資料1
標準的な健診・保健指導プログラム(暫定版)の見直しに係る論点

1.保健指導対象者の選定方法について

(1)ステップ1について
 ○(1)腹囲一定基準以上、(2)腹囲一定基準未満かつBMI25以上、(3)それ以外のうち、(1)、(2)の該当者は、(3)の該当者に比べて、予防効果が多く期待できるため、(1)(2)の該当者を特定保健指導の対象者とすべきではないか。
 ○腹囲は基準以上であるが、高血圧等のリスクがない者については、リスクがある者と比較して、脳・心臓疾患のリスクが低いと考えられるため、動機付け支援ではなく、情報提供としてはどうか。

(2)糖尿病等の生活習慣病について服薬中の者の取扱い
 ○ 血圧降下剤、血糖降下剤等を服薬中の者については、主治医による指導とは別に、特定保健指導を実施する必要があるのか。
 ○ 脳卒中、虚血性心疾患、腎不全等の不可逆性の生活習慣病に罹患している者については、医療機関において厳密な管理が必要があり、特定保健指導を実施する必要はないのではないか。

(3)年齢について
 ○ 若年期に生活習慣の改善を行った方が、予防効果が多く期待できると考えられるため、若年期に、重点的な保健指導を実施する方が効果的ではないか。
 ○ 前期高齢者(65才〜74才)については、QOLの低下に配慮した生活習慣の改善が重要である。
 ○ 前期高齢者では、介護予防の観点からの対策が必要となるため、介護保険法に基づき、地域支援事業が実施されること、各学会のガイドラインでも65歳を管理を行う上での一つの区切りとしていること等の理由から、65歳を特定保健指導を実施する上での区切りとしてはどうか。
 ○ 上記のことから、前期高齢者については、積極的支援の対象者となった場合でも、動機付けにとどめておくなどの対応が考えられるのではないか。
 ○ 血圧降下剤、血糖降下剤等を服薬中の前期高齢者については、生活機能・運動機能の低下に応じて慎重に保健指導が行われる必要があることから、医療保険者等により、特定保健指導を実施するよりも、医療機関において適切な対応がなされることが重要ではないか。

(4)LDLコレステロール、喫煙歴、尿酸の取扱い
 ○ 暫定版で示された階層化基準を用いた場合、メタボリックシンドロームの予備群者であっても、大多数がLDLコレステロール等のうち1項目以上該当するため、積極的支援となる。
 ○ メタボリックシンドロームの診断基準として用いられている項目と、それ以外の項目については、重み付けを適切に行う必要があるため、LDLコレステロール等の取扱いを見直す必要があるのではないか。

(5)質問票の取扱い
 ○ ステップ4(質問票)については、特定保健指導対象者の選定は、血液検査等の客観的な指標に基づき実施し、質問票については、保健指導対象者の中で、優先的に保健指導を実施する者を選定するために用いるべきではないか。

2.保健指導判定値及び受診勧奨判定値について

(1)受診勧奨判定値の取扱い
 ○暫定版における受診勧奨判定値は、糖尿病、高血圧、高脂血症等、各疾病の診断基準を用いているものが多く、検査項目により、判定値を超えた場合の意味合いが異なる。
 ○血圧については、安静時において測定されているか否か、中性脂肪については、空腹時に採血されているか否かにより、大きく値が異なるなど、適切に測定が行われていない場合には、再測定を行うことが重要ではないか。
 ○通常、軽度の異常の場合には、生活習慣改善のための指導が服薬よりも優先して行われる。
 ○上記のことから、血圧、中性脂肪等については、軽度の異常の場合(現行の受診勧奨判定値を若干超えた場合)、医療保険者等は、受診者の健診結果を受診勧奨判定値に機械的に当てはめ、受診勧奨とするのではなく、健診機関等の医師が、特定保健指導を優先するか否かを判断するとともに、特定保健指導を優先しない場合には、年齢等を考慮した上で、医療機関を受診する必要性を判断し、受診者に通知すべきではないか。
 ○ただし、血圧、中性脂肪等について、直ちに医療機関を受診すべき基準があることが望ましいのではないか。

(2)肝機能検査に係る判定値(参考資料2)
 ○肝機能検査に係る保健指導判定値及び受診勧奨判定値については、日本消化器学会より提案された値を用いてはどうか。


3.詳細な健診(精密健診)を実施する要件

 ○心電図検査については、虚血性心疾患、心肥大等を把握することが可能であるため、対象者については、前年の健診結果において、(1)高血圧症、高脂血症、糖尿病、肥満等のリスクが複数有している者としてはどうか。
 ○眼底検査については、高血圧性変化、動脈硬化性変化等を把握することが可能であるため、対象者については、前年の健康診査の結果において、高血圧症、高脂血症、糖尿病、肥満等のリスクが重複している者を既往を有する者としてはどうか。
 ○ 労災保険の2次健康診断等給付では、4つのリスクすべてを有している者を追加検査の対象としている。
 ○ 健康診査の結果から、医療機関を受診する必要がある場合には、詳細な健診についても、医療機関において、必要に応じて実施することとしてもよいのではないか。


4.特定保健指導の最低要件について(資料2)

 ○ 特定保健指導については、個別面接、集団指導、IT(双方向)など、様々な実施方法が考えられる。
 ○ 特定保健指導を実施したと見なす、要件を明確にしておく必要があるのではないか。


5.特定保健指導の実施者について(資料3)

 ○暫定版では、検討課題とされている保健指導実施者として看護師等の取扱いを明確にする必要があるのではないか。

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