07/01/19 労災医療専門家会議(平成18年度) 第3回議事録 第3回労災医療専門家会議 日時 平成19年1月19日(金)14:00〜  場所 中央合同庁舎第5号館2階 共用第6会議室 ○笹川係長 定刻となりましたので、これより第3回労災医療専門家会議を開催します。 まず、湯河原厚生年金病院院長、馬杉先生をご紹介します。  なお、鎌田先生、川城先生、保原先生、三上先生、山口先生におかれましては、本日 は、ご都合によりご欠席です。次に、資料のご確認をお願いします。本日の資料は、前 回と同様の資料としまして、アフターケアの措置内容に係る検討事項、その参考資料を ご用意しています。なお、「その他の見直し」として、検討事項15、16と参考資料No.16、 No.17を追加しています。よろしいでしょうか。それでは、柳澤座長、進行をお願いしま す。 ○柳澤座長 お忙しいところ、ご苦労さまです。前回に引き続きまして、アフターケア の措置内容に関する検討を行いたいと思います。本日をもって一応の検討を終えたいと 思っていますので、3時間という長い時間をとってありますが、スムーズにいけば、そ れほどかからないで済むだろうと思います。どうぞよろしくお願いします。まず、前回 いくつか検討しているわけですが、事務局から、前回検討した事項についての補足と、 その他の検討事項についての説明をお願いします。 ○長嶋医療監察官 まず、前回ご検討いただきました検討事項10の検討結果について、 確認をさせていただきたい事項が2つあります。1つは、CRP(C反応性たんぱく) 検査について、「呼吸機能障害」に係るアフターケアで認められたと同様に、感染性の 病態を引き起こすリスクが非常に高い傷病について付け加えることが適当とし、「せき 髄損傷」等の対象傷病を選定していただきました。「せき髄損傷」等の選定していただ いた対象傷病に係るCRP検査の実施回数についても、「呼吸機能障害」に係るアフタ ーケアと同様に、「必要に応じて1年に2回程度の範囲内で行うもの」としてよろしい でしょうか。  2つは、本日、参考資料No.16としてお配りしている平成元年3月20日付け基発第127 号通達によって、「傷病別アフターケア実施要綱に定める薬剤の投与に関して、鎮痛剤 に対する健胃消化剤、抗てんかん剤に対する肝臓用剤等医学的に併用することが必要と 認められる薬剤の支給は、アフターケアの範囲と認めて差し支えないこと」としていま すが、前回、戸田先生から、「抗てんかん剤に対する肝臓用剤というのは、普通は使わ ない。今はその大部分が肝障害を予防する効果はないことが分かっている。」とのご指 摘がありました。よって、医学的に併用することが必要と認められる薬剤の支給から、 「抗てんかん剤に対する肝臓用剤」を削除してよろしいでしょうか。  次に、前回は検討事項15に「その他の見直し」を掲げていましたが、その具体的な検 討事項として、2つを追加しています。本日お配りしている資料の検討事項15は、「精 神障害」に係る検査及び医学管理等の追加についてです。これについて、ご検討をお願 いしたいことは2つあります。1つ目は、「尿検査の追加」についてです。抗精神病薬 の中には、6か月に1回程度、尿糖測定を実施することが必要な薬剤があることから、 そのような薬剤を支給する者に対して、尿検査を行うことは適当であるか否かについて、 ご検討をお願いします。  2つ目は、「特定薬剤治療管理料の追加」についてです。現在、アフターケアの実施 要領において、抗てんかん剤の継続投与を行う場合には、特定薬剤治療管理料をアフタ ーケアに要する費用として請求できることとしていますが、統合失調症に対するハロペ リドール製剤又はブロムペリドール製剤、躁うつ病に対するリチウム製剤、躁うつ病又 は躁病に対するバルプロ酸ナトリウム又はカルバマゼピンを継続投与している場合につ いても、特定薬剤治療管理料の請求を認めることは適当であるか否かについて、ご検討 をお願いします。なお、参考資料No.17として、「特定薬剤治療管理料の内容(医科点数 表抜粋)」をお配りしています。  検討事項16は、「呼吸機能障害に係る保健指導及び薬剤」についてです。これについ て、ご検討をお願いしたいことは2つあります。1つ目は、「呼吸機能障害」に係る保 健指導については、「特に喫煙者については禁煙を指導する」旨の禁煙指導を明記する ことは適当であるか否かについて、ご検討をお願いします。なお、このような保健指導 の明記については、第1回の労災医療専門家会議でお配りしている参考資料2の12頁に なります、振動障害に係るアフターケア実施要綱において、「特に身体局所に対する振 動刺激を避けるよう努めさせるとともに、防寒・保温、適度の運動の実施、喫煙の禁止 等日常生活上の配慮について指導するものとする」とされている例があります。  2つ目は、「呼吸機能障害」に係る薬剤について、気道攣縮に対してβ2刺激薬の貼 付を用いることが日常臨床であることから、「呼吸器用貼付剤」を追加することは適当 であるか否かについて、ご検討をお願いします。これらについても、本日の検討事項に 加えて、ご検討をお願いします。 ○柳澤座長 いくつか事務局から検討事項の提案がありましたが、そのうち前回までに 検討が済んでいるものについては、直ちに検討を行って、本日全体として検討するもの については、そこで一緒に検討したいと思います。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 まず、前回、「呼吸機能障害」についてCRP検査をアフターケアの検査 項目に入れたわけですが、それは、易感染性が認められる状態であるということであり、 それなら、その他の易感染性が認められる傷病についてもCRP検査を入れて整合性を 図ることでいいだろう、ということで結論が出ました。  今日、事務局から言われたのは、どのくらいの頻度でCRP検査をするかということ です。これは、もちろん障害の状況によってということではありますが、一応の目安と しては、「呼吸機能障害」と同様に、必要に応じて1年に2回程度の範囲内で行うとい うことでよろしいか、ということです。これはよろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 一応の目安ということで、そのような文言を加えることにいたしましょう。  もう1つは、肝庇護薬うんぬんということです。抗てんかん薬を使った場合に肝庇護 薬を使うということが従来の記載にはあるが、現状においてはそのような肝庇護効果は 認められないので、削除することでいかがだろうか、という戸田先生からのご提案です。 専門の先生からのご提案ですし、内容からいって、そのようにするということで差し支 えないと思います。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 その2点については、そのようにしましょう。それでは、順次、残ってい る課題について検討したいと思います。前回、検討事項6、8、9、10の検討が済んで います。済んでいないものについて逐一進めていきたいと思います。まず、資料の1頁 は、「実施期間の見直し」です。これについては、検討部会でも大分議論がいろいろあ ったのですが、ここにありますように、「原則とするアフターケアの実施期間の限度は 適当か否かを検討する」ということです。原則とするアフターケアの実施期間の限度は、 従来からの経過によって、傷病によって2年、3年、無期限という3つに分かれていま すが、個々の傷病について2年、3年、無期限と判断された根拠が大きく変わるという 状況は特段ないと判断しまして、それはそれでいいでしょうか。問題は、その更新につ いてなのです。現状は、健康管理手帳の更新について、最初に2年のアフターケアを認 めた人は次も2年、3年のアフターケアを認めた人は次も3年となっているわけですが、 原則とする実施期間の限度は、実際には、2年、3年のアフターケアについては、おお よそ2年あるいは3年でアフターケアは終了して構わないだろう、アフターケアを終了 することができるだろう、という予測の上に立って決められた年限ですので、それを延 長する、つまり、さらに必要であるというときに、また2年、3年とすることは不適切 であろう、という議論が検討部会では大分多く出ました。その結果、検討部会としては、 2年あるいは3年と決められている方のアフターケアの更新については、診断書を出し ていただいて、その更新が適切であるかどうかということを判断することにしました。 何回繰り返すかという制限はありませんが、更新については、有期限の2年、3年のも のについては1年ごとにするということでよろしいでしょうか。事務的にもそれでやれ るだろうということですし、アフターケアの趣旨からいっても、それでよろしいのだろ うと思います。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 それでは、そのようにさせていただきます。問題は無期限のアフターケア なのですが、実は無期限にアフターケアを受けられる方についても、現状は健康管理手 帳の更新が3年ごとに必要になっているのです。それは、アフターケアが必要な期間が 無期限とされるような病態であっても、その方が治ゆの状態を保っている間は、3年ご とに繰り返して健康管理手帳を発行するということです。これはこれで、3年ごととい うのは少し頻繁すぎるのではないかということです。 ○長嶋医療監察官 健康管理手帳の更新については、ご議論を踏まえて、健康管理手帳 の有効期間を1年に変えるとすると、今、座長からお話がありましたが、問題は期間の 定めのないものについての対応ということで、現行は3年間となっているのですが、期 間の定めのないものであるならば、もう少し長くてもいいのではないかということで、 例えば5年という年数に変更するということを検討したいと思います。 ○柳澤座長 無期限なのだから5年ではなく10年でもいいのではないか、という議論も 出てくるだろうと思うのですが、事務局は、その点についてどうお考えなのですか。 ○長嶋医療監察官 年数が余り長いと、所在確認などに支障が出ることもありますので、 5年程度が適当かと考えています。 ○柳澤座長 もしも5年経った段階で更新の申請がない場合には、何かフォローアップ するといいますか、どうなっているかということで調査はされるのですか。 ○長嶋医療監察官 アフターケアが不要になった場合には、健康管理手帳をお返しいた だくことになります。 ○柳澤座長 亡くなられた場合には、それを確認することができるということですね。 わかりました。よろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 それでは、そのようにいたしましょう。  次は、検討事項2になります。これは2頁で、割に複雑なのですが、内容はそれほど 複雑ではありません。頭部を含めた神経系の障害のグループ分けが、現行では、(1)から (6)までありますように、頭頸部外傷症候群から減圧症までとなっているものを、少し整 理してはどうかということで、「痛みが主な症状であるもの」、「器質的な障害を有す るもの」、「せき髄の障害」と分けるというものです。この検討に関して、まとめて申 し上げたいと思います。  「痛みによるもの」については、用語については後でまた議論が出てきますが、現在 のカテゴリーとして把握されている頭頸部外傷症候群、頸肩腕症候群、腰痛を1つのグ ループとしてまとめようということです。それはそれでよろしいでしょうか。  次は、炭鉱災害によるものを除く一酸化炭素中毒症、外傷による脳の器質的損傷、減 圧症(脳型のもの)です。提案としては、「有機溶剤中毒等」と「脳血管疾患」と(4)、 (5)、(6)の3つをまとめて、「脳の器質性障害」として再編したほうがすっきりするので はないかということです。3の「せき髄の障害によるもの」について、少しご説明して おきます。減圧症についてはせき髄型というものがあるのですが、奥平先生と谷島先生 のご意見では、私は非常に少ない症例であるということが主な理由かと理解したのです が、せき髄型のものを別個に項目立てをしなくても、「脳の器質性障害」の中に減圧症 として含めるということでよろしいのではないか、ということでした。したがいまして、 せき髄性のものと脳性のものを2つに分ける必要がないということも併せてご議論いた だきたいと思います。一酸化炭素中毒症と外傷による脳の器質的損傷、減圧症をまとめ て「脳の器質性障害」にするということは、ある意味では事務的な取扱いから必要なこ とかと理解しますが、事務局から、発言はありますか。 ○長嶋医療監察官 この検討事項については、現在、「頭頸部外傷症候群等」の「等」 の中にたくさんの傷病が入っているので、分かりづらいということです。分かりやすい 分類ということであれば、ご提案した1、2、3という形にこだわるものではありませ ん。 ○柳澤座長 一応、従来からのものを整理すると、このような分類がよいのではないか ということなのですが、「脳の器質性障害」とすることでよろしいでしょうか。 ○馬杉先生 私は、簡略化されて非常にわかりやすくていいと思います。 ○黒木先生 「頭頸部外傷症候群等」の中に外傷神経症も入るのですか。 ○柳澤座長 その規定は今すぐには出てきませんが、外傷神経症も当然入るだろうと思 います。痛みを主訴として、そういった障害の既往があってということですから、含ま れるのではないかと思います。外傷神経症というのは、少し漠然とした概念ではありま すが、必ずしも精神障害としての神経症だけではなくて、カウザルギーとか、自律神経 がいろいろ関与している可能性があるような病態であっても、明らかな神経障害が客観 的に検出することができなくて、患者さんの訴えだけが強いというものも含まれるとい うことで、比較的広い範囲だと思います。おそらく労災の場合にはそれは入ると思いま す。 ○黒木先生 ただ、外傷は大したことがなくて、訴えだけが多いというものが、外傷後 の神経症として結構認められてきたのではないかと思うのですが、そういう方はむしろ 切る方向でいいのではないかと思ったものですから。 ○柳澤座長 実際に痛みだけの訴えであっても、検査をすれば、自律神経の反応性に異 常があるとか、何らかの形の器質性障害があるということがわかるとすれば、いま黒木 先生がおっしゃった、怪我そのものは軽いけれども、訴えだけは非常に大げさといいま すか、強く出す方は、それほどは含まれないと。もともと、そういう方の場合には、労 災として認定されるかどうかという段階から問題になりますね。 ○長嶋医療監察官 「頭頸部外傷症候群等」の「等」には、頸肩腕症候群、一酸化炭素 中毒症、外傷による脳の器質的損傷、腰痛、減圧症の5つを分類しています。これとは 別に、「外傷による末梢神経損傷に係るアフターケア」がありまして、そちらにカウザ ルギーなどを含めて対応することになっています。 ○柳澤座長 よろしいですか。2頁の整理統合案の2は、「脳の器質性障害によるもの」 として(4)、(5)、(6)をまとめることでよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 そうしますと、問題は、その次の3にある減圧症のせき髄型のものを、項 目立てをするのではなく、「脳の器質性障害」の中の減圧症のところで、後ろの括弧を 取ってしまって両方含めるという取扱いでいかがかということなのですが、それもよろ しいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 それでは、そのようにいたしましょう。そうしますと、3の「せき髄の障 害によるもの」が消えて、2の「脳の器質性障害によるもの」の中の減圧症として、(脳 型のもの)を消すという整理になります。事務的には、そういった整理で問題はないで すか。 ○長嶋医療監察官 表記について、整理したいと思います。 ○柳澤座長 それでは、次にいきます。頸肩腕症候群の名称変更。これは少し議論があ るかもしれません。用語の問題がたくさん出てくるものですから、事務局から説明して もらえますか。 ○長嶋医療監察官 これについては、昭和50年2月5日付けの通達で「頸肩腕症候群と は」と定義をしていたのですが、平成9年2月3日付けの通達により、その定義が変わ っているという状況にあります。「頸肩腕症候群とは、出現する症状が様々で障害部位 が特定できず、それに対応した診断名を下すことができない不定愁訴等を特徴とする疾 病として狭義の意味で使用しているもの」ということから、そのままアフターケアの名 称として「頸肩腕症候群」を用い続けることが適当か否か、ご検討をお願いしたいとい うことです。  なお、この検討事項については、本日ご欠席の三上先生からご意見をいただいていま す。新しい名称としては、広く上肢の障害を含めるということであれば、「上肢障害」 あるいは「上肢筋骨格系障害」あたりがよいのではないか、ということです。 ○柳澤座長 「頸肩腕症候群」という言葉を「上肢障害」と言い換えることができるか ということなのですが、参考資料No.6とNo.7に、今、事務局から説明された内容につい て書いてあります。 ○伊地知先生 「頸肩腕症候群」というのはその疾病も含むと広く解釈されますが、こ こで出てくる対象の患者というのは、労務ないしそういう刺激によって起こされた障害 ということで、「症候群」ではなく「頸肩腕障害」にしたほうがいいのではないかと思 います。整形外科のシンポジウムの中でも、「症候群」というよりは「障害」としたほ うが対象も限定されるし、いいのではないかという意見が出ていました。 ○柳澤座長 今の伊地知先生のお話では、「障害」という名称にすることはいいだろう ということで、それは今ここで議論しているところと同じなのですが、私がこれを見た ときに気になったのは、頸とか肩ということが入っているのに上肢障害ということがそ れを含むのかどうか、ということでした。事務局から説明してもらいますが、上肢障害 の定義の中に、頸から指先までということが明記されているのだそうです。そうします と、上肢障害といっても、我々が日常の言葉として理解している上肢に限らず、頸から 指先まで含むと。それは、規定として書くときには、上肢障害というのはどういう範囲 のものであるかということが、申請する方々にとってわかるような形で整理されている のですか。 ○長嶋医療監察官 通達では名称が変わっているのですが、対象としている範囲は一緒 です。参考資料No.7をご覧いただきますと、平成9年2月3日付けの通達の第1の1「対 象とする疾病。上肢等に過度の負担のかかる業務によって、後頭部、頸部、肩甲帯、上 腕、前腕、手及び指に発生した運動器の障害」、これを行政においては「上肢障害」と いうと、そういう取扱いにしています。 ○柳澤座長 これは、認定基準としてそのような形になっているということで、平成9 年の改定が一番新しいので、それに沿った形で名称を整理することでいかがだろうかと いう趣旨が見られますが、そういう趣旨であるならば、「障害」という言葉が適切であ ろうという学会のご意見なども合わせまして、「上肢障害」と名称変更するということ でいかがですか。 ○伊地知先生 「上肢障害」というと、イメージ的には頸などは入りにくいですよね。 No.7に出ている診断名を引っくるめたものとして「上肢障害」と言うのはいいのでしょ うが、「頸肩腕症候群」を少し限定した意味にとって、かつ、今までの患者群を表すよ うな傷病名としては「頸肩腕障害」がいいのではないか、という意見なのです。 ○柳澤座長 ただ、行政的に「上肢障害」ということが規定されていますので、言葉上 の問題としては、「上肢障害」の中に規定の上で表されているようないろいろなものを 含めるということなのです。ここで言葉を作るということは、規定上はちょっと難しい のですが、今のようなご議論もあるのではないかと思います。確かに「上肢障害」とい うと上肢だけということで、指先や肩はどうなるのだ、ということがすぐに出てくる。 診断をする場合にも、そういうことは出てくるのではないでしょうか。馬杉先生は、こ の問題で何かご経験はありますか。 ○馬杉先生 私は、今、伊地知先生がおっしゃったほうが正しいと思います。一般的に 「上肢障害」といえば、文言でいくら書いてあっても、診断書を書かれる整形外科ある いは脳外科の先生方は、今おっしゃったように、例えば橈骨神経麻痺があれば、これは 動かないから上肢障害と。ただし書を付けても、頸肩腕全部が入るとは一般的には非常 に理解しづらい言葉だと思うのです。 ○柳澤座長 そうしますと、これは「頸肩腕障害」と。 ○馬杉先生 先ほどちょっと言われましたが、昔から我々が見ていますと、外傷後遺症 の頸肩腕症候群というものに対するイメージと、上肢障害とは全く違うイメージなので す。どちらかというと、頭頸部外傷症候群のように、外傷後の不定愁訴などを含んだ精 神的な要素、神経症的なものも入っているものを含んでいるわけです。そうすると、今 まで頸肩腕症候群と我々が捉えていた概念と、この上肢障害とは違う。私は納得し難い と思います。 ○柳澤座長 今のご議論はわかりました。平成9年に、上肢作業に基づくうんぬんとい うことで「認定基準について」が出されているわけですが、これはどういう経過で出さ れたのですか。「頸肩腕症候群」という概念があまり適切ではないということで、改め て「上肢障害」ということで規定しようという意味であったのであれば、この「上肢障 害」という言葉が生きている以上は、「頸肩腕症候群」にまた逆戻りするというのは、 なかなか難しいと思いますが、奥平先生は何かそのあたりの経緯はご存じですか。 ○奥平先生 私は当時、審査会におりまして、この変わったという経緯についての説明 を受けたことがあります。その時に、「通常業務の10%を超す業務によって起こる」と いうことが書いてあったものですから、10%は少なすぎるのではないか、ということを 申し上げたことがあります。病名については、「上肢障害」というと、よりあいまいに なるのではないかという印象はあったのですが、説明を受けたときに、何か質問はあり ませんかと言われたときには、私は、むしろ、過重負荷が10%を超える場合というのは 少なすぎるのではないか、ということが一番気になったので、それだけを質問したこと を覚えています。 ○黒木先生 「頸肩腕症候群」は精神的なものがかなり入ると。例えば外傷や災害での 身体的な障害は大したことはなくても、労災として認められます。その後、精神的な問 題は、それに付随して、外傷神経症という形で認められてきたと思うのです。ところが、 平成11年に精神障害の判断指針ができて、認定が新しくなったわけですが、我々が労働 局に行くと、場合によってはそこに上がってくるのです。外傷は大したことがなくて、 身体的なものも大したことはないと。精神的なものがどういうメカニズムで起こってい るかを判断するときに、判断指針によって基準があるわけです。そちらのほうは、かな り厳しいのです。こちらだけ甘くて、非器質性の精神障害の労災認定のところで厳しく なるというと、私は不公平感があるような気がするのです。 ○柳澤座長 そういう問題もありますね。 ○長嶋医療監察官 今回ご検討をお願いしているのは、内容を変えるということではな く、通達の取扱いによる名称の変更が適当かどうかということです。「上肢障害」より も「頸肩腕障害」が内容をよりよく表すということであれば、新しい言葉になりますが、 その言葉についてはこういう範ちゅうである、ということを明記することによって、そ れを使用することに混乱を生じることはないと思います。 ○柳澤座長 そういう事務局の説明であるならば、先ほどから先生方から出されている 「頸肩腕障害」として、頸肩腕障害というのはこういうものをいうとすると。これは、 主として平成9年の規定を基にして説明することは可能ですか。 ○長嶋医療監察官 アフターケアの対象は今までと同じものだということを示せばよい と思います。 ○柳澤座長 わかりました。今までのものについての規定があるわけですからね。言葉 の問題ということであるならば、お二方とも、「上肢障害」よりは「頸肩腕障害」にし たらいいのではないかということですから、「頸肩腕症候群」を「頸肩腕障害」にする と。確かに、特殊な言葉を、器質的な障害という意味合いで「頸肩腕障害」という捉え 方をするというのは、先ほどの黒木先生のお話にも対応することだろうと思います。そ れでは、「頸肩腕障害」でよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 次は、検討事項4の「精神療法、カウンセリング等」についてです。これ については、「サリン中毒」と「精神障害」と同様に、脳の器質的損傷に係るアフター ケアについても、精神療法、カウンセリング等を実施する必要があるかどうかというこ とを検討してください、ということです。これについては、精神科の先生のお考えは、 アフターケアであっても、固定した症状の増悪を防ぐという意味の精神療法はあっても いいだろう、ということだと理解していますが、それでよろしいでしょうか。この場合、 議論になりますのは、精神療法というのは治療ではないかということでしたが、そうで はなくて、アフターケアのときの精神療法というのは症状増悪を防ぐための精神療法で あると。つまり、前にそういった言葉を置くことによって、無制限にどんな精神療法で もいいということではない、ということを示すことができるということですので、その ような形でよろしいかということなのです。 ○奥平先生 アフターケアのときに「治療」とか「療法」という言葉を前景に出さない という立場からすれば、両方含めて「精神科的指導」などという言葉に置き換えたほう が、全体として統一できるのではないかと思うのですが。 ○岡崎先生 精神科の精神療法というものは、非常に広い範囲で、言葉を用いたかなり 象徴的な機能にかかわるような、精神力動を調整するようなものから、今おっしゃった ような生活指導や、行動の変容を来すような、言葉を用いない、行動療法といった方が いいものも、医療保険などでは精神療法ということで含まれているものですから、誤解 を生みやすいのですが、アフターケアの時期におけるものは、生活の指導とか行動にか かわるようなものが中心になりますので、「生活指導を旨とする精神療法」というよう な説明を付けて用いていただければいいのではないかと思います。 ○柳澤座長 やはり言葉としての「精神療法」というのは、それなりの定義というか概 念がありますから、それは残したいということですね。いかがでしょうか。確かに、ア フターケアは治療ではないということがありますが、ほかのところでもいくつか、そう いう言葉としての治療のカテゴリーに入るようなものが入っているということもありま すし、「精神療法」については、言葉自体がもうかなり確立されているということがあ りますので。 ○岡崎先生 例えば、「生活指導に重点を置いた」といったような修飾があれば。 ○柳澤座長 そうすると、文言はお任せしますが、趣旨としては、症状は固定している わけですから、そういう固定した症状の増悪を防ぐための生活指導を主とした精神療法 というような表現にして枠組みを決めるということでよろしいですか。 (異議なし) ○長嶋医療監察官 これまで認められてこなかったのは、治療の範ちゅうだということ が従前の医療専門家会議の考え方だったからですが、精神療法そのものの中にもいろい ろなものがあって、アフターケアの時期にはそれに見合うものを行うと。見合うものと いうことがわかるような表現でそれを取り扱うということで、その表現については検討 して、先生とご相談させていただきたいと思います。 ○柳澤座長 よろしいでしょうか。ここでは「カウンセリング」という言葉があるので すが、「カウンセリング」という言葉は、今のような前文が付いても残しておいたほう がよろしいのですか。 ○岡崎先生 非常に一般に普及している言葉ですが、医療保険上はないのですよね。 ○柳澤座長 医療保険では、カウンセリングというのは点数にはならないのですか。な らなくても、そういうことが必要なら、それはよろしいわけですよね。 ○岡崎先生 カウンセリングが必要だという意味では。 ○柳澤座長 点数はとれないのですか。 ○岡崎先生 点数はないのです。 ○柳澤座長 点数がなくてもいいのでしょう。例えば、先ほど問題になった禁煙の指導 なども、点数をとるには、ものすごく複雑な条件をクリアしないと点数はとれない。そ うではなくて、普通のアフターケアの面接なら面接のときに、そういったものをやると いうことですから。 ○長嶋医療監察官 実施していただく内容をどのような形で請求していただくかという のは、また別の問題だと思います。 ○柳澤座長 それをやっていただくのは、よろしいでしょう。 ○奥平先生 先生方にやっていただくときには、やっていただいたことに対する見返り を、きちんと労災保険上の立場で考えるべきではないかと思うのです。 ○岡崎先生 生活指導というのは、同じではありませんが、かなりカウンセリングに近 いものですよね。ですから、そこに表現されていると考えることは可能ですが。 ○長嶋医療監察官 現行、精神療法、カウンセリングとしましては、「通院精神療法」 「通院集団精神療法」としてアフターケアを運用している状況です。 ○岡崎先生 両方ですよね。 ○柳澤座長 そうすると、デイ・ケアも入っているわけですね。 ○長嶋医療監察官 通院精神療法の中で、カウンセリングを行っていただいた場合でも 請求いただけるということです。 ○柳澤座長 そうすると、内容がカウンセリングであっても精神療法でとれると。それ でよろしいですか。いまのような文言を付けるとすれば、「カウンセリング」という言 葉はなくてもいいわけですね。つまり、前文で、症状の増悪を防いで、生活指導を主と する精神療法という表現にしますから、カウンセリングは除く。カウンセリングはそう いう意味の精神療法の中に含まれるから、ということですが。 ○長嶋医療監察官 現状、それが含まれることを明記しているのですが、それを除いて しまうことによって混乱が生じることはないのでしょうか。精神療法だけを要綱に記載 して、そこでカウンセリングを実施していただいた場合に請求していただくということ については、「カウンセリング」という文言がなくても支障がなければ、それを削りた いと思いますし、置いておいたほうがわかりやすいということであれば、現状の規定そ のままということも考えられると思うのですが。 ○柳澤座長 今のご議論ですと、例えばカウンセリングということで保険の請求が来た ら、それを調べる人は削るわけですよね。それは健康保険の規定にないわけですから。 精神療法というものは、通院精神療法ということだったらそれで認めるということにな る。むしろ、誤解を与えないようにするためには。 ○長嶋医療監察官 取扱い上は、カウンセリングは精神療法ということで処理をしてい ますので、現場で混乱を生じることはないと思います。 ○柳澤座長 そうすると、いまの事柄についてはどちらでもいいということなのだろう と思いますが、いかがしますか。この会議全体として、アフターケアで請求する内容の 中に入れるのは少し苦しいところがあるわけですね。健康保険で対象とするものという のは医療行為ですから、医療ではないと言っているのに、あまりそういう言葉の議論を するというのもよくないですし。不必要に文言を変えることによって混乱を起こすのは 避けたほうがいいという立場であるならば、残しておいても別にいいということになる と思いますが、どうしましょうか。それでは、「カウンセリング」は言葉として残して おきますか。それで、精神療法の内容についての規定をもう少し明確にすると。よろし いですか。 (異議なし) ○柳澤座長 それでは、そういたしましょう。 ○長嶋医療監察官 「精神療法、カウンセリング等」の「等」に現状含まれている「精 神科作業療法」と「精神科デイ・ケア」についてのご検討をお願いします。 ○柳澤座長 どうでしょうか。これはやはり治療的な色彩が強そうですね。部外者的に 言いますと、デイ・ケアなどといったら、毎週何曜日に来てやりましょうということで、 それはアフターケアではないですよね。作業療法も似たようなものですね。「等」を取 るということでよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 よろしければ、「等」は取ってしまいましょう。アフターケアの場合には、 先ほど言った通院精神療法ですから、かなり広い範囲のものが入りますが、作業療法、 デイ・ケアという形のものは特に含めなくてもいいだろうということで「等」を取ると いうことです。  次は、同じく「精神障害」が対象ですが、5頁にありますように、対象傷病ごとに薬 の名前の表記が様々なのです。これを整理できないかということです。対象傷病として は、「炭鉱災害による一酸化炭素中毒症」、「せき髄損傷」、「頭頸部外傷症候群等(脳 の器質的損傷)」、「虚血性心疾患」、「サリン中毒」などになるのですが、カテゴラ イズされていて、ある場合には精神安定剤、ある場合には向精神薬、ある場合には向精 神薬(内服)、ある場合には向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、抗不安薬)・睡眠薬と なっているのですが、とりあえず(内服)とか(向精神病薬うんぬん)を取って、この 3つを「向精神薬」と整理することはよろしいですか。 ○岡崎先生 すべて「向精神薬」でいいと思います。 ○柳澤座長 よろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 そうすると、「精神安定剤」と「睡眠薬」をどうするかということも問題 になると思いますが、「精神安定剤」を「精神安定薬」とするか。それとも、これも「向 精神薬」というカテゴリーに含まれると理解してよろしいでしょうか。睡眠薬はいかが ですか。精神障害の場合の睡眠薬は「向精神薬」でいいような気がしますが、よろしい ですか。右側の表記を全部「向精神薬」に統一してしまうと。精神科の先生の方々もそ れでよろしいということですので、それでよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 全部「向精神薬」になります。  7番の「眼疾患」ですが、これは「白内障等の眼疾患」ということになっていまして、 検討内容が、眼瞼内反による睫毛乱生の処置は必要か否かを検討するということで、「な お、外傷によってまぶたが変形して眼瞼内反になった場合に睫毛乱生が生じて、痛みや 角膜の上皮剥離や角膜潰瘍を生ずることがあるので、睫毛乱生の処置が必要となる」。 その場合、当該傷病の実施要綱では、対象者について白内障、緑内障、網膜剥離、角膜 疾患等の眼疾患の傷病者としており、範囲が外傷による眼瞼内反がはっきりと含まれて いないことがしばしば問題になってくるのです。その場合のあり方としては、対象者の 規定の中で白内障、緑内障、網膜剥離、角膜疾患の次に眼瞼内反を追加するということ でよろしいかどうかが1つだと思いますが、それでよろしいですか。 ○小出先生 眼科です。それでよろしくお願いします。 ○柳澤座長 では、1番はそのようにしましょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 2番ですが、視機能の維持のために外用薬、内服薬は必要か否かを検討す るということなのですが、上のような状況がアフターケアの対象になるなら、当然外用 薬や点眼薬は必要ですね。 ○小出先生 外用薬の定義が、アフターケアのほうでは眼軟膏を含まないと、点眼だけ となっているらしいのです。ですから、それを一般的な外用薬の定義に入れていただけ れば。眼軟膏を入れるかどうかがどうも議論になっているようなので。 ○柳澤座長 それは当然必要でしょうね。 ○小出先生 ですから、費用的にもそんなにかからないと思うのですが、軟膏をぜひ入 れてほしいと思っております。 ○柳澤座長 規定として、例えば外用薬の中に(点眼薬・眼軟膏)という形にするかど うか、事務局はいかがですか。 ○長嶋医療監察官 外用薬で双方を含むということですので、「点眼薬」を「外用薬」 に変えることになります。 ○柳澤座長 参考資料No.15の35を「その他医師が必要と認める外用薬」にすればよろ しいですか。 ○長嶋医療監察官 はい。 ○柳澤座長 内服薬ですが、眼圧効果薬は必要か否か。これは必要なのですね。みんな 「剤」になっているので、国家試験の感じからいくと、「剤」はみんな「薬」にしたほ うがいいということがあるのですが、ここはよろしいでしょうか。内服薬は必要である ということで、これは36に入っていますね。 ○小出先生 入っています。 ○柳澤座長 事務局はそれでよろしいですか。 ○長嶋医療監察官 内服薬の今あるものについては、そのままお認めいただけるという ことで。 ○柳澤座長 それでは、医療機関からの請求が多いということですが、外用薬にして点 眼薬と軟膏を含むと、内服薬は従来どおりという形でよろしいですか。 ○小出先生 はい。 (異議なし) ○柳澤座長 それでは、次にいきます。  検討事項11は、現在は感覚器官用薬に分類されるが、内耳の血流量を改善し、めまい を抑える薬であることから、「循環改善剤」又は「神経系機能賦活剤」に含まれるもの として取り扱うことが適当か否かということです。これは適当だろうと思うのですが、 よろしいですか。めまいの薬は「循環改善剤」あるいは「神経系機能賦活剤」に含める ということでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 次は、12頁、末梢性神経障害治療剤及び微小循環系賦活剤の追加です。対 象傷病としては、「せき髄損傷」、「外傷による末梢神経損傷」で、末梢性神経障害治 療剤及び微小循環系賦活剤について、アフターケアの措置として認めることは適当か否 かを検討するということです。これはご議論があって、現在末梢神経障害については循 環改善薬、ユベラニコチネートなどは保険の適用になっていないので、循環系賦活剤は 削ったほうがいいのではないかということですが、それはどうですか。脳外科では使い ますか。 ○馬杉先生 最近すべて査定されてしまいますので。 ○柳澤座長 整形外科は使わないですね。三上先生からそういう意見が出たのですが、 神経内科を見るとユベラニコチネートはものすごく使うのです。だから、診療科によっ て違うのですが、保険薬剤を見ると循環改善薬は末梢神経障害の適用はないのです。と いうことで、これは削って、末梢性神経障害治療剤はいいだろうと。これもNo.15にある のでしょうか。これは、医療機関からいっぱい請求されるので、末梢神経障害治療薬を 追加しようということなのですね。 ○長嶋医療監察官 新たに追加することが適当かどうかということです。 ○柳澤座長 こういうものは、カテゴリーに追加するのですか。具体的に末梢神経障害 治療剤は、11、12の次ぐらいになるのでしょうか。どこに入れるかは、事務的にはどの ようになりますか。 ○長嶋医療監察官 この一覧表は、わかりやすく示したもので、具体的にはそれぞれの 傷病の実施要綱の中で明記することになります。 ○柳澤座長 では、それで入れてください。ただ、末梢性神経障害治療剤とありますが、 奥平先生のご指摘で「性」を取って「末梢神経障害治療剤」にしてください。そのほう が正しいので、それでよろしいですね。それは入れて、循環系賦活剤は省きましょう。 (異議なし) ○柳澤座長 次は、検討事項13です。名称変更は文言の問題で、対象傷病としては血液 一般・生化学検査を実施する傷病ということで、従来から使われていた「血液一般・生 化学検査」という名称を医科点数表上の名称に変更することは適当であるかどうか。す なわち、医科点数表では血液一般検査は「末梢血液一般検査」となっていますし、生化 学検査は「生化学的検査」となっている。したがって、血液一般検査を「末梢血液一般 検査」とする。文言としては「末梢血液一般検査・生化学的検査」、それとも「末梢血 液一般・生化学的検査」。 ○長嶋医療監察官 いまの表記を置き換えるのであれば、座長が言われたような形にな ると思います。 ○柳澤座長 末梢血液を対象として、一般検査と生化学的検査を含めるということです ね。全く独立に2つに分けてしまうと、生化学的検査の対象が何かが明記されないので、 誤解を生ずる可能性があります。 ○長嶋医療監察官 現状と同じような形で。 ○柳澤座長 「末梢」という言葉がつくということでよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 では、そのようにします。  次は、検討事項14「バクロフェン髄注に伴う薬剤再充填」です。実際、近年バクロフ ェン髄注療法が行われるようになって、ここに書いてあるように重症痙性麻痺の治療薬 髄腔内持続注入用埋込型ポンプ設置後、それに対してそのポンプに薬剤を再充填するこ とをアフターケアの措置として認めることは適当か否かを検討する。これを読むと、バ クロフェン髄注療法(ITB療法)とは、平成18年度診療報酬改定により健康保険適応 となったものであり、中枢神経系の抑制性神経伝達物質バクロフェンを専用の埋込型ポ ンプシステムを用いて作用部位である脊髄腔内へ直接投与することにより、脳・脊髄疾 患に由来する重度の痙性麻痺に対して痙縮改善効果を示すものである。なお、現行の「せ き髄損傷」に係るアフターケアにおいては、筋弛緩剤(鎮痙剤(バクロフェン錠剤)を 含む)の支給を認めており、また「外傷による脳の器質的損傷」、「せき髄型の減圧症」 うんぬんのアフターケアでは、四肢麻痺が出現した者で必要な場合には、「せき髄損傷」 に準じて薬剤を支給できるものとする、となっております。なお、アフターケアにおけ る薬剤の支給は、実施要綱上、特記事項がない場合は、内用薬を対象とする、というこ とです。  バクロフェン髄注をアフターケアで認めるというのは、当然健康保険で認められてい るわけですから、よろしいですね。木村先生、いかがですか。 ○木村先生 いいと思います。 ○柳澤座長 そういう治療法はそんなに一般化してはおりませんが、どうしても内服に よる抗痙縮薬では不十分な場合に使われるということで、かなりメリットのある患者さ んもいることは確かです。そうすると、埋込型のポンプですから、当然薬液がなくなっ たらそれを再充填するのですが、それをアフターケアの中で認めると、それに沿った形 で表現を変えるということでよろしいですか。 (異議なし) ○長嶋医療監察官 この項目については、本日ご欠席の三上先生からも取り扱って差し 支えないという意見をいただいております。 ○柳澤座長 筋弛緩剤(バクロフェン錠剤を含む)のところにバクロフェン髄注が加わ る形の変更と、バクロフェン髄注に伴って薬の再充填もアフターケアで行うことになる わけです。それは、両方髄注だけでいいのでしょうか。 ○長嶋医療監察官 すでにポンプが埋め込まれている状況で、薬の再充填部分だけがア フターケアの対象となるということです。 ○柳澤座長 その分だけですか。 ○長嶋医療監察官 現行、錠剤で支給しているところに方法が加わるということです。 ○柳澤座長 プラクティカルに考えると、これが保険で適用になったのが平成18年の4 月ですね。今すでに重度の痙性麻痺でバクロフェンを錠剤でずっと飲んでいた人が、健 康保険が適用になったのだから髄注もやってもらおうと、そのほうが痙縮はもっとよく なるのではないかと考えたときは、それは再発になるのですか。 ○長嶋医療監察官 埋込みの手術であれば、アフターケアの対象としては認められませ ん。 ○柳澤座長 そうすると、取扱いはどうなるのですか。 ○長嶋医療監察官 療養の過程で、そういう処置をされた方が治ゆしてアフターケアが 必要な場合は、薬剤を充填することがアフターケアの対象になりますが、手術をしてそ ういうものを埋め込むというのはまさに治療になりますので、アフターケアの範ちゅう からは外れてしまいます。 ○柳澤座長 その場合には、手続上は機械的に再発にして、療養給付を行ってポンプを 埋め込んで、アフターケアにすることはできないのですか。 ○西井課長補佐 そこで再発の定義があって、再発は症状固定時よりも傷病の状態が増 悪しているという定義があります。 ○柳澤座長 そうすると、現状より悪くなる状態は、例えばポンプを入れるほどに薬が 必要な痙性麻痺を持っている患者さんは、抗痙縮薬を飲まないと症状は悪くなるし、A DLも落ちるのです。そういうことを考えたら、薬の投与方法が変わったことを認める 意味で、再発という道はあったほうがいいように思います。 ○西井課長補佐 基本的に、再発は、治ゆのとき、症状固定のときから明らかに症状が 増悪しているのであれば、療養効果を期待できるということで再発の取扱いになります ので、症状固定のときと変動がない場合が問題になるわけです。そういうことがなけれ ば明らかに増悪しているという一般的な経過をたどるものであれば、その時点で療養効 果があるということで再発の取扱いはできます。 ○柳澤座長 アフターケアとしては、ポンプの埋込みを除いて、バクロフェン髄注の薬 の再充填を入れることにします。  次は、検討事項15です。「精神障害」に関わる検査及び医学管理等の追加です。これ は、抗精神病薬の中に6か月に1回程度の尿糖測定を実施することが必要な薬剤がある ことから、そのような薬剤を支給する者に対して尿検査を行うことは適当であるかどう かを検討するということです。抗精神病薬を使用することが認められている以上は、尿 検査をすることが認められるということでよろしいですか。  2は、抗てんかん剤の継続投与を行う場合には、特定薬剤治療管理料をアフターケア に要する費用として請求することとしているが、統合失調症に対しハロペリドール製剤 又はブロムペリドール製剤を、躁うつ病に対してリチウム製剤、また、躁うつ病又は躁 病に対してバルプロ酸ナトリウム又はカルバマゼピンを継続投与している場合について も、同様に特定薬剤治療管理料の請求を認めることは適当か否かを検討するということ です。抗てんかん薬については、特定薬剤の治療管理料が請求できることになっていて、 その中には薬剤の血中濃度の測定も含まれます。そうすると、抗精神病薬の場合も当然 そういった措置が必要になってくるので、それを含めるということだろうと思います。 最初に説明された事項のところにありますが、一応尿検査を行うことと、特定薬剤治療 管理料を請求できることにするということでよろしいですか。 ○戸田先生 尿糖測定というのは、副作用として糖尿病があるということですか。 ○黒木先生 非定型抗精神病薬の中には血糖値を上げるものがあって、糖尿病の既往が ある方や肥満の患者などは血糖に注意しながら投与しなければいけないということが、 ここ数年来あるものですから、そういうことも含めてということです。 ○戸田先生 最近、糖尿病を尿糖の測定ですることはほとんどないわけですね。血糖値 の測定かヘモグロビンA1Cを調べるので、もし糖尿病あるいは血糖を上げる副作用があ る薬を使う場合は、尿糖測定ではなく血糖値の測定やヘモグロビンA1Cの測定にしたほ うがよろしいのではないでしょうか。 ○柳澤座長 どういう表現がいいでしょうか。糖代謝異常という表現にすると、漠然と しすぎますか。 ○戸田先生 そうすると、血糖測定もヘモグロビンも入ることは入りますが。 ○柳澤座長 非定型抗精神病薬を使っている人に、無理に血糖あるいはヘモグロビン A1C以外のものをいっぱいやることは、普通はしませんね。。 ○長嶋医療監察官 現状、抗精神病薬を使用している場合は、血液一般・生化学検査を 認めております。 ○柳澤座長 一般生化学検査は認めているわけですね。では、尿検査を無理に追加する 必要はないですか。 ○長嶋医療監察官 生化学検査の中に血糖値が含まれていると。 ○柳澤座長 では、尿検査は削りましょうか。むしろ血液検査のほうでいいだろうと。 ○戸田先生 A1Cは入っていないと思うのですが。 ○柳澤座長 ヘモグロビンA1Cは、一般生化学には入りません。だけど、ヘモグロビン A1Cが測れると非常にいいのですが。 ○戸田先生 これだけでは、糖代謝異常はわかりませんからね。そうすると、A1Cを入 れておいたほうがいいとは思うのです。 ○柳澤座長 非定型抗精神病薬の使用の能書きの中ではどんな表現になっているのでし ょうか。 ○岡崎先生 たぶん、血糖値だと思いましたが。A1Cが高い場合にはというのはあると 思いますが、血糖値の測定だと思います。 ○柳澤座長 1回の血糖でも上がっているという程度までならなければ、問題はないだ ろうと思いますが。 ○戸田先生 A1Cが非常に上がって血糖値が低いことはないでしょうから。A1Cが上が っていなければ、そんなに心配ないとも言えますから、そういった意味では血糖値だけ でもいいと。血糖値が異常に上がっていれば。 ○柳澤座長 では、生化学の中に含まれるということで、血糖測定でよろしいでしょう か。 (異議なし) ○柳澤座長 では、そのようにします。尿検査は削ります。  次の「特定薬剤治療管理料の請求」についてはいかがでしょうか。ほかの抗精神病薬 についてもそのように行うということですが、これも保険のほうではみんな特定薬剤治 療管理料の中で認められているものでしたね。 ○長嶋医療監察官 参考資料No.17に記載されている内容になっております。 ○柳澤座長 気になるのは、これはみんな疾患名が書いてあるのですが、労災のアフタ ーケアで問題となる対象の方は統合失調症ではないですね。そうすると、表現はどうし ますか。病気の名前としては精神障害ですね。ハロペリドール又はブロムペリドールと、 全部列記しますか。精神障害の場合に抗精神病薬の継続投与を行う場合には、特定薬剤 治療管理料を請求できる、という表現にすると、漠としてしまいすぎますか。 ○岡崎先生 こういう薬剤は、本当に疾患特異的ではないのです。ただ、認可はそのよ うになっているという難しい問題があるのです。そういう薬剤を使用せざるを得ない病 態に用いるときにはとか、何か疾患名を回避する表現をしないといけないかと思うので すが。 ○柳澤座長 アフターケアの精神障害の治療薬として、こういった抗精神病薬や抗うつ 薬、抗そう薬を使うことはできるということは、いまの規定にあるわけですね。 ○長嶋医療監察官 現状は、向精神薬、睡眠薬、神経系機能賦活剤となっています。 ○柳澤座長 その文言は、今回の検討ではあまり変わらないわけですね。そうすると、 抗精神病薬を使用する場合は、継続して使用する場合には特定薬剤治療管理料を請求で きる、としますか。 ○長嶋医療監察官 先ほどの薬剤のご検討で向精神薬に統一されたので、向精神薬と神 経系機能賦活剤が支給対象になります。 ○柳澤座長 もしそれを継続使用する場合には、特定薬剤治療管理料を請求できるとい う文言にしたときに、アフターケアのいろいろな精神保険上の措置が適切であるかどう かを判断するときに、査定の対象となるかどうかを決める基準は、健康保険で医療保険 として認められている検査や措置を参考にして決めることになっているのですか。 ○長嶋医療監察官 健康保険で認められているものであることが前提であって、その上 でアフターケアで限定しますので、その限定された範ちゅうに入っていることが必要で す。 ○柳澤座長 健康保険で認められていることが大前提なのですね。 ○長嶋医療監察官 はい。 ○柳澤座長 では、それでよろしいのではないでしょうか。向精神薬を継続使用する場 合は、特定薬剤治療管理料を請求できることにすると。 ○谷島先生 逆に薬のほうから見ると、ハロペリドールはどういうものに医療保険で認 められているかというと、たぶん統合失調症とかそういうものだけですね。非常に乖離 があるのではないでしょうか。医療保険と障害者保険で乖離ができて、労災保険のほう がずっと先走ることにならないのか、その辺りの整合性は大丈夫ですか。 ○長嶋医療監察官 その場合、健康保険で認められていることが前提となりますので、 健康保険の対象から外れてしまえば労災でも査定されることになります。 ○谷島先生 いまの議論は、私はおかしいと思うのですが。 ○柳澤座長 それは、つまり特定薬剤治療管理料をアフターケアで認めることができる といった場合には、健康保険で認められている範囲でのものを認めますよ、という意味 なのです。だから、向精神薬であってもジアゼパムを使っているから特定薬剤治療管理 料を請求したといっても、それは対象にはなりません。ハロペリドールならなります。 そういうことで、健康保険でズラッと書いてあるものを使っていて、かつ血中濃度測定 や治療管理をするのなら、それは認めましょうということです。 ○谷島先生 ハロペリドールで認められている病名はありますね。それはどういうもの ですか。 ○黒木先生 統合失調症です。 ○谷島先生 だけですね。 ○黒木先生 現実にはそうです。 ○谷島先生 いま問題にしているのは、労災で支給を受ける患者さんは統合失調症なの ですか。 ○黒木先生 いいえ、たぶん違うと思います。それは、普通の医療でもそうなのです。 例えば、せん妄などでもハロペリドールを使いますし、でも現実には保険請求のときに は統合失調症という病名をつけないと通らないです。うつ病でも抗精神薬を使うのです が、やはり統合失調症の病名をつけないと請求できないのが現状なのです。だから、患 者さんに言うときには、これは統合失調症の薬だけれど、一応こういう効果があるので 使うという説明をして使うのです。 ○柳澤座長 そうすると、健康保険で決められているものは、薬剤については健康保険 で決められているものについて特定薬剤治療管理料を認めるのだけれど、その前に付い ている健康保険での特定の疾患名は、アフターケアの場合には無視することになります か。 ○黒木先生 ただ、今度の精神障害の認定の判断診療は、すべての精神疾患に間口を広 げているわけですね。だから、確かにうつ病が多いですが、中には非定型の精神障害も 入っています。 ○柳澤座長 それは、労災として非定型精神病も発症し得るのだという理解なのですね。 ○黒木先生 数は少ないと思いますが。だから、こういう薬を使う可能性はあると思う のです。 ○柳澤座長 では、ハロペリドールを継続的に使っているのだから、特定薬剤治療治療 料を請求することを認めるということでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 検討事項16ですが、「呼吸機能障害」に関わる保健指導について、特に喫 煙者については禁煙を指導するので、禁煙指導を明記するのは適当かどうかです。これ については、いかがでしょうか。呼吸機能障害の人は、それでもタバコを吸うのでしょ うか。 ○馬杉先生 禁煙指導は明記したほうが成果があると思いますね。 ○柳澤座長 バリケードがなくても、国民全体に禁煙指導しなくてはいけないことにな っているわけですから、禁煙指導を明記するということでよろしいですか。 (異議なし) ○長嶋医療監察官 表現については、振動障害で同様のものが記載されていますので、 参考にしたいと思います。 ○柳澤座長 次は、「呼吸機能障害」に係る薬剤に呼吸器用の貼付剤を追加することは 適当かどうかです。貼付薬が実際に使われるようですから、これはよろしいですか。 (異議なし) ○柳澤座長 では、剤形の中に、内服だけではなくこういった貼付剤も含めることにし ます。  よろしいでしょうか。用意された検討事項は以上ですが、そのほかに何か、全体を通 じて検討しておいたほうがいいということはありますか。 ○伊地知先生 対象傷病ですが、整形外科では骨髄炎や人工関節などがあるのですが、 もう1つ、脊椎インストゥルメンテーションといって、内固定をして早期に社会復帰を することも増えてきているのです。例えば、骨折部にプレートをつけて、骨癒合を待っ てプレートを除くのと少し違って、脊椎はもともと動く所を固定して、骨癒合を待って もそれを抜くかどうかはまだはっきりしないところがあるのですが、そういうケースも 通常復帰したあともフォローは必要なのです。その辺りも人工関節のフォローと似てい ると思うので、対象傷病に加えていただけるといいと思うのです。 ○柳澤座長 確かに、脊柱にズラッとピンで止めたりする、昔はなかった治療法がいま 行われているので。それについては、どこまで治れば治ゆと認められるかという基準の 問題もありますね。 ○長嶋医療監察官 手術によって骨癒合を待つことなく日常生活、職場への復帰が可能 なケースということで、経過観察が必要な場合に、座長が言われるようにその状態をも って治ゆとするのか、まだ療養の範ちゅうとして経過を見るのかということですが、骨 癒合がなされるまで、つまり症状の回復改善が期待できる状況は、労災保険の場合は療 養が必要な状態と捉えるので、療養の範ちゅうではないかと思います。逆に言うと、そ こまで療養で見ていただいて、それが落ち着いた状況をもって症状固定、治ゆとしてい ただくものと考えております。 ○柳澤座長 その手術法、脊柱のところへプレートを入れてビスで止める手術は、何年 ぐらい前から一般に行われるようになりましたか。 ○伊地知先生 10年くらい前から結構な数はあると思うのですが、もう症状固定で、そ れ以上は良くもならないし悪くもならない状態は、ある期間あります。固定している部 位が短いのであれ長いのであれ、もともとは動く所で、それが全部骨癒合で固定されて しまうと普通の骨折のような考えになるのですが、そうではないですね。そうすると、 長年経つうちに、必ずずれてきたり物が破損したり骨が壊れたりすることはあり得るの です。それは人工関節などの経過と似た状態があるのです。だから、経過観察は是非必 要なのです。 ○柳澤座長 おっしゃっているのは、1つはアフターケアの考え方からいくと、手術を して骨癒合して固定された状態で、これは治ゆになると。そのときに、アフターケアの 内容として、例えば定期的なレントゲン検査やいろいろなものがいまの規定の中にある のかどうかということ。もう1つは、固定した状態であると判断しても、現在の治療技 術からいくと、それから先5年、10年経つと骨もボロボロになるかもしれないし、ピン も抜けるかもしれない。そうしたときにはまたやり直さなくてはいけないのですが、あ とのほうは再発でもいいですね。 ○伊地知先生 この場合は再発ですね。この間の経過、まさに人工骨頭や人工関節とよ く似た状態だと思うのです。安定した後ずっと療養期間とするというのも、おかしいと いうか、違う状態。 ○柳澤座長 もうアフターケアに入れてもいいような患者さんも出てきているというこ となので、それもやはりアフターケアの傷病の中に含める必要があるだろうというお話 だと思います。 ○長嶋医療監察官 現行のアフターケアの対象傷病として、いま言われるものはありま せん。 ○柳澤座長 新たにアフターケアを加えなければいけないわけですね。 ○長嶋医療監察官 新たにその傷病を対象とするアフターケアを立ち上げる必要があり ます。 ○柳澤座長 だけど、実際に対象となるのは脊損ですね。 ○伊地知先生 麻痺のない外傷後の脊椎疾患もあるのです。麻痺があれば脊損に含まれ ますが。 ○柳澤座長 麻痺がなくて、骨だけサポートしてあげなければいけない。そうすると、 新しい疾患になるのですね。 ○伊地知先生 疾患に外傷はあるのですが、そういう術式が開発されて、療養期間が短 縮されて復帰も早くなるということがあるのです。 ○柳澤座長 具体的には、労災の対象となる傷病としては、骨粗鬆症か、脊椎骨折。 ○伊地知先生 骨折ないし脱臼ですね。麻痺が軽い、またはないケースですね。 ○柳澤座長 そういう外傷は、労災の対象にはならないのですか。 ○長嶋医療監察官 療養で認められるものであれば対象となるのですが、現行のアフタ ーケア制度としてそういう傷病を対象としたものがないので、新たに立ち上げるための 検討が必要になってくるのです。 ○柳澤座長 療養では認められているけれど、その中でアフターケアを必要とする傷病 にするかどうかですね。それはどこで検討するのですか。 ○長嶋医療監察官 この労災医療専門家会議の場なのですが、そのためには、その傷病 に対してどういう措置が必要なのかというところから、今ある他の傷病の要綱と同じよ うなものを作り上げなければいけないことになります。 ○柳澤座長 少し作業があるから、今回のアフターケアの見直しうんぬんの作業から外 して、どちらかというとコメントとしては報告書に記載しておいて、来年度にそういう 会で検討するという手続になりますか。そうすると、報告書のどこかに記載しておいた ほうがいいと思います。どこになりますか。脊髄障害の見直しの所でしょうか。 ○伊地知先生 人工関節と人工骨頭の病名が挙がったときは、どんな予定だったのでし ょうか。 ○長嶋医療監察官 脊椎骨折・脱臼に係るアフターケアの新設ということで、どういう 内容のものなのかを事務局のほうでお話をお聞かせいただいた上で、今回の検討に間に 合うのであれば、次回の報告書のたたき台にお示しし、その場で再度ご確認いただく。 間に合わなければ、継続的にご検討いただくというような取扱いでいかがでしょうか。 ○柳澤座長 間に合わない場合も、報告書に記載しておくということですね。 ○長嶋医療監察官 このような内容については、個々の検討項目ではなく、全体のとこ ろでそのような意見があったという取りまとめをすることはできます。 ○柳澤座長 そのような扱いでよろしいですか。 ○伊地知先生 はい。 ○柳澤座長 それでよろしいでしょうか。 (異議なし) ○柳澤座長 今日は2時間で必要な作業が全部終わりまして、ありがとうございました。 以上で検討を終わりにします。 ○園田課長補佐 本日は、前回から残された検討項目すべてについてご検討いただき、 ありがとうございました。今ほどの件も含めて、本日のご意見、ご検討については、事 務局で文言の整理なども含めて取りまとめをして、次回の会議で労災医療専門家会議の 報告書案として提出したいと考えております。よろしくお願いいたします。  次回第4回医療専門家会議は、2月16日金曜日の午後2時から、当庁舎16階の専用 第17会議室で開催する予定となっておりますので、よろしくお願いします。 ○柳澤座長 次回の検討課題は、報告書のたたき台を皆さんに事前にお送りいただいて、 目を通していただいて、それを議論することになるのですか。 ○長嶋医療監察官 そのように進めたいと思います。 ○柳澤座長 そういうことですので、よろしくお願いいたします。それでは、本日の会 議はこれで終わりにいたします。どうもありがとうございました。 (照会先)                     厚生労働省労働基準局労災補償部補償課福祉係     TEL  03(5253)1111(代)内線5566 03(3502)6796(夜間直通)      FAX  03(3502)6488