06/12/21 平成18年12月21日薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会議事録 薬事・食品衛生審議会 化粧品・医薬部外品部会 議事録 1.日時及び場所   平成18年12月21日(木) 14:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(8名)五十音順   井 上   達、 奥 田 晴 宏、 神 田 敏 子、 宗 林 さおり、   徳 永 裕 司、 西 島 正 弘、 米 谷 芳 枝、◎溝 口 昌 子   (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名) 小 澤   明、 北 澤 京 子、○塩 原 哲 夫、 望 月 正 隆 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   森 口   裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構一般薬等審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点から非公開で開催された。 ○事務局 ただ今より、「薬事・食品衛生審議会化粧品・医薬部外品部会」を開催いた します。大変恐縮ですが、審査管理課長の中垣はただ今こちらに向かっているところで すので、審査管理課の補佐をしております山本から御挨拶させていただきます。  委員の皆様方におかれましては、年末の大変お忙しい中、御出席を賜りまして誠にあ りがとうございます。会議開催にあたり、委員の変更について事務局より御報告させて いただきます。長尾委員が退任され、後任に国立医薬品食品衛生研究所所長の西島委員 にお願いいたしました。  本日の出欠状況ですが、12名中8名の御出席をいただいておりますので、定足数に達 しておりますことをこの場で御報告申し上げます。なお、小澤委員、北澤委員、塩原委 員、望月委員は御欠席です。  議題として、本日は化粧品基準の一部改正について御審議をいただくことを予定して おりますので、よろしくお願い申し上げます。以後の議事進行は溝口部会長にお願いい たします。 ○溝口部会長 本日は、年末の大変お忙しいところ、化粧品・医薬部外品部会に御出席 いただきまして誠にありがとうございます。議事に入ります。事務局から、本日の配付 資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、委員名簿です。 事前に配付いたしました資料として、資料1-1は「チオクト酸」に関する資料、資料1-2 は「紫外線吸収剤」に関する資料、資料2-1は「医薬部外品原料規格2006について」、 資料2-2は「平成18年3月31日付け医薬食品局長通知」、資料2-3は「平成18年3月 31日付け審査管理課長通知」です。以上5種類の資料です。本日配付いたしました資料 1-3は「化粧品基準の一部改正(案)について」、参考資料として「化粧品基準」を配付 しております。 ○溝口部会長 本日の審議事項は、「化粧品基準の一部改正について」です。事務局か ら説明をお願いいたします。 ○事務局 化粧品基準の一部改正について、個々の成分の審議に入っていただきます前 に、化粧品の制度について簡単に御説明いたします。化粧品については、平成13年4月 より、化粧品基準を制定し、企業責任の下に品質や安全性を確認した上で、成分を選択 し配合することとし、全成分表示を行うこととなっております。  本日配付いたしました参考資料の化粧品基準の1枚目中ほどに「化粧品基準」と記載 されており、以下1〜4まで基準が記載されております。1が総則、2が防腐剤、紫外 線吸収剤及びタール色素以外の成分の配合禁止の基準、3が防腐剤、紫外線吸収剤及び タール色素以外の成分の配合に制限があるものの基準、4が防腐剤、紫外線吸収剤ター ル色素の配合に制限があるものの基準です。それぞれ、資料の3ページ以降に別表とし て明記されております。  資料1-1及び1-2を基に御審議いただきます成分は、医薬品成分及び紫外線吸収剤で す。本日の審議において御了承、御承認いただけましたら、化粧品基準の一部改正を行 い、資料1-3の内容が、現行の化粧品基準の別表に掲載され、化粧品の成分として使用 することが可能となるものです。  個別の成分について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。 ○機構 資料1-1、チオクト酸について、評価報告書に基づき、機構における評価の概 要を御説明いたします。評価報告書の2ページの、成分分類欄に「医薬品の成分」とあ るとおり、医薬品の成分を化粧品に配合することが要請されたものです。成分名及び希 望表示成分名はチオクト酸、要請者は株式会社ファンケル、配合量は化粧品製品100g 中の最大配合量として、粘膜に使用することがない化粧品のうち、洗い流すものに0.01 g、粘膜に使用することがない化粧品のうち、洗い流さないものに0.01gです。粘膜に 使用する化粧品には配合しないということです。  本成分については、専門協議における専門委員の意見を踏まえ、総合機構において評 価を行いました。チオクト酸は、昭和38年に承認され、古くから使用されております医 薬品の有効成分であり、「チオクト酸の需要が増大した際の補給(激しい肉体疲労時)、 Leigh症候群(亜急性壊死性脳脊髄炎)、中毒性(抗生剤のストレプトマイシン、カナマイ シンによる)、及び騒音性(職業性)の内耳性難聴」の効能効果が認められております。  要請者は、チオクト酸の生体内でのエネルギー代謝における抗酸化作用に着目し、皮 膚に塗布することで、皮膚細胞の酸化傾向を抑制し、エネルギー産生を高め、皮膚の新 陳代謝を向上させ、角層の保湿機能を高めることを確認しており、化粧品の効能として 認められております「肌荒れを防ぐ。皮膚にうるおいを与える。」などを標榜すること を目的として開発されたものです。  次に、外国おける使用状況です。米国においては、米国化粧品工業会の定める、化粧 品国際名称に、1998年8月に登録され、2001年から本成分を配合した化粧品が販売され ているということです。EUにおいては、ポジティブリストの収載対象となっていない 成分ですので、明確な市販実態が分からないということですが、要請者の情報によると、 英国において販売されていることが確認されております。  3ページの(3)の日本における使用状況についてです。チオクト酸は、医薬品として注 射薬、内服薬の承認前例があります。また平成16年3月31日には、医薬品的効能効果 を標榜しない場合の食品への添加が認められております。以下、ロの物理的化学的性質 等に関する資料、ハの安全性に関する資料のうち、単回投与毒性、反復投与毒性、生殖 発生毒性及び4ページの局所刺激性のうち皮膚一次刺激性、連続皮膚刺激性については 特段の問題はありませんでした。  4ページの(3)眼刺激性について、虹彩の炎症が確認され、21日目に回復したと述べら れておりますが、病変の観察が肉眼で行われており、虹彩の病変は眼の深部に及ぶもの ですので、その回復性については細隙灯顕微鏡により正確に確認するべきである、とい うことを要請者に指摘いたしましたところ、要請者はこの指摘を受け入れるということ で、観察を細隙灯顕微鏡により行うこととして、再度試験を実施しております。  その再試験においての結果ですが、10%群に角膜混濁、虹彩の異常が認められました が、各々11日後及び4日後に回復。1%群、0.1%群においては結膜の発赤、浮腫、分 泌物等が観察されましたが、24時間後には回復。0.1%の結膜症状は、いずれも評点1 であり、1%では投与直後に閉眼が認められましたが、0.1%では認められないという結 果でした。  10%群に認められました角膜混濁、虹彩の異常については回復性であり、また最大配 合量の100倍の濃度である1%群では観察されなかったということ、0.1%群に観察され た結膜症状についても、投与24時間後に消失するごく弱い反応であるということから、 本成分の最大配合量である0.01%における眼刺激性は問題ないと判断されております。  抗原性、光毒性、光感作性、遺伝毒性については特段の問題はありませんでした。  ヒトパッチについては、本成分及び試験製剤として、クリーム剤について実施されて おります。本成分については、1時間後に陽性が2例、疑陽性が2例観察されておりま すが、除去24時間後の判定では、その4例のうち陽性例1例は疑陽性に、残る3例は陰 性となっております。また、除去24時間後の疑陽性の1例について、1週間後に再度試 験判定が行われており、陽性反応は認められなかったということから、反応は一時的な 刺激反応と考えられております。また、クリーム剤では1時間後に疑陽性が4例観察さ れましたが、24時間後ではすべての被験者で陰性という結果でして、ヒト皮膚に対して 刺激反応を惹起する可能性は少ないと考えられております。  次に、吸収・分布・代謝・排泄です。経皮吸収について、ブタ皮膚を用いたin vitro 皮膚透過性試験が実施されております。機構は、排泄についてはインタビューフォーム の内容から、特段の問題はないと判断いたしましたが、提出されましたブタ皮膚を用い たin vitroの皮膚透過試験成績をどのようにヒトに外挿して評価するのか、考え方につ いて要請者に説明を求めたところ、要請者から、本成分の安全性については、吸収率を 100%と仮定して、安全係数を求める旨の回答がなされたところです。  したがって、次の安全係数ですが、本成分の経皮適用での吸収率を100%として、最 大配合量0.01%を配合した製品を、1日に2回塗布した場合の安全性について、ラット 反復皮下投与毒性試験における無毒性量が32mg/kg/日と、生殖発生毒性試験における無 毒性量64mg/kg/日の結果より、6ページの下の方に示しておりますが、この方法により 安全係数が算出されております。  1日2回塗布した場合の安全係数は、ラット反復皮下投与毒性試験における無毒性量 に対して250倍、生殖発生毒性試験における無毒性量に対して500倍です。これらは、 吸収率を100%と仮定して算出したものですので、経皮適用ではさらに高値となるもの と考えられます。  機構は、以上の結果から、本成分の安全性については特段の問題はないと判断いたし ました。  以上の提出された資料から見まして、機構は、本成分「チオクト酸」を要請のとおり 「化粧品製品100g中の最大配合量として、粘膜に使用することがない化粧品のうち洗 い流すものに0.01g、粘膜に使用することがない化粧品のうち洗い流さないものに0.01 g」で、化粧品基準に収載して差し支えないと判断し、化粧品・医薬部外品部会におい て審議されることが妥当であると判断いたしました。以上が評価の概要です。御審議の ほどよろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 ただ今の説明について、御意見、御質問がありましたらお願いいたしま す。これを御了解いただきますと、新規収載成分ということになりますので、少しずつ 検討させていただきたいと思います。3ページにあるのは、安全性をきちんと審査する 必要があるものです。単回投与毒性、反復投与毒性、局所刺激性の前までの(1)、(2)、 (3)に関して御意見を頂戴いたします。  特にないようでしたら後でも結構ですので、次の局所刺激性も併せて御検討をお願い いたします。 ○井上委員 安全性に関する検討ということですので、今伺った説明についてのコメン トを申し上げます。結論として問題となるところはないだろうと判断されます。単回投 与毒性試験の、最高用量で自発運動の減少と振戦が観察されていることはありますもの の、極めて高用量に相当いたしますし、反復投与毒性試験についても、特に最高用量の 問題で、特にそれが許容量まで外挿される問題はないものと思われます。生殖発生毒性 試験についても同様です。  局所刺激性試験については、眼刺激性のところで細かく再試験などを行っておられま すし、その説明がありました。私は、学生時代のことは忘れてしまいましたけれども、 細隙灯は「さいげきとう」と読むのではなかったでしょうか。それも調べて、眼の深部 も顕微鏡検査をしているということです。  その後、結膜等の発赤、浮腫、分泌物等についても検討されておりますが、ここにあ りますように100倍に希釈した上で、さらにそれの0.1%ということで見ている状態で すから、これも実際上の問題は全く想定されないだろうと考えられます。 ○奥田委員 話を少し元に戻してしまうので恐縮なのですが、物理的化学的性質という ところについてお伺いします。ロのところで、毒性、安全性の話とは観点が違ってしま うのですけれども、確認したいことは、ここで審査するのはチオクト酸というものをポ ジティブリストに収載する。そのときに、その性質というのはロに書いてあるようなも のを使うと。例えば、蒸発残留物が0.5%ではなくてもっと大きかったらそれは使って はいけないのだということをこれは示しているのか、そこを聞きたいのです。この規格 とか試験法というのは、どういう位置づけにあるのかということです。 ○機構 化粧品基準の収載事項として、規格の内容は対象になっておりません。ですか ら、ここで評価したものが条件になるということではありません。 ○奥田委員 分かりました。この数字自身がどうこうというのはたぶんこんなものだろ うと思って、これはこれでおよそ適当だと思っているのですが、この位置を確認したか ったので質問させていただきました。 ○溝口部会長 先ほど、私が物理的化学的性質をスキップしてしまいましたので、申し 訳ありません。安全性、局所性も含めてほかに御意見はありませんか。 ○神田委員 2ページのところで、米国においても配合した化粧品が販売されていると 言われておりますが、これはどの程度配合されているか分かるのでしょうか。それから、 EUの方も要請者が調べたら英国で販売されていると報告されていますが、ここも何の 問題なく使われていると受け止めていいのでしょうか。  よく分からないのですが、100倍濃度でも1%群で云々とかいろいろ検査の報告があ ります。結膜状態に何か観察されるものがあっても、例えば24時間後には消失したので それはごく弱い反応であるということになっております。私のような素人からすると、 24時間後に消失することが弱いと判断するものなのかどうかを改めて教えてください。 弱いとは言えないのではないかと思ったりしたのですから、例えば48時間続いたら弱い とは言えないというようなものがあるのでしょうか。 ○機構 1問目の、濃度配合量の件ですが、チオクト酸を化粧品に配合することに関し ては、米国もEUも特に規制がありませんので、何パーセントまで配合されているかは 分からない状況です。先生がおっしゃいましたとおり、申請者が調べたところによると、 米国の製品には□□□%検出されたということです。  眼刺激性の評価の方法ですが、このものは粘膜には使用しないということですので、 判定としては厳密に厳しく見ることはないのですけれども、結膜の症状が起こったもの が、軽度で24時間で消失していれば、粘膜に使用しないのであれば、通常はいいのでは ないかという判断が下されると思います。これは、毒性の専門委員の先生に症状を見て もらいながらということになりますので、一概には言えません。この場合、実際に使う 濃度よりもかなり高い濃度で出ているということですので、実際の濃度では特に問題は ないだろうという評価です。 ○神田委員 分かりました。ただ、アメリカなどで使われているものを調べる、という ことはしないわけですね。使われているということだけであって、この数字が本当に一 般的に使われている所の数字も分かれば比較ができると思ったのです。そういうことは、 細かいデータを調べるわけではなくて、あるいは物を分析してみるわけでもなくて、た だアメリカでは使われているというようなことでしかないのですか。 ○溝口部会長 外国で使われているならば、そのときの事故みたいな報告があるかどう かということですか。 ○神田委員 何かあるかどうか。 ○溝口部会長 そういう報告をお知りになりたいようですけれどもいかがですか。 ○機構 外国におきます使用状況は、非常に有益な参考情報になりますので、このよう な資料を求めているところです。外国における健康被害の情報がないか、というのは当 然評価の中で求めておりますが、このものについては特にないということです。 ○神田委員 数字は分かりました。整理ができていなくて申し訳なかったのですが、事 故というようなことも説明があればありがたかったのです。 ○溝口部会長 眼の刺激は気になるところかと思います。これは粘膜には使用しないと いっても、化粧品に使った場合は眼に入る可能性はあろうかと思います。眼に対する眼 刺激性は問題ないという判断のときは、審査の段階で眼科の医師の判断も入っているの でしょうか。 ○機構 この評価については、眼科医の専門委員と、動物実験の専門家である毒性の専 門委員に評価をしていただいております。 ○溝口部会長 外国の話が出たついでにもう一つお伺いします。外国では、どういう効 能で使われているのか分かりますか。 ○機構 申請者の情報によると、米国の表現ですので明確ではありませんが、顔色を良 くするというような効能で販売されているようです。 ○徳永委員 2ページのところで、医薬品の成分の該当資料の有効性のところですが、 チオクト酸は医薬品で使われておりますのでいろいろなことがうたわれております。実 際は、「皮膚細胞の酸化傾向を抑制し、エネルギー産生を高め、皮膚の新陳代謝を向上 させ、皮膚の保湿機能を高めることを確認しており」とありますが、これはどのような 方法で確認されているのですか。実際の化粧品の効能として認められている「肌荒れを 防ぐ。皮膚にうるおいを与える。」というところと、申請者が言っている、「このよう な皮膚のエネルギー代謝は高活性作用」というところはどう考えているのですか。  いちばん心配するのは、こういう所で審議してOKになったときに、皮膚の細胞の酸 化抑制機能とか、こういうことをうたって、0.01%でうたい始めるのです。それで、あ れっと思って、こういうことではないのにというところでかなりうたわれ始めますので、 特にコエンザイムQ10というのがかなり大げさにうたって、あれっと思っています。そ の辺は、たぶん頑張っても肌荒れを防ぐとか、皮膚にうるおいを与えるということぐら いだと思うのですが、別のところで走り出しますので、そこはどう考えるのですか。 ○機構 先生のおっしゃるとおりだと思います。ここは、要請者がチオクト酸を化粧品 に使いたいという目的を紹介しようということで挙げたものでして、実際に有効性のデ ータを確認したわけではありません。先生のおっしゃることも確かですので、そういう 方向で評価報告書の方は削除する方がよろしいでしょうか。 ○徳永委員 医薬品から化粧品ということで、ほとんど機能のところはうたってなくて、 審査のところもたぶんないと思うのです。そこが勝手に独り歩きして、実際に承認にな ったときには大げさにうたわれますので、そこはよく気をつけてください。考えていな いところでうたって、□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□□□□ □□□□□と思います。□□□もそうですし、その辺をよく考えてということになると 思います。そこはよく見ていてください。 ○溝口部会長 もっともな御意見だと思いますけれども、「角層の保湿機能を高めるこ とを確認しており」というところの前に、今徳永委員がおっしゃったことがずっと書い てあります。確認しているのだったら、データを出していただきたいと思うのですが、 それは一切求めていないのですか。 ○機構 評価の対象としておりませんので、今御指摘のとおり、要請者は、次の「チオ クト酸の生体内で」から、次の次の行の「確認しており」のところは削除させていただ きたいと思います。 ○溝口部会長 「確認しており」までを削除します。そうすると、次の化粧品の効能と して認められている「肌荒れを防ぐ。皮膚にうるおいを与える。」ということを標榜す るには一切データはなくても、今の規制だと標榜しても構わないということになるので しょうか。これも書いてあると利用されそうな気がするのです。 ○事務局 化粧品の規制の方では、化粧品としてうたえる効能ということで55項目挙げ ております。これらについては、どの成分であればこういう効能をうたってもいいとい うことは特に示しておりません。化粧品の製品全体としてうたえる効能の範囲というこ とで限定しております。ですから、今回の化粧品基準の収載にあたっても、どういう効 能を持っているからというところは、基本的には主たる審査対象ではないということか と思います。  チオクト酸の効能といいますか作用についてですけれども、資料概要のイと付いてい る2ページのところに、イ-3という項目で要請者の説明があります。そこのチオクト酸 が生理学的にこういう作用を持っている、という説明と、それを基にして皮膚の保湿機 能を高めることが期待されるという説明をしておりますので、「確認しており」という ところは、少し行きすぎた記載になっているかと思いますので、先ほどお話しましたよ うに、適正に修正させていただければと思います。 ○溝口部会長 「確認しており」までを削除するということでいいですか。「期待して いる」というよりも、「目的として開発」、すみません、どういうことでしょうか。 ○審査管理課長 削除させていただきます。 ○溝口部会長 これは、還元型の解毒剤として、既に医薬品として用いられているもの ですので、安全性というよりは、今みたいなところを検討した方がよかったかと思いま す。これが認められますと、配合制限のある成分として、化粧品基準の一部改正に載り ますので、もう少しここで安全性を御検討いただきたいと思います。  今までの部分と、先の光毒性以降ヒトパッチテストまでで御意見を頂戴いたします。 ○宗林委員 ヒトパッチテストのところについて、お尋ねいたします。24時間フィンチ ャンバー密封して除去後1時間後、24時間後の皮膚反応を観察したという意味だろうと 思うのです。詳細データを見ますと、24時間塗布して、外した後1時間後でも疑陽性の 方が2名、プラスが2名というデータ、24時間後で疑陽性が1名までということです。 ハ-11を見ているのですが、チオクト酸が配合されたものの判定結果の疑陽性、陽性の 出方というのは、健常人ばかりではなくて、いろいろな方が使うということで考えます と、このデータというのはほかのものと比べてどうなのだろうかと思うのです。  皮膚刺激指数という言葉で、15以下ならば安全だというような表が付いていて、これ によっての判定となっているのですが、一般的にこういうことをされているのでしょう か。本日出されているもう一方の物質には、こういう評価はされていないようですので、 御意見を伺います。 ○機構 ヒトパッチの判定方法ですが、刺激指数だけで見ているわけではなく、プラス だとか、プラスマイナスの発生状況を見て、あるいは回復するかということを見て判断 しております。40名以上で実施しますので、ここにもあるように生食とか蒸留水でもプ ラスマイナスが出る被験者がいます。その辺は対照としながら、特にプラスが出た場合 には回復をする、そんなにたくさんの被験者には発生しないということを見ながら評価 しています。  もう一つこの場合には考察の対象になると思うのですが、実際に使用した濃度が、い ちばん少ない量で最高用量の10倍だということですので、そのことも併せて判断してお ります。 ○宗林委員 毎日付けることも考えますと、除去後24時間後にはまたすぐに付ける、夜 落としてもまた次の日に付けるという使い方もあると思うのです。その中でも十分安全 な範囲という判断ですね。 ○機構 ヒトパッチの場合は、閉塞貼付ですので、強制的に刺激反応が出やすいという 条件でやっております。実際の使用方法は閉塞ではありませんので、その辺も判断の一 つとしております。 ○溝口部会長 大体いつも行われているパッチテストの方法では、きちんとやってある と思います。ただ、それと毎日使用ということが問題になると思います。それは、すべ ての化粧品に言えることなので、これだけが特別ではないと考えます。ほかのことに関 してはいかがですか。 ○米谷委員 先ほどの話に戻ってしまいますが、現在外国で使われている状況で、EU や英国で使われている実態があるにもかかわらず、現在まだポジティブリストに載って いないということについて何か情報があれば知っておきたいと思います。 ○機構 EUの規制ですが、収載の対象になっていないということです。収載されなく ても企業責任で使えるという取扱いです。 ○溝口部会長 抗原性のところで、動物の数も20匹ですので試験そのものは問題ないと 思います。医薬品から化粧品にという場合は、化粧品を使っていて感作した場合に、今 度は医薬品として全身投与がされた場合にアレルギー反応が起こると思うのです。今の 段階では、医薬品を化粧品に持ってくるときの抗原性を調べるときに非常に厳しくして、 もっと違う方法でやるという法律はないわけですね。外用していて、もし感作した場合 に、元が医薬品ですから、医薬品として用いられたときに非常に強い反応が起こる可能 性があります。これは法律を伺っているのですが、今の段階では、そういう段階で厳し くするという規定は何もないわけですね。 ○機構 このものは内服あるいは注射で医薬品として使用されているものを、経皮適用 ということです。経皮に適用していいかどうかという判断において、経皮での感作性を 見たということです。それが、感作を高めるかどうかということに関しては、今のとこ ろは検討の対象外になっております。 ○溝口部会長 感作を高めるという意味ではないのです。通常どおりやって、感作性が ないことはよく理解しております。ただ、より慎重にやらなければいけないのではない かと思うのです。ほかに、安全性に関してはいかがでしょうか。 ○西島委員 安全性ではなくて、先ほどの効能についてです。2ページのところで、一 部を削除して、効能として「肌荒れを防ぐ。うるおいを与える。」を標榜することを目 的とするということでした。今回初めてなので分からないのでお聞きしたいのですが、 化粧品のこういう成分については効能についてうたうのですが、科学的な根拠なしにう たってもいいということですか。 ○審査管理課長 化粧品について、安全性はこういう場でチェックしていくというのが 大原則になっています。一方、有効性については、オーソライズする範疇ではない。そ れは、もちろん一般的な法規制として、人を騙してはいけないとか、嘘をついてはいけ ないということは当然あるわけですが、それは各社で担保することであって、それを国 が一つずつ、医薬品と違って良いとか悪いとかということを言うような法規制にはなっ ていないと考えております。 ○徳永委員 6ページの(10)吸収・分布・代謝・排泄のところでお聞きします。申請者 のブタの皮膚を用いているin vitroの経皮吸収をやっているわけです。それに関して機 構から、経皮吸収のブタの皮膚を用いた場合の皮膚透過性の評価のところで質問を求め たら、要請者の考え方は、一応安全係数まで吸収率100%と仮定してやっています。そ この経皮吸収試験というのは、in vitroの発生法はOECDでも固まっております。経 皮吸収でこれぐらい入りますということと、ヒトとの外挿の方法の考え方にいてはどう 考えておられますか。  経皮吸収試験をやるときに、ヨーロッパではなるべく動物を使わない方法でずっとや ってきて、こういうことになってき始めて、下手したら三次元の皮膚培養モデルをやっ てきて、経皮吸収を大体見ましょうということになってきています。ヒトへの外挿がほ とんどできない状況なのですけれども、これでもいいとするのか、0.1%ぐらいとか、そ の吸収率を見ながらやった場合に、全部100%で外挿しながら見てください、というこ とでずっと説明を求めるのですか。 ○機構 OECDでin vitroの経皮吸収試験は、まだガイドライン化されていないと認 識しています。 ○徳永委員 一応されたかと思っています。 ○機構 バリデートされているのでしょうか。 ○徳永委員 バリデートされながら、動物の皮膚を使ってということになっています。 ○機構 やはりin vitroですと血流がありませんので、実際の吸収よりも吸収率が少な くなってしまうことがあります。今のところ、それの確認においては慎重に扱うべきか と考えておりまして、こういう考え方を示したところです。 ○徳永委員 特に医薬品の場合は軟膏剤とか有効成分もありますが、その場合にはヒト でやる前に動物でやって、in vitroも当然やっていますので、その辺も見ながらいろい ろ効能効果を見ていく。これは有効成分ではないので、効能効果まで見えませんのでや らなくてもいい、血中濃度まで測らなくてもいいかもしれませんけれども、どこまでを 経皮的に見なさいというときに、どういう試験法でやったらいいのか、というところが 分からないのでお聞きしました。 ○審査管理課長 この辺りは先生が御存じ、あるいは先生の方が御専門のように、非常 に急速に新しい考え方が取りまとめられようとしている部分だろうと思っております。 今役所あるいは機構においても、ここをこうすればいいという定説的な考え方を持って いるものでもないのだろうと思います。正直申し上げて、この場合には100%としても 安全率の問題はないですという結論があって、それでは100%にして、ここはすり抜け ようというか、議論を簡単にしようという趣旨ではなかったのかと考えております。今 後、そこは世界の動きであるとか、学会の動きであるとか、そういうものも勉強させて いただいて、我々としてもより良い方策を考えていかなければいけない分野だと思って おります。よろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 この辺は、今言われたように安全性の問題だけですけれども、医薬部外 品で効能を考えたりするときに、今後問題になるところではないかと思います。安全係 数が出てきましたが、(10)、(11)についてほかに御意見はございませんか。 ○奥田委員 確認ですが、最終的に成分表示されるときに、チオクト酸括弧して医薬品 の成分だとか何とかそういうのが分かるような表示になるのですか。単に成分の概要の ところで、成分分類、医薬品の成分というところが報告書に書いてあるので連想するの ですけれども、恐れるのは、医薬品成分のチオクト酸が入っておりますみたいなことに なるのかと思ったのですが、そういうことにはならないですか。 ○事務局 医薬品成分であっても、化粧品の成分として表示する場合には、医薬品とか そういう表示はしないです。 ○溝口部会長 先ほど来その辺が問題になっているようですので、2ページのことに関 してもう一度再度御意見を伺いたいと思いますが、これまでの御議論でよろしいですか。 総合評価に関してはいかがでしょうか。ほかに御意見、御質問がないようでしたら、こ れは配合の制限のある成分として、化粧品基準の一部改正になり、定められている効能 の範囲で、企業の責任で化粧品に入れることができるということになろうかと思います が、御了解いただけますでしょうか。先ほどの2ページに書かれている部分を削除して いただいてということでよろしいですか。この件は御了解いただけたものとして、次の 成分に移らせていただきます。 ○機構 資料1-2について総合機構より御説明いたします。評価報告書の2ページです。 成分分類に紫外線吸収剤とありますとおり、化粧品に新たな紫外線吸収剤の配合を要請 するというものです。成分名は「2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキ シ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン」。要請者は株式会社資生堂。 配合量は、化粧品100g中の最大配合量として、粘膜に使用されることがない化粧品の うち洗い流すものに3.0g、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流されない ものに3.0gです。これも先ほどのものと同様で、粘膜に使用する化粧品には配合しな いということです。  本成分についても、専門協議における専門委員の意見を踏まえ、総合機構において評 価を行いました。本成分の特徴としては、一般に紫外線吸収剤はUV-B領域に効果を示 すものが多く、UV-A領域に効果を示すものは限られておりますが、本剤はUV-Aか らUV-Bまで広い範囲に効果を示すということです。この辺もこの成分のプロフィール を紹介すべきかと思い、評価報告書に掲げたところです。  資料概要の9ページです。UV-AとUV-Bの吸収特性については審査に求めており ませんので、ここの表現も削除させていただきたいと思います。  次に、外国おける使用状況です。EUにおいてはポジティブリストに紫外線吸収剤の 配合上限10%として、2000年2月に収載されております。米国においては、米国化粧品 工業会が定める化粧品国際名称にBis-Octoxyphenol Methoxyphenyl Triazineとして 1998年8月に登録されております。要請者の情報によると、2001年からドイツ、スイス、 フランス、イギリス等の欧州各国、ブラジル、コロンビア、ペルー、韓国、中国、タイ、 インド、フィリピン、マレーシア等で、化粧品の紫外線吸収剤として販売されていると いうことです。  3ページで、以下、ロの物理的化学的性質等に関する資料、ハの安全性に関する資料 のうち、単回投与毒性については特段の問題はありませんでした。  反復投与毒性試験については、ラット13週間反復経口投与毒性試験が実施されてい て、その結果はすべての群において毒性学的に意義のある変化は観察されず、本試験条 件下における無毒性量は、雌雄共1,000mg/kg/日と判断されております。しかし、投与 時の手技ミスが多数あり、被験物質が気管内に入り死亡した例が5例、採血ミスによる 死亡が1例、麻酔時のミスによる死亡が1例と、手技ミスによる死亡例が少なくなかっ たということ。それから死亡には至りませんでしたが、一般状態の観察において、対照 群、100mg/kg群、500mg/kg群の雄の数例、それと1,000mg/kg群の雌の1例に軽度の呼 吸困難、1,000mg/kg群の雌の1例に軽度の呼吸雑音。強制経口投与時に、誤って気管に 入れてしまったことが推察される手技ミスが少なからず認められていることから、これ らの手技ミスによる所見が、試験結果に影響を及ぼす可能性はないか、ということを要 請者に説明を求めました。  要請者からは、その可能性も否定できないという判断で、再度試験を実施することに なりました。  その結果が、次の再試験と記載しているところです。再試験は、ラット13週間反復経 口投与毒性試験、及び4週間回復試験が実施されました。その結果、無毒性量は雌雄と も1,000mg/kg/日と判断されております。  ただ、第63日の投与後に低用量群の100mg/kg/日群の雄1例に、原因が特定できない 死亡が確認されております。機構は、専門協議における専門委員の意見も踏まえ、死因 が特定できなかった理由について詳細な説明を求めました。  要請者は、同例では、第63日の投与時までの観察において異常はなかったということ と、投与後の観察で死亡が発見されたことから、投与過誤も疑ったということで、病理 組織学的検査においては、食道の穿孔や、胸腔内の投与液貯留などの投与過誤によると 思われる所見は、結果としては認められなかったということです。  認められた所見としては、ほかにも全群で観察された盲腸の拡張が認められたが、そ れ以外について剖検所見は特に認められず、病理組織学的検査においても、心臓におけ る限局性の炎症性細胞湿潤、腎臓髄質における鉱質沈着等のラットで自然発症する変化 が散見されたというのみでして、死因となり得る異常所見は認められなかったという説 明がなされております。この件に関して、要請者としては説明は尽くしたというところ です。  機構は、専門委員の意見も踏まえ、より高用量の300及び1,000mg/kg/日群には同様 の死亡例が認められなかったことから、当該死亡例については本成分に起因しないもの と判断し、要請者の説明を了承いたしました。  生殖発生毒性については、ラットを用いた受胎能及び着床までの初期胚発性に関する 試験。ラットを用いた出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験。ラット を用いた胚・胎児発生に関する試験が実施されておりまして、いずれも無毒性量は 1,000mg/kg/日と判断されております。  局所刺激性については、皮膚一次刺激性、連続皮膚刺激性、眼刺激性が実施され、特 段の問題はありませんでした。  6ページで、抗原性、光毒性、光感作性、遺伝毒性についても特段の問題はありませ んでした。  ヒトパッチについては、本成分と、試験製剤として乳液について実施されており、い ずれにおいても皮膚反応は観察されないという結果になっております。これにつきまし ても、特段の問題はないと判断されます。  吸収・分布・代謝・排泄については、ヘアレスラットを用いた単回経皮投与による体 内吸収試験が実施されており、投与後24時間の経皮吸収率は、投与量に対し0.23%、 投与量に対する回収率は98.07%という結果です。  安全係数については、本成分の3%配合製剤について、製剤の塗布量を2mg/cm2、吸 収率0.23%として、1日1回全身に塗布した場合、ラット経口反復投与毒性試験の無毒 性量が雌雄各1,000mg/kg/日及び生殖発生毒性試験の各無毒性量も1,000mg/kg/日に基 づき、7ページの中ほどにあります方法で算出されております。  安全係数は、反復投与毒性試験の無毒性量に対し、雌雄各2万128倍、生殖発生毒性 試験における各無毒性量に対し、同じく2万128倍といずれも高値であり、高い安全性 を示していると考えられます。  機構は以上の結果から、本成分の安全性については特段の問題はないと判断いたしま した。  以上の提出された資料から見まして、機構は本成分を紫外線吸収剤として「化粧品100 g中の最大配合量として、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流すものに 3.0g、粘膜に使用されることがない化粧品のうち洗い流さないものに3.0g」で、化粧 品基準のポジティブリストに収載して差し支えないと判断し、化粧品・医薬部外品部会 において審議されることが妥当であると判断いたしました。  以上が評価の概要です。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○溝口部会長 ただ今の説明に関し、御意見、御質問をお願いいたします。 ○米谷委員 吸収・分布・代謝のところを実際のデータで見ますと、資料概要の88ペー ジの表-51だと思うのですが、投与してから24時間後で82%近くが塗布部の表面に残っ てしまうということだと思うのです。実際にパッチテストも同じ時間で見ていて、炎症 とかはないということなのですが、紫外線吸収を防ぐようなものというのは、これぐら い皮膚に残っていても問題ないのでしょうか。非常に多いような気がするのです。 ○機構 紫外線吸収剤は、経皮吸収されないものですから、必然的に皮膚表面に残って しまうというものです。 ○米谷委員 そうなのです、そのために塗っているのです。例えば、これは何か特別な 液で落とせとか、そういうのがこの場合には付くのですね。普通の洗顔で落ちるかな、 というような気がするのです。 ○機構 すみません、紫外線吸収剤一般のことでもありますね。 ○米谷委員 実際に皮膚に残っていて、紫外線吸収を防ぐものは特別な除去剤のような ものを使うことがあるのです。この場合もそういう言葉がないと、これだけ残ってしま うというと、問題は起きないのかと思うのです。そういう特別な添え書きのようなもの は特に求めていないのでしょうか。 ○機構 そこは検討しておりません。紫外線吸収剤一般のことかどうかというのは私も 承知しておりませんので、通常の洗顔で落ちるものなのかどうかというのも調べ、その 辺は業界に指導していくなどということを考えていきたいと思います。 ○機構 追加ですが、この試験は材料及び方法というところに書いてありますが、20mg を均一に塗布して、包帯で固定してあります。ですから、実際の使用状況よりもかなり 厳しい条件の試験と考えております。 ○溝口部会長 米谷委員がおっしゃったのは、今売り出されているものでは専用のクレ ンジングがあるので、そういうものが用意されているかどうかということなのですが、 それは今の段階では発売後の話になりますか。 ○機構 はい、そうですね。 ○溝口部会長 汗をかくと取れるのがいやで、わざわざウォータープルーフなどという のもありますから、非常に残存性は高いと思うのです。経皮吸収されませんので、あま り問題はないのかと思っています。パッチテストも長く見ていますので。 ○西島委員 この場合には、紫外線吸収剤として、一種効能ですね。それで、データと しては紫外線吸収がちゃんと出ていて、非常に広い範囲で吸収度があるというデータが 示されていて、成分の分類としては紫外線吸収剤ということなのです。  先ほどの話に戻ってしまうのですが、特にそういう効能のことはなくてもいいという ことでしたが、紫外線については、ちょっと違う判断をしなくてはいけないということ ですか。吸収剤として、この場合には科学的なデータがあるわけですね。 ○事務局 前回のこちらの部会で、徳永委員から、防腐剤について御指摘をいただきま した。先ほどの御説明と同じように、効能については一応この基準の収載の審議のとこ ろでは、主たる対象内容ではないということです。  こちらの成分分類のところですが、現在の化粧品基準の構成として、基本的に化粧品 基準に収載された成分のみが化粧品に配合してよい、という種類の中に四つの分類があ ります。紫外線吸収剤、防腐剤、タール色素、医薬品成分については、化粧品基準に収 載された成分だけが使える、という形でポジティブリストの形式を取っております。  今回の成分については、その中で紫外線吸収剤として化粧品基準で配合が制限されて いる中で、この成分を新たにこちらに収載したいということで要請があったということ です。その素性を確認するために、紫外線吸収試験の結果も一応こういう形で示してい ただいてはおりますが、基本的には安全性について審査を行うというかたちで行ってお ります。 ○宗林委員 本来の審査の対象ではないのかもしれませんけれども、9ページに吸収特 性を載せていただいていて、確かにカバーする波長領域が広いということはよく分かり ます。参考にしている他の物質と比較すると、配合割合は今回のものに比べると高い割 合まで使うものだろうと思います。  塗る量が効果には大変大きな影響があるという経験がありますが、実際には同じぐら いの量で使うものなのか、あるいは配合最大割合が今回は3%で、それによって吸収特 性の効果が、実際に使われる量が違うということで、影響はないのかどうかを伺います。 ○事務局 化粧品の効能については先ほどから御説明しているとおりの形になっていま す。紫外線吸収剤については、業界の自主基準という形でSPFのような、紫外線阻害 についての測定基準みたいなものを持っていて、それに従って、その製品としてどれぐ らい紫外線を阻害できるかを表示する形になっております。先ほど御指摘いただきまし た、成分の量と吸収特性についてというのは、最終的な製品のSPFの値のような形で 出てくるものかと思います。 ○宗林委員 そうしますと、製品でSPFとかPAという形で、ヒトを使っての試験が 必要だと思いますけれども、それによって表示されるので、ここのデータについてはあ くまで波長領域を示しているという理解でよろしいでしょうか。 ○事務局 そうです。 ○溝口部会長 化粧品基準が変わってしまってから、随分審査がやりにくくなったとい うより、効能に関しては目をつぶって安全性だけというと、データも出ているのと出て いないのとあってなかなか判断しにくいところが多いかと思うのです。私も慣れないの ですけれども、おそらくSPFなどの資料も持ってはいると思うのですが、それは企業 の責任においてということになるわけですね。ここの審査では出てこなくてよろしいと いうことですか。  実際のサンスクリーンのことを言わせていただきますと、普通のものは歌舞伎役者に なったつもりで厚く塗らないと、あれだけのSPFの効果は出てこないです。遠慮して 書いていますけれども、そうではなくて、薄く塗っても効果がありますと言いたいのだ と思うのですが、そのデータを持っていても出してこないということだと想像しながら 読みました。 ○徳永委員 この製品は紫外線吸収剤ですから、資生堂は自分の所で製品化していてこ れぐらい入れたいとか、どのぐらいのSPFかPAかと、たぶん何か狙い目があると思 うのです。1品目では、SPFやPAは出てきませんので、いくつかの合わせ技でやる と思います。あとは、紫外線カット剤の酸化チタンなどを入れて、これぐらいのものを 入れたいのだという考え方があって出していると思うのです。その辺の参考データとし て、何か付けていただくと非常に先生方も見やすいかと思います。例えば、SPFが30 になってくると3%で、あとは合わせ技でやってこれぐらいやるとこれぐらいの配合量 になります、というようなことがあると非常に見やすいと思います。 ○事務局 要請がありました濃度については、確かにそういう背景があると思いますの で、そういうことも背景事情として伺える範囲で聞いた上で、こちらの報告の方はこれ からまとめられればと思います。 ○溝口部会長 いろいろ変わった点があってやりにくいのですけれども、ついでに伺い ます。安定性に関しては、個々の製品になってから企業の責任で見るので、ここではそ のものの安定性はチェックしなくてもよろしいわけですね。 ○機構 はい。 ○溝口部会長 だから、この資料がないのですか。 ○機構 念のためですが、審査の対象にはなっておりませんけれども、このものについ ては加速試験を行っていて、安定であることは自社で確認しております。 ○溝口部会長 本当は、前の製品もそうなのですけれども、そういう資料がちょっとで も載っていると、審査するときに安心なのです。安全性だけ見てOKで、先ほどもあり ましたように、すごい宣伝で売られていると、ちょっと閉口することがあります。今後 もその資料を出す予定はないわけですか。 ○機構 ないです。 ○溝口部会長 効能に対する基礎データとかいろいろあっても、出てくることはないと いうことですか。 ○審査管理課長 そこが非常に難しいのです。あれば出せと言っていると、それがない と出せない、というようなことと相反するところがあります。参考になるデータとして、 その信頼性を出されるとチェックするとかいろいろ複雑なものが出てまいります。そう いう前提条件、即ち、ないものは要求しない、信頼性もチェックしないというような形 で、参考の参考というような形で出せる部分があればということでよろしければ、また 企業とも相談してみたいと思います。 ○溝口部会長 機構で審査している段階でも、その資料は出てきていないと考えていい のですか。 ○機構 はい。 ○溝口部会長 そうしますと、安全性の方をきちんと審査すべきだと思いますがいかが でしょうか。 ○機構 評価報告書に、先ほどと同様にこの製品の成分のプロフィールを記載しており ますので削除させていただきます。評価報告書の2ページのイの(1)の起原又は発見の 経緯の次から3行目の後半「一般に紫外線吸収剤はUV-B領域に」というところから、 次の行の「特徴を有している」というところまでを削除させていただきます。  誠に申し訳ありません、タイプミスがあります。7ページの下から10行目、安全係数 の計算をしておりますいちばん下の行で、「同様に」の行の右側に「各無毒性量(21,000)」 となっておりますが、これは「1,000」の誤りですので訂正いたします。どうも申し訳あ りませんでした。 ○溝口部会長 これは、資生堂の方の誤字だと思いますけれども、添付資料概要の1ペ ージの図-1太陽光のスペクトルのすぐ下の行で「水泡」は「水疱」だと思います。安全 性に関する資料について御意見、御質問をお願いいたします。 ○宗林委員 例えば、SPFなどを検査するときには、1cm2当たり2mgとか塗布量を 決めて検査をしているのではないかと思うのです。このパッチテストでフィンチャンバ ーの中に入れている量というものも、それに該当する量での検査になるのでしょうか。 ○機構 通常ヒトパッチを行う場合の量については、SPFは考えておりません。許可 される濃度の10倍だとか、そういうところを主にしているようです。紫外線吸収剤の場 合は、もともと配合量が多いので、適用濃度で行う場合もあります。 ○溝口部会長 量に関しては、厚くしますとパッチからはみ出してしまいますので、パ ッチテストは本来決められた量で皮膚科医がやっているはずです。 ○宗林委員 そうですね。存じ上げているのですが、ただ製品になったときに、SPF を出すときには、わりと厚い量での数値を表示していいというようになっています。そ の量まで塗ることはないのかもしれませんが、なければそれだけのSPFは逆に得られ ない。もし、そういう形でSPF紫外線吸収の表示を認めているのであれば、それだけ 塗ったときの安全性は担保されているのかと思ったので伺いました。フィンチャンバー の中に、真っ白になるまで入れてもというのはよく分かりますが、その辺の整合性がど うかと思いましたのでお尋ねいたしました。 ○溝口部会長 たぶん、それはだいぶ違うとは思います。ただ、普通の皮膚でないとき にはもちろん吸収される可能性はあります。普通の健康な皮膚でしたら、吸収されない ように作ってあるものです。問題ないとは申しませんが、大体大丈夫だと思うのです。 紫外線吸収剤の、こういう製品のかぶれの原因はほとんどが紫外線吸収剤なので、おっ しゃるとおり慎重にする必要があるかと思います。私が見る限り、この安全性に関して、 対象はモルモットではありますが、抗原性、光感作性、光毒性がないと書かれています ので、そういうことに関しての問題は少ないと、読んだときに判断いたしました。ほか にはいかがでしょうか。よろしければ、案のとおり化粧品基準の一部改正について御了 解いただいたとさせていただきます。今後の手続について説明をお願いいたします。 ○事務局 本件については、今後パブリックコメントなどを行い、基準の改正を行うこ ととなります。また、薬事分科会に御報告させていただきます。 ○溝口部会長 これで本日の審議事項は終了いたしました。次に、報告事項に移ります。 事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 資料2-1、2-2、2-3です。医薬部外品原料規格2006について御報告いたしま す。医薬部外品原料規格と申しますのは、医薬部外品に配合することができる成分の規 格であり、薬局方等に記載されてない規格のものを収載したものです。この部外品原料 規格については、平成3年5月に制定され、以後4度追報を発出し、改正を行ってまい りました。  平成13年の化粧品の承認制度の見直しに伴い、同時に廃止となりました化粧品原料基 準及び平成5年10月に制定された化粧品種別配合成分規格については、いずれも現在の 科学的知見に照らして検討を行い、医薬部外品原料規格に収載し、統合する方針が示さ れておりました。  そこで、平成17年9月に、医薬部外品原料規格検討会を設置し、計4回検討会を開催 し、検討を行い、本年3月31日に、医薬部外品原料規格2006を制定いたしました。本 日、委員の皆様方の机上にありますのが医薬部外品原料規格2006です。  この医薬部外品原料規格2006の制定に伴い、資料2-2医薬食品局長通知及び資料2-3 審査管理課長通知を発出しております。  医薬部外品原料規格2006の主な要旨については、化粧品原料基準及び化粧品種別配合 成分規格に収載されておりました成分を、医薬部外品原料規格別記IIに収載し、主に医 薬部外品の有効成分である別記I収載の成分については変更をしておりません。  ほかには、既収載成分の規格の改正や、新規収載等を行い、最終的な収載成分数とし ては2,619成分が収載となっております。医薬部外品原料規格については、今後も必要 に応じて適宜改正等を行ってまいりたいと考えております。  以上簡単ではありますが、医薬部外品原料規格2006について御報告させていただきま した。 ○溝口部会長 ただ今の説明について、御意見、御質問がありましたらお願いたします。 ○宗林委員 単純に質問をさせていただきます。数の推移というのですか、粧原規がい くつあって、旧の外原規があって、それが今は2,619ということになったのだろうと思 うのです。一覧表は載っているので、なんとなくの雰囲気は分かりますが、概略を教え ていただけたらと思います。有害な環境汚染であるとか、有害なテスト方法から、例え ばクロロホルムなどを除いたのかなと思ったのですが、要点だけ、もし具体的にあれば 教えてください。 ○事務局 後者の、有害なものに関しては、委員おっしゃいますとおりクロロホルムと か、抽出溶媒としてのベンゼンといったものを使った試験方法については、できる限り 他の方法に変更するということです。  数の推移について少し御説明させていただきます。先ほど御説明いたしましたとおり、 すべてで2,619ですけれども、今回新規収載したものが、これまで外原規に載っていな かったもの、それから粧原規、粧配規から来たものですが、粧原規と粧配規で重複した 成分も一部ありましたので、簡単にはこちら側の成分という御説明が難しいところがあ りますので、後ほど先生には御説明させていただければと思います。 ○徳永委員 今回の場合は別記IIですけれども、別記Iはどうするつもりですか。全然 手を付けていないのですが、その辺の見直しはどうするのですか。 ○事務局 今回の外原規の改正については、化粧品基準の見直しに伴って、粧原規、粧 配規を使わなくなったということをまず念頭に、そちらの処置をすることを最優先事項 として今回の改正を行いました。その結果、徳永委員から御指摘がありましたように、 別記Iは従来どおりの形で今来ておりますので、今後他の優先順位等もあるかと思いま すけれども、今回行った試験法の見直しのような形のものについて適宜対応していきた いと思います。 ○溝口部会長 本日の審議事項、報告事項が終了いたしましたが、事務局から何かあり ますか。 ○事務局 次回の日程等については、品目審議状況を見まして、事務局にて調整し、改 めて御連絡をさせていただきます。 ○溝口部会長 それでは、皆様御苦労様でした。ありがとうございました。 ○審査管理課長 薬事審議会の委員、臨時委員については、来年1月をもって改選が予 定されております。即ち、先生方の任期は一応そこで切れることになります。もちろん、 いろいろ長期にわたってやっていただいている方等については、一定のルールがござい まして、今回の改選をもって御退任される方もおりますし、引き続き委員あるいは臨時 委員をお願いしている方もおられるわけです。個別に各先生方に御相談申し上げている ところでございますけれども、いずれにいたしましても来年1月までこの部会は今のと ころ開催を予定しておりませんので、そういう意味で申し上げますと、今までの御協力 に厚く感謝申し上げます。退任される先生方におかれましても、この場から離れてもま た御指導、御鞭撻をいただきますようお願い申し上げまして御礼の挨拶に代えさせてい ただきます。ありがとうございました。 ○溝口部会長 私からも御礼申し上げます。どうもありがとうございました。それでは 終了させていただきます。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 化粧品専門官 辻(内線2743)