第7回研修・技能実習制度研究会資料

I 研修・技能実習制度の現状
I−1 総論
I−2 企業単独型と団体監理型の比較
II 研修・技能実習制度の問題点
1 「研修」の問題点
2 「技能実習」の問題点
[1] 労働条件確保
[2] 同等報酬要件の実効性確保
[3] 実習体制・実習の実効性の確保
[4] 技能移転の実効性の確保
[5] 受入れ機関・送出し機関のあり方(ブローカー対策も含む)
[6] チェック機能の強化
[7] より高度な技能実習
[8] 対象職種・評価制度のあり方
[9] 受入れ企業・産業分野の問題

I−1外国人研修・技能実習制度の現状(総論)[1]


I−1外国人研修・技能実習制度の現状(総論)[2]

受入れ企業の半数以上が、総従業員数19人以下の中小零細企業が中心
 

平成17年度JITCO支援研修生・技能実習移行申請者の都道府県別の状況
研修生・技能実習生の在留地域を都道府県別にみると、岐阜(縫製等)、愛知(機械・金属等)、茨城(農業等)、広島(機械・金属等)等が多い平成17年度JITCO支援研修生・技能実習移行申請者の都道府県別の状況

I−1研修・技能実習制度の現状(総論)[3]

不正行為認定件数    (法務省データ)
  H15年 H16年 H17年 合  計
認定件数 92 210 180 482
うち団体監理型 87 208 175 470

不正行為認定の類型別内訳
(H15〜17年の合計)
企業単独型 団体監理型
第一次受入れ機関 第二次受入れ機関
第1類型 [1]二重契約 3 25.0% 5 8.9% 22 5.3%
[2]研修・技能実習計画との齟齬 7 58.3% 33 58.9% 106 25.6%
[3]名義貸し 1 8.3% 15 26.8% 218 52.7%
[4]虚偽文書の作成・行使 8 66.7% 51 91.1% 37 8.9%
第2類型 所定時間外活動等 10 83.3% 7 12.5% 175 42.3%
第3類型 人権侵害行為等 6 50.0% 5 8.9% 42 10.1%
第4類型 問題事例未報告等 1 8.3% 4 7.1% 6 1.4%
第5類型 不法就労者の雇用等 3 25.0% 0 0.0% 60 14.5%
第6類型 準ずる行為の再発生 0 0.0% 0 0.0% 0 0.0%

労働基準局の対応について
○外国人労働者相談コーナーにおける外国人労働者らの相談件数
平成15年   7,679件
平成16年 8,712件
平成17年 9,934件

○外国人労働者に係る申告件数(うち技能実習生に係るもの)
平成15年   1,526件 (28件)
平成16年 1,566件 (48件)
平成17年 1,654件 (126件)


 
○技能実習生受入れ事業場に対する監督指導結果
 
監督指導実施事業場数 違反事業場数
15 530件 412件(77.7%)
16 630件 513件(81.4%)
17 906件 731件(80.7%)

1−[1]研修・技能実習制度の現状(総論)[4]

○巡回指導等実施企業及び団体 (JITCO)
平成17年度 5,945件 (うち訪問指導:4,770企業、87団体)

○技能実習の申請と実行の乖離状況

 
項目 該当する企業数 全数に占める割合
技能実習申請職種との不一致 12 0.3%
技能実習申請場所との不一致 55 1.2%

○賃金の支払い状況

 
項目 該当する企業数 全数に占める割合
口座払いの同意書なし 254 5.3%
賃金控除協定の未締結 479 10.0%
割増賃金の不適正な支払い 68 1.4%
労働条件の書面による明示なし 8 0.2%
就業制限業務免許等なし 7 0.1%
定期健康診断の未実施 90 1.9%
雇い入れ時の健康診断の未実施 1,285 26.9%
特殊健康診断の未実施 34 0.7%

○国の保険の未加入状況

 
項目 該当する企業数 全数に占める割合
健康保険未加入 903 18.9%
厚生年金保険未加入 906 19.0%
雇用保険未加入 822 17.2%
労災保険未加入 280 5.9%

○不適正なパスポート等の管理状況

 
項目 該当する企業数 全数に占める割合
不適正なパスポート等の管理 26 0.5%
技能実習生の失踪者の割合について

失踪の報告のあった技能実習生数 (人)
平成13年

平成14年

平成15年

平成16年

平成17年

合計

498 785 1,507 1,147 1,236 5,173


失踪の報告のあった技能実習生数 (人)
平成12年 平成13年 平成14年 平成15年 平成16年 平成17年 合計
12,395 16,113 19,225 20,822 26,488 32,394 127,437



    平成13年から平成17年までに報告のあった技能実習生のうち、失踪者数は5,173人。

  これに対し、当該機関に失踪者となる可能性のあった技能実習生の累計、すなわち、平成12年から平成17年までの技能実習移行者に係る累計は、12万7,437人。

  これを分母とすれば、失踪者の割合は4.1%となり、約96%の技能実習生が失踪等をせずに帰国していると言える。



(法務省データによる)











I−2研修・技能実習制度の現状(企業単独型と団体監理型の比較)[1]
  技能実習移行者の95.4%が団体監理型による受入れ
       技能実習生受入れ機関別構成比
(JITCOデータ)

I−2研修・技能実習制度の現状(企業単独型と団体監理型の比較)[2]
  企業単独型に比べ、団体監理型で不正行為等の問題や、失踪者が多く発生、特に団体監理型の中でも異業種組合に所属する企業において、問題が見られる割合が高い。
不正行為認定件数    (法務省データ)
 
  H15年 H16年 H17年 合計
認定件数 92 210 180 482( 2.0%)
うち団体監理型 87 208 175 470(98.0%)

技能実習期間中における失踪者数    (法務省データによる)
  失踪者報告数(A)
(2001年度〜2005年度)
当該期間に失踪の可能性のある
技能実習生数(B)
A/B×100(%)
企業単独型 121 7,856 1.5
団体監理型 6,198 156,558 4.0


II−1研修・技能実習制度の問題点(「研修」の問題点)[1]
  「実務研修」中の研修生が、実質的に低賃金労働者として扱われ、残業までさせられている等の問題が生じている。

「研修中の問題事例」(新聞報道等の抜粋)

[1] 団体の理事長及び同族が経営する5社で、研修中に残業させたり、管理費2万〜2万5千円を研修手当から不正に控除していたケース(H17縫製団体監理型)
[2] 研修生に時間給100円で残業させ、非実務研修(座学)も内容・時間数が基準以下であったケース
(H17 縫製 団体監理型)
[3] 研修生に残業させ、強制的に貯金させていたケース(H17縫製団体監理型)
[4] 当事者で合意の上、研修中の残業を行わせ、実習生の残業代を300円としていたケース(H17縫製団体監理型)
[5] 研修手当6万5千円、残業代3万円(残業代時給450円)で働いていたケース(研修生は来日前に約100万円の借金)(H18 農業 団体監理型)
[6] 送り出し機関が多額の保証金を徴収し、没収を恐れた研修生が不正な支持に従うケース(H18 農業 団体監理型)

(JITCOに寄せられたトラブル相談の事例)

JITCO母国語電話相談に寄せられるトラブル相談にも、研修手当未払い等(15件、2.1%)、時間外研修(103件、14.4%)等の内容がみられる。
その他、研修・技能実習共通のトラブルとして、不当な管理(強制貯金、罰金、帰国脅迫等)(90件、12.6%)もみられる。

II−1研修・技能実習制度の問題点(「研修」の問題点) [2]
  研修期間中に支払われる研修手当は、賃金ではなく、「生活する上で必要と認められる実費の支給」という位置づけ。その額については、基準もなく、法令上の支払い義務もない。平均約6.6万円。
平成17年JITCO支援の外国人研修生の研修手当の支給金額状況

JITCO支援研修生の研修手当の平均額は、65,979円であり、団体監理型の平均は63,423円、企業単独型の平均は82,684円。

受入れ機関の意識(受入れ機関ヒアリングより)

・  ヒアリングにおいて、11団体中6団体、22企業中11社が「人手不足」への対応を研修生・技能実習生受入れ理由としている。
15企業中9社が日本人の採用状況について「求人募集しているが、応募がない」としている。

(具体例)
人手不足が深刻になってきたので、仕方なく受入れを開始。求人募集はしているが、賃金が最低賃金程度で低いためか応募がない。

労使関係者の認識(ヒアリング結果より)

・  一部の受入れ団体や企業において、安価な単純労働力の調達手段として活用されており、研修・技能実習生を「戦力」としてみなす「間違った認識」が定着している。(労)
研修・技能実習生がいなければ事業を継続できない中小零細企業も多いのが実情。(使)



II−1研修・技能実習制度の問題点(「研修」の問題点) [3](論点・議論の整理)

(これまでの議論の整理)

研修期間中に支払われる研修手当は賃金ではなく、法務省の指針において「生活する上で必要と認められる実費の支給」という位置付けとなっている。その水準については、基準もなく、法令上の支払い義務もない。
もともと「生活する上で必要と認められる実費」が非常に曖昧な概念。その水準は最低賃金を下回るが、一方で、住居は無償で確保され、食事も提供している例があり、手取りベースでは研修中と技能実習中の金額に差がないケースもある。
「実務研修」については、生産現場で実際に商品の生産等に従事することから、外見上その活動が「研修」なのか、資格外活動である「労働」なのか、明確に区別できない。特に、業務上の指揮命令下で働きながら技能を身につけるOJT訓練との区別がつかないのではないか。
また、中小零細企業(団体監理型による受入れ)においては、労務管理体制が脆弱であり、「研修」と「労働」を区別することは困難ではないか。
他方、「実務研修中」についても、本来の「研修」が適正に実施されるよう、受入れ企業に対する動機づけを高める方策や指導の徹底をしていくべきとの見解もある。
判例や労働基準法の解釈を踏まえると、「研修」と「労働」を区別するための指標として、[1]研修が教育の目的でのみ行われること、[2]研修計画を定め、それに従って行われること、[3]研修と関係ない作業、事務その他雑用に使用されないこと、[4]教育的効果が実現されること等が挙げられる。
団体監理型の「研修」において特に問題が生じているとの指摘がある。




II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」における問題点) [1](労働条件の確保)
  技能実習移行後も、賃金未払い、36協定不締結等の問題がみられる。
(新聞報道等の抜粋)
[1] 技能実習生11人に対する残業代(総額800万円)が不払い・賃金額も最低賃金未満の月額6万円であったケース
(H18縫製団体監理型)
[2] 実習生の時間外割増賃金の不足、管理費2万〜2万5千円を賃金から不正に控除していたケース(H17縫製団体監理型)
[3] 中国人実習生8人が、月額賃金が4万5千円〜5万円と最賃法違反で労基署に申告したケース(H18縫製団体監理型)
[4] 実習生が組合理事長からセクハラを受けたとして理事長を提訴したケース(H18異業種団体監理型)
[5] 自動車関連の2次-3次下請け会社23社が、ベトナム人実習生に対し、月額12万2千円、残業代450円の統一賃金を定め、最賃法や労基法違反で労基署から是正勧告を受けていたケース(H18異業種団体監理型)
[6] 中国人実習生3人が残業代不払いを労基署に申告、その他[1]年間休日は10日前後、残業は月200時間、[2]パスポートや預金通帳は会社管理、[3]終業後も1−2時間の内職の訴えがあったケース(H18縫製団体監理型)


(JITCOに寄せられるトラブル相談の事例)

JITCO母国語電話相談に寄せられるトラブル相談にも、賃金未払い等(44件、6.2%)、時間外賃金未払い等(145 件、20.3%)、 社会保険未加入等(31件、4.4%)の内容がみられる。






II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」の問題点)[2]同等報酬要件の実効性の確保
  技能実習生に支払われる予定賃金の水準をみると、概ね最低賃金を若干上回る程度の水準に止まっている。また、単純な比較はできないものの、技能実習生の賃金額の平均が日本人のそれを下回っている。
平成17年度技能実習移行申請者への支給予定賃金(基本給)の性別状況
技能実習移行申請者全体における支給予定賃金の平均は、11.8万円、男性の平均は12.3万円、女性の平均は11.5万円。

受入れ企業における技能実習生に対する賃金支払額等について

日本人労働者の支払賃金額は、受入企業において、技能実習生と同様の職務に就いている日本人労働者、同じ職務についている者がいなければ、基本給が最も安い日本人労働者について回答を求めた。
※※ 有効回答数は、技能実習生については10,292企業、日本人労働者については、8,909企業。



(JITCO自主点検結果より)


II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」の問題点)[3](実習体制・実習の実効性の確保)
  受入れ企業によっては、研修生、実習生の数が日本人従業員を大きく上回っていたり、事業主以外はすべて研修生・実習生といった例も見られる。
【研修生受入れ人数の上限】
  入管法に基づく基準省令において、受入れ企業の常勤職員1/20と規定されている。
  また、基準省令第6号の特例告示においては、団体監理型の研修生の受入れ人数枠について、それぞれ受入企業の常勤職員数に従い上限が規定されている。

 

第1次受入機関 受入れを行う企業等の
常勤職員数
研修生の
人数枠
A 企業単独型   常勤職員の
5%以内
民法第34条による社団・財団法人

職業訓練法人
(財団法人)
B 商工会義所・商工会

中小企業団体

職業訓練法人
(社団法人)
201人以上300人以下 15人
101人以上200人以下 10人
51人以上100人以下 6人
50人以下 3人
C 農業協同組合
農業技術協力を行う公益法人
農業を営む組合員 2人以下

受入企業の従業員に対する研修生、実習生の割合  (JITCO自主点検結果より)

受入企業の従業員に対する研修生、実習生の割合

  指導員等実習担当者の配置について、技能実習期間中についても配置するよう入国管理局指針において求めているが、義務ではない。

II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」の問題点) [4](技能移転の実効性確保)
  技能実習中は、技能実習計画の作成・履行が義務付けられているものの、実習指導員の配置や実習終了時の評価試験の受験は任意である。また、実習生の帰国後の就職状況等技能移転の実態は十分に把握されていない。
技能実習制度における実習終了時の評価試験受験者数の推移
  技能実習終了時の3級レベル試験受験率は、0.75%
※JITCOデータ
 
  2003年度 2004年度 2005年度
3級レベル受験者数(A)
カッコ内数字はJITCO認定評価
システム受検者数
105
(15)
169
(25)
205
(24)
3級レベル受験率
(A/C)
0.47% 0.73% 0.75%
3級レベル合格者数(B)
カッコ内数字はJITCO認定評価
システム受検者数
96
(15)
155
(25)
187
(24)
3級レベル合格率
(A/B)
91.4% 91.7% 91.2%
前々年度の移行申請件数※2(C) 22,268 22,997 27,233

研修・技能実習における技能習得の状況について評価(調査対象:中国)
(JITCOフォローアップ結果より)


II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」の問題点)[5] (受入れ機関・送り出し機関のあり方(ブローカー対策も含む))
  送り出し機関及び受入れ機関に対する管理費の支払いが受入れ企業にとって大きな負担となり、実習生の賃金水準の低下や拘束的労働の原因ともなっているとの指摘がある。
「受入れ管理費の具体的事例」

1社2万円+研修実習生一人当たり2千円/月で、管理費とは別に採用時渡航費用を積立。
研修生・実習生一人につき1万円/月
研修生約5万円/月、実習生2.5万円/月
研修生4万円/月、実習生3万円/月

「送出し管理費の具体的事例」

1年目(研修)1名につき2万円/月、2年目〜(技能実習)1名につき1万円/月
組合が企業から徴収し、送り出し機関に送金。
送出し管理費は、一人当たり2.5万円/月で、主に現地での事前集合研修費用としている。
送出し機関の視察団が年2、3回訪日し、組合と全受入れ企業を訪問する際支払い。

(受入れ企業等へのヒアリングより)


受入れ機関の問題事例

・  受入れ団体の中には、研修生・実習生の受入れのみを目的として事業協同組合を設立し、研修生の紹介を誘引として会員を募集し、ブローカー的に中間搾取を行っているケースがある。

不正行為認定を受けて新規受入れができなくなった団体が脱法的に新たな法人を設立して新規受入れを再開するケースも考えられる。

II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」の問題点) [5](受入れ機関・送り出し機関のあり方(ブローカー対策も含む))
送り出し側の問題:保証金等の事例
JITCOフォローアップ調査結果(中国:対象63人)

保証金納入状況(対象63人)

納入先

派遣元企業

送出し機関

他の機関

不納

無回答

(人) 22(34.9%) 27(42.9%) 0 14(22.2%) 0

納入者のうち保証金の返還状況(対象49人)

  全額返還された

一部返還された

返還されなかった

無回答

(人) 46(93.8%) 0(0%) 3(6.2%) 0

送り出し機関に対する適正化に向けた取り組み

政府間のチャンネル
・  送出し国との領事当局間協議等において、相手国政府に対し、制度の適正運用のため、管理の強化を申し入れた。
(平成18年6月中国、平成18年12月ベトナム)

JITCOによる定期協議(RD締結国の政府窓口機関と定期的(送出し研修生等の多い国は年に一度)に協議を実施))
(フィリピン(平成18年12月))
・  送出し側でもブローカーが介在したり、研修生の厳正な募集・選抜がされていないケースもあるので、不適正行為を排除するよう、送出し機関に対する監督・指導に引き続き努めてもらいたい旨要請。
フィリピン認定送出し機関数が過去一年間で36機関から54機関へ増えているところ、認定の審査を厳しくするよう求めた。
(中国:中日機構(平成18年10月))
候補者選定、送出し事業実施の適正化(認定証明書・査証の申請書類への虚偽記載、二重契約等の不正事案の防止)、失踪者の増加への対策を求めた。


II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」の問題点) [6](チェック機能の強化)
JITCO等による適正化のための対応


 
○全受入れ機関に対する自主点検の実施等
労働関係法令の遵守状況を中心にした自主点検を、すべての技能実習生受入れ企業(14,500企業)及び受入れ団体(1,180団体)を対象とし、JITCOを通じて昨年9月に実施。(回答率74%)

JITCOにおいて、自主点検結果を踏まえ、未回答企業及び問題があると認められた企業への巡回指導等を昨年12月より実施し、それらの結果を労働基準監督機関に提供する。


○JITCOを通じた巡回指導の強化。
平成19年度巡回指導件数を増加し、7,300企業(全受入れ企業の約半数)に対して予定。
(前年度比1,300件増)


○労働基準監督機関による監督指導等の強化
労働基準監督機関においては、JITCOから提供された情報も踏まえ、技能実習生の労働条件の履行・確保上、問題がある技能実習生受入れ事業場に対する監督指導を強化。

新たに設けた出入国管理機関との相互通報制度を適切に運用。
 



II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」の問題点) [7](より高度なレベルの技能実習)
  使用者団体や受入れ団体からのヒアリングにおいて、いったん帰国した実習生の再入国による実習(再技能実習)の要望が出ている。
(具体的意見の例)
業種によっては、習熟度も異なり、金型など3年では足りないといった話も聞く。
帰国して技能移転を行って、一定の基準をクリアした者については、高度な第二次の実習に二年間入れるようにすべき。


II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」の問題点)
[8](対象職種のあり方・技能評価のあり方)
現行の技能実習の実施については、評価制度が整備されている職種・作業に限定されており、幅広い技能の習得を可能とするものになっておらず、また、評価試験の整備については時間を要することから、見直しを求める要望が出ている。

(具体的意見の例)
職種の拡大を検討すべきである。
メーカーが求めるのは、特定の職種ではなく、ライン工程の多能工である。



II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」の問題点) [9](受入企業・産業分野の問題)


  一部の受入れ企業の中には、専ら人件費の削減を目的として低賃金労働力として活用している悪質なケースや、事業の高度化や労働環境改善努力を怠り、研修生・実習生に頼っているケースもあると考えられる。
  他方、産業構造上、日本人が望む賃金水準の求人を出すことができず、日本人が確保できないため、研修生・実習生を労働力としても活用しているケースもあると考えられる。
  上記の産業構造等を念頭に、受入れ企業・産業分野をパターン分けし、それに応じた政策的課題を考えることが必要ではないか。





II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」の問題点) [9](受入企業・産業分野の問題)
技能実習生の受入れパターン

II−2研修・技能実習制度の問題点(「技能実習」の問題点) [9](受入企業・産業分野の問題)
Bタイプの受入れ企業のパターン

「技能実習」における問題点(論点・議論の整理)

(これまでの議論の整理)
  技能実習中については、受入れ団体に監理責任がなく、実習の実施責任は受入れ企業に委ねられている。
  現行制度において、同等報酬要件が課されているが、年齢、職種、技能レベル等が異なる労働者について何をもって同一労働とみなすかが難しい。
  例えば、その企業において初任給が一番低いとすれば、初任給より低い水準であれば、少なくとも同等でないと言えるのではないか。また、給与水準の決定方法を情報開示させるなど、説明責任を課すことも考えられる。
  現行では3人の日本人従業員がいれば、研修生・実習生合わせて最大9人まで受入れが可能。技能移転が適正に行われ、かつ労働災害を防ぐためにも、受入れ人数枠については見直しが必要ではないか。
  政策効果を図る観点からも、技能実習終了時の評価が重要であるとともに、帰国後の技能移転の状況をきちんとフォローアップする仕組みが必要ではないか。
  実習終了時の評価試験の受験率向上等のためには、一定のインセンティブも必要ではないか。
  優良な受入れ機関は積極的に評価し、そうでないところはペナルティを強化していくことが必要ではないか。
  適正な運営を行っている受入れ団体は、優良な送出し機関と連携し、研修生の選抜は受入れ企業が現地に赴いて直接行っている。
  受入れ団体の中には、研修生・実習生の受入れのみを目的として事業協同組合を設立し、ブローカー的に中間搾取を行っている例もある。受入れ団体としての適性の有無について、団体設立後の一定期間の活動状況をみて判断してはどうか。
  一部の送出し機関が、入国前に研修生・実習生から多額の保証金を徴収しているとの指摘もある。送出し機関をコントロールする方法も検討すべきではないか。
  研修生・実習生の権利を明確にした上で、その権利が侵害されたときに救済・保護するシステムをきちんと構築すべきではないか。

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