資料4−2

許容濃度、TLVにおける発がん性の考慮について

物質名 TLV及び許容濃度 発がん性の考え方
エピクロロヒドリン 0.5ppm
(ACGIH:2001年)
   動物については、鼻腔の扁平上皮細胞のがんの証拠がある。
   ヒトについては、後ろ向きコホート研究において、1〜5ppm/8hourのばく露を受けた作業者で呼吸器系のがんのリスク増加がみられなかった。
塩化ベンジル 1ppm
(ACGIH:2001年)
   塩化ベンジルをマウスに強制経口投与した結果、前胃で乳頭腫とがん腫が統計的に有意な増加をしているが、ヒトの発がんに関しては、十分なデータがない。
1,3-ブタジエン 2ppm
(ACGIH:2001年)
   ヒトの疫学研究からリンパ幹細胞がんや白血病が有意に増加することが明らかとなっている。
許容濃度の2ppmについては上述の研究のばく露濃度が25ppm以上であることより十分なマージンを取っているとしている。
ホルムアデヒド 0.3ppm(TLV天井値)
(ACGIH:2001年)
   ラットとマウスを使った動物吸入慢性試験において、扁平上皮変質形成、鼻腔乳頭状過形成、扁平上皮細胞の悪性腫瘍などを示すいくつかの報告がある。
1989年にTLVを変更した主たる根拠は、刺激を低減することであるが、別の根拠としてヒトのがんの症例報告等を考慮している。
0.5ppm
(日本産業衛生学会:1988年)
   許容濃度提案理由は眼、鼻、呼吸器に対する刺激症状からの保護であり、提案理由の中に発がんは考慮されていない。
硫酸ジメチル 0.1ppm
(ACGIH:2001年)
   硫酸ジメチルのラットへの吸入試験、皮下投与試験および静脈内投与試験の結果によるラットの悪性腫瘍の発生が見られる。ヒトの発がんに関する研究においては、限定的な結果しか得られていない。
0.1ppm
(日本産業衛生学会:1980年)
1)ラットでの吸入実験(ばく露濃度:10ppm、3ppm)の結果から悪性腫瘍の発生が認められた。
2)ヒトでのコホート調査(ばく露濃度1ppm以上)では眼へ及び皮膚への火傷の痕跡は確認されたが死亡率の変化は無かった。
3)ACGIH(1977年)がTLVを1ppmから0.1ppmに変更した提案理由に、実験的発がんを考慮した濃度として提案された。
上記の3点より発がんを考慮しても0.1ppmが妥当であると提案されている。

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