07/02/06 第2回医療費の将来見通しに関する検討会議事録 第2回医療費の将来見通しに関する検討会                      日時 平成19年2月6日(火)                         10:00〜12:00                      場所 厚生労働省社会保険審査会審理室 ○飯野座長 まだ少し早いですが、メンバーが揃いましたので、ただいまより第2回医 療費の将来見通しに関する検討会を開催いたします。まず、メンバーの出欠状況ですが、 本日は全員の方に御出席いただいております。議題に入りたいと思いますので、事務局 から資料説明をお願いします。 ○真鍋数理企画官 資料は資料1−1、1−2、1−3、1−4、資料2という5部構 成です。まず資料1−1は「医療費の動向」です。1ページ、私どもで毎月月次で医療 費の動向について観測しており、そういう意味では平成18年9月まであるわけですが、 取りあえず大体の傾向を見ていただくという意味で、年度で集計したものをお示しして おります。まず、お断りしておきたいのは、ここで言う「医療費」は、いわゆる国民医 療費とは若干範囲が違いまして、国民医療費というのは全額自費や労災なども含むもの なのですが、ここではそういうものを含まないものです。ただ国民医療費の98%ぐらい をカバーしておりますから、ほとんどの傾向はこれで見ていただけるものです。ここで は一般と高齢者に分けておりますが、高齢者というのは70歳以上の方を指しております。 (再掲)で老人保健を作っておりますが、これがいわゆる老人保健法対象の医療費です。 前回も申し上げましたが、この対象年齢は平成14年10月から対象年齢を引き上げ中でし て、対象者は4%強ずつ減少しております。そういうことで医療費総額はほとんど変化 していないという事情がございます。  全体として平成17年度で32.4兆円です。平成16年度と比べて9,700億円の増です。ここ は平成13年度から表章しておりますが、平成14年度、15年度というのは平成14年に大き な制度改革がありましたし、診療報酬改定ということでは平成14年度、16年度がありま したので、平成17年度はどちらもなかった年であり、そういう意味で何もなければ大体 1兆円ぐらい増えているということが見て取れます。下が伸び率ですが、平成17年度が 3.1%の増で、平成13年度に若干の制度改革がありましたが、影響は小さいわけで、何も なければ3%ぐらい伸びるということが分かります。少しコメントしますと、平成16年 度の、つまり平成17年2月、3月にインフルエンザが非常に流行したことがあり、伸び 率で見ると反動が出ます。これはあとで詳しいデータで御説明しますが、そういう反動 があるので平成17年度の3.1%はやや低い伸び率になっていると思っております。いずれ にしても何もなければ、つまり自然体の伸び率は3〜4%ぐらいだということです。  2ページが1人当たりの医療費で、対象人数で割ったものです。全体では25万円ぐら いですが、70歳以上の高齢者で見ると75.5万円です。ここに表章がないのですが、70歳 未満で取ると16万円ぐらいになり、70歳以上の方と70歳未満の方の医療費の比率を取る と4.7倍になります。この比率はここ13年間ぐらいずっと安定、同じぐらいとなっていま す。下がやはり1人当たりの医療費の伸び率で、インフルエンザの反動等がありました ので平成17年度は若干低めですが、3.1%ということで、制度改正や診療報酬改定でマイ ナス改定がなければ大体自然体では3〜4%伸びるということです。  3ページが診療種類別の概算医療費です。大体入院のシェアが40%ぐらい、歯科が8 %ぐらい、入院外と調剤を足して52%ぐらいといったシェアです。歯科が微減、入院外 プラス調剤で微増となっています。  4ページは受診延日数の推移です。医療費を受診延日数、つまり数と、1日当たり医 療費ということで単価に分けて4ページ、5ページで見ていただくものです。受診延日 数というのは、延患者数と思っていただければと思います。基本的に患者負担の変更、 つまり本人の2割から3割負担の引き上げ、そういう変更があったときの制度改革の影 響は、基本的には受診延日数の伸び率に出てきます。総計の伸び率を見ていただくと、 平成14年度−1.6、平成15年度−1.4と非常に大きく落ち込んでおりますが、これが平成 14年改革による長瀬効果です。長瀬効果は後ほど御説明いたしますが、その効果でかな り大きく落ち込んでおります。平成17年度が−0.3ですが、先ほども申し上げましたが、 インフルエンザ等の反動でやや低めになっていますので、そういったことがなければ大 体ゼロぐらいで、最近はあまり変動がない、伸びていないところです。  5ページが単価、1日当たり医療費です。大体入院で1日2万6,000円ぐらい、入院外 プラス調剤で9,000円余りです。これも下の伸び率を見ていただきたいと思います。診療 報酬改定は、原則、点数の変更ですから、1日当たり医療費に大きな影響を与えるわけ です。そういう意味で平成14年、16年が診療報酬改定の影響を受けています。平成13、 15、17年は改定がなかった年ですが、1日当たり医療費で見ると3%台ということで、 診療報酬改定がなければ大体同じくらいの伸び率になっているということです。特に伸 びが高いのが調剤で、調剤自体は医薬分業が進んで、総額ももちろん増えているわけで すが、単価もかなり伸びており、平成13、15、17年と見ていただくと、6%台の伸びを しており、自然増が大きいことが分かります。  6ページは医療機関種類別の概算医療費です。病院と診療所、病院の中でも大学、公 的、法人、個人と分けて見ております。6−1の表を見ていただくと、シェアで言うと 病院が54%ぐらい、診療所が4分の1弱、先ほど申し上げたように歯科が8%、保険薬 局が14%ぐらいのシェアになっております。施設の増減もありますので、7ページにす べて1施設当たりにしたものがあり、1施設当たりでは大学病院が117億円、公的が38億 円、法人が13億円、個人病院が7億円弱というところです。診療所が平均9,337万円、歯 科診療所は3,735万円で微減傾向です。保険薬局が平成17年度で言うと9,926万円で、保 険薬局と診療所を見ていただくと、平成16年度から保険薬局の方が1施設当たりの医療 費が逆転したといったところです。もちろんこれは平均ですので、実際に分布を見ると、 バラつき度合いが施設により違い、例えば歯科診療所などはバラつきは小さいですが、 保険薬局は非常にバラつきが大きいということがあります。  表9−1を見ていただくと、これが主たる診療科別医科診療所の1施設当たり医療費 の推移です。平均で9,337万円と申し上げましたが、例えば小児科では7,000万円弱とい うことで、小児科は対象もどんどん減っており、中ではどちらかと言えば低いところで す。こういうデータを月次で観測していて、医療費の分析に使っております。  資料1−2は「医療費の構造について」で、前回西村委員から要請もあり、まとめた ところです。国民医療費の構造(平成16年度)で、一番左が制度別のシェアで、左から 2つ目が財源、その右が診療種類別、一番右が費用構造です。財源で見ると、保険料が 大体5割で、公費負担が3分の1強になっています。患者負担が15%ぐらいです。診療 種類別に見ると、先ほども申し上げましたが、入院と食事を足せば入院が4割ぐらいで、 外来と調剤薬局を足して52%ぐらい、歯科が8%ぐらいです。一番右が何に使っている かで、人件費が5割弱で、医薬品費が2割強です。  2ページからは、時系列で推移を見たものです。2ページがまず財源で、基本的には 公費と患者負担は増加傾向にあり、保険料は減少傾向になっております。公費は高齢者、 例えば老人保健に一番厚く付いているので、高齢化するに従ってどうしても割合が増え ていく要素があります。3ページが診療種類別の推移です。先ほども申し上げましたが、 歯科が微減していて、入院外が微増している傾向が見ていただけるかと思います。  4ページ、人件費が大体半分弱、医薬品費が2割強と先ほど申し上げましたが、これ は時系列で見ても昔から大体安定していることが見ていただけるかと思います。委託費 が少し増えていることがありますが、大体は安定して推移しております。  資料1−3は「医療費の要素分解」です。1ページに簡単に書いていますが、基本的 にこういうデータというのは、すべて診療報酬明細書、いわゆるレセプトがデータの元 になっております。ですから月単位のデータになることが1点、それから件数、診療日 数、点数が基本になります。医療費は色々分解の仕方があるかと思いますが、枠の中に 書いてあるように「1人当たり日数」「1日当たり医療費」ということで、数と単価と に分解して観測しています。  2ページが長瀬効果です。これは制度的に給付率の変更、つまり平成15年4月ですと、 被用者本人がそれまでは2割負担だったのが、3割負担になったりしたわけですが、そ ういう制度的な給付率の変更は過去から何回かされており、それにより医療費の水準自 体が変化する、つまり仮に医療費が変わらなければ、患者負担か保険給付かという内訳 が変わるだけなのですが、そうではなく医療費自体が変わってしまう、数字が変化する といったことは経験的に知られているわけですが、この効果を「長瀬効果」と呼んでお ります。例えば、給付率が低くなる、つまり最近多い患者負担が増加するような改革が 実施されると、受診行動が変化して、受診率が低下したり、1件当たり日数が減少する ということで、医療費自体が減る効果があります。  2番目は、長瀬効果は1年経ったら元に戻ると言われていますが、そこを丁寧に書い たものです。患者数の動きを見ると、制度改革後1年間は、受診行動が変化することに より、伸び率が低くなります。ただ1年を過ぎると、比べる対象がもう制度改革後と改 革後なので、伸び率自体は戻るということです。ただそのときに医療費の根っこから戻 るのかというと、それは戻らないということを少し丁寧に書いたものです。そこが時々 誤解を生みますので、伸び率は元に戻ると。ただ医療費自体がいきなり制度改革前に戻 るわけではなく、やはりそれは制度改革後の姿で、そこから伸びることを書いています。 現段階で使っている式をここに書いておりますが、一般制度と老人保健に分けて使って いる式です。老人保健というより高齢者です。よく似た式ですが、こういう式で今は使 っています。  3ページは大雑把に見たらということですが、医療費の伸びの要因分解ということで、 先ほど来単価と患者数の伸びということでの伸びを分解しようということで見たもので す。3ページで取ってきたのは、診療報酬改定がなかった年だけを取ってきて、そうす ると単価は見ていただくと分かるように、3%少しで安定して伸びています。ただこの 中で平成15年度は、先ほど来何回か申し上げているような被用者本人の3割負担への引 き上げ等々がありましたので、単価ではなく患者数の伸びに大きくマイナスの影響が出 ております。それがよく見て取れるということで用意しました。  もう少し詳しく見たものが4ページからの資料です。まず、グラフの見方ですが、こ れは、四半期ごとに作ったデータです。下の青いグラフが1人当たり日数の伸びを取っ てきたもので、上のワイン色が1日当たりの医療費の伸びを取ってきたものです。青い 色の一番左が平成7−1になっていますが、これは平成7年4月〜6月という第1四半 期のことを指しています。それに対応するワイン色が1日当たり医療費の伸びです。矢 印でピンクが上、白が下に出ていますが、元のグラフ自体は実績そのものですが、診療 報酬改定があるので、プラス改定ではもしそれがなかったならば、自然体ではもう少し 低いはずなので、もちろんここでいう診療報酬改定というのは当初想定した改定率を使 っており、それとぴったり一致していればということですが、それで下にここまで下が りますよと。マイナス改定では自然体ではもう少し上だったという意味で、矢印で書か せていただいているということです。全体的に言うと、まず1日当たりの医療費、つま り単価は増えているけれども、1人当たり日数は減少傾向にあります。これは青い線は 下に行っていて、ワイン色の線は上に行っていることで見ていただけると思います。  4ページは70歳未満の被用者本人の入院のデータです。被用者本人に係る制度改革で 入院に影響を与えたものという意味で言うと、平成9年9月から患者負担が1割から2 割負担に引き上がったことと、平成15年4月から同じく2割から3割に引き上がったと ころです。そこで患者数がかなり減っていることが見ていただけるかと思います。  5ページは同じグラフですが、70歳未満の被用者本人の入院外を取ってきたものです。 そもそも1人当たり日数は減少傾向にあるわけですが、平成9年9月、外来で言うと1 割から2割負担になったとともに、薬剤一部負担というのが当時導入され、非常に大き く患者が減ったと。それから平成14年の第1四半期からまた大きく減っているわけです けれども、これは制度改正ではないのですが、平成14年の診療報酬改定で、長期投薬の 制限緩和があり、つまり今までだったら基本的にこれは2週間までという制限があった 薬を新薬、麻薬を除いて制限なしにしたということがあり、そうすると1回に多くの薬 が処方されるので、そういう意味で医療機関に行く回数が減り、そこが影響が出たとこ ろです。  平成15年4月はやはり患者負担が2割から3割負担になったということで、大きく患 者が減ったということです。また季節変動に関して外来は非常に特徴的で、右の方を見 ていただくとよく分かると思いますが、平成16年の第4四半期の青は上に行っておりま す。これは先ほど申し上げた平成17年1月〜3月のことで、インフルエンザと花粉症が ダブルで流行ったということで、ここで患者が増えます。これはある意味では突発的、 自然体ではありませんので、その1年後の平成17年の第4四半期、平成18年1月〜3月 が非常に下にどんと落ち込んでいますが、伸び率ですので反動で落ち込むといった所が よく見て取れるわけです。所々第4四半期に上に行っているのは基本的にはそういう季 節変動、突発的に流行った、突発的は言葉がきついかもしれませんが、インフルエンザ が流行って上に伸びるといったことが見て取れます。  6ページが同じようなグラフで、これは70歳以上の方の入院のデータです。ここで特 徴的なのが平成12年4月に介護保険が創設され、医療でなくなったものがあるので、こ こで非常に大きく15%近く減っているということです。  7ページは70歳以上の方の入院外です。やはり患者数の伸び率を見ていただくと、平 成9年9月に患者負担の見直し、特に薬剤一部負担と患者負担の1日当たり定額が見直 されたわけで、老人の場合は薬剤一部負担なども非常に影響が大きく、患者がかなり減 ったというのが見ていただけます。平成13年1月にも老人については患者負担の見直し がありました。平成14年10月にも患者負担の見直しがあり、グラフはマイナスがかなり 大きくなっています。先ほど申し上げた平成14年の長期投薬の制限緩和ですが、先ほど の若人は1年間ぐらいで、その影響はあまり長くは残っていないが、老人は長くその影 響が残っているのが見ていただけると思います。老人の入院外で青の平成11年第2四半 期、真ん中に○をしていますが、ここがずっと上に行っているのは、薬剤一部負担とい うのを平成9年改革で導入し平成14年改正でそれは廃止したのですが、それに先立ちま して、老人については平成11年7月から国庫負担で肩代りする措置をしたために、法律 上は患者負担なのですが、本人にとっては患者負担ではなくなってしまったので、逆の 長瀬効果が働いて、一時的に患者さんが増えたということで上に出ているわけです。こ のように単価と数を分けて細かく観測していくと、制度改革や診療報酬改定の影響がよ く見て取れます。  資料1−4の1ページ、これは医療施設数・病床数と総入院日数の推移です。医療施 設数については、この表で見ると平成2年ごろをピークに病院がどんどん減っていて、 一般診療所、歯科診療所数は増えてきています。病床数自体も平成2年をピークに減っ ています。上から5段目、総入院日数が書いてありますが、病床のピークのころにピー クを迎え、やはり病床が減るに従って減っている。つまり1床当たり日数はほとんど変 化がなくて、つまり入院日数というのは病床数で規定される面があることが見て取れま す。入院外では、1施設当たり日数は減少傾向です。  2ページは入院外の総日数について、さらに、医療機関の種類別に見たものです。そ もそもの施設数について、病院は減っていて、診療所が増えています。入院外の総日数 自体は基本的には減っていて、診療所はほぼ横ばいです。その結果1施設当たり日数は、 病院であれ医科診療所であれ微減しています。  3ページは医療関係者数がどのくらいかという資料です。グラフを見ていただくと3 年ごとになるわけですが、平成14年でボコッと落ちているように見えますが、これは非 常勤の方をどうカウントしているかという問題です。もともと医師と歯科医師は昔から 常勤換算で表章していたのですが、それ以外の職種の方々はそうしていませんでした。 平成14年からは統計上すべての職種を常勤換算したために、このグラフでは一時的に減 ったように見えますが、基本的にはどの職種も増えております。これはどこで働いてい るかを別に作ったものですので、一番右の平成17年度で見ていただくと、病院で働いて いらっしゃる方が167万人いらっしゃり、内訳が大体分かるように書いておりますが、医 師、歯科医師、保健師、看護師、PT、STの方々、事務職員の方々とみんな合わせて 167万人という意味です。一般診療所、歯科診療所を入れて全体で263万人です。この調 査になかったので薬局はグラフ上ないのですが、別の調査で薬局の従事者である薬剤師 は約11万6,000人いらっしゃいますし、あんま・鍼・灸、柔道整復師の方々は28.5万人と いうことで、足すと40万人以上いらっしゃるので、そういう方々を足すだけでも300万人 を越える人々が医療、医療関連サービスに従事しているということで、安定した雇用が 確保されているということです。  4、5ページは入院医療費と入院外医療費について、社会医療のデータで診療行為別 の内訳をグラフにしたものです。先ほどレセプトの情報が元だと申し上げましたが、基 本的には日数、点数という大枠のデータしか取れません。診療行為別には細かいデータ となり取るのが難しいのですが、社会医療はこれをずっと取っています。ただ、内訳を 見ていただいても例えばDPCというのは、かなり包括化されており、これだけ見ても 例えば医療の高度化がどこで起こっているかは見るのはなかなか難しく、参考までに用 意させていただいた資料です。 ○武藤課長補佐 私からは資料2「諸外国の医療費の将来見通し」(アメリカ)に沿い、 アメリカの医療制度担当部局が行う将来見通しの例を説明いたします。アメリカの連邦 が行う主な医療費の将来見通しは、以下の2つがあります。まず最初に、国民医療費の 10年予測があります。これは保健省のメディケアメディケイドサービスセンターが、メ ディケア、メディケイド以外の民間医療保険なども含めた国民医療費会計に区分される 医療費支出の10年予測を毎年作成しています。  2点目は、メディケアの財政見通しがあります。これは連邦の信託理事会が毎年作成 している報告書があり、アメリカの公的年金のOASDIの財政見通しを御存じの方は 馴染みやすいかもしれませんが、それとほぼ同様のスタイルで報告書が作成されており ます。毎年メディケアの保険財政についての10年見通しと75年見通しが作成されていま す。  2ページは、まず、「国民医療費の10年予測」についてです。下に結果表を載せてお り、ポイントとして2005年のアメリカの国民医療費は、2.0兆ドル、対GDP比16.2%、 伸び率7.4%となっています。10年後の2015年の予測値は4.0兆ドル、対GDP比20%、 伸び率6.8%になっております。2000年以降の過去の実績の伸び率を見ても、7〜9% 程度、将来の伸び率が7%前後となっております。  一方、日本の2004年度の国民医療費は、御案内のとおりで32兆円、制度改正等がない 場合の伸び率については3〜4%程度であることと比較すると、その規模や増加傾向が 全く異なっているかなと思っております。ざっくり申し上げてアメリカの医療費は規模 も伸び率も日本の倍程度になっているかなということです。   そのような中で、3ページの「予測手法」ですが、国民医療費の10年予測はメディケ アメディケイドサービスセンターのアクチュアリー室において作成されております。こ こに書いてある2つの予測の結果を合算しております。1つがメディケア・メディケイ ドの支出予測、これは数理的手法によるということです。もう1つが、民間医療費の支 出予測、連立方程式構造の計量モデルによるものです。(2)の民間医療費支出予測は、O ASDI(公的年金)の信託理事会報告書によるマクロ経済および人口の見通しが外生 的に入力されており、アクチュアリー室によるメディケア・メディケイドの支出予測の 結果もモデルに外生的に入力されているということです。予測手法の詳細については把 握できていない部分もありますが、そのイメージについては被説明変数としてここに書 いてあるような2つのものがあり、説明変数はここに書いてあるような4つとなってい ます。なお作成しているアクチュアリー室は約80人ぐらいの体制でやっていることのよ うです。(1)のメディケア・メディケイド支出予測の結果は、後述するメディケアの信託 理事会の見通しの結果等から得られておりますので、後ほど説明させていただきます。  4ページは、「メディケアの財政見通しについて」です。大きな特徴としてここに3 点を挙げております。まず1点目、連邦信託理事会が作る年次報告書の結果ということ です。OASDI、メディケアの財政を監督するために信託理事会が設置されておりま すが、毎年財政の現状と見通しを議会に報告することが法律で義務付けられております。 職務上定められた理事が、財務長官、労働長官、保健福祉長官、社会保障庁長官の4名 で、これに一般代表の理事が2名加わる構成になっております。2点目は、信託基金の 財政の現状や見通し及びその前提等が報告されています。財政見通しについては、10年 見通しの(短期)見通しと75年見通しの(長期)見通しの2とおりがあります。また3 つの前提が設定されており、以下の結果では、主として中位の前提に基づいた結果をお 話させていただきたいと思っております。3点目は、4種類の区分された信託基金ごと に、見通しが作られているということですが、上の2つは公的年金ですので、メディケ アについて下の2つを見ると、病院保険(Hospital Insurance)を略してHIとされて おります。あとは任意加入の補足的医療保険(Supplementary Medical Insurance)を略 してSMIということで、略記されております。  5ページが、「2005年の財政状況等」です。受給者数は、メディケアについては4,250 万人です。拠出者数は、HIの主たる財源は社会保障税ということですので、その拠出 者数は1億6,300万人ということです。真ん中辺りに保険料率の表がありますが、本人分 と事業主分を合わせた合計が一番下の欄で、右から2番目にHIの保険料率が書かれて おり、2.90%。その左が公的年金分で12.4%、足して15.30%です。OASDIとHIの 主たる財源は社会保障税ですが、SMIについては主に連邦の一般歳入(約75%)と受 給者に課される保険料等で補われるということで、下に単年度収支と財源の表がありま す。財源の表を見ると、右から2番目の列がHIになっており、収入合計が一番下の数 字で1,994億ドルということです。主たる財源は社会保障税で、一番上の欄にありますが、 1,714億ドルです。一方、SMIについては、合計が1,581億ドルに対して、主たる財源 が連邦一般歳入1,192億ドル、受給者保険料が上から4段目の375億ドルです。  6ページは、「短期見通し」の結果等についてです。短期見通しにおいては、積立比 率によって適性が図られることになっております。給付支払の少なくとも1年分以上の 資産があると短期で妥当であると考えられており、この理由については仮に支出が収入 を上回ることとなっても、信託基金準備金と税収によって、数年間の給付支払いには十 分であり、その間に財政を回復させるための制度改正が可能であるためとされておりま す。積立比率の時系列の図が出ておりますが、青い線が2本ありますが、これがOAS DIの分、赤い線がメディケア、HIの分です。2005年辺りに縦線で実線が入っており、 それが現在時点だと思いますが、150%ぐらいの水準になっております。  7ページですが、前述のような基準からすると、OASDIは2015年まで資産が支出 の1年分を上回っており妥当と考えられておりますが、HIについては100%ラインを見 ると、2012年に下回ることとなっており、妥当ではないと言われております。一方、S MIは財源調達の仕組みがHIとは異なっておりますので、上の図にもありません。財 源が受給者保険料や連邦一般歳入によって、毎年費用に自動的に調整されるからという ことですが、そういう意味で、「危険準備金」資産としての短期テストは、それほど厳 しくないと言われております。だからと言って、支払能力について大きく増加する費用 に対する懸念は取り除かれてはいないというようなことも言われております。  8ページは、「長期の見通し」です。公的年金、メディケアの長期の予測費用を考察 するための有用な方法は、実質的な必要財源をGDPと比較することと言われておりま す。下の図はそれぞれの費用の対GDP比の図です。赤い線がメディケアのHIとSM Iを加えた分、青い線がOASDIの線です。どちらの費用も2010年から2030年に向け て急増しておりますが、これはベビーブーム世代の引退によって、受給者数が急増する ためであり、特に医療費の増などによるメディケアの費用の伸びが早いとされておりま す。一方2030年以降は、公的年金の費用は、平均余命の伸びなどによって、ゆっくり伸 び続けますが、メディケアの費用については、医療費の伸びのため、急速に増加し続け るだろうと、技術進歩等により経済全体の伸びを上回り続けるだろうと言われておりま す。  9ページですが、主なポイントの数字ということで、費用の対GDP比の数字を挙げ ており、一番下にメディケアの数字があり、2005年で2.7%、2080年で11.0%、約4倍と 言われております。  10ページは、「費用と税収の見通し」です。費用の伸びは今後数十年間は経済の伸び よりもかなり早くなっているということですが、税収の伸びはそうではないと言われて おります。HIとOASDIの主たる収入源が社会保障税ですので、通常、収入と費用 の課税総所得に対する割合で比較するということで、下のような図になっております。 これは線が4本ありますが、上の2本、赤と青の線が年金分で、下の2本が病院保険の 分です。それぞれの青い線が、収入率、赤い線が費用率です。青い線の収入率を見ると、 長期では実質的には上昇していないが、これは社会保障税率の変更が予定されておらず、 その他OASDI受給者への課税による税収も将来の受給者数の増により、徐々に増加 するのみであるためと言われております。  11ページは、「メディケアの財源の変化」についてです。将来のメディケア費用の増 加にともなって、一般歳入と受給者保険料の役割が大きくなっていくだろうということ が言われておりますが、下の図は支出と非利息収入、利息収入以外の収入の財源別の対 GDP比が書かれております。グラフを見ると、一番上の太線が総支出です。下の色の 付いた部分があり、これがトータルの非利息収入です。それぞれを色別、内訳別に見る と、下から順にPayroll Taxes、赤い部分が社会保障税です。少し飛んで水色の部分が真 ん中辺りにありますが、これが受給者保険料です。一番上に濃い青い部分がありますが、 これが連邦一般歳入です。社会保障税については、おおよそ1.5%程度で推移するという ことです。一般歳入については、2006年で1.4%、2080年で4.6%です。受給者保険料は 2006年で0.4%、2080年で1.5%です。色の付いていない白抜きの部分が、非利息収入と 支出の差で、HIの不足と認識されておりますが、2080年で3.5%となります。制度的な 仕組みはメディケア近代化法によると、向こう7年間にメディケア支出総額に占める一 般歳入の割合が45%を超えるという予測が2年連続した場合には、警告を発することが 義務づけられており、これを受けたアメリカ大統領が、これに対応するための必要な法 制案を議会に提出するよう求められております。今回の報告書では、2012年度に45%の 水準に到達すると予測されております。  12ページは、簡単な「信託理事会の年次報告書の結果のまとめ」をしております。3 点あり2番目にメディケアHIのポイント、これはOASDIと同様の財政方式を採っ ているので、同じ形で書いております。まず75年見通しの数理的欠損について、課税所 得の3.51%です。昨年の3.09%よりも大きくなっております。この理由については、見 通し期間が1年進んだこと、2005年の実績が予想よりも高くなり、かつ続きそうである こと、更に予測手法を改善したこととされております。10年見通しは、先ほど申し上げ たとおりですが、適切には財源確保されておらず、信託基金資産が2012年に支出の1年 分を下回ると予測されております。最後はSMIですが、これはそれらと異なる財政方 式を採っているということで、75年・10年見通しともに適切に財源確保されているが、 これは自動的に財政均衡するように保険料や一般歳入の引上げが行われるからというこ とです。  最後に13ページですが、今まで申し上げた財政見通しの手法ということです。短期の 手法と長期の手法とで異なっています。まず短期の見通しの手法ですが、メディケアを 大別すると、HI、SMIの中のパートB、パートDごとに分かれておりますが、さら にそれぞれの中で例えば、HIで言えば入院医療サービス等があり、SMIの中には医 師による医療サービス、外来サービスなどがあります。それぞれ個々のサービスの区分 に対して、受給者のサービス量、サービス単価、その他の増等に分解して支払いの増加 予測を行うようです。これは最近の医療費の動向や特定の法令の規定の影響等を反映し ているということで、区分はやや細かく分けられてはいますが、日本の手法から見ても それほど違和感のない手法ではないかと考えております。  長期見通しの手法は、これはやや大胆なものとなっており、最初の10年以降のメディ ケアの予測は、HI、SMIパートB、パートDの総数ごとになされており、それらの 個々のサービス区分ごとにはなされていないということです。更に25年目以降は、すべ てのメディケア支出が同率で増加すると仮定されております。これは予測期間が長くな ると、医療供給量の変化や新しい医療技術の進歩を予測することが難しくなること等の ため、またある区分のサービスが他のサービスより永久に高い伸びを続ける可能性は低 いためと考えられております。  14ページ、最初の点の、具体的な伸び率設定方法は、2006年のレポートから見直され ております。従来は25年目から75年目の受給者当たりの平均支出伸び率は、1人当たり GDP成長率+1%と仮定されておりました。今回のレポートで前提の改善が行われて いるわけですが、その改善とは、メディケアの支出伸び率が現状ではGDP成長率より もかなり高くなっておりますが、遠い将来にはGDP成長率と同じになるように、より 滑らかで、現実的に移行するというものです。つまりこの長期の平均の伸び率は、前半 に高く、後半に低くはなっていますが、HI信託基金に対する75年間のバランスが、従 来の「GDP+1%」の前提によるものと一致するような方法で決定されております。 このような手法の見直しが行われているわけですが、こういう見直しは時々行われてい るようで、こういう手法を採っているために、見直しによって結果は変動するようです。 例えば、10年前の見通しと最近の見通しの数十年後の結果を見比べてみても、やや乖離 しているようです。  下から2点目、人口と経済変数の前提の多くは、公的年金のOASDIの信託理事会 の報告書によるものと共通です。最後になりますが、前提と予測の方法論については、 アクチュアリーとエコノミストからなる独立した専門家パネルにより、周期的に検討さ れる必要があり、その検討の最も新しいものは、2004年メディケア技術検討委員会によ って行われており、その結果は2004年12月に発表されていることのようです。以上です。 ○飯野座長 これまでの説明について、御質問、医療費の将来見通しについての御意見 がございましたらどうぞお願いします。 ○井原氏 本日の資料はレセプトを元にしたもので、大変身近なものなので、真鍋企画 官の説明に若干補足させていただきます。1つは、1日当たりの調剤のところで、真鍋 企画官に上手に説明していただきましたが、平成14年までの療養担当規則の決まり事と して医師は原則投薬は14日、特別な規定をされたものが30日、更に特別なものは90日と いう制約がありました。これが撤廃され、特別な薬剤を除いて医師の裁量に基づいて自 由に処方してよいとなりました。現実にレセプトとして365日投与というのもそれなりに 出てきました。中にはそれ以上、2年近く、それは例えば先天性の疾患の方などで当然 生涯にわたって使い続ける薬などは、そういう投与の仕方もありましたし、それからお 年寄りでこの事の影響というのが、やはりお年寄りは基本的に慢性疾患が多いですし、 それから寒い冬、季節の悪いときには通院もなかなか難しいこともあって、受診したと きに「先生、少し長くください」というようなことがあり、やはり老人の影響は残って いるのだろうと、レセプトを見ながらそういう印象を持っています。たださすがに2年 投与となると、我々も返戻して医師の意向を確認するということは実際にはいたしまし た。やはりいくら制限がなくなったからといって、そこまではという気持ちは審査委員 会としてはありました。この点については、現在、医療課の方から審査委員の常識的な 判断として、不適格であると思えば、適宜照会するなり、手を加えるなりするようにと いう事務連絡もきておりますので、ここの所は若干変わってくるかもしれないというこ とはあります。  第2点目に、DPCのお話で、前回飯野座長の最後のお言葉で、大変申し訳なかった のですが、説明責任などと言われましたが、私どもも当初からDPCというのは、いわ ゆる医療の標準化、病院間の比較など、本質はツールなのです。ところが当初から調整 係数なども含めたペイメントシステム、支払方式が最初から組み合わせて出てきたので、 結局医療費、お金の話に途中から変わってしまったような気がするのです。私は審査支 払をやっているので、お金のことばかりを言われて困ってしまったところがありました。 現在DPCについては3年間の厚生労働科学研究で本当に色々な方面から、どういうD PCがいいのだろうか。本当にかかっている実費はどうなのだろうか。またDPCに対 応する審査システムの開発の研究協力者をふつつかながらやっていますが、研究が3年 目に入っておりますので、DPCについては前回御指摘の問題も含めて、色々な結果、 結論が3年目の報告で出てくるだろうと思います。そうするとこの影響も少し考慮に入 れやすくなるのではないかと思います。  もう1点、前回私の言葉が非常に足りなく、石原課長にうまくフォローしていただい たのですが、西村教授から診療報酬改定率がどうなのだというお話がありましたが、西 村教授はとっくに御存じなのは分かっていますが、皆さんがいらっしゃいますので、こ れが何パーセントのアップダウン、1点単価を単純に、例えば3.16%マイナスだから、 単価も3.16%下げましょう。2%アップだから2%上げましょうというなら、患者さん は同じ医療行為を受けていれば、本当に3%下がった、2%上がったというのは、明々 白々なのですけれども、実際はそういうことではないです。例えば、医療課の方が必ず おっしゃいますが、影響率です、初診料を1点上げたり下げたりするのと、再診料を1 点上げ下げするのでは、大変な影響の違いが出てまいります。これは例えば新規手術を 導入したとしても、そうするとこの手術が当然減るだろうなど、そこにすでに推計が入 った要素で改定率は決まってまいります。それで私はこの前、意外と改定の影響を受け なかった診療科は、比較的皆さん静かにしていらっしゃいます。非常に影響を受けて、 大きく下がってしまった科の先生からは大変苦情がくる。それで全体をトータルして、 課長がおっしゃったようになかなかうまくいっているし、その影響も出ていると。ただ、 松山先生がおっしゃった医療機関の診療行動であるとか、患者さんの受診行動によって やはり改定というのは、それほどクリアにそのままの数字が直接反映するものではない ということを少し申し上げたかったのです。その辺がこの前は説明が足りなかったので、 今日追加させていただきました。そういうことで課長、よろしいでしょうか。 ○飯野座長 どうもありがとうございました。権丈先生どうぞ。 ○権丈氏 質問ですが、資料2の3ページ、諸外国の医療費の将来見通しのところで、 予測手法のイメージとしては被説明変数は2つという形で、民間医療支出増加率、これ は可処分所得増加率の関数になっているわけですね。 ○武藤課長補佐 はい。 ○権丈氏 下の方にある公的医療支出増加率外生変数は、どのように設定されていて、 これと民間医療支出増加率とは、どういう関係にあるのでしょうか。1つ付け加えると、 公的医療支出増加率というのも、因果経路は違うのだけれども、可処分所得の増加率の 影響を受けるというのが、私の頭の中にありますので、よろしくお願いします。 ○武藤課長補佐 実際、詳細についてはなかなか把握できていない部分もありますが、 2点目に書いてあるとおり、外生変数として入力されているものがあり、メディケア・ メディケイドの支出の予測の結果は、モデルに外生的に入力されております。それと関 連する形で公的医療支出が外生変数になっているという理解です。 ○権丈氏 そのメディケア・メディケイドの予測そのものは、どのようにして。 ○武藤課長補佐 それは後半で説明させていただいたように、短期見通しと長期見通し で差はありますが、例えば13ページにありますように、短期見通しについては、最近の 動向や特定の法令の規定の影響等を勘案して推計しております。長期見通しについては、 GDPとある程度整合する形で伸ばしていくということです。 ○権丈氏 だからこの実質1人当たり医療費のようなものを、短期医療費でも長期医療 費でも公的な医療支出の中で、どのようにして選択しているのかということに私は非常 に関心があります。基本的に長期予測というのは、この前も西村先生がおっしゃってい たように、当たらないものなのです。だから長期予測はいかにして誰に責任を取らせる かという問題になってきます。この前私が指摘したのは、1人当たりの医療費の伸び率 というのを、厚労省は過去の傾向からある程度引っ張り出してきて、ここで決めました というようにやっているから、厚労省が責任を取らなければならなくなる。しかし私の モデルの中では、1人当たり医療費は、その時期5年間ぐらい前の国民所得の伸びに依 存します。そうすれば医療費は国民所得の関数だと私の頭の中ではなっているので、そ うすると厚労省の責任ではなくなるのです。内閣府は経済戦略を立てなければならない ので目標値を設定するし、財務省は予算を作らなければいけないので後年度影響試算を 作成する。それを利用して、被説明変数として公的医療費の1人当たり伸び率を関数で 推計していき、それをベースにして医療費の将来見通しを立てていく方法があるのでは ないか。アメリカのモデルは、かなりそれに近いと思っています。外生変数としての公 的医療費支出増加率を一体、彼らがどのようにして厳密に選んでいくかに非常に関心が あるので、是非とも調べていただければと思います。  ついでに言うと、アメリカで1点素晴らしいと思ったのは、8ページ、長期予測につ いて、国民所得比で「公的年金、メディケアの予測費用を考察するための有用な方法は、 実質的な必要財源をGDPと比較すること」と書かれていることです。アメリカの医療 費予測の実態を勉強した日本人が、それを見た瞬間、こういう文言が明確に書いてある ことが目に付くように書いてあることがすごいと思います。日本でも同じなのです。「有 用に議論するためにはGDPで比較すること」ということは日本でも当たり前の話なの ですが、医療費の将来見通しを論じる際の第1番目に、そうしたただし書が書かれてい ない。みんなが20年後の名目値の医療費を議論することは全く意味がないのです。大体、 20年後の名目医療費が141兆円だろうが、60兆円だろうが、実際のところ税率、保険料率 がどのぐらいになるのかさえ分からない。所得の伸び次第で、税率や保険料率は上がり もすれば、下がりもする。だから、20年後の将来の名目医療費を論じることは全く意味 がないわけです。  前回の第1回目の検討会では、そういうことをあれだけ議論したのに、翌日の新聞に は、この検討会に出席された記者が「医療費の将来見通しに関する検討会」の紹介記事 で「国民が1年間に支払う医療費総額である国民医療費は、2004年度の32兆円から2025 年度には65兆円に膨らむ」と書いています。前回の検討会で西村先生は「国民は愚かで はないからいずれ分かる」とおっしゃいまして、私は「いや、無理ではないか」という 話をし、最後で「前向きに検討したいと思います」と言いました。こういう見通しの問 題をやるときに、国民生活にどのような影響を与えるか、あるいは保険料率にどのよう な影響を与えるのか、税率にどんな影響を与えるか、負担をどうすればいいのかを議論 するためにはやはりNI比、GDP比で比較するということが必要で、「医療費の将来 見通しを行うための有用な方法は、実質的な必要財源をNI・GDPと比較すること」 ということを一番始めに書くぐらいの姿勢を示さないと、また延々と同じことが続くの ではないかと思っていますので、アメリカのことを参考にさせていただきました。どう もありがとうございました。 ○松山氏 今の御意見の補足説明をさせていただきます。厚生労働省の事務局の方が説 明した、2005年から2015年のアメリカの予測の中で一番影響が大きいのは、医療費物価 が一般の消費者物価以上に伸びるという前提を置いていることだと思います。  それを具体的にデータで見ると、予測したときの2005年から2015年の間の一般消費者 物価の伸び率は平均2.7%と置いています。これに対して、同じ期間の医療費物価の伸び 率は3.8%です。アメリカの場合、医療費物価を月次ベースで推計して発表していますが、 それが医療費全体の伸び率に非常に大きな影響を与えています。  もう1つ、メディケアという、主として65歳以上の高齢者を対象とした保険の財政が 非常に逼迫しているということです。それについては、今日、御説明いただいた「10年 予測」に関して昨年論文が出ています。アメリカは65歳以上の人口の割合が2005年で 12.4%でした。これが2015年に14.5%まで上がります。ただし、アメリカにとってみて も、これは急速な高齢化なのですが、高齢化の影響による医療費の伸びというのは実は 影響が大きくなく、同じ計算のベースで0.74%にしかならない。2005年から2015年の間 のアメリカの国民医療費の増加額の中で、高齢化による入院費用の寄与度というのは全 体の11.8%という論文が出ています。  アメリカでは、高齢化は社会保障制度を守る意味で非常に重要な問題だけれども、実 はメインのファクターではない。医療費に関して一番大きいのは、やはり技術進歩であ り、技術進歩により生み出された新たな診療行為が活用されることだと言われています。 新たな診療行為が医療現場に導入されるスピードがアメリカの場合は大きい。逆に言う と、それが先ほどの医療費の物価に反映されて計算されていると思われるのです。そこ で、マクロモデルを使わざるを得ないという背景があるように思います。  今日、御説明していただいた中で、アメリカの制度を議論するときに一番分からない のは、資料2の5ページの上の数字にHI、つまり入院費用、メディケアパートAと言 われるものの保険料率が労使合わせて2.9%となっている部分です。これだけ見ると、日 本人は「アメリカの保険料は安いな」と思うのですが、大事なのは64歳以下、現役勤労 者世代の医療保険料が大体どのぐらいなのかです。この点についてはアメリカでも公式 統計はありません。というのは、零細企業に勤めている場合と大企業に勤めている場合 では保険料率が全然違いますので、単純な平均は取れません。  しかし、逆算する方法があります。アメリカの労働省が出している賃金データがある のですが、その中の費目が分解されていて、それから逆算すると2006年時点で現役世代 の健康保険料というのは労使合わせて10.38%です。2001年が8.07%でした。したがって 経済的にというか、企業経営者から見ると、現役世代の保険料が急速に上がっているこ とが非常に重大で、実は、高齢者の問題というのはあまり大きな問題ではないのです。 そういう背景があることを理解して推計の作業を眺める必要があります。 ○橋本氏 今、御指摘があった保険料率はメディケアの保険料率というか、社会保障税 の税率ですか。 ○松山氏 はい。 ○橋本氏 だから、実際には被保険者が払っているというより、一般の要するにメディ ケアを受けている人たちでない現役さんが税率として払っているものですよね。ここに は「保険料率」と書いてあるのですが誤解を招きそうなので。実際の保険料率、お年寄 りが支払っている額は全然これと違うし、今松山先生がおっしゃられたように税率でや る。別に、自分たちの医療保険にかかるものではなくて、この上にプラス、実際の現役 世代は自分たちの民間保険なり何なりを企業が買ってくれる場合、自分でやらなければ いけない場合とがある。ひどい場合には、今先生がおっしゃったように、この上にプラ ス10%となってくる。要するに医療関係で、所得の15%とか20%払っているのが現状だ と考えた方がよろしいわけですよね。その点だけ確認させていただきたいと思います。 ○松山氏 補足させていただきます。先進諸国の医療保険制度を見たときに、制度の名 前は違うのですが共通しているところがあります。つまり、現役世代の財源というのは すべて現役世代が雇用主と一緒に負担する。高齢者についても大部分は現役世代が負担 する。しかし、現役世代ばかりが負担するとまずいので、高齢者にも応分の負担をして もらう。日本の場合、私も払っていますが、健康保険料の中に実際にそのときの高齢者 の財源も入っているわけです。アメリカの場合はそれが給与明細で明確に分かれている のです。それで2.9という数字があって、それを労使で折半しているわけです。残りの現 役世代のための健康保険料というのは、実は1980年代まで10割、100%雇用主負担だった のです。それが今徐々に従業員も負担するようになって、多分アバウト7割ぐらいは雇 用主負担、3割が従業員負担になっていると思います。これは企業によって大分違いま す。  今の先生の御指摘ですが、確かに「社会保障税」という名前で税なのですが、制度の 比較をするときは現役世代の保険料と高齢者のための税をプラスして日本の健康保険料 と比較すれば大体イメージがつかめると思います。  それから、先ほど議論に出ていましたが、GDPで比較してみて初めて意味のある議 論ができるわけです。大事なのは、GDP比で日本の2倍以上使っているアメリカで、 確かに医療費が増えるのは財政的には問題だという議論はありますが、医療産業がアメ リカ経済を支えていますから、医療費が増えることが悪だという議論はない点です。と ころが、先進諸国で一番使っていない日本が、なぜか医療費が増えると悪だという話が ある。どこかおかしいなというのが私の印象です。 ○橋本氏 まず、今日、アメリカの資料を見せていただいて、先ほど権丈先生もおっし ゃったようにいくつか学ぶべき点があると思います。一方で学んではいけない点、もし くは無視しなければいけない点もあると思うのでカウンターで言っておこうと思います。  やはり、17%使っているというのは世界中見てもこの国しかない。実情から言ったら、 公的保険でオール民間なのかというと、実は公的メディケアで見ている額というのは人 口が1億対2億だということを考えると、ちょうど日本の医療費とほぼ同じ額を2億人 のうちの全体の高齢者に対して使っている。要するに、約50兆ぐらいは高齢者に使って いて、更に上乗せで150兆が民間保険で動いているという、ものすごいお金の使い方をし ている。  今、松山先生がおっしゃったように、150兆の部分がまさに医療というだけではなくて、 保険や金融資産としたようなものも含めたものすごく巨大な産業として動いている。そ ちらに関してはあまり文句は出ないのですが、ことメディケアに関しては財政破綻、プ ライマリ・バランス云々の問題で、おまけにどうも新しく29兆円ぐらい戦争に注ぎ込ま なければいけないらしい。大きな問題になっているということはアメリカでも一応ある と思います。  メディケアの部分に関しては、GDPを使った推計という部分に関しては言ってみれ ばいくら払えるのか、払うべきなのかという議論をする上で医療費を推計するのであれ ば、やはりマクロ・エコノミックス的な推計がピュアだし、理にかなっていると思いま す。一方、例えば人数がどれぐらい増えるのか、高齢者の接点がどのぐらいになるのか、 技術がどうなるのかという話は、医療費の推計というよりは逆にどういうサービスが今 後要求されるのかという話ではないか。これは厚生労働省に責任のある領域だと思いま す。一方で医療費がいくら払われるべきなのかの話に関しては、それとは分けた議論と して、もう1つ別に立てるというのは権丈先生の御指摘のとおりではないかと感じまし た。  ただ、その上で1つ、先ほど病院と医師費用をパートA、パートBに分けて推計する というのは、もしかしたら真似られるかもしれないと言いました。日本の場合、これは 全然当てはまらない話です。今のDPCでもそうなのですが、間違えて病院費用分と医 師費用分とか言われるのですが、あれは全くの大嘘だと思います。日本の場合にはもし、 そのような区分別でやるのだとしたら、別のやり方を考える必要があるかと思います。 ○飯野座長 日本でこういう議論をすると、必ず外国が参考になります。外国といって も、日本と同じ制度のところは全くありませんので、やはり、それぞれの国の制度を知 った上で参考にしなければいけないと常々思っています。  今日はアメリカの例が出されて、それに基づいて議論が行われております。私がたま たま、昨年の11月にスウェーデンに行ったとき、2030年までの医療費予測が報告書とし て出版されていましたので、次回、スウェーデンについて報告させていただきたいと思 います。スウェーデンはアメリカとは正反対の国で、実に医療の85%までが公務員によ って提供されているという国です。つまり、85%がランスティング、日本で言うと県に 当たるのかもしれませんが、県立病院が85%を提供しているという国で、アメリカとは 正反対の国だと思います。そういった国で予測をするとどうなるか、という例を次回御 紹介したいと思います。  スウェーデンと比較しますと、多分日本はちょうどアメリカとの中間にありますので、 今日のアメリカと好対照の例としてスウェーデンを見ておくことは有意義だと思うから です。  本日紹介していただいたアメリカを見ていますと短期と長期があって、中期がないよ うに思います。スウェーデンの場合は2030年までの予測ということですから、25年ぐら い、つまり中期予測ということになるでしょうか。  スウェーデンの場合は今申し上げましたように医療の大部分が公的に提供されており ますので、政府が「こう」と決めたら、大体そのように決められる仕組みになっており ます。「入院患者を減らせ」という指示を出せば、患者は速やかに家に帰されてしまう ことができる仕組みです。その辺は日本と大分違うので、それを頭に置いて聞いていた だかないと困ると思います。それは次回、御報告させていただきます。 ○権丈氏 先ほど、アメリカのことに触れたら、アメリカのマクロ経済的な推計がいい のではないかと受け止められました。私は別にその辺はどうでもいいわけで、最終的に はヨーロッパやG7の平均値ぐらいのGDP比の医療費というターゲットを決めればい いと考えています。その内訳をどうやっていくかという分配問題、資源配分問題をしっ かりと中医協や厚生労働省にやってもらうと。  今のような低い医療費の水準で分配問題、資源配分問題を解決しようとしても土台無 理がある。医療費のGDPに占める割合をどの程度にするかは、これまでもそうであっ たように、これからも政治でやっていくことであって、ヨーロッパ標準、G7平均値く らいのGDP比を達成していこうという目標をまずは決める。そこから先はみんなで分 配問題、医療をより良くするためにはどうすればいいかという効率性の考えとか、色々 な配分問題を考えていきましょうという考えです。  医療費の長期推計そのものにほとんど意味を感じていないので先に言っておきます。 そして、日本のように、どうしてこういう小さい医療費のところで日本が大騒ぎするの か。色々見ていると、医療費が小さいとか、社会保障の給付費が小さい国ほど「我が福 祉国家は」とか、いかに小さい政府を実現するか、大きくならないためにどうすべきか という問題意識と世論が強くなる。そういうお国柄だから小さいのです、大きくならな い。大きい所はそのようなことを議論にしない。小さい政府の国ほど「大変だ、大変だ」 と言い続けている。「馬鹿だな」というのが正直なところです。そういう世論が一般的 であるために日本、あるいはアメリカは大きな政府にならない。  1つ、アメリカを真似してはならないところというか、例えば橋本先生がおっしゃっ ていたところがあります。1つ言っておきたいのは、所得や病歴に関係なく、平等に医 療を消費していこうということをやろうとする限り、パブリックでやるしか方法はない のです。これをプライベートに任せると、そこには絶対に格差が生まれます。今、福祉 国家で何をやっているのかというと、平等消費をした方がいいというサービス、教育や 福祉、医療や介護というものを平等にやろうと決めたのだからパブリックでやっている。 ただ、そのことをやっているだけなんですね。  基本的には平等にやりましょう。やらないでいいというのだったら、上の方はいくら でもプライベートに解放してもいいわけです。平等消費でやると決めたらパブリックで やるしか方法はない、それだけの話だと考えています。 ○西村氏 権丈先生、大変良いお話をされました。  今日の報告を聞いて気が付いたことを3つばかり、権丈先生のお話を大変矮小化する ような大きな話で大変恐縮です。2つ細かい話をします。アメリカの例を見て、やはり 厚生労働省はたとえ正確さは難しくても、医療の価格指数というのは作る努力をされた 方がいいのではないか、物価指数ですね。ということが1つです。アメリカは必ず入っ ています。この議論をしないと技術進歩の内訳が曖昧となるという点で、物価指数を何 とか頑張って、それこそ総理府統計局と協力して作られるというのはどうでしょうとい うのが1つです。  あと2つは大きな話で恐縮ですが、アメリカの例は基本的に社会保険制度と税の2つ ではなくて、先ほど保険料と言うかどうかという議論がありました。考え方としては、 Social Security Payroll Taxを税と考えるとすれば基本的に税です。税だから、逆に こういうメディケア、トラストファンドをわざとしっかり、制度的に会計単位として別 個作る。つまり、一般会計の中で議論しないで、トラストファンドをきちんと作って、 そこで全体のメディケア、民間では別ですが、メディケアの医療費の予測をやっていく。  ところが、日本は税は財務省担当で、厚生労働省は基本的に医療費の担当というよう に若干ずれがある。やはり、医療費を予測するのだったら、少なくとも厚生労働省は社 会保険料収入を同時に予測しないとなかなか議論がかみ合わない。先ほど、GDPのフ ィーが云々ということは、私たちの支払能力が増えるわけですから経済は成長する。社 会保険料収入はこういうようになるでしょうということとセットになって数字が出てく ると、若干誤解を招きにくいということがあると思います。それをまず、第一歩として 是非やってほしいというのが1つです。  ただ、もうちょっと言うと、本当は財務省と一緒にやって一般会計からどれぐらい、 権丈先生とはこのあと意見が違います。つまり財政的に大変だと。これだけ借金を抱え て、医療費をたくさん使うわけにはいかないということであれば、例えば税がどれぐら いこれから増えるかということとセットにして、医療費を比較していくということまで 出来たらいいと思います。ただ、私の過去の経験では後者は難しい。しかし、社会保険 料の予測はできるわけです。御社の担当ですからできると思うので、是非、それとセッ トにして医療費を議論していただきたいというのが2番目です。  3番目は大きな話で恐縮ですが、実は最近、政府が「新健康フロンティア戦略会議」 というものを作られた。各省からこれからの健康医療、「健康」と言いながら医療がた くさん入っています。もちろん健康もなのですが、これからの医療をどのように充実さ せていくか。福祉機器、あるいは薬、色々なものをどういうふうに充実するかという話 をしておられます。  ところが、財源についての議論は全くここではやられていません。大変夢のある議論 がされています。分かりませんが、それは恐らく、これからものすごい勢いで技術進歩 が進むと、ライフ・サイエンスがらみの技術は相当進むと思います。それをどのように して、公的なお金と民間のお金で負担していくかという議論をしないと、みんな絵に描 いた餅になると思います。厚生労働省も出しておられて、実は農林水産省も食料で出し ておられる。非常に面白い、プリントアウトしたらこんなにぶ厚い報告で、夢を抱かせ る内容になっていました。  それは先ほどの話、高齢者と若い人の寿命が延びますという話がいっぱい書いてあり ます。だけど、こういうところでは、寿命が延びたのにまた医療費が上がる大変悲しい 話を考えるわけです。だから、それをセットにして考えないと、これからこういう議論 ができない。  私としては、大きな話としてはこういう会議があったら、厚生労働省は「お金をどう するのか」という話をせめて、政府の賢人会議に行って「誰が払うのか」ぐらいは厚生 労働省が言ってほしいと思います。以上です。 ○権丈氏 西村先生と別に矛盾したことを言っているわけではありません。GDPに占 める医療の給付費ですが、ヨーロッパ標準並みに揃えて頑張っていこうか、医療費をヨ ーロッパ標準並みに揃えていこうかという形に目標を設定していって、そこで負担をど うやっていけばいいかを真剣に議論していけばいい。  もう1つの流れとして押さえておかなければいけないのは、2005年2月ぐらいから、 経済財政諮問会議の中で医療費でなく、医療給付費の検討をしていこう、これさえ抑え ることができれば、あとは上の方は伸びても構わないという議論が出てくるわけです。 そこから混合診療議論が出てきて、医療給付費さえ抑えればいいとなってくる。吉川先 生がリーダーとなって経済財政諮問会議の中でそうした考え方が出されてきたわけです。 医療費そのものをパブリックでやっていくのと、医療給付費さえ抑えて、その上は自由 に伸びても構わない、そこは成長産業の成長の源泉なのだから、どんどん規制緩和をし てやっていきましょうというような形でみんながまんまと乗せられてしまうところかも しれません。そこら辺はやはり、区別して議論していかなければいけない。GDPに占 める医療給付費の目標設定、そして医療費をどうするかということの議論は整理しなが ら、ある程度の目標設定をした中で負担をどうやっていけばいいのか。税でやっていく のか、社会保険でやっていくのか。その中で今度、病院と診療所間の配分をどう考えて いくのか、色々なものに厚生労働省の保険局は集中した議論をした方が生産的だと思い ます。医療費の推計をどうすればちゃんとできるでしょうかという答えのない問いを真 面目に延々と一所懸命考えるよりも、限られた厚労省の人的資源をもっと有効に使って、 生産的な仕事、議論をする方がいいと思います。私は外枠の目標そのものはある程度政 府の方に任せていきながら、中の議論をして、いかに与えられた医療資源で効率的に医 療の質を高めていけばいいのか。そして、みんながまんまと罠にはまっていく医療給付 費さえ抑えればいいという議論、私的医療費が上がるのは一向に構わないという考えに 納得して本当にいいのか。そこを我々研究者とか、厚生労働省で色々議論していくため の筋を作るためには、きちんとした議論をするためには先ほどもおっしゃったような、 医療の価格指数とか色々なものを作っていかざるを得ないと思います。その辺を切り分 けた形で議論できればと思っています。 ○井原氏 ただいまの権丈先生のお話、大変力を得ました。第1回、最初のときに、そ の部分が大変気になったのです。それで、国民医療費と給付費の定義のことを申し上げ た記憶があります。  現実として、すでに薬事法承認がされていて現在使われている薬だけれども、その適 応外で使用する場合は届出をすれば、他は医療保険でみんな見るけれども、薬剤のお金 だけは患者さんの全額自己負担になるとか。そのような保険外併用療養費、前は「特定 療養費」と言っていたのですが言葉が変わりました。いわゆる、評価療養と選定療養に 分けられた。評価療養を行った場合にはレセプトに1点何円でなく、例えばこのことを やって「何円」という、大変見慣れないものが出るようになってきた。  機器の場合は評価機器、薬剤では評価薬剤ということで、総額は出てこないのですが ガンマグロブリンの大量療法を行った場合、そのことがルール上、レセプトに書かれる ことにより出てくるようになった。つまり、この場合はいわゆる混合診療のように全額 自費になるということではありません。他の部分は全額保険で見るけれども、その薬剤 分は全額患者の負担という考え方が現実に出てきている。先ほどおっしゃった給付費と いうのはあくまでも、支払基金などから払うお金だけである。国民医療費とはその上に 患者負担を乗せたものであり、その患者負担のところが、実は更に上もあるということ になってくると、そこをどう考えていくべきなのでしょうかということを最初のときに 申し上げました。今、先生に言われて、私もそのように思いました。 ○鎌形氏 あまり大きな話ではなくて、小さな話で恐縮です。二昔前にやっていたとい う話を前回しました。どうも医療費の推計をやっていて、一番心に引っかかるのがこの 前も西村先生が「自然増の分析をしたい」とおっしゃっていました自然増のことです。 いわゆる、自然増というのは一体何か。分からないから「自然増」と呼んでいます。  前回の資料を見ると、現在は2%強ぐらいの自然増がある。私がやっていたときは4 %ぐらいあったと思います。そこで、自然増というのは一体何か。訳が分からないけれ ども伸びます。これは何か解明していく必要があるのではないかと思います。  資料1−4、「その他」の一番最後、4ページと5ページを御覧ください。真鍋さん の説明でも、ここは端折ったような感じがしています。色がいっぱい付いている「診療 行為」の中身、これは社会医療調査でやったと思います。この内訳を右側、1日当たり を当てはめて、医療費の中身の推移がどういうようになるかを見る必要があるかなと思 います。  それを見てもよく分からない、確かに説明できない、だから自然増なのです。医療費 改定がありますから、医療費改定をいちいち説明すると本当に訳が分からない。ところ が、私の記憶だと昭和52年からだったでしょうか、53年、54年、55年、56年と4年間医 療費改定がなかったことがあります。そうすると、診療報酬というのはベースですから、 それが動くと自然増の分析というのは出来ないわけです。全然、医療費改定がなかった ときがあるので、それを社会医療調査に当てはめて、診療内容がどのように変化してい くのかということで自然増の分析をしようと思ったわけです。  その結果を見ると例えば入院料とか、単価の決まっているものは医療費改定がありま せんから全然動かない。どんどん伸びていくのは何かというと薬と検査なのです。確か、 あのとき7割ぐらいが薬で、3割ぐらいが検査だったと思います。その中身をよく調べ てみると、その当時、今は変わっているかもしれません。薬はどちらかというと高い薬 にシフトしている。検査は高い検査が増えているかというとそうではない。要するに、 検査の量が増えているというのがその当時の結果です。  今現在やってもベースが動いてしまうので、うまく出来ない。社会医療調査も結構キ メが粗いので、色々分けていくとよく分からない面が多いのです。しかし、今後は磁気 レセプトの請求がいっぱい来る。この間見たら、大体半分ぐらいが手を挙げるとか、磁 気レセプトで請求するようなものが出ていました。例えば病院だったら5,000ぐらい、診 療所だったら5万の医療機関が磁気レセプトで請求する。最後は全部磁気になるのでし ょう。  今まで紙というのは全く扱いができなくて、紙がごみになっていたわけです。ところ が、あれが全部情報になるわけです。そうすれば、医療費改定もうまく組み込んでやれ ば、そこら辺の分析がうまくできるのではないかと思います。私にやれと言われても出 来ませんが。厚生労働省の頭の良い人がきちんとやればできるのではないかと思って期 待しています。そこのところ、2%の増加の訳が分からんというのがネックになってい るのではないかと思います。以上です。 ○石原調査課長 今、鎌形先生から御指摘いただいた点ですが、資料1−1で補足させ ていただきます。5ページ目、先ほど企画官から説明がありましたが「調剤」を御覧い ただきたいと思います。「調剤」の平成13年度、15年度、17年度が6%から7%の伸び となっている。1日当たり、6%から7%伸びるというのはなぜ伸びるのか。ここが自 然増としてかなり大きな部分で、先ほど鎌形先生がおっしゃった調剤が伸びているとい うのはこの辺に如実に現れている。  先ほどの御提案にあった例の価格指数の話ですが、価格指数というのはなぜ価格が上 がるかというと、医療保険の場合、薬剤であればもちろん点数が決められている。別に 上がっていないわけです。薬価は点数が上がらないのになぜ上がるのか。要するに、こ この6%も上がっているという話が自然増です。価格指数とおっしゃる点、何をもって 整理するのかというのが第1点として疑問があります。その辺を御説明いただけますか。 ○西村氏 経済学の講義みたいで恐縮です。実際の消費者物価指数とか、卸売物価指数 が本当はよく考えるとものすごくいい加減なのです。  どうしてかというと、例えば私が10万円のパソコンを買っていて、今度良いものが出 て、それが15万とします。しかし、もとの10万は7万に下がったとします。私はどちら を買うか。  本当かどうかは別として、それは薬と一緒なのです。15万円の新しいパソコンを買っ て、機能がいっぱい付いている。良いと思って買ったら、使い方は従来と一緒で何も変 わっていない。これは物価が「上がった」と言うけれども、ちゃんと7万円であるでは ないか。  実は、医者の薬はそうなのです。機能は上がっているのです。本当かどうかは別とし て、上がっているから一応立証されている。「前よりも利きます」という新薬、その薬 は高い。それを使う方に行くというのは、私から見るとそのようなものは要らない。物 価は上がっていると言いたいけれども、医師は上がっていると思っていないのです。そ の謎は永遠の謎で難しい。  私はそれほど強く言っていません。指数を作ったら、アメリカのように「作っていま す」と言う。日本もそうでしょう。物価指数を作っていますと言って、みんな、教科書 で悪いけれども、物価指数というのは1人ひとり全員違うのです。学生時代に習って、 いつも教えています。1人ひとりの物価指数があって、それが違うのです。  だけど、政府は消費者、卸売を1個発表して、それが独り歩きをするのです。名目は はっきりしていますが、実質GDPは上がった、下がったという議論をします。それを みんな多くの人が信用する。あとはクレディビリティーの問題であって、そこをどこま できちんとやるかという議論は、内閣府がやっておられる程度にやってくださったら私 たちは信用できる。だけど、今言ったような議論があって、それは永遠に分からない。 やはり、アメリカもやっている。  実は、鎌形先生とちょっと意見が違うのは、本当は今どういうことが大事かというと、 薬価の申請を製薬メーカーがするときに、日本は医療経済データの管掌はしていますが 義務付けをしていません。例えば、先生がおっしゃった昭和53年ごろ、どうして薬があ れだけ増えたかというと、1つはやはり胃潰瘍なのです。従来は手術をしたものがどん どん薬になっていく。これは明らかに技術進歩であります。  薬が増えたからといっていけないとは言えません。しかも、その薬はどんどん下がっ ていますから、本当の技術進歩だと思います。そのような個別の疾病について、本当は 地道にやってということは厚生労働省はできませんから、製薬メーカーに新しい薬を出 したら、従来と比べて効果と費用の比率がどうかをちゃんと出せと言ったら、データを 使って色々なことができるわけです。それは世界の動向で、日本だけあまり熱心ではな い。韓国はしていますが熱心ではない。そうやって薬の効果を調べることができます。  実際問題、この指標でマクロ的にやってもはっきり言ってできません。できませんが、 隔靴掻痒のことはできるという意味で御推薦申し上げました。マクロデータというのは みんなそうで、はっきり言ってすべて正確なデータを捕まえることはできませんが、一 種国民の共同幻想になっていて、その数字でみんな納得するという面があります。それ は厚生労働省がどれぐらい誠意をもってデータを集めるかによると思います。  いつも講義でやるのですが、物価指数というのは100パーセントはありません。パーシ ェとラスパイレスのどちらが正しいか、絶対決着がつかないのです。そういうことも含 めて、ある程度真面目に、一生懸命データを集めて作りました。それを鎌形先生がおっ しゃるように、例えば検査については価格は相当そのあと下がりましたが量が増えまし た。初めのころはいつもこういう言い方をしていました。「医師が駄目になったのは、 昔は自分の目で問診して診断したのに、みんな検査に頼るようになった」といって馬鹿 になった。技術退化です。  だけど、今、そのようなことは言わないです。ほとんどの場合、検査は当たり前と思 うようになったから、測定するには医師の能力退化をどのように測定するかを本当はし たい。ただ、それは難しい。表面的な検査の点数はどんどん下がっていますから、間違 いなく量が増えている。検査価格は下がっています。薬はどうか、これは微妙です。ジ ェネリックの投与によって、どれぐらい価格が下がるかという数字は出せます。そうい う意味です。 ○権丈氏 付け加えると、日本で医療物価指数を作って知りたいもう1つの大きな理由 は薬価基準と診療報酬を持っているので、これ以上何の価格の変動を考えればいいのか というのがあると思います。  学生のころ読んでいたアメリカでフェルドシュタインなどが使っているヘルスの物価 指数というのは、病院の入院コストだったりします。これがプライベートで価格設定さ れていて、ホスピタル・コスト・インフレーションが何ゆえに起こるのかを見ていった りするわけです。  その中で、日本の薬価基準と診療報酬がある中で、どうやって物価指数を考えていけ ばいいか。これは新しく突き付けられた問題だと思います。先ほども鎌形先生がおっし ゃったように、自然増の中でどのように変化しているのか。診療報酬改定を何パーセン トしますといったとき、実質、次の年になったら何かが変化している。それは一体、量 的にどのように変化しているのか。これは医療供給のビヘイビアーの分析などにもどう しても必要になってきますので、是非ともやっていただければと思っています。よろし くお願いします。 ○井原氏 今までのお話、すべて私もそう思います。私は卒業してもう30年以上経つの ですが、学生のころ、「疾病の変遷」を講義で言われました。戦前、戦後の結核に始まっ て、君らが医師になるころはこのように病気が変わってきているということでした。と ころが今は、もちろんそれもさることながら病因論とか、病気の本質論、色々な病気に 対する考え方、例えば自己免疫疾患の免疫の解釈などが幅広くなってきています。  ですから、本来だったら、薬事法承認を得たときにはとても考えられなかったような 薬剤の使い方とか、病気の原因論の研究が深く進んでくる。これがいわゆる自然増、医 学の進歩の一部なのでしょう。そうすると、どうしてもそういう薬を医師は使いたい。 ましてや、諸外国で良いデータが出ているとなれば日本でも使いたい。検査も次々に新 しい、高精度の型の検査が出てくると、やはり受診をされている国民の方々も情報が流 れると、私もその検査を受けてみないと安心できないとなる。  新しいものへというのは先生がおっしゃるとおりです。ここは点数の決め方の問題が あると思います。やはり新薬、新しい検査というのは高点数で最初は設定されています。 それが自然増のうちの1つの要素になってしまうのでしょう。ただ、実際に患者さんを 見ている医師の立場としては使わざるを得ない、調べざるを得ないという場合も一部に はある。それがすべていいのかといったら、またそこは議論になりますが。 ○西村氏 誤解を招くようなことを言いましたが、新しいパソコンは間違いなく機能は 増えていますよね。それをちゃんと使いこなす人がいたらそれでいいわけで、医師の多 くはそうだと思っています。すみません。 ○井原氏 最近、薬事法に基づいて審査するのに、私たちが困るぐらい長い条件が付く ようになったのです。十分に経験を有する医師のもとでの抗癌剤使用とか、どこでも、 誰でも使っていいという承認ではなく、経験が十分にある、そういうところに一生懸命 工夫をしてくださっている部分があるのだろうと。私どもも、この施設でこういうこと を行うのはいかがなのか、これは当然行うべきだろうということも考えながら判断して いる実情です。  あと1つ、今更何をと言われるかもしれません。最近、テレビを見ていると、例えば 昨日の新型インフルエンザでももしかしたら10何万人から60何万人が亡くなるのではな いか。世界規模の地球温暖化の話も1.8度から4度とか。もちろん厚生労働省が出す基準 ですから、一本しっかりした考え方に基づいた中心の数字があっていいと思います。た だ、推計ですからみんな幅を持たせるのです。何もしなければ、基本的にはこういうこ とで、こういう対策、DPCのことを考えたらこういう要素が入ってくる。松山先生が おっしゃるように医療機関の行動など、色々なことを考慮すれば、こういうようにもな る。幅を曖昧にするという意味ではないのですが、幅を持たせるという考え方は持てな いものなのでしょうか。数字をきちんと出すのは一見明快なようで、実は西村先生がお っしゃったように、これは予測だから難しい。大変困難なことだというのであれば、基 本線として打ち出してもいいのですが、そこにある程度きちんと条件を明示した上で、 こういうことをやればこうもなり得るという幅を持たせるというのは、やはりいけない ものなのでしょうか。 ○石原調査課長 今おっしゃった推計の幅というのは色々な考え方があると思います。 例えば、推計の前提には若干誤差があり得るので、伸び率等に幅を持ってある程度お示 しするという、単純な幅の作り方もあると思います。  ただ、先ほど権丈先生がおっしゃったようにもし単純な推計でなくて、経済との関係 で決まっているのであれば、経済との関係だったらこのぐらいしか出せないということ で2つお示しすることもあり得ると思います。  理論的にはあり得ると思うのですが、後者について申し上げれば政府としての見通し は政策努力をしたあとの見通しとなり、GDPの伸びがあまり見込めないので、これぐ らいしか負担できないという宣言になる面もある。こうした政策目標としての数字はな かなか出しにくいということかなと思っています。 ○権丈氏 その考え方だったら、基本的に年金はもしかするとそういう形になっている わけです。医療も賦課方式になりますので、人口や経済成長率が影響するわけです。保 険料率をこの程度に将来的に設定する。出生率がこうなったらこうなる、経済成長率が こうだったらこのぐらいの給付が得られるという形ではないか。  年金の方もそうなのですが、基本的にマトリックスでしかこういうものを出してはい けない。将来の出来事を1本に決めるなど、それほど偉くはないと厚生労働省には言っ ています。マトリックスでこの前提だったらこうなる、この前提だったらこうなる、あ とは政治家が決めなさいというような条件で出していくという幅を持たせるという意味 では、年金のマクロ経済スライドの形というのはずいぶんと参考になると思います。 ○松山氏 話が戻ります。今の権丈先生のお話とも関係してくるのですが、医療費の推 計をするときに確かに年金と同じようなやり方にすることも可能なのですが、医療には 年金と違うところがある。つまり、医療は年金以上に国民のセーフティネットなのです。  前半の議論の中で、例えば、経済財政諮問会議で給付額を抑えてあとは自由に増えれ ばいいという議論の中で、民間保険の役割を拡大すればよいという主張があります。私 はそれには大反対です。なぜかというと、民間医療保険の粗利益率というのは日本の場 合3割なのです。要するに、国民が100保険料を払ったら、30%はどこかにいってしまっ ているわけです。そのようなものを医療の柱の中に入れるわけにはいかないと考えてい ます。  そうであれば、国が税で負担する給付額についてはある程度抑えをかけるけれども、 医療費が伸びる中で公的制度の枠組みはがっちり守る仕組みを何らかの工夫をして作ら ないといけない。それが今の課題ではないかと思います。そういうことを考えた上で、 医療費をGDP対比で先進諸国並みに持っていくために、どういう工夫があるのかを研 究すれば国民に説明しやすくなると思います。日本の医療改革の議論が混乱したのは厚 生労働省のせいではなくて、私は経済財政諮問会議だと思っています。 ○権丈氏 そう思っています。松山先生がおっしゃることと基本的に同じです。ただ、 予測をやる限り、マトリックスでやるしかないだろう。 ○松山氏 それは私も賛成です。 ○権丈氏 そこを価値判断とか、色々なものを加えていきながらどう選択していくかと いうのは別次元の話で、これは厚生労働省でなく、我々でやりますよという話になって いくと思います。 ○橋本氏 まさにそのマトリックスを作っていくための条件として、今手元にあるデー タがちょっと寂しい。1日当たり、1件当たりというマクロのことをやっているのでは なくて、先ほどの医療価格指数みたいなもの、例えばそれをバスケット方式でやるのだ ったら、急性期だったらある程度DPCみたいな形で治療エピソードごとにいくらかか るのかを入れたら、原価も含めてだんだん手に入るようになってときていると。  先ほど鎌形先生もおっしゃったように、今後電子レセプト化していく。そうしたミク ロデータが大量に、しかもオンタイムで手に入るようになってくるものをうまく活用し て、マトリックスを作るための条件の根拠になる数字を用意していく方に、むしろ専念 していく方が本当はいいのではないかと思います。 ○権丈氏 先ほどマクロ経済スライドと言いましたが、保険料率を固定して経済成長率、 人口変動率、色々なものを考えていくと、出てくるのはGDPに占める医療給付費の割 合がマトリックスに出てくるのです。  今度、GDPに占める医療給付費を固定した形でこちらを考えていくと、年金で言え ば給付立ての考え方になっていく。拠出立てでいくか、給付立てになるかというところ で双方にマトリックスを出していく。心情的には、医療に関しては給付立てでいいので はないかというのがあって、そうすると保険料率が動く。その辺のマトリックスという 意味になると思うし、目標としてはヨーロッパ標準やG7の平均値、それを公的という 形でやっていくという目標を掲げていいのではないかと思っています。ただ、これを論 じると大変なことになってくるので遠慮しておきます、他のところで書きます。 ○飯野座長 座長の不手際かどうか分かりませんが、大学での議論になってしまいまし た。調査課はそれこそ今のメンバーどころか、10倍にしても大変だろうと思います。と にかく、良い予測を出していくための努力をこれからしていきたいと思います。次回は また、別の資料を用意いたします。  本日はちょうど時間となりました。ここまでにしたいと思います。次回の開催日程等 について事務局からお願いします。 ○真鍋数理企画官 次回は3月22日(木)、午前10時からお願いします。場所は改めて 御案内します。 ○飯野座長 今日は以上で終わります。どうもありがとうございました。                                     (了)                     [照会先]厚生労働省保険局調査課                      電話(代表)03(5253)1111                           武藤、村木(内線3295)