06/12/27 第4回医療施設体系のあり方に関する検討会の議事録について          第4回 医療施設体系のあり方に関する検討会 日時 平成18年12月27日(水) 15:00〜 場所 厚生労働省専用第15会議室 ○企画官 定刻になりましたので、第4回「医療施設体系のあり方に関する検討会」を 開催いたします。委員の皆様方におかれましては、年末のご多忙中のところ、当検討会 にご出席いただき、誠にありがとうございます。  本日は、社団法人日本歯科医師会常務理事の太田謙司委員、社団法人日本医師会常任 理事の鈴木満委員のお二人からご欠席との連絡をいただいております。和田委員は若干 遅れていらっしゃるという連絡をいただいております。梁井委員も追っていらっしゃる と思います。  お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、委員名簿をお配りし ております。そのほかの資料は、資料1から3は、本日参考人としてご出席いただいて おります方の資料で、資料1は今岡参考人の提出資料、資料2が宮城参考人の提出資料、 資料3は和田委員から提出されている資料です。  参考資料は3つで、参考資料1が平成19年度予算(案)の概要で、24日に閣議決定さ れた来年度の予算の中の医政局部分の資料。参考資料2、参考資料3については、特定 機能病院、地域医療支援病院について、これまでの検討会に提出した資料の抜粋です。 それでは、以下の進行について、座長のほうによろしくお願い申し上げます。 ○座長 本日は、年末のお忙しい中をお集まりいただきまして、どうもありがとうござ いました。議事に入ります前に参考人についてお諮りいたします。この検討会では、委 員欠席の際には代わりに出席される方に関して、その日ごとの検討会で承認を得て、参 考人として参加し、発言をいただくことを認めることとしております。本日の会議につ いては、先ほど案内がありましたように、日本歯科医師会常務理事太田謙司委員がご欠 席ですので、その代理として日本歯科医師会専務理事内山文博参考人のご出席をお認め いただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。                  (異議なし) ○座長 異議なしということで、ご発言いただいて結構でございます。また本日は、文 部科学省より赤塚義英大学病院支援室長にオブザーバーとして参加いただくことにした いと思います。これもよろしゅうございますか。                  (異議なし) ○座長 ありがとうございます。では、議事に入ります。本日の議題は、前回も議論し ました特定機能病院制度及び地域医療支援制度についてのヒアリングといたします。そ のため、本日は特定機能病院及び地域医療支援病院の現状等について、それぞれ現場の 方々から状況を伺うためにご出席いただいております。参考人として大阪府立成人病セ ンター総長の今岡先生、同じく院長の石川先生にお越しいただいております。また地域 医療支援病院の代表として、特定医療法人仁愛会浦添総合病院理事長宮城先生にお越し いただいております。  第2回の検討会の際に、和田委員よりご発言があった資料について準備が整ったそう ですので、本日資料を提出していただいております。今日のテーマとも関連しますので、 併せてご紹介いただくことにいたします。後ほど見えてから発表いただきます。  発表の順番ですが、今岡参考人、宮城参考人、和田委員の順番でお一人20分程度でよ ろしくお願いいたします。その後質疑応答を含め、委員と自由に意見交換をしたいと存 じます。では、早速ですが、よろしくお願いします。 ○今岡参考人 大阪府立成人病センターの総長を務めております今岡でございます。私 どもは、本年の3月29日に厚生労働大臣より特定機能病院の承認をいただき、4月1日 から実施しております。本日は、私たちの施設の概略を申し上げまして、その後、承認 をいただいてから現時点までにどのように務めてきたかをご報告し、皆さんの議論のご 批判をいただけたらと思っております。                  (OHP開始)  これが大阪府立成人病センターです。大阪府立成人病センターという名称は法人化後 も変わっておりません。法人化して大阪府立病院機構になっても、大阪府立成人病セン ターという名前でいいということで、この名称を使っております。  構成は従来と同じく、研究所と調査部と病院とがあります。その中の病院の構成です が、内科系、外科系、中央部門とあります。当大阪府立成人センターは、がんと循環器 疾患を中心に診療をしております。その関係で診療科も、呼吸器疾患の多くは肺がんで、 血液化学療法はほとんど白血病その他であります。  現在、病床数は500床です。充床率は93%、従来は96〜97%でしたが、特定機能病院に 承認していただいてから、DPCということで当初は試行錯誤の状態で90%を切りまし たが、いまは93%ぐらいです。外来の待ち時間が長いということで基本的に紹介制を採 っており、現在の紹介率は85%ぐらいです。セカンドオピニオンも行い、年間千数百件 あります。医師は149名で、レジデント、その他を含んでいます。薬剤師は承認のときに いろいろご指導いただき、現在は14名プラス5というのは40時間勤務の非常勤の人を 常勤化して計算し、19名です。ナースは400名、管理栄養士が3名、放射線技師が34名、 集中治療室が6、無菌治療室が6となっております。その他病理検査室、病理解剖室等 を有しております。  特定機能病院としての使命ですが、承認いただくまでにいろいろご指導いただきまし た。主として厳しくご指導いただいたのは、安全面でした。特定機能病院の使命として、 厚生労働省は高度医療の開発・評価、その提供、それに対する研修の3つを挙げていま す。私たちは先進的医療の開発・評価とともに、特に安全面をきつくご指導を受けまし た。安全第一ということで高度・先進的医療も安全に提供することに努めています。研 修も高度・先進的医療に関する研修です。  次に長年取り組んでいることですが、1つの病院での完結というのは、現状ではほと んど不可能に近いので、地域医療機関と連携をし、機能分担、役割分担をきちんと果た して完結させることに努めております。1つ加えて4つを念頭に置き実施しております。 したがいまして、特定機能病院の使命としては、病室で高度・先進的な医療を効率的に 提供でき、国民の期待に応え得ることに励んでおります。  1)は、高度・先進的医療の開発・評価ですが、私どもには研究所がありますので、 研究所との間の連携を密にして、開発された医療を、何とか治療に応用できるように持 っていきたいという姿勢でおります。現在うまくいけば臨床応用ができるものとして、 PhaseIに持っていけるものが2つ近くありますが、これも慎重に進めて、まず安全性 をきちんと確認しなければいけないと思っています。  (2)です。昔は(高度)先進医療ということで、厚生労働省に提出して承認を得なけれ ばいけませんでしたが、現在は先進医療ということになっています。私たちは特定機能 病院に承認されるまでには高度先進医療は2つでした。そのうちの1つは保険収載され ました。もう1件は、いま高度先進医療としてありますが、1件承認され、今2件あり ます。本年度申請を予定しているのは2件ですが、1件がまとまり、先進医療として申 請中です。今後申請できるだろうというものが5件近くあります。特定機能病院として は、知的財産は非常に重要だと思いますので、財産の創生と世界への発信。とにかく日 本の中で考えるのではなく、世界を視野に入れてやりたいということで世界への発信を 入れ、研究論文などを作成するように努めております。  2)は、先進的医療の提供です。専門性の高い高度医療は、私たちはがんと循環器医 療ですので、ここにがんを挙げました。必ずしも先進的とは言えないかもしれませんが、 専門性が高いということでは、例えば肝臓がんの手術をするにしても、人工心肺を使っ て大きな手術をする。手術中に生検試料を取って、遺伝子診断をし、次の手術をどのよ うに進めていくかということ。その他として、骨軟部腫瘍などでも四肢を切断するとい うQOLを損うようなことは極力避けて、それを元に戻していくという機能温存を考え てやっています。難治疾患も特定疾患の治療でやります。  次に、ここが非常に厚生労働省のご指導をいただいたところです。安全管理部門は独 立しています。アレルギー歴の入力化について少し申し上げますと、アレルギーがある 患者は、基本情報としてすべてコンピュータの中に入れ、薬剤の処方箋を切るときに入 れていなければ切れないようになっています。というのは、アレルギーのわからない人 に薬を闇雲に出すわけにいきませんので、入っていなければ処方箋を切ることができま せんし、アレルギーに影響する処方箋を切る場合は、警告が発せられるようになってい ます。その他、何かが起こればすぐにコールして、みんなが飛んで行く(CPRコール)。 院内感染については、院内を回ってチェックする。いろいろピットフォールがあるとき に、その都度講習会を開き、安全に努めています。外来よりも入院医療を重視します。  3)は、高度・先進的医療に関する研修です。これも非常に重要なところですが、私 たちが考えているのは、初期研修よりも、むしろ専門性に重きを置いていますので、後 期研修や生涯研修に重点化するように努めています。  もう1つはレジデント制度ですが、日本の研修はアメリカと比べますとかなり遅れて いますので、厚生労働省の研究班の一員に加えさせていただいて、研究の結果出てきた ものをその都度反映させて充実化を図りつつあります。海外等を視野に入れて教育・研 修に努めています。私たちの施設も厚生労働省から認可されている外国人医師の研修施 設でもあり、研修・指導できる医師が10名近くいますので外国人に対する研修も適宜入 れております。  (3)ですが、今や医師だけの医療ということは考えられません。がんも、CureからCare にどんどん変わっていっております。ナースも高学歴化していますし、認定看護師、専 門看護師とそれぞれ素晴らしい知識も得られ、患者に対していろいろなケアをやってお ります。この面をより一層充実させなければならないと、重点的に取り組んでおります。  4)は、地域医療機関との連携と機能分担です。比較的早くから取り組んでおり、例 えば地域の人に対する公開講座を2カ月に1回か、3カ月に1回必ず開いておりますし、 地区の医師会とは常に接触してやっております。場合によっては私たちの病院のかかり 付け医、地域の医師会のかかりつけ医との間で常に患者の情報を取り合って、症例の検 討会を何箇月かに1度必ず開いています。  私たちの病院だけでやっていてはいけないということで、内視鏡研修センターを本年 開設して、地域の医師にも参加していただき、診断する人に治療の技術向上の研修に励 んでもらっております。(3)は紹介、セカンドオピニオンシステムの充実です。  以上をまとめますと、特定機能病院が高度・先進的医療、後期研修を主に担当するこ とになると思われますが、初期研修は大学病院がやっています。Bにはいわゆる専門病 院があります。専門性の高い医療をしますが、必ずしも先進的ではなくても、専門性に 関しては卓越したものを持っておられます。  しかし、特定機能病院の条件を満たすことはこの中にも入ってくるわけです。研修と しては主として後期研修はこのようになるだろうと。一般病院として、300床以上の病 院は30%そこそこですから、それより病床の少ない一般病院がたくさんありますので、 主としてプライマリーケアなどを実施されており、初期研修、生涯研修に努めていただ く。ここの面積はいろいろ変わってきますが、このような形になって、現在進んでいる のではないかと思います。私たちはこの中に加えさせていただいていますが、このよう に全体を眺めて、いろいろ取り組んでいけたらと思っていますので、先生方のご指導を いただけたらと思います。                (OHP終了) ○座長 ありがとうございました。質問等はお三方の発表が終わってからお願いいたし ます。引き続きまして宮城先生よろしくお願いします。 ○宮城参考人 今日は参考人でまいりました。地域医療支援病院の現状ということです。 資料2は、今年の1月に雑誌「病院」に「地域医療支援病院の今日的課題と将来」とい う形で出しました。これを主体にお話したいと思います。  2頁に、「地域医療支援病院承認の要件について」という見出しがあります。昭和60 年12月に第一次の医療法改正があり、医療計画が始まりました。その目的は、「安全な かつ良質の医療を効率的に提供できる体制作り」ということが謳われています。  平成9年になって第三次医療法改正がありました。その中で地域医療支援病院が創設 されたわけです。それについては、資料の3、4頁にあります。承認要件ですが、次の 頁の2行目、平成10年6月16日に「地域医療連携推進事業の実施について」という題で、 厚生労働省健康政策局長通知が出ております。そこには、地域医療支援病院の誕生の経 緯と目的が明示されております。  それを読んでみますと、「医療計画の推進を図る具体的な施策としては、開放型病棟 や高額医療機器の共同利用など、地域の医療機能相互の密接な機能連携と機能分化を推 進する必要がある。このため平成4年度から地域医療連携推進事業を実施してきたとこ ろであるが、医療計画のより一層の推進を図るため、地域医療支援病院事業実施要綱を 定めたので通知する。実施要綱・目的には、この事業は診療所等と地域医療支援病院と の間において体系化を図り、紹介・逆紹介に基づく診療に関する連絡調整や地域の医師 等を対象とした研修を実施する等の事業を行うことにより、医療施設相互の機能連携と 機能分担を進め、医療計画の具体的な推進を図ることにより、効率的な医療提供体制の 確立に資する」ということが謳われています。これは現在の医療法の第4条第1項第1 号の「地域医療支援病院は紹介外来制を原則とする」ということと合致するところだろ うと思います。  そういうことを踏まえて、浦添総合病院の取り組みについて簡単に述べます。表7に ありますが、これは地域医療支援病院だけではなく、昭和56年から目ぼしいことを意思 決定したことが書かれています。意思決定したのと実際に事業がスタートしたのは、事 業のいちばん右側に何年というのが付いていますが、地域医療支援病院に意思決定した のは平成10年です。  それをスタートした理由は、真ん中の下から10行目ぐらいに書いておりますが、平成 6年に国の補助を受けてスタートした浦添市医師会糖尿病病診連携推進事業を積極的に やってきたということがあります。これは非常に成功しましたし、2年間の事業を1年 間延ばして3年間続けたという経緯がありました。地域医療支援病院をスタートするた めには連携に関わる利害が絡みます。そういうことがあって、糖尿病の連携事業という のは、非常にノウハウを得ました。そのノウハウがあって地域医療支援病院の推進力に なったということがあります。  実際は右側の下から9行目の「しかし」からありますように、実際に私たちが地域医 療支援病院を選んだ本当の理由は、外来患者が1日平均1,000人を超えるようになってか ら、医師の昼食は午後2時、診療終了は午後7時〜8時、最終予定手術開始が午後4時〜 5時、午前の8時には回診をやっておりますが、午後の回診が8時という、まさに異常 事態の日常化が続きました。おまけに診療が遅いことについて、患者や家族からクレー ムが付き、職員、特に医師は苛立ちとストレスで患者に怒る。極端なのは「好きでやっ てんじゃねえや」と言って、患者に怒り出すという実態があるわけです。これではいけ ないということで、地域医療支援病院に行こう、それしかないということで、平成10年 12月に理事会決定をしました。  しかし、理事会では、なかなか決定を得られませんでした。それは、経営の収支では どんなにやってもどうしても赤字が出るからですが、ついに12月に理事長が押し切って 承認してもらいました。  平成11年度は何をしたかというと、一気にやってしまうと空中分解するので、初診・ 再診患者を積極的に地域のクリニックへ戻すことを病院の方針としてやりました。しか し、実際は患者に、「この何十年も先生にかかっているのに、よそへ行けと言うのか」 と主治医が言われますと、主治医は言い切れなくて、少しは進みましたが、やはりあま り進まないという実態がありました。そこで平成12年度は、理事長の至上命令で80%達 成をアクションプランとしました。表8に書いています。これを見ますと、初診の特定 療養費1,500円をいただきました。これも3,000円が最低だと言ったのですが、押し切ら れて1,500円になりました。外来初診は紹介と救急、再診は専門に絞り、あとはみんな逆 紹介するということを徹底する。地域医療連携センターによる施設訪問、地域医療支援 病院のPRをしています。  もう1つは、医師が診療所や病院に出張外来をしており、自分の患者はそこで診なさ いと。連携病院や診療所に行ってそういうことをやりました。特にリハですが、技師の 連携施設への出張までさせました。そういう血の出る思いで患者を診てまいりました。 その結果が表の9、10にあります。  表9を見ますと、平成12年は外来患者はあまり減っておりません。平成13年になりま すと、私がいま言ったようなことが実って、極端に下がっていきます。平成14年にもそ のことが浸透して下がっていき、現在に至っておりますが、実態はご覧のとおりです。 実際にこのようになって80%、あるいは紹介率が60%、逆紹介30%というのが平成16年 に出ましたが、本気でやるとこういうことになります。入院については資料を見ていた だいたらわかります。  元に戻りますと、私たちは病診連携については、ただ患者のやり取りだけではなく、 4頁の下から10行目の「平成12年度半ばまで」というところに書いていますが、平成12 年にはみんな持っていけ、出せというから、理事長は本気だというので、それまでリウ マチや血圧など慢性の疾患を持っている部長たちは、平成12年の半ばに開業することを 決意し、6名出ました。これは病院としては非常に痛手でしたが、地域医療支援病院を 目指すのならやむを得ないということで、機能については医長に次を託そうということ で開業することを許しました。そのときに自分の患者はみんな連れていってくれという ことが、平成12年から13年にかけて激変している理由です。同時に開業医の先生が病気 をされたり、学会で出張されたりして依頼があるときは代診もしています。  最後に今日的課題ですが、1)紹介率を上げるためには算式の分母のC、初診患者数 を少なくすればいいわけです。その手段として、外来分離をするというのは、誰でも考 えることです。もう1つは外来分離することによって今回は診療報酬が変わりましたが、 それまでは初診料、再診料が上がって、分離した所は懐具合がうんと良くなるわけです。 誰が考えてもそれをするのは当たり前ではないですか。しかし、これは平成10年6月16日 の厚生労働省健康政策局長の趣旨に反するものだと私は思い、けしからんと。汗を流さず、 おいしいところだけをごっそりいただくというのは、我々努力している者にとっては絶 対許せません。誰が何と言っても私は許せません。  このように法にも謳われたことが、次の新医療計画の中で機能連携や疾病ネットワーク などで言われていますが、私は非常に危惧しております。法律などというのは抜け穴が必 ずあるのですから、そこを抑えないと、これまでの地域医療支援病院と同じように考える 人はたくさんいて、それをどうするかということが最大の問題です。ここでそれをきちん とやってもらいたいというのが私の願いです。  2)私どもには全部で6病棟ありますが、特定入院加算病棟と産科病棟の2病棟を除い た4病棟については、これを書いたのは去年の10月ごろですが、その時点では一般病棟入 院基本料1群1であるが、看護師の仕事の量は2対1基準では安全で質の高い看護ケアや 患者・家族の十分なインフォームドコンセントなどは絶対に不可能です。私は当院を見に 来てもらいたいと思います。ですから、エビデンスに基づいた2対1とか、常時7対1で もまだまだ満たされるものではありません。そういうことをここで申し上げております。 ですから、しっかりとエビデンスに基づいたものをやってもらいたい。  いま私どもの病院には、がん患者がかなり多くおられ、どうしても再発入院は避けられ ません。地域医療で、いまこうやっていますが、がん患者の再発を診てくれる所はわずか しかありません。幸いにして昨年から在宅をやるという先生が2名出てきて、現在はかな り良くなっていますが、がん患者の再入院は比較的長くなっており、いつも1カ月以上に なる患者が7、8名はおります。  救命救急を昨年から受け入れることになりましたが、高齢者の救急入院が多くなりまし た。できるだけのことをやっていますが、吹き溜まりになります。どうしても1カ月以上 の人が30床ぐらいを占めるという、地域医療支援病院としては非常に悩ましい状況があり ます。この実態をよく知っておいていただきたいと思います。いま謳われている新しい医 療計画の中で、在宅で看取るということが、どのぐらい進むのかはわかりませんが、そう するとかなり良くなるのではないかと思っております。  4)は、地域医療を支援するためには安全、質がさらに高められることが非常に重要で あると考えます。そういう意味で表15を見ますと、(再)とあります。これは事務に入っ たりしていますが、いまのところは診療録管理と安全については点数が付いていますが、 点数は1人分です。しかし、医療安全については医療安全管理者1人、感染認定看護師1 人、検査技師の細菌感染をやってきた人が1人です。診療録管理はいまは5名です。これ もいまはDPCをやって四苦八苦しています。それから臨床研修をやって、そのための教 育研究室に2名入っています。  医療連携をするためには平成11年に1名入れておりますが、現在では連携にかかわる所 は9名です。看護師1名のほか、専門をやってきた人たちです。それからコンピュータの システム管理に5名で、いま言ったようなところが、相当人件費等を使っております。  表9に戻り、平成17年の総収入を見ますと、入院のところが下がっており、だいぶ改善 していますが、平成11年に比べますと、まだ1億円が赤字です。平成18年も1年に直しま すと、4,000万円ぐらいは赤字になります。なぜ良くなったかというと、救命救急をやった ことと、DPCをやった、7対1看護をとったということで改善されています。ところが、 平成16年以前は、ずっと9億円の赤字です。これを私はいま理事会で責められています。 何とかしてもらいたいというのが、ここでの私の発言です。本気でやったらこういうこと になるということです。地域医療支援病院を本気でやって、病診連携をやった所はこうい う有り様です。厚生労働省の先生方も、よろしくお願いします。浦添総合病院を是非見に 来てもらいたいと思います。  それから、西澤先生は副会長で、この会にも出ておられることもあって、しょっちゅう 愚痴をこぼしておりまして、これは12月7日に改めて西澤先生に提出したものです。要件 として、地域医療支援病院が一般の急性期の病院と何ら変わらないというのなら、法律を なくしてしまうなどというのはとても考えられないことだと思いますが、もっと窮屈なも のをたくさん付けたらいいのです。私が言うのは地域連携パスは、いまは1つしか認めら れていませんが、認められている、認められていないは関係なしに、2つはやっていると いう実績を持っていること。  沖縄県でいえば、特に離島の医療です。へき地も全国にはたくさんありますから、離島・ へき地など過疎地域の医療に参加していること。その実績をちゃんと持っていることです。 そういうことで、私の所はドクターもヘリに乗ることはありますが、救急医療用ヘリとい う事業は、国のほうで言われていますが、それに類似するような医療を独自に自己出費で やっております。  離島の医療は101航空飛行隊のヘリが飛ぶのですが、それに私は乗ってきたから、離島の 医療の大変さがよくわかるのです。それはその辺で話をしているようなものとは全然違い ます。そういうことがあって、これは何としてもやると言って、たまたま救命救急をやっ てきた男が当院へ来たものですから、これを即やれと命令して実施しました。これには 6,000万円の費用がかかっています。患者からは全然費用を取っていません。なぜかという と、救急隊が民間にこういうことでヘリポートから病院に運ぶのは問題があると言ったの で、「そんなものは取るな」と言ってやめました。  9頁の要件は、いま私が思い当たる2つを書きました。3番目の要件として、地域医療 支援病院運営委員会の委員構成は書いてあるとおりです。年に何回か運営委員会を持たな ければなりません。私の所は4回です。その議事録がちゃんとあるか、どういうことが話 されたかを、これは行政の方々にお願いしたいのですが、認可したらそれで終わりという のはこれからは通用しませんので、絶対に監査をしてもらいたい。監査を義務づけること が重要であるということと、社会保険事務所による監査が病院には毎年入ります。地域医 療支援病院には毎回入って調べるということを是非やってもらいたい。  4番目の要件は、法の第4条第1項第1号で「他の病院又は診療所から紹介された患者 に対して医療を提供し(中略)体制が整備されていることとは、いわゆる紹介外来制を原 則としていることを意味する」とわざわざ書いているのです。私から見れば、外来分離の 本意は紹介外来制を原則としているとは意味が違うのではないか、基本的には経済的な理 由で分離したと考えています。1億円ぐらい下がるのではなく、上がるのですから当たり 前のことです。そういうことが書いてあります。  次は要件ではなく、お願いごとです。「地域医療支援病院が二次医療圏に1施設」とな っているのですが、これは是非変えてもらいたい。二次医療圏の人口10万人超の場合は、 複数の施設を置いてもらいたい。そうすることで安全や質、効率の競争が始まります。 いま状態のように1カ所なら、お山の大将僕一人です。そんな意識では医療は良くなりま せん。ですから、複数にしてもらいたい。  次の頁に、第三者による地域医療支援病院機能審査機関を置いてもらいたいということ を書いています。なぜかというと、これは沖縄県の実態ですので読みますと、「県当局の 書面審査等をもとに県医療審議会を経て認可されるが、審議会のメンバーの7割は医療計 画の詳細や現状をほとんど知らない方々である。その上、県当局の担当者は、ほぼ2年で 異動する。1年目は素人である。このような実態を鑑みれば、認可までのプロセスとして、 医療提供側・行政側・患者側からなる機能審査機関を置くことで、地域特性(自然環境・ 社会・文化環境等)を配慮した、いわゆる紹介外来制の原則に則った地域医療支援病院が 実現できるのではないか」ということです。これは沖縄の状況で、例えば北海道と比べた ら、全然違うと思います。広さも違いますし、人口も全然違います。これで終わります。 ○座長 どうもありがとうございました。続きまして、和田委員より発表をお願いいたし ます。 ○和田委員 今回、あり方検討会が使っているテーマに関して、国民の意識調査を行いま したので、その結果を簡単にご紹介したいと思います。今回はYahoo!リサーチ・モニター の約5万人のうち、20歳以上の一般市民を対象に行いました。資料のいちばん後ろの頁です が、Yahoo!リサーチ・モニターは、基本的にはインターネットでの調査で、モニター属性 のところで国勢調査と比較してあります。年代を見ますと、30〜39歳、20歳代、40歳代が 多いということで、今回は平成17年度の患者調査にも、年齢階級別推計患者数を基に、モ ニターを年代別に設定しました。そのために今回、回答者1,256人のうち、60歳以上が65% を占めるようにということで年齢設定をしました。全回答者のうち、約半数が定期的に病 院や診療所に通院していて、約半数は必要なときにだけ通院をするということで定期受診 はされていない方に対して調査を行いました。  大きく5つ聞いたのですが、単純集計と設問は5頁以降にありますので、それを見なが らかいつまんだ報告をいたします。まず1点目は、自由標榜制に関してですが、右に書い てある佐藤クリニックという写真を見て、この中で「この診療所の専門は何だと思います か」と質問しました。その結果は、ここに掲げられている内科、小児科、皮膚科の「3つ すべてが専門である」と答えた方は約3分の1ぐらい、「内科が専門である」と回答した 方が、ほぼ半分を占めていました。「標榜してあるからといって、それがすべて専門とは 思っていない」という方が3分の2ぐらいを占めていることが窺えました。  2頁です。複数標榜に関して「たくさん表示されていると安心する」と答えた方が4割 いた反面、「専門外の診療科まで表示してあるのではないかと不安を感じた」という方も 5割弱いました。先ほどの問いで「3つすべてが専門であろう」と答えた方は複数標榜に 関して6割が安心感を抱いていたのですが、3つ標榜されていても、そのうちいずれか1 つしか専門ではないだろうと考えていた方は複数標榜制に対して、6割が反対に不安を感 じていることがわかりました。自由標榜制について今回検討したことは、診療所の医師の 専門について、かなりそれが曖昧に伝わっているのではないかと感じ取れました。  2点目は専門医に関する認知ですが、そもそも国民が専門医を知っているかどうかにつ いて、「知っている」「知らない」という2択で聞きましたら、大体二分されました。定 期受診をされている方は6割が「知っている」と答えて、定期受診をしていない方は4割 が「知っている」と答えたので、受療行動によって少し差はあるのだろうと思いますが、 総体的には、まだ専門医に対する認知はあまり馴染み深いものではないような結果が示唆 されました。  3頁の第3点目は、診療所の振り分け機能に関する意識です。設問は「診療所と病院と ではそれぞれ地域で果たす役割が異なるため、病院で受診する際は診療所からの紹介状が 必要になることがあります。あなたの考えに最も近いものを選んでください」ということ で、「とても安心」「安心」「不安」「とても不安」という4択を用意したのですが、 「安心」と答えた方が7割を占めていました。一方で「きちんと紹介してくれるか不安で ある」と答えた方も3割近くに上っていました。今回は、なぜ不安なのかという理由まで は調査ができなかったのですが、この検討会でも検討されている病院の外来縮小を推進す るという上では、不安に感じている方たちの背景をもう少しきちんと知った上での検討が 必要なのだろうということが窺えました。  4点目は、特定機能病院・地域医療支援病院および大学病院を、そもそも国民が知って いるのかどうかについて調査を行ったのですが、大体仮説どおりで、「大学病院を知って いる」という方は96.2%で、ほぼ全員が知っていました。一方で、地域医療支援病院、特 定機能病院に関しては、6割以上の方が「知らない」と答えています。  「それぞれの病院において、どういう役割を担っているか、3つまで選択してください」 ということで、それぞれの役割を聞いてみたのですが、地域医療支援病院に関しては地域 の医療従事者に関する研修を行っている病院、救急患者を受け入れている病院ということ で、認識は間違っていないことがわかりましたが、先ほど来お話されている紹介状につい ては、認知が低いことが窺えました。  特定機能病院と大学病院に関しては、高度かつ最先端の治療を受けられる病院であろう という印象は同じだったのですが、特定機能病院に関しては開業医から紹介された際に受 診できる病院、救急患者を受け入れる病院という印象を持つ方が多かったのです。大学病 院は研修を行う病院で、それだから良いのかわかりませんが、医師数が多い病院という印 象を持っている方が多く、大学病院に対する印象と、特定機能病院とではどういう違いが あるのか、それぞれ役割はどういうものなのか的確には伝わっていないのかなという印象 を受けました。  5点目は、大学病院志向についてですが、大学病院に患者がどうしても行ってしまうこ とを、皆さんはどのように考えているのかを聞きました。「素人が大学病院に行く必要が あるかどうかは判断できないので、受診する際はやむを得ない」「どうせ大学病院に紹介 されるのだから、最初から受診したほうが安心である」「必要があれば大学病院に紹介し てもらえるのだから、最初から受診する必要はない」「本来診るべき人に時間を割けなく なるので、紹介状がない方は受診すべきではない」「その他」という5つの選択肢を設け ました。  その結果、「大学病院で診察を受ける必要があるがどうかは、素人にはわからないので 受診するのはやむを得ない」と答えた方が37.2%、反対に「開業医の先生らが必要に応じ て大学病院に紹介してくれるのだから、最初に受診する必要はない」と答えた方も約3割 強おられました。たぶん大学病院の役割が、まだきちんと受け止められていないことが問 題なのだと思いますが、そのような役割分担がなされていることについて、国民の不安を 払拭した上で、情報提供を行って理解を求めることが必要なのだろうということが示唆さ れました。 ○座長 ありがとうございました。ただいまのお三方の説明や提出された資料に関する質 問でも結構です。ご自由に意見をお願いいたします。 ○西澤委員 今岡参考人に質問です。特定機能病院は、外来のことがかなり曖昧だという 気がするのですが、現在の病院の外来患者数を教えていただきたいと思います。  もう1つは、特定機能病院におけるかかりつけ医という言葉が出てきたのが、どういう ことかわからなかったのですが、その2点をお願いします。 ○石川参考人 外来は1日1,200人ぐらいです。 ○今岡参考人 かかり付け医というのは仮に呼んでいます。というのは、地域の医師会の 先生から紹介していただいて、その患者が入院してきます。そのときに担当した医師がそ の患者に対する情報をいちばんよく知っています。ですから、地域のそのドクターと私の 所のドクターとの間で、その患者の情報をよく知っている者が、常にお互いに情報交換を しながら、あるときは地域のほうで診ていただきましょうとか、入院していただきましょ うということをやっています。仮に複数かかりつけ医という立場でやりましょうかという ことでやっています。 ○武藤委員 先ほどPhaseIのことが出ていましたが、実際に大阪府立病院では、健常人を 使った治験の設備も持っているのですか。 ○今岡参考人 いいえ、まだそこまでは行っていませんが、実は生検の遺伝子の中から分 子標的治療法や創薬の方にまで進めることができるのではないかと。メーカーといろいろ 話をしているのですが、まだそこまで行っていません。何とかそこまで持っていきたいと いうことです。 ○武藤委員 将来的にはお持ちになりたいということですか。 ○今岡参考人 そういうことです。 ○武藤委員 やはり特定機能病院としては、そうした施設を持つ意味は。 ○今岡参考人 やはり何かを開発して、評価をしていこうという場合に、研究所を持って いるわけですから、トランスレーション・リサーチを行う場合に、何らかの形で整備・設 備がないと。研究所でいわゆる研究のための研究をしても私共としては意味はなく、そこ まで持っていけるようにしておかなければいけないとは思っています。 ○武藤委員 がん診療連携拠点病院の指定も受けられたのですか。 ○石川参考人 私どもは大阪府として申請中です。これまでは地域連携として認められて おりました。 ○武藤委員 後期研修に力を入れておられるのですが、実際に後期研修で専門医資格認定を 取れるコースというか、数はどのぐらいおありですか。 ○石川参考人 これはまだ算出していないのです。というのは、外科系と内科系等で大きく 分けても、非常にカリキュラムが異なってしまいます。それから、最近がん専門医、内視鏡 外科専門医とカリキュラムが多岐にわたりまして、始まったところでもあります。 ○武藤委員 明確に数は出てきていないということですか。 ○石川参考人 ですから、オーダーメイドというか、個人個人で一応つくっていかないと仕 方ないかなと思っています。 ○武藤委員 わかりました。 ○内田委員 まず、事務局にお願いしたいのですが、繰り返しの議論になる場合が結構あり ますので、できるだけ前回の議事録を整理したようなサマリーを用意していただけると、非 常に助かると思います。それから、大阪の成人病センターにお聞きしたいのは、がん診療拠 点病院に認められていますが、特定機能病院を申請するというのは、ナショナルセンターと 大学以外では初めてのケースですよね。これに関して、動機と申請した結果によるメリット、 デメリットがもしわかりましたら、それを整理してお話いただければと思います。 ○今岡参考人 まず、動機ですが、基本的には大学病院のみが特定機能病院という理解であ ったのですが、国立がんセンターおよび大阪では循環器病センターが特定機能病院になって いる。そして、私たちも研究所を持っていますので、特定機能病院として承認されてやって いくのも1つのチョイスではないかと。また、大阪府庁からも申請してはどうだろうという ことで、検討に入りました。それで、私たちも「それができるのだったら、承認していただ きましょう」ということで申請に入ったということです。初めから、これを狙って云々では なくして、いろいろ見ていますと、私たちもそうではないかという気持ちになったというこ とだったのです。  それから、実際上申請から厚労省に色々ご指導を受けまして、私は非常に良かったと思っ ています。第1にやはり安全面だったと思います。安全面は、非常に厳しいご指導を受けま した。その結果、いまはもう安全面がすごく充実されて、私たちの病院として、職員の意識 がコロッと変わったというぐらい、極端に変わったように私は思います。だから、実際上、 高度先進医療云々に関しては、私たちは長年やってまいりましたので、それを継続している ということですが、安全面に関しては、本当に職員全体の意識がすごく変わったのです。医 療というのは、このように安全というものを重視してやらなければいけないということで、 この辺が非常に大きなところだったと私は感じますが、病院長はどうですか。 ○石川参考人 安全のほうは非常に力を入れてやらせていただいていますが、何しろマンパ ワーが非常に限られております。大阪府は特定機能病院と同時に、独法化を狙っております。 だから、事務職員の数もかなり激減して、その中で医者、ナース等がそこらを少し補ってい る。だから、非常に忙しいというのを感じています。  もう1つ、我々は初めからDPCのことは考えておりませんでした。しかし、特定機能病 院を採るとなると、DPCに移行せざるを得ないことになったわけで、決してDPCを頭に 置いていたわけではありません。ですが、やはりあとから考えると、DPCに参入しておいて、 何とか付いていける、若干収入面で助かるところもあったと感じております。そんなに大きく は助かっていません。 ○今岡参考人 特定機能病院と経済面との関係を重視するという考えはあまり思っていません でした。そういう意味で私は安全面というのを特に強調しましたが、その面はすごい良かった と思っています。 ○内田委員 特定機能病院の要件というのがありますが、この要件というのは、センターにと ってはハードルは高かったですか。それとも低かったですか。 ○今岡参考人 要件の中で私の所がいろいろと苦労したのはどこかと申しますと、医師やナー スの数はよかったのですが、薬剤師です。薬剤師の数が、事務的に計算すると、例えばいくら の処方箋を切った場合の数となると何人何人という、いわゆる法律上は、たしか10人ぐらいだ ったと思うのです。しかし、その薬剤師数ではとても良い診療ができないということで、いま 非常勤の方も含めて19名になったのですが、薬剤師の数が非常に困りました。  しかし、結果的に薬剤師の間で勉強をしようというモチベーションその他が上がりました。 現実にいま専門薬剤師などができつつあります。いろいろ勉強しなければいけないという時代 になってきたときに、結果的に非常に良かったと。みんな一生懸命勉強していますので、これ は良かったと思っています。先生がご指摘の人数のところでは、薬剤師の数が非常に困ったと ころではありましたが、もともと少なかったので、これはやむを得なかったと思っています。 ○島崎委員 いまの内田委員のご質問に関連してお尋ねしたいと思います。概算で結構なので すが、特定機能病院の承認を受ける前の平成17年度の収支は、どういう状態になっているので しょうか。特にお伺いしたい趣旨は、特定機能病院の場合には、医療のほかに教育・研修など の機能を持っており、実際、大阪府立成人病センターの場合にも、研究所を付設されているわ けですが、部門別に分けて経理をしていらっしゃるのか、あるいは教育や研修の部分は不採算 になっていて診療部門は収支とんとん、あるいは若干のプラスという状況になっているのか。 粗くて結構なのですが、部門別の収支の状態を教えていただきたいと思います。  もう1つは、平成18年4月1日に承認されており、平成18年度診療報酬改定の影響を受けて しまっているので、比較することはなかなか難しいのでしょうけれども、特定機能病院の承認 を受けることによって、収支が構造的にどのように変わっているのか。定性的な話になってし まうかもしれませんが、その点についてお尋ねしたいと思います。 ○今岡参考人 収支ですが、平成16年度に比べて平成17年度は下がりました。下がったという のは、私の所は大阪府立ですから、負担金をいただいているわけです。負担金をいただいてい て、赤・黒はと言いますと、ずっと黒です。ずっと黒できましたが、その黒の額が平成16年度 に比べて平成17年度は下がりました。しかし、これは一般的に私ども府立は平成17年度はみん な下がっていますので、特に特定機能の申請のためということではないと思うのです。いまま では出来高でいっておりますが、平成18年度になるとDPCが入っておりますので、試行錯誤 を繰り返しています。ただ、負担金をいただいている限りにおいては、収支に関しては黒でず っといっております。ラフな説明ですけれども。 ○島崎委員 研究部門とか教育部門あるいは研修部門ということになるかもしれませんが、そ の分も入れてということですか。 ○今岡参考人 入れてです。 ○島崎委員 区分経理みたいなものをしていらっしゃるのですか。 ○今岡参考人 いや、いま私は細かくこれにいくらとまでは存じあげておりません。私たちは 研究所、調査部、病院とあるわけですが、この3つを全部含めて、ずっと大体黒を続けており ます。 ○西澤委員 いまの確認なのですが、負担金を入れてということは、診療報酬プラス負担金が 分母になって、それに対する収支だと思いますが。負担金というのは毎年同じ額なのですか。 もし違うのであれば、その比較はどうなっていますか。それに対して黒・赤はどうなっていま すか。 ○今岡参考人 負担金は年々下がっております。 ○西澤委員 年々下がっていると。最近、大体どの程度下がってきているか、わかりますか。 ○石川参考人 20数億です。 ○西澤委員 診療報酬に20数億プラスして、去年は赤字ということですか。 ○石川参考人 いやいや、ずっと黒です。 ○西澤委員 去年が。 ○今岡参考人 いや、その前の年と比べて、黒字の幅が少なくなったと。 ○西澤委員 20何億入ったのが分母で黒字ですね。それがなかったら。 ○今岡参考人 もちろん、それは赤になります。医業収支率からいきますと、これはもう100%を 越していますので、大体医業収益に比べて医業費用を比べますと、医業費用よりも医業収益のほ うが多いのですが、もちろん、研究所その他のものは不採算部門ですので、それを全部含めて20億 ちょっとなのです。それで9億ぐらいの黒ですかね。 ○藤川委員 特定機能病院というと、一般的に外来患者が多いと聞いているのですが、今年の4月 に特定機能病院になった以降と、それまでと、患者の診療行動がどのように変わったのかというこ とをお聞きしたいのです。特に外来患者の方々は、平成17年度までの患者数と平成18年4月、特定 機能病院としての認定を受けた以降の外来患者数、これに顕著な違いがおありなのかどうかという ことをお聞きしたいと思います。 ○石川参考人 昨年と比べて、大体1日100人程度減ったわけです。その間に、今年の1月ですか。 当センターは全予約制ということで切り替えました。ですから、それで当初はかなり減りました。 ○島崎委員 先ほどのお話を伺っていますと、端的に言うと、特定機能病院の要件に照らしてみた ときに、自分の病院もその要件を満たすのではないかということで承認申請されたというように聞 こえるのですが、そういう受け止め方をしてよろしいのですか。 ○石川参考人 よくあとから見てみると、自分の所はその要件に全く合っていたと。開設が昭和34 年でしたが、その当時からがんと循環器に特化して、研究所、調査部、臨床、ここは三位一体とな ってやる。そういうプロジェクトでやってまいりましたので、たまたまといいますか、それが幸い して合っていたということです。 ○島崎委員 重ねての質問で恐縮ですが、先ほどの内田委員の質問の中にもちょっとあったのです が、これまで特定機能病院というと、大学病院とナショナルセンターの一部しか認められていなか った。その意味では、大阪府立成人病センターは「本邦初演」ということになります。そこで特定 機能病院のあり方ということで2つお伺いしたいと思います。  まず、ものの考え方として、大学病院やナショナルセンター以外にも、こういう要件を満たす病 院、言い換えれば高度な医療と研修と研究を行っている病院は、おそらくほかにもあるだろうと思 うのです。そういう病院は積極的に特定機能病院として認められていくべきだというお考えなのか というのが1つです。  2つ目として、先ほどから、三位一体ということを言っておられるわけですが、三位一体という か、3つの要素を持つことによる一種のシナジー効果というか相乗効果の有無についてどのように 考えるべきなのか。逆に言うと、この3つの機能のうち、例えば研究と高度な医療の提供は行うが、 研修はちょっと見劣りをするという病院が仮にあったとしても、それぞれの要素について診療報酬 上きちんとした評価をしていけばよくて、三位一体に拘らなくてもよいという考え方も、一方であ ろうと思うのです。その点についてお聞かせください。 ○今岡参考人 まず、申請させていただくに当たり、私たちは府立の病院のときには毎年、決算委 員会がありました。そのときは、府議会議員の先生方の質問を受けて、それにお答えしてというの があります。そのときに、1年、2年ぐらいかかったと思うのですが、数年前から「特定機能病院 というのがあるではないか。君の所の病院は、このように高度医療をやっているんだ。これを申請 するに当たって、特定機能病院として認めていただくのに、どこがどう欠けているのだ」という質 問もあって、ご相談をいろいろさせていただいているうちに、特に法律的に申請してはいけないも のはないのではないかということで、申請させていただいたということです。  先ほど申しました3つ(病院・研究所・調査部)がありますが、病院もそうですが、うちの医療 機関としての理念の中に高度で先進的な医療の創造、開発と提供というのが、入っているのです。 その三位一体で実施される理念の中にある、高度先進医療と合うわけです。研究所との連携にて病 院としていままでやってきた理念にあるのだから、まず申請と。議員さんも言われるのも無理なか らんところだなということで、申請させていただきました。  がんをやっていくのに、緩和医療もいろいろなこともありますが、やはり地域との連携がなくし ては、なかなか完結していくことができないのではないかと思いまして、前からも地域とはいろい ろやっていましたので、それをさらに強い絆を持って進めていこうということで、厚労省から出さ れている3つに1つ加えて、4番目に地域の連携ということを入れさせていただいたのが経緯であ ります。 ○古橋委員 特定機能病院と地域連携支援病院についてお聞かせいただきましたので、お二人の参 考人の方にお教えいただきたいと思います。まず、特定機能病院に関してはいろいろご質問も出ま したが、大阪府立成人病センターは、大変な歴史と伝統と高いがんに関する研究等も進めてこられ たわけで、府民等の皆様は、そのことについては十分承知をしておられたと思っております。そこ で、このたび特定機能病院という承認をお受けになったことで、おかかりになられる府民の方々の 成人病センターに対する医療への期待、信頼などというものに何か変化があったのかどうかですね。 いわゆる受療者の側に、特定機能病院というものが何らかで認識される、中身に変化が生じている のかどうか。特に安全に関しては、承認をお受けになるに当たって、大変なご尽力をなさったとい うことも聞かせていただいたわけですが、要は医療を受ける市民、住民、国民は特定機能病院とい うものを新たに、歴史のある成人病センターなので、そこの違いをおわかりになって認識をなさっ たのかどうか。その辺り、何か変化があるのかどうかです。そこをお聞きしたいと思います。  もう1つ、地域の支援病院については、浦添総合病院では非常に先駆的に意欲的にお取り組みな のですが、現在の要件としての医療機器の共同利用の実施、救急医療の提供、地域の医療従事者に 対する研修の実施、この要件については時代の中で地域連携は新しい医療法の中では重要事項にな ってきて、全国の人々の医療提供者には意識的にはクローズアップされているのですが、地域医療 支援病院における現行の要件について、どんなご意見をお持ちか、ご意見をいただければ参考にな ると思いますので、この2点をお聞きしたいと思います。 ○今岡参考人 それでは、成人病センターから古橋先生のご質問について、私の感じているところ を申し上げます。まず、変わったところはどこかといいますと、地域の病院の先生方というか、病 院の医療機関の認識が変わりました。もちろん私たちは当初からがんと循環器疾患をやっていたの ですが、特定機能病院に承認されたということで、やはり俗な言葉で申しますと、お上に承認され ているという認識があると思います。したがって、患者の紹介も、先ほど申しましたように85%あ るわけなのです。その紹介も、どちらかといいますと、難治がんと呼ばれる患者さんが結構増えま した。  もう1つは、先ほどから申しますように、地域の先生方と接触して、いろいろな検討会、症例検 討会、講演会などをやっていても、先生方の意識も変わって、こういう患者はどうだろうというこ との相談を持ってこられるのも、やはりかなり変わりました。それにつれて、当センターに来られ る患者の意識も、やや変わってきたなと。それよりも、まず地域の医療機関がクッと変わりました。 ということを私は感じております。  それに伴って、中にいる私たちにとってものすごく変わったのは、やはり職員の意識です。いま までだったら、例えば「こういうことで研修に行きましょう。これでこうしましょう」と言っても、 「いや、忙しいから」とか、「いやいや、それではどうだ」と。しかし、かなり積極性が出てきて、 ナースの方でもいまでも「院内感染の講習会があっても、半年行きます」とか言って、非常に積極 性が出てきた。これは非常にいいなと思っています。 ○宮城参考人 いまの機器の共同利用というものについては、パーセンテードでは出ておりませんが、 これはあとで見ていただきたいと思います。平成17年度の紹介は1万2,552件ありますが、そのうち MRI、CT、その他の検査以外のものが9,800です。ですから、3,500ぐらい、30何パーセントが 共同利用という形になります。  それから、研修についてはどのぐらいやっているかというのは、一応、古橋委員に渡しますので、 これを見てください。大半を持ってきています。これは相当やっております。それはどういう形で やっているかと言うと、もともと開放病床が30床ありますので、それには登録医というのがありま す。その方々で私のほうの病院の医師と病院とで、「メディカルネットワーク21」というのを平成 10年ぐらいにつくっております。平成10年ではない、もう少しあとにつくっており、病床利用、研 修といったものが全部ここで決められます。そういう形で、研修については進めております。これ はなかなか口で伝えにくいので、あとで見ていただいたらいいと思います。もう1つは何でしたか。 ○古橋委員 現行の医療法の中で、地域医療支援病院としての要件が定まっております。その要件 が今後、地域医療支援病院としていくことについて、何かご意見がおありかどうか。いま法的には、 規則上は紹介患者に対する医療の提供、かかり付け医等との逆紹介も含んだ、そういう紹介、逆紹 介という要件と、医療機器の共同利用、救急医療を担うということ、地域医療従事者への研修をす るのだという要件が現行ではありますね。そういう要件をこの時代でどのように評価なさり、要・ 不要について何かご意見がおありか。そういう視点でご意見を。 ○宮城参考人 いまおっしゃったのは、数のような話です。要するに、厚生省の医政局長が平成10 年におっしゃっているように、本当に機能分化して、機能連携ができているかどうかということを、 私の所はやっているつもりですが、ほかができているかどうか、私はよくわかりません。だから、 そういうことをちゃんと検証してください、毎年やってくださいというのが、私が先ほど申し上げ た中の言葉です。 ○島崎委員 いまの古橋委員の質問に関連してお伺いしたいのですが、紹介あるいは逆紹介も含め て、地域医療支援病院にはそういう紹介機能があります。それから、共同利用という機能がありま す。救急医療を担っているという機能があり、地域における研修をきちんと果たすという機能があ り、結局4つぐらいの役割・機能があるわけです。地域医療支援病院は、この4つの機能を全部セ ットで持っていないとやはりまずいのでしょうかということです。 ○宮城参考人 そのとおりです。セットでないと駄目です。 ○島崎委員 例えば、ある地域があって、その地域の中では複数の病院が役割分担をしていて、地 域における研修はうちの病院で主にやりましょう、あるいは共同利用は別の病院でやりましょう。 救急医療はこちらのほうでやりましょうといった具合に、地域の中の病院の機能分担として、別々 の病院がそれぞれの役割分担を担っていくといういき方も、考え方としてはあり得ないことではな いような気が私はするのです。そうではなくて、いま言った4つの機能・要件をすべて満たさなけ れば、医療法上、地域医療支援病院として位置づけられないという考え方も一方にはあるわけで、 その点について、宮城先生のご所見をお伺いしたかったのです。あるいは、地域医療支援病院とし て本当に機能を果たしていくためには、この4つの要件以外にもっとこういう要件も必要なのでは ないかということがあれば、ご指摘いただきたいと思います。 ○宮城参考人 実際にやっていると思うことは、開業医の患者がちょっと悪くなったというときに、 紹介状を書いてもらって入院なさいます。そうしたら、大事なことは必ず共同診療をするというこ となのです。開業医の先生もいつでも来れるというわけではないですから、朝早いとか、夜遅くな るとか、医者の勤務の状況もありまして、それにはかなり難しいところがあるのですが、1つはこ の機能をちゃんと活かすためにはそういうことがないといけない。それから、検査については、き ちんとした検査に対する依頼側のほうと、依頼されて検査をやったあとのきちんとしたものを返す、 これが日常化してできているということですね。それがいちばんです。研修については、実際紹介 していただいた患者の症例をもって研修に、それは先ほど申しましたネットワーク21でもあります が、これ以外に例えば循環器なら循環器のチームで、地域のあれを持っていますし、そういう形で やるということ。私たちはそれをやっておりますから、そういうことが必要ではないかと思います。  もう1つ、地域医療についての要件といいますか、機能という中では、あくまでも地域の医療を 支援するということなのですから、先ほどもここの文章の中で言いましたが、利害が結構絡むので す。ですから、そのときに、地域医療支援病院になれというのだったら、初めから俺の所はこうだ ということを言わないことです。絶対これを言わない。これは平成6年に糖尿病の連携のときに学 習したことです。開業医の先生や病院が「総合病院がみんな持っていくのではないか」ということ があったので、違うということで、みんなのおっしゃることを全部受けて、その上で診られないも のは私のほうで診ましょうということで、うまくいったので、今回の地域医療支援病院のときにも それを学習して、だからもう受けないということをはっきり全部言明して、医師会にも地域にも全 部言いました。先ほど9名というのは、外来では患者から随分叱られました。初診で来られた方は、 必ずこのように社会の体制は変わっていきますから、私の所は地域医療支援病院で、紹介患者を原 則的に診ますから、一度近くの診療所に行ってくださいと。わざわざこっちから文書を渡して帰す ということを、そこまでやりました。 ○武藤委員 宮城先生がおっしゃるように、地域医療支援病院を取ると経営が悪化すると、これは かなり定着というか、どこでもそうでして、私が聞いた範囲でも日赤とか厚生連で、特に大型の病 院で地域医療支援病院を取った所は、みんな経営収支が悪化するのです。というのはもうわかり切 った話で、外来患者が減りますので、外来患者の外来収入のダウンを入院でカバーできないという 状況なのです。地域医療支援病院の診療報酬は、地域医療支援病院入院診療加算でしたか。それで 付いているのですが、ちょっと付け方が足りないといいますか、たしか入院第1日目にしか効きま せん。そのほかの優遇策として、DPCの機能係数で地域医療支援病院はかなり優遇しているので すが、そういう所はDPCを取らないと優遇メリットが受けられないとか、いまのところ外来の収 入ダウンを跳ね返すだけの地域医療支援病院における診療報酬上の優遇策がまだ不足している。で すから、地域医療支援病院を普及させるときに、この経営問題は避けて通れないものですから、こ の辺は今後考えていく必要があるのではないかと思いますね。  もう1つ、地域医療支援病院のフォローアップといいますか、監査のあり方なのですが、地域医 療支援病院には諮問委員会というのがありますね。外部委員が入っている運営委員会ですか。あれ の見直しで、あの委員会に監査機能といいますか、それを持たせたらどうかと思っているのですが、 その辺はどうですか。 ○宮城参考人 それは私のほうは外部委員が入って実際にやっていますから。ただ、最近はわかっ てきて、ガンガン意見を言いますが、最初はやはりちょっと遠慮がちなのです。ほかの所はよくわ かりませんが、あれも外部委員を入れたからといって、必ずしもガンガン意見が出て、こうしてく れたらいい、ああしてくれたらいいのだということは、必ずしも出るとは限りません。私の所は医 師会の会長、県医師会の会長から3つの市の医師会のあれが入っておりますので、比較的言いやす いのだろうと思いますけれども。 ○武藤委員 諮問委員会、運営委員会のあり方をもう少し権限を付けて、例えば企業でいう外部取 締役など、あのぐらいの権限強化をして、それで監査体制を強化するというのが1つの方法ではな いかと考えていたのですけれども。 ○宮城参考人 それはあってもいいのではないかと思います。それは私たちがやったところで、報 告事項はいろいろなものがありますから、実績、患者の苦情、トラブルがあったものなどはみんな 報告します。それについては、やはり結構あります。委員の方からも、どうしたかということをよ く聞かれますから、ありますね。 ○山本委員 細かなところで申し訳ないのですが、今岡先生にお伺いしたいのです。先ほど特定機 能を採られたときに大変困ったということで、薬剤師の数のお話があったのですが、基本的には特 定機能病院の4つの機能を果たすために、薬剤師だけでなくて施設の設備も、また要員もたぶん数 が決められているのだろうと。その中で、もちろん薬剤師も含めて、いまそれぞれに医療者不足だ と言われているという認識を持っているのですが、特段に薬剤師が大変だったというのは、何か理 由がおありなのでしょうか。というのは、少なくとも薬学部の学生は、このところ薬剤師になる人 数は全体としては増えているという認識を持っていて、その一方で病院に行く希望者は大変多いと 聞いているのです。そうすると、例えば先ほどお金の話になっていましたが、診療報酬上、不十分 だからできないとか、そういう特段の理由がおありなのでしょうか。 ○今岡参考人 お答えしますが、薬剤師の数が足らないというところに、ちょっと私の説明不足が あったと思うのです。足らないというよりも、大阪府としてそれだけ以上の人数は認めないという こと。だから、採用ができなかったわけです。だから、もういまは院外処方に全部いっていますが、 法律では処方箋何枚に対して何人とかありますね。それから、入院患者数30人に1人とか、その数 からいうと、これでいいではないかというようになってくると出たわけです。そういうので、大阪 府としてはこれで、これ以上認めないけれども、これだけの人数でやりなさいということだったの ですが、今度こういうのを承認をいただくに当たって、薬剤師はそんなのではないのですというこ とで、こうこうこういう人数が合っているということで、この人数をそこまで増やすのに大変だっ たということです。それ以外の医師、ナース、その他の数は十分ありましたので問題なかったので すが、薬剤師というのは、薬剤師が足らなかったというわけではなく、大阪府の採用がそれまでは それだけの人数に制限されたということなのです。 ○山本委員 つまり、病院としての定数というのがあって、行政としてはその中の枠に縛られてし まう。しかし、実際に仕事をするとなると、その数がいいかどうかではなしに、さらにたくさんの 数がいるけれども、行政側としてのたがが少し引き過ぎたと、そういう理解でよろしいですか。 ○今岡参考人 私たちは、例えば服薬指導であったり、ミキシングであっても、本来、薬剤師がプ ロなのだからやるべきだということは言っていたのです。大阪府はご存じのようにお金がないわけ なので、なかなかそれはお認めいただけなかったのです。ですが、今度承認をいただくに当たって、 これを認めていただけて増やしていただけたと。それで、現在はミキシングなどやっていただいて いるわけです。 ○内田委員 特定機能病院について、ちょっと意見を言わせていただきます。いまいろいろとお話 を伺って大変参考になりましたが、特定機能病院の本来の規定、要件がありますよね。これを見る と、一般的な医療については、これからできるだけスリムにしていく。特定機能病院の本来の姿に 特化していくことを考えていかなければいけないのではないか。これは意見です。そのためには、 やはり診療報酬でしっかり手当をするということ、あるいは患者の啓発であるとか、地域医療との 連携であるとか、こういうところでの整備というのが不可欠であると、いま感じております。  もう1点、宮城先生に関しましては、今日、現場からの積極的なご提言をいただいて、素晴らし かったと思います。現場で頑張っていただいて、大変つらいところをやっていらっしゃるなという ことがよくわかりました。先生のご提言の門前クリニックであるとか、二次医療圏の要件を外すと か、審査をするとか、いちいち本当にごもっともであると思います。ただ、いまこの検討会の中で は、地域医療支援病院についての要件の見直しが話題になっています。それから、今後そういうも のが必要であるかどうかも議論になっております。その辺のところについて、先生のご意見があり ましたら、是非お聞かせいただければと思います。私自身は、これからの医療提供体制の中では、 いろいろな形態があっても地域医療を支援する、連携の中の地域の核になっていくという点では、 地域医療支援病院というのは是非必要だと認識しているのですが、先生はいかがですか。 ○宮城参考人 私も地域医療を支援する病院というのは、絶対必要だと思います。現場にいて、 要するに比較的採算の合わないとか、例えば先ほど申し上げた離島の医療、救命救急もそうですが、 できないところを支援していくという地域の支援病院の意義があるので、それは地域によって随分 違うと思いますから、それを地域で考える場を持たないと、全国1つの枠でやってしまうことに問 題があると私は思うのです。  ですから、基本的なところはあるにしても、地域の考えを入れるというそれを。それも、先ほど 申し上げましたように、はっきり申し上げて行政は勉強不足です。教えないといけないのですから。 だって、2年2カ月で交代していた、これは現実ですよ。ですから、こういうことにならないよう に、医療計画とか現場をよく知っている人たちが集まって話をして、それを審議会にかけてなどと いうようにしてもらわないと、はっきり申し上げて、いまのままでは機能しません。現実に頭にき ていますから、こういう言葉になってすみません。 ○五十里委員 都道府県もいろいろな事情があるかもしれませんが、私どももやはり医師会をはじ めとして、関係者が十分勉強して、議論する場をできるだけつくろうと。ですから、是非そういう 所へ先生がいろいろご意見をいただいて、ひとつ都道府県にもいろいろ知恵を与えていただけない かということをお願いしたいと思います。 ○宮城参考人 ちょっと付け加えさせてもらうと、いま地域の医師不足で地域医療協議会ですか、 あります。医師会長に私は「あれに僕を入れろ」と言っているのですが、全然行政は駄目ですね。 地域医療を支援すると言って一生懸命になっているのに、駄目なのです。こういうのは意欲をなく しますね。本当にうんざりしますよ。これは現実ですから、日本医師会の会長さん、うんとおっし ゃってください。 ○梁井委員 宮城先生、一生懸命頑張っておられる。やはり地域医療支援病院は非常に頑張ってい る所がある。でも、もしかしたら頑張っていなくても何とかやっている所があるかもしれない。先 ほどの地域医療支援病院ですか、それに求められる要件がいくつかあって、どうしても紹介率、逆 紹介率というのが表面に数として出る。ところが、やはり先ほど内田委員も古橋委員も言われたよ うな、ほかにもまだまだ高額な医療機器を共同で利用するとか、あるいは講演会あるいは学習会、 共同カンファレンスを内容良く充実してやるとか、その辺のところが目に見えてこないということ からして、そういうところが充実していない所はきちんと役所のほうで調べると。そして、いま宮 城先生がおっしゃるような、そういうしっかりやっている所には十分な手当を行うと。最初に十分 な手当を行って、それからそういう要件を満たさない所を削っていくのもいいのですが、少なくと も真面目にやっている所が十分に経済的な基盤を整えてできる、地域医療支援病院に関してはそう いう政策が望まれると思います。 ○宮城参考人 ありがとうございます。 ○梁井委員 あとは、やはりそれぞれ病院がレベルアップしていくと、その職員、医師、看護師の みならず、コメディカルも非常にそれがインセンティブになってやるというのが今岡先生の話にも ありました。ただ、やはり私も特定機能病院なのですが、特定機能病院に求められるものというの はいくつかあって、その中でいちばん経済的に大変なのは、研修のような教育ですね。幅広い教育 ということで、いくつかの特定領域における教育というよりも、幅広い教育をやるということと、 もう1つは幅広いということであれば重症患者、どういう患者でもそこの病院で受け入れるという 広い医療分担分野ですね。そういうものが求められるのだろうと思いますので、今後幅広い教育を 充実するようなスタッフの数、あとは重症患者。いろいろな重症患者がおられる。DPCではマイ ナスになってしまうような患者もいますが、そういう患者も受け入れられる、かつ余裕のあるスタ ッフの充実というもの。ですから、薬剤師を駄目ですよというところは、これはもう全然論外だと 思うのです。「十分な数を充実しますから、どうぞ皆さん頑張ろうよ。とことん自分たちも頑張る ぞ」という支援が得られないと、特定機能病院の名前はもらいました、でも、なかなか大変でした というのは、現場の先生方には非常にお気の毒な感じがいたします。その辺、特定機能病院にレベ ルアップするのは結構なのですが、それに求められるものはマイナスの部分が非常に多いというこ と。大阪府は20数億補充されるということで、その辺をカバーすれば、それはそれで頑張ってもら いたいなという気もあります。 ○島崎委員 宮城先生に確認の意味でお答えいただきたいというか、ご教示いただきたいことがあ ります。先生が先程言われた、病院の外来を分離しその部分を門前クリニックにして紹介率を稼ぐ というのはけしからんという問題や紹介率の具体的なカウントの仕方といった問題はちょっと別に して、地域の連携の指標として、紹介率以外に、ほかに何か違うインデックスの取り方というか数 字の取り方はあるのでしょうか。つまり、地域の中で連携をしていることの評価というのは、何も 地域医療支援病院に限らず必要になってくるだろうと思うのです。そのときに、紹介率のほかにど ういうインデックスを取っていけばよいのか。あるいは先生が先ほどおっしゃったのは、紹介率そ のものがけしからぬという話ではなくて、門前クリニックのようなものは紹介率の算定の対象にす るのはおかしいという趣旨のご発言と理解すればよいのでしょうか。もっと簡単に言うと、算定式 上の話なのか、紹介率は連携の指標としてそもそもおかしいということをおっしゃっているのか。 確認の意味で教えていただきたいと思います。 ○宮城参考人 先ほどそれもお話しましたが、どういう意味でされたかということは私もよくわか りませんが、普通に考えると、それは外来を離したほうが紹介率はすぐ上がるのですから、すぐ取 れるということのほかに、いまどこも厳しいと言っているのですから、お金のことを考えますよ。 考えない人はいないと思います。そうすると分けたほうが良くなるのですから、やるのは普通では ないですか。単純にそう考えているので、そういう形でやるのだったら、本来、医政局長が言って いるように、本当の意味で地域での機能分担、連携というのは、本当にそういうことを医師会で話 しても、それは具体的にできるのですか。たぶんそこに医師会は反対します。反対しているけれど も、今日はそれを認めたのです。だって、それは法に違反していないからと言って認めたのでしょ う。だから、それでいいのかと私は言っているのです。  そういうことで、今後も新しい医療計画が進んでいったら、何かよくわからないけれども、そう いうのが出てきて、またまた嫌になってしまうのではないかという話になるのではないか、という 心配を私はしているのです。だから、しっかりやってもらいたいというお願いをしたわけです。 ○西澤委員 宮城先生には普段からいろいろ教えていただいています。今の発表も、全くそのとお りだと思っていますので、これからも頑張っていただきたいと思います。いま特定機能病院のほう でも、地域での連携ということですが、オーバーラップしている面もあるなという思いがあります。 そうすると、例えば特定機能病院における外来というのは、やはり地域医療支援病院と同じであれ ば、宮城先生がやったように、どんどん減らすというのが本当ではないかと思いますので、その辺 りをどう考えているかということ。  それから、8頁に非常にわかりやすい図を書いていただいたのですが、「診療と教育の分化と連 携」の中に地域医療支援病院というのが入っていないので、是非この中にそれを書き込んだものを つくっていただければありがたいと思います。 ○今岡参考人 実は地域医療支援病院も加えてと思ったのですが、もう複雑になってしまいました。 ここへ迂闊に書き込みますと、先生から質問されたらとてもお答えできませんので、割愛させてい ただきました。 ○石川参考人 先生がおっしゃるように、外来はできるだけ減少傾向というのは、もう始めており ます。ですから先ほど、昨年の時間帯によって紹介を経て予約を取ってくれと。それでやるという システムで、そこはかなりスリムになっております。それよりも、まずいことは、患者の待ちの問 題が非常にお叱りを受けておりまして、そこはだいぶ楽になった。職員がだいぶ怒られずに済むよ うになったというのは進歩であります。ただ、外来の患者数は減って、収益だけから見る人たちか らは、しばしば叱られております。 ○藤川委員 支援病院なのですが、身を削って宮城先生の所は中核病院として、支援病院として地 域連携、機能分化を実現してきたわけです。そういう中で、浦添市を中心とした二次医療圏の中の 全体としての総括とか、評価ということを、行政サイドを含めてやられているかどうか。いまです と、中核病院としては収支としては厳しくなっていますが、二次医療圏全体としてはどうなのかと いうことは、何らかの形で評価をしたり、総括をしているのでしょうか。それを教えていただきた いのです。 ○宮城参考人 この二次医療圏も、沖縄の場合は本島を3つ、北・中・南と。私のところは南部に なっているのですが、南部も、私の浦添と糸満では全然距離が違って、二次医療圏といっても全然 わからないわけです。医療圏の分け方そのものが、またどうしようもない分け方ではないかと思う のです。本当にやっていたら、実際に何でここが二次医療圏になっているのかと思うのです。決ま ったことだからこれはどうしようもなくて、1つは基本的にそういう評価をどこかでやれるように しないと、1回決まったものだからと言って、ほとんど変わりません。これは次に何か良いことを やろうと思うというか、いまの医療のニーズに合わせてやろうとしても難しいですよ。二次医療圏 ということでパッと決められますと、日の当たる所と当たらない所がはっきりしてきますから。1 つはいまおっしゃったことでは、私はそういうところを基本的に見直していただく必要があると思 います。  もう1つ、あえて地域医療支援病院のことで申し上げますと、先ほど今岡先生のほうから教育の ことが出ましたが、地域医療支援病院は私の所も臨床研修12名、おかげさまで毎年フルマッチで来 ているのですが、やはりこれはコモンディジーズを中心に、いろいろプライマリーケアのことをや らせることは基本です。いちばんに教育者、指導医の問題があって、どこもこれは悩んでおられる と思います。我々はみんな初めから広く浅くというか、そういう教育をされていません。だけど、 いまの人たちは広く知りたいのです。だから、そこはちょっといま問題がありますが、そういうと ころは例えば私の所からは長崎の甑島、喜界島、それは向こうから要請があったから出しているの です。だけど、すごく良い地域の現場の教育をしてくださるものですから、ずっと続けたいと思っ ています。というように、これは相手との関係がありますが、そういう新しい医者には、私の所で は基本的に5年間はスペシャリストをあまり考えません。救急からそういった。そういうことで了 解してきていただいていますから、そういうことで地域の支援をするという形も1つあるのではな いかと考えております。 ○齋藤委員 大学の立場としての特定機能病院制度について、ちょっと付け加えさせていただきた いと思います。いまいろいろお話がありましたことに別に異論があるわけではないのですが、その 役割の1つに高度医療技術の開発および評価というのがあります。国家レベルで言いますと、日本 の医学というのは、基礎医学の研究は世界に肩を並べるほどに発達してきているけれども、臨床研 究は弱いといいましょうか、世界的に評価されるものは極めて少ないというのが現実です。  したがって、国家レベルとしてもそのような臨床研究に非常に力を入れて拠点形成をし、人材を 育成していこうという大きな流れがあるように思います。そういうことに対して、やはり特定機能 病院の制度という開発・評価、あるいは人材の育成は極めて重要な制度であると思います。そのよ うなことにおいては、大学病院はほかのいろいろな特定機能病院と連携をしながら、広くこういっ た開発をしていくような、製薬会社と匹敵するぐらいの設備を持って、大学発、あるいは特定機能 病院発の我々日本の新しい薬が出ていく、というぐらいの気持でやっていかなければならないとい うように覚悟しています。薬だけ申しましても、開発がほとんど海外で行われるということは知的 財産の流出でありますし、資金の流出でもあるということで、国にとって何も良いことがない。そ ういうことを考えて、この特定機能病院をベースにして、私たちは拠点形成をしていく必要がある と考えていると思います。 ○山崎委員 特定機能病院にしても地域医療支援病院にしてもそうなのですが、外来の患者という か、一旦入院して治療が終了した患者が再来で受診する場合、再来の患者が減らなければ、やはり 特定機能病院や地域医療支援病院に勤務しているドクターを含めて、スタッフの過重労働というの は減らないと思うのです。そういうことを考えた場合に、先端医療はしょうがないとしても、だら だらと普通の一般の地域の病院で治療が継続できるような患者が、特定機能病院とか地域医療支援 病院に通院する必要は全くないと思うのです。  そういうことを考えた場合、診療報酬上の給付を下げて、患者負担を増やして、特定機能病院や 地域医療支援病院にだらだら通院することができない、というインセンティブは掛けられないので しょうか。そのようにすれば、特定機能病院、地域医療支援病院の再来の患者が少なくなって、 その分そこの病院のスタッフの過重労働というのは解消していくと思うのですけれども。 ○座長 ここはたぶん答える人がいないので、そういうご意見があったと承りました。時間になり ました。それぞれ思いのこもった発表をいただいたおかげで、委員の間からも大変活発な意見も最 後のほうで出ましたし、特定機能病院ならびに地域医療支援病院について私たちの理解も深まりま した。また、和田委員には質問は出なかったのですが、住民の考え方について貴重なデータをご報 告いただきました。お三方、どうもありがとうございました。  これで閉めさせていただきます。今後について、事務局から説明をお願いします。 ○企画官 次回ですが、改めて日程を確認させていただいて、またご連絡を差し上げたいと思います。 ○座長 それでは、皆様良いお年を。本日はありがとうございました。 照会先 医政局総務課 小野田 柳田 連絡先:03−5253−1111(内線2519)