07/02/22 平成19年2月22日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成19年 2月22日(木)  14:00〜 厚生労働省共用第7会議室 2.出席委員(14名)五十音順    飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 庵 原 俊 昭、 上 原 至 雅、    岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、 田 村 友 秀、 土 屋 文 人、    早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、 前 崎 繁 文、 三 瀬 勝 利、    溝 口 昌 子、 山 口 一 成  (注)◎部会長 ○部会長代理      欠席委員(2名)   新 井 洋 由、 竹 内 正 弘 3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   佐 藤 岳 幸(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会を開催 させていただきます。  本日は、お忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございます。当部会委員16 名のうち14名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達していることを御 報告申し上げます。本日は、新井委員、竹内委員から欠席との連絡をいただいておりま す。  それでは、部会長の池田先生、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。第二 部会を始めさせていただきます。それでは、まず、事務局から配付資料の確認と資料作 成に関与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局 資料の確認をさせていただきます。机の上に議事次第、座席表、委員リスト を配付しております。議事次第に記載されている資料1〜4を事前にお送りしておりま す。このほか、本日、資料5「優先審査品目の指定について」、資料6「小児薬物療法 検討会議について」、資料7「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料8 「専門委員リスト」、それから、資料No.は振っていませんが、当部会での審議を通過し て、1月に承認した新薬についてのリストを配付しております。  関与委員の御報告です。平成13年1月23日の薬事分科会申し合わせに基づく、資料 作成に関係された委員の確認ですが、本日の審議品目につきましては、関与委員はいら っしゃいません。 ○池田部会長 資料はございますでしょうか。もし不足なものがありましたら、事務局 まで御連絡いただければと思います。よろしいでしょうか。  それでは、早速、審議事項に入ります。議題1、アバスチンの製造販売承認の可否に ついて、機構から説明をお願いします。 ○機構 議題1、資料1、アバスチン点滴静注用100mg及び同400mgの生物由来製品及 び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否等について、医薬品医療機器総 合機構より説明させていただきます。  アバスチンの有効成分であるベバシズマブは、腫瘍の進展に関与すると考えられる血 管内皮増殖因子、VEGFに対する遺伝子組換え抗体医薬品です。結腸・直腸癌の年間 罹患者数は、約12万人です。このうち、治癒切除不能の進行・再発の結腸・直腸癌の患 者には、延命効果を期待して、フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬を含む化学療法が行わ れます。本剤は、この化学療法に併用した場合に有効性を示す薬剤として申請されまし た。  本剤は優先審査の対象とされ、厚生労働省の未承認薬使用問題検討会においては「早 期の承認申請がなされるべきである」として報告されております。海外において、本剤 は結腸・直腸癌を適応として米国、欧州等88か国で承認されております。本品目の専門 協議に御参加くださいました専門委員は、資料にございますとおり、13名の委員です。 品質、毒性、薬理、ADMEについて大きな問題は認められませんでした。  主な臨床試験成績としては、海外4試験及び、国内で実施された第I相試験と安全性 確認試験の途中成績が提出されました。海外比較臨床試験において、フッ化ピリミジン 系抗悪性腫瘍薬を含む化学療法への本剤の上乗せ効果が、生存期間又は無増悪生存期間 を指標として認められました。安全性については、消化管穿孔、創傷治癒遅延、出血、 血栓・塞栓症、高血圧、蛋白尿等、本剤の血管新生阻害作用に関連すると考えられる特 徴的な副作用が生じております。  機構は、これらの副作用については専門医による慎重な観察と適切な対応により対応 可能と判断しておりますが、国内における本剤と他の抗悪性腫瘍剤の併用における検討 症例数は少数であり、日本人に特異的な有害事象の発現や、海外と比較して高頻度又は 重篤な有害事象の発現の可能性について、十分慎重な製造販売後の安全対策を講じる必 要性があると判断しております。したがって、機構は、承認条件として、製造販売後の 一定期間は全例調査によって重篤な有害事象の収集等を行うことを設定し、また関連情 報を迅速に医療現場へ情報提供を行うこと等、適正使用の推進を行うように指示してお ります。  以上の審査の結果、機構は、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の適応に ついて、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬 品であり、再審査期間を8年とすることが適当であり、原体及び製剤は劇薬に該当する と判断しました。また、生物由来製品に該当すると判断いたしました。御審議のほど、 よろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。アバスチンの点滴静注用ですが、御存じのよ うに、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体でありまして、治癒切除不能な進行・再発 の結腸・直腸癌の適応ということで、他の抗悪性腫瘍剤との併用において使用する薬剤 です。先生方の御意見を伺いたいと思います。海外での十分な治療成績があって、88か 国で承認されている、日本ではまだわずか60例ぐらいしか使われていないということで す。いかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 この薬自体は、未承認薬の検討会でも是非必要であると言われてお りまして、承認することについては何も問題はありませんし、必要な薬であると思いま す。ただし、一つ確認をさせていただきたいと思います。VEGFはアイソフォームが 三つあると思うのですが、それらに対するアフィニティーは、この抗体は3倍程度違う と思います。一般的には0.8nMolくらいのIC50と言われているのですが、生体内での アイソフォームの存在はどのような形になっているのか、臓器によって違うかどうかが 分かれば教えていただきたいと思います。 ○機構 御質問いただいた内容については、現時点ではまだ不明であるという状況です。 ○堀内部会長代理 トータルとしては、現在の用量でやれば、どのアイソフォームも一 応ブロックできると考えてよろしいのですか。IC50の値が3倍くらい違うということ が審査報告書の20ページに出ていると思いますが、そこは余り問題にする必要はないと 考えてよろしいのでしょうか。 ○機構 in vitroの試験ではアフィニティーが少しずつ違うということがあるのです が、こちらとしてはトータルとして見ているというような観点で解釈しておりまして、 個々それぞれについて生体でどのように影響しているかというところまでのメカニズム に関しては、現時点では不明という状況に思っております。 ○堀内部会長代理 分かりました。アバスチン自体は、メーカーも指摘しておりますよ うに、いろいろな臓器の癌でVEGFRの過剰発現があると思われますので、その場合に、 臓器によってVEGFのアフィニティーが違うと効き方が違ってこないかということを 少し感じたのです。これからいろいろと適応症拡大が出てくると思われますので、どの 程度まで分かっているかをお尋ねしたかったのです。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○溝口委員 私も承認することに問題はないと考えておりますが、二つほどお聞きした いのです。一つは、抗ベバシズマブ抗体の件ですが、申請書によりますと、方法が悪い ので抗体が陽性でも陰性でも余りベバシズマブの効果に関係ないと書いてありまして、 陽性例でも効果に影響がないとしながらも、薬物動態に影響しているのではないかとも 書いてあります。抗体ですから過敏反応が心配されるのですが、アナフィラキシー反応 を起こした症例では、再投与でほとんどアナフィラキシー反応を生じていないと書かれ ています。ECLA法がどういう方法か知らないのですが、この方法を改良して、承認 された後に抗体を測定しようと計画しているようです。海外ではFab-ELISAをやってい ますので、名前から判断しますとこちらの方が定量が可能ではないかと思います。それ で、アナフィラキシー反応ですが、再投与する前に化学療法を強力に行ったために抗体 がなくなってしまったからアナフィラキシー反応が起きないという可能性もあります。 海外でアナフィラキシー反応を起こした症例で、この抗体をFab-ELISAで測っているか どうかを伺いたいと思います。  それから、今後調べるにしても、Fab-ELISAでやる予定がないかということもお聞き したいと思います。良い方法で行えば、その抗体が薬物動態にどのように影響するか、 安全性や有効性にどう影響するかがはっきり分かると思います。臨床の現場では、もし 抗体が陽性であると、投与後に何か起こるのではないかという心配があって、不安がな かなか取れないと思いますので、定量値と危険性がパラレルになるかどうかというデー タがあれば、臨床医は非常に使いやすくなると思うのですが、その点をお伺いしたいの です。もう一つは後から伺います。 ○池田部会長 まず、抗体の検出の問題です。 ○機構 抗体を測定する予定若しくは必要性があるかという意味でしょうか。 ○池田部会長 今までアナフィラキシー様症状を起こした患者さんは、実際にそういう 抗体、その他を測定しているという記載はあるのかどうかということです。 ○機構 詳細は確認しますが、現時点では得られていないものと認識しております。 ○溝口委員 それから、これから行うことに抗体を測ると書いてあって、前と同じ方法 を改良して測るように書いてありますが、Fab-ELISAでやる予定は全くないのでしょう か。 ○機構 それは確認しておりませんので、先生の御指摘も踏まえまして詳細は調整させ ていただきたいと思いますが、我々としては、審査の中ではその当時開発された内容で の測定について確認等を行ってきております。とは言え、ベストな方法を求めるのは当 然ですので、今後の方法としましては、改良という観点のみではなくて、方法論を違う 視点で見て、ベストな方法を開発するように指導したいと考えております。 ○池田部会長 もう一つの御質問をお願いします。 ○溝口委員 もう一つ伺いたいのは、乳癌では本剤を使用していて、併用化学療法のた めに余り効果がないようですが、VEGFに対する抗体ですからどのような癌にも効き そうです。今後使いたいと思うものに血管肉腫があるのです。血管肉腫は非常に予後が 悪くてほとんど亡くなってしまいますので、本剤が有効でしたら有り難いと思います。 もし海外で使ったデータがあるのでしたらお教えいただきたいと思います。 ○機構 現時点では血管肉腫に対する開発試験等は行われておりません。そのほかの癌 種は、肺癌や卵巣癌や乳癌といったものはやっております。 ○機構 多少補足させていただきますと、実際、肺癌等にも利用しようとして、先生の おっしゃるとおり、対象となるVEGF自体がキーなカイネースに関係するような話で すので、世界的には様々な癌種にトライアルしようという方向性はあるとは思うのです が、我々としては、血管肉腫に対してのトライアルはされていないという認識です。ま た、当然、VEGFRの発現等にも関係してくる、トライアルをしようというモチベーショ ンに関してはそういうところもあると思いますので、我々の現時点での情報としては、 そういうトライアルはされていないと思っております。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。そのほかに御質問はございますか。 ○土屋委員 薬剤の承認そのものではありませんが、122ページの8)申請資料の不備に ついてということで、一生懸命こちらが通そうとしたのに非常に不備であったというこ とが一生懸命書いてあり、よほど腹に据えかねたのであろうというのが見てとれます。 今後、データを集めるときに、向こうの体制はきちんと確保できているのかということ は、このデータの品質保証がうまくできていないのではないかということから言うと、 その辺を確認するというのは何らかの格好で一言言っておかないといけないのではない かという気がしました。 ○審査第一部長 御指摘のとおり、未承認薬の検討会で早期に承認すべしという御結論 をいただきましたので、申請者側も時間的な余裕もない中でかなり努力はしてもらった と我々は認識しているのですが、一方で、今回のやり取りは、回答の中身等を含めまし て、基本的な誤字脱字のたぐい、添付資料は全然違うものが添付されたりということが ありましたので、そこにつきましては、機会あるごとに、申請者には体制の整備、ある いは今後いろいろな薬の申請がこの申請者も控えておりますので、そこはしっかりやっ ていただくようにということで、再三指導しております。同時に、今回のこのものにつ きましては、まだ日本人のデータが非常に少ない、あるいは海外で承認されているとは いっても今後いろいろな有害事象等が出てくる可能性は否定できない薬剤ですので、こ の辺の国内での情報収集、あるいは安全対策等についてもきちんと体制を整備するよう にということも、私どもから再三指導しているところです。 ○池田部会長 よろしいですか。そのほかに御質問はございますか。 ○守殿委員 最後の方の、従来の書き方の添付文書の1ページですが、「効能・効果に 関連する使用上の注意」の(1)の記載の意味はどのように解釈するのかと思うので、質 問させていただきます。(1)の「術後補助化学療法」というのは、治癒切除ができた後 の再発予防という形での術後補助化学療法ということなのでしょうか。あるいは、「本 剤の」というのは、本剤単独のという意味なのですか。 ○機構 「効能・効果に関連する使用上の注意」の(1)は、大腸癌領域では、治癒切除 ができた場合に、再発を予防するためには術後補助化学療法がスタンダードで行われて おりますが、そこについて本剤、つまりアバスチンを併用した成績はまだ確立したもの ではないので、そのことを注意喚起した趣旨です。 ○守殿委員 今回の効能・効果の適応症は併用療法でないと効かないという形になって いますから、併用療法であれば効くのかということもありますし、「本剤の」というの は、本剤を含んだ併用療法が有効でないのか、単独と両方のどちらかと思ったりもしま すので。 ○機構 効能・効果は治癒切除を目的とした手術ができない患者さんが対象になってい ますので、治癒切除可能な手術後の患者さん、つまり術後補助化学療法を行う患者集団 においては、本剤は単剤であっても併用であっても使うべきではないと判断しておりま す。 ○守殿委員 読まれたらどのように解釈するか迷われる方がおられるのではないかと思 いましたので、質問させていただきました。 ○機構 調整させていただきます。ありがとうございます。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 使い方の問題ですが、添付文書の「用法・用量に関連する使用上の 注意」の(1)で、「本剤は、フッ化ピリミジン系薬剤を含む他の〜」となっていて、フ ッ化ピリミジンと使うとなっていますが、審査報告書の5ページの(3)で、「本剤と経 口フッ化ピリミジン系薬剤を含む併用療法での有効性、安全性は確立していないので、 経口フッ化ピリミジン系薬剤との併用は行わないこと」と指摘されております。添付文 書には経口フッ化ピリミジンのことについては何の記載もありません。ここはどう解釈 したらよろしいのでしょうか。 ○機構 御指摘いただいた審査報告書5ページの内容は、もともと中外製薬が申請時に 設定していた内容ということが一つあります。審査の中で、本剤は、一次療法あるいは 二次治療以降どの状況であっても、ある化学療法と併用した場合に上乗せ効果があると いうことで、有効性があると判断したわけですが、いずれもフッ化ピリミジン系薬剤を 含んでいるという情報提供で、「用法・用量に関連する使用上の注意」の(1)には書い ています。経口の5-FU系の薬ということになると、添付文書の臨床成績の海外臨床成 績のところにNO16966試験が書いてありますが、真ん中のXELOXと呼ばれるレジメン には中外製薬が持っているカペシタビンという薬が入っていて、そういった関係もあり まして、経口での有効性が認められていないような記載をすると臨床成績のところとの 混乱を招く可能性がありますので、フッ化ピリミジン系薬剤のレジメンに上乗せした場 合ですよということを(1)では注意喚起したいと考えています。 ○堀内部会長代理 例えばTS1のように、かなりいろいろな癌で有効性が認められつ つある経口の薬もあります。ですから、私は、今回他のレジメンについて制限を付けな かったことは大変評価できるのではないかと思っていたのです。したがって、審査報告 書にそのように出ているものですから少し気になったのですが、ここのところはどれを 使っても構わないと考えてよろしいのですね。 ○機構 ただ、TS1や、ほかの5-FUを含む経口抗癌剤があるわけですが、それにつ いてはきちんとしたトライアルがないということで、機構としては推奨できないと思っ ております。用法・用量をいろいろなレジメンごとに詳しく書くのではなく、臨床成績 の得られた主な試験を専門の先生方に見ていただいて、この化学療法と併用した場合の 上乗せ効果はこういうデータであったということを判断して選択していただくというこ とを考えています。そういう意味で、後ろの臨床成績の項にはTS1のデータはないの で、そのほかの経口フッ化ピリミジンは推奨しないという気持ちで書いています。 ○池田部会長 今の説明でよろしいですか。 ○堀内部会長代理 はい。 ○池田部会長 基本的には相手の化学療法のレジメンは問わないという理解でよろしい のですが、経口フッ化ピリミジンに関してはデータが全くないので、それは今の時点で は考えるものではないということですか。 ○堀内部会長代理 これからいろいろとトライアル等がされるでしょうし、今後いろい ろな使い方がされると思いますので、今後の問題であるということですね。 ○機構 経口フッ化ピリミジンを用いたトライアルは、実は、されております。それで、 トライアルとしては、先ほど説明しましたカペシタビンを用いたXELOXというレジメン がされているのが現状です。今後うんぬんということになると、もちろん、先ほどお話 に出たTS1のようなものがやられるかもしれません。まだそれは明確ではないという 状況です。今回、経口フッ化ピリミジンという形で書かなかったのは、カペシタビンが 用いられたXELOXという試験があったことと、5-FU系のレジメンが用いられていると いうこともありますので、フッ化ピリミジン系という表現をここでさせていただいてい ます。実際、XELOXの問題ですが、カペシタビン自体が大腸癌領域での効能は取得して いないのが日本の現状です。そういう意味では、推奨をするところには当然至らないと いうのが今の我々の立場としてはありまして、実際は本薬への上乗せ効果が認められて いることが結果として得られているというのは、添付文書の臨床の項には記載させてい ただいております。 ○堀内部会長代理 もう一つよろしいですか。従来の形の添付文書の3ページ、8.適用 上の注意のところの表現がよく分からないのです。まず、「調製時には、日局生理食塩 液以外は使用しないこと」となっておりますが、「調製時には」の「時」のような使い 方が、「混合時」や「投与時」など、たくさん使われていてあいまいな表現になってい るので、適切に文章を変えていただきたいと思います。その(2)で、「本剤とブドウ糖 溶液との混合時には、ベバシズマブの力価の減弱が生じる恐れがあるため、本剤をブド ウ糖溶液とは混合又は同一経路からの注入をしないこと」とあります。「同一経路から の注入をしないこと」というのは、混合すると直ちに力価が下がるようなニュアンスに 聞こえます。これについて、たくさんある資料をいろいろ引っ繰り返してみたのですが、 そこのところがきちんと出ているデータを見付けることができなかったのです。ここは、 ブドウ糖溶液と混ぜると急激に力価が下がるということなのでしょうか。 ○機構 答えはノーです。資料ですが、2.3.P.2に詳細な表が出ております。その8〜 9ページに実際の物性の状況を示すようなテーブルが出ております。この文章の表現の 問題は後ほど調整させていただきたいと考えておりますが、変化としてはそれほど大き なものではありませんで、8ページの(2)に、ブドウ糖注射液の中に混合したときの安 定性ということで、確認をしている内容を基にやられたというところが一つあります。 基本的なところは、海外の添付文書にもこのような情報が記載されているところであり まして、その内容を明確に記載しようということで、日本の添付文書にも記載するとい う流れがありました。 ○堀内部会長代理 よく分かりませんが、力価で見ると、例えば5℃で保存した場合に 48時間後でも余り下がっていない、1.0が0.9に下がっているだけであると読めますが、 それでよろしいのですか。 ○機構 多い少ないというのは、これは104ほどの力価ですので、数字としては1.0と 0.9というふうになっていますが、下がるというか、トータル的には物性が変化するの であろうということを認識している申請者の方の注意喚起という位置付けで記載させて いただいております。 ○堀内部会長代理 事実関係に基づいて記載していただくのは結構なのですが、現場で 我々は抗癌薬の混合を常にやっていて、例えば生食にいろいろな薬剤を混ぜる場合に、 ある薬は糖液を使わなければならないということが起こり得るので、問題がなければ余 り制限を付けてほしくないということです。これですと24時間のデータはありません が、混合をした後48時間くらいまで安定というように見えます。そうであるならば、用 時調製というのはどういう意味でしょうか。混合したらすぐ使えるということになると 思いますが、場合によると朝や、前の日の夕方に調製しておいて次の日の朝にすぐ使う など、いろいろな使い方があり得ますので、安心して使えるような表現にしていただけ ればと思います。 ○機構 安心な表現には調整したいと思いますが、基本的にはこのような現象が起きて いるという認識を持って記載するという方向で書くべきかと我々としては思いまして、 問題が生じることを最小限に抑えるという観点で記載しておりますので、ブドウ糖との 混合に関しては問題があろうという認識でおりました。 ○堀内部会長代理 問題がないのではないかと私は読むのですが、違いますか。 ○審査第一部長 力価についての御指摘ですが、申請書は、力価ではなくて、9ページ の表2.3.P.2.6-2の中での、IECの主ピーク%です。ここで、30℃で保存した48時間 後の主ピーク%につきましては49%となっております。確かに、力価の方だけの数字を 見ると、見かけ上は先生の御指摘のとおりかもしれませんが、こちらの問題もあります ので、これだけの安定性については疑問があるということで、5%のブドウ糖の混液に ついては使用しないということを注意書きさせていただいたものです。 ○堀内部会長代理 混合してから48時間も使わないということは一般的にはやらない と思います。長くて24時間。問題なければ十分です。したがって、例えばこれは24時 間であったらほとんど問題はない。30℃でやった場合には若干下がってはいると思いま すが、逆に、このデータのIECの主ピーク%から考えても余り問題ではないのではな いかと思います。 ○第一審査部長 生物系のものはどうなるか分かりませんで、逆に言うと、そこは安全 側に見ておいた方がいいということもありますので、私どもは5%のブドウ糖液につい ては混合しないというふうにさせていただきたいと思います。 ○堀内部会長代理 どうしてそれが言えますか。安全性から見ると、30℃では24時間で やや下がっているということはありますが、5℃であれば問題ないですね。 ○審議役 化学合成物質の話であれば、こういう液クロ的な分離をしてピークになって いるものは純品というふうに普通は受け止めるのですが、抗体製剤、バイオものの場合 は、ピークが出ているといっても、そこに入っているものが単純な純品とは限らないの で、ここの部分のパターンが変わるというのが、一体どういう変化を起こしているのか というのは分からない。それに比べると、ほかの実験系でやったものはそこの変化が全 く起きていないので、そこは一応いいであろうというふうに、そこを区別しているとい うことはありまして、通常のナトリウムやカリウムなど、1ピークできちんと出てくる ものに比べると慎重になっているということは御理解いただきたいのです。 ○堀内部会長代理 分からなくはないですが、現場のことも御理解いただきたいと思い ます。例えば、今、入院患者もそうですし、外来のものについてもそうですが、薬剤部 で無菌混合をやっています。こういう蛋白のようなものについて、変性するとか、コン タミネーションの問題とか、いろいろな心配があるかと思いますが、基本的には変質す るかどうかということが問題で、糖が入っていることによって蛋白自体が変性するとい うようには余り…、あるのでしょうかね。 ○審査管理課長 8ページの2.3.P.2.6の第2段落に「以下に示す結果から」というこ とで結論が出ているわけですが、「ブドウ糖溶液との混合時には物性の変化が予想され た」というのが申請者の考え方で、それは、欧米においても同様の考え方にのっとって ブドウ糖液との混合は避けましょうという使用上の注意をしている。ですから、機構が 積極的にそういう判断をしたということでもないのではなかろうか。先生方がこう言っ ている、国際的にもそういう取扱いがされているということから、先生あるいは現場に 御負担になるということはそのとおりであろうと思いますが、とりあえずはここの点を 追及するよりは全体を前に進めるという判断をしたのであろうと考えているわけです。 その点を追及するのは今回の承認とは別個の場でまた議論をされていく必要があるかと は思っておりますが、今この場で解決を図らなければならない問題でもないのかと、そ れを言い始めるとなかなか難しい問題になるのかと思っております。 ○堀内部会長代理 添付文書の書き方を少し検討していただければそれで結構です。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。このものの有効性については、先生方は 等しくお認めになるところであるとは思いますが、安全性、その他についてはよろしい でしょうか。 ○守殿委員 堀内委員の御質問にこだわりますが、同一経路というのは、前後してでも 同じ経路からで、ボトルを付け替えるという形はいいのですか。それはいけないという ことなのですか。もしそういうことであれば臨床では使いにくいというか、混合されて いなければ経路で混ざる形もほとんど無視できると思います。同一経路というのはどう いう解釈なのかをもう少し詰めてもらったほうがいいのではないですか。 ○機構 ルートの中をフラッシングするというような作業はあるかもしれませんが。 ○守殿委員 本剤を入れてからブドウ糖液に付け替える、新しい瓶に差し替えるという ことです。点滴を3本使う場合に、例えば、極端に言うと、本剤がブドウ糖の入った液 の真ん中で点滴静注されるのは駄目なのでしょうかということです。 ○審査第一部長 この文章だけですといろいろなケースに対応できないことが今日の御 指摘で分かりましたので、もう少し誤解のないような表記について調整させていただき ます。ありがとうございました。 ○池田部会長 これは国内での症例数が限られているので全例調査は当然であると思う のですが、「指示事項」に「安全性確認試験の最終結果について、迅速に試験成績を取 りまとめ、公表すること」と書いてあります。その途中ごとできちんと報告をしていく ことを怠るようなことはないでしょうね。 ○機構 ここの安全性確認試験は、未承認薬検討会のものを受けて、日本人での安全性 の知見の門戸を開いているというような試験でありまして、この承認をもって終了する 予定です。したがって、本剤が承認された後はすぐに試験が終了して、すぐに公表する という流れです。 ○池田部会長 この指示事項は、今、オン・ゴーイングの安全性の確認試験という意味 ですね。 ○機構 そうです。 ○池田部会長 これは全例調査の後で適正使用に努めることという非常に当たり前な言 い方なのですが、この場合の適正使用というのはもう少し具体的に指示があった方がい いのではないかという感じがします。例えば、「使用上の注意」は、「慎重投与」のと ころに重大な副作用が並んでいて、それを起こす可能性がありそうな人は注意しなさい と。これは非常に当たり前の考えであると思うのですが、それ以外に、適正使用に向け てもう少し具体的な指示をしなければいけないことはないでしょうか。大丈夫ですか。 ○機構 現在考えておりますのは、こういう添付文書の情報提供以外に、適正使用ガイ ドと会社も呼んでいますが、そういう少し詳しめの冊子を作りまして、有効性の点から は、今得られている併用するレジメンはどれであったかという事実を客観的に注意喚起 する。安全性については、例えば一つ一つの副作用のハイリスクの患者などが分かれば そういうことを注意喚起できるのですが、現在そのデータが非常に限られておりますの で、製造販売後の中で、今、海外のデータから示唆されている年齢や、例えば血栓塞栓 症ですと、その既往があるかないかなどをCRFで漏らさず取って、データが集まって きて解析したら、またそれも情報提供していくという手段を考えています。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。そのほかに御意見がなければ、アバスチンについ ては承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。  それでは、議題2、新有効成分含有医薬品の再審査期間について、事務局から概要を 説明してください。 ○事務局 議題2につきまして、資料2の3ページを御覧ください。本件につきまして は、前回1月25日のこの部会におきまして御審議いただきまして、再審査の考え方とし て、今後新たに承認する新有効成分医薬品でオーファンを除くものについては、その再 審査期間を8年とすること、及び新有効成分医薬品であって現在6年間の再審査期間中 のものについては、2年間延長して8年とすることが妥当であるという御意見を頂戴し ました。その後、1月26日に新たに承認された品目がありまして、資料の1ページです が、この5品目が新有効成分医薬品として承認されておりますので、先の考え方に基づ きまして、これらの品目についても再審査期間をトータルで8年とすることにつき、お 尋ねする次第でございます。  なお、1月31日に医薬品第一部会が開催されておりまして、こちらの方にも同じ資料 に基づいて御審議をお願いしたところ、先の考え方について妥当であるという御意見を 頂戴している次第でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問はありますか。前回 の第二部会でも再審査期間の見直しの経緯について御説明いただいたとおりですが、何 か特別に御意見はありますか。ないようでしたら、この別紙にリストアップされている 新有効成分含有医薬品について再審査期間を2年間延長して8年とすることについて、 委員の先生方からは御了解いただいたことにさせていただきます。これは先月この部会 で了解いただいた内容と合わせて、この次の薬事分科会に報告させていただきます。  それでは、議題3、希少疾病用医薬品の指定の可否について、事務局から御説明くだ さい。 ○事務局 資料3-1、3-2に基づきまして、希少疾病用医薬品の指定について御説明いた します。二つの品目は、いずれも同じ疾病を対象として開発が進んでいるものですので、 一部合わせて説明をさせていただきます。  最初に、資料3-1です。一番上の事前評価報告書というタグをおめくりいただくと機 構で作成していただいた報告書がありますが、それの2ページです。本剤の名称はニロ チニブ塩酸塩水和物、対象疾病がメシル酸イマチニブ抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白 血病、再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病、申請者はノ バルティス ファーマ株式会社です。  希少疾病用医薬品の指定における三つの条件のうち、一つ目の対象疾病の患者数につ いては、実は、資料3-2も同様で、両申請者による患者数の推計に若干違いはあります が、対象疾病の今申し上げた効能についての患者数は1,000人程度と考えられまして、 指定要件である5万人未満を満たすと判断しております。  医療上の必要性については、現在、慢性骨髄性白血病に対しては、メシル酸イマチニ ブ、販売名はグリベックですが、そちらが第一選択薬として標準的に用いられている状 況です。イマチニブが有効な場合には予後良好であることが知られておりますが、イマ チニブ投与後の再発例やイマチニブによっても寛解が得られない難治性の症例が認めら れます。それから、慢性骨髄性白血病のうち、移行期又は急性期の患者は、慢性期と比 べてイマチニブの有効性が臨床的に十分満足できるものではないとされている状況で す。二つ目の効能の、再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血 病については、予後が極めて不良である。同種造血幹細胞移植や多剤併用化学療法が行 われていますが、臨床的に満足できる状況にはないということでありまして、医療上の 必要性はあると判断しております。  この薬の開発の可能性については、報告書の3ページの下半分ですが、ニロチニブに ついては、欧米において、イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病、再発又は難治性のフ ィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病などを対象に臨床の第I/II相試験が実 施されまして、良好な成績が得られている、アメリカでは、試験が先行いたしました慢 性期及び移行期のイマチニブ抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病患者における臨床試 験成績等を基に承認申請が行われておりまして、現在、審査中という状況です。国内で は、ニロチニブは海外の第I/II相試験と同様の患者を対象とした第I/II相の用量増量 試験が進行中という状況でありまして、開発の可能性はあると判断しております。  資料3-2に移ります。審査報告書というタグをめくっていただくと、2ページに名称 等が出てまいります。ダサチニブ水和物という一般名でありまして、対象疾病は先ほど のものと同じです。申請者はブリストル・マイヤーズ株式会社です。こちらにつきまし ては、既にアメリカ、欧州におきまして承認されております。詳しい効能ですが、イマ チニブを含む前治療に対し治療抵抗性があるか不耐容の慢性骨髄性白血病、既存の治療 に対して治療抵抗性があるか不耐容のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病 という効能・効果で昨年承認されているということです。国内では、同様の患者を対象 にした第I/II相試験及びその後の継続投与試験が進行中であるという状況です。これら の状況によりまして、資料3-2の方につきましても開発の可能性はあると判断しており ます。  以上、2剤についての御説明を申し上げましたが、オーファンドラッグの指定要件で ある対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性という三点から見まして、資料3-1の ニロチニブ、資料3-2のダサチニブ共に、希少疾病用医薬品の指定基準を満たすと判断 した次第でございます。御審議をよろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。ニロチニブあるいはダサチニブの希少疾病用 医薬品の指定の可否について先生方にお伺いしたいと思います。共にグリベック不応性 あるいは忍容性のない慢性骨髄性白血病の患者、あるいはフィラデルフィア染色体陽性 の急性リンパ性白血病の患者等を対象にしたものですが、何か御意見はありますか。 ○山口委員 海外の治験で、550例の中で6例が突然死という記載があります。国内で のこれまでの症例数は、ここに書いてある□例だけなのでしょうか。海外での550分の 6の突然死のようなときに、国内での治験の数がこういう数でよろしいのでしょうか。 ○機構 現時点の国内のデータは、こちらにある症例数のみでございます。6例の突然 死が出たときに、ノバルティス社もこちらを問題にして、一度、治験のエントリーを海 外の方で止めて検討したという経緯があります。6例の突然死が海外で出たのですが、 国内で行っている治験はファーストラインではなくて、グリベックが駄目であった患者 であるということで、倫理的なところからも、国内での治験は開始可能であろうという ところを、会社の方も議論した上で決定したという経緯は聞いております。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。グリベックも心臓に対する問題がまだまだ解決さ れていないところがあります。ですから、山口委員が言われたように、多少気になる報 告ということであるとは思いますが、希少疾病用医薬品の指定についてはいかがかとい うことを御議論いただきたいと思うのです。CMLの患者の推定数などは大体似ている のですが、二つの会社で少し違いますね。もう少し合わせてくれるとやりやすいのです が、これは疾病が違うのですかね。それほどたくさん疾病があるとは思えないのですが。 ○事務局 今回の指定申請に際しまして、大体同じタイミングで2社から相談があった ものですから、事務局としても、両方の資料を見合わせて、なるべく整合性をとる努力 はしたのですが、仮定の置き方などが若干違うと、もともとの数が少ないものですから、 数がずれてしまうということで、そこは申し訳ないです。 ○池田部会長 基になるデータはきっと同じですよね。そのほかにいかがでしょうか。 ○溝口委員 希少疾病用医薬品として認めることは全く問題ないと思うのですが、少し 教えていただきたいのです。グリベックは素晴らしい薬でしたが、ひどい薬疹を起こし て、血液の先生や患者さんが苦労されて、ステロイドと一緒にしたり用量を減らしたり しています。この二つもかなり発疹の頻度が高いと書いてありますが、どの程度の薬疹 を起こすのか、こちらも診る立場から覚悟しておかなければいけないので、情報を流し ていただければ幸いです。 ○機構 今は細かい申請資料が手持ちにないので、数値を申し上げることはできないの ですが、先生の御懸念のとおり、本剤においても皮疹がある程度の頻度で出ていること は確実です。 ○溝口委員 程度もひどいのですか。程度は分からないですか。では、結構です。 ○池田部会長 確かに全身が真っ赤になりますね。 ○審査管理課長 申請資料の40ページのTable ウ 7-11に発現率□%以上の副作用とい うのがありまして、発疹、そう痒症とか、All Grade、Grade3/4という数字が出ている かと思います。ただ、これで先生が御満足いただけるかどうかは全く自信がございませ ん。 ○溝口委員 これは見ました。グリベックではすさまじい薬疹が起こるものですから。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○庵原委員 今回の申請に関しては問題ないと思うのですが、通った後の使い方に関し まして、甲乙を付けるなどの動きは血液学会等であるのですか。それとも、通したまま で放ったらかしという動きになるのですか。少なくともイマチニブがファーストライン で、セカンドラインをどちらにするとかサードラインをどちらにするという考え方は、 今回は関係ないのでしょうが、将来に向けてそういう動きを血液学会はしているかとい う情報をお持ちですか。 ○機構 こちらの立場として申し上げにくい点は、これはまだ審査を行っていないので、 承認可能かどうかという判断をここで明言することはできないのです。個人的な意見と しては、同じような患者さんに使う同じような機序の薬がほぼ同時に出てきているので、 将来的にはそのような検討はアカデミックにも面白いし患者さんにも必要であると思う のですが、ほぼ同じ時期でしたので、現時点では海外でもそういうことを結論付けるよ うな方向性はないと理解しております。 ○池田部会長 確かに、学会でも、どちらを主体に考えているかということは、ほぼ同 時に進んでいるので、どちらを選択するのか、あるいはどちらでも同じなのかというの は、これからの問題であると思います。 ○審査管理課長 今日は希少疾病用医薬品として指定するかどうかであって、承認する かどうかという審査ではないのですが、承認するかどうかというのは、そのものが持つ リスクとベネフィットを考えるというのが薬事法上の規定です。正直に申し上げまして、 仮にこの二つの上に優劣がはっきりあるとしても、その劣った方の中でもリスクとベネ フィットとして存在意義があるということであれば、それはそれで承認をしていくこと になるのであろうと思います。もちろん、学会等を中心にどういう順番で使用していこ うとか、ガイドラインを作ろうなどという動きは医療を行っていく上で歓迎すべきこと であろうと思っていますが、薬事法における承認審査という意味から申し上げると、そ の優劣が問題となる事項では必ずしもないであろうと思っております。 ○池田部会長 そのほかに御意見はありますか。なければ、希少疾病用医薬品の指定を 可として、薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございました。  本日用意した審議事項は三点でありまして、これ以降は報告事項でございます。事務 局から順次説明をお願いいたします。 ○機構 議題1、医療用医薬品の再審査結果について報告いたします。資料4-1〜4-3 の医薬品再審査確認等結果通知書「ポルフィマーナトリウム」、「塩酸オンダンセトロ ン」及び「塩酸トロピセトロン」を御覧ください。  これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成 績等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げら れている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用 量等の承認事項について変更の必要のない「カテゴリー1」と判定したものでございま す。 ○池田部会長 続いてお願いします。 ○事務局 資料5でございます。優先審査品目指定の審査結果についての御報告です。  資料の裏側を御覧ください。優先審査の取扱いについて御説明いたします。薬事法第 14条第7項に「厚生労働大臣は、承認申請された医薬品が希少疾病用医薬品、その他医 療上特に必要性が高いと認められるものであるときは、当該医薬品の審査を、他の医薬 品の審査に優先して行うことができる」という規定があります。(1)の希少疾病用医薬品 については自動的に優先審査の対象になるわけですが、(2)のところで、オーファンドラ ッグ以外のものについても、適応疾病の重篤性と医療上の有用性とを総合的に評価して、 この条件に当てはまれば優先審査の対象とするという内容です。今般、御報告を申し上 げるのは、(2)の基準にのっとりまして、二つの品目について優先審査の対象とするとい うことです。  資料の表側にお戻りください。一つ目ですが、ハーセプチン注射用、一般名はトラス ツズマブです。本剤は、HER2蛋白の細胞外領域に選択的に結合する遺伝子組換えヒ ト化モノクローナル抗体です。平成13年4月に「HER2過剰発現が確認された転移性 乳癌」という効能・効果で承認されているものです。今般、本剤につきまして、HER 2過剰発現の原発性乳癌患者に対して、手術及び標準的な化学療法後に本剤を投与する、 いわゆる術後補助療法に関する効能追加の申請があったということです。  適応疾病の重篤性ですが、HER2過剰発現が確認された乳癌につきましては、再発 率が高く、生命に重大な影響がある重篤な疾病と判断しております。  一方、医療上の有用性ですが、日本を含む39か国で実施された無作為化比較試験にお いて、既存の術後補助化学療法施行後に本剤を投与することにより、無病生存期間の有 意な延長を示す成績が得られております。これをもちまして、医療上の有用性が高い医 薬品と判断いたしまして、本剤を優先審査品目に指定するという判断をしております。  二つ目ですが、スーテントカプセル、一般名はスニチニブリンゴ酸塩です。本剤は、 腫瘍の増殖、血管新生、転移に関連する細胞表面に存在する受容体のチロシンキナーゼ の働きを阻害する抗癌剤でありまして、今回は、「消化管間質腫瘍、腎細胞癌」という 効能・効果で申請がありました。  この両疾患につきましては、いずれも生命に重大な影響がある重篤な疾病と判断して おります。  医療上の有用性につきましては、消化管間質腫瘍については、通常、切除不能な進行 ・再発例にはイマチニブが用いられますが、他の既存治療薬はなく、また、イマチニブ の耐性患者に有効な治療がないという状況です。本剤は、海外におけるイマチニブ治療 後の増悪又は不忍容例を対象とした比較試験におきまして、プラセボ群に比べて無増悪 期間の有意な延長が示されております。腎細胞癌については、現在、適応を有する薬と してIFNα製剤、IFNγ製剤、インターロイキン製剤がありますが、いずれも臨床 的に十分満足できるものがありませんで、特に二次治療以降については標準的な治療が ないという状況です。本剤は、海外におけるIFNα製剤との比較試験において、対照 群に比べて無増悪生存期間を有意に延長するという報告が出ております。  以上の点から、医療上の有用性が高いと判断いたしまして、優先審査に指定したとい うことです。 ○池田部会長 再審査結果について3品目、優先審査品目の指定について2品目を御報 告いただきましたが、この報告事項について委員の先生方から御質問はありますか。な いようでしたら、この報告事項については御確認いただいたことにさせていただきます。  次に進ませていただきます。その他ですが、これについて事務局からお願いいたしま す。 ○事務局 「小児薬物療法検討会議を踏まえた事前評価について」という議題に関しま して、資料6に基づいて御説明させていただきます。2ページを御覧ください。小児の 疾病を治療する医薬品につきましては、治験時におけるデータの集積が少ないなどの理 由により、小児における標準的な用法・用量や安全性、使用上の注意の上での記載など が必ずしも明確ではないということで、医療現場の先生方の使用経験に負うところが非 常に大きいと言えようかと思います。  このような小児医療における問題点を解決する目的で、平成18年3月に小児薬物療法 検討会議を立ち上げさせていただいております。この会議におきましては、小児薬物療 法の有効性及び安全性に関する文献的エビデンスの収集や、国内における小児への医薬 品の処方実態の把握などを通じて、得られたエビデンスを、例えば用法・用量などの一 部変更というようなことを通じた、医療従事者に情報提供することを目的にこの会議が 立ち上げられ、検討が進められているという状況でございます。  この会議における検討事項はただ今申し上げたとおりですが、対象の医薬品の範囲と しましては、まず日本国内で成分として承認が既にあるもの、さらには欧米で小児に対 する用法・用量、効能・効果の承認が既になされているもの、このようなものの中から 医療現場でプライオリティの高いものを優先して検討を進めていくという進め方をして いるところです。  この検討会議の構成員につきましては、資料の3ページですが、御覧の17名の、小児 領域における薬物療法に関して医学的・薬学的な学識経験を有する先生方にお集まりい ただいて、議論が進んでいるところです。座長につきましては、国立成育医療センター 総長の秦先生にお願いしております。  この小児薬物療法検討会議の中にはワーキンググループが設けられております。資料 の4ページですが、具体的には、報告書に記載されるエビデンスのレベルや報告書の記 載ぶりを統一するというような目的で、すべての報告書について内容のチェックを行う メンバーと、個別報告書を作成した先生方で、ワーキンググループを構成しているとこ ろです。このワーキンググループにつきましては、御覧の4名の先生にお集まりいただ き、御議論いただいているところです。座長につきましては、国立成育医療センターの 中村先生にお願いしております。  この小児薬物療法検討会議はこれまで3回開催されておりまして、先に申しました対 象医薬品の中でプライオリティの高いものとして、5ページですが、現在、8品目につ いて、エビデンスの収集や、必要に応じ国内使用実態の調査が進められている状況です。  1ページに戻りますが、このように、小児薬物療法検討会議における適応拡大を今後 目指す品目が順次出てこようかと思っております。現在、小児科学会を通じまして、ど のような医薬品のどのような利用法の情報提供を充実させるべきかということで、およ そ100成分が寄せられているところですが、この中には検討会議の対象とならないよう な医薬品も含まれていますので、今後3年間ぐらいでおよそ数十成分について小児の効 能・効果あるいは用法・用量への一部変更が行われていくのではないかと予想されてい る状況でございます。  この小児薬物療法検討会議において優先順位が決定され、エビデンスの収集と評価を 行っていただいた後、薬事・食品衛生審議会の方におきまして、事前評価として、有効 性、安全性などの事前評価を踏まえまして、私ども行政から関係の製薬企業に一部変更 承認の申請を行っていただくよう要請するとともに、その申請に基づいて機構で迅速審 査を経て、また薬事・食品衛生審議会の方で御検討いただいた上で承認に至りたい、こ のようなことを考えている次第でございます。 ○池田部会長 小児の薬物療法についてはこの部会でも先生方から再三御指摘をいただ いていたところであると思いますが、小児薬物療法検討会議が設けられて、資料6のよ うな流れで適応拡大を図っていこうということで、このスキームについて先生方から御 意見あるいはサジェッションはありますか。非常に結構なことであると思いますが、よ ろしいでしょうか。それでは、この検討会議のスキームを御確認いただいたことにさせ ていただきます。今後、この部会で実際に担当する具体的な品目についてはこの検討会 議での評価結果がまとまり次第、御報告いただいて審査することになると思いますので、 その折はよろしくお願いしたいと思います。  本日の議題は以上ですが、事務局から何かありますか。 ○事務局 前回1月の当部会において、バルトレックス顆粒という、塩酸バラシクロビ ルについて御審議いただきました。その際、水痘の適応と小児に対する用法・用量を追 加することについては御了解いただいたのですが、錠剤にも水痘の適応追加をして、成 人に対する用法・用量を設定できないか、あるいは顆粒剤に成人に対する用法・用量を 設定できないかという御指摘をいただきました。これを踏まえまして、申請者グラクソ ・スミスクライン社に対しまして既存データの調査を含めて検討指示をいたしました。 その後の状況についての御報告をさせていただきます。  その結果ですが、諸外国におきまして、このバラシクロビルの製剤について成人の水 痘の適応や用法・用量を承認されている国がフィリピンだけということでした。なお、 アメリカ、欧州等では、このバラシクロビルはアシクロビルのプロドラッグですが、ア シクロビルの経口剤について小児と成人の水痘の効能や用法・用量が承認されているこ とが確認されております。  それから、このバラシクロビルの経口剤の成人の水痘に対する用法・用量の設定の検 討に際して参考になりそうな情報をいろいろ集めてみましたが、国内で、使用成績調査 における錠剤の2例の使用経験のデータがありました。副作用報告データベースに蓄積 された10例余りの報告もありました。また、先ほど御紹介したフィリピンで、承認を取 得した当時の臨床試験データが30例ぐらいありました。外国で、幾つか論文があったこ とが分かりました。  成人の水痘につきましては合併症の発生に伴う死亡率が小児の水痘よりも著しく高い という報告もありますので、今申し上げたような情報やアシクロビル製剤の薬物動態の 情報などを利用いたしまして、バラシクロビルの錠剤に水痘という効能と成人に対する 用法・用量を設定することなど、何らかの対応ができないか、実は既に協議を始めてお りますが、申請者と早急に協議をいたしたいと思っております。それでうまく申請がで きそうで、申請があれば、審査をして、いずれ当部会にも御報告を申し上げる予定でご ざいます。  それから、前回の部会の議論のときに、今の成人の用法・用量の問題と併せまして、 錠剤にも今回の顆粒剤と同じように小児の水痘の効能・効果、用法・用量を追加して、 比較的年齢の高いお子さんにも使えるようにしたらいいのではないかという御議論もあ りました。この点について申請者に検討指示をいたしましたが、申請者からは、前回御 審議いただいた小児の水痘に対する用法・用量は体重当たりで設定しておりまして、既 存の錠剤が500mg錠一つなものですから、その辺の調節がなかなかできないのではない かという点や、500mgの錠剤自身が18.5mm×7.3mmという比較的大きな錠剤でありまし て、比較的年齢が高い小児といっても、服用が困難な場合や、無理に飲み込もうとして 医療事故の可能性もあるのではないかという指摘もあって、今の時点で前向きに検討と いうのは難しい状況ですので、こちらの方は、今後、医療現場の声も聞きながら対応を 検討していきたいと考えております。 ○池田部会長 いかがでしょうか。バラシクロビルの成人の水痘に関する使用というこ とで、前回、溝口委員から御意見を寄せていただいたのですが、先生、何かありますか。 ○溝口委員 早速対応していただきましてありがとうございました。もしそのようにな れば医療現場は大変助かりますので、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 そのほかに、先生方、いかがでしょうか。既に申請企業と協議に入って いるということですので、事務局の方、引き続きよろしくお願いしたいと思います。  もう一つ報告がありましたね。 ○事務局 事務連絡でございます。過去に当部会で御審議いただいた品目の承認状況に ついての御報告です。本日、資料No.を振らずに「新医薬品の承認について」というリス トを配付しております。前回の部会のときに1月4日承認分までは口頭で御報告申し上 げましたが、その後、1月26日に表にあるような品目を承認しております。これは第一 部会、第二部会を一つの表にしていまして、一番右側の「担当部会」が第二部会、フル ダラビン以下が当部会で御審議いただいて承認に至った品目ですので、このリストをも って御報告をさせていただきたいと思います。  最後に、次回の部会の予定の御案内ですが、先般、4月〜8月までの開催日程につい て御案内申し上げておりますが、次回の部会は、4月25日(水)午後1時30分から開始 させていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 これで審議事項、報告事項、連絡事項等はすべて終わりました。何か追 加して御発言の方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。もしないようでしたら、 少し早いですが、本日はこれで第二部会を終了させていただきます。どうもお忙しいと ころをありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 山本(内線2734)