07/02/16 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 平成19年2月16日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録 1.日時及び場所   平成19年2月16日(金) 16:00〜17:58 グランドアーク半蔵門3階「華の間」 2.出席委員(19名)五十音順   安 達 知 子、 五十嵐   隆、 猪 熊 茂 子、 上 田 志 朗、   木 下 勝 之、 国 頭 英 夫、 倉 田 雅 子、 児 玉   孝、   柴 川 雅 彦、 首 藤 紘 一、 土 屋 文 人、 新 見 伸 吾、   埜 中 征 哉、 日 野 治 子、 長谷川 隆 一、 堀 内 龍 也、  ◎松 本 和 則、 山 口 照 英、 宮 村 達 男     (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(4名)五十音順  ○池 田 康 夫、 甲 斐 智恵子、 工 藤 宏一郎、 中 澤 憲 一 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    伏 見   環(安全対策課長)、   山 田 雅 信(安全使用推進室長)、 関 野 秀 人(薬事企画官)、   川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、 別 井 弘 始(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長)、他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 定刻になりましたので、平成18年度第3回医薬品等安全対策部会を開催いた します。  本日の部会は、従前の取扱いと同様、公開で行うこととしていますが、カメラ撮りは 議事に入る前までとしていますので、マスコミ関係の方々におかれましては、御理解と 御協力のほどよろしくお願いします。また傍聴者は、傍聴に際しまして、遵守事項をき ちんとお守りいただくようお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、 ありがとうございます。  本年1月に薬事・食品衛生審議会の委員改選がございましたので、安全対策部会の委 員も約半数の委員が交代されております。改めて安全対策課長の方から御紹介いたしま す。 ○安全対策課長 安全対策課長の伏見でございます。よろしくお願いいたします。  交代された方、あるいは引き続き委員をお願いする先生方がいらっしゃいますが、こ の場を借りて委員全員の御紹介をさせていただきたいと存じます。まず、部会長ですが、 1月に開催された薬事・食品衛生審議会の薬事分科会で選出がなされています。部会長 は国際医療福祉大学教授の松本委員です。以下、五十音順で紹介をさせていただきたい と存じます。愛育病院産婦人科部長の安達委員、東京大学医学部教授の五十嵐委員。慶 應義塾大学医学部長の池田委員ですが、本日は御欠席です。都立駒込病院アレルギー膠 原病科部長の猪熊委員、千葉大学大学院薬学研究院教授の上田委員。東京大学医科学研 究所教授の甲斐委員ですが、本日は御欠席です。日本医師会常任理事の木下委員。国立 国際医療センター国際疾病センター長の工藤委員ですが、本日は御欠席です。国立がん センター中央病院医長の國頭委員ですが、1時間ほど遅れるとの御連絡をいただいてお ります。納得して医療を選ぶ会事務局長の倉田委員、日本薬剤師会副会長の児玉委員、 京都薬科大学教授の柴川委員、日本医薬情報センター理事長の首藤委員、東京医科歯科 大学歯学部附属病院薬剤部長の土屋委員。国立医薬品食品衛生研究所薬理部長の中澤委 員ですが、本日は御欠席です。国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部第3室長の新見委 員、国立精神・神経センター武蔵病院名誉院長の埜中委員、関東中央病院皮膚科部長の 日野委員、統計数理研究所教授の藤田委員、群馬大学大学院医学系研究科教授の堀内委 員、東京医科歯科大学大学院教授の槇田委員、聖マリアンナ医科大学教授の三宅委員、 国立感染症研究所長の宮村委員です。以上、24名の委員に本部会をお願いしております。 どうぞよろしくお願い申し上げます。  それから、部会長代理につきましては、規定上、部会長が指名をしていただくことに なっておりますが、松本部会長いかがいたしましょうか。 ○松本部会長 前回に引き続きまして、慶應義塾大学の池田先生にお願いしたいと思い ます。 ○安全対策課長 ありがとうございます。規定に基づきまして、部会長から池田委員が 部会長代理として指名されました。池田先生は本日御欠席でございますので、この旨を 事務局からお伝えしたいと考えております。 ○事務局 本日の会議は、現在、19名の委員に御出席いただいております。本部会の定 員は24名ですので、本日の部会は定足数に達しておりますことを御報告いたします。  続きまして、事務局を御紹介いたします。大臣官房審議官医薬担当の黒川、安全対策 課長の伏見、安全使用推進室長の山田、総務課薬事企画官の関野、独立行政法人医薬品 医療機器総合機構安全管理監の川原、同じく総合機構安全部長の別井でございます。  それでは、議事に入りますので、カメラ撮り等はここまでとさせていただきます。  以降の議事の進行は、部会長よろしくお願いいたします。 ○松本部会長 本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。こ れから先生方とともに、本部会におきまして、医薬品等の安全対策について議論を行い たいと考えておりますので、御協力のほどよろしくお願いします。  それでは、まず、事務局から本日の配付資料の確認を行ってください。 ○事務局 配付資料の確認を行います。お手元の資料を御覧ください。まず、本日の座 席表、委員名簿、議事次第、配付資料一覧があります。資料1-1「薬事法第36条の3第 1項第1号及び第2号の規定により厚生労働大臣が指定する第一類医薬品及び第二類医 薬品を定める件(仮称)案の概要」、資料1-2-1「パブリックコメントを踏まえた一般用 医薬品のリスク分類案」、資料1-2-2「パブリックコメントを踏まえた生薬成分(天然物 由来成分)の分類案」、資料1-3「一般用医薬品の区分に関する薬事・食品衛生審議会薬 事分科会医薬品等安全対策部会報告について」、資料2-1「医薬品等の使用上の注意の 改訂について」、資料2-2「平成18年度第2回 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対 策部会安全対策調査会資料(抜粋)」、資料2-3「リツキシマブについて」、資料3-1「薬 事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等報告に ついて」、資料3-2「国内副作用報告の状況(医療用医薬品)」、資料3-3「国内副作用報 告の状況(一般用医薬品)」、資料3-4「国内感染症報告の状況」、資料3-5「外国におけ る新たな措置の報告状況」、資料3-6「研究報告の報告状況」、資料4-1「感染症定期報 告の状況」、資料4-2「報告文献別一覧表」です。それから、当日配付資料として、二 つお配りしています。当日配付資料1は、本日の資料2-2と関係しますが、アストラゼ ネカ社から厚生労働省に対して本日付けで提出された文書です。当日配付資料2は、医 薬品医療機器総合機構からの報告の際に使う資料です。資料は以上ですが、お手元にご ざいますか。 ○松本部会長 よろしいようでしたら、早速、議題に入りたいと思います。まず、議題 1の「一般用医薬品の区分の指定について」です。  この議題の参考人として、日本薬剤師研修センター理事長の井村先生と北里大学薬学 部教授の望月先生をお呼びしていますが、望月先生は少し遅れるそうです。井村先生、 前の席にお移りください。よろしくお願いいたします。  一般用医薬品の区分の指定については、昨年11月に開催された本部会で審議いたしま して、その案についてパブリックコメントを求めておりました。その結果も踏まえ御審 議いただくわけですが、今回から参加されている委員が多数おられますので、これまで の経緯を含めて事務局から説明をしてください。 ○薬事企画官 お手元の資料で申し上げますと、資料1-1、資料1-2-1、資料1-2-2、資 料1-3の4種類の資料です。部会長からも御説明がありましたが、初めての先生方もい らっしゃいますので、これから御審議いただく内容に関して、その経緯も含めて御説明 申し上げます。  今から説明しますのは、一般用医薬品になりますが、その販売方法が、薬事法の改正 によりまして、昨年の国会で御審議いただき、改正されることになりました。昨年から 見て3年後ですが、平成21年の段階で、薬局あるいは薬店で市販されている一般用のお 薬を買うときの買い方、売る側から見れば売り方が変わるという法改正になります。一 般用医薬品を大きく三つに分けることをベースとして、分けた結果に従って、販売をす るときに情報提供をしっかりやっていただくもの、これは売る側から見れば義務となる もの、できるだけ努力義務ということで情報提供していただくもの、情報提供を原則不 要とするもの、この三つに販売方法を分けることにするというものです。それと絡めま して、それぞれ販売時の情報提供を求める対象となる一般用医薬品を三つの区分に分け る作業がまず発生します。したがいまして、3年後の施行となりますが、第一段階の準 備として、今市販されている一般用医薬品全体を洗い出しまして、三つの区分に分ける 作業を行っています。この部分をこの部会で御覧いただき、御審議いただくという経緯 です。  資料1-1を御覧ください。日付が平成18年12月11日となっています。この日付をも ちまして、委員が改選される前の昨年11月末に開かれた安全対策部会で、事務局が用意 しました案を御審議いただいたものを、パブリックコメントということで、1ページの 1.意見提出期限にありますとおり、平成18年12月11日〜平成19年1月12日までの 約1か月間、その意見を募集したというものです。資料1-1は、そのパブリックコメン トを求めたときの資料で、既に公になっているものですので、その御紹介だけでとどめ させていただきたいと思います。  資料1-2-1を御覧ください。これに関しては、表になっていて、最初のページを御覧 いただければ分かりますが、黒く網掛けをしている部分があります。この部分が、パブ リックコメントを通じて、暮れの安全対策部会にお示しした表と比べまして、変更され た部分として御覧いただければと思います。全体を通しまして幾つかのパターンがあり ますが、その主立ったものを、どういうケースが追加されているか、時間の関係もあり ますので、部分的に御紹介します。  1ページの通し番号が振っていない網掛けの部分、4と5の間にあるケトプロフェン という成分に関して、追加になります。この表で言うと「薬効群」及び「投与経路」の 欄を御覧いただきたいのですが、鎮痛・鎮痒・収れん・消炎薬にカテゴライズされるも のです。パブリックコメントを行う前には、投与経路のところに「外用(塗布)」という ことで、塗り薬でのケトプロフェンは把握していましたが、パブリックコメントの段階 で、ここにありますとおり、「外用(貼付)」ということで、貼り薬があるという御指摘 をいただきました。これは現在、厚生労働大臣が薬事法に基づいて指定する指定医薬品 というカテゴリーになっていまして、薬剤師がいる店舗でしか売れない品目になってい ます。我々も制度上、指定という行為を行っている関係で本当は漏れてはいけないので すが、これは我々のミスということで非常に恥ずかしい限りです。パブリックコメント を通じて御指摘いただいた結果、貼付型のケトプロフェンに関して、この表に入れ込ん だというものです。扱いに関しては、今申し上げましたとおり、三つの区分に分ける作 業を行うわけですが、そのうちの第1類として分類案のところに書かせていただいてい ます。この第1類というのが、薬剤師を通じて情報提供を必ずやっていただく、情報提 供が義務になるカテゴリーに当たるものです。  その下の網掛けの部分、5と6の間にジエチルスチルベストロールという成分があり ます。これに関しては、1行上にありますとおり、しもやけ・あかぎれ用薬という薬効 群に属するジエチルスチルベストロールはパブリックコメントの前で把握していました が、その後に、その製品の承認を持たれている方から、その他の泌尿生殖器官に属する 一般用医薬品にもこの成分が含まれているという御意見をいただきましたので、それを 追加しています。申し遅れましたが、市販されている一般用医薬品そのものをそれぞれ この表に並べたわけではありませんで、市販されている薬に含まれる有効成分に分解し まして、その有効成分をベースとして成分欄に一つ一つ書き出しています。したがって、 今のジエチルスチルベストロールのケースで言いますと、しもやけ・あかぎれ用薬の目 的で使われるお薬の中に入っている、一方、その他の泌尿生殖器官の目的で使うお薬に も、成分としてジエチルスチルベストロールが入っているという見方をしていただけれ ばと思います。いずれにしても、パブリックコメント前の部分と網掛けの後の部分のい ずれも、分類案としては第1類と我々があらかじめ考えていた部分ですので、こういう ものを追加させていただいていますが、作業の方針としては特段変わりないものとなる かと思います。  もう一つのパターンとして、同じページの下の方にラノコナゾールという成分名のと ころだけが網掛けされているものがあります。この網掛けは、記載の変更という意味で す。パブリックコメントで23として掲げていたわけですが、これもお恥ずかしい限りで、 パブリックコメントの前は「ラナコナゾール」とミスタイプをしていまして、正確には 「ラノコナゾール」という御指摘をいただきました。確かにそのとおりということで、 ここも前回の部会の資料と比べれば変更点ですので、まじめに記載変更ということで網 掛けをしています。  このようなパターンが続きます。もう一つ例を申し上げますと、2ページに、先ほど の網掛けとは違ったパターンで、斜線を引いているものがあります。これは何を意味し ているかと申し上げますと、一つ上の32にかぜ薬(内服)のdl-塩酸メチルエフェドリン というものがありまして、32と斜線を引いた33を並べてパブリックコメントをしてい ます。これに関しては、成分も同じ、投与経路も同じ、薬効群も同じかぜ薬(内服)で、 明らかに重複しているので、二つも必要ないということで、一つ削除をしているという 意味です。この斜線を引いた部分は、前回の部会の資料から削除をする部分ということ で見ていただければと思います。  記載の修正と、先ほどのケトプロフェンのように、追加しているものと、幾つかのパ ターンがあるわけで、その中で、御審議に当たりまして御紹介しておいた方がいいもの を、幾つか説明します。10ページの中ほどに、行全体を通して網掛けをしているものが あります。成分名で申し上げますと、ジアセチルアミノアゾトルエンです。外用(塗布) の薬ですが、鎮痛・鎮痒・収れん・消炎の目的で使う製品があるという御意見をいただ きまして、この効能・効果をたどったところ、「根拠」欄に書いてありますが、レゾル シンというものとほぼ同じ薬効を期待して配合されているものと確認できました。レゾ ルシンは、パブリックコメントを行う前は第2類という扱いをしていまして、それと類 似と見ていいであろうということで、「レゾルシン(2)」という書き方をしています。そ ういうことで、分類案は第2類としています。  11ページに、網掛けの部分があります。ストマクシンという成分です。これに関して も、こういう成分があるという御指摘があったわけですが、根拠のところにありますと おり、スクラルファートという胃の薬と同じものということで、実際ストマクシンの構 成要素はスクラルファートですので、それと同じ第2類として今回扱っています。  12ページの下の方に、殺虫剤があります。殺虫剤は成分の種類にかかわらず原則第2 類という扱いと前回の部会で御説明しましたが、その取扱いに関しては、あくまで人に 直接使わないものということでの説明でした。それに対して、パブリックコメントで、 人に直接使うものということで、ディートというものが出てきました。どういう目的か というと、虫よけスプレーですので、肌に触れるという意味で、人に使うものです。人 に使わない殺虫剤は全部原則第2類とする扱いとはまた違いますので、この表の中に入 れ込む形で追加しています。分類案としては、人に直接使わないものと同じ原則に立ち まして、第2類ということです。これは、添付文書を一つの根拠にして、その安全性、 その他を確かめた上で、ほかのものと同じルールに沿いまして分類をした結果、第2類 でいいのではないかと考えています。  その次のページからも網掛けの部分が出てきますが、いずれも今申し上げたようなパ ターンに沿いまして、記載のミスも含めて追加しています。なお、網掛けの部分は、削 除の部分を除いて、全体として102か所あると思いますので、それぞれに関して御確認 いただければと思っています。  資料1-2-2を御覧ください。こちらは、先ほど説明した、一般用医薬品を成分に分解 した形のものではなく、天然物由来の成分だけを別の形で表にしたものです。表の見方 は同じで、斜線の部分が削除したもの、網掛けの部分が追加したものです。追加に関し ては、我々がパブリックコメントの前の段階で把握しきれなかったものを御指摘いただ いたものがほとんどです。斜線の部分に関しては、1ページの3のアキョウ末ですが、 一つ上に2のアキョウがありまして、末かどうかということで、刻んであるかどうかに かかわらず内服なら第3類、外用なら第3類という同じ評価であるならば、これをまと めて示すこともできるのではないか、2と3に分けて書く必要はないということで、2 にあるアキョウを代表とすることにしまして、アキョウ末の部分が要らなくなったとい うことで、削除しているケースです。生薬に関しても、そういう形でこの表を御覧いた だければと思っています。  今後のスケジュールとも関係してまいりますが、今申し上げたように、一般用医薬品 を成分あるいは生薬という形で分解しまして、それぞれに対する分類を第1類、第2類、 第3類としたところであります。これについて御了解いただけるようであれば、この分 類に関する法律上の施行が年度明けの4月1日と決められていますので、その段階まで に、今申し上げた成分ごとに関する分類を、告示の形で示したいと思っています。この 表を法制度の告示というものに従って並べ替えたものを、資料1-3として御用意してい ます。内容的には、表に重複して書かれているものを一つにまとめてある、あるいは内 用薬と外用薬で分類が第2類、第3類と違っているような場合にはその部分を書き分け ているという形で、まさに法制的に書き替えるとこうなるということです。最終的には これが告示として出ていく形になろうかと思っています。イメージとして、参考までに お配りしています。したがいまして、分類案に関する御審議は、基本的には資料1-2-1 及び資料1-2-2を御覧いただき、御議論いただければと思っています。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。井村先生、望月先生、ただ今の説明に対して、 御補足等はございますでしょうか。 ○井村参考人 特にありませんが、パブリックコメントを取ることが大変有効だという ことをしみじみ感じています。どうもありがとうございました。 ○望月参考人 私も特にありませんが、大変いろいろな御意見をいただいて、それをま た作業に反映していただいた事務局の方にも御礼を申し上げたいと思います。 ○松本部会長 ありがとうございます。それでは、御質問、御意見等はございますでし ょうか。 ○堀内委員 前回もお話しましたけれども、例えば小柴胡湯は一般用医薬品でも売られ ていると思いますが、医療用医薬品については緊急安全性情報が出て、間質性肺炎が起 こる可能性があるので発熱、咳、呼吸困難等が起きたら直ちにやめることという文言が 添付文書にも入っていると思います。成分及び加えられている量は、一般用医薬品でも 余り変わらないと思います。そうではないと効きません。緊急安全性情報のときにも、 小柴胡湯だけが問題ではなくて、サイコが入っているものが問題であるというまとめ方 になっていたように記憶しています。このように厚生労働省から緊急安全性情報で出る ようなものについては、それなりの扱いをする必要があるのではないかと思います。こ れは生薬だから安全というわけにはいかないと思いますので、生薬の中でも第1類があ っても構わないと思います。今後のことで結構ですので、そういうものに対してどう対 応されるかについて教えていただきたい。  もう一つは、一般用医薬品には入っていませんが、例えばセント・ジョーンズ・ワー トというセイヨウオトギリソウは、健康食品として、穏やかな気分にさせるということ で、一般に売られています。これも安全性情報が出ていると思いますが、薬物の代謝酵 素を阻害するために、いろいろな医薬品を服用している場合には血中動態が大きく変わ ることがあります。ですから、一般用医薬品には入らないけれども、いろいろな影響を 及ぼすようなものについても、十分な説明をして販売をする必要があるのではないかと 思いますがいかがでしょうか。私は、第1類で、薬剤師がきちんと説明すべきと考えて おり、この前もそういう発言をしました。よろしくお願いします。 ○松本部会長 事務局からお答えできますか。 ○薬事企画官 今、先生から御指摘いただいた点は、前回の部会でも御指摘いただいた ところであると思います。小柴胡湯の関連で申し上げますと、ほかの先生方にもお示し するとすれば、資料1-2-2の5ページになります。通し番号の132に、堀内委員から御 指摘いただいた「サイコ」があります。この扱いに関しては、内服の場合は第2類、外 用の場合は第3類ということで、販売するときに専門家が情報提供を行うことに関して、 努力義務という扱いが第2類になります。それに対して、医療用で起こり得るいろいろ な副作用も含めてしっかりと説明し、注意深く売る必要があるのではないかという御意 見であったと思います。その点に関して、今後、この区分に応じまして、それぞれの販 売に従事する専門家の中身である資質の議論をしてまいりますので、販売の形態として は法律上は努力義務ですが、御指摘いただいたような、医療用で起こり得る副作用も十 分に理解した上で販売をしてもらうという、専門家に対して求めていく事柄の中でどう 取り込んでいけるかという観点で受け止めさせていただければと思います。医療用でも 一般用でも、同じ量ということも含めれば、起こり得ることも十分に意識して、販売の 際に注意してもらうことではないかと思っています。  セイヨウオトギリソウに関しては、先生がおっしゃられたとおり、この表の中には直 接出てきませんが、これも前回の部会で御指摘いただいた点でして、その関連で申し上 げますと、同じ資料の2ページになります。通し番号の39に、「オトギリソウ→ショウ レンギョウ」となっているものがあります。前回、部会で示したときには「オトギリソ ウ」という書き方だけでしたので、堀内委員から、これが西洋由来のものであれば、い ろいろな面での相互作用をかなり注意深く考えなければいけないと御指摘いただきまし たが、このオトギリソウが西洋のものなのか、そうではないのかを確認したところ、セ イヨウオトギリソウではないことが確認できました。紛らわしくないということで、今 回、別名の「ショウレンギョウ」という書き方に改めさせていただきます。今、先生か らいただいた意見に関しては、ほかの薬との相互作用を十分に注意して、健康食品とい う形も含めて売られる可能性がありますので、セイヨウオトギリソウはほかの薬との相 性が余り良くないことも十分に知っていただいた上で取り扱って売っていただき、販売 時にその説明もしてもらう方向で、しっかりやってもらうものの一つの事例としてこち らで受け止めさせていただきたいと思います。以上です。 ○松本部会長 堀内先生、そのような説明でよろしいですか。 ○堀内委員 是非十分に徹底していただきたいと思います。 ○松本部会長 ほかに御意見等はございますでしょうか。 ○児玉委員 今回の第1類、第2類、第3類の分類というより、この分類が終わった後 の今後の対応ですが、関連しますので申し上げます。第1類は、今日こうしてお示しい ただきましたが、約30薬効群となります。これは、医薬品販売制度改正検討部会の流れ をくんでいるものと解釈しています。前のことですので時間がずれて恐縮ですが、その 検討部会の第1類の議論の中に、「より良く効く薬の導入」というのが入っています。 井村先生と望月先生はもちろんその議論は御承知で、一般用医薬品を見直していく上で、 今の国民のニーズ、セルフメディケーションが日本でも少しずつ育ちつつありますが、 それに具するだけの切れ味の良い一般用医薬品をもう少し開発していくべきではないか という議論が当時あったわけです。そのような中でこの文言が入ったと解釈しています。 それが第1類につながっている。現在の約30薬効群でいくと思いますが、今回の議論の そういう流れからしますと、今の国民のニーズを考えれば、今後はその拡大を是非図っ ていただきたい。それについてどうお考えかというのが第一点です。  第二点は、まだ説明がないのに申し訳ないですが、関連しますので、資料3-3をお願 いします。後で御説明がありますが、資料3-3は国内副作用報告の状況で、一般用医薬 品の副作用例が記載されています。報告件数は69件ですが、この中身を見ると、今回載 っている分類でいくと、このうち、第1類が入っているものが2件、第2類の*が入っ ているものが47件、第2類が18件、第3類が2件となります。私が申し上げたいのは、 第2類の*が付いたものが69件中47件ということは、全体の68%なのです。今回の薬 効群からすれば第2類の*はそれほど多くありませんので、それからするとかなり高い 発現率になります。かつ、スティーブンス・ジョンソン症候群あるいはアナフィラキー ショックという、結構重篤な内容なのです。今回のリスク分類は大変な議論があっての ことですから、それはそれでいいと思います。今後の問題として、第2類の*の現状を 踏まえて、例えば陳列方法等の議論が今後あるわけですが、大変慎重に扱っていただき たいというのが第二点です。  第三点は、前回も私は発言したと思いますが、今回これが決まりますと、第1類から 第2類、第2類から第3類、事によっては第3類から第2類、第2類から第1類があり 得ると申し上げ、それはあり得るという御返答をいただいています。第1類から第2類、 第2類から第3類の方法論にもこの前に少し触れていただきました。まだ議論の最中で あるとお答えをいただいていますが、少なくとも、今までのような、指定薬を解除する ような方法論では同じようなことになるのではないかという懸念があります。したがい まして、今後それを検討される際には、従来の指定薬解除の方法論を見直して、こうい う現状を踏まえて、もう少し慎重な方法論を考えていただきたい。また、これでいった ん決まりましたら、今後の運用の中で、先ほど堀内委員がおっしゃったような安全性情 報等、いろいろな状況がありますから、ここでの御答弁でも、そのようなときには時に よっては第2類から第1類があるとおっしゃいました。そういう議論の機会がもしあっ たとしたならば、第2類の*が付いたものについては是非第一義的に俎上に上げていた だきたい。それは、安全性を担保するためです。したがって、その辺のことについて、 今回のリスク分類うんぬんを、今後の対応として申し上げたわけです。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。今後のことですが、事務局から何かあります か。 ○薬事企画官 一つ目の、より良く効く薬の拡大に関しては、今回の販売制度が実態と 乖離のない形で、情報提供なりいろいろな対応をきちんとしていただくことが前提であ るならば、これから出てくる新しい一般用医薬品の受皿になれるのではないかと思って います。その前段階としては、制度をしっかり作り上げていくところと連動させて考え ていくべき問題であると思っていますし、製品の開発となるとどうしても申請者たる企 業の自らの仕事としての取組も必要になってまいりますので、その辺りが連動される形 で進めていくことになるかと思います。  二つ目の、副作用報告の件数で、今日の資料に基づいて、第2類の*の付いたものが 68%あるということですが、ほかの先生方に若干の説明を申し上げた方がいいと思いま す。先ほど申し上げたように、区分が第1類、第2類、第3類に分かれますが、そのう ちの第2類に入るもの、言い方を変えれば、販売時に情報提供をきちんと努力義務でや っていただく範囲に入るものに関して、努力義務ということに対してできるだけ専門家 が介在する機会を増やすための工夫をする必要があると評価をしたものが、各表の中に *を付けて示した成分になります。具体例としては、アスピリンもそうであったと思い ます。その結果が、この副作用報告の資料の中にも出てきているのではないかと思いま す。この件数に関しては、報告が上がった件数にもなりますので、頻度というよりは、 使用実態でかなりの量が使われていれば、それに見合う報告件数もあるということです が、件数自体が多いことは事実であると思います。その中で、専門家が介在するチャン スを増やしていくという意味での*ですので、これも同じような答えになってしまいま すが、その趣旨がしっかり実行されるように、制度全体の中で作り上げていくものであ ろうと考えています。  三つ目の、第2類が第1類になったり、第1類が第2類になったりというお話に関し ても、第1類に当たる法律上の定義がありまして、薬事法上の承認を受けるときの一定 期間、再審査という形での市販後調査を掛ける対象になる品目であったり、承認条件と して市販後の安全性データを含めた症例の集積を求めるものなど、幾つかのケースがあ ると思いますが、承認されてからしばらくの間、使用経験が少ないものに関しては第1 類になります。今申し上げた、承認時に定められた再審査や市販後調査の一定期間が終 了した時点で一度必ず集まったデータに関して評価をし、その段階で区分を変える必要 があるかどうかの審議をこの部会でしていく形になりますので、そのプロセスは分かり やすく、きちんとルール化をした上でやっていくことになると思っています。 ○安全対策課長 もう一点追加しますと、今までの基本的な考え方としては、第2類の ものは、販売のときに情報提供を努力義務としてやっていただくということですが、薬 剤師あるいは登録販売者が実際に販売に当たるわけです。薬剤師に関しては、以前から 薬事法で厚生労働大臣に対する副作用の報告義務が掛かっていたわけですが、昨年の法 改正のときに副作用報告の規定も改めまして、今回、登録販売者に関しても、副作用報 告を義務化することにしています。情報提供をしていただき、併せて、何か副作用を知 ったときに、重要なものとお考えになったときには厚生労働大臣に報告していただくと いうことで、安全対策でもよりきめ細かく対応できるのではないかと考えています。 ○松本部会長 児玉先生、そのような答えでよろしいでしょうか。 ○児玉委員 今後の問題になりますので、今どうだということはないと思いますが、そ の辺を十分御考慮いただいて、是非よろしくお願いしたいと思います。 ○松本部会長 ほかに御意見、御質問等はございませんでしょうか。よろしいようでし たら、一般用医薬品の区分の指定について、本日の御意見等を踏まえまして、本案を御 了承いただいたものとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。では、そのようにさ せていただきます。  薬事分科会における確認事項において、部会審議、分科会報告とされています。した がいまして、本案をもって当審議会の答申として、分科会へは報告することとしたいと 思います。今後の予定について、事務局から説明をお願いします。 ○薬事企画官 ありがとうございました。今、御審議いただきましたリスク分類に関し ては、年度内に厚生労働大臣の告示という形で官報掲載をさせていただき、その後、4 月1日からこの区分が有効になるということです。ただ、販売形態に関しては、その後、 この区分に応じて様々な製品ごとに置き替えた状態での表示の対応や制度設計をこれか らやっていく段階になりますので、実際に4月1日から売り方が変わるものではありま せん。売り方に関してはあくまで平成21年からですので、その準備段階ということで、 リスク分類に関する告示を4月1日から施行する予定にしています。以上です。 ○松本部会長 よろしくお願いします。それでは井村先生、望月先生、ありがとうござ いました。御退席なさって結構です。  議題2、「医薬品等の市販後安全対策について」です。事務局から説明をお願いしま す。 ○事務局 初めに、医薬品等の使用上の注意の改訂についてということで、資料2-1を 御覧ください。今回は、平成18年12月1日〜平成19年1月12日に使用上の注意の改 訂を指示した分について御報告します。  平成18年12月1日発出分、No.06-067、トシリズマブ(遺伝子組換え)です。本件につ いては、感染症を合併したキャッスルマン病の患者において、この薬を投与すると感染 症が悪化するという副作用の報告がありましたので、「警告」の項に感染症に関する事 項の記載を整備しまして、「禁忌」の項に「重篤な感染症を合併している患者」を追記 し、「慎重投与」の項を「感染症を合併している患者又は感染症が疑われる患者」と改 めまして、「重要な基本的注意」の項に本剤投与開始に関する感染症の注意の記載を整 備しています。そのほか4成分について、改訂の指示を行っています。  平成18年12月21日発出分、No.06-072、リツキシマブ(遺伝子組換え)です。本件につ いては、資料2-3のときに併せて御説明します。  平成19年1月12日発出分です。No.06-073、漢方製剤の女神散について、副作用報告 が集積したということで、「重大な副作用」の項に「肝機能障害、黄疸」を追記してい ます。また、No.06-074、塩酸セフカペンピボキシルについて、「重大な副作用」の項の 肝機能障害、黄疸に劇症肝炎に関する記載を追記しています。以下3成分について、使 用上の注意の改訂を指示しています。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。平成18年12月1日〜平成19年1月12日指 示分の医薬品等の使用上の注意の改訂について説明していただきました。御意見等はご ざいませんでしょうか。よろしいようでしたら、次に進みます。  続きまして、イレッサに関する前回安全対策調査会の審議結果について報告していた だきます。本日は参考人として、アストラゼネカ社からも出席いただいています。それ では事務局から、説明をお願いします。 ○事務局 資料2-2を御覧ください。この資料は、本年2月1日に行いました安全対策 調査会での資料です。その調査会でお集まりいただいたメンバーは、3ページに記載の とおりです。本日御出席の先生方も、一部参加しています。  4ページを御覧ください。調査会での資料ナンバーが右上に振ってありますが、まず、 これまでの経緯を簡単に御説明します。ゲフィチニブ(イレッサ)ですが、平成14年7月 に、薬事法上の承認が行われました。この承認に際しましても、既にこの時点で間質性 肺炎について添付文書において注意喚起をしていました。秋ごろに、間質性肺炎等の26 例の報告中、死亡例が13例と、死亡例がかなり見られたということでしたので、緊急安 全性情報を発出して注意喚起を行いました。年末に、検討会を開きまして、売り方等に ついて御議論をいただき、癌化学療法に精通した医師により使用することや、投与開始 後4週間は入院を基本とすることを取り決めていただきました。平成15年5月に、米国 でも、このイレッサ錠の認可が下りています。  平成16年の年末に、アストラゼネカ社の本社がそれまで行っていた延命効果試験(I SEL試験)結果を公表しました。簡単に申しますと、全体解析では延命効果がなかった、 ただし、東洋人では延命効果を示唆したというものでした。この試験結果の公表を受け まして、平成17年1月〜3月に掛けまして、厚生労働省で検討会を組織しまして、4回 にわたって御審議をいただきました。「別添を参照」と書いてありますが、別添は6〜 7ページに付けていまして、こういう検討結果をいただいたということです。5ページ になりますが、この検討結果に基づいてアストラゼネカ社に対して指示する通知を出し ました。ゲフィチニブ使用ガイドラインをきちんと周知することや、患者数などの把握 をきちんとすること等の内容になっています。  同年6月に、米国においても、ISEL試験の結果について検討がなされまして、措 置が発表されています。「イレッサ治療により、現在ベネフィットを受けている、又は 過去にベネフィットを受けていたと主治医が認めた患者」に使用を限定すること、その 時点での回収については考えていないこと等が米国の措置として発表されています。  平成18年の秋に、アストラゼネカ社が行っていたコホート内ケースコントロールスタ ディの新たな研究結果が出てきました。調査会とこの部会にも報告していますが、従来 どおりの安全対策を継続すること、その結果を医療関係者等に対して情報提供すること という結論をいただきました。そして、平成19年2月1日に、調査会で、新たに出てき ました第III相市販後臨床試験の結果について、御議論をいただいたという経緯になって います。  8ページを御覧ください。これは、調査会当日にアストラゼネカ社から説明いただい た結果概要の資料です。これにのっとって簡単に御説明します。9ページの上段に、試 験デザインが載っています。進行/転移性(IIIB期/IV期)又は術後再発の非小細胞肺癌患 者を対象にして、過去に少なくとも白金製剤等の治療歴を有する等の患者さんを対象と しています。それで、無作為割付けをしていまして、一方をゲフィチニブ群、もう一方 をドセタキセル群として、試験がデザインされています。いったん中止された後につい ては、後治療が行われている場合と、行われていない場合等がありますが、この後治療 に関しては、基本的には自由な形で行われています。主要評価項目としては、全生存期 間を見ている形になっています。この試験の主要な目的ですが、同じような患者さんに 用いるドセタキセルという薬に対して非劣性を証明するためにこの試験が行われまし た。その下段は、副次的評価項目になっています。  10ページの上段ですが、実際にその試験を実施した機関は、全国で50か所ございま す。対象群をすべて合わせて、490例の症例数を集めている試験です。その下段に、患 者背景についての記載があります。ゲフィチニブ群、ドセタキセル群は、ほぼ均等の割 付けが行われているということですが、この表の中では、喫煙歴に多少差があるという 状況です。11ページに、前治療の割付けや、腫瘍の背景の情報の記載があります。  12ページの上段ですが、投与状況としては、投与期間の中央値が、ゲフィチニブ群は 58.5日、ドセタキセル群は63.0日という結果になっております。その下段に、後治療 についての記載があります。この後治療のことをもう少し詳しく書いたのが、13ページ の上段の図になっています。それぞれの投与群の後治療の内訳がここに記載されており ます。ゲフィチニブ群におきましては、後治療としては、比較している対照薬であるド セタキセルの投与が87名の患者さんで行われていることが分かります。ドセタキセル群 におきましては、後治療としては、ゲフィチニブの投与が130例の患者さんで行われて いることが分かっています。  結果ですが、14ページの上段に、主要評価項目の全生存期間のグラフが出ています。 このグラフを御覧いただきますと、投与初期においては、対照でありますドセタキセル 群の方が生存率が高い形で推移していまして、18か月後ぐらいで、この生存率が逆転を しています。この結果、統計学的に見た場合には、目的としておりました非劣性は証明 されなかった結果になっています。その下段に、サブグループ解析の結果もございます が、ほとんど差が認められない内容になっているかと思います。17ページの上段ですが、 有効性のまとめとしては、今申し上げましたように、非劣性を示すという主要目的は達 成されなかった形になっています。  18ページは、安全性の結果です。そのまとめが上段の表に書かれていますが、有害事 象、治療関連有害事象(副作用)の両群とも9割以上の発現が認められているということ で、この辺に関しては特に差がない形になっております。20ページの上段は、問題とな っていました間質性肺炎の部分です。ゲフィチニブ群におきましては、3例の死亡例が ILDによって認められております。それに対して、ドセタキセル群におきましては、 0となっています。その下段ですが、安全性のまとめとしては、最新の添付文書に記載 されている内容とほぼ同様であったというまとめ方になっております。  これを受けまして、その解析データが妥当かどうかも含めて、北里大学の竹内先生に 独自に解析をしていただきました。その資料が、21ページからのものになります。その 下段にありますが、先ほどクロスするようなグラフを見ていただきましたけれども、今 回、メーカー側で行われました解析は、そのプロトコールを規定したときに、Cox解 析を用いることになっていたわけです。しかし、Cox解析というモデルは比較群間の ハザード比が時間の経過にかかわらず一定であることを前提にしているということで、 本試験においては、その前提が成り立っているとは考えにくい結果で、竹内先生の方で 別の方法によりまして解析をし直したということです。その解析結果が、23ページの上 段に出ています。  23ページの上段のグラフを見ていただきますと、縦軸の真ん中に0という線が引いて ありますが、これより上であるとドセタキセル群が有効である、それより下であるとゲ フィチニブ群が有効であるということを示しています。横軸は月、時間の経過になって います。この結果の解釈が下段に書いてありますが、早期の時点における生存率につい ては、ドセタキセル群がゲフィチニブ群よりも優れていることが示されている、24か月 時点前後では、治療効果の点推定値の結果からはゲフィチニブ群が良かった、しかしな がら、その信頼区間は広く、これらの時点でゲフィチニブ群がドセタキセル群よりも優 れているということは積極的には言い難い結果であったというまとめをいただきまし た。この発表をいただいた後に実際には討論いただいたということで、この会議には肺 癌治療の専門家も5名集まっていただきまして、御議論いただいたという経緯です。  25ページから最後までになりますが、その結果を付けていますので、御説明させてい ただきます。25ページですが、第1の1、結果の信頼性については、承認条件として本 試験が実施されていますので、信頼性の確認を行う必要があるという御意見でございま した。2、有効性については、26ページになりますが、先ほど御説明させていただきま した竹内先生の解析結果や、臨床家の御意見を踏まえますと、一般的に、ドセタキセル に優先してゲフィチニブの投与を積極的に選択する根拠はないとの結論になりました。 ただし、今回はすべての解析結果が報告されたわけではありませんので、その報告が必 要と判断されました。3、安全性についてですが、ゲフィチニブの副作用については、 最新の添付文書等の内容と同程度と判断されております。  これらの結果に基づきまして、当面どういう対応にするかということが、第2のとこ ろからまとめられています。1ですが、安全性については、現在行っている安全対策を 引き続き行うことが適当であるという結果になっています。27ページになります。3で すが、更なる詳細な解析結果を出して検討する必要がありますので、厚生労働省が、統 計の専門家に、その詳細な解析を依頼して、それを調査会に報告するようにという指示 をいただいています。また、企業にも、同様な解析をさせて、調査会に報告させるよう にという指示をいただいています。2ですが、この詳細な解析が報告されるまでの間の 予防的な対応としまして、一般的に、ドセタキセルに優先してゲフィチニブの投与を積 極的に選択する根拠はないことについて、本試験結果とともに、患者さんに十分な説明 が行われるように、企業に対し、医薬関係者に速やかに情報提供することが適当である という御判断をいただきました。4で、同時に信頼性の調査も行うこと、5で、ゲフィ チニブの有効性とEGFR遺伝子変異の関係の解明等について、より一層努力をすべき という御指摘をいただきました。これが2ー2の説明になります。  当日配付資料1を御覧ください。先ほどISEL試験と申し上げましたが、そのIS EL試験を検討した際の指示事項や、2月1日に行われた調査会で出た指示事項のフォ ローアップを、アストラゼネカ社から今日付けで報告をいただいていますので、簡単に 御説明させていただきます。  第1は、検討会からの指示です。1.は、日本肺癌学会の「ゲフィチニブ使用に関する ガイドライン」をきちんと周知することという指示です。これに対して、当時処方を行 っていた医療機関に周知して、新規の施設にも現在も周知しているという回答になって います。2.は、使用患者数などの把握に一層努めることという指示です。2ページです が、昨年の7月〜9月の3か月間と、10月〜12月の3か月間に分けて、患者数等につい て報告をしていただいています。  3ページですが、3.は、ゲフィチニブの有効性とEGFR遺伝子変異の関係の解明等 に努力することという指示です。これに対して、三つの試験を行っているという回答に なっています。一つ目は、INTEREST試験です。これは現在行っているものですが、現時 点では登録症例1,446例のうち約3〜4割の検体回収を目標として取り組んでいるとい う回答です。二つ目は、先ほど御報告させていただきました、国内第III相試験です。こ れについては、約100検体から遺伝子変異の情報等の解明をするということで、次回の 調査会では報告いただけることになっています。三つ目は、IPASS試験です。これは既 に145例が日本で登録されていて、その約9割については検体を用いて解析する予定に しているという回答です。  4.は、本日御報告しています国内第III相試験を早く完了して報告することという指示 です。先ほどありましたように、詳細な解析を行いまして、次回の調査会に報告してい ただくような回答になっています。5.は、間質性肺炎等の発生原因の解明などに努力を することという指示です。これについては、昨年秋にケースコントロールスタディの報 告をいただいていて、それについても医薬関係者に情報提供を行っているという回答に なっています。  5ページの第2は、2月1日に行いました調査会での指示事項に対する回答です。1. は、調査会の結論と第III相試験の結果を医薬関係者に情報提供することという指示で、 ここにあるのは本日時点の情報ですが、現在処方を行っている1,372施設に対して、情 報提供を行ったということ、それから、この試験の内容をホームページ上においても近 日中に公開して、情報提供をするという回答になっています。2.は、更に詳細な解析を 行って、報告することという指示で、これに対しては、次回の調査会で報告するという ことです。3.は、先ほどと同様ですが、EGFR遺伝子変異等の解明に一層努力をする ことという御指摘で、これは、先ほどの説明と同じです。以上がアストラゼネカ社から の報告になります。  参考の情報ですが、2月1日にこの調査会が行われた後に、イレッサ薬害被害者の会、 それからその弁護団の方から、厚生労働省に対しまして、緊急申入書が提出されていま す。その中身につきましては、米国と同様な、新規患者には投与を認めないような措置 にすべきではないかという意見が来ていることも、併せて参考までに御紹介します。以 上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。これまでの経緯を含めて、第2回安全対策調 査会の審議結果について、詳しく説明をしていただきましたが、御質問、御意見等はご ざいますでしょうか。 ○堀内委員 この前の調査会の結論について、私も委員でしたので責任があると思いま すが、結果についてクリアカットな言い方をする必要があるのではないかと思います。 結果がマスコミでの報道等で極めて異なった内容になってしまっていることもあります ので、そのように思います。  調査会の結論のところで、最後に貫和先生が、この情報の収集あるいは解析について、 会社の責任が大変大きいという話をされたと思います。特に遺伝子解析については全く 出てこない。ISELの結果についても余り明確な結果が示されていません。変異があ る方が有効性が高かったという簡単なコメントぐらいしか私は知りません。この前の国 内第III相試験についても、既に10月に終了しているにもかかわらず、いまだに解析が行 われていないという会社からの発言があったと思います。どういう解析の仕方をするか 検討をしているという発言であったと思います。当然のことながら検討をする時間は十 分にあったわけですから、今ごろ変異についてどういう検討をするかなどの議論をして いるのは大変おかしな話であると思います。今回アストラゼネカ社から当日配付資料1 のような報告があったわけですが、これに対して十分であるとお考えになるかどうかを お聞かせいただきたい。なぜならば、極めてこれもあいまいな言い方しかしていないと 思うからです。  ISELについても、データを使用してからもう2年たっています。その結果が出て いないことに関して、いつまでにデータを提示するかを明確に出していただきたい。国 内第III相試験についても、次回の調査会には出てくるというお話でしたが、やはりこう いうものは期限を切るべきではないかと思います。遺伝子変異が最も有効性と関連した ファクターの一つであろうと言われているわけなので、そのデータがきちんと出てくる べきであると思います。  もう一つお尋ねしたいのは、IPASSですが、もう少し具体的な計画を教えていただき たい。ゲフィチニブ群と併用化学療法群となっていますが、具体的に、どういう規模の もので、いつまでにデータが分析されるのか。国内登録症例の9割の被験者から検体回 収を目標としているということですが、展望もなく言ったのでは余り意味がないと思い ますので、その予定も含めて教えていただきたいと思います。 ○松本部会長 事務局から答えられますか。 ○安全対策課長 二点言われたと理解します。一点目は、この結論をもう少しクリアカ ットにする、あるいは報道が必ずしも一様ではなかったというお話、二点目は、EGF Rの変異のお話かと思います。  一点目を、答えられる範囲で答えさせていただきます。今回は、第III相試験のデータ がそろった時点での、詳細解析を行わない段階で御議論をいただいた、その結果として の予防的な対応を取りまとめたということなので、そのような面で限界のようなものは あるかもしれません。ただ、新聞各社の御関心も高いこともありましたし、取材対応と いうことでは心を砕いたつもりではありますが、今後とも、このような場合には、もう 少し、できるだけ分かりやすい形で取材対応ができるように、工夫していきたいと考え ています。 ○堀内委員 このような討議はサブセットまできちんと解析が終わってからやらないと いけないと思います。トータルとしてみれば今回のような結論になってしまいます。あ る面では、この前議論されたように、タキソテールと作用機序が違うものを比較してい るわけですし、イレッサは分子多型で効果が異なるわけですから、当然起こり得ること だと思います。それがまた混乱を招く可能性もあり得るので、まずやらないといけない のは、遺伝子変異のサブセット等の解析です。解析を極力早く求めることが必要で、そ れに基づいて解析をきちんとやって、結果をはっきりさせることが必要ではなかったか。 今後のことですが、是非よろしくお願いします。 ○松本部会長 ほかに御意見等はございますでしょうか。 ○國頭委員 私もこの間の調査会に出席して、参考人としてコメントを申し上げました が、あのときに申し上げていないことを申し上げたいと思います。  一つの臨床試験ですべての問題に答えが出るものではありません。プライマリーの解 析は、あの場合はもうこれで出ています。結果は、ごく一般論として言うと、セカンド ラインではドセタキセルを先にお勧めするというのが結論です。それ以上のことは、サ ブセットをいかにしても出てこないと思います。サブセットになればなるほど、当然の ことながら症例数が少なくなりますので、結論めいたことは非常に難しくなる。  EGFR遺伝子変異に関して、100人ほどの患者さんから検体をということでした。 あのときに確認し忘れましたが、全部組織ですか。 ○アストラゼネカ社 組織がすべてではございません。トータルで100例ほどの患者様 から組織、血清等、いろいろ頂いております。 ○國頭委員 組織の解析と、血清、その他体液の解析とは、現時点での方法論からして も、微妙に異なると思われます。仮に、全部がしっかりした検体であって、すべてが現 時点での最高の解析に耐え得るとして、100人の患者さんですと、推定で、変異がある 方は、イレッサの奏効率からして、3割、30人ぐらいでしょう。30人が2群に分かれて、 15人、15人。15人、15人の解析で、しかもその15人の患者さんは、後治療でクロスオ ーバーが恐らくばんばん入っている。そういうところから、サバイバルに関して、デフ ィニットな結論は、まず間違いなく出ないと私は考えます。ISELも、私が知ってい る限り、数が少な過ぎて、コンクルージョンには至らなかったということでした。これ は、最初から100%の患者さんでそういうものを採る努力をしていない限り、後付けで はなかなか難しい。ただ、当初からそういう努力ができるかというと、いろいろな規制 が掛かりますので、非常に困難であろうと思います。ですから、その困難を頭に入れて おいて、これからやるときはやるようにしないといけない。これからその解析の結果を 待っても、プライマリーの結論以上のものは、私は出てこないように思います。 ○松本部会長 今日は報告事項ですが、先生、何かまだありますか。 ○堀内委員 議論を始めると長くなりそうですので。ただ、最初から遺伝子変異につい てはいろいろな議論があったわけなので、メーカー側がそれを集める努力を十分されて いないと私は認識しています。いろいろな試験をやってもたかだか2割程度しか集まっ ておりません。それも、血液では当然、遺伝子変異は見付かりませんので。 ○國頭委員 見付からないことは。 ○堀内委員 これは癌細胞の話ですから。 ○國頭委員 それは、現時点でも少しずつ出てきていますし、これからもう少しいろい ろな解析方法が進むと出てきます。 ○堀内委員 それはマーカーの話ですよね。 ○國頭委員 そうです。 ○堀内委員 今のお話のように、遺伝子変異の解析方法も2年前とかなり大きく変わっ ていて、精度の問題、時間の問題、簡便さの問題等が進んでいます。先ほどもう一つお 聞きしたかったのは、IPASSです。これが、どのくらいの規模で、これを90%以上回収 するということなので、いつまでにそのデータが出てくる予定になっているかを教えて いただきたいと思います。 ○松本部会長 いずれにしましても、これまでの第III相市販後臨床試験の結果を含めて、 お約束された結果を早目に報告していただき、また、調査会で検討した上で報告してい ただこうと思いますが、よろしいでしょうか。ここで結論が出るわけではないので。 ○堀内委員 メーカーがおられるようですから、その予定については出ませんか。 ○アストラゼネカ社 IPASS試験に関しまして、現在の予定を説明させていただきます。 IPASS試験は、アジアを中心に9か国で実施している試験です。比較対照薬として、カ ルボプラチン、パクリタキセルのファーストライン治療です。トータル、アジアで1,212 例の症例登録を目標としていまして、日本人の患者様は約250例ぐらい登録できればと 考えています。登録の終了は、本年11月を予定しています。その後、半年間、無増悪生 存期間についてフォローアップしますので、2008年第3四半期ぐらいに無増悪生存期間 の結果が出る予定になっています。その後、更に半年間、生存期間のフォローアップを する予定にしています。  今回、このIPASS試験に関しては、試験の当初から組織を頂くということで、必須条 件とはしていませんが、可能な限り組織の提供をお願いしている次第です。また、先ほ ど國頭委員からお話のありました血清に関しても、新しい技術が徐々に出てきています ので、循環血中の癌細胞を捕まえてミューテーションを測定できるかどうかに関して、 この試験の中で検討していきたいと考えているところです。  ○松本部会長 よろしいですか。 ○國頭委員 一つだけ、これは、症例集積が順調に行ったとして、この試験もそうでし たが、非常に皮肉なことながら、患者さんの治療がうまく行けば行くほど、結果は出な くなる。結果が出るのが遅くなる。この試験の結果が遅くなった一つの原因は、メディ アン・サバイバルが両群で1年を超えていますので、このような試験結果は恐らく世界 のどこを探してもないわけです。私も治療をしたから私がうまかったというつもりは全 然ないのですが、非常にうまく行った。今までの試験対象から大分グッドリスクの患者 さんがセレクトされるようになってきていますので、今、アストラゼネカ社が言われた 予定よりも、私はもう半年くらい遅れるくらいのそろばん勘定をはじいていた方が現実 的ではないかと思います。患者さんのためにもその方がいいに決まっています。 ○松本部会長 よろしいですか。それでは、これは、更なる解析を行ったものについて、 調査会で御議論いただき、また部会に報告していただくことでよろしいですね。お願い します。  続きまして、リツキシマブについてに移ります。事務局から説明をお願いします。 ○事務局 昨年の12月21日に改訂を指示しました、リツキシマブ(遺伝子組換え)につ いて御説明させていただきます。資料2-3、リツキシマブ(遺伝子組換え)によるB型肝 炎の増悪等についてを御覧ください。販売名はリツキサン注10mg/mL、適応症はCD20 陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫の薬です。販売開始年月日は平成13年9月で、約1 年間で 16,000人ほどに使用されているものです。  これまでの安全対策の経緯としては、平成16年7月の米国での措置を受けまして、日 本においても、平成16年11月に、B型肝炎の増悪に関する「重要な基本的注意」の改 訂及び「重大な副作用」の改訂を指示しています。その後、平成18年12月11日までに、 新たにB型肝炎の増悪等が18例、うち劇症肝炎が9例、死亡例が8例あったということ で、今回の改訂の指示を行ったという状況です。  2ページを御覧ください。具体的な指示の内容ですが、B型肝炎の増悪については、 「警告」の項に「B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、本剤の治療期間中又は治療終了 後に、劇症肝炎又は肝炎の増悪、肝不全による死亡例が報告されている」を追記しまし た。「重要な基本的注意」の項のB型肝炎の再然については、特に「なお」以降ですが、 「HBs抗原陰性の患者において、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎を発症し、死亡に 至った症例が報告されている」を追記しています。また、「重大な副作用」の項ですが、 従前は肝機能障害、黄疸の中に含まれていたB型肝炎ウイルスによる増悪について、特 出しにして、「B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎、肝炎の増悪」という項を起こし、注 意喚起を行っています。併せて、「重要な基本的注意」の感染症に関して、一般的な注 ですが、「免疫抑制作用により細菌やウイルスによる感染症が生じる又は増悪する」と いうことで、再然に関する注意を促すために添付文書の改訂を指示しています。また、 3ページですが、消化管穿孔の症例がありましたので、併せて、「重大な副作用」の項 に「消化管穿孔」を追記する指示も行っています。本改訂については医薬関係者に速や かに適正使用情報を提供することという指示を出しまして、各医療機関には、適正使用 情報の提供ということで、本情報について情報提供を行うように指示をしています。以 上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。リツキシマブの安全対策について説明をして いただきましたが、御質問、御意見等はございませんでしょうか。 ○宮村委員 「なお、投与開始前にHBs抗原陰性の患者において、B型肝炎ウイルス による劇症肝炎を発症し、死亡に至った症例」とは、どういうことですか。副作用と考 えるのですか。この記載がよく分かりません。 ○松本部会長 事務局からお答えできますか。 ○事務局 投与前にキャリアかどうかを確認するために行ったHBs抗原の検査で陰性 であった患者さんにおいても、B型肝炎ウイルスによる劇症肝炎を発症した例があった ということです。 ○宮村委員 抗原は陰性と結果が出ていたけれども、やはりキャリアであった、そうい う人たちにも劇症化があったということですか。 ○松本部会長 血中でのタイターが低いという場合もあり得るかもしれません。 ○宮村委員 そういうことであれば理解できますが、いかにも肝炎に全然かかっていな かった人がこのリツキシマブで。  ○松本部会長 それも、全然ないかと言われると、非常に微妙なところですが、そうい う例が実際にあったということで、報告したようです。よろしいでしょうか。また、場 合によっては、詳しく症例を宮村委員に説明してください。ほかにございませんでしょ うか。ないようでしたら、次に進みます。  議題3は、「医薬品等の副作用等報告の状況について」です。事務局から説明をお願 いします。 ○事務局 医薬品等の副作用等報告の状況について、資料3ー1を中心に資料3ー2〜3ー 6について御説明させていただきます。  資料3ー1を御覧ください。薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審 議会への副作用・感染症等報告についてです。本報告については、前回の報告に続きま して、平成18年9月1日〜平成18年12月31日の4か月間に報告を受けました副作用 ・感染症等の報告状況について御説明いたします。  まず、1.の、薬事法第77条の4の2第1項に基づきます、製造販売業者等からの医 薬品等の副作用・感染症等報告についてです。(1)国内症例の報告状況ですが、医療用 医薬品におきます副作用報告が8,889件、医療用医薬品の感染症報告が58件、一般用医 薬品の副作用報告が88件でした。副作用報告に関しては、医療用と一般用を合計します と8,977件、感染症報告については、一般用医薬品については、伝播のリスクがある生 物由来製品がなく、報告実績はないので、合計として58件です。各副作用報告、感染症 報告の詳細なデータについては、医療用医薬品の副作用報告については資料3ー2、医療 用医薬品の感染症報告については資料3ー4、一般用医薬品の副作用報告については資料 3ー3を参考資料として配付しています。  (2)外国症例の報告状況です。薬事法施行規則におきまして、国内承認の医薬品と生 物が同一の海外で販売されている物に係る同様の副作用等の報告に基づき報告されてい るものです。報告については、医療用医薬品と一般用医薬品の合計数です。副作用報告 は26,531件、感染症報告は6件でした。  (3)外国での新たな措置の報告状況です。国内承認の医薬品と生物が同一の外国での 製品において、海外において回収やその他、添付文書の改訂等の重要な安全上の措置が 採られた場合に、その旨を報告する規定に基づいて報告されるものです。本規定に基づ く報告が179件ありました。この詳細については、資料3ー5として配付しております。  (4)研究報告の報告状況です。国内承認の医薬品又は海外で売られている生物が同一 な物の副作用等により、癌やその他、重大な疾病が発生する恐れがあるなどとされて報 告された研究報告についての報告件数です。本規定に基づく報告は258件でした。本報 告の詳細については、資料3ー6として配付させていただいています。  続きまして、2.の、薬事法第77条の4の2第2項に基づく、医師、歯科医師、薬剤 師等の医薬関係者からの医薬品の副作用・感染症報告の報告件数です。本報告期間にお いて1,255件の報告がありました。  この数字についての注意事項ですが、1)として、副作用・感染症報告については、医 薬品との因果関係が不明なものを含めて製造販売業者等及び医薬関係者から報告された もので、個別に医薬品との関連性を評価したものではありません。  2)として、副作用・感染症報告の件数については、平成18年9月1日〜平成18年 12月31日に提出された最新の報告書の件数を示しているもので、同一の症例に複数の 被疑薬が存在し、当該症例が複数の企業からそれぞれ報告された場合には、重複してカ ウントされているため、ここで示された報告件数がそのまま症例数になるものではあり ません。  3)として、副作用・感染症報告の症例報告の件数については、報告者が本報告期間中 に報告後に、追加情報により因果関係が否定された場合や重篤性が変更となり報告対象 外となった場合等は、件数から除外しています。  4)として、外国症例の報告及び医薬関係者からの報告件数は、医療用医薬品と一般用 医薬品の合計数です。  5)として、資料3ー2、3ー3の報告件数は、副作用名別の件数を示しているもので、 1症例で複数の副作用を発現する場合がありますので、報告件数を合計した数が報告症 例数と一致するものではありません。  6)として、資料3ー2、3ー3の副作用名は、用語の統一を図るため、ICH国際医薬 用語集日本語版に収載されている用語を使用しています。  7)として、資料3ー4の感染症報告については、報告症例ごとに、被疑薬及び感染症 名を記載しています。  その補足資料として、資料3ー2〜3ー6を配付しています。これらの副作用報告、感染 症報告、措置報告、研究報告については、必要に応じて、独立行政法人医薬品医療機器 総合機構の専門委員の評価・検討の上、薬事・食品衛生審議会の当部会の委員の意見を 踏まえつつ、必要な安全対策、使用上の注意の改訂等の措置を行っているところです。 以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。何か、御質問、御意見等はございませんでし ょうか。特段御意見がないようでしたら、報告を了承することといたします。  議題4は、「医薬品の感染症定期報告の状況について」です。事務局から説明をお願 いします。 ○事務局 資料4ー1、4ー2に基づき御説明させていただきます。感染症定期報告ですが、 薬事法第68条の8に基づく報告制度です。生物由来製品を取り扱う製造販売業者が、そ の原料又は材料による感染症に関する最新の研究論文等を収集しまして、6か月に1回 報告する制度です。資料4ー1は感染症定期報告の報告状況ということで、先ほどの副作 用と同様、昨年9月1日〜12月31日に報告されたものを取りまとめ、報告順に表に並 べたものです。合計で414の報告が寄せられています。この報告を同一文献ごと、また 感染症ごとにまとめた上で重複等を整理したものが、資料4ー2の報告文献別一覧表です。 今回も資料4ー2の報告文献別一覧表に基づいて概要を御説明させていただきます。  今回の報告ですが、およそ30の感染症に関して、150件程度の文献等が提出されてい ます。文献が提出された感染症に関して、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、トリイ ンフルエンザ、ウイルス性肝炎などに関する治験等が報告されています。これらの論文 については、事前評価委員の先生方に御確認いただき、国立感染症研究所長の宮村委員 と御相談しながら、コメントをお願いするなど、措置を構ずる必要性を含め、御意見を いただいているところです。  今回の文献に関して簡単に御説明をさせていただきます。資料4ー2、報告文献別一覧 表です。1ページ〜2ページに掛けては、ウイルス性肝炎に関する報告が続いています。 2ページ〜4ページに掛けては、トリインフルエンザに関する海外での感染状況の報告、 また4ページ〜5ページに掛けては、BSEに関する報告が続いています。5ページの 後半からクロイツフェルト・ヤコブ病関連の報告がありまして、53番、55番ではプリオ ンの遺伝子多型と感受性に関する研究、6ページの61番ではプリオンの不活化除去に関 する総説などが報告されています。8ページ以降は、各種感染症に関して、例えば9ペ ージの92番ではパルボウイルスの検出法に関する報告、10ページ以降は、マラリア等、 海外での感染状況などの報告が続いています。  これらの概要について宮村委員、甲斐委員、新見委員に御確認いただいたところ、今 回目立って措置が必要な報告は見当たらないが、今後とも引き続き情報収集に努めるよ うにということでございます。また、本日御欠席の甲斐委員から、特段措置が必要な報 告は見当たらない旨のコメントを改めていただいています。事務局からは以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。先ほど御紹介にありましたように、いつもの とおり、事前に御覧いただいているとのことですが、宮村委員、何かコメントはござい ますでしょうか。 ○宮村委員 この論文の多くは、主として海外での感染症の発症、流行を報告したもの です。生物由来製品に関して言えば、生物学的製剤基準をきちんと守り、その作製に当 たってプロセスバリデーションが行われている血漿分画製剤あるいは動物由来の製剤で あれば、これらを介して人の世界に直接入ってきて感染症を起こす可能性を指摘したペ ーパーは一つもありませんでした。そして、病原性物質の検出、除去のための方法の研 究開発は、今後も必要であろうと思います。 ○松本部会長 ありがとうございました。新見委員、いかがでしょうか。 ○新見委員 この感染症定期報告は、今問題になっています感染症をよく調べて取り上 げていただいておりますので、今回は目立って措置が必要な報告は見当たらないと思わ れます。また、異常プリオンに関する新しい報告がございますが、このような研究は安 全性確保上、非常に重要で、今後ともメーカーにおいて情報収集に努めていただきたい と考えています。その他については、事務局からの説明でよろしいと思います。 ○松本部会長 ありがとうございました。甲斐委員からも、特段措置が必要な知見は認 められないとの報告を受けておりますが、委員の先生方、何か御意見等はございますで しょうか。ないようでしたら、この報告を了承することといたします。  議題5は、「その他」です。事務局から説明をお願いします。 ○安全部長 医薬品医療機器総合機構から、今後開始予定の主な安全対策について御紹 介させていただきます。当日配付資料2を御覧ください。  一点目は、一般用医薬品添付文書情報の情報提供ホームページへの掲載です。一般用 医薬品の添付文書については、商品を開けなければいけない状況にありますので、これ を開けずに閲覧できるように、平成19年3月より情報提供ホームページに添付文書情報 の掲載を開始し、順次充実していく予定です。このホームページでは、成分又は添加物 による検索、その除外検索、また適応症による検索ができるように、開発を進めていま す。今まさにテストをしていまして、来月には運用したいと考えています。  二点目は、情報提供ホームページを含めた、総合機構ホームページのリニューアルで す。今、総合機構のホームページには、医療用医薬品の添付文書、医療機器の添付文書、 副作用不具合のラインリスト、審査報告書などが掲載されていますが、コンテンツがた くさん載っているということで、「見やすい、使いやすい、分かりやすい」ホームペー ジにする、また一般向けの情報を充実するということで、コンテンツの配置を見直し、 文字拡大機能、読み上げ機能を設けて、これも平成19年3月中にホームページ全体を刷 新することとしております。  三点目は、体外診断薬添付文書情報のホームページ掲載のシステム開発です。これに ついては、平成19年度から開発を始めまして、できるだけ早く情報提供ホームページに 掲載したいと考えています。以上、簡単ですが、三点御紹介させていただきました。 ○松本部会長 ありがとうございました。何か御発言はございますでしょうか。事務局 から、その他何かありますか。 ○事務局 特にございません。 ○松本部会長 本日用意いたしました議題はこれで終了です。全体を通じて御発言はご ざいませんでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本日の部会を閉会とさせてい ただきます。長い間どうもありがとうございました。                                    (了) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 美上(内線2748)      - 29 -