06/12/19 ボイラー等の自主検査制度の導入の可否に関する検討会 第4回議事録 第4回ボイラー等の自主検査制度の導入の可否に関する検討会 日時 平成18年12月19日(火) 15:00〜17:30 場所 厚生労働省17階専用19・20会議室 ○中央産業安全専門官 ただいまから、第4回ボイラー等の自主検査制度の導入の可否に 関する検討会を開催いたします。議事に入ります前に本日の配付資料の確認をいたします。 議事次第の下にあります配付資料一覧に従い確認をいたします。  資料1はコンプライアンスと内部統制で郷原委員の説明資料です。資料2は、わが国の コンプライアンス体制の現状と課題で田中委員の説明資料です。資料3は、これまでの意 見のまとめです。資料4は論点整理です。 資料5は、枝番1〜7までを1まとめにして おりますが、1頁は資料5−1で石油精製業の爆発、火災、破裂事故の要因についてです。 7頁は資料5−2で登録性能検査機関に対するヒアリング結果の概要です。8頁は資料5 −3で、労働安全衛生法に基づくボイラー等の連続運転認定事業者の認定取消事案のリバ イズしたものです。10頁は資料5−4で、高圧ガス保安法に基づく認定自主保安検査実施 者の認定取消事案でリバイズしたものです。資料5−5は、高圧ガス保安法・消防法関係 事故件数の推移のグラフです。15頁は資料5−6で、検査を実施する各種機関の運営に関 する一般要求事項でISOから抜粋したものです。20頁は資料5−7で、高圧ガス保安法 に基づく保安検査に係る認定基準についてです。資料6は、これまでの検討会でのご意見 に対する見解(石油連盟)が取りまとめられた資料です。資料7は報告書の項目(案)で す。資料説明は以上です。  それでは、以後の進行を平野座長にお願いいたします。 ○平野座長 早速本日の議題に入りたいと思います。本日は大きな議題が2つで、1は内 部統制のコンプライアンスについて、2は検討の論点整理です。では、最初の議題の内部 統制のコンプライアンスについて、郷原委員、お願いいたします。 ○郷原委員 いまなぜ内部統制が問題になっているのか、会社法、金融・商品取引法等に おいて内部統制がどのように取り扱われているのかを話をする前提として、コンプライア ンスの基本的な考え方、それと企業に関する重要な法というのはどういう関係にあるのか をざっと話をしてみたいと思います。  私はかねてから強く主張しているところですが、コンプライアンスをどう考えるかとい うことに関して、私は多くの人がコンプライアンスをそのまま法令遵守に置き換える考え 方をしている。これ自体が誤っているというだけではなく、この考え方が、実はいまの日 本の経済社会に大変大きな弊害を生じさせている、ということを常日頃から言っておりま す。なぜこういう考え方が出てきているのかというと、その背景には、最近の経済社会に おける自由競争原理の徹底、経済構造改革路線というのがあるのではないかと思います。 自由に競争させればいいのだ、自由に事業活動をやらせればいいと。その一方で、法令は 守らないといけない。自由競争と法令遵守の組合せですべてが解決するという考え方が、 まさにコンプライアンス=法令遵守の考え方に結び付いているだろうと思います。それは、 まさに企業の目的は法令に違反しない範囲で利潤を追求することだという考え方です。  しかし、そういう考え方を妥当とするためには、実は2つの前提が必要です。1つは社 会の要請がすべて法令に反映されているということ。社会の要請を反映している法令に違 反する行為が行われたときに司法がきちんとペナルティを科すと。それによって法令に違 反してまで利潤を追求しようとする行為をやっても得にならないということが保障されて いるということ。この2つが満たされていて初めて自由競争と法令遵守の組合せですべて が解決するということが言えるわけです。それでは果たして日本のいまの経済社会でこの 2つのことが、この前提が満たされていると言えるかというと、それは必ずしも言えない だろうということです。  大きな問題は、日本はアメリカのような司法国家ではありません。アメリカは司法中心 に組み立てられた国で、判例法ですから具体的なケースを通じて法が形成されてきます。 日本と比べると人口当たり数十倍もの弁護士がいて、国のあちこちからいろいろなケース を訴訟の場に持ち込んでくる。そういう具体的なケースの解決を通じて法が形成され、そ の法が社会の実態に適合する構造ができているわけです。ですから、その法に違反する行 為に対しては厳しいペナルティが科せられる。民事も刑事もそうです。  それに対して日本の場合は、元々成文法で、しかも多くの法は、もとはと言えば外国か ら輸入されたものです。外国から輸入された法というのは、元々市民とかなり距離がある。 市民と距離があるから法令と実態との乖離が生じやすいし、法令と実態との乖離が生じて いてもあまり痛痒を感じない。法令と実態との乖離が恒常化することになります。法令と 実態との乖離が恒常化していっても、一方で法令に違反する行為に対するペナルティも非 常に低いのが特徴です。アメリカと比べると刑事・民事でもペナルティの程度が非常に低 い。一方日本の場合は法的なペナルティ、サンクションは非常に低いのだけれども、その 分、社会的なサンクション、ペナルティが非常に強烈だというところに特徴があります。 最近の企業不祥事における社会のバッシングはまさにそれです。  日本の場合は、いまお話をしたような構造の下では、法令規則ばかりを見て対応してい たのでは駄目で、常に社会の要請、その背後にある社会の要請を認識しながら企業活動が 対応していかなければいけないということだろうと思います。最初から法令規則と社会の 要請との間にずれがあることを前提にして対応しないといけないというのが日本の社会で はないかと思います。これが後ほどお話をする内部統制の問題に非常に大きな影響を及ぼ すことになります。  ここでコンプライアンスを考える上においても、単純に法令規則を守ればいいのだとい うのではなくて、社会の要請に適応するために組織として何をやっていくのか。そうした 考え方から法令規則にも適応していくという考え方をとるべきだろうと思います。そうい う考え方からしますと、コンプライアンスというのは組織に向けられた社会の要請に応え て、しなやかに、鋭敏に反応し、目的を実現していくことと捉えるべきであって、そうい うコンプライアンスにとってのキーワードとなるのがsensitivityとcollaboration、ま さに社会の要請に対する鋭敏さと、その鋭敏なsensitivityを持った個人、そして組織と の間のcollaborationということだろうと思います。  それを具体的に実現していくために、私はフルセット・コンプライアンスという考え方 を提唱しています。社会の要請に組織として応えていくためにはまず社会の要請を把握し、 複数ある社会の要請にバランスよく応えていく方針を明確化・具体化していく。バランス よく要請に応えていけるような組織体制を構築して、その組織を機能させることによって 方針に反する行為を予防していく、そして何か問題が生じたら、一体どこにどういう問題 があるのかを把握し、その問題の原因を究明し是正措置をとっていく。  それと同時に日本の場合、最近談合問題に関して私はあちこちで、この「たとえ」を用 いて説明していますが、違法行為の形態が、日本の場合はアメリカのようなムシ型ではな くてカビ型です。アメリカの場合は個人の意思で、個人の利益を目的とする違法行為とい うのが大部分です。そういう違法行為であれば個人に厳しいペナルティを科すという、殺 虫剤の散布型の対応で十分ですが、日本の場合は個人の意思ではなくて組織におけるポス トに随伴して違法行為に関わることになる。それは組織の利益のために行われる。その分、 継続的、恒常的に違法行為が行われることになる。こういうタイプの違法行為が日本型の 違法行為の特徴です。  なぜかと言うと、それは背景に構造的な要因があるためです。談合行為などは、まさに その典型です。制度に重大な問題があって、その制度の歪みを是正するために違法行為が 恒常化することになる。その違法行為が非公式システムとして定着していくことによって、 それが次第に一定の社会的・経済的な機能を果たすことになって、カビ型になってその分 野全体に蔓延していくというところに特徴があります。そういうカビ型の違法行為に対し てはムシ型の対応をしていたのでは全く意味がないわけです。カビはどうやってなくすか と言えば、まずどこまで広がっているかを明らかにして、それを取り除いた上で原因を究 明する。汚れが原因なのか、湿気が原因なのか、そういう原因を究明して除去するという 方法が不可欠だということです。治療的コンプライアンスを行う上においても、日本の場 合は環境整備が非常に重要な要素になるということを認識する必要があると思います。  そこで、コンプライアンスを実際に社会の要請に適用するという観点から捉える場合に も、社会の要請を認識する上で、やはり法が非常に重要な要素となります。法には社会の さまざまな価値観が凝縮されています。そうした法を全体的に捉えることにより初めて社 会がどのような要請をその組織に対してしているのかということが分かるわけです。その ためには、このような企業にとって重要な法を点ではなくて面で捉える必要がある。いま 重要になっている、例えば会社法という問題も、会社法をどのように捉えるかということ。 会社法の捉え方は証券取引法の捉え方、そして労働法の捉え方と密接に関連してくるわけ です。  そこで会社法の話になりますが、従来の日本社会における会社の考え方というのは、事 業を行うための組織が会社だという考え方だったのだろうと思うのです。その事業を行う ために資金が必要な場合が多いわけですから、それを会社の組織を通じて資金調達、株式 の発行などによる資金調達を行うことができる。そのために会社法の規定がある。事業と しての会社というものを中心に考えるのが従来の会社法の考え方だったのだろうと思いま す。  それがこの数年の間に会社法の考え方が大きく変わりました。数次にわたる会社法の改 正の中でどういう考え方が強くなってきたかというと、会社というのは、お金を流すため の手段なのだと、世の中にはお金を持っている人、たくさん持っていてどこかにそれを活 用したいと思っている人と、投資したいと思っている人、お金を使って事業をしたいと思 っている人がいる、そのためにお金を流すための1つの手段が会社なのだという考え方が 最近非常に有力になってきています。それをファイナンス理論といいます。  そういう考え方の下では、会社というのは1つの物です。証券市場で取引をされる1つ の物です。こういう会社法の考え方においては、物としての会社の品定めをきちんと株主 にさせないといけない。市場における取引の主体である投資家、株主がその物をきちんと 把握できる、どれだけきちんと金を流すことができる会社なのか、金を管理できる、そし てリスクを軽減できる会社なのかということを明確にマーケットに対して開示しないとい けない。そこから会社法という領域の中でも内部統制によって予めリスクをセーブしてい く、リスクを抑さえていく。会社に対して発生するリスクを予め把握して、できるだけ抑 さえていかないといけないという発想ができてきた。これが会社法における内部統制の考 え方だろうと思います。  内部統制の法的義務化ということに関して、いま言ったリスクというのがどういうもの なのかということなのですが、リスクには大きく分けると3つあるだろうと思います。会 計リスク、物理的リスク、法令リスクです。会計リスクというのは、要するに不正な会計 が行われることにより、会社に大きな損失が生じる、株主の期待を裏切る、株主に誤った 判断をさせるというリスクです。そして物理的リスク、これがまさにこの検討会でも問題 になっているリスクです。会社が事故などによって大きな損失を被るのが物理的なリスク です。もう1つは法令リスクです。法令違反によって社会的な非難を受けて、それによっ てダメージを受ける。この3つのリスクが通常会社のリスクマネジメントの対象になりま す。こうしたリスクを事前に抑制していこうというのが内部統制の考え方です。  今年の5月に施行された会社法は、このリスクに関して、特にどのリスクと限定してい るわけではありませんが、基本的には、会計リスク、法令リスク辺りがリスクコントロー ルの中心です。そういうリスクを事業活動の中でどこにどういうリスクがあるかというこ とを把握して、そのリスクに対してはきちんとした対応をとりなさい、そのリスクという ものについての概要をきちんと把握する方法を取締役会で決議しなさいと。そういうよう な内部統制については、グループ会社に関するリスクマネジメントも含むと。そういう内 部統制についての会社法上の法的な義務付けが行われたのが、今回施行された「新会社法」 の大きな特徴です。ここで注意しなければいけないのは、この内部統制には法令遵守が含 まれます。法令違反に関するリスクが含まれます。  もう1つは金融商品取引法です。すでに成立していますが施行は内容によって順次行わ れていっています。この中で、特に内部統制に関して定めたのが、いわゆるJソックス、 「日本版ソックス法」と言われる部分です。このJソックスにおいては、財務情報に関す る内部統制の報告が義務付けられています。要するに、この3つのリスクのうちの会計リ スクのところを、金融商品取引法は特に「内部統制報告書」という形で、明確化して報告 することを義務付けたわけです。  問題なのは、法令リスクについては、具体的にはこの金融商品取引法は何もいっていま せん。しかし、会計上も法令違反リスクの顕在化というのは非常に重大な影響を及ぼしま す。私はいつも、将来的には金商法上の内部統制というのも、当然法令違反リスクのほう にも及んでくるはずだという話をしています。でも、もう1つ忘れてはいけないのは物理 的リスクも、1つ間違うと、保険でカバーされる場合もありますが、会社に対して非常に 大きな損害を生じることがあります。それが会計リスクにおいても大きな影響を及ぼすこ とがあり得ます。そういう意味では、内部統制的な考え方というのは、当然物理的リスク にも及ぶべき問題だということになります。  もう1つの問題は、先ほども言いましたように日本の場合は法令と実態との間の乖離が 生じやすい。これは物理的リスクを防止するための各種法令についても同じことが言えま す。法令が硬直的ですからどうしても実態に合わないような規制が生まれやすい。内部統 制というのは事前に法令に違反している事実を把握して、そのリスクを抽出して防止する という事まで義務付けています。法令と実態が乖離している場合には、今までは、実態と 乖離している法律はエンフォースの面で、当局があまり使わないということで調整してい ましたが、今後、こうやって内部統制がどんどん義務化されていくと、会社法でも金商法 でも重要な義務になってくると、事前に守らないといけない。事前に守ることをきちんと 統制しないといけないということになってきます。それが企業にとって非常に大きなリス クになってくる、それ自体が大きなリスクになってくることが考えられる。  そういった面でのリスクの大きさが、物理的リスクに対する正しい対応を妨げる可能性 も生じてくるのではないか。そういったところが今回の検討議題と内部統制法令遵守に関 する問題と言えるのではないかと思います。 ○平野座長 続いて田中委員、お願いします。 ○田中委員 いま郷原委員が概略を全部ご説明いただきましたが、それを基にお考えいた だければよろしいかと思います。「コンプライアンス体制の現状と課題」ということで、実 践的なものをお話したいと思います。  資料2の1頁。何でもこういうときは日本の経団連がいろいろと音頭をとっております。 いつも秋「企業倫理月間」をやります。1頁に書いてあるのは御手洗会長になってから、 コンプライアンス体制の整備と見直し、コンプライアンスの浸透と徹底、不祥事が起きた ときの対応、という柱を設けてやっております。これはそれなりに各会員企業に通達され て浸透しているという状況です。  コンプライアンス経営の現状と課題を見てみますと、ここに皆さんにお分かりいただく ために経団連のアンケート、基本的に挙がっているところをやりました。それは☆の所で す。コンプライアンス経営の全体像についてどうかといいますと、やはり「最近報道され ている企業不祥事が自社やグループ会社で起こり得る不祥事であると危機感を持ってい る」と、なんと76%で、みんな危機感を持っていることは事実です。それなりの整備をし ているというのが66%ということです。2頁では「コンプライアンス経営実践のシステム」 を説明します。システムの名前はともかくとして、こういう大きな仕組みを各企業は持っ ております。図表1は倫理綱領と言われる行動基準、行動規範を制定し周知徹底している、 それを推進するための遵守体制とフォローアップがあることを示します。この名前は各企 業によって違いますが、担当責任者がいて、担当部署があって、教育・研修プログラムが あり、倫理ヘルプラインという内部通報制度があるという遵守体制は、例えば経団連の主 要な企業は全部持っております。ポイントは左です。フォローアップ体制になると、企業 倫理委員会、企業倫理の監査、定例実情調査、人事面の配慮となります。考えてみますと、 何と企業倫理委員会はかなり形骸化しております。  例えば私が2期4年務めました雪印乳業、不祥事起こりましたので企業倫理会は毎月2 時間みっちりやっておりますが、それは例外です。大体が3カ月に1回、半年に1回やっ ている、この辺になるとやや形骸化が始まります。倫理監査をやっている事例はほとんど ありません。大企業の富士ゼロックスとか数社がきちっとやっておりますが、まだ倫理監 査まで目配りがいってない。しかし、実情調査という意識調査をやっていることは事実で、 それなりに努力はしております。しかし、コンプライアンス業績を人事面に反映させるか というと、そこまでいっている企業は、もちろんありますが、十分とは言えないという状 況です。  一番大事なのは、経営トップがどういうようなコミットメントをし、リーダーシップを 発揮するかが重要です。アンケートを見ますと、経営トップは83%が年頭挨拶、入社式、 その他の機会で一生懸命語りかけているということ、これは前から比べるとグッと増えて いることは事実です。ただ、問題はその語りかけの中に、本当にどれだけの本音が入って いるかというとなかなか判断できない、難しいところです。  例えば3つほど質問してみましたが、「経営トップは自社の企業使命、価値観、基本方針 等を明示しているか」というと、社内には明示しているのです。ところが社外には意外に 言っていない。消費者団体その他が全部、主要企業のホームページをチェックしますと、 お客様第一主義と言いながら消費者重視を貫徹するという方針は意外に述べられていない という状況です。社員が理念や価値観を共有しているかというと、そういう流れにありま すが、まだ十分とは言えない。ディスクロージャーもかなりするようになりました。実際 にはディスクロージャー以外に、皆さんご存じの「環境報告書」「CSR報告書」等で、そ う言っていることは事実です。  それでは(3)の「倫理綱領の役割と重要な課題」では、大体9割強が行動基準を持っ ている、あるいは、それに準ずるものを8割、9割持っていることは事実です。ところが、 そういうのをきちんと各人に配って周知徹底するとき、倫理綱領あるいは行動基準の誓約 書を取っているかというと各社によってまちまちで、取っているのは2〜3割とグッと減 ってまいります。企業で見ると、図表2のように創業の精神とか、社是・社訓、経営理念 を受けて自分の倫理綱領や行動基準を作って、その下に細かい諸規程、マニュアルがあっ て、これを守っていくという流れになります。行動基準その他には諸々の、企業の社会的 責任や経団連の企業行動憲章や法律の要請を受けて作っています。こういう大きな流れは、 主要企業はその流れに沿ってやっていることは事実です。  5頁。各企業によって行動基準の作り方はまちまちですが、大きく見ますと5つの柱が あります。1は社会に対する基本姿勢、2は法令等遵守に対する基本姿勢、これは郷原委 員が言われた法令ではなくてプラスがありますから「法令等遵守」としております。3は 組織の外のステークホルダーにどういう基本姿勢で臨むか。4は社内で、役員と社員がど んな責務と行動があるかを書き、5はどういう体制でこれをやるかです。このような柱が なければいけないのですが、主要企業を見ると日本の場合は第5の柱が意外に欠落してい ます。どういう仕組みで、どういう罰則規程でやるかというのは意外に抜けている事例が 多いです。  6頁。実際の体制とその実践はどうかというと、1)コンプライアンス担当役員や責任 者を任命することは8割でかなり徹底しております。2)の担当部署や適正な運営を見ま すと、これも大企業を中心に行われております。担当部署も相当やっております。問題は 3)の教育・研修プログラムです。形式的には8〜9割はやっております。また、ビデオ を使ったりe−ラーニングをしてやっていることは事実ですが、この実態は会社によって かなりまちまちな動きをしております。例えば7頁になりますが、教育・研修というのは 私ども専門の立場から見ますと3つのステップがあり、1は経営理念、企業使命、基本的 価値観をきちんと理解することが重要です。これは本来経営者が自らの言葉で語りかける のが重要ですが、意外とこの第1のステップを落してしまうのです。それで2の行動基準、 コンプライアンス・マニュアル、これをコンプライアンス部署とか本部でやれよと言うと 途端に細かい枝葉に入ってしまうわけです。第3のステップに事例研究です。自分の会社 以外の、社会で起こっている事例を研究して幅広くやる、この3つのステップをきちんと やらなければいけないのですが、この3つのステップをきちんとやっているところは意外 に主要企業でも少ないです。特に第1のステップの経営者がきちっと語りかけるというの が意外におろそかです。経営トップがお忙しいこともありますが、経営トップ・マネジメ ントとすれば必ずしなければいけないのですが、その辺も抜けているという形です。  次に4)倫理ヘルプラインと社内通報制度、あるいは内部通報制度です。最近の公益通 報者保護法でこれを求めていることもあり8割は作っております。しかし、中堅企業以下 になるとグッと内部通報制度は作られていないという状況です。また、これがどれだけ機 能しているかというと、やや機能が不十分で、年間で内部の通報が数件しかない企業はざ らにあります。雪印など不祥事が起こった企業は内部通報制度を活用していますから、月 に5件とか10件上がって、やはり社内の風通しは良くなっていることは事実ですが、通常 の会社ではそこが十分とは言えないという形です。  8頁。このような企業倫理委員会、コンプライアンス委員会はあるけれども、やや形骸 化している点があります。9頁のモニタリング・企業倫理監査ではさまざまな手法があり ます。点検したり、内部をチェックしなければいけない。これはどこの企業も社長直属の 監査部署、検査部署があるのは事実です。それなりの効果を上げていることは事実ですが、 そこが、例えば企業不祥事の予防的な措置、郷原委員が話をしたようにそこがきちんとで きるか、あるいは治療的なことができるかというと、十分とは言えないのが実情です。コ ンプライアンス調査はやっているという形です。  最後にコンプライアンス業績の評価です。やっているというのは3割ちょっとで、なか なかできません。ある有名企業では、同じ管理職で課長にするときには、売上等の業績よ りもコンプライアンス業績が上の人を先にすることを明言している会社もあります。そう いうのは一部でありますが、コンプライアンス業績を人事考課に結びつけるというところ では、まだ弱いという感じです。  10頁では「コンプライアンス業績をどう評価するか」という1つの仕組みを提唱して講 演等で言っております。かなりの会社はこういうのを参考にしてやっていることは事実で す。また、最近相当効果を上げているのは「エシックス・カード」という名刺型のカード を全員に持たせております。これはコンプライアンスのテキサスインスツルメンツの事例 ですが、例えば、それは法律に触れないだろうか、テキサスインスツルメンツの価値基準 と経営理念に合っているだろうかという質問、それをすると良くないと感じないだろうか、 新聞にのったらどう映るだろうか、これはマスメディアですね、5では、それが正しくな いと分かっているのにやっていないだろうかと。日本の場合、残念ながら3の本人は良く ないと分かっていて、5の正しくないと分かっているのに、何となく組織のためという名 前でやってしまう事例があるという形です。  11頁。これは松下電器の簡単な事例です。松下電器の事例を見ますと、例えば、社会常 識、その行為は社会に通用するか、その行為は消費者がどう思うか、その行為は間違いな いか、もう一度と。これは松下幸之助の哲学で、こういう理念を反映したやり方をしてい る会社もあることは事実です。  では、経営者はどう感じているかです。(1)の企業倫理意識の徹底は難しい、本当のと ころはずいぶんやっているつもりだけれども、末端までいっているかということについて は自信が持てないというのが実感です。また、(2)の情報の伝達もマイナス、ネガティブ な情報が経営トップに上がってこない。先ほどの郷原委員の続きですが、マイナス情報、 ネガティブ・インフォメーションこそトップに上がってこないと経営上は駄目なのですが、 そこのところが弱いという形です。(3)の組織や体制を整備してやっている、しかし、何 となくいまひとつだなということを経営陣が考えている、あるいは感じているのが実情で す。 ○平野座長 それでは、ご質問、問題点の提起、その他ありましたらお願いします。 ○副主任中央産業安全専門官 私から1点ご質問いたします。この検討会の問題に則して 考えますと、石油業界で提案されている内容は経営トップによる意思表明、あるいは倫理 委員会などを整備することにより不正が起こることを防止できるのではないかと言ってい るわけですが、そういう点はなかなか難しいのでしょうか。 ○田中委員 私のほうからお答えいたします。私個人としては、会社全体がコンプライア ンス体制をきちんとしてトップがメッセージをやっている会社は、圧倒的に周知徹底の度 合いは進んでおります。例えば、物理的なボイラーの件を考えましても、末端な安全対策 も基本的に経営上コンプライアンス対策を整えて、きちんとやるという全社的な仕組みが あった上、事業所その他の所の安全対策が滞りなくいくようにするという両面があろうか と思います。全部コンプライアンス体制がきちんとしているから末端はやらなくていいと いう問題ではありませんで、現場がきちんとやるということを担保できる、また、それを 保証する、支援するだけの経営上の体制づくりと、その方針がきちんと明確になっている という両方相俟って実績が上がるというのが、私が企業を観察している実感です。 ○平野座長 ほかにはいかがでしょうか。 ○小澤委員 経営トップが現場のそういうのをきちんとサポートしているよというのは、 具体的にはどういう形で見えるのですか。 ○田中委員 2つありまして、年度計画とか何かにきちんと方針として明示する、安全対 策についても明示するというのが1つです。もう1つは、経営トップは1人ではありませ んで、マネジメントサイドがどんどん現場に、キャラバンふうに実情調査に出かけて行く、 そして現場と対話を重ねるという所が優れた経営者がやっている手法です。そこで経営者 の思いをきちんと言うと、マニュアルの守り方にしても、検査体制の仕方にしても全然違 います。そういうことかと思います。 ○小澤委員 分かりました。 ○郷原委員 コンプライアンスは基本的に終わりがないのです。自分たちの会社はコンプ ライアンスを実現したと思うのがいちばん危険です。状況の変化によって達成しなければ いけないことがどんどん変わってくる。要請されていることに対してどれだけ応えられる センシビリティとフレキシビリティがあるのかということになってくると思うのです。そ ういう観点からすると、ボイラーの問題に対する会社としての自主的な体制の問題は、私 も専門ではありませんから詳しいことまでは分かりませんが印象で言わせていただくと、 今の計画自体を考えると、まだそういうレベルに達していないのではないか。問題があま りにも大きな問題で、物理的なリスクの問題ですから、あらゆる角度から社内体制はスキ のないものでないといけないと思うのです。物理的リスクに対してスキのないコンプライ アンス体制が出来上がっている会社はそう多くないと思うのです。  数カ月前に経産省の環境管理検討委員会の関係で三菱化学の鹿島工場に行って、鹿島工 場における環境管理、災害防止の体制について実情を見せてもらったのですが、確かに非 常に素晴らしい体制が出来上がっています。素晴らしい体制は出来上がっているのですが 非常に気になったのは、今は化学業界はフル操業状態で非常に儲かっています。ですから 相当コンプライアンスにコストをかけて、本当にきめ細かな配慮をしても十分な余裕があ るのです。でも、あまりコテコテのコンプライアンスを一旦作ってしまうと、今度状況が 悪くなったときに一体どうなるだろうか。いい時はいい時なりに、悪い時は悪い時なりの コンプライアンスができるような柔軟性がなければいけないと思うのです。  そういう意味では、今の段階でこのぐらいやりますから大丈夫ですという話であっても、 その危険性を抑えるためのコンプライアンスが継続するかというと、甚だ不安だというの が私の印象です。 ○小澤委員 いま両委員が言われたことと全く反する例ですが、例えば釧路沖地震でナフ サタンクが全面火災をやったときに、経営者のトップが「我が社は国の規制をちゃんと守 ってやっておったと、天災だから、これはしゃあないんだ」と言った。それから、現場の 精油所の所長か現場の指揮官だったか忘れましたが、要するに「これだけいろいろトラブ ルが続くのは、何か構造的我が社に問題があるのとちがうか」というようなことを発言し たというのが新聞に出ていまして、三者が三者とも違うことを言っている、現場に近いほ うがいちばんまともなことを言っているという印象がありましたが。  雪印のときの談話などは、「私は寝てないんだ」とか何やかんやとかという話が出てきま したが、ああいう状況だと、経営トップがまず足がフラついていて、おかしなことを言っ ている。本来はその逆でないといけないはずなんです。 ○郷原委員 パロマのケースがまさにそうですね。 ○小澤委員 そうです。 ○郷原委員 あの会社は25年前に「不完全燃焼防止装置」という画期的な装置を開発して、 5年間無事故でとおした段階で安全ブランドを確立したと思ったのだろうと思うのです。 それ以降、あの会社のインターネット上には「何年間何万台無事故の安心給湯機」という のがずっと掲げられているのです。安全を目指すという方針が明確化されているのですが、 その安全ブランドを確立したと思ってしまうと社内ではそれに反する事態があってはなら ないという感覚が出てくるのだと思うのです。そうすると仮に事故が発生しても、これは 我が社の安全に反する事態ではない、修理業者の問題、責任はないと。それをそのとおり に解決するために法的な弁護士のコストはかけることはやるのだけれども、根本的に問題 を解決しようという努力にはコストをかけようとしない。そういったことはトップに報告 されないということになってしまうと思うのです。これが安全ということに関するコンプ ライアンスの実現がものすごく難しいところではないかという気がします。 ○小澤委員 パロマの件はあまり表だって私は言えないのですが、もうじき調査報告書が 出るのです。社内で取締役会そのものも十分に開かれた形跡がないというワンマン会社で す。大なり小なり前の会長というか前の社長というか、そこの意見は通ったとしても現場 の意見を吸い上げる仕組みがまるでなかったというふうに思います。風通しがよいかどう か、また、先ほど田中委員が言われたようにコミュニケーションがいつでも経営者と現場 とがきちんと議論しているかどうかというのは、ものすごく大事だと思います。 ○田中委員 1点追加しますと、最近各会社は意識調査という、社員の意見を聞く意識調 査をしております。これは毎年やっている企業が増えております。単純な○×ではなく項 目について自由意見を聞くという事例があります。それに力を注いでいる会社は自由意見 の中にすごい貴重な意見が出てくるのです。正社員以外に非正社員の意見も聞いておりま す。そこに正社員では考えられないような非常にきつい意見が書いてあります。非正社員 の場合は半分社会人で半分その企業に入っているというような感じですから、すごく鋭い のです。自由意見で上がってきたものを経営としてどうやって吸い上げて対応するかとい うのが経営上の問題なのですが、そこに真正面から取り組んでいる企業は、我々見ており ましてもコンプライアンスの浸透という意味では相当実績が上がっています。例えばアン ケートでも、単純に形式的にやっている所、それを活かさない事例というのは、残念なが ら本格的に現場の声が吸い上がらない形になっている状況です。 ○平野座長 ほかにいろいろご意見があると思いますし、専門分野によっては事例も、異 なる事例もあると思いますが、今日はコンプライアンスについてご説明していただき、皆 さんには考える時間ができました。これはここだけで終わる話ではありませんので、皆さ んいろいろな各方面で努力していただいて、社会をいいほうにということで、今日の議論 はこれまでにしておきます。  第2の議題「検討の論点整理」について、事務局からご説明を願います。 ○副主任中央産業安全専門官 資料3から6について説明します。資料3は、これまで3 回の検討会でのヒアリングの結果や議論の内容をまとめたもので説明は省略いたします。 資料4は議題2の論点の整理です。資料5は、この議論のベースになる関連のものです。 資料6は、業界の見解として提出されたものです。前回、第3回以降業界と数回打合せを 行い、この資料3のまとめを提示した上で協議をしていたところです。その結果、石油連 盟としては反論したい部分もあるということでしたので、これまでの意見のまとめ、つま り資料3に対する見解という形でまとめてもらいました。今日議論をするときに併せて見 ていただくのがよいのではないかということです。  それでは各論点について説明します。論点1は石油業界の検査技術力、管理能力につい てです。アの事故について今回資料5−1に当方で調べた結果を付けております。大きく 1と2に分かれており、1は平成14年から16年の間で爆発、火災、破裂事故で、腐食、 摩耗、亀裂等が要因になって発生したものに限っております。2は平成17年、18年の爆 発、火災、破裂災害で、腐食・摩耗などに限っておらないということです。製油所の爆発 火災は17年は少なく、18年はこれまで9件と例年になく多発している状況です。このほ かに危険物の漏洩もよく取り上げられますが、この資料からは除いております。  各々について事故の発生状況及び原因というところにまとめておりますのは、監督署が 行った調査の結果、あるいは事業所が報告を出しているものもありますので、それによっ てまとめたものです。それぞれについては下に「業界コメント」ということで出しており ます。これは事故が既知の要因なのか未知の要因なのかコメントを業界のほうに書いても らったものです。業界が「未知」としているものでも議論があるかもしれません。これが 資料5−1です。  論点整理のイ.第三者検査機関による性能検査において補修が十分でないということで 補修を求められた例が少なからずあるという関係資料を5−2に性能検査機関に対するヒ アリング結果の概要をまとめております。これは前回、非公開で内容・資料ともに行いま したので、今回まとめたものです。これらに対する業界の見解ですが、資料6の1頁にあ りますが、ここではこれまでの性能検査で不合格となった例はないので、技術力や管理能 力が不足しているのは誤解である。また、想定外の補修を予定外で行っているわけではな いという見解が示されております。 ○平野座長 石油業界の検査技術力、管理能力ということで論点が出ておりますが、これ について皆さんのほうで何かご意見はございますか。 ○安藤委員 石油業界の見解に対してこちらの意見を申し上げていいわけですね。 ○平野座長 そうです。 ○安藤委員 資料5−1で18件事例が挙がっておりますが、うち6件が腐食で起きている 腐食バースト。それで3件はSCCで、これは腐食という方もいれば、分ける方もいます。 少なくとも3分の1から半分は腐食で事故が起きている。最大腐食はどこに起きるかなか なか分からないというのが定説です。ですから極値統計論なんていうのもどんどん発展し 使われているわけですので、そのことは考えていかなければいけないかと思います。  (3)十分な水平展開の部分ですが、資料5−1に挙がっている18例のうち石連は12 例が既往の事例であるといっているが、私ですと18件のうち16例は既往の事例であると 解釈しております。やはり水平展開がもう少しできていればよろしいのかという気がしま す。(4)自主検査ということで連続運転認定制度と自主検査とは切り離して考えていると いうことですが、私どもで4年連続運転制度を企画し、それが非常に大きな経済効果があ ったということは石連も認めておられるわけですが、この4年連続認定制度というのは企 業の努力と、第三者検査、そして優良事業所が認定されるというメリット、その3本が柱 になっているということ、そういう考え方で企画されているということを申し上げたいと 思います。  3頁の社会的環境ということですが、確かに規制の緩和という文言は新聞紙上をにぎわ しているわけですが。 ○平野座長 安藤委員、論点1のところだけにとどめてください。 ○安藤委員 分かりました。以上でございます。 ○平野座長 ほかには何かありますか。 ○鴨志田委員 石油連盟の検査技術力、管理能力についての(4)です。ここに書いてあ るように連続運転の場合は、結果的に連続運転認定の資格を失うことでありコストベネフ ィットを考えればという書き方をしておりますが、現状としては、例えば保守・管理とい ったものについてのエンジニアリング部門というのは、会社によってここ数年間社内に取 り込まれたり、別会社になったりという形で、かなり組織上変転を繰り返しているわけで す。  もう1つ気になることは、業界が一本化というわけではないのですが、かなり統合して きています。会社・会社によってその保全に対する考え方が違うということがありますが、 それがまだ十分に統一されていないのが現状です。私は、いま連続運転をしていても、こ この事例の中で事故を起こしているところ、この会社はずいぶん事故を起こしているのだ なというところがあります。それは会社・会社によって少し温度差があるのではないかと いう気がするのです。ですから、ここに書いてあるようなことは必ずしも当たらないとい うのが私の意見です。 ○小澤委員 (3)の十分な水平展開の話です。ここに書いてあるように石油学会設備維 持規格を策定し、それを活かすように向上に努めているとあるのですが、それを守らない といけないというようにもなっていないように思うのです。それを策定して保全に活かす という担保するものは何かというのがよく分からない。例えばA社とB社があって、お互 いに技術屋さん、検査をする人間が、隣のものを見に行き、こちらのものを見に行きなん ていうのはまずないわけでしょうから。誰がどういうふうにものを見るかがものすごく大 事です。どういう立場の者が見るかということが大事で、それがない限り水平展開なんて いうのは、基本的にあまりないのではないかと思うのです。自社の中で閉じたものでしか ない。そうすると判断基準が変わってきますし、どうしてもプラントや種類によって制限 が起こりますから、十分な水平展開は基本的に無理だろうと私は思います。 ○平野座長 ほかにはいかがでしょうか。今回の件では、石油連盟に皆さん行っていただ いていろいろ議論していただいたことを漏れ聞いておりますが、平行線のようなところも あるのでしょう。議論にならないというところはどうなのでしょうか。 ○副主任中央産業安全専門官 平行線と申しますか、1(1)のところで社内検査の結果 については、確かに性能検査で不合格になった例はないのですが、資料5−2にあります ように、性能検査の結果は、そこを補修しないと合格にできないというのは少なからずあ りますが、そういう点については否定できないと考えております。それは認めつつも一定 の主張をしたいので、ここに書いているということではないかと理解しております。 ○平野座長 行かれて感じられるのは、私はいつも感じているのですが、対応するのは優 良企業、問題になっているのはあまり優良でない所と。ですから、業界全体でまとめると きには底上げをどうするかが非常に重要な問題になっているのですが、実際に対応してい るのは底の低いほうではないものですからよく分からんと。私の所はそんなことはないよ ということで、かなり強い意見が出てくるような気がするのですが、そういう感じはない ですか。 ○副主任中央産業安全専門官 そういう面もあるかもしれません。ただ、これまでの議論 をお聞きしますと、業界全体の水準が問題になるということであろうと思っています。 ○安全課長 それと、過去の事故とか検査の技術については、もちろんかなり共有できる 部分がある。見解の相違がある部分もありますし、かなり事実関係は認められる。ただ、 将来にわたってという点で大きく並行線といいますか、自分たちはできるのだと。倫理委 員会でできるのだと。先ほど田中先生がおっしゃいましたが、パーフェクトなものはない。 パーフェクトになったらまた危いというコンプライアンスの点から見ると並行線的な話合 いというか、そういうやり取りがあったと認識しています。 ○平野座長 とにかく、今日の議論の大部分が終わってからいまの点について取って返し たいと思います。論点の2と3を説明してください。 ○副主任中央産業安全専門官 資料4の2頁の論点2、社内検査の公正性・独立性の確保 についてです。(1)社内検査において定められた検査手順・方法を遵守し、判断基準をゆ がめないよう検査の公正性・独立性が担保されているかということで、アからウまで並べ ています。ア、事故及び不正状況の発生状況からは、定められた社内検査等がきちんと行 われていない例が少なからず見られる。イ、経営や競争が厳しいときであっても、行うべ き検査の水準が下がらないようにすることが重要であるが、社内の検査部門が会社の経営 から独立して公正な判断を行うことができる体制を確保するのは難しい。ウは、先ほども 説明がありましたトップの意思表明とか企業倫理委員会は一定の効果があると考えられる が、それだけでは不正防止の担保とするのは難しい。(2)石油業界は連続運転の認定事業 場等において、不正事案等の問題が生じていることに鑑み、検査手順・方法等が適正に守 られる体制・仕組み等についてさらに検討するとともに、今後そうした事案の発生防止に ついて自らが実績を示す必要があるのではないか。  この分野の資料は、5−3と5−4です。いずれも、過去に発生しました不正事案ある いは認定の取消事案ということで、第1回の資料で出したものですが、その後さらに事案 があったりしましたので更新をしています。  次に、資料4の3頁の論点3、社会的環境についてです。一定の安全管理基準を満たす 事業者に対して、自主検査制度を導入することは社会的に受容されるか。アは前回、安藤 先生からご発表いただいた内容ですが、第三者機関の監査の必要性が見直される気運があ る例、第三者機関の監査の有効性を示す例、第三者の監査の必要性を示す例が最近発生し ている。イ、製油所等における事故が跡を断たない状況にあるが、企業活動における安全 確保について企業の社会的責任の観点から、厳しい目が向けられていることを認識する必 要がある。ウ、第三者検査機関による検査は、それがあることにより外部に対する公開性、 透明性、信頼性が確保され、緊張感が働き、社内における適正な整備及び検査が確保され ている。  この部分については資料5−5、13、14頁です。高圧ガス、危険物施設など、いずれも 近年コンビナートの事故が増えていることを示しています。なお、労働安全衛生法のボイ ラー・一圧の事故は第1回資料で示しましたように、全業種でも年間数件ということで、 コンビナートは1件あるかないかですので付けていません。論点2と論点3は以上です。 ○平野座長 論点2の公正性・独立性と論点3の社会的環境について、皆さんからご意見 を伺います。 ○安藤委員 論点3について補足させていただきます。規制緩和という言葉も言われます が、安心・安全な社会の構築に関しては、最近は非常に高く要請されている状況にあろう かと思います。それから石連の見解の(2)社会的環境については、私の発言が不十分だ ったために食い違いが起きたのかと思いますが、事故が起きるときは大抵は下請、孫請の 社員が労働災害に遭われる。こういう人たちは、石油会社の安全衛生委員会とか労働組合 にはお入りになっておられない。これは、私の発言が不足だったために起きた食い違いで す。  1つ興味と言っては失礼ですが、資料5−5の13頁に事故の推移があります。下の図に 平成8年からずっと事故件数が増えていく傾向が見られますが、自主検査が導入されたの は何年ごろでしょうか。 ○副主任中央産業安全専門官 平成9年4月です。 ○安藤委員 以上です。 ○鴨志田委員 重要な点が抜けているのは、先ほど郷原先生のコンプライアンスの話を聞 いて気が付いたのですが、企業によると法的な遵守をしている。例えば厚生労働省の圧力 容器なら圧力容器、経産省の圧力容器の範囲の中で物事を守っていればいいだろうという 風潮が確かにあります。これは報告書を聞いていても、厚い審査資料を見ていてもそうい う風潮があります。けれども、扱っているのがどちらかというと、巨大なシステムなわけ です。自動車に比べてみれば、非常に大きなシステムです。そこで起こった事故というの は、先ほど、まだ大阪で燃えているという話を聞きましたが、これが社会に及ぼす影響は とても大きいのです。爆発や燃焼などがありますが、これによる環境への影響はとても計 り知れないものがあります。これは社会的にも報道されたり、付近の住民の方々もかなり 困難を極めるわけです。そういった意味において、非常に重要なところだなと。それが、 どうも石油連盟の方が意識していないなと。先ほどのパロマの事故も人が死ぬということ があったりしますが、働いている人だけではなくて、その周りにかなり大きな影響を及ぼ すということを反論の中に1つも入っていない、それを意識していないなというのが非常 に感じたことです。以上です。 ○郷原委員 いまの意見と同感です。問題によって対応するための組織のあり方が違うと 思います。おそらく、そういう問題に関連してくると思いますが、全然関係のない例です が、私は先月からタウンミーティングの調査委員会の委員で関わっていて、端的な印象は タウンミーティングの趣旨・目的はなかなかよかったけれども、それを重大的な官僚組織 に全部委ねてしまった。だから、結局ああいうことになってしまったというのが根本的な 原因だと思います。趣旨・目的に照らして、最もそれにふさわしい組織を作っていかない といけないということだと思います。この問題も、おそらく法令上のチェックだけをやっ ていればいいというようなことで済むのであれば、それに見合う組織はひょっとすると企 業内でチェックすればいいということかもしれませんが、事が事だけにものすごく重大で、 絶対にそういう災害が起きてはいけないということを考えるのであれば、法令を守ってい るだけでは駄目で、もっとそれを越えた要請があるはずです。そうなると、いまの社内組 織だけではなくて、もっと外部も含めた万全の体制をもって臨まないといけないという話 になると思います。ですから、本当に目的に照らしてふさわしい組織なのかどうかを考え ないといけないし、そういう面では法令をベースにして考えることの危険性はものすごく 大きい気がします。 ○畠中委員 この社内検査の公正性・独立性の確保という点では、先ほど田中委員と郷原 委員の講演がありましたが、結局経営トップのセンシティビティあるいは統率力というの でしょうか、それに非常に大きく関わっているのではないかと思います。そういう意味で は、それぞれの企業のそれぞれの経営トップの温度差というか、この問題についての温度 差が結果としては末端に、非常に大きく響いてくるようなものなのかなと思います。例え ば経営トップが代わって安全第一と同じことを言っても、微妙にそこに温度差があると組 織の構造自体が大きく揺れ動いてくる。そういうことを防ぐシステムというのは、本当に きちんと客観的なものとして構築できるのか。いま郷原委員がおっしゃられたのと同じこ とを言っているのだろうと思いますが、そこに非常に大きな不安があります。 ○小澤委員 企業というのは先ほどのお二方の委員のお話にもありましたが、その企業単 独で世の中に存在するわけではないです。だから、社会に対してどういう責任を果たすの かを明示しないといけない。社会は、どういう仕掛けを作るかといったら、それが第三者 検査です。相互に牽制し合いながら、きちんと安全なものを作っていく。ここに書かれて いる話は、社内検査としては当然の話です。それとは違う次元のチェックをしようという のが第三者検査だと思います。それに対する回答には何もなっていないように思います。 やはり社会側が規制し、企業側は自主規制しという両方がうまくマッチングしたところで きちんとやっていけるものだと思います。だから、片手落ちのシステムはおかしくなると 思います。 ○安全課長 先ほど、委員はコンプライアンスは法令重視のみではないと。それと合わせ れば、自主検査は自主検査でしっかりやっていただく。そのベースに第三者検査があると いう考え方ですよね。 ○小澤委員 そうです。 ○安全課長 自主検査をしっかりやるために、まさしくこういう企業倫理委員会とか経営 トップに一生懸命やっていただければいいというご意見ですか。 ○小澤委員 そう思います。それが国際整合性でもあるし、ISOとか、あの辺の思想で もあると思います。 ○鴨志田委員 これだけの事故があったということが、恥ずかしながら事前審査には出て こないのです。これは何年か経てば、またすぐに申請できますから1つの事故事例として 出すのでしょうけれども、事故事例として出す以上に先ほどの企業責任、説明責任はその 中を見ても何も謳っていないですよね。こういう事故を起こしました。コンプライアンス をどう守って、社長がどうそれを行動したかについて、説明が一切されていないですよね。 けれども、残念ながら事前審査委員会の中では技術的な面しか見ていませんから、そこで 何件かの運転検査の認定をきちんと受けましたということになるわけです。けれども、先 ほど言ったように、経営トップがどういう行動を取ったかがその中には1つも謳っていな いのです。説明もされないわけです。ここがとても重要だと思います。私は先ほどのお二 方の話を聞いていて非常に感じたのは、そこです。 ○田中委員 実は、これのお答えをするのは非常に難しいです。なぜかというと私は日本 銀行にいましたときに、銀行検査官というのをやっています。日本銀行が行査と言います が、まさに第三者検査の典型です。いまは法律に基づいてやられていますが、前の大蔵省、 いまは金融庁がやっています。これをやってみますと、検査というのは第三者検査があっ て初めて社内の検査も充実していきます。目線が違っていまして、私も実際にやってみま すとすごく気が付くのです。社内の検査部長に「こういうことがあるでしょう」と、ダー ッと一覧表を見せるのです。知らないわけではないのです。社内の人もわかっています。 ただ、社内の人はそこまで細かく全部上司につなぐと、「お前、検査部長馬鹿か。そんなと ころをやったら仕事にならないだろう」と、本当に重要なものだけを上げている形なので す。ところが第三者の目から見ると「いや、違う。銀行業であればこうだろう」とワーッ と出てきてしまうのです。つまり、どんなにやっても自主検査と第三者検査の視点の違い が必ずあるところが、まずポイントです。  私の経験でもそういうふうに見せまして、金融機関側の検査部長の立場もありますから、 偉い人も出席する講評の場では本当に重要なものしか指摘しないのです。これは俗に言う 武士の情けで、その辺はきちんと指摘することは指摘しますが、公表で滅多やたらにやっ たのでは会社が潰れてしまいますから、ある程度のところで抑えるわけです。ところが、 私はその次のところ、次のところと検査に行くときには必ず過去3回の検査を全部読んで いきます。そうすると第三者検査をすると、必ず社内検査も充実します。指摘されたこと を、きちんと自分たちも第三者に言われたからやらなければいけないという社内のコンセ ンサスを得て、トップは「しょうがないな」というので直す形なのです。つまり、いまの ご意見のように社内の検査を素晴らしく充実していくためには第三者検査が必要で、第三 者検査があることによって双方が充実していくのが実情です。そういう効果があるのでは ないか。  社内の検査で見ていますと、各会社の企業風土によりますから一概に言えませんが、検 査部署に最近は非常に優れた人材を投入していることは事実です。いままでは、そうでは なかったきらいがあります。それから検査部署に行くと言葉があれかもしれませんが、自 分の出世のキャリアがストップしてしまうという経過もありまして、なかなか充実した人 材がいかない。しかし、世の中の体制が先ほどのご発言にもあったように事故があった場 合には、環境への汚染とか社会に対する影響が大きいからきちんとしようということであ れば、優秀な人材を当てて検査部署を充実しなければいけない。当然、それは経営トップ と直結するような部署である。独立性その他は議論があるかもしれませんが、そういうと ころは相当に経営トップの意向が反映して、きちんとできる体制なのです。ですから、私 は自分の経験も踏まえて自主検査の充実という部分は、むしろ第三者検査があるから双方 ともに充実して、社会の要請に応じられるのが私の実感です。 ○平野座長 ありがとうございます。ほかに何かありますか。それでは、論点4の説明を お願いします。 ○副主任中央産業安全専門官 論点4は、資料4の4頁です。これは、業界の要望として 主張があったものです。現行制度のデメリット、自主検査のメリットと業界が主張してい る点については、第三者検査機関と調整することによって解消可能なのではないかという ことです。ア、自主検査化することにより受検日にとらわれることなく、一連の工事を連 続して予定できる。受検対象設備全数の社内検査終了を待って性能検査を受ける必要がな くなるということで、工事期間が1、2日短縮できるとしていますが、これについて第三 者検査機関は検査の実施日時について受検者の希望に柔軟に対応すること、あるいは随時 検査を実施できるようにすることなどにより、対応できると考えられる。イ、自主検査化 することにより、性能検査時の立会いのため担当者が多数拘束されることがなくなるとし ていますが、これについて第三者検査機関は性能検査時の立会いは担当者1、2名で足り るとしていますので、運用の改善によりこのような負担は軽減できると考えられる。ウ、 自主検査化することにより、性能検査終了後の合格内示を待つことなく運転に向けた復旧 に着手できるようになり、設備を停止しての工事期間は1日程度短縮できるとしています が、これについて第三者検査機関は合格の内示を、原則としていまでも検査の現場で出す ようにしているということですので、連絡調整を円滑に行うことにより解消できると考え られるということです。  (2)第三者検査機関によるチェックシステムの下での現行のボイラー等の連続運転を 確実に運用し、長期連続運転の認定を得ることに大きなメリットがあるのではないか。ア、 連続運転の制度においては安全性を担保しつつ、外国と比べて遜色のない程度の経済性が 実現されている。イ、自主検査の導入による設備を停止しての工事工程の短縮は、連続運 転の実現による短縮に比べれば相当小さいということです。  業界の見解については、資料6の3頁以降にあります。(1)石油連盟の要望の目的は検 査の合理化であるということで、現状に行われている性能検査の実施方法、期間の短縮な ど、効率化に向けて改善について検討の余地があるのではないかと考えられるということ です。以上、論点4についてよろしくお願いします。 ○平野座長 次第に核心に近付いてきますが、これで本当にコスト削減になるのかという ところについて、どうですか。本来であれば企業側の話、ここに意見書を出してもらって いますから、それについて皆さんのご意見を伺うことにしたいと思います。 ○安藤委員 私は、現在の制度は非常に良くて、特に変更する必要性はない。経済性及び 安全性の面において優れた制度だと考えていまして、それを具体的に検討してみたいと思 います。石連の資料によれば、4年連続運転制度を導入したことによる利益は年700億円 余、もし石化協を含めると年1,000億円に達する経済効果が生じているのではないだろう か。  それでは、それを導入したことによって事故がどうなっているかをチェックしてみます と、ボイラー協会の労安法に関する統計は4年連続が導入されたのが1999年で、それ以前 の1991年から1998年までの事故率が7.75件/年、それ以降が7.5件/年。死傷者の数は4 年制を導入する以前が7.5件/年、導入後が8.67件/年ということで、あまり大きな事故率 の変化はない。それに対して、今日いただいた資料5−5の13頁の下を見ると、高圧ガス 設備では自主検査が導入された平成9年から統計的に見ると、事故ケースがずっと増えて いるように見えていくデータです。このデータを比較して考えますと、現行制度は安全と 経済性を担保した優れた制度ではないだろうか。この現行制度の成功は、第1番目は企業 の大きな努力、第2番目は第三者検査制度、第3番目は優良事業場の認可という3本柱に あると思います。  逆に申しますと、先ほど田中委員がおっしゃっておられましたように、第三者検査制度 や連続運転の認可制度が企業の大きな努力を引き出して、経済的メリットと安全の担保が 両立されている制度であると考えています。もし、そういう立場に立つならば現行制度で は、微修正は必要でしょうけれども、大きくフレームを変える必要性は感じられないとい うことです。以上です。 ○鴨志田委員 かなり現実的な話で申し訳ないですが、先ほどから申し上げていますよう に石油連盟も化学プラントもみんな同じですが、全部がシステムとして出来上がっていま すので、1つずつが要所要所としての検査体制を取っているわけです。いまお話にありま したように、自主検査というのは1年ごとにやっています。それから2年、4年とありま す。ですが、1つのシステムの中に4年も2年も1年も、みんな入っているわけですよね。 1年を自主検査とすると、2年も4年も自主検査でないと整合性がなくなってきます。な ぜ1年のみ、自主検査をしなければいけないのかになってきます。プラントが1つの中に 1年、2年、4年と入っています。ですから、結局はどうしてもプラントは止めなければ いけないわけです。なぜ1年だけを自主検査にしなければいけないのかに非常に疑問に思 っています。安藤委員のおっしゃったことは同感で、まさに第三者検査がその中に入って いるからこそ2年、4年がベースとして持っているのだと思っています。 ○平野座長 ほかにいかがですか。今日は十分に時間があるので、もう少し議論を深めて いただきたいと思っていたのですが、この委員会そのものが経済的効果を上げるのにどう したらいいかということで始まったと思います。しかし、どちらかというと非常に日本的 ですよね。国民性の力はとてもあります。私はよく笑い話で言うけれども、日本人は避難 するときは指示されないと避難しない。我々が安全なことをやっていますと。そんなに自 分でやりたければ、別にやればいいではないかと。誰かの御墨付が欲しいから、こんなこ とをしているのではないかという気がかなりしています。これで終わるわけではなくて、 国際競争力に勝っていかなければならない至上命令がある。それに行政も関与する。その 一端で我々は動いているという、この委員会の機能評価も誰か第三者がきちんとやらなけ ればいけないのではないかと思います。  この委員会のメリットというか、いちばんよかったと考えるのは、各省庁で委員会を開 くときに落し所が決まっているというのが多いですが、今日の資料にある石連の意見書も きちんと出てくる余裕があるところが、非常に魅力的に感じます。将来どうなるかはまだ わかりませんが、外力によって何か起こるかもしれないし、あるいは厚生労働省がいろい ろお考えになって、第三者検査のあり方とか自主検査のあり方にもう少しメスを入れるこ とになるかもしれませんね。場合によっては、この委員会の結論の1つに、コンプライア ンスも含めて検査というのはどういうものであるかということを加えることがあってもい いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。いまは日本でやっていますから、日本 的であるということを否定する気は全くなく、むしろ日本的な色が出せればいいのではな いかと思っています。委員のプレゼンテーションにありましたが、アメリカと社会構造が 大きく違います。同じようなやり方で結論に至るとは、とても思えません。 ○小澤委員 1つよろしいですか。ボイラーとは離れるかもしれませんが、石連の要望の 目的に検査の合理化であるということが書いてありますが、実際にどのぐらい上がるかど うかは別にして、経済効果を上げたいということなのでしょう。それを突き詰めると、結 局はこの間のソニーのパソコンのバッテリーが900何十万個パーになっているとか、サン ヨー電気も電池がどうのこうので、同じような話をやっている。その合理化とは何かとい うことが、少し違うような気がするのです。自分の所で端から端までしっかりやるという のが前提だけれども、そのためには何か仕掛けがないとなかなかそうはならないという。 ○平野座長 リチウムバッテリーが危ないとか、先ほどの話の北海道の工場が危ないとい うのは、安全の担当者は、安全に精通している人たちは信号を出します。けれども、経営 の問題とか何とかは無視されて、そのうちに実際に損害を掘ると思わぬ大変なことになっ たりする。 ○小澤委員 それは、中のシステムとか仕掛けができていないのでしょうね。 ○平野座長 それと、日本人独特の上の言うことには従う。だから、例えば厚生労働省で いい規則を作ったとしても、それに従えば万全だと考えられたら本当は良くないですよね。 ○小澤委員 それは最低限のリクワイアメントで、あとは自分でもっと努力しないといけ ないのが当たり前の話です。ルールというのは、そういうものだと思います。 ○畠中委員 だから、私が先ほど言ったのは、経営トップの温度差によって大きく揺れて しまうのではないか。そこの歯止めというのは、第三者検査なのではないかと思います。 経営トップが代わった途端に、同じことを言っていてもその企業の体質が変わって、そし て大きな事故が発生することがあり得るわけですよね。 ○平野座長 小澤委員が言われるように、そういう企業の所が変わっても全然変わらない ようなシステムができている場合ですよね。どうやったらできるのですかね。 ○小澤委員 それは、社会の中から規制する以外はないと思います。企業そのものに社会 的責任を果たせといっても、どこか片一方で儲けなければいけないですから、社会の側か らその企業に対してこういうルールを守りなさいよという規制をかける。それで初めて、 その企業は世の中でうまく。要するに企業内のコンプライアンスだけでなしに、社会に対 するコンプライアンスが必要で、それのための仕掛けの1つが第三者検査、そういうもの だと思います。それを長いこと、我々はかかって作ってきたはずです。保険屋とか損保屋 とか、そのロイズの歴史から見ましても、そういう話だと思います。それを放棄するとい うか、そういう方向に向かわせるのは国際的な整合性を考えてもおかしくなりますし、そ れほど自信を持って言えるようなものではないです。我々がわかっていない、知らないと ころで事故は起こります。違う目で見るのは、ものすごく大事だと思います。 ○平野座長 毛利副主任中央産業安全専門官、どうしますか。並行線のところは並行線、 ご意見の出るところは出た感じがしますが、もう1つ説明しますか。 ○副主任中央産業安全専門官 論点5は、資料4の5頁です。最初に、石油業界の一定の 安全管理基準を満たす事業者に自主検査を認めることは適当かと投げかけています。この 検討会のそもそもは、総合規制改革会議の宿題から来ているということで、第1回にもご 紹介しましたが再度読み上げます。「労働安全性法のボイラー・一圧について、高圧ガス保 安法のような自主検査が認められていない。したがって、一定の安全管理基準を満たす事 業者において自主検査が可能となる認定制度、認定基準について安全の確保を前提に検討 する。認定制度、認定基準が整備された場合には、認定基準に合致する事業者について自 主検査を認める」ということです。総合規制改革会議からは、日本に1社ぐらいはそうい う事業場があるのではないか。検討ぐらいせよということでした。  次に、石油業界に自主検査を行うことが可能と認められる事業場はあるかと書いてあり ますが、当初は石油連盟からは3社が推薦をされまして、第2回の検討会で2社からヒア リングを行いましたが、例えばその中に自主検査を行うことが可能と考えられる事業場が あるかということです。この検討会では、労働安全衛生法について一定の基準を満たす事 業場において、自主検査とすることが適当かどうかから議論をしていただいたわけです。 ここには(1)と(2)の2つの選択肢を用意してありまして、自主検査を認めることが 適当ならば(1)で、それが行える事業場が満たすべき一定の安全基準が何かを決めると いうことになります。その場合の資料として、資料5−6と資料5−7に安全基準の観点 の資料を入れています。自主検査を認めることが適当でないということであれば、認定基 準を整備する必要はありませんで、論点5の(2)になります。今後の条件整備に向けて、 業界はどのようなことを行えばいいかということで、将来目指すべき環境条件のハードル を示すことが業界の目標になってよいのではないかということで、このように掲げていま す。  (3)は、性能検査制度に関して第三者検査機関、行政に対する提言はないかというこ とで、まとめの議論として論点5を提示しています。よろしくお願いします。 ○平野座長 ありがとうございました。簡単なほうから、資料7に報告書の項目の案が出 てきていますが、我々の委員会の議論からすればこれでよろしいのではないかと思います が、いかがですか。もし、何かご意見があればお願いします。よろしいですね。                  (異議なし) ○平野座長 論点5は非常に重要なので、委員一人ひとりに全部お答えいただきたい。も し、いまのこの短時間で言い忘れたようなことがありましたら、あとで毛利副主任中央産 業安全専門官に言っていただいて、そのあとの処理は相談に乗りますので、そういうこと にしていただきたいと思います。論点5については、お一人おひとりにご意見を伺いたい と思います。どなたからでも結構です。 ○小澤委員 基本的には、自主検査を認めるべきでない。第三者検査制度を整備拡充する べきだと思います。そうしないと先ほどから言っていますように、社会的責任を果たすこ ともできない。いまボイラーないし圧力容器の制度というのは、実際にクレーンボイラー 協会とか損保ジャパンとか、基本的に法律で定義されているISOの基準と同じように、 きちんとできています。定義されている組織が独立にやっている民間の検査というので、 ヨーロッパのロイズとか、あれと同じような仕掛けが日本の中に出来上がっている。出来 上がっていない部分で、トラブルをたくさん起こしていると思います。そういう意味で、 いまの制度をそのまま維持すべきであると思います。努力するべきは、先ほどから出てい る連続運転とかになるように努力をするのがいちばん大事な話だというのが私の意見です。 ○平野座長 どうもありがとうございました。順番にいきましょう。 ○鴨志田委員 私も第三者認定をそのまま継続すべきであって、認めるべきではないです。 といいますのは、業界のある企業の方に来ていただいて、それがいわゆるユニバーサルな ものである、ユニホームで全部に徹底している、1つのレギュレーションを持っていて、 全部がそれに従って運転されている。ですから、間違いなく全部できるということでした が、資料5―1の事故例には会社名が入っていないですがその企業も入っています。そう いうことを考えると、その会社の方がおっしゃったことをまともには受けられないという ことです。ですから、私は前から言っているように合体をして1つの会社になると、どう してもそのレギュレーションが1つになったつもりでいるのですが、技術者としての個々 の会社の特性が残るわけです。そういうものが残っている限りにおいては第三者認定をき ちんとして、外部からそれを見守ることがしばらくは必要であろうと思います。 ○安藤委員 結論を言いますと、第三者検査は必要であるということです。なぜ自主検査 かは経済性という視点からだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように現在の第三 者検査制度は、経済性と安全性の両立を達成しているというのが統計的資料で言えるわけ で、更なる経済性の追求は第三者検査を利用しつつ、開放検査周期の延長へ、事故を防止 しながら持っていくことのほうが、はるかに経済効果は大きい。例えば4年が8年になり ますと、現在の第三者検査にかかる費用どころの比ではなくて経済効果が大きいという視 点から、現在の方向でよろしいと思います。以上です。 ○郷原委員 私も、第三者検査を維持するべきだと思います。そもそも、こういう安全性 の問題と経済性、合理性の問題というのは、もともと天秤に掛けることに馴染まない問題 でもあるわけです。どちらが大事かといったら、それは安全性の問題が大事に決まってい ます。ですから、本来は安全性の面に関して逆に第三者検査をやるよりも、自主検査にこ ういうメリットがあるのだというところから出発する話であれば、まだそれなりの説得力 はあると思いますが、そもそも規制緩和の流れの中で、これは第三者検査という制度でな いほうが合理的だと。それほど安全性も損なわないという考え方自体は非常に危険のよう な気がします。あとは、実際に弊害が少ないかというとコンプライアンスという観点から 考えてみても、その安全性を十分に維持するだけの組織体制が期待できるとは現時点では 到底思えない。いずれにしても私は、うまくそれを維持すべきだと思います。 ○田中委員 私も維持すべきであるという考えです。各委員のお話の中に入っていますが、 特に社会の信頼を得ることを考えたときに、第三者検査がなくて自主的な検査だけで社会 の信頼を得るのは、いまの時代は非常に難しいと思います。自主的には、これだけ一生懸 命にやりました。さらに、第三者の目でも見てやって万全を期していますということが社 会における企業の務めではないか。そういうことが企業に対する社会の信頼につながると いう形で、そういう意味では維持するほうが社会の信頼につながると考えています。 ○平野座長 ありがとうございました。畠中委員、もしできましたら締め括りもお願いし ます。 ○畠中委員 皆様方と同じ意見になりますが、安全性を損なうことなくということを大前 提に考える限りにおいては、誰がやってもどの企業がやっても、どの人が企業経営トップ になっても、とにかく安全であることがきちんと担保される必要があると思います。この ボイラー圧力容器の検査というのは、全国的な統一検査制度ができてからだけでも昭和10 年からですので、もう70年の歴史があるわけです。そういう意味で、第三者検査を外すこ とについては先ほどおっしゃっていましたが、まさに未知の分野に踏み出していくことに なります。その未知の分野に踏み出すことについて、それなりの合理的な説明が付かなけ ればいけないと思います。ここで回数を重ねて議論してきましたが、どうしてもその説明 が胸にストンと落ちて来ない。逆に、各委員方からいろいろな疑問点というか問題点が提 起されていると思います。そういう意味で、私もこの未知の分野にあえていまの時点で踏 み出すことについては、反対せざるを得ないと思います。ただ、2回ほど前にたしか申し 上げたと思いますが、現在の検査制度について企業側の要望に沿った形で柔軟に運営して いくことは、やる必要があるのではないかと思います。 ○平野座長 どうもありがとうございました。委員方のご意見を伺いますと、ほとんど同 じ方向に取れるので、私から何も付け足すことはありません。折角こういう委員会ができ たので、石油業界をなるべく良くしていただきたいということで、今日の資料4の5頁の 2、3あたりについて委員方からご意見を伺えればありがたいと思いますが、いかがでし ょうか。例えば2だったら、この委員会ではこういう結論になりました。ですが、石油業 界としてこうやったらどうですかというご提言でもあればありがたいです。  先ほどの話で、第三者検査をうまく使って自主的な部分を削って、より高い安全性を保 つということがもしあれば、そういうことでもよろしいでしょうし、田中委員が言われた ように第三者検査が入ることによって、自主検査の精度は上がるのではないかと。私は石 油業界はそんなに詳しいわけではないですが、キャパシティーがありますから、何かいい 提言があれば彼らは実行すると思います。あまり経営トップが代わっても、変わらないよ うな体制を作っていただきたいというのがあります。 ○小澤委員 私が関係している企業というか組織で、品質管理部門と経営の部門がどのく らい独立性があるものかというのを聞きましたら、そこの所長の言うことには品質管理部 門には歯向かえないと。では、いまは非常にコミュニケーションがいいけれども、あなた が所長を辞めたときにはどうなるのだと聞いたら、うっと唸っていました。それではいけ ないと思います。仕掛けというのは、ものすごく大事だと思います。人が代わっても、そ れが機能するような仕組みを維持しないといけない。 ○平野座長 それは、欧米のほうが上手ですね。 ○小澤委員 そうなのです。コミュニケーションがいいというのは当然の話で。 ○鴨志田委員 これは社内検査の公正性・独立性の確保についてに関わることですが、検 査をしていて非常に感じるのは先ほど申し上げましたように、それぞれの圧力容器が省庁 ごとに異なっているわけです。その間をパイプラインというか、配管がつないでいるわけ です。そこでの事故が非常に多いのです。ですから、表には出て来ないのです。たぶん、 それは社内で全部処理されていると思います。そのことをもう少し石油連盟の方が、どの ぐらいかを掴んでほしい気がします。そこの保守点検をして、事故が起きないという事例 をきちんと石油連盟が作ってほしいなというのが最初の段階でしょう。どんなことがあっ ても、絶対にそこで起こさないと。新聞に出てきている多くは、パイプラインのところで す。事故もパイプラインが多いのです。しかし、それについては先ほどから申し上げてい ますようにコンプライアンスを守っていますよということだから出てこない。けれども、 石油連盟はそこに絶対に目をつけてほしい気がします。それは、社会に対してきちんとし たコンプライアンスを持っているかどうかにつながってくると思います。そのことを望み ます。 ○平野座長 私は、むしろ検査機関にお願いしたいことがあります。日本の国民性は検査 に来ると、検査をしに来た人の言うことは何でも聞くという体質になりがちなので、そこ で有効な意見交換ができると、実際にはそれをやらなくて済むことがあるかもしれないし、 水平展開の意味でも検査官の人にいろいろ知ってもらうことができると思います。そこは どうしたらいいですかね。お願いするしかないですかね。なんとなく各企業が嫌っている のはそこだと思います。第三者検査機関が入ってきたら、こちらの言うことが正で自分た ちの言うことはなかなか通らない。第三者検査といえども、そうではない姿が本来の姿だ と思います。そこは、なんとかならないですかね。特に厚生労働省でやっていますから、 労働者の安全ということが主眼に出ていいと思います。現場の労働者はどう考えているか というと、先ほどの田中委員の話のようにいろいろな所から意見聴取すれば、思いもかけ ない良い意見が出てくる可能性があるので、何かできないですかね。 ○田中委員 いま座長がおっしゃったような第三者検査のところも、自主検査している企 業に入ったときに、よりコミュニケーションを図るのは重要だと思います。自主検査をし ている企業から見たら、こう改善したい、こうやってこういう成果が上がっている。これ はこうではないかという意見を言っていいはずなのです。意見を闘わせて、第三者検査が すべてわかっているわけではありません。意外に実態は、企業サイドのほうが進んでいる 部分もあるわけです。  ところが、第三者検査はその企業の固有の検査がありますが、そのほかの情報も海外の 情報もずっと持っていますから、それを持ってその企業を見るというプラスがあるわけな ので、個別の企業と第三者検査の視点が違いますから、必ずそこでもって意見交換を行う ことによって、お互いが充実していくというねらいが必要だと思います。そのキーワード は何かというと、社会の信頼ですよね。安全なものをきちんと守って社会の信頼を得るの だというところが重要なので、内部統制云々も元々企業は何のためにあるかというと、収 益を上げるには違いありませんが、社会のためにあるというところが重要なのです。そう 考えると、安全を無視して云々ということはあり得ませんから、当たり前のことですが不 祥事が起こった企業は何百億円損しているか。事実は明らかです。ところが、安全に対す る見方が少し甘くなって、それがずっと引きずられていって、どこかでボーンと大きくな ってしまうのです。ですから、第三者機関あるいは行政に対しても議論の過程でいろいろ と出るかもしれませんが、行政とすれば、なるべく企業に自主性を持たせてやるようにな るべく自由にさせる。しかし、事後検査的なものでチェックすることは必要という立場の 時代の流れの変化は、きちんとやっていく必要があると思います。むしろ第三者検査と企 業サイドのコミュニケーションを良くして、お互いに切磋琢磨するというところをもう少 しやっていただければありがたいのではないかと思います。 ○安藤委員 そういう複雑なシステムですと、いくら努力してもある程度は不可避的にあ ると思いますが、それを少しでも少なくするためにはいろいろな目(視点)があるほうが いいと思います。そういう意味で、いろいろな目(視点)を入れることは大切だと思いま す。 ○平野座長 ありがとうございます。委員の中での意見の相違があまりないですから、そ れほど議論が盛り上がらないきらいがありますが、それでも皆さんの意見を十分に集約で きたところには行っていると思います。毛利副主任中央産業安全専門官、これからのこと を含めて何かありますか。 ○副主任中央産業安全専門官 ご議論をどうもありがとうございました。本日一定の方向 を出していただきましたので、この資料7の項目に従って報告書(案)を作りまして、次 回検討会に提示をすることにしたいと思います。その際はいまほどありましたように、業 界が今後やるべきことだけでなく登録性の検査機関、行政の側に対するお話もありました ので、そういうものをまとめながら具体的に報告書に書き込んだ内容について座長からも ありましたとおり、ほかの方からもご意見がありましたが、検査機関と業界の対話が進む とか、そういうことも含めて報告書で終わりというのではなくて、取り組んでいきたいと 考えています。 ○平野座長 次回の予定をお願いします。 ○中央産業安全専門官 この検討会の予定では、次回が最終回ということになりまして、 報告書を具体的にご検討いただく会になります。日程調整は先ほど調整票を回収しまして、 3月5日(月)の10時から12時が唯一、7名の委員方の日程が合いましたので、こちらで お願いできればと思います。 ○田中委員 ボイラーについては行政のほうで、よくやっている企業の表彰制度はあるの ですか。こういう分野でよくやっている企業というのを。 ○安全課長 ボイラーに特化したものはありません。 ○中央産業安全専門官 ボイラー業界で優良事業場を表彰しているのはあります。 ○田中委員 そういうのを何か支援するような仕組みも有効ではないかと思います。私は、 経団連が100社ほど入っている経営倫理実践研究センターの先任研究員をやっていますが、 そこで2年に一遍、コンプライアンス企業倫理をよくやっている経営倫理という言葉を使 う経倫努力賞を渡しています。いろいろと評価基準をやりまして、5段階に分けて各社の 状況も見、専門家の意見も聞き、そのグループの100社でどこの企業がいいかという第三 者評価もやり、こちらから経営者に会いに行ってチェックして総合評価をします。その結 果、記念にベル(鈴)を贈り表彰するのです。それがすべていいというわけではありませ ん。表彰を受けた企業は、すごく緊張するそうです。受けてしまうと、不祥事を起こせな い。だからといって起こらないという保証はないですが、より一層経営トップは緊張して、 何度も繰り返し徹底しなければと思うそうです。ですから、業界でやっているところを支 援してなるべくよくやっているところを表彰し、それから支援するところも必要ではない かと思います。 ○平野座長 どうもありがとうございます。もし、この際何かもう一言という方がおられ ましたらどうぞ。よろしいですか。  ご協力をどうもありがとうございました。これで閉会します。                       (照会先) 厚生労働省労働基準局安全衛生部 安全課機械班(内線5504)