07/02/05 看護基礎教育の充実に関する検討会第7回議事録 照会先:医政局看護課 岩澤(2599)柴田(2599) 電話:03−5253−1111                  直通:03−3595−2206 第7回 看護基礎教育の充実に関する検討会 日時 平成19年2月5日 (月) 17:00-19:00 場所 厚生労働省専用第18,19,20会議室(17階) ○事務局(柴田) ただいまから、第7回「看護基礎教育の充実に関する検討会」 を開催いたします。委員の皆様におかれましては、ご多忙にもかかわらず、当検討 会にご出席いただきましてありがとうございます。本日は、草間委員と南委員から 欠席の連絡を受けております。以後の議事進行は遠藤座長にお願いいたします。 ○遠藤座長 遅い時間からの開催で大変申し訳ございませんでした。前回第6回検 討会は、昨年の9月6日に開催いたしました。その後、本検討会の委任を受け、11 月から12月の年末まで、保健師、助産師、看護師の各ワーキンググループで精力的 にご議論いただき、カリキュラムの改正案を作成していただきました。本日は、そ れぞれのワーキンググループでリーダーを務められた委員からご報告をお願いいた します。  本検討会自体は、年度内の取りまとめを目標としております。3月末まで短期間 ですけれども、看護基礎教育のさらなる充実を目指し、カリキュラム等の改正につ いて建設的な議論がなされるようご協力をお願いいたします。最初に、事務局より 資料の確認をお願いいたします。 ○看護課長補佐(岩澤) お手元の資料の確認をお願いいたします。上から、議事 次第、座席表、資料です。資料1は「ワーキンググループの開催について」3頁です。 資料2、資料3、資料4はクリップで止めておりますけれども、指定規則等ワーキ ンググループでまとめていただいたものになります。参考資料として、「これまでの 議論の中間的な取りまとめ」を置いております。 ○遠藤座長 早速、「これまでの議論の中間的な取りまとめ」とワーキンググループ の開催状況について報告をいただきます。その後、看護師教育、保健師教育、助産 師教育について、本検討会からワーキンググループに委任しておりました事項の検 討結果をご報告いただきます。その後、それぞれについてご議論を賜りたいと思い ます。  最初の、参考資料1「これまでの議論の中間的な取りまとめ」というのは、前回第 6回検討会において、「これまでの議論の中間的な取りまとめ(案)」というかたちで、 座長預かりとさせていただいたものです。その後、委員の皆様方のご意見を頂戴し、 本日「これまでの議論の中間的な取りまとめ」として公表できる運びとなりました。  それでは、事務局からワーキンググループのこれまでの経過について報告をお願 いいたします。 ○看護職員確保対策官(小野) まず、参考資料1です。昨年3月より6回にわた って熱心にご議論いただき、その結果を取りまとめたのが「これまでの議論の中間的 な取りまとめ」です。9月4日の第6回会議で、遠藤座長預かりというかたちにさせ ていただき、その後、各先生方と調整させていただき、最終的にこのようなかたち で取りまとめたものです。  1頁は「I はじめに」で、今回の検討に至る経緯をまとめました。2頁から11頁 までが「IIこれまでの議論の概要」ということで、看護基礎教育の現状と課題及び看 護基礎教育の課題への対応についてまとめております。2頁から6頁までが看護師 の教育、6頁と7頁が保健師の教育、8頁から9頁の冒頭までが助産師の教育とな っております。9頁の真ん中には、それぞれ3つにかかる全般についてということ で、課題を整理しております。9頁から11頁には、具体的な対応として考えられる 点について、看護師、保健師、助産師ということで整理しております。  11頁からの「III 指定規則等の改正に向けて充実するべき教育内容の具体的な検討 について」において、まず11頁の1について、「ワーキンググループの開催につい て」記述し、12頁の真ん中辺りに、それぞれの「ワーキンググループへの委任事項」 として、看護師、保健師、助産師教育それぞれについて書いてあります。  看護師であれば12頁と13頁です。11頁、12頁で、「重要さが増していると考え られる教育内容について」、13頁で「看護技術の確実な習得について」、3点目は「臨 地実習の充実について」。それぞれ、この中間まとめの前半部分から導かれるかたち で、ワーキンググループでの具体的な検討の論点を整理しております。これをご覧 いただき、先生方にそれぞれワーキンググループでご議論いただいた内容を本日各 先生からご報告いただくことになっております。  15頁において、「指定規則等の改正にあわせて検討するべき事項」について、「実習 環境の整備・指導方法について」、また、「教員の資質向上について」の2点をまとめ ております。この点については、次回第8回の会議でご検討いただければと思いま す。  次は資料1「看護基礎教育の充実に関する検討会ワーキンググループの開催につ いて」です。ただいまご説明申し上げました中間的な取りまとめを受けて、ワーキン ググループを設置し、11月から12月にそれぞれご議論いただいたところです。資料 1の2頁のような日程で、看護師については4回、保健師、助産師についてはそれ ぞれ3回、年末ぎりぎりまで大変熱心なご議論をいただいたところです。  3頁は、保健師、助産師、看護師のワーキンググループのメンバー表です。保健 師については東京大学の村嶋先生、助産師については聖路加看護大学の堀内先生、 看護師については神奈川県立保健福祉大学の小山先生、それぞれにリーダーをお願 いし、それぞれのグループごとに大学、養成所、あるいは現場の方々それぞれの立 場からご発言いただける先生方に入っていただいてご議論いただきました。  1頁に戻って真ん中ですが、「ワーキンググループへの委任事項」です。「検討会で の中間的な取りまとめを受け、現行の教育内容の整理を行いつつ、各教育課程につ いて重要性が増していると考えられる教育内容(教育科目)と、求めるレベルの検討 を行う」「各教育課程について、基礎教育における看護技術(助産技術)の到達目標の 検討を行う」「各教育課程について、実習の方法等の検討を行う」「現行制度下で行う べきカリキュラムの改正(案)についてまとめる」「現行の教育年限で教育できる範囲 の単位数(および時間数)におさまらないものを整理する」  それで、先ほどご紹介いたしました、メンバーと日程でこれらの点についてご議 論いただき、本日それぞれのリーダーの先生からご報告をいただきます。ご報告を いただいた後、本日お集まりの先生方に、ワーキンググループの議論や雰囲気、中 身についてのご確認をいただきながら、その内容についてご議論いただければと思 います。  以上簡単ですが、この間の経緯についてご報告いたしました。 ○遠藤座長 ただいまの、事務局からの報告についてご質問はございますか。 (特に発言なし) ○遠藤座長 それでは、本日の中心課題である、ワーキンググループからの報告に 移ります。報告は、各教育のグループリーダーにお願いしております。報告の順番 は、看護師教育、保健師教育、助産師教育でお願いいたします。各教育の報告の後 に質疑応答を行います。ボリュームが多少違いますので、看護師教育は全部を通し て50分ぐらい、保健師教育と助産師教育はそれぞれ25分程度を目処に考えており ます。ご協力のほどよろしくお願いいたします。それでは、最初に看護師教育につ いて小山委員からご報告をお願いいたします。 ○小山委員 資料2−1です。私を含めて16名で、4回の会議を行いましたが、4 回ではとても時間が足りませんでしたので、皆様に宿題をお持ち帰りいただきまし たり、メールでのやり取りを通して、最終的な案が本日出ているとご理解ください。 全てのグループメンバーの皆様方が、大変前向きにご尽力くださいましたことを、 まずご報告させていただきます。  資料2−1の上は現行のカリキュラムです。下に、改正案1、改正案2とありま す。改正案1と改正案2はどこが違うかと申しますと、改正案2の専門分野が1つ になっているのに対し、改正案1では専門分野を専門分野Iと専門分野IIの2つに 分けてあるところで、従来のカリキュラムと比較して最も変わったところは、統合 分野を加えたところです。統合分野の、統合科目については仮称とつけてあります が、最終的にこの統合科目は、基礎分野のような、「科学的思考の基盤」というよう に、抽象的な表現で各学校で科目名は作っていいのではないかということで、今の ところは「統合科目(仮称)」としてあります。それが4単位と、統合科目についての 実習3単位、計7単位が増えて、合計100単位になりました。  現行のカリキュラムでは、それぞれ専門分野が終わった段階で卒業することにな っていますが、改正案では卒業前にそれぞれの専門分野である学習を、技術も含め て統合するカリキュラムになっています。申し遅れましたが、ここの検討会での懸 案事項を全て委員が見て、それをどのように今日のカリキュラムに実現化できるか、 特に実践能力というあたりで苦労したのがこの結果です。  改正案1を中心に説明させていただきます。資料2−1で、専門分野がIとIIと 分かれているところです。専門分野Iは、専門分野IIのどの科目及び「在宅看護」に も共通する内容をしっかりと学習するということを、メッセージ性を持たせるため に枠を作ってあります。ここでは、専門科目の基盤となるような内容を、成人の事 例を通して看護過程から技術までを一通り学習することを目的としています。そし て、専門分野IIで各論を各々学習します。統合分野では、ただ専門分野だけでなく、 基礎、専門基礎分野も含め、卒業前に全てを統合して、看護実践の場に近い状況で 実践を通して学習する、それを統合分野と位置づけました。従来の「在宅看護論」は 専門分野に入っていましたが、統合分野に位置づけております。  基礎看護学と各論のところに線を引くかどうかについては、ワーキンググループ の中でも意見が割れました。司会の私を除いて決を取りましたところ、改正案1が 8名、改正案2が7名でした。それぐらい割れておりますが、改正案1のほうはレ ベル目標を明確にできることとメッセージ性があるということで若干多かったと思 います。このどちらにするかはここでご審議いただければ幸いです。  内容に移ります。資料2−2は、教育目標に当たるものです。「看護師教育の基本 的考え方」ということで、指定規則の中に出されているものです。時間の都合上、 改正案の文章を全部は読み上げず、変わったところだけを述べさせていただきます。 変わったところは、赤字で書いてあります。  1番は変わりません。2番はもう少し生活を強調するということで、「人々の健 康と生活を」ということで、「生活」という言葉が入りました。3番については、 ただ看護を実践できる基礎的知識を養うだけではなく、この変動している保健医療 福祉の中にあって、「最新知識・技術を自ら学び続ける基礎的な能力を養う」とい う言葉を入れました。4番は、「健康上の問題」となっておりましたが、必ずしも 問題だけではないということで「健康の課題に対応するため」と文言を変えており ます。5番については、「ターミナルケア」というのを「終末期」と変え、「健康 の状態に応じた」となっておりましたものを「健康や障害の状態に応じた」という ように「障害」という言葉を入れております。6番については、「保健・医療・福 祉制度を統合的に理解し、それらを調整する能力を養う」となっていましたが、卒 業時点でこれらを調整する能力はとても無理だということで、右側の「保健・医療・ 福祉制度と他職種の役割を理解し、チーム医療を実践するとともに、人々が社会的 資源を活用できるよう、それらを調整するための基礎的能力を養う」という表現に 変えました。  それでは、具体的に先ほどの別表3がどのように変わったかをお話します。一見 何も変わっていないように思えますが、内容としてこの検討会でいろいろ言われた ことを、留意点に書くことによって、教育内容を充実させるというふうにしており ます。改正案を中心に述べさせていただきます。  基礎分野については、「科学的思考の基盤」「人間と人間生活の理解」となって おりましたが、もう少し社会的な視野も広めるべきであるということで、「人間と 生活、社会の理解」というように、「社会」を入れております。それから、何回も ここで問題になりましたコミュニケーション能力というのは、専門分野でも当然入 りますけれども、基礎分野から入れていくということで入れております。それから、 「情報化へ対応し得る能力を養えるような内容を含むことが望ましい」と10年前は なっておりましたが、時代の状況上、「含むものとする」となっております。  専門基礎分野ですが、専門分野となかなかつながった教育になっていないという 課題がありました。できるだけ専門分野の内容につなげて教えていただけるように、 「臨床生化学」「臨床栄養学」、それから、微生物学ではなくて微生物と感染症をつな げて話していただくようにということで、そのような言葉を入れて変更しておりま す。それから、ただ疾病だけではなく、障害についての理解も深めるということで、 「障害」という言葉も入れております。ここが、専門科目にとっては非常に重要な 基礎となります。ただ講義だけで行うのではなく、できるだけ「演習を強化した内容 とする」とわざわざ書いてあります。即ち、1単位の時間数の計算を、できるだけ演 習単位でということがメッセージとしてあります。それから、「人々が生涯を通じ て、健康や障害の状態に応じて社会資源を活用できるように必要な知識と基礎的な 能力を養う内容とし、保健医療福祉に関する基本概念、関係制度、関係する職種の 役割の理解等を含むものとする」としました。以前は、「公衆衛生学」「社会福祉学」 というような科目名が入っておりましたが、ワーキンググループの結論ではこれら の表現で必ずカバーできるとなりました。  専門分野に移ります。専門分野Iというのは、各看護学及び「在宅看護論」の基盤 となる基礎的理論や、基礎的技術を学ぶため「看護学総論」「援助技術論」「臨床看護総 論」は、成人、老年、小児それぞれ全ての領域につながる「臨床看護総論」ということ ですが、それを含む内容とし、演習を強化した内容とすると書いてあります。「学び 方を学ぶ」という表現が、先ほどの目標にありましたが、できるだけ演習科目でと いうメッセージを入れております。それから、コミュニケーション、フィジカルア セスメントはここでも強化する。「成人・高齢者の事例を通して、看護技術を統合 し、看護の展開方法を学ぶ内容とする」と書いてありますが、ここで全領域に関連 する基礎をしっかりと学ぶということが、ワーキンググループの中では相当強調さ れておりました。また、倫理的な判断を養うための基礎的能力も養うための内容も 入っております。単位数が増えないで、これらのことを追加してもいいのだろうか と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、左のほうに書いてありますように、 旧基礎看護学に入っていたチーム医療とマネジメント、いわゆる管理的な能力や、 国際的な視野についての能力は、全部「統合分野」に移しておりますので、内容的に はその分が抜けていると理解していただければと思います。  専門分野IIについては、「臨床実践能力の向上を図るため、演習を強化した内容 とする」ということを明記しております。予防と回復が今まで以上に入ったという ことです。老年看護学について特に赤字で書いてあるところは、これだけを勉強す るということではありませんが、成人看護学と老年看護学と特に比べて違うところ は、という意味でご理解いただければと思います。  次の頁は実習です。実習単位の専門のところは変わっておりません。一見少なく なったように見えますが、専門科目のところの実習単位は変わっておりません。し かしながら、それぞれの各論の実習であっても、「チームの一員の役割を学ぶ内容と する」「保健医療福祉との連携、協働を通して看護を実践できる能力を養う内容とす る」「多様な実践の場、病院、施設等で実習する」ということで、必ずしも病院だけ ではなく、多様な場を利用するということになっております。小児看護学や母性看 護学について、フィールドの確保の問題で、実習単位数を減らすかどうかというこ とが相当議論になりました。しかしながら、最終的には減らさないで、フィールド の確保は多様な場で実習することになりました。  統合分野に移ります。統合分野は、「在宅看護論」と「統合科目」というかたちで書 いてあります。在宅看護論では、「在宅で提供する看護を理解し、基礎的な技術を 身に付け、他職種と協働する中での看護の役割を理解する内容とする」ということ です。これには、「在宅の終末期看護の内容も含むものとする」としております。 「在宅看護論」の実習は先ほど言いましたように、ただ訪問看護だけではなく、 「様々な場で実習を行うことが望ましい」という表現で2単位です。新しく増えた 部分ですが、これは内容的には今まで「基礎看護学」に入っていたものもありますが、 ここの 検討会でいろいろと今日の課題として議論されたことを、「ここで統合しながら学 ぶ」というふうに意図的に作ってあります。そして4単位ではありますが、1単位ず つ4科目作ってもよし、2単位ずつ2科目でもよしということで、それは「各学校に 任せる。しかし、内容としてこれらの内容を含むもの」ということで、留意点のとこ ろに書いてあります。「チーム医療及び他職種との協働の中で、看護師としてのメ ンバーシップ及びリーダーシップを理解する内容とする」「看護をマネジメントで きる基礎的能力を養う内容とする」ということ。これはどういうことかといいますと、    実習ですが、今までは各論で1人の患者の受持ちというのが非常に多かったです。 しかしながら、マネジメントできる能力というのは、複数の患者を持つことによっ て、その優先順位を決めたり、マネジメントできる基礎的能力を養う内容とできる のではないか、ということで実習に、「複数患者の受持ち」ということも書いてあり ます。「医療安全」「災害看護」等の内容も含め、それから「国際的な視野」という ことも入っております。  看護技術の到達度についてはいろいろ課題がありました。統合科目の中で、技術 も統合させる。技術も、卒業時点の到達目標に達しているかどうかを評価しながら、 達していない場合は、技術をある程度の水準に満たして卒業させる、というような 意図が入っております。  臨地実習は、「在宅看護論」2単位に加え、「統合科目」3単位にしてあります。 この内容を踏まえて、「複数患者の受持ち」「夜間を含めた勤務帯を通した実習を行 う」等を入れております。ここの7単位が増えて、合計で100単位になっておりま す。  資料2−3−(2)の「基礎看護学」で内容は全く同じですが、「基礎看護学」と「成 人看護学」のところに線が入っていない場合を使う場合はこちらになります、という 意味で出しております。  なお、卒業時点の看護技術の到達度について、資料2−4をご覧ください。これ を、ワーキンググループメンバーには最初から渡して見てきていただき、最終回に 今日の新人看護師を見ていて、ほぼ妥当ではないかということで、これを卒業時の 到達度として使うことが了承されました。  資料2−1を見ながら聞いていただければと思います。ここに出したカリキュラ ム案は、今のところ理論上のカリキュラムです。これを実施するに当たっては、以 下のような教育環境の整備が必要です。ワーキンググループからは次のような環境 整備へのお願いも含めてカリキュラム案を出させていただくことになりました。  第1に、看護専任教員の質と数を充実させること。養成所の委員からは、「今日の カリキュラムであっても、科目と実習を両立させながらの教育は大変厳しい」「これ 以上単位数が増えると、教員を増やさない限り難しい」という意見がありました。 多くの養成所では、1科目につき1名の教員が配置され、実習と科目を両立させてい ます。つまり、1人の教員が、講義は2年生に行い、実習は3年生にという大変厳し い教育環境にある養成所も少なくありません。看護教育の質を上げるには、教員の 数をもう少し増やす必要があるかと思われます。  第2に、実習中の学生指導を専任とする実習指導者の配置です。病院管理者の委 員からは、「実習指導者を学生指導に浮かせることはできない現場がある」との意見 がありました。臨地実習を安全に実施するために、また看護師になりたいという動 機づけとなるような実習をするために、実習指導者の数の充実と臨床指導力の充実 を図る必要があります。  第3に、今度の統合分野で追加した部分には、複数患者の受持ち、あるいは夜勤 帯の実習も含まれるとしますと、相当実習受け入れ側の理解協力が必要かと思われ ます。患者のインフォームド・コンセントが必要な時代にあって、この実習を可能 にするには、看護基礎教育機関だけではなく、全国の実習の受け入れ施設にもこの カリキュラムを理解していただき、協力を得られるための努力が必要です。  第4に、技術の到達度を明示することは、全ての看護基礎教育機関において、学 内で技術を習得するための教材・教具を充実させることにつながります。看護技術 をある一定の目標に到達させるには、実習で体験できない技術については学内で体 験させることが必要になってきます。そのための教材や教具を充実させることが必 要です。また、「卒後の研修制度についても早急に検討を開始していただきたい」と いう意見もありました。  カリキュラムは、現場でどのように運用されるかを考慮し、現場の教員や学生の 実習、受け入れ先の環境整備も整えない限り、絵に描いた餅となってしまいます。 今日の看護教育を改善するために、学習環境の整備を含めてのカリキュラム改正に なりますようにと、ワーキンググループメンバー一同願っております。以上ですが、 足りない部分がありましたら、委員のメンバーの皆様に追加していただければ幸い です。 ○遠藤座長 非常に多様な視点からのご検討をありがとうございました。いまご報 告をいただきました、ワーキンググループの案についてご審議いただきます。ご質 問、ご意見がありましたらお願いいたします。 ○武委員 専門基礎分野のいちばん上のところが変わっています。前のにはみんな 「学」がついていました。「解剖生理学」「生化学」「栄養学」「病理学」「生物学」となっ ていました。今度のは、「微生物と感染症」となっていますが、「微生物学」の中で感 染を引き起こす微生物だけ教えていたわけだから、何も「微生物と感染症」という別 な表現にする意味がどうしてあるのか。ついでにもう1つ前の「疾病論」というの が新しく入っていますけれども、これは英語では何という言葉なのですか。 ○遠藤座長 ご質問ですので、お答えのできる範囲でお願いいたします。 ○小山委員 「学」がついているものを、このようにしたという最も大きな意図は、 学生が授業で習っても、それを看護の実践の場で応用するようになかなかつなぐこ とができないということがあります。「微生物学」としていろいろな細菌の名前を教 えていただいても、それを実際に活用できない現状がありました。ですから、こち らからお願いするときの表現として、「微生物と感染症」をというような内容でお願 いしますという意味で書いてあります。それを、「学」として教えなければならない のかどうかということについては、ワーキンググループでは検討しておりませんの で、ここでご議論いただければ幸いです。  「疾病論」について、英語名まではワーキンググループでは検討しませんでした。 私がいまパッと頭に浮かぶのは、‘illness and diseases’だろうかと。でも、これ はワーキンググループでの意見ではありません。 ○武委員 それは、この中に出てくる言葉の中で、ちょっと飛び離れた言葉ですね。 基本的には、日本の我々のこの内容は、英文化もされてよその国から資料を請われ たら、英語に訳して出していくべきものですから、英語で訳したときにおかしくな いようなものにしておかなければならないと私は思います。だから、「微生物と感染 症」という1つの区分けを、どういう表現で、ここだけこういうふうに持ってきたの か。あるいは、「疾病論」だったら全部絡むのではないかと思うのです。変える場合 は、表現の統一が必要になります。前に作るときも、十分いろいろ検討してできて いるわけです。それを変えるときには、文体も、英語で書いたときにはこういうふ うな書き方になるというのも検討して変えるべきではないかと思います。 ○遠藤座長 新しい案の中では、それなりの思いを入れて名称をつけているわけで すけれども、過去からの流れ、あるいは全体のバランスからいって、検討の余地が あるのではないかというお話でした。いまの点、あるいはそれに類する点で何かあ りますか。 ○村嶋委員 いまのに関連して、「健康支援と社会保障制度」のところも留意点とし て、昔は公衆衛生「学」、社会福祉「学」と明確に位置づけられていたのですが、今回 はそれがありません。要するに、「学」というものの体系の上に、体系を専門基礎分 野できっちり教える、というような発想をなくしたということでしょうか。もし、 ここで公衆衛生「学」がなくなるのでしたら、看護師の上にプラスして考えられる保 健師のところで、やはり公衆衛生「学」なるものを、本当はきちんと立てなければい けないと思いながら聞いていました。 ○遠藤座長 類似のことだと思うのですけれども、これについて明確な意志がワー キンググループの中にあったのか、必ずしもそうではないのかというニュアンスを 知りたいので、関連してお話いただけますか。 ○小山委員 最も大事なことは、「学」として教えてもらった今までの成果はどう だったかということです。看護基礎教育の課題として、ここの部分は、活きた知識 にはなかなかなっていないことは大変大きな課題でした。そうしますと、できるだ け活きた知識にするために、これは全国津々浦々の学校で実施するわけですので、 内容として表現したほうがいいのではないかということもあります。  また、「公衆衛生学」「社会福祉学」の「学」が消えることに対しての議論もありま した。しかしながら、ここのところはだいぶ定着してきていますので、「関係する 基本概念、制度」とすることの中に含まれるので良い、という議論がされておりま す。 ○遠藤座長 そのような考え方で、あえてこのように修正したということでありま す。それに対して2人から疑問が投げかけられているということです。こういう文 言は重要なものですのでどうするかということです。これに関連して、いまご意見 がございますか。 ○山内委員 ワーキンググループのメンバーなのですが、私もちょっとはっきりし ないので教えていただきたいのです。資料2―3―(2)というところが留意点であっ て、それのエッセンスを抜いたところが、指定規則の資料2−1の備考欄に入って いると思うのです。例えば、「統合科目」というのは新しい科目ですので、どういう ことをさせるのかわからない、ということでこのように内容を挙げてあるわけです。 これが、中間まとめの強化する科目というのが全部反映されているかというと、そ ういうのもあれば、ないのもあったりして、このあたりの統一性がちょっとわから ないままワーキンググループが終わってしまいました。  例えば、コミュニケーション、臨床薬理、看護倫理、フィジカルアセスメントと いうあたりはワーキンググループにおろす段階で、強化すべきという科目で挙がっ ています。指定規則のほうに反映されていないのですけれども、この差はどうだっ たのか私もよく覚えていないのです。たぶん、その文言と関係するかと思いますの で確認したいと思います。 ○小山委員 私もそう思いました。事務局から、資料2−1に出ている部分は、特 に今回変わったところを強調するためのものであると説明を受けました。備考欄に、 最終的に基礎分野のところに何を書くかということについては、ワーキンググルー プのほうでは何もやっていません。私も、今回はどうして専門分野と統合分野にこ れがあるのだろうと疑問でしたが、ここは特に強調するために、ある意味では本日 のための資料と理解していいのでしょうか、事務局からご説明いただければありが たいと思います。 ○看護課長補佐 資料2−1にあります、指定規則は厚生労働省と文部科学省の共 同所管の省令です。大学、短期大学、養成所のいずれでも満たしていただかなけれ ばならない基準です。  一方、資料2−2、資料2−3というのは、医政局長から出る通知です。厚生労 働大臣指定の養成所の指定基準の通知ということになります。今回、指定規則の備 考欄に基礎看護学、統合科目の下に備考欄として書いてありますのは、大学、短期 大学、養成所のいずれであってもこの内容を必ず含んでくださいというメッセージ になります。指導要領にしか書いていないことについては、特に大学、短期大学等 では参考にしていただければということになります。 ○遠藤座長 小山委員、山内委員よろしいですか。 ○山内委員 そうしますと、中間まとめの中で反映しなければいけない科目という ことで、ワーキンググループに下りた科目が12頁の「重要さが増していると考えら れる教育内容」というところで、12頁の下から13頁の半ばまでありますが、この中 が2段階に分かれたということなのでしょうか。これは、大切な科目なので、きち んとメッセージとして送るべきということで、ワーキンググループのほうにおりた かと思うのです。いまの説明では、資料2−3の留意点を見ない限り、この科目に 関しては十分注意されなくても何らそれに対して私たちがここで必要だと言ってい たメッセージが、一部欠けてしまうおそれが多少あると思うのですが、それに対し てはいかがでしょうか。 ○遠藤座長 これは、ワーキンググループの作成過程の話を事務局にお尋ねしてい ると考えてよろしいのですか。 ○山内委員 ワーキンググループの作成過程では、資料2−3のほうはやりました けれども、それをまとめた指定規則のほうに関して、これをワーキンググループの 中でここまでを整理したのではなくて、最後にいかがですかという確認のところで きました。それに対して、ここに関してはワーキンググループでは話しきっていな かったように思います。 ○遠藤座長 わかりました。その辺のところを事務局からお話いただけますか。 ○看護課長 資料2−1を見ますと、現行の看護の別表三ですが、現行のものは備 考という欄がありません。今回は専門分野の枠を変えるということもありましたの で、あえてこの備考欄を設け、変わったところについて内容を新たに書いたという 整理をしております。  それは、今まで別表三の中にはなかった、備考については詳細な科目を書くとい う整理ではありません。大綱化の流れの中で、大枠の教育内容を書く。そして、詳 細5科目についてはそれぞれの大学で工夫をしていただくという大きな流れがあっ て、こういうことになっております。  今回細かくしたというのは、枠組みが変わったというところのみついて、備考欄 を設けて書いたということです。そもそも、この指定規則の中には、科目のような 中身について盛り込むという性格ではありません。 ○遠藤座長 山内委員、あるいは小山委員はよろしいでしょうか。 ○山内委員 まだちょっとわからないのですが、資2−3を見ますと、「成人看護 学」のところに留意点があったものが、「成人看護学」の留意点が非常にシンプルに なっています。そうなりますと、成人看護学の位置づけが見えなくなりつつあります。 例えば、「臨床看護学総論」の中が、今まではどのように運用されていたか、「成人看 護学」のイントロとして活用されていいか、あるいは基礎看護のほうのまとめとして 使われているというのは、そのそれぞれのケース・バイ・ケースだったのです。備 考で科目をはっきりさせてしまうと、これは基礎という科目で教えなさいと。やは り、私たちが見るものは規則ですので、ある意味そちらに縛りつけてしまいかねな いかと思うのです。  もし、このように具体的にどんなことをしたほうがいいかというのでしたら、例 えば「臨床薬理」も、先ほど「学」なのかどうなのかということもありましたが、専門 基礎という中にもこんなものがあって、専門基礎ということですというメッセージ がないと、今まであって、変わったところだけならいいですが、いまの説明ですと、 今までは備考がなかったわけです。備考というのを新たに設けて、どういうことを やったらいいのかというガイドラインを出すのならば、やはり私たちがこのカリキ ュラムの中でこういうことをしてほしい、というのはちゃんとあるのだったらあっ ていいような気がするのです。私は、そこのところの一貫性がわからないので何度 も聞いております。 ○小山委員 資料2−3−(1)について私が説明させていただきましたが、いまの山 内委員の質問に対してですが、事務局がこれを整理する中で、基礎分野については そのまま写してあります。「成人看護学」のところも、この2行のこれでは決してな く、変わらなかったところは特に写していないのだなという理解の中でおります。 この表を作るのもぎりぎりの時間のなかで頑張ってくださっていて、変わったとこ ろを中心に、特に専門分野のところから下は書いてあるというふうに理解しており ます。それでよろしいでしょうか。 ○遠藤座長 事務局の考え方としてよろしいかということですけれども、よろしい ですか。 ○看護課長 はい。 ○遠藤座長 山内委員、ただいまの小山委員の話を聞いて一応納得していただけま したか。 ○菊池委員 今のことと関連すると思うのですが、検討会でフィジカルアセスメン トとか、コミュニケーションとかいろいろ大事なことを入れたいということで、ワ ーキンググループにも投げてあると思うのです。そのことが、養成所だけではなく て、大学の教育関係者にもきちんとわかるようなかたちで表現されたほうがいいと 思います。改正案では、備考というものを付けて、指定規則の中に示すということ で考えているということで理解してよろしいでしょうか。  それに関連して、資料2−2と2−3は養成所ということですけれども、到達目 標についても養成所だけということになるのでしょうか。そもそもこの検討会が立 ち上がるときの議論として、卒業時点の能力と、臨床現場で求める能力とのギャッ プということが問題として挙がっていたかと思うのです。そういうことの背景には 教育期間の問題、それから学校間格差の問題などがあると思うのです。看護師とい う免許を持つための教育については、ある程度共通の部分というものを、大綱化の 流れがあると先ほど説明がありましたけれども、医学教育のように、モデルコアカ リキュラムのように、ここだけはちゃんと学んでおく、習得しておくというような 考え方を看護の教育の中、基礎教育の中でも考えたほうがいいのではないかと思っ ています。今回のワーキンググループに、それは委任事項には入っていなかったと いうことで、もう少し大きな話になるかと思いますが、これは意見です。 ○遠藤座長 このことに関連した意見はありますか。 ○太田委員 私も、ワーキンググループのメンバーとして参加させていただきまし た。カリキュラムというのは、目指すべき卒業生像があって、そこに行くまでの全 体像の中で、部分が成立していく部分で、枠組みだけの変更というわけではない。 その枠組みが、全体の中でどう位置づいているか、それによって、他の枠組みもど う影響されていくのかというあたりがきちんと伝わっていかなければいけないもの だと思うのです。したがって、資料2−3で養成所レベルという話があったのです が、この辺で込められているメッセージはどういうかたちで伝わっていくのかとい うのは危惧されます。 ○遠藤座長 そういうご指摘でありますけれども、新しく備考欄を作ったというこ とで、そこに書かれたことがどういうふうなメッセージになるかということですが、 これは事務局としてのお考えはありますか。 ○看護職員確保対策官 法令上の形式的に指定規則といいますのは、厚生労働省、 文部科学省両省の所管です。一方、指導要領以下の部分については、厚生労働省の 養成所に対してだけです。一応法令的には該当するわけですが、実際に大学のほう でカリキュラムが検討される際には、この指導要領が大いに参考にされると伺って おります。拘束されるのかどうかと言われますと、法的には拘束されるということ ではないのですが、実際にはここで出てきております考え方といったものは、カリ キュラムを作成する際に、大学においても活用されているのではないかと我々は認 識しております。 ○武委員 私の質問に対して答えが全然出ていないです。私が何を言おうとしてい るかというと、赤字になっているところは、「臨床生化学」「臨床栄養学」「臨床薬理学」 といって、前にあったのに「臨床」をつけたのがいくつもあるわけです。こんなこと は、前のカリキュラムのときにも、教えるほうはちゃんと考えて教えているわけで す。つまり、医学部にも薬理学がありますよ、病理学がありますよ、しかし看護学 生にはその中で臨床で役立つものを教えていたわけです。だから、前のと同じなの に、改めて「臨床」をいくつかのにつけるということは、おそらく臨床に役立つよう にもっと教えてくださいということだろうと思います。各言葉の頭に、いちいちつ けていかなくても、後ろのほうに、「それぞれ臨床に役立つように教育をする」とか したらどうでしょう。もう1つ言わせていただきますと、「微生物と感染症」と分け て書いてありますけれども、感染症というのはみんな微生物によって起こります。 だから、「微生物と感染症」となぜ分けて対立させた言葉をそこに置くのか。 ○遠藤座長 実は、個別の文言については、おそらくほかの議論もあると思いまし たので、いずれまたご意見を聞こうと思っていました。ただここでそのようなご意 見がでましたので、議論したいと思います。個別文言については2つあります。1 つは、そもそも生化学、栄養学と従来使われていて、むしろ一般的な使われ方はそ うであろうと。その頭に「臨床」という気持ちはわかるけれども、あまり使われてい ない言葉をつけているというのは不自然ではないかということが1つです。  もう1つは、「微生物と感染症」という言葉が適当かどうかということです。これ について、なぜそうしたかというお気持ちは発言していただいたわけです。これに 関してどう考えるか、ということをここで議論しなければいけないと思います。 ○西澤委員 私もワーキンググループの一員ですが、これは座長が言われたように 思い入れなのです。私も、学問的にちょっとおかしいと思ったのですが、現場では そう教えているよという話でした。実はワーキンググループの中では、実際にはほ かに講師を頼んだときに、基礎的なことしか教えてくれなくて、臨床と結びついて いないということで、そういうことをやっていただきたいという思いで入れました。 あえておかしいけれども、留意点という中にあるのだから、あまり学問的なことに こだわらなくてもいいのではないかということです。変えていただいてもいいと思 いますが、ただ、その思い入れとして、各学校全部専任で教師がいるわけではなく て、ほかに頼んで来ていただいている。その方々に理解していただいて、先生がお っしゃったような教育ができるような内容にしていただければありがたいと思いま す。 ○遠藤座長 要するに、文言にはこだわらないけれども、趣旨は反映してほしいと いうことですね。 ○西澤委員 そういうことです。 ○遠藤座長 武委員は、そういう意味では代替案は出されたわけです。頭から臨床 を取り除くけれども、文章の中で臨床的な視点でやるということを、何か上手い文 章で入れるべきだと。こういう方法もあり得るということですが、そのような解決 で議論を進めていってもよろしいでしょうか。  それと、「微生物と感染症」ですが、これも不自然でしょうか。 ○西澤委員 確かに不自然なのですけれども、思い入れなのです。実際に微生物学 だけ教えて、全然看護師の臨床に結びつかないような教育しかしていないところが あるということで、こうなりました。 ○浅田委員 何とか学というふうにする必要はないと思います。つまり、「微生物と 感染症」はいいと思うのです。それはどういうことかというと、「人体の構造と機能」 とか、「疾病の成り立ちと回復の促進」ということを教えたいわけです。そのときに、 どういうテーマを具体的に扱ってほしいかという思いなのでしょう。そのときに、 例えば「微生物と感染症」であるかもしれないし、別に生化学と言わなくて、別の言 葉でもいいわけです。例えば、人間の栄養と何とかでもいいわけです。  そういった具体的に扱ってほしい、つまり臨床の中で役立つような内容をきちん と出していただければいいのに、それをごっちゃにするから混乱しているだけであ って、そこのところをきちんと、どういう内容で構成するのか、ということを出し ていただければいいと思います。だから、「微生物と感染症」でも構いませんし、ほ かのものをきちんと出していただきたい。つまり、前の教育内容を現している言葉 に関してアプローチするときに、いまはこれが欲しい、ということを出してほしい ということです。何とか学という必要はない。それだったら、最初から何とか学を やればいいわけです、ならべればいいわけでしょう。  もっと言うと、例えば「臨床生化学」という学問があるかどうか私は知らないので すが、多分ないのではないかと思うのです。つまり、そういうない学問の名前を出 さないほうがいい。私は聞いたことがないのですけれども、ありますか。少なくと も、「臨床生化学」は聞いたことがありません。だから、そのようにない学問、つま り、きちんとした学問体系があるものを教えたいのか、そうではないのだとすれば、 そういう領域の言葉を使ったらいいし、それが先ほどちょっと言われていた、卒業 時にどういう力をつけたいか、ということに関しての内容を現すだけであって、そ れが現されていなければやはり混乱しますよ。つまり、学校は生化学を教えて、そ れが臨床的だと言えばそれで済んでしまうわけです。むしろ、そこで扱うべき内容 を留意点にきちんと書くべきではないかと思います。  だから、ここの文言というか、むしろそこはもう一度ワーキンググループならワ ーキンググループできちんと提案をしていただくなりしたほうがいいと思います。 この文言に関して、ここで議論しても答えは出ないと思います。 ○遠藤座長 そもそも、報告書をまとめるデッドラインもありますし、そういう意 味で、ここで議論をするために本日はこれはお出ししているわけです。これをまた ワーキンググループに差し戻すということは基本的に考えておりません。この会議 でご判断してほしいわけです。いま先生がおっしゃっていることは、基本的に統一 が取れていない、ということをおっしゃっているわけです。何々学であるのである ならば、そういうかたちにすればいいということでしょうか。 ○浅田委員 私はそうではなくて、「微生物と感染症」といったほうの思いのものを きちんとならべたほうがいいと言っています。それをいま出せと言われたら困るの ではないですか、ということを言っているだけであります。 ○遠藤座長 わかりました。そういうご意見もあったということです。 ○武委員 厚生労働省には、医者が何十人もおります、こういう専門家が目を通せ ばよい。だから、ここで結論を出さなくても、大体こういうことを言いたいと委員 が意見を言って、そこで最終的に厚労省に責任を取ってもらって、そこから出れば 任せます。こういう学問は、40年、50年続いた学問で、医者あるいは看護師でない とわかりません。だから、こういうところで最終的に詰まることはないと思います。 外国に出しても恥ずかしくないようなかたちで文言を整えるのは、厚生労働省がき ちんときれいにすればいいと思います。 ○小山委員 いま伺っていて思ったのですが、専門基礎分野のところの教育内容が、 昔は科目名で出ていました。科目名であったのが、内容という表現になりました。 それに対して、特に専門基礎分野のところについては、ずっと前のカリキュラムか らの引き続きで「学」という表現が残ってきているのです。ですから、これを機に 看護の専門基礎としての内容を書くことにより、講師への依頼の仕方もきちんとで きると思います。医学ではなく、看護の基礎となるような専門基礎としての内容の 表現にするということでいかがでしょうか。  少し弁解させていただきますと、4回のワーキンギグで枠組みから何から、3年 間のカリキュラムを考えるのにいろいろな意見がある中で、大変時間が少なかった です。そういう中で、ここのところの「学」の表現については、十分な吟味をする 時間はありませんでした。そういうことで専門基礎分野のところだけ「学」という 表現が残っていますが、ほかの留意点のところは全部内容になっていますので、そ のような表現にするということでいかがでしょうか。 ○遠藤座長 最終的にどういうふうにするということですか。 ○小山委員 私の案としては、ワーキングのものは十分な吟味がされていませんの で、ここの表現を上と同じレベルに合わせて、内容として表現するということです。 その案でもう一度検討するということです。 ○遠藤座長 浅田委員が指摘された方向で検討したいということですね。 ○小山委員 そうですね。 ○遠藤座長 これはワーキングでおやりになるということですか。 ○小山委員 ワーキングはもう解散していますので、ここですれば。 ○遠藤座長 わかりました。そういうご提案です。つまり浅田委員と小山委員はそ ういうご提案ですが、武委員、いかがですか。それでよろしいですか。 ○武委員 要は、この検討会の名で恥をかきたくないと私は思っているわけです。 だからここで決めるからには徹底して、きちんときれいなものでやらないといけな いし、あとで厚労省のほうで、こういう整理はやりますよというのであればそれは お任せすれば、大体各国のを持ってくれば、みんな似たような言葉を使っています。 だからそういうものから外れて、このメンバーだけで決定してしまうのは危険です。 ○遠藤座長 ですから小山委員がおっしゃっていることは、内容的なものを書くと いうかたちになりますので、そういうかたちから言うと、学問的に整理したものか ら多少乖離するようなものになることは考えられるわけです。そういうかたちで検 討を進めてよろしいですかということをお聞きしているわけです。それはみっとも ないのだというご主張であれば。 ○武委員 いえいえ、そうではないです。検討時間が短いこの委員会の中で未熟な 文言になるのがみっともないと思うのです。最終的に3月には提言が出るわけです。 出るときには恥ずかしくないかたちのものとして出れば、それは過程はどうであろ うと結構です。 ○遠藤座長 わかりました。大分議論が煮詰まりましてよくわかりましたので、た だいまのような方向で修正したいと思います。事務局とワーキングメンバーの一部 の方とで、また再原案を作っていただくというかたちで、次回、最終的にこれは固 めたいと思います。それまでに修正案を出させていただきたいと思います。そのよ うなかたちでよろしいですか。 ○浅田委員 いまの資料2−1のところで、専門分野I、専門分野II、統合分野と いうふうに作られて全部で5分野になったのですが、聞き漏らしたかもしれません けれども、その関係というのはどういうふうに考えていますか。つまり基礎分野が あって、その上に専門基礎分野がきて、専門分野Iがきて、専門分野IIがきて、そ の上に統合分野という構造を考えておられるのですか。 ○小山委員 ワーキンググループの4回目のときに、この分野の名称、それから線 を引くかというところで大変な議論がありました。この専門分野という名称につい ても、実を言いますとメールでの会議の後、意見の多かったものということでここ に出しています。ご質問にあった関係については、基礎分野、専門基礎分野は、指 定規則の中では、専門分野の基礎という位置づけのようです。  専門分野のところは、専門分野I、IIに分かれていますが、専門分野Iは専門分 野IIのすべてのところの基盤となる内容ということで、それに漸進的に積み重ねて 各論のところをより深めるということです。専門分野IIを学習するときには当然の ことながら、専門基礎、専門分野Iを統合しながら学びます。統合分野という表現 にしたのは、これらの4分野の全ての統合という位置づけです。 ○浅田委員 要するに分野を分けて、そういうふうに置いていくということは階層 構造を想定しますので、カリキュラム上はその配置は必ず決まってくるわけです。 当然、それが先にないと成り立たないという考え方ですから、そういう構成にされ ているのかということをお聞きしただけです。  つまり専門分野の中を領域で分けられていても構わないわけで、そういうフラッ トな関係であれば、別にどちらからやってもいいということになるわけですが、あ くまでもそういう階層性を持っていて、前提があって成り立つということですね。 そうすると、養成所のカリキュラムで、例えば成人何とか学というのが1年次に配 当されることはないということですから、当然、これが出てしまえば各学校のカリ キュラムというのは、ある程度その年次というか、配当は決まると理解すればいい ということですね。 ○小山委員 専門分野は今回、3つに分けましたけれども、それはある意味ではレ ベル目標的に、レベル1、レベル2、統合分野がレベル3というふうな到達目標の 目安ができるという案を、改正案1のほうでは言っていました。 ○浅田委員 もう1点質問ですが、たぶんワーキングに委託されたということで、 いわゆる看護師の卒業時の基本的な能力というか、私は専門性という言葉を使いま すが、そういうものを明確にするということがあったと思います。それは資料2− 2の別表3だと思いますが、現行と改正案を比べてみたときに、実は能力に関して はほとんど変わっていない。つまり学び続けるという部分と、あとは「チーム医療」 というところが少し出てきて、「基礎的能力」というふうに文が変わっていますが、 1)から6)に関しては大きくは変わっていないということは、現行のカリキュラ ムで目標としていたものと新しいもののねらいというのは、ほとんど変わらないと いうことで、基礎能力的なものは同じと考えられるということですか。  つまり、一方でギャップがあると言いながら、ここの部分はほとんど同じものを 出しているわけで、これが指導要領でねらいというふうになれば、そこで目指すも のはほとんど同じだということですから、ということは、あまり変わらないという ことを言っているのですか。ここでの議論は、かなりギャップがあるということを ずっと議論したにもかかわらず、育てるべき能力はあまり変らない。むしろ学び続 ければいいということだけなのですか。 ○小山委員 決してそうではありません。ただ、今までの目標の中にも実践能力の 育成ということは、ここの文言の中に相当入っています。しかしながら、それが育 っていないという現状があるということで、それでは教育方法や中身など、どのよ うに改善できればいいだろうかということで、このカリキュラムの改正案で統合分 野をつけたり、卒業時の技術の到達目標を明確にしたり、あと実習方法の改善をし ています。到達目標に関しては抽象的な表現になっていますが、技術のことも含め てここの文言の中に含まれていますので、そのように理解しています。 ○浅田委員 それは議論としては私は矛盾していると思います。今までの議論は、 そこが食い違っているからどう改善するかで議論してきたはずで、既に含まれてい てその能力はきちんと示されていたのだと、それをどうつけるかということで、指 導法の問題にそれを帰したわけではなくて、むしろ看護教育の中でそれがどうなの かを議論したはずなのに、それは反映されないのですかという質問ですが、それは 含まれていると考えればいいわけですね。そうすると、いわゆる教育の方法やカリ キュラムの配置の問題を、ここで提案することが改定と考えればいいということで すね。 ○小山委員 ここの考え方の改正案の目標の表現は大変抽象的な表現で、これを具 体的な行動目標に表わしたときに、先生が言われるような行動目標が出てくると思 います。今度、カリキュラムの意図ということで、「実践能力」や「技術」というこ とが相当入りましたので、これを各学校で科目に落として、それぞれの行動目標表 現にしたときに、より実践能力がつく行動目標になると考えています。 ○遠藤座長 そういう趣旨でまとめられているということが、ワーキンググループ の考え方だということです。浅田委員のご意見もよくわかりました。時間がありま せんが、堀内委員、手短かにお願いします。 ○堀内委員 浅田委員の最初の質問と関連して分野の名称ですが、統合分野という 新しい名称を設けたことは納得できて、特に統合科目のことは納得できて、これま でなかったものがここに新たに追加の単位数として表われたのは理解できますけれ ども、なぜ、従来は臨地実習の基礎、成人、老年、母性、小児、精神と同じ並びで あった「在宅看護論」が、わざわざレベルが1段階上がって統合分野と位置づけられ たかということです。これまでは、例えば資料2−3−(1)を見ていただくとわかり ますように、「在宅看護論」は成人、老年、小児と同じ並びでしたので、ここの留意 点にありますように、成人、小児、妊婦、精神障害者のいずれでもよいが、臨床場 所として在宅というところでの実習を連続してやることも可能であったわけですが、 今回、このように別でレベルが1段階上がったということになると、現実的にはも のすごく大きな改正になって、専門分野IIが終了しないうちは統合分野に行けない ということ。 ○遠藤座長 趣旨がわかりましたので簡潔に、もしお答えできることがあればお答 えしますが、理由ですね。 ○堀内委員 なぜ、在宅は1段階上がったかということです。 ○小山委員 専門分野IIは成長発達と精神の切り口になっていますが、在宅看護論 ではどの発達段階にある人の訪問であってもよしということです。在宅という切り 口は場なのです。ですから専門分野IIとは切り口が違うということです。専門分野 IIの内容を勉強した後に、どこの場であっても、どの発達段階であれ、どのような 人であってもいいけれども、在宅で全て統合する場としての看護実習というのがあ るのではないかということで、統合に位置づけられています。つまり、切り口的に 成人、小児、老年というような成長発達の切り口とは異なるということです。 ○遠藤座長 申し訳ありません。まだ2つの報告書が残っていますので手短かにお 願いします。 ○村嶋委員 もし専門分野を発達段階で切るというのでしたら、精神看護学の位置 づけも考えるべきだと思います。 ○榮木委員 臨床サイドとして学生を受け入れる側としては、到達度がどうかとい うのがいちばん気になるところで、浅田委員も言われましたが、この委員会ができ たきっかけは受け入れ側のギャップが非常に高いということで、この委員会が始ま ったわけです。そうすると、この到達度の案を見たときに、それぞれのレベルに達 するための検討をした結果が、今回の改正案になったということなのでしょうか。 とてもとても無理のある達成度だなというふうに受け取れてしまうのです。  もう1点お聞きしたいのが、単位数が全然変わらない中で、演習内容を強化する というような注釈がありますけれども、教育する側として、授業の組立てはそれで 可能なのかどうかということもお聞きしたいと思います。 ○遠藤座長 ワーキングをやっている過程で、もしいまのご質問にお答えできるこ とがあれば、またいただきたいと思いますが、特に難しければ次回以降に回しても 結構です。 ○小山委員 ここにはあくまでもワーキングの案として出していますので、ワーキ ングのこれを踏襲してほしいというのではなく、時間が大変限られていましたので、 ここで改正案があれば是非出していただきたく思います。 ○遠藤座長 わかりました。まさにこの検討会はそれを議論するところであるわけ です。あくまでもワーキング案はたたき台ということです。ということで、ここで 議論しなければいけないのですが、まだ案件が2つありまして、もう時間が予定を 超えています。ご意見のある方は事務局にファックス等でご報告いただければと思 います。そういうかたちでよろしいですか。最終的に次回でまとめ上げたいと思い ますので、反映できる意見は反映したいと思います。 ○太田委員 小山委員から、このカリキュラムの内容の最後に4点ほど、これに附 帯してのカリキュラムの環境整備ということが挙げられたのですが、その辺は先ほ どの座長の言葉ですと、次回検討していくということだったと思います。かなり具 体的に従来のものを踏襲しているものもありますが、変更した部分で例えば単位数 で出しているものが時間数にすると時間数の増加とか、実習施設の範囲を広げると いうことはそれだけ実習施設が分散されていく。福祉施設などにその看護を指導す る人材がいるかどうかという部分も関わってきますので、小山委員が言った4点が かなり具体的に明示されないと、せっかくここでより良い形でというふうに提示さ れたカリキュラムが、逆に言うと現場の首を締めるようなかたちになりかねないと 思います。その辺を少し具体的に議論する場を是非設けてほしいと思います。 ○遠藤座長 いまのご意見ですが、事務局、どういう対応が可能でしょうか。 ○看護職員確保対策官 いまご指摘の点について、まさに先ほどの中間的とりまと めの最後に出ていた「実習環境の整備」とか「指導方法」、あるいは「教員の資質」と いったことに関連すると思いますので、是非次回、またご議論いただければと思い ます。 ○遠藤座長 そういう対応で、よろしいですか。 ○太田委員 はい。 ○遠藤座長 では菊池委員、これが最後です。 ○菊池委員 太田委員と同じ意見で、そういうことの議論が必要だということと、 もう1つ、教育の内容を充実させるということで非常にいい提案をしていただいて いるのですが、この内容をきちっと習得するために、100単位という単位の中で本当 にできるのかどうか非常に疑問があります。委任事項5)の教育年限で収まらない ものの整理は、ワーキングで議論する暇がなかったのではないかと思いますので、 そういうことを議論する場を今後つくる必要があると思います。  本会が、基礎教育調査を実施した結果によると、「看護学校の7割が、今の教育 期間の中では教育できない知識や技術をちゃんと習得させるためには1年ぐらいの 延長が必要と考えている」という調査結果が最近出ました。そういうことも考慮し ていただいて、もう少し大局的に基礎教育のあり方を考えることを、先ほどの臨地 実習の問題、体制も一緒に合わせて議論をする場を設けていただきたいと思います。 ○遠藤座長 ご意見として承っておきます。具体的にどうするかは事務局と相談し て対応したいと思います。実はもう1つ、改正案1、2のどちらを使うかを決めな ければいけなかったのですが、これは次回ご審議いただくことになってしまいまし た。次回はこれも決めるということになります。5分ほど時間をオーバーしました が、小山委員、ありがとうございました。続きまして保健師のことをお願いしたい と思います。 ○村嶋委員 村嶋のほうから報告させていただきます。保健師教育に関しては資料 の3−1です。7人の委員で3回実施しました。保健師教育のワーキンググループ では保健師は個人や家族が抱えている個別の問題をとらえ、それが1人だけではな く複数の人々、すなわち集団の問題であることを考え、さらにそれがポピュレーシ ョンである地域の人々に共通した問題であることを捉えて、それに対応するための 施策化をしていくという役割が重要であること。また、こういうことこそが保健師 の専門性であるし、教育のコアでもあるということを考えて、改正案をまとめるに 至りました。  資料3−1の表一は教育内容ですが、右側が現行、左側が改正案です。教育内容 の「地域看護学」については、現行は地域看護学概論と活動論と分かれていますが、 改正案では「地域看護学」の枠の中に概論は現行のままとし、新たに「地域看護活動 論」を「個人・家族・集団の生活支援」「地域看護活動展開論」「地域看護管理論」と大き く4つに分けて内容を明確にしました。それぞれの内容の詳細については後ほどご 説明申し上げたいと思います。  「地域看護学」としては12単位で現行と同じとし、概論は2単位、あとは合わせ て10単位としました。「疫学」と「保健統計」は現行では一緒になっていますが、そ れぞれきっちり学んでほしいという意図があり、「疫学」と「保健統計学」に分け、 各々2単位ずつとしました。また現行では備考に情報処理等を含んでいますが、こ れは既に周知徹底されていると考えていて削除しました。「保健福祉行政論」は、 保健師の施策化能力を強化する必要があるという意見が大変強く、現行の2単位か ら4単位にしました。「臨地実習」は現行3単位ですが、先ほど立てた各々の内容 に従い、「個人・家族・集団の生活支援実習」は2単位、また「地域看護活動展開論実 習」と「地域看護管理論実習」は合わせて4単位としました。また、特に現場の保健師 のほうから、「きっちりと責任を持って保健師を育てたい」というご意見もあり、 保健師の役割を理解し、家庭訪問を通じて個への支援能力を強化するため、備考欄 には「保健所・市町村での実習を含む」と「保健所又は市町村での継続訪問を含む」 を追加しました。その結果、合計単位数は現行21単位から26単位となりました。  資料3−2の指導要領別表1をご覧ください。赤字部分が変更、追加した箇所で す。1)が心身の健康等を系統的、予測的にとらえることの重要性及び人々の自立 を支援する能力を考えて、「人々の心身の健康回復」という文言を入れました。また 「系統的、予測的に捉える」ということと、「自立を支援する能力を養う」ということ を明確に入れました。  2)に関しては、特に「集団活動を育成する」ということと、「自主的に社会資源が 活用できるように支援し評価する能力を養う」として、これから保健師には評価能力 がとても大事ですので、そのことを強調しました。  3)は左側が健康問題になっていますが、「健康課題を予測し、それを地域住民、 関係機関、多職種と連携・協働し、組織的に解決する能力を養う」とし、住民や他職 種の人々と協働していく能力を強化することを強調しました。  4)に関しては、保健・医療・福祉は激動していますので、「最新の知識を主体的・ 継続的に学ぶ能力を養う」とともに、いろいろな「サービスを活用する能力及び地域 の健康課題の解決に必要な社会資源を開発し、施策に反映する能力を養う」としまし た。これには当然、評価能力も入っています。  資料3−3ですが、「地域看護学」の留意点をいくつか加えています。いちばん上 にありますように、「学校保健・産業保健も含む内容とする」としました。これはメ タボリックシンドロームや思春期の問題が多々あり、産業保健・学校保健がどうし ても大事になってきたという認識です。また「地域看護学概論」は、今まで公衆衛生 看護と継続看護を含む内容とすると書いてありましたが、看護師教育のほうに「在宅 看護論」がきっちりと位置づけられましたので、保健師教育は公衆衛生看護というこ とを明確に打ち出しました。ですから継続看護はここからは削除しました。  また「個から集団、地域へと支援を広げていく能力こそ、保健師の持つべき能力で ある」という意見から留意点を追加しました。「地域看護学」の教育内容として追加 された、「個人・家族・集団の生活支援には、保健師が地域の中で支援の必要な個人・ 家族・集団を把握して、それぞれの特性に合った効果的な支援を行うこと」を含んで います。また「活動展開論」のほうには「地域診断」ということを挙げて、「地域診断」 などから地域の問題を把握し、支援の計画・実施・評価を行うことを含んでいます。 また「地域看護管理論」には、「地域の資源の配分や住民の受けるサービスの質の評 価」を含め、また特に保健所の機能として重視されている「健康危機管理」を新たに追 加しました。  「疫学」「保健統計学」についても、学ぶべき留意点を記載しました。「保健福祉行 政論」については、保健師の施策化能力の向上が求められていて、特に委員の中か らこの部分の力が弱いというご指摘が多々ありましたので、内容を充実させること にしました。特に事例を用いた演習を行う必要があるということを明確に打ち出し ました。  「臨地実習」ですが、地域看護学の教育内容に対応するものとなっています。こ のような内容の実習を行う場としては、保健所や市町村が最も適していますので、 これを必須としました。また近年、保健師の活動の場が広がってきていますので、 これを受けて「多様な場で行う」ということを追加しました。また家庭訪問により、 個人・家族への支援能力を強化するため、「個別事例に対して継続訪問を行う」こと を追加しました。ここでも個から集団・地域へと広がる支援能力、施策化能力を強 化するような実習を行う必要があることから、留意点を追加しています。現行の指 導要領には時間を記載していますので、現在の養成所の運営状況を確認して、また 改正案についても時間を示したいと思っています。  次に保健師の技術項目と卒業時の到達度です。資料3−4をご覧ください。これ は保健師教育の技術の項目と卒業時の到達度ということで、ワーキンググループの 中で作成されたものです。今後、項目の適切性や到達度については研究などにより 洗練させて、内容、妥当性を検証していくことが必要だと考えています。  資料3−5は保健師教育の望ましい単位数です。「地域看護学」は現行12単位で すが、望ましい単位としては20単位です。また、「疫学」「保健統計」が合わせて現 行は4単位ですが、望ましいものとしてはそれぞれ4単位ずつ、「保健福祉行政論」 は2単位増の4単位、「臨地実習」は現行3単位ですが、望ましいものは8単位とし て考えました。合計40単位です。現在、現場で実際に求められている保健師の育成 には、最低、この程度の時間が必要だと考えています。  保健師教育における教員の資質ですが、「教員の資質として保健師の実務経験が重 要である」という意見や、「実習を充実させるためには現場の保健師の実習指導者と してのレベルアップが必要であるし、教員もかなりレベルアップが必要である」とい う意見が委員の中から出されました。また関連して教員の増員が必要ではないかと いうこと、特に実習指導者は学生7名程度に対して1名は必要ではないかという意 見も出されました。以上が報告です。 ○遠藤座長 本当に総合的な評価を短い期間の中でやっていただきまして、ありが とうございました。早速、いまのご報告に対してご質問、ご意見がございましたら、 よろしくお願いします。 ○小山委員 とても素晴らしいカリキュラムに変わったかなと思っています。ただ、 私の中でこの保健師の基礎教育としての内容なのか、あるいはアドバンスト・ナー スプラクティショナーとしての、いわゆる大学院レベルとしての保健師の教育なの かという疑問が残ります。たぶん相当現場のニーズを反映されて、このように変え られたのかなと思いますが、大学教育では基礎教育としての保健師教育をしていま す。今より相当単位数が多くなると、大学での保健師教育はほぼ不可能になるなと 思いながら、これを見ていました。その辺についてのご意見はいかがですか。 ○村嶋委員 これは保健師としての基礎教育の単位です。最低限、このくらいは学 んでから来てほしいというのは、現場のほうからの強い意見でした。また大学はこ れでは26単位になっていますが、ご存じのように4年間の中でやっていますので26 単位は十分こなせるのではないかと考えます。 ○遠藤座長 よろしいですか。ほかにございますか。 ○浅田委員 素人なのですみません。たぶん議論の中で、いわゆる行政以外のいろ いろな職場というか、保健のそういう場が非常に広がっているというご意見がたく さんあったと思います。確かに文言としては「学校保健・産業保健を含む」というふ うに大きくは書いてあるのですが、具体的な中身はかなり地域に限定したようなか たちだと思います。むしろ保健師そのものの多様性というのか、そういうことを考 えたときに、例えば地域看護学など、ここで挙げられたような科目名以外に、実は そういうものは必要ではないのですか。  つまり、いわゆる地域の保健師さんというのでしょうか、そういった以外のとい うか、実際は需要は少なくなっているわけで、それ以外の場というのは会社だとか いろいろ問題になったわけです。そういう場合に対しても基本的なところで必要な ものを、少なくともこういうところに含むとすれば、単純に留意点で文言を書くだ けではなく、新たな科目といったものを例えば立てるとか、そういう議論はなかっ たのでしょうか。 ○村嶋委員 「地域看護学」の概念ですが、「地域看護学」は学校保健看護・産業 保健看護・公衆衛生看護、在宅看護の4つを含んでいます。これは地域看護学会の 定義です。この検討会の中では地域看護学という名前をやめて、もう少し専門性と しての方法論に焦点を当てて「公衆衛生看護学」という名称にすべきではないかと いう意見も強くありました。前回のカリキュラム改正で名称が変わったばかりとい うことがあったり、幅広い分野を含むということで地域看護学会の定義を使い、 「地域看護学」としました。ですから、幅広い分野を含んでいます。 ○浅田委員 含んでいるのはわかるのですが、メッセージで明確にするのであれば、 そういうものがあったほうがいいのではないか。そうでないというのであれば別な のですが、そういう今のニーズから言えば、どんどんと需要は少なくなっていると いうか、それは財政も含めてですが、そうすると、もっと多様なところでそういう 専門性の高い保健師が活躍する場を広げたいとなれば、そういうことを具体的な保 健師の基礎教育で知ってもらう。あるいはそれを学んでいただいて出て行っていた だきたいというのであれば、そういった名称の科目があってもいいのかなというの が私の意見です。 ○村嶋委員 メタボリックシンドロームへの対応が国民的な課題になり、地域包括 支援センターなどでも保健師を求めていますし、包括的に地域を見ていくというの は大変大事な保健師の活動の分野です。そういうことを十分考慮して、「学校保健・ 産業保健を含む」としましたし、実習の場にしても「多様な場を含む」ということを留 意点として入れました。 ○遠藤座長 ご専門のお立場から、そういう意図は含まれているということです。 ほかに何かございますか。 ○坂本(す)委員 看護のほうが7単位で結構増えますよね。それプラス看護大学の 中の保健師の課程を持っているところは、ここで4単位増えますから全部で11単位 増えますね。それで大丈夫なのでしょうか。 ○村嶋委員 それは私にお答えする任にはなくて、むしろこの検討会としてお考え いただくことだと思います。いま、養成所は1年間でやっていますので、私は26単 位は十分超えてやっているし、40単位も超えてやっているという立場で作らせてい ただきました。 ○遠藤座長 村嶋委員のおっしゃるとおりで、ワーキング案はたたき台であり、総 合的なことはこの検討会で議論するということです。 ○村嶋委員 先ほども太田委員からご意見が出ていましたし、是非、ご検討いただ きたいところだと思います。 ○山内委員 先ほど在宅看護は看護基礎教育のほうにあるので、改正のときに在宅 継続看護という言葉はなくして、公衆衛生看護というふうに絞られたとあったので すが、資料3−1の実習のところで、「保健所または市町村での継続看護を含む」と ありますけれども、これとは違うことですよね。 ○村嶋委員 入っている用語は「継続訪問」です。これは複数回の訪問、つまり単 発的にある方のお家に行ってわかることと、継続して2回、3回と行くことによって 深まっていくということを意味しております。初対面で行う支援と相手との信頼関 係ができてから行える支援とはかなり違っておりまして、是非、そこのところを深 めたいということで継続訪問を入れました。 ○山内委員 失礼しました。 ○遠藤座長 ほかにもご意見があるかと思いますが時間も迫っていますので、先ほ どの看護師と同じように、もし何かどうしてもということがあればご意見、ご質問 をファックスにて後ほど事務局に送っていただければ、次回の検討のときに議論し たいと思います。最後になりましたが、助産師教育について堀内委員からご報告を お願いします。よろしくお願いします。 ○堀内委員 助産師教育に関するワーキンググループでの結果をご報告します。資 料4−1をご覧ください。ワーキングでは「妊娠の診断から分べん介助、産じょく期 のケア、新生児のケアまでを自立して行える能力を強化する」ということ。あと助産 師の新たな役割として期待されている「思春期や更年期の指導、ケア、生涯にわたる 性と生殖に関する健康支援について学ぶ」ことができるよう、教育内容を考えて議論 を重ねました。  資料4−1の養成所指定規則ですが、教育内容としては「基礎助産学」「助産診断・ 技術学」「地域母子保健」「助産管理」については現行のままとし、単位数も現行のまま としました。変わったところは実習の部分です。「臨地実習」「助産学実習」について は、「妊娠期の診断から分べん期、産じょく期のケア及び新生児のケアを行う能力」、 また特に「妊娠から産じょくまでの継続したケアを行う能力を強化する」ということ で検討しました。特に分べんは、これまでは正常分べん10例程度とするということ だったのですが、その正常分べんとは何かということで議論が行われ、今回はより 具体的にきちっとここに書くことにしました。ここでは原則として「正期産・経膣分 べん・頭位単胎とし、分べん第1期から第4期までとする」というのを加えています。 継続事例に関しては、「実習期間中に妊娠中期から産後1ケ月まで継続して受け持つ 実習を1例以上行うこと」というのを追加し、これを加味して現行の単位数8単位か ら9単位としました。合計は22単位から23単位になります。  指導要領についてご報告します。資料4−2をご覧ください。赤字部分が変更箇 所ですが、「女性の主体性を尊重した出産を支援する」「女性の自立を促す」、あと「チ ーム医療を行う上で必要な能力、助産師の役割」といったところを強調しています。  1)は「育児を主体的に行えるように支援できる能力」ということで、「主体的に」 という部分を加えています。2)は、従来、健康問題について相談・教育・援助活 動とあったところを、「健康に関する課題への支援」というふうに大きな表現にしま した。3)はチーム医療に関連して他職種と連携・協働しながらという部分を加え て、より強調したかたちになっています。  資料4−3をご覧ください。「指導要領にかかる教育内容と留意点」です。1点目 に関しては、これまで援助あるいは指導という言葉を使っていた部分を「出産を支 援」ということで、相手の主体性を尊重した支援という観点から、援助というより支 援という言葉のほうが適切ではないかということで変えました。「生命倫理、乳幼児 の成長発達等を強化する内容とする」「母性・父性を育むことを支援する能力を養う」 内容を強化したかたちの表現としています。「チーム医療や関係機関との調整・連携 について学ぶ内容とする」というところも同じです。  「助産診断・技術学」に関しては、前より技術を明確にするという意味で、「助産技 術を確実に修得するための演習等の充実、妊婦・じょく婦・新生児の健康状態に関 するアセスメント」「それに基づく支援を強化する内容」「妊産婦の主体性を尊重した 出産を支援する内容」というのを、ここに改めて書き出しています。  「地域母子保健」に関しては、「住民の多様なニーズに対応した母子保健サービスを 提供できるための能力を養う」とともに、「他職種との連携・協働」の部分を加えてい ます。  「助産管理」に関しては、特に「周産期における医療安全の確保と医療事故への対 応」についてを加えています。  「臨地実習」ですが、これまで正常産を10回程度と書いていた部分を、より具体的 に「取り扱う分べんは原則として正期産・経膣分べん・頭位単胎とし、分べん第1期 から第4期までとする」ということがあります。これに連動するところで下のところ に赤い四角がありますが、これはさらにこの指導要領の下位レベルになる手引きの ほうには、「分べん第1期のアセスメント及び支援ができ、分べん介助の途中で吸引 分べん、鉗子分べんに移行した場合は、分べん10回程度に含むものとする」という のを追加しています。これまで実習で非常に悩むところであった部分を、より明確 にこれを含めたということ。現実的には吸引分べんが可能性があるわけですが、そ れもこの中に含むということを追加しています。  戻って、継続事例については、「妊娠中期から産後1ケ月までを1例以上持つ」と いうことです。もう1点は、「妊娠、産じょく・新生児のアセスメントをする能力を 強化する」という部分を書き加えています。  資料4−4をご覧ください。これは「助産技術に関する技術項目と卒業時の到達 目標」についての資料です。これは全国助産師教育協議会やほかの助産師会等のレ ベル表示のものを参考にして、ワーキンググループで検討したものです。助産の場 合は3レベルの学内演習といったもので終わるものは非常に少なく、ほとんどがI かII、あるいは知識として学ぶことができるというのは2頁のほうにあります。周 産期よりも若干周辺の管理リプロダクティブヘルスの部分は知識だけというかたち になって、案としてお出ししています。  これらの議論を通じて、助産師教育の望ましい単位として提案しているのが資料 4−5です。これは「基礎助産学」8単位、「助産診断・技術学」10単位、「地域母子保 健」2単位、「助産管理」2単位、「臨地実習(助産学実習)」12単位の計34単位です。 これは望ましい単位数として掲げていますが、しかし、現実的にはほとんどが1年 コースの助産師教育では、この34単位程度はもう行っているということで、いま現 場で求められているのは23単位、半年という枠ではなく、できれば将来的にこの34 単位のほうに改正することを考えていただきたいというのが、このワーキンググル ープの趣旨でこれを提案しています。  ここからは資料がありませんが、助産師養成所の指定規則について何点か提案さ せていただきたいと思います。1点目は、助産師養成所の指定規則にある「専任教 員は、学生定員20名を超える場合には適当数増員することが望ましい」とあります が、現実を考えるときに、学生定員20名を超える場合には、学生5名につき教員1 人増員することという希望が出されています。実施上の注意事項として「臨地実習 は原則として昼間に行うこと」と書いてありますが、昼夜問わずに実習しない限り なかなか10例には達しないことから、助産学実習については「夜間の実習も考慮す る」という文言を検討していただきたい。夜間の実習に関連して宿泊の施設ですが、 これまでは「養成所に臨地実習に備えて宿泊ができる施設を確保することが望まし い」とありましたが、「施設」ではなく宿泊できる「設備」として、これは病院等 のある一部分の所でも結構なので、「設備」として、より確保しやすいようにと 提案させていただきます。もう1点は実習指導施設を確保するのに、診療所及び 助産所については、学生の指導担当できるよう、「適当な助産師が定められてい ること」と直していただければと思います。現行では「臨床指導者を置くこと」と なっていますが、それでは小さな診療所や助産所では難しいので、指導できる助産 師がいれば、実習施設になるというふうにすれば、より実習が拡大できるのではな いかということで、それを追加しています。  看護職員に対する継続教育も、「施設内外で継続的に実施される」という文言から、 「継続教育が計画的に実施されていること」と少し緩和した状態にしていただきた いということ。あと「他の助産師養成所との単位互換」に関連した文章も追加してい ただきたいというのが、この指定基準に関連したところでのワーキンググループか らの提案です。以上です。 ○遠藤座長 ありがとうございました。これに関してご質問、ご意見をいただきた いと思います。 ○村嶋委員 教えていただきたいのですが、他の養成所との単位互換ができるとい うのは、どういうことなのでしょうか。 ○堀内委員 ほかの助産師学校で受けたクラスなどを、自分の学校の単位数として 認めるという、大学等では行われている、いわゆる単位互換の制度を学校にも導入 してほしいということでした。 ○遠藤座長 ほかにございますか。 ○小山委員 資料4−3のいちばん下の欄外に書いてあることで、分べん1期のア セスメント云々と書いてあり、鉗子分べんに移行した場合は、分べん10回程度でな くて1回程度と思ったのですが、この文章は分べんが移行した場合は分べん1回程 度にと思ったのです。 ○堀内委員 意味は、分べん10回の中に勘定してもいいという日本語の意味なので すが、誤解を招くということですね。 ○小山委員 そういうことが1回でもあった場合はということ。 ○堀内委員 はい。 ○小山委員 だから、この文章がちょっと。 ○村嶋委員 今まではリジェクトしていたんですね? ○堀内委員 今までは、途中で吸引分べんになった場合はカウントできなかったも のです。 ○小山委員 1回として数えるのではなくてですか。 ○堀内委員 だから1回として入れるということです。 ○小山委員 1回として数えていいということですよね。 ○堀内委員 ここは事務局のほうに誤解のないように、検討するということにしま す。 ○遠藤座長 よろしくお願いします。重要なご指摘をありがとうございました。ほ かにございますか。よろしいですか。ただいま一通りのご報告をいただきましたの で、文部科学省の医学教育課長の三浦課長からご発言いただきます。 ○文部科学省医学教育課長(三浦) もう閉じようとしていたところを申し訳ありま せん。先ほど坂本委員からもご議論がありましたように、保健師、助産師、看護師 いずれについてもかなり単位数が増えているところもありますし、特に実習の時間 が増えていることが今回の見直しの特徴だろうと思います。  私ども、いろいろな機会を通じて看護教育、特に基礎教育をどうするかというこ とで専門家の意見をいただいているわけですが、今日、坂本委員から出たような、 例えば実習場所の確保や時間の確保、どのように実習プロセスを管理していくのか などの個別の問題、特にこれは大学あるいは短期大学には統合カリキュラムとして、 保健師、助産師、看護師を一体として教育している所がありますし、それぞれの全 体調整を図る必要があるだろうと思っています。そういう点で私どもとしては、そ れぞれの関係者の方々から意見をいただいて、その意見を集約し、必要に応じてこ の場でご説明いただく。あるいはその意見を代わって申し上げる機会を、是非与え ていただければありがたいと思っています。よろしくお願いします。 ○遠藤座長 看護教育の問題は厚労省と文科省の共同所管ですので、是非、そのよ うな情報も教えていただければと思います。機会を見て是非、よろしくお願いしま す。 ○坂本(す)委員 今回、私たちは、要するに現場と乖離しているという問題で、今 までのやり方がうまくいっていないという問題に関わりましたが、基本的には、い ま看護学生や大学生を見ると、看護学科の学生は目いっぱいで、そこにいろいろな 領域の先生方が教え込もうとしますから、もう限界というか、この状況でいいのか と学生を見ていて思います。今回、短期的にカリキュラムだけ変更するとするなら ば、私は単位数は増やすべきではないと思います。それだけのものが疲労してきて 改善しなければいけないのであれば、新たに大きな改革的なものを捉えるべきであ って、今回のこのカリキュラム変更だけでどんどん、こちらはいくつ、こちらはい くつというかたちで、中を変えるのはいいですけれども、カリキュラムをプラスし ていくというのは、おそらく現場では限界ではないかと思います。 ○遠藤座長 貴重なご意見をありがとうございました。 ○石垣委員 簡潔に申し上げます。私も看護師教育の基礎教育のワーキングメンバ ーでしたが、議論する時間が足りなかったというのが結論です。いまは現行のカリ キュラムの範囲内で検討して、このような結果が出ましたけれども、いま坂本委員 からあったように統合科目を増やしたことと、演習の強化、技術の到達目標、実習 の強化、いずれを取ってもこの単位ではとても無理だと思います。望ましい教育の あり方、単位数というのは、まだ具体的な検討ができませんでした。それに伴って 望ましい教育期間をどのようにするのか。もちろん、そのほかの整備もありますが、 その辺の話合いが全くされていませんので、今後、是非、そういうことも含めて検 討を継続していただきたいと思います。 ○遠藤座長 重要なご指摘だと思います。 ○武委員 私はこの会に臨んだときに、当然、看護教育を4年制にする方向にいく 考えを持って来て、また5回まで全部出ましたけれども、大部分の委員の意見は論 議の途中まではそういうものだったと思います。しかし、こういうかたちになった から仕方がないと言って終わるわけにはいかないのであって、答申を書くときには、 「臨床の実力がある看護師を養成するのに3年では時間が足りないのですから、1 年延長して教育する方向に近い将来は向かう」とか、そういった文言が入らないか 座長に一言、お願いしたい。 ○遠藤座長 ご意見の1つとして承っておきます。 ○小山委員 たしか前回、看護課長から、このカリキュラムは今年度で終わり、次 年度に出して20年度に開始するというご発言があったかと思います。しかしながら、 先ほど申し上げたように枠組みが変わり、そして統合実習というのを現場の方に理 解していただくには、これから大変な作業があるかと思います。一般的にはカリキ ュラムは、特に実習場は6月から7月には、もう次年度の20年度の計画を現場に交 渉し始めますので、20年度開始というのは大変厳しいと考えています。ですから今 度は相当枠組みが変わり、単位数が増えということで、カリキュラムを準備する時 間を1年考え、21年度開始というご検討を、是非、お願いしたいと思います。 ○遠藤座長 貴重なご意見をありがとうございます。事務局と相談させていただき たいと思います。 ○榮木委員 いまの入学定員の約1割が、学生を卒業しないでドロップアウトして いる状況が数値で出ています。その内容を見ると、いまのカリキュラムでは目いっ ぱいでついていけないという実態があるのだろうと思います。ですから、なぜ1割 もの学生がドロップアウトするのかという検証もしていただきながら、その上で今 のカリキュラムをどうしたらいいかを、是非考えていただきたいと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。それも非常に重要なご指摘だと思います。と りあえず先ほど3つの報告案が出てきました。それぞれのワーキンググループの皆 様、本当にありがとうございました。小山委員、村嶋委員、堀内委員には重ねてお 礼申し上げたいと思います。まだご意見を言い足りないところがおありかと思いま すので、これは先ほど申し上げたように事務局にファックスにしてご意見を言って いただければと思います。ただ、その際、ワーキンググループの案は、そういう意 味ではたたき台であり、それを批判してもしようがないわけです。むしろそれはた たき台ですから、それを今度は我々がどうするかということですので、責任はこち らの検討会になっているわけです。問題があるというふうに考えましたら、代替案 を、こういう理由でこう書くべきだというところまで書いてファックスしていただ きたいと思います。ここのところは気に入らないという出し方をこの段階でされて も大変困りますので、そのような形で是非お願いしたいと思います。  本日予定していた議題につきましては、ほぼ終了しました。本日のご意見につき ましては事務局に整理していただき、次回、カリキュラム改正案として提出させて いただきます。事務局、いまのことも含めて、説明等々をお願いしたいと思います。 ○事務局(柴田) 追加のご意見がございましたら、今週中に事務局までファクシ ミリ等でご連絡いただければと思います。次回、第8回検討会は2月26日(月)、 14時から開催する予定です。場所等については決まり次第、別途、正式なご案内を お送り致しますので、よろしくお願いします。本日はお忙しいところ、ご出席いた だきましてありがとうございました。 ○遠藤座長 ありがとうございました。                            1