07/02/01 第3回医療情報の提供のあり方等に関する検討会議事録 第3回 医療情報の提供のあり方等に関する検討会 日時 平成19年2月1日(木) 13:00〜15:00 場所 中央合同庁舎5号館専用第15会議室 ○企画官(中村) ただいまから、第3回「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」 を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多忙中のところ、当検討会にご出 席をいただきまして誠にありがとうございます。本日は、社団法人日本医療法人協会副会 長の須藤祐司委員から欠席の連絡をいただいております。  配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表のほか、資料1から資料4ま でを束ねたものがあります。中身として、資料1「広告規制についての医療法関連規定」、 資料2「広告の方法及び内容に関する規制について」、資料3「広告規制についての医療法 関連規定対応表」、資料4「医療広告ガイドライン骨子案」です。  参考資料として、前回までご議論いただいておりました、「医療機能情報提供制度の項目 案」について、念のためにお配りさせていただきました。以後の議事進行は、長谷川座長 にお願いいたします。 ○座長(長谷川) 本日は、大変お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうござい ます。議事に入ります前に、規定によりまして、欠席者等について代理出席や、オブザー バーの参加を逐次承認することになっております。本日は、社団法人日本医療法人協会の 須藤委員の代理として、同じく副会長の近藤脩参考人のご出席をお認めいただきたいと思 うのですがいかがでしょうか。 (異議なし) ○座長 ありがとうございました。それでは議事に入ります。本日の議題は、この委員会 の2つのテーマのうち、2つ目のテーマである「広告規制の見直し」です。医療法におい て、広告規制については法律改正がなされ、その見直しが決まりました。それを踏まえ、 省令・告示で定めることになっております事項について、この委員会で議論することにな っております。その項目について事務局から説明をお願いいたします。 ○企画官 座長からもお話がありましたように、本日は広告規制の見直しについてご議論 をお願いいたします。大きく申し上げますと、広告規制の緩和に基づき、省令・告示、そ れからガイドラインを作成しなければならないことになっておりますので、そのご議論を お願いいたします。  資料1の1頁で、改正案のご説明の前に、今回の法改正の中身を確認させていただきま す。ここに、今年の4月から改正になる、医療法の広告規制に関する関連の条文を掲げて おります。「医療若しくは歯科医療又は病院若しくは診療所に関しては、文書その他いかな る方法によるを問わず、何人も次に掲げる事項を除くほか、これを広告してはならない」 ということで、第1号から第13号まで列挙されています。  その中で第7号など、厚生労働大臣が定めるものという形で4つほど、厚生労働大臣が 別に告示を定めなければならない部分があります。ここの中身をご議論いただくのが主た るテーマになります。  2頁で第3項のところに、広告を行う場合に、その内容が虚偽にわたってはならないと いう規定が法律上あります。そのほかの必要な基準ということで省令を定めることになっ ていて、これが第4項です。この省令についても後ほどご説明申し上げます。3頁は、助 産師、助産所についても同様の規定があるということでご確認いただければと思います。  資料2は「広告の方法及び内容に関する規制について」という見出しのペーパーです。 資料2の表紙をめくった頁は、今ご紹介いたしました法律の規定に基づいて、現行の省令 は真ん中で四角囲みしたところです。法律で、虚偽広告は駄目ということが書いてあるわ けです。併せて、省令の段階で、いわゆる比較広告の禁止、それから誇大広告の禁止とい うことが書かれております。  今回、いままでの個別具体的な限定列挙方式から、少し包括的な書きぶりに法律が改正 されたこともあり、この基準について現行の第1項、第2項に合わせ、「客観的事実である ことを証明できない内容の広告を行ってはならない」という第3項。それから「公序良俗 に反する内容の広告を行ってはならない」という第4項を追加させていただきたいという ことで事務局案をお示しているものです。これは省令です。  資料3(A3判)は4つの項目に分かれていますが、いちばん左の欄が先ほどご確認い ただきました、法律の規定の各号を列挙した部分です。右から2つ目の箱は、現在、法律 なり告示で限定列挙している部分で、それぞれの法律に対応する形で整理しております。 第1号から第5号については、こうした形で現在読めているものについては、基本的に広 告可能になるということです。  第6号のところですが、病院の施設・設備又は従業者に関する事項、ということが今回 の広告の対象として入ってくるわけです。その結果として、備考欄をご覧いただきますと、 例えば保有される医療機器のようなものについても、今後は広告が可能になるということ で、確認のために整理しております。ただし、個別の販売名については、引き続き広告の 対象から外すということで括弧にしています。こうした点については、ガイドラインの中 で明確にしていく、というふうに考えているところです。従業者に関する事項として、写 真であるとか映像といったものも今後は対象になるであろうということで○という形にさ せていただきました。  第7号については、これまで医師・歯科医師について、その氏名や略歴等を広告の対象 にしていました。さらに、専門医と呼ばれる部分について、一定の要件を満たした場合に 限り、その専門性の認定を受けた旨を広告可能にする、という仕組みになっていたところ です。今回の法改正を受けて、医師・歯科医師以外にも、薬剤師、看護師その他の医療従 事者に関する事項が法律上追加されているということで、その部分について対象にしてい るものです。  特に、専門性の認定に関する部分ですが、別途定める要件を満たした場合には、薬剤師、 看護師その他の医療従事者の専門性に関する規定についても、広告の対象として広げては どうかということで事務局案を出しております。  別に定めるという部分ですが、資料3のA3判の資料のすぐ次のA4判の資料で、資料 3の別紙と書いたものをご覧ください。現在、医師・歯科医師については、第1号から第 9号に掲げる要件を満たした場合には、その専門性に関する認定を受けた旨を広告できる ことになっております。学術団体として法人格を有している、会員数が1,000人以上等、 取得要件を公表している、研修について5年以上の受講を条件としているといった規定が あるところです。  基本的には、この対象の職種を広げるということで考えているわけですが、下の四角囲 みの改正案の第6号をご覧いただきますと、この中で研修の受講の要件については、医師・ 歯科医師については5年以上という条件になっています。養成期間の長さ等に鑑み、看護 師その他の医療従事者においては3年以上という条件とすることでいかがかということで、 事務局として提案しております。その余の条件については、現行のルールと何ら変わらな い形で整理させていただきます。  もう一度A3判の1枚目に戻りまして、第8号から次の頁の第9号、第10号のところ は、法律の規定がそのまま適用される部分です。第11号は、医療の内容に関する広告の 部分です。法律上の構成としては、医療の内容に関する事項とあり、括弧書きで「検査・ 手術その他の治療の方法については、医療を受ける者による医療に関する適切な選択に資 するものとして厚生労働大臣が定めるものに限る」という限定を付した形になっておりま す。  現在、この医療の内容については診療報酬点数表に規定するものを、まさにその規定ど おりに広告する場合には広告ができるという実務になっております。この部分については、 今後保険診療、保険外併用療養の中の評価療養・選定療養については、これまで同様対象 にしていく。  自由診療の分野で、3つのカテゴリーを新たに広告の対象として加えてはどうかという ことで追加しております。まず分娩です。分娩については、現在、分娩件数については既 に広告ができることになっておりますが、分娩そのものについても広告の対象として加え るということです。  自由診療の中で、診療報酬点数表上記載されているものと同一のものについては、自由 診療であっても広告の対象に加えてはどうか、ということで整理しております。治療目的 であれば保険が効くような手技・検査等であっても、治療以外の目的、例えば美容目的な どで医療行為が行われている場合に広告の対象にしてはどうかということです。ただし、 条件を付していて、自由診療であるということ、標準的にいくらぐらいかかるのかという ことを併せて広告の中で書いていただく。こういう場合に限って認めることとしてはどう かというものです。  併せて、自由診療の中で、薬事法の承認を受けた、あるいは認証を受けた医療機器なり 医薬品について、使用する場合にそれも対象とする。ただし、この場合についても自由診 療であること、いくらぐらいかかるのかということについては併せて広告の中で明らかに していただきたいということで整理しております。第11号の右側の備考欄を見ますと、 医療機器・医薬品については、個別具体の販売名については、今回の広告の対象からは外 すということで整理しております。  専門外来のところは、医療機能情報提供制度をご議論いただきましたときに、患者にと って必要な情報ではないかということで、各医療機関から報告をいただき、それを各都道 府県において集約化し、インターネット等で情報提供される、という対象には加えたわけ ですけれども、広告の対象としてこの専門外来というものを認めてしまうことになります と、別途第2号のところにありましたが、いま標榜診療科という仕組みが別に医療法の中 にあります。この標榜診療科で認められたものに限り、対外的に広告できるというスキー ムの中では、専門外来まで広告の対象に広げていくというのはちょっと行きすぎであろう ということで、ここでは対象外という整理にしております。  第12号については、医療実績、あるいはアウトカム情報と呼ばれる部分についての広 告の部分です。これまで、広告が可能であった部分については引き続き対象にしておりま す。併せて、治療結果に関する分析を行っている旨、あるいはその分析結果を提供してい る旨、さらには患者満足度調査を実施している旨、あるいは実施結果を提供している旨に ついては広告の対象として加えたいということです。  しかしながら、死亡率とか治癒率といったアウトカム情報そのもの、数値そのものにつ いては、その数値を客観的に評価し得るかどうかということについて、まだまだ検証する 余地があるだろうということで、医療機能情報提供制度のほうでも、今後引き続き検討し ていき、客観的な評価が可能なものから追加していくというような整理をさせていただき ました。この広告についても、同様の整理ということにさせていただきました。  A3判の3頁で第13号です。ここは、バスケット・クローズです。基本的にこれまで 広告の対象となっていたものはすべて読み込めるように、真ん中の広告案を用意いたしま した。その中で4つ目の◎で「法令の規定に基づく事業又は国の通達に基づく事業を実施 する病院又は診療所である旨」ということで、これまで、例えばエイズ拠点病院であると か、非常に限定的に列挙していた影響もあり、逆に告示がないものは広告ができないとい う状況だったわけですが、少し包括的に書かせていただくことにより、右側の欄にあるよ うなものも、例えば広告可能になるということにしてはどうかということです。  少し広めの箱を見ますと、受診の便宜を図るためのサービスということで、これもその 右側にありますように、個別具体的にこれまで告示をしていた部分を、少し包括的な規定 にすることにより、他の便宜サービスについても広告の対象に広げていくということにし てはいかがかということで書いております。以上が、病院・診療所に関する広告の部分で す。  A3判の4頁が助産師あるいは助産所に関する広告の部分です。基本的には、これまで 広告可能であった部分については、広告の対象になり得るということで告示を用意させて いただこうと思っております。新たな項目としては、そもそも法律の段階で第7号で、嘱 託医師の氏名、病院若しくは診療所の名称等に関する、要するに連携に関する事項が加わ っております。  第9号のところでは、病院・診療所について申し上げた、受診の便宜を図るためのサー ビスという書き方であるとか、あるいは患者満足度調査を実施している旨、あるいは実施 結果を提供している旨等を追加しています。以上が、広告規制に関する告示の関連部分で す。  資料4は、今回法律上の規定、あるいは告示がこれまでの個別具体的な記載から、かな り包括的な規定になるということで、実際に広告の対象となり得る範囲について、かなり 曖昧な部分等が出てくるであろうということで、できる限り明確化を図っていく必要があ ると考えているところであり、この医療広告ガイドラインを作る、ということが既に医療 部会の方針としても出ています。  本日の段階では、このガイドラインの骨子について資料4という形でお示ししていると ころですが、次回このガイドラインにさらに書き込んだ形で、最終に近い形でお示しして、 またご議論をお願いしたいということです。本日の段階では、こうした構成なり、必要な 要素について、ご意見等を賜ればと思っております。  この医療広告ガイドラインの性格としては、医政局長の通達という形で、各自治体のほ うにお示しをしたいと考えております。ガイドラインについても必要に応じ、随時見直し を図っていくことになろうと思いますけれども、さらに個別具体的な事項については、Q &Aのような形で定期的に整理し、例えば、我が省のホームページでアップしていくとい うような形で、全国的にうまく運用がいくようにしていくようなことも考えたいと思いま す。  構成としては、「はじめに」から始まり、第1として「広告規制の趣旨」ということで、 今回の広告の中で可能な範囲を相当程度拡大した旨であるとか、その広告規制に違反して いる場合には、さまざまな行政上の措置の規定を整備したようなことを書かせていただき ます。  それから、広告の基本原則のところで、広告を行う者が、患者等が広告内容を適切に理 解し、治療選択に資するよう、客観的で正確な情報の伝達に努めなければならない、とい うことを書かせていただきます。それから、広告可能な事項、あるいは禁止される事項に ついて、中身の基本的な原則を書かせていただくところがこの部分です。  次の頁では、改正の内容を少し詳しく紹介させていただいた後、4のところで「他の法 律における規制との関係」という項目を起こそうと考えております。これは、今回医療法 の広告規制としてはかなり緩和されるわけですが、当然他法令に違反する広告というのは、 今回の緩和の有り無しにかかわらず違反ですので、そうしたところはこのガイドラインの 中でも明確にしておきたいということです。他法令との密接な連携が必要だということも 書かせていただこうという部分です。  第2は「広告規制の対象範囲」ということで、広告の定義を(1)から(3)のところで書いて おりますけれども、書かせていただこうと思っております。伏せ字とか暗示表現のような ものでも広告ですということです。  一方、院内向けの掲示であるとか、院内で医療機関が配っているようなパンフレット、 それからホームページのようなものについては、原則として広告ではないという整理をし ておりますので、その点についてはこのガイドラインの中でも記載をしておきたいという ことです。広告規制の対象者は、医療関係者に限らず、医療機関の広告を行えば、マスコ ミ、患者、あるいは一般の方であっても規制の対象になるということを書きます。  それから、非常に難しい分野ですが、広告ではないように見せかけてというのも何です が、事実上広告になっているようなケース、いわゆる二段広告のようなもの、あるいはそ のタイアップ本のようなものも広告だということを書かせていただこうかと考えておりま す。  3頁は、逆に広告可能な事項についてということで、当然医療法なり、今回の告示で定 めたようなものについては広告が可能になるわけですので、それぞれについて現在出てい る通達等で示しているような解釈も含めて、少し具体的に例示、あるいは解説を付す部分 です。本日は、そこまで作業は進めておりませんけれども、わかりやすい表現というのは 可能である旨であるとか、文字に限定せず、写真やイラスト等も可能だということは書く。 一方で、広告の中で風景を使っているとか、いろいろな模様が入っているとか、芸能人の 写真が載っているとか、こういう部分については広告そのものではないということで整理 させていただきます、ということをここで明らかにするということです。  第4は「広告不可能な事項」という部分です。医療法なりに基づく省令等で、禁止とす る部分について、その趣旨・内容等について少し説明を付す部分ということです。下に例 示を書きましたけれども、例えば「絶対安全な手術です」というような広告は虚偽広告と して扱います。「比較的安全な手術です」というようなものも客観的な事実と証明できない。 患者の体験談のようなものも、非常に主観にわたるということで、広告の対象ではないと いうこと。「著名人が、当院で治療を受けておられます」とか、直接医療行為と関係がない ようなものについても、広告の対象ではないということで書かせていただこうと思ってお ります。  4頁で、第5として「相談・指導等の方法について」ということです。広告規制が緩和 される中で、実際にさまざまなケースが起きてこようかと思いますけれども、そうした苦 情なり相談なりに対応する窓口を明確にしておく必要があるということで1番を書くと。 それから、消費者行政との連携が非常に大事であろうということで、その点について少し 書かせていただきます。  今回の法改正に伴い、報告命令であるとか、立入検査、あるいは悪質な場合の広告の中 止命令、是正命令等の規定が整備されたわけで、こうした不適正、あるいは不当な広告が あった場合に、行政が取り得るスキームについてここで整理をさせていただこうという部 分です。  以上が、本日ご議論いただきたい省令・告示、さらにはガイドラインの骨子案です。今 回ともう一回ぐらいお時間をいただいて、一定の方向性を出していただければ大変ありが たいということで是非よろしくお願い申し上げます。私からは以上です。 ○座長 わかりにくい対応表をうまくまとめるのに大変ご苦労されたかと思います。先ほ ど一言足りなかったのですが、本日の議論のテーマは、ここで示されました省令・告示で 定めることになっている事項と、もう1つガイドラインがありました。しかし、本日の議 論は、主に二項を中心ということになってはおりますが、テーマとしては2つあるという ことを先ほど言い忘れましたので付け足します。かなり大部のものでありますけれども、 ご質問、コメント等がありましたらお願いいたします。 ○飯倉委員 現行の取扱いも含めて、内容の確認と質問をさせていただきます。資料3の 1頁の第7号の専門性に関する広告ということで、資料3でA4判の別紙が付いています。 現状の中で医師と歯科医師ということで9項目あります。その中で、認定に関して5年以 上の研修の受講ということで、今回はここのところの幅を少し広げるということです。現 行の5年以上の研修の受講という条件の、この研修の具体的な中身というのは、その上の 項目の5項目目の専門性に関する資格の取得条件の公表の中に、5年間の中でこういう研 修を、例えばこのぐらいの単位で履習することを要件にしているとか、そういうことが公 表されているという理解でよろしいのかどうかを確認させていただきます。  その研修の内容については、広告ができない事項ということで×がA3判のほうの表に は入っていますが、この辺りの理由を教えていただきたいということです。  今回、それを薬剤師と看護師を含めたコメディカルのところに拡大するということです けれども、実際に現状の中で対象となるような、それぞれの協会なり学会なりの専門性の ある資格といいますか、研修制度といいますか、そうしたものがどのぐらいあると想定な り把握なりしているのかその辺も教えていただきたいということです。  もう1点は、次の頁の第11号のところですが、医療に関する適切な選択に資するもの ということで、新しく分娩と自由診療ということで加えられていますが、この分娩そのも のに対する広告というのは、具体的にどういう中身なのか。例えば、分娩料だとか、分娩 介助料の料金だとか、そういうものも含んでいるのかどうか、この辺の考え方を補足いた だければと思います。 ○座長 第7号に関する4点と、それから第11号の分娩に対するご質問ですが、事務局 からお願いいたします。 ○総務課専門官(飯村) ご質問いただきました、現状の専門医と専門歯科医師の制度に おける研修の内容についてです。これは各専門医を認定する学会が定めた研修カリキュラ ム、規程といったものに沿って5年間以上の研修を担保していただきます。その研修の規 定というのは当然オープンにしていただくといった要件で、学会の規程に沿った研修を受 けた人が、初めて専門医の試験の資格が与えられる。試験に合格した人が専門医の資格の 認定を得た場合に、その旨を広告できるという現状の制度になっております。それは、ご 指摘のとおりです。  2点目の、薬剤師、看護師、その他コメディカルの現状の専門性の制度ですが、薬剤師 と看護師に関しては、認定看護師ですとか専門看護師、専門薬剤師というものを、一部看 護協会や病院薬剤師会等で行っております。ただ、我々が現在承知している限りにおいて は、今回掲示させていただいた5年間の研修を要件とするとか、3年以上を要件とすると いったことは、現状ではまだはっきりできていないと認識しておりますので、仮に今回提 示した案で告示の基準を作った場合には、今後この基準に沿ったスキームに、その専門の 資格の要件を変えていただいて、その研修カリキュラムに沿った後に認定された場合に、 広告ができるようになるという認識です。  分娩に関する事項ですが、これは分娩に関する費用も広告できるようにいたしますし、 そもそも当院では分娩を扱っておりますとか、お産を扱っておりますとか、そういうこと を広告可能にするという考え方です。 ○内田委員 いまの質問に対する関連です。専門医制度、あるいは専門資格については、 学会ごとのバラつきが非常に多くて、いま検討されている途中であります。中には、学会 員が例えば1,000人いるとすると、90%以上が専門医であるとか、あるいは学会によ っては5、6%しか専門医がいないとか、学会によりバラつきが非常に多いし、専門医そ のもののあり方に関する検討がいま進められているところであるという認識でおります。 その中で、専門医の広告ということについての取扱いというのは、何らかの注意を喚起す るようなコメントを付けたほうがいいのではないかという印象を持っております。  もう1点は、A3判の2枚目のところの、専門外来の広告に関しては×と。現状では標 榜診療科のみということになっております。先日の議論の中で、医療機関の医療機能に関 する一定の情報というところでの扱いでは、専門外来についてもこれを表示することを認 めたと認識しております。そこのところは整合性を付けておいたほうがいいのではないか ということを感じております。 ○座長 前者の専門医制度に関する若干のコメントというのはどういうものでしょうか。 ○内田委員 これは、学会によって専門性という点での評価が異なっているというコメン トを、情報の受け手のほうにわかりやすくするというか、はっきり認識していただくこと が必要ではないかということです。 ○小方委員 内田委員からお話がありましたように、専門医の広告の仕方としては、何々 学会認定何々専門医という広告をされていると思うのです。まだ広告規制に入っているほ うでは、例えば院内掲示に、認定医とか、指導医と掲示されるケースもありますから、患 者の目から見るとどういうレベルなのかとか、その基準が非常にわかりにくいと思うので す。いまお話がありましたように、学会でそういう検討が進められているということであ れば、専門医なら専門医とか、言葉の整理も含めて標準化といいますか、学会横並びの標 準化みたいなものを是非進めていただいて、そういう表示の仕方も含めてお願いできれば という気がしますので要望しておきます。 ○辻本委員 そもそも、現在患者は、専門医が何で、認定医が何でと、言葉の定義以前に、 その違いすらわかっていない人も多いと思うのです。だけど、情報の期待値というのはそ こがグッと上がって、むしろインターネットでそういう項目から調べていって、あの方は 専門医と書いてあります、認定医と書いてありますというように、そこに誘導されてしま うのです。  内田委員がおっしゃったように、患者にわかるようにということが、果たしてどのよう に書けば患者が理解できるのか。理解能力はそれぞれ人の数だけあるとすると、本当にこ このところは一方で期待を膨らませ、一方で現実ということで、がっかりするようなこと というのも情報が入るようになればなるほどこれからどんどん増えてくるように思います ので、議論を尽くしていただきたいところだと思います。 ○座長 いまは専門性のところに議論が集中しているようですが、それに限っていかがで しょうか。 ○内田委員 学会の集まりであるところで、専門医のあり方とか、専門性の名称というと ころを、いま整理して検討しているところなのです。その結果を待って表示するのがいち ばんいいのではないかと思います。 ○座長 一方で患者のほうでも知りたい、あるいは病院・診療所のほうでもそこのところ は宣伝したいということもあるでしょうね。いま言ったようなことを保障するとなると、 かなり細かい条文を付加しなければいけないので、この項目の1枚の紙なり何なりに載る のか。インターネットであれば、クリックしておいて飛べばわかるのですけれども、事務 局から何かありますか。 ○企画官 ご紹介させていただこうかと思いますのは、専門医そのものについては、いま も内田委員からご指摘がありましたように、そのあり方についてさまざまご議論があると いうことは私ども承知しております。平成17年12月8日にまとめられました、社会保 障審議会医療部会の、今回の医療法改正に向けた意見の取りまとめの中でも、専門医がい まは各学会にその質の確保が委ねられている中で、専門医の質の確保に当たり、国あるい は公的な第三者機関が一定の関与を行う仕組みとすることを含め、医療の質の向上と医療 安全のさらなる推進を図る上での、専門医の育成のあり方について検討すべきであるとい うことで、課題としては認識がされております。これについても、また別途検討会もあっ て、その課題の1つとしていま議論を行っていただいています。一方で、当然各学会の皆 様が、それぞれの学会としての立場で一堂に会してご議論されているということも伺って いるところです。  今回の広告規制の中では、医師・歯科医師の専門医に関する広告の部分については、し たがって現行のルールをそのまま適用するということが当時の医療部会の中でのコンセン サスでもあったと承知しているところです。したがって、今回の本日お諮りしているもの は、その対象の職種が広がっている部分がお諮りしている部分で、その医師・歯科医師に ついては現行どおりという形にさせていただいているというところです。 ○辻本委員 いまの、対象が広がっているという件ですが、先ほど専門官の説明の中で、 3年以上ということを規定する中で、それに見合わないそれぞれのコメディカルのほうの 問題については、要件を変えてもらうこともあるという話がありました。この要件を変え るというのは、具体的には増えるほうなのか減るほうなのか、その辺りは私には全くわか らないので説明していただけますか。 ○総務課専門官 補足させていただきます。例えば、現在1年間の研修を受けた人が癌の 認定看護師になるという制度があったとします。そうすると、その認定を受けた方は、今 回の案で示した3年という要件からしますと、2年間研修期間が足りないことになります。 学会の認定専門看護師であることは構わないのですが、医療法上の広告を行う要件は満た さないということで、今後広告可能な要件とするためには、学会のほうで要件を変えてい ただいて、3年以上というのを専門資格の要件に変えていただくという形で、今よりハー ドルを高くしていただくことが必要になってきます。 ○飯倉委員 先ほどの質問の中で1つお答えいただいていないのですが、研修については 私も辻本委員がおっしゃったように、患者の立場で見ればどういう専門医なのか。専門医 というぐらいだから、普通の医者に診てもらうよりはいいのではないか、というようなイ メージなのかという認識があります。  いまお話がありましたように、どういう研修を受けているのかとか、どういうカリキュ ラムをこなしていまの資格を有しているのか。そのことが、実際に文字として出て、それ が意味合いとして実際に患者がわかるかどうかというのは別にして、いずれにしても、ど ういう研修を受けてきたのかということも、1つの専門性を推し量る内容になるのかと思 いました。現状の中では、研修の内容自体は広告できない事項とされていますので、その 辺りの考え方をお聞かせいただければと思います。 ○総務課専門官 すみません、先ほどは失礼しました。現状の専門医になるための研修と いうのは、学会が定めております。多くの学会が、指導医がいる認定施設とか研修のため の設備があるといった施設で、指導医の下で臨床に従事しながら、座学も受けながら、レ ポートも提出しながらという形で研修を受けていただきます。  その中には、一定の手術の件数の要件などが定められていて、それを満たして研修の修 了書が交付されたら、研修修了という形で受験資格が与えられる、という制度を作ってい る学会が多いのが現状です。  もう1つのご質問の、研修は広告できないようにしよう、ということを今回我々が提示 した趣旨ですが、専門医の広告ができる場合には、その専門医の要件としての研修の内容 は、逆に学会としてはオープンにしなければいけないという状況になりますので、患者が 知ろうと思えば、どんな研修を受けてきたのかというのは、その学会に問い合わせればわ かることになります。  一方で、この要件を満たさないような学会の研修になりますと千差万別で、もちろん研 修をしても差し支えないような、患者の選択に資するような高度な研修もあるでしょうが、 中には医学的に考えてもいかがなものか、といったものを排除する基準を作ることがなか なか難しい状況です。また、ここで専門外来と同じで、標榜診療科との誤認を与えるよう な研修の内容を抱えてしまうおそれがあることから、とりあえず今回の我々の提示の案と しては、研修について今回は見送りたいと考えております。 ○大井委員 専門医の問題にもう一度戻らせていただきます。最初の、医療機関の医療機 能に関する一定の情報として、都道府県が公示できる専門外来というのは標榜診療科とい うことに限られていましたね。 ○企画官 そもそも、専門外来という言葉自体が定義のあるものではありません。標榜診 療科と呼ばれるものは、医療法に基づく制度で、許可大臣が定めた診療科に限って、対外 的に標榜していい、まさに広告していいという位置づけのものです。医療情報提供制度の 中で、診療科と別に書いた専門外来というのは、現状で申し上げれば、通常は院内でそう いう外来を設けて行われている部分についての話です。 ○大井委員 私は、そういう規制が必要だろうと考えています。その意味で、都道府県が 公示できる専門外来という枠をはめていただいたことは、病院団体を代表しても大変理解 しやすいのです。  そうしないと、いま何が起こりつつあるかというと、いろいろな科ではさらに細分化し てきていて、そのための混乱です。細分化して、そちらはそちらというふうになる。この 広告規制の中で謳っているのは、専門にはそれを認めている団体が法人格を持っていれば いいという規定です。でも、法人格というのは、なにも専門性を云々するためにつくった 団体ではないので、別な方法で取ることができます。  あまりに細分化されてしまうと、実際に病院の中では非常に困った状態になります。例 えば、救急外来などは成り立たなくなってしまう。私はここの専門だから、これ以外は診 ないということになったりしかねないのです。それで、広告の中にも一定の枠をちゃんと 決めておくのがいいのではないか、というのが私の意見です。  そうしないと、ここに書いてある法人格を有して、1,000人以上ならばいいというこ とになってしまいますと、ある作為的な人がいたら、何かとんでもないことになりはしな いだろうかという感じが私にはするのですがいかがでしょうか。 ○座長 法人格云々は、専門医のほうであります。専門外来は、原則的に今回はやめよう と。 ○大井委員 ですから、専門医の問題としてです。専門医としては広告できてしまいます ね。 ○座長 はい、そうです。 ○大井委員 ですから、標榜科でない専門医の名前が出る可能性があります。その辺は整 合性を図っておくほうが無難ではないだろうか、というのが私の意見です。 ○座長 現在の学会の中でも、一定の基準で、一定の縛りをするという意味ですか。 ○大井委員 いやいや、専門医として広告できる範囲です。そうしませんと、1,000人 いて法人格を持っていれば、何でもいいのだなと。何とかかんとか専門医と広告できてし まうことになりますよね。 ○座長 ああ、この条件を満たしたものとなりますので。 ○企画官 いま大井委員がご指摘の意見について、私の理解が正しいかどうか確認させて いただきたいと思います。いま第1号から第9号に掲げるような外形的な基準を満たせば、 専門医として認定を受けた旨を広告できるという制度が平成14年から動いているわけで す。別途標榜診療科というものは30いくつに限定されているわけですので、その範囲に 限って専門医の制度も広告可能にすべきであるというご指摘ですか。 ○大井委員 私は、それが無難だろうと現段階では思っています。 ○内田委員 そうなると前回の検討に戻るのですけれども、医療機関の医療機能に関する 一定の情報の案のところの2頁と5頁で、これは病院と診療所なのですけれども、そこの 項目の37に記入式で専門外来というところがありますが、そこのところの整理が必要で はないでしょうか。 ○座長 前回検討した、診療機能の項目ですね。 ○内田委員 はい。これは、専門外来は記述式になっていますから、医療機関が申告すれ ば全部載せるという話ですね。 ○座長 はい、そうですね。これは、前回の部分も含めた話になってきていますが、その 辺はどうしましょうか。 ○大井委員 失礼しました。前回の資料の別表1で見ると、学会認定医・専門医というの があって、これにその枠がはまっていることになりますね。 ○企画官 はい、そうです。 ○大井委員 本日の広告のほうは、その枠が外れているという、やり方によっては広がっ てしまうということで、整合性を図っておく、というのが現段階ではよろしいのではない かという意見です。 ○座長 別表1の学会認定専門医は、先ほどの9条件を出すものから少し絞り込んだ技術 でしたか。 ○企画官 医療機能情報提供制度の際のご議論は、専門外来という形で、私どものほうで 当初一般的に、いま医療機関等において実施されているような専門外来を最初はずらっと 列挙したような案をお示ししました。ただ、その専門外来それぞれの中身を、例えば精査 するとか、その中から一定の基準に従って選別していくということは、現状においてなか なか難しいのではないか。  一方で、専門外来というのは医療機関の内部で実施されているものとはいえ広がってい る中で、これは患者にとって欲しい、必要な情報ではないかというご意見があった中で、 それでは項目として残させていただいて、ただし、書きたいことをすべて書くようなこと もいかがかということで、都道府県が字数の制限を課すことができるというような物理的 な制約を課すことによって、本当にその医療機関にとって主要な専門外来に限ったような 形で対象にしていくという形で整理させていただいているといった経緯があったと承知し ております。  いまご指摘が縷々ございました専門医の対象範囲をどうするかという議論ですが、これ は当然広告規制にかかわる内容ですので、この検討会でのご議論を何ら避けるものではあ りません。これまでの医療部会等での議論では、その部分については比較的厳しいという ご指摘もある外形標準を、平成14年の段階で示して、それに基づいてある程度の実績が 積み重なっている状況です。今回の広告規制の見直しの中では、医師・歯科医師の部分に ついてはこれまでどおりでいこうではないか、という医療部会としてのコンセンサスは、 今回の法改正に当たっての議論の中である程度あったと承知しているところです。 ○座長 一言言うと、前の基準よりも厳しくなるので、それをもう一度改定し直すことに なりますが、そういうご意見でしょうかということですが。 ○小暮委員 私も、専門外来については疑問があります。いまのお話ですと、情報提供に ついては、都道府県が一定の字数制限をかけるということで、何らかの制約がかかる、あ るいは枠組みが示せるという理解かと思うのです。しかし、それは字数だけの問題であり ます。しかし、それを一旦よしとして、都道府県が情報提供してもいいと認めたような内 容を、今度は広告という形だと駄目だと。情報提供については、情報を知ろうとする者が 能動的にアクセスしてくるから、そのような性格づけが説明されております。ただ、それ だけの違いで都道府県がOKを出して情報提供しているものが、各医療機関が自発的な広 告になるとそれは駄目だと。  今後、私どもが事後的な規制をかけていくときに、自分たちの情報提供のホームページ にはきちんと載っていて、病院が出てやっているものについて、これは認められていない から駄目ですよというのは、認められていないから駄目だということにしかならないのか という気がして、非常に指導がしにくいという気がします。結局この問題は、専門外来と いう概念そのものが曖昧であるということに帰着するような気がいたします。一方で駄目 なら、やはりこちらも駄目と。一方でいいならこちらもいいと。そのいい基準については 統一したほうがわかりやすいのかと思います。 ○座長 委員もしくは事務局から、それに対するご意見はございますか。 ○企画官 いま、まさに小暮委員からご指摘がありましたけれども、私どもが今回広告と 医療機能情報提供制度のほうで、この専門外来の取扱いを変えた考え方を改めてご説明申 し上げます。  広告というのは、不特定多数に関して、受け手の意図にかかわらず飛び込んでくる情報 提供される性格を有するものだということです。標榜診療科という別途の制度がある中で、 この専門外来を認めることについては、標榜診療科という仕組みそのものの意義が損なわ れるのではないかという観点から、今回は認めないことにしたわけです。  医療機能情報提供制度のほうについては、まさに能動的にその情報のソースにアクセス していくという行為がありますので、現在これも別途ご議論がございますが、ホームペー ジ等における情報提供については、広報という位置づけで実際に行われていることと考え ても、これは患者にとっても有益な情報ではないかということで、向こうでは追加させて いただいた経緯があったと承知しております。 ○座長 小暮委員、そのように県民もしくは診療機関に説明して納得していただけるとい う整理のようです。 ○小暮委員 情報提供と広告の性格の違いというのは私もわかりますけれども、私どもの 情報提供も、今回はインターネットで情報提供をするということが予定されているわけで す。パソコンの画面を眺めて、都道府県の画面をクリックすれば情報にたどり着けるわけ です。同じような画面で、民間のホームページの業者が提供しているホームページも、同 じように病院のホームページにもたどり着くことができる。同じような操作の中で、他方 は能動的なものであって、他方は勝手にやっているのだという違いというのはなかなか説 明がしにくいような気がします。  もう1つ、私どもが字数制限で、これはOKだよ、これは駄目ですよと言うときに、単 なる文字だけでいいのかどうかということも、今後仕事をやっていく上ではやや懸念して いるところもあります。この取扱いについてはご検討いただければという気がいたします。 ○座長 ホームページは、広告ではないのだそうです。 ○内田委員 いまの小暮委員のお話と重複すると思うのですが、情報提供のほうは何をや ってもいいと。広告に関しては規制をかけると。こと医療に関しては健康であるとか、生 命であるとか、そういうものを扱う所ですので、ここに全く規制がなくて野放しでいいと いう考え方はちょっと通らないだろうと。ましてや、行政が提供する情報の中に、そうい うものが入り込む可能性があるということに関しては、やはり慎重であるべきではないか と考えております。 ○座長 何をやってもいいということではないので、こういう委員会ができて議論してい るのだと思います。微妙な広告と情報提供の違いという説明がありましたが、現場の人に はなかなかお話しにくいものでしょうか。 ○座長代理 今回の医療情報の提供のあり方というのは、患者・家族の側が、どうしたら 自分たちが望む医療を選択できるのか。その選択の材料をなるべく増やそうということが 大きな狙いです。専門外来は、確かにおっしゃるとおり、医学的な位置付けがない、ある いはちょっと怪しいということがあるかと思います。ただし、患者は今抱えている疾患で や不安に合わせた形の医療機関を探しているわけです。その専門外来の表記について問題 があれば、当然ながらこれから先行きこの検討会も含め、県も含め、トライ・アンド・エ ラーで修正していくということが当然あるわけです。100%大丈夫などというのは世の 中にあまりないものですから、むしろ前向きに考えれば専門外来の表示をやっておいて、 これはどう考えてもこんな変な標榜の仕方はないと考えられれば、それを取り消していく という考え方も成り立つのか、と思いました。 ○辻本委員 私の理解が間違っているのなら教えていただきたいのですが、専門外来とい うことが、いま各地で行われていますが、その中身を知っていけばいくほど、個人の医者 が興味があってそこを一生懸命やっている。そして、その人が転勤になり、あるいは開業 ということで辞めてしまうとその病院に専門外来がなくなってしまう。その辺が、いま座 長代理がおっしゃったように、適時適切な情報としてちゃんと担保されていればいいので すけれども、多くの場合、アクセスしたら、書いてあるがもうその先生はお辞めになった のです、というような状況が現実にはあります。 ○座長 当初、専門医の専門性の話から、いまは専門外来のほうに話が移行しているよう に見えます。そうしますと、前回の情報提供の話に若干戻っていることです。一応前回は、 先ほど企画官から説明があった、土俵の中で情報提供することが望ましいと。おっしゃる ように、中身まではコントロールしていないわけですけれども、物理的な制限でやろうと いうことで合意したわけですが、もう一度振り返って考えると、その中身は怪しいという ご議論ですか。  座長があまり意見を言うと具合悪いのですけれども、現在、医療というのは非常に連携 が重要になっています。診療所と病院の役割分担とか、本人の参加ということがあります。 そこで、どこが何をしているのかということ、特に専門性の機能は重要ですね。しかも、 メタボリック・シンドロームと糖尿病の潜在患者がたくさんいて、それを病院の専門家と 診療所の先生方がどう役割分担していくかというのが大きな課題になっています。ですか ら、怪しげな部分がある一方、必要な専門外来の情報があるのも事実なのです。そのバラ ンスをどう取るか。おそらく、座長代理とすれば、情報公開の流れの中で走ってから考え 直そうというご意見でしょうし。 ○総務課長 行政内部でも、原案を作るときにこういった議論をしました。情報提供制度 のときには、できるだけ患者の選択に資する情報は出していこうと。それは医療機関が勝 手に出すわけではなく、都道府県がフォーマットを決めて出すわけだから、その範囲の中 で出されるので、そうめちゃくちゃなことはないだろうと。また、実際患者からここに書 いてあることは少し違うという通報があれば、適宜直していく形なので、ある程度自由に 項目があってもいいのではないかということです。  情報提供制度に入る項目は、本来であれば、普通は皆さんがおっしゃるように広告でき る項目だと考えるのですが、一方で、医療法の中で診療科名はこういうものでなければ広 告してはならないという規定が、厳然と残っているわけです。勝手な科を標榜してこうし てはいけないという規定があって、そうすると、情報提供制度はあるけれど、広告をする となると完全に法律で濁してしまう。そうすると、当面は法律の規定にある程度従わざる を得ないので、今回の広告をできる範囲で言えば、ここは抑えつつ、一方で診療科名等に ついても今後検討していく形にして、その検討が進む段階で広告できる科名の見直しがこ ちらに反映されていくと考えてはどうだろうかと。そのような行政内部での検討過程を経 て、今回このような案を出しているということです。 ○大井委員 この問題は言い出しっぺのようなところがあるのですが、私はいまの課長の ご意見に賛成です。本来、広告は情報提供と大変意味が違って、広告主が自分の意思をも って、あるいは作為的にすることができるので、ある程度の規制をかけていく必要がある と私も思います。そうしないと、氾濫した広告に惑わされるのは一般の患者たちなのです。 不幸な目に絶対に会わせないことが大切だと思うのです。  そういう意味で、広告に関しては原則的にポジティブリストだったのです。ところが、 専門医だけは内容はネガティブリストになっていいる。ですから、私はネガティブになっ ているなら枠をきちんとして、たがをはめておいたほうがいいのではないかと思うのです。 会員が1,000人以上で法人格を持っていれば全部できるとなると、極端な話をすれば、 誰かメタボリック・シンドローム専門医を作れば、1,000人ぐらいすぐ集められるだろ うし、法人もすぐできるかもしれません。ですから、やはり何かたがをはめておいたほう がいいのではないかというのが、私の意見なのです。 ○座長 当然関連しているとはいえ、専門外来と専門医の話が振り子のようにいっており ますが、専門外来については先ほどの整理でよかったのですか。いろいろ議論がありまし たが、最後に……委員から、制度的には課題があって、それが変わっていかない限りはク レームの中で処理せざるを得ない部分がある、また、広告と情報提供では微妙な目的の違 いがあると。結論としては、一方で発表していただき、一方では規制することになったと いうことですが、それでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○座長 よろしければ、今度は専門医の話になります。確かに、理論的にはおっしゃると おりで、ポジティブリストとネガティブリストが混在しているわけですね。そうすると、 前回の提供で示したリスト、前回の……ではポジティブリストで掲げられていますが、そ ういうものに準拠するか、専門医だけについてはネガティブリストにするか、そんな選択 になるでしょうか。 ○辻本委員 専門医だけの問題ですか、コメディカルのこともですか。 ○座長 いいえ、専門科です。失礼しました。 ○辻本委員 先ほどの説明の中に、標榜科目として認められているものに限るというお話 があったのですが、例えばコメディカル、看護の場合には、標榜科目での専門認定ではな いと思うのです。もう少し分科されたところで、しかし患者としてはそういった専門のナ ースがいる所を選びたいと思う。情報として非常にほしいということで、ドクターとナー スの場合の違いがあるので、その辺りをどのように考えていったらいいかをお示しくださ い。 ○座長 確かに、そうするとダブルスタンダードになってしまいますね。まず、専門医の 部分でどうするか、それ以外の職種も少し考えながら2つか3つご意見が出ております。 原案はネガティブリストでやる。大井案1は標榜科に限る。そうすると、ほかの職種との 矛盾が起こってくる。私の案ではないのですが、1つ考えられる案としては、情報提供の リストに準拠する内容。これだと、診療科以外のものも入っております。そのほかのご意 見、あるいは提案に関する賛成、反対等はいかがでしょうか。  今回、基本的には国民が医療機関を選択するのにというのが、底流として流れています ね。是非辻本委員と座長代理のご意見をいただきたいのですが、いかがですか。 ○座長代理 私は、そこはクリアして議論をしてきたと思ったのです。現実には、医療情 報の公開が制度化される前から、多くの都道府県ですでにさまざまな情報が行政として提 供されていて、その中の1つのサンプルとして専門外来の表記はこのようにしているとい うのを見せていただいたのです。それに関して、医療提供側の医師の方々からも、これは おかしいと、一つひとつつぶしていって、かなりの整理ができて、その上でこの議論を進 めてきたと思うので、もう1度そこに戻るのであれば、もう1回仕切り直しをしなければ いけなくなってしまいます。一事不再理ではないかと、私は思います。 ○辻本委員 国民患者のニーズということでは、情報はあって当たり前になってきていま すから、後ろ向きになるのはむしろ期待に応えられないシステムになっていくと思うので す。ですから、もちろん公表という前向きな状況でこの議論も進めていただきたいのです。 ただ、一方で情報に踊らされてしまう人々もまだいることへの配慮を、この会の中で十分 に議論を尽くしていただくことがいちばん大事だと思います。 ○座長 提供側関連の委員の皆さんも同じご意見だと思いますが、具体的に専門医に関し ては原案どおりというご意見で、いかがですか。 ○大井委員 前回は出られなかったのですが、決まったときは、これを議論して、この中 で落とし込んだのだと思っていました。ですから、広告もこの枠からあまり外れないほう がいいのではないかと思ったのです。 ○座長 これと9条件の専門医とは、どれぐらい差があるのでしょうか。あまり変わらな いのですか。 ○企画官 広告できる専門医というのは、当然いまの外形標準の9項目を満たして、厚生 労働大臣に届け出た学術団体の専門性に関する認定が対象可能で、認められているものは すべて医療情報提供制度でも対象にする考え方で前回整理しておりますので、そこはイコ ールです。 ○座長 いろいろルールもありましたが、それでいいということですか。 ○企画官 はい。 ○座長 表現形態として、理論的にポジティブリストとネガティブリストがあるとすれば、 あくまで9条件を示す形でやるか、ポジティブリストで11頁に掲げられている学会認定 をしてもいいということで、どこかでリスト化するか、その選択肢だけですね。一般的な 告示の形態としては、このようにズラッと並べるのはよくないのですか。条件を9つ書く のは一緒ですね。 ○企画官 いまの専門医の仕組みですが、この9項目を満たしていることを私どものほう で確認し、そうすれば広告できるようになるので、現行の対象となっている資格は順次拡 大しているものです。この要件を満たすのであれば、そこに入ってくることができること になります。したがって、限定列挙してしまうと、何か新しく対象になると、その都度告 示を追加していく形になっていくと思います。 ○座長 では、9項目を満たすというポジティブな表現にしておくということですね。 ○企画官 診療科と専門医の範囲が、大井委員のご指摘のいちばん根幹だろうと思います が、標榜診療科名については医療法の中で比較的長い歴史を持った仕組みかと思います。 それを厚生労働大臣が定めるときには、医学・医術に関する学術団体と医道審議会のご意 見も聞いた上で、学会や審議会のご意見を踏まえて決定をするシステムになっています。 今回の広告の中で、専門医に関する部分は規制緩和の流れの中で平成14年に広告規制の 見直しをし、新たに導入されて4、5年経った制度です。その導入のときに、社会保障審 議会の医療部会でのやり取りをいま見ているのですが、明確な議論ではないのですが、も ともと専門医の仕組みを各学会が独自に持っていて、それをどのように広告可能な形で制 度化していくかというときに、過度に行政側が、学術団体が行っている専門医の中身につ いて関与していく、学術に口を出していくことについて、慎重であるべきではないかとい う考え方もあって、形式的なハードルを多く課すことによって、それを乗り越えてくる場 合にはこの対象にしていくということであったと思っております。したがって、その辺り が標榜診療科とは必ずしもイコールになっていないところなのではないかと思います。 ○座長 2つのテーマでだいぶ深く議論してきたので、そろそろ結論をつけたいと思いま す。いろいろな観点からご議論がありましたが、実際のリストを見ると、報告義務の専門 医とほぼ同じということで、条件について表現をきちんと考えていただいて、器具もよく わからないものが入っているのではないかとか、要件を満たさないのではないかというこ とは、原案を踏まえれば、あるいは実際に選ばれたものを見ると、大体そういう感じのも のかなと思うのですが、いかがですか。 ○大井委員 私が言ったのは、厚生労働省の専門医制についての検討会の議論を見ると、 現在、日本には100以上の専門医があります。アメリカは20いくつですが、ほとんど の国はそのぐらいに絞っています。あまり野放図に何でもかんでもというのは好ましくな いので、委員会で検討しているのだと思うのです。そこからあまり外れた結論にしておく のはいかがかというのが、私の考えの基本にあります。 ○座長 その結論を待ってというと、随分時間がかかりますし、実際に報告義務の部分を 見ると48ですので、諸外国の倍ぐらいになりますが、この辺りから出発してやっていく ということでいかがでしょうか。  先ほど、委員会の検討が出たときに、もう1度内容を見直すと。専門医は、いまお聞き すると大変大きな課題で、この委員会の検討事項を超えているとは思いますので、もちろ ん関連はあると思いますが、しかるべき所で議論が成った段階でもう1度検討し直すとい うことで、現段階ではご提案のもので言葉を厳密に変えていただいて、当該専門医を決め る形でいかがでしょうか。 (異議なし) ○座長 ありがとうございました。図らずも、日本の医療の問題点が浮彫にされた感じで、 病院の機能からして非常に不明確で、分科していないと指摘されてきましたが、医師の機 能についてもそれが少しかいま見られたようなことがありました。  第7号について議論をしていただきましたが、11号〜13号に関して議論を深めてい ただきたいと思います。 ○大井委員 資料3の別紙でもかまわないと思いますが、今回大きく変わってきたことは、 広告できる範囲を、医師または歯科医師の専門性に関しては「医師または歯科医師」とし ていたのを、「医師、歯科医師、薬剤師及びその他の医療従事者」まで広げたわけですね。 私はその案には賛成なのですが、「その他の医療従事者」というよくわからない表現は、こ のままでよろしいのでしょうか。 ○座長 それは、具体的にどういうことを想定していたのでしょうか。 ○企画官 ここは、少しガイドライン等でも整理が必要だとは思っておりますが、少なく とも国家資格を有している医療関係職種は対象としても差し支えないのではないかと、私 どもとしては考えております。 ○大井委員 そうすると、国家資格を有するなどとしてもらわないと混乱します。今は病 院の医療従事者の職種は非常にたくさんあります。それはすべての所に関わる問題ですが、 その他の医療従事者の所にきちんと枠をはめておく工夫をしていただければと思います。 ○企画官 ただいまのご指摘については、事務局としても少し整理をしたいと思います。 ○座長 まだ7号が気になっているようですが、ご意見があればどうぞ。ただ、ほかにも 議論するテーマがありますので、何かあればお願いします。 ○小方委員 資料3の8号から関連があるのですが、広告可能となるテーマにはなってい ますが、件数も入れたらどうかと思います。例えば、資料3の1頁の旧51ですが、セカ ンドオピニオンだと思うのです。実施していることは広告可能なのですが、ということに なっていると思うのですが、この内容で見ると件数が読み取れない気がします。この部分 や、2頁目の11号の応診や在宅医療の実施は広告可能なのですが、それがどのぐらいの 実績件数があるのか。先ほどの企画官の説明では、分娩の件数や手術の件数はくぬいるこ とになっていますが、こういったところも、患者から見るとこれだけ実績があるというの が1つの選定の基準になるのではないかと思うので、いま申し上げた点の件数も告示の中 で表示されるのかどうかは検討を加えていただくとして、件数も広告してよいのかという 表現がどこかに入るといいのではないかという要望です。  これも大事なテーマかと思うのですが、地域連携クリティカルパスが非常にうまくいっ ている地域もあろうかと思います。これも何かの形で表示ができて、例えば先ほどの写真 のように、可能であれば一例を図式化するとか、ビジュアル的に見えるように広告が可能 であればいかがかと感じたので、意見として申し上げます。 ○座長 件数は情報提供のほうに入っておりますね。これについてはいかがですか。情報 提供は手術件数が中心でしたが、それ以外に在宅の件数なども、ただ、在宅の件数は定義 が難しいかもしれませんね。 ○小方委員 判断材料は、これを見ていると、件数は広告してはいけない部類に入ってし まうのではないかと思ったので。 ○企画官 補足説明します。小方委員のご指摘は在宅に限らないのだと思いますが、在宅 で言えば、12号を見ると平均的な在宅患者の数は項目として原案でも入れております。 連携に関しては、その頁のいちばん上に、9号で基本的に連携に関する事項ということで、 法律の段階で広告事項として整理がされております。  件数やビジュアルな図についても、事務局としてそれを排除する考えは持っておりませ んが、ご異論がなければそういったものも含まれることをガイドライン等でも明確にして 対応できないかと思っております。 ○座長 もう書いてあるということでした。 ○辻本委員 中座しなければならないのですが、11号に「自由診療の標準的な費用を併 記」という項目があります。例えば、美容整形や私どものほうにご相談が多い包茎の問題 などを考えたときに、費用が書かれることで、むしろダンピングというか、顧客誘引とい うことが起きないか不安です。受診していろいろ相談していくと、オプションでたくさん 料金がかかることもあるようですので、国民・患者がそうした被害にあわないような視点 も含めてご議論いただきたいということをお願いしたいと思います。 ○座長 費用を書くのはいいのですね。書き方の問題があるということでしょうか。 ○辻本委員 はい。 ○小暮委員 いまのご意見に関連するのですが、13号に「受診の便宜を図るためのサー ビス」とあります。ここには費用の支払方法といった記載もあって、こういったところに も関連すると思うのですが、例えばクレジットカードで支払いができるかどうか。これは 広告してもかまわないと思いますが、カードに猶予期間があるときにポイントを載せて、 1回受診したら何ポイントつくとか、こういうことは一般のスーパーや商店では常識的に 行われているわけですが、やっていいかどうかという問題とも関連しますが、医療とは直 接関係のない所で顧客の誘引を図るといったことが出てこないか。現在のものは現行法告 示を要約したものという理解ですが、先ほどの3つの要件の中で誘引性とありましたが、 患者の不当な誘引を行う広告は規制されるべきだろうと思います。便宜を図るためのサー ビスという表現に、不当な誘引に当たるものは除くとか、もう少し縛ってもいい気がしま す。  これは今回示された枠の理解に関係しますが、ガイドラインである程度駄目なものは除 かれるとのご説明がありましたが、そういったところで除けばいいのか、あるいは告示そ のものである程度のしばりをかけたほうがいいのか、不当な誘引については少し制限があ ったほうがいいのではないかというのが私の意見です。 ○座長 事務局のほうは、ガイドラインとの関係ではその辺りをどのように考えているの ですか。 ○企画官 なかなか即答しづらい部分もありますが、法律や省令で非常に横断的な規定は、 冒頭でご説明したように虚偽報告や比較広告、誇大広告等は禁止ということは、全体にか かるルールとして明確にかかっております。  費用の支払方法のポイント制については、確かに医療保険では問題だと思いますが、自 由診療でそれを完全に排除するのも難しいのではないかと思いますので、ガイドラインの 中でそういったものに対する留意をしっかり書き込むことはあり得るのではないかと思い ます。 ○座長代理 非常に基本的なことから教えてください。資料2に今回の改正案が書いてあ りますが、1〜4まであって、1では比較広告は駄目であること、2では誇大広告は駄目 であること。いままではこれだけだったのですが、3で客観的に事実でないことを広告し てはいけないこと、4で公序良俗に反することはいけないと書いてあるのですが、逆に言 えば、1と2はクリアするけれど3は駄目というのは、具体的にどんなことですか。ある いは、1と2はクリアしたけれど、4は駄目ということですが、わかったようで分からな いのです。具体的にどんなイメージで書かれたのか教えてください。 ○企画官 付け加えた趣旨は、これまで非常に限定列挙の形になっていたので、視覚広告 と誇大広告に限って書いていたものが法律上緩やかな規制になるということで、主観にわ たる内容や社会的に見て問題となる広告になり得るのではないかと、3、4をつけたもの です。いま、具体的に1、2を満たして3、4が満たされないものに何があるかはただち に思いつかないのですが。 ○座長代理 ですから、私は2と3は同じではないかと思っていたのです。アメリカなど の禁止項目も、人をだますような広告をしてはいけないとか、真実を述べることとか、そ んな簡潔な内容です。だから、加えたということはまた規制が加わったのかなと思って、 心配で質問しました。今回でなくても、次回にもしあれば、そのときで結構です。  資料5のガイドラインの説明の2頁目で、広告規制の対象範囲と書いて、広告の定義を 3要件書いてあります。誘引性、認知制、特定性とあって、うまい定義だなと思ったので すが、よく考えれば、新聞や放送や雑誌出版の一般の報道や企画も結局同じことで、現実 には記事や企画によって患者等の受診を誘引することもあれば、当たり前ですが2と3は マスメディアを通じてみんな共通なのです。そうすると、どこに区別を置いて広告を定義 するのか、この3要件で区別できるのかどうか、私は疑問に思います。  次の頁で、患者の体験談の紹介などは、言ってみれば患者の主観であり、客観的でない ことから広告可能な事項ではないというスタンスなのですが、確かにそのとおりですが、 一般的な記事や座談会や対談は、雑誌も新聞も放送もよくやるわけです。出版物の中で、 日野原先生と著名な女優が対談していて、先生の病院はいいわね、などと言っているのを、 そういった場合はいけないのか。これはうちが企画したわけではなくて、ほかのものが企 画して対談で話しているのでも、広告とみなされて駄目なのか。これは、かなり微妙なと ころなのです。もちろんこれから議論していくわけですが、その辺りをどう区切りをつけ ていくのか、是非教えてください。 ○企画官 広告の定義については、既存の他制度の類似したガイドライン等を参考にこの ような形で整理しているのですが、当然これで十分かというご指摘はあろうかと思います ので、我々ももう少し勉強できるところはしたいと思っております。  先ほどの2点目ですが、広告でないかのように装って行われる広告が様々ある中で、境 界領域をどう判断していくかをすべてガイドライン化するのは、なかなか難しいと思って おります。こういう言い方が適当かどうかはわかりませんが、最後は社会通念に照らして、 どう判断するかというところだろうと思っております。ガイドラインをさらに書き込む段 階でできるだけ工夫をしたいと思いますが、それで最終的に明確に完全に切分けができる 性格の分野ではないのではないかと思います。 ○大井委員 ガイドラインの個々の部分については、次のときに話し合うということなの で、私は全体に関わる基本的なことで意見を述べたいと思います。1つは、このガイドラ インの書き方は「医業もしくは歯科医業または病院もしくは診療所」と書いてありますが、 単一の医療機関を想定してガイドラインが書かれているように見えます。例えば、複数の 医療機関が集まって広告をすることもあり得るだろうと思うのです。これを読んでいくと、 単一の医療機関を想定していると感じたのです。だから、間接罰も出てくるし直接罰の話 も出てくるのだと思うのですが、ある地域あるいはある系列の病院が複数集まって広告す ることもあり得るだろうと、そういうことも視野に入れてご検討いただいたらどうかとい うのが1つです。  次の問題は、いまご指摘のあった広告の定義なのです。誘引性、認知性、特定性の3つ のうち、認知性は一般人が閲覧可能だということであれば、対象を特定の人に絞ったら、 それは広告とは言わないのか、何を書いてもいいのかという問題が当然出てきます。触れ たくなくてこのように書かれたのだと思ったのですが、「インターネット上のホームページ は原則として広告とはしない」と書いてありますが、いまいちばん目に余っているのはこ れなのです。この問題は避けて通っていいのか、手を突っ込むと泥沼かなということがあ りますが、どうするかをこの委員会で最終的に決めていただきたいと希望します。全体と して主立ったところでは、その3つぐらいが気になっていたところです。 ○座長 委員の皆様にご議論いただくこともあるでしょうが、まずは企画官からお願いし ます。 ○企画官 1点目のご指摘ですが、日本語で単複が同型になっていることもありますが、 私どもとしては当然複数の病院を対象に広告も規制の対象という理解でおりますので、ガ イドラインの中でそこを入念に書き込む工夫はできると思います。  認知性に関するご指摘については、工夫ができるかどうか少し検討したいと思っており ます。ただ、インターネット上のホームページについては、いまの委員のご指摘と同じで すが、平成17年12月の医療部会でまとめられた中では、インターネットを含む広報に ついてこのように書かれております。読み上げますと、「医療機関による自主的・自立的な 取組みにより、インターネットを含む方法により提供される医療情報の信頼性を確保する という基本的な考え方に基づき、厚生労働省の一定の関与の下でガイドラインを作成し、 その普及を図る」ということです。一義的には、自主的な取組みを促していくという整理 になっております。したがって、この検討会でも直接の検討課題としては整理していない のですが、当然密接に関わる分野だと理解しておりますので、ご意見等を賜ればありがた いと思っております。 ○内田委員 資料4の一番最後の頁ですが、苦情相談窓口というのはどこに設けるのです か。 ○企画官 特にここでなければいけないとは想定しておりませんが、実際に広告の規制の 実務に携わるのは、都道府県と保健所設置市と特別区となっているので、それぞれの行政 機関の中で本庁に置かれることもあるでしょうし、出先の保健所や支所などに置かれるこ ともあると思います。いずれにしても、市民から見てどこが窓口かがわかりやすいように していただきたいという趣旨です。 ○内田委員 前回までのところで2点ほどあるのですが、1つは一定の情報提供の話です。 私の所はこういうことはしているけれど、協力したくない、載せたくないという非協力に 関する罰則はあるのですか。 ○企画官 あります。少し確認します。この4月から施行になる医療法第6条の3の第6 項に、「都道府県知事は、病院等の管理者が第1項もしくは第2項の規定に基づく広告をせ ず、または虚偽の報告をしたときは、期間を定めて当該病院等の開設者に対し当該管理者 をしてその報告を行わせ、またはその報告の内容を是正させることを命ずることができる」 という規定があり、これに対する罰則規定があります。 ○内田委員 そこで、例えばホームページを有する場合とありますが、ホームページを有 しても、こういう所では公表はしたくないということがあるのではないかと思うのです。 いくつかそういう所があるのですが、この項目に該当するところがあっても、その部分は 載せたくないというものに関して、基本情報は出すのですが、それ以外であまり出したく ない情報に関して、医療機関側の選択制はあるのでしょうか。 ○企画官 制度的には、医療機関には報告義務がかかっているので、項目をどう整理する かの判断になってくるかと思います。 ○内田委員 もう1点、ホームページを都道府県で出すときに、当然トップページがつく と思うのです。そのトップページに、できればこの情報の利用に関するガイドラインをつ けるほうがいいと思うのです。それは、厚労省で考えて都道府県にモデルをお出しするの か、都道府県の自主性に任せるのか。私は、トップページに、この情報を利用するに当た っては、かかりつけの医療機関なり信頼できる医療関係者なりに相談するように、という 項目を入れたら非常にいいと思うのです。 ○座長 前回の会議に戻ってしまいましたが、情報提供の仕方は基本的には県に任される と理解しておりますが、どのような形にするかは県のほうでも悩んでいるようです。出て きたままのデータを出すわけなので、内容についての担保などいろいろ悩んでいるようで すが、それについてはどう考えておられますか。 ○小暮委員 この情報をどう利用されるかは、医療機関から上がってきたものをそのまま ということですが、都道府県としては、正しい医療が情報として提供されていくことを徹 底していきたいということもあって、信頼できる相談相手を持っていただくことを周知す るのは適切だと思います。内容について問合せをする相手先として、医療安全センターが 前回も上がったと思いますが、おそらくどこの都道府県も医療安全センターは相談件数で 溢れていて、いちいち問合せだけで忙殺されることは想定しにくいのです。ですから、最 寄りやかかりつけの医療機関で相談するというのは、極めて適切なアドバイスだと思いま す。 ○企画官 先ほどの内田委員のご指摘に関してですが、医療法第28条で、行政が開設者 に対して期限を定めて変更を命ずることができるという部分があって、それに対して違反 があれば罰則がかかってくるという部分があります。  いまお話のあったトップページでの注意事項の記載については、私は持ってくるのを失 念したのですが、制度の実施要領の中でそういった点を明確にする必要があるということ で、前回までのご議論で書き込むことになっていたと理解しております。 ○座長 ありがとうございました。時間が迫ってきました。本日は項目のご議論とガイド ラインのたたき台に関するご意見の2つのテーマで、主に項目、特に第7号をしっかりご 議論いただきました。最後にもう1度確認しますが、11号〜13号等についてはご意見 はありませんね。  ガイドラインについても、一部基本的な方向性に関するご意見をいただきました。具体 的に書き下ろしてからご検討いただかなければいけない部分が多いと思いますので、おそ らく、次回今日のご指摘を踏まえてまた案が出てくるかと思います。最後に、何か言い忘 れたことはありませんか。 ○小暮委員 次回で結構なのですが、ガイドラインの指導というか、周知徹底について、 最後の所に、病院等以外の者についても立入り等が行われるとあります。私どもが実際に 現場で徹底していく際に、そういった広告代理店等にどのようにこの中身を周知するかが 若干気になるのです。私ども栃木県の実例で申し上げると、かつて非常に違反件数が多か った時期に、部長名の通知で広告業界に対して個別に通知をしたところ、違反件数が激減 した経験があります。これについては、医療機関相手だけではなく、国のレベルでも、広 告業界に対してこういったことが行われるという指導を徹底していただければと思います。 ○座長 ありがとうございました。そのほかにはありませんか。では、今回ご議論いただ いたことを基に、この項目について再整理をしていただき、特にガイドラインについては、 さらに具体的に案をご提示いただくことをお願いします。  それでは、次回以降の会の進め方について、事務局からご説明をお願いします。 ○企画官 冒頭に申し上げたように、広告規制の見直し、そのガイドラインについて、本 日のご議論を踏まえ、もう1度資料を整理したいと思いますので、もう1度ご議論をお願 いします。日程は、いま別途調整している途中ですが、今月末か3月に入った辺りで調整 しております。  もう1点ご報告ですが、前回までご議論いただいていた医療情報提供制度について、こ の検討会でのご議論を踏まえて、年末からパブリックコメントに付していたところです。 今週の月曜日(1月29日)の段階で締切をした状況で、現在事務局で各方面からいただ いたご意見等の内容を整理、検討しているところです。基本的にはこれまで検討会でご議 論いただいた内容や、各委員から個別にお寄せいただいた内容を踏まえて案を作成し、パ ブリックコメントに付したということで、省令・告示の公布に向けた作業と合わせ、事務 局として責任をもって対応することになります。いずれにしても、内容はよく整理をした 上で、まずは座長に内容の報告をした上で、その後の取扱いについてもご相談したいと思 いますので、別途お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。 ○座長 ありがとうございました。本日は、報告制度と並ぶ広告の規制の見直しについて、 大変活発なご議論をいただきました。両方とも、今後の日本の医療の利便性を高めるため に非常に重要な項目かと思います。いろいろな角度から、いろいろな立場からご議論いた だき、大変感謝しております。それによって良い内容にし、より良い広告制度を作れれば と思っております。それでは、今日はどうもありがとうございました。 照会先 医政局総務課 宮本、小野田 連絡先:03−5253−1111(内線2518)