07/03/06 第21回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第21回 労働政策審議会障害者雇用分科会議事録        1 日時    平成19年3月6日(火) 10:00〜12:00 2 場所   東海大学校友会館「富士の間」(霞ヶ関ビル33階) 3 出席者   ○ 委員   (公益代表)  今野委員、岩村委員、佐藤(徳)委員、寺山委員、松矢委員、村田委員   (労働者代表) 瀧澤委員、高橋委員    (使用者代表) 江口委員、西嶋委員、輪島委員   (障害者代表) 笹川委員、副島委員、舘委員、松井委員   ○ 事務局     岡崎高齢・障害者雇用対策部長、宮野企画課長、土屋障害者雇用対策課長     浜島障害者雇用対策課調査官、白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官 4 議題 (1)障害者雇用の現状について  (2)平成19年度障害者雇用施策関係予算案の主要事項について (3)障害者雇用施策の充実・強化について (4)労働政策審議会障害者雇用分科会運営規程の改正について 5 資料   資料1 労働政策審議会障害者雇用分科会委員等名簿   資料2 平成18年6月1日現在の障害者の雇用状況について   資料3 平成18年度上半期における障害者の職業紹介状況について   資料4 平成19年度障害者雇用施策関係予算案の主要事項   資料5 障害者納付金制度に基づく助成金の見直し   資料6 障害者雇用対策の充実強化に向けた検討について   資料7 「成長力底上げ戦略」について   資料8 障害者権利条約(仮称)   資料9 労働政策審議会障害者雇用分科会運営規程の一部改正について 6 議事経緯 ○今野会長  ただいまから、第21回「労働政策審議会障害者雇用分科会」を開催いたします。舘委 員が遅れているようですが、定足数は達しています。本日の出席状況ですが、佐藤博樹 委員、渡辺委員、野村委員、長谷川委員、加子委員はご欠席です。なお、長谷川委員の 代理として、伊古田さんにご出席をいただいております。また、委員の交替がありまし た。資料1に当分科会の委員名簿がありますので、それに基づいて新しく委員になられ た方を事務局からご紹介をお願いします。 ○障害者雇用対策課長  労働者代表の委員3名が交替されましたのでご紹介いたします。前任の吉原委員、小 栗委員、添田委員に替わりまして、後任として日本教職員組合中央執行副委員長の高橋 睦子委員、日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員長代行の瀧澤健二委員、本日はご 欠席ですが全日本自動車産業労働組合総連合会副会長の野村泰弘委員がご就任いたしま した。  事務局についても、昨年8月に異動がありましたのでご紹介申し上げます。高齢・障 害者雇用対策部長の岡崎です。企画課長の宮野です。障害者雇用対策課調査官の浜島で す。 ○今野会長  議事に入ります。本日は4つの議題を用意しています。まず、最初の(1)「障害者 雇用の現状について」を事務局から説明をお願いします。 ○主任障害者雇用専門官  障害者雇用の現状という意味で2点ご説明申し上げます。1点目は障害者雇用率の状 況です。雇用率の状況については資料2−1、資料2−2です。平成18年6月1日現在 の雇用状況をまとめたものを、資料2−2にありますように、昨年12月に記者発表して います。  民間企業は1.8%の法定雇用率が課せられているわけですが、これに対して実雇用率 の水準は1.52%、1.8%には達していない状況です。また法定雇用率を満たしている企 業の割合は43.4%と、実雇用率、達成企業の割合とも改善しておりますが、達成には 至っていない状況です。雇用されている障害者の数については28万4,000人と増加して います。重度障害者をダブルカウント、短時間精神労働者をハーフカウントした数です。 実雇用率が1.5%に乗ったのは初めてで、上に向いている動きを今後とも維持できるよ うな形で頑張っていきたいと考えております。  このように改善はしておりますが、さらに改善を要する点もあります。資料2−1の 6頁の左のグラフは、実雇用率の企業規模別の推移です。右のグラフが達成割合の推移 です。この傾向はずっと同様の傾向ですが、特に左側のグラフを見ますと、100〜299人 という中小企業の水準が右下がりになっている。一昨年から昨年に比べて改善はしてお りますが、傾向としては右下がりで、また、さらにいちばん低い状況にあります。一方、 大企業の1,000人以上のところを見ますと、平成18年6月1日で1.7%に迫っていて、か なり改善が見られている状況です。中小企業の部分の改善がさらに必要である点が1点 目です。  右側の達成割合を見ると、今度は逆に大企業の達成割合が相対的に低い。もちろん右 上がりですので改善していますが、相対的にはまだ低く、4割には達していない状況で す。中小企業の雇用状況と、大企業の達成の部分について、さらに改善を図っていかな ければいけないということが見られます。  平成17年の障害者雇用促進法の改正により、精神障害者が雇用率にカウントされるこ とになりました。これが、初めてデータとして現れたのが、この6月1日現在の調査で す。これを見ますと、約2,000人ということです。これも、短時間精神の方を0.5カウン トした数字です。  この実際の数字は、資料2−2の14頁に出ております。14頁の(2)の表が、民間企業の 障害ごとの雇用の状況です。左から、身体障害者、知的障害者、精神障害者です。いち ばん右を見ますと、精神障害者のカウント数で1,917.5で、約2,000人という状況になっ ています。  資料2−1,2頁には、公的機関の概況をまとめてあります。国あるいは都道府県等 の機関です。国の機関は2.1%の法定雇用率ですが、昨年の6月1日現在で2.17%とい うことで、全体としては法定雇用率を達成しています。そのほか、都道府県の機関、市 町村の機関等それぞれご覧のとおり2.1%は達しています。前年比で見てもさらに改善 している状況です。  ちなみに厚生労働省は2.16%ということで、資料2−1のいちばん最後の頁に、中央 省庁の各省庁別の雇用状況をまとめてます。教育委員会は、教職員の数が多いというこ ともあり2.0%の法定雇用率に対して、教育委員会全体では1.46%です。都道府県教委 に限ると、2.0%に対して1.41%で、改善はしていますが、水準としてはかなり低いこ とが見て取れます。全国で47都道府県教育委員会がありますが、達成しているのは2教 育委員会のみで、全体の達成割合も低い状況ですので、指導をきっちりやっていかなけ ればならないと考えております。  特殊法人、独立行政法人、国立大学法人等も2.1%の雇用率です。昨年6月1日の実 雇用率は1.56%、達成割合は54.5%で、公的機関の位置づけの中では、まだまだ改善の 余地があり、こちらも、そういう意味ではきっちりと指導してまいりたいと考えており ます。  いま申し上げたことを踏まえ、取組の強化ということでまとめました。まず、民間企 業に対する雇用率達成指導強化です。平成18年6月1日現在の雇用状況を踏まえ、新し い指導基準で指導を開始しているところです。この指導基準については、資料2−2の 11頁にまとめています。11頁の下半分に、「雇入れ計画作成命令の対象範囲の拡大」で まとめています。これは、先ほど雇用状況でご覧いただきましたように、中小企業の雇 用率の部分と、大企業の達成割合の部分があるので、その意味で(2)と(3)を新たな基準と して加えています。(1)はいちばん基本的な基準で、1.2%かつ不足数5人以上というもの を、全国平均かつ不足数5人以上という形でより強化させていただきたい。ただ、18 年6月1日現在の雇用状況に基づく指導については1.2%かつ5人で、今年の6月1日 現在の状況を踏まえた指導から、全国平均、即ちこの場合1.52%ということになってま いります。1.52%かつ不足数5人以上の企業に雇入れ計画を作って、計画的な取組を進 めていただくという形で指導していくこととしております。  公的機関についても、都道府県機関、都道府県の教育委員会それぞれについて、これ からいつまでにどれだけ達成する、という目標を作り、都道府県労働局、あるいはハロ ーワークを通じて指導をしていくこととしております。精神障害者については、引き続 きこういう制度や各種の支援策を活用し、雇用促進を図ってまいりたいと考えておりま す。  いま後半でご説明いたしました公的機関については、資料2−2の29頁以降に、すべ て個別の雇用状況を載せております。以後、こういう形で公的機関については雇用状況 を発表させていただきつつ、指導また取組を進めていこうと考えております。以上が雇 用状況の説明です。  障害者の職業紹介、就職等の状況については、資料3−1と資料3−2です。資料3 −1は、平成18年度上半期の、ハローワークを通じての障害者の就職状況をまとめて記 者発表した資料です。1頁の下に四角で囲ってポイントをまとめております。就職件数 については、対前年同期比で17.9%増と大幅な増が続いています。新規求職申込件数、 すなわち就職を希望したくてハローワークに来る障害者の数も、対前年同期比では5.8% 増で、両方とも大きな伸びが続いています。就職件数が伸びていることと合わせて、障 害者の就労意欲も引き続き高いものがあると評価しております。特に知的障害者、精神 障害者の就職件数の伸びが大きいということです。  産業別に見ますと、サービス業、製造業、卸売・小売業等での就職が伸び、また職業 別に見ても生産工程の職業のみならず、事務的職業での伸びが大きいことが見て取れま す。詳しくは中をご覧いただければと思います。  2頁が障害計の状況です。3頁は身体障害者の状況です。上に経年の数値を載せてあ りますが、就職件数で、身体障害者は11.1%増で、2桁増が見て取れます。4頁は知的 障害者で、22%増で非常に大きな就職の伸びがあります。5頁は精神障害者で、41.9% と非常に大きい伸びになっています。もっとも、その数字自体が知的障害者よりも小さ いですが、それでもほぼ1.5倍の伸びで、この辺は先ほど障害者の雇用率の状況でも申 し上げたように、今後、精神障害者の就職については、こういうことも踏まえ、より一 層支援していかなければならないと考えております。  7頁は、産業別の就職状況を円グラフでまとめたものです。いちばん大きなグラフが 障害者全体の産業別就職状況です。障害別には、真ん中に4つ並べてありますが障害ご とでそれほど大きな違いはありません。先ほどポイントで述べたように、サービス業、 卸売小売業、製造業での就職が多い。特に、知的障害者についても同様にサービス業、 卸売小売業というように、対人の業種で就職が多いということは十分強調していかなけ ればいけないと考えております。  8頁は、職業別の就職状況です。これは障害ごとに特徴が出ているところですが、特 に知的障害者は生産・労務の職が多くなっています。事務的職業、あるいはサービスの 職業という形で職域の拡大も見られます。先ほどの業種の部分と合わせ、この職種の部 分も含めて企業に対する雇用率達成指導の面においても、障害者の職域の拡大を、この 実態も踏まえ、より支援なり啓発を図ってまいりたいと考えております。  8頁の下に就職件数の伸びで見たものがあります。特に知的障害者、精神障害者の伸 びが大きいところです。専門的・技術的職業、事務的職業における知的障害者の就職件 数の伸びが大きいことが見てとれます。こういうことも踏まえ、企業の方に取組を進め ていただきたいと考えております。  資料3−2は、以前この分科会でお約束した点で、身体障害者のうち、視覚障害者の 職業紹介状況、就職状況についてデータを取りますと申し上げたものです。平成18年度 上半期のデータを紹介しています。新規求職申込件数は平成17年度のデータがありませ んので、伸び率ということでは比較ができませんが、今後こういう形でデータを整備し ていく中で、伸びという点についても十分把握をしてまいりたいと考えております。  この中で強調したいのは、職業別の就職件数です。視覚障害者の就職の半分以上があ んま・鍼・灸・マッサージいわゆる「あはき業」に就いています。その中で就職先につ いて見ますと、施術院という形で、規模が小さいであろうと思われる所に就職している 方が多いということがあります。  一方、最近は企業に視覚障害者の雇用促進という面で、我々が強調しておりますヘル スキーパーでの就職を見てみますと、約3.6%(約4%弱)の方がヘルスキーパーと して就職しています。この部分はさらに伸ばしていかなければならないと我々は評価し ていおります。  特に注目すべきと考えておりますのは、その少し下にあります事務的職業に就いてい る方の割合です。1割の方が事務的職業に就いています。視覚障害者の職域といいます と、やはり「あはき業」が念頭に浮かぶわけですが、事務的職業に就いている方がこれ だけいることは十分留意しなければいけないと考えております。我々もハローワークで 視覚障害者の職業紹介、就職支援を行うに当たって、事務的職業、これは最近のパソコ ン等のツールの改善等もあるかと思いますが、そういうところも十分把握した上で、よ り広い職域ということで支援をしていかなければいけないと考えています。  併せて求職者が仕事を探すというだけではなく、在職で、中途で視覚障害を受障され た方の職業の安定ということを考えていく際に、事務的職業に就いている方がこれだけ いることは、やはり事業主に十分情報提供し、支援もしていきたいと考えております。 まだ、いまのところ事業主が視覚障害者の職業というと「あはき業」ということに強い 印象を持っていますので、そうではなくて、いままでその方が企業内でしていた職業を 続けていけるのだ、との情報提供、啓発・支援を続けていきたいと考えております。こ のデータについては、今後もさらに充実していき、ハローワークを通じて、視覚障害者 の就職支援、職業の安定支援に活かしていきたいと考えております。私からは以上です。 ○今野会長 今の説明について、御質問、御意見をお願いいたします。 ○高橋委員  先ほどのお話しで、雇用状況がここ5年ほど伸びていることは確認できたのですが、 そのなかで、資料2の1の2ページ目で、特に公的な機関の部分の法定雇用率2%の教育委 員会がとりわけ非常に低いというお話しがあり、達成しているところは2都道府県で、 かなり低いと私も受けとめております。これらの達成が難しいという課題について、分 かる範囲で教えていただけたらと思います。 ○主任障害者雇用専門官  やはり職員の方の大部分が教員で占めてることが一番大きいのではないかと考えてい ます。よく言われていることですが、障害者の方で教員免許を持っていらっしゃる方が 絶対的に少ないという事実があると指摘されております。この辺が現状の背景にあるの ではないかと考えておりますが、ただ、教育委員会のなかで、達成しているところ等も 含めて見ておりますと、教員に限らず、事務職も含め、広い意味での障害者の雇用を考 えていらっしゃるところもございます。例えば、知的障害者の方を図書館の本の整理と か、そういった形で雇用された教育委員会もございます。あるいは、事務補助で知的障 害者の方の雇用に取り組んでいることもございますので、先生で障害者の方を雇うとい うことではなくて、身体障害者の方、知的障害者の方、今は精神障害者の方もございま すので、そういう障害種別についても、それから職務についても、より広く取り上げて いただく形で、我々、教育委員会の方にお話しを申し上げております。労働局とハロー ワークと一緒になって、その辺は進めてまいりたいと考えております。 ○今野会長  よろしいですか。では、笹川委員。 ○笹川委員  第1点は、今の高橋委員と同じことで、その原因がどこにあるのかをはっきりしてい ただきたい。それから、それに対する厚生労働省としての対策は、今後どのように考え ておられるでしょうか。都道府県間でもかなり格差があるようでございますので。 ○主任障害者雇用専門官  今お話し申し上げましたように、その原因については、大部分を占めておられます教 職員の問題と考えておりますが、より詳しく申し上げますと、2つの教育委員会が達成 していますが、そこはやはり教員での障害者の採用については、前々から努力をされて いたとか、実績も上げておられたことが大きいことがまずあります。それから、もう1 つ申し上げたように、障害種別あるいは職務について、より柔軟に考えているところが ございます。これにつきましては、厚生労働省だけではなく、文部科学省も非常に心配 しているところで、文科省の方も、例えば、今申し上げたような、改善効果を上げてい る教育委員会の好事例をまとめて、他の教育委員会に対して周知をする。あるいは、各 教育委員会毎にどのような問題があるのかを、一つひとつ綿密に把握をして、先ほど申 し上げたような事例の提示であるとか、個別の対策の相談に乗るなど、そういうことも 含め、我々と文部科学省、それから労働局と都道府県の教育委員会で、連携をして進め てまいりたいということでございます。 ○今野会長  よろしいですか。では、どうぞ。 ○障害者雇用対策課長 今の説明に補足をしたいと思います。教育委員会の問題につきましては、今も申し上 げたようなところに課題が大きいわけですが、私どもとしても、これをこのままの状態 で看過することはできないということで、昨年10月に、指導の徹底を図る通達を出させ ていただき、雇用率達成指導の目標を立てて進めていくこととしています。具体的には、 教育委員会の場合には、3年計画での採用計画を作っていただいておりますので、その サイクルに合わせて、第1期である平成20年までの採用計画のなかで、少なくとも10の 都道府県における教育委員会で達成を図っていく。その他の37委員会においても0.4% の実雇用率の上昇を目指すということ。それから、その次の採用計画期間である平成21 年から23年末の時点で、少なくとも30の委員会で達成を目指し、残りの17の委員会でも 1.65%という平成17年時点での民間企業の大企業の平均が1.65だったわけですが、その 1.65%を目指すということを、私どもの指導の目標として掲げさせていただいて、これを 教育委員会にも御理解をいただき、また、文科省にも御理解をいただき、進めておりま す。具体的な方策としては、教員免許を持っている方が少ないという事実はありますが、 一方で、特別枠での採用、あるいは、採用試験でのいろいろな配慮の措置をやりながら、 まず教員での採用をしっかりと目指していただく。その上で、それ以外の職域について も、先ほど白兼から申し上げたように、様々な工夫がございますので、教員以外の事務 職員のところでの採用も着実に図っていただく。そういった2面からやっていきたいと 思っています。 ○今野会長  それでは、江口委員どうぞ。 ○江口委員  全般的には1.52%ということで、精神障害は2,000人も増えていい傾向だと思います。 私どもは特例子会社ですけれども、私どもが活動している中で、55人以下の中小企業の 方がおられます。最近聞いた話では、経営面のこともあると思うのですが、非常にしん どいということでした。この対策の中にも中小企業のことが入っておりまして、実際に この数字は正しいと思いますが、この実雇用が28万人のうち、実際の障害者数となると ダブルカウントもあるので大体21万人ぐらいだと思うのです。  日本で障害をもった人が働いている雇用数を、2008年には60万人にしようという計画 を厚生労働省は立てています。たぶんそれは達成されると思いますが、現在の50万人と いう数字から21万人を引くと30万人ぐらいの人が、55人以下の法定雇用率と、それの対 象とならない所で大方の障害をもった人が働いている。これに対して、率ということで は対象外ということだと思うのです。  これは私の要望ですが、そういう方たちが雇用の継続なり、そういうことに対しての 実態的な数字が私はわからないものですから、そういう点にも視点を置いていただきた い。そういう人たちは、法律とかコンプライアンスとは関係のない所で採用されている ということですから、本当の意味で必要とされている人たちだと思うのですが、その辺 のところがよくわからないのです。全体的な雇用率の上昇ということもありますが、総 障害者数を安定的に増やしていく、あるいは55人以下の中小企業で働いている障害者の 雇用を守るという部分で、報告なりレポートをいただければありがたいと思います。 ○今野会長  課長、どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  今、御指摘をいただきましたように、私どもの雇用実態調査では、これは平成15年の 数字で、少し古くなりますが、5人以上の規模の事業所で雇用されている障害者の方の 数が推計で約50万人という数字がございます。従って、今お話しがありました「6・1 報告」からくる20万人ちょっととの乖離の部分は、55人以下5人以上のところでの雇用 の部分というふうにも読めるわけでございまして、それはかなりの雇用量があるという ことになるかと思います。また、ハローワークの職業紹介のデータからみても、今日の 資料の3にはおつけをしていませんが、規模別にみてまいりますと、55人以下のところ に就職ができている件数というのは、ハローワークの紹介による就職件数が約4割を占 めております。そういった意味でも、かなりのボリュームがあるところでございますの で、そこでの雇用の安定を図っていくというのは、非常に重要なことだと私どもも思っ ております。  具体的には、支援策としてのトライアル雇用、ハローワークでの職業紹介の後の定着 指導、そういったものも、これは55人を超えるか超えないかに拘わらず、対策としてや らせていただいているわけでございますし、また、納付金のなかから支出をしておりま す助成金あるいは中小企業向けの報奨金につきましても、55人の境目に拘わらず、より 小さな企業にも必要に応じてお出しをしておりますので、そういった対策を通じまして、 より小さな規模での障害者の雇用の部分についての雇用の安定といった点についてもし っかり取り組んでまいりたいと思っています。 ○江口委員  ありがとうございました。 ○今野会長  どうぞ。 ○松矢委員  先ほどの教育委員会の方に戻りたいと思うのですが、聞くところによりますと、相当 教職の現場は厳しい状況があるようです。ストレス等で、いわゆる就職後発病するよう な方々が多いと聞いております。その雇用率の問題ですが、これは一般企業でも精神障 害者の場合、就職後に発病された方々の精神保健の問題と、それから雇用促進の問題と、 難しいテーマがあります。教員の場合、子どもを育てること、また、親御さんとの関係 で、非常にストレスの激しい職務です。やはり、精神保健の問題とリワークの問題とい うのは、非常に大きなことです。本当に教職に立てる人が、病気が回復されてどのぐら い現場に復帰しているのか。あるいは、復帰されていない方々がどういう状況にあるの か。というようなことを、やはり1度、これは文科省の方だと思いますが、データをい ただきたいと思います。  それで、例えば、教壇に立てない先生でも、教材の作成とか、教材開発という面では、 教員の資格を持ったままでも、教育委員会で働けると思うのです。そういうリワークの 方法を真剣に考えないと、この雇用率のところはなかなか動かないのではないかと思っ てもいます。  ですから、今日とはいいませんが、文科省の方でそういう精神保健の実態と、復職、 それからまた、その次の段階ですね。これは精神障害者の雇用全体に関わりますけれど も、新しい職域を開拓して、手帳を持って、教員としての仕事に入ってもらう。教材研 究の方ですね。そういうようにすれば、この数は改善されると思いますし、教員の方々 も、教壇に戻るということでは、大変ストレスを感ずると思いますけれども、そういう 教材開発というようなことで考えれば、もう1つ専門性を生かした教員としての道とい うのが開かれるだろうと思います。その辺を文科省としてはもう本格的に検討すべきと きではないかと思います。以上です。 ○今野会長  何かコメントございますか。もっぱら文科省関連でしたけれども。 ○障害者雇用対策課長  そういう御意見があったことは、文科省にも伝えまして、この後、資料の御提示の方 法等、少し御相談させていただきたいと思います。 ○今野会長  どうぞ。 ○西嶋委員  教育委員会に追い打ちをかけるようで恐縮していますが、教育委員会の法定雇用率が 2.0%で、他の国の機関が2.1%です。教育委員会だけ2.0%ですが、この経緯はご存知でい らっしゃいますか。これは大分前になるんですが、知的障害の方たちを雇用率に反映し たときに、そのときまでは国の機関と同じで1.9%だったんです。ですけれども、そのと きに、私ども企業の1.6が1.8になるというときに、国の機関は1.9が2.1になるというこ とだったんです。けれども、当時の文部省の方から、雇用率が全く達成できていないの で、上げてもらっては困るというお話しがあって、とりあえずここだけ据え置きにする か、もしくは上げ幅を少なくしたんですね。私ども企業からしてみれば、私ども企業で も雇用率が達成されていないなかで、雇用率が上乗せされましたけれども、それはもう 仕方がないこととして、努力をするということでした。そのなかで、文部省だけが雇用 率が低いから、上がらないのはおかしいのではないかということで、ずっと反対をさせ ていただいていたんですが、いろんな事情があって、0.1の上げ幅に留まりました。そ のなかで、こういうふうに文科省の教育委員会が別になれば、指導もしやすくなるから という厚生労働省側のお話しもありました。それ以降、個別に指導もされてきているの ですが、これは、他の国の機関と同じように、2.1に戻ると、私どもは思っています。 いつ頃、国の機関と同じように戻されるということになるのか。さきほどの指導の計画 のなかにも入っているのか。その辺のこともお伺いしたいと思います。  それと、文科省の委員会に出ていると、どうしても雇用のことというのは、ほとんど 外されているんですね。ですから、自分たちの機関のなかで、障害を持って働く方たち の問題というのはほとんど議論もされていません。そういう意味では、もう少し教育の 現場も含めて、障害を持った方たちが働くのが当たり前というようなところをつくって いかないといけないのではないかと思っていますので、その2点だけお話しさせていた だきました。 ○障害者雇用対策課長  今、西嶋委員から御指摘ありました1点目につきましては、平成10年の雇用率の見直 しの際に、当時、公的な機関については2.0だったと思いますが、それを維持したよう な形で教育委員会については2.0という形に引き続きなっているという状況がございま す。現行の制度は、そういう形で今2.0ということを義務の数値として置いております ので、先ほど申し上げた指導の徹底の部分での目標の設定については、2.0を目指す目 標として我々は設定をしているところです。  今後、おっしゃるように、公的な機関としての並びでみれば、2.0のままでいいのか という問題は、確かにあるように思いますので、その点は、これからの教育委員会の雇 用の動向などをみながら、御審議をいただく必要があると思いますので、御相談をしな がら進めていきたいと思っています。 ○今野会長  では、関連ということで、先に松井委員どうぞ。 ○松井委員  文科省についでにちょっと併せてお願いして欲しいと思うことがあるんですけれども、 雇用率という観点だけではなくて、私は地域の学校に元気な子も、障害を持った子も、 一緒に遊んで、一緒に勉強し、そして、先生のなかにも、丈夫な人も、あるいは少しか たくさんかは別として、障害を持った人もいらっしゃる。それが社会なんだよ、世の中 なんだよというのを、お子さんのうちから、当たり前の感覚として持ちながら、育って いくような社会が理想だと思うのです。そういう面では、どこかの役所が2・3年から施 設にいる人を一定の割合で外に出していくということをいっているわけです。養護学校 から施設に入ってしまう。そして今、その後の始末の問題がクローズアップされている わけですけれども、最初から施設に入らなくても、あるいは、養護学校へ入らなくても、 地域でいろんなサービスを使って、生きてゆけるような社会を創っていく。そういう中 で、自然に教育委員会の雇用率というのも、ちょっと時間がないので簡単にいいますけ れども、もっと上がってくるんではないかと思います。だから、雇用率ということ以上 に、その社会のあるべき姿ということを、もっと追い求めてもらえれば、そういうこと も自ずと良くなってくると思いますので、よろしくお願いいたします。 ○今野会長  分かりました。文科省の方に伝えるということで、多分、そう答えると思うので、御 意見があったということで、よろしくお願いします。では、村田委員、どうぞ。 ○村田委員  資料2の2の34ページです。独立行政法人なんですが、下から4分の1辺りの国立病院機 構です。ここがずば抜けて低い数字なんですけれども、医療機関の特殊性故の低さなん でしょうか。例えば、医療機関に障害を持った方たちが働くという姿を見せるというこ とは、患者にとってもものすごいメリットのある、励ましのあることだろうと思うので すね。にも拘わらず、国立病院機構はものすごく低いですね。1つ伺いたいのは、医療 機関の特殊性なのかどうかということ。それから、もし特殊性だとしたら、それを克服 して、雇用率を上げる方策としては、どういうことが考えられるのか。この辺のことを ちょっと伺いたいです。 ○今野会長  はい、どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  今、御指摘のあった点ですが、まず最初に釈明するようで大変恐縮なんですが、独立 行政法人の中で、今、ずば抜けて国立病院機構がというお話しがあったんですが、実は、 一番そこが多く存在している状況にあるのは、その欄の一番上の日本郵政公社でござい まして、実は、ここが不足数では群を抜いて高い状況になってございます。 ○村田委員  厚生労働省関連ということでございます。 ○障害者雇用対策課長  実は、そういうこともありまして、今、釈明するわけではないですがと申し上げまし たが、私どもも国立病院機構の状況につきましては、今、御指摘あった通り、私どもの 省の所管の法人でもございますので、非常にこの点は憂慮といいますか、しっかりやら なくてはいけないと思っております。機構本部の方とも個別に私ども課としてもいろい ろなやりとりをしながら進めてもらうように働きかけをし、今、実際に機構の方も動き 出しているところです。  医療現場としての特殊性かどうかということにつきまして、1つは、やはり先ほどの 教員と似たような話になりますけれども、資格を要する職種が非常に多いという意味で の医療現場の特殊性があることは確かではございます。ただ、一方で、同じ独立行政法 人のなかでも、その次の35ページの二重線が引いてある、ちょっと上のところに、労働 者健康福祉機構というのがございますが、これは全国で労災病院を経営している独立行 政法人でございますが、こちらの方は2.13%で、不足数ゼロで、達成ができております。 また、民間の医療機関をみても、大きな病院を持っているような医療法人でも、達成が できているところはできているという状況がございます。従って、必ずしも、医療機関 の構造的な問題だとは私どもは思っておりませんので、今、委員御指摘があったような 意味での、いろいろな波及的な効果も含めて、それから、職種でみても、必ずしも資格 を必要としないような、かなり幅広い職域を医療の現場では一方でお持ちです。例えば、 給食関係ですとか、清掃関係、リネンの関係、そういうのを含めますと、かなり幅広い 職域があることも確かです。そういったことも念頭に置きながら、今後とも、特に御指 摘のあった国立病院機構につきましては、私どももしっかりと指導をかけていきたいと 思っております。 ○今野会長  今の点はよろしいですか。関連してですか。どうぞ。 ○松矢委員  村田委員に触発されて、この細かい独立行政法人の表を見ましたら、何と国立特殊教 育総合研究所が1.23%で、1人しか雇用していません。ちょっと、これは、盲学校、聾学 校がありますし、優秀な研究員を配置すれば達成します。こういうデータは大変有り難 いですね。こうやって綿密に点検してみると、是正できるところも分かります。すぐ是 正できるのに是正していないのはよくないと思いますので、よろしくお願いします。 ○今野会長  どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  今、御指摘のあった国立特殊教育研究所なんですが、実は、不足数の欄をご覧いただ きますと、ゼロになっておりますように、これはちょっと雇用率の計算の方法による問 題なんですが、一応、達成はしているという状況でございます。母数が81人ということ で、非常に少ない独立行政法人でもございます。ただ、今、先生がおっしゃったような 趣旨の部分はあろうかと思いますので、文科省を通じたり、あるいは直接、先生の御趣 旨は伝えていきたいと思っています。 ○西嶋委員  私は幹事をやっているものですから、特総研のところで聞いていましたら、ちゃんと 達成できていますという返事が返ってきていましたものですから。もう1度話をしてみ ようと思います。 ○今野会長  輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  文科省の話が続きましたが、全体として、要望は、厚生労働省としてのグランドデザ インを作って欲しいということです。つまり、8万人がまず雇用されるということが、 法定雇用率を達成する1つのゴールであるということです。江口委員がおっしゃったよ うに、55人以下の中小企業の雇用というのがありますけれども、基本的に障害者雇用促 進法で目指しているゴールというのが、まず8万人だということを、きちんとゴールと して位置づけることです。  それから、そのなかで、資料3の1のところをみると、今度は全国のハローワークに求 職登録している人は実は15万人いると出ているわけです。そうすると、15万人と8万人 の差はどういうことなのかということを、ハローワークの現場としては、どういう要因 でマッチングができていないのかということを、まず分析をする必要があるだろうと思 います。その関係からいくと、15万人のなかで、実際に即戦力の人が、明日マッチング して、職業紹介をして、仕事に就けるだろうという人はどれぐらいいるのかというと、 やはり感覚的には1割ぐらいだと思います。そうすると、15,000人だとすれば、その8万 人のうち15,000人はハローワークが明日できることです。それ以外の15万人の9割がど ういう状況になっているのかということを、ハローワークで分析したことがあるのかど うか。多分、そこは15,000人しか持って来れないとすれば、では、どこから持ってくる のかという話で、1つは、盲・聾・養護学校の卒業生です。これは多分年間で1万人ぐら いだと思いますので、1万人から12,000ぐらいとして、それの就職率が20%。ですから、 それ以外のところの80%は福祉へいく。ということだと、年間に何人盲・聾・養護学校 のところから就職する人が出てくるか。それから、福祉のところに今何人いるか。身体、 知的、精神のところのそれぞれに何人いて、何人出せるのか。そこのところが全く見え ないなかで、全体のこういう状況を議論していても、どうもターゲットがはっきりしな いのではないかと思うのです。  次の説明にあるのかも知れませんが、例えば、トライアル雇用の予算をみると、8,000 人で9億円という形になっています。それで、8万人不足であれば、90億円を突っ込んで、 8万人マッチングすれば理屈上は1年で達成できます。トライアル雇用は常用雇用移行率 8割ですから、90億円を突っ込んでも8割にしかなりません。それと、委託訓練もありま す。まず、そういうようなターゲットをはっきりさせて、どこにどういうマンパワーが いて、それをどういう施策でマッチングさせていって、何年でどういうふうにするのか というグランドデザインがない限り、個別の目標はいろいろあって、さっきの6万人だ とか、何とかというような、個別の目標はいっぱいあります。けれども、それは何のた めの目標なのかというのが、今のところリンクしていないのではないかと思います。そ れは厚生労働省に頼むことなのか、この審議会で議論することなのかは、よく分かりま せんけれども、全体をまず踏まえる必要があるのではないかと思っています。 ○今野会長  コメントありますか。多分、今日もありましたけれども、厚生労働省が例えば中小企 業の雇用率をちょっと上げようかとか、いろいろと積み上げていけば、結果的に8万人 は消えるみたいな、そういう説明だったと思うのですが、輪島委員の今のは逆ですよね。 ターゲットを先に決めて、どこに重点を置くのかを考えたらという御提案だったと思い ます。 ○高齢・障害者雇用対策部長  障害者の雇用促進を考えていく際に、どれだけの方が企業の雇用を望んでおられるか ということを考えていくというのは、政策全体を考える上では非常に重要なことだろう と思います。ただ、なかなか難しいのは、企業の方の受け皿がきちんとしていけば、そ れなりに、やはり自分も働けるのだと思い、出てくるというのも事実だと思っています。 従って、今、ハローワークで求職をしていない、あるいは、福祉施設、あるいは在宅の 方の中でも、企業に受け入れてもらえるのであれば就職活動をしたいという方もいるだ ろうと思います。その辺りをどうやって見込んでいくかということが、非常に難しい面 でもあり、考えなければいけない面でもあると思っています。  そういうなかで、さきほども出ていますが、法定雇用率の対象より小さいところに就 職している方もいる。それはそれで、きちんと安定していけばいいのか。そういう部分 も含んで、法定雇用率を考えるのかという問題もあるだろうと思います。ただ、そこは 将来の姿として描く場合と、そうはいっても、現実を理想の姿に持っていく際に、一挙 にいけるかというと、そうではなく、小さいところでそれなりに安定して働いている方 は、それはそれでいいのだろうと考えるべき部分もあるだろうと思います。  従って、今日は現状の話ではありますけれども、結局、私どもは近い将来、障害者雇 用促進法の全体の見直しをしなければいけないだろうと認識をしております。その議論 に間に合うような形で、今、輪島委員からお話しがあったような点について、資料を整 えて、これは役所の方だけでというよりは、むしろ、皆さん方にいくつかの数字を見て いただきながら、議論していただく。こういうことではないかと思っています。今は現 行の制度の下で御説明していますが、制度を変える際には、今おっしゃったようなこと も含めて議論できるようにしていきたいと思っております。 ○輪島委員  一言だけ申し上げておくと、特に新基準の運用に当たって、今企業側が何をしている のかといえば、特に都市圏の東京や大阪ですけれども、ハローワークに求人票を出して います。求人票を出していますけれども、マッチングが全くされていないという状況で す。はっきり言えば、行政で雇えというふうに言っているけれども、分かりました、雇 いましょうと出しているけれども、マッチングは進んでいない。特に知的障害などは払 底状態で、人がいないという状況です。そういう中で、新基準を運用していくわけです。 実雇用率は上がっていきますし、今年の6月1日で、さらに実雇用率が上がれば、さらに その新基準で指導対象になってくる企業は増えていくという矛盾を抱えるわけです。 そのところを、全国的にはまだまだ求職者がたくさんいますけれども、特に払底をして いる首都圏で、どういう対応するのか。企業側が放って置かれて、何もマッチングの紹 介もされないのに、ただ雇えと指導されて、いつまでにこれだけの数字を出しなさいと 言われている。その矛盾を解消していただかないと、結局は企業側が雇用を促進しよう という気持ちを削いでしまうことになります。それと、ハローワークとの関係があまり いい状況にはならないと思いますので、是非、その点は御留意をいただきたいと思って います。 ○高齢・障害者雇用対策部長  今の点は、これは企業側からみるか、障害を持っている求職者の側からみるかという ことがあって、やはり、今までハローワークで求職活動をしても、結局、企業は受け入 れてくれないという部分も一方にあったのは事実だろうと思います。今、輪島委員もお っしゃったように、企業側がそれなりに受け入れを進める機運になっているのは事実だ ろうと思いますので、そういう中で、もちろんハローワークが力を尽くさなければいけ ないというのは事実だろうと思いますけれども、企業側の動きが出てきたなかで、どう やって流れをつくっていくかというのは、非常に重要だと思います。東京のハローワー クでも、有効求職者自体いるわけですが、これが仕事に就く準備がどこまでできている か。それから、もう1つは、企業側が求人を出しているといっても、やはりその職種が かなり狭い形で出ている場合もあります。そういう中で、我々としては、ハローワーク の、特に障害者の部分の需給調整機能をどうやって高めていくか。あるいは、現在、福 祉施設等々で半ば諦めている方のなかで就職できる方をどうやって仕事に就けていくか。 そこは、我々も頑張らないといけないし、そういうシステムもつくっていかなければい けないと思っています。従って、せっかく企業が受け入れる方向に動いている流れを、 ディスカレッジされないように、あるいは、今までディスカレッジされていた障害を持 っている求職者あるいは障害者の方が、やっぱり社会に出ていっているんだと、社会全 体の動きとして、どうやってつくっていくかというのは、社会全体としての責務だろう と思っているところです。我々としても、せっかく企業が動き出しているのであれば、 応えられるように頑張っていきたいと思っております。 ○今野会長  今、輪島委員が言われた前半のことと、今のことは、違う話になるので、輪島委員か ら2つの点があったことを受けとめていただいて、特に前半については、一応考えてい ただけるということなので、そこは考えていただいて、何かまとまったらまたここで話 していただくということにさせてもらいたいと思います。  それでは、まだ御意見があると思いますが。では、短めにお願いします。 ○高橋委員  先ほど教育委員会と医療機関のことで、雇用の達成率が低いということが、1つ課題 になっているという話があったと思います。その後の資料3の1の職業別の就職状況等を みても、やはり生産工程、労務には達成の状況はあるけれどもという話だったと思うの ですが、私は教育関係団体としても、障害を持った子どもたちの進路保障というところ から、教育というところを是非考えていただきたいなというところで、13ページの障害 者就業・生活支援センター事業というところで、雇用と福祉の連携事業ということを書 いてありますけれども、ここに文科省のところにも大いに関係するんですけれども、教 育ということで、資格をいかに子どもたちが取れるような支援をしていくのかの観点を 是非いっぱい入れていただきたいというのが私の意見です。 ○今野会長 それでは、そういう御意見があったということでお願いします。実はあと3つ議題がご ざいますので、次に進めさせていただきます。次は議題2として、平成19年度障害者雇 用施策関係予算案の主要事項というのと、3番目の議題として、障害者雇用施策の充実・ 強化についてとありますが、この2つを一括して議論をしていただきたいと思います。 まず、事務局から御説明をさせていただきます。 ○調査官  はじめに、平成19年度障害者雇用施策関係の予算案の主要事項について説明をいたし ます。資料4です。障害者雇用施策に関する平成19年度の予算、これは政府原案で予定 額です。現在、国会でご審議をいただいているところです。国の厳しい財政事情が続く 中、138億8,200万円で、昨年度を若干上回る規模の予定額が認められています。  障害者雇用施策に関する平成19年度予算は、現下の情勢を踏まえ、I.雇用・福祉・ 教育の連携による就労支援の強化。II.障害の特性に応じた支援策の充実。III.中小企 業による雇用促進の取組への支援。IV.障害者に対する職業能力開発の充実、を4つの 柱として施策の強化・充実を図ろうとするものです。柱ごとに主な施策を紹介したいと 思います。  第Iの柱ですが、「雇用・福祉・教育の連携による就労支援の強化」です。1の関係 機関のチーム支援による、福祉的就労から一般雇用への移行の促進については、平成18 年度に全国10か所のハローワークで実施した「地域障害者就労支援事業」を全国展開し て、47のハローワークにおいて、ハローワークを中心とする福祉等の関係者からなる 「障害者就労支援チーム」による就労支援を実施するとともに、障害者が適切なサービ スが選択できるように就労サービスのワンストップ相談窓口を設置するものです。  2は、地域において就業面及び生活面における障害者の身近な相談や関係機関の連絡 調整を行う、「障害者就業・生活支援センター事業」です。これについては設置箇所を 25か所増やして135か所とするものです。  3は、養護学校等の生徒とその親の、一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進につ いてです。平成18年度において、企業ノウハウを活用し、就労支援セミナー等を実施す ることにより、福祉施設における就労支援の強化を図ることとしている「障害者就労支 援基盤整備事業」を拡充し、平成19年度からは養護学校等と連携をして、生徒及びその 親を対象に、一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進を図るためのセミナーや、事業 所見学会、職場実習のための面接などを加えて実施するものです。  4は、先ほど輪島委員からご指摘がありましたが、「障害者試行雇用事業」(トライ アル雇用事業)も対象者数を2,000人増やし、8,000人とすることとしています。  第IIの柱ですが、障害の特性に応じた支援策の充実です。1の「若年コミュニケーシ ョン能力要支援者就職プログラム」の実施についてです。これはハローワークに「就職 チューター」20名を配置し、発達障害等の要因によりコミュニケーション能力に困難を 抱えている者について、その希望や特性に応じた専門的な支援機関に誘導するとともに、 障害者向けの専門支援を希望しない方については、専門的な相談・支援を実施するもの です。  一つとんで、3の「医療機関等との連携による精神障害者の就職支援の実施」につい てです。これは平成11年度からスタートした医療機関等を利用する精神障害者に対し、 ハローワークと医療機関等が連携をして、就職活動のノウハウ等を付与する「ジョブガ イダンス」事業について、ガイダンスの実施について、地域のニーズに応じて柔軟に実 施する方法に改め、全国で機動的により多くの医療機関と実施できるようにするととも に、新たに医療から雇用への移行を促す就労支援モデルを構築することとするものです。  このほか「発達障害者の就労支援者育成事業」であるとか、「難病者の雇用管理に関 する情報提供」、「障害者団体による障害者の職業自立等啓発事業」に取り組むことと するものです。  第IIIの柱です。中小企業による雇用促進の取組への支援です。1の中小企業団体によ る「障害者雇用の啓発・推進のためのモデル事業」についてですが、これは中小企業団 体に委託して、障害者雇用に関する啓発セミナー、雇用管理改善等のためのワークショ ップの開催などを行うモデル事業を実施することとするものです。  2は、「中小企業が協働して障害者雇用を推進するモデル事業の実施」についてです。 これは地域において、事業協同組合等を活用し、中小企業が協働で仕事を提供し合う形 で、障害者の雇用を促進するモデル事業を実施するものです。  IV番目の柱です。「障害者に対する職業能力開発の充実」です。1の障害者の職業能 力開発機会の拡充を図るために、より広範な地域において一般の職業能力開発校を活用 しながら、知的障害者等を対象とした専門訓練コースの設置とそのノウハウの普及など を行うとともに、2の関連で、引き続き地域の障害者支援機関を活用し、障害者の態様 に応じた実践的な委託訓練を拡充するものです。障害者雇用施策に関する平成19年度の 予算、政府原案予定額については以上です。  議題(3)「障害者の雇用施策の充実・強化について」を説明いたします。資料をい くつか配付しておりますが、まずは資料5の障害者雇用納付金に基づく助成金の見直し についてご覧いただきたいと思います。まずこの見直し、その1です。現在、4級以上 の内部障害者等が対象となっている「健康相談医師の委嘱助成金」の対象に、視覚障害 者を追加するものです。その2ですが、企業が配置するジョブコーチ、「第2号職場適 応援助者助成金」です。この助成金の資格の要件を企業の実情を踏まえて、該当者の経 験年数を引き下げること等により、緩和をするものです。  その3ですが、「重度障害者等通勤対策助成金」のうち、住宅の新築等の助成金につ いて、現在、対象障害者の世帯又は1人当たりの上限が定められていますが、新たに事 業所単位の上限額も設けるものです。  その4ですが、「重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金」のうち、第1種の施 設設置の助成金について、現在、1事業所当たりの上限が定められているところ、新た に1事業主当たりの上限額も設けるものです。3番目、4番目については、限られた財 源をより多くの事業所・事業主に、助成金を使っていただくための措置です。  その5ですが、「障害者能力開発助成金」のうち、第4種、(グループ就労訓練雇用 型及び職場実習型助成金)に関わる訓練担当者について、「第2号職場適応援助者助成 金」と同様の資格要件の緩和を行うものです。  次の頁も含めて説明のペーパーを用意しています。新たに派遣型の助成金を創設する こととします。これは派遣労働が1つの雇用形態として定着している中で、労働者派遣 契約に基づき、派遣元事業主により派遣されている障害者のグループを、派遣先の指揮・ 命令及び訓練担当者の支援のもと企業内で訓練させることについて、助成金を支給する ものです。  資料6は障害者雇用対策の充実強化に向けた検討についてです。平成18年4月から全 面施行された改正障害者雇用促進法の成立の過程において、労働政策審議会から意見書 を頂戴しましたほか、国会のご審議においても衆議院・参議院の両院から附帯決議を頂 戴しています。こうした点を踏まえて、私ども昨年の7月下旬から3つの研究会を開催 し、次期制度改正に向けた障害者雇用対策の充実強化のための検討を進めていだいてい るところです。  その1つ目ですが、「多様な雇用形態等に対応する障害者雇用率制度の在り方に関す る研究会」です。この研究会では障害者の短時間労働や、派遣労働といった雇用形態に、 障害者雇用率制度を的確に対応させるための検討を進めていただいています。例えば短 時間労働について、障害者雇用対策においてどのように位置づけ、どのように評価すべ きなのか。また、障害者雇用率制度を短時間労働に適用させる場合、円滑な移行のため に経過措置を設けるべきなのかどうか。設けるならばどの程度の期間とすべきといった 点、あるいは、派遣労働について、障害者雇用対策において、どのように位置づけ評価 すべきか。また。労働者が派遣労働で安心して働けるようにするために、派遣元事業主 と派遣先の役割分担をどのように考えるべきかといった点について、ご検討をいただい ています。  その2つ目ですが、「中小企業における障害者の雇用の促進に関する研究会」です。 この研究会では、近年低迷している中小企業の障害者雇用を促進するために、中小企業 に対する雇用支援策の強化や、中小企業における経済的調整の実施、即ち現行制度にお いて当分の間の暫定措置として、常用雇用者301人以上の企業に限り対象とされている 障害者雇用納付金の徴収と調整金の支給を、300人以下の規模の企業も対象として加え るのかどうかの点について、ご検討をいただいています。  その3つ目です。「福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進に関する研 究会」です。この研究会では、福祉、教育等との連携による就労支援の効果的な実施、 地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなど、就労支援機関の今後の 在り方、ジョブコーチなど、就労支援を担う人材の育成など、諸問題について幅広くご 検討をいただいています。  いずれの研究会も、現在、論点整理ないし意見集約の段階を迎えており、これらにつ いて研究会の経緯とともに3頁〜16頁にまとめています。ご一読いただければ幸いと存 じます。今後は本年夏ごろを目処に報告書を取りまとめる方向で検討を進めていただく こととしています。  資料7-1、「成長力底上げ戦略」(基本構想抜粋)をご覧いただきます。これは内閣 官房長官をヘッドとして、関係省庁の事務次官を構成員とする「成長力底上げ戦略」構 想チームが策定し、取りまとめを行い、2月16日に内閣官房長官及び経済財政担当大臣 が経済財政諮問会議に提出したものです。  3頁です。「成長力底上げ戦略」の三本の矢という図がありますが、この中の1本と して、「福祉から雇用へ」の「就労支援戦略」が掲げられています。4頁にあります 「就労支援戦略」の基本的な考え方については、障害者が可能な限り、自ら働いて自立 する「自助」を基本に、それを「共助」「公助」が支える福祉社会を構築すること。そ のために福祉事務所等とハローワークの連携施策や、自治体における自立支援策を加速 させること。更には福祉から雇用への流れの実効性を高めるため、関係機関の連携を促 進しつつ、産業界等の理解・協力を得ながら、5か年計画として実施をしていくもので す。  5頁です。この5か年計画のイメージです。平成19年度から21年度の3年間を特に集 中の取組期間として、具体的な目標を定めて取り組むこととしています。6頁ですが、 「福祉から雇用」へ「推進5か年計画」における重点戦略として、具体的な施策が掲げ られています。障害者支援施策の関係では、企業のノウハウを活用しつつ、就職につな がる良質な就労移行支援サービスの提供のほか、「工賃倍増5か年計画」による福祉的 就労の底上げが掲げられています。  この点につきまして、私どもの取組をやや詳しく説明させていただきます。資料7-2 です。工賃水準の確保につながる企業からの発注に対する奨励措置として、障害者雇用 促進法による在宅就業の障害者特例調整金・報奨金の制度を拡充することを検討してい ます。具体的には自宅就労移行支援事業の施設、一般雇用への移行について、一定の実 績がある就労継続支援事業(B型)を対象としていた発注奨励の仕組の対象となる範囲 を拡大して、工賃水準の確保と一般雇用への移行に取り組む福祉施設。例えばですが、 一定の工賃水準を目指すとともに、就労継続支援事業(A型)への転換に計画的に取り 組むこととしている福祉施設であるとか、一定の工賃水準の確保を目指すとともに、利 用者の一般雇用への移行に計画的に取り組むこととしている福祉施設などを、加えるこ とを検討しています。  資料7-1の6頁です。「福祉から雇用」へ「推進5か年計画」における重点戦略とし て、障害者就業・生活支援センターを全障害保健福祉圏域400か所に設置することである とか、各省庁・各自治体における障害者に対する「チャレンジ雇用」の推進・拡大、ハ ローワークを中心とした福祉関係者との連携による「就労支援チーム」の体制・機能の 強化、短時間労働・派遣労働を活用した中小企業における雇用促進などを図るための障 害者雇用促進法制の整備。関係者の意識改革を通じた雇用機会の拡大などが掲げられて います。  これらの障害者の就労支援に向けた施策は、政府を上げての取り組みとして位置づけ られているところであり、厚生労働省としても着実に推進し、成果を上げていくことが 強く求められています。  最後に、資料8です。資料8は「障害者の権利条約(仮称)」です。これは障害者の 権利及び尊厳を保護・促進するための包括的・総合的な国際条約として、昨年12月13日 に第61回国連総会において採択されたものです。包括的・総合的な国際条約なので、分 野は多岐にわたっています。例えば労働のほかにも教育アクセシビリティーなど、いろ いろな分野にまたがっていますし、基本原則等もさまざま設けられています。  この条約ですが、労働分野に関連して見ますと、条約は締約国に対して障害者の平等 を促進し、差別を撤廃するために、合理的配慮が提供されることを確保するために、適 当な行動をとることや、労働・雇用について、職場において合理的な配慮が提供される ことを確保するために、適当な行動を取ることなどを求めるものです。  厚生労働省としても、外務省等と十分に連携を図りながら、障害者権利条約の締結に ついて対応を検討していく必要があります。雑駁ではありますが、議題(3)の障害者 雇用施策の充実・強化に係る説明については以上です。 ○今野会長  それでは、今たくさんのことが一気に出ましたので、順番にいきましょう。どうぞ。 ○江口委員  資料4の1ページ目の、障害者就業・生活支援センター事業の拡充ということで、元々 160の計画が135になっていますが、最後に御説明があったように、平成23年に30万人の 圏域400カ所というのを単純に計算しても、来年から60以上つくっていかないとならない ということが1つあります。これをいつやられるかということと、もう1つは、今、私は 神戸におりますが、神戸市に1つしかないのです。人口150万の政令都市で1カ所という のは、なかなか活動的にも難しい問題があると思っております。特に、これから精神障 害の方とか、発達障害の方の雇用を企業が考えるときに、障害者就業・生活支援センタ ーの位置づけは非常に重要になると思います。特に、企業の場合は、勤務時間中の場合 は、ある程度サポートできるのですが、個人生活の面になりますと、非常に難しいとこ ろもあって、そういう面で、生活支援センターの力というのは非常に重要だと思うので す。もう1つは、これを認定される時の資格の要件みたいなものがもしあれば、それを 教えていただければと思っています。  この2つについて、いつ頃までに400カ所の計画をお持ちかということと、障害者就業 ・生活支援センターの認可をするときの、要件といいますか、そういったものを少しお 教え願えればと思います。 ○今野会長  どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  今、御指摘のあった就業・生活支援センターですが、19年度予算では今お話しがあり ました通り、予算要求の段階では50カ所の増設を要求しておりましたが、査定で25カ所 になり、19年度の展開としては135カ所ということになっております。今後の考え方です が、この予算が確定をした後に、先ほど申し上げました成長力底上げ戦略の策定をみま して、そのなかで400カ所ということを戦略のなかで打ち出させていただいたという状況 がございます。こちらの計画も、先ほど申し上げましたように、福祉から雇用への5カ年 戦略というような言い方をして、19年度からの5カ年ということですから、23年度までと いうことになるのですが、そのうち最初の3年間が集中期間ということでもありますので、 そういったことを念頭に置きながら、しかるべき早い時期に各地域に配置をしていける ように、少し弾みをつけて、20年度要求辺りからは要求していきたいと思っております。  実際の配置に当たっての基準についてのお話しがございましたが、まず、ここ2、3年 の考え方としては、20カ所ないしは25カ所という増設の数でございましたので、原則と して、各都道府県単位に1つの推薦を都道府県、それから労働局双方で協議をしてもら いまして、挙げていただくということをやっております。その上で、全国から上がって きた要望につきまして、これまでの取り組みの実績を重視いたしまして、具体的な資標 としては、就職の件数と職場実習の実施件数を主な基準に見させていただいております。 そういったものを見ながら、具体的な配置を決めさせていただいております。 ○今野会長  どうぞ。 ○西嶋委員  私も今の御意見と同じで、この就業・生活支援センターをどんどん増やしていくとい うことは大賛成です。いろいろな県と話をしていると、県の方でも予算をしっかりとっ て対応しようとしています。これは、福祉の方は政令都市と県になっていて、労働側の 方は国の予算になるので、県も予算をとっていないと駄目なんですけど、しっかりとっ て、増やしていこうという姿勢を出しているところが多いと思います。せっかくそうい う県や市でも動きが出ているときですので、是非、国の方の予算をしっかりとって、増 やしていただきたいと思います。今回も、かなりの希望の数が出たのではないでしょう か。申し込み件数ということでは、件数以上の希望が出ていて、全部は通らなかったと いうふうに伺っておりますが。 ○今野会長  御意見として伺っておいてよろしいですか。他にございますか。どうぞ、笹川委員。 ○笹川委員  資料5の助成金制度のところでございますけれども、我々重度障害者の場合は、職場 介助者制度がございます。このお陰で、重度の視覚障害者も一般企業等への雇用がかな り可能になってきております。ただ、先ほど視覚障害者の就業状況について、大変貴重 なデータを出していただいて、有り難いと思っておりますけれども、そのなかでもお分 かりのように、やはり視覚障害者の就労というのは、鍼灸マッサージが中心でございま す。そのなかで、これまで私もこの分科会で再三申し上げてきた雇用に繋がる視覚障害 者の職種としては、残念ながらあまりありません。最近、ヘルスキーパーの職も景気が 回復してきて、だんだん増えていますけれども、一番期待しておりましたのは、特別養 護老人ホームにおける機能訓練指導員の就労の問題でございます。年々実績が上がって きていたのですけれども、先般改正された介護保険法で、これまでそれぞれの施設にお けるいわゆる機能訓練指導、マッサージを中心とした施術ですけれども、体制加算から 個別計画加算ということになりまして、実態調査ですとか、資料の作成とか、どうして も視力を必要とする仕事が増えてきております。そういうことから、何とかこれまでと 同じように定着した雇用体系の1つとしての機能訓練指導員にも、職場として継続でき るようにしていただきたいというのがお願いでございます。そのために、どうしてもこ の職場介助者は事務系が中心になっておりますけれども、範囲を拡大し、緩和をして、 そういう職場にも適用をしていただきたいと思います。このことを是非検討していただ くようにお願いをいたします。  それから、資料8の障害者の権利条約のことでございますけれども、これは本当に私 どもとしては、本当に大きな期待を持っております。わが国でも、1日も早く批准をし ていただきたいわけですけれども、今の国内法をみますと、まだまだこの条約とマッチ した状況にはなっておりません。特に雇用の問題もこの権利条約のなかでは強く打ち出 されています。そういう意味からも、国内法の整備を急いでいただきまして、何とか早 く批准をしていただきたい。このことをお願いをしておきます。以上です。 ○今野会長  今の件について、どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  まず機能訓練指導員の関係につきましては、いろいろな機会にも御指摘をいただいて いるところでございますし、今後とも担当の老健局とも、私どもは雇用促進という立場 から、よく話をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、職場介助者の助成金につきましては、現在事務的な業務以外については、 配置ではなくて、委嘱については制度がございます。ただ、それで十分かどうかという 点については、今後またいろいろ状況をみて、御相談もしながら、検討をしていきたい と思っております。  それから、最後に、条約の件ですが、今御指摘があった通り、雇用に関してもいろい ろな具体的な内容が条約の案文のなかには盛り込まれている状況でございます。今日の 資料では実は大変恐縮ですが、条文の番号と見出ししかおつけをしていないような資料 です。これはまだ私ども政府としての条約の案文の仮訳がきちんとできていないもので すから、こういった場でお出しができないのですが、具体的には先ほど説明でも触れま した、合理的配慮の問題、差別の禁止の問題、それ以外にも雇用を巡るいろいろな施策 についての内容が含まれておりますので、その関係を今後国内法制との整合性をよく整 理をしていきたいと思っております。それを踏まえて、必要な部分については、またこ の分科会でも御審議をいただきながら、法制の整備も図っていく必要があるというふう に考えておりますので、そういう形でよろしくお願いいたします。 ○今野会長  笹川委員、どうぞ。 ○笹川委員  今お話しがございました、介助者の委嘱という形では、きわめて不安定でございます。 特に機能訓練指導員に関しては、委嘱ではなく、事務系と同じような形で、配置できる ような御配慮をお願いしたいと思います。強くお願いしておきます。 ○今野会長  それでは、松矢委員どうぞ。 ○松矢委員  資料4ですが、私はこの連携の方の研究会の座長をおうせつかっております。先ほど の就業・生活支援センターの数を増やしていくという課題と、この連携の研究会では、 今設置をしているところがかなり実績を上げているので、人の配置とか専門性、その辺 のところは連携のところでかなり詰めて、提言していきたいと思っております。  それから、次のページの4で、福祉施設の人材を活用したジョブコーチ支援の充実は 納付金事業でなりましたが、やはりこれを積極的に拡充して欲しいと思います。このジ ョブコーチも8割は定着をしておりますので、職業センターに配置しているほかに、こ ういう福祉施設に多く配置していただいて、これは先ほどの移行支援の重要な仕事にな ると思いますから、この拡充をさらにお願いしたいと思います。  それから、5番目のトライアル雇用です。これも毎年気になるところで、6,000から 8,000というところで、2,000人なんですね。これは先ほど輪島委員からお話しがあった ことなんですが、やはりこれも8割の就職率ですから、就業促進のシステムとしては、 非常に有効なんです。ですから、これは一般会計ですけれども、何とか納付金事業でも できるようにしていただければと思います。一般会計をA型とすれば、B型という形で、 納付金を使って、もう少し、要するにトライアルの機会を多くする。名目上はトライア ルに1回失敗しても、2回目も大丈夫ですよという制度なんですけれども、今の状態で は、そんなに潤沢にはいっていません。ですから、マッチングの機会を増やしていくた めには、毎年1,000とか2,000ということではなかなか、さっきの8万人というところ に追いつかないので、やはりここの工夫をしていただきたいと思います。今期は難しく ても、来期、来年度に向けて少し検討をしていただきたいと思います。大幅に雇用率を 上げていくという検討では、やはりこの辺が一番重要なのかなと思っております。  あと、3番目は、私は養護学校関係の進路指導関係にも関係しておりますので、これ もとても重要な予算化だったと思います。以上です。 ○今野会長  では、今の件はそういう御意見があったということでいいですね。それでは、どうぞ。 ○副島委員  特に知的障害者はどうしても養護学校関係の卒業、それから、福祉施設での取り組み が就労支援に関しては、すごくポイントが大きいと思うのです。この点だけでも、今回 の雇用率が結構上がったのは嬉しいのですが、福祉施設関係が、就労に対しての意識づ けを強化するために、どうしてもその点では、補助金制度がある面では効果を出すと思 っています。一昨年でしたか、グループ就労訓練関係の補助金ができたときには、これ を利用しながら、結構進むのではないかと思っていたのですけれども、思ったほど進ん でおりません。今、現状で、厚生労働省としては、このグループ就労訓練で実際にどの ぐらいの全国での件数が出ているのか。どれぐらい申請件数があったり、実際それを実 施しているところはどういうところがあるのか。というところと、その効果がどのよう に出始めているのかというところを、少し捕まえておられたらお伺いしたいというのが 1点です。  それから、私も正確には知らないのですけれども、私が広島県の方の取り組みの中で 聞いたことでは、今実際やっている雇用支援センターがだんだん先細りといいますか、 次の就業・生活支援センターの方に移行するような話が出ていて、実際、雇用支援セン ターとしての実績を結構持っているところなんですが、先行きがだんだん難しくなって いるというようなことも聞きました。この雇用支援センターの役目とこれからの方向性 をどのように考えておられるのかも、ちょっとお聞きしたいと思います。 ○今野会長  どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  まず、グループ就労の助成金ですが、先ほど御指摘ありましたように、一昨年でした でしょうか、制度化をさせていただいたものです。  現状といたしましては、実は、今御指摘があったように、あまりこの制度を御活用い ただけていないというのが率直なところでございます。全国でみても、10件程度という レベルに留まってしまっております。  1つは、今回改善をしておりますような指導員の要件がなかなかハードルが高いとい うようなお話しがあるのと、もう1つは、全般的にやや制度の仕組みをしっかり作り過 ぎてあると言いますか、そういった面があるのかなと思っております。今回、指導員の 要件のところを緩和をするという御提案を申し上げておりますが、今後また状況をみな がら、必要な制度の改正をしながら、是非御活用いただけるように制度を仕組んでいき たいと考えております。  それから、雇用支援センターの関係でございますが、全国で今、雇用支援センターと して活動していただいているのは14センターございます。具体的な活動の内容としては、 いわゆる職業準備訓練ということで、基本的な労働習慣を身につけていただくような訓 練を施設のなかでやっていただいております。実は、最近の新しい流れのなかでいきま すと、自立支援法のなかで、新しく位置づけられた就労移行支援事業に非常に近いもの がございます。そこで、私どもとしては、雇用支援センターの位置づけを今、各センタ ーとも御相談をしながら考えているところでございます。今お話しがございましたよう に、地域のなかでかなり実績を上げていただいているという面がありまして、それをむ しろ就労移行支援事業との関係でいえば、そのモデルになったり、地域のなかでの核に なり得るものでもあるのではないかと思っております。そこの辺りの制度間の調整を図 りながら、地域のなかでのそういった実績なり、機能がきちんと残ったり、位置づけら れたりするように、工夫をしていきたいということで、今、各センターと御相談をして いるところです。 ○今野会長  よろしいですか。どうぞ。 ○副島委員 今の支援センターについては、方向性としては分かりました。今のグループ就労訓練 関係等で、開発協会なんかの地方の話を聞いてみると、内容的なものがよく分からない といわれているんですね。結局、自立支援法も同じような形で、具体的な骨格と、具体 的な内容がよく分からないままにスタートしたため、地方の人が不満を持っているとこ ろが多いのです。同じようなことが、このグループ就労訓練等にもありはしないかと思 うのです。是非、中の制度と、それから、それを乗せるための条件的なところの詳しい 内容を地方のところまでしっかりと落としていただかないと、地方の窓口が、結局、す ごく絞ってしまっている。というようなところがみえますので、是非その点はよろしく お願いしたいと思います。 ○障害者雇用対策課長  大変申し訳ない御指摘だと思いますので、その点は徹底してまいりたいと思います。 ○今野会長  他にございますか。どうぞ。 ○寺山委員  資料の4の3ページの(3)のところですが、医療機関との連携による精神障害者の就業支 援の実施ですが、新規ということで、期待します。質問ですが、モデル事業の実施個所 というのは10安定所ということだそうですが、場所的にはどのようなことを考えておら れるのでしょうか。かなり地域性もあるのではないかと思います。それから、モデル事 業なんですが、これはモデルはモデルで、1つのアウトプットですが、それを全国展開 するための、次の展開は、どういう成果を考えておられるのでしょうか。 ○今野会長  では、どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  精神障害者のジョブガイダンス事業についてのお尋ねでございますが、同じ資料4の 9ページに図式化したものを載せてございますので、ご覧いただければと思います。  現在、医療機関と連携をいたしまして、ジョブガイダンスという形で、例えば、地域 の労働市場の状況をお伝えしたり、履歴書の書き方、面接の受け方というような、そう いったものをガイダンスするという事業をやらせていただいておるところですが、ここ の左側に課題として2つ掲げてございますように、1つは、このガイダンスの事業そのも のの形が、非常に運営方法が固定的で、地域のなかから、例えば精神科病院から近いう ちにやって欲しいとお声がかかっても、それに十分に対応できていないというようなと ころがございましたので、その弾力化を図り、なるべく広く地域のそういった病院ある いは保健福祉施設と連携をとれるようにするという改善を施したいと思っております。  もう1点は、課題の2のところにございますが、ジョブガイダンスというのは、あくま でも就職に向けての入り口のところでございまして、その次のステップに進めているか というと、ここに書いてございますように、約4割の方は次の段階に進めないまま終わ ってしまっているというところに、もう1つの課題があるかと思っております。そこで、 今お話しのあったモデル事業ですが、この4割の部分について、少し時間をかけて移行 を目指すというようなモデル事業をやってみようということでございます。それを全 国の10のハローワークでやるということを予定しております。現在、地域の選定をして いるところですが、私どもとしては、今までジョブガイダンスの事業展開のなかで、相 当程度実績の蓄積をしている地域もございますし、また、精神保健医療の方からみま すと、退院促進事業をやっていたり、地域のなかでの社会参加促進のような事業を地域 的にかなり熱心に取り組んでおられるような地域がありますので、そういったところに おいて、こういったモデル事業を、連携を密にしながら展開をすることができればと思 って、今、地域の選定をしているところでございます。 ○今野会長  モデルはいいけれども、全国展開はどうするのですかという質問もありましたね。 ○障害者雇用対策課長  まずモデルで少し実績を蓄積をいたしまして、それをみて、数年後にまたジョブガイ ダンス事業全体の見直しを図るような形で、ここの全体が移行に結びつくような事業に 改善をしていくということを考えております。 ○寺山委員  モデル事業は数年続いていくということですね。 ○障害者雇用対策課長  若干ハローワークの方も、それから医療機関の方も、ノウハウの蓄積なり、そういっ たものを図っていく必要があるのではないかと思っております。 ○今野会長  では、佐藤委員。 ○佐藤徳太郎委員  今の関連なんですが、精神障害をお持ちの方の就労に向けての基礎データとか、今の 対応の仕方のなかで、やはり精神障害もその中身によって非常に対応が違ってくると思 うのですね。ですから、その辺のところを、あるものはこういう方法がいいとか、ある ものはなかなかここのところが問題とか、そういう中の障害毎に活用できるようなデー タも欲しいですし、対応の展開が必要ではないかと思っておりますので、よろしくお願 いいたします。 ○今野会長  それでは、他にございますか。どうぞ、岩村委員。 ○岩村委員  今回御説明いただいた新しい事業であるとか、それから、今般政府で重点的にやると いうことになった成長力底上げ戦略のところなどを見ますと、ハローワークがかなり中 心的な役割を担うという形で、制度設計がなされているということが分かります。障害 者雇用については、ハローワークが雇用率の問題その他で御経験もあり、ノウハウもお 持ちだとは思いますが、多分、こうした新しいものがきちっと動いていくためには、や はりそれなりの人材の養成と確保とか、ノウハウの習得であるとか、さらには、より積 極的に、様々な支援事業その他のプログラムを動かしていくといったような指導性とか というようなことが、おそらく求められていくのだろうと思いますので、そういうマン パワーなりそういった面での一層の充実ということも是非御検討いただきたいと思いま す。 ○今野会長  それでは、他にございますでしょうか。どうぞ。 ○佐藤徳太郎委員  5カ年計画のなかで、障害者の雇用促進法の整備というのがあるのですが、このなか で、派遣労働を活用した雇用促進ということもポイントとして上げてあるのですけれど も、今、いろんな業界で委託事業というのがどんどん進み、そのことによって、経営の 合理化をしているのではないかと思うんですね。専門性のところはきっちり自分たちで、 そして、委託できるところは委託していくというふうになっていると思うのですが、そ の委託事業というのは、こういう法整備のなかで何か位置づけというものがあるのでし ょうか。 ○障害者雇用対策課長  今、御指摘のあったアウトソーシングが進んでいるという点でございますが、1点は、 特に請負というような形で外部の事業者に自らの事業の一部を請け負わせるというよう な形が進んでいるということがあろうかと思います。1つは、障害者雇用の方からみま すと、請負の場合は、請負事業者の方に雇用責任が発生をしているということで、その 請負事業者に直接、例えば雇用率の適用とか、雇用率達成指導とか、そういうことをか けているということがございますので、そこを徹底をしていきたいと考えております。 ただ、一方では、現在の私ども職業安定行政全体でみていきますと、いわゆる偽装請負 などの請負自体が法的な枠組みを外れてしまっているというような問題点もありますの で、そこの取り締まりといいますか、規制はしっかりかけていくという前提も一方では あろうかと思っております。  もう1つの、アウトソーシングの形としては、派遣労働ということになっていまして、 この点については、先ほど研究会の検討状況を資料6で御説明したところでございます が、そのなかで、多様な雇用形態に対応する雇用率制度の在り方に関する研究会という ことで、論点の整理も進めさせていただいております。資料6の4ページ辺りから出て まいりますが、元々御指摘もあったところで、今回この研究会のなかで実態調査をして はっきりしたところですが、派遣労働者として働いている方々のなかに障害者の方が非 常に少ないという状況がはっきりしております。そのことをどう考えて、派遣労働にお いて障害者雇用をどういうふうに進考えていくかというような点、それから、やはり派 遣の場合は、雇用関係と指揮命令関係が分離をしているというところに特徴があります ので、そういったなかで、派遣元事業主と派遣先がどういうふうに役割分担をして障害 者雇用を進めていくかというような点そういった点を御議論いただいているところでご ざいます。  また、併せて、6ページにございますけれども、派遣の1つの形として紹介予定派遣 という形態がございます。派遣をした後、そのまま派遣先に直接雇用されるというよう なことを前提にした派遣を行うという形態でございますけれども、その点では、障害者 雇用を進めるに当たっては、例えばトライアル雇用と似たようなステップとして使える 場合があるのではないかという御議論もありますので、その点は、派遣本体の議論と少 し別途の観点から御議論もいただいているところでございます。そういった点を、今後 少し研究会で詰めていただきまして、その成果をこちらにも御報告をして、また議論を 深めてまいりたいと思っております。 ○今野会長  それでは、他にございますでしょうか。どうぞ、江口委員。 ○江口委員  資料5の助成金の見直しの4番ですが、重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金 の見直しということで、私どもこのうちの2億円というのを8年前に受給いたしました。 今回、私の理解不足かも知れませんが、1事業所当たり1億5,000万円から2億円が、1 事業主当たりの上限額になっていますが、これは、理解としては、どういう形で理解を したらいいのかということです。事業所と事業主当たりの違いと、それから、1法人当 たりの上限額が4億円というのは、僕はすごく有り難いことだと思いますが、これはい つ頃からこの見直しの作業に入られて、それが実行されるような形になるのかという2 点をお尋ねしたいと思います。 ○今野会長  どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  事業所と事業主、あるいは法人と書いてしまっているので、少し書き方が混乱をして いるのですが、事業所は各事業所毎で、法人でみた場合には、複数の事業所について、 この「重多」の助成金をお出しをしているケースがあって、それで特定の事業主の方、 法人にかなりの額が出ているというケースが出てくるということがございます。そこで、 ここにもちょっと記載しましたように、助成金の性格からしてより多くの事業主の方に 広くお使いをいただきながら、障害者雇用を進めていくということも考えていく必要が あるのではないかということです。そこで、事業所当たりの上限額は引き続き現行を維 持しつつ、かつ複数の事業所についてお使いをいただくような場合でも、全体としては、 その法人では4億を限度とするというふうに制度を仕組みたいということでございます。 ○江口委員  設備更新に関しては、現在、例えば1億円とかあるんですが、これはそこには及ばな いということですか。 ○障害者雇用対策課長  これは第1種ですので、施設設置の最初の新設のところについて考えるということで ございます。それで、時期としましては、これから詰めて、できれば今年の4月から、 新年度から適用したいと考えております。 ○今野会長  他にございますでしょうか。どうぞ。 ○瀧澤委員  初めての出席でありますが、2ページ目の5番のトライアル雇用について、これは有 効な施策だということについては御意見がありましたが、私も民間の企業にいて、こう いう仕組みというのは非常に有効だと思います。これは、予算が9億円の実績が、予定 額が9億200万円で、対象者数は6,000人が8,000人と相当数増えるわけですが、当年 度6,000人規模での9億円というのは、十分だったのかどうか。8,000人に規模を拡大 して、この程度の予算規模で対応は可能なんだろうか、お聞きしたいと思います。 ○今野会長  どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  今御指摘のあった点ですが、まず、予算の額について御説明申し上げますと、実はこ こに記載しておらず、先ほどの説明でも申し上げなくて恐縮だったんですが、トライア ル雇用の奨励金の単価を引き下げております。これは障害者に限らず、全体として、単 価の引き下げを今回行っております。今まで月額5万円を3カ月にわたり支給するという ことに対しまして、来年度からは月額4万円で3カ月というふうに変えているところでご ざいます。その結果もございまして、6,000人から8,000人に増枠をしたにも拘わらず、 予算額は大きくは増えていないという形になっているところでございます。  現在の活用状況なんですけれども、今年度はまだ年度末まできていませんので、数字 ははっきりしておりませんが、少なくともこの1月、2月までの状況をみますと、既に 6,000人に近い状況になっておりまして、その意味では、枠を目いっぱい使っていると いうか、むしろ予算との関係でいきますと、かなり調整をしながら使っているという状 況になっておりますので、そういったこともあって、19年度は8,000人というふうに、 財務当局の理解も得て、広げることができているところでございます。  何れにしても、この制度自体非常に有効にお使いをいただいておりますし、また、そ の結果として、常用雇用にも8割以上結びついているというような意味で、効果も高い 事業だと思っておりますので、19年度の状況もみつつ、また、さらなる拡充が必要かど うか、検討しながら進めてまいりたいと思っております。 ○今野会長  まだご質問があるかと思いますが、もう1つ議題がありますので、先に進めさせてい ただきます。最後の議題は(4)「労働政策審議会障害者雇用分科会運営規程の改正に ついて」です。事務局から説明をお願いします。 ○障害者雇用対策課長  資料9です。この分科会の各側の人員構成については、障害者雇用分科会の運営規程 の中で定めています。今回、事務局からお諮り申し上げたいと考えていますのは、趣旨 の所に書いていますように、今後検討を進めていくに当たりまして、特に企業規模別に みた障害者の雇用状況を踏まえながら、対策の充実強化についてご検討をいただきたい ということがあります。そこでより幅広く労使関係者のご意見を聞くことができればと いうことで、今回の改正をお諮りをする次第です。  改正の内容ですが、2に記載しているように、労働者を代表する委員及び使用者を代 表する委員の数を、それぞれ現行の4人から5人に改めさせていただきます。これと併 せて公益を代表する委員の数を、8人から6人に改めるということです。4月に委員の 改選が予定されているので、この改選期から新しい構成でお願いできればということで す。 ○今野会長  ご意見ございますか。よろしいでしょうか。これはここでご承認いただくことになる のですね。よろしいでしょうか。                 (承認) ○今野会長  ご承認をいただいたということにさせていただきます。これで本日の議題は終わりま す。最後、急いだものですから、何か言い残したことがありましたらご意見をいただけ ればと思います。 ○西嶋委員  今日の議題とは違うのですが、毎回企業側からお話をしていたハローワークの役割と いいますか、ハローワークのご担当の方によって、ずいぶん企業の支援が違うというお 話をさせていただきます。  東京都内では特例子会社を作るときにだいぶ支援が出来てきたのですが、大分のほう でお話をしていたら、大分県も特例子会社はたくさんあるのですが、今までにあった大 分県の特例子会社は、本社が全部東京だったらしいのです。ですから、県でハローワー クが実際にやるのは始めてだったので、資料も何もなくて、企業の方が結局は東京まで 来ていろいろな資料を取って、それで対応したという、大変苦労をされたというお話を 伺ったので、是非各県に1つのハローワークに、資料が揃っていないというのはおかし いとは思うのですが、そういうことがわかっている方を、是非配置していただきたいと 思ったのが1つです。  もう1つは、福祉関係では自立支援法により、A型、継続支援のほうにいく方たちの 中で、今度お金が日割りになっていますね。その中で継続は労基法の中の対応になるの で有給休暇が義務づけられているのですが、有給休暇を取ったときに、自分の所に来な かったのでお金が入らない。でも、有給休暇は与えなければいけない。これはおかしい のではないかという話が出ていて、確かにそうだと思っていて、労働側と福祉側のとこ ろの調整ができていなかったのではないかというのがあったのです。その辺、有給休暇 という考え方が福祉側の中にないので、有給休暇を取ったときに、事業所のほうにお金 が入らないという事実になっているようですが、その辺は検討して変えていただけたの でしょうか。もう1つは是非、労働側と福祉側とを密にして、そこにちょっと穴が開て いるのかなというふうに思ったものですから、発言させていただきました。 ○今野会長  1点目はしっかりしろ、頑張れ。2点目については。 ○障害者雇用対策課長  1点目も、いまお話があった大分のケースは実は別の方からも同じようなご指摘をいた だいて、そのケースの話ではないかと思われますので、大分だけの問題ではないと思い ますので、しっかりと胸に止めてやっていきたいと思っています。2点目ですが、基本 的にはいまのお話は、制度のつくりとしては障害保健福祉部の自立支援法の制度の運用 の考え方ということであろうかと思います。そういった問題提起があることは、私ども 聞き及んでいましたので、また、この場でそういうご意見があったということを担当に きちんと伝えておきたいと思っています。 ○今野会長  時間になりましたので、今日はこの辺で終わりにさせていただければと思います。今 日の議事録の署名ですが、労働者代表は瀧澤委員、使用者代表は輪島委員、障害者代表 は副島委員に、それぞれお願いをしたいと思います。それでは、終わります。ありがと うございました。              <照会先>                厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係                〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2                   TEL  03(5253)1111 (内線 5783)               FAX  03(3502)5394