07/01/29 第94回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第94回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成19年1月29日(月)14:00〜 2 場所  職業安定局第1会議室 3 出席者    委員  公益代表 : 鎌田委員、清家委員        労働者代表: 長谷川委員、市川委員、古市委員        使用者代表: 輪島委員   事務局  鳥生職業安定局次長、坂口需給調整事業課長、        篠崎需給調整事業課長補佐、松浦需給調整事業課長補佐        佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題   (1)労働力需給制度について        (2)その他 ○坂口課長   鎌田委員は少し遅れるようですので、始めていただきたいと思います。 ○清家部会長   お忙しいところ、ありがとうございます。ただいまから第94回労働力需給制度部会を 開催いたします。本日は北村委員、成宮委員、山崎委員がご欠席です。また、いまお話 があったように、鎌田委員は遅れてお見えになると伺っております。本日は最初に公開 で、労働力需給制度についてご審議いただき、その後、一般労働者派遣事業の許可の諮 問、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮問に関わる審議を行います。 許可の諮問につきましては、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を取り扱うこと から、これについては「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益 を及ぼすおそれがある」という場合に該当するため非公開とさせていただきたいと思い ますので、傍聴されておられます方々には始まる前にご退席いただくことになることを 予めご了承ください。  それでは議事に入ります。最初の議題は「労働力需給制度について」です。前回の部 会で、「これまでのフォローアップと更なる検討が必要な事項」について委員の方々か らのご意見等があり、それに基づいて私と事務局で文言を調整しました。また、前回 「労働者派遣制度に関する今後の議論の進め方」についてご了承いただきました。そこ では労働者派遣制度に関わる基本的な問題について議論するとしており、事務局で早速、 その議論のための資料を準備していただきましたので、本件について事務局から説明を お願いいたします。 ○篠崎補佐   資料の説明をさせていただきます。まず、お手元の資料のご確認をお願いします。本 日は配付資料が3点ございます。資料1は、前回ご議論いただきました「これまでのフ ォローアップと更なる検討が必要な事項」です。資料2が「労働者派遣関係資料」です。 これは今日のご議論の参考になるようにということで用意いたしましたので、資料2を 中心に詳しく説明させていただきます。資料3ですが、昨年の12月26日に閣議決定され た規制改革・民間開放推進会議の「規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申」に 関する対処方針についてですが、これについても後で説明させていただきます。  資料1の5頁をお開きください。フォローアップ事項の派遣労働者への雇入申込義務 の関係で、1つ目の○の「部会の委員からは」という部分について、「全体として3年 を超えないような運用」という表現がありましたが、これについて従前だと「派遣受入 期間制限の有無に関わらず」ということが読みづらいということでした。派遣受入期間 がある業務と無い業務の両方にかかるという趣旨かと受け止めましたので、それを反映 しております。  後段の「直接雇用しないように細切れ契約になってきている」という意見についても、 「派遣受入期間の有無に関わらず」と修正いたしました。  では修正された部分を通して読ませていただきます。「部会の委員からは、26業務以 外については3年の派遣受入期間制限があり、26業務については同一の労働者の派遣が 3年を超えた場合には雇入申込義務が発生する可能性があるため、どちらにしても雇入 申込義務が発生しないように、全体として3年を超えないような運用がされており、雇 用の安定にならない結果に一部なっているとの意見があった。また、派遣受入期間制限 の有無に関わらず、直接雇用しないように細切れ契約になってきているとの意見もあっ た」と、以上のように修正させていただきました。 ○清家部会長   これは輪島委員のご要望でしたが、このような形でよろしいですか。 ○輪島委員   はい、ありがとうございました。 ○篠崎補佐   続いて7頁をご覧ください。ここはフォローアップ事項の紹介予定派遣の部分です。 1つ目の○、紹介予定派遣の実績を掲載した部分ですが、直近の状況を反映するように ということでしたので、16年度で約1万人、それに加えて平成17年度で約2万人が直接 雇用に結びついたという実績を追加記載いたしました。これは年末に発表した事業報告 を反映したものです。「これまでのフォローアップと更なる検討が必要な事項」につい ての修正は以上です。  資料2では大きく3つの説明をしております。第1点は労働者派遣法の変遷、第2点 は派遣に関わる国内労働市場、その他労働市場全般の中で派遣がどういう位置付けにあ るかが分かるようなもの、そして3点目として、派遣という働き方に関する議論の参考 になる資料を用意しております。  資料2の2頁は「労働者派遣法の変遷」です。(1)は労働者派遣法の制定について、 (2)は改正の経過についての資料です。(3)は、改正の経過は全般的な改正点です が、その中で、特に期間制限や対象業務に絞って変遷を見た資料を用意しました。  3頁をご覧ください。(1)労働者派遣法の制定です。派遣法制定の背景として主に どういう目的で労働者派遣法が制定されたかを説明しています。上段の労働者派遣法制 定以前の状況についてです。  (1)マイクロ・エレクトロニクスを中心とする新たな技術革命に伴う企業内における専 門的な業務分野の増加や、希望する日時等に合わせて専門的な知識、技術、経験を活か して就業することを希望する労働者の意識の変化を背景とし、(2)他の企業の仕事を請け 負い、自己の雇用する労働者をその企業に派遣して就業させるという、いわゆる人材派 遣業が増加し、そこで就業する労働者数も相当な数になりつつある中で、(3)これらの事 業が労働力の多様なニーズに対応した需給の結合を促進し就業の機会を拡大する役割を 果たしているところである一方、労働者が派遣先の企業で就業する形態であることから、 労働者供給事業との関係で問題が生ずる場合もあるほか、労働基準法等の適用に関して も、現行法の下では適切に対処できないという問題もあった。  以上読み上げさせていただきましたが、まず(1)にあるように、企業内において専門的 な分野というものが出てきて、専門的な知識を活かすことを希望する労働者の意識の変 化もあった。つまり産業の変化と労働者意識の変化があったわけです。そういった中で、 (2)にあるように、人材派遣業が現実的に増加し、それなりの労働者数にもなる状況があ った。そして(3)にあるように、労働力の需給調整ということで役割を果たしていますが、 雇用者と実際の指揮命令をする者が違うというのは一種特殊な形態である。従前、雇用 関係が2つあるような形のものは労働者供給事業ということで職業安定法上すべて禁止 されており、そういったこととの関係で問題が生じることがあるということです。また、 実際に指揮命令する者と雇用者が違うことから、労働基準法の適用に関しても適切に対 処できないという状況の中では、問題点があるということです。  下段に移ります。昭和60年に労働者派遣法が制定されました。その目的は、職業安定 法第44条の労働者供給事業の禁止という精神を堅持しつつも、特定の業務分野について は、労働者の保護と雇用の安定に配慮した上で、労働者派遣事業を制度化し、そのため の法的整備を図ることが必要であるとしました。つまり、従来どおり労働者供給事業と いうものを禁止しながらも、その中で特定の形を労働者派遣という形で切り出し、それ について法的な整備を図るということです。  法の目的ですが、労働力需給の適正な調整を図るため、労働者派遣事業の適正な運営 の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の就業に関する条件の整備等を図り、 もって派遣労働者の雇用の安定と福祉の増進に資することを目的とする、とされており、 事業運営を適正化するとともに、労働者の就業条件を整備する、という大きく2つの目 的がございます。  内容は多岐にわたりますが、大きく言えば2つです。「労働者派遣事業の適正な運営 の確保に関する措置」では、許可・届出制の採用や適用対象業務等について定めること、 「派遣労働者の就業条件の整備等に関する措置」としては、労働者派遣契約の中でこう いった事項を定めなければいけない、ということを法律上決めるとともに、労働基準法 等の使用者責任の明確化ということで、例えば安全衛生に関する部分について、一定の 部分は派遣先が使用者責任を負う等の決め事をするということです。  4頁の(2)改正の経過は、昭和60年の法律制定以降の主な法改正の概要を示したも のです。これは冒頭申し上げましたが、派遣対象業務や派遣期間に限らず、全般的なも のを取り上げております。まず昭和60年ですが、これは労働者派遣法の制定です。 労働者派遣法は昭和60年7月に制定され、昭和61年7月1日施行ですが、常用雇用の代 替とならないよう、業務の専門性、雇用管理の特殊性を考慮して適用対象業務を限定す る。  次の平成8年改正では、(1)派遣労働者の就業条件の確保のための措置として、(1) 労働者派遣契約の契約事項として派遣契約に盛り込まなければいけない事項に、派遣労 働者からの苦情処理等に関する事項を追加する。(2)派遣元事業主及び派遣先が講ずべき 措置に関する指針の公表を法定化しています。  (2)は、派遣先における派遣就業の適正化のための措置の充実として、(1)適用対象 業務以外の業務に派遣就業させてはならないこと及び派遣元事業主(許可・届出をして いる事業主)以外の者から労働者派遣を受け入れてはならないことの明確化。(2)として、 それに違反した違反を是正するための勧告・公表等ということで派遣先、要は労働者派 遣を受け入れる事業主については勧告や公表といった措置を法律上位置付けました。  (3)は育児・介護休業取得者の業務について行われる労働者派遣事業の適用対象業 務をネガティブリスト化すること。現在もネガティブリスト化ですが、当時は対象業務 が限られている中で、育児・介護休業取得者の業務について特定の事業だけを禁止し、 それ以外はやってよいという形で改正を行いました。  次は平成11年改正です。背景としてはILO181号条約、これは派遣のみならず、民 間の職業仲介事業所に関する条約ですが、それの採択等を踏まえて労働者派遣法の一部 改正を行いました。  内容ですが、(1)は適用対象業務に関することです。これはそれまでのポジティブ リスト化からネガティブリスト化ということで、やってはいけない業務だけを定めると いう形に変更しました。その際適用対象外とされた業務は、(1)港湾運送業務、(2)建設業 務、(3)警備業務、(4)医療関連業務、(5)物の製造業務です。  (2)は派遣受入期間です。平成11年当時は26業務に限られていたものを、ネガティ ブリスト化することで基本的に業務ができるようになりましたが、受入期間が出来て臨 時的・一時的な労働力の需給調整システムとして新たに拡大された適用対象業務につい ては、派遣受入期間を1年という形で制限を行いました。  (3)は派遣労働者の個人情報の保護規定の追加、(4)は派遣労働者の直接雇用の 努力義務の創設、このような内容でした。  5頁にあるのが直近の平成15年の改正です。まず改正の目的ですが、労働者派遣事業 が労働力需給の迅速、円滑かつ的確な結合を図ることができるよう労働者派遣法を改正 したものです。  内容ですが(1)は派遣受入期間の延長として、派遣受入期間の制限を1年から最長 3年までに延長しました。  (2)は派遣労働者の直接雇用の促進ですが、内容としては2つあります。1つ目は 派遣受入期間の制限がある業務について、派遣受入期間の制限に抵触する日以降も派遣 先が派遣労働者を使用しようとする場合は、派遣労働者に対して雇用契約の申込みをす ることを義務化する。2つ目は、派遣受入期間の制限がない業務(専門的等の26業務) について、3年を超えて同一の派遣労働者を受け入れている派遣先が当該業務に新たに 労働者を雇い入れようとする場合は、派遣労働者に対して雇用契約の申込みをすること を義務付けるという、2つの直接雇用の促進に関する規定を設けております。  (3)は適用対象業務の拡大で、物の製造の業務について労働者派遣事業を行うこと を解禁いたしました。ただし、施行から3年間は、派遣受入期間の制限は1年です。施 行3年というのは平成19年2月までですので、平成19年3月以降は、その他の業務と同 様に、原則1年、最長3年までという形になることが決まっております。  (4)は許可・届出手続の簡素化です。労働者派遣事業の許可・届出について、それ までは事業所単位でしたが、それ以降は事業主単位でいいということで業務の簡素化を 行いました。  (5)は紹介予定派遣です。紹介予定派遣の法律上の位置付けを明確化し、これ以降、 紹介予定派遣が使いやすくなりました。  これまでは労働者派遣法全体の主な改正でしたが、6頁の(3)では期間制限と対象 業務に絞ってその変遷をまとめてあります。改正の際の審議会における報告書や法律の 実際の条文等を引用しながら説明いたします。まず昭和60年の法律制定時ですが、この とき、対象業務に関しては13業務でスタートし、施行後直ちに3業務を追加して16業務 になっております。ここでは労働者派遣事業等小委員会報告を引用しておりますが、ま ず背景としては、「労働力需給の迅速かつ的確な結合を図り、労働者の保護と雇用の安 定を図るためには、労働者派遣事業を労働力需給調整システムの一つとして制度化し、 そのために必要なルールを定める必要がある。」「制度化に当たっては、我が国におけ る雇用慣行との調和に留意し、常用雇用の代替を促すこととならないよう十分に配慮す る必要がある。」「対象業務については、業務の専門性、雇用管理の特殊性等を考慮し て、(中略)限定することが適当である。」と以上のような報告がなされております。  その上で、下の枠囲みにしておりますのが昭和60年法律制定時の条文の抜粋ですが、 この中に対象業務の制定の考え方が示されております。まず、労働者派遣事業は、港湾 運送業務、建設業務その他労働者派遣事業で従事させることができるようにすることが 適当でないと認められる業務として政令で定める業務以外の業務のうち、必要があるも のとして政令で定める業務について行うことができるとしている。最終的には政令で 「必要な業務」を「必要があるものとして定める業務について行うことができる」とし ておりますが、これがいわゆるポジティブリストです。  「政令で定める業務について」ということで、具体的にどういう業務を定めるかとい う考え方が一と二に書いてあります。一は、その業務を迅速かつ的確に遂行するために 専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務、二は、その業務に従事する労働者につ いて、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別な雇用管理を行う必要があると認め られる業務、ということで、専門的な業務と特殊な雇用管理を必要とすると認められる 業務、この2種類が想定されております。  7頁です。国会における修正を紹介させていただきます。国会におきましては、常用 雇用の代替を防ぐために、派遣期間について制限を課すべきとの意見がございました。 そういったことも踏まえ、参議院で法律案の修正がなされました。第26条第2項が追加 され、労働者派遣契約期間の制限が法律に盛り込まれました。これは受入期間ではなく、 派遣契約期間の制限という条文です。この枠囲みの中に、昭和60年制定当時の条文を記 載いたしました。  続いて平成8年の政令改正です。この平成8年の政令改正を受けて26業務になりまし た。当時の審議会の報告の関係部分をまとめたものを紹介します。  まず、適用対象業務については、次の基準を基本として、適用対象業務とする必要性 について具体的に検討し、必要性のある業務について、新たに適用対象業務とするとい う考え方に立って検討をすることが適当である、ということで検討の中で3つ述べられ ております。1つ目が、専門的知識、技術又は経験が必要な業務、又は特別の雇用管理 が必要な業務のいずれかに該当する業務であること。2つ目が、労働力需給の迅速・的 確な結合を図るために、労働者派遣事業として行わせる必要がある業務であること。3 つ目が、常用雇用労働者の代替を不当に促進しない業務であること。このような考え方 で対象業務を拡大することが適当である、と審議会で報告していただきました。  これを踏まえ、要望のあった業務を中心に業務ごとに具体的に検討を行い、書籍等の 制作・編集、OAインストラクション、添乗等の11業務について新たに適用対象業務と して追加したという内容です。  8頁は平成11年の法律改正です。こちらも当時の審議会報告を紹介させていただきま す。まず背景ですが、「ILO181号条約が採決されたことによって」労働者派遣事業 についての「新たな国際基準が示されたことを踏まえるとともに、社会経済情勢の変化 への対応、労働者の多様な選択肢の確保等の観点から、常用雇用の代替のおそれが少な いと考えられる臨時的・一時的な労働力の需給調整に関する対策として労働者派遣事業 制度を位置付けることが適当である。」「ILO181号条約第2条の趣旨等を踏まえると、 労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でない業務以外は適用対象業務と すること(いわゆるネガティブリスト方式を採用すること)が適当である。」それから、 「常用雇用の代替防止の観点から、原則として、派遣先は同一業務について1年を超え る期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならないとすることが適当である。」 このような報告をいただいております。  点線の枠囲みにあるのは、先ほど紹介したILO181号条約についての注釈です。IL O181号条約は、労働市場における民間職業紹介事業所(労働者派遣事業を含む)の果た す役割が重要になってきたことを踏まえて、民間職業紹介事業所の運営に当たっての枠 組み及び労働者の保護を規定したものです。その中で、先ほどネガティブリスト方式を 採用することが適当であるという紹介をしましたが、ILO181号条約の第2条において、 「この条約は、すべての種類の労働者及びすべての部門の経済活動について適用する」 とされています。また、「最も代表的な使用者団体及び労働者団体と協議した上で、」 「特定の種類の労働者又は特定の部門の経済活動について」「サービスの一又は二以上 の提供を禁止すること」ができるとされています。このようなことを踏まえて平成11年 の改正に臨んだわけです。  9頁です。こういった審議会の建議・報告も踏まえて具体的な改正を行いました。第 1点として、対象業務についてポジティブリスト方式からネガティブリスト方式に変更 しました。枠囲みにありますが、法律で「してはならない業務」を規定しております。 それは港湾運送業務、建設業務、警備業務その他政令で禁止する業務で、具体的には医 療関連業務が政令で定められました。その他法律の附則及び省令において、物の製造業 務も適用除外とされました。  第2点ですが、それまで適用対象業務であった専門的等26業務については、引き続き、 期間制限なく行うことができる業務としました。  第3点目として、26業務以外の業務、すなわち平成11年改正で新たに対象になった業 務については臨時的・一時的な労働力の需給調整とすべく、1年の期間制限を導入する という内容です。  その下の四角囲みの中で、平成11年改正後の専門的等26業務を定める部分の条文を紹 介しております。具体的には、専門的な知識、技術又は経験を必要とするということと、 特殊な雇用管理を必要とする、という大きな柱は変わっておりません。  続いて10頁を見ていただきながら、平成15年の法律改正について、背景が分かるよう に審議会の報告を紹介させていただきます。まず、平成11年の労働者派遣法改正の際の 基本的な考え方である労働者派遣事業制度の「臨時的・一時的な労働力の需給調整に関 する対策」としての位置付け、及び、これに基づく派遣期間の一定の限定は、いわゆる 長期雇用慣行の我が国における位置付けを踏まえると、引き続き維持することが適当で あると考えるということ。それから、常用雇用との調和を図りつつ、派遣労働者や派遣 先のニーズに的確に応える観点から、現行の一律1年という制限については見直すこと とし、3年までの期間で臨時的・一時的と判断できる期間については、派遣を受け入れ ることができることとするのが適当である。また、経済・産業構造の転換や国際化が進 展する中、相手先企業からの発注に迅速に対応するため、日々変動する業務量に応じ、 労働力需給に迅速かつ的確に対応することへのニーズは製造業を中心により一層高まっ ている。こうしたニーズを踏まえると、当分の間、適用除外業務となっている「物の製 造」の業務については、製造業における臨時的・一時的な労働力需給を迅速に調整し、 円滑な事業運営が可能となるよう、適用対象業務とすることが適当である。なお、「物 の製造」の業務に従事する労働者の就業の実情等を考慮すると、一定期間、「物の製造」 の業務については、派遣期間を1年に制限することが適当である、とされました。  以上のように、平成11年改正の基本的考えである臨時的・一時的な需給調整は維持す べきであるが、一律に1年という制限については臨時的・一時的と判断できる中で、3 年まで可能とすることが適当である。それから、物の製造も対象業務とするが、当面は 1年に期間を制限する、このようなことが報告の中に盛り込まれております。  これを受けまして、具体的改正として、期間制限を1年から最大3年に延長すること。 また2点目は、第40条の5、これは期間制限のない業務における雇入申込義務の創設で すが、それに伴い、同一の派遣労働者について、就業の場所及び従事する業務が同一の 労働者派遣を継続して3年を超えて行うことがないよう指導することとされていた業務 取扱要領を改正することになりました。これは行政指導ベースのことですが、専門的26 業務について、同一の労働者が同じ業務に3年を超えて従事しないようにという指導を していたものを無くしたわけです。  3点目は、物の製造業務についての労働者派遣事業を解禁するが、法施行より3年間 は期間制限を1年としたことです。  11頁は参考で、対象業務の変遷です。平成11年までは、ここにある適用対象業務がポ ジティブリストとして定められていました。平成11年以降、業務については原則自由化 されておりますが、派遣受入期間制限がない業務というのは政令で定めており、それに ついて11年以降のことを記載してあります。  昭和60年の法律制定時は13業務からスタートしました。この中で網掛けがしてあるも のが特別な雇用管理を必要とする業務、何も網掛けをしていないのが専門的な知識等を 必要とする業務という区分けです。そして、施行直後の昭和61年の改正で3業務を追加 して16業務になりました。その際追加したのは機械設計、放送機器等操作、放送番組等 の演出です。  平成8年の改正におきましては、研究開発、事業の実施体制の企画・立案、テレマー ケティングの営業等の業務を追加し、合計で26業務となっております。  ネガティブリストにした後、期間制限のない業務について、平成14年改正で一部追加 しております。業務の区分けとしては26業務と変わらないのですが、金融商品の営業を 追加するという改正をしております。これが対象業務、それから、平成11年以降につい ては派遣受入期間制限のない業務についての変遷表です。  12頁以降は「派遣に関わる国内労働市場」についてです。(1)〜(6)にあるよう に、労働者派遣事業の労働者数の推移、いわゆる非正規雇用と言われる中での数の推移、 それから事業所数、売上高、派遣先件数等について説明をしております。  13頁、(1)は労働者派遣事業における労働者数の推移です。上が派遣労働者数全体 で、下が常用換算派遣労働者数です。上の派遣労働者数全体というのはいわゆる登録者 数で、1年間に1日でも働いた労働者をカウントするというものです。また、それにつ いて常用に換算した数で見たものが下の段です。これで見ますと、例えば平成11年度に は派遣労働者全体は107万人、常用換算で39万人だったものが、平成12年度は派遣労働 者全体で139万人、常用換算で54万人となっております。その後平成15年に法律改正が あって平成16年3月に施行したわけですが、その後も傾向としてはどちらも伸びており、 平成17年度は、派遣労働者数全体で255万人、常用換算の派遣労働者数で124万人になっ ています。なお、これは事業報告の集計結果から出したものです。  14頁に移って、(2)は非正規雇用者数の推移です。これは総務省の労働力調査から 取っております。比較の関係で平成12年と13年は2月時点、平成14年以降は1〜3月の 平均で記載しております。平成12年は全体で1,273万人。これはパート、アルバイト、 派遣社員、その他(契約社員・嘱託など)ですが、全体の中で派遣社員は上から2つ目 の黒い部分で33万人でした。傾向としては右のほうに行くに従って増えており、直近の 平成18年に、パート、アルバイト等全体では1,663万人、派遣社員は121万人です。構成 比としては、今でもパートがいちばん多くなっています。契約社員等の伸びも大きいの ですが、派遣社員も増える傾向になっております。  15頁は労働者派遣事業所数の推移です。平成10年度と平成11年度で若干落ちておりま すが、これはそれまで集計数を累計(延べ数)で取っていたものを、平成11年度から廃 止や不更新事業所を除くという処理をすることによって若干減った部分もあります。こ こはそういう留意が必要なのですが、全体としては毎年増えていく傾向にあります。例 えば平成11年度は合計で1万2,653事業所であったものが、平成15年度は約2万2,000事 業所、平成16年度は約3万事業所、17年度は約3万9,000事業所、直近の平成18年12月に は約4万7,000事業所という状況です。  16頁の(4)は労働者派遣事業に係る売上高の推移です。これも年によって若干波は ありますが、傾向としては増えているという状況で、直近では約4兆円という売上げに なっております。ただ、1事業所当たりの売上高で見ますと必ずしも右肩上がりではな くて、若干下がっているような傾向もございます。  17頁は(5)派遣先件数の推移です。これは派遣元に聞いたものを集計しております ので、件数としては重複もあるかもしれず、実際の派遣先の件数とは必ずしも一致しま せんが、傾向としては右肩上がりになっております。平成11年度は約28万5,000件であ ったものが、直近の平成17年度では約65万9,000件という状況です。  いちばん下に参考として、当省の統計情報部で行った派遣労働実態調査において、派 遣労働者が就業している事業所の割合がありますが、それによりますと31.5%、つまり 約3分の1の事業所が派遣受入をしているという状況です。  18頁は(6)長期雇用についてですが、これは昨年の11月30日に経済財政諮問会議に 当方の柳澤厚生労働大臣が出席した際の提出資料をそのまま記載したものです。長期雇 用についてということで枠の中にありますが、○の1つ目、我が国における長期雇用は、 労使双方の合意に基づく慣行として定着してきたものであるということ。○の2つ目と して、長期雇用には、長期的な視点に立った人材育成や技術・ノウハウの着実な継承が 可能となる、労働者の帰属意識とモチベーションを確保でき、製品品質の維持・向上等 も期待できる、等のメリットがあり、アンケート結果等をみても、多くの企業経営者が 長期雇用を基本と考えている、という形で資料を作成いたしました。  具体的に説明させていただきます。左側は、長期雇用慣行の利点と欠点ということで まとめたものです。これは平成11年の「労働経済の分析」から引用したものです。まず、 経済全体の視点から見てどのような利点があるかというと、1つは、雇用の変動を小さ くし、経済全体の安定をもたらす。2つ目としては、失業給付負担を抑制する。一方、 経済全体の視点から見た欠点としては、産業構造変化を阻害するおそれがある、となっ ています。  企業の視点から見るとどうかというと、長期的な視野に立った能力開発と能力評価が できること。それから、従業員間や労使間の協調的・信頼的関係の醸成。情報の共有に よる効率化。企業に対する帰属意識、モラールの向上。欠点について、企業から見ると、 環境変化に迅速に対応した企業経営や事業転換を阻害するおそれがある。年功賃金体系 のままの場合、高齢化により賃金コストが増大する。  次は労働者の側から見た利点・欠点です。まず利点は、雇用の確保による生活基盤の 安定。生涯設計の立てやすさ。欠点は、能力が企業内に特化するため、転職や失業後の 再就職に不利。長時間労働や会社中心主義の一因。長期雇用システムの外に置かれやす い女性・高齢者にとって不利。このような利点・欠点があるという資料です。  右側は今後の雇用形態の組合せということで、「2004年春季労使交渉に関するトップ ・マネジメントのアンケート調査」という日本経団連の資料を引用させていただいたも のです。これによりますと、全体で81.2%の企業が「今後も長期雇用労働者を中心にす る」、あるいは「長期雇用労働者中心だが、パート・派遣等の比率を拡大する」と答え ています。「長期雇用労働者は中核業務のみとする」という企業は14.8%ですので、全 体として見ますと、長期雇用を中心としながら雇用形態を組み合わせていくということ が分かります。ただ、「パート・派遣等の比率を拡大する」と回答した企業も52.0%あ り、このように回答した企業も多いという状況です。  19頁は3「派遣という働き方」ということです。(1)派遣労働者の年収、(2)派 遣労働者の雇用形態、業務別の年収、(3)では派遣労働者に対する諸手当の状況、 (4)では派遣労働者の意識、(5)では派遣労働者に対する教育訓練、(6)では派 遣労働者に対する教育訓練や正社員登用について、(7)では派遣契約期間等、という ことで、派遣という働き方をどう見るかという議論の参考になるような資料を用意いた しました。  それでは具体的に説明いたします。20頁は(1)派遣労働者の年収です。このグラフ は、派遣のみならず全労働者がどういう状況になっているかということで整理いたしま した。いちばん上の線が全労働者で、これは「賃金構造基本統計調査」から出しており ます。真ん中の▲が派遣労働者、いちばん下のグラフが短時間労働者です。  これを見ますと、全労働者は、平均年収では487万円ですが、年とともに年収がなだ らかに上がっていく、いわゆる賃金カーブを描いているという状況が見てとれると思い ます。これに対して派遣労働者は、全体では平均年収が292万円。こちらも年齢ととも に上がっていく傾向は見てとれますが、全労働者に比べると上がり方が少ないことがわ かります。短時間労働者は、平均年収は112万円ですが、こちらは年齢とともに上がっ ていくようなカーブは見られません。トータルで見ますと、派遣労働者の賃金は年齢が 上がるとともに上昇しているものの、全労働者と比較すると、その上昇度合は低いとい うことが見てとれます。  21頁(2)に移ります。先ほどは労働者の中で派遣の位置付けを見ましたが、こちら は派遣労働者の中で、雇用形態や業務別でどういう年収になっているかということで、 「登録型」と「26業務」という2つのくくりで4分類にして集計をいたしました。  平均年収で見ますと、▲で示されている「常用型・26業務」が平均年収361万円でいち ばん高い。次が「常用型・26業務以外」で平均年収が277万円。次が「登録型・26業務」 で247万円、最後が「登録型・26業務以外」で234万円という平均年収になっています。  これを年齢でクロスを取ったものがこちらのグラフです。若干かぶっていて見づらい 所もございますが、特徴として見てとれますのは、▲で示されている「常用型・26業務」 です。こちらについては、若干例外もありますが、基本的には年齢とともに年収が上が っていくような形でグラフが見てとれると思います。  ○の部分、つまり「常用型・26業務以外」も「登録型・26業務」ほどではありません が、年齢とともに若干上がっていく傾向が見てとれると思います。その他「登録型・26 業務以外」、それから「登録型・26業務」は、サンプルの問題もあるかもしれませんが、 年齢が上がっても年収が上がっていくという傾向は見てとれませんで、逆に40代、50代 におきましては20代、30代よりも低くなる部分もあるという状況です。そういう意味で、 枠囲みの中で総括して書いてありますが、ばらつきはあるが、常用型のほうが登録型よ り年収が高く、26業務のほうが26業務以外より年収が高いという状況です。  22頁は(3)派遣労働者に対する諸手当の状況です。これはグラフの下にありますが、 賞与・一時金、退職手当、交通費、資格手当、住宅手当につきまして「常用」と「26業 務」という2つ、合計で4つに分類して状況を見たものです。例えば賞与・一時金につ いて、「常用型・26業務」が68.3%、「常用型・26業務以外」が40.4%。その後はずっ と開きまして、「登録型・26業務」が13.6%、「登録型・26業務以外」が9.3%。傾向 としては「常用型・26業務」が諸手当が賦与されている率がいちばん高く、次が「常用 型・26業務以外」、次が「登録型・26業務」、次が「登録型・26業務以外」という傾向 になっています。そういう意味では、枠囲みに書いてありますが、諸手当については、 概ね常用型のほうが登録型より付与されており、26業務のほうが26業務以外より付与さ れている。このように見ることができると考えております。  23頁は(4)派遣労働者の意識です。これは今回平成17年のアンケートだけではなく、 平成9年に行った労働力需給制度のアンケートと比較したものです。1つ目は、「でき るだけ早い時期に正社員として働きたいという者」がどう推移したかです。「常用型」 と「登録型」に分けて見ますと、「常用型」については平成9年には13.6%であったも のが、平成17年には24.6%ということで「できるだけ早い時期に正社員として働きたい」 という者が増加しております。「登録型」で見ましても、平成9年は19.6%であったも のが、平成17年には31.5%と増加しております。これは平成9年と平成17年の比較です ので、平成9年当時は「専門的等の26業務」であったものが、平成17年は、それにその 他の業務が加わっているという中での比較です。  2つ目の枠囲みは「今後も派遣労働者として働きたいと希望する者」です。こちらも 「常用型」と「登録型」に分けておりますが、平成9年は24.5%であったものが、平成 17年は25.2%と微増。「登録型」については平成9年に35.6%であったものが、平成17 年には30.1%と減少しております。こちらも先ほどと同じですが、平成9年は26業務で あったものが、平成17年の調査では、26業務に加えてその他、すなわち平成11年以降解 禁した業務も含まれているという状況下での数字です。  それから「正社員としての就職先が見つからないという理由で派遣を選んだ者」、こ れは「登録型」のみですが、こちらも平成9年には26.3%であったものが、平成17年に は33.2%と増加しております。全体として見ますと、専門的等の26業務だけだった平成 9年に比べますと、できるだけ早く正社員として働きたいという方の割合が多くなって いることが分かります。このまま派遣として働きたいという方の割合はさほど大きくは 変わっていない。一方、正社員としての就職先が見つからなかったという方は増えてい るという状況です。  いちばん下の枠囲みは、平成17年調査について、「常用型」「登録型」のみならず 「26業務」と「それ以外」ということでもう少し詳しく分析をしてみようということで 集計したデータです。まず(1)専門的等(26業務)の常用型の人で見ますと、「今後も派 遣労働者として働きたいとする者」が約30%、「できるだけ早い時期に正社員として働 きたい」という方が約28%。ほぼ同様ですが、派遣として働きたいという人のほうが若 干多いことが分かります。(2)専門的等(26業務)の登録型でみますと、「今後も派遣労 働者として働きたいと希望する者」が約37%、それに対して「できるだけ早い時期に正 社員として働きたい」という方が約31%。専門的等(26業務)の登録型の場合、派遣と して働きたいと希望する方が約4割、そちらのほうが6ポイントほど大きいという状況 です。  (3)の26業務以外、これは登録型と常用型をまとめての集計ですが、「今後も派遣労働 者として働きたいと希望する者」が約30%、「できるだけ早い時期に正社員として働き たい」という方が約40%です。26業務以外については「できるだけ早い時期に正社員と して働きたい」という方のほうが約10%ほど多くなっているという状況です。  24頁は(5)派遣労働者に対する教育訓練です。これも「常用型」と「26業務」を合 計で4つに分けておりますが、グラフの左側、教育訓練の受講率を全体で見ますと、 「常用型・26業務」で68.1%、「常用型・26業務以外」では55.5%、「登録型・26業務」 では58.9%、「登録型・26業務以外」では45.6%です。  具体的に教育訓練の時期別に見たものがグラフの右側です。新規採用時・登録時の教 育訓練がいちばん高いものが「常用型・26業務」で35.1%、いちばん低いものが「登録 型・26業務以外」で11.3%です。また、派遣直前の教育訓練はほぼ同様の傾向ですが、 「常用型・26業務」で17.9%、いちばん高いものが「登録型・26業務」で20.6%、いち ばん低いのが「登録型・26業務以外」で15.9%となっておりますが、大きな差は見られ ません。  派遣後の教育訓練については、いちばん高いものが「常用型・26業務」、いちばん低 いものが「登録型・26業務以外」となっています。トータルとして見ますと、枠囲みに あるように、教育訓練について、概ね「登録型」より「常用型」のほうが受講率が高く、 「26業務以外」より「26業務」のほうが受講率は高いという状況が見てとれます。  これまでは派遣労働者の中での分析ですが、25頁の(6)では、一般の労働者やパー ト、アルバイトと比べて見ております。まず左側のグラフはOFF−JTの受講状況で す。正社員では「受講した」が28.6%なのに対して、パート、アルバイト、嘱託、契約 社員では9.2%、派遣労働者では5.6%となっています。ただし、この調査は過去1年間 のOFF−JTの受講状況ですが、先ほど見ましたように、派遣労働者の場合は新規採 用時や登録時等に受講するケースが多いということもあるのかとは思います。  右側は正社員登用の仕組みのあり/なしを聞いたものです。パート、アルバイト、嘱託、 契約社員については41.1%がそういった仕組みがあると答えているのに対して、派遣労 働者の場合は34.9%です。参考ですが、労働力需給制度のアンケートによると、「正社 員として登用する制度がある」と答えた派遣先は17.0%になっています。  26頁は(7)派遣契約期間等です。まず、上の2つが派遣契約で見たもの、下の2つ が雇用契約で見たものです。派遣契約は、派遣元と派遣先で取り交わされる契約ですが、 いちばん左の上にあるように、 派遣契約期間の構成比について見ますと、いちばん多いものが3ヶ月以上6ヶ月未満が 31.0%、続いて6ヶ月以上1年未満が29.4%ということで、大部分が1年未満になって います。こちらは個別の派遣契約ですが、通算派遣契約期間で見たものが右上のもので す。こちらは、通算で見ますと1年以上3年未満がいちばん多く36.1%、6ヶ月以上1 年未満が27.4%となっております。これは派遣元と派遣先の契約です。労働者に着目し たものが下の2つのグラフです。左下が派遣元との雇用契約の期間別派遣労働者の構成 比ということで、いちばん多いのが、期間の定めはないものが26.1%、2番目に多いの が3ヶ月以上6ヶ月未満が24.5パーセント、3番目は6ヶ月以上1年未満が22.5%とい うことで、常用型の派遣労働者もいますので、雇用契約としては期間の定めのないもの もそれなりにあります。一方で3ヶ月から6ヶ月、6ヶ月から1年といった1年未満の 派遣契約の方も多いという状況です。右下は、派遣で働いた通算期間別派遣労働者の構 成比で、アンケートで聞いたものですが、派遣として通算でどれぐらい働いたか。この 場合派遣会社が変わった場合ということもあり得るのですが、それで見ると、一番多い ものが1年以上2年未満が18.2%、3年以上5年未満が18.1%、5年以上10年未満が 14.8%となっております。派遣契約期間等ということで枠囲みにまとめを書いておりま すが、派遣契約期間は3ヶ月以上6ヶ月未満、通算派遣期間は1年以上3年未満が最も 多いと。一方、雇用契約期間は3ヶ月以上6ヶ月未満、通算派遣勤続期間は3年以上5 年未満が最も多い、となっています。  続きまして27頁以降です。これは昨年の9月15日に当部会のほうに提出させていただ いた資料を参考でそのまま付けさせていただいております。「派遣の受入れ理由、選択 理由」、派遣の「メリット、デメリット」などについての資料です。常用型と登録型と いった分け方がありましたが、26業務とそれ以外の分析は、このときはしておりません でしたが、今回は、できるだけ詳しく分析するということで、取れるものについて、常 用と登録に加えまして、「26業務」と「それ以外」といった形で詳しく分析できるよう に資料を作成させていただきました。27頁以降の説明は省略させていただきます。  続きまして、資料の3をご覧ください。こちらが、本日の議論に直接関係のある資料 ではありませんが、昨年の12月26日に閣議決定したものをご紹介させていただきます。 この閣議決定の内容としまして、規制改革・民間開放推進会議の第3次答申の中で示さ れた、具体的施策がありまして、これについて最大限尊重するという閣議決定をしてお りますので、ご紹介をさせていただきます。1枚おめくりください。3の(3)で、 「派遣労働をめぐる規定の見直し等」ということで2つあります。1つは紹介予定派遣 以外の労働者派遣における事前面接の解禁、2つ目が派遣労働者に対する雇用契約申込 み義務の見直しということで、どちらも平成19年度中に検討とされています。こちらは 昨年の答申でも同様の部分がありまして、その際には平成18年度中に検討とされており ましたので、引き続き検討ということで、それを尊重するというものです。こちらの事 項につきましては、従前より15年改正を中心とするフォローアップの中に盛り込まれて います。そういった意味で新しいものではございません。資料の説明は以上です。 ○清家部会長   ありがとうございました。  それでは前回ここで決めましたように、今回から少し派遣という働き方などについて、 自由にご議論いただくということになっておりますが、その前にいま事務局からご説明 いただいた資料1の「これまでのフォローアップと更なる検討が必要な事項」について、 前回、基本的にはこれでよろしいという合意をいただいておりますが、一部事務局と私 のほうの責任で直すといった部分を直していただきましたが、ご確認いただいて「これ までのフォローアップと更なる検討が必要な事項」については、これでよろしゅうござ いましょうか。        (異議なし) ○清家部会長   それではそのようにさせていただきます。それでは本日配布していただきました関係 資料等、これは議論の参考ということでご説明いただきましたのでこれを参考にしてい ただきまして、派遣という働き方などについて少しフリーディスカッションをしていた だきたいと思います。よろしくお願いします。   ○輪島委員   使用者は1人なので心細いのですが。まず最初に、言葉というのは最近大事だと思っ ていまして、残業代ゼロ法案と書かれて非常に説明しづらいことになっています。まず 派遣という言葉がすごく一般的で、災害地域に警察や自衛隊を派遣するというのも派遣 ですし、労働者派遣法の派遣といわゆる普通に派遣と使う言葉の意味合いの違いが、あ まり整理をされていないのではないかということと、話をされる方々のそれぞれの立場 によって、イメージされている派遣の在り方が違うので、どうも議論が拡散しているな ということなので、審議会ではできるだけ早目に、誰がどのような派遣をイメージして お話になっているのがわかるように、何の話をしているのかわかるようにしたいと思っ ています。  資料2の14頁ですけれども、非正規と正規という言葉を使うわけですけれども。資料 1のところに、派遣という働き方は不安定な働き方ということになっています。その考 え方はあまり整理をして議論はされていないと思っていて、そこも少し整理をする必要 があるのではないかと思っています。私どもの調査も引用していただきましたけれども、 いわゆる多様な働き方と私どもは言いますけれども、いわゆる労働時間です。もの差し を当てるとしたら3つぐらいしかなくて、労働時間がフルなのかパートなのかという、 労働時間の関係と、雇用契約期間の定めがあるのかないのか、それから期間によって1 年という契約期間なのかどうなのかということです。それから派遣のところで言うと、 直接雇用なのか、間接雇用なのか。そこのところで間接雇用のいちばん代表格が派遣と いう働き方である。でも昔から社外労働者の応援というものもあるので、そこのところ の整理もあまりうまくいっていない。そのところでもうひとつ、最大に思っているのは、 14頁の資料に非正規雇用者数の推移というところで、常用換算でも、121万人ですよね。 その前の表でも124万人で、パート、アルバイトというのは1千万人なわけで、全然労 働市場の中のウェイト付けが非常に小さい。ですから問題を歪曲化しようと思っている わけではないのですが、非常に小さいのに、いつも問題になるということですよね。何 でそうなのかなというのが、いま一歩私どもの中でも整理ができていなくて、非常に大 きなところから、議論をしたいと思っています。 ○清家部会長   ありがとうございました。いまの輪島委員の問題提起は派遣という概念について、意 見の違いはあるとしても、同じ派遣をイメージしながら議論をするようにしたいという ことと、非正規・正規の捉え方についてどう考えるか、多様な働き方といってもいろい ろな次元で多様な働き方があるのだけれども、その中でも派遣というものの位置付けを どう考えるかというようなことだと思います。これに関してでも、あるいはフリーにそ れぞれご自分のいま問題意識をお持ちの点についてお話いただければと思います。 ○長谷川委員   輪島委員から難しい問題を投げられて広がってしまう感じがしたのですけれども。な ぜ広がるかと思ったのは、例えば派遣と請負の問題がマスコミでクローズアップされて、 すごく売れた雑誌の中に、安西さんの本があるのですけれども、安西さんは、本の中で いろいろとパターンごとに説明しているのですけれども。ここの部会で何を議論するか といえば、労働者派遣制度だと思います。事業法に言われている派遣制度が果たして 1985年に想定したときのようになっているのかどうか。そういう意味では、今日の資料 はとてもよかったと思います。よかったと思っているのは、1985年に労働者派遣法が制 定されるときの状況で何が議論されたのかということで、85年に派遣法ができてきたそ もそも論のところから、85年改正から平成8年、11年、15年改正の特徴が書いてあるので、 これで大体派遣法の変遷がよくわかります。もう少し言うと、派遣法の変遷の裏側にあ るものは、ある意味では日本の経営者から要望があったと思います。これは労働者のほ うからの要望というよりは、我が国の産業界から要望があって、その中で制定されてい ったのではないかというのが1つだと思います。  それに対して、派遣法はそれに答えて、こういう変遷をたどったと思います。現在の 時点で立ち止まって見たときに、何が起きているのかというのは、今日の資料にも大体 書かれているようなことだと思います。そういう中で、資料3でも提起されているよう に、規制改革会議から更なる改革が要望されているのですが、それらをトータルしてど う見るかという議論なのかなと思います。  雇用で言えば、大きな分け方としては間接雇用と直接雇用という分け方があると思い ます。そうすると派遣だとか請負というのは、間接雇用で、正規は大体期間の定めのな い雇用でフルタイマーだと思うのですけれども、正規と期間の定めのある・なし、パー ト、フル、それが個別名称で言えば委託、契約社員というような呼称は使っていますが、 そういう分け方で、大枠に分ければ非正規、正規というときに、正規というのは期間の 定めのない雇用でフルが正規で、それ以外は非正規という分け方になっていると思いま す。調査もそういう調査だと思います。そういうときに、派遣が非正規のところにある のだと思います。ただ派遣をもう少し分解すれば、登録型と常用型があって、それらを どのように見ていくのかというときに、今日の資料は、私はとてもいい資料だったと思 います。  もう1つ言うと、後ろのほうにも出てくるのですけれども、派遣という働き方は、そ もそも働き方なのかということではないのではないか。そもそもが労働力の需給調整制 度でしかないではないかと。需給調整制度でしょうと。働き方ではないのではないかと。 輪島委員が言ったところで言えば、派遣というけれども、いろいろありますねという。 一般的にいう何々を派遣するという。私はJPUから連合の派遣者と言われるのですけ れども、ここで言う派遣というのはそうではなくて、派遣法に基づく派遣労働者の制度 の話だと思うのです。その制度をどのように捉えていくのかということ。もう1つ、今 日見ましたけれども、派遣事業は、爆発的に成長していますよね。人材産業なのだと思 います。そういう意味では、派遣数も多いし、恐らく派遣事業所の収入もすごいのだと 思います。そういう状況の中で、トータルで見ていくという作業がこの部会では必要か という気がします。あまりまとまっていませんが。  もう1つは今日の資料の中には出てこなかったのですけれども、アルバイト派遣や日 雇い派遣と最近言われていることが、まだ調査がされていないから実態が把握されてい ないと思いますけれども、最近起きているアルバイト派遣や日雇い派遣をどう見ていく のか。  あと、データでほしいのは、派遣労働者の働き方がある意味では全部否定はできない わけで、そうするとある意味では労働者の保護などを考えなければいけないのですけれ ども、処遇として年収や賃金、派遣料などの年次別のデータがほしいです。85年に派遣 法ができてから、賃金はどうなっていったのか、年収もどうなったのか、派遣料金につ いても、結構上がったり下がったりしているので、派遣料金と労働者の賃金の間に、ど ういう関係があるのかとか、そういうことも見ていく必要があると思いました。 ○清家部会長   ありがとうございました。 ○市川委員   今日の派遣法制定以来の資料を見ていて気になったのが、制定時から「常用代替を防 止する」とか、「常用代替を促進させない」という言葉が改正のたびに出てきていたの に、平成15年改正では「常用雇用との調和を図りつつ」という言葉に変わっているので すが、その前の平成11年改正でもこの小委員会報告では、「常用雇用の代替防止の観点 から」という言葉があった。15年改定で初めて「常用雇用との調和を図りつつ」という、 これはここでもう派遣というのが一定の雇用形態として、市民権を得たというのか。そ れまでの書きぶりを見ていると、やはり常用雇用というのが基本であって、そこを守る というか、あまり減らないようにという視点があったのに、15年改正のとき、「調和」 というと一定の範囲で認めましょうと。それだけ実態として増えてきたということ。常 用雇用というのは何だろう、派遣とは何だろうと、考え方がどうあるべきか、日本の雇 用の姿として。こんなことも1つの視点で意見交換ができればという感じがいたします。 長谷川委員がおっしゃったように、この法律はどちらかというと実態がいろいろ出てき たので、それをきちんとするために法律が後追いしてきたという背景があると思います。 ホワイトカラーエグゼンプションのように、ない制度を入れるというのは駄目だと言え ば済むのですけれども、労働側としても。新しい制度は入れるな、反対と言えば済むの だけれども、実態としてこれだけ大勢の方たちが働いている中で、単純に駄目だという ような言い方はできない。では、それをどう整理していくのか。1つの軸として、26業 務とそれ以外、常用型か登録型かと、この4つのそれぞれのふさわしい規制の在り方と いうか、あるいはこういうことはあってはいけないとか、そういう整理も必要なのかと 思います。あまりまとまっていませんが感想です。 ○清家部会長   ありがとうございました。ほかにいかがですか。 ○鎌田委員   非常に歴史を遡ったような議論で、どのように焦点を絞って話をすればいいかよくわ からないのですが、30分ほど遅刻しましたので制定経緯のご説明は聞いていなかったの ですが。私は派遣法が制定される意義は、法律的な観点で非常に大変な変革だったと思 います。そういう意味で先ほど輪島委員が、労働市場に占める割合はさほど大きくない のだけれども、非常に話題になるのはなぜかというような疑問等を提起されていました が、法律の観点から言いますと、従来の法の原則は、派遣法というのはある意味では非 常に大きく変えたと。それは何かということだと思うのですが、1つは労働市場の需給 調整の制度とルール。これは、一言でいうと「国がやります」というのがいままでの大 原則だったのです。戦後、これを言葉で言うと職業紹介の国家独占というのですけれど も、もちろん家政婦紹介所とかいくつかの民間の需給調整のためのシステムはあったの ですけれども、基本的には国が労働力の需給調整を行うと。これが根本的に変わったの は、1999年の職安法と労働者派遣法の改定によってなのですが、その前の1985年の派遣 法は、民間の雇用サービス事業の非常に大きな舞台をいわば法的に認めるということだ ったわけです。そこは従来の国家独占の考え方から大きく踏み出す一歩になったのでは ないかと思います。この考え方は、先ほども申しましたようにILOの181号条約の下で、 国際的に国家独占の廃止が確認されました。確認されたというか、国家独占を定めた96 号条約が改定されて181号条約になったこともあって、国際的な流れとして定着していっ て、日本でも1999年の改定の中で、国と民間サービス事業者が共同して労働市場の効率 性を高めるという考え方になったのです。その中で労働者派遣事業が、成立以来、需給 調整の中で大きな役割を拡大していったということだと思います。そういう意味では需 給調整に、労働者派遣事業が果たしている役割の結果を、ネガティブに見るかポジティ ブに見るかというのはいろいろあると思いますが、着実に機能を拡大していくというこ とは、需要という意味では何らかの需要に答えていったのではないかと思います。私は ある意味では定着してきたのではないかと見ています。  次にもう1つの大きな変革は、いわゆる間接雇用ですが、職安法第44条で、労働者供 給事業を禁止しています。ただし労働組合については例外的に認めているのですけれど も、この考え方は何かと言いますと、これは、つまり、自分が労働者を使うのではなく て、ほかの人に利用させて、そこから収益を得るという事業というか、そういうものを 禁止するという考え方が非常に強くあったのだろうと思います。第44条はそういう意味 ではどのように理解するかというのは学者によっても違いがありますが、非常に強く意 義を主張する方にとっては、直用原則を定めた規定だという言い方をされていたわけで す。それが労働者派遣法が成立することによって、労働者供給事業から抜き出して派遣 を認めるということで、いわゆる直用原則がここで変わったということです。これも恐 らく大変な大きな問題で、以後いろいろな形で、長谷川さんもおっしゃっているように 請負という形での間接雇用というか、労働力を他人に利用させる形態ということが、話 題になってきているわけですけれども、法的に言えば直用原則というのは必ず直用しな ければいけないという法的な立場は派遣法が変えているということが1つあると思いま す。  もう1つ、長期雇用原則。先ほど来、話題になっている常用雇用代替防止とか、長期 雇用システムの優先という考え方ですが、これも派遣法ができたときに、非常に危惧さ れたわけです。つまり派遣労働者を受け入れることによって、常用労働者がこれによっ てどんどん削減されていくのではないかということなわけです。これはご存じのように、 先ほど来、派遣法制定の骨格の1つに常用雇用代替があるではないかと。もちろん、い までもあるわけです。それは法的な制度としてこういうことも入れてきたのですが、非 常に派遣法が制定したときに心配だったと。実際それは思ったとおり心配な状態がどん どん拡大しているという見方もあるのですが、いまになってみると、私の考えでは、し かし一方では、先ほどの資料にもありましたように、長期雇用の優先という考え方はさ ほど大きく雇用慣行の中で劇的に変わっているのかなという感じが少ししています。つ まり、派遣を受け入れることによって、派遣法の制度を見つめることによって、常用雇 用の代替というものが根本的に変わってしまったということまでは言えないのではない かと。つまり労働市場に占める割合も派遣労働者は少ないですし、やはり経営者の中で は長期雇用の意義をまだまだ考えている。更に、少し混乱というか私は何かうまく整理 できないのですが、いわゆる常用雇用型の派遣がありまして、これをどう位置付けて今 後考えていくのかということを、少し整理をしていかなければならないと思っています。  4番目に、派遣法をつくる上で非常に重視したことは、どのような形で労働者保護を 図るかということだったと思います。それは、いくつかのポイントがあったと思うので すけれども、1つは雇用の安定で、少し考えてみようということで、ご存じのように一 般労働者派遣事業と、特定労働者派遣事業で、許可と届出という形で分けた趣旨は、や はり常用の派遣労働者を派遣する事業については、雇用の安定という点からいってさほ どの問題はないのではないかということだったのではないかと思います。更に問題にな ったのは、社会保険の適用をどう考えるかということで、これは実は派遣法を制定した ときには、あまり大きく問題にならないで、認識はされていたと思うのですけれども途 中でどんどん大きな問題になっていって、いま派遣労働者の社会保険適用の問題では様 々な工夫がなされているわけです。こういったことが進められてきているということだ と思います。  以上、需給調整の視点、間接雇用の変革、長期雇用システムに対する派遣の影響、労 働者保護の在り方についての派遣法の意義というようなことでお話をしましたが、いま になって、この時点で私の考えで言いますと、ご存じのように1999年に専門型の派遣プ ラステンポラリー型というか、臨時的・一時的業務という形で、派遣が拡大していった。 一方では従来のような常用型と登録型というものがあるということで、その辺が輪島委 員もどういうイメージで派遣を考えたらいいのだろうかということを考えた場合に、多 少混乱が生じてきているのかなと思っています。さらに、いまは長谷川委員もおっしゃ ったように、日雇派遣とおっしゃいましたか、私は当初は想定していなかった。いまは そういう形で使われているということで、非常にどういうものかということを実態がよ くわからないので少し調べなければいけないと。場合によっては使用者性というものは、 本当にはっきりしているのだろうか。つまり、派遣会社がきちんと使用者性を確保して、 労働条件明示とか、様々な使用者としての責任を果たしているのかどうかということも よくわからないことなので、そういう意味ではいろいろな形が出てきているので、 その辺を少し整理をしながら考えていきたいと思っています。そういう意味では今日の 資料では、常用型と登録型、26と26以外と分けて問題提起されているわけです。これを どのように考えたらいいのかということは、私も考えています。 ○清家部会長   大きなことですので少し皆さま方のご意見を伺いたいと思います。 ○古市委員   輪島委員のほうから、派遣の塊は小さいのに、いつもここだけ大きく問題になるのだ ろうかというお話もありましたけれども、たぶん例の44条の直接雇用の精神を堅持しつ つ、この例外的な扱いを法的に整備するのですよということになっているのですが、44 条の精神があまり堅持されていないのではないかというような感じがして、そこがどん どん膨らんで、派遣だけが直接雇用ではないというところが、ほかの非正規雇用は直接 雇用で、時間だったり期間の定めだったりするのですが、派遣だけ、直接雇用、間接雇 用があるので、どうしてもそこが大きな問題になるのではないかと。要するに落ち着き の悪い制度ではないだろうかと。やはり44条の精神が十分堅持されていないところが、 落ち着きが悪いと感じる人がいて、いつも問題になるのではないか。こういうイメージ です。  それで直接この部会の議論と関係がもしかしたらないのかもしれませんが、派遣とい う働き方で、社会保険のことが問題になって、健康組合を作ろうではないかということ になって、健康組合ができましたよね。社会保険は、普通はまた働くのですが1回雇用 が切れてしまうので、休んでいる間は社会保険から国民健康保険に変わったり、国民年 金に手続を変えたり、そういうことが非常に煩雑なので、ここの期間も何ヶ月かあるの だけれども、また働くということが予定されていれば続けて社会保険の適用を認めよう ということで、派遣の皆さんにあった健康組合ができて、社会保険の適用が一歩進んだ のだと思います。ああいう方式を、積雪寒冷地の季節雇用のような12月までは働いても らうけれども、ここで雇止めして、4月になったらまた来てくださいということで、そ ういう制度があります。違う部署でやっておられる制度かもしれませんが、ああいうこ とにも適用できるのではないかなと。1回違う制度でそこの間、冬期雇用のための施策 で、訓練とかいろいろなことをやっていますが、労働保険の雇用三事業の見直しでだい ぶそういったことが少し窮屈になっていますので、この派遣の社会保険の適用で作り出 した制度を使って、新しいことが考えられるのではないかなという気がします。ここと は直接関係ないのかもしれませんが。 ○清家部会長   ありがとうございました。 ○長谷川委員   鎌田先生から職安44条の関係のご説明がありまして、私もそうだと思います。やはり この議論をもう1回職安法44条と、労働者派遣をどのように考えるかという議論は少し この中ではやらなければならないと思っています。それともともと職安法というのは本 当は非常にタイトな法律だったと思うのです、雇用関係の法律の中で。ところが最近そ れがどうも重要な法律であるにもかかわらず、雇用・就業形態が非常に多様化も伴って きたこともあるのだと思うのですけれども、雇用の基本は何なのかという、そもそも論 がなかなか44条だけで見ることができないような状況があるのではないかと思います。 もう少しこの部会の中で44条と労働者派遣とか、請負までは議論にならないかもしれま せんけれども、そういう観点でもう少し間接雇用の意見交換が必要かと思います。 ○輪島委員   古市委員がおっしゃった点で、私も整理が必要だと思う。後で古市委員にお伺いした いと思うのですけれども、いわゆる建設などは請負で、構内請負とは別、構内請負はい ろいろあると思うのですけれども、いわゆる建設のところは請負が入ってきて、重層的 に家を作るにしても、電気屋さんや水道屋さんが来たり、工務店が全部請け負って、い ろいろな人が入ってきて家が立つというものですよね。そこのところの請負はいいけれ ども、派遣のところの落ち着きの悪さがどうしてくるのかというのは私もそう思います。 それから、鎌田委員のお話で、私もどうしていつも派遣が話題になるのかということの 整理は、頭の整理のために大変ありがたかったと思います。その観点から言うと、需要 に答えてきたということがあって、それはいちばん最初に長谷川委員が経営者の要望で 変遷してきたとお話になりましたけれども、経営者だけではないだろうと思っています。 もう1つには、ILO181号条約は時代的な認識に伴って、国家独占政策を止めましょう ということは、どこの国もそのことをコンセンサスとして181号条約を作ったので、その 点で言うと、1999年のあの当時については非常に重要だったのだろうと。ここまで言っ ては失礼かもしれませんが、それは日本の使用者側も労働組合側も政府もILO181号条 約には賛成をして、批准をしているということなので、その点はある意味では後戻りで きないと思っています。  それからイメージが混乱しているというのは先ほど申し上げたとおりで、テレビ番組 も始まりましたので、そこがやはりいろいろなイメージを湧かせるのではないかと思う のですけれども、そこが整理をされていないだろうと。この資料2を見てみれば、基本 的には常用型派遣がすごくマジョリティというほどマジョリティではないのかもしれま せんが、資料を取ってみると、実は常用型派遣がいちばん多い。一般に派遣ということ を言えば登録型をイメージするのが最優先だと思うので、そこのギャップがあるのだろ うと。そういう意味で社会保険の点も健保の話題が出ましたが、派遣健保ができて、加 入率が8割、9割あるわけです。不安定雇用でというと、社保もないという感じですけ れども、実は社保は8割、9割入っている。それが実態だけれども、もしかしたらアル バイト派遣や日雇い派遣や、派遣契約の期間が短かくなっていて問題がある部分がある のだろうと。そこの整理がうまくいっていないのではないかと思います。以上です。 ○清家部会長   まだいろいろご意見があるかと思いますけれども、今日はこの後の議題もございます ので、取りあえず最初のラウンドはこの辺にさせていだたきたいと思います。この後も 引き続き、次回以降も議論してまいりますのでよろしくお願いいたします。私は特段意 見はございませんけれども、皆さんのお話を伺っていてもやはり派遣のイメージ、特に 今日まとめていただいたこの資料はよかったと思いますけれども、当初の44条の精神を 踏まえて、例外的に間接雇用というところから始まった13業務なり26業務のポジティブ リスト方式で始まった時代の話と、たぶんネガティブリスト方式に変わったところ以降 の話が相当違ってきているのかなという印象は受けます。あまり細かくはしませんが、 26業務と26業務以外、常用型と登録型という2掛ける2の次元をいつも踏まえながら議 論を進めていくのが良いのかな、という感じを受けました。それはまたこれからの議論 で伺っていきたいと思います。そこで恐縮でございますが、次回も引き続き、この問題 について少し議論を進めていくということで、最初の議題である、労働力需給制度につ いてはこれまでとさせていただきたいと思います。  次に一般労働者派遣事業の許可の諮問に移りたいと思います。冒頭に申し上げました ように、傍聴されている方につきましては、ここでご退席をいただきたいと思いますの でよろしくお願いいたします。また鳥生職業安定局次長におかれましても、ここで所用 のため退席されると伺っています。よろしくお願いいたします。 ○篠崎補佐   次回の部会ですが、今日の議論に引き続きということですが、さらに今日の資料に加 えまして、従前から例えば諸外国の仕組みについてというご意見もありましたので、少 し事務局のほうでも諸外国の法制度の仕組みなどを少し勉強して資料を追加的に提出さ せていただいたうえで議論をしていただければと現在のところ考えています。次回の部 会ですが、2月28日の水曜日、朝少し早いのですが9時半から12時で、同じく安定局第 1会議室で予定をしています。 ○清家部会長   ありがとうございました。それではいまお話がございましたように次回の部会は2月 28日の9時半から12時で開催させていただきますので、日程の確保等よろしくお願いい たします。  以上をもちまして第94回労働力需給制度部会を終了いたします。なお、本日の署名委 員は、雇用主代表輪島委員、労働者代表長谷川委員にお願いいたします。それでは今日 はどうもありがとうございました。  照会先   厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係   〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2   TEL03(5253)1111(内線5747)