第2回登録販売者試験
実施ガイドライン作成検討会
資 料
平成19年3月14日

試験の出題範囲に関する論点


登録販売者は、医薬品の販売の最前線で実際に購入者等に対して情報提供及び相談対応を行うものであり、確認すべき知識は実務的な内容のものである。

薬事法に基づき登録販売者が行うこととされている事項を踏まえると、登録販売者試験では以下のような知識を確認することが必要ではないか。

(1) 販売時に購入者に適切な情報を提供するために必要な知識
(2) 副作用等に適切に対処するために必要な知識
(3) 法令を遵守して医薬品を販売等するために必要な知識
(4) 上記の知識を身につけるために必要な基礎的な知識


(1)販売時に購入者に適切な情報を提供するために必要な知識

情報提供等を行うために必要な具体的な知識の範囲としては、以下のようなものが必要ではないか。ほかにどのようなものが必要であるか。

 
  (1) 一般用医薬品の種類ごとに、主要な成分について、効能・効果、副作用などの大まかな内容

 
  ア 主要な成分については、第二類医薬品及び第三類医薬品に分類される医薬品の販売実態に照らし、主な薬効群としてみれば、ほとんどのものが含まれるものとしてはどうか。
 
例えば、制酸薬(胃酸の中和薬)など、ひとまとめとして必要な知識を確認することが可能である。
なお、これに含まれない第二類医薬品及び第三類医薬品については、取り扱う販売業者において、その医薬品の効能・効果、副作用などに関し、製薬企業等から必要な情報を入手し、それを登録販売者が理解し、準備することにより、購入者等に対する情報提供がなされるべきではないか。

副作用の発生及び重篤化を避けるため、まず、医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因(不適正な使用と有害事象、食品や他の医薬品との相互作用、小児や高齢者などにおける留意点等)について理解していることが必要ではないか。

有効成分以外の添加物についても、望ましくない作用が生じるおそれに関して、使用上の注意に記載されているものに対する知識は必要でないか。

(2) 副作用の発生及び重篤化を避けるために留意すべき事項(服用に注意が必要な人や服用してはいけない人(年齢、妊娠の有無等)、服用方法、併用してはいけない薬剤、副作用の初期症状など)

 
  ア 副作用の発生を避けるために留意すべき事項としては、添付文書等に記載されている内容を基本としてはどうか。

第二類医薬品又は第三類医薬品の使用に際し、第二類医薬品及び第三類医薬品以外の医薬品や食品との相互作用を含め、望ましくない作用が生じるおそれに関して、使用上の注意に記載されていることに対する知識が必要でないか。

(3) 一定期間服用しても病状が改善しない場合の処置方法

 
  ア 一般用医薬品は、軽度の体調不良又は健康保持のため、需要者の選択により、使用されるものであることを理解していることが必要ではないか。

一定期間服用しても改善しないことを知った場合には、引き続き服用を続けることにより、適切な医療の提供を受ける機会が損なわれることにつながることについて理解していることが必要ではないか。

また、添付文書や外箱表示等の内容を理解し、購入者等に対して個々の状態等に応じて適切に説明することができる知識が必要ではないか。

さらに、添付文書や外箱表示のほかに、メーカー等から提供される適正使用情報を活用して、購入者への情報提供、相談対応を行うことができる知識も求められるのではないか。

医薬品の適正使用を図る観点から、乱用されるおそれが指摘されている医薬品とその特性、販売に際しての留意点について理解していることも必要ではないか。

情報提供や相談対応の実効性を高める観点から、コミュニケーションの重要性を理解するとともに、以下のような対応における具体的なポイントを理解していることが必要ではないか。
 
  (1) 医薬品の適正な使用方法を情報提供や相談対応するために、購入者から聞き出す必要がある情報の内容
(2) 購入者等が十分にリスクを理解して医薬品を適正に使用することができるよう、分かりやすい表現などを用いて情報提供や相談対応を行うこと


(2)副作用等に適切に対処するために必要な知識

購入者等から副作用等によると思われる有害事象の訴えがあったときには、その医薬品の使用の中止を促し、医療機関への受診勧奨を行うこと等の対処方法を理解していることが必要ではないか。

副作用による重篤な健康被害を生じた場合は、購入者等に対して、医薬品副作用被害救済制度について制度の仕組み(救済給付の対象範囲や種類、必要となる書類、手続き等)や申請窓口等につき説明できる基本的な知識が必要ではないか。

また、医薬品の副作用と疑われる情報を入手したときに、薬事法に基づく厚生労働大臣への報告を行うことができる知識も必要ではないか。


(3)薬事関連法規を遵守して医薬品を販売等するために必要な知識

登録販売者は、医薬品の販売やそれに付随する陳列等の業務を行う役割を担う者であることから、登録販売者の義務や、医薬品の販売に関し遵守すべき薬事関連法規について理解していることが適当ではないか。

このような知識の具体的な範囲としては、
 
  (1)   登録販売者の義務
  (2)   一般用医薬品の販売制度の仕組み
  (3)   医薬品販売に関する法令遵守事項
  は必要ではないか。


(4)上記の知識を身につけるために必要な基礎的な知識

上記のような知識を的確に身につけるためには、そもそも、医薬品に関する基礎知識や、人体の構造と仕組み、医薬品が働く仕組み等の基本的事項については理解していることが必要ではないか。


(5)試験問題作成の手引きの作成と位置づけ

都道府県が作成する試験問題の難易度等に格差が生じないようにするため、ガイドラインに基づき試験問題の作成に関する手引きを作成することとしてはどうか。

試験問題作成の手引きは、薬事法に基づき登録販売者が行う業務に関し、最低限必要な知識を試験項目ごとに整理したものとしてはどうか。(資料2参照)

加えて、都道府県が試験問題の作成に当たり参考となるよう、試験問題作成の手引きに準拠した例題を作成し、示すこととしてはどうか。

試験問題作成の手引きは、医薬品に関する新たな情報や制度改正が行われた場合に、改正する必要があるのではないか。


これらを踏まえると、登録販売者に求められる知識の具体的な内容としては、例えば、別紙のように整理されるのではないか。



別紙

登録販売者に求められる知識の具体的な内容(例)



登録販売者に求められる知識の具体的な内容については、大きな柱として、「医薬品に共通する特性と基本的な知識」、「人体の働きと医薬品の関係」、「主な医薬品とその作用」、「薬事関係法規・制度」、「医薬品の適正使用・安全対策」が考えられるのではないか。

「医薬品に共通する特性と基本的な知識」としては、例えば、
 
医薬品の本質(効果とリスクの両面を有すること等)
医薬品の効き目や安全性に影響を与える要因(例えば、副作用、飲みあわせ、相互作用、小児、高齢者への配慮など購入者ごとの特性や状況等)
適切な医薬品選択と受診勧奨(一般用医薬品の守備範囲、販売時のコミュニケーションの意義等)
  に関する知識が必要ではないか。

「人体の働きと医薬品の関係」としては、例えば、
 
人体の構造と働き
薬の働く仕組み(薬が使用されてから、作用する部位へ、効き目が現れる量が到達することなど)
症状からみた主な副作用(症状や発現部位など副作用の特徴、対処の方法)
  に関する知識が必要ではないか。

「主な医薬品とその作用」としては、一般用医薬品の薬効群ごとに、それぞれの症状、働き、代表的な成分と特徴、主な副作用、相互作用、受診勧奨に関する知識が必要ではないか。また、乱用されるおそれが指摘されている医薬品とその特性、販売に際しての注意事項に関する知識が必要ではないか。さらに、有効成分以外の添加物についても、望ましくない作用が生じるおそれがあるものに関する知識が必要ではないか。

「薬事関係法規・制度」としては、例えば、
 
販売業の許可の種類と違い、対面販売の原則
医薬品の種類と情報提供(一般用医薬品の定義と範囲、リスク分類、リスク分類ごとの陳列、専門家による情報提供)
医薬品販売に関する法令遵守事項(適正な販売方法、販売広告など)
  に関する知識が必要ではないか。

「医薬品の適正使用・安全対策」としては、例えば、
 
医薬品の適正使用情報の種類(添付文書、製品表示、安全性情報等)と情報提供への活用
薬害の歴史から副作用に関する制度の設立に至る経緯、医薬品による副作用等への対応(報告制度、被害救済制度)
医薬品の適正使用のための啓発活動(乱用防止を含む)
  に関する知識が必要ではないか。

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