06/12/15 医道審議会医師分科会医師臨床研修部会 第2回議事録 医道審議会医師分科会 医師臨床研修部会 日時 平成18年12月15日(金) 10:30〜 場所 厚生労働省共用第8会議室6階 ○臨床研修専門官(井内) ただいまから医道審議会医師分科会医師臨床研 修部会を開催します。先生方にはご多忙のところをご出席いただき、誠にあ りがとうございます。  本日は委員の追加という形で、新しい委員の先生方に入っていただいてい ます。ご紹介いたします。信州大学医学部長の大橋先生です。本日は欠席と なっていますが、奈良県立医科大学学長の吉田先生にも入っていただいてい ます。また、ご紹介させていただきますが、よろしくお願いいたします。  事務局にも人事異動がありましたので、ご紹介させていただきたいと思い ます。医事課長の栗山です。医師臨床研修推進室長の宮嵜です。今後ともよ ろしくお願いいたします。  まず、部会の開会に当たり、松谷医政局長より一言ご挨拶申し上げます。 ○医政局長(松谷) 先生方には大変お忙しい中をお集まりいただき、本当 にありがとうございます。また、新たにご就任いただいた大橋委員、本日ご 欠席ですが奈良県立医大の吉田委員におかれましては、本部会の委員として これからよろしくお願い申し上げたいと思います。  ご承知のとおり、先の通常国会で医療制度改革関連法案が可決・成立をし たところです。これを受け、患者の選択に資する医療機関に関する情報提供 の推進、医療機能の分科連携を一層推進するための医療計画制度の見直しな ど、患者の視点に立った安全、安心で質の高い医療提供体制の構築に向けた 取組みを進めているわけでございます。  本部会の役割である医師の臨床研修については、先生方もご承知のとおり 、昭和43年のインターン制度廃止以来、36年ぶりの抜本的な改正として、平 成16年4月に必修化されたところです。本制度は新年度第一期生とでも言う べき方々の研修終了とともに、第三期生の研修を迎え、制度としてようやく 滑り出し、形が出来たところであります。  おかげ様で、この制度については、長い間の議論を経て作られたわけであ ります。特に大きな混乱もなく、順調にスタートしたというように認識して います。しかし、現場の中でのご苦労、研修医を指導する先生方、またそれ を管理する各病院の先生方、受けている研修医、それぞれの立場からのいろ いろなご意見等あろうかと思います。それらを出来るだけ吸い上げる形で、 さらに良いものにしていく必要があろうかと思っています。おかげ様で、こ れらの関係者の方々のそれぞれレベルの高い努力によって、混乱なく進んで いる状況は私どもとしては大変うれしく思っている次第です。  いま、特定の地域、あるいは診療科における医師の偏在が課題となってい ます。私どもも大変深刻なものとして受け止めているところです。医師臨床 研修制度についても、こういったものとの関連でいろいろ議論がされている ところです。地域における医療対策協議会を中心として、都道府県が主体と なって大学、あるいは医師会等と協力して医師確保に努めるという枠組みで 行っているところであります。いろいろな知恵を出しながら進めているとこ ろでございます。  今年の8月末には、厚生労働省と総務省、文部科学省、3省が連携して「 地域医療に関する関係省庁連絡会議」を設けています。ここで昨年に引続き 、「新医師確保総合対策」を取りまとめたところです。新たな医師派遣制度 の構築、あるいは医師不足県における医師要請数の暫定的な調整の容認とい ったことが盛り込まれたところです。今後ともこの対策については予算面、 診療報酬面、制度面、それぞれにわたり、各省庁が連携して都道府県の取組 みを支援するというやり方でやっていきたいと思っています。  のちほど、事務局から説明もありますけれども、本日は「臨床研修病院の 指定基準に係る経過措置の取扱いについて」を中心にご議論いただくことと しています。経過措置については、この制度を円滑にスタートするというこ とで設けられたところです。これについて十分なご議論をいただきたいと思 っていますので、よろしくお願いいたします。  先生方にはなお一層のご協力、ご支援を賜りますようお願い申し上げ、冒 頭のご挨拶とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。 ○臨床研修専門官 議事の進行に入ります。以降、部会長、よろしくお願い いたします。 ○部会長(齋藤) まず初めに、本日の議事の進め方について事務局から説 明をお願いします。 ○臨床研修専門官 本日、お願いしたい議事についてご説明いたします。い ちばん上の議事次第をご覧ください。議事で「1.臨床研修病院の指定基準 に係る経過措置の取扱いについて」、「2.その他」であります。本日、1 .でまさにここに表記しているような観点のご議論をいただいた上で、今後 のご議論につながるように少し事務局で資料を用意しましたので、2.その 他で自由なご議論をお願いできたらと思っています。そういった形で本日の ご議論を進めていただければと思います。  引続き、資料の確認に入らせていただきます。資料は1−1、1−2、2 −1から2−7までになっています。まず、この議事進行の後ろが委員名簿 、さらに、医道審議会分科会の(医師臨床研修部会)の座席表になっていま す。  資料1−1は「臨床研修病院の指定基準に係る経過措置関係規定」、資料 1−2は「『当面の取扱い』について」になります。資料2−1、「新医師 臨床研修制度の概要」、資料2−2が「臨床研修制度に関する調査」報告の ポイント及び概要、資料2−3が「臨床研修医在籍状況等の推移」、資料2 −4「都道府県別医療従事医師数等の推移」、資料2−5が「臨床研修制度 の検討に関する規定」、資料2−6「臨床研修制度に関する指摘等」、資料 2−7「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議第一次報告」と なっています。足りないもの等がありましたら、事務局へお声をおかけくだ さればありがたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○部会長 いまご説明がありましたが、ご意見やご質問はありますか。よろ しいでしょうか。  早速、議事1「臨床研修病院の指定基準に係る経過措置の取扱いについて 」について、事務局から説明をお願いします。 ○臨床研修専門官 1つ目の議事、「臨床研修病院の指定基準に係る経過措 置の取扱いについて」の部分、資料のご説明をさせていただきたいと思いま す。  資料1−1、「臨床研修病院の指定基準に係る経過措置関係規定」です。 これに関してはいちばん上に書いてございます医師法第16条の2第1項に規 定する臨床研修に関する省令で臨床研修病院の指定基準を定めています。内 容はあとで説明させていただきます。  さらにその下の○、下線部のところをご覧ください。医師法第16条の2第 1項に規定する臨床研修に関する省令の施行について、平成15年6月12日の 厚生労働省医政局長通知で「当面の取扱い」が定められています。  ここの趣旨ですが、「新たな医師臨床研修制度の実施に向けての体制整備 に伴い、医療機関において医師の確保が困難となる可能性やあるいは都市部 において研修を受ける研修医数が増加し、地方に定着する医師数の減少を惹 起する可能性など地域医療に与える影響を懸念する指摘があることから、平 成19年3月31日までの間は、臨床研修病院の指定基準について以下の取扱い とするものであること」となっています。ここで経過措置の期限が平成19年 3月31日となっています。こういった背景もあり、本日議論していただきた いというものであります。  資料1−2は「『当面の取扱い』について」となっています。四角の中で まとめていますのが当面の取扱いの内容です。項目については「受け入れる 研修医の数」、「医師数」、「指導医の臨床経験」です。いちばん右に書い ていますのが施行通知、もともとの規定であります。真ん中のものが現在の 「当面の取扱い」というものです。  そもそもの規定ですが、受け入れる研修医の数に関しては、「原則として 、病床数を10で除した数又は年間の入院患者数を100で除した数を超えない ものであること」となっています。現在、当面の取扱いの中で、「おおむね 、病床数を8で除した数を超えない範囲とすること」となっています。  医師数ですが、もともとの規定では「医療法施行規則第19条第1項第1号 に規定する員数の医師を有していること」となっています。当面の取扱いで は、これを適用しないということになっています。さらに、指導医の臨床経 験は施行通知の規定は「原則として、7年以上」となっていますが、当面の 取扱いとして「5年以上」という形になっています。当面の取扱いの内容に ついてはこの3点となっています。  3の現状をご覧ください。(1)受け入れる研修医の数についてのところ 、「通知の本則を単純に適用した場合、平成19年度の研修プログラムに参加 する予定の2,380病院中、最大で74病院が指定基準を満たさなくなる可能性 がある」というものであります。(2)医師数に関しては、「省令の本則の 規定を単純に適用することとした場合、平成19年度の研修プログラムに参加 する予定の2,380病院中、214病院が指定基準を満たさなくなる可能性がある 」というものであります。(3)指導医についてでは、「通知の本則の規定 を単純に適用することとした場合、いくつかの病院が指定基準を満たさなく なる可能性がある」ということですが、これは現在の手持ちの資料ではわか らなかったというものです。以上が「当面の取扱い」の位置づけ、およびそ れにかかわる現状の資料です。事務局からの説明は以上です。 ○部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか、ディスカッション をお願いします。3点あると思います。 ○長尾委員 現状のところ、「指定基準を満たさなくなる可能性がある病院 について」ですが、地域別のものというのはわかるのですか。 ○臨床研修推進室長 214病院、最大で出てくるというように先ほどご説明 申し上げました。特にその中で多くなるのが、東北地区が67、北陸地区が29 、あるいは九州が30ということで、一部の地域が多くなっている状況と事務 局では考えています。 ○部会長 東北地方に多いということですね、いまの数字は。長尾委員、よ ろしいですか。 ○長尾委員 はい、もともと東北は少なかったですから。 ○冨永委員 3の現状の(1)、「最大で74病院が指定基準を満たさなくな る可能性がある」とあります。病床数を8で割った場合と10で割った場合で 、どうしてこのように指定基準を満たさなくなるということが言われている のか、数が多いところがあるということでしょうか。 ○部会長 そういうことですね。 ○冨永委員 2、3の大学病院についてこういうことがあるのかもしれませ んが、74というのは一般臨床研修も、大学病院もそれだけ多くとっていらっ しゃる所があるということなのでしょうか。 ○部会長 これは事務局に説明をお願いしたいのですが、この数字は何名と ると病院が募集している数なのか、あるいは実際にとった研修医の数で言っ ているのかによって違うと思うのですが、いかがでしょうか。募集定員の点 、実際はいかがですか。 ○臨床研修推進室長 資料でお示ししたのは、あくまでも「最大で」という ように書かせていただいています。計算上ということです。実際にはフルマ ッチしていない場合などもあるので、若干小さな値が出てくる可能性はある かと思います。  あと、プログラムの中でたすき掛けになっている場合などがあるので、瞬 間風速的に超える、超えないというものまではなかなか事務局では把握し切 れない。そういう事情もございます。 ○部会長 よろしいでしょうか。 ○大橋委員 いままでの経過を承知しない部分があるので、失礼になるかも しれません。私は全国医学部長病院長会議の会長も務めていて、そちらの意 見としてお聞きいただければと思っています。  ご存じのように、私どもでは非常にいいシステムを導入しました。入れた 当初の目的というか、プライマリ・ケアをきちんとする、研究をする、ある いはいろいろなものを回って経験ができるという所期目的を達成するために はやはり出口保証が大事なのではないか。そういう意味では、最初に決めた 研修施設、病院内容の規定が非常に大事であります。一度、認めてしまって も、勤務医がいま非常に流動的になっています。医師数や指導者数、指導条 件といったものが施設によって非常に大幅に変わってきています。国民の負 託に応えるためにも、是非、そういう視点の見直しが必要ではないか。  もしも、そういうときに、出来たら地域性についてもご配慮いただけない だろうか。というのは、イギリスでは日本と同じような研修制度を1年遅れ てやっています。イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、 北アイルランドという4地域から出来ていますが、その地域内でマッチング するという辺りの地域性も入れて、後発ですが医師の研修の実質化と配慮を やっているところもあります。そのような新たな視点で、もう一度研修病院 の再チェック、何のためにこのシステムを入れたのかという視点から検討し ていただくようなことはできないものかどうか、お教えいただければと思い ます。 ○部会長 いまの大橋委員のご意見は、経過措置だけではなくて、全体の大 きいご意見ですがいかがですか。 ○臨床研修推進室長 いま、ご指摘いただいたような視点や考え方というの は大変重要なことと事務局でも考えています。いま、部会長もおっしゃいま したけれども、「今後の」と言ったら表現が適切かどうかわかりませんが、 もう少しその中でご議論させていただけたらいいのかなと事務局では考えて います。 ○部会長 一応、「5年以内にはディスカッションする」というように最初 から決められています。矢崎委員、医師の需給をやられていると思いますが 、いまの需給に関して何か追加してご意見はありますか。 ○矢崎委員 この課題は医師の需給とは直接関係ありませんので、やはりい まおっしゃられたように研修の成果がどう上がったかという検証は、必要だ ろうと思います。それと、我が国の医療に及ぼした影響も検証していかない といけないのではないか。今回は見直しというか、経過措置がありますので 、いま座長がおっしゃられたような視点からとりあえずは焦点を絞ってディ スカッションしていただければと思います。 ○部会長 ありがとうございました。3点の経過措置についてご意見をいた だいたわけですが、2点目の医師数については、また違う立場から見ると研 修の質が担保されるのか、医療安全は大丈夫かということが当然求められる と思います。それと、地域医療が混乱してはいけない。ある意味では相反す るところだと思います。いかがでしょうか。 ○冨永委員 長尾委員からのご質問で、事務局からご回答いただいたように 東北、北海道が多い。特に東北ブロックでは、格差がありすぎる。いわゆる 医師の標欠率が高いということもあります。それをさらに制限するとますま す、いま大橋委員がご指摘いただいた地域格差が出てしまうということもあ ります。  いま、いろいろな満足度調査をとっていただいていますけれども、東北に 限ったことではないのですが、いわゆる標欠病院の程度もあると思いますが 、標欠病院で臨床研修をした人の満足度調査が著しく異なるか、満足度調査 をできればしていただいて、継続するかどうかを決めるべきかと思います。  私自身は医師の偏在を踏まえて、それがさらに強くなることを防ぐ意味で も、あるいは地域医療を実際にやっている方、標欠病院で一生懸命やってい る方のほうが後ろ姿、あるいは指導がよくできるということもあるかと思い ます。標欠だからここで打ち切る、という方向には持っていってほしくない と思っています。 ○西澤委員 私も北海道なのですが、いまいろいろ医師不足の中で、勤務医 がどんどん辞めているという現状があり、医師確保に苦労しているなと思っ ています。質という担保から見ると、やはり両方の点をとるのは当然だと思 いますが、現状を見るともう少し経過措置を続けていただいたほうがよろし いかと思います。 ○部会長 その他、いかがでしょうか。資料の中には、各都道府県別の臨床 研修医の数の推移などがあると思います。その辺を事務局からいまここで説 明しますか、あるいはあとからまとめて説明しますか。どちらでもかまいま せん。 ○臨床研修推進室長 資料2−3の2枚目をご覧ください。これは都道府県 別に研修医の在籍状況がどうなっているのかを平成15年、旧制度のときと、 平成18年度、新制度3年目の採用実績を比較したものがいちばん右側に「増 減」という形で出ています。  大まかに申し上げますと、東北では青森県は△となっていますが、それ以 外の所では旧制度のときよりは研修医が増えているという数字に読めるかと 思います。一方、西日本の場合はのきなみ△が立っているという状況です。 その状況をにらみながら、いまの臨床研修病院の指定基準をどういうように 考えるか。例えば、先ほど申し上げたように本則を適用すると、東北ではか なりの数の研修病院が外れることになります。ここの研修医の数が大きく変 わってくるということも想定されるのかなとは事務局で考えています。 ○部会長 いままでのご意見ではほとんど、「当分の間は経過措置を延長す る」というご意見が多かったと思います。つまり、来年の3月末以降いかが でしょうか。 ○篠崎委員 全体の見直しは平成19年、来年になるわけですから、この時点 でこの部分だけ少し早めにタイミングが来たのではないか。常識的には延長 したほうがいいのではないかと思います。ただ、これは私のときに出した数 字ですから、ここに書いてある趣旨を反対に受け取られている方がおられる のではないかと思って心配です。これはあくまでも、厚生労働省の臨床研修 病院の規定なのです。矢崎委員もおられますが、私どもが考えたときは大学 病院のことを主に考えていたのです。たすき掛けのときには当然この数値が かかるのですが、臨床研修の場合、大学病院だけがこの数値が掛からないわ けです。都市部の大学病院が前以上に研修医を集めてしまうと、地域医療に 混乱が起きるのではないかという趣旨からこの項目が出ているわけです。  先ほどのところでも、最大の74が引っかかる可能性があるというのは、大 学病院のたすき掛けも入っての話でしょうか。たすき掛けはどのぐらい入っ ているのですか。 ○臨床研修専門官 対象の病院はほとんどが大学病院となっています。その 中でたすき掛けがどれに該当するかというのは調べておりません。 ○部会長 したがって、経過措置というのは、大学病院に対する配慮と地域 病院に対する配慮があるわけですね。 ○飯沼委員 日本医師会の立場というのは、私の個人的な意見も入りますけ れども、昨日、文部科学省の「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力 会議」というものがありました。そのときに私の知らない事実が出ました。 卒業生が8,000人ちょっとなのに、経過措置の問題になると1万2,000人ぐ らいの募集定員になるのだそうです。8,000人のために1万2,000人の用意 をする必要があるかどうか、というのが私の心の中で起こった疑問なのです 。もし、医療安全や研修の質ということにあまり底辺を広げて、影響がある ようだと、簡単に経過措置でいいというように言っては駄目なような気がし ます。その辺のかね合い、卒業生が8,000人で1万2,000人用意する必要があ るかどうかという議論も要るのではないかと思います。 ○部会長 いまの点は今後、全体の見直しのときに、当然議論しなければい けないことだと思います。よろしいでしょうか。そうすると、ほとんどのご 意見は当分の間経過措置の延長ということですが、それでよろしいでしょう か。 ○冨永委員 いちばん下、「原則7年以上」の指導医の要件ですが、はっき りわからないと書いてあります。おそらく、指導医1人につき、5人研修医 を持てるということになっても、実際のところはそれほど持っていないと思 います。おそらく、これに関しては一般病院でも、大学病院でも3番目のこ とに関してはあまり支障ないのではないかと思います。いかがでしょうか。 ○部会長 その点、実態を細かく把握することは難しいと思います。 ○篠崎委員 こちらも原則ですから。原則7年以上、当面5年だから、そう いう意味だと現場で少し判断がしやすいようにということでしょうか。 ○部会長 そのほか、よろしいですか。 ○西澤委員 いちばん下の臨床経験ですが、勤務医が辞めたり動いたりして いる中で、原則にしろ7年以上になると北海道あたりではかなり影響ある病 院が出ると聞いています。そういうことでは、これも5年以上、いまのまま でしていただければありがたいと思います。 ○部会長 もし、ほかにご意見がなければ、延長ということでよろしいでし ょうか。 (異議なし) ○部会長 ありがとうございました。いまのことに関連して、もう少し、周 辺も含めて議論いただくわけですが、「その他」を事務局から説明をお願い します。 ○臨床研修専門官 資料2の説明に移らせていただきたいと思います。本日 、用意した資料は2−1から2−7まであります。どういうものがあるかの ご説明だけを簡単にさせていただきたいと思います。  資料2−1、「新医師臨床研修制度の概要」で、臨床研修の基本理念、臨 床研修病院の指定基準等についてまとめたものをお付けしています。この中 で2枚目には研修医の処遇と募集、臨床研修病院の指定手続等、当面の取扱 いを踏まえて検討規定ということであります。現在の臨床研修制度がこうい った形で運用されているというもので、資料として提出しています。  資料2−2としては、「臨床研修に関する調査」報告のポイントというも のをお出ししています。これに関しては、平成18年8月にアンケートを取り まとめたもので、3月に行った調査であります。次の頁、2年目、最後の3 月にどういった意識でおられるか等についての資料になっています。  簡単にご説明させていただきます。臨床研修体制・プログラムについては 2年目、最後のときの研修医の先生方の調査ということです。2頁目の上の ほうは、臨床研修病院で「研修病院の研修体制に満足している」という方が 65.5%、「満足していない」が23.1%、「わからない」が11.1%、「無回答 」が0.4%といった答えになっています。  さらに大学病院、合計というものも示しています。概して、「研修体制に 満足している」というのは臨床研修病院のほうで多いという結果が出ていま す。その下には病床規模別であったり、2年生の方が1年生の最後に答えた ときの調査結果を同じような形で挙げています。  次の頁、「研修体制に満足している理由、満足していない理由」というこ とでグラフを載せています。複数回答です。例えば、上の「平成17年度研修 体制に満足している理由」では、臨床研修病院で多いのが「職場の雰囲気が よい」「研修に必要な症例・手技の経験が十分」「指導医の指導が熱心」と なっています。大学病院では「指導医の指導が熱心」「職場の雰囲気がよい 」「研修に必要な症例・手技の経験が十分」という順序になっています。  「研修体制に満足している理由」の病床規模別にしたものが下のものでご ざいます。これも「職場の雰囲気がよい」「指導医の指導が熱心」「コ・メ ディカルとの連携がうまくいっている」というものが病床数の少ない病院で 非常に高く出ているという特徴があります。  次の頁に「研修体制に満足していない理由」も併せて載せています。「受 け入れ体制が十分整っていない」「教育資源が足りない」「指導医から十分 に教えてもらえない」ことが臨床研修病院で回答として挙がっている反面「 研修に必要な症例・手技の経験が不十分」「雑用が多い」が大学病院で高く 挙げられております。  5頁は「研修プログラムの満足度」を同じように聞いています。臨床研修 病院、大学病院、さらに合計という形でお示しています。「研修体制」と同 じような傾向にあります。  さらに、「研修プログラムに満足している理由、満足していない理由」を 挙げています。これも臨床研修病院と大学病院別、病床規模別にデータを取 っています。平成17年度の「研修プログラムに満足している理由」は、臨床 研修病院で研修をされている研修医の方からは「プライマリ・ケアの能力を 身につけられる」「複数の科を回って進路を決める参考になる」等が上位に 挙げられています。大学病院では「複数の科を回って進路を決める参考にな る」「専門医研修にうまくつながりそう」というのが上位に挙げられていま す。病床規模別のほうも下に付けています。  7頁は、「研修プログラムに満足していない理由」があります。これも複 数回答です。臨床研修病院では「1分野あたりの研修期間が短い」「専門医 研修にうまくつながりそうでない」というようなものが上位に挙げられてい ます。 大学病院では「1分野あたりの研修期間が短い」「プライマリ・ケアの能力 がよく身につけられない」が上位に挙げられています。  次の頁、「臨床研修の目標達成度」ということで、研修医の方ご自身が臨 床研修の中で目標が達成されたかどうかというアンケートをしています。臨 床研修病院で研修をされた方では、「十分達成された」と思う方が5.4%、 「ほぼ達成された」と思う方が65.4%、「あまり達成されなかった」と思わ れる方が22.7%になっています。大学病院を同様に見ると、4.5%、53.1%、 32.7%となっています。以上が臨床研修で2年生の方が研修体制・プログラ ムで最後の目標達成をどう感じられたかという点のアンケートでございます 。  これ以降のところは、臨床研修そのものというより、研修を受けられた方 がどういった進路を選ばれるか、どういった科に行かれるのか、どういった 所で引続き研修を受けられるのかというデータになっています。必要であれ ば、またあとで関連した議論が出たらご説明させていただこうと思いますが 、とりあえずここでは省略させていただこうと思います。  後ろの方を見ていただくと、23頁に「病院に関する調査」があります。先 ほどは研修医の方のご意見でしたが、ここに関しては病院の方からいただい た答えが載っています。いわゆる病院から見て、「定員を満たしている理由 」「定員を満たしていない場合の課題」です。定員を満たしている理由とい うのは、やはり病院として売りになっているというか、他に誇れる内容とい うことだと思います。これに関しては「研修プログラムが充実」「指導体制 が充実」「病院の施設・設備が充実」等が臨床研修病院では挙げられていま す。大学病院も同様の傾向にあります。  定員を満たしていない場合の課題としては、臨床研修病院では臨床研修予 定者等への情報発信の充実が十分できていない、指導体制の充実が少し弱い のではないかというところが挙げられている一方、大学病院では処遇・待遇 の充実、情報発信が十分ではないというように病院の方は思われています。  このあとも少し端折らせていただきます。研修プログラムの特徴・特色や 研修医の処遇・待遇についての考え方、現在の枠組みのアンケートを取って います。この臨床研修に関する調査を資料2−2として提出しています。  資料2−3に移ります。資料2−3は「臨床研修医在籍状況等の推移」で す。これについては臨床研修のマッチングの結果、研修医の在籍状況等が臨 床研修病院、大学病院の中で別に数字を挙げています。2枚目は「都道府県 別研修医の在籍状況推移」ということで、先ほどご説明させていただいた都 道府県別の研修医の在籍状況を挙げています。  資料2−4では「都道府県別の医療従事医師数等の推移」です。これは全 国、都道府県別の医療施設に従事している方、診療所および病院の両方でご ざいます。そこに従事している方が、都道府県別に平成10年、平成12年、平 成14年、平成16年で何人おられたかというものであります。平成10年と平成 16年を比較した差がいちばん右上です。実数では石川県が23名マイナスにな っている以外は、全部増えているという概要です。  2枚目、全く同じなのですが、数値をいわゆる人口10万人当たりの医療従 事者の医師数にしています。こういった形で平成16年と平成12年を比べると 、概して全部増えております。ただ、都道府県でも多少の差があるというこ とでございます。これが資料2−4です。  さらに、資料2−5では「臨床研修制度の検討に関する規定」、今後の議 論にもつながることですが、医師法第16条の2第1項に規定する臨床研修に 関する省令の附則の第4項で厚生労働大臣は、「この省令の施行後5年以内 に、この省令の規定について所要の検討を加え、その結果に基づいて必要な 措置を講じるものとする」となっています。  資料2−6では「臨床研修制度の検討に関する指摘等」で、この臨床研修 制度に対して挙げられている意見を抜粋して主なものを載せています。少子 化社会対策大綱では重点課題に取り組むための28の行動という中で22番、 「小児医療体制を充実する」という中で下線部、「研修科目全般の見直しの 中で小児科を初期研修の基本研修科目とする方向で検討する」というように 挙げられています。さらに、へき地保健医療対策検討会報告書の中の5番、 「へき地・離島の保健医療サービスを担う医師を確保するための新たな方策 」の下線部、「へき地・離島の保健医療サービスを体得できるような研修プ ログラムづくりを促す必要がある」とまとめられています。  次の頁、医師の需給に関する検討会報告書の中で、今後の対応の基本的考 え方として、「臨床研修制度については、施行5年以内の見直しが規定され ているが、それを待たずに地域別、診療科別の医師偏在緩和に資することが できるよう、補助制度の見直しを含めて、適切な措置を講じることが必要で ある」というようになっています。さらに新医師確保総合対策の中では、「 秋以降開催予定の医道審議会臨床研修部会において、地域医療確保の観点に 立った臨床研修プログラムの改善を検討課題の1つに位置付けて検討する」 という書きぶりになっています。これに関しては主なものを載せています。 もちろん、それぞれの学会やいろいろなところからご意見等をいただいてい ます。部会で逐次、必要に応じてお出ししたいと考えています。  最後に資料2−7、「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議 」の第一次報告をお開きください。これについては今日来ていただいていま す、三浦課長から少しご説明いただきたいと思います。よろしくお願いしま す。 ○三浦医学教育課長(文部科学省医学教育課長 オブザーバー) 文部科学 省の医学教育課長です。医学教育の推進について、日ごろから先生方に大変 ご尽力いただいていることに関しまして、この場をお借りして御礼申し上げ たいと思います。  資料2−7、その後ろに添付資料が付いています。そのまま説明すると長 くなってしまいますので、恐縮ですが添付資料でご説明したいと思います。  1頁、「医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」、私どもは 長いので「協力者会議」と呼んでいます。そこの2番目にあるように、大学 院における医学教育の改善の問題、地域医療の問題、教育病院としての在り 方、教育研究・診療組織の在り方等について昨年5月から検討いただいてい ます。  2頁、メンバーですが、自治医科大学の高久学長に座長をお願いしながら ご議論をいただいています。  概要をこの資料で申し上げると、8頁以降に付けていますのでご覧くださ い。まず、今回の第一次報告ですけれども、先ほど医政局長からもお話があ りましたとおり、医学部定員について期間を付して増を認めるという措置が 出たわけです。それと関連して、基本的に10年、10名、10県において地域 医療の充実を果たすということでは不十分である。むしろ、医学部卒業生全 体の中で、地域医療を担う医師をこれからも作っていかなければならないと いう基本的な考えのもとに、今回の第一次報告ができています。最初のとこ ろにありますように、地域医療を担う医師の養成および確保ということで、 (1)では大学病院の果たす役割が重要である。(2)医学部の今後の入学 定員の在り方として、2番目の○の1行目、「入学定員の増加は短期的には 効果が見られない」ということを謳った上で4行目、「医学部定員の暫定的 な調整の実施」が進んでくるということであります。その中で(3)医学部 の入学者の選抜の方法論として、地域枠、地元の高校生を入学させていくこ とが重要という指摘や、そのためのカリキュラムということが重要であると いう指摘をいただいています。  9頁の(4)学部教育において、地域医療を担う医師を養成するためにも う少しいろいろな取組みが必要なのではないか。例えば最初の○の3行目、 「学生の地域医療や地域保健への関心を高めるための取組の広がりと充実が 求められる」。また、2つ目の○の3行目、「地域医療を専門とする教育組 織を設けるなどの取組」が指摘されているところです。  (5)ですが、大学病院における新医師臨床研修の充実が必要である。特 に[1]の3つ目の○、「大学病院における研修医の減少傾向が生じた原因を分 析する」としています。それを踏まえて、体制の充実を図っていくことが重 要であることが指摘されています。  10頁(6)をお開きください。地域医療を担う医師の確保という観点から の大学病院の役割があるということで、大学による地域医療の支援を今後と も続けていくということです。  10頁の下、2、医学教育モデル・コア・カリキュラムとあります。聞き慣 れない先生方もおられるかもしれませんが、医学部の学生が卒業までに最低 限学ばなければならない内容について決めているものですが、これらの改定 を行う。特に直近の問題として、がんの問題、あるいはもちろん地域医療の 問題、医療安全体制の充実ということからの取組みが必要だということで、 10頁のいちばん下、(2)で地域保健・医療について記述を充実させていく 。11頁、がんの関係について内容を充実する。(4)医療安全についての取 組み、あるいは救命・救急医療についての記載の充実ということを書いてい ます。  12頁、最終報告に向けた検討課題としていくつか並んでいます。実は昨日 、先ほど飯沼委員からもご説明があったとおり、協力者会議の第二次報告を まとめたところでございます。これは先ほど申し上げた10県における定員の 増についての考え方、10人認めるということだけではなくて、先ほど来申し 上げているような地域医療についての取組みを強化していただくことが重要 であるという指摘の報告書をいただいています。今後、これ以外にも例えば 臨床研究の問題、あるいは先ほど申し上げたモデル・コア・カリキュラム全 般の改訂の問題、教育者の養成の問題など、ワーキンググループを設けて議 論いただいているところもあります。これらを踏まえて最終報告を取りまと めていくことになろうと考えています。長くなりましたが以上です。 ○部会長 ありがとうございました。ただいま事務局と、オブザーバーの文 部科学省から説明を伺いました。それを踏まえてディスカッションをお願い したいと思います。いかがでしょうか。 ○大橋委員 いま、三浦医学教育課長から報告いただきましたが、私も教育 者・研究者のワーキンググループをやっています。お願いというか、頭に入 れていただきたい点が2点あります。  やはり、今回の研修制度が卒前、あるいは卒後教育という大学側に与えた 影響は大きい。地域にある医科大学と、例えば東京都ですと複数ある医科大 学で非常に違う役割は、「本来、大学病院というのは医師の育成のための教 育研究の施設である」と設置基準に書いてあるわけです。されど、県民から すると、高度先進医療の最終責任を大学は負わなくてはいけない。診療レベ ルの質の確保もどうしてもやらなくてはいけない。国立大学というのはこの ように二面性を持っているわけです。  そういう意味で言うと、今回のことでいちばんお考えいただきたいのは、 大学の将来のクリエイティブな研究・教育をする人材をどのような形で、研 修とマッチした形で育てていくのかについて一度ご一考いただかないと、10 年後に日本の医療は全部欧米の追随型になってしまう。日本から新しい医療 というのは出てこないのではないかということが懸念されます。  100年来の医学の歴史の中で、されど、やはり大学が果たしてきた役割と いうのはクリエイティブな、創造的な医科学研究をしてきたことは誰も否定 できない事実ではないかと思います。そういう意味で国際交流をしてきた。 本来なら、このシステムがあっても大学院に行って最初から研究してもいい はずなのですが、それが十分に浸透されていないために、研修をしてから研 究をしようかというシステムが見えてこないために大学の中で非常に混乱を きたしています。特に、大学院の在り方と抵触してきているということがあ ります。  実際、イギリスでも、カリキュラムの中にアカデミックコースといったも のが入っており、本当に研究を思考する人には研修の1つとして大学のアカ デミックコースみたいなものがやれる。あるいは、卒後2年研修が終わった あとで国がスカラシップを与える。イギリスは卒業生の8%を将来の研究者 、教育者のためのシステムとしてグラントができているわけです。ここがち ょっと懸念される点ではないか。  これはここでご議論いただく問題かはわかりません。ただ、頭の隅に副作 用として置いておかないと、結果的には国民に質の高い医療をどう提供する か、というためにやった本来の趣旨から逸脱してしまうのではないかという 点が1つあります。是非、カリキュラムの見直しを含めてそのときにご検討 いただけないかと思います。  2番目ですが、そういう意味で言うと、地方の大学病院は大学病院であり ながら、大きな医療機関でもある。そのことで言うと、卒前教育でクリニカ ル・クラークシップという患者を扱う授業、あと研修制度、教育研究・診療 、1人の人が3役も4役もやらなくてはいけない。そのような状況の中で中 間層、今後の日本を育てようという助教授、講師のレベルの人が疲弊化して きてしまう。そう言っては何ですが、大学にいるメリットがなくなってくる と指導者層が逃げていってしまう。大学にいたくて研修しないという前に大 学自体が持たないのではないか。その結果、ひいては、おそらく医師の育成 のみならず、医師の質の低下、地域の医師の配置の協議会の運営などもうま くできない。おそらく国立大学間に、昔のような格差が生じてきて、医師の いる国立大学から指導者をいただくという形でないと運営できないというこ とが、おそらく遠からずやってくるのではないかというのが、地方の大学に おいては極めて大きな危機感でありまして、それに多少拍車がかかっている のは、ご存じのように、国立大学が法人化したというのが、やはり大学病院 を持つ地方の大学においては非常に疲弊化させる原因なのです。これは、そ ういう研修で本来求めているものとしては何をすべきかという形でご議論を したわけですが、基本的なゴールは、やはり国民にそれだけ質の高い医療を 確保するためにはどうしたらいいかというと、特に人材育成というのが非常 に大きな柱で、卒業した後のみならず、卒前、あるいは入学時からきちっと 一元的なビジョンを語り合うというか、ビジョンを作り上げるようなシステ ムを是非両省庁で協力して作り上げていくということが、基本的にはこうい う研修制度から出てきたまた大きな課題なのではないかと考えておりますの で、是非それをそういうご議論の中に含めていただければありがたいと思っ ております。 ○部会長 いかがでしょうか。いま大学病院、医学部の立場からご意見が出 ましたが。 ○山口委員 ちょっとこのアンケート調査を見させていただきますと、後ろ のほうに、研修医1年生に対するものもちょっとありましたね。いまの2年 生と1年生は、相当違うような感じを受けます。結構、学年によってまだ始 まったばかりですので、相当受け取り方が違うでしょうし、それぞれのいま のプログラムに対する研修医の反応も、2年生だけの話では、なかなか判断 は難しかろうと思うので、その意味では、先ほどの経過措置も、もうしばら くやってみないとわからないということでよろしいかと思うのですが、この 1年生と2年生は同じ人たちでしょうか。 ○臨床研修専門官 すみません、ちょっと言葉足らずだったのですが、この 資料2−2の1頁を見ていただくと、ここに載っているのは平成17年度にい わゆる1期生が、2年目の最後の3月にとったもので、この下に付いている 平成16年度というのは、全く同じ母集団なのです。同じ母集団が1年前にと ったものなのです。この資料の16頁以降は、「1年次研修医への調査」とな っており、これはいわゆる2期生になります。2期生の方が平成17年度3月 に1年目の最後の3月を迎えた方ということになりますので、対象はこれと 1頁では変わります。 ○部会長 いま大橋委員から大学病院の立場からご意見があったのですが、 1点だけお伺いしたいのですが、将来の研究者、教育者をどうやって育成す るかというのは非常に大きい使命だと思うのですが、それが決して臨床研修 制度と両立しないわけではないと思うのです。例えばアメリカの場合ですと 、医学部を卒業する時点で、日本より2歳年をとっており、その後、少なく とも内科ですと4年か5年ぐらい臨床研修をやってからリサーチに行きます から、もう年齢的には32歳から33歳です。それでも、結構それから頑張って 、研究する人はしているので、決して必修化制度と大学と両立しないわけで はないと思うのですが、どこが違うのでしょうか。 ○大橋委員 非常にその辺の所は検証しなくてはいけない問題だと思います 。1つは、文化だと思います。やはり日本の高等教育というのを考える場合 、単に高等教育だけではなく、この少子化とか日本の経済状態とか、日本の 文化とか、そういうもので、私自身はキリスト教で基盤された自己確立で、 そして、その「神との契約」という社会で生きている社会と、それはそれで その儒教的文化で、やはりファミリーと血を維持できなければならない、我 々東アジアの民族。例えば移植医療1個取っても、同じ形のものを日本に持 ってきて、そのまま同じようにやればいいのかということについては、やは り医療センターに非常に大きな問題があるのではないかと。ですから、単に その教育者を育てるときに、欧米の指揮命令をそのまま持ってくればいいと いうわけではなくて、この少子化の中で、18歳で親から期待される、いま12 0万から130万人口の中で国立の医学部に来る人たちというのは、99.5%の偏 差値の右のほうにいる人たちなのですね。そうすると、必ずしも医療をやり たいということだけではなくて、日本の文化でいうと、将来の安定、家族と かファミリーの背負ったもの等々を踏まえながら来ますので、やはり教育の 中においては、適材適所で医者になる人を選んでいるかという問題がどうし てもある。そういう問題も含めて、では研究者をどうやって育てるのだろう かというと、いま言ったように、確立されて、自分がやるモチベーションが 非常に強いという形であれば、先生がおっしゃるようなものも通用すると思 うのですが、むしろこれだけの日本文化の中でいけば、非常に有能な方を青 田刈りといっては何ですけれども、エリート教育というか、英才教育のよう なものをしていかないと、ただ単にあなた任せで個人でやればいいというよ うな形では私はいかないのではないかと考えております。ですから、同じシ ステムではなくて、そういうこと全般を考えて、その研修が学部あるいは医 学部の中において、そういうものにどう影響しているのか、実は私ども、今 日は持ってこられなかったのですが、全国医学部長の本音を書いたアンケー ト調査があります。これは、もしも医学教育課がお許しいただけるなら、別 の機会にちょっとご覧いただきたいと思っています。その中に、何かヒント があるように思っております。 ○矢崎委員 医学教育から論じると、この医学教育というのは本当にその国 の歴史とか、文化とか、あるいは経済状態で左右されます。先ほどアメリカ と日本の話が出ましたが、特にアメリカでは、コミュニティが病院をつくっ て、その医師を育てるための大学というのが病院の附属大学みたいな形で出 来ています。ところが、日本は西洋医学が入って、国がまず大学をつくり、 国立病院をつくり、そこで研修をさせたということで、基本的には大きな違 いがあります。アメリカはどちらかというと、臨床能力を高める教育、日本 はどちらかというと研究思考の医学教育が行われてきたのではないかと思い ます。ただ、いままでの医学教育がどういうものであったかということを、 やはり反省する必要があって、やはり研究者と同時に医師を育てるという、 その教育システムというのは、時間割とかそういうのはありましたけれども 、内容が充実していたかどうか、あるいは、近代的ないまの医療に対応した 医学教育を行っているかどうかという、やはり常にフィードバックした反省 が必要だったのですが、それはこの臨床研修必修化の問題が起こるまでは、 ずっと旧来の伝統で医学教育が行われており、そして、こうインパクトが大 きいために、ファカルティ・ディベロップメント(FD)の問題とかがクロ ーズアップされて、いまになって一生懸命こういう医学教育の問題が出てき たと思うのです。やはりいままでの伝統の医師の育成では、もうこれからは やっていけない。臨床研修制度が卒後、始まったと思うのですが。いちばん 私が、このアンケートを見たり、実態の研修医の意見を聞きますと、大学病 院と研修病院の大型の所は、1つは診療科の壁が高い。もう1つは、スキル ・ミックスができていないのです。いままで研修医というのは安い労働力で 使って、必ずしも臨床能力を身につける視点から教育を行ってなかったとい うのが基本にあったわけですけれども、まだまだ大学と大規模な病院は、や はりスキル・ミックスができてなくて、小規模の病院ほどいろいろな職種が チーム医療で協力して医療をやっているのですね。ところが、大学病院です と、「この仕事は、あなたたち研修医の仕事でしょう。看護師の仕事ではあ りません」、いろいろな所でそういう議論があって、結局雑用的なものは、 いちばん弱い立場の研修医の所へかぶってきてしまうのですね。それで、や はりアンケートを見ると、「雑用が多い」とかそういう意見があるのですね 。先ほどの経過措置に関しては、実は私自身は、篠崎院長に、あまりルーズ になると小規模な病院が医師獲得というか、安い労働力でいって、いままで とは逆の方向でしっかりした質の高い臨床研修ができないのではないか、と いうことで、落としどころとしてこういう基準になって、それで、アンケー トを見ますと、やはり小規模の病院のほうが非常に実のある研修ができたと いうのは、やはり診療科の壁が低い。それと、やはり、看護師も研修医をサ ポートするような働きをしているのではないかと、そういう意見が、ちょっ と個人的な意見かもしれませんけれどもあって、やはり大学病院も含めて、 研究云々というのは基本的な問題ですから、やはりフレームワークをしっか り立てないといけないと思います。まずは臨床研修の現場で満足度の高い環 境、それは大変難しいかもしれませんが、やはりポイントはチーム医療とい いますか、スキル・ミックスといいますか、やはり研修医を、これからの研 究なり、臨床なり、本当に基本の人材になるという視点で育てるということ が必要だというのが、このアンケートの中に出ているような気がするのです 。ですから、これは大学病院に限らず、大きな病院では、やはりそういう規 模によってアンケートの結果が違いますので、是非そういう点からも、これ は医師だけではなくて、看護師の協力も得なくてはいけませんが、是非いい 方向に持っていっていただければありがたいと思います。 ○部会長 そうですね。まず実際に研修を受けている人たちがどう思ってい るかというのが1点と、それから、それが将来的に国民にとって本当にいい 医療を供給できるか。しかし、その先進的な所をやる人がいなくなっては困 るし、いろいろな視点があると思うのですが、いかがでしょうか。 ○篠崎委員 一般的な話でよろしいですか。きっといまお話があったのは、 大橋先生に続いてのお話だと思いますが、優れた研究者を大学は養成しなけ ればならないから、その観点から見ると、いまのこの2年間はどうなのかと いうお話かなと思いますが、確かに優れた研究者を養成することもものすご く大事なことなのですが、いま国民がいちばん求めているのは、安全で安心 な医療を提供してもらえる。地域医療に携わっている医師についての要望だ と思うのです。それは、厚生労働省の臨床研修の役割でもあるように思いま す。アメリカのような4プラス4でいくか。ドイツは6ですね。イギリス系 はもっと短く5年とかにしようとしています。そういう流れの中で、同じよ うな議論を聞きまして、優れた研究者を養成するにはなるべく若いほうがい いと。卒後のそういうプライマリ・ケアみたいなものを2年とか3年とかや っていると、だんだん年を重ねてしまって、頭が固くなってしまうから駄目 だといいます。これは外国の話ですが、当大学は優れた研究者を養成したい のでプライマリ・ケアのプログラムに反対なんだということを言っていまし たけれども、結局その大学の卒業生が50歳とかそのぐらいのときにどうなっ ているのかというと、半分は地域で開業しているのです。つまり地域のお医 者さんになっているわけです。その大学の先生に「結果としては卒業生の半 分は開業医なり地域の病院の先生なりになっているのに、先生の大学だけ研 究者のためにというのは、どういう意味があるのですか」と聞きましたら、 「いや、うちの大学の卒業生は開業医になってもリサーチ・マインドを忘れ ないのです。ここが大事なのです」と申されていましたけれども、何かそれ は、大学の先生の言い分としてはそうかもしれませんが。国民からはプライ マリ・ケアを習得し、見落としのないお医者さんを養成してほしいという要 望があるのではないかと思います。そこが非常に難しい所ですね。今回この プライマリ・ケアをきちっとやってもらって、その後のことをどうするかが 非常に大きな問題ですけれども、それは文部科学省と協力をしながら、また 関係団体ともよく議論をして、それを充実したものにしていかなければと、 そういうふうに思います。 ○大橋委員 言葉が少し足りなかったようなので補足させてください。私は 決して大学がいまの初期研修を導入したことを反対しているわけではありま せん。やはり当然国民が質の高い、あるいは、9割は臨床研修を行っている わけですから、当然そういう形のものを導入すべきだと。ただ、システムと して、やはり10年先の、2年やったから一人前の医者になっているわけでは ありませんので、大学がおそらくどういう役割を分担していくか、そうする と、2年プラスアルファのもうちょっとスパンの大きい一人前の医者に対す るぐらいのビジョンというのを。国がある程度2年というのを入れてしまっ たのなら、専門医制度の場合は、こういう形だとかいうのを見せるというか 、ある程度の議論をして国として枠組みを決めて行かなくてはいけない。そ の後は逆に個人にお任せするという形だと、ちょっと問題ではないかと。大 学としては、当然いままで反省すべきことは本当にたくさんあると思います 。反省すべきは反省して、そして、大学と、一般の大きな医療機関との間の 役割分担をしながら、その10年先の一人前の医者をどうつくるかという、そ ういうご議論の中に初期研修という位置づけも置いていただけたらありがた いというのが言っている趣旨でして、決して反対しているわけではありませ ん。 ○部会長 そうですね、確かに大学は「後期研修」という言葉を使うとすれ ば、そういう時期においては非常に重要な役割を果たされると思います。当 然そういうことはみんなで議論していくと思うのですが、ただ、それを制度 化するかどうかはまた別の問題だと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○長尾委員 大橋先生が最初に言われたことは日本の教育全体の在り方とし て問われている部分が大きいと思います。ここでは臨床用プライマリ・ケア の部分をどうするかというのをきちっと臨床研修の場でやらなければいけな いというのがいちばんだと思いますし、大学病院では、やはりこれまで研究 、教育、診療で確かに大きな役割を担っていた部分もあって、また、今後も 大学病院の担う役割というのは大きなものがあると思います。ただ、いまこ の臨床研修制度が始まってから、確かに非常に大きな混乱を来していますし 、大学によっては確かに後期の入局者も非常に少ないという部分もあるので すが、これはやはり今後の在り方として、全体として考えていかなければい けませんし、私は精神科の立場で言えば、確かに臨床研修は、多くは単科の 精神病院が担っている部分もありますし、総合病院と分け合っている部分、 大学病院との兼ね合い、全部がなければいけないというふうに思っています ので、決して一部の単科だけ、総合病院だけということで例えば精神科をや ってしまうと、非常に幅の狭い形になってしまいます。ですから、そういう 面で、やはり大学病院も、深くある面で研究も含めた形というのは、今後出 てくると思いますし、研究を目指すというのは、私どもも決して減らないの ではないかと。ある部分のモチベーションを持つ人はやはり出てくるのでは ないかと思いますので、是非とも大学病院の後期研修の在り方というものを 深めていってもらって、その役割を果たしていただければと考えております 。 ○部会長 いまの点はいかがでしょうか。 ○冨永委員 資料2−2の23頁にある「病院に関する調査より」という所で すが、研修医の評価では、やはり300床以下の病院が非常に高いというのは ご指摘のとおりで、大きくなるほど、大学病院になるほど低いということが 出ています。これは病院側のフルマッチだと思います。病院としても、大学 病院を満たしている理由としても非常に一般病院と比べて低くなっています し、逆に満たしてない理由でも高くなっているということでして、こうして 見ると、医師臨床研修が始まってから、特に中小規模の病院が医師研修を受 けなければならないということで必死になって努力して、待遇、指導等が充 実し、初期研修においてはある程度以上の役割を果たしているということが 言えるのではないかと思うのです。これを見たらそう取れるのですが、大学 ご自身の評価というのは極端に低い評価をしており、逆に、一般病院は、実 力以上に評価しているのではないかという気がするのです。これはどう解釈 したらいいのでしょうか。 ○臨床研修専門官 少しデータの説明をさせていただきます。これは、実は すべての臨床研修病院とすべての大学病院に分母を置いていて、その中で、 定員を満たしている理由というのを答えられるのは、いわゆるフルマッチの 病院だけで、その数は、いわゆる臨床研修病院のほうがもともと多くて、大 学病院のほうが少ないので、その中で複数の理由を書いておりますから、ち ょっとそこの、もともとフルマッチしている病院が多い少ないというのが、 ちょっとパーセンテージに影響を与えているということで、全体的に差が出 ているということです。 ○部会長 その他、いかがでしょうか。 ○矢崎委員 私は、ずっと大学にいて、多くの大学の先生からは、先ほどお 話があった2年間の臨床研修の導入によりリサーチ・マインドが失われてし まったという非難をものすごく受けるのですね。先ほど医学教育課長からご 報告があったように、「医学教育の改善・充実」という中にも書いてありま すが、こういうリサーチ・マインドというのを6年間の医学教育の中で育む 。こういう臨床研修によってそれが失われるという議論は、いかがなものか なと。だから、しっかり6年間の間にそういう教育をして、プラス臨床を良 く見て、臨床の現場から持ち上がった課題をやはり研究して解明するという 、端的にそういうのが入ってきたために従来のリサーチ・マインドの考え方 がずれるというのは、結論的にはそうなのか、極端な言い方をすると他に責 任転嫁しているのではないかなと。だから、やはりもう少しこういう臨床研 修というのが、先ほど篠崎委員から言われたように、なぜ出来たかというと 、国民の要望が強かったわけですね。ですから、こういうものを前提として 医学教育をしっかり組み直していただかないと。だから、もしも見直して本 当に医学教育が抜本的に改善されれば、それをした上でこの臨床研修制度も ある程度抜本的に見直す必要もあるかもしれないのですが、従来どおりの医 学教育で、それに合わせてこれを変えるという議論では、なかなかサポート は得られないのではないかと思いますね。ですから、やはりもう少し発想を 変えて、卒前教育をしっかり組み立てて、教室でいまの基礎をガッチリと授 業する。臨床の教室でガッチリというのではない。もう少し、それこそこれ は欧米系の医学教育システムを根本的に直して組み立てていただかないと、 ちょっといけないかなと。ですから、こういう医学教育の改善・充実に関す るいろんな議論の進め方も、少しそういう視点から、是非実のある協議をし ていただければ大変ありがたいと思います。 ○部会長 年齢的には2年間たとえガッチリ臨床研修をやったとしても、ア メリカの医学部卒業生と同じ年齢ですから、そこで何とか大学院に一部の人 が帰ってくるようになれば、いまの問題は解消しますね。いかがでしょうか 。まだ数分あります。全般を通じて、今日、かなりたくさん資料が出ました ので、またこれをよく見ると、いろいろなご意見やご質問があると思うので すが。  ちょっと1つだけ先ほどの資料で伺いたいのですが、研修医の在籍者数の 、資料2−3、その2頁目の「都道府県別研修医在籍状況推移」という所で 、平成15年度、つまり、必須化が始まる前と後での比較があって、いちばん 右の欄に△が多いのは、関西地方ですね。東北はあまり△がない。ただ、こ れは、いちばん下を見ますと、平成18年と平成15年で、449という△が立っ ていますが、結局これは母数が同じではないので、この△を少し補正してみ ないといけないと思うのですが、それにしても、なぜ西のほうで、これ、補 正したとしても減っていますよね。大橋委員、何か医学部長・病院長会議で そういうようなことは話し合われていますでしょうか。 ○大橋委員 そうですね、我々はどうしてもNの数を、この1番目の数でい うと卒業生の44%ぐらいですね。5,000人ぐらいの数のデータしか我々は統 計を出してないのです。ですから、1つは、やはり今後8,000人の人が、3 年目の研修を含めてどういうふうな分布をしていくのかということをさせて いただいてご議論したほうが、いま言われたようにNの数がちょっと母数が 違うので、少なくなった分だけファクターが、国家試験の影響からいろいろ あるかと思うので。 ○部会長 この平成15年度の数というのは、必須化以後よりもきっちりと把 握されていなかったかもしれませんね。 ○大橋委員 はい、それは、どこにどう分布しているのかはちょっと。 ○部会長 事務局のほうで何か説明ありますか。 ○臨床研修専門官 ご指摘のとおり、この平成15年と平成18年のトータル数 が違うことについては、平成18年は、完全に制度化しておりますので1人も 間違いはありませんけれども、平成15年は、お願いベースで取っているもの で、参考という形で見ていただいたほうがいいかもしれません。 ○冨永委員 詳細に調べてないのでわかりませんが、母数が減っている所が 増えているというのは確実ですよね。東北とか島根とか、いわゆる新聞等で 報道されている奨学金制度とか、地域枠制とか、必死にその県に医師を確保 するために努力なさっている県が増えているように私は思います。ですから 、そういう結果が出たのかなと。これはいいことだと思っています。どれが どうだという具体的なことは申し上げられませんが、おそらくこういう所で いろいろな報道がされているのを見ますと、いま言いましたような奨学資金 制度を大幅に増やす、地域枠を増やすというようなことがなされていると思 います。 ○部会長 もう1つこの表を見て気がつくのは、確かに減っているといって も、10人前後の所は減っているのですけれども、しかし、大学病院の立場か らいうと、大幅に減っているということは、同じ県内で分布が変わっている ということですね。むしろ外の県へ行ったというよりも。このデータで見る 限りは。いかがでしょうか。そろそろ時間が近づいておりますが。 ○長尾委員 これは、研修医の推移ということですけれども、今年、研修が あって、それぞれ後期研修に入っていると思うのですけれども、その行き先 を把握しておられれば、また次回にでも出していただけたらと思うのですが 。 ○部会長 それでは時間になりましたのでこの辺で終わりたいと思いますが 、特に何か全般を通じてご意見ございますでしょうか。もしなければ、今日 いろいろな角度からご議論をいただいて少し整理が必要だと思いますので、 事務局に整理をお願いしたいと思います。日程について何か事務局からあり ますか。 ○臨床研修専門官 はい。本日ご議論いただいた内容を事務局のほうで整理 させていただき、再度この部会にお諮りさせていただきたいと思っておりま す。次回はまた先生方の日程をお聞きした上で、再度調整をして、連絡させ ていただきたいと思っております。 ○部会長 どうもありがとうございました。                  (照会先)                  厚生労働省医政局医事課                     医師臨床研修推進室                   (代表)03−5253−1111                  (内線4123)