 が規定されているところでございます。  また、その使用方法等に従いまして、休薬期間というものが各剤ごとに各国それぞれ 設定されております。  組織における残留につきましては、50ページの3以降に書いてございます。測定方法 につきましては、蛍光検出器つき高速液体クロマトグラフ法等により残留性が検証され ているものでございます。  牛における残留量等につきましては、最終的には3の(2)の(1)、牛にイベルメクチン として常用量0.2mg/kg体重を投与したものの休薬期間におきますと試験日で15日の値 を用いまして、最終的に残留基準値の検討を行っているものでございます。  また、52ページをご覧ください。(3)といたしましては、乳牛に対して投与を行いまし て、その結果としての乳中のB1aというものの濃度を測定しております。これは休薬期 間からいたしますと最も短い休薬期間が28日という形になっておりますので、この表の 中の一番最後の欄、28日部分の数値を使いまして残留基準の検討を行っております。  豚につきましては、飼料投与による残留の量というものが休薬期間等から見た場合に 最も高い値となっておりまして、53ページの(5)の表のデータ、データ自体は54ページ に移りますが、こちらのデータを用いております。豚につきまして最も短い休薬期間が、 EUの3日というものでございまして、このため試験日1日というデータを使い、残留 基準値の検討を行っております。  また、羊につきましては(6)の28日のデータを用いているところでございます。  馬につきましては、55ページの(8)の14日のデータを使っております。ただし、14日 のデータを使えるのが、筋肉と腎臓と小腸でございまして、56ページに(9)のデータがご ざいますが、脂肪と肝臓につきましては、この投与実験データの方が高いということも ございまして、(9)の表の20日のデータを使っているものでございます。  鹿につきましては(11)のデータ、バイソンにつきましては、残念ながらデータがござい ません。  57ページのADIの評価につきましては、先ほど御説明しましたので割愛させていただ きます。  各国の休薬期間につきましては、58ページをご覧いただきますと、横軸に対象となる 家畜、そして、縦軸に製品名が書いてございます。これらの中で最も休薬時間が短く、 そして、残留量が多いというデータを参照いたしまして、今回基準値を設定しているも のでございます。  6番、残留基準値の案は60ページをご覧いただければと思います。カラムの中で基準 値案とございますが、ここが今般御検討いただきたい部分でございます。下線を付して ある部分が今般新しく基準値を設定し、そして、食品衛生法の施行規則の一般規則の6 という規則の中に収載しようと考えているものでございます。上から順に、牛の筋肉に つきましては0.01ppm、腎臓につきましては0.01ppm、食用部分についても0.01ppmとい うものでございます。  豚につきましては、筋肉が0.02 ppm、腎臓につきましては0.01 ppm、食用部分が0.01 ppm。  羊の筋肉につきましては0.01 ppmという形で、若干基準値を下げております。腎臓に つきましても0.01 ppm、食用部分については0.015ppmというものでございます。  馬の筋肉は0.01 ppm、腎臓につきましては0.01 ppm、食用部分についても0.01 ppm というものでございます。  その他の陸生哺乳類、こちらが鹿に該当する部分でございます。こちらにつきまして は筋肉について0.02 ppm、脂肪が0.04 ppm、肝臓が0.02 ppm、腎臓が0.02 ppm、食用 部分については0.02ppmというものでございます。  乳につきましては、0.01ppmを採用したいと考えているところでございます。  なお、参考までにお話し申し上げければ、60ページの表のニュージーランドにつきま しては、参考とする基準値というものが以下畜種ごとに書いてございますが、牛につい てのみ個別に畜種として基準値を持っておりまして、それ以外の畜種につきましては、 All Food Producing Speciesという形で一括された基準値の設定となっております。こ のため、豚以降の数字をご覧いただければわかりますとおり、すべて同じ数字が入って いるというものでございます。開発メーカー等に確認をとったところ、この剤につきま しては、鳥については使われることはないという連絡を受けておりまして、今般鳥につ いては基準値を設定しない、つまり一律基準による管理を行うという形にしているとこ ろでございます。  ページが前後して恐縮でございますが、58ページの6の(3)に暴露評価がございます。 59ページに取りまとめた表がございますが、国民平均については5.6%、小児について は18.6%、妊婦が6.1%、高齢者が5.5%という数字となっているものでございます。  続きまして、プラジクアンテルについて御説明をいたします。資料2−4、63ページ をご覧いただければと思います。このプラジクアンテルにつきましても、馬、羊の内部 寄生虫及び魚類の外部寄生虫の駆除という目的で使われるものでございます。  64ページをご覧いただきますと、対象動物における分布、これは羊、馬、スズキ目魚 類、特にブリに使われますので、そのようなものについての分布、代謝試験の結果が記 載されております。  65ページ「3.対象動物における残留試験結果」というものがございます。こちらに おきましては、高速液体クロマトグラフ法を用いまして、各組織における残留性が検証 されているところでございます。  (2)以降に羊から始まる残留性試験が記載されております。66ページをご覧いただき ますと、羊につきましては、EUにおきましてMRLを設置しないAnnexIIに収載されてい る都合上、休薬期間が0日となっております。このため、羊の残留性試験の成績という ものにつきましては、EUの0日というものを参照いたしますので、試験時間につきまし ては投与時間が8時間という欄を参照に残留基準の検討を行っております。  (2)以降に馬の残留性の試験成績が示されております。こちらにつきましては(2)(3)(4)と 試験成績がございますが、(2)のEUにおける投与後日数の休薬期間が0日ということを 踏まえまして、8時間というデータを参照いたしまして、残留基準の検討を行っており ます。  また、スズキ目魚類の残留性試験の結果につきましては、66ページの(5)以降に記載さ れております。こちらにつきましては、休薬期間は日本の10日というのが最も短くなっ ております。このため、試験日、投与後日数につきましては、10日という部分を参照い たしまして、今般残留基準値の検討を行ったというものでございます。  次のADIの評価等につきましては、既に御説明申し上げているとおりでございますの で、割愛させていただきます。  68ページ「5.諸外国における状況」でございます。この表を見ていただきますと、 先ほど御説明いたしましたが、羊につきまして最も下のカラムですが、EUにおいて休 薬期間が0日、馬につきましてもEUで0日というものがはまっております。また、ス ズキ目魚類につきましては、日本の10日が一番短い休薬期間ということでございます。  これらの内容を踏まえまして、残留基準値の設定の検討を行いまして、70ページをご 覧いただければと思います。基準値の案という部分がございまして、今般その他の陸生 哺乳類につきまして0.3 ppm、脂肪につきまして0.2 ppm、肝臓が4ppm、腎臓が4ppm、 食用部分が4ppmというものを設定したいと考えております。また、魚介類のスズキ目 魚類でございますが、こちらにつきましては0.02 ppmという数字を設定したいと考えて いるところでございます。  別紙1の表につきましては、基準値の現行の部分でございますが、ポジティブリスト を導入するに当たりまして設定したこの基準につきまして、牛や豚または鶏、またはス ズキ目を除く魚類、これらにつきましては0.02 ppmという数字が設定されております。 これにつきましては、69ページの文章の冒頭に書いてございます分析法の状況を考慮し まして、ポジティブリストを導入する当時0.01ppm、いわゆる一律基準でございますが、 この試験の感度を担保することができないとされているものにつきましては、その検出 の最高の感度をもって残留基準を設定するとしたところでございまして、そのため当時 は牛や豚というところに0.02 ppmという検出限界の数字が入っておりました。しかしな がら、今般0.01ppmを定量限界とする分析法について開発を行っておりまして、間もな く開発も完了する見込みでございます。ですので、今般の残留基準値の設定につきまし ては、0.02ppmという数字は採用しないという形で基準値の設定を行っているところで ございます。  69ページの(3)暴露評価でございます。本暴露評価につきましては、国民平均、これ はTMDI評価でございますけれども0.012%、幼小児で0.012%、妊婦で0.0023%、高齢 者で0.012%と非常に低い値となっております。  プラジクアンテルとイベルメクチンの内容についての説明は、以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  ただいまの御説明についての御意見・御質問はございましょうか。よろしいですか。  それでは、原案どおり了承していただくということにいたしたいと思いますけれども、 よろしいでしょうか。 ○大野部会長 どうもありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次は豚パルボウイルス感染症、豚丹毒、豚レプトスピラ病混合不活化ワク チンの審議に入りたいと思います。  では、事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして、資料4−1、動物用医薬品でございます豚パルボウイルス感染 症、豚丹毒、豚レプトスピラ病混合不活化ワクチンの食品健康影響評価について御説明 申し上げます。  本資料につきましては、現在食品安全委員会においてパブリックコメントを行ってお りまして、平成19年3月9日までの募集期間となっておりますので、現時点では食品健 康影響評価の結果というものは通知されていない状況でございます。  3ページをご覧いただきたいと思います。こちらに食品健康影響評価の案について説 明がなされております。  本ワクチンにつきましては、豚パルボウイルス感染症、豚丹毒、豚レプトスピラ病と いうものに対してのワクチンとなっているものでございます。  個々の疾病の内容につきましては、「2.ワクチンの対象疾病について」という部分で 記載されており、(1)には豚パルボウイルス、(2)に豚丹毒、(3)にレプトスピラ病について の病気の内容等が記載されております。  食品健康影響評価の結論につきましては、6ページをご覧ください。今回のワクチン につきましては、主剤といたしまして豚パルボウイルス感染症、豚丹毒菌株、そして、 レプトスピラにつきましては、各種血清型株が使われているものでございます。これら の株等につきましては、不活化がなされているというものでございますので、ヒトへの 病原性は無視できると評価されているところでございます。  また、本製剤につきましては、アジュバント等の添加剤が使われておりますが、既存 の毒性評価やワクチン接種量、出荷までの期間というものを考慮した場合に、含有成分 の摂取による健康影響は無視できると考えられているところでございます。  このことから、当生物学的製剤が適切に使用される限りにおきまして、食品を通じて ヒトの健康に影響を与える可能性は無視できると評価されているところでございます。  次に、7ページ以降が資料4−2といたしまして、本部会の報告書案となっているも のでございます。  1の概要につきましては、(1)として品目名、商品名。  (2)としては用途でございます。これは、パルボウイルス、丹毒、そしてレプトスピ ラの感染による異常産の予防というものでございます。  (3)については各有効成分、(4)につきましては適用方法及び用量。これは、筋肉内 注射を行うというものでございます。  (5)といたしまして、諸外国における使用状況としましては、米国やカナダ、韓国等 既に8か国で承認されて使用されているというものでございます。  2の残留性試験の結果につきましては、本製剤の安全性の確認がなされているという 観点等から、主剤等の残留試験は実施されておりません。  3、ADIの評価については、先ほどの御説明と同様でございます。  4、食品安全委員会における評価結果を踏まえまして、残留基準を設定しないという ものを本部会の報告書案とさせていただければと考えているところでございます。  資料4−1と資料4−2につきましては、以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  ただいまの報告についての御質問・御意見がありましたら、お願いいたします。よろ しいでしょうか。  それでは、本報告書案をもって本部会の報告とさせていただきます。よろしいですか。 ○大野部会長 ありがとうございました。  それでは、次は資料5−1、鳥インフルエンザ(油性アジュバント加)不活化ワクチ ンの食品健康影響評価についてということで、御説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして資料5−1、動物用医薬品、鳥インフルエンザ(油性アジュバン ト加)不活化ワクチンの食品健康影響評価について御説明を申し上げます。  本評価書につきましても、平成19年3月9日まで食品安全委員会においてパブリック コメントを求めておりますので、現時点で食品健康影響評価の結果については通知がな されておりません。  3ページ以降に、食品健康影響評価の内容が記載されております。  1といたしまして、本剤につきましては、製造販売の承認申請がなされたことより、 食品健康影響評価が求められたということでございます。  2、鳥インフルエンザウイルスについての概要が記載されております  3、本ワクチンの内容について記載されておりまして、本ワクチンにつきましては H5N1亜型、H7N7亜型を抗原として用いているものでございます。更に、アジュバントと して軽質流動パラフィン等幾つかの物質が使用されているというものでございます。  なお、本ワクチンにつきましては、不活化ワクチンでございますので、H5N1、H7N7と もに不活化がされているものでございます。  食品健康影響評価の内容につきましては、5ページに総括がなされております。本ワ クチンにつきましては、鳥インフルエンザウイルスを不活化させたものを主剤としてお ります。ですので、感染力を有するウイルスを含んでいないということでございます。 また、製剤に使用されているアジュバント等の添加剤につきましては、ワクチンの接種 量や休薬期間を考慮した場合に、含有成分の摂取による健康影響は実質的に無視できる と考えられているところでございます。このため、鳥インフルエンザ(油性アジュバン ト加)不活化ワクチン(鳥インフルエンザ不活化ワクチン「北研」)については、適切に 使用される限りにおきまして、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は実質的 に無視できると考えられているところでございます。  7ページ以降が資料5−2でございます。こちらが本部会の報告書案でございます。  1、概要で(1)として品目名、商品名。  (2)として用途。これは鳥インフルエンザ発症の予防、そして、ウイルス排泄の抑制 というものでございます。  (3)有効成分でございますが、これはインフルエンザウイルスのH5N1、H7N7の亜型が 用いられているものでございます。  (4)が適用方法及び用量、(5)につきましては諸外国における使用状況でございます が、本剤の諸外国における使用実績はないというものでございます。  2、残留性試験の結果につきましては、対象動物における主剤の残留試験は安全性等 の確認がなされているという観点からも実施されていないというものでございます。  4、残留基準の設定でございますが、食品安全委員会における評価結果を踏まえまし て、残留基準を設定しないこととするというものを本部会の報告案とさせていただけれ ばと考えているところでございます。  説明は以上でございます ○大野部会長 ありがとうございました。  ただいまの御説明についての御意見・御質問をお願いいたします。特にございません か。  それでは、本報告案をもちまして、当部会の報告とさせていただきます。ありがとう ございました。  最後に、農薬のアゾキシストロビンについての審議に入ります。事務局から資料の説 明をお願いいたします。 ○事務局 最後になりますけれども、農薬アゾキシストロビンにつきまして御説明させ ていただきたいと思います。資料1−1、資料1−2でございます。  資料1−1、これは食品安全委員会の方で取りまとめられてございます農薬評価書で ございます。この剤でございますが、資料の4ページをご覧ください。90年代に初回の 農薬登録がございまして、その後、厚生労働省の方でも一度御審議いただきまして、既 にその時点で何種類かの農作物に基準があるということでございます。  その後、適用拡大の申請がございまして、それに基づいて食品安全委員会の方に評価 を依頼している間に、ポジティブリスト制度の導入ということがございましたので、海 外の基準等を参考にして基準が設定されているというものでございます。  今回につきましては、適用拡大の申請の部分とポジティブリスト制度導入に当たりま して新たに基準を設定した部分、もう一つ、コーヒー豆につきましてインポートトレラ ンスの申請ということで、海外の基準値を新たに置くことの要請があるということでご ざいまして、その部分。それともう一つ、既にポジティブリスト制度前から本基準とし て設定された基準につきまして、新たな作残のデータ等により見直しの必要があるとこ ろがございました。  資料の26ページは、安全委員会の方でそれぞれの毒性評価に基づいてまとめられてご ざいます総合評価でございます。動物体内運命試験ということで、ラットの試験を評価 いただいております。主な排出経路は糞中だったということでございます。  次に、植物体内運命試験ということで、稲、小麦、ぶどう等、またらっかせいを使っ た試験の結果が書いてございます。  あと、土壌中の運命試験、加水分解試験、光分解試験、土壌残留試験というものの実 施された内容を評価いただいてございまして、結果は記載のとおりということでござい ます。  26ページの後段から毒性試験の結果について記載がございます。急性毒性試験はラッ ト、マウスで実施されたということでございます。亜急性毒性はラットとイヌの試験結 果でございまして、ラットは90日の試験で白血球数の増加、肝比重の増加、イヌは90 日の試験で流涎の増加、嘔吐、血液所見について異常が見られたということが所見とし て挙げられてございます。  イヌの1年慢性毒性試験で、液状便等の消化器症状、また、コレステロール等の血清 脂質の上昇というのが確認されてございます。  2年慢性毒性と発がんの併合試験、これはラットで行われてございまして、体重増加 抑制、また血清酵素活性の低下ということでございますが、ラットにおいて発がん性は 認められなかったということでございます。  2年間のマウス発がん試験ということで、体重増の抑制、肝比重の増加というものが 所見として確認されてございますが、発がんはなかったということでございます。  発生毒性試験でラット、ウサギで実施された試験で催奇形性はないということでござ います。  遺伝毒性試験でございますけれども、主な試験は陰性という結論でございましたが、 27ページに書いてございますけれども、L5178Y細胞を用いた遺伝子突然変異試験、また、 培養ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験で陽性が見られたということでございます。 ただし、その程度は非常に弱いということと、それより高用量の小核試験等で陰性であ ったという結果から、遺伝毒性はないと結論付けられてございます。  これらの結果から、それぞれの試験の無毒性量及び最小毒性量をまとめたものが27 ページ下から28ページにかけて表としてまとめられてございます。この中からADIの設 定根拠となる試験、また、無毒性量を求めるわけでございますけれども、28ページのイ ヌの部分を見ていただければと思います。90日の亜急性毒性の試験で、イヌで無毒性量 10mg/kg体重/日という値が出てございます。そのときの最小毒性量が50mg/kg体重/日 ということでございます。また、1年間の慢性毒性試験では無毒性量は25mg/kg体重/ 日ということで、食品安全委員会としてはイヌの無毒性量は25mg/kg体重/日と考察して ございます。  2年間慢性発がんの併合試験においてラットで行われています実験でございますけれ ども、雄のラットの無毒性量として18.2mg/kg体重/日という数字がございます。最終的 に先ほどのイヌの無毒性量を25mg/kg体重/日と置いて全体を見た場合に、これが一番低 い値ということで、この値をADIの設定根拠ということで用いてございます。  ADIとしましては、安全係数、種差10、個体差10の100ということで、0.18mg/kg体 重/日と評価をいただいてございます。  この評価結果に基づいて、当方で基準の設定ということでございます。43ページから が資料1−2、部会の報告書案ということで取りまとめさせていただいてございます。  1番、品目名、アゾキシストロビンということてございます。  2番、用途はカビ等に効く殺菌剤ということでございまして、ミトコンドリアに作用 するということでございます。  3、4番の化学名、構造式はここに出ているとおりでございます。  5番、適用病害虫の範囲及び使用方法ということでございます。この剤は非常にたく さんの病害に効くということ、また、非常にたくさんの作物に対して使用されてござい ます。44ページから表に剤型ごとに出てございます。この中で作物のところで四角で囲 んでございます。例えば45ページの上から4つ目のピーマンを四角で囲んでございます けれども、こういった形で囲んであるところが、今回農薬取締法に基づきまして適用拡 大の申請があったという部分でございます。  46ページにいきますと、ズッキーニ、ワサビ、かぶ、おくらといったような作物でご ざいます。使用方法と病害を挙げてございます。  51ページでございますが、(2)ブラジルにおける使用方法ということで、コーヒー豆 ということでございます。これは最初に申しましたが、インポートトレランスの制度と いうことで、海外で基準を置いているものについて日本でもその試験結果等を評価して、 基準値の設定について検討するということでございまして、今回コーヒー豆について要 請がございましたのでデータを出していただいたものでございます。これは、ブラジル でコーヒー豆に使われる使用方法ということでございます。  6番、作物残留試験の結果で、この使用方法等に基づきまして作物残留試験をした結 果ということで、分析の対象はアゾキシストロビン本体、分析法の概要は記載のとおり でございます。  (2)に作物残留試験結果を記載しております。これにつきましては、65ページの別紙 1−1、アゾキシストロビン作物残留試験一覧表ということで、稲から表でまとめさせ ていただいてございます。65ページからは、日本で実施された作物残留試験の結果でご ざいます。  69ページからは、別紙1−2ということでございまして、海外で実施されました作物 残留試験の結果ということで、今回ポジティブリスト制度の導入で海外基準等も参考に 新たな基準を設定してございます。それを検討するということになりますので、それら の設定根拠になったデータというものをいただいてございます。それをまとめたものが 69ページからの表でございます。  75ページの最後の部分でコーヒー豆を表に加えてございますけれども、これは先ほど の使用方法で実施した結果ということでございます。これらに基づきまして基準を設定 するという作業をしてございます。  62ページでございますが、この物質につきましては、別途、飼料経由で畜産物の体の 中に入るということも想定して、乳牛における残留試験が7番、8番で産卵鶏における 残留試験ということが実施されてございます。  7番でございますが、実験的に乳牛にそれぞれの量を飼料に加えて摂食させて、その 後、牛乳また解体後の脂肪、筋肉、各臓器での残留量を測定した結果の一覧表が出てご ざいます。  また、別途飼料からどれくらい量が負荷されて入るのかというものを試算してござい まして、米国では肉牛で74ppm、乳牛では106ppm、また、豚では10ppmという評価をし てございまして、これらの数字と実際のデータから基準値を設定してございます。  8番で鶏でございますけれども、これについても飼料にそれぞれの量を混ぜて28日間 摂食させて、その後、筋肉と臓器、卵についても分析した結果でございますが、鶏につ きましては最高投与群60ppmでございますけれども、それぞれ0.01ppm未満であったと いうことでございます。  9番、ADIの評価につきましては、先ほどの安全委員会の評価のとおり記載してござ います。ADI0.18mg/kg体重/日ということでございます。  10番、諸外国の状況でございます。JMPR等では毒性評価はなされておりません。です ので、コーデックスの国際基準も現在のところ設定されていないという状況にございま す。ただし、米国、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージーランドについて調査し ますと、米国でもたくさんの作物に基準が設定されてございますし、オーストラリア、 ニュージーランド、カナダ、EUについても同様でございます。  11番、基準値案でございます。残留の規制対象といたしましては、アゾキシストロビ ンの本体ということで考えてございます。米国では一部代謝化合物も含めて検討してご ざいますけれども、その代謝化合物につきましては、作残データにおいて非常に残留量 が少ないということがございましたので、今回残留規制対象は本体のみと考えてござい ます。なお、食品安全委員会の方でも暴露評価の対象物としては本体のみで設定してご ざいます。  (2)基準値案につきましては、別紙2ということで76ページから表に出てございます。 そのうちサトウキビにつきましては76ページの中段にございます。だいこん類の上でご ざいます。カカオ豆につきましては、79ページの中段よりちょっと上、ホップの上にご ざいます。これらについて現行の基準0.02ppmという数字がございますが、先ほどの動 物用医薬品でもございましたけれども、当時の分析法の限界値ということで、本来一律 基準0.01ppmで規制するところでございましたが、分析の観点から0.02ppmという基準 を設定したというものでございまして、今回分析法で一律基準の値が確保できるという ことでございましたので、0.02ppmという数字を削除して一律基準で規制することにし たというものでございます。  もう一つ、79ページの表の下の方でございますけれども、現行0.008ppmという数字 を魚介類とはちみつについて置いてございます。これは、ポジティブリストの制度で新 たに基準を置くときの一つのルールといたしまして、乳に0.008ppmという数字を置いて ございますが、畜産物と農作物に分けて、それぞれどこかに一律基準0.01ppmを下回る ような基準が置いてある場合については、例えば、畜産物でそれが1個でもあれば、本 来一律基準で管理するところを、その値をおきましょうというような形で一つのルール として設定してございました。この農薬につきましても、乳で0.008ppmという一律基準 を下回る数字を置いたものですので、本来魚介類等については一律基準の0.01ppmで規 制するところだったんですが、0.008ppmという値を置いたということでございます。  今般、魚介類等につきましては、当然0.008ppmを置いておく科学的なデータもないと いうこと、また、乳につきましても、0.008ppmというのは米国とEUの2か国の平均値 ということで置いてございますので、これも見直すということで、今般魚介類等につき ましては、そもそもの一律基準0.01ppmの規制に戻すということで案を出させていただ いております。  乳につきましても、米国等の残留試験の結果からいきますと、0.006ppmという基準値 がございまして、それを採用すべきところでございますけれども、別途日本では一律基 準ということで0.01ppmで健康影響がない量という値がありますので、今般は0.01ppm で乳を規制するということで案として出させていただいてございます。  あと、個別にお話し申し上げますと、76ページに戻りまして、米でございます。現行 基準につきましては5ppmという値でございますが、これは当初海外のデータに基づい て置いてございます。その海外のデータをよく検討してみますと、米について籾米の結 果で5ppmという数字を置いているということがわかりました。日本は玄米で分析しま すので、そこのところに齟齬がないように日本の作残試験データに基づいて今回0.2ppm ということで下方修正を行ってございます。  小麦などは、海外のデータ等に基づいて設定しているということでございます。  基準値現行というところで網掛けになったところが、ポジティブリスト制度で海外の 基準等を参考に基準を設定したところでございますが、らっかせいでございますけれど も0.01ppmというのが現行の基準でございまして、これは海外の基準を当時参考にして 今も本基準として置いてございますけれども、今般米国でも基準値が変わったというこ とがございましたので、0.2 ppmという数字に上方修正させていただいてございます。  その中で、大豆と豆類につきましては、現行では0.5ppmをおいてございますけれども、 また豆については0.3ppmという数字がございますけれども、今回米国の作残データが提 出されたということで、それに基づきましてそれぞれ0.5ppm、及び0.50ppmに置き換え てございます。  いも類につきましても同様でございます。海外の作残データに基づいて基準を置き直 しているということでございます。  サトウキビは、先ほどの分析法の問題から一律基準に戻したというところでございま す。  てんさいにつきましても、新たなデータに基づいて0.1ppmから0.5ppmにこれも上方 修正ということでございます。  だいこん以下、これもほとんどポジティブリスト制度で、当時の登録保留基準とか海 外の基準を参考に設定したものでございますけれども、それぞれ海外のデータに基づい て基準を設定し直しているということでございます。ここで、だいこん類の葉が50.0ppm という形で非常に大きな数字になってございます。後の方にも出てきますが、30.0ppm というような形で基準値を置かれているものがございますが、これらにつきましては、 海外では使用方法といたしまして、農薬をまいた当日に作物をとる、いわゆるPHIが 0日というような使用方法があるということで、横の作残データを見ていただくと非常 に高い数字になってございます。それを根拠にいたしますと、50ppmがおかれるという ことになっております。  今回、検討の中でPHIが0日というのはいいのかというようなこともあったんです が、事務局としましては現状の案といたしましては、これ以外に今のところ採用できる 作残データがないということがございますので、案の中では提出されたデータに基づい て基準値案を設定してございます。これが採用できないとすれば、多くのところが根拠 となるデータがないということで、一律基準でカバーしなければいけないということに なってしまいます。ですので、現状の案では提出された資料に基づいて、米国の基準を 採用した形で基準値案を設定してございます。  また、日本でも同様ですが、海外でもある程度グルーピングをして、代表の作物の結 果に基づいて基準値を設定しているということでございますので、作物残留試験のとこ ろで例えば、西洋ワサビは米国のだいこん類の根及びてんさい類のデータを参照し、は くさいは米国のキャベツ、ブロッコリーのデータを参照して決めているというようなも のがございます。これはある程度グルーピングの中で代表値のデータをもって設定する ということで、これは我が国の作物残留データでも実施されております。  そういった形で下方修正したものがございますし、上方修正した中で基準値案を設定 してございます。  畜産物につきましては、先ほどの牛のデータ、鶏のデータに基づきまして、それぞれ の国で置かれている基準値を参考に基準値を設定したということでございます。  これらの基準値案に基づきまして暴露評価をいたしました。64ページでございますけ れども、この物質につきましては非常にADIが大きいことがございますので、TMDI計算 で、国民平均でも27.1%、幼小児で51.8%、妊婦で20.7%、高齢者で29.2%という比 率で、すべて80%以内に収まっているということでございます。これらの詳細につきま しては、資料80ページからそれぞれの食品ごとに試算した取りまとめ表が出てございま す。  以上でございますけれども、ADI比が80%以下ということでございますので、事務局 としてはこの基準値案で問題ないと考えてございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  ただいまの御説明についての御質問・御意見はございましょうか。 ○山内委員 今の基準値案のところで確認したいんですけれども、76ページのだいこん 類の葉は、米国などではまいてすぐその後で採取して。この5ppmが50ppmになった理 由をもう一度わかりやすく御説明いただけますか。  それと、78ページにほうれんそうもございますけれども、ほうれんそうなどについて も同様の理由なんですか。日本人は割とだいこんの葉も、最近は余り食べませんけれど も、米国などと比べてはたくさん食べるような生活習慣ですし、ほうれんそうなどもそ うなので、ちょっと増えているところが気になりますから、理由を教えていただければ うれしく思います。 ○事務局 だいこん類の葉でございますけれども、米国の使用方法といたしまして、先 ほど説明しましたが、まいた当日に収穫して出荷するというような使用方法があるとい うことでございます。それに基づきまして、作物残留の試験の結果ということで、括弧 書きで23.6から始まる値で出てございます。これに基づいて米国で50.0ppmという基準 を置いているということでございます。今回そのデータを採用して、日本の基準も5ppm から50.0ppmに置き直した案でお示しさせていただきます。  ほうれんそうにつきましても同じ理由で、78ページの一番上でございますが、米国の 作残データ、右に括弧で書いてあるところがございますが、これも同じように使用方法 といたしまして、まいて当日に収穫するというような方法であるということでございま すので、そういったデータに基づいて米国で30.0ppmと置いてございます。日本ではポ ジティブリスト制度を導入した際に過去の登録保留基準に基づき5ppmと置いてござい ますけれども、ほうれんそうのデータがないものですから、今回米国のデータに基づい て30.0ppmという数字に置き換えたということでございます。そういう案でございます。 ○大野部会長 これはポストハーベストとは違うんですか。 ○事務局 これは何回も確認してございますけれども、ポストハーベストではなくて収 穫前に使用するという使用方法が米国では認められていると聞いております。 ○大野部会長 いかがですか。 ○山内委員 実態的に日本では使用方法はどうなっているんですか。米国と同じように されるんですか。 ○事務局 日本では24時間置いた形というか、1日後ということ。各作物ごとの使用方 法は表で出ているとおりでございます。44ページからございますので、だいこんでいく と葉も根も一緒で、45ページの中ほど白さび病というのでずっときますと、収穫14日 前までというような使用方法になります。 ○山内委員 米国はわかるんですけれども、日本の食習慣におけるほうれんそうとかだ いこんの葉の摂取のことを考えると、科学者の皆さんがそうお考えになるならそうなん でしょうけれども、米国の基準をこのまま持ってくるということは別に問題ないとお考 えなんでしょうか。ちょっと私はわからないんですけれども。 ○事務局 事務局案といたしましては、今の基準、例えば、現行で5ppmというときに、 その5ppmを裏付ける科学的なデータが全くない、作残データもないという中で、基準 を置くとすればこのデータで置くという状況しかなかったので、今の案としましてはこ ういう形で出させていただいてございます。今後、この基準値案がパブリックコメント やWTO通報で海外の意見を募集した際に、何でこのような基準を置いたのか説明を求め られた際には、データに基づく基準の設定ということが必要とされますので、我々が持 っているデータから設定したで置いてございます。それについて御議論があればいただ ければと思います。 ○山内委員 私は逆に、専門の委員からそのデータがあるなら、そのデータに基づいて 今回はこうするのでよろしいというような御意見ならば、それはお聞きしたいんですが。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○井上委員 全く同じような質問ですけれども、決めないということは何をやってもい いという、逆にそうとられてしまう。あるということは、これより高くなるか低くなる かといったときに決めておけば、少なくともこれ以上あったらだめだという結論ですよ ね。なければ、自由になってしまうだろうということで。 ○大野部会長 基準がない場合は一律基準になりますから、0.01ppmに。 ○井上委員 下手すると、今度はこれに使えなくなってしまうということも出てきます よね。 ○大野部会長 そういうことになりますね。  加藤委員、何か御意見ございませんか。 ○加藤委員 私もデータを見たときに同じようなことを感じました。日本では先ほどの お話のようにPHI0日という同日使用というのはいろいろな理由で、安全性の問題と安 心の問題と両方あると思うんですけれども、その両方でこれまで認めてきていないもの に米国でなぜPHI0日が本当に必要なのか、よくわからないところがあるんですが、た だ、基準値というのは国内的につくるだけではなくて、国際的に日本が輸入せざるを得 ない食品というところもありますので、海外に対してどうしてこの基準値を決めたか、 それがきちんと説明できないとまずい点になりますので、データがないままに低い数字 を置くというのは、日本としてはやはり公的には難しい問題が出てくると思います。  このポイントは、TMDIでも化合物のADI毒性が相当低くて、こういう非常に高い値で もTMDIでADIが80%以内になっているというところを、それをどう考えて、そこだけ で基準値を決めることに、それは国際的にも原則論になっているわけですけれども、そ ういうことでいいのか、それ以上に更に負荷した基準値の決め方をしないとまずいのか という議論ではないかと思うんですが、私としては、今は日本の置かれている現在の農 薬の国際的な基準の決め方、そのルールの中で生きていかざるを得ない日本としては、 行政当局としてこういう数字についてノーと言うことはちょっと難しいだろうなという 気はしています。 ○大野部会長 ほかの委員、いかがでしょうか。 ○豊田委員 ちょっと教えてほしいんですけれども、米国のPHI0日というのが出てき ましたが、諸外国でそういうゼロというのをとっているような国はあるんでしょうか。 ○事務局 我々もその辺が非常に気になりまして、メーカーや専門の先生にも聞いたん ですけれども、米国のみと我々は聞いてございます。 ○大野部会長 佐々木委員、いかがでしょうか。 ○佐々木委員 ほうれんそうやだいこんの葉は登録がとられていないから作残試験がな いということですよね、国内では。ということは、これから申請されれば国内のものも 50ppmまでOKということになるわけですか。 ○事務局 基準的にはそうなるということです。 ○佐々木委員 たとえ残留量が少なくても50ppmまでになるわけですね。作残試験の結 果にかかわらず。そのときに見直しされて50ppmから引き下げるということはあり得る んですか。 ○事務局 その辺は、この剤に限らずということはあると思うんですけれども、例えば、 ADI比の兼ね合いとかそういうところによって出てくると思うんですが、基本的にADI 比で余裕があれば高い数字で基準を置いているところでございます。輸入品との兼ね合 いもございますので、それは個々の剤によって検討ということになると思います。  すみません、先ほど説明不足でしたけれども、だいこんにつきましては、もう既に登 録されていますのでデータはあるというものでございます。先ほども使用方法の中でだ いこんの話をさせていただきましたので、日本でもデータをとっているものでございま すけれども、米国のデータがあるので、そっちを今回優先させていただいたということ でございます。ほうれんそうは全くないということでございます。 ○大野部会長 先ほどの繰り返しになりますけれども、これは収穫してからまいた場合 はどうなんですか。米国でポストハーベストという形でやった場合は、認められないん ですか。それとも、このレベルだったら認めるんでしょうか。0日というと、その辺が あいまいになっているような気がするんですけれども。 ○事務局 ポストハーベストの場合、海外ではすべて農薬という形になりますけれども、 日本では農薬の場合と使用用途も目的によって添加物という扱いになって、添加物だと 指定添加物の問題がございますので、この剤をポストで使用した場合の使用目的等で食 品衛生法の添加物規制の方で引っ掛かってくる可能性はあると思います。 ○大野部会長 ありがとうございました。 ○豊田委員 まだちょっと理解できないことがあって申し訳ないんですけれども、結局 先ほどおっしゃられたように、例えば50ppmになると50ppmまで使っていいということ になるのか、そうではなくて、農林水産省の方で使用の方法、どのように使用するかと いう方でコントロール、例えば、何日前とか散布の量をどのくらいとかそういうことで コントロールできるのかどうかということを教えてほしいんですが。 ○事務局 基本的には国内につきましては、使用は農薬取締法に基づく使用基準により 規制しておりますので、そちらの使用基準の中で使用されるということになろうかと思 います。 ○豊田委員 そうすると、使用基準というものは今言った50ppmということで考えてい くのか、それとももっと低めで考えていくのかというのは、どういうふうに政策として やられようしとているのか教えてほしいんですが。 ○事務局 今、農水省に確認したんですけれども、米国の方で例えばだいこんでいけば 今回50ppmになりますけれども、だからといってすぐ50ppmまで残っていいような使用 方法に切り替えるということはあり得ないだろうということです。 ○大野部会長 ありがとうございます。  ほかにございますか。 ○佐々木委員 基準値の桁数に1桁のものから3桁のものまで混ざっていて、整合性が 悪いように感じるんですが、分析する立場から言いますと、3桁の基準値を精度よく分 析するというのは非常に難しいように感じるんですが、いかがでしょうか。 ○事務局 この部分は、今回事務局側といたしましては、海外の基準を参考にするとい うことで、そのまま持ってきています。実際、例えば30.0ppmというものと50ppmとい う2桁で置いたようなものと2種類ありますし、海外ではその辺もかなり混ざった状況 で設定している事実がございまして、そのまま持ってきてございます。もし、分析法の 観点というところで2桁なら2桁でいいのではないかというような御意見があれば、い ただければと思います。ただ、30.0ppmの場合と違い、例えば1.0ppmというのであれば 下の桁の重みが違うと思いますので、その辺も併せて御意見をいただければ修正したい と思いますが。 ○大野部会長 実際に分析している立場から、値に100倍ぐらい差があると分析しにく いということですか。 ○佐々木委員 桁数が30.0ppmですと30.1ppmになると違反になるわけですね。ですか ら、もう一つ下まで精度よく測って四捨五入して求めるということになるので、めった にないケースかもしれませんが、ギリギリの線の値が出たときに難しいということがあ ります。また、牛や豚のところに0.010ppmというのがあるんですが、もう一つ下の桁ま で精度よく測らなければいけないと。それが牛か豚かでそこが大きく違うというところ で、非常に検査する立場では難しいことが起きるんじゃないかなと懸念します。 ○大野部会長 この値の中に50ppmというのと50.0ppmというのと2種類ありますね。 それは何か意味があるんですか。 ○事務局 米国の方の基準をそのまま持ってきていまして、その意味合いはちょっと確 認がとれませんでした。 ○大野部会長 これは50.0ppmではなくて50ppmにすればということでしょうか。 ○佐々木委員 分析のしやすさから言えば、50ppmか51ppmかをはっきりさせればいい んですから、少し楽になります。 ○斎藤委員 私も佐々木委員の御意見と同じでして、有効数字3桁をきちんと担保する というのは、実際に分析する立場ではかなりきついと思いますので、例えば77ページの 例にもありましたけれども、きく科野菜で50ppmというのがあるわけですから、この辺 整合性をとられた方が、分析する側からしたらよろしいかと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。それは可能ですよね。 ○事務局 御意見を踏まえてと思います。 ○大野部会長 それでは、いろいろ御意見を伺いましたけれども、暴露評価というレベ ルでは、幼小児の基準で最大で51.8%という値だと。国際的な問題もあって、科学的な データがなくて基準を設定すると、いろいろ問題が起こる可能性があるということで、 両方合わせると有効数字の問題は整理するとして、現在の基準でやるのが妥当かなとい う感じがしますけれども、山内委員、さっき御意見がございましたけれども、よろしい ですか。 ○山内委員 例えば、ほうれんそうなどは申請がないので、とりあえず米国のとおっし ゃいましたか。私的に言うと安心の点から言いますと、日本でもこうやってきちんとい ろいろ調査をされた結果、日本の残留試験の結果からこういうふうに決めるというよう に決めていただいた方が、それを日本としては日本人に対して安全基準としたいという ことで、外に向けて言っていただく方が安心なんですけれども、その辺りの作業という のはこれからなさるんですか。 ○事務局 申請がないためというよりも、ほうれんそうについてほかにデータがないか らというところが第一でございます。 ○大野部会長 日本でデータが出てきても、それに基づいてすぐ変えるということでは ないわけですね。米国でこの値が出てしまっているということですね。 ○事務局 そこは先ほど言いましたように、ADIをどれくらい占有するかということが ありますので、もしこの物質のADIが非常に小さいもので、米国の基準値では80%以下 を担保できなくなれば、それは低いものも採用して、ADIとの兼ね合いで判断が必要な 薬剤というのは今後出てくるかと思いますけれども。 ○佐々木委員 先ほどの桁数の件ですが、30.0ppmのような3桁は2桁にするけれども、 例えば3.0ppmは3.0ppmのままという方針でしょうか。 ○事務局 最後に確認させていただこうと思ったんですが、事務局としては50.0ppm、 30.0ppmにつきましては50ppm、30ppm、2.0ppmとか1.0ppmはそのまま、先ほど委員か らありました0.010ppmというのは0.01ppmという形で整理したいと思うんですが、いか がでしょうか。 ○大野部会長 よろしいですか。それでは、そのように整理していただくということで、 原案で……。 ○青木委員 ちょっとよろしいですか。別に質問してもよろしいでしょうか。79ページ で魚介類が入っているんですけれども、えさとして魚は大豆とかあるんですが、例えば 貝類とか結局汚染からそれが吸収されると考えてよろしいんですか。 ○事務局 現行の基準ははそういう根拠によるものではありません。 ○青木委員 0.01ppmにされるわけですね。だけれども、これには関係ないんじゃない ですか。 ○事務局 ポジティブリスト制度の中では、すべての食品について網に掛けるというこ とがございますので、データがあって基準値が置けるものについては個別に置きますし、 ないものは一律基準という形になります。混入のおそれがなければ、0.01ppm以下で多 分流通するということになると思います。 ○青木委員 わかりました。 ○大野部会長 よろしいですか。ありがとうございます。 ○事務局 先ほどの桁数の関係で確認なんですけれども、例えば既存で0.3ppmとか 0.1ppmという形で置いてあるものはそのままということで考えておりますので、1ppm とか2ppmもそういう形で。 ○大野部会長 それでは、この基準値の案に関して、有効数字のところを整理するとい うことを前提に、この案でよろしいかどうか御意見を伺いたいと思いますが、いかがで しょうか。よろしいですか。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、本報告案を若干整理した上で、当部 会の報告ということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  大分時間が予定より過ぎてしまって申し訳ないんですけれども、今後の手続について 事務局の方から御説明をお願いいたします。 ○事務局 今後の手続につきまして御説明いたします。  本日御審議いただきましたイベルメクチン及びプラジクアンテルを除く動物用医薬品 の3品目につきましては、食品安全委員会からの通知を待って部会報告書とさせていた だくこととしております。  また、農薬アゾキシストロビン、動物用医薬品イベルメクチン、プラジクアンテルの 2品目につきましては、食品安全委員会からの通知を受けておりますので、本案をもっ て部会報告書とさせていただきます。  なお、今後の手続につきましては、食品衛生分科会にお諮りするとともに、農薬アゾ キシストロビン、動物用医薬品イベルメクチン、プラジクアンテル、ニトロフラン類に つきましては、パブリックコメント等の所要の手続を進める予定としております。 ○大野部会長 ありがとうございました。  そのほか議題の中にその他がありますけれども、何かございますか。 ○事務局 来月の本部会の開催日程につきましては、4月24日火曜日の午後を予定して おります。時間・場所については追って御連絡申し上げますが、次回の本部会での御検 討いただく農薬、また動物用医薬品等につきましては数が多うございます。そのため従 来は2時間という形で設定させていただいておりますが、もう少々お時間をいただくこ とになろうかと思っております。  以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。  そのほかはございますでしょうか。 ○事務局 特にございません。 ○大野部会長 それでは、以上をもちまして、本日の部会を終了させていただきたいと 思います。どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2487、2489)