資料10

ICFに係るこれまでの経緯について


1.世界保健総会における承認

1970年代より、世界保健機関(以下「WHO」という。)において障害に関する分類法について検討が始まり、1980年に国際疾病分類(以下「ICD」という。)の第9回改訂に際して、補助分類として、機能障害と社会的不利に関する分類であるWHO国際障害分類(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps:以下「ICIDH」という。)が発表された。

その後、単に心身機能の障害による生活機能の障害を分類するという考え方でなく、生活機能という人間を総合的に捉えた観点からの分類として、活動や社会参加、特に環境因子というところに大きく光を当て、その概念の拡充及び質的変容が図られた国際生活機能分類(以下「ICF」という。)が、ICIDHの改訂版として、2001年5月、ジュネーブで開かれた第54回WHO総会において採択がなされた。ICFは、これまでのICDの補助分類からICDと並ぶ中心分類の一つとなった。

(参考)

国際生活機能分類(ICF)に関する第54回世界保健総会承認決議(WHA54.21)

第54回世界保健総会は、

1.「国際障害分類」(ICIDH)の第2版を、国際生活機能分類;国際障害分類改訂版(略称ICF)として承認し、

2.加盟国に対し、ICFを研究、サーベイランスおよび報告の上で、各国の事情を考慮し、特に将来の改定を念頭におきつつ適切な方法で用いることを勧告し、

3.WHO事務総長に対し、加盟国へその要請に応じてICFの活用のための援助を行う

ことを要請する

2.国際生活機能分類(ICF)を巡る状況の変化

ICFの利活用の推進については、WHOは「分類に関するWHOのビジネスプラン(2005年第1.1版)」において、その目標や方向性が定められている。

その活動を支える機能を担うため、現行のWHO−FICネットワークの中に新たにICFに関する専門的な委員会(生活機能分類グループ(FDRG))を設置する方向で検討を進めており、本年10月の年次会議(WHO−FICチュニジア会議)で正式に発足する予定である。

3.社会保障審議会統計分科会生活機能分類専門委員会の設置

ICFに係るこのような国際的情勢の変化を踏まえ、我が国の意見を集約し、適切な対応を図り、もって積極的な国際貢献を果たすとともに、国内におけるICFの正しい普及・啓発を図るため、統計の基本事項として社会保障審議会統計分科会において審議する必要があるとされた。

ICFは、広範囲に渡る専門的知識を必要とすることから、社会保障審議会統計分科会において、「生活機能分類」に係る委員会の設置の規定が承認され(平成18年2月13日)、当該規定に基づき、統計分科会長の了解を得て、生活機能分類専門委員会が設置された。

*用語について

・FIC(国際分類ファミリー)= Family of International Classifications

・ICD(国際疾病分類)  = International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems

・ICF(国際生活機能分類)= International Classification of Functioning, Disability and Health


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