資料11

国際生活機能分類−小児青年版(仮称)
ICF−CYについて


1.国際生活機能分類−小児青年版(仮称)(ICF−CY)の開発と国際的動向

(1)  国際生活機能分類−小児青年版(仮称)(International Classification of Functioning, Disability and Health - version for Children & Youth)(ICF-CY)は、小児青年期における生活機能の特性に鑑み、国際分類ファミリーの中心分類である国際生活機能分類(ICF)を補完する目的で、派生分類として開発された。

(2)  2006年WHO-FICチュニス会議において正式に承認され、現在WHOにおいて事務的手続きが進められているところである。

(3)  ICF-CYの普及及び改善等については、チュニス会議において発足した生活機能分類グループ(FDRG)において検討が進められることとされている。

2.国際生活機能分類−小児青年版(仮称)ICF-CYの国内への適用について

(1)  WHOによる勧告

・  WHOによるICF-CYの勧告
(刊行物又はWHOのHP上での掲載)

(2)  国内への適用に関する検討

・  ICF-CYの勧告について、社会保障審議会統計分科会への報告

・  個別具体的な審議内容であることからICF専門員会において検討

・  ICF専門委員会における検討結果を統計分科会に報告

・  厚生労働省による「国際生活機能分類−小児青年版(仮称)(ICF-CY)日本語版」の刊行

3.概要

(1)  はじめに

・  ICF−CYはICFの派生分類という位置づけであり、18歳未満の新生児・乳幼児・児童・青年を対象とする。この18歳未満というICF-CYの対象の設定は、国連総会において採択されている「児童の権利条約(児童の権利に関する条約)」に準拠しているものである。

・  ICF−CYは、派生分類としてICF本体から由来しているものであり、そのため、ICF本体と整合性を持ち、分類構造、カテゴリーは同じである。

ICF本体は総合的なものであるが、ICF−CYは、成長・発達期の特徴を記録するために必要な、詳細な内容を補うものである。

・  ICF−CYとICF本体との違いは次の4点である。

[1] 記述内容の修正と拡張

[2] 新しい項目を未使用コードへ割り付け

[3] 「包まれるもの」「除かれるもの」の基準の修正

[4] 発達的側面での評価を含むために評価点を拡張

(2)  目的

・  ICF−CYは、臨床家・教育者・政策決定者・家族・本人・研究者が、小児・青年の健康と生活機能の特徴を記録するために用いることを目的とする。

・  小児・青年の生活機能(心身機能・活動・参加)の上での問題、また小児・青年に関係深い環境因子についての思考の枠組みと共通の用語を提供する。

・  ICF−CYは小児・青年の健康・生活機能・発達に関する、専門・政府部門・国境を越えた「共通言語」である。

(3)  開発過程

・  WHOからの要請にこたえて2002年春に作業グループが発足

2002−2005年に開発、フィールドトライアルを行い、2006年秋に最終案をWHOに提出

・  ICF−CYの開発に当たっての基本的な考え方

[1] 理論的根拠

i 実践的見地:医療・教育・福祉・ハビリテーションへのアクセス権の確保のための分類システムの必要性。

ii 哲学見地:基本的人権を含む必要性。

iii 分類学的見地:ICFの派生分類としてより細かくみることで、より成熟した生活機能の前駆形態をとらえること。

iV 公衆衛生的枠組み:生活機能低下と障害を予防するための人口集団に基盤をおいたアプローチにとっての共通言語の必要性。

[2] 児童・青年を対象とする際の諸問題

i 家族システムにおける児童:児童は連続的に依存から成熟・自立への道をたどる。その背景としての家族の影響は生涯の中でこの時期に最も大きい。

ii 発達の遅れ:心身機能・身体構造の発現や技能の獲得には個人差が大きいが、それらは永続的なものではなく、発達の遅れと関連している。

iii 参加:発達に伴い生活・人生場面は劇的に変化する。幼いほど参加の機会は親・養育者などの影響を受けやすい。

iV 児童の環境:発達段階によって児童の能力と自立性は向上し、それに伴って環境のもつ意味は異なってくる。児童の環境はごく近接したものからより遠い環境へと徐々に広がっていくことに注意が必要である。


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