資料5 |
WHOにおけるICD−10の改訂(リビジョン(revision))と
一部改正(アップデート(update))について
1.改訂(リビジョン(revision))
ICDは、1900年に第1回を導入して以来、医学の進展に伴う定期的な改訂の必要が認められ、第9回改訂版であるICD-9に至るまではほぼ10年ごとに改訂が行われてきた。しかし、めざましい医学の進歩、医療技術の進歩により、第10回の改訂版であるICD-10には15年の期間を要した。
このように第1回から第10回までの大幅な修正を改訂(リビジョン(revision))と呼んでいる。
2.一部改正(アップデート(update))
WHOは、1990年のICD-10の勧告後、新しい疾病、臨床(医学的)知識の変化、医学用語の変化、分類表の一層の明確化等に対応するため、1997以来、ICD-10の一部改正(アップデート)、すなわち、ICD-10のまま改善(大改正、小改正)を加え適用を勧告している。
(1)一部改正の原則
一部改正の原則は、「基本分類表(tabular list)」については、下記の区分により3年ごとの「大改正(Major change)」と毎年行われる「小改正(Minor change)」に分けて改正されており、基本分類表に影響を与えない「索引」については、毎年改正される。
大改正と小改正の区分
大 改 正 (Major change) | 小 改 正 (Minor change) |
・ 新たなコードの追加 ・ コードの削除 ・ コードの移動 ・ あるコードについて、3桁分類項目のカテゴリーの変化を伴う索引の改正 ・ 罹患率もしくは死亡率に関するデータの収集の精度に影響を与えるルールもしくはガイドラインの改正 ・ 新たな用語の索引への導入 |
・ あるコードについて、同一の3桁分類 ・ 内容例示表もしくは索引の強化(例:包含、除外項目の追加及び二重分類の追加など) ・ あるコードについて、概念の変化ではなく表現の強化 ・ 罹患率もしくは死亡率に関するデータの収集の精度に影響を与えないルールもしくはガイドラインの改正 ・ 誤植の修正 |
(2)一部改正のプロセス
[1] 改正に関する検討は、WHO-FICの分類改正改訂委員会(URC)において行われ、WHOは検討結果を踏まえて、ICDの改正を決定している。
[2] 分類改正改訂委員会に対しては、死因分類改正グループ(MRG)、疾病分類改正グループ(MbRG)に加え、各国のセンターから直接意見が出される場合もある。
[3] 改訂と改正の作業は並行して進められる。
(3)これまでの経緯
センター長会議 開催年 |
小改正/大改正 | 公式な施行日 |
1997 | 小改正 大改正 |
1999.1 2000.1 |
1998 | 小改正・大改正 | 2000.1 |
1999 | 小改正 大改正 |
2001.1 2003.1 |
2000 | 小改正 大改正 |
2002.1 2003.1 |
2001 | 小改正・大改正 | 2003.1 |
2002 | 小改正 大改正 |
2004.1 2006.1 |
2003 | 小改正 大改正 |
2005.1 2006.1 |
2004 | 小改正・大改正 | 2006.1 |
2005 | 小改正 大改正 |
2007.1 2009.1 |
2006 | 小改正 大改正 |
2008.1 2009.1 |
2007 | 小改正・大改正 | 2009.1 |
(4)わが国への適用
現在わが国において使用されているICD-10(2003年版)準拠は、平成16年に社会保障審議会統計分科会において設置された、疾病、傷害及び死因分類部会の審議を経て、平成17年に厚生労働大臣の諮問及び社会保障審議会からの答申がなされ、平成17年10月の総務省告示第1147号に基づき、平成18年1月から適用されている。