07/03/08 第15回がん検診に関する検討会議事録  第15回 がん検診に関する検討会 議事次第 1.開 会 2.議 題  (1)市町村事業における胃がん検診の見直しについて     がん検診に関する検討会中間報告(案)  (2)市町村事業におけるがん検診の事業評価の手法について     がん検診に関する検討会中間報告(案)  (3)がん検診事業を委託する際の仕様書に明記すべき必要最低限の精度管理     項目(案)  (4)その他 3.閉 会 ○鈴木課長補佐 それでは、定刻となりましたので、第15回「がん検診に関す る検討会」を開催させていただきます。 本日は、森山委員が御欠席と伺っております。また、丸山委員につきましては 遅れているということでございます。 本日の会議においては「市町村事業における胃がん検診の見直しについて」と、 「市町村事業におけるがん検診の事業評価の手法について」の本検討会の2つの 中間報告(案)と、「がん検診事業を委託する際の仕様書に明記すべき必要最低 限の精度管理項目(案)」について御議論いただく予定としております。 それでは、垣添座長に進行をお願いいたします。 ○垣添座長 皆さん今日は。年度末の大変お忙しい中、お集まりいただきまして 誠にありがとうございます。第15回のがん検診に関する検討会ということであ りますが、本日は、今、御案内のように、胃がん検診のまとめと事業評価の話に なります。今回は鈴木老人保健課長にも御出席いただきまして誠にありがとうご ざいます。では、これからスタートさせていただきます。 事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○鈴木課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。 本日お手元の方に「第15回がん検診に関する検討会議事次第」というものが 1枚お手元に配布させていただいております。 その次に「第15回がん検診に関する検討会資料一覧」ということで、資料1 が「市町村事業における胃がん検診の見直しについて がん検診に関する検討会 中間報告(案)」という冊子。 それから資料2につきまして「市町村事業におけるがん検診の事業評価の手法 について がん検診に関する検討会中間報告(案)」というもの。 参考資料といたしまして、「がん検診事業を委託する際の仕様書に明記すべき 必要最低限の精度管理項目(案)」というものをお配りさせていただいておりま す。 また、追加資料といたしまして、2枚紙のもので、委員の先生方には今回の中 間報告(案)が厚くなっておりますので、そのエッセンスを引き抜いたものとい うことで、「がん検診に関する検討会中間報告について」というものがお手元の 方にお配りさせていただいていると思います。 資料につきましては、以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。よろしゅうございますか。 それでは、議題の1番、「市町村事業における胃がん検診の見直しについて」 事務局から説明をお願いたします。 ○鈴木課長補佐 それでは、今回の中間報告につきまして、御説明させていただ きます。 資料につきましては、薄い2枚のものと、あとお手元の「がん検診の見直しに ついての資料1、厚いものと両方御用意していただきたいと思います。概略につ いては薄い方で御説明させていただきますが、中心となる点につきましては、厚 い方の資料に戻りまして御説明させていただきたいと思います。 まず薄い方の資料でございますけれども、「がん検診に関する検討会のこれま での経緯」ということで、この方に載せさせていただいております。 現在、市町村事業におけますがん検診につきましては、胃がん検診、子宮がん 検診、肺がん検診、乳がん検診、大腸がん検診が実施されている。これらのがん 検診につきましては、受診率が低い、死亡率減少効果の観点から、実施方法や対 象年齢に問題がある。精度管理が不十分等の指摘がされてきているというところ でございます。 それを受けまして、平成15年12月に老健局内に本検討会が設置され、個々の がん検診ごとに検討は開始されたという経緯でございます。 平成15年12月の第1回から第2回の8回までは乳がん、子宮がん検診につい て、平成17年の3月の第9回から平成18年の2月までの第11回までは、大腸 がん検診についてそれぞれ御検討していただいたところでございます。 今回は、平成18年7月から4回にわたりまして、市町村事業における胃がん 検診の実施体制とその他のがんも含めて、がん検診の事業評価について検討して いただいたというこれまでの検討会の経緯になっております。 それでは、今回の実際の見直しに係ります検討及びその結果に基づきます提言 の部分について御説明させていただきます。 厚い方の資料1の10ページをごらんいただきたいと思います。10ページ前に つきましてはこれまでの経緯、そのほか現在の現状というものを載せております ので、ここについては、割愛させていただきます。 今回中心となるものでございますが、10ページの「IV.検討及びその結果に基 づく提言」というところでございます。 ここにつきまして、大きく「1.胃がん検診のスクリーニング検査の方法につ いて」ということと、「2.検診間隔について」、「3.検診の対象年齢につい て」という3つの大きな項目、それと最後に「4.その他の事項」という構成に なっております。 まず「胃がん検診のスクリーニング検査の方法について」で、これまで当検討 会におきまして、4つの検査法について御議論いただきましたので、その結果を まとめさせていただいております。 まず(1)といたしまして、「胃エックス線検査」についてでございます。こ れは従来から行われている検査でございますが、○の3番目にありますけれども、 撮影方法として現在二重造影法が基本になるということで行われているもので ございます。 その2つ下の○ですけれども、現在、胃エックス線検査につきましては、まれ にバリウム誤嚥ですとか、排便遅延、バリウムによる便秘・イレウス等の偶発症 も出ているということがございます。 最終的な結論でございますが、一番下の○になりますが「胃エックス線検査に よる胃がん検診については、死亡率減少効果を示す相応なエビデンスがあり、対 策型検診として実施することが適当である」ということで報告をまとめさせてい ただいておるところでございます。 「(2)胃内視鏡検査」でございます。 御存じのとおり、胃内視鏡検査につきましては、内視鏡を使って治療して、食 道・胃・十二指腸球部までの観察を行うものでございまして、極めてまれに出血 ・穿孔等の偶発症が起こるものでございます。 これまでの議論の結果といたしまして、3つ目の○にございますが、「胃内視 鏡検査による胃がん検診については、現時点では、死亡率減少効果を示すエビデ ンスが不十分であるため、対策型検診としては薦められない」ということとさせ ていただいております。 しかしなから、一番最後の○でございますが、「ただし、胃エックス線検査に 比べ発見率が高く、より大きな死亡率減少効果を持つ可能性がある」ということ ですので、今後質の高い研究による評価を実施することが望ましい」というくだ りにさせていただいております。 ここにつきましては、今年度がんに関します研究の公募課題として挙げさせて いただいておりまして、来年度から研究を推進できるような形を取っているとこ ろでございます。 「(3)ペプシノゲン法」についてでございます。 ペプシノゲン法につきまして、1つ目の○の最後の方にありますが、「ペプシ ノゲンの血中濃度を測る」ということで、「胃がんの高危険群である萎縮性胃炎 の進行度を判定する方法」でございます。 血液検査のためということがございますので、受診者に対する身体負担は少な い。ただし、要精検率は高いという現状でございます。 したがいまして、下線を引いてあるところが結論でございますが、「ペプシノ ゲン法については、現時点では、死亡率減少効果を示すエビデンスが不十分であ るため、対策型検診としては薦められない」ということとさせていただいており ます。 なお、一番最後の○にございますが、「検診の対象を集約することも非常に重 要であり、対象者の絞り込みに有効であるか否かという観点からの評価も、今後、 必要ではないかと考える」ということにさせていただいております。 「(4)ヘリコバクター・ピロリ抗体法」でございます。 これはヘリコバクター・ピロリが胃粘膜萎縮の進展に関与している。発がんの 原因とされているというところから検査を行うものでございます。 11ページの一番上の○、この測定法につきましては、胃内視鏡検査により採取 しました生検材料を使用した迅速ウレアーゼ試験、(組織)鏡検法、培養法とい うもの。また、こういった生検材料を必要としない血清・尿中抗体測定、尿素呼 気試験、糞便中抗原測定があるということでございます。 この検査についての評価でございますが、上から2つ目の○でございます。 「これらのヘリコバクター・ピロリに関する検査法については、現時点では、 死亡率減少効果を示すエビデンスが不十分であるため、対策型検診としては薦め られない」ということとさせていただいております。 しかしながら、一番最後の○になりますが、「ただし、血清・尿中抗体測定、 糞便中抗原測定については、検診の対象を集約することも非常に重要であり、対 象者の絞り込みに有効であるか否かという観点からの評価も、今後必要ではない かと考える」という、先ほどのペプシノゲン法の書きぶりと同様とさせていただ いているところでございます。 「2.検診間隔について」でございます。 これまでいろいろと御議論していただきましたところを、とりまとめていると ころでございます。 まず検診間隔についてですが、一番上の○にございますが、胃がん検診は、我 が国においては死亡率減少効果が認められ、40歳以上の逐年検診として行われて いるが、諸外国では実施されていない状況がある。」。 2つ目の○、胃がん検診について、40歳以上の逐年検診は死亡率減少効果が認 められている」ということです。 3つ目「また、胃エックス線検査による検診の死亡率減少効果は2〜3年持続 する可能性が示された」ということで、これは坪野委員の方から第2回のときに 提出された資料を基に書かれているころでございます。 4つ目の○「しかしながら、実際に事業を実施するに当たり、現状の受診率が 低いままで胃がん検診を隔年で実施すると、単に受診率が半減する可能性がある との指摘もされているところである。 ○さらに、検診の受診間隔の関係も含めて、検診に要する費用及び総医療費の 関係について研究を十分行ったうえで判断する必要があるとの意見もあった。 ○以上のことから、現時点では、従来どおり逐年検診とすることとする」とい うことにさせていただいているところでございます。 「3.検診の対象年齢について」でございます。 これにつきまして、一番上の○の2行目「年代による効果の差にはっきりとし た傾向があるとはいえないという推計もある」ということ。 「○また、国民全体の死亡率を減少させるという観点から、対象年齢に上限を 設け、受診勧奨を重点的に行うべきではないかという意見もあった。  ○しかし、一方では、年齢が高くなるにつれて、罹患率も上昇している。  ○以上のことから、現時点では、従来どおり40歳以上とすることが妥当であ る」ということさせていただいております。 本文の12ページの一番上にございますが、「スクリーニング検査に関する提 言」ということで、 (1)検査方法 ○胃エックス検査によるものとする ○ただし、胃内視鏡検査については、がん検診における有効性を評価するた   めに、死亡率減少効果という観点から、研究を行い、データを集める必要が   ある。 (2)受診間隔 ○1年に1度とする (3)対象年齢 ○40際以上とする こういうことではどうかということで、提言のところをまさめさせていただいて いるところでございます。 また、「その他の事項」につきまして、前回までいろいろ御議論していただい た「精密検査について」「普及・啓発について」「受診率の向上について」「検 診従事者の養成について」「国の定めるがん検診指針の遵守について」という御 意見を列記させていただいているところでございます。 簡単ではございますが、今回の中間報告のキーとなる部分について御説明させ ていただきました。 以上でございます。 ○垣添座長 ありがとうございました。それでは、御発言をいただきたいと思い ます。 12ページの上3分の1くらいにまとめられている四角の中が大体ポイントか と思います。 胃の内視鏡検査に関して、研究が本年からスタートすると言われましたけれど も、その内容はどういうことですか。 ○鈴木課長補佐 対がん10か年総合戦略研究の中で、公募課題といたしまして、 この胃内視鏡のがん検診の有効性という公募課題を挙げさせていただいている ところでございます。 ○垣添座長 芳野委員、何か御発言ありますか。 ○芳野委員 胃内視鏡検診の有効性については、本年春の日本消化器内視鏡学会 にて死亡率減少効果という観点からの発表があると聞いています。この発表施設 はこれまでも論文化を行っており、エビデンスとして活用することができる論文 を作成してくれることが期待できます。その他に、公募課題についても聞いてい ます。 ○垣添座長 胃エックス線に関しては十分根拠があるので、当面これで行くと。 内視鏡に関しては、発見率が高いことは事実だけれども、これが死亡率の減少に つながるかどうかに関してはもう少し研究が必要で、これは実際に研究をスター トする。 それから、受診間隔に関しては、学問的には2年、あるいは3年に一度でもよ さそうですが、今の受診率のままでそれを実施すると2分の1になってしまうと かいう危険があるので、そこの仕掛けをきちんとした上で間隔を延ばすなら延ば す。つまり、現状では今のままの1年に一度とするということ。 それから、対象年齢は40歳以上ということですが、受診間隔に関して、坪野 委員、何かありますか。 ○坪野委員 この問題は今、先生が御指摘されたように、科学的根拠とそれ以外 との要因との兼ね合いをどう考えるかという問題だと思います。科学的根拠に基 づいて考える限り、胃がん検診は必ずしも毎年行わなくても、受診間隔をある程 度延長してもほぼ同等の死亡率減少効果が得られるというのは、かなりわかった ことではないかと思います。この検討会の性質にもよると思いますが、科学的根 拠を最優先に決めるというのが、私自身は議論の透明性を高める上でもっとも適 切だと考えているので、エビデンスに基づいて2年に1回でやるのが最も適切で はないかと考えています。とはいえ、同時に、科学的根拠以外の要因を十分考慮 することが適切な場合もあると思います。 そのときに問題なのは2点あると思います。 1つは、科学的根拠以外の要因を仮に考慮するにしても、他の臓器との整合性 を取って判断をしていくことが大事だということ。 第2点は、その場合、行政的政策的などんな要因をどこまで重み付けて判断す るのかということに関しては、明示的にファクターを挙げて、何を優先するのか をきちっと考える必要があるんじゃないかと思います。 今回は受診率と費用という要因が出てきているので、だから根拠としては2年 に1回でもいいんだけれども、それらの要因を考慮して現時点では延長しないと いうのも、それはそれで1つの立論としての妥当性もあり得るかと思います。け れども、ほかの臓器はどうなんだということになったときに、そこでの説明がし づらくなるということがあります。その辺をもう少し組み込んだ丁寧な表現をし た方がいいのではないかなと思っています。 例えば受診率が下がる恐れがあるから現時点では逐年という言い方をしてし まうと、それはすべての臓器の検診についても当てはまることなので、これは事 実上がん検診の受診間隔の議論をしないということに等しいことになってしま います。ですから、科学的な根拠はこうで、それ以外の要因としてこういうこと を重視するので、こう判断するというふうに丁寧に書くことが大事ではないかと 思います。 繰り返しになりますが、私は科学的根拠が最も重要だと思っているので、2年 に1回というのが最も透明性の高い判断ではないかと思っています。 ○垣添座長 前回、坪野委員のその御発言をいただいたわけであります。 ○内田委員 今の坪野委員の御意見も、それから先ほどの吉野委員の御意見も踏 まえての話なんですけれども、そうなりますと、この中間報告に関して、今後そ ういうエビデンスがもっとはっかりしたものが、例えば内視鏡検査によるエビデ ンスというはっきりしたものが出てきた場合、あるいは2年に1回というのが科 学的な根拠に基づいているという話が出てきた場合に、この中間報告を見直すと いうことが必要になってくるのではないかと思いますので、その辺をこの答申の 中に盛り込むということが必要ではないと思います。 ○垣添座長 それはおっしゃるとおりだと思います。2年に1度に関して科学的 根拠はあるけれども、現実的な対応として、現状では難しいというときに、その 問題点の解決に向かって手が打たれて、その結果、機が熟したということであれ ば当然見直しをすることになると思いますし、内視鏡検査のデータがきちんと出 てくれば、その時点でもう一度考えるということ当然あり得ると思いますので、 それは中間報告のどこかの部分に文書で入れるようにさていただきたい思いま す。 ほかにいかがでしょうか。 ○大内委員 前回もこの受診間隔について発言したものですが、私が2年でもい いのではないかということは、科学的な根拠が一部出ているということもありま す。それから坪野委員が言われたように、他の臓器の検診との整合性も考える必 要がある。具体的には乳がん、子宮がんなんですが、今回議論になったのは、前 回申し上げたように、このままの胃がん検診の受診率で仮に2年に1回にします と、単年度の受診率が激減する危険性があります。それは前回も指摘したことで、 これを具体的な対策を取らないままに、2年にすることには私は反対です。是非 ここは受診率の向上というものを併記した上で書くべきではいかと思います。 恐らく前回の試案の方にはそういった文言もあったかと思いますので、そうい ったことも含めて、他の検診との整合性からもそこのところを指摘したいと思い ます。 とは言っても、乳がん検診、子宮がん検診についても、いまだ受診率が低い状 態にありますので、この議論は胃がんにとどまらず、全体のがん検診の受診率を 挙げるためにどうすればいいのかという議論もしていただければと思います。 私自身が検診間隔を2年にこだわっているわけではありませんで、ただし、が ん検診の費用、それから救命、死亡率減少効果を目指すには、適切な資源配分が 必要ですので、その観点からあくまでも科学的根拠というものをベースにして、 記述されるように配慮していただきたいと思います。 ○垣添座長 ありがとうございます。もっとも御指摘だと思います。 前回の議論でもありましたけれども、今回胃がんの検討に関わって、4つのが ん検診に関して検討を行ってきたわけでありますが、既に繰り返し指摘されてお りますように、受診率の向上と精度管理という2点。特に受診率の向上に関して は、今の検診間隔を延ばすということもありますけれども、その前段階としての きちんとした手が打たれていないとそれが意味をなさなくなるという議論があ りました。ですから、この辺に関しては、すべてのがん検診に共通する課題とし て、別途検討することを考えておりますので、後ほど事務局の方から説明いただ ければと思います。 ほかに御発言ありましょうか。 この四角の中のまとめに関しては、当面データがある胃エックス線検査を検査 方法として、内視鏡に関してはデータが得られることを持つ。検診間隔に関して は、1年に1度とするけれども、この説明文書に関しては、注意を払う。対象年 齢は40歳以上とするということでのとりまとめでよろしゅうございましょうか。 ○笹子委員 先ほどの受診間隔のところをもう少し具体的に必ず何かを、坪野先 生とかであれば、どういうふうな文言を入れてほしいという御希望ですか。 ○坪野委員 個人的には2年に1回がいいと思っているので、それを考えさせる というのは非常に酷な話なんですが、すでに受診間隔を延長している子宮がんや 乳がんとの整合性にも留意すべきで、例えば、受診率の向上等も含めた検診実施 体制全体の再構築との兼ね合いの中で検討するべき問題であるというように、サ イエンス、プラスαの判断であることをきちっと明記した上で、どういうファク ターをどの程度重視するかを検証しながら判断するということではないかと思 います。 ○斎藤委員 客観的なデータがあるわけではないので、あえて今まで申し上げな かったんですが、今のことに対しては、例えば乳がんと比べますと、乳がんはど んどんマンモグラフィーの機器を導入する機運にあります。これは厳しい財政状 況の中でも、全国的にそういうことが起こっている。厚生労働省もファンドした ということがあるかもしれません。 一方で胃がん検診の方は、バスが増えているという事情は、少なくとも余り聞 いたことがないです。 それから、技師さんの数も増やす傾向にはないと認識しております。 機械の導入ですが、機械は老朽化すると新規更新していくわけですが、その更 新のスピードは鈍っているというふうに聞いています。これは調べれば恐らくわ かることなんですが、そうしますと、一旦減った受診者に対応して、その機器の 更新も更に減る可能性がある。そうすると、不可逆的に検診のキャパシティーが 減る。こういうことが受診率の向上という観点からハードルになり得るという事 情があります。それが先ほどの坪野委員の個別の検診についての説明かなと思い ます。 ○垣添座長 非常に現実的な問題点も伴って、今の部分が乳がん検診、マンモグ ラフィー検診との違いであるという御指摘です。 ○大内委員 この検診間隔についての文言の中に、坪野先生が言われたこともそ うですが、受診率の向上が最も重要であるということですね。 その上で具体的な数値目標を入れるのは困難かと思いますけれども、例えば6 0%を超えた時点で、あるいは50%でもいいんですが、検診間隔の再検討を行う とか、何らか今はこの受診率と費用のことで、あるいは検査機器のところで1年 に1回ということに落ち着きそうなんですが、その点を推移を見ながら、受診間 隔については再度検討するということにしておかないと、これがフィックスされ るのか私も納得できないです。 ○垣添座長 私自身もフィックスされては大変困ると思っておりますので、状況 が変われば内田委員が御指摘のようにつくり直すということだと思いますので、 このことも含めてきちんと文章の中に入れておくことにいたしましょう。 という条件で一応この四角の中にまとめられているようなとりまめとでよろ しゅうございますでしょうか。 (「はい」と声あり) ○垣添座長 ありがとうございます。 それでは、続きまして「市町村事業における がん検診の事業評価の手法につ いて」ということで事務局からお願いいたします。 ○鈴木課長補佐 それでは、事業評価につきまして、御説明させていただきます。 資料につきまして、先ほどの薄い資料の2ページ目と資料2という厚い冊子の方 をごらんいただきたいと思っております。 まず薄い資料の方がメインになりますけれども、今回、がん検診の事業評価の 手法につきまして、見直しを行っております。 まず最初に(1)といたしまして、指標の定義の見直しというのを今回させて いただいております。実はこれまでプロセス指標、アウトカム指標ということで 他のがんにつきまして、指標を設けておったのでございますけれども、実はアウ トカム指標というものの考え方を事務局の方で誤っておりまして、今回こういう (1)(2)(3)という指標に再分類させていただきたいと思っております。 (1)といたしまして、技術体制的評価ということで、これは検診の実施機関の体 制の確保、設備ですとか、医師、技師の人数、人員等についての指標になる。 あと実施手順の確立を技術的体制的評価の指標。 あとプロセス評価、これががん検診受診率ですとか、要精検率、陽性反応的中 度、がん発見率等というのをプロセス評価にさせていただきたい。これは実は前 回まではアウトカム指標ということで分類されていたんですけれども、アウトカ ム指標につきましては、そこの(3)にあるとおり、死亡率で見るべきだと思います ので、今回死亡率をアウトカム指標にさせていただきたいということで、中の文 章につきましては、そういう仕分けで今回つくらせていただいているところでご ざいます。 あと今回の事業点検表の見直しという全体の話をさせていただきますが、 (2)のところでございます。 今回の点検表の見直しにつきましては、既に作成されました大腸がん検診のと きに作成されました事業評価のための点検表を参考にさせていただいていると ころでございます。これを基に新たに胃がん検診の事業評価のための点検表を作 成させていただいております。 それから、乳がん、子宮がん検診につきまして、 これまで点検表を作成させていただきましたが、実は都道府県用の点検表がなか ったということがございますので、今回を契機に、この乳がん子宮がんの都道府 県用の事業評価のための点検表を新たに作成したということでございます。 既に作成されております乳がん、子宮がんにおきます検診実施市町村用の点検 表、また大腸がん全体のもの、それにつきましては、最新の知見等をもとにもう 一度見直しを行ったという経緯になっているところでございます。 それを示しているのが下の四角の表でございまして、それぞれマトリックスに なっておりますが、新しく作成されたもの、今回見直しを行ったものというのを 一覧にさせていただいているところでございます。 実際の中身の細かい部分につきましては、斎藤委員の方から御説明をしていた だければと思っております。 ○斎藤委員 今ですか。 ○鈴木課長補佐 はい。 ○斎藤委員 ちょっと準備していませんでしたが、改訂の骨子は前回短く要約し てお伝えしました。あえて加えるならば、大きい項目としては説明にもありまし たとおり、指標の分類を国際標準に変えたということがあります。1つずつずれ ていまして、ボタンのかけ違いで最終のアウトカムが死亡率ではなく、発見率な どをさしていて、1つ繰り上がっていたわけです。これを戻したと御理解くださ い。そこが前回の説明に加わる1点であります。 ○垣添座長 今のアウトカム評価が死亡率になったということですか。 ○斎藤委員 そういうことです。アウトカムは死亡及び罹患になります。ですけ れども、実際問題は罹患は現状では各市町村、都道府県で把握できませんので、 それは省きました。死亡率も正確に言えば死亡数で、それが各年齢階級別の人口 のファイルがあれば死亡率は計算できるということで、それは死亡数で、結果的 には率ということで御理解いただきたいと思います。 また、都道府県用を追加した大腸がん検診に合わせ、乳、子宮がんでも作成し てあります。 その他追加したところは、対象者集団をきちっと把握する、それはいわゆる組 織型検診の定義でありまして、祖父江委員等から前に指摘が出ました年齢層の集 約のときに、精度管理上非常にキーになる項目なんですが、そういう対象者の把 握に関する項目が加わっています。 例えば11ページの大腸がん検診リストをごらんになっていただくとわかると 思いますが、左上一番の「市町村用」「(1)対象者の網羅的な名簿を住民台帳 などに基づいて作成しているか」、この項目が各がん検診に入っています。 これも前回言わなかったことなんですが、市町村と都道府県の役割分担が昨年 2月の中間報告書で整理されています。その中で議論されている市町村の役割、 都道府県の役割というのを、仕様書が出てきた関連で、「検診機関の委託」とい うことで、チェックリストの中に位置づけています。前までは本文の中でこれを 言及していたわけですが、チェックリストの中に位置づけています。 その中で仕様書を作成させて、それで判断しているか。これは実は調査しまし たところ、仕様書を提出させていない機関が圧倒的に多かったということでこの 1項を加えたわけです。その2項目に、それに具体的な標準項目、クリアーすべ き精度管理項目を入れているか。これを加えたというのがもう一点大きなところ であります。 あとは個々に、技術体制的指標のところに胃がんで言うとバリウムの項目とか をちょっと加えたというところかと思います。 主なところは大体そのようなところです。 今ので落ちはないですかね。 ○垣添座長 説明は以上ですか。 ○鈴木課長補佐 はい。 ○垣添座長 わかりました。では、この事業評価の手法についてということで、 4がん共通でありますけれども、御議論いただければと思います。 検診技術と体制的指標として、検診実施機関の体制の確認と実施手順の確立。 胃がん検診、それぞれの検診に関してちゃんと手順ができているわけですね。 それから、プロセス指標が受診率と要精検率、陽性反応的中度、発見率を把握 する。 それからアウトカム指標が死亡数の把握。その結果として、計算による死亡率 の把握ということになったということでありますが、いかがでしょうか。 ○大内委員 平成17年の2月か3月に、乳がん及び子宮がん検診の事業評価に ついての報告書が出ております。その中で私も奇異に思ったのは、プロセス評価、 アウトカム評価の文言ですけれども、今回はこのように整理されて、それはよろ しいと思います。あのときは恐らくアウトカム評価と言っても、すぐに死亡率を 出せないとか、あるいは感度とか、がん登録と照合させなければ出ないような数 値は盛り込めないという事情があって、事務方の方でそういう言葉を使われたと 理解していますけれども、今回このように、1つは、技師や医師の体制、システ ムですね。それが技術的な指標になります。これをクリアーにさせたのはいいと 思います。それからプロセス指標についてもよろしいんですが、前回、2年前に 報告している内容の改訂であることを、この報告ではわからない。 つまり既に乳がん子宮がん、それが大腸がんが出ているわけです。それが変わ ったということをどこで国民に通知できるかということ。これを読まなければわ からないので、例えば副題として、ここにがん検診の事業評価の手法について(胃 がん、大腸がん、乳がん、子宮がん)とするか。そのようにしないと、各都道府 県の担当者はどの検診の事業評価なのかわからないと思うんです。しかも、2年 前に乳がん子宮がんが出ていて、1年前に大腸がんが出ているわけです。ですか ら、その点について配慮をいただきたい。 それから、単に2ページに書いてある事業評価の指標、これだけ書いてあって は、恐らく理解できないと思います。 ですから、この文言の説明も付けるべきであって、具体的には各がん検診につ いても必要かもしれません。例えば子宮がんにおいての用語集みたいなものもあ ってもいいと思うんです。そういったことも含めて検討していただければと思い ます。このままではこの表だけが見えてきて、せっかくプロセス指標があるのに、 例えば9ページを見ていただくと、胃がん検診の事業評価に関する検討とありま す。ここに(2−a)にプロセス指標ということで、言葉も入ってないんです。 プロセス指標が何かも入っていないんです。ですから、これでは検診担当の方々 が理解できないんではないかという気もします。 ○垣添座長 大変重要な御指摘だと思いますが、私はいちいちもっともであると 思うんです。例えば指標の定義の見直しというところでも、これまでに2年前に 乳がんと子宮がんがある。1年前に大腸がんが出てきているけれども、今回胃が んの中間報告をするに際して、この全体を以下のように改めたとか何か文章が入 っていて、実際に個々の事業評価の部分に今の話がちゃんと入るようにする。 つまり、現場でこれを受け取った人が混乱をすることがないように、かなり懇 切丁寧な対応をしないといけないんではないかということでありますが、事務局、 よろしいですか。 ○鈴木課長補佐 それはわかりやすい文章に変えさせていただきたいと思いま す。 ○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。わかりやすさということがきちっと全面 に出てくれば、余り議論のないところではないかという感じがいたしますが、先 に進んでよろしゅうごいましょうか。 ○斎藤委員 先ほどの指標の種類、具体的な項目に関しては、チェックリストの 下に注に追加をして、プロセスについて主に列挙すればよろしいかと思います。 ○垣添座長 そうですね。 ○鈴木老人保健課長 今の関係で言いますと、資料2という分厚い資料がござい ますけれども、それの冒頭の2ページ目のところに事業評価の指標というのが一 覧で書いていまして、先ほどちょっと御説明したようなプロセス指標とはこうい うものを言うというのが一応書いてございますので、これを今、斎藤委員から御 指摘のように、なるべく下に注釈でわかるようにしていきたいと思います。 ○垣添座長 今回変わったということがはっきりわかるようにする。 ○鈴木老人保健課長 変わったということが、文章では前の1ページの下の方に 書いてあるんですが、大部でありますのと、余り目立たないんです。 ○垣添座長 そうですね。これだけ見落とす可能性がありますからね。 ○鈴木老人保健課長 きちっと対応できるように、概要も頭に付けて変わりまし たということがわかるようにしたいと思います。 ○垣添座長 ということでよろしゅうございましょうか。 ○斎藤委員 もう一点、実は17年2月と18年を比べますと、一番最初に議論を して、詳細に記述しているのは17年の2月なんです。18年はそのボリュームが 非常に減りまして、非常にコンパクトになっているんですが、一部欠落している 重要な文言があるんです。ですから、17年2月がオリジナルであるということが、 先ほどの大内委員からの指摘に対しては明記していおくことが重要かと思いま す。その方が後で遡及するときに、どこがオリジナルかというのがわかりやすい かと思います。特に国の役割、都道府県、市町村という辺りは、17年2月の方に 正確に書いてあると認識しています。 ○大内委員 まさにあのときの議論は、三浦課長が担当のときですけれども、こ のがん検診検討会の役割と言いますか、全体としてどういうスタンスでこの議論 をするかということの話があったわけです。そのときに、国の役割、都道府県の 役割、市町村の役割、それから検診実施機関の役割というふうに明確に記載して いるんです。 ですから、今回改訂したからといって、その17年2月か3月の報告書すべて がなしになると困るんです。ここはもう一度再掲載していただきたい。17年の報 告書をもとに丁寧な事業評価についての報告書に改めていただきたいと思いま す。 ○垣添座長 大事なポイントで、是非よろしくお願いします。 ○鈴木課長補佐 前の事業評価のものにつきまして、乳がん、子宮がんですと、 通常の見直し方の後ろに付けていたというのがあって、今回事業評価という4本 そろいましたので、1本の形にしようかということで今、考えているところでご ざいます。ですので、斎藤委員、大内委員におっしゃっていただいたとおり、1 本立ち上がるということがありますので、詳しく17年のものを参考にさせてい ただきながら改正をさせていただきたいと思います。 ○垣添座長 要するに、介護保険とのつながりで、こういうふうに変わったとい うことがはっきりわかるようにしていくと。 ○鈴木課長補佐 あと、項目についても、詳しく書きたいと思います。 ○垣添座長 それから、この4月からがん対策基本法が施行されて、国の責任と 市町村の責任、それから実施機関の責任、それぞれ責任を求められて、また別な 話がありますから、それにも呼応するような形で是非よろしくお願いいたします。 ○鈴木課長補佐 はい。 ○垣添座長 これで一応予定されていたのは、3番までさっき一緒にやってしま ったわけですね。斎藤委員に御発言いただきましたから。 ○鈴木課長補佐 いえ、まだ3番があります。 ○垣添座長 失礼しました。それでは先に進んでよろしゅうございましょうか。 では、「(3)がん検診事業を委託する際の仕様書に明記すべき必要最低限の 精度管理項目(案)」ということでお願いします。 ○斎藤委員 これは今までの御説明等で経緯、発端は明らかかと思いますが、あ えて簡単に反復しますと、検診機関の選定が実施主体の市町村において、価格競 争原理だけで決定されるという傾向が非常に強まっております。それに伴って、 従来行っていた平均的なと言いますか、そこそこの、場合によっては非常に高い レベルの精度管理を行ってきた検診機関が、検診機関として存続しない。つまり、 選定から漏れて、代わりに新規に精度管理を場合によっては全く行わないような 劣悪な検診を行う機関、こういうものに取って代わられるという事態が生じてい たわけです。 仕様書というものが検診機関を選定する場合に契約書という意味で力を持つ わけですが、実際に日本対がん協会支部で調査をさせていただきましたらば、仕 様書自体を使っているかというか、提出を求められて、提出している機関が非常 に少ない。半分ないという状況です。 しかも、その提出しているところも、実際に行っている精度管理の中に盛り込 んでいない。盛り込んでいないと、精度管理をやっていないところは競争しても、 負けてしまうわけです。価格のみで決まってしまう。そういうことが発端で、精 度管理を平均化、底上げするために、仕様書に何らかの手当をするということが 案としてあったわけです。 そこで研究班でそういった項目を集めまして、チェックリストに対応させて、 ある程度の項目に絞りました。対がん協会支部を中心としまして、チェックして いただいて、残ったのがこの項目の一群であります。 それぞれがん検診、これは胃がん検診、子宮がん検診、肺がん、乳がん、大腸 がんについて、チェックリストがない肺がんについてもつくってあります。そう いう精度管理の項目でたがをはめるということが緊急の課題であるという認識 から、チェックリストがない、検討会でまだ議論されていないものも含めまして、 5がんについてすべて作ったという次第であります。 その内容がこの参考資料の中にとじ込んであります。 検査そのものの精度管理、胃がんを見てみますと、検査の精度管理。2番目が システムの精度管理。事業評価に関する検討。集計報告といった項目に分かれて おります。 1枚めくっていただいて子宮がんで同じような仕立てになっておりますが、若 干検診によってバリエーションがありますが、基本的にそういう骨子で項目を立 ててあります。 日本対がん協会支部の御協力でこれら項目群の妥当性評価をやったんですが、 大体すべてを満たしている支部が、臓器によって違いますが、大体24%〜45%、 100 点のところが24〜45%です。70点以上を合わせますと、どのがんも90%を 若干超える数字になっています。 ○垣添座長 そのパーセンテージは何の数字ですか。 ○斎藤委員 各精度管理項目のすべてを満たしている、すべてクリアーできると いうところが42支部に調査をしまして、29支部から回答がありまして、100 点 を取れたところが大腸ですと24%、乳がん45%、肺がん29%、胃がん41%とい う成績で、これを70点以上としますと、それぞれ90%、90%、87%、93%の支 部に該当する。また、状況を満たせないという項目も、非常に根本的な原因があ るのではなく、マイナーな改善で対処できるような項目と判断できましたので、 この精度管理項目群で必要最低限という扱いをしていいのではないかと判断を しております。 ○垣添座長 回答のなかった支部の状況はどう考えますか。 ○斎藤委員 これは時間的な要因が1つ。一応がん検診をやっているところだと 認識しております。どういう理由で回答がないのかというのは、時間的な問題が あることは間違いないですが、それ以上は精査しておりません。 この仕様書を機関選定に使ってもらえるようにすれば良いかと思います。胃が んのチェックリストの6番目の項目に検診機関の委託というのがありますが、1 番、委託検診機関の選定に際し、仕様書を作成、提出させて、それをもとに判断 しているか。 その2として、仕様書に必須の精度管理項目を明記されているか。この仕様書 を御議論いただいて、妥当と判断されれば、機関選定にこれを使ってもらえれば いいのではないかという提案であります。 ○垣添座長 どうもありがとうございます。今の御説明に関していかがでしょう か。仕様書に明記すべき必要最低限の精度管理項目ということで、5つのがんに 関してすべて書き込まれているわけです。 ○大内委員 これは長年の懸案でありました。こういった仕様書にのっとって、 質の高いがん検診を実施するということが極めて重要ですので、もともとこの原 案は5年ほど前からあったんです。肺がん検診も、そういったものを何度も改訂 して今回入っています。この会ではまだ議論していませんけれども、極めて大事 なことでして、安かろう悪かろう検診をなくすためにも、これをきちっと守って いただくように、都道府県に対して指導を行っていただきたいと思います。 ○垣添座長 つまり、平成10年にがん検診が一般財源化されて、市町村が実施 主体となっても、余り受診率その他変わらないとは言ってはいるんですけれども、 市町村の財政状況が悪いんで、検診はやめないけれども、競争入札のときに、質 の悪い、つまり経費の安いところに落ちて、質の悪い検診が行なわれているとい う話がいろいろ伝わってきているということに対して歯どめをかけようという ことで、今のような提案があったわけでございます。よろしゅうございましょう か。何か御発言があればお受けしたいと思います。 ○内田委員 この仕様書に関してですけれども、医師会で受託している個別検診 の場合に、これをクリアーしていくというのはなかなか厳しい話かなと思います。 ○斎藤委員 言い忘れましたが、これは今回は個別検診は対象としていません。 個別検診は今後検討することになっています。 実は個別検診についても、非常に問題の緊急性がありまして、検討を早急にす べき問題なんですが、検討のキャパシティーの問題でやっていない。 ○内田委員 当然個別検診に関しても、こういう精度管理は必要になってくると いう認識ではいるんですけれども、これを今の時点で求められますと、非常に現 場が混乱してしまうかなという印象を持っています。 ○大内委員 市町村が実施するがん検診ですね。これは例えば大きな市、仙台市 の例を取りますと、仙台市は仙台市医師会に委託しています。仙台市医師会はこ の基準にのっとって行うことになっていますけれども、それは個別を検診と呼ぶ のか、施設検診と呼ぶのかで相当違うんですが、私の理解としては、市町村が実 施するがん検診に当てはまるとすると、やはりここは議論しておいた方がよろし いんじゃないでしょうか。 ○内田委員 確かに医師会で受託している検診というのは、個々の医療機関に持 っていって検診しますから、これは個別検診なんです。市町村と医師会が契約し ているというのは、ほとんどの場合個別検診であると認識しています。 その場合には、医師会の方で受託して医師会が精度管理に当たるということに なっておりますので、基本的にはこれをクリアーする必要があるという認識では いますけれども、ただ、そうでない個別検診をやっている自治体が結構あるとい う認識でおりますので、これをクリアーしなければという形でもってきますと、 今の検診の実施体制がかなり影響を受ける、混乱をするんではないかということ を感じています。 ○斎藤委員 ここの精度管理項目に挙げているような内容、つまり精度を保証す るための基準ですけれども、このハードル自体は基本的には個別検診でも同じだ と思います。ただ、個別検診を対象にしたものは別につくらなくてはいけないと いう理由は、個別検診の実情をふまえてから行うべきと考えているからです。 ただ、精度管理に関するハードルは基本的に考え方として同じでなければおか しいはずです。 ○内田委員 私も細かい項目のところをちゃんと見てなかったんであれですけ れども、恐らく医師会で受託している個別検診に関しましても、ここにある程度 の精度管理というのはクリアーしているのではないかという認識でおります。そ うでなければ、そこはまた問題があるということで医師会として対応するという ことです。 ○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 それでは、一応予定された(1)(2)(3)の議題は終わりましたが「(4) その他」として何かありましょうか。 特にありませんでしたら、大分時間が余ってしまいましたけれどもたまにはこ ういうことがあってもいいのではないかと思います。本日の議論を踏まえまして、 この検討会の報告案を座長と事務局で打ち合わせをして、まとまりました部分は メールで皆様方お届けをいたしますので、また御意見をいただいて、最終的な報 告案とさせていただきたいと思います。 事務局から今後の予定をいただきたいと思いますが、特に先ほどちょっと話題 に出ておりましたが、研究費による研究の部分と、今日で一応胃がんの見直しを 終わりますけれども、これまで4がんやってきて、肺がんの検討がどうなるかと いうことと、もう一つ、検診全体に関わる議論ということで、先ほど来ペンディ ングになっている辺りも含めて御説明いただければと思います。 ○鈴木老人保健課長 4回にわたり精力的に御検討いただきましてありがとう ございました。今、座長の方からございましたように、2つの中間報告の表現ぶ りについては、特に受診について、事業評価の誤解のない表現について、表現ぶ りを工夫させていただいて、また先生方に個別に御相談をしたいと思います。 今後のスケジュールですが、大きく行政的にどうするかという点と、研究とし てどう対応するかという2点があると思います。 行政的には、今年は胃がんについて検討させていただきましたけれども、来年 度は肺がんについて検討させていただきたいと思います。日程等については、先 生方と調整をさせていただきたいと思います。 行政的2点目ですが、肺がんとは少し別に、今日も先生方にもいろいろ御議論 いただきましたけれど、精度管理でプロセス指標というのが先ほどの資料2にも ありましたけれども、精度管理で具体的に各がんについて、どの程度考えていく べきなのか。また、精度管理にはいろんな指標がありますから、併せてどう考え るべきなのかというところを少し検討していただきたいと思っております。 これは別の会を立ち上げさせていただいて、具体的な時期はまた御相談をしま すが、それとは別個に我々の方で平成19年度の、今、国会で御審議いただいて いる予算案の中にも、各県が実際に県の中で検診を実施しておられるところの検 診機関について、いろいろな精度管理の指標をデータベースにしていただいて、 それが市町村でもきちっとご覧いただいて、その上で検診機関を選んでいただけ るような仕組みをモデル的に考えたいと思っていますので、そういうところの仕 様を決める際にも、先生方の御議論をいただければと思っております。 それから、垣添座長からも何回かございましたけれども、がん検診全体の受診 率向上のために、死亡率減少の効果と、その効果に基づくいろいろな経済的な効 果、逆に費用の問題、これをどう考えるか。検診費用と医療費の費用と両方ある と思いますが、これについてはがん対策基本法もできたことですし、担当のがん 対策室ともよく相談をして、きちっと検討をさせていただきたいと思います。 それから、研究の方ですが、先ほどからありましたけれども、研究については、 1つは内視鏡による検診の死亡率の減少効果、これはヒアリングでも鳥取県に提 示をしていただきましたけれども、実際にかなり内視鏡でやっておられる自治体 もございますので、そういうところともよく相談をしながら、具体的にどういう デザインで、どういうふうに死亡率減少効果を確かめていくかということをさせ ていただきたいと思います。 それから、2点目は、坪野先生にも報告していただいた経済的評価について、 より詳細に経済学の専門の方も入れてやるとすると、検診の費用と、結果として 医療費がセーブできるであろう医療費の効果をどう考えるか。これは将来検診率、 もしくは検診につぎ込む費用をどう考えるかという点でも非常に大事だと思っ ていますので、これについても検討させていただきたいと思います。 最後に、先ほど資料1についての検討でもありましたけれども、胃がんだけで はなくて、確かに乳がん、子宮がんも視野に入れてやらなければいけませんが、 各年で実施をする。もしくは3年に1回実施をする場合、単に受診率が下がった り、人口受診率が下がらないような、きちっと対象者を把握した上でダイレクト メールなりで、それから受診管理をして、必要であれば受診勧奨をしてというよ うな手立てが必要だと思いますけれども、そういう受診率が下がらない工夫、具 体的にどうするのか。よくやっているところはどういうことかということを少し 研究させていただいて、具体的にいい事例を市町村にもきっちりお示しをして、 その上で価格として妥当である死亡率減少効果の2年なり3年なりというとこ ろと合わせて、必要があればガイドラインを改訂して、またお示しをしたいとい う行政的な対応と、研究の対応、両方で考えさせていただきたいと思っています。 ○垣添座長 その場合、今言われたがん検診全体の検討会というのは、対がんの 検診案は今までの継続で5つ目のがんとして19年度にスタートしますね。それ と今の精度管理の話。それからがん検診全体のことはどうされますか。別なこう いう班みたいなことを起こすことですか。 ○鈴木老人保健課長 フォーラムをどうするか。どういう形でやるかは、担当の がん対策推進室とも一緒に相談をしたいと思いますが、いずれにしろ検討は必要 だという認識を持っております。 ○垣添座長 ここのところが、4月にがん対策基本法が施行されて、多分4月、 5月くらいの2か月くらいのうちに国の基本計画がつくられますね。その中に検 診のことがはっきり打ち出されていないと、予算要求とかにもろに関わってきま す。 それから多分選挙がありますね。各党のマニフェストとかにも関わってきます から、日程的にかなりきつい話になってくるような気がしますけれども、やはり がん対策基本法ができて、特にがんで亡くなる人を減らすという意味では、検診 は避けて通れない問題ですから、そういう作業を進めるのは非常にありがたい話 ですが、日程的に推進室ともよく打ち合わせをしながら、タイトな形を考えてい ただければと思います。 ○笹子委員 今いろいろお話に出ていた中で、精度とか経済評価とか全部最終的 には悉皆登録という、がん登録と抜き差しならない部分があります。それを取り 込まないと、壁を超えられないというふうな感じを持っていますので、がん対策 室とも一緒になって、そこら辺は比較的短期間に、ある程度個人情報保護法を超 えてしまう、何かスタンスを取っていただきたいと思います。 ○垣添座長 それは非常に重要な指摘ですね。個人情報保護法が隠れみのみたい になって、がん登録が進まないという実態があるということは皆さんよく御承知 のとおりであります。 ほかに御発言どうぞ。 ○斎藤委員 この会で言うことかどうかわかりませんが、前回もちょっとお尋ね したんですが、チェックリストを全国の市町村でどのように遵守されているかと いうことを調べるという話がありまして、この前老人保健課の事業としてやって いただけると期待していたんです。実態をまず把握するのが非常に緊急の課題だ と思うんです。 ですから、今年度はもう押し迫っていますが、是非そこのところ早くやってい ただくようにお願いをしたいと思います。 ○大内委員 精度管理ですね。がん検診の事業評価の実施については、具体的な 項目としてがん対策基本法の中の基本的施策の最初の方に書いてあるんですね。 これは国の責務となっていますので、がん検診の事業評価の実施、それから受診 率の向上に関してはそれは明記されています。 特に精度管理については、せっかくここで出てくるわけです。今回プログラム を策定していまして、各都道府県、あるいは市町村で入力ができるようなシステ ム化されています。てすから、恐らく19年度からスタートすると思うんですが、 そうすると、それをだれが評価するか。国だと思うんです。国がそれを事業評価 して、そのいいところ、悪いところ、あるいは問題のあるところ、それを是正す る必要があると思うんです。そういった枠組みでこの検討会なのか、別途設ける のか。あるいはがん対策情報センターが今度できましたので、そこでデータを生 かす管理があるのか、祖父江委員がおられますけれども、どういう機能分担をさ れるのか。 いずれにしても、国としては各都道府県がん検診の実施状況を適宜チェックさ れて、それを質を高くもっていくということが必要ですので、その検討会につい ては是非必要ですが、更にそれを具体的にどこが行うのかを検討してもらたいと 思います。 ○斎藤委員 今の件は、精度管理は国がやるということはまだ書いていないです ね。 ○大内委員 事業評価の実施なんです。 ○斎藤委員 ですから、もう少しそこを書いていただくと、どこがやるかはとも かくとして、本来あるべき中央責任で精度管理をやるということができるように なるんだと思います。そういう道筋ができるんだと思います。そこから先、どこ でやるかという議論になるので、それを明記していただくということの方が最初 ではないかと思うんです。 ついでに申し上げておくと、そういうことの準備というのはそれほど難しいこ とではなくて、研究班レベルでは進んでいますので、ひとえに精度管理を中央管 理できるような、国でやるんだということを明記していただくことに係っている のではないかと、個人的にはそういうふうに認識しています。 ○垣添座長 今の御議論のとおり、国の責任は非常に重いということだと思いま す。 ほかにいかがでしょうか。 ○祖父江委員 精度管理を薦める、受診率向上施策を薦める、これは重要なんで すけれども、その大前提として、有効性が確立している検診についてそれを行う ということが重要だと思っています。 有効性が確立されていない検診というのが対策として実施されているという のが問題で、そこのところは明確に区別すべきであると思います。 ただし、有効性の確立していない検診については、では、何もしないでいいの かというとそうではなくて、研究として推進する仕組みは非常に大切であり、内 視鏡の検診をきちんと評価する研究体制というのが必要である。 今までそこのところがあいまいになってきていたのは、研究をサポートする仕 組みが非常にウィークであって、どうしても研究者が行政的なサービスとして行 う検診をもとに研究を行うということが必要性がどうしてもあったのが、そのよ うなことになってきているんだと思います。 ですから、行政的なサービスと研究というものを明確に区別をし、それぞれを きちんと目的をはっきりさせて行うということが必要なんだと思います。 ○垣添座長 ほかにいかがでしょうか。 ○坪野委員 時間に余裕があるので発言させていただきます。 がん検診を手段に使って、国民全体のがん死亡率を減少させるということが重 大な目標だと思うので、繰り返しこれまでも言ってきましたが、市町村が独自の 財源で実施するというスキームがそれにかなっているのか。受診率の伸び悩みと か、長期低落というところがいろいろ出ている現状で、それが今後も長期にわた って持続可能なシステムなのかという問題は、がん対策基本法が4月から施行さ れるのに合わせて、最初は研究段階ということになるかもしれませんが、抜本的 に考える必要があると思っています。一番有力なオールターナティブは、健康保 険の中で予防給付を行うことだと思いますが、その場合には非常に大きな制度の 改変が必要になるので、そう簡単に実現することはできないということはよく承 知しているつもりです。ですが、今私は法学部にいるので、同僚の教員などと、 もし仮に保険者ががん検診を実施する場合の、公益性の考え方は法的にどう整理 すべきなのか、あるいは財政的にどういうインパクトがあるのかというラフな議 論をしているところです。まだ予備的な検討なので、余り詳細についてお話しで きませんが、それほど国民の負担を大きく上げないでも、相当大きな効果が期待 できるんじゃないかという大雑把な試算などは、胃がんについては前回やりまし て、そういうことも出ています。 少なくともそういうプランを用意して、それが現実に実行できるかどうか、そ れこそエビデンスだけでは判断できないと思いますが、そういう議論をどこかで 具体的に始めることがとても大切だと思います。恐らく今の機会を逃すと、多分 現状が塩づけの形で固定するというと表現が悪いかもしれませんが、そういうこ とになってしまうので、そこを是非考える場というのを設けていただきたい。 ○垣添座長 検診の全体の検討の中で今の議論は非常に重要な部分を成すと私 も思っています。今の受診率を上げましよう、精度管理をもっと向上させましょ うということを言って、市町村に実施主体のままでいたら状況は代わらないんじ ゃないかと私も思っていますので、このがん対策基本法が成立することを契機に、 かなり抜本的なことを打ち出すような、それを主張できるための、例えば経済的 な背景とかを含めたデータが必要になってくるんだろうと思っています。 ○内田委員 私も全く同感でございまして、特定検診のお話と絡んでいる話なん です。特定検診は保険者が実施主体になって、がん検診は依然として市町村の単 独事業というふうになっていますと、検診の整合性というところ、あるはどこが 実施主体で、どういう体制で取り組むかというところでの一貫性というのが非常 に問題になってきますので、その辺のところを今後、ばらばらで検診するような ことに万が一なりますと、受診率が低下して精度管理の面でも非常に問題が出て きますから、それはどこかで検討する場をつくった方がいいと思います。 ○垣添座長 少し時間の余裕がありましたので、本質的な議論をたくさんいただ いてありがとうございました。事務局には重い話であろうかと思いますが、これ は我が国にとって極めて重要な話ですので、重く受けとめていただければと思い ます。 もし、よろしければこれで検討会を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。 照会先:老健局老人保健課 連絡先:03-5253-1111 担当者:課長補佐 鈴木(内線3941)   課長補佐 古元(内線3942)