07/01/16 労働政策審議会雇用均等分科会 第72回議事録 第72回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2007年1月16日(火) 18:00〜20:00 場所:厚生労働省専用第21会議室(17階) 出席者:  労側委員:稲垣委員、岡本委員、鴨委員、龍井委員  使側委員:吉川委員、前田委員、松井委員、山崎委員、渡邊委員  公益委員:横溝分科会長、樋口委員、林委員、佐藤委員、奥山委員、今田委員 ○横溝分科会長  ただ今から、第72回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は、篠原 委員が欠席でございます。  それでは早速議事に入ります。本日の議題は「短時間労働者の雇用管理の改善等に関 する法律の一部を改正する法律案要綱について」ですが、本日、厚生労働大臣から労働 政策審議会長あて諮問が行われましたので、これを受けて、当分科会において審議を行 うことにしたいと思います。それでは、まず事務局から資料の説明をお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  それでは、資料1に従ってご説明したいと思います。昨年末に審議会の委員の皆さま 方にもお手数をかけ、ご協力いただきまとめていただきました建議に沿って、厚生労働 省事務局の方で「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律 案要綱」を取りまとめさせていただき、先ほど分科会長よりお話がありましたように、 本日諮問申し上げたということです。その中身については、建議に沿っているものであ ると考えていますので、それをご説明します。ただ、後でご説明しますが、幾つか建議 になかったものが入っていますが、それは政府部内での取り決め等に基づいて併せてパ ートタイム労働法の中に改正事項として入れさせていただいているものです。それも併 せてご説明します。  まず1ページ目ですけれども、「目的」の関係です。建議においては、パートタイム労 働法の中の実態的な規定が直ることに伴い整備をするということになっていた部分です けれども、具体的には、今回、「一 目的」にありますようなことに目的規定を変えさせ ていただくということです。中身の主な変更点については、今回のパートタイム労働法 の改正に至るまでの背景事情の部分について目的規定の方にも入れさせていただいてお ります。まず1行目の「我が国における少子高齢化の進展、就業構造の変化等の社会経 済情勢の変化に伴い」という、いわばマクロ的な状況認識・分析を今回新たに入れさせ ていただいております。 3行目の中ほどに「通常の労働者への転換の推進」というものがありますが、従来のパ ートタイム労働法にはそういう規定がなかったものですが、今回入りますので、その部 分についても目的規定の中に措置の中身として明記させていただいているものです。 そういうことによって、4行目の中段から「通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保 等を図ることを通じて」ということで、そういう均衡待遇の確保というものも書いた上 で、最終的には今までのパートタイム労働法は、パートタイマーの福祉の増進を図るこ とが目的になっていましたが、先ほどマクロ的な状況分析を冒頭に入れさせていただい たということとの対で、この法律の目的として「あわせて経済及び社会の発展に寄与す ることを目的とする」ということで、そういう目的規定というものも追加的に入れさせ ていただいているものです。以上が目的の関係です。  次に「事業主等の責務」の部分ですが、この部分についても建議で均衡待遇の措置等 が書かれることに伴い、整備をさせていただくということになっていた部分ですけれど も、今回、具体的には2行目の下の方にある「通常の労働者への転換の推進」というこ とが事業主の規定に入ってきますので、一般的責務規定の方にも入れさせていただいて います。  さらに2ページ目の下の方ですが、「措置等を講ずることにより」の後に「通常の労働者 との均衡のとれた待遇の確保等を図る」ということが事業主の責務規定として入りまし たので一般的責務規定としても明記させていただいています。一般的責務規定の改正の 部分については以上です。  次に「三」以下で具体的な規定という部分ですが、まず一つ目として「労働条件に関 する文書の交付等」の関係の部分ですが、これは建議に沿って労働基準法の定めるもの の他に「退職手当その他の賃金に関する事項として厚生労働省令で定めるものを文書の 交付その他の厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない」と書きます。 対象については、建議において昇給の有無、賞与の有無、退職金の有無という三つを入 れると書いていました。それがこの要綱においては「厚生労働省令で定める」という形 になるわけです。「文書の交付その他の厚生労働省令で定める方法」というのは、審議会 での議論の中にもありました通り、メールによる交付も認めるという意味で、その方法 も厚生労働省令で定めるという形を採っているものです。建議通りです。ロの部分につ いては、建議に直接的なコメントはありませんでしたが、従来パートタイム労働法にお いて努力義務規定の対象となっていた労働条件の明示の範囲があったわけで、一部を今 回、義務規定に移しますけれども、残った部分についての努力義務規定をなくすわけに はいきませんので、それは今まで通りという意味で、事業主は努力義務規定になった事 項以外の事項についても併せて明示するように努めるということで、努力義務規定とし て整備し直すという部分です。これは別に建議と矛盾しているものではありません。  次に二つ目の事項です。その前に、建議ではこの後に「待遇に関する説明の規定部分 が出てきますが、この部分は法律上の整理としては、いろいろな措置を事業主が講じた 上での説明という形になりますので、位置付けとしては後ろの方に回りますので、後の 方で登場するという形になります。そういう意味で、順序として、次は「差別的取扱い の禁止」という部分です。具体的には3ページです。この差別的取扱いの禁止の部分に ついては、建議において三つの要件、具体的には職務の同一性、職業生活を通じた人材 活用のしくみ・運用の同一性、雇用契約期間の同一性という三つの要件で対象者を明確 に規定した上で、差別的取扱いの禁止の規定を措置するという形になっていましたが、 それを忠実に反映させていただいているものです。1行目の「業務の内容及び当該業務 に伴う責任の程度からみてその職務の内容が当該事業所における通常の労働者と同一」 これが一つ目の要件の部分です。その短時間労働者と同じ表現が何度も出てきますので、 「職務同一短時間労働者」と定義させていただいている部分です。「であって、」という ことで、まず一つ目の要件です。 二つ目ですが、「当該事業主と期間の定めのない労働契約を締結している」が雇用契約期 間の二つ目の要件で、ここで登場しています。 三つ目が、職業生活を通じて人材活用の仕組み・運用等が同じという部分については、 法制的に整理をして「当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との 雇用関係が終了するまでの間において当該通常の労働者との同様の態様及び頻度での職 務の変更が見込まれる」と明記しています。「当該事業者の雇用期間が終了するまでの間 において」と書くことによって、過去ではなくて、そのように要件が一致した以降の部 分であるという考え方をはっきりさせています。つきましては、三つの要件がそろいま したので短時間労働者であることを理由として、その待遇について差別的取扱いをして はならないという規定になるということです。建議通りであります。ロで、これも議論 にありました通り、期間の定めがない契約は定めがあっても反復更新すること等によっ て実質的に無期になっている場合も含むということになっていましたが、その部分は紛 れがないようにということで、法律上も明記するということで、ロの部分ですが、「期間 の定めのない労働契約には、反復して更新されることによって期間の定めのない労働契 約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約を含む」と いうことをはっきり書かせていただいています。建議の考え方と同じです。以上が差別 的取扱いの禁止の部分です。  次に賃金に関する均衡待遇の部分ですが、中身が二つありました。一つ目は、イの原 則の方ですが、「事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、短時間労働者の職務の 内容、成果、意欲、能力、経験等を勘案して賃金を決定するように努める」と。これも 建議と同じです。この部分の賃金の対象については、建議において基本給、賞与、職務 関連の手当の三つとなっていた部分ですが、法制的な整理として三つを限定的に厚生労 働省令で定めるのではなくて除いていくということで、その三つが残るように厚生労働 省令で書いていくという、これはテクニカルな構造になっていて、除くものとしては「通 勤手当、退職手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く」ということで、ここで除 くものの賃金規定を書いていった結果として、除いた残りのものが最終的に建議の中で 挙がっていた基本給、賞与、職務関連の手当になるように厚生労働省令で定めるという ことで考えている部分です。「決定するように努めるものとする」は、建議通りです。 賃金に関する二つ目の事項として、二つの要件、職務の同一性と人材活用の仕組み・運 用がそろった部分については決定方法を共通にするということで、建議でいただいてい た部分について法制的に整理したのがロの部分で、「事業主は、職務同一短時間労働者」、 ここで職務が同じということが要件として合致します。次に人材活用や仕組み・運用が 同じという部分については、「当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業 主に雇用される期間のうちの一定の期間において通常の労働者と同様の態様及び頻度で の職務の変更が見込まれる」ということで、二つ目の要件についても明記しているとい うことです。その場合については、決定方法を共通にするという話がありましたが、「共 通」という用語を法律上の用語として書きなおすと「同一の」方法ということになって いて、「通常の労働者と同一の方法により当該期間における賃金を決定するように努める ものとする」ということです。これについても建議通りということです。  次の項目として「教育訓練に関する均衡の確保」の部分です。これは中身が二つあり ました。イが、一つ目の職務関連の訓練の部分です。まず通常の労働者に対し実施して いる教育訓練であることが当然前提です。「当該通常の労働者が従事する職務の遂行に必 要な能力を付与するためのもの」と。職務関連の訓練については、同じ仕事をしている 短時間労働者について実施しなければならないと義務規定として書くという建議通りで す。ただ、そもそもそういう能力を持っている者を雇い入れた場合は重ねてする必要は ないということになっていた部分について、中段の部分にある通り「既に当該職務の遂 行に必要な能力を有している場合その他の厚生労働省令で定める場合を除き」というこ とで規定しているものです。これも建議と同じです。 教育訓練の二つ目ですが、それ以外の訓練の部分のロです。「イのほか」ということで、 それ以外ということを書いていますが、「通常の労働者との均衡を考慮しつつ、職務の内 容、成果、意欲、能力、経験等に応じて教育訓練を実施するように努める」という努力 義務ということです。これも建議通りということです。  次の項目は「福利厚生の均衡の確保」の部分です。この中身として、建議で一つあっ た施設の関係です。まず通常の労働者に対して利用の機会を与えている福利厚生施設と いうことが当然の前提です。それについて、「その雇用する短時間労働者に対しても利用 の機会を与えるように配慮しなければならない」と配慮義務として書くと。これも建議 通りです。対象については、食堂、更衣室、休憩室の三つということにしていましたが、 それについては厚生労働省令で書いていくということになります。それについて、建議 の段階では業務の円滑な遂行に資する施設という考え方でしたが、その後法制的な整理 の中で、食堂や休憩室については業務の円滑な遂行だけではなかなか法律的に読みにく いという指摘があり、その二つの施設を厚生労働省令で書けるようにするための考え方 として、「健康の保持」という5文字を追加しています。これは別に建議の考え方が変わ ったのではなくて、建議の中での整理を法律上規定するためのテクニカルな整理という ことです。以上、福利厚生の関係も建議通りです。  次の項目は「通常の労働者への転換の推進」の部分ですが、これも建議と同じで「転 換を推進するため、次のいずれかの措置を講じなければならない」と。義務規定という ことです。ただ、どれを講じるかは事業主に選んでいただくというものです。一つ目は 「募集の情報を周知する」ということでしたが、法律上整理し直したものが(イ)の部分 で、「通常の労働者の募集を行う場合において、当該募集に係る事業所に掲示すること等 により、その者が従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の当該募集に係る事項 を当該事業所において雇用する短時間労働者に周知する」と。まさに文字通りです。 二つ目が社内公募の場合の応募機会の付与という話でしたが、これも「通常の労働者の 配置を新たに行う際に、当該配置を申し出る機会を当該事業所において雇用する短時間 労働者に対して与える」と。まさに文字通り応募機会を付与するということで書いてい ます。    三つ目が「転換制度の導入」という部分でしたが、法律上はその部分について「一定の 資格を有する短時間労働者を対象とした試験制度を設けることその他の通常の労働者へ の転換への制度を設ける」というものです。試験制度を設けるというのは、あくまで例 示で、いずれにしてもそういう転換制度を設けるというのが三つ目です。 四つ目、建議では「等」という形で「それ以外にも」ということで整理していた部分に ついては、その後検討を進め、(ニ)にありますように、短時間労働者が通常の労働者と して必要な能力を取得するために教育訓練を受けさせるということを、より積極的に支 援するもので、そういうものも転換のための措置ということで入れさせていただいてい ます。その他転換の推進のための措置を講じるということで、四つ目の項目として立て ているというものです。建議と同じです。ロで、国がそういう場合について援助等の必 要な措置を講ずるように努めるとしていた部分をロにそういう規定を置かせていただく ということになっているものです。  (七)は、例の説明責任の部分です。建議においては、パートタイム労働法上の差別的 取り扱いの禁止なり義務規定なり努力義務規定の事項についての説明責任というように 整理していただいた部分ですけれども、それを法律上同じように規定しており、「事業主 は、その雇用する短時間労働者から求めがあったときは」ということで、(一)から(六) までは今回の改正事項です。今回は改正対象になっていませんけれども、説明責任の対 象とすべき事項として現行のパートタイム労働法第7条「パートタイム労働者の就業規 則を整備するための意見聴取の努力義務規定についても対象とする」とした上で、それ に当たって考慮した事項について説明しなければならないという説明責任の規定を置く ということになっている部分です。建議と同じです。  大きな項目の「四 紛争の解決」の部分です。建議で二つありましたものも法律上同じ ように規定しています。一つ目が「苦情の自主的解決」ということです。この部分につ いては、建議においてパートタイム労働法上の禁止規定および義務規定についての苦情 処理の対象にしていくと整理されていたものについて書いていて、7ページの1行目の 「三(一)イ」などと書いていますが、そういう事項を列記している部分で、事業主は、 そういう事項に関して苦情の申し出を受けたときは、自主的な解決を図るように努める ということで、自主的解決の努力義務規定を置きます。例示として「苦情処理機関に対 して「当該苦情の処理をゆだねる等」ということで例示を入れています。この例示につ いては、均等法の例示と同じということにしています。均等法と横並びということです。 自主的解決は以上です。 二つ目に、行政型ADR整備の部分ですが、ここの部分についても均等法と全く同じ構造 ということにしています。現行では、個別労働関係紛争解決促進法の対象になっている 部分について適用を除外した上でパートタイム労働法の中に規定を置くということで、 (二)の部分に、紛争解決に関する特例ということで規定を置いているということです。 具体的な中身は(三)以下ということになりますが、一つ目が、都道府県労働局長による 助言・指導・勧告という規定です。これも均等法と同様で、(三)のイにそういう旨の規 定を置くというものです。ロの部分は、不利益取り扱いの禁止の規定で、労働者がそう いう援助を申し出たことによって不利益な取り扱いをしてはいけないという規定が均等 法にあるものをパートタイム労働法上も置くというものです。  次に、二つ目の「調停」ですが、まず紛争調整委員会に調停を行わせる根拠規定を置 くというのが(四)のイの部分です。ロの部分は、先ほどの不利益取り扱い禁止の規定を 調停の場合にも準用するということで、これも同じです。ハの部分ですが、その他の手 続き的な規定については同じ構造ですので均等法の規定を準用するという形で整理をし ます。ただ、建議にありましたパートタイム労働者の調停に関しては、同じ事業所の他 のパート労働者の意見も聞けるように整備しようということにしていた部分について、 整理するという部分がハの後段の部分で「読み替え」という形で書いてあり、わかりに くいですが、要するに当事者の同一の事業所に雇用される労働者を参考人として呼ぶこ とができるようにするという、まさに建議での指摘を踏まえた整備をするということが 書いてある部分です。ハは以上です。以上、説明してまいりましたことが建議に沿った ものです。  五の「短時間労働援助センター」の部分については、実は建議の中には入っていない 部分です。これは説明の冒頭で申し上げましたが、政府の中でのいろいろな取り決め等 あるいは別の審議会での議論等を踏まえて整備をしなければならないという部分につい て、行政の方の判断として入れさせていただいているものです。具体的な中身は、一言 で言いますと、パートタイム労働法上の指定法人である短時間労働援助センターの業務 を見直して絞らせていただくというものです。その背景事情としては二つあります。 まず指定法人制度そのものが、いわば国が民間の公益法人を全国に幾つという形で指定 して、一定の業務を独占的にやらせるというのが指定法人制度ですが、やはりそういう 制度については極力限定的なものにしていくことが行政改革の観点から求められており、 それについて政府全体として取り組むという方針が政府として決定されているというこ とで、現行のパート労働法上の短時間労働援助センターについても指定法人の見直しと いう観点でその業務を洗い出して真に指定法人にやらせるべき業務だけにしようという 見直しを政府部内でしていたということが一つです。  二つ目の背景事情として、特別会計の見直しということで、具体的には労災保険法上 の労働福祉事業というものを見直すということが一つ、労働条件分科会の方でされてい て、もう一つは雇用保険法上の3事業、特に雇用福祉事業については廃止するというこ とが安定局関係の審議会で議論されてきたということで、そういう方向で予算も組まれ ています。そういう予算の見直しに伴い、短時間労働援助センターの業務でそういう予 算に関連した部分について当然見直しが必要になるということで、そういう観点で、短 時間労働援助センターの業務を見直すという必要があったわけです。  その二つの背景事情を基に短時間労働援助センターの業務を見直させていただくとい う部分がこの「五」の部分です。具体的には、短時間労働援助センターの業務を非常に 絞りまして、最終的に残るのは、(一)にある資料の収集等の業務というのが一つ。二つ 目が、(二)にある2行目の下の所ですけれど、「短時間労働者を雇用する事業主若しくは その事業主の団体に対して支給する給付金を支給する業務及びこれに附帯する業務」と。 要するに助成金を支給する業務だけはやるということで、この二つだけに絞らせていた だくということになっていたわけで、それを今回パートタイム労働法の中で措置する必 要が出てきましたので、それを併せて諮問させていただいているという部分です。  規定の整備は抜きまして、「六 過料の創設」は、文書交付の部分について過料を創設 するということで、10万円以下の過料ということにしています。次にその他の関係です が、その他必要な関係法令の整備をするというものです。10ページの第二の「施行期日 等」の部分です。まず1点目の施行期日については、基本的には平成20年の4月1日か ら施行するということです。ただし、今申し上げた短時間労働援助センターの業務の部 分については、予算を伴った部分ですので、それよりも早めて施行するということで、 具体的には平成19年7月1日から、とさせていただいているというものです。  二つ目の経過措置の部分です。当然法律に伴い経過措置等を設けなければならないの ですが、もう一つ、二つ目の追加事項として一定の期間経過後に改正後のパートタイム 労働法の見直し規定を盛り込むことを諮問申し上げているという部分です。この部分に ついては、これも同じく政府部内の取り決めとして、新たに規制を新設するような部分 については、見直し規定を必ず置くということが、これもまた政府部内で決定されてい る部分で、今回のパートタイム労働法の改正は、すべからく規制の部分ですので、当然 それに伴い一定期間経過後の見直し規定ということを政府の責任において入れなければ ならないということになっており、それを併せて盛り込ませていただくということにな っている部分です。    以上が、少し急ぎましたけれども説明でございます。 ○横溝分科会長  ありがとうございました。ただ今の説明がありました内容につきまして、ご質問、ご 意見等がございましたら発言をお願いいたします。 ○渡邊委員  よろしいですか。 ○横溝分科会長  渡邊委員、どうぞ。 ○渡邊委員  法案要綱については、昨年の建議に沿った内容であれば特に反対はいたしません。た だ建議に沿った内容の中で若干不明な点について、少しご質問させていただきます。建 議の3ページをご覧いただけますか。3ページの「賃金に係る均衡の確保」のところで すが、イについて、昨年の建議では対象となるのは、職務関連賃金として基本給、それ から賞与、通勤手当および精勤手当と限定列挙されたはずです。ところが法案では先ほ どの説明で、法案のテクニカルな整備という趣旨の基に「通勤手当、退職手当その他の 厚生労働省令で定めるものを除く」という表現になっておりますが、このような表現で 果たして建議通りの内容にできるだろうかという質問ですけれども、建議通りの内容で あれば特に異論はないのですが、厚生労働省令で本当にすべて書き尽くせるのかなと。 あるいは解釈をめぐって、限定列挙ということでいろいろとトラブルになる可能性はな いのかなとその点を危惧しております。  それからこの法律について施行に当たっても、平成20年4月1日ということになって おりますが、ひとつ施行に当たっては周知期間を十分取っていただきたい。それからそ ういう意味で厚生労働省はあらゆる手段を尽くして周知を徹底してほしいと。それから 法律の施行に当たり、施行ありきではなくて、私ども中小企業や小規模企業はもとより、 労働者にとっても十分に理解されるような配慮をぜひ、してほしいということを一言申 し上げたいと思います。 ○横溝分科会長  はい、どうぞ。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えさせていただきたいと思います。1点目の賃金の範囲が建議の三つのものに限 定するように規定できるのか、するのかということでございますが、それは行政の責任 できちんとさせていただきますし、解釈等で紛れがないようにきちんと手当てします。 そこはご心配いただかなくても大丈夫なようにしますと申し上げたいと思います。  あと、施行に当たる部分でございますが、政府としては国会に法律を出すことまでで、 その法律を通す部分については国会の方のご判断になりますけれども、いずれにしまし ても、我々としましては法律が成立したらすぐにまさに行政として持てるものをすべて 活用しまして、その中身について周知していく、理解を求めるのは、行政として当然し なければとならないものでございますので、それは全力を上げてさせていただくように 考えております。そういう意味で平成20年4月1日の時点で、よくわからない、十分伝 わっていない、中身について理解が乏しいということで、施行でトラブルや混乱が生じ ることがないように、そこはきちんとさせていただきたいと考えております。 ○横溝分科会長  はい、松井委員どうぞ。 ○松井委員  今、渡邊委員が懸念として示された賃金のところは、行政の責任でとおっしゃいます けれども、行政の人が本当に民間の賃金をすべてよくわかっていると私はまず思ってい ません。では、なぜこのようにするのか丁寧にご説明をお願いしたい。なぜならば、福 利厚生のところはある程度限定列挙でこれについてやってくださいという書き方をする わけです。そして賃金の方が私からすると、企業ではいろいろな名前を付けているケー スがあって、ありとあらゆるものを全部取り上げて、これでないものと書くのは実際、 ものすごく難しいのではないかと思います。テクニカルと一言でおっしゃいましたけれ ども、このようにする理由をもう少しわかりやすく説明をしてもらいたい。申し訳ない のですけれども、とてもお役所の人がわかっているとは思っていないということだけは 繰り返して申し上げたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  言葉が足りなくてすみません。まず、テクニカルということでしたが、賞与と職務関 連の手当という部分については、それなりに規定でもあり、法律上使うということにつ いての問題は生じないですけれども、実は基本給という部分がわかったようでわからな いと言いますか、基本給という言葉は人口に膾炙した言葉で、皆さんは一定のイメージ を持たれていますけれども、基本給という3文字がどういうものであるかを、なかなか 法律上使える程度までのものになっているかどうかについては、先例あるいは他の法律 の規定状況等も見まして、なかなか難しいというのが、法制的な判断でございまして、 そういう意味で手法として表から書く部分を裏から書くという形に、手法として切り替 えさせていただいたということでございます。  あともう一つ、きちんと書ききれるのかと、民間の賃金のことについて役人がすべて わかっていないのではないかということですけれども、まさにそういうご指摘もあるか と思います。まさにそういう意味では、この部分につきましては厚生労働省令で定める ことになれば、これは当然この審議会の方にも中身をお諮りして、労使、特に経営の専 門家でいらっしゃいます経営側の皆さん方の目でチェックもしていただいた上で、決め ていただくことになりますので、そういう場面においてはぜひご見識とご指摘、ご示唆、 ご協力をお願いできればと思っております。 ○横溝分科会長  いいですか。いかがですか。はい、吉川委員。 ○吉川委員  5ページの「(六)通常の労働者への転換の推進」のことについて、少し質問をさせて いただきたいと思います。昨年末の建議では、通常の労働者への募集の情報の提供、そ れから通常の労働者への社内公募、通常の労働者への転換制度の三つの措置を例示して いたと思います。しかし本日のこの法案要綱ではさらに一つ、(ニ)が追加されているの ですけれども、なぜこの(ニ)が追加されたのかという説明をしていただきたいと思いま す。「通常の労働者として必要な能力を取得するために教育訓練を受ける機会を確保する こと、その他の通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずること」とあります けれども、長期的な展望としては、これは必要と言うのか、大事なことだと思いますが、 これは今まで一度も議論されていないのに、今回突然出てきたように思いますけれども、 具体的にはどういう内容のものなのか、事業主は何をしたらよいのかをもう少し具体的 に説明していただけたらと思いますので、よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えいたします。建議におきましては、確かに三つの事項を例示として挙げており ましたけれども、建議としましては言葉尻を言うようで恐縮ですけれども、「等」が考え られるので、いわばその時点ではその三つがありますよねということでしたが、ただ責 務として書く以上、別に本当にその三つだけに限定する必要があるかどうかは、当然法 制的には議論するという中にあって、転換制度というのは必ず三つの中のどれをやらな ければ事業主として責務を果たしたことにならないとすることがいいのかどうかという ことがあると思います。四つ目の例示を出すということは、経営側からしてみればより 転換の促進に向けた措置の選択肢が広がることでございますので、そういう意味では建 議ではなかったということはなかったのですけれども、同じように転換を促進するよう な措置であれば、広く事業主の方に取り組んでいただきたいと例示として付け加えさせ ていただいているものです。中身の部分につきましては、確かに募集情報の周知や、応 募機会を付与することもありますけれども、いわばそれでは形式的な情報提供という話 でございまして、先ほど私は冒頭で申し上げましたが、片や教育訓練の方にはより前向 きにと言いますか、具体的に事業主の方がパートタイム労働者の人たちを正社員に登用 しようと。それに当たっては当然必要な能力もあるので、それも付与させようと取り組 んでいただけるのであれば、より前向きと言いますか、積極的な対応となりますので、 そうしていただくことがより転換に資すると思います。もちろん、この教育では通常の 労働者への転換に資するような訓練ではなく、全然関係ない訓練をやっても当然意味が ないわけでございまして、そういう意味でここにあります通りに通常労働者として必要 な能力を取得するためのものだとしておりますので、そういう能力開発を努力していた だくということであれば資するということで、もう一つ選択肢として入れさせていただ きました。なお確認ですけれども、この規定はすべてを取り組んでいただかなければな らないというものではなくて、どれかを選んでいただくというものですので、そういう 意味で事業主として選んでいただけるべき選択肢を一つ、より積極的なものとして追加 をさせていただいております。どのようなものがその内容に当たるかということについ ては、パートタイム労働者の職種なり、いろいろなものによってもあると思いますので、 一応ここの諮問要綱上に書いておりますのが、あくまで教育訓練というのは通常の労働 者としての必要な能力を付与するためのものですから、それを付与できれば通常の労働 者としての能力が付与されるから転換により移っていきやすいという訓練の中身のもの をしていただくということを書いてあります。中身についてはもう少し具体的なことに していくことは当然必要かと思いますけれども、考え方としてはそういう考え方でござ います。 ○横溝分科会長  はいどうぞ、吉川委員。 ○吉川委員  そうすると企業ごとに必要な内容は違うと思いますので、その部分は企業に任されて いいという、ある意味、企業のサイドの考え方でいいと理解してよろしいのでしょうか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  任せるという言葉はあれですけれども、一義的にはどういうものが当該企業における 通常の労働者として必要な能力か企業が一番ご存じですのですので、企業のご判断に当 然なります。ただ、繰り返しになりますけれども、ここはあくまで転換を促進するため の措置としてのものですので、結果的に企業がどう思っておられても、客観的にあるい は第三者的に見て、それが全然関係ないのではないか、あるいは趣味の訓練ではないの かとなれば、それはそれで問題が生じることが当然あり得るとは思いますし、そこの部 分は行政としても指導させていただくような場面はあるかと思いますけれども、一義的 には当然企業の側で判断していただくことにならざるを得ないと思います。 ○横溝分科会長  はい、どうぞ。 ○佐藤委員  今のところで確認をいいですか。ここの(ニ)は(イ)〜(ハ)までに掲げるもののほか、 その他の通常労働者でこの間の教育例は例示ですね。だから四つ目の例示があるという ふうに、教育訓練も例示だと、四つの例示があると考えていいですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  そうです。 ○横溝分科会長  はいどうぞ、では龍井委員。 ○龍井委員  今、佐藤委員がご指摘の通りで、そうであれば、「ほか」という表現が少しなじまない と思いますが、それ以上に逆に言うと、例示ですから(ニ)だけでもよいと。(ニ)だけで もよいとなると、今おっしゃったような転換ということを前提ないし見込んだ上での通 常の労働者としての必要な能力の取得ということが限定できるのかという点と、さらに 教育訓練については単独で別の規定がございますよね。それと併せてここでそうした訓 練だけをやることが当初建議段階で意図していた転換のしくみを作るということとは少 しずれがあるのではないかと思います。だから「ほか」というのはプラスアルファ支援 であれば、まだ今までの議論の経過とは整合性がありますが、いずれあるかもしれない けれども、そのしくみはとりあえず訓練だけでいいとなると、少し当初の趣旨とは違う のではないかと思いますので、その点は少しご議論いただければと思います。 ○横溝分科会長  どうぞ、松井委員。 ○松井委員  違った意味で、龍井委員に賛成するのかもしれません。なぜならば教育訓練というの は私どもとしては非常に幅が広いものだと思っております。恐らく厚生労働省、事務方 として、この転換のための教育というものを、何らか制度化をして、何かOff-JT的なも のがあって、ここに当てはめれば転換の促進の制度のように読めるのではないかという ことで、書かれているのだと思いますが、でも本当の意味で通常の労働者への転換をし ていくというのは、Off-JTも必要なときもあるでしょうけれども、基本的にOff-JTだ けでなく、OJTでどういう仕事をやらせて、どんな期待をして、どんなアサイメントを 与えてなど、そういう中で本来、転換をしていくかどうかは見極められるのだろうと思 います。そうすると先ほど吉川委員からも、具体的に企業側としてやるべきものをもう 少し教えてほしいと申し上げて、企業側の自由である、企業の判断ということをちょう だいしましたが、もともと転換をさせるために教育をしているというやり方でやろうと しているのか。あるいは結果的に転換ができるような形で能力が備わってしまっている のか。その区別が現場では現実の問題として、非常にしにくいケースもあるのではない かと私どもとしては思っております。  そこで質問ですが、もともとさせるという意図がないと、この制度を通してとらえら れないのか。させようと思っても、もう一つ問題がありまして、従業員の方がそういう 意欲もきちんと持ってくれて、最終的にそこに追いついてくれないとなかなか制度とし た意味合いが完成しないとそんな気がするわけです。そういうことからすると、今後こ れは例示としてあればいいという整理をしていくのか。とりあえず落とすのかどうか。 それは労側のご判断もあろうと思いますし、もう一ついろいろな意味で再チャレンジと いうことで入れたいと、気持ちはわかりますが、少し難しいと。同じ職務の人に対する 教育訓練の義務化のところと、そうでなくざっくりといっている努力義務のところと、 もう一つある何か転換のための教育は現場に下りていったときに、私どもとしては少な くとも非常に説明はしにくい。その場合はやはりうまい説明ができるものでないと困り ますということだけは、まず申し上げておきたいと思います。 ○横溝分科会長  ではどうぞ。 ○奥山委員  皆さんと同じようなところがわからないのだと思いますが、これまでの建議の中では (イ)(ロ)(ハ)とこの三つが選択的な措置義務で上がっていたわけです。転換を容易にす る制度として、(イ)(ロ)(ハ)の内のどれか一つを措置しなさいと。今回この(ニ)がそこ とは違って出ているのですが、今少しご説明が私はよく理解できなかったのですが (イ)(ロ) (ハ)は同列でその内どれか一つの措置をすると。この(ニ)はその (イ)(ロ)(ハ)が一つのグループで、それ以外にも転換を容易にするために(ニ)があると、。 ここでの(ニ)の教育訓練は一つの例示ですから、問題は、その他の通常の労働者への転 換を容易にするための措置を講ずるということですから、これは(イ)(ロ)(ハ)が一つで、 それでさらにプラス(ニ)が加わっているのですか。それとも(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の内のど れかをやるということなのですか。これが少しわからないのです。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えいたします。(イ)(ロ)(ハ)(ニ)はすべて同列でございまして、(イ)(ロ)(ハ)(ニ) のいずれかをやるということでございます。 ○横溝分科会長  山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員  確かに選択肢が増えることは、かなり経営者にとってはわかりやすいかもしれません。 ただこの書き方をしますと、(ニ)の方がかなり際だった感じになりますよね。この程度 でいいのかということになりますので、かなり肝心の募集に関する情報なり、機会を与 えるという前の方がかなりぼやけてしまうのではないかという気がします。そんな感じ がするのです。肝心の所がぼやけてしまって、こちらが際だってしまう感じがします。 ○横溝分科会長  はい、どうぞ。 ○佐藤委員  少し、いいですか。少しわからないのですけれども、この(ニ)のところの「(イ)から(ハ) まで掲げるほか」というのはないような作り方。つまりここでは転換のための制度を設 けることその他、通常労働者へという趣旨ですよね。だから並列であるのに、なぜ(イ) から(ハ)までと書かなくてはいけないのかがよくわからないのです。 ○奥山委員  同列であれば「(イ)から(ハ)まで掲げるもののほか」にはならないのではないか。 ○佐藤委員  これはいらないのではないかと。 ○奥山委員  読み方として。 ○佐藤委員  いえ、こういう書き方が普通の法律文書なのかどうかわかりませんけれども。 ○横溝分科会長  レベルアップというあれから出てきた。 ○高崎短時間・在宅労働課長  そうです。「(イ)から(ハ)までに掲げるもののほか」は別に意味がある言葉として入っ ているわけではないのは、その通りだと思います。考え方は先ほどからご説明している 通りでございます。 ○樋口委員  少しよろしいですか。 ○横溝分科会長  はいどうぞ。 ○樋口委員  教育訓練についても既にほかで出ているではないかというような指摘だと思いますが、 四つページの(四)の教育訓練は、あくまでも教育訓練にかかわる均衡の確保なのです。 今出てきているのは少しそれとは違う項目でありますから、もし別に立てるのであれば、 別の項目をきちんと立てないといけないということだと思います。ただ先ほどの5ペー ジの(六)の「通常の労働者への転換の推進」ですが、そこのかっこの付かない最初のイ のところで、「次のいずれかの措置」、「次のいずれか」ということで、これはどう読んで も(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)まで含んだいずれかと、並列になっているのだろうとは思い ますので、それでいくのかどうかは逆に議論してもらった方がいいだろうと思います。 ○奥山委員  そう読むのだったら、今山崎委員がおっしゃったように、かなり焦点が(ニ)に引きず られて、そこが包括情報になるような格好で、(イ)(ロ)(ハ)が少し薄れてしまう感じが します。 ○松井委員  私は必ずしも転換のことをやれば簡単だということではないと思っています。もう一 つあるのは、それは企業の判断でやればいいということであって、別の言い方をすると、 転換の教育を与えたのに本人は転換したくないなど、そういうふうになると返って教育 投資が無駄になる可能性もありますので、はっきりと言って、やるべき内容はどのよう なものなのかをもう少し明らかにしてもらう必要があると私はまずそういう意見は持っ ています。それからこれはまた事務方で十分に検討しておいてほしいということと、そ れ以外のところで少し質問をしたいのでよろしくお願いします。  まず、この「差別的取扱い」のところで、今回は「雇用関係が終了するまでの間」と 明らかにしてくださいましたけれども、先ほどのご説明の中で、こういう状況に至った ときから雇用関係が終了するまでという理解でよろしいのかどうかということの確認を したいと思います。なぜなら、一部新聞報道では雇われている期間全部ということに読 めるような記事があって、雇われている期間というのは、入ったときからずっとこれに なっていないといけないと読めそうな報道も一部ありましたので、そうではないと。こ の状態に至った以降ということであると。そういうことの確認をしたいと思います。  それからもう一つ、これは書けないから、そういうふうになっているのかどうかはわ からないのですけれども、4ページの(四)のイの「その他の厚生労働省令で定める場合」 というのは「必要な能力を有している場合」以外も何か書く予定があるのか、何かとり あえず念押しでこういう形で書いているのか。今後こういった形のものはやらなくても いい、何かもともとやる気のなさそうな人はいいなどと書くのか。どんなふうになるの か確認的な質問をさせてもらいたいと思います。それからもう一つ、転換の(ハ)のとこ ろで「一定の資格」と、そして試験制度を設けるというところも例示というお話がござ いましたけれども、この「一定の資格」というのは、いわゆる公的資格というものでは なくて、企業が通常の労働者への転換をするのにふさわしいというような、何らかの要 件を意味していると理解をしていいのか。その点の確認をしたいので、よろしくお願い いたします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  それではお答えいたします。「差別的取扱い禁止」の部分の「終了するまでの間」とい う部分の考え方ですけれども、これはまさに松井委員がおっしゃった通りの理解であり まして、当然最初は仕事が違うパートタイム労働者であって、必ずそうだとは限りませ んけれども、当然どこかの段階で職務が同じになり、あるいは人材活用の仕組みも運用 も同じになり、あるいは契約も切り替わるなどのことで、要件がそろってくるというこ とで、そろった時点で3要件がそろうわけですから、「差別的取扱い禁止」という規定に なりますけれども、その時点で過去にさかのぼってということは理屈上あり得ないわけ でございまして、その時点以降は「差別的取扱い禁止」の対象に当然なるわけでありま して、要するにそれ以降で職業生活を通じてと、こういう考え方で、過去にさかのぼっ てまで比較はしません。これは当たり前の話でして、それをまさにそういう趣旨で書い ているという部分でございます。  二つ目の「教育訓練に係る均衡」についての厚生労働省令の部分でございますが、建 議においては確かに、能力を有する者と明示的に書いていますけれども、現時点でそれ 以外のものは考えておりませんが、そうは言っても、もしかしたら今後の議論なり、審 議会での議論の中で何か出てくるかもしれませんし、そのときにその都度法改正をしな いとそういう措置ができないとなるのは効率的とは言えませんし、そういう意味で建議 においても、そういうような様子見、一律でベタにもう一回やり直す必要がないものと して、あらゆるものが規定できるような形にしているという規定の整理で、これは一般 的に法律的に手当する場合のスタイルとしてあると思います。ただ、確認しておきます が、建議においては既に能力を有しているものということのみが、合意として伝えてお りますので、現時点で私どもとして、ここの厚生労働省令で定めるものとしては、既に 当該職務に必要な能力を有している場合というものを規定することを考えているという ことでございます。  もう一つ、一定の資格ですけれども、これもまた委員のご理解の通りでありまして、 もちろん国家資格等を要求しても構わない場合もあるとは思いますけれども、これはよ うするに何らか転換制度における要件の設定することが通常であると思いますので、そ れで書いてあるものでございまして、もちろん例えば一定の資格という中には、勤続何 年以上など、そういうことであっても、当然この一定の資格の中で読めるというそうい うワーディングとして規定しているという考え方でございます。 ○横溝分科会長  前田委員、どうぞ。 ○前田委員  別の項目でございますけれども、8ページの「(四)調停」の一番最後から2番目の行 ですけれども、その前から「関係当事者又は関係当事者と同一の事業所に雇用される労 働者その他の参考人」となっておりますけれども、建議のときにはいろいろな議論があ って、当該事業所の労働者を参考人にしてというふうにしたと思いますが、ここで「そ の他の参考人」と入った意図、これを伺いたいと思いますので、「同一の事業所に雇用さ れる」というのがどこまでかかるのか。労働者までかかるのか、その他の参考人すべて までかかるのか。このあたりをご説明いただきたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えいたします。同一の事業所というのは、参考人にまでかかるという理解でして、 「その他の参考人」と入れましたのは、実は労働者ということでいえば、雇われている 人だけになりますが、例えば上司などそのような人が、呼んで当然より調停に資する場 合もあると思いますし、労働者側の人だけを参考人に呼ぶということもいかがなものか ということもあります。そういう意味で参考人と呼べる人は、労働者という身分を有し ている人以外も当該事業所の中で呼べる人はいるのではないかという整理で入れたもの です。 ○前田委員  全部、参考人までかかるということですね。 ○高崎短時間・在宅労働課長  そうです。 ○横溝分科会長  鴨委員、どうぞ。 ○鴨委員  3ページの「イ 差別的取り扱いをしてはならない」というところの内容についてで すが、私はこの文章全体を読んだ時に、いわゆる建議よりもさらに狭く限定する文言が 入れられているのではないかということを一つ感じました。建議に入っていないという ことでいうと、いわゆる責任の程度ということが、ここに初めて出てきていませんかと いうことなのです。それから「当該事業所における慣行その他の事情」というのも、こ の言葉はここのところだけではなくて、他の部分においても(三)ロの中身を見ても出て きているのですが、この言葉も今までの建議の中での議論とは違った言葉として入れら れているのではないかということ、なぜ建議で入っていなかった言葉がここに入ってき ているのかということを説明していただきたい。  それから建議の中においては、運用等及び雇用契約期間等の就業の実態が同じである パートタイム労働者となっています。今回の法案要綱の中では、そこのところが期間の 定めのない労働契約を締結しているとなっていて、その期間の定めのないという内容と して「ロ」があると説明がされていると思いますけれども、建議の就業の実態も同じで あるということよりも、今回の法案の中での期間の定めのないという言葉をここに持っ てきていると、このこと自体がすごく「期間の定めのない」ということが強い言葉とし て持ってこられていると読んでいて思うのですけれども、そこはいかがですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えします。私ども厚生労働省としては建議と何ら変わってはいないという理解で あります。説明させていただきますが、まず職務の中に責任というものが入ることにつ いては、この審議会の場で私ども繰り返し説明していたかと思いますし、現行のパート タイム労働法の解釈、指針の解釈等においてもそういうような考え方が示されており、 世の中にも出されているということであります。ですので、責任の程度というものが職 務の中の範囲として入っているということについては、私どもとしてはご理解いただけ ていたものと理解をしているところです。  あと二つ目の慣行その他の事情という部分ですが、この部分は確かに建議でそういう コメントはなかったかもしれませんが、ご理解いただきたいのは職務の変更が見込まれ るという場合に、何をもって見込まれるかどうかを判断するのかというものを規定しな いと、その規定の意味がなさないわけで、何をもって見込めるか、これは人が見込まれ ていると主張すればそれで見込まれたことになるのかといったら、そういうことではな いわけです。客観的に何らかのものをもって見込まれるということについて、あくまで も将来の予想ですから、そういうものを規定するということが、当然法制的には必要に なります。ましてや差別取り扱いの禁止という規定、強い効果を持つ規定でありますか ら、中身が当事者の主張等によって揺れ動いたりするものではいけないということです。 その場合に、では人材活用の仕組み・運用なりそういう変更が何によって見込まれるか といえば、確かにイオンなど一部流通大手の非常に先進的な企業においては、人事規程、 人事異動規程などというものをきちんと設けて、規定しているということがありますが、 それは多分我が国の現在のパートの雇用管理において非常に極めて先進的な状況でござ いまして、普通はそういう規程がなくて、いわゆる現実の企業における実態なり慣行な り過去のそういうやり方等から、それを当てはめていくということになると法制的には 整理をしたところです。そういう意味で最もありうるであろう慣行というものをまず例 示に出し、ただ慣行だけでやる必要は当然ないわけで、イオンのように人事規程等を設 けても構わないわけですので、そういうようなものでもいいという意味で、慣行その他 の事情ということで、慣行というものを例示を出した上でやる。いずれにしても何かそ ういうもので見込むかどうかを判断するのですよということを法律上書いてあるという ことで、別に建議から考え方を変えているということは全くないです。  「雇用契約期間等の就業の実態」という文言ですが、これも私ども報告の案を公益委 員の先生方にご議論いただいてお示しする段にも説明してあったと思いますが、その中 味は契約期間のことです。その場合には無期のことです。ただし有期であっても繰り返 し更新して無期になる場合にはそこに当てはまりますということは、これもまた繰り返 しこの場でご説明してきたかと思いますし、それをまさに説明通りに法律上明記してい るということでして、私どもとしたら過去の議論のものを忠実に反映した形で規定を置 いていると理解をしているところです。 ○龍井委員  今の最後の論点ですが、二つ質問です。一つはイとロの書き分けの読み方なのですが、 グルーピングで理解していただくのでいうと、前回説明があったときに要するに雇用期 間の定めのない労働者というグループが当然あって、それで反復更新した以上みなされ る労働者のグルーピングがあって、それが両方含みますという理解だったのです。  今回の書きぶりはイとロに分けられて、法的効果はそんなに変わりがないと思ってい るのですが、ロの書きぶりとして、雇用期間の定めのない労働者に、定めがあるのだけ れども反復されるものを含むと。取り扱いとしてみなすということがもちろんあるので すが、概念の違うものをあえて含むということが妥当かどうかという話と、それから両 方とも並列であるならば何かそういう書きぶりも工夫できるのではないか。これは法律 の文章上の専門家ではないのでわかりませんが、そういう書きぶりは可能なのではない かと思うので、少しその辺は事務当局の方に他意があるとは全然思っていませんけれど も、そういう素直な当初の理解のように読み取れるものに何か工夫ができないかという のが1点目。  2点目は書きぶりが人材活用の仕組みがこういう形で書き改められましたので、ちょ っと確認をさせていただきたいのは、職務同一ということは例を出しますと、ABCとい う三つの職務がある。それで正社員通常の労働者もABCに当然配置をされていて、パー トタイマーの方もABCそれぞれの職務に配置がされている。それでそこのAの通常労働 者とA職務の短時間労働者、パート労働者がその限りでは職務が同一ですけども、それ だけではだめで、例えば職務の変更というのが一つのキーワードになっているので、頻 度はともかくとして、ある正社員はABという範囲で異動し、ある正社員はABC全体をカ バーする異動します。この考え方でいくと、一定期間を通じてですから、短時間労働者 の方をABと異動することが見込まれる労働者がいる場合には、それは正社員のAB異動 タイプ通常労働者と差別的取り扱い禁止になる。同じようにABCタイプ正社員とABC異 動が見込まれる短時間労働者がいれば、その人はそちらのタイプの通常労働者との差別 が禁止される。均等法の雇用管理区分のようになるのですが、そういう理解でいいのか ということです。 ○高崎短時間・在宅労働課長  今、龍井委員の方から申し上げたことだけで、すぐに中身がわかるということではな いのですが、ただ今私が一般的に聞いた限りにおいては多分そういうことなのではない かと思います。要するに職務が同じ短時間労働者については、その職務が同じ通常労働 者との間で差別的取り扱いをしてはいけないという規定になっていますから。 ○龍井委員  ただ、今の時点でAにいてAという職務を担っている通常労働者と短時間労働者だけ では見ませんよということですね。この人材活用の仕組みですが。 ○高崎短時間・在宅労働課長  言葉が足りませんでした。要するにそういう方には「態様及び頻度」という部分でそ の範囲を決めているというそういう話です。 ○龍井委員  前段の方。 ○高崎短時間・在宅労働課長  みなすというのと含むというのと多分それほど大きな話ではなくて、単なるテクニカ ルな整理だと思いますけれども、二つ書き分けているのは、ぜひご理解いただきたいの は、期間の定めのある契約はどんなに更新しても反復しても、期間の定めのない契約に は絶対ならない。期間の定めがある契約という性質は失わないです。ただ同視できるよ うな状況になるということはあるのですが、期間の定めのある契約がどこかで転換する という行為が伴わない限りは、それはそういうものとしてあり続けるわけで、解釈とし てやるなどそういうことはできないです。法律上はっきりと規定してしなければ範囲と して確定しません。まさにそういう意味でもテクニカルなものだと理解して欲しいと思 います。 ○龍井委員  意味がわかりません。 ○高崎短時間・在宅労働課長  ですから、何度も言いますが、建議にあります通り、期間の定めがない契約で期間の 定めがある契約の反復更新をして、そういう状態になっているものも含みますというこ とで、建議としてご議論をしていただいたものでありますので、それをそういうふうに 書いています。 ○龍井委員  労働者のグループとして含むなら、ある程度理解できるのだけれども、今前段でおっ しゃったとおり契約と契約を比べてそれを含むというそういう手法にはなるのですか。 取り扱いとしてそうなるというのは理解できるのですが。 ○奥山委員  法律の言葉として、ここで期間の定めのある契約が反復更新された場合に、理屈の上 では期間の定めのある契約と期間の定めのない契約と二通りがありますから、幾ら有期 が慣行化されても無期になるわけではない。だからそういう点では法律の文言上はみな すということは使いにくい。使えない。だからその言葉の代わりに同じような扱いをす るということで含むという言葉を使っています。 ○横溝分科会長  包含するという意味ですよね。入れてしまうという。 ○奥山委員  そういう場合にも当てはめますが。 ○佐藤委員  みなすとはいえない。 ○奥山委員  みなすと多分言えない。 ○佐藤委員  取り扱うと考える。 ○奥山委員  そういう意味です。法律上、みなすというと非常に違いますので多分みなすとは書け ない。 ○稲垣委員  今のところなのですけれども、一緒にはできないということであれば、有期で期間の 定めのある契約を反復更新して、実態として建議で出たように職業生活を通じた人材活 用の仕組みと、それから雇用契約期間等の就業の実態が同じであるという場合には、差 別的取り扱いをしてはいけないということがはっきりわかるような書き方をしたほうが いいのではないかと思います。 ○佐藤委員  それは取り出した方がよくわかるような気がします。有期でも事実上無期等に含まれ るものがあるとはっきり書いたほうが明確だと思います。こう書いた方がはっきりする。 ○横溝分科会長  はい。松井委員どうぞ。 ○松井委員  この今の論点になっているところのまず判断というのは、一応、一義的には企業がし ていいということでよろしいのでしょうかという確認と、それで問題が起きたときには どこで決着をつけるのでしょうかという質問です。 ○横溝分科会長  どうぞ。 ○高崎短時間・在宅労働課長  その判断については企業の判断というわけには参りません。あくまでそれは第三者的 に判断するということになります。ただこれはまさに判例などでもよくあるワーディン グですが、どういう場合になるかは反復のやり方・手続きの仕方・その精密度、そうい うことによって全く違うわけで、行政として例えば何回などと法律上規定すれば別です けれども、そうではない限り、線引きできるものではない。総合的にその辺りの状況を 判断することになります。そういうような考え方については行政としてもこういう法律 を施行する以上は行政の解釈として示していくということになります。かつそれに基づ いて行政としても行政指導なりしていくという場面はあろうかと思いますけれども、最 終的にそれを決めるのは民事の契約の判断でありますので、裁判所ということになりま す。ただ、そういうことで最後裁判まで行かなければ決着つかないということではあま りにもということで、今回、パートタイム労働法の中においても都道府県労働局長によ る助言・指導・勧告や、紛争調整委員会による調停といった行政型のADRを整備させて いただいているところでして、そういう手続きの中で解決が図られるということが望ま しいことだと思いますが、松井委員が確認的にご質問されたのは多分最終的にというこ とを強調されるのであれば、最後は裁判でということになります。 ○奥山委員  誰が判断するかの点ですが私も一般的にはそう思っているのですが、その場合の判断 基準として裁判所にこういう問題があがったときの基準ですが、今、事案は違いますけ れども反復更新後の雇い止めの問題で事例は多いのですが、そのときに最近の裁判所は 当然反復更新、契約の期間の長さ、更新の回数、労働者の地位、仕事をしている人の地 位・権限、最近かなり重要視されているのが締結の時の当事者のいわば言動です。つま り更新を非常に期待させるような言動があったかどうか。労働者の期待的な権利や利益 というものを重視しているのですが、ここでもそういう考え方でこれが問題になったと きは、この規定の解釈上、判例、裁判所でやるときはそういうものが基準になるとお考 えになっていらっしゃる。それとも雇い止めの場合の問題とは少し違う観点で判断基準 が出てくるだろうとお考えになりますか。これは今の法律ではわからないのですが、何 かお考えになっているところはあるのですか。同じように今の雇い止めと同じように判 断するのですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  もちろん場面が違えば、全く同じものをもってくるということにはならないと当然思 いますが、ただ判例においてある有期の契約が反復更新されることによって、社会通念 上それが無期とみなせるかどうかというような判断の要素といえるようなものであれば、 この条文上の構造に沿いますので、そういう中で当然参考にしていくべきものは参考に していくということになろうかと思います。 ○松井委員  反対に私は奥山委員に教えてもらいたいのですが、こういうもののときに雇い止めと いうことになるものと条件を同じにしているのか。条件を同じにしてくださいというの が、ここでいってみれば処遇を同じにしてくださいというものと、どちらが通常重いも のと見られるものなのでしょうか。その辺を教えていただければありがたいのですが。 ○奥山委員  私もそこはわからないので、雇い止めの場合にはいわばその契約自身がなくなるわけ ですから、有期として前提は期間の満了で一瞬ではなく切れるわけですから、それが更 新されることによって継続の期待が出てくる。つまり期間の法的な意味が実際上なくな るから雇い止めを続けていきましょう。そういうときには正当な理由がないと解雇法理 を適用しますよというのがそうなのです。それは契約がなくなってしまうことから、い わば労働者の権利・利益をある程度守ろうという趣旨なのです。ここはそうではない。 契約が存在する中で均等な扱いをしようということですから、実際に裁判所の土俵に上 がったときには基準が違うのではないかなという気はしているのです。ただどちらが重 いかというと恐らく雇い止めのほうがより要件はそういうふうにシビアに出てくるかな と思っています。ただ厳密に今の時点ではどう違うかは考えてはいないです。 そういうことでちょっと今の違いを先ほど課長にお聞きしたのです。 ○稲垣委員  今のところで例えば育児介護休業法のときに有期契約者の適用という問題で、通常の 期間の定めのない労働者と同じようなものとみなして育児休業が適用できるという定め が指針で確か書かれていたと思うのですけれども、それぐらいのものを示すということ は、そこはかなりくわしく判例のところを留意することなどと書いてあるかと思うので すが、何かそういう具体的な判断基準がないと、実際に職場でこういう場合はこういう ふうにしましょうというときの話ができないのです。少しその辺を教えていただけたら と思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  今回ご諮問を申し上げています法律が仮に法律になった場合には、当然、施行を我々 行政として担当するということになります。ですから、最終的な解釈等は裁判所でご判 断いただく部分が当然ありますが、その前提として行政として行政の責任において明ら かにすべきものがあれば明らかにしていくということは当然の責務ですので、その部分 この規定の考え方についても当然その対象になろうかと思いますが、そういう場面で行 政として明らかにすべきものについて明らかにしていくという考え方でいることは当然 です。 ○横溝分科会長  他にございますか。鴨委員。 ○鴨委員  今の行政の責任として明らかにするということとつながっていると思うのですが、4 ページのロのところですが、当該事業所に雇用される期間について一定の期間において という「一定の期間」という言葉が、ここに入ってきているわけですね。それで、この 一定の期間というのは建議の段階では入っていなかったと私は受けとめているのですけ れども、これを改めて入れた理由と、それから一定の期間と表わすものが、どういう期 間なのかということについて、ご説明を願えますか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  この一定の期間というものにつきましては、建議のときと考え方を変えているという 理解ではございません。差別的取り扱い禁止の方が職業生活を通じてということで、非 常に長いスパンで見るのに対してこちらはそれより短いですというご説明を何度かこの 審議会の場でしてきたと思います。逆にあまりにも短い、例えば瞬間的にあったからと いってその瞬間に賃金の決定方法を同一にするように務めなければならなくなるという のも変な話で、ここの部分というのはお皿の絵で言えば、要するに3枚目の部分にのる かどうかという部分で、当然企業の側でそのパートについてある程度の期間をとらまえ て基幹化して正社員と同じような人事異動の幅・頻度、人材活用の仕組み・運用で活用 しましょうと決める、あるいはそういう制度を導入していただく期間というようなこと になりますので、そういう意味で何らかの期間ということになります。ですので、先ほ どの職業生活を通じてという長いものでもないし、かつ瞬間的なものでもないというこ とを明確にし、かつ審議会の場でも短い期間ですということを申し上げているものを当 然曲げていかないように法律上明らかにするという意味で、一定の期間というものを入 れているということで、要するに明確化しているというものです。具体的に何年かとい うことについて企業の経営のスタイルなり、先ほどいった人事異動のスパンの設定の仕 方なりによってさまざまですので、一定の線で引くわけにいかないので、そこは一定の 期間ということで企業の実態に応じたものになる必要がありますよということで、こう いう文言で整理をしていくということです。繰り返しになり恐縮ですが、そういう意味 でこの期間というものが設定されていますよということについては当然きちんとその法 律上の考え方として、私どもとして説明していかなければいけないと思いますし、当然 行政としての解釈も示していくということが必要になると考えています。 ○鴨委員  そうすると今のご説明だと、一定の期間の考え方というのが基本的には企業によって 違うという解釈なのですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  そうです。 ○鴨委員  その一定の期間という考え方について、例えばこれから指針の中で行政的な解釈とし ては、一定程度こういう期間であるというものは示すことはしないということですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  現在はそういう建議に基づいて法律ということで本日はご諮問申し上げているわけで、 その規定の部分について当然、今申し上げたような意味で設定されているということで 説明をしたわけです。建議を昨年末いただいて今この時点でご諮問しているということ です。当然行政としてそれについて混乱なり紛れがないようにしていくという責任を負 っていますので、それについては当然そのようにしていきたいと思っていますが、ただ 今当然企業に実態ももう少し調べてみたり、統計的なデータも精査してみたりという必 要があると思いますので、そういうことを今後検討していくということになると思いま すが、少なくとも一義的に決めるというようなことは本来あり得ないし、では何も全く ないでいいかどうか、そこは経営の状況等を見てそこは私どもの方で検討させていただ くということなのですが、考え方は先ほど言ったとおり、3枚目の(三)にのるような企 業の雇用管理を入れていただいているような期間のことを考えておりまして、それに見 合うようなものを考えていくということになりますが、繰り返しになりますがそれは企 業ごと業種ごとによっても当然違うはずであろうと思っています。 ○稲垣委員  今のところの関連からいくと、お答えを聞いていてまだ抽象的かなというか具体的に どれくらいということを示していただかないと難しいという気持ちがします。  あと関連なのですが、三の(二)イのところ、先ほど鴨委員からも質問がありましたが、 「当該事業所における慣行その他の事情からみて」という文言が入っているのですけれ ども、ここの部分で差別的取り扱いをしてはいけないということを規定しているにも関 わらず、「慣行その他の事情からみて」というのが入っているのがどうなのか。どうやっ て実際判断するのかというところがかなりあいまいで、やりようによっては、非常にハ ードルは高くなるというところがあると思うのですが、その辺は先ほどの説明では、ま だよくわからなかったのでもう1回お願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  説明が足りなかったのは恐縮ですが、要するに要件の中で、職務の中身や、あるいは 契約期間というのはある程度明確にわかります。ところが職業生活を通じた人材活用、 ここでは職務変更の態様及び頻度と言っていますが、見込むという話で当然先の話を見 込むという話になりますから、当然基本的には明確にスパッと切れるという筋合いのも のではもともとないということをぜひご理解いただきたいと思います。判例と現行法規 においても非常にいろいろなポイントで分析することによって、そこを規定していく。 これは物事の性格上そうならざるを得ない。先ほど言いましたようにイオンのように規 程があればそれを見ればわかるかもしれませんが、その規程を必ず置かなければ人事異 動をさせてはいけないということではないし、現実、日本の企業においてそれらにすべ からく規定しているという状況がないわけですから、そういう前提で当然この差別的取 り扱い規定ということを置こうとすれば、それに代わるような魅力もあるというものを 法律上書いておかないと、それこそ書いたら書いたで不明確という批判を受けますが、 ないならないで、ないというのが1番不明確なわけで、では何で決めるのだということ になると思うのです。確かに今のこの表現が不明確だと言われれば、確かにそういう部 分があるかもわかりませんが、今言った日本における人事管理、企業の雇用管理の実態 を考えれば、この慣行その他の事情ということが、一番現実感があるというか、逆に規 程と書けば規程を設けなければいいのという話になってしまうわけでして、要するに規 程を設けた場合だけが差別的取り扱いが禁止になるのでというと誰も設ける人はいなく なるということで、そこは実態等も見て判断するのですよということを書かせていただ いているということで、私どもは理解しています。 ○鴨委員  私も今のご説明でもまだよくわからないのです。申し訳ないです。この差別禁止の取 り扱いをしてはいけないということで、建議の中でも業務の内容、人材活用のしくみ、 運用といったことについての議論はしてきたと思います。そういった一つ一つのいわゆ る差別的取り扱いをしてはいけないということに、対象とするパート労働者は、こうい う労働者であることを議論してきたのであろうと思います。ところが「当該事業所にお ける慣行その他の事情からみて」という言葉が入ってきたときに、ここはある意味では 個別企業の慣行や事情がまた突然ここに入ってきているように、どうしてもこの文章の 流れだと、受けとめられるわけです。そこについて、先ほどからどう考えたらいいのか と言っています。 ○横溝分科会長  松井委員どうぞ。 ○松井委員  個別企業のものが入ってきていいのかという疑問であるならば、そういうことではな いと最終的に判断はできないと、私どもは思っています。個別企業の事情でいけないと 言うならば、鴨委員としては、では何をもってこうなっているということをおっしゃり たいのか、もう少しはっきりおっしゃっていただかないと何がわからないのかが、私ど もはよくわからないと思います。以上です。 ○横溝分科会長  答えますか。コメントしますか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  確認ですが、「慣行その他の事情からみて」がかかる先は「同様の・・・変更が見込まれ るかどうか」にであって、差別かどうかを事情によって判断するということではなく、 その前提である要件の当てはめの一つの事例である見込みの判断に、当該事業所におけ る慣行その他の事情を入れますよということです。そこはぜひご理解をいただきたい。   ○奥山委員  先ほどからそういう説明をされていました。 ○佐藤委員  人材活用の仕組みをどう判断するか。通常のパートと同じかどうか判断するときに、 慣行等をみるという、そこにかかっています。  先ほどから一定期間はこれから詰めていくのだと思いますが、例えば役所の課長です と、2年もかからないで異動します。民間は3年や5年です。2年でみるというと民間は 当てはまりませんから、一律には難しい。ただ10年がいいかというと、これは少しおか しいのではないかという議論があるという主旨だと思います。そういうことがあるので、 そのところを含めて、これから検討するということです。 ○横溝分科会長  他にございませんでしょうか。まだありますか。はい。 ○龍井委員  先ほど転換の推進から話題が別に移ったのですが、これはどういう扱いの可能性があ るのでしょうか。先ほど使用者側の委員からも指摘がありましたように、6ページの(ニ) がそういう位置付けだとすると、選択肢の一つとして、(ニ)だけでいいという理解は、 我々の労働側の意見として言いたいのではなくて、建議の段階の確認とは少し違う点の 認識を持っています。幾ら「等」があったとしても、そのようには受け止めていなかっ たので、検討していただきたいと思っています。 ○高崎短時間・在宅労働課長  検討というよりも、ここで決めていただければと思います。私どもは決してその三つ だけが、転換制度の中身ですという説明はして来なかったと思います。いつも例示だと 私は申し上げていたかと思います。そういう意味で、それに同等程度で当たるものであ れば、当然それを企業にやっていただいた方がいいわけです。そういう考え方で入れま した。かつ、募集情報を周知しようが、応募機会を付与しようが、当該パートに能力が なければ、企業は絶対転換はさせません。したがってその能力を付与することをしてい ただいた方が、より企業としては、持ち出しにもなるし、お金もかかるし、投資するこ となので、松井委員からそんなことは企業はやらないというご指摘もありましたが、や らない企業はやらなくていいという話であります。ただ、そうやってくれる企業があれ ば、それだってこの仕組みを果たしたことにしていいのではないかという判断をして例 示しました。お約束が違えたということではなくて、四つ目として一応明記をしてもい いのではないかということで入れましたが、要するに三つ目の転換制度の導入を例示に した上での、バスケットクローズみたいなものを置くという構成でも法律的な可能です ので、それは労使双方の皆さんで、この例示がない方がいいと言うのであれば、そう決 めていただければ消すことは法制的に可能です。 ○松井委員  誤解がないように申し上げますと、私は要らないと言ったのではなくて、これに当た るものが何かきちんとしていただきたいと申し上げただけです。私の普段の発言からそ こまでの結論に至ったと思いますが、企業によってはコスト負担になりうるとは思いま すが、それはこの教育訓練を与えたのに、実は転換してくれなかったりすると困るとい うことを申し上げたにすぎません。転換について、繰り返しになりますが、教育訓練で の与え方として、日ごろ「転換させるのだ」と言いつつやるケースと、結果的に転換で きるようなものになった教育訓練と、その差を本当はどのように見たらいいのでしょう かと。マクロ的な考え方でいくならば、私どもとしてはいずれも認めていただけるとあ りがたいと。そういうことだけは申し上げておきます。 ○佐藤委員  多分建議の段階では「等」のところはあったと思います。三つだけではないという議 論をしました。ですからこれは並列だと思います。(ニ)を入れるにしても並列だと思い ます。そのときに(ニ)を入れることが、多分(イ)(ロ)(ハ)と同じレベルの(ニ)があるか ということだと思います。(ニ)は確かに教育訓練では難しいです。転換制度のためにや っているかどうかは外形的に判断しにくいと思います。もちろん(ニ)も入りますが、例 示として挙げることが望ましいか、それとも入れた方が望ましいか望ましくないかの判 断だと思います。三つだけではなくて、それ以上四つ、五つ、六つあることは合意でき たと思います。ただ、何を「その他等」に挙げるかを議論はしていないので、というこ とだと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  若干補足いたします。松井委員が指摘しているようなことについては、同じような説 明ばかりで恐縮ですが、カリキュラムまで示すわけにはいきませんが、当然行政として も考え方は示していくことだと思います。結果的にそうなったというのは、少なくとも ここで想定している訓練ではない。その訓練をやることは転換させるための訓練ですよ と、それまで制度的に担保されていないと、それは転換に向けた教育訓練ではないわけ で、それであれば、何でも訓練をやって、結果的に転換することもあるよということに なってしまうと、それこそ何もしなくていいという話になりかねません。明確にそこだ けは確認をしたいと思います。 ○樋口委員  今、佐藤委員がおっしゃったことの繰り返しになりますが、少なくとも建議の時に「等」 ってことから、ここに法案に出てきた(ニ)は、想像がつかなかったというのが多分実態 だと思います。もし「等」に、こういったものが含まれるという議論が最初からあるの であれば、これを入れるのは当然だと思います。労働側はその(ニ)は、チョイスとして 入れることに対しては反対であるという意見であると確認してよろしいでしょうか。   ○龍井委員  そうです。 ○樋口委員  経営側は。 ○松井委員  少し考えさせていただけるとありがたいのですが。ただ、内容がどうかということと、 もう一つ重要なのは、労働側が反対するのは、私からすると意外であることだけは意見 として述べたいと思います。本来、いろいろな仕組みで転換ができるというのが、労働 側の立場であったら、必要だとおっしゃっていただけたと思います。いろいろな意見も ありますので、建議と違うということで、私どもとしましては、組織に持ち帰った上で、 検討はしたいと思います。他の方のご意見もまた別途、承ればと思います。 ○今田委員  労働側はおそらく、「訓練」という項目が入ると、転換と関係のない、高崎短時間・在 宅労働課長がおっしゃったような何かそういう訓練をしていれば、転換制度があるのだ という、抜け道に使われる可能性があるので、(ニ)などを入れたら、一、二、三がぼや けてしまってという心配だと思います。経営側は、限定をされたのでは、せっかくやっ たのにこれは制度として評価されないというので、コストパフォーマンスからいえば、 まずいということでしょうか。今はその部分でそれをどう事務局として処理するかとい うことに、かかっていると思います。 ○奥山委員  乱暴な意見かもしれませんが、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)が法律の文言上、最初の法律本体の ところで、「いずれかの措置」とありますので、同列と解釈できると思います。ただ、今 皆さんで議論しているのは、意味の中に「教育訓練」と出てきているので、少しそれに ついて限定的になって、(イ)(ロ)(ハ)がぼやけてしまうとか、あるいはここでは、通常 の均衡のところの福利厚生と違うような意味も出てくるので、少し問題だということも あります。けれども(ニ)はあくまでも、その他通常の労働者への転換を推進するための 一つの例として挙がっています。ですから、極端なことを言うと、「(イ)から(ハ)に掲げ るものの他、通常の労働者」というここの例示は、法律本体から外してもいいのではな いですか。その方がすっきりし、(イ)(ロ)(ハ)もそれほど意義は少なくなるのではない でしょうか。これがあるが故にぼやけてしまうことがある。 ○高崎短時間・在宅労働課長  法制的には可能なので、あくまで限定列記ではないことについては合意をいただけて いるようなので、そこはどちらでもと言ったら無責任ですが、あることによって、逆に 紛れがあると言われるならば、あるいは建議との関係において、若干逸脱しているので はないかということであれば、諮問した要綱は諮問した要綱ですので、これ自体変える ことはできませんが、そういった意見があったことを踏まえて、我々は法案の作成作業 に入ればいいということです。ですからそこは決めさえしていただければという話です。 ○龍井委員  念のため、建議を見ていただきたいのですが、少し理解がずれていたと思うのは、今 は「等」が強調されていますが、私どもは、これは限定ではない。当面ここでは三つ挙 げられていて、四つになるかもしれないというのは「等」に入っています。ただそれは、 「その他」と入るとは想定していませんでした。次のうちのどれかをやりなさいという のが、建議段階では三つでした。そのとき四つになる可能性も考えられたので、ありえ ますと。しかし、「その他」が入って措置義務というのは、法律のしくみとしてよくわか りません。ですから、いくつかの例示であるけれども、それは三つか四つか、その中の 一つですよと。そういう理解で私どもはいたので、「等」がそこまで浮上してくるとは思 っていませんでした。 ○松井委員  では、これを入れた行政の思いをもう一度おっしゃっていただきたいということと、 あくまでも例示であるならば、別に教育訓練を受ける機会を確保することでなくても、 転換を推進するための何かの措置があればいいという条項を残すようにするのかどうか を、まず確認したいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  三つは例示であると繰り返し申し上げてきたかと思います。例示というのはあくまで 文言通りであって、それならば何でもいいということでもありませんし、当然他にある かと言われれば、その後教育訓練が思いつきましたということで、今回は書いてあると いうことではあります。ですから、三つ以外のものは何ら転換のものに入らないのだと いうところまで、ディジットに考えてきたと、私どもは少なくとも審議会の場は理解し ておりませんし、おそらくそれは公益委員なり、使用者側委員の方は、そういう理解で あるのかと思います。ですから、教育訓練のものを落とすことはどちらでもいいですが、 いずれにしてもそういった同列の転換に必要な措置は、重要視して講じていただきたい ので、そういう考え方でやりたいと考えています。 ○奥山委員  基本的にはそれでいいと、個人的には思っています。例えば、これは措置義務ですが、 育介法の中で休業を取らない場合の短時間勤務や、そういう形の措置義務のどれか一つ 取りなさいとなっています。それは具体的に、それぞれの具体的な措置が掲げられてい ます。どれかを取ればいいので、それはやりやすい。この場合だと、(イ)(ロ)(ハ)はあ る程度、いわば周知や機会の付与、転換制度、具体的な措置の内容が挙がっているのに、 この(ニ)の場合にはそれがない。それに準ずるような、類するようなものを何か入れな さいということで、非常に包括的に書いてあります。そういう包括的な書き方は、措置 義務の書き方としていいのかどうかという問題がおそらく一つあると思います。この教 育訓練は、一つの例示として挙がっていますから、こういうことも一つ中に入るのだな とは読めますが、それはその他のための措置の一つの例なので、仮にこれを削っても、 まだここは措置義務としては非常に包括的なのです。それでいいのかどうかということ は一つあります。 ○高崎短時間・在宅労働課長  ここの考え方は転換を進めていただくための措置を書くことですから、「その他」があ るからといって何でもいいとは当然ならないので、それに準じたものとなります。当然、 行政として、例えばどういうものがあるかということを考えることになります。教育訓 練みたいなものについても、こういった転換をあくまで前提とした上での訓練であると 書いた上で、考え方を示していくことになろうかと思います。行政としては、少なくと も転換に向けた措置ということですから、別に何か絞って事業主に義務を課して、それ でやっていないからけしからんというような筋合いのものではない。あくまで正規労働 者とパート労働者の間の壁を越えさせてもらうような措置を、事業主にしてもらいたい ための規定ですから、そこはある程度幅があってもいいし、それが今の時点で明確にな っていないからといって、法律上入れないとしてしまい、では入れるには常に法改正し なくては追加できないことになってしまうと、私どもとしては、それはいかがなものか なと考えております。 ○佐藤委員  ここを三つに限るというのは、実態に合わない。その他の転換の仕組みはあり得る。 ただし、この三つは相当代表していることは間違いない。95%くらいカバーできると思 います。ただ、これだけ言うと、「うちは別のことをやっている」と出てきますので、そ れを省くのは好ましくないだろうと思います。やはり例示で、ただし、これは転換のた めの制度と書いてありますから、私はこれで平気ではないかと思います。 ○樋口委員  質問をさせてください。6ページの(ニ)のところで「(イ)から(ハ)まで掲げるものの ほか」が、わざわざ入っています。もしそういった主旨で並列であれば、この文章はも ともと要らないわけです。これがあるから何でもありという印象を残してくることがあ りますので、そこのところはどうしてこれが入ったのかということについて考えがあり ましたら、教えてください。 ○今田委員  「その他」を強調したいということですか。 ○樋口委員  そうなってくると懸念しているようなことになる。 ○今田委員  いろいろありますよというニュアンスを出したいということでこの文言が入ったので すが、そのためにあらぬ誤解を生んでしまったということです。 ○奥山委員  そういう意味では「その他」から始めてもいいのではないでしょうか。「その他、通常 の労働者への転換を推進する措置」。 ○高崎短時間・在宅労働課長  考え方はそういうことなので、要綱上そのように書いても構いません。ただ、法制的 には幾つか例示を出した上で、最後に「その他」と入れる場合は、前後、各語に書かれ ているものが、必ず入ります。それは法制的なテクニカルな話ですので、それは入れる なと言われても困ります。ただ、考え方はそうですので、考え方を否定しているもので はありません。 ○横溝分科会長  これを入れるのに反対なのは、結局、必要な能力を取得するための教育訓練だと称し て、そういう制度を設けることで、一つを満たしたと逃げられる恐れがあるからです。 それだけ選択肢が広いのだからいいのではないかと思うけれども、一方でそういう危惧 があるということですね。 ○龍井委員  せっかくの主旨が不鮮明になってしまいます。 ○高崎短時間・在宅労働課長  では提案したいと思いますが、そういうことであれば、全体の合意として、あえて例 示として出す必要がないということで、おおよそ認識が一致していると思います。その ように分科会長の方で整理をしていただければ、そうさせていただくという意味は、要 するにこれを入れて具体的に作業をする際に、もう一度諮問し直すというのは変な話に なりますので、整理することは、それでよければそうします。 ○横溝分科会長  使用者側もいいですか。使用者側にとっては選択肢が減りますが、それでいいですか。 いいですね。 ○松井委員  確認として言わせていただくと、別に教育訓練が仮に消えたとしても、「その他」とい う形で、組合側は嫌かもしれませんが、転換を進める真の意味での教育訓練なども含ま れるというようなことは、あってしかるべきである。そして(イ)から(ハ)以外のものも、 今後どのようなものが出てくるのかというのは、実態判断でやるという理解でよろしい でしょうか。そこだけの確認させてください。 ○高崎短時間・在宅労働課長  そういう理解です。 ○樋口委員  「(イ)から(ハ)までに掲げるもののほか」という文章を残すのであれば、「その他」は 要らない。「・・・もののほか、通常の労働者への転換」となるはずです。 ○横溝分科会長  そうです。「ほか」は取ってしまってもいいのではないですか。 ○樋口委員  「その他、その他」になってしまいます。 ○横溝分科会長  「ほか」まで取ってしまって残すか、全部取るかということです。 ○奥山委員  そこは皆さんの基本的な了解があるのですから、それに沿った法案を、法制局と相談 していただくことです。 ○横溝分科会長  では宿題ということで、そうさせていただきます。他にいかがでしょうか。 ○岡本委員  単純な質問ですが、最後の「経過措置」のところで「関係法律の規定の整備」という のは、具体的にはどういったものなのでしょうか。それを聞かせてください。  それとこれは感想的な発言になりますが、今回は目的のところで、最後に「あわせて 経済及び社会の発展に寄与することを目的とする」と、大きな目的が書かれていますが、 先ほどの説明では、前の文の対になるものだということでした。正直に言って、これだ けの目的が書かれて、それぞれの法律の各論が、それだけの寄与ができるものかなと感 じました。法律が施行されるときに、本当にこういった目的に沿った形で、きちんと運 用していってほしいし、していきたいと思います。目的が非常に大きいと思いましたの で、発言しました。 ○高崎短時間・在宅労働課長  質問にお答えします。関係法令としては、均等法の調停の場合にも社会保険労務士が 事務代理をできるという規定が整備されていますが、そういったものを均等調停みあい で、パートの場合についても入れるなど、あるいは全体の構成で条文がズレてきますの で、その条文自体のズレをそろえるなど、そういうまさに形式的なものがあるというこ とです。 ○松井委員  今の質問の中にあったと思いますが、「必要な経過措置」とはどんなものが考えられて いますか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  「必要な経過措置」につきましては、例えば指定法人の部分の業務が変更になるなど、 あるいは従来、あっせんの対象になっていたものが調停に切り替わるというような場合 に、施行をまたぐときにどうするのかといったことについての、一定の形式的な整理を するということです。 ○横溝分科会長  よろしいでしょうか。他にございませんか。  それでは大分、意見もいただきましたので、本日の分科会はこれで終了とさせていた だきます。次回は答申を行う予定で進めますので、ご協力のほど、よろしくお願いしま す。本日の署名委員は岡本委員と松井委員にお願いします。今後のスケジュールについ て事務局よりお願いします。 ○事務局  本日はありがとうございました。次回の日程は改めてご連絡します。 ○横溝分科会長  それでは本日はありがとうございました。これで終了いたします。 ○照会先 厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課(内線7876) 32