07/03/06 第4回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会議事録 第4回化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会 日時 平成19年3月6日(火) 15:00〜16:30 場所 三田共用会議所大会議室D・E ○永野化学物質評価室長補佐 ただいまから、「第4回化学物質による労働者の健康障害 防止に係るリスク評価検討会」を開催します。本日は年度末の大変お忙しい中をご参集 いただき、誠にありがとうございます。  本日は全員の委員の方がご出席されています。また、本日もオブザーバーとして、厚 生労働省の委託によりリスク評価事業を実施している中央労働災害防止協会化学物質管 理支援センターよりご出席いただいております。以後、座長の櫻井先生に進行をお願い いたします。 ○櫻井座長 議事進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 まず、議事に先立ち、資料の確認をいたします。事務局からお願いします。 ○永野化学物質評価室長補佐 まず、いちばん上に「次第」があります。2枚目に「配 付資料一覧」があります。資料4−1が「第3回化学物質による労働者の健康障害防止 に係るリスク評価検討会議事概要(案)」でございます。資料4−2が「許容濃度、TL Vにおける発がん性の考慮について」です。資料4−3が「ばく露測定データ」、資料4 −4がリスク評価物質の「ばく露の状況と対策の方向性について」です。資料4−5が 「リスク評価対象物質による災害事例」です。資料4−6が「リスク評価対象物質の現 行規制等」です。資料4−7が、「製造禁止物質及び特定化学物質の規制内容」です。資 料4−8が「報告書骨子案」です。あと、参考資料として、参考1が「リスクの判定方 法の考え方等について」、参考2が平成18年度リスク評価対象物質の「評価基準値候補 リスト」、参考3が「エピクロロヒドリン ACGIH提案理由書」になっています。参 考4が「塩化ベンジル ACGIH提案理由書」、参考5が「1,3−ブタジエン ACG IH提案理由書」です。参考6が「ホルムアルデヒド ACGIH提案理由書」、参考7 が「ホルムアルデヒド 日本産業衛生学会提案理由書」、参考8が「硫酸ジメチル ACG IH提案理由書」です。参考9が「硫酸ジメチル 日本産業衛生学会提案理由書」、参考 10が「ホルムアルデヒドIARCモノグラフ要約」になります。参考11が平成5年の 労働基準局長通達、「変異原性が認められた化学物質等の取扱いについて」です。参考 12が平成17年3月16日付けの化学物質対策課長通達、「エピクロロヒドリンの生殖毒 性に係る有害性調査の結果及び健康障害を防止するための措置について」になります。 参考13が平成8年の労働基準局長通達、「変異原性が認められた化学物質の取扱いにつ いて」です。参考14が平成9年の労働基準局長通達、「変異原性が認められた化学物質 の取扱いについて」です。参考15が平成14年の労働基準局長通達、「職場における屋 内空気中のホルムアルデヒド濃度低減のためのガイドラインについて」です。最後、参 考16が平成6年の労働基準局長通達、「変異原性が認められた化学物質の取扱いについ て」になっています。以上です。 ○櫻井座長 ありがとうございました。お手元にそろっているようですので、先に進ま せていただきます。まず、前回議事概要の確認を行います。事務局から説明をお願いし ます。 ○永野化学物質評価室長補佐 前回議事概要(案)が資料4−1になります。これも目 を通していただいて、お気づきの点があれば、のちほど事務局にご連絡いただければと 思います。 ○櫻井座長 そのようにお願いします。議事に入ります。最初の議題として「対象物質 のリスクの判定について」です。事務局から説明をお願いします。 ○永野化学物質評価室長補佐 前回の会議で、リスクの判定方法等についてご検討いた だきました。一応、概ねご了承いただいているのですが、念のため確認いたします。参 考1をご覧ください。これは前回、第3回の資料です。「リスクの判定方法の考え方等に ついて」ということで、まず一次評価、スクリーニングとしてがんの過剰発生率10−4 に対応した濃度で一次評価をする。二次評価として原則は日本産衛学会の許容濃度、も しくはACGIHのTLV、どちらかを使って二次評価を行う。ただし、硫酸ジエチル のような物質、許容濃度もTLVもない物質については類似の有害性がある、構造的に 似た物質の値を用いる。硫酸ジメチルを使うということで、2頁にあるような表を評価 値として使う。  エピクロロヒドリンについては、一次評価値が0.11ppm、二次評価値がACGIHの 0.5ppmでした。塩化ベンジルについては一次評価値が0.005ppm、二次評価値がACG IHのTLV、1ppmでした。1,3−ブタジエンについては一次評価値が0.007ppm、 二次評価値がACGIHのTLV、2ppmです。ホルムアルデヒドについては一次評価 値が0.033ppm、二次評価値についてはACGIHの方が天井値として0.3ppm、また日 本産衛学会の許容濃度では0.5ppmという許容濃度が勧告されています。どちらかを使 うというのは今日ご検討いただければと思います。硫酸ジエチルについては硫酸ジメチ ルの許容濃度、ACGIHのTLVも同じ値ですが0.1ppmを評価値として使う。  この評価値を用いて評価をして、二次評価値を超える場合には、労働者の健康障害に 係るリスクが高いと判断されることから、必要な行政措置のレベル及びリスク管理のあ り方を検討する。  ばく露レベルが二次評価値以下の場合、労働者の健康障害に係るリスクはアより低い と判断されることから、個々の事業者においてリスクアセスメントの実施による自主的 な管理を促進する等の措置を検討する。さらに一次評価値又はがんの過剰発生率10−3 に対応した濃度を超える場合は、必要に応じ、より具体的な措置の実施を検討する。  前回のご議論で、がんの一次評価値で閾値がないとして、ユニットリスクから求めた 評価値を使う。二次評価値ではACGIHのTLV、産衛学会の許容濃度を使うことに ついて多少ご議論があったところです。許容濃度やTLVでどのぐらい発がん性の考慮 がされているのか、資料4−2でまとめています。こちらを初めにご説明したいと思い ます。  資料4−2をお開きください。エピクロロヒドリンについてはACGIHが0.5ppm というTLVを勧告しています。ACGIHの中での考え方として、動物については鼻 腔の扁平上皮細胞のがんの証拠がある。ヒトについては、後ろ向きコホート研究におい て1〜5ppm/8hourのばく露を受けた作業者で、呼吸器系のがんのリスク増加がみら れなかった等の考え方が示されています。  塩化ベンジルはTLVが1ppmですが、塩化ベンジルをマウスに強制経口投与した結 果、前胃で乳頭腫とがん腫が統計的に有意な増加をしているが、ヒトの発がんに関して は、十分なデータがない等の発がん性の考え方が示されています。1,3−ブタジエン はTLVが2ppm、これは発がんを根拠としたTLVになっています。ヒトの疫学研究 から、リンパ幹細胞がんや白血病が有意に増加することが明らかとなっている。許容濃 度の2ppmについては、上述の研究のばく露濃度が25ppm以上であることより十分な マージンを取っているとしている等の考え方が示されています。  ホルムアルデヒドについては、ACGIHが0.3ppm、これは天井値でございます。 ラットとマウスを使った動物吸入慢性試験において、扁平上皮変質形成、鼻腔乳頭状過 形成、扁平上皮細胞の悪性腫瘍などを示すいくつかの報告がある。1989年にTLVを変 更した主たる根拠は刺激を低減することであるが、別の根拠としてヒトのがんの症例報 告等を考慮している等の考え方になっています。  また、産衛学会の0.5ppmは1988年、古い時代の勧告です。許容濃度提案理由は眼、 鼻、呼吸器に対する刺激症状からの保護であり、提案理由の中に発がんは考慮されてい ないという考え方になっています。  裏側が硫酸ジメチルになります。TLV、ACGIHが0.1ppmです。これは一義的 には刺激なのですが、発がんにも有効ということでこの0.1が決められているようです。 硫酸ジメチルのラットへの吸入試験、皮下投与試験及び静脈内投与試験の結果によるラ ットの悪性腫瘍の発生が見られる。ヒトの発がんに関する研究においては、限定的な結 果しか得られていない等の考え方が示されています。  産衛学会の0.1ppmでは、ラットでの吸入試験がばく露濃度10ppm、3ppmの結果 から悪性腫瘍の発生が認められた。ヒトでのコホート調査、ばく露濃度1ppm以上では 眼及び皮膚への火傷の痕跡は確認されたが、死亡率の変化はなかった。ACGIH(1977 年)がTLVを1ppmから0.1ppmに変更した提案理由に、実験的に発がんを考慮した 濃度として提案された。上記の3点より発がんを考慮しても0.1ppmが妥当であると提 案されているという考え方が示されています。  本題に入る前に、前回多少ご議論がありましたので、資料をまとめました。以上です。 ○櫻井座長 ありがとうございました。ただいまご説明がありました。いかがでしょう か、ご質問やご意見がありましたらどうぞ。前回、いろいろ討議があった部分です。二 次評価値として提案されているACGIH等の許容濃度は、必ずしもその数値それ自体 は発がんの予防を目標としたものではないということが1つ議論の課題であったわけで す。その数値を導き出す過程では発がんも考慮していることが、ただいまのまとめの資 料で示されているということです。よろしいでしょうか。前回、二次評価値としてAC GIH等の許容濃度等を使用するということでご承認いただきました。そのとおりでよ ろしいですか。 ○和田委員 何となく、後ろめたい感じがするだけのことです。10−4という基本的な推 定で、それよりも多かったから仕方がないから許容濃度を使うという建て前が何となく 理解できない。きちんとしているかどうかわかりませんが、アメリカなどでやっている ような推定の方法ではとても満足しない。それでは、TLVにしようかという感じを与 えてしまうと、ちょっと後ろめたい感じがするだけのことです。何のために、最初にま ず10−4で見たか。たまたま、それ以下だったらもう安心ですというために見たのかと いうことになります。ただ、これは考え方で、皆さんが納得すればそれでかまわないと 思います。 ○櫻井座長 前回議論していますので、また繰り返してもと思いまして。和田委員がそ のような気持でおられるのは拭い去ることはできないにしても、こういったリスクの判 断でいつも対応しなければならない部分かと思います。 ○和田委員 むしろ、逆にTLVでやります。考慮したTLVでやるのが認められたの で、考えましょうということで始めると、すっきりしてしまうのではないかと思います。 わざわざ、「10−4」を取った意味が何なのか、よくわからなかったものですから。ただ それだけのことです。 ○櫻井座長 それでは、先へ進んでよろしいでしょうか。ばく露測定の結果が出ている ようですので、その状況について説明してください。 ○永野化学物質評価室長補佐 本日の主題は対象物質のリスクの判定についてと、それ に応じた健康障害防止対策ということになっています。判定と対策とは密接に関連して いますので、議題1と2を併せて説明させていただきたいと思います。資料4−3から 資料4−7に基づいてひととおりご説明し、そのあとでご議論をいただければと思いま す。  まず、資料4−3が「ばく露測定データ」となっています。表1が今年度、リスク評 価事業の関係で、各対象物質について事業場を選定して測定した全部のものを対象物の 製造、他用途使用ということで分類して集計したものであります。ただ、細かいところ がよくわからないので、個々の物質についてはまた3頁以降で見ていきたいと思ってい ます。  2頁目が前回の資料でもありましたが、ホルムアルデヒドについては、中災防で厚生 労働省の委託事業の関係でシックハウスの対策ということで、過去にいろいろな用途に ついて濃度を測定した結果があります。ホルムアルデヒドの製造とか、ホルムアルデヒ ドを原料とした化成品等の製造、メッキ処理、塗料の製造、病理検査、建材の原料とし ての使用等といったものについて調べています。黄色が一次評価値を超えるもの、10 −4  に対応した濃度を超えるものになります。オレンジがACGIHの0.3ppmを超えるも のになります。スポット測定のところで見ていただくと、平均でも0.3を超える部分が 非常に多くなっています。最大を見ると、9ppmや11ppmという非常に高い濃度も測 定されているという状況です。  1頁の表をもう少し細かく分析をしたものが、3頁になります。この測定結果と対策 の方向性を併せて見ていただくほうが早いかと思います。資料4−3の3頁と資料4− 4を2つ並べて見ていただければと思います。まず、資料4−3の3頁はエピクロロヒ ドリンの測定結果について、左側がA測定の結果、右側が個人ばく露測定結果になって います。まず、A測定を見ると0.5ppmのところに引いてあるのが二次評価値、ACG IHのTLV0.5ppmです。下にある点線が一次評価値、10−4に対応した濃度レベルで 0.11ppmになります。それぞれの単位作業場ごとのデータを低い順に、1から順番に19 まで左から並べたものであります。右側が個人ばく露測定の結果、これも同じ縮尺です。 それぞれの労働者の個人ばく露の測定データを低い順に、1から27まで左から順番に 並べたものになっています。これを見ると、まずA測定の結果はほとんどが一次評価値 よりも低い、0.11ppmよりも低い値になっています。2つの単位作業場で一次評価値を 超える部分がありますが、二次評価値、0.5ppmと比べると大幅に下回るという結果に なっています。幾何平均も0.062ppmということになっています。  右側の個人ばく露の結果ですが、ほぼ一次評価値よりも低くて、右側の25、26、27 の3人だけ0.11ppmを超えるというような結果になっています。二次評価値の0.5ppm よりは下回っている。幾何平均が0.016ppmという結果になっています。  この結果から資料4−4、それぞれの物質についてばく露の状況、対策の方向性とい うことで事務局(案)を書いています。まず、ばく露の状況がA測定、個人ばく露測定 の双方において、一部の事業場においては10−4に対応した濃度を超えるデータが見ら れるが、測定したいずれの事業場においても許容濃度以下である。こういったことから、 対策の方向性としては事業者においてリスクアセスメントを実施して、引き続き適切な 管理を行う。強制的な規制などというようなものではなくて、事業者の自主的なリスク アセスメント管理に任せるような方向性でどうかと思っています。各物質については、 また個別にご議論をいただければと思います。  4−3の4が塩化ベンジルになっています。同じように左側がA測定結果、右側が個 人ばく露の測定結果になります。上の横にある実線が二次評価値で、TLVは1ppmに なっています。下のほうに張り付くように点線がありますが、これが一次評価値の 0.005ppmになっています。A測定の結果、一次評価値は非常に低い値なので、これを 超えるような状況になっていますが、二次評価値の1ppmについてはいずれも超えてい ないという結果になっています。幾何平均が0.036ppmという結果になっています。個 人ばく露の結果ですが、一次評価値を超えている部分も結構あります。ただ、平均が 0.007ppmということで、二次評価値の1ppmよりはるかに低い値になっています。  こういったことを踏まえ、資料4−4をご覧ください。塩化ベンジルについてはA測 定、個人ばく露測定の双方において、10−4の濃度を超えるデータが見られるが、測定し たいずれの事業場においても許容濃度以下である。対策の方向性としてはエピクロロヒ ドリンと同様、事業者においてリスクアセスメントを実施して引き続き適切な管理を行 う。そういう方向性でどうかというように考えています。  次が1,3−ブタジエン、資料4−3の5頁です。これは上の2つとは多少違う結果 になっています。右と左で縦の縮尺が違っています。左側のA測定では0.3ppmまでの スケールになっていて、個人ばく露では70ppmまでのスケールになっています。まず、 A測定の結果を見ると、下に点線であるのが一次評価値の0.007ppmです。これはいず れも超えています。二次評価値が、A測定には書き切れていませんが2ppmですので、 A測定の結果はいずれも二次評価値を下回っていることになります。  右側の個人ばく露を見ると、下の実線が二次評価値の2ppmになっています。24番 目ぐらいまでの労働者については二次評価値、ACGIHのTLV2ppmを下回ってい ます。一部の事業場、黒っぽい色で書いてあります製造工程は同じ会社での結果になっ ています。黒っぽいのが1,3−ブタジエンを製造している工程での労働者の個人ばく 露、斜線になっているのが1,3−ブタジエンを使用したゴムを合成している工程での ばく露ということになっています。  もう少し詳しく見るとプラント等、いずれも屋外の作業でばく露しています。プラン トのラインが通常は密閉された中を流れているのですが、定期的にこれをサンプリング する作業が屋外であります。そういう作業によってばく露をしていると思われるもので あります。  こういった結果を見て、資料4−4の1,3−ブタジエンをご覧ください。A測定に おいては10−4に対応した濃度を超えてはいるが、測定したいずれの事業場においても 許容濃度以下である。個人ばく露測定においては、許容濃度を大幅に超えるばく露が5 データ見られる。これは1,3−ブタジエンの製造工程のA社で4データ、及びその合 成ゴム工程B社で1データになります。個人ばく露が高いデータは、屋外のサンプリン グ等の作業であったということになります。  対策の方向性としては、この部分の対策を講じる必要がある。ばく露の高いデータは いずれも屋外の作業であるため、局所排気装置等の設置が困難な場合、通常局所排気装 置は屋内に設置するものになっていますが、屋外で困難な場合には防毒マスク等の保護 具の着用によるばく露防止対策をして作業を行う必要性がある。そのほか、ばく露の低 い作業についてはリスクアセスメントを実施して、引き続き適切な管理を行うという方 向性でどうかと考えています。以上がブタジエンでございます。  資料4−3の6頁がホルムアルデヒドのデータになります。上下に分けていまして、 上がA測定の結果、下が個人ばく露の測定結果です。いちばん下にある0.033ppmが一 次評価値、あと二次評価値、実線で書いてある日本産衛学会の許容濃度が0.5ppmです。 また、ACGIHの天井値、その下に0.3ppmが示してあります。どちらを使うかとい うことですが、産衛学会のほうは先ほど資料4−2にもありましたように、提案された 年度がかなり古い時代のものです。0.3のほうが低いということもあって、0.3のほうで 見たほうがいいのではないかと考えています。一応、結果としては、A測定値が一部0.3 の天井値を超えている部分がある。例えば20以降のものは0.3を超えていますが、19 以下のものでも瞬間的にはもしかしたら0.3を超えている部分があるかもしれない。天 井値ということで、実際に比較するのはこの半分程度で、もう少しこれを超えている部 分があるのかもしれません。  下の個人ばく露測定の結果ですが、0.3を超えている部分が右のほうにかなりありま す。超えた部分については、どのような作業かを少し分析しています。斜めの線になっ ているのがA社で手持ち吹き付け塗装、一応局排があるということで保護具を使用して いる。  横の太い縞模様がB社で、手持ち吹き付け塗装、局排、やはり保護具があり。あと、 グレーの網掛けになっているのがフェノール樹脂の製造、局排があって、保護具はない。 細い横線がアミド樹脂の製造、局排がなくて、保護具が使用されている。  0.3を超えている部分にはこういうところがあります。0.3はあくまでも天井値という ことで、42以下の作業についても瞬間的には0.3を超えている部分があるのではないか。 0.3は天井値ということで、時間平均で考えるとその半分程度、0.15や0.1程度の濃度 を考えれば相当な作業、あるいは個人ばく露測定の結果で、許容されるレベルを超えて ばく露をしているのではないかと考えられます。  そういった結果を踏まえ、資料4−4のホルムアルデヒドの考え方であります。ばく 露の状況としては、A測定においては10−4のリスクレベルを超える事業場が多く、か つACGIHの許容濃度0.3ppm、天井値を超える事例も3件あります。  個人ばく露測定においては、ACGIHの許容濃度を超えるばく露が14データ、複 数の事業場及び複数の作業において許容濃度を超える事例が見られる。許容濃度を超え るデータは屋内での作業であることから、密閉化、局所排気装置等の設置により適切に 管理をする、という対策を実施していただく必要性があるのではないかと考えています。 また、労働者の健康管理については、ホルムアルデヒドを原因とするがんについて、特 徴的な症状を検査するということがいまのところはっきりしない、困難なことというこ とに配慮する。ただ、ばく露が実際高いということで、それに配慮しつつ適切な健康管 理を行っていく。例えば、一般健診に対応した項目の健診を半月に1回行う。これは特 化物の中でも、数年前に追加されたエチレンオキシドについても同じような取扱いをさ れています。そういったことを考慮しつつ、適切な健康管理を考えていくのかなと思っ ています。ホルムアルデヒドは以上です。  最後が4−3の7頁、硫酸ジエチルの結果であります。これも上下になっていて、上 がA測定の結果、下が個人ばく露結果です。まずA測定です。硫酸ジエチルについては 一次評価値がありません。二次評価値、硫酸ジメチルの0.1ppmと比較する。A測定の 結果については、すべての単位作業場所で0.1ppmを下回っているという結果になって います。  個人ばく露の測定結果については非常に低いところがほとんどで、0.1ppmを下回っ ていますが、一部、右側のほうで超えている部分があります。特に、一労働者の個人ば く露の測定は非常に高い濃度になっている部分があります。これは特殊な樹脂を製造す る工程で、硫酸ジエチルを触媒として使う。普通、樹脂などを作るときはエチル化剤と して使うので、短時間に硫酸ジエチルは分解してほかの物質になるのですが、この工程 では硫酸ジエチルは触媒として使われていて、反応させている間中ずっと残っていると いう工程になっています。この会社に聞いてみたところ、「ほかにこのやり方で、このよ うなものを作っているところはないのではないか」ということをおっしゃっていたとの ことです。非常に特殊な作業なのかなと思っています。反応釜開放工程で局排とか、保 護具は使っているということです。  こういった結果を踏まえ、資料4−4の硫酸ジエチルの部分をお開きください。A測 定においては測定したいずれの事業場においても硫酸ジメチルの許容濃度以下であった。 個人ばく露測定においては、硫酸ジメチルの許容濃度を大幅に超えるばく露が1データ、 いちばん右側の21番をご覧ください。許容濃度を大幅に超えるばく露が見られました が、これは他の製剤の製造作業におけるばく露、特殊な樹脂の製造におけるばく露であ ります。  こういった結果を踏まえ、対策の方向性として、A測定においては許容濃度を超えて いないが、個人ばく露濃度が許容濃度を大幅に超えるものが1データあることから、同 様の作業においては密閉化等の措置を行っていただく必要があるのではないか。そのほ か、ばく露の低い作業についてはリスクアセスメントを実施して、引き続き自主的に、 適切な管理を行っていただくということではどうかと考えています。以上、一応、資料 4−3、4−4、結果とそれを踏まえた事務局としての対策の方向性の考え方になりま す。資料4−5をご説明し、そういった状況を踏まえて4−4の方向性について、再度 ご検討いただければと思います。  資料4−5は今回の5物質、リスク評価対象物質で実際に災害という形で何か起きて いるのかを見ています。これはすべて把握をしているということではなくて、労働基準 監督署で災害の調査をして、本省に報告があったものの中で、対象の5物質ではないか と思われるものを抜き出したものです。平成6年から平成16年までのものになってい ます。結論から言うとホルムアルデヒドしかありませんでした。ほかの4物質について は、災害の事例は見つかりませんでした。  基本的に、これは中毒的な災害しか把握できない仕組みになっています。がんのよう なものは、ばく露してから何十年かたって発症しますので、監督署が把握して調査をす るというシステムには乗らない形になっています。あくまでも、中毒的な災害があった ものの中では、例えばホルムアルデヒドを検査室で使っていて、それが気化して被災し たとか、ホルムアルデヒドを使用して、それを吸入して中毒を起こしたという事例があ ります。多少、メタノールなどが含まれているものもあってはっきりしない部分もある のですが、一応幅広くホルムアルデヒドが疑われる災害についてこういうものがある。 これを参考に、対策の方向性についてご検討いただければと思います。  資料4−6は評価をしている5物質について、現行ではどういう規制、あるいは通達 等の指導がなされているのかをまとめたものです。労働安全衛生法の法律に基づく義務 規定、あと指針や通達等、強制力のない、指導的な基準があります。エピクロロヒドリ ンについては特別規則の対象にはなっておりません。また、安衛法の第57条が化学物 質を含有している製剤等を譲渡提供したりする人が容器や包装に表示をするという規制 があります。ただ、エピクロロヒドリンについてはこの表示義務はかかっていません。 第57条の2に基づくMSDSについてはこれが法的な規制の対象になっています。  また、指針・通達等の関係では、平成3年に「変異原性が認められた既存化学物質の 取扱いについて」という通達が出ています。平成5年に通達が見直され、平成5年5月 17日付け第312号の3という通達に統合されています。具体的に何が示されているか は参考資料11になります。参考資料11、平成5年5月17日付けの労働基準局長通達、 「変異原性が認められた化学物質等の取扱いについて」となっています。事業者から届 け出られた新規化学物質の有害性調査結果及び国が自ら実施する既存化学物質の有害性 調査の結果、強度の変異原性が認められたものについては、この通達の後ろに付いてい ますが、指針を定めています。これに基づいて、ばく露防止に努めていただくという内 容の通達になっています。  4頁の既存化学物質の中で、11、「1−クロロ−2,3−エポキシプロパン」がエピ クロロヒドリンのことですが、これが変異原性物質であるということが示されています。 具体的には5頁から、「変異原性が認められた化学物質による健康障害を防止するための 指針」が定められています。この指針に基づいて、例えば作業環境管理をする。使用条 件等の変更、作業工程の改善、設備の密閉化、局所排気装置等の設置、あと作業管理、 作業位置や作業姿勢、作業方法の選択、保護具等の使用といった措置をする。また、局 所排気装置等の設備については適正に稼働させる。定期的に点検する。作業規程を定め る。可能なものであれば3の作業環境測定をする。4の労働衛生教育をする。そういっ た指針が定められています。これに基づいて、エピクロロヒドリンについては事業者に 適切なばく露防止措置に努めていただくようにお願いをしているところです。  エピクロロヒドリンについてはもう1つ通達が出ています。平成17年、化学物質対 策課長名の通達です。「エピクロロヒドリンの生殖毒性に係る有害性調査の結果及び健康 障害を防止するための措置について」という通達が参考12になります。日本バイオア ッセイ研究センターにおいて生殖毒性の試験をした結果、動物に生殖毒性が認められた。 そのことから、基本的には有害性に留意をして、平成5年に定められた指針に基づいて 適切な措置を講じてください、という内容の通達がエピクロロヒドリンについては出さ れています。  資料4−6に戻ります。塩化ベンジルについては特別規則の対象にはなっていません し、表示の対象にもなっていません。ただ、MSDSの対象にはなっています。また、 通達等では、エピクロロヒドリンと同じような形になりますが、平成8年に変異原性が 認められた化学物質として指定されています。平成5年の通達の中にあった指針に基づ いた、適切な措置を講じていただくようにということをお願いしているところです。  1,3−ブタジエンについては表示、MSDSの対象になっています。通達では同じ ように、平成9年に変異原性が認められた物質として、指針に基づいた措置を講じてい ただくようにという対象になっています。  ホルムアルデヒドについては特定化学物質障害予防規則における第3類物質というこ とになっています。一言で言うと大量漏えいしたときのばく露対策、特定化学設備のい ろいろな要件などを定めているのが第3類物質になっています。表示とMSDSの対象 になっていて、平成14年にはシックハウスの関連でガイドラインが出されており、参 考資料として添付しています。  硫酸ジエチルについては、法的な義務としてはMSDSの対象になっている。エピク ロロヒドリン、塩化ベンジル、1,3−ブタジエンと同じように、平成6年に変異原性 が認められた化学物質として、平成5年の指針に基づいた適切な管理をしてくださいと いう要請をしている。いま現在のところはそういう状況になっています。  資料4−7はホルムアルデヒドの関係です。製造禁止物質、あと特定化学物質につい て規制がどうなっているのかを物質ごとにまとめたものです。製造禁止物質は黄リンマ ッチ、石綿、ベンゼンゴムのり、これに指定されているものは当然製造や使用が禁止さ れています。特化物については1類物質、2類物質、3類物質、大きく3つに分かれて います。1類物質が製造許可物質になっています。PCBのような物質が製造許可物質 になっています。数的にいちばん多いのが第2類物質になっています。塩化ビニルやエ チレンオキシド、ベンゼンという物質などが第2類物質になっています。現在、ホルム アルデヒドは第3類物質です。アンモニアや一酸化炭素、塩酸や硝酸、硫酸と並びの物 質になっています。  先ほども少し申しましたように、第3類物質の規制は何がかかっているかというと、 1つは安衛法の14条というところの「作業主任者の選任」というのがかかっています。 あとは第57条の「表示」、雇入時の「安全衛生教育」、安衛法に基づく、そのような措 置があります。そのほか、特化則の中では、12条の2というところで「ぼろ等の処理」、 第4章の「漏えいの防止」という対策が義務づけられています。細かいところでは「床 の構造」、関係者以外の「立入り禁止の措置」、貯蔵するような「容器等」はきちんとし た容器に入れるとか表示をする。  下のほうに「緊急診断」等の措置がかかっています。通常の作業などでの直接的なば く露防止対策、例えば排気装置を設置する、作業環境の測定をする、健診などは3類物 質では義務づけられていない。基本的には、第2類物質がそのような扱いになっていま す。方向性としては、ホルムアルデヒドについては屋内での作業であることから密閉化 や局所排気装置等の設置により適切に管理をする。そういう対策が有効ではないかと考 えています。例えば、規則で見ると第2類物質では第4条、第5条、密閉式のものにす る、局排を設ける、あるいは、プッシュプル型換気装置を設けるというのが原則かかっ てくる。そのほか、作業環境の測定も第2類物質ではかかってきて、作業環境管理をや っていただくようなことになります。  健康診断については、原則は物質の特性に応じた健診項目、特化則上の特殊健診が原 則になります。エチレンオキシドでは安衛則第45条に基づく一般健診の項目を6カ月 以内ごとに1回行っていただくような形になっているものもあるので、そういったもの を考慮して、適切な健康管理の方法を考えていくことがあるのかなと思っています。  以上、ばく露の測定の結果と状況に対応した対策の方向性、事務局としての取りあえ ずの考え方をお示ししました。これについて検討いただければと思います。 ○櫻井座長 ただいまばく露のデータのまとめ、それを評価した上での対策の方向性に ついての提案、資料4−3、4−4で主として説明があり、それを補足する資料として 4−5から4−7までの内容についての説明がありました。ご質問、ご意見等何かござ いますか。 ○和田委員 資料4−2から4−6について教えていただきたいと思います。4−2に 関しては塩化ベンジル以外は発がん性を一応考慮している。発がんを取り入れて考えた 値でTLVを使うという根拠になると思います。それはいいのです。ただ塩化ベンジル だけは測定値が非常に低いのです。これは問題にしないでいいだろうということで、そ ういう意味でTLVを使う、許容濃度を使うというのは問題ないと考えていいのではな いかと思います。表の4−3について教えていただきたいのですが、これは基本的なこ とでこの前も聞いたのですが、許容濃度と管理濃度的な測定の濃度とは、暗黙の了解で ほぼ同じものと考えて判断しているのか。もともと許容濃度というのは、時間荷重平均 ですよね。それで健康影響です。そしてA測定、B測定というのは環境の良否を見るの が建て前です。そして計算の方法も違います。また天井値も入ってきてしまう。そうい う値を同じものとして見ていいかどうかです。いままでは大体慣例として同じと考えて やっていましたが、基本的に、その値を比較するのに同じものと考えていいかどうかで す。A測定、B測定をやった値をそのまま許容濃度と同じようにして、見て比べていい かどうかです。性質も違うし、測定方法、計算方法も違うものです。暗黙の了解でこれ はいいのだということであれば、それは問題ないと思いますが。それから個人ばく露濃 度というのは何を見ているのか。A測定、B測定を見ているのか。あるいは天井値を見 ているのかということで、考え方が、いろいろ比較の場合に問題になるのではないかと いう感じがしましたので、その辺りを皆さんが暗黙の了解でこれは同じものと考えます というのであれば、それでいいのではないかと思います。  資料4−4で、ホルムアルデヒドで対策の方向性として「配慮しつつ適切な健康管理 を行う」とは、具体的にはどういうことを、何を考えていらっしゃるのかを教えていた だければと思います。そして資料4−5では、これはあくまで被災したというのは事故 性の急性中毒ですね。こういう急性中毒の場合に、天井値として対処するのか、これは もう特殊な緊急なものですからもっと必ず高いはずです。そういうものは別に考えませ ん。これはあくまでも緊急性の急性中毒、事故性のもので被災したと考えるべきであろ うと思いますが。これをもって天井値で規制しようとしたら、これはとてもできない話 です。それから真ん中辺りの、シックハウス症候群として捉えた場合に、同じような濃 度で管理するのかと言われる可能性があると思うのです。シックハウスの場合はもっと 低い濃度で起きると一般的には考えられていますね。それをこういう中毒性の値で見る かということで、ここに「シックハウス症候群と見られる症状」と書いてありますが、 これも同じように規制を考えていくのかとなると、少し話が別になるのではないかなと いう感じがしますから、今回はあくまでも中毒的な考え方でやっていくということで、 了解して書かれればいいのではないかと思います。  資料4−6で、ホルムアルデヒドのガイドラインの場合の濃度はいくつになっていま したでしょうか。 ○永野化学物質評価室長補佐 原則は0.08で、特定の作業でホルムアルデヒドを取り扱 う所は0.25です。 ○和田委員 0.25になっていましたよね。それとの関係をどう考えるかですね。その辺 りの整合性を考えるのか、これはこれですよと考えられるのかなと思うのです。まとめ られた資料4−4の対策の方向性は、これで全く問題ないと思います。こういう考え方 でいけばいいのではないかと思います。その辺りと先ほど述べたことだけを明確にして おいていただければ問題ないと思います。 ○櫻井座長 いまおっしゃったのは。 ○和田委員 4−3です。4−4、4−2はこれは問題ないと。がんも考えてますよと いうことだけを確認しておけばいいと思います。4−3でA測定、B測定とTLVと同 じレベルで比較されているのは、暗黙の了解でいいとするのかだけのことです。 ○春日化学物質評価室長 事務局からですが、今回A測定のグラフと個人ばく露のグラ フと両方示したのですが、本来ユニットリスクあるいは許容濃度と比較するとすれば、 前回か前々回にも議論していただいたと思いますが、あくまで個人ばく露の結果と比較 すべきではないかと考えております。したがってグラフが2つありますが、個人ばく露 のデータで評価していただくのがよろしいのではないかと思っております。実際の環境 がどうなっているのかというようなことも参考のために見ていただく必要があるのかと 思い、A測定の結果も同じようなグラフで示しております。 ○和田委員 環境測定をやって、許容濃度で安全かどうかを見る場合に、個人ばく露と して鼻で吸っているもので測るのではなく、許容濃度と比較の場合は、普通はやはり環 境を測って、時間はどれだけでと掛けて、累積して割って出しますよね。必ずしも個人 濃度という考え方、個人ばく露という考え方が入ってきているとは思えないのです。あ る環境において環境測定をやって、一定時間吸って、それに時間を掛けて、また一定時 間吸って、時間を掛けていって、それであとは累積して割って出していますね。 ○櫻井座長 そうですね。 ○和田委員 ですから個人ばく露と言われると、鼻に吸入管を付けてやるものです。そ れはかなり違うと思うのです。個人ばく露でやるとしたら、とても高い値が出るはずな のです。だから個人ばく露は、いずれにしてもこの表で見てわかるように、必ず高いの です。それと一般のA測定、B測定で見るのとでは、全然重みが違ってしまうと思いま す。個人ばく露でやるとかなり高く出ますから。 ○櫻井座長 許容濃度はおっしゃるように、本来はその人が吸入するであろう濃度を常 に考えているわけです。だからいちばんいいのは、個人ばく露の濃度と許容濃度とを比 べてほしいわけです。そうでなくても、個人の平均的なばく露を示すであろうサンプリ ングであればいいということです。 ○和田委員 それはそれでやっていますよね。 ○櫻井座長 その数値を決めるときに、もともと出てくるデータも、そういうデータを 使わざるを得ない場合もあります。 ○和田委員 それと時間加重平均ですから。 ○櫻井座長 時間加重平均です。 ○和田委員 朝のうちは低くて、次に高くなって、低くなって、平均すると低い値です よね。 ○櫻井座長 全体の平均を、常に考えております。 ○和田委員 ええ、そうですよね。A測定、B測定はある時点の測定ですから。 ○櫻井座長 そうです。 ○和田委員 普通はある程度作業をやって、高いところで測りますからね。一致させて いいのかどうかを議論し出したら大変なことになります。 ○櫻井座長 それは結構いろいろ議論があります。 ○和田委員 一応暗黙の了解で、ほぼ同じ値を示す内容を持ったものだと考えて、とい うことであれば、それはそれで取りあえずは。 ○櫻井座長 ずれる場合も多いのですが。ですからこの場合は個人ばく露の測定結果を より重く見て、評価してほしいと事務局も言っていますので。ただやはりA測定の結果 も参考にはなるわけです。 ○春日化学物質評価室長 今回の個人ばく露の測定方法は、胸の所に吸収管を付けて、 8時間、作業時間中測定しており、当該作業をやっている時間だけではなく、働いてい る時間全体の測定をしています。いわゆるピークがどうなっているかは、個人ばく露の 測定ではもちろんわからないのです。 ○和田委員 安全性のデータなどでは、別に付けてやっていないです。空気中の濃度を 測って、そして時間加重平均して出しているだけのことです。そうするとどちらかと言 うとA測定に割と近いのです。 ○櫻井座長 A測定ですか。 ○和田委員 それに時間加重平均したという感じになってきますよね。環境中の濃度を 測って、それで時間加重平均。疫学調査などでばく露量を見る場合です。 ○櫻井座長 これは8時間付けていたのですよね。 ○オブザーバー(中災防) はい、そうです。基本的にはそうです。 ○櫻井座長 ですから平均的な数値が出てしまう。その部分を測ったとしたら、サンプ リング時間と濃度を時間荷重平均すれば、ほぼ一致するはずですけれども、これは原則 として8時間測定してしまっているから、いちばん確かです。 ○オブザーバー(中災防) そうですね、シフトの中の作業を全部取っているので、基 本的には作業者に、最初に朝来たときに付けていただき、最後に会社から帰る手前で外 してもらっていますので、一応完全な時間ばく露にはなっているのです。 ○櫻井座長 なっているのですね。それで見ると、この1,3−ブタジエンなどは結構 高い濃度なので、びっくりしてしまいます。 ○オブザーバー(中災防) そうですね。 ○和田委員 それを、全総量を時間で割っているわけですか。 ○オブザーバー(中災防) 基本的には総量を8時間、例えば8時間を超えているよう なものについては、8時間に変換して8時間データとしているという形です。 ○櫻井座長 その時間のサンプリングした空気の総量がわかりますので、それとサンプ ル、取られたものを割り算していますね。だから完全に平均値が出ています。 ○和田委員 個人ばく露でしようとしたら、個人ばく露はみんなここに書いてあるよう に、かなり高い値になってます。これをA測定で許容濃度と比較しろということになる わけですね。B測定も割と近くなると思いますが。個人ばく露量だとかなり厳しいので はないかと思います。これで許容濃度と比較しろということになるとですね。 ○櫻井座長 それから他にもありましたね。 ○和田委員 あと4−5、これは急性中毒のであって。 ○櫻井座長 これは急性中毒ですよね。 ○和田委員 これを今回の議論に加えるのは、少しまずいのではないでしょうかという だけです。これは事故性のもので何十ppmとなっているはずですよね。 ○春日化学物質評価室長 今回のこの資料4−5については、私どもはあくまでも参考 事例として出したということです。 ○和田委員 そう言って、一方でシックハウスなどと入れていますから。 ○春日化学物質評価室長 ホルムアルデヒドで検索して、引っ掛かったものということ で出しています。 ○和田委員 こんがらかってしまうから、あまり報告書に入れるべきものではないです。 ○春日化学物質評価室長 健康診断の所で、口ごもったような表現が1箇所あり、「配慮 しつつ適切な健康管理を行う」という表現になっているのですが、ここは私どもも多少 悩んでいるところはあります。その前段に書いてあるように、ホルムアルデヒドについ ては、それに特有のがんの所見を見つけるのが困難ということになっているので、それ をターゲットとした健康診断ができないと思われるので、いわゆる一般の健康診断の中 で、ホルムアルデヒドの症状を聞くのが適切なのか、あるいは何かほかの方法があるの かどうか、その辺はわからないのです。どういったものが適切なのかどうかを含めて、 こういう記述にしております。 ○和田委員 具体的に何かあるのかと思い、聞いただけのことです。ホルムアルデヒド の場合は呼吸器系のがんということに着目すれば、呼吸器系のがんの検査法があります ね。もう1つ気になったのが、0.3ppmを取るとすれば、これは天井値として取ってい るわけです。だからそれを普通の加重平均の許容濃度と同じように、対応していいのか ということです。 ○櫻井座長 平均を考えるとしたら、それよりも少し低い数値と比べなければいけない だろうと。 ○和田委員 低い数値と比べないと。 ○櫻井座長 その数値はここには示されてはないけれども、0.3よりは低い所にあるだ ろうと。それを超えている部分が、ここに示されているよりは多いであろうということ を言っておられるのです。 ○和田委員 ホルムアルデヒドを考える場合は、本当はもっと低い所で考えないといけ ないということでしょう。資料4−6はガイドラインとの整合性をどうするかだけです。 全体の対策の方向性を考えることはもちろん問題ないと思います。 ○櫻井座長 はい。何かほかにご質問ございますか。 ○本間委員 いまの対策の方向性については、データの解釈で主に個人ばく露濃度の結 果の高い、低いで判断しているようでしたが、資料4−3の1頁に、A測定、B測定、 スポット測定、個人ばく露というようなことがありますが、個人ばく露とB測定を比べ ると、若干B測定のほうが高めなのかなという漠然とした印象があります。その辺りを 考慮しても、資料4−4にある対策の方向性、高い、低いの判断はあまり変わらないと 考えてよろしいのでしょうか。 ○櫻井座長 B測定の結果も、考慮したらどうかということですね。 ○本間委員 そうです。 ○春日化学物質評価室長 今回このB測定については、屋内の作業場でB測定として測 定できるものを測定して、結果として示しているということです。それを補完する意味 で、この1頁ではスポット測定を別途行っており、こちらはB測定にかからないような、 例えば屋外の測定、そういったものでB測定に準じたような形で測定しているので、こ れらの測定を総合的に判断して、ご検討いただいて構わないと思います。 ○櫻井座長 そうですね。いかがでしょうか、これも見ていただいて、全体像を見てい ただき、対策の方向性にどう関わるかだと思います。 ○大前委員 4−3のブタジエンで、先ほどとても濃度が高いデータ、個人ばく露デー タがあるのですが、これは同一会社で4つのデータがあると。もっと言うと、2つ製造 工場をやっているわけです。1つの製造工場はゼロに近いほうに全部埋まってしまって いるわけです。これは何らかの設備的な差などがあったわけですか。 ○オブザーバー(中災防) 実際に行って見ているのですが、この黒く埋まっている所 は、1,3−ブタジエンというのが不飽和の部分を2つ持っているので、反応性が非常 に高いわけです。そうすると圧縮されて液化したガスの場合は、横のタンクに、例えば レベルゲージがあります。そうするとそこのレベルゲージの中に澱みができるのです。 中でガスが動かない。その場合に、重合してガム状の物質がたまってしまうということ で、定期的にプシュプシュと、パージと称してガスを抜いたりします。それから今度は 別のケースですが、気体で高圧でもっているようなサンプルの場合は、それはエアバッ グのようなものにサンプルを取って、もともと空気がある程度入っているので、プシュ ッと押し出して、また詰めて共洗いするわけです。サンプルを20リットルか10リット ル取っていくという作業があるのです。そのところが先ほどのパージのケースもそうで すが、半分以上はフレアラインと称して煙突で燃すラインに吸われている所に放出する 場合と、そのラインの設置がない場合は、大気に放出してしまうというケースがあるの です。ですからそのパージで大気に放出するケース、エアバッグでサンプルを取るケー スのような所で、巡回中に取ってくるので、そこでばく露しているのではないかと思う のです。  もう1社の場合は、すべてフレアラインに吸われている分ということです。その差が 大きいと思います。 ○大前委員 高い工場は、いまのフレアラインを造ってしまえば、十分対応できると。 ○オブザーバー(中災防) 十分にあると思うのですが、末端にいくとかなり長い距離 それを造らなければいけないという問題があるかとも思います。 ○大前委員 それからこのブタジエンなどの場合は、防毒マスクの効果はあるのですか。 防毒マスクをやっても、非常に効果は薄いのではないかという気がするのですが。むし ろいまの設備的なものでやらないと、解決はつかないのではないかと思いますが。 ○オブザーバー(中災防) はっきりはわからないのですが、これの場合は、液化の純 ガスで圧をかけているので、おそらく数千ppmが瞬間的には出ているのではないかと 思われるので、普通の防毒マスクでは、その時点で破過する可能性は高いのではないか と想像できます。ですからそういうフレアラインなど、サンプリングの方法でもう1つ の会社は、カセット式のような形ではめ込んで、両端を開いてそこにガスを入れて、締 めて、また取るというような形になっていましたので、そういうような方法を取れば、 基本的にはばく露を低くすることは、十分可能ではないかと思います。そういう工学的 な対策はやはり必要かとは思われます。 ○オブザーバー(中災防) もう1つはここの破線で、ゴム合成の所も1つ高い所があ ります。これの場合は、やはりゴム合成をしたときに、ポップコーンのような形に成長 するらしいのですが、ストレーナの所にゴムがみんな詰まるのです。それを洗うために、 逆洗と称して、裏から、本来流れている方向と逆に液を流して、吹き出して、その滓を 抜き取るという工程が開放であるのです。その工程を経た人が、そういうことになって いますので、マスクをするとか何とかしないかぎりは、そこはかなり対策は難しいと思 います。その工程が入っております。 ○櫻井座長 聞きたかった1つは、A測定の結果のいちばん右で高い柱が2つあります が、これも屋外ですか。 ○オブザーバー(中災防) A測定ですから、屋内になります。 ○櫻井座長 これは屋内ですか。 ○オブザーバー(中災防) はい。 ○櫻井座長 なるほど、そうですか。 ○オブザーバー(中災防) 多分これは合成したゴムが、モノマーと一緒にあるものを、 サンプルを取ってきて、重合度を測定するのです。 ○櫻井座長 なるほど。 ○オブザーバー(中災防) 取ったときは、ラインから取ると水飴のような状態で出て きて、その中にまだ生ガスが入っている状態なのです。それを普通の会社はドラフトに 入れて、吸い取って、ガスを抜いているのですが、そのまま手で持ってくる会社もある のです。 ○櫻井座長 なるほど。 ○オブザーバー(中災防) それで室内に入って、実験室で重合度を測定する。その辺 りで、こういう数値が出るのです。 ○櫻井座長 なるほど。これは相対的には高いけれども、TLVの2ppmに比べれば、 大体10分の1以下ぐらいになっているということですね。 ○オブザーバー(中災防) はい、尺度が非常に強調されていますので。 ○櫻井座長 はい、わかりました。 ○内山委員 先ほど和田委員もおっしゃいましたが、ホルムアルデヒドの所で、1つは WHO/IPCSがグループIにしたときには、人間では副鼻腔がんであると。ただし これは非常に稀ながんだということを断っているのです。ですから健康管理を「配慮し つつ」という所に、これはもうターゲットは人間の場合は副鼻腔がんであるなどと書い ておく。副鼻腔がんを健診で見つけられるかどうかは、専門ではないのでわからないの ですが。ただこう書いてあると、何に注意して健康管理をしていったらいいか、産業医 でもあまりよく知らない方もいらっしゃるかもしれないということで、一応人間で、W HOがホルムアルデヒドと因果関係がありそうだとして認めているのは、副鼻腔がんだ けだと思います。何か対策の方向で少し入れていただければいいかなと思います。 ○櫻井座長 少し変えたほうがいいかもしれないですね。おそらく酸化エチレンのとき と同じような考え方で書いてあると思いますが、酸化エチレンの場合は、絞ることがで きないので駄目だったかもしれませんが、この場合は若干絞れる可能性があるのです。 ○内山委員 少なくとも動物実験でもそうですし、人間でもそこを一致にした理由は副 鼻腔がんであると。ただしこれは非常に稀ながんなのでと断ってはあるのです。 ○櫻井座長 自覚症状、あるいは鼻の粘膜を観察するなどの方法が。 ○内山委員 そこが少しはできるのかなという気はするのですが。 ○櫻井座長 それよりも早い段階、がんになる前の段階で何か予防的な健診ということ が可能かもしれませんし。 ○内山委員 それからもう1つは、先ほどシックハウスのガイドラインが厚労省からも 出ているわけです。これはやはり対策の方向性としては、0.3ppmのACGIHですけ れども、ただしシックハウスの予防も考慮に入れることとか、対策の方向性に書かれた らどうかなという気がするのですが、いかがですか。これはやはり0.5、0.3は一応粘膜 の刺激症状が出ないようにということで、これは急性です。シックハウスは繰り返し同 じような所でばく露されて、その症状を起こすということで、全くの急性、1回だけボ ンと出たところで中毒症状を起こすのではなく、家などでは1カ月ぐらい住んでいると ということもあるので、少し長期かなということで、0.3を超えていないからいいとい うことだけではなく、ガイドラインを厚労省としても一応出しているので、全くそれに 触れないのは、対策の方向性としてはどうかなという気がしないでもないです。 ○櫻井座長 いまは、いわゆる特定の作業場では0.25を示しています。 ○内山委員 0.3よりは少し低いところです。 ○春日化学物質評価室長 実際、仮に規制を特別規則等でかける場合には、その規制の 管理濃度をいくらにすべきかという問題があります。それはいまのガイドラインの 0.25ppmが望ましいのか、あるいは別の値が望ましいのかは、別途議論がなされるべき だと思っております。 ○大前委員 いま産業衛生学会の許容濃度委員会では、ホルムアルデヒドのディスカッ ションをしており、たぶん4月末の総会で提案できるレベルになっていると思います。 あと2回ディスカッションしますが、これはTWAとしてですが、その数値が0.1〜0.3 の間ぐらいの感じになっておりますので。取りあえずは、ACGIHの天井値の0.3辺 りで見ておいていただければいいのではないかと思います。それから健康診断の提案理 由の一部には、鼻腔のがん、それがヒトで見られているということが、1つの根拠にな っていますので、健康診断項目をもし特定するとしたら、そのようなことになるのかな と思います。ただこれはまだ提案されておりませんので、今度の4月末にならないと正 式なことは言えません。 ○櫻井座長 ほかには何かございますか。若干対策の方向性について、ホルムアルデヒ ド絡みに少し文の修正が望ましいかというご指摘がございましたので、そこを考慮して いただきたいと思います。これは次回にまとめがありますね。 ○春日化学物質評価室長 後ほど永野から説明があります。今回議論していただいた結 果を踏まえ、次回報告書の案を私どもから示させていただき、それについてご議論いた だくことにしております。 ○櫻井座長 基本的に資料4−4の考え方については、ご了解いただいたということで、 よろしいでしょうか。 (了承) ○櫻井座長 ありがとうございました。その他について事務局からお願いします。 ○永野化学物質評価室長補佐 いま室長から申し上げましたように、次回は今日の検討 を踏まえ、報告書(案)をお示ししたいと思っております。資料4−8がその報告書の 骨子の(案)になっており、このような構成で、「はじめに」ということで評価の必要性、 検討会の趣旨、2で「リスク評価の方法」、3で「リスク評価対象物質」、なぜこの物質 を選定したのかなど、具体的に4が「リスク評価結果」で、それぞれの物質について物 理性状、有害性、ばく露実態の評価、リスクの評価の判定、リスクが高い場合の対策等 について、物質ごとに記述して、最後に結果の活用等にについて記述するというような 構成で、報告書の(案)を作りたいと思っております。この段階で、こういうものがと いうご意見があれば骨子に取り入れたいと思います。取りあえずはこのような構成で考 えております。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。何かコメント、修正提案などがございましたらどうぞ。 終わりの所は、リスク評価結果の活用等についての記述で、委員会としての考え方をこ こで述べて、行政に渡すという感じになります。よろしいでしょうか。 (了承) ○櫻井座長 特にないようですので、この方向でお願いいたします。次回の日程はどの ようになっていましたでしょうか。 ○永野化学物質評価室長補佐 次回の日程は、すでにご連絡してありますとおり、3月 20日(火)14時半から、場所は厚生労働省16階の専用第17会議室で開催します。別 途正式な通知は送らせていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○櫻井座長 それでは今日の検討会は閉会といたします。どうもありがとうございまし た。             照会先: 労働基準局安全衛生部化学物質対策課                            化学物質評価室                電話03-5253-1111(内線5512) 1