本事業の実施医療機関における設備・人員等の指定要件について

  論点と考えられる項目

日本産科婦人科学会会告「生殖補助医療実施医療機関の登録と報告に関する見解」(平成18年4月23)(抄) 厚生労働科学研究補助金(子ども家庭総合研究事業)「生殖補助医療体系における設備、人的資源のガイドラインに関する 研究」(抄)
(1)実施医療機関の指定方法
  事業の実施に当たり、事業実施主体の長(以下「都道府県知事等」という。)は、下記(2)の諸点に留意し、特定不妊治療を実施する医療機関として適当と認められるものを指定するものとする。
  なお、不妊治療の実施医療機関及びそれを指定する都道府県の長は、地域の周産期医療確保および不妊治療実施医療機関と周産期医療機関の連携に十分配慮することが求められる。
   
(2)   実施医療機関の具備すべき施設・設備要件
 (1) 基準施設
実施医療機関は、次の施設・設備を有するものとする。
   ○  採卵室・胚移植室
 採卵室の設計は、手術室仕様とすること
 清浄度は手術室レベルとすること
 酸素吸入器、吸引器、生体監視モニター、救急蘇生セットを備えていること
 培養室
 清浄度は手術室レベルとすること
 手術着、帽子、マスクを着用すること
 手洗いを行うこと
 施錠すること
 凍結保存設備
 施錠すること
 診察室
 処置室
 (2) その他の望ましい施設
実施医療機関は、次の施設を有することが望ましい。
  ○  採精室
  ○  カウンセリングルーム
  ○  検査室

 (3) その他の施設要件
実施医療機関は、次の項目を満たすよう努力することが必要である。
  ○   自施設の不妊治療の結果による妊娠に関しては、妊娠から出産に至る全ての過程において分娩施設と適切な連携を行い、その妊娠及び出産の経過の把握および報告を行っている施設であること
  ○   本事業の実績・成果の把握のための調査に協力する施設であること
  ○   日本産科婦人科学会における個別調査票(治療から妊娠まで及び妊娠から出産後まで)の登録に協力する施設であること
  倫理委員会を設置することが望ましいこと
1. 生殖補助医療の実施登録施設の具備すべき要件と設備
(3) 登録施設の設備
 a) 基準施設
採卵室
  採卵室の設計は、基本的に手術室仕様とする。

培養室
  培養室内では、基本的に手術着、帽子、マスク着用で手洗いを行う。培養室内は、エアフィルターを通した清浄空気を循環させる。

凍結保存設備



 b) その他の望ましい施設
移植室
採精室
カウンセリングルーム
検査室

3. 生殖補助医療に関する登録申請にあたり留意すべき事項
(4) 倫理委員会
  a) 倫理委員会を設置することが望ましい。特にヒト精子・卵子・受精卵を取り扱う研究を実施する施設、並びに非配偶者間人工授精(AID)を実施する施設は倫理委員会を設置し、承認を得る。
b) 倫理委員会は中立を保つため委員構成に配慮が必要であり、中立的な外部委員を複数入れることが望ましい。
c) 倫理委員会委員長を施設責任者・実施責任者が兼ねることは望ましくない。
1. 必要最小の施設内容
  診療部門(産婦人科診療部門と兼用もありうる)
  診察室、処置室、採精室、採卵・胚移植室

  検査・培養部門
  培養室(含む培養前室)










2. 望ましい施設内容
  診療部門(産婦人科診療部門より独立している)
  診察室、処置室、カウンセリング室、採精室、
採卵・胚移植室

  検査・培養部門
  記録管理室、検査室、培養室(含む培養前室)、
凍結保存室

  * 日本産科婦人科学会による「生殖補助医療の実施施設の具備すべき要件と設備」に適合するのは14.6%。
培養室について、清浄度が手術室レベルの施設が45%、分娩室レベル以上とすると92%。
採卵室について、分娩室レベル以上が91.3%。
凍結保存設備をもつ施設は22%。
専用採精室の設置は53.1%。
倫理委員会は全施設中66.3%に設置。
(3)   実施医療機関への配置が必要な人員要件
 (1) 必要不可欠な基準要員
実施医療機関は、次の人員を有するものとする。
  ○   実施責任者(1名)
  ○   実施医師(1名以上、実施責任者と同一人でも可)
  ○   看護師(1名以上)

 (2) 配置が望ましい要員
実施医療機関は、次の人員を有することが望ましい。
  ○   泌尿器科医師。特に、精巣内精子生検採取法、精巣上体内精子吸引採取法等を実施する施設では、泌尿器科医師との連携が取れるようにしておくことが重要である
  ○   配偶子、受精卵、胚の操作、取扱い、及び培養室、採精室、移植室などの施設、器具の準備、保守の一切を実際に行う、生殖補助医療に精通した技術者
  患者(夫婦)が納得して不妊治療を受けることができるように、不妊治療の説明補助、不妊治療の選択の援助、不妊の悩みや不妊治療後の妊娠・出産のケア等、患者(夫婦)を看護の側面から支援する者
  心理学・社会学等に深い造詣を有し、臨床における心理カウンセリング又は遺伝カウンセリング等の経験を持ち、患者(夫婦)をカウンセリングの側面から支援できる技術を持つ者
(4) 登録施設の要員
  a) 必要不可欠な基準要員
実施責任者(1名)
実施医師(1名以上、実施責任者と同一人でも可)
看護師(1名以上)



b) その他の望ましい要員
精巣内精子生検採取法(TESE)、精巣上体内精子吸引採取法(MESA)等を実施する施設では、泌尿器科医師との連携が取れるようにしておくことが重要である。
配偶子、受精卵、胚の操作、取扱い、及び培養室、採精室、移植室などの施設、器具の準備、保守の一切を実際に行うARTに精通した高い倫理観をもつ技術者を有することが望ましい。
生殖医学、遺伝学の基礎的知識、ARTの基礎的知識および心理学・社会学に深い造詣を有し、臨床におけるカウンセリング経験を持ち、不妊患者夫婦を側面からサポートできるカウンセラーとの連携が望ましい。
  ○ 必要なもの
生殖補助医療を実施する医師
看護師





  ○ 望ましいもの
胚培養士
コーディネーター
カウンセラー

  * 専属の不妊看護師が在籍している施設は54.2%。
胚培養士が在籍している施設は76.1%。
不妊カウンセラーが在籍している施設は41.5%。
不妊コーディネーターが在籍している施設は32.9%。
(4)   実施責任者の要件
実施責任者は、次の項目を全て満たすものとする。
  ○   日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医である者
  ○   専門医取得後、不妊症診療に2年以上従事した者
  ○   日本産科婦人科学会の体外受精・胚移植に関する登録施設において1年以上勤務、又は1年以上研修を受け、体外受精・胚移植の技術を習得した者
  ○   常勤医師である者
2. 生殖補助医療の実施登録施設における実施責任者の要件
 (1) 日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医であること
 (2) 専門医取得後、不妊症診療に2年以上従事した者
 (3) 日本産科婦人科学会の体外受精・胚移植に関する登録施設において1年以上勤務、又は1年以上研修を受け、体外受精・胚移植の技術を習得した者

3. 生殖補助医療に関する登録申請にあたり留意すべき事項
(2)   実施責任者及び実施医師
 a) 実施責任者は常勤医師でなければならない
 
(5) その他
  ○   すでに指定した医療機関についても、一定期間ごとに、要件に照らして再審査を行うものとする。
  ○   本要件は、必要に応じ適宜見直すものとする。また、実施医療機関の指定の更新・取り消しを行う基準等についても、必要に応じ検討を行うものとする。
   

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