06/12/15 介護施設等の在り方に関する委員会 平成18年12月15日第2回議事録    社会保障審議会介護給付費分科会             第2回介護施設等の在り方に関する委員会議事録 1 日時及び場所 : 平成18年12月15日(金) 午後2時から4時05分             霞が関東京會舘ゴールドスタールーム 2 出 席 委 員  : 天本、池田、井上、井部、漆原、大森、沖藤、 神田(浜野参考人)、木下、紀陸、田中(雅)、 対馬(椎名参考人)、中田、前田、村本、山本の各委員            喜多、木村、田中(滋)、新田の各委員は欠席 3 議題   (1)我が国における高齢者住まい等の状況について   (2)諸外国の施設・住まい等の状況について   (3)その他 ○川尻計画課長より、委員の交代の報告、初出席委員の紹介が行われた。 ○大森委員長より挨拶。 ○榎本地域ケア・療養病床転換推進室長より資料1を資料に沿って説明。 (大森委員長) 続けて外国の状況も報告してもらい、質疑をした方が良いか。 (川尻計画課長) すこし長くなっているから、ここで一回切っていただきたい。 (大森委員長) それでは、今、報告のあった、我が国の高齢者住まいの状況などについて、主として 病床群の方の宿題の回答であったが、それ以前に幾つか数値が並んでいるが、どこから でも構わないので、何か質問、お気づきの点があればお願いしたい。 (天本委員) 7ページと22ページについて、7ページでは介護施設を含めたケア付き高齢者住宅が、 日本ではある意味での住宅整備、障害者用の施設が非常に量的に少ないというのが7ペ ージで言われているが、22ページだと、量から質ということが書かれている。これは少 し矛盾しているのではないか、これをどのように解釈するのか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長) 22ページの住生活基本法、これは若い世代も当然含めての全体の量としての話であり、 高齢者向けのものについては、確かにご指摘いただいた点もある。 そういう意味で、国土交通省の方で今後、より高齢者に対する配慮を強調していく施 策を進めていくというふうに聞いている。 (天本委員) 認識として、やはりこれからいろんな意味の高齢者用というか、障害者が地域で生活 し続けるための住宅政策は非常に重要である、後れているという認識でよいか。 (古都振興課長) そのような認識で結構である。量から質というのは、若い世代がどんどん増えてきて いたので、量を増やしてきたが、近年では高齢者専用住宅とか、あるいは高齢者を中心 にした住宅などが特に整備されてきている。そういう意味では、まさに天本委員が御指 摘のように、これから高齢者専用とかを含めて整備していかなければならない。しかし、 マクロに見ると量的にはかなり整備されているので、むしろ狭い住宅、そういうものの 質を上げていかなければいけない。あるいはストックを活用しなければいけない。それ が今度の住生活基本法の「生活」が入った意味でもある。 (井部委員) 感想だが、15ページの「14.最期の療養の場所の希望」について、これはとても興味 深い。一般の方たちは自宅で最期としたい方が22.7%である。医師や看護職員は、かな りの割合が自宅で最期を迎えたいとしており、病院を選んでいる割合が一般の人よりも 少ない。これは病院がどういうところかよくわかっているからだと勝手に解釈している が、一方で、介護施設職員の方は、介護老人福祉施設で亡くなりたいという割合が一般 の人よりも多い。介護施設職員は、自分の仕事をしている場をかなり肯定的に見ている のではないか、いずれにしても医師や看護職員は一般の方々よりも圧倒的に病院で死に たくないと思っていることは特記すべきことではないか。 今後、病院幻想みたいなものを変えていく必要があるのかなと思う。 (大森委員長) 若いころ、老人ホーム等施設の職員に聞いたところ、そのときは、自分がそうなった ら施設に入りたくない人が多かった。だから日本の介護施設もだんだんよくなり始めた のではないかとも思える。かつてと比べ、こういう回答が出てくるのは、職員の人たち が自分で働いている場所について、やや肯定的になっている可能性があるのではないか。 昔はほとんどそういう回答はなかったと思う。こんなところは嫌だという回答が多かっ た。 (井部委員) むしろ、医師の方が圧倒的に自宅を選んでいる。48.9%自宅、病院は23.4%、一般の 人よりも病院で死にたいと考えている人が断然少ない、これは看護職員にも言える。 (大森委員長) これは、正しい自己認識をお持ちになっていると考えられるのだろうか。どういうふ うに考えられるのか。何か御感想があれば聞かせて欲しい。 (天本委員) 私自身も確かに自分の家で最期はという気持ちである、医療への過剰な期待というも のが、まだまだ日本にはある。ただし、我々も医療の限界というものを、思っている先 生もおられるし、また、やはり医療というものの重要性というものもある。 これはTPOであり、なかなか一概に言えないが、この数値は、統計は統計であり、 これが事実なのだろう。 (沖藤委員) 今、大変興味のある御発言が続いているが、このことについては、男女別に見たとき に、相当ニーズが違うと思う。男性は我が家志向が非常に強いので、我が家と答えるだ ろう。しかし、女性は一人になったときに我が家で一人で死ねるのか、その悩みをずっ と抱えている。一般というところは是非、男女別に見ていただきたい。また、この資料 は、20歳以上の一般国民であるが、やはり25〜30歳ぐらいの人たちと60、70歳の人と は意識が違うと思うので、年齢セグメーションも入れて、性別、年齢別にわかればと思 う。 また、最近では、訪問看護師も病院に再就職をする方が多く、地域で働かなくなって きているということを聞く。うわさの範囲かもしれないが、そういう話を聞くと、一人 残される女性が、本当に在宅であの世に行けるのだろうかという非常に深い恐怖感を持 っているので、その辺も答えていただけるとありがたい。とにかく年齢別、性別セグメ ーションと看護職の働き場所がどうなのかということを教えていただきたく思う。 (大森委員長) これについて何か統計的な資料は。 (川尻計画課長) 男女別に希望を取った場合には、男性は圧倒的に自宅希望で、女性の自宅希望は落ち るという統計があったと思うので、次回にお出しする。 (沖藤委員) 年齢は65歳以上でお願いしたい、若い人はまたちょっと違うので。 (川尻計画課長) おっしゃったような年齢と一致するかは別として、次回用意する。 (大森委員長) 今の御指摘は、男性が自宅で送りたいということが悪いわけではなく、一人になった 女性をどうすればいいかという問題提起と理解して良いか。 何となく男性が阻害されるように感じるので、そういう趣旨ではなく、非常に大事な ことであるから、もし統計があれば次回に出してもらうこととする。 (木下委員) 先ほどからの15ページの表について、どのような調査でも同じような結果が出ている し、ターミナルの調査、救命救急をやってほしいかという調査もほぼ同じような答えが 出ているので、どう解釈するかは、いろんな問題があると思う。老人の専門医療を考え る会で、機能評価を行う際に、自分の病院に入りたいかを十何年も質問しているが、最 初は半分ぐらい入りたくないという答えだったが、だんだん入りたいという答えが増え てきているので、環境は少し整備されてきたのかなという気はする。入りたくない理由 に、嫌だから入りたくないというのだけでなく、身近だから、迷惑をかけるからとか、 複雑な理由がいろいろあると思う。 それから、医師が入りたくないと答えるのは、ある程度所得の関係や、わがままさも あるのかという感じもするので、一概に数だけでは議論できない気がする。 (中田委員) 7ページについて、ケア付き高齢者住宅等の割合の中で、日本の場合は介護保険3施 設等ということで数字が出ておりグループホームが含まれている。 26ページ、27ページの表を見ると、グループホームが居住系サービスに入っており、 介護保険施設ではなくて分かれているが、27ページの下のところを見ると「65歳以上人 口に対する施設・居住系サービスの整備率」となっている。グループホームは、従来、 施設ではないと思っているが、このような分け方について、これからいろいろ議論して いく上できちんと整理しておくべき。 7ページでは、グループホームを介護保険施設等に含めているが、一方では居住系サ ービスという分類もしている。この点について、これから介護保険施設の在り方を検討 するなかで、どのような分類にするのかということも整理しておいた方が良いと思うが いかがか。 (川尻計画課長) 7ページでの区分は、諸外国との対比を見るという意味で、常駐職員が施設の中でケ アをやっているというものをできるだけ青い方に寄せる形で分類した。そうすると、日 本のグループホームも青い方に入ると考えられる。 黄色の方は、外からホームヘルプとか、あるいは医療系のサービスが入ってくるもの という形で分類を行っている。こういうものを参考にしながら御議論いただければと思 う。 (天本委員) 先ほどの指摘は非常に重要で、日本において住宅整備が後れているにもかかわらず、 参酌標準という枠の中に、施設という形で居住系サービスまで制限をしている。1つの 国の政策を進める上での整備が非常に不十分であり、この整理はきちんとすべきである。 (池田委員) 7ページについて、日本が介護保険3施設プラス、シルバーハウジング、老人ホーム を入れて4.4 %だが、これには医療保険適用療養病床は入ってない。それを単純にカウ ントするのはおかしいかもしれないが、25万床あるので、それをカウントすると、日本 でも6%を軽く超えてしまう。 ということは、スウェーデン、アメリカとほとんど横並びであり、そういったところ をもっと優良な住宅に、あるいは居住サービスに変えていくという発想もあり今回の改 革があったわけだから、できれば点線か何かで医療療養病床を付けていただくと割と理 解が早かったなと思う。 (川尻計画課長) 医療療養病床については医療保険適用であり、そのうちどの程度が介護の系列の中に 入ってくるかは未整理であり、その数字は加えなかったが、一つの論点であると思う。 アメリカであれば、ナーシングホームという形で、すべてこの中に入ってしまう。諸 外国との比較はなかなか難しいという事情をお察しいただきたいと思う。 (村本委員) 今日の資料の前半部分は、高齢者の住宅がどういう状況にあるかであり、基本的には、 持ち家が多く、スペースも結構ある。そういう持ち家の人たちを含めて、できればター ミナルになったときにもずっと住み続けていたいというような希望も結構あるが、本当 のターミナルになったら、やはり困ることが家族の負担等で出てくるというようなこと が指摘されていると思う。 そのつながりで、私自身が興味ある問題で言えば、18ページのところにリバースモー ゲージという議論が書いてあり、高齢者が持ち家をターミナルになってもずっと使える 方法も実は制度としてはあり、こういうものの整備を一層していくことが必要であるが、 問題点も有ることが指摘されている。 実は、非常に重要なのは20ページのところで、3のところで高齢者世帯の住み替え支 援ということが盛んに言われており、リバースモーゲージというのは、実は住み続けて、 同じ住宅に死ぬまでいるというのが前提だが、それを少しひねると、所有権は変わらな いが、自分の持ち家をほかの人に貸し、その賃料等を使いながら、別なケア施設に入る ことが可能になるような移住住み替え支援機構というのが立ち上がっているが、そのよ うな仕掛けも含めることによって、幾つか装置を置けば、もう少し高齢者の住まいと、 こういうケアの問題がリンクしてくる可能性があると思うので、この辺の整理をもう少 しした方がよいと感じている。 それを促進しようというのが、先ほど御指摘のあった住生活基本法というもので、そ の辺の整理をもう少ししておくと議論がしやすくなるのではないかと思う。 (大森委員長) 大変重要な御指摘だと思う。 (池田委員) 今の意見に関連して、リバースモーゲージだけではなく、アメリカの場合、不動産の 生前売却1回に限って免税という措置がある。要するにアメリカでは、自分の邸宅を売 却して、それを使ってナーシングホームを利用するとか、1回については無税である。 日本の場合、自分の家を売って、例えば有料老人ホームに賃貸で入るとすると、かな り税制上厳しい状況がある。リバースモーゲージについて、こういった形で資料を提供 されるのであれば、それに併せて生前売却についての税制の問題についても若干触れて いただけるとありがたい。 (紀陸委員) リバースモーゲージは意外と行き詰まっている状況。18ページに3つ問題点があるが、 家も売れないし、市は家を預かっても処分がなかなかうまくいかない。 自治体でどのぐらい取組が進んでいるのか、資料があれば教えていただきたい。 基本的に、特に都市圏では住宅をお持ちの高齢者の方々がおられ、家が古くなると、 そこを処分してマンションに入られるとか、そういうことも相当多く起きている。 だから、これら高齢者の住まいの形を将来的にどのようにとらえ、それに合うような ケアのシステムはどうかということ、これはこれから論議になるだろうが、その視点は 非常に大事である。 もう一点、バリアフリー税制の話で、古い住まいにお住まいの方についてはバリアフ リーにしないと長く住み続けるのは困難になると思う。ましてや単身の方が増えるのだ から、バリアフリー化のために税制優遇の措置をもっと強くお願いしたい。 (大森委員長) 資料にあるように、武蔵野市は、リバースモーゲージを導入したときに全国的に脚光 を浴びた。私たちも現場に行って調べたことがあったが、その後、これを追従するとこ ろはないのではないか。私はフォローしていないが、どうか。 (村本委員) 武蔵野市は八十数件利用があり、東京都の23区内はほとんど制度を整備しているが、 件数はそれほど伸びてない状況。自治体でいうと、神戸の地震があり、再建のときに使 おうというので始めているが、これも数件である。 それから、熊本、鯖江、藤沢とか制度は設けられているが、ほぼ1件ずつとかの状況。 民間の金融機関が信託銀行で実施しているが、これもバブルで崩壊し、ストップした ままで、これは百十数件あるが最近また復活し始めている状況。 このような問題があり、何とかしようということで、今、あちこちで対応しているが、 その仕組みがうまくできれば可能性が少しはあるのだが、検討中である。 (大森委員長)  先生のお知恵をお借りして、どういう実情にあるか、問題点についても、現場の方で 気がついていると思うし、場合によっては、工夫があるかもしれないから、もう少しこ こら辺のところを詳しく調べられるなら調べてほしい。 (天本委員)  33ページについて、3施設の17年度直近の介護度別の入所の分布状況ということだ が、一番下のところが介護療養型医療施設で、要介護4、5が7〜8割であり、介護度 の重い方たちが入っていらっしゃる。これを平成24年に廃止するということだが、一番 介護度の重い方の入っている介護療養型を、一番介護度の軽い人が多い老健に当てはめ ようとしている。このような計画が現実的なのか。 療養病床を廃止するときに、このデータのようなものがきちんと表に出されて、その 根拠に基づいて介護療養型医療施設が廃止という現実性を持った形で議論されたのかど うか、それをお聞かせいただきたい。 (大森委員長) ちょっとどきっとする御質問だが、いかがか。 (鈴木老人保健課長) なかなか難しい質問だが、医療保険でカバーしている療養病床と介護保険での療養病 床について欧米との違いが1つある。先ほどもあったが、日本では、いわゆる介護型の 施設以外に、自宅以外の施設が少ないという指摘もあるので、全体としては、6年間と いう期間を設けた上で転換をしていただくということである。確かに、今、ご指摘いた だいたように、介護療養型医療施設の重度の方を老人保健施設に移すには、今のままの 体制で十分なのかという御指摘はあろうかと思う。 今、アンケートで療養型の先生方に、施設の現状、転換の意向、入院されている方の 現状について調査をお願いしてあるので、それがまとまってくる段階で、どういう手当 が必要なのかということを、この場でも御議論いただければと思う。 (天本委員) 一般的には重いところは残すのではないか、非常に逆行した対応を考えられている。 6年とのことだが、非常にのんびりした形で介護施設の在り方が議論されているが、 平成21年の介護報酬改定で始めてこの問題が絵に描かれるということであれば、実質3 年、3年で介護療養型の重い人たちに対して本当に適切な対応が計画的にできるのかど うか、そこをきちんと説明いただきたい。 それと、介護保険施設への移行を誘導しているが、現行の老健施設で重い人たちを受 けられるとは思えない、新しい老健施設のイメージというものができない限りは、我々 は手を挙げられない。そういう議論も非常に後れているということで、本当にこれでで きるのか。  介護度の重い人たちが、ある意味では非常に高齢社会の中でも一番弱い立場の人たち が、医療の療養病床で医療区分1ということで、老健で見られるとされ、既に7月から 約10万人あるいは12.5万人というものを介護で受けろということで診療報酬が位置づ けられた。 ところが、34ページを見ていただきたい。稼働率は、3施設とも9割以上だから、要 するに平成21年までは受け入れ体制はないということ。受け入れ体制がないにもかかわ らず、12.5万人、10万人という人たちを医療保険では追い出しにかかる、介護保険では、 これも要するに廃止という方向で切り捨てようとしている。この人たちは一体どこへ行 くのか。医療保険と介護保険、医療保険で病床削減であれば当然介護保険で受けるとい うのが、これは国としての全体の流れであるはず。それが今度は介護ではこれを廃止す る。 この稼働率についても、廃止のときにデータを出したのか、そういう下で廃止という ことにされたのかどうか。 (鈴木老人保健課長) 確かに次期の介護報酬改定は平成21年度を予定しており、介護療養病床の廃止は平成 23年度までということで、それに間に合うのかということであるが、勿論、報酬の改定 自体は21年だが、それ以前になるべく早い形で、医療の方も後期高齢者の医療制度が2 0年から発足するので、それと連携した形で、少なくとも入られている方、もしくは運 営しておられる方にきちんとビジョンを持っていただけるような形で、早くお示しをし たい。 老人保健施設については、確かに中間施設としての位置づけであり、軽度の方が多い というのが事実であるが、そのようなところで、今、介護療養型医療施設に入っておら れる方をそのまま受け入れられるのかという指摘だが、前回資料でもお示ししたと思う が、介護療養型医療施設では中で亡くなっている方が27%ぐらいおられるのに対して、 老健施設では2%ぐらいしか中で亡くなっておられない現状もあり、看取りの機能や、 看護師の配置等について、今、さまざまな議論をいただいているので、この場でも検討 いただければと思う。 (大森委員長) 天本さんの御質問は、今のような今後をどうするかということがあるが、仮に33ペー ジと34ページのような表が、改正するときに提示されていたのか、その上で変更が行わ れたのかということをお聞きになったのではないか。 (鈴木老人保健課長) 私の理解している限りでは、この表自体が議論の場に出たというわけではないと思う が、先ほどの議論の論点で、実際に今入っておられる方を現状としてどうするのかとい うことがあったが、1つには、医療の療養病床の中にも、医療の必要度はそんなに高く ないけれども、要介護度を見ると、ある程度高いという方がおられ、逆に介護の療養病 床の中にも医療必要度が高いという方がおられるので、そういう方について地域でうま くやりくりをしていただいて、定員の中で動かしていただくというのも1つの方法だと 思う。 また、そのために、どういう支援が都道府県等で出来るかというのも少し検討し、お 示し出来ればと思う。 (天本委員) 過去のことにおいて、要するにデータに基づいた形で、計画的にこういう方法が可能 かどうかということなしに、とりあえず廃止しようと、そのような対応であれば、重介 護の在宅で見にくい、病院でも医療費の問題があるような方について、一つひとつの理 屈はわかるが、やはり国としてのセーフティーネットとして、一番重い、弱い立場の人 をどうするかということは、きちんと社会保障として議論し、データに基づいてするべ きで、何を根拠として介護療養型医療施設を廃止するのかということを私は言いたい。 現時点の問題として、21年までの間を医療療養では、先ほども何回も言っているが、 10万、12.5万人、しかもその中に経管栄養や、胃瘻の人たちも医療区分1で、これを介 護施設で見ろというような設定になっている。 現実では、もう受ける余裕も量的にもないし、今の老健では、これは見られないので はないか。老健協会の会長さんがおられるが、現場ではどうなのかという御意見もお聞 きしたい、これは直近の問題であるから、介護でもし受けられないのであれば、医療で どうやって受けるかということであるし、医療難民、介護難民というようなものはお互 いに出したくないということだから、現実的な今の問題は今の問題として、将来の問題 とすれば、本当に3年間で、21年にきちんとしたものが出るかどうか、3年間では私は 非常に困難だろうと、非常に現実的対応として重要視していただきたい。 (池田委員) 私も、特養、老健、療養病床に要介護度別に何%入っているかということをずっと分 析してきたが、確かに療養病床の場合は要介護4、5が非常に多いことは、ここに出て いるとおり。ただ、母数が特養は38万、老健は27万、療養病床は13万で、母数自身が 倍以上違う。 このままで見ると、さあどうするんだという感じがするが、実際上の数 字で考えると、療養病床13万の8割ちょっとだから、大体、要介護4、5の方が10万 人程度である。 特養の方で要介護1、2の方というのは16〜17%、これは人数にすると、どのぐらい になるのか。結構な数になる。そういう全体の調整の中でどうしていくか、且つ療養病 床が消えるわけではないのであって、老健にならないで、有料老人ホーム、その他とい うこともあるので、そういった意味で、この点については議論としては非常に重要であ る気がする。 もう一つ、率直にわからないので教えてほしい。25ページを見ていただくと、都道府 県別に見た療養病床の病床数が出ているが、極端な地域差がある。このことについて、 介護保険給付を見ると、13倍というとんでもない差になっているので、何故、このよう な不均衡が起きたのか。何か理由みたいなものがあれば、教えていただけるとありがた い。 (大森委員長)  今の発言、その全体について言うと、今日、このデータを出されたということは、今 の天本委員のような御指摘が当然出てくるということで、なおかつ私どもの委員会は、 その在り方について検討しなければならない。一つは、今、池田委員が言われたように 実態をきちんと把握した上で、可能になるかどうか。何が問題点で、どういうふうにも のを考えれば、具体的に何が可能になるかということは、先ほどの御指摘だと、あまり 猶予がなさそうだから、できるだけ早目早目に検討の素材を出してもらい、私どももき ちんと議論しなければいけない。 (漆原委員) 施設の担当者とすれば、一番心配なところがある。現状で言うならば、一番重いとこ ろと、一番軽いところという言い方をされたし、ある意味では長いところと短いところ、 利用の目的も違えば、今の対応も違っている。極端な言い方をすれば、一緒にというか、 転換をする一つのカテゴリーに入るということならば、療養病床の利用者が変わって老 健に来てくれるのか、あるいは老健施設が機能を変えてそれを迎えるのかというような 大きな視点になっていってしまう。現状で、その辺が全く見えないところで、非常に不 安が大きい。 ただ、老健施設については、明らかに機能が療養病床とは違ったところがあるし、利 用者像もかなり違ったものであることは明白である。 老健施設は、老人保健法で創立されたときから医療提供施設とされており、人員配置 あるいは医療の質、レベルについて、ある意味では医療提供施設でありながら、医師は 1、看護師と介護職を足して3ベッドに1人、そのうちの7分の2程度が看護師さんと いうことになる。医師は100 人に1人、1施設に1人で、週40時間、代休もあれば、 勿論有給もあるという状況。したがって当直とかそういう体制が取れるはずもない状況 にある。 看護師についても、週休2日の40時間制で働いているわけで、日勤の人数を確保する と、医療ニーズに対応するのは、かなり厳しくなってくる。それが、今の介護報酬にお ける介護老人保健施設の医療の人員配置である。 そこで、医療処置等について、老健施設でできるのかというお尋ねについて、基本的 には人員配置の問題がある。 もう一点、看護職がいないときに、胃瘻とか、医療処置というふうに言われているも のに関しては、医療職でなければできないという規定がある。 例えば胃瘻の人に食事のチューブをつなぐのも介護職にはできない行為になっている。 一部の地域では指導を受けて非常に困っているという現状が現在もあるが、挙げられて いるような医療処置について言えば、常に看護職がそこにいなければ進まないという現 状があって、できていない。やっていないというか、そういう状況だということを是非 御理解いただきたい。 老健施設の場合には、報酬が一定の範囲、包括医療であり、いわゆる介護職、看護職、 そういったお世話をする人のフィーの中に、それらの医療行為はすべてインクルードだ と。しかも、胃瘻等の場合には、チューブの交換ならば胃カメラが必要であり、内視鏡 でのぞきながら外していくという行為も必要で、老健施設ではできない。できないとい うことを言っているのではなく、今の療養病床と老健施設が一緒にやりますよといった ときには、かなり根本的に医療の部分については、見直しなり、考え方を変えていかな ければ一緒にはなれないということ。 当然、老健施設の中にも医師が近くに住んで、オンコールで毎日行っている人もいれ ば、ターミナルケアにも医師も看護師もいて取り組んでいるところもある。それは、や っているところで、もともとの基準というのが、今の老健施設はそういうふうに決めら れているということだけは御理解いただきたい。 (大森委員長) 在り方とか転換を考える場合、先ほど池田委員が御指摘の地域差。一般的に天本委員 が提起されているような問題についても考えなければいけないが、この地域差は何故こ んなに出てきているのかという疑問はどなたもお持ちになるし、この地域差について、 どのようにこの問題の解決をするときに考えればいいか、甚だ頭の痛い問題ではないか と思うし、現地の人たちは相当大変になるのではないかと、そちらの方も心配であるこ とから先ほどの池田委員の御質問について何かあれば。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長) 25ページの地域差について、平成15年の医療法改正の施行に伴い、一般病床と療養 病床について、届出を旧その他ベースになっていたものをどちらかに決めるという作業 が当時あり、期限ぎりぎりになってお決めになったということが実態としてある。 そのときに、介護でいくのか、医療保険でいくのかということも、恐らくそれぞれの 医療機関で議論されていたと思うが、そこはどうも都道府県によって指導の仕方が違っ てきている部分ももしかしたらあるのではないかと、正確な理由は正直いってはっきり わからないが、恐らくその辺りの都道府県の指導方針の違いなんかも、もしかすると、 出ているのはないかというふうに考えている。 (大森委員長) これだけの地域差があるので、今後これは問題として考えていかなければならない。 もう少し調べられるのなら、もう少し調べて納得のいくような調査をしてほしい。 (川尻計画課長) 26ページの資料は、いわゆる社会的入院、介護施設が足りないから病院で過剰に要介 護の方を引き受けているという傾向にあるかというと、介護施設が多いところが、むし ろ療養病床も多いということであり、代替関係ということでは説明ができない。 それから、この資料には入れていないが、各県別の一人暮らし・高齢者の二人暮らし の割合がどうなっているかということも調べたことがあるが、必ずしも施設の定員の多 いところが、一人暮らし、二人暮らしが多いということではなくて、施設の少ない東京 で、そういう割合が高いということで、合理的な説明はなかなかしにくいというのが、 途中経過であり、分析結果である。 (大森委員長) 池田委員、26ページの表について、今のような御説明であるが、どうしてこうなるの か。 (池田委員) 私も分析してみたことがあるが、施設の整備率と療養病床の整備率というのは、全然 相関関係はない。簡単に言えば、ベッドがあれば、みんな入ってしまうというのが現実。 だから、ベッドが多いところは、当然施設入所者が多いというだけの話、ベッドが少な いところは当然入れない。 では、そこで介護難民が出ているかというと、療養病床が一番少ないのは山形県で一 番多いのは高知県、その差はとんでもない差がある。 そこで、重度の要介護高齢者に大きな格差があるかというと、私はあるように見えな い。  難しいのは、既に入院していらっしゃる方を追い出すことは絶対にできないわけで、 それはそれで経過的にきっちりと支えていかなければいけない。だけれども、その延長 上に未来を想定するととんでもないことになるから、ある意味で施設というものをどう いった範囲内で収めていくか、そこのところの着地点の問題だろう。 (山本委員) 話を聞いていると、現実に合わないようなお答えをしているような気がする。うちの 町では、もう既に療養病床を廃止し、全部なくなってしまった。廃止と同じように、使 わないようにしている。 なぜなら、さっきの話のように、老健施設に替わりなさいというのは無理がある。  だけれども、5年経てば無理がなくなるのかなと、そういうばかげたようなことを考 えたが、今の老健施設へ療養病床にいたような人が簡単に移って、そのまま療養ができ るのか。 体の弱い、今まで療養病床にいた人が老健施設に行って対応できるかというと、必ず しも簡単には行かないのではないか。だから、そこら辺りの説明が少し足りないような 気がしているし、心配している。 そうかといって、時間が5年間あるから、6年目からやればいいんだから、5年間の 間にそういう整理が付くのかなという感じはするが、人間の体というのは、そう簡単に は整理が付かないだろう。だから、そこら辺りにやはり無理があるので、その無理をど うするかということを考えていかなければならないと思う。 もう一つ、地域差という話があったが、制度の中に療養型病床を残すならばこうしま すよという厳しい制限と規制をかけたため経営上大きな圧迫をするようになってしまっ た。だから数の少ない、例えば療養病床数が100 もあるところであれば構わないかもし れないが、50ぐらいの療養病床では、こちらは療養病床でいい、片一方は老健施設へと、 あるいは出ていきなさいというようなことで、いろいろ区別されると思うが、数がうん と減ってくる。しかも、厳しい規制をかけているのだから、療養型で残る方もやりにく いし、変わっていったところもやりにくいのではないか。やりにくいというのは、運営 がしにくい。 だから、そういう施設に入っていくと、どうしてもそれが影響を与えて、よくなるも のが悪くなって、悪くなるのをどんどん促進させるような形になると思う。ただ、決め たから6年後にはこうしなさいと、こういうふうに言って、しかもそのために厳しい規 制を逆に加えた。それで一体そこに入っている人は、物じゃないのだから、入っている 方々は人間ですから、人々を幸せにするためにこういう制度をつくる。あるいは病院と いうのは、そういう病気を治すためにあるわけだが、今度の療養病床の変換のやり方は 逆。だから、その辺りをもう少し突っ込んで考えたことはあるのか。 聞いていると、何か少し現実と合わないような感じがするし、実際のところ、見たり したことはあるのか。それをお答え願いたい。 (鈴木老人保健課長) 我々の方としても、今、ここで結果を出せと言われても、なかなか難しい。確かに幾 つかの施設も拝見し、入っておられる方と運営しておられる方のことを真摯に考えて、 6年後とは言わず、3年後に報酬改定があるが、それまでの間でもきちんとビジョンを 持っていただきスムーズに転換いただけるなら、そういう選択肢ができるような支援を 是非させていただきたいと思う。3年間何もしないで待っているということのないよう に、なるべく早く検討した結果を皆さん方に御相談をしたい。 (山本委員) もう一言、文句を言っているわけではないが、例えば日本の国に看護師が100 万いる として、その100 万人いる看護師で、今の病院なり医療がうまくやれるように考えれば 一番いいわけです。ところが、100 万人いる看護師を逆に200 万に増やしていくのが、 今の厚労省のやり方。私はそう思う。足りない分を、フィリピンから来ていただくとか、 東南アジアの国々から来ていただくとか、そういうことを言っている。 日本でやれるものは日本でやればいい。それをわざわざ日本でやれないような仕組み、 制度、そういったものを考えていくから無理が来る。療養病床がまさにそのとおりであ る。 転換しにくいように、しにくいようにしていったわけで。看護師が3名、医師が1名 でよかったものを、今度は看護師を6名、医師は3名にするというようなやり方。そん なことをいったって、医師は1万4,000 人余っていると言っているが、地域差がある。 全国オールジャパンで実施するのだから、医師とかのいないようなところではやれな い。これはまさに、やりづらいようにさせようとしているとしか取れない。  さっきの話を聞いていると、何でそんなことをやるのかなと、かなり療養病床につい て強い意見が出ているのはわかる。だけれども、うまくやれるような仕組みをつくって やればいい。そういうところまで考えて資料を出さないと、この資料だけでどう判断し ますかなんて、うまくいくわけがないと思う。 (大森委員長) 今、出ているような問題は、いずれここで本格的に検討しなければいけない問題であ る。 (井上委員)  33ページについて、さきほどは要介護度の話から老健に転換をどうするかという話 であったが、私たちが知りたいのは、看護の必要度はどうなっているのかという点で、 実際にどうなっているのかというのを知りたい。それで議論していただけるようなデー タが出せないか。 あと、入っている方は、例えば特養や老健に入っている人たちを今すぐ出していくこ とはできないわけで、そうなると、その人たちがどれぐらいで入れ替わっていくのか、 あるいは老健だと比較的短い期間で入れ替わって行くから、そういう人たちで、要介護 度も要看護度も低いような人たちは、高齢者住宅というものが適用されていくと思う。 そういうもので出すことが可能である方々、そうではない方々に対してどれぐらいの看 護や医療をこれから付加させていくかというのを、いろんな資料で、次に御提示いただ ければと思う。 (田中(雅)委員) 36ページについて、医療の必要性ということについて、3施設においては程度の差は あるが、それぞれ医療ニーズをお持ちの方が認知されています。しかし、例えば特別養 護老人ホームというのは、看護職が24時間常駐していることは限らない。 このデータを見ると、24時間何らかの管理あるいは対応しなければいけないような処 置も行われているわけで、当然想定されるのは、介護職員も、つまり医療職ではないも のも関わっている可能性が高いということ。 私ども日本介護福祉士会もかつて介護福祉士がどのようなことに関わっているかを調 査したことがあり、ここにある胃瘻の管理だとか、疼痛の緩和、そういったものについ ても関わっている実態がある。そういう意味で、是非お願いしたいのは、そういった特 養に限らず、例えばグループホームだとか、利用者の方々が宿泊されるような施設等に おいても当然看護職が何らかの関与をしなければいけない。 そういう中において、実は現場の介護職員というのは、医療行為と言われるような行 為を法律に抵触した行為ではないかと悩んでいるし、時には緊急時の対応ということで 免れるのではないかとか、それなりに自分なりの解釈をしながら悩んでいる実態がある。 このようなことを踏まえて、介護職員の医療行為との関わりについて示したデータ等が あれば是非出していただきたい。 併せて、ここでは死亡前2週間以内だが、日常的な行為についても是非どのような実 態になっているかについて、本当に医療ニーズに対する対応、国民が介護を必要とした ときに適切な対応ができているかどうかについても、やはり数値で見ていって、あるべ き論を語るべきではないか。 (天野委員) 2点だけ、財源の問題で、老人医療費の削減ということで、介護でいろんな意味の量 的な質的なものが大きな変化、拡大するということになるわけだが、それをすべて保険 料でというのは当然不可能だろうと思う。そこの財源の問題が医療費の適正化を受けて のことについて、どのような考えで対応しようとされているのか。 もう一つは、平成20年に高齢者医療制度という医療保険ができる。これと介護保険の 施設との関係、21年からスタートするということは20年までには老人保健施設の医療 の在り方とか、そういうものが非常に重要だろう。そういうタイムスケジュールに沿っ た対応をどのように考えているのか、この次にお答えいただければと思う。 (大森委員長) 例の強制型の広域連合、全市町村で、全部設立させようというすごい法律が実施に入 っているので、それとの絡みのことも出てくると思う。今のようなことに数値がもし出 るならば出していただくということにしたい。 では、諸外国についての御報告を承ることになっているので、簡潔にお願いする。 ○榎本地域ケア・療養病床転換推進室長より資料2を資料に沿って説明の後、海外関係 については、実際に各国取材を行った職員から回答する旨を報告し、職員を紹介。 (大森委員長) 今日は十分時間がないかもしれないが、もし各国について御関心があれば3人の方に お聞きすればよいか。 (榎本地域ケア・療養病床転換推進室長) 細かな、いろいろな各国の状況などについてはまたということ。 (大森委員長) 短い時間だが、各国を調べていただいたことが、私どもが考えていることに、どうい う意味合いとか、どういうヒントがあるかということをこれから考えることとなるが、 各国について何か御質問等があればどうぞ。 (池田委員) 実は欲しいデータが、もう2カ国ある。1つはオランダで、1つはオーストラリアで ある。 特にオランダは1968年にAWBZ、世界最初の介護保険をつくった国で、当初は施設、 病院を対象にしていたが、後に在宅にも広げた。非常に総合的な介護保険をつくってい るということで、介護保険という意味では世界で一番興味深い国である。 オランダは1968年に介護保険をつくり、そのときの介護保険料が課税所得の0.4%で あった。現在10.5%である。課税所得の10.5%というのはどれほど高いものかというの はおわかりになると思う。ちなみにドイツは1.7%。日本は、定額制でカウントしにく いが、標準労働者の収入でいけば、大体1.2%、ただし公費が半分入っているので、実 態的には2.5%ぐらいの厚みを持っている。 何故、オランダは0.4%の保険料が10年で5.4%12倍にはね上がって、現在、10.5% を超える、つまり保険料が25倍に上がっているのか。その理由は、施設吸引効果による コスト爆発ということになっている。つまり、政府がナーシングホームの建設について コントロールできなかった。その結果として、一斉にナーシングホームが増えて、そこ に利用者が入っていってはね上がった。その結果、オランダでは、1990年代にナーシン グホームから在宅のための住宅、土地に対する概念が日本とは全然違うと思うが、2000 年代に入って何をしたかというと、非常に幅広いが、軽度の保険給付をやめて、それを コムーネの事業にしていく。日本だと、この間の改正で言うと、地域支援事業みたいな ものにした。 ドイツが実はオランダが遅れること30年、ドイツは20年介護保険で真摯な議論をや っていたと日本で紹介されたが、オランダでの状況を受け、立ちすくんでいただけだ。 したがって、ドイツの介護保険というのは非常に部分給付で、施設に入るのも、要介護 だったら入れるわけではない。ドイツでは入所に当たって認定をするという手続がまだ 残っているはず。 そういった意味では、財政が租税方式、昔の日本の措置方式でやっている場合と、介 護保険の保険方式でやっている場合は違うので、できれば、ドイツに加えて、オランダ のデータをもう少し出して欲しいと感じる。 ちなみに、介護保険はオランダが最初で、その次がイスラエルで、その次がドイツで、 その次がルクセンブルクで、日本が5番目、6番目に韓国がやるということになってい るので、そういった介護保険の国というような比較というのも一考ではないか。 もう一つ、どれだけの費用を高齢者介護に払っているかということが知りたい。つま り、国民一人当たりにしていくら、GDPのどのくらいの方がわかりやすいかもしれない。 そういったものというのは、つかむのは無理か。 そうすると、少なくとも介護保険をやっているところは、保険料で横並びに比較する ことができる、財源論抜きにしてサービス論だけで話が成立するわけではないので、そ の2つが対応して見られるような、そういう資料がほしい。 (大森委員長) 今のことを整理してもらえると、オランダのことは大体わかるということか。オラン ダのことに詳しい人が少数ですがおられるので、そこへ行ってきちんと調べてほしい。 (池田委員) 多分、オランダが調べられないのは、大使館に厚生労働省からの事務官がいないから と思う。一人でもいるとすごくわかるが。 (大森委員長) 今のようなことを、各国を選んで比較するときに、どういうことで比較すれば、私ど もが考えるときに、有意なインフォメーションになるかが重要。各国の地域研究をやっ ているわけではないので、日本にとって何か意味合いか、こういう点に意味があると、 この国はこういうふうにやってみたら、こういうふうに問題点が生まれたとか、こうい うふうによくなったとか、そういうような問題の立て方をしていただくと有効である。 (天本委員) 土地の問題と、日本はハードの整備に非常にお金がかかる。スポットの議論ですばら しいものであっても、普遍化の問題ということも大切だから、土地とか建物の費用とい うものがどのようになっているか。現実論として、ストックの有効活用とか、例えば、 一般の住宅ならば廊下のない家もあるのに、福祉施設となると急に立派な廊下を東京の 銀座に建設する場合でもつくらなければいけない。こんなばかげた話はないと思う。で あるから、スポットの議論よりも、これから普遍化する、地域特性のあったものという 形での整備というものは、どうしても踏み込まざるを得ないと思うので、その辺の資料 があれば。 (井部委員) 日本では、介護施設で医療処置を看護職しかできないので困っているというのが多々 出ているが、訪問したこれらの国では、ここでは介護、看護サービスとまとめてサービ スが提供されていると書いてあるが、職種、あるいはサービスの内容について、だれが 提供するかというようなことの問題はなかったか。どういう方が看護・介護サービスを 提供しているのか。 (國光主査) 特にスウェーデンとデンマークが非常に色濃く、看護・介護とまとめて、いわゆるチ ームケアにおいて看護師、それから介護士が2〜3人のグループになりサービスを提供 するというスタイルであった。また、各介護職員や看護職員がどのような医療措置サー ビスを行っているかということについて統計的に探していたが、これらの国でなかなか そのような統計資料がないというのが現実。 (大森委員長) 日本では、やれないことで、向こうでは実際にやっているということがあるのでは。 (國光主査) いわゆる看護師、介護士以外にその中間的な職種というものも多くあり、そのような 方々が、例えばインシュリンの注射をされる。看護師ではないが、インシュリンをやっ ている、そういうようなことで、かなり在宅ケア、それから施設のケアを賄っていると ころも強い。 (天本委員) 在宅ケアでの看取りというのは、在宅イコール自宅ではない。ヨーロッパなどにおい ては、かなり多様なところでの看取りというのが進んで、日本よりは5割ぐらいいって いると思うが、そのためには、やはりそこでの業務独占の職務要件の問題がかなり日本 との比較として、どのような形にすれば権限移譲で進むのかと、その辺の問題も、もし わかるところがあれば教えていただきたい。 例えば、アメリカのナーシングホームであればドクターがいないという場合のどのよ うな形の権限移譲とか、システムとしてドクターの指示がどういう形になっているのか、 この辺の問題、やはり次の介護施設の医療の在り方で重要。 (沖藤委員) 介護として働いている方々の教育のシステム、教育年限、できればカリキュラム、例 えば実習時間とか、今、医療の問題が入りましたけれども、介護人の医療行為について の教育の仕方と、教育システムについて施設と在宅と両方違うのかどうなのかも含めて、 教育の在り方を教えてほしい。 と同時に、待遇について、どのような雇用条件で、どのぐらいの賃金が払われている のか、その辺も雇用と人材管理等も教えてほしい。 また、施設に関しての施設長の資格要件というのがあるのかどうか。施設長というの は、どういう資格の人で、何年に一遍の教育期間があるとか、そういう再任教育みたい なこと、更新制があるのか、それがどの程度行われているのかについても知りたい。 2ページのスウェーデンの措置制度、(3)の費用負担のところで、最高利用者負担額と いうのが出ているが、最高利用者負担額というのは、どのぐらいで、最高で払う人は何 割ぐらいいるのか教えてほしい。 (山崎チーフコンサルタント) スウェーデンとデンマークは、特に市と言われているコミューネであるとか、そこの 権限が強く、その中でやっている。自治体の中で運営しているという色合いが強いとい うことが今回の調査でわかり、国の中で一律の何か資格要件があるかとか、それから国 として全体の統計がどうなっているかというところが、なかなか把握しづらいという性 格があるので、どこまで調査できるかわからないが、調査結果というものはお示しした い。 (沖藤委員) モデル的な都市の事例を挙げてほしい。 (木下委員) 個室ユニットケアについて、次回で構わないので、もう一度設立理念と、そのときの 考えの基になったデータなり理論があったらお示しいただきたい、あと、その後の検証 ということで、目的に合った人たちに効果があったのかどうか。それからサービスの質 とか人員配置とか、現状がどうなっているかということを是非お示しいただきたい。 もう一つ、漆原委員から御指摘があったように、老人保健施設には常勤医師がいるか ら医療ができるという解釈をしている方がたくさんいるようだが、100人に1人という ことは、年間時間数でいうと、2割しかカバーしていない。土曜、日曜、夜はいないと いうことで、そうすると、外部提供で何とかできるのではないかという話がよく出るが、 山本委員が言われたように、そういうスタッフは日本にはいないということになると、 そこをどうするかということは、是非今後考えてもらいたい。 あと、この委員会の立場について、介護保険に関しては、介護給付費分科会に上げて 議論することはできると思うが、もし、外づけとか医療提供に関して議論した場合に、 保険局との関係がどういうふうになるかということも次回で構わないので、お答えいた だきたい。 (中田委員) 療養病床廃止・転換について、受け皿として老健が議論されていたが、当然有料老人 ホームとか、あるいはケアハウスとかの特定施設、また、特養も受け皿として、今、注 目されているが、そうした中で、今、国が進めている在宅療養支援診療所、これの状況 がどうなっているのか、設置数がどのぐらいになっているのか、配置されている医師が 平均何名ぐらいか、時間的な対応はどうなっているのか、夜間24時間対応するところが 本当にあるのか、そういった資料請求をしておきたい。 それから、訪問看護ステーションも先般の新聞報道によると、看護師さんがいらっし ゃらなくて廃止するというようなことがあるらしい、この訪問看護ステーションの全国 の配置状況、看護師さんの平均的な配置状況、それから地域的な問題も当然出てきます から、その辺の資料と、時間的な対応、24時間やっているところは何か所ぐらいあるの かというところの資料を是非次回に出していただきたい。 (大森委員長) 事務方、よろしいか。できるだけ対応していただくということで、本日は、以上にさ せていただくが、次回について何かアナウンスメントは。 (川尻計画課長) 療養病床の関係については、10月1日現在の各病院の状況、患者さんの状況をアンケ ート調査という形で調査しているし、中医協の動きもあるので、そういうことも含め、 今日いただいた御質問に対する資料づくりをさせていただき、追って御連絡を差し上げ たい。 (大森委員長) 検討としては、いつぐらいか。 (川尻計画課長) 恐らく、1月とか2月の初めということは難しいので、年度末に近くになるかもしれ ないが、そういう時期に追って御連絡を差し上げたいと思う。 ○大森委員長より閉会の宣言。     照会先: 老健局 地域ケア・療養病床転換推進室       TEL 03(5253)1111(内2176、2177)