06/12/27 労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会 第6回議事録 第6回 労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会 日時 平成18年12月27日(水)    15:00〜 場所 中央合同庁舎5号館    労働基準局第1、第2会議室 ○労働衛生課長 委員の先生方がお揃いですので、ただいまから、「第6回労 働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会」を開催いたします。  委員の先生方におかれましては、年末の大変お忙しい中ご出席いただきま して、まことにありがとうございます。  本来、部会長が議事進行を行うところですが、前部会長が退任されており ますので、部会長が選任されるまでの間、労働衛生課長の私が議事を進行さ せていただきます。  本日は、工藤委員、鈴木委員、田上委員、町田委員からご欠席の連絡をい ただいておりますが、その他の委員はご出席いただいておりますので、定数 を満たしていることをご報告申し上げます。  委員の交代について紹介をさせていただきます。公益代表として前部会長 の櫻井委員の後任に、東京大学名誉教授の和田委員が就任されております。 ○和田委員 よろしくお願いします。 ○労働衛生課長 部会長の選出についてご説明させていただきます。労働政 策審議会令第7条第6項に基づきまして、「部会長は部会に属する公益を代表 する労働政策審議会の委員から選出される」ということになっております。 当部会の委員のうち労働政策審議会の委員でいらっしゃるのは和田委員のみ ということでもありますので、和田委員に部会長にご就任していただくこと になります。よろしくお願い申し上げます。 ○和田部会長 僭越ですが、規定によりまして進行役を務めさせていただき ます。どうぞよろしくお願いいたします。  早速議題に入りたいと思いますが、議題に入る前に、事務局に異動があり ましたので、順次自己紹介をお願いできればと思います。 ○安全衛生部長 安全衛生部長の小野です。どうぞよろしくお願いいたしま す。 ○計画課長 計画課長の山越です。よろしくお願いいたします。 ○労働衛生課長 労働衛生課長の金井です。よろしくお願いいたします。 ○環境改善室長 環境改善室長の半田です。よろしくお願いいたします。 ○主任中央じん肺診査医 一瀬です。よろしくお願いいたします。 ○主任中央労働衛生専門官 主任中央労働衛生専門官の古田です。よろしく お願いいたします。 ○和田部会長 どうもありがとうございました。続きまして、事務局から本 日の資料の確認をお願いいたします。 ○主任中央じん肺診査医 私から資料の確認をさせていただきます。「議事次 第」がいちばん上に付いています。その次に本部会、じん肺部会委員の名簿 が1枚あります。その次に資料1として「平成16年、平成17年じん肺健康 管理状況」があります。資料2−1として「じん肺健康診断実施結果の推移」 があります。その次に資料2−2として「随時申請によるじん肺管理区分決 定件数等の推移」があります。次に資料の3として「平成17年業種別じん肺 健康管理実施状況」があります。次に資料4として「じん肺健康診断の内訳 について」、次に資料5として、「じん肺健康診断の肺がん検診受診状況」が あります。その次は資料6「アーク溶接作業における粉じん障害防止のため の工学的対策の推進について」という平成18年2月20日付けの行政文書が あります。最後に1枚資料7があります。こちらは「トンネルじん肺訴訟判 決結果概要」です。資料不足等がありましたら、事務局までお申し出くださ い。よろしくお願いいたします。 ○和田部会長 どうもありがとうございました。  本日の議題に移ります。本日の議題は、報告案件が1件です。まず、「平成 16年、平成17年じん肺健康管理状況について」事務局からご説明をお願いい たします。 ○主任中央じん肺診査医 私の方から説明させていただきます。資料1、2 −1、2−2、3を使って説明させていただきます。  まず、資料1です。表題に「平成16年、平成17年じん肺健康管理状況」 とあります。その1番目のじん肺健康診断結果についてです。これは在職者 のみについての結果です。じん肺法の7条から9条の2に基づいて、健康診 断を行っていますので、それについての結果の報告となります。  適用事業場数は、平成16年が4万4,167、平成17年が4万2,812。紛じん 作業従事労働者数は、平成16年が38万6,734人、平成17年が36万7,383 人。じん肺健康診断実施事業場数は、平成16年が1万8,759件、平成17年 が1万8,008件となっています。じん肺健康診断受診労働者数は、平成16年 が20万2,885人、平成17年19万6,841人となっています。じん肺法施行規 則に基づく事業者から各地方労働局に対する報告の集計結果となります。  その下の表は、じん肺法の13条に基づく管理区分決定で、都道府県労働局 において決定が下された数の報告の集計結果です。  有所見者の合計として、平成16年が7,113人、平成17年が5,972人いら っしゃいます。それぞれの内訳として、管理2、管理3のイ、管理3のロ、 管理4とありますが、管理2は、平成16年が6,279人、平成17年が5,245 人となっています。管理3のイは平成16年が530人、平成17年が452人と なっています。管理3のロは平成16年が297人、平成17年が261人となっ ています。管理3の合計は、平成16年が827人、平成17年が713人となっ ています。管理4は、平成16年が7人、平成17年が14人となっています。 いちばん右端の合併症り患件数は、管理2と3の合併症のり患の数を示した ものです。平成16年が8人、平成17年が7人となっています。  中段の随時申請に係るじん肺管理区分決定状況は、退職等をされた方が随 時、個人的に労働局に申請を行う者の管理区分の決定状況です。  管理区分の決定件数は、平成16年が2,810件、平成17年が2,966件です。 そのうち有所見者の合計は、平成16年が2,086人、平成17年が1,996人で す。その有所見者の内訳は、管理2は平成16年が1,260人、平成17年が1,122 人、管理3のイとして平成16年が290人、平成17年が299人、管理3のロ として平成16年が338人、平成17年が362人です。管理3の合計で、平成 16年が628人、平成17年が661人です。管理4は平成16年が198人、平成 17年が213人です。右端の合併症り患件数は、先ほどと同様に管理2と3の 数で、そのうち平成16年が601人、平成17年が533人です。  いちばん下の表の3、在職者で平成16年、平成17年中に合併症の療養を 開始した者の内訳です。こちらの表は、じん肺法の施行規則に基づき、事業 者からの報告を集計したものです。  療養を開始した者の合計は、平成16年が95人、平成17年が62人です。 内訳は、肺結核が平成16年が44人、平成17年4人、結核性胸膜炎が平成16 年が6人、平成17年が12人、続発性気管支炎が平成16年が18人、平成17 年が5人、続発性気管支拡張症が平成16年が2人、平成17年が1人、続発 性気胸は平成16年が0、平成17年が6人、原発性肺がんは平成16年が25 人、平成17年が34人です。  資料2−1の1枚紙をご覧ください。いま資料1でご報告しました、じん 肺健康管理状況について、昭和55年からの推移を載せた表になっています。 昭和55年がいちばん上にあって、平成17年がいちばん下になって、毎年の 数を示しています。  適用事業場数の変遷については、平成9年ごろまでは増加傾向を示してい ましたが、その後は減少しています。その次の粉じん作業従事労働者数は、 平成14年ごろには若干増加しているところもありますが、概ね減少傾向かと 思われます。その次のじん肺健康診断実施事業場数は増減を繰り返していま す。じん肺健康診断受診労働者数は、概ね減少の傾向にあるかと存じます。 新規有所見労働者数は、毎年減少している状況です。  右側にじん肺管理区分決定件数がありますが、有所見である管理2、管理 3、管理4はそれぞれ概ね減少しています。トータルとして見ても減少して います。合併症のり患件数も減少傾向にあります。いちばん右端の有所見率 も減少傾向にあります。  資料2−2は、資料1の中段で報告しました、随時申請分の管理区分決定 数の推移です。随時申請については、同じ方がいつでも何回でも申請するこ とができますので、なかなかその傾向を見い出すことは難しいのですが、直 近の数年間を見ていくと、例えば管理2は1,000人から1,200人程度、管理 3は700件前後、管理4は200件前後、有所見者の数を見ていくと、大体2,000 人前後、合併症り患件数は500人から700人といった数字が見受けられます。  資料3は、「平成17年業種別じん肺健康管理実施状況」です。日本標準産 業分類に基づいて、業種別に先ほどのじん肺健康管理状況をとってあります。  真ん中に新規有所見労働者数がありますが、多いところを拾っていきます と、製造業は、製鉄・製鋼・圧延業が15名程度、鋳物業が12名、金属製品 製造業47名がいちばん多くなっています。一般機械器具製造業が27名、電 気機械器具製造業が15名となっています。鉱業を見ていきますと、採石業が 16名になっています。  資料1から3までは以上です。 ○和田部会長 どうもありがとうございました。ただいまのご説明について ご意見、ご質問がありましたら、どうぞご自由にご発言ください。特になけ れば、当部会としてこの報告を承ったことにしたいと思いますが、いかがで すか。 (異議なし) ○和田部会長 どうもありがとうございました。  続きまして、「その他」として、資料4からの説明をお願いします。 ○主任中央じん肺診査医 資料4から7を説明させていただきます。  まず資料4です。「じん肺健康診断の内訳について」です。これは前回の部 会で、粉じん作業従事労働者数とじん肺健康診断実施人数が乖離しているこ とについて、本日ご欠席の委員からご質問があり、全員が年1回のじん肺健 康診断を受けるのではなく、3年に一度の健康診断でよい者がいるために、 粉じん作業従事労働者数とじん肺健康診断実施人数に乖離があるというをお 答えしておりました。  そして、その際に次回報告事項となっていた具体的な健康診断の受診率等 について、3年に1回の受診者数と毎年の受診者数を集計したものを3年分 掲載しておりますのが、中段の表になります。粉じん作業従事労働者数が12 月末日現在の1回の数字になります。これを翌年2月までに報告していただ くことになっているのですが、平成15年は35万1,731人、平成16年は38 万6,734人、平成17年は36万7,383人となっています。  それに対して、じん肺健康診断実施数は1月1日から12月31日までの1 年間に実施した延べ数となっています。この中には就業時健診、定期健診が あり、3年に1回定期健診を受診する方と毎年1回定期健診を受診する方と いらっしゃいます。それと定期外の健診、離職時の健診です。この4種類の 健診を合わせた数字が計として載っています。こちらが、平成15年が18万 3,961人、平成16年が20万2,885人、平成17年が19万6,841人となってい ます。 このようになっていることから、粉じん作業従事労働者数とじん肺 健康診断実施数を、単純に実施状況受診率を比較することは非常に困難です。  資料5は、「じん肺健康診断の肺がん検診受診状況」です。平成15年から じん肺管理区分の管理2及び管理3の者に対して、肺がん検診の制度が導入 されたことにより、肺がん検診の実施されている数がどのぐらいあるのか前 回の部会でお尋ねがありましたことから、それを報告するための資料です。  上段の「じん肺法施行規則の改正によるじん肺健康診断の流れ」をご覧い ただくと、左上に記載されている、「常時粉じん作業に従事している管理2ま たは管理3の労働者」の方は、定期のじん肺健康診断として1年1回受診す る機会があります。それで、肺がんにかかっている疑いがあるとされた者に ついては、医師の判断に基づいて、肺がんに関する胸部のらせんCT、喀痰 細胞診を行うことになります。  他方、右上の、「常時粉じん作業に従事したことがあり、現在は、非粉じん 作業に従事している管理2の労働者」については3年に1回は、この左側の 定期じん肺健康診断があるのですが、残りの2年については、労働安全衛生 法に基づく定期健康診断を受診していただきます。その労働安全衛生法に基 づく定期健康診断で肺がんの疑いがある場合については、定期外のじん肺健 康診断を受診することとなり、その時に医師の判断により、肺がんに関する 胸部らせんCT検査、喀痰細胞診を行うこととなっています。  それと、この図には載っておりませんが、「常時粉じん作業に従事したこと があって、現在は非粉じん作業に従事されている」管理3の者についても同 様にじん肺からの肺がん検診を受ける機会は毎年あります。  中段に資料1のじん肺法施行規則に基づき、各事業者から労働局宛てに報 告されている数字があります。その中で定期外健康診断としてとっています が、そのうち平成15年からは肺がん検診の数もとっています。平成15年は 定期外健康診断ですと2,682件、うち肺がん検診は583件となっています。 平成16年は定期外健康診断は2,624件、肺がん検診は1,084件となっていま す。平成17年は定期外健康診断は3,178件うち肺がん検診は1,313件となっ ています。  参考までに、右側の表に新規の合併症の原発性肺がんをとっています。こ れは左側の肺がん検診から見つかったものではなくて、また別のもので、各 事業場から地方労働局に対して、新規合併症として原発性肺がんがあるもの という項目で拾っています。平成15年は26人、平成16年は25人、平成17 年は34人となっています。  資料6は、「アーク溶接作業における粉じん障害防止のための工学的対策の 推進について」という行政文書です。じん肺の新規有所見者は減少傾向にあ るとはいえ、依然として年間250人程度の新規有所見者が発生しています。 その中で金属製品製造業、機械器具製造業を始めとする、アーク溶接作業に 係る作業者の占める割合が高い状況であります。  粉じん対策については、粉じん障害防止規則や第6次粉じん障害防止総合 対策に基づいて実施されていますが、アーク溶接作業については、この第6 次粉じん対策における重点事項として位置づけられており、局所排気装置等 の設置による作業環境の改善や呼吸用保護具の着用の徹底等を、事業者が重 点的に講ずべき措置として指導を行っています。  平成18年2月20日にアーク溶接作業における粉じん作業の更なる推進の ために、作業環境の改善に必要かつ有効な工学的対策として、局所排気装置、 プッシュプル型の換気装置、ヒューム吸引トーチ、自動アーク溶接等の実際 に事業場で実施している具体的事例を収集し、別添の「アーク溶接作業にお ける粉じん対策」を作成し、各地方労働局宛てにお知らせしています。この 冊子は、中央労働災害防止協会等のホームページに載せて、ダウンロードで きるようにするなど広く周知を図っています。こういう事例集ができたこと を、この部会に報告させていただきます。参考までにご覧いただければと思 います。  最後、資料7です。「トンネルじん肺訴訟判決結果概要」です。現在、15件 トンネルじん肺関係で訴訟が起こっており、そのうち地裁判決が今年3件出 ています。その概要についてまとめています。事件の概要は、トンネル工事 で粉じん作業に従事した労働者が、じん肺にり患した責任は国にあるとして 損害賠償を請求した訴訟です。被告として、厚生労働省以外にも、トンネル 工事の発注者とも対象となっています。さらに、使用者側の企業の責任も求 められています。  判決としてこの資料に示しているのは、厚生労働省の担当部分だけです。 東京地裁判決が平成18年7月7日に出ています。違法とされた箇所は規制権 限の不行使があったものです。具体的には防じんマスクの使用の重畳的な義 務付けを行っていなかった、粉じん濃度測定の義務付けを行っていなかった、 エアラインマスクの使用の義務付けを行っていなかったことを違法行為があ ったとするものです。  違法とされた期間は昭和61年末以降です。認容金額は1人当たり最大220 万円で合計6,930万円です。これはじん肺管理区分2、3、4の者すべてに ついて認容しています。こちらは原告49名中44名です。この東京地裁判決 に対して、7月19日、東京高裁に控訴しています。  真ん中の熊本地裁判決は、7月13日に判決が出ています。違法とされた箇 所は規制権限の不行使、防じんマスクの使用の重畳的義務付け、粉じん濃度 測定の義務付け、散水措置の具体的な義務付け、発破退避時間確保の義務付 けがなされなかったとするものです。違法とされた期間は昭和35年4月以降 です。認容金額は1人当たり最大330万円、合計で2億5,931万8,693円で す。対象はじん肺管理区分2、3、4の内、労災補償の対象者について認容 しています。それは原告196名中160名です。7月19日に福岡高裁に控訴し ています。  いちばん右側の仙台地裁判決は10月12日に判決が出ています。違法とさ れた箇所は防じんマスクの使用の重畳的義務付けと粉じん濃度測定の義務付 けがなされていなかったものです。違法とされた期間は昭和61年11月以降 で、認容金額は1人当たり最大330万円、合計で2億7,060万円です。じん 肺管理区分2、3、4の者すべてについて認容しています。原告の139人中 86名が対象となっています。こちらは10月19日仙台高裁に控訴しています。  説明は以上です。 ○和田部会長 どうもありがとうございました。資料4から7に関して何か ご質問等ありますか。 ○吉田委員 前回資料4に関して、受診率がどのぐらいなのかが課題だった と思うのですが、労働者数が12月末日でワンポイントの数字で、一方で実施 数は延べ数なので、いわゆる受診率は、分母、分子で簡単には出せないのだ という先ほどのご説明だったと思うのですが、逆に言いますと、この数字は どの辺に見定めるかは見方があろうかと思いますが、3年に1回の方が15万 7,000人から受けておられるということから、数多くの方が辞めておられるこ ともあり得るのですが、相当に高い受診率と言いましょうか、あとで網羅さ れている、その漏れがそんなに起きてないという理解でよろしいのですね。 ○主任中央じん肺診査医 はい、資料4の真ん中をご覧いただきますと、3 年に1回、3年分足しますと、平成15年から17年を合わせて45、46万人ぐ らいになりますので、十分粉じん作業従事労働者数を超えていますので、か なりの割合で健診ができていると推測されます。 ○和田部会長 そのほか何かありますか。よろしいですか。何もなければ、 本日の会議を終了いたします。  なお、議事録については、労働政策審議会の運営規定の第6条第1項によ り、議事録には部会長の私と私の指名する委員の方お2人が署名することと されています。署名は労使代表1名ずつとしたいと思います。本日の議事録 の署名は松下委員と清川委員にお願いしたいと思います。  皆様、お忙しいところありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課(5493)