07/03/08 平成19年3月8日薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録 1.日時及び場所   平成19年 3月8日(木) 14:00〜   厚生労働省 講堂 2.出席委員(13名)  五十音順    石 山 陽 事、 小 田   豊、 小 俣 政 男、◎笠 貫   宏、    北 村 惣一郎、 澤     充、 勝 呂   徹、 武 谷 雄 二、    土 屋 利 江、 富 田 基 朗、○中 原 一 彦、 長谷川 紘 二、    松 谷 雅 生  (注) ◎部会長 ○部会長代理    他参考人1名   欠席委員(4名)五十音順    荒 井 保 明、 飯 沼 雅 朗、 倉 根 一 郎、 山 口 照 英   3.行政機関出席者    黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    俵 木 登美子(医療機器審査管理室長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、    丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審議役)、他 4.備考    この会議は、個別案件は企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催され、個   別案件以外は公開で開催された。 ○医療機器審査管理室長 定刻となりましたので、ただ今から医療機器・体外診断薬部 会を開催させていただきます。委員の先生方におかれましては、御多忙の中お集まりい ただきまして、大変ありがとうございます。本日この部会委員数17名のうち、現在12 名の先生に御出席をいただいております。北村委員が30分ほど遅れてお着きというふう にお聞きしております。したがいまして、審議会令第9条第3項に基づきまして、定足 数に達しておりますことをまず御報告させていただきます。本日の会議のうち、医療機 器の承認基準及びJIS規格に関する報告事項につきましては公開案件ということで、 審議会の決議に基づきまして会議を公開とさせていただきます。公開案件終了後、引き 続き個別品目の審議へ移らせていただきますけれども、その部分につきましては、非公 開とさせていただきます。  では、まず初めに、医療機器に関する審議会の部会において統合がありましたので、 それについて事務局から御報告をさせていただきます。本年1月に薬事・食品衛生審議 会の委員改選がありまして、それに際して、これまで医療機器の審議をお願いしてまい りました、医療機器・体外診断薬部会及び医療材料部会という二つの部会がございまし たが、その二つの部会を統合して、本医療機器・体外診断薬部会という一つの部会にさ せていただいたものです。これまでほぼ二つの部会が毎回合同開催ということで御審議 をいただいてきている部分がありましたので、今回二つの部会を一つに統合させていた だいたものです。1月24日に開催されました薬事・食品衛生審議会の総会におきまして 御了承いただき、部会長として笠貫委員にお務めいただくことが決定されておりますこ とをまず御報告させていただきます。  本日は改選後初めての部会開催ということですので、まず事務局から、先生方の御紹 介をさせていただきたいと思います。お手元に名簿があろうかと思いますので、それを 御覧いただきたいと思います。本日御欠席ですが、国立がんセンターの荒井保明委員と、 日本医師会の飯沼委員。杏林大学の石山委員。東京歯科大学の小田委員。東京大学の小 俣委員。東京女子医科大学の笠貫委員。遅れて御到着の予定ですが、国立循環器病セン ターの北村委員。本日御欠席ですが、国立感染症研究所の倉根委員。日本大学の澤委員。 東邦大学の勝呂委員。東京大学の武谷委員。国立医薬品食品衛生研究所の土屋委員。徳 島文理大学の富田委員、大学評価・学位授与機構の中原委員。昭和大学の長谷川委員。 埼玉医科大学の松谷委員。本日御欠席ですが、国立医薬品食品衛生研究所の山口委員で す。  それでは、まず審議に先立ちまして、薬事・食品衛生審議会令に基づきまして、本部 会の部会長代理を御指名いただきたいと思います。規定により「部会長の御指名で」と されておりますので、笠貫部会長から御指名をお願いいたします。 ○笠貫部会長 それでは、中原一彦委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょ うか。中原委員、よろしくお願いいたします。 ○医療機器審査管理室長 どうもありがとうございました。それでは、笠貫部会長の御 指名により、中原委員に部会長代理をお願いしたいと思いますので、席の移動をよろし くお願いいたします。  それでは、笠貫部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 この度、部会長に指名を受けまして、皆様の御協力をもってこの会を有 効かつ有意義なものにしていきたいと思っておりますので、御協力のほど、よろしくお 願い申し上げます。それでは、この議事に従って進めていきたいと思います。初めに事 務局より資料の御確認をお願いいたします。 ○事務局 はい。それでは資料の確認をさせていただきます。今回の部会資料につきま しては、あらかじめ送付させていただいております。お手元に資料が無い委員がいらっ しゃいましたら事務局までお申し出いただければと思います。資料といたしましては、 資料1-1「承認基準(案)(眼科用冷凍手術ユニット他2基準案)」というものです。それ から、資料2-1「医療機器関係JIS一覧」。資料2-2が「制定、改正及び廃止された JISの概要」。資料2-3が「今年度制定・改正予定のJIS一覧」。それから、参考 資料といたしまして、参考資料1-1「眼科用冷凍手術ユニット承認基準(他2基準)につ いて」。参考資料1-2「医療機器の承認基準に関する基本的考え方について」、以上で す。 ○笠貫部会長 それでは、ただいまの資料について、特に足りない方、委員の先生方は いらっしゃいませんでしょうか。  では、議題1の「医療機器の三つの承認基準(案)」について御報告いただきます。こ れも事務局からお願いいたします。 ○事務局 それでは、基準の内容につきまして御報告いたします前に、まずは承認基準 というものがいかなるものであるか、薬事法における位置づけはどのようになっている のか、そういった点をまず事務局より御説明申し上げます。参考資料1-2「医療機器の 承認基準に関する基本的考え方について」を御覧ください。資料を1枚めくっていただ きますと、裏側に「医療機器に係る『カテゴリー』と『安全対策』の見直し」という表 がございます。これは平成17年4月に施行されました改正薬事法における承認許可制度 の概要を示したものです。  さて、改正薬事法においては、人体に対するリスクに着目した国際的な分類ルールに 基づき、医療機器を四つのクラスに分類しております。この四つのクラスの中で最もリ スクの低い分類であるクラスI医療機器は、不具合が生じた場合でも、人体へのリスク が極めて低いと考えられるもので、体外診断用機器、鋼製小物等がございます。クラス は数字が大きくなるほどリスクが大きくなることを意味しておりまして、クラスII医療 機器は、不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの、ク ラスIII医療機器は、不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられるも のになります。クラスIV医療機器は、最もリスクの高い分類であり、患者への侵襲性が 高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結するおそれがあるものです。例としまし ては、ペースメーカや人工心臓弁、ステント等がございます。そして、現行の改正薬事 法におきましては、このクラス分類に基づきましてリスクに応じた規制を行っています。 医療機器の製造販売を行う際には、リスクの高いクラスIV医療機器とクラスIII医療機器 につきましては、品目ごとに厚生労働大臣の承認が必要であるとされています。承認に 際しては、品質、有効性及び安全性に関して審査が行われ、効能・効果又は性能がある と認められないときなどには承認は与えられません。  一方で、最もリスクの低い分類であるクラスI医療機器については、製造販売のため に大臣の承認は不要とされており、届出を行えばよいことになっております。これらに 加えまして、これらの中間となるクラスII医療機器については、登録認証機関による認 証制度が導入されています。クラスII医療機器のうち、認証に関する基準が定められて おり、かつ基準に合致している医療機器については、薬事法に基づき登録を受けた認証 機関が、基準に適合しているか否かの審査を行います。審査の結果、認証を受けた医療 機器については、その製造販売についての大臣の承認は不要となります。この認証に関 する基準についても、今後、こちらの審議会の方で御報告させていただきたいと考えて おりますが、残念ながら、今回は対象となるものがございませんので、今回は御紹介に とどめさせていただきます。  さて、ようやく本題でございます承認基準の話になりますが、今回御報告申し上げま す承認基準は、その名のとおり、承認に関する基準でございますので、対象となります のは、大臣が承認を与える品目、つまり、クラスIV医療機器とクラスIII医療機器、そし て、認証基準の定められていないクラスII医療機器ということになります。  それでは、資料の1枚目を御覧ください。ページの上の方に記載のありますとおり、 承認基準といいますのは、その基準への適合性を確認することにより承認審査を行う医 療機器に関する基準をいいます。ここで御理解いただきたいのは、承認基準といいます ものは、承認前例があり、すでに有効性、安全性が確かめられているものについて、一 定の規格により、有効性、安全性があると認められる範囲を明らかにしたものです。つ まり、承認前例のある医療機器の審査のために用いる基準が、承認基準ということにな ります。あくまで新規性のある医療機器の審査のために用いられるものではありません ので、その点は御承知おきください。  なお、承認基準は、すでに有効性、安全性が確かめられているものについて定められ ますので、新たに臨床試験を行わなければならないような医療機器については、対象外 となっております。  さて、この承認基準を定めることによる利点ですが、承認基準の定められた医療機器 については、承認を受けることのできる製品の仕様等が明らかになっておりますので、 その基準に合致するものであれば、承認審査が、簡素かつ迅速に行われることになりま す。また、資料の下側に申請の区分を示してありますが、承認基準に合致するものであ れば、3番の「承認基準あり臨床なし」という区分により申請を行うことになりますの で、臨床試験が必要なものや、承認基準のないものに比べ、審査の合理化が図られてお ります。さらに、申請者にとっても、承認を受けることのできる要件が明らかにされて いるという利点があろうかと思います。これまでに定められた承認基準につきましては、 資料の3枚目に示してございます。委員の皆様に資料をお送りさせていただきました時 点では、御覧のとおり、17の承認基準がございましたが、実は、この3月2日に8の基 準が追加されておりまして、現在では25基準となっております。この追加された8基準 につきましては、委員の先生方には、当日配付資料として、机上に一覧を配付させてい ただいております。以上、承認基準に関する基本的な考え方につきまして御説明申し上 げました。  続きまして、今回作成いたしました承認基準の案につきまして、その内容の御説明を させていただきたいと思います。こちらの説明は、承認基準案につきましての調査を行 いました医薬品医療機器総合機構の基準課より御説明申し上げます。 ○機構 それでは御説明申し上げます。総合機構では、医療機器等の承認及び認証基準 案の作成に当たりまして、総合機構専門委員等で基準案を審議いたします「医療機器承 認基準等審議委員会」を設置しているところであります。当該基準につきましても、審 議委員会にて審議いたしましたので、総合機構から各承認基準案につきまして御説明申 し上げます。  厚い縦書きの資料1-1というのが、基準案そのものになります。今回は3基準を作成 させていただきたいと考えております。各基準案の構成は、該当する医療機器の技術的 要求事項を規定した技術基準と、基本要件適合性チェックリストから成り立っておりま す。基本要件とは、医療機器規制国際整合化会議、いわゆるGHTFで議論されており ますエッセンシャル・プリンシパルを取り込んだものでありまして、すべての医療機器 が備えるべき一般要求事項を定めたものであります。チェックリストには、この基本要 件に適合させるための具体的な方法を定めてあります。  基準案の概要につきましては、参考資料1-1、こちらの1枚物でございますけれども、 こちらの方にまとめておりますので、今回の御報告に関しては、この参考資料を用いま して御説明させていただこうと考えております。  それでは、眼科用冷凍手術ユニット承認基準(案)について、1ページ上部を御覧くだ さい。「眼科用冷凍手術ユニット」の定義は、凍結剤を直接適用するか、極低温プロー ブと間接的に接触させることにより標的組織を冷却するために、ガス又は液体冷媒を適 用し、水晶体摘出などの眼科手術に用いる眼科機器をいう、となっております。眼科用 冷凍手術ユニットの品目につきましては、現行制度において、承認審査のための基準、 若しくは申請資料に添付すべき資料に関する通知等が示されておりませんので、今回、 新たに承認審査に関する基準を定めさせていただきたいと考えております。  基準の概要ですが、平成18年6月の合同部会で報告された「汎用冷凍手術ユニット」 の承認基準に準拠し、眼科用冷凍手術装置に固有の要求事項である冷凍接着試験と、眼 科用専用のプローブの要求事項を附加いたしまして、基準案を作成するものであります。 FDAの認知規格であるASTM F882-84の技術要件を引用し、承認基準の性能要求として 規定したものであります。なお、眼科医療機器におきましては、凍結剤を直接適用する タイプの冷凍手術装置は現存していないため、承認基準の適用範囲から、冷凍剤を直接 適用するものは除外いたしました。  続きまして、脳動脈瘤手術用クリップ承認基準(案)について、1ページ下部を御覧く ださい。「脳動脈瘤手術用クリップ」の定義は、血管等の解剖学的部位を通じて血流を 停止させるために用いる器具をいう。動脈瘤クリッピング施行時に、脳動脈瘤頸部又は 周囲血管をクリッピングするために使用するクリップであるとなっております。脳動脈 瘤手術クリップの品目につきましても、現行制度においては、承認審査のための基準、 若しくは申請資料に添付すべき資料に関する通知等は示されておりませんので、今回、 新たに承認審査に関する基準を定めさせていただきたいと考えております。  基準の概要ですが、脳動脈瘤クリップの国際規格でありますISO 9713「脳外科用イン プラント-脳動脈瘤クリップ」を参考にして技術基準を定めて承認基準を作成するもので す。なお、承認前例のある作動メカニズムは、アリゲーター運動という交差運動をする バネ式クリップだけでしたので、適用範囲は、アリゲーター運動を有する脳動脈瘤手術 クリップに限定したものとなっております。  続きまして、脳動静脈奇形手術用クリップ承認基準(案)について、2ページを御覧く ださい。「脳動静脈奇形手術用クリップ」の定義は、脳動静脈奇形又は脳腫瘍摘出にお いて脳動静脈の血管遮断を目的に使用するクリップ(ホッチキスの針状のものを含む)を いうとなっております。脳動静脈奇形手術用クリップの品目についても、現行制度にお いては、承認審査のための基準、若しくは申請資料に添付すべき資料に関する通知等は 示されておりませんので、今回、新たに承認審査に関する基準を定めさせていただきた いと考えております。  基準の概要ですが、脳動脈瘤クリップの国際規格であるISO 9713「脳外科用インプラ ント-脳動脈瘤クリップ」を参考にして技術基準を定めて承認基準を作成するものです。 なお、承認前例のある作動メカニズムは、アリゲーター運動だけでしたので、脳動脈瘤 手術用クリップ承認基準(案)と同様に、適用範囲はアリゲーター運動を有する脳動静脈 奇形手術用クリップに限定したものとなっております。脳動脈瘤手術用クリップ承認基 準(案)と、脳動静脈奇形手術用クリップ承認基準(案)の差異は、適用部位が異なるため、 クリップの大きさや形状等が異なり、それに応じて閉鎖力の規格値や要求事項が異なる ことであります。今回報告させていただきました3基準は、昨年12月4日、総合機構に て開催いたしました医療機器承認基準等審議委員会において、非臨床委員、臨床委員に 審議いただき、審議委員会として了承された基準であり、審査時に御意見をいただいた 眼科用冷凍手術ユニット承認基準(案)の適用範囲の変更、脳動脈瘤手術用クリップ承認 基準(案)と、脳動静脈奇形手術用クリップ承認基準(案)の磁性特性試験方法の記載内容 修正等、審議結果を反映した基準となっております。また、1月5日から2月4日まで のパブリックコメントの募集を行いましたが、意見の提案がなかったことを併せて報告 させていただきます。以上です。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの事務局の御説明 に、御質問御意見はございますでしょうか。 ○澤委員 この参考資料1-1で、ユニットの定義が「水晶体摘出など」から、資料1-1 では「網膜剥離など」というように変わったのは、現在の術式においては非常に適切だ ろうと思います。その一方で、資料1-1の2ページ目では、「凍結剤 亜酸化窒素、二酸 化炭素の高圧ガスをいう」となっております。6ページ目では、二酸化炭素のディスチ ャージについて、使用後放出するにはするのですけれども、これは二酸化炭素ですから。 ここには亜酸化窒素だけが書かれているということで、問題ないと思います。その一方 で、7ページ目の4.2.6の所で、「冷凍手術装置の到達最低温度は、−60℃以下を常に 保証するもの」となっておりますが、−60℃の維持に関して、通常亜酸化窒素は問題あ りません。二酸化炭素を凍結剤として使用しても、−60℃が維持できるのかどうかとい うことについて、念のため御検討をしておいていただきたいと思います。 ○機構 分かりました。検討させていただきたいと思います。 ○笠貫部会長 それでは、今の御指摘の点を御検討いただくということとしてほかに御 意見、御質問ございますでしょうか。それ以外の脳動脈瘤手術用クリップ、そして、脳 動静脈奇形手術用クリップ、この承認基準についても、御質問ございませんでしょうか。  この技術基準というのはこれから具体的にどんなふうな形で進めていかれるのか、事 務局から、御説明ございますか。 ○医療機器審査管理室長 手続でしょうか。本日御報告させていただき、今御指摘いた だいた点は、確認して対応させていただきたいと思います。御報告を御了解いただきま したら、通知の形で広く示していきたいと考えております。 ○笠貫部会長 それでは、そのような形で進めていただきたいと思います。それ以外に、 御意見、御質問はございませんでしょうか。特に無いようでしたら次の議題に移りたい と思います。それでは、議題の2に入りたいと思います。医療機器JIS規格の確認、 制定、改正又は廃止について、事務局より御報告をお願いいたします。 ○事務局 すみません。ただいま北村委員が御到着されました。国立循環器病センター の北村委員です。よろしくお願いいたします。 ○北村委員 よろしくお願いいたします。 − 北村委員着席 − ○事務局 それではJIS関係の説明をさせていただきたいと思います。医療機器JI S規格の確認、制定、改正又は廃止につきまして、事務局より御報告させていただきま す。お手元の資料2-1を御覧ください。資料2-1は「医療機器関係JIS一覧」でござ います。こちらの表の左側に通し番号が振ってございますが、現在、本邦におきます医 療機器関係のJISとしましては、合計382の規格がございます。前回、医療機器・体 外診断薬部会を開催いたしました昨年11月22日以降、昨日3月7日までに、医療機器 関係JISで、確認、制定、改正又は廃止されたJISは、制定21件、改正5件、廃止 24件でございます。その概要につきましては、資料2-2に記載があります。詳細につき ましては割愛させていただきます。  続きまして、資料2-3を御覧ください。こちらは本年度制定・改正予定のJIS一覧 でございます。本年度の制定予定は8件、改正予定は5件です。以上で報告を終わりま す。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。ただいまの事務局の御報告について、御 質問はございますでしょうか。先ほどの、制定21件、改正5件、廃止24件と、一覧表 で御覧いただけるかと思いますが、特に御質問はございませんでしょうか。特にござい ませんでしたら、次に進めさせていただこうと思います。各委員にはあらかじめ御覧に なっていただけたと思いますので、この議題も、報告を終わらせていただくことにした いと思います。以上、議題についてはここまでですが、事務局から何かございますでし ょうか。 ○事務局 特にはございませんが、以上で公開案件の関係の議題を終了させていただき たいと思います。以降、個別品目の審議の方は、非公開とさせていただいておりますの で、傍聴の皆様は御退席をお願いいたします。2時40分から個別品目の審議に入らせて いただきますので、よろしくお願いいたします。 − これより非公開 − ○医療機器審査管理室長 引き続きまして、個別品目の審議に入ります。笠貫先生よろ しくお願いいたします。 ○笠貫部会長 議題に入ります前に、資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。資料はあらかじめお送りさせていただい ておりますが、本日お配りしているもののほかで不足の資料等がありましたら事務局ま でお知らせいただければと思います。  資料3-1は「医療機器TAXUS エクスプレス2 ステントの生物由来製品又は特定生物 由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査の指定について」です。資料3-2 として、本日配付させていただきましたパワーポイントの打ち出しのA4横長の資料で す。「医療機器TAXUS エクスプレス2 ステントについて」です。資料番号はありませ んが、TAXUS エクスプレス2 ステントの諮問書の差換えがありましたので、併せて本日 配付させていただきました。資料4-1は「医療機器ギブン画像診断システムの生物由来 製品又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否及び再審査の指定について」 です。当日配付いたしました資料として、パワーポイント打ち出しのもので「医療機器 ギブン画像診断システムについて」という横長のもの。資料5-1は「高度管理医療機器、 管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否につい て」です。資料5-2は「クラス分類ルール」です。資料5-3は「平成18年9月22日薬 事分科会報告資料(資料No.25)」です。資料6-1は「1片中ボリコナゾールとして51.2μ g以下を含有する体外診断薬の劇薬指定の除外の可否について」、以下体外診断薬の除 外関係の資料が資料6-2から資料6-5まで入っています。資料7-1は「部会報告品目に ついて」です。資料8-1は「優先審査品目について」です。参考資料6-1「毒薬・劇薬 指定基準」です。 ○笠貫部会長 議題3の新医療機器の審議に入ります。なお、本審議品目に関しては、 関与委員がいないことを御報告いたします。審議品目の概要について事務局から説明を お願いいたします。 ○事務局 本日審議いただきます新医療機器は2品目です。1品目目の「医療機器TAXUS エクスプレス2 ステント」の御審議をお願いいたします。申請者は、ボストン・サイエ ンティフィック ジャパン株式会社です。本品目は、経皮的冠動脈ステント留置術を実施 する際に、血管内腔確保を目的に、病変部に挿入留置して使用する冠動脈ステントと、 それからステントを病変部位に送達させるために使用するデリバリーシステムから構成 されております。また、再狭窄抑制の作用を期待してパクリタキセルという薬剤をコー ティングした、薬剤溶出型のステントです。  審査の概要及び委員の皆様から事前にいただいたコメントの説明につきまして、実際 に審査を行った独立行政法人医薬品医療機器総合機構から説明していただきます。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料3-2を御覧ください。本 品の審査においては、医薬品医療機器総合機構での審査に当たり、御覧の専門委員の御 意見をいただきました。本申請品目の外観写真をお示しいたします。本品は、薬剤塗布 していないエクスプレスステントを見本に御用意いたしましたので御覧ください。本日 は、経皮的冠動脈ステント留置術を実施するに際し、血管内腔確保及び再狭窄抑制を目 的に、病変部に挿入留置して使用するステントセットです。外観上はエクスプレスコロ ナリーステントと同一なのですが、申請品目にはステント表面に薬剤がコーティングさ れております。  本品の構造の概略について御説明いたします。本品は、ステントストラットの表面に、 抗癌剤として承認を受けている医薬品である、パクリタキセルとスチレン・イソブチレ ン・スチレントリブロックコポリマーの混合物がコーティングされております。留置部 位において、ステントストラット表面にコーティングされたポリマーから溶出したパク リタキセルが、ステント留置部位の血管平滑筋細胞の増殖を抑制することにより、ステ ント再狭窄を抑制する仕組みになっております。  海外における承認状況及び不具合について示します。欧州諸国では2003年1月、米国 では2004年3月に承認され、販売を開始しております。2006年11月現在88か国約□ □万本使用されております。また、不具合は約□□□件報告されておりますが、機器に 関連又は関連の否定できない死亡は0.013%、ステント血栓症は0.025%でした。  このスライドには、本品に関する自主回収の概略をお示ししております。2004年7月 に、本品のデリバリーカテーテルにおいて、フォーカルネックダウンと呼ばれる、部分 的に細いシャフト径が存在することが原因と目される、バルーンの収縮不良という不具 合が発生し、その時点ですべての製品を回収しております。その後、製造工程検査の是 正措置を施し、再出荷されておりますが、是正措置後の製品では同様の不具合は生じて おりません。  これに伴い、同一カテーテルを使用していたエクスプレスコロナリーステントについ ても、日本で自主回収が行われておりますが、いずれの場合についても是正措置後の製 品でフォーカルネックダウンが原因と見られる、バルーン収縮不良は生じておりません。  本品については、添付資料が膨大であるため、時間の関係上試験項目の詳細等につい ては、一部簡略化して御説明させていただきます。こちらにお示ししました各項目に関 する資料については、審査報告書に記載させていただきましたとおり審査いたしました 結果、大きな問題は認めませんでしたので了承いたしました。  パクリタキセルの作用機序に関する試験についてお示しします。パクリタキセルは6 〜12nMにおいて、p53の発現が最大となり、サイクリン依存性キナーゼの阻害タンパク であるp21の発現も伴うことが確認できました。また、パクリタキセル存在下で培養し た冠動脈平滑筋細胞の多くがG1期で停止していることから、パクリタキセルによる血 管平滑筋細胞の増殖抑制効果はp21wafl誘導により、細胞周期をG1期で停止させたこと が一因であると考えられます。  次に使用方法を裏づける試験に関する資料についてお示しします。本品の用量を設定 するに当たり、ポリマーとパクリタキセルの比を35%にした高速度処方、25%にした中 速度処方、8.8%にした低速度処方を用意し、それぞれの処方には単位面積当たりのコー ティング量を変えた用量のステントを用意し、用量設定試験を実施しております。また、 臨床使用を模擬した各種の留置試験が行われ、いずれも問題がないとする試験成績が得 られております。これらの成績から中速度放出処方1.0μg/mm2を安全性の上限と定め、 その後の検討を行っております。  次に、本品について実施された市販前臨床試験について示します。そのうちスライド には黄色でお示した二つの試験について、試験成績が添付資料として提出されておりま す。TAXUSIV-SR試験についてお示しします。対象機器を、土台ステントであるエクス プレスコロナリーステントとし、被験群662例、対照群652例の比較臨床試験が行われ ました。対象病変、観察期間、抗血小板療法はこちらにお示ししたとおりです。  臨床試験の評価項目は御覧のとおりです。主要評価項目については、手技後9か月間 の標的血管再血行再建術が設定されました。安全性の二次評価項目、有効性の二次評価 項目については、こちらにお示ししたとおりですが、現在のところ3年間のフォローア ップが終了しておりますので、3年のフォローアップデータについては、申請中に参考 資料として追加提出されました。  次に、臨床試験の試験成績についてお示しします。主要評価項目である9か月間のT VRは、対照群12.0%に対して、被験群4.7%と有意に減少しております。また、安全 性の二次評価項目であるMACEについては、9か月間の成績において有意な減少が観 察されておりますが、そのほかの観察時期におきましては差が認められておりません。 なお、3年間の追跡調査における成績において、被験群の方が有意に低い成績が得られ ておりますことから、本品の長期的な安全性についても確認されていると考えておりま す。  次に、有効性の二次評価項目ですが、手技後9か月間のTVF、再狭窄率、新生内膜 肥厚容積については、被験群において有意に低い成績が得られております。また、手技 成功率については、対象群と同等の成績が得られております。  次に、国内の医療環境における本品の適合性を確認する目的で、BS031-01試験が行わ れました。試験の概略はこちらにお示ししたとおりです。海外の治験との違いとして、 抗血小板療法が、塩酸チクロピジンとアスピリンの併用で行われております。  国内治験の成績を示します。手技後30日間のMACEは7.5%でしたが、MACEと して計数された症例について詳細に検討し、専門協議において御意見をいただきました ところ、薬剤溶出型ステントに由来するというよりは手技上の問題と判断し、本臨床試 験の成績から、国内環境の適合について問題ないとする申請者の見解を妥当と考えまし た。  最近、薬剤溶出型ステントを留置した患者において、手技後1年を超える時期に発症 する、いわゆる遅発型ステント血栓症が報告されております。この問題については、昨 年12月、米国FDAにおいてもパネルミーティングが開催され議論されましたが、現時 点では適応の範囲内において使用する場合において、遅発性ステント血栓症のリスクが、 薬剤溶出型ステントの有用性を上回るとは言えないこと、また抗血小板療法の最適な投 与期間については、現時点では判断できないことから、長期的なデータを収集していく ことが必要であると結論づけられております。  我々PMDAにおいても、この件について12月末に開催した専門協議において議論さ せていただきましたが、米国FDAの判断と同様、現時点では遅発性ステント血栓症の リスクは、本品の有用性を上回るとは言えないと判断いたしました。また、抗血小板療 法の投与期間については、現時点では臨床試験の結果を踏まえ、少なくとも6か月とす ることは妥当と考えております。  しかしながら、本機器の長期的な安全性について、十分調査することが重要と考える ことから、遅発性を含めたステント血栓症の発症リスクの評価等を行うため、承認条件 として、市販前臨床試験として実施されたTAXUSI、TAXUSII、TAXUSIV-SR試験及び国 内臨床試験における対象患者の予後において、経年解析結果を毎年報告すること。市販 後調査2,000例により長期予後を観察し、経年解析結果を報告すること。再審査期間中 に、国内においてステント血栓症が発生した場合は速やかに報告するとともに、1年ご とに集計した成績を提出すること。以上3点を承認条件に課すことといたしました。  総合評価です。総合機構は「対照血管径が2.50mmから3.75mmの範囲にあり、病変長 28mm以下の新規冠動脈病変を有する虚血性心疾患患者の治療」を使用目的として、承認 して差し支えないと判断いたしました。再審査期間は3年、生物由来製品又は特定生物 由来製品の該当性については非該当と考えております。  ただし、本品につきましては、長期予後について慎重に観察し、情報を収集すること が重要と考えられますことから、こちらにお示しします3点を承認条件として課すこと といたしました。審査報告は以上です。  続きまして、事前に委員の先生方からいただきましたコメントについて御紹介いたし ます。まず、石山委員からいただきましたコメントを紹介させていただきます。「審査 報告書の13ページの安全性の評価で、二次評価項目として、手技後30日、9か月及び 1、2、3、4、5年のMACEについてのデータは、9か月後まではあるが、1から 5年の本品群と対照群のデータは無いように思います。  16ページで長期の抗血小板療法に対して、手技後1、2、3年のデータはあるが、M ACEのデータが無いのはなぜでしょうか。」という御質問をいただきました。  こちらについて御回答させていただきます。本臨床試験については、9か月までのデ ータを集計されたものが、添付資料として提出されております。なお、1年以降の試験 成績については、審査中に集計次第参考資料として提出されております。現在のところ、 3年までのデータは参考資料として提出されていますが、本品の審査報告書においては 添付資料として提出されている、9か月のデータを中心に記載させていただいておりま す。なお、資料概要721ページ以降に、TAXUSIV-SR試験の3年フォローアップの試験 成績が掲載されておりますが、3年間のMACE発生率は18.9%、対照群は29%ですの で、有意に低い成績を示しております。  審査報告書の16ページにおいて、3年の抗血小板療法の服用率を記載させていただき ましたのは、本品の有効性及び安全性を考える上で、抗血小板療法の服用率は重要であ ると判断したことから、通常は記載しない参考資料の成績を記載させていただきました。  二つ目として、石山委員からいただいた質問を御紹介いたします。「薬剤の放出量と、 体温上昇の関係についてはどのように考えているか。即ち、3テスラのMRIデータで は、 15分間に0.65℃上昇した場合、薬剤総量の0.001%放出量が上昇するというデータがあ ることから、発熱などで体温が37℃より1から3℃上昇した場合、薬剤放出量はかなり 増加することが考えられるが、これらについて問題はないのか。また、RF治療機で温 度が上昇すると考えられるが、これらについてはいかがでしょうか。」という御質問を いただいております。  こちらについて回答させていただきます。パクリタキセルの放出挙動と体温上昇との 関連についての御質問ですが、パクリタキセルの処方を決定する際に、高速度、中速度、 低速度と配合比を変えた3種の処方を使用して、非臨床試験、臨床試験が行われており ます。最終的に採用された低速度処方における薬剤の配合比は8.8%であり、TAXUSII試 験において安全性が確認された中速度処方の25%から比較すると、少ない量となってお ります。  また、体温が例えば42℃まで上昇したと想定した場合にあっても、MRIデータから 計算しますと、1日に約0.8%の放出量の増加であり、中速度処方のステントから、留 置直後1日間に放出される薬物量が、全体薬物量の約25%に達し、低速度処方において 1日目に全体の5%以下しか放出されないことを考えますと、温度変化に対する溶出に ついて検討したデータは、本品については持ち合わせておりませんが、発熱等による放 出薬物量の微量な変化は、安全性・有効性には影響はないと考えております。  続きまして小俣委員からは、「長期のデータの蓄積が重要と思われます」というコメ ントをいただいております。  笠貫先生のコメントを御紹介させていただきます。質問として、「TAXUS エクスプレ ス2 ステントのバルーンシステムが、バルーン収縮不全による不具合により2004年7 月に世界的に回収になったのは、総合機構の報告書6ページに記載のとおり周知の事実 であります。報告書によれば、海外において29例、0.008%のバルーン収縮不全の報告、 うち1例死亡があり、製造工程の是正により、以後同様の問題は発生していない。  2として、国内では同様の原因で生じたと考えられる不具合は発生していないとして います。しかしながら、バルーン収縮不全の不具合の頻度に関しては、どの資料をもっ て、0.008%としているのか不明である。72ページの全MDR報告期間における、バル ーン収縮不全の頻度によれば、明らかに0.008%よりは高頻度に発生しているようであ る。極めて分かりづらい表現ながら、バルーン拡張ルーメンのネックダウンによる収縮 不全の頻度は0.008%であるが、それ以外の原因も含めればもっと高頻度であるという ことであろう。しかし、臨床上問題となるのはステントバルーンが収縮不能になるとい う極めて緊急性の高い状況であって、その原因が問題なのではない。  同様に本邦においては、バルーン収縮不全により、重篤な不具合が発生していないと 誤解させる表現であるが、平成16年度に総合機構に報告された、医療機器不具合報告に よれば、バルーン収縮時間遅延として報告されているのは健康被害のなかった場合で11 例、健康被害を伴った症例が17例であり、そのうち緊急手術5例、死亡3例となってい る。これも国内報告がないとする上記記述と矛盾する。」というコメントをいただいて おります。  こちらにつきまして総合機構の回答をさせていただきます。審査報告書における、本 品若しくは本品に類似した医療機器における不具合発生状況におきましては、特筆すべ き事項として規格よりも、部分的に細いシャフト径が原因とみられるバルーン収縮不全 (0.008%)29件、これはいわゆるフォーカルネックダウンの頻度を記載させていただい たものです。この数字の母数は、回収時点での販売総数になります。  一方、資料概要の72ページには、原因を問わないバルーン収縮不全の成績が記載され ております。これによりますと、市場からの回収措置が行われた後の製品については、 バルーン収縮不全の報告は減少し、市販後3年までの回収された製品に対する苦情も含 めたトータルの成績におきましても0.0075%となっております。なお、収縮不全率が 0.0075%という数値は、類似医療機器であるCypherステント(これは0.007%です)と比 較しましても、それほど高い数字ではないと考えられますことから、本品について特に バルーン収縮不全が生じやすいとは考えにくく、大きな問題はないと考えております。  また、土台ステントであるエクスプレスコロナリーステントによる、バルーン収縮不 全については、国内においてこれまでに6例報告されておりますが、うち1例が死亡例、 残り5例については健康被害なしとなっております。これらの収縮不全はフォーカルネ ックダウンが原因で生じたとは考えられてはおりません。  次は笠貫委員からいただいた質問を御紹介させていただきます。ステントのオーバー ラップの安全性について御質問をいただいております。「今回の資料においては、び慢 性病変にTAXUSステントが複数留置した場合、ステントの継ぎ足しにより、2個のステ ントがオーバーラップした場合の安全性が担保されているか不明であった。懸念されて いるステント血栓症は、特に薬物放出ステントが一部重なって留置されている場合、局 所におけるパクリタキセルの量が加算されることから、再内皮化を強く抑制することで 危険度が高まる可能性があるが、この件に対する明確な記載が見当たらなかった。  TAXUSIV-SR試験の層別解析の記載でも、複数ステントに関しては症例数が少なく、 統計学的には確認が不能とされている。本邦では、本製品の承認後、かなりのオーバー ラップステントが施工される可能性があるが、これが許容されるか否か明確にする必要 があると考える。」  こちらにつきまして回答させていただきます。現在、薬物溶出型ステントの既承認品 であるCypherステントにおいては、ステントを2本以上連続して留置する場合、隙間を あけて留置すると、隙間に再狭窄が多く見られたとの報告から、必ずオーバーラップさ せて留置することとなっております。本品においては、先生の御指摘のとおり、オーバ ーラップ部分の安全性について確認が必要と考えますが、その点については低速度処方 ステント2本を重ねた状況より、薬物量が過酷な条件となるブタ冠動脈に中速度処方ス テントを重複させて留置した試験及び中速度処方ステントを使用したTAXUSII試験にお いて、安全性において懸念させる成績を得られておりませんことから、オーバーラップ に伴う薬物量の増加は臨床上大きな問題はないと考えております。  続きまして勝呂委員のコメントについて御紹介させていただきます。「過敏症に注意 喚起をしてはいるが、どの成分に対してですか。それと、前にチェックする方法はない のですか。」という御質問をいただいております。  過敏症についての御質問ですが、金属ステントについては平成13年医薬安発第43号 において、金属アレルギーをもつ患者について、再狭窄率が高くなるという報告を基に、 金属アレルギーを有するか否かについての問診と、金属アレルギーをもつ患者に対する ステント治療について再検討することを推奨しております。  本品についても、従来同様のステンレスステントですので、同様な注意喚起をすると ともに、事前の問診をすることとしております。また、本品はSIBSポリマーとパク リタキセルがコーティングされておりますので、これらの医薬品及び化学物質に対して 過敏症を有することが事前に判明している患者については、添付文書の禁忌欄に記載し、 本品を使用しないよう注意喚起しております。  コメントは以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○笠貫部会長 ただ今の事務局の説明に対して御質問、御意見がありましたらお願いい たします。 ○事務局 事務局から追加で説明させていただきます。薬剤溶出性の冠動脈ステントに ついては、ステント血栓症の発症を防止するという観点から、抗血小板療法が併せて行 われます。この抗血小板療法に使用される塩酸チクロピジン製剤も含めた、今後の安全 対策としてとるべきものについて追加で御報告させていただきます。  現在、我が国においては本品と併用される標準的な抗血小板療法として、アスピリン 製剤及び塩酸チクロピジン製剤の使用が推奨されております。その期間としては、臨床 試験等の結果より術後6か月以上の継続というものが望まれているところです。  本品目の適正使用はもとより、併用される塩酸チクロピジン製剤による血栓性血小板 減少性紫斑病とか、無顆粒球症、重篤な肝障害などの重大な副作用の発現防止のために、 一層の注意の徹底を行う必要があるのではないかというふうに考えております。  この薬剤溶出性のステントの先発品に相当いたしますCypherステントにおきまして は、例えば講習会等の実施を納品前に行うとか、患者の転院時の情報提供文書等を整備 いただくとか、それから医薬品であります塩酸チクロピジンの製造企業と連携した安全 対策を実施するというようなことなどについて、企業に徹底していただくというような 指示をさせてきていただいたところです。今回も、これと同様の対応を企業に対して指 示させていただき、本品目の有効性及び安全性の確保を図るように指導することとして おります。  また、米国の臨床試験におきましては、抗血小板療法として、薬剤としては硫酸クロ ピドグレルが用いられておりますけれども、こちらの方は現在我が国におきましては心 血管系への適用はないわけですが、我が国におきましても心血管系への適用を追加する ための申請が昨年12月ぐらいになされたところです。こちらもいずれ承認されていくこ とになると考えております。  こういう薬剤が承認された後は、併用薬を硫酸クロピドグレルに置き換えていくとい うようなことなども含め、より安全性が期待できる対策を進めていくのが望ましいので はないかと考えているところです。以上です。 ○笠貫部会長 御質問はございますか。 ○中原部会長代理 字句のことで恐縮ですが、審査報告書の2ページのいちばん下の使 用目的というのがあり、そこに「対照血管径」という文言がここだけではなくていくつ か出てきます。この「対照」というのはあくまでコントロールの対象であって、こうい う血管径が2.50から3.75mmの血管を対象とするという場合は「対象」ではないかと思 うのです。ちょっと確認しておいていただいた方がいいのではないかと思います。この 「対照」があちこちに出てきていますので、その点だけ気がつきました。 ○機構 こちらは、そもそも狭窄している血管は2.0よりもっと細い血管なので、この 「対照」というのはレファレンスの対照といいますか、実際に広がった場合にどの程度 の血管になるか、というところを想定したときに使う言葉でして、この場合は「対照」 の方が一般的に使われているところです。 ○中原部会長代理 分かりました。 ○北村委員 先発のDESの承認済みのものと、使い分けとか適用症で何らか違いを出 すのか。例えば、先行のものには急性心筋梗塞を除外している。しかし、これは現実問 題として、その適用を守っているのは少ないのが現状であるわけです。そういうものを 一切なくして、医者の自由な采配に任せて、どこに使ってはならないとか、適用外だと かそういうことはやめられますか。それとも、やはり先行のものと何らかの適用症なり 使い分けをさせるという方向でいくのか、医者の判断で同じ適用症、あるいはそれを拡 大した適用症、除外をなくすという形にするのかどう考えておられるかお聞かせくださ い。 ○機構 前例品のCypherステントと本品の適用禁忌の部分については全く同じで、すべ て揃えてあります。ですから、現在使えない患者にはこれも使えない状況になるという ことです。また、適用についても、血管径を含め、ほぼすべて同じになっておりますの で、使う患者についてはどちらも使える場合に、どちらか選んで使っていただく形にな ります。  先生から御質問いただきました、例えば急性心筋梗塞後のAMIの治療に使う薬物用 ステントの使用について、確かに現場では使われているという話もよく聞きます。そう いうところが、今のPCIの療域では問題になっているということも私は理解しており ます。この点については適用を拡大するのか、若しくは禁忌を外すとか、そういう対策 をとるのか、そこについては厚生労働省の医療機器審査管理室とも今議論させていただ いているところです。それについては、またこの場とは別の所で、なるべく柔軟に対応 していけるように配慮していきたいと考えております。 ○北村委員 現実は随分変わっていて、例えばここにも書いてある「新規病変」、しか し、再発病変にこそ使いたい。あるいは、静脈グラフトの狭窄にはこれがいいというデ ータがいろいろ出てくるのに、現実を無視した適用制限をしたって何も役に立っていな いと思うのです。その辺は少し考えていかなければいけないのではないかという気がす るのです。医者が悪いのか、規制が悪いのか、その辺も議論があるかもしれませんが、 何らかで使用制限を加えようという基準があっても、現実は無視されているような状況 になっています。検討していただきたいと思います。 ○事務局 私ども審査部局としては、まずベースとなる治験のデータに基づいて、そこ における有効性・安全性を評価していくという立場があります。そういう中では、今回 の承認の中で、この審査として評価できる部分というのは、現在お示しさせていただい たようなところになるのではないかと考えております。 ○北村委員 理由は、なぜ前と一緒にするのですか。これだけ時間があいて認可するの に。決してこちらを味方しているわけではないですけれども、同じ基準に合わせるとい うのが、既に先行は2年の間が経っているのですか。なぜ同じにするという考え方が出 てくるのか。それは、企業に対して有意差を付けるわけにはいかないということがある のかどうか。どちらが優秀か分からないですけれどもね。 ○機構 はい。エビデンスがあれば、もちろん広げていくことは考えたいと思いますけ れども、現時点ではまだ同じエビデンスであるということ。例えば、FDAの承認につ いては、まだその2社については差がついていない。そこはデータがまだ出ていない。 今は急性心筋梗塞については海外において臨床試験がされている部分がありますので、 そういうところでの適用拡大というのは、申請者に委ねる部分がありますけれども、そ ういうところは柔軟に対応していくといいますか、やはり現実に合わせて広げていかな ければいけないと思います。  また、再狭窄病変等についても、そちらの方が狭窄率が高いということで、こういう ステントが望まれる部分があるという話もありますので、そういうところがすべて臨床 試験で判断するべきなのか、若しくは先生方にやっていただくような、市販後のデータ から何か出てくる話から、もしかしたら承認の方へ持っていけるかも分かりません。そ の辺りは継続的に議論させていただければと考えております。 ○医療機器審査管理室長 追加ですが、この適用の範囲については、アメリカの承認も 同じエビデンスに基づいておりまして、ほぼ同じになっております。遅発性のステント 血栓症の問題が出て、昨年12月にFDAでパネルも行われ、総合機構でも専門協議をや っていただきました。  その中でも、適用外の使用の群においてのリスクというのが問題になっております。 そこについて特段のアクションはありません。今後、長期のデータを集めていくとされ ております。その中で、そういった適用の周辺についての評価もなされていく部分があ るのではないかと思います。  前には、AMIについては別途臨床試験も走っていて、薬剤溶出型でないものについ ては、既にアメリカでは臨床試験のデータに基づいた、エビデンスに基づいた適用拡大 が行われておりますので、そういうことも含めて、そういうデータが提出されれば評価 ができるのではないかと思っております。 ○笠貫部会長 私も、現実的には急性心筋梗塞にDESが使われ出しているという事実 については認識しています。本当に急性心筋梗塞にこれを適用として認めていいかとい うエビデンスとしては、私はまだ不十分ではないかと思っています。  一つは、ステント血栓症の問題で、先ほどから話に出ているアメリカのFDAで昨年 12月の会議は、acuteとsubacuteとに分けられまして、1日目、2日目ぐらいに、非常 に高いこと。それから、30日から1年を遅発性と定義を変え、1年以上をvery lateと 変えたと思います。  ステント血栓症は、50〜60%という致命率になるということで、再狭窄とは全く違う 意味合いがあると思います。そのところが、急性心筋梗塞では、安全性と有効性につい てきちんとエビデンスがあってから適用拡大でよろしいのではないかと思っています。  アメリカでのスタディと、日本でのj-Cypherはじめ、きちんとしたコーホートスタデ ィもありますので、それを見た上で検討していただき、そういうエビデンスが揃ったと きには、できるだけ早く適用拡大を認めていただけたらと思います。  それから、先ほど説明のありましたチクロピジンの問題について、Cypherのときと同 じように厳重な注意をしていただけるということは当然だと思うのです。やはり、クロ ピドグレルをいかに早く使えるようにするのか、世界のスタンダードに近づけるかとい う努力をしていただけたらと思います。そういう意味で、クロピドグレルの心血管につ いて、用量について不十分な試験であった、ということは承知しているのですが、臨床 現場としては、ニーズとして高いのだろうと思いますのでよろしくお願いいたします。  ドラッグエルーティングステントについては、2機種目ということになると思うので すが、再狭窄が非常に少ないという意味で、有用性が高く期待されていることで認めて いただくということで、ほかに御意見がございませんでしたら、本部会として了承いた だきたいと思います。今後の課題としては、抗血小板薬、あるいは今後の経過を見て、 適用についても考慮していただくことで御了承いただいたものとしたいと思います。本 品目について承認して差し支えないものとして、3月23日に開催されます薬事分科会に 御報告いたします。  議題4の新医療審議に入ります。 ○事務局 議題4については、参考委員として、国立国際医療センターの上村直実先生 をお呼びしておりますが、到着の予定を3時半頃としておりますので、大変恐縮ですが、 先に議題6の審議をさせていただければと思います。 ○笠貫部会長 それでは、議題6に移ります。 ○事務局 本日は、「一片中ボリコナゾールとして51.2μg以下を含有する体外診断薬 の劇薬の指定の除外の可否について」ということで御審議をお願いいたします。資料6-1 から資料6-5、参考資料として6-1「毒薬・劇薬指定基準」をお配りしております。資料 6-2を中心に説明させていただきます。  平成17年4月に、新トリアゾール系の抗真菌薬ということで、新薬のボリコナゾール が承認されております。この際に動物実験等の結果から、経口投与での致死量が100mg から300mgということで、このボリコナゾールという薬剤と、その塩類及びそれらの製 剤が劇薬として指定されているところです。  この度、この薬剤に対する細菌の薬剤感受性試験に用いられる体外診断用医薬品とい うものが開発され、体外診断用医薬品については、人体に直接投与、あるいは塗布する ものではなく、また一片中の成分含量がわずかであるということから、安全性が高いと 考えられますので、この一片中ボリコナゾールとして51.2μg以下を含有する体外診断 用医薬品について、劇薬の指定から除外させていただけないかということで審議させて いただくものです。  なお、本日この部会におきまして、この案で特に差し支えないということで御了承い ただけました場合には、この後の手続としてパブリックコメントという手続が必要にな ります。パブリックコメントの際に特段の意見がなかった場合には、この案で決定とい うことにさせていただくという取扱いについても、本日併せて御了解いただければと思 います。パブリックコメントの際に意見提出がありました場合には、その内容にもより ますけれども、部会長と相談させていただきまして、必要があればまたこの部会で御審 議させていただき、取扱い、進め方、意見に対する対応などを審議させていただいては どうかと考えております。以上です。 ○笠貫部会長 ただ今の説明に対し、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。 ○中原部会長代理 非常に微量なので結構だと思うのですが、資料6-3から資料6-5と 三つあるのですが、それぞれの製品の違いというのは分かりますか。 ○事務局 資料6-3と資料6-4は同じ栄研化学株式会社から提出されているものです。 販売名のいちばん上の欄を御覧いただきますと、酵母様真菌の資料6-3の方はFPとな っていて、資料6-4の方はDPとなっております。これは、フローズンプレートとドラ イプレートの違いになっております。容器としては、プラスチックのマイクロプレート の形になっておりますので、たぶん四角い形の容器の中に丸い穴がいくつもあいている、 というような形状の中で、そのときに中に使っているものがドライプレートかフローズ ンプレートかという違いだけです。最大のものとしては51.2μgの容量になるというこ とです。  資料6-5は、極東製薬工業株式会社という別の会社から申請されているものです。こ ちらもマイクロプレートウエルということですので、同じように四角い容器の中に穴が あいていて、その中に感受性薬剤の染みこませてあるものが並んでいる、というような 形状のものです。製品としてあまり大きな違いはないのではないかと思います。 ○中原部会長代理 分かりました。 ○笠貫部会長 51.2μgという微量だということで御了解いただけたと思いますが、特 に御意見、御質問がございませんでしたら、本部会としてはこの案でパブリックコメン トに付し、特段意見の提出がなかった場合にはこの案で決定する、ということについて 御了承いただいたものとしたいと思います。  先ほど事務局から話がありましたように、パブリックコメントで意見が提出されまし たら、次回の部会でその扱いも含めて審議させていただきます。第6議題の審議はこれ で終わりにいたします。 ○事務局 それでは、先生がお見えになられましたので、議題4に戻らせていただけれ ばと思います。 ○笠貫部会長 それでは議題4に移ります。なお、この審議品目に関しましても、関与 委員がいないことを御報告いたします。本品目の審議に当たりまして、参考人として先 ほどお話がありました、国立国際医療センター・内視鏡部長の上村直実先生に御出席い ただいております。よろしくお願いいたします。審議品目の概要について、事務局から 説明をお願いいたします。 − 上村参考委員、参考委員席へ移動 − ○事務局 本日御審議いただきます2品目目の新医療機器は、医療機器ギブン画像診断 システムの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否及び再審 査期間の指定について御審議をお願いいたします。  申請者はギブン・イメージング株式会社です。資料といたしましては資料4-1になり ます。本品目は、カプセル形状の画像送信機、それから画像データを受信するセンサア レイ、受信した画像データを記録するデータレコーダ及び記録画像データを再生する RAPIDワークステーションというものを主な構成品として、小腸疾患の診断を行うため に、嚥下したカプセルが、患者の消化管内を蠕動運動で移動しながら、小腸粘膜の撮像、 要するに映像を撮っていくというようなことを行い、画像を提供することを目的とした、 小腸内画像記録システムです。  審査の概要及び委員の皆様から事前にいただきましたコメントの説明につきまして は、実際に審査を行った独立行政法人医薬品医療機器総合機構から説明していただきま す。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料4-1です。また、スライ ドの内容は資料4-2を御覧ください。本品目の審査において御意見を伺った専門委員を お示ししました。本日は、参考委員として、東京国立国際医療センター・内視鏡部長の 上村先生に御同席をいただいております。  本品は、カプセル形状の画像送信機、以下カプセルとさせていただきますが、その画 像データを受信するセンサアレイ、受信した画像データを記録するデータレコーダ及び 記録画像データを再生するRAPIDワークステーションを主構成とする、小腸内画像記録 システムです。1秒に2枚の画像を撮像し、約8時間送信を行います。  左の写真は患者がセンサアレイ、データレコーダ及びバッテリーを装着したときの状 況です。腰の部分の左右にバッテリーとデータレコーダを装着いたします。右の図は、 センサアレイの貼付図です。8極の端子を腹部に装着し、ケーブルをデータレコーダに 接続します。  左の写真は、医師がデータレコーダに記録されたデータを読み出すRAPIDワークステ ーションです。右は、カプセルを回収するキットです。これは、主に検査用に配付され ているものを流用しております。この中で銀色に光るものは、回収したカプセルを入れ るシールドとして用いる袋です。  次に、起原又は発見の経緯について説明いたします。消化管内視鏡検査法は、病変の 状態をビデオモニター上で確認できるため、診断上非常に有用ですが、小腸は全長3.35 〜7.85mあり、長く曲がりくねった臓器のため、内視鏡操作は非常に困難です。現在、 本邦では小腸検査にはプッシュ式内視鏡又はゾンデ式内視鏡が行われておりますが、両 検査とも操作には熟練を要し、患者の身体的苦痛が大きいものです。また、プッシュ式 内視鏡は小腸の上部約3分の1しか検査できず、ゾンデ式内視鏡は小腸全域を検査でき ますが、長時間を要しております。これらの既存の検査法の欠点を改善することを目的 として本品は開発されました。  カプセルの大きさの設計は、小腸内を反転せずに進行しやすい大きさとして外径 11mm、長さ26mmが選択されております。  本品の海外での承認・販売状況ですが、米国・欧州など約50か国・地域で販売されて おります。カプセルの販売実績は三段で記載しておりますが、上段は旧接着剤及び改良 接着剤を使用したものの総販売数です。中段は、旧接着剤を使用したものの販売数です。 下段は、改良接着剤の販売数を示しております。カプセルは、昨年11月時点で約□万個 の販売実績があり、そのうち改良された接着剤の販売実績は約□万個です。  不具合の状況です。米国では2006年11月時点で8件の有害事象がありました。発売 以来死亡例の報告はありません。なお、米国は滞留事象は有害事象と考えておらず、カ プセル摘出のため外科的措置を行った場合には有害事象としております。米国の市販後 調査のときに、滞留について調査した結果がありましたので、下段に記載しております。 5万360個の中で44例の滞留がありました。なお、このほかに有害事象のカプセル分離 例と、小腸内滞留カプセル摘出のための外科的措置に関する滞留がそれぞれ2例ありま すが、上段にありますのでこの中には入れておりません。  カプセルが分離した事例は2例ありましたが、小腸内に狭窄があったため滞留し、服 用後5〜6か月後にそれぞれオプティカルドームと本体部分に分離しております。接合 部分から分離していたことから、カプセルの接着剤の耐久性が不足していたと判断し、 接着剤を□□□□□というものに変更してから、分離例の報告はございません。  本品に行われた規格及び試験方法です。本品は、患者体内で使用するカプセル、患者 体外に装着して使用するデータレコーダ関係、そして医師が使用するRAPIDワークステ ーションの3部構成ですので、それぞれについてお示しした試験を行い、すべて規格に 適合していることが確認されたことから、総合機構は規格及び試験法について了承いた しました。  本品に行われた安定性試験です。安定性については、ディスポーザブルであるカプセ ルについてお示しした試験を行い、すべて規格に適合していることが確認されたことか ら、総合機構は安定性について了承いたしました。  電気的安全性についてはJIS T0601-1に基づいて行われました。こちらも患者体内で 使用されるカプセル、患者体外に装着して使用するデータレコーダ関係、そして医師が 使用するRAPIDワークステーションの三部構成ですので、それぞれについてお示しした 試験を行い、すべて規格に適合していることが確認されたことから、総合機構は電気的 安全性試験について了承いたしました。  本品に行われた生物学的安全性試験です。カプセルについてお示しした試験を行い、 すべて規格に適合していることが確認されたことから、総合機構は生物学的安全性につ いて了承いたしました。  電磁両立性については、患者体内で使用するカプセル、患者体外に装着して使用する データレコーダ関係についてお示しした試験を行い、すべて規格に適合していることが 確認されたことから、総合機構は電磁両立性について了承いたしました。  機械的安全性については、患者体内で使用するカプセル、患者体外に装着して使用す るデータレコーダ関係についてお示しした試験を行い、すべて規格に適合していること が確認されたことから、総合機構は機械的安全性について了承いたしました。  電波法については、人体内部を想定したファントムを使用した試験を行い、規格に適 合していることが確認されたことから、総合機構は電波法に対する適合性について了承 いたしました。  性能については、カプセルについてお示しした試験を行い、すべて規格に適合してい ることが確認されたことから、総合機構は性能について了承いたしました。  本邦で実施された臨床試験です。小腸の異常及び疾患を検出する上で、診断に関する 本品を用いた検査の有効性・安全性及び有用性を、小腸X線造影法と比較評価すること を目的とし、クローン病等の小腸粘膜病変を有する患者を主な対象として行われ、2施 設65例で評価が行われました。  有効性については報告書のとおり、小腸X線造影検査法よりも有意に大きい結果が得 られましたが、多数のクローン病患者を対象に含めたため、カプセル滞留が高頻度に発 現したことから、本試験成績のみで本品の安全性を評価することは困難であると考え、 申請者に見解を求めた結果、外国で実施された臨床試験が提出されました。  海外で実施された臨床試験です。本品を用いた検査の有効性・安全性について、プッ シュ式小腸内視鏡検査と比較評価をすることを目的とし、原因不明の消化管出血又は鉄 欠乏性貧血の患者を対象として行われ、4施設124例で評価を行いました。有効性につ いては、本品で検出された総所見数が92.8%を占め、優位性を示したと述べられており ます。安全性については、カプセル嚥下の15分後に、被験者が心停止のため死亡した1 例がありましたが、この死亡は右冠動脈ステントの急性閉塞によるもので、患者の死因 と当該治験機器に関連性はないと倫理委員会に判断されております。試験中にほかの有 害事象の発生報告はなく、カプセルの小腸内滞留事例もありませんでした。  総合機構は、カプセル滞留を防止する観点から、対象となる患者を限定する必要性及 び本品を服用する前の事前検査の必要性について説明を求めたところ、申請者から「添 付文書の警告欄において、本品の検査前に必ず上部及び下部消化管の検査が行われてい る必要があること、本品は上部及び下部消化管検査をしても原因不明の消化管出血が疑 われる患者に使用すること、小腸狭窄又は狭窄を疑わせる所見がある場合には、小腸二 重造影検査を行い、狭窄の有無を確認すること等を記載する。また、患者プロファイル や事前の検査等で消化管の閉塞、狭窄が既知又は疑われる患者を禁忌とする。さらに、 医師がカプセル排泄の有無を患者に必ず確認することを重要な基本的注意に記載する」 と添付文書に注意喚起を行う回答が出されました。  また、患者に対して、カプセル滞留のリスクがあること、滞留時に開腹手術を行う場 合があること等を十分に情報提供することが重要であるが、どのような対策を講じるの か説明すること。  また、本品の適正使用を推進するため、及び文書による十分なインフォームド・コン セントを確実に行うためにどのような方策を講じるのか説明を求めたところ、申請者か ら、「カプセル滞留のリスクがあること、滞留が起きた場合には開腹手術を行う場合が あること、カプセルが排泄されたことの確認を行うことが重要であること等について医 師から患者へ文書によるインフォームド・コンセントを行うこと」とし、以上の内容を 添付文書の警告欄に記載する。また、「患者説明用文書を作成し、配布する」と添付文 書に注意喚起等を行う回答が提出されました。また、日本消化器内視鏡学会等と協力し て本品を使用する際のガイドライン等を作成し、適正な使用の推進や文書によるインフ ォームド・コンセントの必要性の説明を医師に対して行う回答も提出されました。  総合機構は、本邦での臨床試験においてカプセルの小腸狭窄部での滞留が多発したこ と、及び重篤な有害事象として1例(穿孔)が海外で報告されたことを踏まえ、市販後調 査においてこれらの事例について十分に調査することを求めたところ、申請者から「市 販後調査においてカプセル滞留、穿孔について重点的に調査を行う」と回答が提出され ました。  また、外国で承認・認証を受けているパテンシーシステム、これは申請者が開発した 本品を嚥下する前に経口的に服用し、狭窄等の有無を検査するシステムですが、米国で も最近承認されたことを踏まえ、本邦での開発の意思について見解を求めたところ、申 請者から「パテンシーシステムは、本品の使用が禁忌とされる患者に本品を使用する場 合の事前の検査が目的である。今回の本品の申請においてパテンシーシステムは必須で はないと考えるが、本邦においてもパテンシーシステムの早期導入は必要と考え、今後、 開発を検討する予定である」と回答が提出されました。以上のことから総合機構は、臨 床試験について了承いたしました。  以上の審査を踏まえ、総合機構は、本品を「小腸疾患の診断を行うために小腸粘膜の 撮像を行い、画像を提供する」を使用目的として承認して差支えないと判断いたしまし た。  なお、本品は新性能の医療用具であり、再審査期間は、3年とするのが妥当であると 判断しております。本品は生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないことも併 せて御報告します。  ここで部会の委員より事前にいただいている御意見とその回答について御説明しま す。笠貫部会長から以下のようにいただいております。「カプセル内視鏡は非侵襲的検 査であり、外来でも可能である。また、前処置や鎮静を必要とせず、機器による感染の リスクがなく、病変同定率もダブルバルーン内視鏡と同等、あるいはそれ以上の成績が 報告されており、その有用性に関しては確立されたものがある。滞留の問題に関しては、 術前に小腸造影を行っておくことで、ある程度予防可能と考える。しかしながら、検査 後の解析時間の問題、コストの問題などは、検討課題である。以上によりギブン画像診 断システムを小腸疾患の診断目的に承認することは妥当と判断する」。  こちらの御質問の中の検査後の解析時間の問題ですが、実際に治験を行った先生から 御意見をいただきましたところ、およそ30分から1時間という御回答をいただいており ます。  石山委員から3点の御質問をいただいております。まず1点目です。「嚥下から小腸 通過までには5から6時間とあるが、糖尿病患者や蠕動運動の低下する交感神経緊張型 の患者では滞留が長いと考えますので、本カプセルの定格では7±1時間とあるが、こ れで十分であるか。もし不十分であれば、その対策は」。  本品については、滞留という2週間を超える不具合のほかに、電池の関係上、7時間 から8時間で目的とする小腸を通過できない不具合も考えられます。これについては資 料概要の40ページにも記載がありますが、小腸の回盲部末端まで検査できた群と、この ように途中で切れてしまった群を比較検討したところ、疾患の発見率については同等と いう結果が論文で報告されています。しかしながら、回盲部にまで達しなかったものに ついては、当然見ることができておりませんので、そこの部分については、医師が注意 して診断をするようにと添付文書で注意記載がされています。  2点目の御質問です。「使用する電波周波数帯域がアマチュア無線帯であることから、 これらに対する受信機のイミュニティは大丈夫か。また、医療用テレメータ周波数帯域 に対する高調波などの監視についてはどうか。」  本品は、先ほど申し上げましたとおり、EMC規格であるIEC/EN60601-1-2に準拠し て試験が行われ、合格となっています。ただ、こちらの規格は合格となっていますが、 実際には、画像のフレームが脱落しているということはあります。しかしながら、妨害 を受けてもこのカプセル自体が何らかの悪さを起こすということではありませんので、 EMCの試験結果は合格の判断になっています。  メーカーからの報告ですと、□から□□Hzにおいて□□Hzステップ及び□□Hzステ ップで試験した結果は、本品を使う帯域でフレームが全く受信されなくなってしまうと いう報告があります。データレコーダの方も、同じく、ここの周波数帯域については画 像が記録できないという結果があります。しかしながら、実際に米国及びヨーロッパの 方ではこのような不具合の報告はないということで、イミュニティについては合格して おり、実際にもアマチュア無線等を使っているところには近寄らないということの添付 文書等の注意書でこれを回避したい、と申請者は回答しています。  医療用テレメータへの影響については、米国と日本の状況が少し違い、米国の事情が 参考になりませんでしたが、ヨーロッパは日本と同じ状況でした。ヨーロッパのテレメ ータの方で実際にこのようなカプセル内視鏡を使ったときに不具合が生じたという報告 は「今のところ報告されていない」という回答でした。  3点目です。「消化管滞留に関して、西洋人と東洋人の小腸の解剖学的相違との関連 性について資料があれば回答してください。関連性がないのであれば、内部の回答を求 めます。」  こちらの回答です。審査時にこの調査をしていただいたところ、エビデンスのある文 献等を見つけることができませんでした。ここについては、本日御同席いただきました 先生に是非御意見をお願いしたいと思います。 ○上村参考人 国際医療センターの上村です。小腸の長さについては、日本の教科書、 欧米の教科書においても約6m、大体5mから長い人で8mという記載のみで、これを 明らかにエビデンスレベルというか、そういった形のもので検索した信頼できる論文等 々の報告はありません。したがって約6m、日本と欧米でそれほど大きな違いはないと 考えられます。 ○機構 ありがとうございました。続きまして、小俣委員から「特段ございません」と のコメントをいただいております。以上で御報告を終わらせていただきます。御審議の 程、お願いいたします。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。ただ今の事務局の御説明に御質問はござ いますか。 ○富田委員 私、医師でないので、質問ですが。日本にはクローン病が多いのですが、 添付文書を見ますと、クローン病が適応外の案になっていますね。日本では、医師の方 から見ると、むしろクローン病の方こそこれを見たいのではないかと。クローン病とし て確定した場合に適応外にするというのは、これは何かその危険性と、要するに滞留し ないということが何かほかで分かれば確定されていてもやる価値が高いような気がする のですが、それはどのようにお考えになるのでしょうか。 ○笠貫部会長 では上村先生、お願いします。 ○上村参考人 クローン病に関しては、アメリカのFDAもクローン病をまず外してい ます。今回の委員の先生方がたぶんおかしいと思われたのは、国内の臨床試験は主にク ローン病を対象にしたものです。これにおいて65例が対象になりましたが、エントリー したのは、実は76例でした。その中の9例ですが、小腸造影の狭窄でもってクローン病 の方を除外しています。対象となった65例のうちクローン病は50数例でしたが、この 中で5例に滞留が起こりました。ということは、これはクローン病に使ってはいけない という逆の成績だと思います。  通常の臨床治験では、有意性や安全性などを明らかにしてそれが承認されるわけです が、今回の臨床試験では、逆にクローン病に対してはやはり滞留の危険性が大きすぎる と。クローン病で滞留して手術をするということは、これはポリサージェリーになって 非常にまずいわけです。したがって、クローン病は除外すべきだという結論だと思いま す。 ○富田委員 米国では、パテンシーテストが行われている場合には、これが通ればクロ ーン病でも適応されるのですか。 ○上村参考人 パテンシーがあれば、クローン病でももちろん使えると思います。クロ ーン病でも結局は、先生がおっしゃるようにクローン病で使える。もちろん狭窄がなけ ればすごくいい機種なのです。しかしながら、臨床試験でも明らかなように、小腸造影 により最初に狭窄で9例を除外した上でなおかつ、小腸造影で狭窄と認めなかったもの で5例ほどに滞留が起こったということは、これは非常にまずいのです。ですから、パ テンシーが出来れば、クローン病でも使えると期待されます。 ○北村委員 それに関して、長期滞留させた人のデータはあるのでしょうか、何が起こ り、なぜ外科的にでも取り出さないといけないのか。例えば1年間残っていると、何が 起こるのですか。患者さんが手術をして取り出すのを嫌だと言う場合もあり得ると思い ます。 ○機構 海外では、先ほど申し上げましたとおり、ただ滞留しただけでは有害事象とと らえていません。メーカーの報告からすると、現在、3年間おなかの中に抱えた状態の 患者さんもいるようです。しかしながら、中には電池が入っているので、分解したとき の危険性を考えると、いつカプセルの分離が始まるかが分からない状況です。今回添付 資料として付けましたものも、当初、体内に90日を想定して試験が行われていたのです が、本邦では、すぐに手術ができるのかとかいろいろな状況がありますので、メーカー さんに無理を言って180日までの資料を出してもらっている状況です。 ○北村委員 180日。 ○機構 180日、6か月です。 ○北村委員 6か月ですね。 ○機構 はい。ですので、現在、いつまで放っていいのかについては不明です。私たち としては、1か月間観察して、それでも出てこないようであれば、最終的にはドクター の判断で外科的に摘出していただきたいということで、摘出する期日については特に設 けていない状況です。 ○北村委員 これは、クラス別にすると、III能動的機器になるのですか。どこに分類し ているのですか。 ○機構 こちらはクラスIIです。 ○北村委員 能動的機器ということですか。 ○事務局 ええ。次の議題の中でも御審議させていただく予定でしたが、今回、ギブン 画像診断システムのこのカプセルの部分については、既存の機器の機種の中で一般的名 称で読めるものはありません。今回、この機種について、どのクラスに相当するのかも 含め、医療機器・体外診断薬部会で御議論いただきたいというような状態です。説明の 方に入ってしまってもよろしいでしょうか。 ○笠貫部会長 それではお願いいたします。 ○事務局 クラス分類の関係としては、資料5-1、5-2、5-3があるかと思います。カプ セル内視鏡、ギブンの診断システムの関係では、資料5-1、5-2があります。資料5-1 の3ページを御覧ください。並行して資料No.5-2、クラス分類ルールも御覧ください。ク ラス分類の考え方の基本は資料5-2にあります。先生方は御存じかもしれませんが、新 たに加わられた先生もいらっしゃるかと思いますので、改めて説明いたします。  クラス分類の考え方は、人体に対する侵襲性の度合いがどの程度なのかということで しております。非侵襲のもの、要するに人に対して何か侵襲しないというものがリスク が一番低く、何らかの侵襲があるものがリスクが高いものということになります。さら に、長期的な使用若しくは植え込みをするというようなものはリスクが高いというよう なルールになっています。  その上でその医療機器をどの部位に使うのかということで、特に中心循環系や中枢神 経系というようなところにおいては、何か不具合が起こった場合には非常に危険な状態 になり得る可能性がありますので、そのような部位に使うものについては、リスクを高 く見るというようなことになっています。  また、体内で化学・生物学的変化、吸収を行うようなものについてはリスクを高く見 る。エネルギー・医薬品を放出するようなものについてはリスクを高く見る。また、能 動型か非能動型かというようなことで、エネルギー源を基に駆動するような能動型の機 器についてはリスクを高く見る、というようなことが基本となっています。このほかに も様々な追加のルールがあり、それをまとめさせていただいたものが資料5-2です。  これら医療機器のクラス分類が平成17年4月から施行されている現行薬事法におけ る医療機器の規制の根本となっています。先ほど御審議いただきました参考資料1-2の 2ページも併せて御覧になっていただければと思います。こちらには、医療機器に係る カテゴリーと安全対策の見直しということで、クラス分類と薬事法に基づく機器の分類 が記されています。  クラス分類ルールに基づき、大きくは、国際分類で言うところの「クラスI」から「ク ラスIV」までの4分類になります。このクラス分類ルールに基づいて各一般的名称ごと にクラス分類を行い、告示として定めさせていただいております。「クラスIII」及び「ク ラスIV」の医療機器については、横長の表のいちばん下の右側にあるように、高度管理 医療機器という薬事法上の扱いとさせていただいております。「クラスII」となる医療 機器については管理医療機器、「クラスI」となる医療機器については一般医療機器と して指定しております。  このほかにも、保守点検、修理その他の管理に専門的な知識や技能を要するようなも のがあります。その適正な管理が行われないと疾病の診断、治療又は予防に重大な影響、 おそれがあるものについては、特定保守管理医療機器というようなものに別途指定して おります。  今回この部会で御審議いただきたいのは、現在、新しいものについては、どのクラス の分類に該当するのか、特定保守管理の医療機器に該当するのかどうか等が指定されて いないので、これの指定についての御議論をいただきたいというものです。それでは、 資料5-1の3ページ目の別表を御覧ください。  今回クラス分類等について御審議いただきますのは、今新医療機器として御審査いた だいているカプセル型撮像及び追跡装置のこのカプセルの部分です。データレコーダと ワークステーションについては、既存の名称等があり、また、取扱いも定まっています ので、省略させていただきます。  カプセル型の撮像及び追跡装置については、クラス分類ルールは資料5-2の3ページ 目のIIIの能動型機器ということです。中に動力が入っているのでそのような扱いになり ますが、10-(3)に該当し、「能動型機器であり、かつ、その重要な生理学的プロセスの直 接的な診断又は監視ができるように意図した場合」に相当するのではないかということ で、クラスIIに相当するものと考えられます。したがって、クラスIIということから、 薬事法上としては管理医療機器として指定することが適当ではないかと考えておりま す。本機器については、単回使用のため、要するに一度使って出したものをまた繰り返 し使うということがないので、いわゆる修理といったものが発生しないことから、特定 保守管理医療機器には該当しないものと考えております。  さらには、資料の中にはお示ししていないのですが、医療機器の設計及び開発の管理 が必要な機器もまた薬事法の中にあります。それは設計開発管理医療機器という告示で 定めております。この告示の中には、万が一誤作動等を起こした場合に患者に危険を及 ぼすおそれのある、例えば埋め込み型の機器、呼吸機能や心機能に関連する機器などが 指定されているわけですが、今回のこのカプセル型撮像及び追跡装置についても、体内 に一定時間留まること、その間に例えば発熱、破裂、異常な電波放出などがあれば、患 者への何らかの影響等も考えられますので、設計開発管理医療機器と位置づけたいと考 えております。次の品目の名称も併せて説明させていただきます。  別表の下段、内視鏡用粘膜下注入材です。これについては、昨年9月の医療材料部会 でも名称につき御審議いただいており、その報告を薬事分科会の報告の形でさせていた だいております。資料5-3です。ただ、こちらについては、審議をさせていただいた際 に明確なクラス分類の確認をしておりませんでしたので、今回、改めてお諮りするもの です。こちらは、クラス分類ルールで言うと、資料5-2の2ページ目の6番、一時的使 用を意図した外科的侵襲型機器ということで、「生物学的影響を及ぼすように或いは全 体的、又は主に吸収されるように意図した場合」に該当するということです。また、ク ラス分類ルールで14にも相当するのではないかと考えられるものであることから、一応 クラスIIIとすることが適当であると考えております。したがって、薬事法上の取扱いと しては、高度管理医療機器として指定することが適当ではないかと考えております。こ ちらも単回使用のため、特定保守管理医療機器には該当しないと考えております。少し 変則的な状態になってしまいましたが、御審議の程、お願いいたします。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。たくさんのことを御説明いただきました。 まず、クラス分類について、先ほど北村委員から御質問があってそこに入りましたが、 その前に、ギブン画像診断システムについて、もしクラス分類以外に御質問がありまし たらお聞きしておきます。クラス分類の方に入ってから何かお気づきのことがありまし たら、もう一度お受けすることにします。まず、クラス分類の議論に入りたいと思いま す。クラス分類のルールについて御質問はございますか。小俣委員、お願いします。 ○小俣委員 東京大学の小俣でございます。私が国語が得意でないのかどうか分からな いのですが。例えば3の「体内への注入を意図した血液、その他の体液、若しくは他の 液体についてその生物学的又は化学的組成を変化させることを目的としたすべての非侵 襲型機器はクラスIIIである」、これは読んでもなかなか頭に入ってこないのです。一生 懸命に自分なりに句読点を変えたりするのですが、これがズラッと並んでいるわけです。 どういう理由でこういう日本語が出来上がってきたのですか。例えば何かを訳したとか、 あるいは、法律にそのように書いてあるのでしょうか。 ○事務局 もともとはGHTFと言いまして、国際的な会議の場でいろいろ審議されて きた中でこのクラス分類のルールは決まっています。それを翻訳した形で定めておりま すので、日本語的には非常に分かりにくい形になってしまっているかと思います。 ○小俣委員 もし英文でしたら、英文も付けられたらどうなのでしょうか。 ○事務局 分かりました。次回、そのような形で対応させていただきたいと思います。 ○笠貫部会長 御指摘のように日本語についていくのが非常に大変だったということ で、むしろ英文を参考資料としてそのまま付けていただくと理解しやすいかもしれませ ん。全体の日本語文を含めて追従していくのが大変だったと思いますが、本品がどれに 属するかということで考えていただいたほうが理解しやすいかと思います。まず、この 診断機器装置が能動型機器に関するものであるということで、資料5-2の10-(3)ですね。 ○事務局 はい、原案としてはそのような形になります。 ○笠貫部会長 それと単回使用であること、設計の問題があるということ、その観点か ら最終的にクラス分けをIIにするということだったと思います。先ほどの小腸に開腹手 術をすることは、処置には入らないのでしたか。 ○事務局 はい。結果として何か別途の医療が必要になったような場合は、この考慮の 際には入ってきていないと考えております。 ○笠貫部会長 例えば不具合が生じた場合ということですが、小腸で滞留するのも不具 合かもしれません。その場合の開腹手術については、評価に入らないと考えてよろしい ですか。 ○事務局 はい。必ず開腹ということではなく、場合によっては薬剤を投与することに より、下剤等ですが、出てくる場合もあります。また、臨床試験では、小腸の中、奥深 くにある場合には取れないのですが、出口や入口の比較的近くにある場合には、内視鏡 的に取り出すということで取れている例などもありましたので、必ず滞留でもないのか ということもあります。その装置に何か不具合が起き、それが直接人体にどうなるか、 というようなことまでが、おそらくクラス分類で考えるところのいろいろな不具合が起 きたときの状態ではないかと考えております。 ○笠貫部会長 そうすると、先ほどクローン病の話も出ましたが、不具合そのものより も、むしろ生体側に問題があって滞留して何らかの侵襲的治療を加えなければいけない という判断でよろしいわけですか。北村委員、考え方としてはどうなのでしょうか。 ○北村委員 機械が壊れた場合、致命的になるというようなクラスはIIIかIVになってい るのでしょうね。 ○事務局 そうです。 ○北村委員 頻度は少ないし、壊れたら直ちに死亡につながるということはないけれど も、一生放っておいてどうなるのかといった心配もあるので、このようなとき医者は2.5 にするのですが、ここではそうはいかないので、IIかとは思います。IIとIIIの間という ようなものが絶対に出てくると思います。しかし、どちらかに判断しないと、ここは医 療機器が主人公ですから。もちろん生体側の人のことを考えて、機械としてはIIとなる のかというのは理解はできます。その辺り、2.5と言って付けられるのであれば、そう いったものになるのではないですか。 ○澤委員 私がいちばん危惧するのは酸化銀の電池が体内に露出した場合のことです。 例えば通常のボタン電池ですと、これはすぐに取らなければいけないと救急医療でも言 われているのですが、酸化銀の電池は、露出された場合でも大丈夫かどうかということ です。要するに、被覆が不具合を生じた場合でも酸化銀の電池だったら問題ないという ことであれば、クラスIIで全く問題ないのではないかと思います。 ○事務局 実はその辺のところまで詳細な情報は無いのですが、基本的には、カプセル の状態になっていて、包まれている状態で中に滞留しているということがあります。ま た、カプセルが壊れて電池が外に出てきてしまったときに、おそらくその電池で体内の いろいろな内容物や分泌物などによって侵蝕が始まるなどして、それによっていわゆる 酸化銀などの化学的毒性などが現れてきてしまうのではないか。そういうものが懸念さ れることからなるべく早い時期にそのカプセルを外に出すために、例えば下剤をやる、 内視鏡で取っていただく、開腹手術により取り出していただく、そのようなことをさせ ていただいているところです。ですから今回、その電池が体の中に露出しても大丈夫か どうかというところの評価までを含めて評価させていただいたという形ではないのでは ないかと思っております。 ○澤委員 後者の場合、今はボタン電池のシールが大変良くなったので急いで取り出さ なくてもいいだろうということにはなっているのですが、ボタン電池を飲んだら取り出 せということで救急医療対象になっています。ですから、カプセルの被膜、電池を覆っ ている被膜に何らかの欠陥があったときにこの酸化銀の電池を取り出さなければいけな いということであると、クラス分類に関して少し引っかかるのです。 ○事務局 第一義的に、カプセルのシールがきちんとされていて割れないというか、そ もそも電池が露出しないということを前提にいろいろ議論しております。ですから、そ このカプセルがまずは割れなければ、中の電池のシール性まで問題にはならないのかと は思います。 ○澤委員 そう思います。ただ、最初の製品は、接着が悪くて外れてしまったというこ とがあります。少ししつこいようですが、そういったところまで考える必要があるのか どうかということです。 ○機構 規格試験の中でもシールの確認をしておりますので、私たちは、製品としては そこでやむを得ないのではないかという判断で、今回、クラスIIで本省と話を進めてお ります。この機器以外でも、壊れることを前提としてしまいますと、今のクラスでもよ ろしいのかというところが出てきてしまいますので、私たちは、基本的にこれは意図し たものということでクラス分類を考えてきているところです。接着剤を変更してから、 もう3年ほど経ちますが、いまのところ不具合が見られていない。それは製品の品質管 理の中で押さえられているということで、クラスIIでよろしいのではないかと本省の方 に意見を具申したところです。 ○笠貫部会長 澤委員、よろしいでしょうか。今、生体側の問題ということでは2.5と。 もう一つの不具合、特に3年前といえども接着剤の問題で言ったときにはまだ100%の 保証がないとすると、それも合わせると、2.5でIIIに近くなるかもしれないという若干 の疑念もないわけではありません。事務局の方から、安全性のことについて、特に御指 摘のあった被膜の問題、露出のリスクがどの程度あるかという安全性の担保について、 もう一度御確認いただき、澤委員の方に御報告いただいて、御了解いただけたらと思い ます。今御指摘のあったことを事務局の方で今後調査していただき、また澤委員に御報 告していただくということを前提にして、クラスIIということで御了解をいただきます。 上村先生はお時間の関係があるということですので、この診断システム全体として先生 の方から御意見がありましたら、お願いいたします。 ○上村参考人 カプセル内視鏡は、マスコミ等々でも宣伝されており、非常に注目され ている機器です。しかしながら、カプセルを飲めば食道も胃も大腸もすべて分かるとい った形で非常に誤解されている面があります。そして、非常に簡単に飲める、安全であ るといった形で誤解されている面もあるかと存じます。  しかしながら、本質は、小腸の特に出血病変に対する診断で非常に有用性を発揮する ということ。いくら小腸造影をやっても滞留する可能性があるということ。こういう危 険性を非常に認知しなければ、やることは簡単にできてしまうのです。これは総合機構 の方でも十分に認知していただきました。また、今後も、市販後のチェックは非常に重 要かと存じます。  もう一つ。先ほど手術ということがありましたが、滞留しても内視鏡で取れるような 形というか、日本はそういう技術が十分に開発、今でもできていると思うのですが。  あとは、滞留した際の、特にこれは一般の開業医の先生方が、一般の医師のところで も簡単にできるのですね、「はい、飲みなさい」と言って。そういうところを周知徹底 することが今後の課題かと思いました。 ○笠貫部会長 どうもありがとうございます。そういう意味で、適用としては小腸に絞 られているということと、滞留については警告、禁忌というところに厳しく記載されて いるという先生の御懸念については、添付文書にも盛られている御注意だったと思いま す。今のことについても、先生に御質問は特にございませんか。小俣委員、よろしいで すか。 ○小俣委員 全く同意見です。いわば、暗黒大陸の小腸に初めて光が差すというところ だと思います。ただ、例えば腫瘍性病変には必ずしも強くないです。画像も残ります。 ですから、臨床上、種々の問題が起こり得るとは思っています。しかし、新しい器械で す。 ○笠貫部会長 今御指摘いただいたように、3年間、フォローを十分にしていただくと いうことが先ほど結論としてもあったと思いますので、特にほかに無いようでしたら、 本部会として御了承いただいたものとしたいと思います。  本品目については、本部会として、承認して差支えないものとして薬事分科会の方に 報告させていただきたいと思います。先生、どうもありがとうございました。 − 上村参考人退席 − ○笠貫部会長 本品のクラス分類についても一応終わりました。クラスIIの問題につい てはもう一つ、内視鏡用粘膜下注入材のクラスIIIについての御審議もいただきたいとい うことです。御意見、御質問はございますか。これは、資料5-2でいきますと、5のと ころでしたね。 ○事務局 資料5-2でいきますと、6-(3)、若しくは14番のルールかということです。 まず一つは、内視鏡下で行う、何か組織を切除する際にその組織を盛り上がらせるため に筋膜層と表層との間に薬剤を注入して盛り上がらせ、これを取るときに使うというも のです。先ほどの機器は、口から飲んで体内は通るのですが、体の組織内に注入したり ということではないのです。こちらの機器は、まず組織の中に注入するということがあ りますので、いわゆる侵襲型機器というものに位置づけられてしまいます。基本的には、 盛り上がらせて手術をして切り取ったあと、その際に液も一緒に流してしまうのですが、 多少の吸収が想定されるようなことがありましたので、6-(3)に相当するのではないかと いうことがあります。  資料5-2の最後のページ、追加ルールの14「活性又は不活性を問わず、動物又はヒト の細胞/組織/その由来物から製造され又はこれを含有する場合、すべての機器はクラス III又はクラスIVである」。今回、ムコアップという製剤は、内視鏡用粘膜下注入材です が、ニワトリのトサカから抽出したヒアルロン酸を主成分としていますので、14番のル ールなども加味しますと、クラス分類としてはIIIに相当するのではないかというのが事 務局としての提案です。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。ただ今の御説明について御質問はございますか。 よろしいですか。先ほどのお話では、これも単回で、特定保守ではないということでし たね。特に御意見がありませんでしたら、本品はクラスIIIという分類にということで御 承認いただいたとしたいと思います。それでは、議題6は済んでいますので、議題7に 移らせていただきます。報告事項についても、事務局から御報告をお願いします。 ○事務局 資料7です。平成18年11月1日〜平成19年1月31日までの間に承認され た品目のうち、当部会への報告対象となっている品目について御報告します。  医療機器が15品目、体外診断用医薬品が5品目あります。ここの具体的な内容につい ては、審査を行った独立行政法人医薬品医療機器総合機構から説明させていただきます。 よろしくお願いします。 ○機構 資料7-1を御覧ください。まず、医療機器15品目について簡単に御説明します。  1番目の品目、メディレーザソフトパルス10です。これは、松下電器産業株式会社よ り製造・販売承認申請がなされたものです。本品は、筋肉・関節の慢性非感染性の炎症 による疼痛の緩解を行うことを目的とする半導体レーザ治療器です。これは、既承認品 がレーザの連続照射であるのに対し、ピーク光出力が10倍になっており、その照射を断 続照射にした点が変更となっています。  2番目、ボシュロム ピュアビジョンです。これは、ボシュロム・ジャパン株式会社よ り輸入承認申請がなされたものです。本品は、シリコーンハイドロゲルの低含水イオン 性のソフトコンタクトレンズであり、レンズデザインを球面、トーリックとなっていま す。高い酸素透過性を得ることを目的として新規原材料が使われています。  3番目、i-TFCシステムです。これは、サンメディカル株式会社より製造承認申請 がなされたものです。ガラス繊維性のポストに補強材であるチューブ状のスリーブ、光 重合で硬化するポストレジン、及びコアレジンを組み合わせた支台築造用材料です。こ れは、様々な形状の根管に適合させることが可能となった点が改良点です。  4番目、チタンHTOチューブプレートシステムです。瑞穂医科工業株式会社より製 造承認申請がなされたものです。本品は、高位脛骨の骨切術に使用するチューブプレー トシステムであり、プレート、チューブともに、サイズを長くしたものを追加するため の一変申請です。  5番目、アキュビュー アドバンス、他5販売名です。これは、ジョンソン・エンド・ ジョンソン株式会社より輸入承認申請がなされたものです。シリコーンハイドロゲルの 終日装用、2週間交換のソフトコンタクトレンズで、酸素透過性を高めることを目的と してレンズに新規原材料が使用されています。  2ページ目です。6番目、アキュビュー オアシスです。これも、ジョンソン・エンド ・ジョンソン株式会社より輸入承認申請がなされたものです。シリコーンハイドロゲル の終日装用、2週間交換のソフトコンタクトレンズで、本品も、酸素透過性を高めるこ とを目的として新規原材料が使用されています。  7番目、アイミーO2ネオ、他4販売名です。これは、旭化成アイミー株式会社より製 造承認申請がなされたものです。アクリル系モノマーを主原材料とした終日装用のハー ドコンタクトレンズで、既承認のモノマーを組み合わせて配合した新規ポリマーが用い られています。  次のバイタリティDRとバイタリティDR JLは同一品目で、並行輸入の品目です。 これらは、日本ガイダント株式会社より輸入承認申請がなされたものです。これらは、 デュアルチャンバ徐脈ペーシング機能を有し、上室性頻拍と心室性頻拍を識別して、心 室性頻拍に対して自動的に治療を行う植え込み型除細動器です。既承認品と異なる点と しては、新たな上室性頻拍鑑別アルゴリズムが搭載されている点です。  3ページ目、エクスクルーダーY字型ステントグラフトシステムです。これは、ジャ パンゴアテックス株式会社より輸入承認申請がなされたものです。腎動脈下腹部大動脈 瘤の瘤内部への血流を遮断することにより、動脈瘤の拡大、破裂を阻止することを目的 として使用するステントグラフトと、ステントグラフトを病変部位まで送達させるため に用いるデリバリーシステムから構成されるものです。これは先発品があり、再審査期 間が先発品の終了期限である平成21年7月11日までとなっています。  デントライト30です。HOYAフォトニクス株式会社より製造承認申請がなされたも のです。これは口腔内病変組織の治療を目的としたEr:YAGレーザ装置、発振波長が2.94 μmです。既承認品からの改良点としては、治療効率を向上させるために、レーザ光の 照射繰り返し周波数の最大値を10Hzから30Hzへと高くした点です。  シンクロメッドELポンプです。これは、日本メドトロニック株式会社より輸入承認 申請がなされたものです。これは、医薬品ギャバロン髄注専用のプログラム式植え込み 型輸液ポンプです。既承認のものは成人(17歳以上)を対象として承認されていますが、 今回の一変の目的は、対象患者の年齢制限を削除するという点です。これも先発品の再 審査に合わせ、平成24年3月24日までが再審査期間となっています。  4ページ目、オッセオタイト サーテンインプラントシステムです。インプラント イ ノベーションズ インコーポレイティッドから外国製造承認申請がなされたものです。こ れは歯科用インプラントシステムで、チタン合金のインプラント、カバースクリュー、 アバットメント、スクリュー、テンポラリーシリンダーの五つの構成品からなっていま す。これらの改良点としては、いずれも、窒化チタンコーティングを施した点です。  メドトロニック EnRhythmです。これは、日本メドトロニック株式会社より外国製造 医療機器製造・販売承認申請がなされたものです。本品はデュアルチャンバ型のレート レスポンス機能付き植え込み型ペースメーカです。既承認品に比べ、マネージド心室ペ ーシング機能、心房に対する抗頻拍ペーシング機能、心房に対するレートスムーシング 機能が追加されております。  エステライトコアDCです。株式会社トクヤマデンタルから製造承認申請がなされた ものです。□□□□□□□□□□して使用する□□□□□□□□(□□□□□□□□□) の支台築造用コンポジットレジン、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□です。これらは、□□□□□□□□□□□□□□□ □□□が使用されている点が、改良点となっています。  続きまして、体外診断薬について御報告させていただきます。資料は5ページからに なります。まず1品目目はBDプローブテックET ダイレクトTB、日本ベクトン・デ ィッキンソン株式会社より輸入申請されたものです。本品は、核酸増幅法と蛍光物質に よる検出を組み合わせたもので、PCRによる既承認との相関性については資料に示し たとおりです。  2品目目はアーキテクト・HIV Ag/Ab コンボアッセイ、アボットジャパン株式会社より 輸入承認申請されたものです。こちらは、化学発光免疫測定法のサンドイッチ法に基づ きHIV抗体を検出する体外診断薬です。既承認と比べて、大量の検体処理を目的とし て開発されたもので、既承認品目との相関性は資料に示したとおりです。  3品目目は、スマイテスト HBV-YMDD、株式会社医学生物学研究所より製造承認申請さ れたものです。HBV抗ウイルス薬ラミブジンの長期投与で出現する耐性ウイルスにお けるDNAポリメラーゼの逆転写酵素活性部位の遺伝子発現を、PCR法により検出す る体外診断用薬品です。  4番目の品目はUBC キット「ヤマサ」EIA、ヤマサ醤油株式会社より輸入承認申 請されたものです。酵素免疫測定法のサンドイッチ法に基づき、尿中のサイトケラチン 類を測定し、移行上皮性膀胱癌診断の補助に使用する体外診断用医薬品です。  5品目目は、結核菌群DNA検出試薬「タカラ」、タカラバイオ株式会社より製造承 認申請されたものです。等温遺伝子増幅法を利用した結核菌群の検出試薬です。従来品 に比べて測定時間が短く、従来品との相関性は資料に示したとおりの成績となっていま す。以上です。 ○笠貫部会長 ただ今の事務局の御報告について、御質問ございますか。特にございま せんか。植え込み型除細動器のバイタリティDRのところですが、新たな上室性頻拍鑑 別アルゴリズムというのは、この新たな鑑別アルゴリズムは、その精度の管理の方につ いては評価はされるのでしたか。 ○機構 お答え申し上げます。上室性頻拍の新たな鑑別アルゴリズムを評価する臨床試 験が実施されており、感度、特異度が検討され、日本ガイダント社が有する従来のIC Dに搭載されているアルゴリズムに対する優位性が確認されました。 ○笠貫部会長 アメリカでのデータを外挿したという考え方でよろしいのですね。 ○機構 そのとおりです。 ○笠貫部会長 ありがとうございます。特にほかにはございませんか。  それでは本部会として、ただ今の報告品目については了承していただいたものとした いと思います。  それでは議題8、優先審査品目について、事務局より御報告いたします。 ○事務局 お手元の資料8-1を御覧ください。我が国で未承認又は適用外の医療機器及 び体外診断用医薬について、我が国の医療ニーズの高いものを選定し、これらの迅速な 医療現場への導入について検討することを目的とし、平成18年10月に、「ニーズの高 い医療機器等の早期導入に関する検討会」を開催しました。この資料の3ページ目が、 ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会の開催要領です。さらに4ページ目 は、構成メンバーの検討会委員名簿です。5ページ目は、医療ニーズの高い医療機器等 の早期導入に関する検討会の流れです。まず左端にあるように、ニーズの把握というこ とで、学会要望を収集し、その要望を踏まえてニーズの高い医療機器等を選定し、早期 導入について検討することとしているものです。本年2月に、第2回検討会が行われて います。1ページ目に戻り、ここから示されているAAとかBAが左方に振られている 13種類の医療機器等について、優先的にその早期導入を検討することが決定されていま す。このうち、既に申請中の製品のある医療機器等については、その品目の審査を優先 的に行うこととしています。  具体的には、7品目です。胸部大動脈ステントグラフト、植え込み型の人工心臓、血 管内塞栓物質、カプセル内視鏡については本日審議済みですので、こちらの優先審査の 対象からは外したいと思います。次はCYP450遺伝子多型診断薬、それから放射線治 療装置。いちばん下の方、エキシマレーザによる不具合リード抜去のシステムというよ うなもの、この7品目を優先審査としたいと思っています。  これ以外の医療機器等については、開発企業を公募することとしています。具体的に は、3月2日より厚生労働省ホームページにおいて公募を開始したところです。但し2 月の検討会の際に、植え込み型の人工心臓ですが、我が国の医療ニーズに合ったものを 早期に導入するという観点から、申請中のものがあったとしても、開発企業の公募も併 せて行ったほうがいいのではないかという御意見があり、そちらについては公募するこ ととしています。また、血管塞栓物質についても、現在申請いただいているものについ ては脳動脈奇形のみを対象疾患とする予定と聞いており、それ以外の部分について開発 企業の公募を行うこととしました。公募する企業については、申請に至った場合には優 先審査の扱いとして、臨床の場へ早期導入を検討することとなります。以上です。 ○笠貫部会長 ただ今の御報告についての御質問を受けたいと思います。新たな医療ニ ーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会の御報告と、その優先審査品目につい ての御報告をいただきました。全体の検討会の流れについても、御質問がありましたら いただきたいと思います。いかがですか。  座長の北村委員がほかの会で御退席されましたが、北村座長がこの検討会を進められ ています。できるだけ早期に必要な医療機器に関して導入をしていこうという、一つの 新しい積極的な試みとしてお考えいただけたらと思います。御質問はございませんか。 ○土屋委員 植え込み型の補助人工心臓、日本で2社、今良いものが開発されています が、それについては優先審査とかそういうことはないのですか。 ○医療機器審査管理室長 2月に開催された第2回検討会で、この左の欄に掲げた医療 機器等、胸部大動脈ステントグラフトから始まり13種類、その中に植え込み型の補助人 工心臓も入っています。医療機器の種類について御選定いただいたので、今後もう既に 公募をかけています。これらの医療機器については複数の会社が開発を進めている可能 性があり、我が国での早期導入に向けて協力いただけるかどうかの公募を今かけていま す。それに応募があった場合には、さらにその複数の品目から、どれが我が国で早期導 入に最も可能性が高いか、検討会での御評価をいただきます。また個別の会社の品目に ついて早期導入ができるかどうかの御意見をいただき、選定いただいた医療機器につい て優先審査をしていく予定です。人工心臓について、国内開発品の各メーカーから御応 募があり、かつ迅速な導入の実現可能性が高いということであれば、選定され、優先審 査になる可能性があるということです。 ○土屋委員 いま複数のメーカーからと言われましたのは、私、意味が少し理解できな かったのですが。例えば、補助人工心臓でA社、B社と、2社等があればいいというこ となのですか。1社では駄目だということですか。 ○医療機器審査管理室長 1社でも結構ですし、御応募いただいた会社の中から選定を していくことになります。 ○土屋委員 そうすると海外で承認されていなくても、ここに応募して、審査されてと いうものも可能なのですか。 ○医療機器審査管理室長 そのもの自体が、具体的に、例えばアメリカFDAでの承認 があるかないかについては、特に要件とはしていないものです。 ○土屋委員 もう一つよろしいですか。手術ロボット系のものが入っていませんが、こ の会議の中でそういうものは候補に上がらなかったということですね。 ○医療機器審査管理室長 手術用のロボットについても、学会の要望の中に入ってきて いました。学会からの要望が114件の医療技術といいますか、医療機器の種類について 御要望いただきました。それらについて、対象疾患の重篤性とか、医療上の有用性、既 存の治療と比較した場合に、有用性が高いかということで御評価をいただきました。特 に既存の治療法がない、又は命に直結する疾患に使用されるものを最優先に検討すべき ということで、その114件のうち検討対象になったのは94件です。既に承認を受けたも のについての御要望も混じっていたりで、一部対象から外れ、94件となりました。全体 として59件の医療技術の中からこの13種類が、最も優先度が高いということで選定さ れたものです。その他の御要望に、手術ロボットがございました。 ○土屋委員 今、次世代医療機器をいろいろしていますので、この辺に関心があります。 これは医療機器本来のものですが、薬事法とかいろいろなことと絡んで出てこなかった のかどうか分からないのですが、例えば、生物由来再生医療品とか、コンビネーション の医療機器などは出てこなかったのですか。対象にしなかったということですか。 ○医療機器審査管理室長 対象にしないということではありませんが、再生医療関係に ついては御要望はなかったかと思います。 ○事務局 今回のニーズ機器検討会の趣旨が、元々の背景としてはデバイスラグとかが 世の中で一般的に言われていますが、いわゆるほかの国々では使えている技術で、日本 で使えないものがある。そこで、日本でそういうものが必要な患者さんがいる中で、そ ういった機器を早期に導入するのが重要だという御意見がいろいろありました。いわゆ るキャッチアップ型の施策という形で、このニーズの高い医療機器の早期導入に関する 検討会が立ち上がってきたという背景があります。おそらく土屋委員の方からいろいろ 御指摘いただいていますのは、キャッチアップ型というよりは、もっと将来の開発も見 据えた非常に先進的な医療機器についてのことを述べられているのではないかと思いま す。そういったことについても、施策としては進めていくのは非常に重要なこととは考 えていますが、このニーズ機器の方は、いわゆるキャッチアップ型ということなので、 今現在学会で、医療の現場でどういう機器が望まれているのか。それが外国では使える が、日本で使えないものなどをどうやって導入していったらいいのかということで、こ のような品目を選定いただき、優先的な審査をしようという取組みになっているという 状況です。補足説明をさせていただきました。 ○土屋委員 もう一つ、そうしますとニーズの高いというのは、常に時代とともに、医 療機器は開発が早いわけですから、どんどん変わってくると思うのです。今年と来年。 この中にも、たとえ次世代と言えるものも候補として入ってくれば、使ってもいいわけ ですね。いろいろなシステムを使って、とにかく患者様と医療現場により良いものを出 したいということです。より良くて必要性のあるもの。 ○医療機器審査管理室長 今、事務局から御報告しましたように、この検討会自体は、 欧米等で使われていて、にもかかわらず日本の患者さんがアクセスできない医療技術に 対して迅速にアクセスを可能にしよういうことでやっています。次世代のものが、もち ろん時間が経ってアメリカなりで先に承認になった場合には、日本ではまだ使えない技 術ということでここに上がってくる可能性はあるかと思います。今回、昨年の暮れに学 会の要望を集めた、その結果を御評価いただいたわけですが、先生御指摘のように、ど んどん新しいものが開発、又は諸外国での承認がされていく中で、一回だけで終わりで はないということとは事務局としては考えています。また適切な時期を見て、ニーズの 把握は行っていきたいと考えています。 ○笠貫部会長 ほかに御質問はよろしいですか。 ○勝呂委員 僕も土屋先生と同じようなことですが、今回この品物に対して優先審査と いうことで理解しました。ですから、例えば時代が変わって、半年1年経った場合に、 今度はまた別なものを優先審査をするという、そういうシステムがあるという形ですね。 ですから、ニーズにかかわらず、本邦として優先審査をしたらいいだろうというものは、 それはそれでまた申請機関の方に優先審査の依頼をすればいいという、そういうシステ ムは残っているという形で理解してよろしいですね。 ○医療機器審理管理室長 はい。 ○笠貫部会長 私も、土屋委員の御指摘がありましたように、医療機器が非常にダイナ ミックにどんどん進歩していく過程において、どういうふうな導入のシステムを新たに 構築していくかということ、この検討会が立ち上がったのだろうと認識しております。 そういう意味では、この5ページの、今回はちょうど選定ワーキンググループのもとに 検討会でこの品目を選び、次のステップに進むという位置付けで、今回はこの品目につ いて、今後さらにどんどんニーズをすべての学会を通して吸い上げながら、こういった 早期導入を実際にやっていくグランドスキームを構築していくというプロセスだろう と、期待しているところです。ほかには御質問ございますか。事務局の方から何か追加 で御説明はありませんか。 ○中原部会長代理 全く違うことで恐縮です。こういった医療機器・体外診断薬の承認 が随分今システム化されてきた、見直されて一つのルールが出来上がってきたと思うの ですが、これはある一定期間やって、少しいろいろな見直しをするということは必要だ と思うのです。例えば、クラス分類等が、既に医療機器にしろ、体外診断薬にしろ先ほ どお示しになったようなことで出来ているのですが、体外診断薬などについて言えば、 少し不具合といいますか、そういった声も聞こえてきていますので、どこかで再度検討 するようなシステムといいますか、そういうものは何かあるのですか。例えば、パブリ ックコメント等、ある一定の時期が過ぎたら取って、それについて検討するとか。ある いは何かそういったようなことが出来るのかどうか。 ○医療機器審査管理室長 具体的に体外診断薬の方のクラス分類について不具合をお聞 きしてはいないのですが、またそれはそれで教えていただければと思います。先ほど説 明いたしました医療機器のクラス分類自体は、国際的なクラス分類ではあります。その 見直しは可能性としてはあると思います。今このクラス分類のところで使う一般的名称 のあり方についても、このクラス分類と併せて何らかの検討が必要なのかとは思ってい ます。一度決まってしまったら、それで何の変更もないということではないとは理解し ています。必要があれば検討をしていきたいと思っています。 ○中原部会長代理 一つだけ申し上げたいことがあります。体外診断薬で、クラスIIIに 分類されている中で、自己測定というものは全部クラスIIIになっているのです。例えば、 試験紙に尿を当てて自分で陽性、陰性を判定するわけですが、これがクラスIIIになって いるのです。標準品が無いという場合にはクラスIIになっているし、自己測定の場合は 全部クラスIIIになっています。尿の試験紙というのは、直接生命に危険性もほとんどな いわけです。クラスIIIは、つまり大臣承認になるわけです。だから、これが少し厳しす ぎるのではないかというふうに私も思いますので、どこかでそれについて御検討いただ ければと思っているのですが。 ○事務局 一つ、そのクラス分類ルールとしては、自己検査用のものとかOTCみたい なものになると、医療用のものに対しては1ランク上がるという、ルールが追加であり ます。そのような関係でおそらく少し高めのクラスになってしまっているのではないか と思います。その辺は、今具体的に検討のプロセスというのは想定できていないのです が、確かにそういういろいろな直したほうがいいという御要望があるということでした ら、将来的には検討していかなくてはいけないとは考えています。 ○笠貫部会長 それでは、今の御指摘についてはこの医療機器のクラス分類に、この体 外診断薬のクラス分けについても、最初のクラス分けをどうするかということと、その 後の不具合の出具合によってさらにクラス分けの見直しのシステムをどうしたらいいの かという御指摘と思います。これは事務局の方で御検討いただき、どこかでまた御説明 していただけたらと思います。それではほかに御質問が無ければ、これで議題を終わら せていただきたいと思います。事務局の方から連絡事項がありましたら、よろしくお願 いします。 ○事務局 この部会は年に4回を想定していまして、大体6月1日前後、9月1日前後、 12月1日前後、3月1日前後、この前後2週間ぐらいの間に開催させていただいていま す。また次回は6月1日前後を予定していまして、後日、日程調整を先生方に御連絡を させていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○医療機器審査管理室長 以上で本日の医療機器・体外診断薬部会のすべての御審議を 終了させていただきましたので、これで終わりにさせていただきたいと思います。どう も大変ありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 広瀬(内線 2912)