07/02/02 労働政策審議会労働条件分科会 第74回議事録 第74回労働政策審議会労働条件分科会 日時 平成19年2月2日(金) 13:00〜14:10 場所 霞ヶ関ビル33階東海大学校友会館 朝日の間 ○分科会長(西村) ただいまから、「第74回労働政策審議会労働条件分科会」を開催 します。本日は荒木委員、渡辺章委員、石塚委員、山下委員、渡邊佳英委員が欠席され ています。また、山下委員の代理として君嶋さんが、渡邊佳英委員の代理として根本さ んが出席されています。島田委員は少し遅れて来られるとのことです。  本日の議題に入ります。本日の議題は前回に引き続き、「労働契約法案要綱」及び「労 働契約法の一部を改正する法律案要綱」についてです。それぞれについて、ご意見があ りましたらお願いいたします。 ○田島委員 いま、いきなり、意見をと言われましたが、前回2時間びっしりと、使用 者側も、労働者側も意見を言っていたわけです。それがどういう形で今日出されている 案に反映されているのか、反映されていないとしたら理由は何なのか。とりわけ、いわ ゆる労働契約についてですけれども、労働者の定義について何度も発言しています。こ の分科会でも、かつてからずっと議論しているのは雇用の多様化がずいぶん議論されて いる。多様化の中で、雇用形態が違うことによって大きな格差や差別が出ている。そこ をどうするかが契約法で位置づけられないと極めて問題だろうと思います。  もう1点、最近の特徴として、個人的な事業主扱いで社会保険料を逃れるような形態 の実質的労働者が増えている。そのような中で、二、「労働者及び使用者の定義」の労働 者制について幅広くカバーをしないと、契約法の意義が薄れてしまうのではないかと思 います。  もう1点、いわゆる雇用の多様化の中で、均等・均衡という問題をしっかりと謳わな いといけないのではないか。パート法でも均衡という形で出されていますが、結果的に 時給労働者、あるいは有期雇用労働者などについて、時給は別ですが有期雇用をしっか り、いわゆる均等という問題を押さえなければパート法の改正そのものも生きてこない のではないかと思います。そのことが全く抜け落ちているのではないかと思います。こ れについては前回の審議会以降、どういう形で検討されてきたのかをお答えいただけれ ばと思います。 ○監督課長 いまのご意見については従前からいただいているものです。昨年末に取り まとめをいただいた報告書の中でも、均衡のあり方について、労働者の多様な実態を留 意しつつ、必要な調査等を行うことを含め、引き続き検討を指摘されたわけです。また、 対象範囲についても、経済的従属関係にあるものを対象範囲にすることは報告書の3頁 に書いてあるわけです。  これは審議会としてそのようなご意見を賜っているわけです。ただ、私どもとしては 引き続き検討ということですので、少し時間がかかるものと承知しています。今後、そ ういうような形で、報告書の内容については引き続き検討させていただきたいというこ とです。 ○田島委員 こういう問題を「引き続き検討」と、悠長なことを言っていていいのかな と思っています。いまのワーキング・プアとか、さまざまな形で雇用の劣化が起こって いる。働いても、働いても、生活が苦しい人たちが増えている中で、やはり喫緊の課題 ではないかと思っています。  労働契約法の5頁から6頁にかけて、「期間の定めのある労働契約」、いわゆる有期労 働契約について触れています。6頁の一は民法でも確認されている事項の再確認だと思 います。問題は二、いわゆる「期間の定めのある労働契約について、その締結の目的に 照らして、必要以上に細分化された契約期間で反復して更新することのないよう配慮し なければならないものとすること」と。いわゆる、既に有期になっている人たちを不必 要に細分化してはいけないということではなくて、有期にする際にこのことを明記すべ きであると思いますので、改めて意見を述べたいと思います。 ○分科会長 それ以外に何かありますか。 ○根本代理(渡邊佳英委員代理) 渡邊佳英委員代理の根本です。渡邊委員に代わって 意見を申し上げます。まず、「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」を答申すること について、商工会議所は反対であります。特に、時間外労働の割増賃金率引上げについ ては、以前から申し上げているとおり反対であります。引上げの目的とされる長時間労 働抑制に効果があるとは思えず、その上、引上げ対象となる時間数や割増賃金の率につ いても十分に議論されておりません。なお、「自己管理型労働制」の導入については賛成 ですが、年収要件は不要であります。  次に、労働契約法と時間外労働、自己管理型労働制は、これまでの分科会でも一体と して議論してきたはずであります。結果として、特に割増賃金率引上げだけが実施され るようなことは、絶対にあってはなりません。以上です。 ○分科会長 そのほか、いかがでしょうか。 ○小山委員 私から、労働時間にかかわって発言します。前回、時間が足らなかったの で、少しお聞きしたい点もありますので詳しくお答えいただければと思います。  報告書の段階では、「自由度の高い働き方にふさわしい制度」と標記されていたわけで す。それが法案要綱になったところでいきなり、いままで当分科会でそのような扱いは されていなかったわけですが、「自己管理型労働制」という新しい名前が出てきたわけで す。なぜ、このように、報告書と違う標記を第三に持ってきたのか。前回、その説明は いただいていませんので、まずその説明をいただきたいと思います。 ○監督課長 お手元の資料No.2、「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」について、 自己管理型労働制の対象者の方ですが、「業務上の重要な権限及び責任を相当程度伴う地 位にある者」、あるいは「業務遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な 指示をしないこととする者」という中身があるわけです。こういう方については、例え ばご自身で権限、裁量を持ちながら労働時間の配分ができるという方ではないかという ことでご提案申し上げてきたわけです。  こういう方について、労働時間の自由度があるのではないかということで、従来「自 由度の高い」ということを申し上げてきたわけです。さらに、いろいろなご議論があり 「それほど自由度があるのか」ということで、誤解を招くようなこともあったのではな いかということもあり、どういう表現ですればいいのか再度検討を重ねたわけです。基 本的に、先ほど申し上げましたように、その方の判断で労働時間の配分を決められると いうのが(二)、(三)のポイントかと思います。まさに、「自分で労働時間を扱っている」 という表現のほうがより的確ではないかということで「自己管理型」、労働時間を自己管 理するという表現はいかがでしょうかということでご提案させていただいたわけです。 ○小山委員 4つの要件の中で、いま(二)と(三)の要件を言われているわけです。 この要件だけではいまのようにならないと思います。労働時間について、自己裁量で完 全に判断できる。労働時間を判断できるということは、業務量を判断できることと一体 でなければならないという議論は、何度も何度も積み重ねてきたわけです。そこから言 うと、いまは「時間について自己管理ができる」という言われ方をしていましたけれど も、この間の議論を全然踏まえていない説明だと思います。  むしろ、この「自己管理型」という言葉を聞いて私が危惧したのは、結局、労働者の 自己責任が強められるのではないか。むしろ、使用者側の安全配慮義務よりも、労働者 の自己責任ということが問われるネーミングだと読みました。ここで併せてお聞きした いのは、この制度にあります労働時間について把握する使用者側の義務、これは労使委 員会の決議等の中で、「在社時間」「労働時間の状況下」という表現があるわけです。こ れは労働基準法上の労働時間をきちんと使用者が把握しなければならないという義務、 把握した上で、それを記録しなければならない義務というように読んでよろしいのでし ょうか。それに違反した場合は、労働基準法違反となると考えてよろしいのでしょうか。 ○監督課長 まず、1点目の業務の関係ですが、先ほどの要綱の4頁をご覧ください。 「指針においては、使用者は対象労働者と業務内容や業務の進め方等について話し合う」 ということなので、その方の業務の範囲はこういうところで明確になってくるのではな いかということであります。  また、自己管理型ということで、いわゆる使用者の責任が軽減されるのかということ でした。当然、労働安全衛生法の規定についてはこういう方も含めて全員、もちろん管 理監督者についても適用があるわけですので、そのようなことは一切ございません。  また、労働時間の状況の把握ということですが、これは使用者において労働時間の状 況を把握していただくわけです。「注」に書いてありますように、時間数が超えた場合に は面接指導という形を決議して、必ず実施していただくということですので、ここの部 分については違反になるということでございます。 ○小山委員 決議して実施してもらう、その決議に反した場合は労働基準法違反という ことですか。 ○監督課長 手続違反ということです。 ○小山委員 そこで、直ちに基準法違反ということで、監督官が監督指導ということだ けではなく、さらに違反として摘発できるということですか。 ○監督課長 改善命令になります。4頁の六をお開きください。「行政官庁は、制度の適 正な運営を確保するために必要があると認めるときは、使用者に対して改善命令を出す ことかできる」ということでございます。これをやっていなかった場合には改善命令と なります。改善命令に従っていない場合には罰則でございます。 ○小山委員 改善命令ということは、改善する以前の事項については問われないわけで すよね。今後改善しなさい、改善した命令に反した場合は罰則だという意味ですか。 ○監督課長 当然、この場合には、「80時間程度を超えた対象労働者から申出があった 場合には、医師による面接指導を行うこと」ということですので、それをやっていなか ったら「やってください」となります。もちろん、やっていただかないと違反になりま すから罰則になります。 ○小山委員 やっていなかったことが、労働基準法違反として罰則の対象になるのかな らないのかということです。 ○監督課長 要するに、改善命令というクッションを置いています。 ○小山委員 クッションがあるのですか、それでは直ちにはならないということですか。 ○監督課長 指針で決議していただくことですので、手続的な違反の恐れがある場合、 そのために六の改善命令という仕組みを作っているわけです。 ○小山委員 そうすると、把握した労働時間の保存義務が生じてくるのでしょうか。 ○監督課長 状況の把握については、指針の内容になろうかと思いますが、違反につい ては六の改善命令ということになると思います。 ○小山委員 ということは、義務として保存しなければならないということは指針に書 くということですか。本文には書いていないわけだから。 ○監督課長 例えば、労働時間の状況の把握と健康確保措置については、ここには(七) ということで、「(一)から(六)までに数えるもののほか、厚生労働省令で定める事項」 と書いています。企画業務型裁量労働制と類似の仕組みということで、従前からご説明 いたしました。(七)のところ、「省令で定める」というようなことを検討する。これは またのちほどお諮りするわけですが、当企画業務型の裁量労働制と同じということでい くと(七)に入ってくるということです。 ○小山委員 そうすると、いまの段階ではまだ明確になっていないわけですか。 ○監督課長 そういうようなご提案を、改めて省令でさせていただくということです。 ○小山委員 いずれにしても、申し上げたいのは、自由度の高い働き方が「自己管理型」 という名前になった。その中で、長時間労働が懸念をされているのに、それを歯止めす る措置が、法律上きちんと取られていない。いま言われたように、改善命令というのは 将来のことですから。改善をしなかったら罰則があるが、それまででやってしまったこ とについては別に違反ではないということになるわけです。そういうところで、いまき ちんとしていかなければいけない。結果的に緩められているのではないかということを 危惧しているわけです。  次に休日の問題です。4週4日以上、かつ年間104日以上の休日ということは具体的 にどういうことなのか。考えれば4週間、28日のうちの最後の4日間休めばいい。104 日というのは年間を通じて、最後に計算してみたら104日休んでいればいいというよう に理解しているわけです。間違いかどうかをまずお聞きしたい。  その上で、あらかじめ休日を特定するということはどういうことか。以前議論をして、 質問したときに、「前日までに特定すればいい」というお答えをいただいたと記憶してい ます。先ほど申し上げたことと併せて、私の理解でよろしいのかどうかをまずお聞きし たいと思います。 ○監督課長 まず1年、かつ週休2日分の日数ですが、法律的に申しますと労働基準法 第35条の「法定休日」に104日を書き込むことですので、そのような取扱いです。現行 労働基準法第35条の2は4週で4日ですので、4週間を通じて4日休日を与えればいい という縛りがかかるということです。4週4日というのは1年間で52日ですので、104 から52を引くと残りは52ですが、残りの52については決議の中で休日を特定していた だくわけなので、決議で決めていただくということであります。  次の点、前日までに決めればいいのかと言われたら、週休2日相当以上の休日の確保、 及びあらかじめ休日を特定することを決議してくれと書いてあります。ですから、決議 の翌日からお休みいただいてもかまわないわけですが、決議してくださいということで あります。「あらかじめ決議」と書いていますので、決議してくださいということです。 ○小山委員 あらかじめ、決議をして特定をした休日に休めなかった場合、どうしても 出勤せざるを得なくて出勤をした。事後にそれが明らかになる場合があると思います。 その場合は労働基準法違反ということになるのでしょうか。 ○監督課長 現行の法定休日と同じ取扱いであることを書いていますので、振替休日と いう制度がありますが、それに該当していない場合には直ちに違反になります。労働基 準法第35条の2項違反になります。 ○小山委員 この1年は、どこからどこまでの1年かというのは、労使委員会で決議す るということでよろしいのでしょうか。暦年であろうと、年度であろうと。 ○監督課長 決議で決めていただくことになります。 ○小山委員 結局、そうすると、104日きちんと休めたかどうかというのは、1年間終 わってみないとわからないということですか。 ○監督課長 法律上の仕組みとしては、104日は1年で計算するわけです。これは以前 にもご説明させていただいたかと思います。4頁の六、「改善命令」、労働者の方からの 申し出は、あと残りの日数を考えると休みもなかなかきついなとなると、そういう事態 に至る前に制度の適正な運用を確保するために、必要があるときは使用者に対して改善 命令を出すということで適正化を図っていきたいと考えています。 ○小山委員 休日の問題では、結局、忙しい中で長時間という現実があるわけで、休め ない事態が生じるのではないか。逆に、無理して休むとすると、平日のとき、休日以外 のところに無理な長時間労働になるのではないかということが容易に推測できる。104 日の休日が新たな労働時間規制として有効だというように、厚生労働省からご説明であ りましたが、私は残念ながらそうは思えないと考えています。  次に、対象労働者の要件についてお聞きします。4つの要件が記載されているわけで すが、結局、いずれも極めて抽象的なのです。先ほど、いくつか時間の裁量があるとか、 いろいろ言っておられるわけですけれども、(一)の要件、「労働時間では成果を適切に 評価できない業務」というのは、これを読んだだけでは意味がわからない。1年間、私 が何度も何度も言ってきて、例えばうちの労働組合だったらほとんどの人が対象になる。 時間で成果を評価しているような職場は通常ありませんから。いまの賃金制度やそこに おける評価制度をご存じだったら、このような書き方はあり得ないと思っています。  それから、「業務上の重要な権限及び責任を相当程度」とあります。「相当程度」と言 うとどの程度なのかということになるわけです。業務上の重要な権限、責任を相当程度 と言った瞬間、私はむしろ非常に幅が広まって、どの程度かわからないということにな りかねないのではないか。これはいま裁量労働制にある表現と同じですよね。裁量労働 制の中でも使われている言葉であるわけです。  そうすると、いずれも(一)、(二)、(三)の3つの要件、収入要件は数字が決まれば はっきりするのでしょう。これでは対象が全く絞れないということだと思います。私の 実感で言えば、新入社員や補助的な労働をしていただいている労働者を除いたほとんど のホワイトカラーは、この要件だったら対象になってしまうと思います。しかも、たし か、実は指針で定めるというご説明があったと思います。法律で定めなければ、いくら 指針で定めてもその効果は非常に弱いと言わざるを得ないわけです。  先日の新聞記事で、厚生労働省はいわゆるホワイトカラーエグゼンプションの対象と なる人の中で、実際に適用となる労働者は2万人程度だとなっていました。そのような 説明は当分科会ではお聞きしていないわけですが、そのような分析をされているのか、 あるいはそのような根拠があるのかお聞かせいただきたいと思います。 ○監督課長 対象労働者の範囲については、私どもとしては「業務上の重要な権限及び 責任を相当程度伴う」ということで、かなり絞り込んでいると考えています。「重要」、 「相当」ということで、先ほどおっしゃった新入社員以外が全部入るというようなこと は全くないと考えています。  しかも、3頁の「注」のところ、「対象労働者としては管理監督者の一歩手前に位置す る者が想定されることから」と、これも非常に具体的にイメージを表現しているのでは ないかということであります。  管理監督者の平均的な年収水準については、そこに書いていますように「年収要件も それにふさわしいものとすることとし、管理監督者一般の平均的な年収水準を勘案しつ つ、かつ、社会的に見て当該労働者の保護に欠けるものとならないよう、適切な水準を 検討した上で厚生労働省令で定める」ということでございます。そうすると、年収水準 の定め方によって、当然対象者の範囲も自ずと明らかになってくるというのは、先ほど 小山委員もちょっと触れておられたと思います。私どもとしては、こういうようなもの として昨年来、審議会で改めてご審議いただくということですので、正式にはその時点 で数字等は提案させていただきたいと考えています。 ○小山委員 そうすると、対象者は極めて少なくて、それが20万人だとか2万人だとか という新聞報道は厚生労働省が言っていることではないということでよろしいのですか。 ○監督課長 数字として決まったものではありませんが、先ほどから申し上げています ように業務上重要な権限及び責任を相当程度伴う、あるいは(三)の「時間配分の決定」、 (一)(二)(三)(四)の全部を満たしている必要があるわけです。さらに、四の「労使 委員会」で「対象労働者の範囲」ということで、それはまさに個々の労使でお決めいた だくことですので、対象範囲については相当程度、ニーズ的に少ないものになるという のは大方当たっているのではないかと考えています。 ○奥谷委員 いまの対象労働者の件に関してなのですが、(二)も(四)も結局、「重要 な権限及び責任を相当程度伴う地位にある」というのはかなり年配の方になるような気 がします。そうすると、例えば若い女性や男性に、自由な自己管理型の労働を与えない というのもおかしいのではないか。それから、「年収が相当程度高い者」というのも入ら ないのではないか。自己管理型労働というものを幅広く、男女ともに与えるというのが 1つの大きなテーマになっているわけで、特別な人たちに特別な仕事の仕方をさせると いうことではない。知的労働の分野がどんどん広がっていく中で、役職や年齢に関係な く、若い男女を含めてそういう働き方ができる。そのような、新しい働き方を模索する という、1つの大きなテーマを掲げているわけですから、対象労働を限定してしまうと いうのは非常にマイナスの部分があると思います。 ○田島委員 いまの点、私は、奥谷委員も渡邊委員の代理の方も発言したように、対象 範囲を広げることが必要であると思います。12月27日の報告書にも、使用者側意見と して「幅広く活用できるようにせよ」というのが主張されているわけです。  厚生労働省の説明が、当初は「幅が狭い、それほど広くない」と言いながらも、これ までの法作成のときに最初は小さく生みながら、「使い勝手が悪い、もっと活用せよ」と いうことで広げてきた経過がたくさんあります。一例を挙げれば有料職業紹介です。 1,200万円を本人から徴収していいというのが、一挙に700万まで、500万ダンピングし たのは前回、長谷川委員が主張したとおりです。その意味では、「相当程度高い」をきち んとした線引きではなくて、現在は対象者は少ないけれども、一旦導入されて幅広くし ようというのは、使用者側の委員の皆さんがかねてから主張している問題だし、そうい う懸念が拭い去れないのではないかと思います。  その点について、例えばこれまでも派遣法導入のときも、専門的な能力を活用ですと いうことで、13の業務から入って16業務となった。それが1999年には、広く一般的に 入るという形になっているわけです。したがって、一旦導入したら、そういう形で広げ るというのがあるだろうと思っています。  もう1点、質問です。第41条の2項の管理監督者は、いわゆる適用除外の人たちには 深夜の割増し、あるいは手当というのは付けなければいけないですよね。今回の適用除 外の人たちはその対象ではないですよね。そこの違いについて説明がつくのかどうなの かを教えていただきたいと思います。 ○監督課長 まず最初の点、派遣法については私からコメントする立場にないわけです。 世の中の仕組みとして、例えば労働基準法に書いてある専門業務型裁量労働制の歴史を 見ると、必ずしもどんどん広がる一方の仕組みというものではないわけです。制度の仕 組み方によって適正に運営されるということは、そういうこともあるということではな いかと考えています。  2つ目、管理監督者の部分について、深夜業については昨年のこの審議会のご議論を 経まして、報告書の中には今回盛り込まれていませんので、現在の要綱案についてはそ の点は触れていないということでございます。 ○小山委員 いまのお話、対象者の範囲の問題なのですが、年収要件では一応「厚生労 働省令で定める」とあります。(一)(二)(三)のところについては、前回からのご説明 だと指針等の中でより具体的に定めるということだったように思います。そのことの確 認をお願いします。  それから、指針というのは、それに反した場合はどうなるのか。要するに、法違反と は違うという認識をしています。指針はあくまでも指針にしか過ぎないわけですから、 その点について改めてご説明いただければと思います。 ○監督課長 対象者の範囲としては、法律で書いてある中身について、資料ですと4頁 の「対象労働者の適正な労働条件の確保を図るため、厚生労働大臣が指針を定める」と いうことになっています。その指針に沿った運営がなされているかどうかは、さらに六 で、今回制度改善命令という形で適正な運営の確保がなされる仕組みをということです。  いま、小山委員からご指摘のあったところですが、指針の中身として、また法律解釈 にわたる部分として指針が定められているという部分については、指針に違反している ということは法律の解釈に違反しているということで、法律違反ということでございま す。 ○小山委員 法律違反になるのですか。 ○監督課長 その場合は法律違反になります。要するに、例えば「この規定はこういう ように解釈します」と指針に書くわけです。指針にはそう書いていますけれども、それ は法律の解釈ですので、それに違反していれば、指針も法律の解釈ですから、指針から 法律にバックして法律違反を直ちに構成することになります。 ○小山委員 その解釈についての争いがありますね。 ○監督課長 それは指針の段階でなるべく明らかにしていきたい。指針はいずれ審議会 でご議論いただくことになりますので、指針の段階で誤解のないように明らかにしてい ただくのは審議会でご議論いただくことだと考えています。 ○小山委員 それと、対象範囲について対象業務等をいろいろ指針の中で定める。ある いは、解釈の中で明らかにしていくということの中で、特に(四)は数字ですから比較 的はっきりするのでしょうが、(一)(二)(三)というのは非常に抽象的な表現でありま す。これが本当に対象となるのかならないのかについては、厚生労働省が定めた指針に 反すれば、直ちに対象労働者については労働時間規制の適用除外にはならないというこ とで、違反として元に戻すということまでしなければならない義務が生じるのかという ことです。 ○監督課長 対象労働者の範囲を指針で書いて、それに違反した場合には、法律効果と しては法律違反が直ちに構成されますので、元に戻すのではなく、最初からそうではな かったものとして取り扱われます。 ○小山委員 わかりました。 ○奥谷委員 小山委員にお伺いします。自己管理型労働というのは、使用者側からする と強制労働をさせるという意識でそういうことをおっしゃっているわけですか。強制労 働の上に立って、この指針云々ということを含めて、罰則だ何だということをおっしゃ っているのでしょうか。 ○小山委員 労働は強制されてしているとは思えません。それぞれ労働契約があって、 それに基づいて「あなたはこういう仕事ですね」と言う。いま、使用者が一方的に「あ なたはこの仕事をしなさい」ということにはならないわけで、この業務を進めていくた めには自分がどういうようにやったらいいのか。周りと相談しながらグループでやった り、そういう働き方だと思います。別に鎖に縛られて、強制労働をさせられているとい う実態ではないわけです。  ただ、現実、そうした働き方の中でも、いまなぜ長時間労働になってしまうのか。強 制されてやっているというよりも、むしろそれだけの業務量がある。あるいは、業務量 を遂行していくときに相手側にお客さんがいたり、その要望に応えるためには自主的に、 もっとこのようにしたほうがいいと思いながら、みんな長時間労働をやっていると思い ます。「あなたはこれだけ働きなさい」と言われて、長時間労働をやっているわけではな いのです。ある意味、みんな自主的にやっているのです。しかし、現実、その中で非常 な長時間労働になって、過労死や過労自殺ということも生じている。逆に責任を感じて、 「自分はこれをやらなければいけない」という責任感で仕事をし続ける結果、過労死や 過労自殺といった問題も起こっているわけです。  そうすると、どこに問題があるのか。実際の仕事の量、業務の量といったことについ てきちんと裁量が持てないとすれば、やはり「時間」というところできちんと規制をし ながら、管理監督者が「あなたはちょっと働き過ぎだから気をつけましょう」という役 割を果たす。あるいは、管理監督者でも過労死・過労自殺が多いわけですから、役員の ほうとして働き方についてきちんとチェックする。これがやはり使用者の責任ではない ですか。本当に自由に働けるのだったらその働き方のほうが望ましいと思います。決し て、否定するつもりはありません。みんなが一生懸命働いて、誰かがきちんとチェック して、あるいは客観的にチェックしていく仕組みがないと働き過ぎてしまうのです。そ ういうチェックの仕組みというのは何なのか、それは、「時間」ではないでしょうか。や はり、1日24時間しかない時間の中で、初めてチェックができるのだと思います。  決して、強制的にやらされているというつもりで言っていることはありません。むし ろ、なぜ私が、時間管理を外すのが反対なのかを言っているのは、そのような客観的な 指標をみんなで共通に持っていないといけないのではないか。ただ、自由や自己管理と か、きれいな言葉を言っても、なかなかそうならないのが現実ではないですかというこ とを申し上げているわけです。 ○紀陸委員 先ほど会議所の方も特に答申の内容についていろいろおっしゃっていまし たが、基本的には同じです。自己管理型の新しい制度について、相当にご理解をいただ きつつある段階ではないかと思います。  対象労働者の大枠を法律で定めていますけれども、基本は労使の委員会できちんと内 容を決める。範囲も、賃金や処遇の問題も、健康確保措置の問題も決めていく。ここに 「休日の確保」、「休日を特定」ということだけ挙がっています。労使で実際に話し合う ときには、やはり働き過ぎの是正、あるいは処遇をどのようにするか、その辺はきちん と詰めないと、おそらくその制度が導入しにくいし、あるいはしてもきちんと回ってい かないと思います。そういう意味で、基本の役割というのは労使委員会での話の内容に よって運用されるものではないかと思います。  そういう意味で、私どもとしては、新しい働き方に対するこれからの挑戦ということ です。いろいろな会社とか、仕事の内容はさまざまですので、労使がどこまで話し合っ てきちんとした運用ができるかというのはまだこれからの話です。本当の会社の効率化 と個人の生活のニーズをどうやって折合いをつけていくか。いろいろな意味で個人の責 任は重くなりますから、個人にダメージがいかないように、それをこれから模索してい く制度ではないかと思います。  かつ、先ほどもあったように、私どもが懸念するのは今日ここで答申が行われたあと、 この運用はもちろん厚生労働省の手を離れて、政治の世界に入ってしまう。最終的にい ろいろな意味で、この法律の扱いが片方だけ抜かれて、片方だけが走る。非常にフェア ではないと思っています。繰返しになりますが、特に時間外労働の問題については働き 方を是正する手立てにはいろいろな手段があると思っています。厳しい競争を強いられ ているケースがたくさんあるわけです。その中で、割増賃金の引上げということだけに よって長時間労働や働き過ぎが抑制されるものではないし、あまり効果はないのではな いかと思っています。働く人自身もそれほど割増賃金自体の引上げを望むものではない だろう。そういう意味で、この部分については強く反対をさせていただきたいと思って います。  契約法制については、従来からいろいろな論議が行われてきました。ある程度、時間 の制約の中で、言わば骨太の形になってしまっている。かつ、骨太の中に、私どもが望 んでいたものも多々あるのですが、それが抜かれていて非常に不満な点もあります。こ れはやむなくと理解しています。この点については、使用者側の委員は皆さん同じかと 存じています。以上、概括的ですが発言いたしました。 ○分科会長 長谷川委員、どうぞ。 ○長谷川委員 結構です。 ○小山委員 もう1つ、企画業務型裁量労働制の問題についてお伺いしておきたいこと があります。私どもはこれはダブルスタンダードではないか、労働基準法にダブルスタ ンダードを置いていいのか。それも、中小企業というのは、日本で言えば大多数を占め るわけです。こうしたダブルスタンダードの制度を労働基準法に持ち込むなどというの は、本来、労働基準法のあり方として認められるべきではないのではないかと申し上げ てまいりました。  その上で、主として従事するということは、限りなく対象範囲を拡大することになる 恐れがあるわけです。一体どういうお考えで歯止めをかけるつもりでいるのか。それも 併せてお聞きしておきたいと思います。ダブルスタンダードということについて、いま 労働基準法の中で、そうしたものが既に前例としてあったら教えていただきたいと思い ます。 ○監督課長 ダブルスタンダードと言うのかよくわかりませんが、以前審議会でもたし か議論になったかと思いますが、労働基準法第32条の5だったでしょうか。「非典型の 労働時間」では、たしか事業主は厚生労働省で定める事業であって、常時使用する労働 者の数が厚生労働省で定める日数未満のものに従事する者についてはということですの で、常時使用する労働者の人数による区分けの制度としては、労働基準法第32条の5と いうのがあるとお示しできるのではないかと考えています。  もう1つ、「主として従事する」ですが、これについては当然、企画業務型裁量労働制 の仕組みの中で現在も指針があるわけです。法律でこの部分が変わりましたら、当然指 針も変えていくことになるわけです。指針の解釈に外れたら、これは先ほど申し上げた とおりですけれども、もともと対象外であったということになり、それは十分歯止めが かかる。  また、ここに細かく書いてはありませんが、もちろん企画業務型裁量労働制について も労使委員会の決議、あるいはそれに付随するそれぞれの義務、決議内容、こういうも のが全部くっ付いているわけです。そういったことを通じて歯止めをかけていけるので はないかということでご提案申し上げている次第です。 ○小山委員 第32条の5の規定と、これとの大きさはまるっきり違うと思います。中小 企業という定義でいけば、これからの定義だということでしょう。日本で言えば多数の 労働者、過半数以上、3分の2ぐらいの労働者が対象になるのだろうと思います。そこ に緩めた制度を持ってくるというのは、明らかに企画業務型裁量労働制がきちんと運用 できるかどうかの危機に瀕するのではないかと思います。「主として従事する」というの は非常に曖昧な表現ですから、運用できていない企画業務型裁量労働制が拡大していく のではないかと危惧します。そうした意味から、こうした制度の見直しについては反対 であることを申し上げてきたわけです。  もう1つお聞きしておきたいのは、裁量労働制にかかわって報告義務の廃止のところ です。「事業場における記録の保存により、実効的な監督指導の実施が確保されているこ とを前提として」が報告の文章にあったことであります。法律の中では「前提として」 がどこでどう担保されているのか。どういう形で、報告書の「前提として」が法律案の 要綱の中で記載されているのかをお聞きしたいと思います。 ○監督課長 現行の制度で、既に企画業務型裁量労働制を決議した場合は届けていただ くという規定があります。労働基準監督署はどこの事業所で、この企画業務型裁量労働 制が行われているのかについては全部把握しているということでございます。  もう1つ、書類の保存義務が法律にも書いてあり、それに基づく省令に書いてあるわ けです。この状況については保存義務があるわけですので、労働基準監督署としてはど この事業場でやっているということと、そこに書類が保存されているということで確実 に把握ができる。これらについて保存がされていなかった場合には違反ですので、その ような形でこれは確実であると考えている次第です。 ○小山委員 ならば、なぜいままで報告義務があったのでしょうか。きちんと報告を受 けないと、監督署としても、中身について精査することができないという実態があった のではないかと思います。片っ端から全部の事業場を回って歩くわけにもいかないでし ょうから。そういう意味で、ここのところを含め、企画業務型裁量労働制の見直しにつ いても、むしろ、裁量のない働き方にもかかわらず裁量があるという働き方が、言わば 日本の多数の労働者の対象となるところにこの制度を持ち込むことになるわけで、企画 業務型裁量労働制の基本的な変質になると思います。このことについては改めて認めら れない、反対であることを申し上げておきたいと思います。 ○長谷川委員 1つは労働契約法ですが、この間ずっと労側は労働契約法について、ど ういう労働契約法がいいのかについては長い間意見を言ってきました。雇用就業形態の 多様化が言われている中で、その意味では均等待遇、雇用就業形態における差別の禁止 などということが総則の中に盛り込まれないということは、契約法としては問題がある と思っています。対象労働者についても、基準法の使用従属関係にある労働者だけとい うのも、今日の労働の実態から見ればやはり問題があると思います。この点、田島委員 が何度も指摘したところです。  最大の問題は、労働契約法の中に、就業規則という集団的なものを持ち込むことがど うなのかということ。この1年何カ月間か議論してきましたが、最終的に現実には判例 がいくつも重ねられていて、職場ではそれが定着していることから見れば、ぎりぎりの 判断として判例法理を足しも引きもしないで法文化するというのはやむを得なかったの かなと思っています。ただ、就業規則の持つ問題点については、この間労側が再三指摘 してきましたので、そのことは今後も十分に検証していかなければならないと思ってい ます。  また、有期労働について言えば、今日の非典型の問題、非正規社員の問題の中の1つ である有期雇用の反復更新というのはかなり重要な問題であります。有期雇用が本当に、 労働者の雇用の安定につながっているのかどうなのかは大きな疑問があるところです。 この有期雇用についていろいろな角度から検討して、この労働契約法に盛り込むことが できなかったのは非常に残念であると思っています。  その意味では、紀陸委員がおっしゃっていますように、今回の契約法というのは本当 に小さな、小さな法律ということになると思います。私どもは非常に不満があるし、不 十分であると思っています。これですべてとは思っていません。不満を持ちながら、今 日的にいろいろな条件を付けながら、致し方がないのかなという感じがあります。  次に労働基準法の改正ですが、今日もこのように議論が起きています。いま、小山委 員が縷々、内容について質問しましたが、私たちが導入することを認めたわけでも何で もありません。ただ、法案要綱に書いてあるものを見て、これはどういうことだと質問 しただけであります。そこは是非、勘違いをしないようにしていただきたいと思います。  自己管理型労働制はやはりおかしかったと思っています。まず「自律的労働時間」、そ の次に「自由」となりました。それから、「自己管理型」と名称が変わっている。しかし、 具体的な制度設計は一貫して変わっていないわけです。だから、最初からホワイトカラ ーエグゼンプション導入ありきで、あとは全部付け足したような理由だったのではない かと思っています。多くの人たちが自己管理型労働制の導入に対して反対していること は事実です。この制度が入ったらどうなるのか。使用者の方々はバラ色みたいな話をし ていますけれども、この制度がバラ色だと思っている人はほとんどいないと思っていま す。私の知る限りでも80何パーセントの人は反対だと言っているわけです。  いま、何が労働時間で問題かと言えば、長くなった長時間労働をどう是正するのか。 休日を取らなくて取得率が悪い、という状況をどう改善するのか。そして、過労死や過 労自殺、長時間労働によっていろいろな健康障害を起こしているという現実をどう改革 していくのか、改善していくのかが労使にも問われているし、政府にも問われているの ではないかと思っています。そのような意味では、今回、この自己管理型労働制を導入 することは大きな問題がありますし、私は認めることはできません。  次に、先ほど小山委員も指摘されましたが、企画業務型裁量労働制についてのことで す。今回、中小企業については「企画、立案、調査及び分析の業務に主として従事する 労働者」ということで、対象労働者を非常に拡大することになると思います。この「主 として」というのは非常に大きな問題で、制度を拡大していくときに「主として」、主従 の関係を使えば何でもできるとなるわけです。この企画業務型裁量労働が中小の中で、 対象労働者を非常に拡大してしまう。そして、ダブルスタンダードを作ってしまうこと が労働基準法という法制の中で適当なのかどうかについて、私は問題があると思ってい ますし、こういう制度は導入すべきではないと思っています。  したがって、何度も申し上げましたが、いま労働時間に問われているのは長時間労働 をどうやって是正するのか。我が国の労働者をどう健康にしていくか。仕事と家庭生活、 仕事と地域活動というものをどうやって調和させて、労働者がいきいきと仕事をやり、 生活を確保するかが重要なのではないかと思います。  何度も申し上げます。自己管理型労働時間制度と中小の企画業務型裁量労働制度の緩 和については、私は認めることはできません。以上です。 ○原川委員 いま企画業務型裁量労働制について意見が出ました。中小企業の立場から 1つ言わせていただきます。ダブルスタンダードとおっしゃっていますけれども、我々 は何も中小企業だからいいかげんなところを認めてくれと言っているわけではありませ ん。この制度を中小企業でも有効に活用できるように、実態に合うように考慮してほし いということを申し上げているわけです。是非、この制度の拡張、拡大については実現 をしていただきたいと考えています。  先ほど紀陸委員、あるいは会議所の委員から出たように、私ども中小企業としても割 賃の引上げについては賛成はできません。それから、マスコミ等でいろいろ言われてい ますが、まかり間違っても割賃の先行実施ということは行うべきではないと、強く意見 を述べさせていただきます。以上です。 ○分科会長 ほかにご意見はありませんか。ただいま、種々のご意見がありました。当 分科会では昨年末の答申に至る議論を含め、これまで議論を重ねてきたところでありま す。審議の過程で出された労使各側委員の意見を特記する形で、これまでの審議の到達 点を答申としてまとめてはどうかと思います。事務局から案文を配付していただき、読 み上げていただきたいと思います。 (答申案文配付) ○監督課長 お手元の案について読み上げます。  労審発第○○号、平成19年2月2日。厚生労働大臣、柳澤伯夫殿。労働政策審議会会 長、菅野和夫。  平成19年1月25日付け厚生労働省発基第0125001号をもって諮問のあった「労働契 約法案要綱」については、本審議会は、下記のとおり答申する。  記 別紙「記」のとおり。  (案)(別紙)、平成19年2月2日。労働政策審議会会長、菅野和夫殿。労働条件分科 会分科会長、西村健一郎。  「労働契約法案要綱」について。  平成19年1月25日付け厚生労働省発基第0125001号をもって労働政策審議会に諮問 のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。  記 要綱については、おおむね妥当と考える。  (案)労審発第○○号、平成19年2月2日。厚生労働大臣、柳澤伯夫殿。労働政策審 議会会長、菅野和夫。  平成19年1月25日付け厚生労働省発基第0125002号をもって諮問のあった「労働基 準法の一部を改正する法律案要綱」については、本審議会は、下記のとおり答申する。  記 別紙「記」のとおり。  (案)(別紙)、平成19年2月2日。労働政策審議会会長、菅野和夫殿。労働条件分科 会分科会長、西村健一郎。  「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」について。  平成19年1月25日付け厚生労働省発基第0125002号をもって労働政策審議会に諮問 のあった標記については、本分科会は、下記のとおり報告する。  記 1、要綱については、以下の意見のあった事項を除き、おおむね妥当と考える。  2、労働者代表委員から、要綱第三の自己管理型労働制について、既に柔軟な働き方 を可能とする他の制度が存在すること、長時間労働となるおそれがあること等から、新 たな制度の導入は認められない、要綱第四の企画業務型裁量労働制について、二重の基 準を設定することは問題であり、また、対象者の範囲を拡大することとなるので、見直 しを行うことは認められないとの意見があり、使用者代表委員から、要綱第一の時間外 労働について、割増賃金の引上げは長時間労働を抑制する効果が期待できないばかりか、 企業規模や業種によっては企業経営に甚大な影響を及ぼすので引上げは認められないと の意見があった。  以上です。 ○分科会長 答申案文については、いま読み上げてもらったとおりと考えます。いかが でしょうか。 ○根本代理 先ほども申し上げたとおり、労働基準法改正の法案要綱の報告及び答申す ることには反対であります。そもそも、この報告文案にあるとおり、法案要綱の主要な 部分について労使から反対意見があるにもかかわらず、法案要綱を報告及び答申するこ とが理解できません。  現在、自己管理型労働制については、「残業代0法案」などとマスコミ等で報道され、 世論に誤解を与えている状況にあります。こうした中で公正な判断は期待できないと思 われ、いま本法案要綱を提出することは不適切であると考えます。以上です。 ○分科会長 ほかの委員の方、いかがですか。 ○廣見委員 先ほど会長からもお話があったわけですが、本件について実質的には相当 の回数を重ねて審議してきました。  確かに、項目ごとに見ますとそれぞれのご意見もあり、意見の一致していないところ もあるわけです。しかし、実質的には昨年の答申、さらにはそれを踏まえての要綱とい うことですので、この際、やはり委員間で意見の一致を見たところ、あるいは見なかっ たところを明らかにしながら、いまお手元に配付されたような形で答申を取りまとめる ことは必要であり、また適切なのではないかと思います。 ○分科会長 いま、渡邊佳英委員代理の根本さん、廣見委員からご意見がありました。 他の委員の方はいかがですか。 ○長谷川委員 今日、使側から、そのような意見が最後のまとめのところで出されて、 私どもとしてどう対応していいか困ってしまいます。 ○紀陸委員 私どもは、主張がこの中に入っていますので、言いたい力点はここに入っ ています。 ○長谷川委員 使側でまとめてもらわないと。 ○紀陸委員 まとまっていると思います。 ○分科会長 それでは、本件の案文について、改めて他の委員の方にお諮りしたいと思 います。いかがですか。 ○根本代理 反対です。 ○平山委員 先ほど、会長からもお話がありましたし、公益側の委員の方からもお話が ありました。我々自身もずいぶん長い時間を使って議論をし、お互いの中でも議論を重 ねてきています。最終的な答申内容のところも、意見があるところは意見があるところ として併記されています。この分科会の議論の中身としてこうであったという答申とし て、私はこれで結構だと思います。  もう1つ、ただし、先ほど意見を言われましたように、ずいぶん変な言葉でマスコミ に書かれています。広く世の中に誤解を与えていると思います。不真面目な話をしてい るわけではないし、口をはさんで叩き合いをやっているわけでも何でもない。多分、こ ちらに並んでいる人も、組合側にいらっしゃる人もそうだと思っていらっしゃると思い ます。1つひとつの仕組みをみんなで作り上げる、という形で制度が成り立っている。 それぞれ、いろいろな点はありますが、真面目に議論をしてきた結果として先ほど示さ れた答申案でかまわないのではないか。短いですが、簡潔に押さえているので結構だと 思います。 ○分科会長 ずいぶん長い間議論をしてきました。答申案という形で答申をさせていた だきたいと思います。長期間にわたり精力的に議論をしていただき、ありがとうござい ました。本日の議事録の署名は八野委員と奥谷委員にお願いいたします。                  (照会先)                     労働基準局監督課企画係(内線5423)