06/12/20 「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)」策定に関する研究会 第3回議事録 第3回「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)」策定に関する研究会 議事録 日時:2006年12月20日(水) 14:00〜15:55 場所:厚生労働省中央合同庁舎第5号館5階共用第7会議室 出席者:  委員   柳澤座長、朝倉委員、今村委員、岩田委員、瀧本委員、堤委員   鱒渕委員、宮下委員、向井委員、山城委員、吉池委員  事務局   千村母子保健課長、河野母子保健課栄養専門官、當山母子保健課主査、   関谷母子保健課長補佐 議事:  1.開会  2.議事   (1)授乳・離乳の支援ガイド(試案)について   (2)その他 資料:  資料1 授乳・離乳の支援ガイド(試案) 参考資料:  参考1 改定「離乳の基本」  参考2 「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)」策定に関する研究会スケジュール(案) ○柳澤座長  定刻になりましたので、ただ今から第3回「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)」策定に 関する研究会を開催します。本日は大変お忙しい中お集まりいただきましてありがとう ございます。まず、本日の出席状況の報告を事務局からお願いします。 ○関谷母子保健課長補佐  本日は全員ご出席いただくことになっています。ただ今宮下委員が遅れていらっしゃ るようです。以上です。 ○柳澤座長  少し遅れておいでになるのだろうと思います。それでは、本日の議事に入る前に、事 務局から資料の確認をお願いします。 ○河野母子保健課栄養専門官  お手元の資料ですが、議事次第の1枚目をめくっていただきますと、名簿を添付して います。続きまして、資料1は「授乳・離乳の支援ガイド(試案)」、さらに参考1として、 改定「離乳の基本」の平成7年の課長通知、参考2として研究会の今後のスケジュール (案)を添付しています。以上です。 ○柳澤座長  それでは早速議事に入りたいと思います。本日は「授乳・離乳の支援ガイド」の試案 として、これまでの委員の方々のご発言と前回のヒアリングでのご意見を踏まえて、前 回示しました骨子(案)に肉付けしたものが試案として資料1で提示されています。これ を基に議論をお願いしたいと思います。  まず表紙をめくっていただいて、最初の「策定のねらい」というところから、次の「授 乳編」に議論を進めたいと思います。この点について、事務局から説明をお願いします。 ○河野母子保健課栄養専門官  1ページ目の「『授乳・離乳の支援ガイド』策定のねらい」の最初の段落は、すでに開 催要綱で提示している内容です。  「特に」以降ですが、「授乳期及び離乳期は母子の健康にとって極めて重要な時期にあ り、母子の愛着形成や子どもの心の発達が大きな課題になっている現状にあっては、そ れらの課題への適切な対応が求められている。このため、授乳、離乳の支援に当たって は」、末尾にありますように「育児支援の観点も欠かすことができない」ということを強 調しています。「そこで、『授乳・離乳の支援ガイド』の策定に当たっては、授乳・離乳 の支援が、(1)授乳・離乳を通して、母子の健康確保とともに、親子の関わりが健やかに 形成されることが重要視される支援、(2)乳汁や離乳食といった「もの」にのみ目が向け られるのではなく、一人一人の子どもの発達が尊重される支援を基本とするとともに、 (3)妊産婦や赤ちゃんに関わる保健医療従事者において、望ましい支援のあり方に関する 基本的事項の共有化が図られ、(4)授乳や離乳への支援が、健やかな親子関係の形成や子 どもの健やかな成長・発達への支援としてより多くの場で展開されることをねらいとし た」、このように整理させていただきました。  最後の段落ですが、前回の研究会で「どこまで網羅したものを作成するのか」という ご意見がありましたので、今回はここに列記している通り、この研究会に参画いただい た方々の多職種の専門領域において合意される基本的事項について、本支援ガイドに盛 り込むものであるということを加えさせていただいています。また、そうしたものを踏 まえて、各領域での支援内容が充実することも視野に置くという内容にしています。  1枚めくっていただくと「I 授乳編」ということで、2ページ以降が授乳編の内容 になります。「1 授乳に関する現状」ということで、ここにはデータのみを示していま すが、最終的にはこのデータに簡単な説明文を加えていくということになります。  まず一つ目は栄養方法についてで、年次推移とその次に月齢別ということで0〜6カ 月の栄養方法を示しています。次いで「授乳や食事について不安な時期」、さらに3ペ ージの「授乳について困ったこと」では母乳栄養・混合栄養・人口栄養の区分によって どう違うかというデータを付けています。さらに「母乳育児に関する妊娠中の考え」、そ して「母乳育児に関する出産施設での支援状況と栄養方法」については、出産施設でど の程度支援があったかという割合を示しています。4ページに移りますが、出産施設で、 例えば「出産直後から母子同室だった」など、ここに書いている三つの支援があった場 合に栄養方法がどのように異なっているのかをグラフで示しています。さらに「子ども の出生状況と栄養方法」ということで、在胎週数が37週以下、あるいは出生時の体重 が2,500グラム未満、さらに出生順位が第1子の場合には母乳栄養が少ないといった傾 向についてのデータも付けています。  5ページ以降には、具体的な母乳育児支援の取り組み状況ということで、「自治体にお ける母乳育児支援の取組状況」で、これは前回のヒアリングでご紹介いただいた谷口先 生の調査研究データですが、市区町村、さらに都道府県における母乳育児支援の取り組 みの状況が示されています。  6ページ以降には、「産科施設における母乳育児の支援状況」ということで、病院・診 療所において分娩後30分以内の母子のスキンシップと授乳の援助がどのぐらい実施さ れているか、また援助できない理由は何か、そして2点目として分娩直後から終日母子 同室がどのぐらい実施されているのか、同様に母子同室としない理由は何かといったデ ータを示しています。  7ページは「欲しがる時はいつでも飲ませられるようにしている」というデータとと もに、「退院後の紹介先」、「地域との連携」といった医療機関と地域のかかわりについて のデータを示しています。データについては以上です。  続きまして8ページは、「授乳の支援に関する基本的考え方」で、最初の3行は、「赤 ちゃんが『吸う』ことと母乳の『産生・分泌』、赤ちゃんが『飲みたいと要求』し、その 『要求に応じて与える』ことなど、両者の関わりが促進されることによって、安定して 進行していく」ということで、両者のかかわりについての支援の促進もねらいとしてこ うした表現にしています。また「授乳については、妊娠中から『母乳で育てたい』と思 う割合が96%に達し、『母乳育児』を実現していくための支援も重要」ということで、 その利点を四つ挙げています。  授乳の支援に当たっては、「母親が子どもの要求を受け止め対応できるように、母親の 状況を理解し支援することにより、母子関係を促し、母親の育児に自信を持たせること を基本とする」。さらに「妊娠中から退院後まで継続した支援、産科施設や小児科施設、 保健所・市町村保健センターなど地域のすべての保健医療従事者における支援に関する 基本的情報の共有化、社会全体で支援を進める環境づくりが推進されることをねらいと する」ということで、この内容がイメージできる図を「授乳支援の推進に向けて」とし て下に挿入しています。  9〜10ページには、三つ目の「授乳の支援のポイント」を示しています。まず、その 構成としては、一つは「産科施設、小児科施設、保健センターなどの保健医療従事者が 共有化する基本的事項」ということで、矢印で書いている通り先日ヒアリングで提案の あった「母乳育児の支援を進める5つのポイント」を提示し、5つのポイントそれぞれ について「解説頁を設定」するような形ではどうか。さらに実践に向けてのポイントと して具体的な実践例を提示していってはどうかということで、10ページに5つのポイン トの概要を示しています。前回のヒアリングで提出されたものについては下線を引いて 追加しています。産科施設や小児科施設で出産後も継続的に支援するという観点から、 「産科施設や小児科施設、保健所・市町村保健センター」という記述にしている点と、 もう一点は母子のふれあい、かかわりも重要ということで、末尾3行に「授乳は、赤ち ゃんのからだと心を育みます。温かい母子のふれあいを通して、赤ちゃんの心は育ちま す。授乳のときには、しっかり抱いて、目と目をあわせて、話しかけるように、支援し ましょう」という文章を加えています。  1ページ戻って9ページですが、今申し上げた5つのポイントの提示に解説を付ける という一つ目とともに、実践に向けてのポイントについては、施設や地域の実情によっ て具体的な支援のあり方は異なり、画一的な方法を提案するのは非常に難しいというこ とから、どういう視点から実践が進められているのかがわかるように、実践例を提示す ることで整理を行うことにしました。個別の実践例の提示としては、大きく六つの視点 から下記のような実践例テーマについて、これまでのヒアリングあるいは研究会でのご 発言を踏まえて、それぞれのケースを整理する方向で考えています。  まず1点目は「産科施設における妊娠中から退院まで継続した母乳育児支援の実践例」 ということで、第1回の研究会で宮下委員からお話がありました「みやした助産院の例」 や、「妊娠中の教育、退院後の継続支援に特徴のある病院の実践例」です。  2点目としては、「産科施設と地域の連携による実践例」ということで、「病院と地域 との連携」については市立病院と地域あるいは産院と地域というように、それぞれ規模・ 形態が違う施設の連携の状況や、「NICU(Neonatal Intensive Care Unit)退院後のフォ ローのための連携」、さらに「病院に併設した子育て支援センターを通した連携」という ことで、それぞれに特徴のある連携を整理してはどうかと考えています。  「保健センターを中心とした実践例」としては、第1回の研究会で鱒渕委員から真岡 市の実践例を話していただきましたので、その内容についてです。  前回、働く母親や授乳しやすい環境づくりへの支援も必要という話がありましたので、 「保育所での実践例」として「働くお母さんとともに親と初めて離れて生活する子ども への支援」や、「授乳しやすい環境づくりの実践例」ということでは、「駅や公的機関で の授乳コーナーの設置促進」としています。  さらに、「県(市)全体の支援ネットワークが充実した実践例」ということで、「県の推 進協議会を中心とした実践例」や、あるいは市自体が「おっぱい都市」宣言に基づく実 践例を展開している内容等を整理していく方向でと考えています。  授乳編については以上ですが、具体的に(案1)、(案2)として、みやした助産院の事例 と真岡市の事例を、こういった形で取りまとめていくと他の事例も併せて整理ができる のではないかという様式・内容の案として提示させていただいています。後ほど委員の 先生方から補足していただけると思いますが、例えば(案1)のみやした助産院の事例です と、妊娠中から退院後まで継続した母乳育児支援の実践例を、「母乳育児確立への支援の ステップ」ということで妊娠中から分娩時、分娩直後さらには退院後からというステッ プ1〜5に分類して、それぞれの時期における支援内容を、実際の実践例を基にして整 理していただいているものです。  13ページには、(案2)として真岡市の保健センターを中心とした実践例を「健やかな 親子関係の確立支援を目指して」ということで、真岡市の概況と母乳育児支援の推進例 を整理したものを付けています。推進例については、平成9年から年次別にどういった 事業が展開されているかというものを整理し、それを評価する一つの指標として平成11 年から平成17年までの「4か月健診における母乳育児の年次推移」というデータを付け させていただき、最終的には目標が「健やかな親子関係の確立支援」にあり、実際に事 業展開している評価と目標が1枚でわかるような形で整理をするとこういう内容ではな いかという提案をしていただいています。この点についてもご議論いただければと思い ます。以上です。 ○柳澤座長  ただ今ご説明いただいた部分について、順を追って議論を進めていきたいと思います。 まず、表紙をめくっていただいたところの「『授乳・離乳の支援ガイド』策定のねらい」 という1枚の記載ですが、これについてはいかがでしょうか。何かご意見がありますで しょうか。これは現時点での試案ですので、これからまたいろいろ修正されていく部分 があると思いますけれど、今この場で特になければ先へ進んで、場合によってはまた戻 って意見を伺うこともできると思います。  続いて「授乳編」の「1 授乳に関する現状」については乳幼児栄養調査あるいはヒ アリングの資料などのデータが中心になっていますけれども、何か「こういったデータ も加えた方が良い」というようなことがありますでしょうか。ここではグラフや表しか 載っていないのですけれど、実際の最終的なガイドにはそれぞれについて簡単な説明が 付くことになるのだろうと思います。現状に関してのグラフあるいは表として、こうい うものを一応載せたいという説明がありました。 ○山城委員  確認なのですけれど、支援ガイドの中にこういうものを全部データとして載せるとい うことですか。 ○柳澤座長  そうです。現状ということで載せます。 ○山城委員  例えば、具体的に「みやした助産院の例」などと産院の名前も載せるのですか。 ○柳澤座長  まだそこまでは話をしていません。最初の「授乳に関する現状」の表とグラフは、乳 幼児栄養調査などの公的な調査のデータが掲げられていると思います。 ○朝倉委員  4ページの「出産直後から母子同室」、「30分以内に母乳を飲ませた」、「欲しがる時は いつでも母乳を飲ませた」、と列記しているのは、こうすると母乳育児が推進できるとい う結論に持っていくわけですよね。しかし一番下の「欲しがる時はいつでも母乳を飲ま せた」では、51%は授乳がずっとうまくいっているということなのですが、これがエビ デンスになるのでしょうか。これをやっても母乳ではない人が46%もいるので、これは なぜだろうかというところを見ないと、本当はこのデータから授乳が必要な三つの要素 は抽出できない気がするのです。「はい」と「いいえ」の間には明らかに差はあると思い ますけれども、「はい」の中でも授乳ができないのはなぜかというところを見ないと本当 の答えは全く出ないような気がします。これを根拠に持っていくのは、悪いとは思わな いけれども、あまり科学的ではない気も何となくするのです。例えば80%と20%だと いいけれど、50%余りですよね。 ○河野母子保健課栄養専門官  統計的な解析という点では、「はい」と答えた群と「いいえ」と答えた群で解析を行っ て有意差が出ているものということで、この調査結果の中では報告をしていますが、今 ご指摘がありましたように、あくまでも「はい」と答えた群、「いいえ」と答えた群での 差ということで示しているということに留まっていることについては、結果の文章を記 載するときに、それ以上に踏み込んだことを想定されるような内容にはしないように配 慮したいと思います。  また、できない理由については、あくまでも実際に子どもを出産した母親の回答で、 さらに6ページ以降については、産科施設において実際に母乳育児がどれだけ支援され ているか、あるいはそのできない理由は何かということも書かれていますので、むしろ これは現状としてこういった実態があるということです。具体的な支援の内容としてよ り配慮すべき事項があるとすれば、それは支援のポイントのところにこういった内容で、 と盛り込んでいただくことができたらと考えています。 ○柳澤座長  朝倉委員、よろしいでしょうか。何か他にご意見ありますか。 ○岩田委員  今の質問と少し関連しますけれども、これらのグラフや表の解説を付け加えるという ことですが、それは解説プラスコメント、あるいはそのデータから引き出される、言う ならば望ましい方向性も示される形でこのデータを並べていくのでしょうか。 ○河野母子保健課栄養専門官  基本的にはタイトルが「授乳に関する現状」ということで、現状を客観的に把握して いただくことを第一に考えています。今後の方向性についてコメントするということで あれば、むしろこの研究会の中で、どの程度までならコメントとして適切であるかとい うことを評価・判断していただくプロセスが必要になってくると考えています。さらに 現状を踏まえてどういう方向性が良いかということは、むしろ2以降あるいは3の「授 乳の支援のポイント」のところで、具体的な委員の先生方のお考えも踏まえて整理を進 めさせていただけたらと考えます。 ○柳澤座長  他にございますか。 ○山城委員  このデータは大変素晴らしいと思うし、それを載せるということの意義は十分感じま すが、ただ、一般の国民にこれを見せてどのくらい理解できるかということを考えなく てはいけない。どこのレベルをねらっているかです。一般の国民、例えばあまり公には 言えないのですが、大部分が高校卒の母親に説明したときに、果たしてこのデータをど のくらい理解できるか、その辺の調査もしないとこのデータが逆に混乱を招く可能性も あるのではないかという感じがするのです。 ○柳澤座長  今のご指摘は、非常に大事な点だと思うのですけれども、この支援ガイドに関しては、 授乳・離乳を支援する立場の人に対してのガイドという位置付けだと理解して作成を進 めているということだと思います。どうですか。もちろん、最終的に一般の人たちに届 いても一向に差し支えないと思います。 ○河野母子保健課栄養専門官  今座長から話がありましたように、この支援ガイドそのものは保健医療従事者の方々 が見て内容を把握し、それをもって実際に保護者や赤ちゃんへの支援を進めていただく ということです。そういった意味では、策定のねらいのところにその辺りを明記したい と思います。 ○柳澤座長  そういう観点で、後ろの方に支援をする場合の実践例が示されていると思います。こ の現状の部分に関してはよろしいでしょうか。他に何かご意見がなければ8ページから 次の「2 授乳の支援に関する基本的考え方」と3としてその次のページに「授乳の支 援のポイント」と続いていますけれども、この点に関してご意見はあるでしょうか。  順を追っていくと、まずこの「授乳の支援に関する基本的考え方」が1ページにまと められていますけれども、上に記載したことを踏まえてそれを模式図として示している。 最初に授乳というのはこのような形で進んでいくものであるということ、それから母乳 育児の利点を挙げてそれを支援することが求められているということ、さらに授乳の支 援についての基本とねらいが分けて記載されているという構造になっていると思います。 ○向井委員  母乳が出ない方などいろいろな方に対して支援の基本になるので、これを「授乳につ いては、妊娠中から『母乳で育てたい』と思う割合が96%」というのは母乳があまりに も前に出すぎていないですか。これは母乳のためのガイドブックかなと思ってしまうく らいずっと母乳が出てくるのですが、授乳の支援というのは基本的にはその下に書いて ある方が先に出てくるべきではないかなと思うのです。 ○柳澤座長  その辺はどうでしょうか。10ページに出てくる母乳育児支援のポイントの中に色付き で書いてあるところにも「育児用ミルクで『育てる』ことも」と触れているのですが、 今の向井委員のご意見に対して何か他にご意見ありますでしょうか。 ○今村委員  基本的には、母乳で育てることは非常に大事だというのは委員の方々の共通の認識だ と思うのですが、向井委員がおっしゃったように母乳で育てないのは非常にいけないこ とだというようなニュアンスが全体に流れているのです。これは母親にとっては少しス トレスなのではないかなという感じがあります。 ○柳澤座長  この8ページのところでは何かありますか。 ○吉池委員  細かいことで恐縮ですが、9ページの「実践に向けてのポイント」には「保育所での 実践例」と書いてありますので、8ページの図の方にも保育所を加えていただきたいと 思います。 ○柳澤座長  はい。もちろん今のところにまた戻っても差し支えありませんが、その次の「授乳の 支援のポイント」に移りたいと思います。ここではまず二つに分けて、最初の部分が「産 科施設、小児科施設、保健センターなどの保健医療従事者が共有化する基本的事項」と して、その次のページの「母乳育児の支援を進める5つのポイント」を提示し、その5 つのポイントそれぞれについての解説のページを設定するということになっているわけ ですが、向井委員、今村委員からのご意見もこの辺に関するところだと思います。母乳 育児を推進するということは理念というか、これは私自身も全体を通じて貫かれている と思いますけれども、その上で今村委員がおっしゃったニュアンスというのも非常に重 要なポイントだと思いますので、そういう観点からここでは「育児用ミルクで『育てる』 ことも、同じように、時には母乳で育てること以上に、支援は必要です」という書き方 をしています。 ○今村委員  10ページについてよろしいですか。5)ですけれども、これは4番目までに非常に具体 的に書いてあるのですけれども、5)の「社会全体で支援しましょう」という文章は非常 に抽象的というか、それはそうだけれども、という感じがあります。4つの具体的な方 法に比べて非常に違和感がある感じがします。 ○柳澤座長  1)〜4)の非常に具体的な記述に比べると、5)は社会全体での支援という言い方では内 容が抽象的だというご指摘でした。他にはございますでしょうか。 ○向井委員  母乳以外の人をどうやって支援すればいいのでしょうか。ずっと読んでいくと10ペ ージの下の「授乳は赤ちゃんのからだと心を育みます」というこの3行では、特に母乳 ということに触れていません。その前段のところにある「育児用ミルクで『育てる』こ とも、同じように、時には母乳で育てること以上に、支援は必要」という、この支援に ついてはどこを見たらいいのか。その辺が育児支援をしていく保健師やその他の職種の 人はどこをベースにしたら支援計画を立てていけるのかがわからないなと思いました。 ○柳澤座長  ただ今のご指摘に対して専門官の方から何かありますか。 ○河野母子保健課栄養専門官  委員の方から今いただいている意見も踏まえてですが、確かにおっしゃる通り、実践 例も限られたものしか出ておりませんし、「母乳育児の支援」という表現でタイトル等も 整理されているので、逆に言うとここで「授乳の支援」というふうにすべて統一するこ とがいいのかどうかということについてご議論いただきたいと思います。母乳育児の支 援とそうでない支援というところを、例えば実践例のところで整理ができるのかとも考 えますが、5つのポイント自体の構成を見直さなければいけないのであれば、その点に ついて具体的なご意見をいただきたいと思いますし、また実践に向けてのポイントや実 践例についてもっとこうした視点から盛り込むのがいいということであれば、そこにつ いては「こうした取り組み例がある」ということも含めてご意見をいただけたらと思い ます。 ○柳澤座長  専門官からも、今後も今のご意見を踏まえて修正していくことができるという話だっ たと思います。この10ページの下の3行については、これは母乳にもミルクにも共通 する大事なことですね。今までのご説明に対する委員のご意見は、母乳育児を推進する という理念はもちろん当然であるにしても、ミルクで育てることに関しての支援のガイ ド、ポイントがもう少し具体的にあっていいのではないかということかと思います。 ○鱒渕委員  保健センターと行政では、母乳であってもミルクであっても、初めてまた数人の子ど もを育てている授乳期の母親の精神的な不安と言いますか、育児に対する不安にしっか りと向かい合って支えるということが基本になっていると思うのです。ですから「ミル クの場合は具体的にこういう支援をしましょう」というよりは、むしろ下の3行にプラ スして一人一人の育児する母親を個別に、また地域全体で支えるような環境づくりをし ていくことが大切だという方向にしていければいいと思います。結果として授乳の中に 母乳栄養とミルク栄養があると思うのですけれども、それを実践する一人一人が大変不 安定な状況になっているので、その部分で個別の課題に対してしっかり向かい合ってい くことが求められているというのが現状です。 ○向井委員  このページ全体は「母乳育児の支援を進める5つのポイント」ですよね。この3行は 言葉としてはすごくいいと思うのですけれども、この中に入っていてはこの言葉の良さ が出てこないのではないでしょうか。 ○柳澤座長  先ほどの河野専門官からのお話は、この10ページの1番上のタイトルも、例えば「授 乳」の支援を進める、と変更するのも一つの案だということだと私は受け取りましたけ れども、そうですか。本当にその方がいいかどうかは、また議論があろうかと思います。 ○宮下委員  母乳育児を希望するという母親は約98%います。けれども結果としてミルクを足さな ければいけない人がたくさんいると思うのです。そのことを否定はしてはいけないし、 そういう人たちを受け止めて支えていかなければいけないのだけれども、母親たちに母 乳でいきたいという思いがある中で、ミルクも母乳もというのを前面に出してしまって 推進していくための支援の体制をしっかりつくらないようだと、余計に混乱を起こすと 思うのです。そして混合にしたりミルクにしたりすることも必要だという、支えていく 体制が大事なのではないかと私は思うのです。ですからこの5つのポイントは、母乳育 児を推進していく上では外せないのではないでしょうか。そして、人工栄養が必要な場 合に、というところで何か言葉が必要であれば追加していってはどうか思います。 ○柳澤座長  母乳育児を推進するという観点からこの5つのポイントというのは外せない。それ以 外にミルクによる育児という観点から付け加える必要があるかどうか、そういうことに なろうかと思います。 ○向井委員  そうしますと、4ページの出生状況のところで、在胎週数や体重別、出生順位によっ ては母乳栄養の割合が非常に低いのですが、こういう人をどう支えるかという観点をも う少し出さないといけないと思います。全部ひっくるめて母乳という形でこの文章もそ の他すべても成り立っているわけですから、今おっしゃったようなことは具体的に文章 化されていないので、多分これを全部読んでもわかりにくい。生後1カ月での母乳栄養 が20数%と、3割にも満たない2,500グラム未満の低出生体重児や在胎週数36週未満 の赤ちゃんを、どうしたら母乳にできるか、そしてそれを継続していけるかということ が支援のところに少しは出ていないと、余計混乱するのではないですか。 ○宮下委員  実際の現場でも、確かに2,500グラム以下の子ども、そして満期産に入っていても低 体重児の場合は、退院した後の母乳の確立は非常に悪いです。今個人的に、母乳育児を 含めた小さい子どもの支援ということで、助産師による訪問看護ステーションを開設し ています。そうした中で、長期的なスパンでこうした人たちを支えないと母乳継続は非 常に難しいという実態もわかっています。そういう意味でも、これからの展望としては 地域、それから退院後のフォローという点においてしっかりと体制づくりをしなければ、 本当に簡単に人工乳に移行してしまうし、母親たちの気持ちを支えていけないのではな いかなと実感しております。 ○柳澤座長  そういう地域におけるシステムとしての支援と、一方で個別的な支援の仕方がありま すが、今問題になっているような事例に関しては、個別的な支援というのが非常に重要 ですよね。その辺が記述の中にももう少し出てくれば、今ここで議論になっているよう なことは多少カバーされるのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○朝倉委員  10ページは母乳支援のことですよね。しかも正期産の正常分娩で生まれた赤ちゃんに 対する授乳支援だと思います。例えば未熟児とか早産児とかで生まれた場合でも、母乳 授乳を一生懸命やろうとしているところはたくさんあると思いますけども、どうしても 人工乳に頼らざるを得ない母親たちも実際いるわけです。満期産でも一生懸命やっても できないという人や、あるいは薬を飲んでいる母親にこの文章を見せることによってか えって不安をあおるということがないように、もう一つセクションを後ろに作るなどし ないといけないと思います。国民皆を対象にしていますので、ある人の不安感を鎮める ために授乳を推進し、それによって逆に母乳が出ない人の不安感をあおっているという ことになると何だかよくわからなくなってきますので、そういった言葉やセクションが 必要なのではないでしょうか。 ○岩田委員  結局今の議論の一番のポイントは、授乳という言葉が母乳なのかどうかということだ ろうと思います。例えば8ページは「授乳の支援に関する基本的な考え方」というタイ トルなのに中味はほぼ母乳であるという矛盾を整理しないと、なかなか次に進めないの かなと思いました。このガイドでは授乳という言葉の中心は一応母乳であるという前提 ではないですよね。そうすると基本的な考え方の1行目から「授乳は赤ちゃんが『吸う』 ことと母乳の」と続いていますが、私は文章を展開できませんけれども、授乳という言 葉がこのガイドでは何を意味するかということをまず書く方がいいのかなと思います。 そうすると母乳育児の支援の部分も生きてくると思いますし、母乳育児ができない場合 はどうすべきかということも並列で書けると思います。 ○柳澤座長  授乳の定義という形ではあえて書いていないと思います。これはいろいろな言い方が あるかもしれませんけれども、「赤ちゃんを乳汁すなわち母乳あるいは育児用ミルクで育 てる」、というか「与える」、「乳を授ける」。それ以上はむしろあまり考えない方がいい のではないかと私は思います。 ○山城委員  どういうまとめ方をするかですが、例えば前回の「離乳の基本」には解説記事を付け ています。ただこれはデータを示して簡単なコメントだけで、相当な栄養学的な知識や 小児の成長発達の知識がない限りかなり解釈が難しいです。この2ページの1番上のグ ラフにあるように、母乳栄養だけという人は約4割で、そうすると今までのいろいろな 方のご意見にあるように多くは人工乳を使っているわけですが、その人たちに対して例 えば混合栄養をするときにどういう割合で与えるか、また完全に人工乳を与えられない ときにどうするかということについては一言の解説もないので、相当な混乱を招くと思 うのです。私も小児科医ですから理想論として母乳栄養を進めるのは大賛成ですが、現 実はそうではないのです。理想論と現実を少し混同しているのではないかと思います。 ○柳澤座長  解説とおっしゃったけれども、この資料は前回示された骨子に本当に少し肉付けした 程度で、ここに書いてあるように例えば5つのポイントについても解説ページを設定す るといったことは、これから行われる作業として予定されているものです。今のご意見 等に対して何かありますか。 ○河野母子保健課栄養専門官  今回この中で示している母乳育児が、今山城委員からご指摘があったように母乳栄養 だけを指しているのか、それとも基本的には母乳栄養と、少なくとも混合栄養までは母 乳育児に含まれていると理解していいのか。また先ほどの議論と重なりますが、母乳育 児を推奨するターゲットはどこかということについて少し合意をいただいた方がいいか と思います。 ○柳澤座長  現状のところでデータで示しているように、母乳栄養プラス混合栄養は90%くらいに なります。そういう人たち全体をターゲットにし、さらに10%以下しかいませんが人工 栄養だけの人たちに対しても十分以上に配慮が必要だというスタンスでいくべきだろう と思います。 ○今村委員  今の山城委員のご指摘はとても重要なことだと思います。このガイドというのはある べき論ではないですよね。現実に育てている母親を支援するということで書かれるわけ ですから、あくまでも現実的なスタンスで見つめなければ何の意味もない、すぐに捨て られるガイドブックになってしまう。例えば4ページの下の「子どもの出生状況」とい う表はあまり意味がないデータではないか。これはこれで貴重なデータですけれども、 論旨を展開するのにそれほど重要なデータなのかな、あまり影響がないのではないかな という感じがあります。 ○柳澤座長  基本的考え方、支援のポイントについてもいろいろご意見を伺いましたけれども、続 いて実践例という形でここでは(案1)と(案2)が示されています。その他にも9ページの 下の部分に、実践例としてあげたらどうかというものが列挙してあります。このような 形で実践例を例示するということに関してはどうでしょうか。 ○吉池委員  実践例において先ほどから議論があるような完全母乳を目指した取り組みだけではな くて、例えば保育所での実践例などとありますので、現実に働く母親はどうするのか、 一部人工乳も使いながら、といった観点からも整理されると良いと思います。 ○瀧本委員  保育所での取り組みということでは、冷凍母乳を利用される母親もいらっしゃると思 うので、そういったことも一点加えていただけると非常に助かるというか具体的である と思います。 ○柳澤座長  例示として具体的に示されている宮下委員からみやした助産院での取り組み、それか ら真岡市での取り組みに関して、宮下委員や鱒渕委員から何かコメントありますか。 ○鱒渕委員  保健センターを中心とした実践例が資料の13ページにありますので見ていただきた いと思います。第1回目に提出しました資料を基に、このような1ページでまとめてい ただきました。保健センターの場合には、母親の授乳の状況に応じて、母乳であれミル クであれ、安定した気持ちで子育てができるようにという支援を目指しております。そ のためには個々にしっかりと向かい合うこと、さらに保健センターの機能としましては、 地域ぐるみで子育てを応援する環境を整備するという点がとても大切になってくるのか と思います。「母乳育児支援」とはなっておりますけれども、おっぱいで育てたいという 母親たちに対する支援を経年的にどのような視点で展開してきたかということがここに まとめられております。さらには追加として基盤整備という点では、真岡市で「三つ子 の魂育成推進室」というのを全庁的に取り組んでおりまして、地域の各公民館単位で子 育てする母親を支えていきましょうという健康講話会なども行っておりますので、基盤 整備の中にはそういったことも入れていきたいと考えております。 ○柳澤座長  真岡市の取り組みに関して、ここでは市の名前の他に大学や病院の名前など、個別の 固有名詞が載っていますけれども、実際にはこういう固有名詞は外して示されるのでし ょうね。その点どういうふうに考えていたのですか。 ○河野母子保健課栄養専門官  基本的にこの原稿は先日ご発表いただいた内容を基にしてお作りしていますので、今 のような点は全体を整理するときにあわせて調整させていただきたいと思います。 ○宮下委員  私のところの実践例としまして、これは当助産院のみではなく、総合病院の中で行っ ている母乳育児支援とほぼ同じような動きをしています。基本的に支援する姿勢としま しては、助産院だから病院だからということではなく、支援する者としてどういう姿勢 で臨んでいったらいいかを常に考えながら行っています。妊娠中の妊婦の特徴は、実は 出産まではお産のことを念頭に置いていまして、産まれたらすぐ授乳がうまくいってそ の後もスムーズに乳汁が出るものだと解釈している方が多く、お産のことしか頭にない という方が大半です。そして授乳がイメージできないという方が多いように見受けられ ますので、妊娠中にまず妊婦自身が産後どういう経過をたどるのかをしっかり教育とし て伝えていくこと。それからその流れがイメージできるように支援していくことと、そ れから乳という語源の中に第2の子宮という言葉があるのですけれども、10カ月間育っ た赤ちゃんは必ずその後もお乳で育てられるというものを母親がきちんと持って産後に 授乳を迎えられるような支援を心掛けています。そしてお乳というのは1滴出たら100 滴出るくらい分泌亢進してくることや、吸われないと出てこないことをきちんと妊娠中 に伝えていきます。やはり言われたからやるということではなくて、自ら迎えるような 支援が妊娠中には大事ではないかと思います。そうすると、お産を迎えた後に母乳育児 がしたくない、もしくはミルクにしたいと言われる方はほとんどいないです。それが病 院の中でもどこでもきちんと妊娠中に教育を準備しておくと、まず迷わず母乳育児に向 かっていける。ただ陥没乳頭であったり、赤ちゃんが小さかったり、分娩の疲労などで たまたま乳汁の開始が少し遅かったりという人たちについても、どうしていくか病院側 がをきちんと押さえて対応していくと、しっかり母乳育児を推進している施設ですと、 80〜90%近くになりますので、そういったところの整理をしていくことも大事ではない かと思います。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。まだいろいろとご意見があろうかと思いますが、今 日は限られた時間の中で一応予定したところの議論を進めたいと思いますので、今たく さんいただいた意見を踏まえて、この「授乳編」についてどのようにまとめていただく か、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  次の「離乳編」に入りたいと思いますけれども、これについて事務局の方からご説明 をお願いいたします。 ○河野母子保健課栄養専門官  離乳編は14ページ以降です。14ページに「1 離乳に関する現状」ということで、「授 乳編」と同じように平成17年度乳幼児栄養調査等を基にしたデータをここに示してい ます。まず「離乳の開始及び完了時期」、続いて「離乳の開始の目安」、さらに「ベビー フードの使用状況と生産状況」の年次推移を示しています。続いて15ページに移りま して、第1回目の研究会で堤先生からご提示があった研究報告書の中で、離乳期に与え たことがある主要食品の例、さらに16ページに移って「子どもの離乳食で困ったこと、 わからないこと」、さらに1歳以上の「子どもの食事で困っていること」といったデー タの内容になっています。  続きまして、17ページは「2 離乳の支援に関する基本的考え方」ということで、参 考1に改定「離乳の基本」ということで平成7年の課長通知を示していますが、基本的 にはこの内容をベースに加筆・修正を行うという形を取っております。下線の部分が追 加部分ですので、そこを中心にご説明申し上げますと、例えば参考1の1ページ目です と、冒頭の段落の末尾に、「この時期はあまり肥満の心配はいらない」とありますが、今 回は17ページ中程の下線部分「生活習慣病予防の観点から、この時期に健康的な食習 慣の基礎を培うことも重要である」ということで、点線枠の中に「生活習慣病予防の観 点から健康的な食習慣の形成を→肥満などの予防の観点から」としています。こうした 部分については別途文献等を用いまして解説を行うページにしたいと考えております。 「離乳の支援にあたっては、子どもの成長や発達状況、日々の子どもの様子を見ながら 進め、食べる楽しさを体験していく」ということで、食品の種類が増えていくこと、あ るいは家族と一緒に食べること、そういった食べる楽しさを体験していくことができる ように支援することや「子どもの様子を見ながら強制しないことを基本とする」として います。また「一人ひとりの子どもの『食べる力』を育むための支援が推進されること をねらいとする」ということで、単に離乳食の内容ということではなくて、食育の視点 も踏まえて支援が推進されることをねらいとするというものです。  続きまして18ページ以降は「3 離乳の支援のポイント」ということで、「1 離乳の 開始」の部分につきましては、参考1の改定「離乳の基本」の「1 離乳の基準」の「(2) 離乳の開始」以降の文章をベースにして加筆・修正を行っています。まず開始の時期に ついて、現行では「5か月になった頃」となっていますが、「5、6か月頃」という形で 整理をしております。発達の目安としては「食べ物に興味を示す」、さらに「スプーンな どを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる(哺乳反射の消失)などがあげられる」 ということで、特に離乳開始前に与える薄めた果汁等の必要性でスプーンに慣れるとい ったような問題もありますので、こういった発達の視点もきちんと明記して、離乳開始 前の薄めた果汁等の必要性についても「必要性がないことを明記する」ということでは どうかというのが、これまでの議論を踏まえての内容です。  「2 離乳の進行」は、参考1の「(3)離乳の進行」に該当する部分ですが、「母乳また は育児用ミルクは子どもの欲するままに与える」ということで、現行ですと(3)の(1)の部 分に「児の欲するままに与えるが、その回数は5か月では通常4回程度」といった形で 回数について記載があるのですが、前回の研究会でご指摘があったように「欲するまま に与える」という表現にする点と、さらに(3)「生後9か月頃から」の内容の部分につい て、修正案では「食欲に応じて、離乳食の量を増やし、離乳食の後に母乳または育児用 ミルクを与える」という形になっていますが、現行では参考1の1ページ「(4)離乳の完 了」の5行前くらいになりますが、「離乳食の量を増やし、離乳食の後の母乳または育 児用ミルクは次第に減量し中止していく」となっており、ここもあくまでも食欲に応じ て対応するということで修正を加えています。  また「離乳の完了」の部分につきましては、参考1の2ページ目になりますが、現行 では「通常生後13か月を中心とした12〜15か月ころである。遅くとも18か月ころま でには完了する」という記述になっていますが、今回の修正案では「12か月から18か 月頃」と整理をすることと、なお書きで「咀しゃく機能は、奥歯が生えるにともない3 歳ごろまでに獲得される」と追加していますのは、離乳の完了が咀しゃく機能の獲得の 終了時点ではないということで、3歳ごろまでには若干軟らかめのものを与えるなどの 配慮も当然必要だということを説明するために、追加の部分をご意見としていただいて おりまして、今回整理させていただいています。  また具体的な離乳食の進め方の目安については19〜20ページにあります。20ページ の「離乳食の進め方の目安」をお開きいただけますでしょうか。さらに参考1の3ペー ジの方をお開きいただいて、両者を比べる形で見ていただけたらと思います。1つ目の 変更点につきましては、前回の「離乳食の進め方の目安」ですと食事の内容がメーンに 整理をされているという形になりますが、今回は20ページのピンクの部分になります が、「食べ方の目安」ということで食べる機能の発達の目安といったようなものを整理し てはどうかということと、下の水色の部分にあります「成長の目安」、大きくこの2点 を加えております。  また2つ目の変更点として、離乳の開始から完了ということで、前回は離乳初期、中 期ということで、それぞれの期が独立した形で整理されていましたが、これらについて は連続した中で移行していくという考え方に基づきまして、「生後5、6か月頃」という 離乳の開始の時期から1、2カ月が経った「7、8か月頃」、さらに「9か月から11か月 頃」といったような表記に変更しております。  3点目としまして「食事の目安」の部分の「1回当たりの量」ですが、食品群の並び につきましては、前回は穀類あるいはたんぱく質の食品、野菜・果物となっていました が、平成17年に厚生労働省と農林水産省で作成された、何をどれだけ食べたらよいか という「食事バランスガイド」においても、主食、副菜、主菜というように穀類、野菜、 たんぱく質の食品という順序になっておりますので、「1回当たりの量」につきましても 穀類、野菜・果物、魚または肉といったようなたんぱく質の食品、という順番に整理し ております。  4点目は、離乳の開始の時期における1回当たりの量が、前回ではつぶしがゆを30〜 40gと具体的なグラム数が入っておりましたが、この時期は離乳の開始ということで、 つぶしがゆから始めましょうといったような、量的ではなく1さじから始めるに当たっ ての開始の時点での状況についての記載にしています。さらに、7、8カ月ごろ以降のグ ラムにつきましても、前回ですと7、8カ月ということで、矢印で最初の時期と最後の 時期という示し方をしておりましたが、今回は幅ということで具体的にはその幅の中で 調整をしていただくという形で、矢印ではなくて幅を示すということで「から」という 表記に整理をしています。  先ほどの「食べ方の目安」ですけれども、大きく2点ポイントがございまして、1つ は食べる楽しさを体験するということで、例えば、7、8カ月ごろですと「いろいろな味 や舌ざわりを楽しめる」、9カ月ごろからですと「家族一緒に楽しい食卓体験を」、さら に12カ月からは「自分で食べる楽しみを手づかみ食べから始めましょう」という食の 自立といったような観点から整理をしていることです。あともう1つは「1日2回食で 食事のリズムをつけていきましょう」、さらに「1日3回食に進みましょう」といった食 事のリズム、さらには生活リズムの形成という点でもこの時期は非常に重要な時期です ので、こうした2つの観点からここのピンク色の部分について整理をしております。  19ページの方に戻っていただきまして、全体の構成ですが、今申し上げた20ページ の「離乳食の進め方の目安」を基本にしまして、それぞれの時期ごとに食べ方の目安、 食事の目安、成長の目安、さらには食品の種類、あるいは料理等も含めて、解説のペー ジを半ページから1ページずつ設けるような形です。さらに「個別事項の解説頁を設定」 ということで、ここでは6項目のテーマを挙げていますが、「生活習慣病予防」、「アレ ルギー」、「咀しゃく機能の発達の目安」、「1日の食事量の目安」、そして食の自立の観点 から「手づかみ食べ」、「ベビーフードの適切な使用」といった辺りについては、文献を 用いて一部分析を挿入しながらの整理ということで、解説ページを設けるということを 整理の方向として示しております。以上でございます。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。ただ今ご説明いただいた「離乳編」も、「授乳編」と 同様の構成になっているわけで、順を追ってご意見をいただきたいと思います。まず「離 乳に関する現状」については、ここも「平成17年度乳幼児栄養調査」あるいはまたヒ アリング資料を基に構成されていますけれども、何かこういったデータを加えた方が良 いということがあればお願いします。よろしいでしょうか。  それではその次に「離乳の支援に関する基本的考え方」が1ページあって、続いて「離 乳の支援のポイント」という構成になっていますが、まずこの「離乳の支援に関する基 本的考え方」についてはいかがでしょうか。 ○向井委員  17ページの一番下ですが上の生活習慣病のところは解説が「観点から」と付いている のですが、「一人ひとりの子どもの『食べる力』」では四角がなく*だけが付いています。 これはどのような観点からということですか。 ○河野母子保健課栄養専門官  「食べる力」の部分につきましては、前回の研究会で平成15年度に当局の方で出し た食育をどういった視点で進めるかという報告書の概要を資料として付けていますので、 今回は解説のページという整理はされていませんが、「食べる力」についてはそういった 食育の視点についての整理を行おうと考えております。 ○向井委員  ありがとうございます。 ○柳澤座長  続いて「離乳の支援のポイント」というところに入っていただければと思います。今 回の支援ガイドで、今までの「改定 離乳の基本」と変わったところにアンダーライン がしてあります。まず離乳の開始の時期「5、6か月頃が適当である」というようにして、 発達の目安としては、そこに書いてあるように「首のすわりがしっかりしている、支え てやるとすわれる」、そしてさらに「食べものに興味を示す、スプーンなどを口に入れて も舌で押し出すことが少なくなる」といったアンダーライン部分が追加されるというこ とですが、向井委員、よろしいでしょうか。 ○向井委員  「哺乳反射の消失」と断定するのがいいのかわかりませんが、「少なくなる」という表 現だといいかと思います。そうしないとここで完全になくなるということになると思い ます。 ○柳澤座長  哺乳反射の「減弱」でいいですか。 ○向井委員  そうです。 ○柳澤座長  「離乳開始前に与える薄めた果汁等の必要性」については「必要性がないことを明記 する」という、この点はよろしいですか。  続いて「離乳の進行」はどうですか。 ○今村委員  この支援ガイドの見直しの背景には10年を経たということがあります。そのことか ら見ますと、14ページの右下に、ベビーフードの使用というのが10年前と比べて非常 に増えている現状を示すデータがあり、離乳食におけるベビーフードの重要性が格段に 増しているのではないかという感じがします。そうするとこの「離乳の進行」の段階に おけるベビーフードの取り入れ方のガイドラインのようなものを示してあげるのは非常 に大事なことではないかと思います。 ○柳澤座長  ただ今の今村委員からのご指摘に関してはいかがでしょうか。堤委員から何かご意見 はございますか。 ○堤委員  今のことに関しては、19ページの「個別事項の解説頁を設定」の最後に「ベビーフー ドの適切な使用」という項目がありますので、多分そちらで解説を加えることになるの ではないかと思っております。18ページの支援のポイントにおいては、手作りにもベビ ーフードにもどちらにも言えることをはじめに一般論として書いて、個別のことは19 ページにあるような解説ページに書くのがよろしいかと思います。 ○柳澤座長  よろしいでしょうか。今までと違うところは、回数の表現、それから完了の時期とそ ういったところもありますがいかがですか。   ○岩田委員  少しつまらないことですが、18ページの最後に「1歳以降は牛乳またはミルク」と書 いてありますが、これは「育児用ミルク」に統一してよろしいでしょうか。 ○河野母子保健課栄養専門官  現行の段階ですと、必ずしも育児用ミルクだけではなくてフォローアップミルクも含 まれる形になっています。 ○柳澤座長  そこまでの記述は全部、育児用ミルクと書いてありますけれども、そこだけミルクと いうのはフォローアップミルクも含んでいるということですね。 ○岩田委員  アレルギーの診療をしている現場では、実は「牛乳=ミルク」というイメージを持つ 方が多いのです。その理由は、これは検査会社の責任がありますけれども、IgE抗体を 調べるとき、「牛乳」の意味で「ミルク」という言葉を使って検査項目を作っていること がしばしばあるのです。ですからここはもう少しはっきり書かれた方がいいかと思いま す。 ○柳澤座長  他にございますか。 ○吉池委員  18ページの2の(3)ですが、最後の文章で「離乳食とは別に」ということで、鉄、た んぱく質のことが出てきていますが、「母乳または育児用ミルク」とひとまとめにして書 かれています。この文脈でどこまで細かく書くのか、もう少し解説的に付け加えるのか は別として、ここの部分には何らかの配慮を盛り込んだ方が良いと思います。例えば、 「たんぱく質の過剰摂取」と書いてありますが、その含量は育児用ミルクと母乳では異 なりますし、母乳の場合はそのようなことをあまり心配する必要がないというようなこ とを、もう少し詳しく整理をするかどうか考える必要があるということです。 ○柳澤座長  他にございますか。はいどうぞ。 ○宮下委員  「3 離乳の完了」の注意書きのところで、「食事は、1日3回となり、その他に1日 1〜2回間食を用意する。母乳はこの間に、自然にやめるようになる」と書いてあります。 言葉の使い方だと思いますが、母子手帳でも「断乳」という言葉から「卒乳」、「自然卒 乳」という言葉に変わっています。「やめるようになる」と言うと、「やめなければいけ ない」という解釈で取られると思いますが、この前後に多少幅があると思いますので、 言葉の配慮が必要ではないかと思います。 ○柳澤座長  「自然にやめるようになる」という書き方は、「自然に」とは書いてあるけれども、自 然にではないという意味ですか。 ○宮下委員  「この間に」という言葉が少し気になります。 ○山城委員  今の問題はかなり大きな問題を含んでいて、母乳をいつまで続けるかは非常に議論さ れるところで、それとも絡むのですが、前回申し上げた通り、開発途上国ではできるだ け長く続けるということですが、日本や欧米も含め、ある程度栄養が足りて衛生状態も いい国ではどこまで続けるのかということはまだ結論が出ていない。栄養の面でのオピ ニオンリーダーであるイギリスのアラン・ルーカスのスタディが2003年に出ています けれども、実は母乳栄養を長く続けた方が20歳の時点での動脈硬化指数は高いのです。 これはかなりショッキングな話です。動物実験でも似たようなデータがあります。4カ 月から5カ月頃までの推奨はいろいろな面でいいのですが、その後どこまで続けるかと いうのは、先進国と開発途上国とを分けて考えなければならず、さらに今ご紹介したよ うなデータもあるということです。ここが先ほどの表現と絡むのですが、これは「1歳 以降」となっていますけれども、1歳を過ぎればどの時点でやめても問題はないという 表現の方がいいのかもしれません。 ○柳澤座長  個別に見るといろいろな場合があるかもしれませんが、離乳の完了を12カ月から18 カ月と幅を取った場合は、普通は自然にその辺で赤ちゃんの方が母乳をやめますよね。 ○山城委員  「やめるようになる」という表現をどう変えるかということですけれども、とにかく 実態としてはこの時点で、柳澤座長が今おっしゃられたように大体終了します。そうい う現象は決して無理な話ではないです。 ○柳澤座長  私もそう思います。    ○宮下委員  幅が長い人もいれば短い人もいるので、どの人にも適用できる言葉はないかというこ となのです。私も必ずしも長い方がいいとは思わないし、ここでできるだけ月数の数値 をうたわずに、その時期が来たらそういうことを考えていくというのが妥当ではないか と思います。表現の仕方ですが、数値を言ってしまうことで「そこでやめなくてはなら ない」という感じになり、徐々にやめていく傾向にある人が「月数が来ているのに」と 急に悩んでしまうのを地域で多々見かけているものですから、やはり現実には母親を迷 わせているということもあると思います。子どもが1歳を過ぎると親が自ら自然に考え ていくというのが一般の母親たちの考え方で、子どもが強く要求していて迷っていると いうのはわずかな人たちなのですが、その人たちの余計な不安をあおらないで使える言 葉はないかと思います。 ○柳澤座長  宮下委員のおっしゃっていることはよくわかりました。その辺をまた検討していただ きたいと思います。 ○吉池委員  堤委員に教えていただきたいのですが、20ページの「1回当たりの量」のところで、 調味用油脂・砂糖を合わせて2g、3g、4gと前回と同じように書かれています。これは 目安としてあった方が良い情報かもしれませんが、前回の会議では、育児雑誌で調味料 は基本的に必要ないと言いながら、これだけで何gになるというような非常に細かいこ とが書かれているという話がありました。こういう情報は実際に母親が育児をする上で 重要な情報なのか、それよりは自分の味と基本的な料理をする感覚に委ねた方が良いの かという辺りを教えていただけたらと思います。 ○堤委員  ここに調味用油脂や砂糖が2gと載っていて今後細かいことについては詰めていくと は思うのですが、私も個人的にはこの調味用油脂や砂糖の欄はなくてもいいのではない かと考えています。原則的に生後5、6カ月頃というのはほとんど素材の味だけでよく、 9カ月くらいになると食事も3回になって親からの食事の取り分けということも徐々に 進んでいくと思いますので、そうなった場合には親の食事の半分から1/3程度の味付け ということでやっていけばいいのではないかと考えております。例えば離乳食に塩味を 付ける場合には0.5%以下であることというのがコーデックス委員会のベビーフードの 規格にあります。そういうことから考えると、例えば汁物だと一般的に大人の味は0.9 〜1.2%くらいなので、それを1/3から1/2くらいに薄めて、後期のこの時期くらいから あげましょうということにすれば、あえてここの調味用油脂や砂糖の欄は要らないので はないかと考えます。  それからもう一点、親からの取り分けになって親の1/3から1/2くらいと言っても、 親自身の味付けが濃い場合にはかなり濃くなってしまうので、この離乳期を親の食事を 薄味に見直すいい機会としてとらえて、親の食事も配慮して薄味志向にしましょうとい うことをどこかに入れていただけるといいのではないかと考えております。 ○吉池委員  ありがとうございました。私もそのように感じておりました。 ○柳澤座長  大変いい指摘だと思います。それではもう少し先へ進めて、個別事項の解説のページ を設定してそこに書くべきこととして、生活習慣病の予防から先ほどご指摘のあったベ ビーフードまで6つほど挙げてありますけれども、この内容あるいはこれ以外にも何か ありましたらどうぞ。 ○山城委員  生活習慣病予防との関係あるいは先ほどもお話がありました食育との関係で、項目を 別に設けるかは別にして、和食あるいは和風の食事の重要性を入れていただければと思 います。小学生の食育でも成人の生活習慣病でも和風の食事は健康食としての重要性が あるわけです。インプリンティング(刷り込み現象)という言葉がありますが、乳幼児期 の食事に対するインプリンティングが40〜50年後の食行動に非常に影響するというこ とはよく知られていますので、この時期の和風のインプリンティングが非常に大事だと 思います。ただしそのときには今の話のように多少味が濃い目になるのでその辺の技術 的な問題はあるとしても、基本的には和風ということで、前回の「離乳の基本」でも項 目を設けて1ページにわたって書いていますが、そういうものを入れていただきたいと 思います。 ○柳澤座長  インプリンティングという観点から乳幼児期における食事の内容が後年に影響するの で和風にということですが、和食・和風というのはどうですか。 ○堤委員  今のご指摘は本当にその通りだと思います。それについては別項として立ててもいい かと思うのですが、19ページの「個別事項の解説頁を設定」というところの最初に生活 習慣病予防というのがありますので、その中に含めて書くこともできるかと考えており ます。 ○山城委員  もう一つよろしいでしょうか。これは離乳食とは直接関係ないかもしれませんが、イ ンプリンティングという問題と関連しますと、食文化というのは非常に大事なことで、 これは乳幼児期からの日々の食事が非常に影響します。これはあまり公には言えません けれども、今ハンバーガーが世界を席巻して世界の食文化を壊しているわけです。これ は栄養学的な問題も非常に大きいのですが、食文化を壊すという点ではかなり大きな問 題だと思うのです。食文化も文化の大事な一つですし、そういう意味でも子どものとき からしっかりと日本の食文化を教えて体験させるということが重要な問題だと思います。 ○柳澤座長  順を追っていく必要は必ずしもないのですが、次は「アレルギー」の観点から何か内 容についてご意見がありましたら。 ○岩田委員  正直申しまして大変難しい項目になると思いますけれども、基本的なスタンスは離乳 の支援ガイドですから、多くの場合は本来健康な赤ちゃんが対象であると思います。そ して残念ながらアレルギー性疾患の予防がまだ十分にできている段階ではありませんし、 方策も完璧に決まっている段階ではないので、アレルギーということはあまり前面には 出ない方がいいのかということを今の段階では感じております。あくまでも治療と予防 は少し対象が違うわけですから、予防したいと思われる方に関してはこういうやり方も ありますというような、枝分かれ的なガイドの方がいいのかと思っております。 ○柳澤座長  どうもありがとうございました。それでは、「咀しゃく機能の発達の目安」に関しての 内容の解説ということで、何かお考えはありますか。 ○向井委員  これもどういうものが食べられていくかということで、一番下のベビーフードの問題 とも関連するのですが、今の母親たちがどうしてあんなにベビーフードを気に入って、 たくさん売れて市場で大きくなったかというと、ベビーフードをその時期の基本的な調 理の目安にしているのです。「うちの子は何カ月だ」と言ってベビーフードを買ってくる と、これくらいの硬さと大きさでいいのだという目安が具体的にわかります。例えば後 期食にはとろみは要らないのだというようなことが、ベビーフードでは先に企業ベース で進んでいて、それを母親たちが目安にしているのです。ベビーフードは必ずしも悪い わけではなくて、支援ガイドになっているという意味もあります。咀しゃく機能の発達 は、どうやって食べられる、噛める、将来にわたってものが食べられるという食べ方の 発達ということで、その推移を目に見える形でここに入れていけばと思います。 ○柳澤座長  ベビーフードの取り上げ方という議論がありました。もちろん否定的にとらえるとい うつもりは全然ないと思いますが、何かございますか。 ○今村委員  本当に全くの素人なのですが、周りを見ていると非常にいろいろなところで母親がベ ビーフードを持ってきてすぐに食べさせるという現状を見ますので、離乳とベビーフー ドとの関係というのは10年前とは比較にならないほど重要なのだろうと思いますし、 この視点を重視していただきたいと思っております。   ○山城委員  今の今村委員のご指摘は大変重要なことで、実は10年前にこの「離乳の基本」を作 成した時点でもベビーフードの使用頻度は非常に高くなってきていましたので、ベビー フードを上手に使うという項目を入れたわけです。16ページの一番上の表の下から4〜 5行目にありますように「作るのが苦痛・面倒」、「食べさせるのが苦痛・面倒」という 方がいます。これは非常に悲しいデータなのですけれどもこれが現実なのです。これだ けで3割ですからこういう母親が増えてきたという現実を踏まえて理想論とは別の観点 から考えなくてはならない。ベビーフードをいかに使うかという点について日本のベビ ーフードメーカーともよく話し合うのですが、ぜひリコメンデーションに沿って作って ほしい、つまり和風のものをできるだけ多くしてほしいと思っています。某メーカーは アメリカのベビーフードをそのまま輸入した時期があるのですが、はっきり言ってこれ は日本の子どもたちには食べさせられないという内容でした。今はどのメーカーも日本 のこの「離乳の基本」に沿って大体作っていらっしゃいますから、こういうことではっ きり打ち出すことによってベビーフードメーカーに遵守して作っていただけますので、 そういった意味でも非常に重要なことだと思います。ですから言い換えればベビーフー ドを使っても大きな問題はないと考えてよろしいかと思います。 ○柳澤座長  次には1日の食事量の目安として「食事バランスガイド」を活用というような書き方 をしていますけれども、これは具体的にはどのような取り上げ方をすればいいのですか。 吉池委員、どうぞ。 ○吉池委員  目的としてこの時期では栄養素といった話ではなく、幼児期から小児期、大人へ向か っていく入り口ということで、食事の着地点を少しイメージしてもらうという意味合い もあります。また実際には家族の食事の準備や食卓で離乳食を用意するということもあ るでしょうし、食育という点では妊娠中の母親にはこの食事バランスガイドを活用した 展開というのも行っています。離乳期の食事そのものをこれで表すのは無理があるわけ ですが、そういう一連の流れの中で、着地点の部分をイメージしながら考えてもらうと いう意味での活用は可能ではないかと思っています。基本的にはエネルギーベースでは 6歳以上をカバーしているものですが、保育所での食育等では3、4歳ぐらいまでを想定 した整理がされております。したがって、もう少し小さい子どもでの1日の食事のイメ ージを大体整理して示せるのではないかと思っています。 ○柳澤座長  何か追加して意見はありますか。ここに挙げられているようなものについての解説ペ ージの設定について。またその次に「手づかみ食べ(食の自立)」とありますが、これは 少し他のものとニュアンスが違います。離乳の過程で一時期こういう食べ方をするのは 自然な発達過程ですが、どういう形で取り上げればいいのですか。 ○向井委員  2ページの一番下のグラフに、授乳や食事について不安な時期というのがありますが、 1歳前後が結構不安な時期となっていて、それからもう一つは16ページのグラフでは食 事で困っていることでは遊び食べというのが一番にありました。これは目・手・口の協 調発達の時期がちょうど離乳の完了の時期に当たりますので、母親たちにどのように食 べさせたら汚しや遊び食べが少なくてしかも発達のサポートができるかということを、 いろいろな研究やEBM(Evidence-Based Medicine) もありますので、それを付けてご 提示すると不安が軽減するのではないかと思います。 ○柳澤座長  16ページの一番下のグラフで遊び食いというのが困っていることのトップに挙げら れている。その解消にもなるような解説をここで書いていただけるといいということだ と思います。ベビーフードについては今まで幾つかご意見が出ましたけれど、この他に 何かありますでしょうか。先ほどいただいたのは和食・和風の離乳食の勧めについてで した。 ○瀧本委員  食中毒の予防という観点から、よく加熱した食品を与えるようにしましょうというこ とも注意書きとして盛り込んではいかがでしょうか。特に身近な例では、1歳を過ぎる と親と一緒に寿司店に行って生ものを食べるというような例も見聞きしておりますので、 そういう観点も入れていただけると嬉しいかと思います。 ○柳澤座長  今のも大事なご指摘だと思います。よろしいでしょうか。その次のページには「離乳 食の進め方の目安」というのがあって、これについてはいろいろご意見をいただきまし た。  今日、資料としてお配りいただいた授乳・離乳の支援ガイドの試案について全体を通 して一通りご意見をいただきましたが、それを基に次のパブリックコメントをいただく 前の段階、つまり最終版に近いものが次回提示されることになろうかと思います。本日 のこの試案についての議論の最後に一言確認をいただきたいと思うのですけれども、今 まで「授乳・離乳の支援ガイド(仮称)」となっていたのですが、今日はその「仮称」が取れ て「試案」となっています。これは前回の「骨子案」に対して今日は「試案」になっていると 思いますが、最終的な冊子の表題としては「授乳・離乳の支援ガイド」というのでよろし いでしょうか。もっと魅力的なものがあればということですが、よろしいでしょうか。 今までの「離乳の基本」に比較すると指針や指示というようなニュアンスがずっと少ない 主旨のものだと思いますが、子育てを支援する人が母親を支援するためのガイドである という意味合いがはっきり出ていればいいのではないかと思います。皆さんのご意見と して「授乳・離乳の支援ガイド」でよいということであれば、最後までこれで進めるとい うことになろうかと思います。  本日の検討につきましてはここまでとさせていただきます。事務局の方から今後の日 程などについて説明はありますか。 ○関谷母子保健課長補佐  資料の最後に「参考2」としてスケジュール案を付けております。次回第4回の開催は 来年1月31日14〜16時を予定しておりまして、省内の会議室が今のところ確保できて おらず外で行うことになりますので、決まり次第書面にてご案内申し上げます。また、 第4回を終了した段階で意見募集の期間を設けまして、3月上旬に第5回研究会を開催 し取りまとめを行う予定でおります。よろしくお願いいたします。 ○柳澤座長  今、意見募集と言われたのは、前回パブリックコメントとおっしゃったことです。よ ろしいでしょうか。  それではこれをもちまして閉会とさせていただきます。どうもありがとうございまし た。 (了)                     (照会先) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 母子保健課 予算係(内線7936)     電話03−5253−1111(代)